説明

スプライスユニット

【課題】単一の余長トレイで、光ケーブルと光ファイバの一方又は両方を巻いた状態で収納することができるスプライスユニットを提供する。
【解決手段】複数の光ファイバが束ねられた光ケーブル901、又は、光ファイバ902、余長分が巻かれた状態で収納される余長トレイ20を有し、ラックに収納されるスプライスユニットであって、余長トレイ20の底面には、光ケーブル901が巻き付けられる第1ガイド22、及び、巻かれた光ファイバを外側からガイドし第1ガイド22よりも低い第2ガイド23が立設され、第1ガイド22は複数の円弧状片又は円筒で構成され、第1ガイド22にはその外側に向けてケーブル押さえ片22aが形成され、第2ガイド23は複数の対向する片で構成され、第2ガイド23には前記対向する片の内側に向けてファイバ押さえ片23aが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ケーブルや光ファイバの余長分を収納する余長トレイを備えたスプライスユニットの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に示されるように、光ファイバや光ファイバが束ねられて被覆された光ケーブル(以下光ケーブル等とする)が引き込まれ、この光ケーブル等の端部が融着接続される融着部を有するプライスユニットがある。このようなスプライスユニットには、融着部に融着接続された光ケーブル等の余長分を巻いた状態で収納する余長トレイが設けられている。余長トレイには、光ケーブル等を巻いた状態で保持するガイドが形成されている。そして、ガイドの上端には配線押さえ片が形成され、光ケーブルのスプライスユニットからのはみ出しが防止されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−148327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光ケーブルは光ファイバに比べて大幅に線径が太いため、従来では、光ケーブルを光ファイバ用の余長トレイに巻いた状態で収納することができなかった。また、光ケーブル用のガイドに光ファイバを巻き付けた後に手を離すと、光ファイバが広がってしまうため、配線押さえ片で光ファイバを押さえ付けることができなかった。このため、光ケーブル用と光ファイバ用の二種類の余長トレイを用意する必要があった。
本発明は、上記問題を解決し、単一の余長トレイで、光ケーブルと光ファイバの一方又は両方を巻いた状態で収納することができるスプライスユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、
複数の光ファイバを束ねられた光ケーブル又は光ファイバの余長分が収納される余長トレイを有するスプライスユニットであって、
前記余長トレイの底面には、巻かれた光ケーブルをガイドする第1ガイド、及び、巻かれた光ファイバを外側からガイドする、前記第1ガイドよりも低い第2ガイドが立設され、
前記第1ガイドは、複数の円弧状片又は円筒で構成され、
前記第1ガイドには、ケーブル押さえ片が略水平方向に形成され、
前記第2ガイドには、その内側に向けてファイバ押さえ片が形成されていることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
第2ガイドは、第1のガイドの外側に設けられていることを特徴とする。
これにより、第2ガイドで巻かれた状態でガイドされた光ファイバの曲率半径をより大きくさせることが可能となり、折れやすい光ファイバの折損を防止することができる。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、
前記ケーブル押さえ片と前記ファイバ押さえ片は互いに対向するように形成されていることを特徴とする。
これにより、巻かれた光ファイバが第2ガイドから外れてしまったとしても、巻かれた光ファイバがファイバ押さえ片により押さえられ、光ファイバの余長トレイからのはみ出しが防止される。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3に記載の発明において、
前記余長トレイの前記底部の外縁から、壁部が立設され、
前記壁部から配線押さえ片が形成されていることを特徴とする。
これにより、巻かれた光ケーブルが第1ガイドから外れてしまったとしても、光ケーブルが配線押さえ片により押さえられ、光ケーブルの余長トレイからはみ出しが防止される。
