説明

スプリッタ切換機構、スプリッタ内蔵装置、スプリッタ切換方法及びスプリッタ切換プログラム

【課題】
スプリッタ機能が内蔵された装置において、当該装置が外部のスプリッタ装置と接続されているか否かに応じて、装置に内蔵されたスプリッタ機能の接続又は切り離しの切り換えを自動で行えるようにする。
【解決手段】
入力インターフェースIFC1から入力されたデータ通信信号を通電する通電路9aの通電状態を監視する監視部3を備え、監視部3により通電路9aの通電状態について通知を受けた切換制御部5により、通電路9aから直流が検知されたときには内部スプリッタ2を接続し、通電路9aから直流が検知されないときには内部スプリッタ2を切り離す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部のスプリッタ装置と接続されているか否かに応じて、装置に内蔵されたスプリッタ機能の接続又は切り離しの切り換えを自動で行うスプリッタ切換機構、スプリッタ内蔵装置、スプリッタ切換方法及びスプリッタ切換プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のインターネットの普及にともなって、種々の高速データ通信技術が提供されている。そのなかでも、ADSLと呼ばれるものが最も身近であり、一般の家庭にも広く導入されている。ADSLは、既存の固定電話の加入者線を利用するものであり、一般に「xDSL(デジタル加入者線伝送方式)」と総称されている通信技術の一つである。
【0003】
ADSLを始めとする各種のxDSLでは、通常の通話に用いられる数kHz程度の比較的低い周波数帯域にある音声信号を伝送するとともに、これよりも高い数十kHz〜数MHz程度の周波数帯域を利用して、音声信号と共通の伝送路によってデータ通信を行っている。これにより、既存の公衆電話回線網を利用して、1〜数十Mb/s程度の高速データ通信を実現している。
【0004】
このように、xDSLでは、低周波数帯域の音声信号と、高周波数帯域のデータ通信信号との混成信号が公衆電話回線から重畳的に伝送されてくる。しかし、これらの二種類の信号が混在したまま電話機やFAXなどのアナログ通信機器や、データ通信信号を変調又は復調してxDSL通信を可能とするモデム(xDSLモデム)に入力されると、ノイズが発生するなどして通信に支障をきたす。このため、加入者宅では、公衆電話回線から送られてきた混成信号を音声信号とデータ通信信号とに分離して、電話機やモデムに別々に入力する必要があり、このような信号の分離に、スプリッタと呼ばれる装置が用いられている。(例えば、特許文献1又は特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−344661号公報
【特許文献2】特開2003−219054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、音声信号とデータ通信信号とを分離するスプリッタは、通常は独立した装置として公衆電話回線に接続される。しかし、一部のモデムには、スプリッタ機能を内蔵するものもある。現状にあっては、スプリッタ機能を内蔵するタイプのモデムと、外部のスプリッタ装置を併用するタイプのモデムとが混在しており、既にスプリッタ装置が公衆電話回線に接続されている環境下で、スプリッタ内蔵モデムを使用することも多々ある。このような場合には、切換スイッチを操作して、モデムに内蔵されたスプリッタが機能しないようにする必要があるばかりでなく、外部のスプリッタ装置を併用しているか否かで、機器の接続の仕方も違ってくる。このため、ユーザーに混乱を生じさせている。
【0007】
ここで、スプリッタ内蔵モデムの一例につき、そのブロック図を図5に示す。図示する例は、LAN接続型のADSLモデムであり、外部のスプリッタ装置を併用しない場合を示している。このようなスプリッタ内蔵モデム101にあっては、切換スイッチ106,107,108を手動で切り換えて、図示するような回路構成とすることにより、モデム101を構成する回路に内部スプリッタ102を接続する。このとき、モデム101はIFC1aを介して公衆電話回線Lに接続され、IFC2aには何も接続されない。
【0008】
公衆電話回線Lから重畳的に伝送されてきた音声信号とデータ通信信号との混成信号は、IFC1aから入力され、内部スプリッタ102により、それぞれの信号に分離される。具体的には、低周波数帯域の信号だけを通すLPF(ローパスフィルタ)102aにより低周波数帯域の音声信号が取り出され、高周波数帯域の信号だけを通すHPF(ハイパスフィルタ)102bにより高周波数帯域のデータ通信信号が取り出される。そして、LPF102aにより取り出された音声信号は、IFC3aから出力される。また、HPF102bにより取り出されたデータ通信信号は、ADSL制御部104及びCPU105によりデータ通信のための処理がなされた後にIFC4aから出力される。
