説明

スプラッシュガードの取付構造

【課題】内部のメンテナンスを容易におこなうことを可能にするとともに、メンテナンス後に元の状態に復帰することも容易にすることを可能にする。
【解決手段】インナフェンダ38内に設けられ、小石や水を遮断するスプラッシュガード42と、スプラッシュガード42を車体11に固定する複数個の固定部材71〜73と、を備えたスプラッシュガードの取付構造において、スプラッシュガード42に、車幅方向に遮断面を向け水はねを遮断する本体部65と、この本体部65の前端から車幅方向に延ばされたフランジ部66と、を備え、フランジ部66の下部に、車体11に複数個の固定部材71〜73の一つで車体前後方向を軸97として回転可能に固定される下固定部68が設けられ、本体部65の上部に、車体11に残りの固定部材71,72で車幅方向に固定される上固定部67が設けられた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェンダパネル内に設けられ、水はねを遮断するスプラッシュガードの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
スプラッシュガードの取付構造として、ホイールに対向してフェンダの内側にフェンダプロテクタが取付けられるものがある。フェンダプロテクタは、上側に突出する湾曲面を有するプロテクタ本体と、プロテクタ本体の前方の湾曲面の端部に交差して延びる延設部材と、を備え、延設部材の先端をフロントバンパに着脱自在に取付けたものである。
【0003】
このスプラッシュガードの取付構造によれば、延設部材の先端をフロントバンパから外すことで、内部の部品のメンテナンスが可能となる(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、スプラッシュガードとして、エンジンで駆動される補機類を覆うようにエンジンルームに配置され、メンテナンス用工具を挿通できる工具孔を備えたものもあり、このスプラッシュガードは、工具孔の周縁に、中心に向って自由端を延ばし、スリットを挟んで周方向に並ぶ複数枚の弾性板片を形成したものである。
【0005】
このスプラッシュガードによれば、メンテナンス用工具を挿通するときは工具孔の弾性板片が倒れて工具の挿入を可能とするとともに、メンテナンス用工具を取り去れば、弾性板片が元の状態に復帰し、スプラッシュガードとして水はねを遮断することが可能である(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許3930275号公報
【特許文献2】実公平7−28060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1のスプラッシュガードの取付構造では、延設部材(カバー)の先端をフロントバンパから外したときに、カバーが車体内側に入り込む。従って、作業後にカバーを元に戻すことが困難である。
また、延設部材(カバー)の先端をフロントバンパに止めているクリップ(固定部材)の軸が車体上下方向を向いているので、クリップの取外し若しくは取付け作業が車体下方からの作業となりクリップの脱着作業及び内部のメンテナンス作業も困難である。
【0008】
特許文献2のスプラッシュガードでは、工具孔の内部に弾性板片が形成してあるので、内部が視認しずらく、メンテナンス作業が困難である。また、弾性板片が復帰した状態では弾性板片同士の間にスリットがあるので、スプラッシュガードとして十分な水はね遮断機能を発揮することはできない。
【0009】
本発明は、内部のメンテナンスを容易におこなうことができるとともに、メンテナンス後に元の状態に復帰することも容易なスプラッシュガードの取付構造を提供することを課題とする。また、スプラッシュガードとして十分な水はね遮断機能を発揮することができるスプラッシュガードの取付構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、車体側方を覆うフェンダパネルと、このフェンダパネルの内側に設けられ、タイヤの跳ね上げる小石や水によるフェンダパネルの内側のキズ付きや錆び付きを防止するインナフェンダと、このインナフェンダ内に設けられ、小石や水を遮断するスプラッシュガードと、スプラッシュガードを車体に固定する複数個の固定部材と、を備えたスプラッシュガードの取付構造において、スプラッシュガードに、車幅方向に遮断面を向け水はねを遮断する本体部と、この本体