説明

スプリングフィーダー

【課題】小形スプリング同士の絡まりをなくし、伸縮方向に沿って一列に整列させて供給搬送路での詰まりを除去するスプリングフィーダーを提供する。
【解決手段】振動が適宜に与えられる容器1と、絡まった複数の小形スプリングの分離手段と、容器1の外部に設置され且つ容器1内部のスプリングを容器1外部に搬送する供給用搬送路Aとから構成される。供給用搬送路Aの終端部には接続用搬送溝62を有する接続用搬送部6が備えられ、接続用搬送溝62の適宜の位置に噴射ノズル71を有する除去用噴射部7が装着される。除去用噴射部7の噴射ノズル71先端が接続用搬送溝62に近接されると共に、噴射ノズル71の噴射方向はスプリングの搬送方向に対して略反対方向に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルタイプのスプリング(特に微小サイズのスプリング)をその伸縮方向に沿って一列状に整列させ、作業員にスプリングを作業に適した状態で供給するための装置において、該装置の供給用搬送路における不具合を有するスプリングが原因となって発生するスプリングの詰まりを除去することができるスプリングフィーダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コイルタイプの多数のスプリングをその伸縮方向に沿って一列に配列させて、スプリングを一つずつ作業員に作業に適した状態で供給する役目をなすスプリングフィーダーが存在している。このようなスプリングフィーダーでは、加振器によって振動動作を行う容器内に多数のスプリングを投入し、その振動によって多数のスプリングが一列に整列しながら、容器内を移動し、供給用搬送路を介して作業員にスプリングを一つずつ供給してゆくものである。
【0003】
ところが、前記容器内に投入された多数のスプリングの中には、2本以上のスプリングが絡まり合った状態のものが混在しているものである。そのために、これらの絡まりあった複数のスプリングを1本ずつのスプリングに分離させるための手段が具備されたスプリングフィーダーが存在している。また、スプリングフィーダーが扱うスプリングの種類の中には、微小サイズのスプリングが存在しており、この微小スプリングは絡まり合い易く、また、変形したり、損傷し易く、その扱いについては極めて困難なものであり、一旦、絡まり合ってしまった微小スプリングは、分離させにくく、また分離させる際に、微小スプリングを損傷させてしまうことになり易い。さらに、微小スプリングは、扱い方が悪いと変形してしまうおそれも十分にありえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3386401号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような複数のスプリング同士が絡まり合ったものを分離する手段としては、高速回転する回転翼を備えた装置が存在している。この装置では、絡まり合った複数のスプリング同士は、スプリングフィーダーの内部で、前述した高速回転する回転翼に衝突して撥ね飛ばされ、そのときの衝撃で絡まり合ったスプリング同士が強制的に分離させられるものである。しかし、この分離手段では、絡まり合ったスプリング同士が高速回転する回転翼に衝突し、スプリング自体に大きな衝撃を与えることになり、特に線径が極めて細い微小スプリングでは、回転翼との衝突時の衝撃に対して、とても耐え得ることができず、形状が変形したり、伸びてしまったり或いは折損する等の事態が生じ、微小スプリングが不良品となるおそれがあった。発明者は、このような問題点を既に解決し、絡まりあった微小スプリングをほとんど損傷することなく分離し、一つ一つの微小スプリングを作業員に供給することができるようにした(特許文献1参照)。
【0006】
スプリングの中でも微小スプリングの場合には、前述したように、線径が極めて小さいので、スプリングフィーダーに投入する前段階で、既に変形した不良品が含まれていることがある。また、特許文献1に開示されたスプリングフィーダーに具備された分離手段であっても、極めて僅かの確率ではあるが、絡み合った微小スプリング同士が分離されないこともある。このような適正状態ではない不具合を有する微小スプリングが適正な微小スプリングと共に混在してしまい、不具合を有する微小スプリングがスプリングフィーダーの最終搬送路に搬送されてしまうことがある。
【0007】