【0009】
一方、特に図示しないが、外部のスプリッタ装置を併用する場合は、音声信号がIFC1aに入力され、データ通信信号がIFC2aに入力されるように、外部スプリッタとモデム101とを接続する。そして、図3に示す例とは反対の接点側に切り換えがなされるように、切換スイッチ106,107,108の切り換え操作を手動で行う。これにより、IFC1aとIFC3aとが直結され、IFC2aとADSL制御部104とが直結される。これにより、モデム101を構成する回路から内部スプリッタ102が分離され、スプリッタとして機能しなくなる。
【0010】
このように、公衆電話回線にモデムを接続するにあたり、ユーザーは、既にスプリッタが回線に接続されているかどうかを確認し、さらに、手元にあるモデムがスプリッタ内蔵モデムであるかどうかを確認しなければならない。そして、スプリッタ内蔵モデムであれば、外部のスプリッタ装置を併用するか否かに応じた機器の接続を行うとともに、スプリッタ機能の接続、切り離しのためのスイッチ操作を行わなければならない。
【0011】
このような作業をユーザーに強いるのは、ユーザーフレンドリーの観点から好ましくなく、スイッチの操作ミスや、機器の接続ミスにもつながるため、改善が望まれている。また、スイッチの切り換え操作は手動で行われるため、外部からの操作が可能となる位置にスイッチを設ける必要がある。このため、スイッチを設ける位置、スイッチそのものの形状などを考慮して、装置のデザイン設計をしなければならない。さらに、スイッチを外部から操作できる位置に設けるための回路パターンの設計も必要となり、パターン設計をする上での制約が増えてしまう。このため、回路パターンとの関係でスイッチを設ける位置もおのずと制限されてしまうばかりか、ADSL通信や雷サージなどを考慮した理想的な回路パターンの設計ができなくなる。そして、これらを全て考慮して製品設計をまとめ上げていくには、開発時間の増大を招くという大きな問題もある。
【0012】
本発明は、以上のような従来技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、外部のスプリッタ装置と接続されているか否かに応じて、装置に内蔵されたスプリッタ機能の接続又は切り離しの切り換えを自動で行うスプリッタ切換機構、スプリッタ内蔵装置、スプリッタ切換方法及びスプリッタ切換プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するためになされた、本発明に係るスプリッタ切換機構は、公衆電話回線から重畳的に伝送されてきた低周波数帯域の音声信号と、高周波数帯域のデータ通信信号とを分離するスプリッタ機能を内蔵するスプリッタ内蔵装置に設けられるスプリッタ切換機構であって、入力インターフェースから入力された前記データ通信信号を通電する通電路の通電状態を監視して、前記通電路から直流が検知されたときには、前記スプリッタ内蔵装置を構成する回路に前記スプリッタ機能を接続し、前記通電路から直流が検知されないときには、前記スプリッタ内蔵装置を構成する回路から前記スプリッタ機能を切り離す構成としてある。
【0014】
このような構成とすることで、本発明に係るスプリッタ切換機構によれば、外部のスプリッタ装置と接続されているか否かに応じて、装置に内蔵されたスプリッタ機能の接続又は切り離しの切り換えを自動で行うようにすることができる。
【0015】
本発明に係るスプリッタ切換機構において、スプリッタ機能の接続又は切り離しの切り換えを自動で行うには、例えば、リレーの接点を切り換えることで、前記スプリッタ機能の接続又は切り離しの切り換えを行うなどすればよい。内部スプリッタの接続又は切り離しをリレーの切り換えで行えば、回路パターンの引き回しなどにおける制約が低減され、理想的な回路パターンの設計が可能となる。また、このような本発明に係るスプリッタ切換機構は、xDSLモデムに好適に利用できる。
【0016】
また、本発明に係るスプリッタ内蔵装置は、公衆電話回線から重畳的に伝送されてきた低周波数帯域の音声信号と、高周波数帯域のデータ通信信号とを分離するスプリッタ機能を内蔵するスプリッタ内蔵装置であって、入力インターフェースから入力された前記データ通信信号を通電する通電路の通電状態を監視して、前記通電路から直流が検知されたときには、装置を構成する回路に前記スプリッタ機能を接続し、前記通電路から直流が検知されないときは、装置を構成する回路から前記スプリッタ機能を切り離すスプリッタ切換機構を備えた構成としてある。