部の前端から車幅方向に延ばされたフランジ部と、を備え、フランジ部の下部に、車体に複数個の固定部材の一つで車体前後方向を軸として回転可能に固定される下固定部が設けられ、本体部の上部に、車体に残りの固定部材で車幅方向に固定される上固定部が設けられたことを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、複数個の固定部材の一つをクリップとし、スプラッシュガードの下固定部がクリップ止めされ、本体部を外側に回転させたときに、スプラッシュガードがインナフェンダに当接し、本体部が略水平に保持されるストッパ部がクリップの近傍に設けられたことを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、下固定部に、フランジ部から車体前方に膨出された膨出部を有することを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明は、インナフェンダに、フランジ部に対峙するとともに本体部に少なくとも一部が重なる壁部が設けられたことを特徴とする。
【0014】
請求項5に係る発明は、残りの固定部材はクリップであり、上固定部が、車体前方の第1固定部と、車体後方の第2固定部とから構成され、第1固定部は、車体にインナフェンダを介してクリップ止めされ、第2固定部は、インナフェンダの厚み分のクリップの締結代を吸収する凸部が設けられ、車体に直接クリップ止めされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明では、スプラッシュガードの取付構造に、車体側方を覆うフェンダパネルと、このフェンダパネルの内側に設けられ、タイヤの跳ね上げる小石や水によるフェンダパネルの内側のキズ付きや錆び付きを防止するインナフェンダと、このインナフェンダ内に設けられ、小石や水を遮断するスプラッシュガードと、スプラッシュガードを車体に固定する複数個の固定部材と、を備える。
スプラッシュガードに、車幅方向に遮断面を向け水はねを遮断する本体部と、この本体部の前端から車幅方向に延ばされたフランジ部と、を備える。
フランジ部の下部に、車体に複数個の固定部材の一つで車体前後方向を軸として回転可能に固定される下固定部が設けられ、本体部の上部に、車体に残りの固定部材で車幅方向に固定される上固定部が設けられたので、車体から上固定部の固定部材を取り外せば、下固定部の固定部材を外さずに、スプラッシュガードは車体前後方向を軸として回転することができる。従って、スプラッシュガードで隠れていた内部を外部から視認することができる。これにより、内部のメンテナンスを容易におこなうことができるとともに、メンテナンス後に元の状態に容易に復帰することができる。
【0016】
請求項2に係る発明では、複数個の固定部材の一つをクリップとし、スプラッシュガードの下固定部がクリップ止めされ、本体部を外側に回転させたときに、スプラッシュガードがインナフェンダに当接し、本体部が略水平に保持されるストッパ部がクリップの近傍に設けられたので、スプラッシュガードの回転後にスプラッシュガードを水平状態に保持することができる。これにより、さらにメンテンス作業が容易となる。
【0017】
請求項3に係る発明では、下固定部に、フランジ部から車体前方に膨出された膨出部を有するので、スプラッシュガードを回転させるときの下固定部(回転部分)の剛性の向上を図ることができる。
【0018】
請求項4に係る発明では、インナフェンダに、フランジ部に対峙するとともに本体部に少なくとも一部が重なる壁部が設けられたので、インナフェンダにスプラッシュガードを連続的に隙間なく取付けることができる。この結果、スプラッシュガードとして十分な水はね遮断機能を発揮することができる。例えば、スプラッシュガードをエンジンルームの該当部位に設ける場合には、エンジンルーム内に水や異物が侵入することを抑制できる。
【0019】
請求項5に係る発明では、残りの固定部材はクリップであり、上固定部が、車体前方の第1固定部と、車体後方の第2固定部とから構成される。
第1固定部は、車体にインナフェンダを介してクリップ止めされ、第2固定部は、インナフェンダの厚み分のクリップの締結代を吸収する凸部が設けられ、車体に直接クリップ止めされるので、クリップの共通化を図りつつ、スプラッシュガードを前後に延長することができる。例えは、フェンダパネルがフロントフェンダの場合には、後方の車軸近くまでスプラッシュガードを延長することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るスプラッシュガードの取付構造が採用された車両の斜視図である。