不具合を有する微小スプリングのタイプは種々存在するものであるが、たとえば、単体の微小スプリングの場合では、伸縮方向の軸線に対して僅かに弧状の湾曲変形が存在するものである。このタイプでは、スプリングフィーダーの供給用搬送路の終端部分に入り込んでしまうことがある。また、複数のスプリングの絡み合った状態において、スプリング同士が伸縮方向に沿って略直線に近い一列状態として構成されたものでは、やはり、そのままスプリングフィーダーの供給用搬送路の終端部分に入り込んでしまうことがある。通常、スプリングフィーダーの外部の搬送路は、溝形状の通路であり、且つ省スペースに構成するために搬送方向はスプリングフィーダー本体の外周に沿って略弧状に形成されることが多い。
【0008】
そして、供給用搬送路の終端部分の溝幅は、微小スプリングを1本ずつ供給することができるようにするために、微小スプリングが一本のみ通過することができる程度に小さく形成されている。このような構成としているので、スプリングフィーダーの供給用搬送路の終端部分では、前述したような不具合を有する微小スプリングが供給用搬送路の溝状通路(特に弧状にカーブしている箇所)に引っ掛かり易くなり、これが原因となって、不具合を有する微小スプリングの後続の複数の微小スプリングが詰まってしまい、スプリングの搬送が停止してしまうことがある。
【0009】
そのために、作業員の手元にスプリングが安定した状態で供給されないことがしばしば生じてしまい、ひいては作業効率を落としてしまうことになる。本発明の目的は、厳重なる選別にもかかわらず、供給用搬送路の終端部分にまで、到達してしまった、不具合を有するスプリング(特に微小スプリング)が供給用搬送路に引っ掛かってしまうことによって、後続のスプリングが供給用搬送路に詰まってしまう事態が生じたときに、この詰まり状態を除去し、常時、安定したスプリングの供給を行うことができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、発明者は上記課題を解決すべく、鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、振動が適宜に与えられる容器と、絡まり合ったスプリングを分離する分離手段と、前記容器の外部に設置され且つ該容器内部のスプリングを前記容器外部に搬送する供給用搬送路とから構成されるものであって、該供給用搬送路の終端部には接続用搬送溝を有する接続用搬送部が備えられ、前記接続用搬送溝の適宜の位置に噴射ノズルを有する除去用噴射部が装着され、該除去用噴射部の前記噴射ノズル先端は前記接続用搬送溝に近接されると共に、前記噴射ノズルの噴射方向はスプリングの搬送方向に対して略反対方向としてなるスプリングフィーダーとしたことにより、上記課題を解決した。
【0011】
請求項2の発明を、請求項1において、前記接続用搬送溝は弧状溝領域部と直線状溝領域部とからなり、前記除去用噴射部の前記噴射ノズル先端は前記弧状溝領域部に設けられてなるスプリングフィーダーとしたことにより、上記課題を解決した。また、請求項3の発明を、請求項1において、前記接続用搬送溝は弧状溝領域部と直線状溝領域部とからなり、前記除去用噴射部の噴射ノズル先端は前記直線状溝領域部に設けられてなるスプリングフィーダーとしたことにより、上記課題を解決した。請求項4の発明を、請求項1において、前記接続用搬送溝は、弧状溝領域部と直線状溝領域部と境目溝領域部とから構成され、前記除去用噴射部の噴射ノズル先端は前記弧状溝領域部と前記直線状溝領域部との間の前記境目溝領域部に設けられてなるスプリングフィーダーとしたことにより、上記課題を解決した。
【0012】
請求項5の発明を、請求項1,2,3又は4のいずれか1項の記載において、前記除去用噴射部のエア噴射はタイマー制御を介して間欠的作動としてなるスプリングフィーダーとしたことにより、上記課題を解決した。請求項6の発明を、請求項1,2,3,4又は5のいずれか1項の記載において、前記接続用搬送溝にはカバー部材がスプリングの搬送方向に沿って設けられると共に、前記接続用搬送溝と前記カバー部材との間には隙間が設けられ、前記噴射ノズルの先端が前記隙間に近接されてなるスプリングフィーダーとしたことにより、上記課題を解決した。
【0013】
請求項7の発明を、請求項1,2,3,4,5又は6のいずれか1項の記載において、前記供給用搬送路は、第1選別搬送部,第2選別搬送部が備わっており、前記容器側より前記第1選別搬送部,前記第2選別搬送部及び前記接続用搬送部の順序で連通され、前記第2選別搬送部の搬送溝は前記第1選別搬送部の搬送溝よりも狭く形成されると共に、前記第2選別搬送部の搬送溝は搬送方向に一本のみのスプリングが載置されてなるスプリングフィーダーとしたことにより、上記課題を解決した。