【0017】
このような構成とすることで、本発明に係るスプリッタ内蔵装置によれば、外部のスプリッタ装置と接続されているか否かに応じて、装置に内蔵されたスプリッタ機能の接続又は切り離しの切り換えを自動で行うようにすることができ、また、前記データ通信信号が、外部のスプリッタ装置により前記音声信号と分離されているか否かにかかわらず、同一の入力インターフェースから入力されるようにすることにより、データ通信信号が入力される入力インターフェースに接続された通電路を監視するだけで、スプリッタ機能の接続又は切り離しの切り換えの要否判断が可能となる。
【0018】
さらに、本発明に係るスプリッタ内蔵装置を、前記音声信号と前記データ通信信号との混成信号、又は外部のスプリッタ装置により前記音声信号と分離された前記データ通信信号が入力される第一の入力インターフェースと、外部のスプリッタ装置により前記データ通信信号と分離された前記音声信号が入力される第二のインターフェースとを備え、前記第一の入力インターフェースから入力された前記信号を通電する第一の通電路と、前記第二のインターフェースから入力された第二の通電路の両方の通電状態を監視するように構成することで、機器の接続が正しくなされているかどうかを判断することもできる。
【0019】
また、本発明に係るスプリッタ切換方法は、公衆電話回線から重畳的に伝送されてきた低周波数帯域の音声信号と、高周波数帯域のデータ通信信号とを分離するスプリッタ機能を内蔵する装置において、前記スプリッタ機能の接続又は切り離しの切り換えをするスプリッタ切換方法であって、前記装置が備える入力インターフェースから入力された前記データ通信信号を通電する通電路の通電状態を監視して、前記通電路から直流が検知されたときには、前記装置を構成する回路に前記スプリッタ機能を接続し、前記通電路から直流が検知されないときには、前記装置を構成する回路から前記スプリッタ機能を切り離す構成としてある。
【0020】
このような構成とすることで、本発明に係るスプリッタ切換方法によれば、スプリッタ機能が内蔵された装置において、当該装置が外部のスプリッタ装置と接続されているか否かに応じて、装置に内蔵されたスプリッタ機能の接続又は切り離しの切換を自動で行うようにすることができる。
【0021】
また、本発明に係るスプリッタ切換プログラムは、公衆電話回線から重畳的に伝送されてきた低周波数帯域の音声信号と、高周波数帯域のデータ通信信号とを分離するスプリッタ機能を内蔵する装置において、前記スプリッタ機能の接続又は切り離しの切り換えをするためにコンピュータに、監視部により前記装置が備える入力インターフェースから入力された前記データ通信信号を通電する通電路の通電状態を監視する機能、前記監視部が、前記通電路の通電状態を切換制御部に通知する機能、前記監視部から前記通電路から直流が検知された旨の通知を受けたときには、前記装置を構成する回路に前記スプリッタ機能を接続するように、前記切換制御部がリレーに命令を発する機能、前記監視部から前記通電路から直流が検知されない旨の通知を受けたときには、前記装置を構成する回路から前記スプリッタ機能を切り離すように、前記切換制御部がリレーに命令を発する機能、
前記リレーが、前記切換制御部の命令に応じて前記スプリッタ機能の接続又は切り離しの切り換えをするように接点を切り換える機能を実現させるためのプログラムとしてある。
【0022】
本発明に係るスプリッタ切換プログラムは、スプリッタ機能が内蔵された装置において、スプリッタ機能の接続又は切り離しの切り換えが自動でなされるように、本発明に係るスプリッタ切換機構を機能させるためのものであり、当該装置が外部のスプリッタ装置と接続されているか否かに応じて、装置に内蔵されたスプリッタ機能の接続又は切り離しの切り換えを自動で行うように、本発明に係るスプリッタ切換機構を機能させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、外部のスプリッタ装置と接続されているか否かに応じて、装置に内蔵されたスプリッタ機能の接続又は切り離しの切り換えを自動で行うようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明に係るスプリッタ内蔵装置の一実施形態における回路構成を示すブロック図であり、内部スプリッタ2を利用する場合のモデム1と公衆電話回線Lとの接続例を示している。また、図2は、同様のブロック図であり、内部スプリッタ2を利用しない場合のモデム1と外部スプリッタ10との接続例を示している。本発明に係るスプリッタ切換機構は、このようなスプリッタ内蔵装置に好適に利用される。なお、図示する例は、本発明をLAN接続型のADSLモデムに適用したものである。