また、巻かれた光ファイバが第2ガイドから外れてしまったとしても、光ファイバが配線押さえにより押さえられ、光ファイバの余長トレイからのはみ出しが防止される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、余長トレイは、巻かれた光ケーブルをガイドする第1ガイドと、巻かれた光ファイバを外側からガイドする、前記第1ガイドよりも低い第2ガイドがその底面から立設されている。これにより、線径が太い光ケーブルを第1ガイドにガイドさせ、線径が細い光ファイバを第2ガイドで外側からガイドさせることができる。このため、単一の余長トレイで、光ケーブルと光ファイバの一方又は両方を巻いた状態で収納することができるスプライスユニットを提供することが可能となる。
また、第1ガイドは複数の円弧状片又は円筒で構成されているので、光ケーブルの折損が防止される。
また、第1ガイドには、ケーブル押さえ片が略水平方向に形成されているので、第1ガイドにより巻かれた状態でガイドされた光ケーブルがケーブル押さえ片で押さえられ、前記光ケーブルの余長トレイからのはみ出しが防止される。
また、第2ガイドには、その内側に向けてファイバ押さえ片が形成されているので、第2ガイドにより巻かれた状態でガイドされた光ファイバがファイバ押さえ片で押さえられ、前記光ファイバの余長トレイからのはみ出しが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態を示すスプライスユニットの全体斜視図である。
【図2】スライド部の斜視図である。
【図3】余長トレイの斜視図である。
【図4】余長トレイの上面図である。
【図5】余長トレイの斜視断面図である。
【図6】余長トレイの光ケーブル及び光ファイバの巻付状態を示す断面図である。
【図7】第1の別例の余長トレイの断面図である。
【図8】第2の別例の余長トレイの断面図である。
【図9】第3の別例の余長トレイの断面図である。
【図10】第4の別例の余長トレイの断面図である。
【図11】第5の別例の余長トレイの斜視断面図である。
【図12】第6の別例の余長トレイの斜視断面図である。
【図13】第6の別例の余長トレイの上面図である。
【図14】ケーブル押さえ片、ファイバ押さえ片、配線押さえ片を異なる高さに複数形成した実施形態の余長トレイの斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(スプライスユニットの説明)
以下に図面を参照しつつ、本発明の好ましい実施の形態を示す。本発明のスプライスユニットは、ラックに段積みされて収納されるものであり、図1に示されるように、ラックのアングル等に固定される固定部200と、この固定部200にスライド可能に取り付けられたスライド部100とから構成されている。固定部200の底部には、ケーブルガイド201が配設されている。このケーブルガイド201は、スライド部100にまで連設されている。ケーブルガイド201は、外部から引き込まれた光ケーブル等を保護するものであり、フレキシブルチューブ等で構成されている。なお、本実施形態においては固定部200の上方は開放されているが、実際には蓋やカバーなどが形成されているものである。
【0012】
スライド部100は、図2に示されるように、筐体10、余長トレイ20、融着トレイ30、アダプタ接続部40、前面パネル50、支持部材60とから構成されている。筐体10は上方が開放した箱形であり、固定部材200にスライド可能に取り付けられている。余長トレイ20は、筐体10内に取り付けられている。余長トレイ20については、後で詳細に説明する。
【0013】
融着トレイ30は、余長トレイ20上に配設されている。融着トレイ30は、引き込まれた光ケーブル内の各光ファイバや光ファイバが融着接続される融着部を有している。
【0014】
アダプタ接続部40は、筐体10の前面に多数設けられている。各アダプタ接続部40は、融着トレイ30の融着部に融着接続された光ファイバと接続している。各アダプタ接続部40には、光ファイバの端部に設けられた光アダプタが接続される。
前面パネル50は、支持部材60により、筐体10の前方に離間して取り付けられている。支持部材60には、出線穴60aが形成されている。この出線穴60aから、各アダプタ接続部40に接続された各光ファイバが出線されて、ラックに収納された各機器、またはラック外に形成された各機器に配線される。
【0015】
(余長トレイの構造)
余長トレイ20は、融着トレイ30に接続される光ケーブルや光ファイバの余長分や、外部から入力または外部に出力するアダプタ接続部40に接続される光ケーブルや光ファイバの余長分などが巻かれた状態で収納するものである。本発明の余長トレイ20は、図3〜図5に示されるように、底面21から、第1ガイド22、第2ガイド23が立設されている。図4に示されるように、第1ガイド22は、上面視した場合に、円弧中心を同一とする複数の円弧状片から構成されている。本実施形態では、第1ガイド22は、互いに対向する一対の円弧状片から構成されている。なお、第1ガイド22は、円筒形状であっても差し支え無い。第1ガイド22の上端には、外側に向けて、板状のケーブル押さえ片22aが水平方向に形成されている。なお、外側とは、円弧や円の外側を指し、特に光ケーブルや光ファイバの巻き付けを行い、巻付部となる第1ガイド22や第2ガイド23の中心より外側を指す。