【図2】本発明に係るスプラッシュガードの取付構造が採用された車体の斜視図である。
【図3】図1の3矢視図であり、本発明に係るスプラッシュガードの取付構造の側面図である。
【図4】図3に示されたスプラッシュガードの取付構造のエンジンを外した状態を示す側面図である。
【図5】図3に示されたスプラッシュガードの取付構造の下固定部を示す斜視図である。
【図6】図3に示されたスプラッシュガードの取付構造の下固定部を示す平面断面図である。
【図7】図3に示されたスプラッシュガードの取付構造の上固定部を示す平面断面図である。
【図8】図3に示されたスプラッシュガードの取付構造の車体後方から見た斜視図である。
【図9】図3に示されたスプラッシュガードの取付構造の上固定部を外した状態を示す斜視図である。
【図10】図3に示されたスプラッシュガードの取付構造の上固定部を外した状態を示す車体下方から見た斜視図である。
【図11】図3に示されたスプラッシュガードの取付構造の作用を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0022】
図1〜図4に示されたように、車両10は、車体11の前部に、車体11の上部を覆うボンネット14と、車体11の前部に設けられるフロントグリル15、フロントバンパフェイス16及び左右の前照灯22,22と、車体側方を覆うフェンダパネル(フロントフェンダ)35と、を備える。
ボンネット14とフェンダパネル35でタイヤ(前輪)36を覆うホイールハウス37が形成され、このホイールハウス37は、インナフェンダ38で覆われている。
【0023】
インナフェンダ38は、フェンダパネル35の内側に設けられたものということもでき、タイヤ36の跳ね上げる小石や水によるフェンダパネル35の内側のキズ付きや錆び付きを防止する役目をなす。さらに、インナフェンダ38内には、エンジン19に設けられるミッションオイルのレベルゲージ(ATFレベルゲージ)41を小石や水を遮断するスプラッシュガード42が設けられる。なお、ATFとは、Automatic Transmission Fluid(出光興産の登録商標)の略である。
スプラッシュガードの取付構造は、インナフェンダ38内に設けられるスプラッシュガード42の取付けの構造である。
【0024】
図2に示されたように、車体11は、車体前部にエンジンルーム13が形成され、このエンジンルーム13の後方に室内(車室)12が形成される。室内(車室)12とエンジンルーム13とは、ダッシュボードロアパネル(不図示)で仕切られている。
【0025】
さらに、車体11には、前後方向に延ばされたフロントサイドフレーム17,17と、これらのフロントサイドフレーム17,17の先端に設けられたフロントバルクヘッド18と、フロントピラー21(図1参照)の中間から車体前方に延ばされたアッパメンバ24と、このアッパメンバ24の先端から下方に円弧状に指向して延ばされたロアメンバ(アッパメンバの垂直部)25と、ダンパユニット(不図示)を支持するダンパハウジング31と、が設けられる。
【0026】
フロントサイドフレーム17は、フロントサブフレーム(不図示)が取付けられる取付用ブラケット39が設けられ、後端からフロアフレーム32が延ばされる。フロントサイドフレーム17は、車幅方向に延ばされるアウトリガー33でサイドシル(不図示)に連結される。
フロントサイドフレーム17は、外壁17aにスプラッシュガード42が取付けられる第1及び第2の取付部61,62(図7、図10参照)が形成されている。
【0027】
フロントバルクヘッド18は、上部に設けられるとともに車幅方向に延ばされるフロントバルクヘッドアッパ(上横メンバ)47と、下部に設けられるとともに車幅方向に延ばされるフロントバルクヘッドロア(下横メンバ)48と、これらのフロントバルクヘッドアッパ47の両端部とフロントバルクヘッドロア48の中間部近傍とを繋ぐ左右のフロントバルクヘッドサイド(縦メンバ)49,49と、からなる。
【0028】
図5及び図6に示されたように、フロントバルクヘッドロア48は、車幅方向に関してフロントバルクヘッドサイド49が上下方向に延ばされる位置に、インナフェンダ38を介してスプラッシュガード42が取付けられるブラケット63が設けられる。