【0025】
本実施形態におけるモデム1は、内部スプリッタ2、監視部3、ADSL制御部4、CPU5、リレー6,7,8及びアラーム手段14を備える。また、内部スプリッタ2は、LPF(ローパスフィルタ)2a及びHPF(ハイパスフィルタ)2bを備える。LPF2aは、高周波数帯域の信号を遮断し、高周波数帯域の信号との混成信号から低周波数帯域の信号を取り出す。HPF2bは、低周波数帯域の信号を遮断し、低周波数帯域の信号との混成信号から高周波数帯域の信号を取り出す。さらに、モデム1は、入力インターフェースとしてIFC1及びIFC2を備え、出力インターフェースとしてIFC3及びIFC4を備える。
【0026】
本実施形態におけるモデム1の基本的な回路構成は、次の通りである。IFC1は、通電路9aを介してリレー6の入力側に接続される。また、IFC2は、通電路9bを介してリレー7の入力側に備えた接点7bに接続される。IFC1が接続されるリレー6の出力側は、接点6a,6bを備えている。リレー6の接点6aは、内部スプリッタ2に接続される。具体的には、リレー6の接点6aに接続された通電路9cが途中二つに分岐して、それぞれ内部スプリッタ2を構成するLPF2a及びHPF2bの入力側に接続される。一方、リレー6の接点6bは、リレー8の入力側に備えた接点8bに接続される。
【0027】
LPF2aの出力側は、リレー7の入力側に備えた接点7aに接続され、リレー7の出力側はIFC3に接続される。IFC3は、電話機やFAXなどのアナログ通信機器が接続される音声信号出力コネクタである。HPF2bの出力側は、リレー8の入力側に備えた接点8aに接続され、リレー8の出力側はADSL制御部4に接続される。ADSL制御部4は、デジタル信号処理部(DSP)や非同期転送モード(ATM)インターフェースなどを備え、データ通信信号の制御を行う。
【0028】
さらに、ADSL制御部4は、CPU5に接続される。CPU5では、通常、ATMとフレームの変換処理(ブリッジタイプの場合)や、IPやPPPの通信処理(ルータタイプの場合)などが行われる。また、CPU5は、後述するように、リレー6,7,8の切換制御部としても機能する。このような機能を備えたCPU5は、IFC4に接続される。IFC4は、パソコンなどとLAN接続するためのLANインターフェースである。
【0029】
また、本実施形態では、通電路9a,9bに監視部3が接続されている。監視部3は、通電路9aの通電状態(St1)及び通電路9bの通電状態(St2)を監視する。具体的には、電圧計を監視部3に備えるなどして、通電路9a,9bから直流電圧が検出されるかどうかなどを監視する。このような機能を備えた監視部3はCPU5に接続され、通電路9a,9bの通電状態(St1,St2)をそれぞれCPU5に通知する。さらに、CPU5は、リレー6,7,8に接続され、監視部3からの通知に基づいて、リレー6,7,8に切り換え命令を発信する。このとき、CPU5は、リレー6,7,8の切換制御部として機能する。そして、リレー6,7,8は、CPU5からの命令に基づいて接点の切り換えを行う。また、CPU5には、アラーム手段14が接続されている。アラーム手段14は、後述するように、機器の接続に誤りがあった場合に、ユーザーに接続の確認を促すためのものである。
【0030】
次に、このような回路構成のモデム1において、外部のスプリッタ装置を併用しない場合、すなわち、モデム1を構成する回路に内部スプリッタ2を接続して、スプリッタとして機能させる場合について、図1を参照しつつ説明する。内部スプリッタ2を接続するには、リレー6,7,8を、それぞれ図示するように接点6a,7a,8a側に切り換える。これにより、IFC1−通電路9a−接点6a(リレー6)−LPF2a−接点7a(リレー7)−IFC3をつなぐ回路と、IFC1−通電路9a−接点6a(リレー6)−HPF2b−接点8a(リレー8)−ADSL制御部4−CPU5−IFC4をつなぐ回路とが形成され、内部スプリッタ2(LPF2a及びHPF2b)がモデム1を構成する回路に接続される。
【0031】
このようにして形成された回路において、音声信号とデータ通信信号の混成信号がIFC1に入力されると、低周波数帯域の音声信号がLPF2aにより取り出されてIFC3から出力される。また、高周波数帯域のデータ通信信号は、HPF2bにより取り出されてADSL制御部4に入力される。そして、ADSL制御部4及びCPU5で所定の処理が行われ、最終的にはIFC4から出力される。したがって、外部のスプリッタ装置を併用しない場合には、図示するように、IFC1には公衆電話回線Lを接続し、IFC2には何も接続しない。
【0032】