【0016】
第2ガイド23は、第1ガイド22の外側に立設されている。第2ガイド23は、複数の対向する片から構成されている。本実施形態では、第2ガイド23は、円弧中心を同一とする複数の円弧状片から構成されている。本実施形態では、第2ガイド23は、互いに対向する一対の円弧状片から構成されている。なお、第1ガイド22と第2ガイド23の円弧中心は同一となっている。第2ガイド23の上端には、対向する円弧状片の内側に向けて、板状のファイバ押さえ片23aが水平方向に形成されている。なお、内側とは、円弧や円の内側(円弧や円の中心側)を指し、特に光ケーブルや光ファイバの巻き付けを行い、巻付部となる第1ガイド22や第2ガイド23の中心側を指す。本実施形態では、図4や図5に示されるように、ケーブル押さえ片22aとファイバ押さえ片23aは、互いに対向している。
図6に示されるように、光ケーブル及び光ファイバの太さが異なるために、第2ガイド23のほうが第1ガイド22よりも低くなっている。
【0017】
本実施形態では、図3に示されるように、底面21から立設された中仕切り片25を挟んで、2組の第1ガイド22と第2ガイド23が形成されている。なお、中仕切り片25の上端には、水平方向に配線押さえ25aが形成されている。また、中仕切り片25にはケーブル挿通穴25bが形成されていて、挿通孔25bにより光ケーブル等が挿通可能となっている。余長トレイ20は2組の第1ガイド22と第2ガイド23が形成したものであるが、本実施形態の形状に限らず、本実施形態の余長トレイ20の半分の形状の1組の第1ガイド22と第2ガイド23で形成した余長トレイを使用したり、1組の第1ガイド22と第2ガイド23で形成した余長トレイを繋ぎ合わせる構造であっても良いもので形状は余長トレイ20の構造に限定するものではない。
【0018】
図3に示されるように、底面21の外縁からは、上方に向かって、壁部24が形成されている。壁部24には、複数の開口部24aが形成されている。この開口部24aから光ケーブル等が余長トレイ20内に引き込まれる。側壁24の上端には、内側に(底部21上に)向かって配線押さえ片24bが水平方向に形成されている。この配線押さえ片24bは、第1ガイド22や第2ガイド23で示した光ケーブル又は光ファイバの押さえ片となるものであり、光ケーブルまたは光ファイバの押さえ片となるように高さが異なる押さえ片を複数設けておくことが好ましい。
【0019】
光ケーブルまたは光ファイバの巻付部としては、前述のように一対の第1ガイド22や一対の第2ガイド23であるが、例えば、光ケーブルの一端は第1ガイド22に、他端を配線押さえ片24bで巻き付ける巻付部とすることも可能である。また、側壁24の上端には、融着トレイ30が蝶着される蝶着部24cが形成されている。なお、一部の配線押さえ片24bとケーブル押さえ片22aが同じ高さに形成されていると、融着トレイ30が安定的に配線押さえ片24b及びケーブル押さえ片22a上に載置される。このため、配線押さえ片24bとケーブル押さえ片22aを同じ高さに形成することが好ましい。
【0020】
(余長トレイへの光ケーブル等の収納方法の説明)
図6を用いて、余長トレイ20への光ケーブル等の収納方法について説明する。図6の(B)や(C)に示されるように、光ケーブル901の線径は、光ファイバ902の線径よりも太い。光ケーブル901の線径は、光ファイバ902の数により変化し、光ファイバ902の線径は、直径125ミクロン(0.125mm)程度の細線で透明度の高いガラスで形成されている。
【0021】
光ケーブル901の余長分を余長トレイ20に収納するには、図6の(C)に示されるように、光ケーブル901を第1ガイド22に巻き付ける(ガイドさせる)。第1ガイド22は複数の円弧状片又は円筒で構成されているので、第1ガイド22に巻き付けられた光ケーブル901の折損が防止される。
第1ガイド22の上端には、ケーブル押さえ片22aが形成されているので、巻かれた光ケーブル901がケーブル押さえ片22aで押さえられ、巻かれた光ケーブル901の余長トレイ20からのはみ出しが防止される。なお、巻かれた光ケーブル901が第1ガイド22から外れてしまったとしても、光ケーブル901が配線押さえ片24bや配線押さえ片25aにより押さえられ、光ケーブル901の余長トレイ20からのはみ出しが防止される。
【0022】