ブラケット63は、固定部材(第3のクリップ)73が嵌号する取付孔63aが形成される。
【0029】
図2に示されたように、ロアメンバ25の中間部は、フロントサイドフレーム17に連結部材51で連結され、ロアメンバ25の先端は、フロントバルクヘッドロア48の両端に接続されている。
【0030】
図3及び図4に示されたように、スプラッシュガード42は、車体11に固定する複数個の固定部材71〜73を備える。詳細には、固定部材は、第1〜第3のクリップ71〜73である。
スプラッシュガード42は、車幅方向に遮断面を向け水はねを遮断する本体部65と、この本体部65の前端から車幅方向に延ばされたフランジ部66と、を備える。
【0031】
本体部65は、上部に設けられ車体11に固定部材(第1及び第2のクリップ)71,72で車幅方向に固定される上固定部67と、スプラッシュガード42の剛性及び強度を増す縦ビード75と、この縦ビード75に交差して形成され、スプラッシュガード42の剛性及び強度を増す横ビード76と、スプラッシュガード42の剛性及び強度を増す段差部77と、下部に設けられ略L字に切り欠いた切り欠き部74と、が設けられる。
【0032】
図7に示されたように、上固定部67は、車体11前方に設けられる第1固定部78と、車体後方に設けられる第2固定部79とから構成される。
第1固定部78は、車体11(フロントサイドフレーム17の第1の取付部61)にインナフェンダ38を介して固定部材(第1のクリップ)71で固定される。第2固定部79は、インナフェンダ38の厚み分のクリップの締結代を吸収する凸部81が設けられ、車体11(フロントサイドフレーム17の第2の取付部62)に固定部材(第2のクリップ)72で直接固定される。
【0033】
なお、第1及び第2固定部78,79は、第1及び第2のクリップ71,72を貫通する貫通孔82,83が設けられる。
【0034】
図4、図6及び図8〜図10に示されたように、フランジ部66の下部は、車体11に複数個の固定部材71〜73の一つ(第3のクリップ73)で車体前後方向を軸97として回転可能に固定される下固定部68と、この下固定部68の軸97廻りに設けられ、上固定部67を固定状態から車幅外方(外側)に且つ車体下方に移動するように回転させたときに、スプラッシュガード42がフェンダパネル35のインナフェンダ38に当接し、クリップ(第3のクリップ)73の近傍に設けられ、本体部65が略水平に保持されるストッパ部86と、が設けられる。
【0035】
下固定部68は、フランジ部66から車体前方に膨出された膨出部87を有する。
下固定部68は、1個のクリップ(第3のクリップ)73でフロントバルクヘッド18のブラケット63に、スプラッシュガード42をインナフェンダ38を介して回転自在に取付けられる。すなわち、第3のクリップ73は、ブラケット63にスプラッシュガード42とインナフェンダ38とを共締めしている。
なお、下固定部68は、第3のクリップ73を貫通する貫通孔84が設けられる。
【0036】
インナフェンダ38は、固定部材(第1のクリップ)71でフロントサイドフレーム17の外壁17aに形成した第1の取付部61に共締めされる内方フランジ91と、固定部材(第3のクリップ)73でフロントバルクヘッド18のブラケット63に共締めされる前方フランジ92と、スプラッシュガード42のフランジ部66に対峙するとともに、スプラッシュガード42の本体部65に少なくとも一部が重なる壁部89と、スプラッシュガード42の上固定部67が車幅外方且つ下方に移行するように回転したときに、スプラッシュガード42のストッパ部86が当接してスプラッシュガード42が略水平に保持される保持部93と、が設けられた。
【0037】
内方フランジ91には、固定部材(第1のクリップ)71の孔94が設けられ、前方フランジ92には、固定部材(第1のクリップ)71の孔95が設けられる。
【0038】
図11(a)に、使用状態のスプラッシュガード42が示され、この状態では、タイヤ36(図1参照)等からの小石や水を遮断し、ミッションオイルのレベルゲージ(ATFレベルゲージ)41を小石や水から保護することができる。
【0039】
図11(b)において、スプラッシュガード42の第1及び第2のクリップ71,72をフロントサイドフレーム17から矢印a1の如く取り外す。
【0040】
図11(c)において、スプラッシュガード42を第3のクリップ73を中心として、矢印a2の如く、スプラッシュガード42の上固定部67が車幅外方且つ下方に移行するように回転させる。