次に、図2を参照して、外部のスプリッタ装置(外部スプリッタ10)を併用する場合、すなわち、モデム1を構成する回路から内部スプリッタ2を切り離して、スプリッタとして機能させない場合について説明する。内部スプリッタ2を切り離すには、リレー6,7,8を、それぞれ図示するように接点6b,7b,8b側に切り換える。これにより、IFC1−通電路9a−接点6b(リレー6)−接点8b(リレー8)−ADSL制御部4−CPU5−IFC4をつなぐ回路と、IFC2−通電路9b−接点7b(リレー7)−IFC3をつなぐ回路とが形成され、内部スプリッタ2(LPF2a及びHPF2b)がモデム1を構成する回路から切り離される。
【0033】
このようにして形成された回路において、IFC1に入力された信号は、ADSL制御部4にそのまま入力される。また、IFC2に入力された信号は、そのままIFC3から出力される。したがって、外部スプリッタ10を併用する場合は、図示するように、公衆電話回線Lに接続した外部スプリッタ10により分離されたデータ通信信号がIFC1に入力され、同様に分離された音声信号がIFC2に入力されるように、外部スプリッタ10とモデム1とを接続する。
【0034】
本実施形態において注目すべきは、外部のスプリッタ装置を併用するか否かにかかわらず、データ通信信号が同一の入力インターフェース(IFC1)から入力されるようにした点にある。これにより、本実施形態では、IFC1から入力された信号を通電する通電路9aの通電状態(St1)を監視することで、内部スプリッタ2の接続又は切り離しの切り換えの要否を判断することができる。以下、通電路9aの通電状態(St1)により、内部スプリッタ2の接続又は切り離しの切り換えの要否が判断できる原理を説明する。
【0035】
図3に典型的なスプリッタの回路構成を示す。LPF2aは、回路に直列につないだコイル11と、回路に並列につないだコンデンサ12とから構成される。このような回路構成とすることで、コイル11が高周波数の交流を流れ難くするとともに、高周波数の交流はコンデンサ12側に流れていくため、高周波数の交流を遮断することができる。このため、LPF2aにより低周波数帯域の信号を取り出すことができ、入力された信号のうち、低周波帯域の信号が、出力1から出力される。一方、HPF2bは、回路に直列につながれたコンデンサ13により構成される。このような回路構成とすることで、コンデンサ13が高周波数の交流だけを通電するようになる。このため、HPF2bにより高周波帯域の信号を取り出すことができ、入力された信号のうち、高周波数の信号が出力2から出力される。
【0036】
このように、HPF2bは、高い周波数の交流だけを通電するというコンデンサの性質を利用して、高周波帯域の信号を取り出すものである。このため、電話回線には交換機から直流電圧が印可されているが、コンデンサは直流も遮断する。よって、HPF2bを通って取り出された信号には、直流成分が含まれないことになる。換言すれば、直流成分が信号に含まれていなければ、当該信号は、既にスプリッタによって低周波数帯域の信号と分離されているとみなせる。
【0037】
したがって、外部のスプリッタ装置を併用するか否かにかかわらず、データ通信信号が常に同じ入力インターフェースから入力されるようにしておけば、当該インターフェースから入力された信号に直流成分が含まれているかどうかで、データ通信信号が、既に外部のスプリッタ装置によって音声信号と分離されたものであるか、未だ音声通信信号と混成状態にあるかを判断することができる。すなわち、当該インターフェースから入力された信号に直流成分が含まれていなければ、入力信号は、外部のスプリッタ装置で分離されたデータ通信信号のみとみなすことができる。逆に、直流成分が含まれていれば、入力信号は、音声信号とデータ通信信号との混成信号とみなすことができる。
【0038】
このような原理に基づき、本実施形態では、IFC1から入力され、通電路9を通電する信号に直流成分が含まれているかどうかを監視部3で監視することにより、内部スプリッタ2の接続又は切り離しの切り換えの要否を判断することができる。さらに、以下に説明するように、本実施形態では、通電路9aとともに、通電路9bの通電状態(St2)も監視することで、内部スプリッタ2の接続又は切り離しの切り換えの要否に加え、機器の接続が正しくなされているか否かについても判断することができる。
【0039】
前述したように、外部のスプリッタ装置を併用しない場合、公衆電話回線LをIFC1に接続し、IFC2には何も接続しないのが正しい接続状態である。したがって、接続が正しければ、通電路9aからは直流が検知され、通電路9bからは信号(電流)そのものが検知されない。一方、外部のスプリッタ装置を併用する場合、分離されたデータ信号がIFC1に入力され、分離された音声信号がIFC2から入力されるように、外部スプリッタ10とモデム1とを接続するのが正しい接続状態である。したがって、接続が正しければ、通電路9aからは直流が検知されず、通電路9bからは直流が検知される。