光ファイバ902の余長分を余長トレイ20に収納するには、光ファイバ902を第2ガイド23の内側で巻いて手を離す。すると、巻かれた光ファイバ902が外側や上方に広がり、図6の(A)や(B)に示されるように、巻かれた光ファイバ902が外側から第2ガイド23の内側でガイドされる。第2ガイド23の上端には、ファイバ押さえ片23aが形成されているので、光ファイバ902がファイバ押さえ片23aにより押さえられ、光ファイバ902の余長トレイ20からのはみ出しが防止される。なお、巻かれた光ファイバ902が第2ガイド23から外れてしまったとしても、ケーブル押さえ片22aがファイバ押さえ片23aに対向しているので、巻かれた光ファイバ902がケーブル押さえ片22aにより押さえられ、光ファイバ902の余長トレイ20からのはみ出しが防止される。或いは、巻かれた光ファイバ902が配線押さえ片24bや配線押さえ片25aにより押さえられ、光ファイバ902の余長トレイ20からのはみ出しが防止される。なお、ケーブル押さえ片22aの端部及びファイバ押さえ片23aの端部が上方向より確認した際、互いに重なりあっているか端部同士が同一直線状に形成させることにより、効果的に余長トレイ20からのはみ出しを防止させることができる。
【0023】
本実施形態では、第2ガイド23は第1のガイド22の外側に立設されているので、第2ガイド23でガイドされて巻かれた光ファイバ902の曲率半径をより大きくさせることができる。このため、折れやすい光ファイバ902の折損を防止することができる。
【0024】
このように、本発明では、1つの余長トレイ20で、太さの異なる光ケーブル901及び光ファイバ902の一方又は両方を巻いた状態で収納することができる。
【0025】
(第1の別例の余長トレイ)
図7を用いて、前記説明した余長トレイ20と異なる点について、第1の別例の余長トレイを説明する。第1の別例の余長トレイは、第2ガイド23の外側に、第1ガイド22を形成し、第1ガイド22及び第2ガイド23の各々に形成されたケーブル押さえ片22a及びファイバ押さえ片23aが互いに反対方向を向くように形成した実施形態である。
【0026】
(第2の別例の余長トレイ)
図8を用いて、前記説明した余長トレイ20と異なる点について、第2の別例の余長トレイを説明する。第2の別例の余長トレイは、ケーブル押さえ片22bが、第1ガイド22の上端から内側向かって形成されている、つまり、第1ガイド22及び第2ガイド23の各々に形成されたケーブル押さえ片22b及びファイバ押さえ片23bが同じ方向を向くように形成した実施形態である。光ケーブルは、巻かれた状態で第1ガイド22の内側に配設され、第1ガイド22でガイドされる。また上記以外には、光ケーブルの一端を第1ガイド22の外側に引っ掛け、光ケーブルの他端を余長トレイ20の壁部に形成された配線押さえ片24bでガイドされる方法もある。第1ガイド22の上端には、ケーブル押さえ片22bが形成されているので、巻かれた光ケーブルが、ケーブル押さえ片22bで押さえられ、光ケーブルの余長トレイ20からのはみ出しが防止される。
【0027】
(第3の別例の余長トレイ)
図9を用いて、前記説明した余長トレイ20と異なる点について、第3の別例の余長トレイを説明する。第3の別例の余長トレイは、ケーブル押さえ片22dが、その先端を第1ガイド22の内側と外側のいずれか一方に向けて、第1ガイド22の上端に取り付けることができるように構成された実施形態である。図に示される実施形態では、第1ガイド22の先端には係合凹部22cが形成され、ケーブル押さえ片22dの下端には、係合凹部22cに係合する係合突起22eが形成され、ケーブル押さえ片22dが第1ガイド22の上端に着脱自在に取り付けられるように構成されている。この実施形態では、光ケーブルを、第1ガイド22の外側に巻き付けることもできれば、第1ガイド22の内側に巻かれた状態で配設させることもでき、ケーブル押さえ片22dの向きを変更させることにより、巻かれた状態の光ケーブルを押さえることができる。
【0028】
(第4の別例の余長トレイ)
図10を用いて、前記説明した余長トレイ20と異なる点について、第4の別例の余長トレイを説明する。第4の別例の余長トレイは、ケーブル押さえ片22fが、その先端側が低くなるように形成された実施形態である。この実施形態では、第1ガイド22に巻かれた光ケーブルのケーブル押さえ片22dからの脱落がより確実に防止される。
【0029】
(第5の別例の余長トレイ)
図11を用いて、前記説明した余長トレイ20と異なる点について、第5の別例の余長トレイを説明する。第5の別例の余長トレイは、一対の第1ガイド22が中仕切り片25を挟むように形成され、前記一対の第1ガイド22の外側に、もう一対の第1ガイド22が形成された実施形態である。本実施形態では、いずれの第1ガイド22の円弧中心も、中仕切り片25側を向いている。本実施形態では、光ケーブル余長に応じて、第1ガイド22を選択して巻き付けることができる。このため、光ケーブルの余長が長い場合であっても、光ケーブルを余長トレイ内に収納させることができる。