【0041】
図11(d)において、スプラッシュガード42を第3のクリップ73を中心として、矢印a3の如くさらに回転させる。スプラッシュガード42の下固定部68の軸97(図3参照)廻りに設けられたストッパ部86が、インナフェンダ38の保持部93に矢印a4の如く当接し、スプラッシュガード42が略水平に保持される。この状態で、レベルゲージ(ATFレベルゲージ)41を矢印a5の如く抜き取り、ミッションオイルが適正な量を確保されているかを確認することができる。
【0042】
例えば、このようにスプラッシュガード42を回転動作させずに、第1〜第3のクリップ71〜73を取り外し、スプラッシュガード42を取り去った状態でレベルゲージ(ATFレベルゲージ)41を確認することも可能である。しかし、スプラッシュガード42及び第1〜第3のクリップ71〜73には、泥などが付着していることが多い。第1〜第3のクリップ71〜73を取り外せば、これらの第1〜第3のクリップ71〜73を交換することも有りうる。
【0043】
従って、第3のクリップ73を残した状態で、スプラッシュガード42の下固定部68の軸97廻りに回転させれば、レベルゲージ(ATFレベルゲージ)41等の点検作業の作業性が大幅に向上する。
【0044】
図1及び図3に示されたように、スプラッシュガードの取付構造では、車体側方を覆うフェンダパネル35と、このフェンダパネル35の内側に設けられ、タイヤ36の跳ね上げる小石や水によるフェンダパネル35の内側のキズ付きや錆び付きを防止するインナフェンダ38と、このインナフェンダ38内に設けられ、小石や水を遮断するスプラッシュガード42と、スプラッシュガード42を車体11に固定する複数個の固定部材71〜73と、を備える。
【0045】
スプラッシュガード42に、車幅方向に遮断面を向け水はねを遮断する本体部65と、この本体部65の前端から車幅方向に延ばされたフランジ部66と、を備える。
フランジ部66の下部に、車体11に複数個の固定部材71〜73の一つで車体前後方向を軸97として回転可能に固定される下固定部68が設けられ、本体部65の上部に、車体11に残りの固定部材71,72で車幅方向に固定される上固定部67が設けられたので、車体11から上固定部67の固定部材71,72を取り外せば、下固定部68の固定部材73を外さずに、スプラッシュガード42は車体前後方向を軸97として回転することができる。従って、スプラッシュガード42で隠れていた内部を外部から視認することができる。これにより、内部のメンテナンスを容易におこなうことができるとともに、メンテナンス後に元の状態に容易に復帰することができる。
【0046】
図10に示されたように、スプラッシュガードの取付構造では、複数個の固定部材の一つをクリップ(第3のクリップ)73とし、スプラッシュガード42の下固定部67がクリップ止めされ、本体部65を外側に回転させたときに、スプラッシュガード42がインナフェンダ38に当接し、本体部65が略水平に保持されるストッパ部86がクリップ(第3のクリップ)73の近傍に設けられたので、スプラッシュガード42の回転後にスプラッシュガード42を水平状態に保持することができる。これにより、さらにメンテンス作業が容易となる。
【0047】
図10に示されたように、スプラッシュガードの取付構造では、下固定部68に、フランジ部66から車体前方に膨出された膨出部87を有するので、スプラッシュガード42を回転させるときの下固定部68(回転部分)の剛性の向上を図ることができる。
【0048】
図10に示されたように、スプラッシュガードの取付構造では、インナフェンダ38に、フランジ部66に対峙するとともに本体部65に少なくとも一部が重なる壁部89が設けられたので、インナフェンダ38にスプラッシュガード42を連続的に隙間なく取付けることができる。この結果、スプラッシュガード42として十分な水はね遮断機能を発揮することができる。例えば、スプラッシュガード42をエンジンルーム13の該当部位に設ける場合には、エンジンルーム13(図3参照)内に水や異物が侵入することを抑制できる。
【0049】
図4、図6及び図7に示されるように、スプラッシュガードの取付構造では、残りの固定部材71,72は第1及び第2のクリップであり、上固定部67が、車体前方の第1固定部78と、車体後方の第2固定部79とから構成される。
【0050】