【0040】
ここで、機器の接続が正しい場合の通電路9a,9bの通電状態(St1,St2)の組み合わせを、下記表1に示す。
【表1】

【0041】
よって、通電路9a,9bの通電状態(St1,St2)が、このような組み合わせ以外で検知された場合には、機器の接続に誤りがあるとみなせる。例えば、通電路9aからは通電が検知されず、直流通電路9bから直流が検知された場合には、公衆電話回線Lを誤ってIFC2に接続していることが考えられる。また、通電路9aからは直流が検知され、通電路9bからは直流が検知されない(交流のみが検知される)場合には、外部スプリッタ10とモデム1との接続を誤って逆にしていることが考えられる。
【0042】
このように通電路9aとともに、通電路9bの通電状態(St2)も監視することで、機器の接続が正しくなされているか否かについても判断することができる。そして、前述の組み合わせ以外で通電状態が検知されたときは、機器の接続に誤りがあると判断して、例えば、接続ミスを示すインジケーターを設けるか、ビープ音を発するなどして、接続の誤りをユーザーに知らせるアラーム手段14を設けることにより、ユーザーに接続の確認を促すようにすることができる。
【0043】
このようにして、内部スプリッタ2の接続又は切り離しの切り換えを行う本発明に係るスプリッタ切換機構は、プログラム(ソフトウェア)の命令により、スプリッタ切換機構を構成するコンピュータで実行される処理、手段、機能により実現される。プログラムは、コンピュータの各構成要素に指令を送り、例えば、監視部3による通電路9a,9bの通電状態(St1,St2)の監視、監視部3からCPU5への通電路9a,9bの通電状態(St1,St2)の通知、CPU5によるリレー6,7,8の切換制御などの所定の処理や機能を行わせ、内部スプリッタ2の接続又は切り離しの切り換えが自動でなされるように、スプリッタ切換機構を機能させるためのものである。
【0044】
このように、本発明に係るスプリッタ切換機能における各処理や手段は、プログラムとコンピュータとが協働した具体的手段によって実現されるものである。なお、プログラムの全部又は一部は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ、その他任意のコンピュータで読取り可能な記録媒体により提供され、記録媒体から読み出されたプログラムがコンピュータにインストールされて実行される。また、プログラムは、記録媒体を介さず、通信回線を通じて直接にコンピュータにロードし実行することもできる。
【0045】
次に、本実施形態の動作について、図4を参照しつつ説明する。なお、図4は、本発明に係るスプリッタ切換機構により、内部スプリッタ2の接続又は切り離しの切り換えを行う処理の一例を概略的に示す流れ図である。
【0046】
ユーザーが所定の接続作業を終えた後、モデム1の電源を入れることにより、監視部3、CPU5、リレー6,7,8及びアラーム手段14が機能するようになる。これにより、監視部3は、通電路9a,9bの通電状態(St1,St2)を監視する(s1)。そして、監視部3は、通電路9a,9bの通電状態(St1,St2)をCPU5に通知する(s2)。
【0047】
次いで、CPU5は、監視部3から通知された通電路9a,9bの通電状態(St1,St2)により、内部スプリッタ2の接続又は切り離しの切り換え、及び機器の接続状況についての判断をする(s3)。具体的には、監視部3からの通知が、通電路9aからは直流が検知され、通電路9bからは通電が検知されない、というものであったときは、CPU5は、モデム1に外部のスプリッタ装置が接続されていないとみなして、内部スプリッタ2を接続する必要があると判断する。また、監視部3からの通知が、通電路9aからは直流が検知されず、通電路9bからは電流が検知された、とういうものであったときは、CPU5は、モデム1に外部のスプリッタ装置が接続されているとみなして、内部スプリッタ2を切り離す必要があると判断する。そして、通電路9a,9bの通電状態の組み合わせがこれら以外であると、CPU5は、機器の接続が正しくなされていないと判断する。
【0048】