【0030】
(第6の別例の余長トレイ)
図12及び図13を用いて、前記説明した余長トレイ20と異なる点について、第6の別例の余長トレイを説明する。第6の別例の余長トレイは、第1ガイド22の円弧中心が、余長トレイの端部を向いた実施形態である。本実施形態では、図13に示されるように、巻いた状態の光ケーブル901の一端を第1ガイド22に引っ掛け、前記光ケーブル901の他端を余長トレイ20端部に形成された配線押さえ片24bの下の底面21に載置させて、光ケーブル901の余長分を余長トレイ内で収納させる。本実施形態では、光ケーブル901の余長や余長トレイ20への光ケーブル901の引き込み方法に応じて、余長トレイの端部から近い位置に形成された第1ガイド22と、余長トレイの端部から遠い位置に形成された第1ガイド22を選択することにより、光ケーブル901を確実に余長トレイ内で収納させることができる。
【0031】
(配線押さえ片等を異なる高さから複数形成した実施形態)
図14を用いて、配線押さえ片24b等を異なる高さから複数形成した実施形態の余長トレイについて説明する。図14に示される実施形態では、ケーブル押さえ片22aや、ファイバ押さえ片23a、配線押さえ片24bが、異なる高さ位置から同一方向に複数形成されている。また、図14(A)に示すように、配線押さえ片24bの位置を上下方向からずらした位置に形成するものであっても良い。図14(B)においては図14(A)に示す配線押さえ片24bのみを水平方向にずらしたものであるが、同様にケーブル押さえ片22aやファイバ押さえ片23aを水平方向にずらして設置するものであっても良い。このため、光ケーブル等の余長に応じて、最適なケーブル押さえ片22aやファイバ押さえ片23a、或いは、配線押さえ片24bを選択することにより、より確実に光ケーブル等の浮き上がりを防止させることができる。
【0032】
なお、本実施形態では、第2ガイド23は、上面視した場合に、円弧状の片で構成されているが、光ファイバ902は外側または上方に広がることを防止することを目的とするものであるので、第2ガイド23の形状はこれに限定されず、平板状の片等であっても差し支え無い。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うスプライスユニットもまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【符号の説明】
【0033】
10 筐体
20 余長トレイ
21 底面
22 第1ガイド
22a ケーブル押さえ片
23 第2ガイド
23a ファイバ押さえ片
24 壁部
24a 開口部
24b 配線押さえ
25 中仕切り片
25a 配線押さえ片
30 融着トレイ
40 アダプタ接続部
50 前面パネル
60 支持部材
100 スライド部
200 固定部
901 光ケーブル
902 光ファイバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ファイバを束ねられた光ケーブル又は光ファイバの余長分が収納される余長トレイを有するスプライスユニットであって、
前記余長トレイの底面には、巻かれた光ケーブルをガイドする第1ガイド、及び、巻かれた光ファイバを外側からガイドする、前記第1ガイドよりも低い第2ガイドが立設され、
前記第1ガイドは、複数の円弧状片又は円筒で構成され、
前記第1ガイドには、ケーブル押さえ片が略水平方向に形成され、
前記第2ガイドには、その内側に向けてファイバ押さえ片が形成されていることを特徴とするスプライスユニット。
【請求項2】
第2ガイドは、第1のガイドの外側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスプライスユニット。
【請求項3】
前記ケーブル押さえ片と前記ファイバ押さえ片は互いに対向するように形成されていることを特徴とする請求項2に記載のスプライスユニット。
【請求項4】
前記余長トレイの前記底部の外縁から、壁部が立設され、
前記壁部から配線押さえ片が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のスプライスユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−230277(P2012−230277A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98994(P2011−98994)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000227401)日東工業株式会社 (374)
【Fターム(参考)】