第1固定部78は、車体11にインナフェンダ38を介してクリップ止めされ、第2固定部79は、クリップの締結代を吸収する凸部81が設けられ、車体11に直接クリップ止めされるので、クリップの共通化を図りつつ、スプラッシュガード42を前後に延長することができる。例えは、フェンダパネル35がフロントフェンダの場合には、後方の車軸近くまでスプラッシュガード42を延長することができる。
【0051】
尚、本発明に係るスプラッシュガードの取付構造は、図1に示すように、フロントフェンダに採用されたが、これに限るものではなく、リヤフェンダに用いるものであってもよい。
【0052】
本発明に係るスプラッシュガードの取付構造は、図6及び図7に示すように、クリップが用いられたが、これに限るものではなく、ねじなどの締結部材であればよい。
【0053】
本発明に係るスプラッシュガードの取付構造は、図7に示すように、第2固定部79の車幅外方にインナフェンダ38の厚み分のクリップの締結代を吸収する凸部81が設けられたが、これに限るものではなく、車幅内方に設けるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係るスプラッシュガードの取付構造は、セダンやワゴンなどの乗用車に採用するのに好適である。
【符号の説明】
【0055】
11…車体、35…フェンダパネル、38…インナフェンダ、42…スプラッシュガード、65…本体部、66…フランジ部、67…上固定部、68…下固定部、71〜73…固定部材(第1〜第3のクリップ)、89…壁部、78…第1固定部、79…第2固定部、81…凸部、86…ストッパ部、87…膨出部、97…軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側方を覆うフェンダパネルと、このフェンダパネルの内側に設けられ、タイヤの跳ね上げる小石や水による前記フェンダパネルの内側のキズ付きや錆び付きを防止するインナフェンダと、このインナフェンダ内に設けられ、小石や水を遮断するスプラッシュガードと、前記スプラッシュガードを車体に固定する複数個の固定部材と、を備えたスプラッシュガードの取付構造において、
前記スプラッシュガードは、車幅方向に遮断面を向け水はねを遮断する本体部と、この本体部の前端から車幅方向に延ばされたフランジ部と、を備え、
前記フランジ部の下部に、前記車体に前記複数個の固定部材の一つで車体前後方向を軸として回転可能に固定される下固定部が設けられ、前記本体部の上部に、前記車体に残りの前記固定部材で車幅方向に固定される上固定部が設けられたことを特徴とするスプラッシュガードの取付構造。
【請求項2】
前記複数個の固定部材の一つをクリップとし、
前記スプラッシュガードは、前記下固定部がクリップ止めされ、前記本体部を外側に回転させたときに、該スプラッシュガードが前記インナフェンダに当接し、前記本体部が略水平に保持されるストッパ部が前記クリップの近傍に設けられたことを特徴とする請求項1記載のスプラッシュガードの取付構造。
【請求項3】
前記下固定部は、前記フランジ部から車体前方に膨出された膨出部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のスプラッシュガードの取付構造。
【請求項4】
前記インナフェンダは、前記フランジ部に対峙するとともに前記本体部に少なくとも一部が重なる壁部が設けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のスプラッシュガードの取付構造。
【請求項5】
残りの前記固定部材はクリップであり、前記上固定部は、車体前方の第1固定部と、車体後方の第2固定部とから構成され、
前記第1固定部は、前記車体に前記インナフェンダを介してクリップ止めされ、前記第2固定部は、前記インナフェンダの厚み分の前記クリップの締結代を吸収する凸部が設けられ、前記車体に直接クリップ止めされることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のスプラッシュガードの取付構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2013−32037(P2013−32037A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167863(P2011−167863)
【出願日】平成23年7月30日(2011.7.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】