機器の接続が正しくなされていないと判断すると(NG)、CPU5は、アラーム手段14にアラームを発するように命令し、アラーム手段14はCPU5からの命令を受けてアラームを発する(s4)。一方、機器の接続が正しいと判断した場合には(OK)、CPU5は、内部スプリッタ2の接続又は切り離しの切り換えの要否に応じて、リレー6,7,8に対して接点を切り換えるように命令する(s5)。そして、CPU5からの命令を受けたリレー6,7,8は、CPU5からの命令に基づいて接点を切り換える(s6)。
【0049】
具体的には、内部スプリッタ2の接続が必要とCPU5が判断すると、CPU5は、リレー6,7,8に対して、リレー6を接点6a側に、リレー7を接点7a側に、リレー8を接点8a側に、それぞれ切り換えるように命令する。リレー6,7,8は、CPU5からの命令を受けて上記のように接点の切り換えを行う。リレー6,7,8の切り換えが行われると、前述したように、モデム1を構成する回路に内部スプリッタ2が接続される。これにより、IFC1から入力された音声信号とデータ通信信号との混成信号は、内部スプリッタ2に送られ、LPF2aにより取り出された音声信号がIFC3から出力され、HPF2bにより取り出されたデータ通信信号がADSL制御部4に入力される。
【0050】
また、内部スプリッタ2の切り離しが必要とCPU5が判断すると、CPU5は、リレー6,7,8に対して、リレー6を接点6b側に、リレー7を接点7b側に、リレー8を接点8b側に、それぞれ切り換えるように命令する。リレー6,7,8は、CPU5からの命令を受けて上記のように接点の切り換えを行う。リレー6,7,8の切り換えが行われると、前述したように、モデム1を構成する回路から内部スプリッタ2が切り離される。これにより、IFC1に入力されたデータ通信信号は、ADSL制御部4にそのまま入力される。また、IFC2に入力された音声信号は、そのままIFC3から出力される。
【0051】
以上説明したように、本実施形態によれば、通電路9aの通電状態(St1)を監視して、通電路9aから直流が検知されたか否かによって、(1)モデム1には外部のスプリッタ装置が接続されておらず、入力されたデータ通信信号が未だ音声通信信号と混成状態にあるか、(2)モデム1が外部のスプリッタ装置に接続されており、入力されたデータ通信信号が、既に音声信号と分離されたものであるか、を判断することができる。そして、上記(1)の場合には、モデム1を構成する回路に内部スプリッタ2を接続し、上記(2)の場合には、モデム1を構成する回路から内部スプリッタ2を切り離すというように、内部スプリッタ2の接続又は切り離しの切り換えを自動で行うことができる。さらに、通電路9aとともに、通電路9bの通電状態(St2)を監視することで、機器の接続に誤りがあるかどうかを判断することもできる。
【0052】
これにより、ユーザーが手動でスイッチ操作をする必要がなくなるとともに、人為的なスイッチの操作ミスや、機器の接続ミスを有効に回避することができる。さらに、リレー6,7,8の切り換えで、内部スプリッタ2の接続又は切り離しの切り換えを自動で行うことにより、回路パターンの引き回しなどにおける制約が低減され、ADSL通信や雷サージなどを考慮した理想的な回路パターンの設計が可能となる。その上、本実施形態では、スイッチ類を装置の外側に設ける必要もなくなり、従来に比して装置のデザイン設計上の制約も格段に低減され、開発時間の短縮化を図ることもできる。
【0053】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。例えば、前述した実施形態では、LAN接続型のADSLモデムに適用する例を挙げたが、USB接続型のADSLモデムにも同様に適用できる。また、ADSLのみならず、その他のxDSLにも適用できる。さらに、一般用途のモデムなどに限らず、局内側の装置などにも広く適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上説明したように、本発明は、スプリッタ機能が内蔵された装置において、当該装置が外部のスプリッタ装置と接続されているか否かに応じて、装置に内蔵されたスプリッタ機能の接続又は切り離しの切り換えを行う必要がある場合に広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係るスプリッタ内蔵装置の一実施形態における回路構成を示すブロック図であり、内部スプリッタを接続する場合の接続例を示す。
【図2】本発明に係るスプリッタ内蔵装置の一実施形態における回路構成を示すブロック図であり、内部スプリッタを切り離す場合の接続例を示す。
【図3】典型的なスプリッタの回路構成を示す回路図である。
【図4】本発明に係るスプリッタ切換機構により、内部スプリッタの接続又は切り離しの切り換えを行う処理の一例を概略的に示す流れ図である。
【図5】従来のスプリッタ内蔵型ADSLモデムの一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0056】
1 モデム
2 内部スプリッタ
2a LPF(ローパスフィルタ)
2b HPF(ハイパスフィルタ)
3 監視部
5 CPU
6,7,8 リレー
9a 通電路
9b 通電路
IFC1 入力インターフェース
IFC2 入力インターフェース
L 公衆電話回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
公衆電話回線から重畳的に伝送されてきた低周波数帯域の音声信号と、高周波数帯域のデータ通信信号とを分離するスプリッタ機能を内蔵するスプリッタ内蔵装置に設けられるスプリッタ切換機構であって、
入力インターフェースから入力された前記データ通信信号を通電する通電路の通電状態を監視して、
前記通電路から直流が検知されたときには、前記スプリッタ内蔵装置を構成する回路に前記スプリッタ機能を接続し、
前記通電路から直流が検知されないときには、前記スプリッタ内蔵装置を構成する回路から前記スプリッタ機能を切り離すことを特徴とするスプリッタ切換機構。
【請求項2】
リレーの接点を切り換えることで、前記スプリッタ機能の接続又は切り離しの切り換えを行う請求項1に記載のスプリッタ切換機構。
【請求項3】
前記装置がxDSLモデムである請求項1又は2に記載のスプリッタ切換機構。
【請求項4】
公衆電話回線から重畳的に伝送されてきた低周波数帯域の音声信号と、高周波数帯域のデータ通信信号とを分離するスプリッタ機能を内蔵するスプリッタ内蔵装置であって、
入力インターフェースから入力された前記データ通信信号を通電する通電路の通電状態を監視して、
前記通電路から直流が検知されたときには、装置を構成する回路に前記スプリッタ機能を接続し、
前記通電路から直流が検知されないときは、装置を構成する回路から前記スプリッタ機能を切り離すスプリッタ切換機構を備えたことを特徴とするスプリッタ内蔵装置。
【請求項5】
前記データ通信信号が、外部のスプリッタ装置により前記音声信号と分離されているか否かにかかわらず、同一の入力インターフェースから入力される請求項4に記載のスプリッタ内蔵装置。
【請求項6】
前記音声信号と前記データ通信信号との混成信号、又は外部のスプリッタ装置により前記音声信号と分離された前記データ通信信号が入力される第一の入力インターフェースと、
外部のスプリッタ装置により前記データ通信信号と分離された前記音声信号が入力される第二のインターフェースとを備え、
前記スプリッタ切換機構が、前記第一の入力インターフェースから入力された前記信号を通電する第一の通電路と、前記第二のインターフェースから入力された第二の通電路の両方の通電状態を監視する請求項5に記載のスプリッタ内蔵装置。
【請求項7】
公衆電話回線から重畳的に伝送されてきた低周波数帯域の音声信号と、高周波数帯域のデータ通信信号とを分離するスプリッタ機能を内蔵する装置において、前記スプリッタ機能の接続又は切り離しの切り換えをするスプリッタ切換方法であって、
前記装置が備える入力インターフェースから入力された前記データ通信信号を通電する通電路の通電状態を監視して、
前記通電路から直流が検知されたときには、前記装置を構成する回路に前記スプリッタ機能を接続し、
前記通電路から直流が検知されないときには、前記装置を構成する回路から前記スプリッタ機能を切り離すことを特徴とするスプリッタ切換方法。
【請求項8】
公衆電話回線から重畳的に伝送されてきた低周波数帯域の音声信号と、高周波数帯域のデータ通信信号とを分離するスプリッタ機能を内蔵する装置において、前記スプリッタ機能の接続又は切り離しの切り換えをするためにコンピュータに、
監視部により前記装置が備える入力インターフェースから入力された前記データ通信信号を通電する通電路の通電状態を監視する機能、
前記監視部が、前記通電路の通電状態を切換制御部に通知する機能、
前記監視部から前記通電路から直流が検知された旨の通知を受けたときには、前記装置を構成する回路に前記スプリッタ機能を接続するように、前記切換制御部がリレーに命令を発する機能、
前記監視部から前記通電路から直流が検知されない旨の通知を受けたときには、前記装置を構成する回路から前記スプリッタ機能を切り離すように、前記切換制御部がリレーに命令を発する機能、
前記リレーが、前記切換制御部の命令に応じて前記スプリッタ機能の接続又は切り離しの切り換えをするように接点を切り換える機能
を実現させるためのスプリッタ切換プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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