【0014】
請求項8の発明を、請求項7において、前記第1選別搬送部の搬送溝には溝幅方向の一端側又は他端側に選別用切欠部が形成されてなるスプリングフィーダーとしたことにより、上記課題を解決した。請求項9の発明を、請求項7又は8において、前記第2選別搬送部は搬送溝に近接する位置に選別片が装着され、前記搬送溝に適正のスプリングが通過するときのみ前記選別片と略非接触となるスプリングフィーダーとしたことにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明では、供給用搬送路の接続用搬送部における接続用搬送溝の適宜の位置に噴射ノズルを有する除去用噴射部が装着され、該除去用噴射部の噴射ノズル先端を前記接続用搬送溝に近接させると共に、前記噴射ノズル先端をスプリングの搬送方向に対して略反対方向に噴射するようにしたので、除去用噴射部のエア噴射によって、詰まりの原因となった不具合を有するスプリングと共に接続用搬送溝内に詰まった全てのスプリングを吹き飛ばして詰まりを除去することができる。
【0016】
特に、不具合を有する微小スプリングにおいて、損傷の具合が僅かであり、伸縮方向に僅かのみしか湾曲していないものや、2本の微小スプリング同士が伸縮方向に略一列状に連結した状態で絡まり合った場合、或いは2本の微小スプリング同士が、まるで1本の微小スプリングと略同一に見えるように重なり合って絡まりあったもの等では、容器の外側の供給用搬送路に具備されている選別手段では、振るい落としができない場合がごく稀にあり、不具合を有する微笑スプリングが供給用搬送路の終端部に入り込んで、引っ掛かり、これが原因で多数の微小スプリングが詰まってしまうことがある。そのような場合であっても、前記除去用噴射部によって、供給用搬送路の終端部箇所で詰まってしまった微小スプリングを吹き飛ばして、瞬時にその詰まりを除去することができ、適正なスプリングの供給を行うことができる。
【0017】
請求項2の発明では、弧状溝領域部が前記接続用搬送部の始端側に位置していることで、比較的早期の段階でスプリングの詰まりを除去することができる。請求項3の発明では、噴射ノズルから噴射されたエアは前記直線状溝領域部に直線状に送り込まれるため、該直線状溝領域部内でのエア圧力は比較的損失が少なくなり、強い圧力を維持しつつ、接続用搬送溝に詰まったスプリングを吹き飛ばして詰まりを除去することができる。請求項4の発明では、不具合を有するスプリングがもっとも引っ掛かり易い弧状溝領域部と直線状溝領域部との間の境目である境目溝領域部の詰まりを除去することができるものである。
【0018】
請求項5の発明では、除去用噴射部のエア噴射はタイマー制御を介して間欠的作動としたので、定期的に詰まりを除去することができ、スプリングの安定した供給を維持することができる。請求項6の発明では、前記接続用搬送溝にはカバー部材がスプリングの搬送方向に沿って設けられると共に、前記接続用搬送溝と前記カバー部材との間には隙間が設けられ、前記噴射ノズルの先端が前記隙間に近接されたことにより、接続用搬送溝内に詰まってしまったスプリングを除去するときに、多数のスプリングを周囲に散らすことなく、スプリングを一定の位置に集中的に戻すことができる。
【0019】
請求項7の発明では、第1選別搬送部から第2選別搬送部に搬送される行程で、絡まり合ったスプリング又は変形したスプリング等のほとんどの不具合を有するスプリングが振るい落とされる。請求項8の発明では、第1選別搬送部のスプリングの搬送行程で、絡まり合ったスプリング又は変形したスプリング等の不具合を有するスプリングを選別用切欠部から除去することができる。請求項9の発明では、第2選別搬送部のスプリングの搬送行程で、絡まり合ったスプリング又は変形したスプリングであって、適正なスプリングと外観的との差異が極めて僅かでしかない場合であっても、その不具合を有するスプリングを振るい落とし、不具合を有するスプリングを除去することができる。以上に記載されたスプリングにおいて、特に微小スプリングとした場合には、上記に記載されたすべての効果は、より一層顕著に現れる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(A)は本発明の一部断面にした平面図、(B)は(A)の(ア)部の一部切除した斜視図である。
【図2】(A)は図1(A)の(ア)部の一部切除した平面図、(B)は接続用搬送部の要部の分解した状態の斜視図、(C)は接続用搬送部のカバー部材を除いた平面図、(D)は(B)のXa −Xa矢視断面図。
【図3】(A)は本発明の除去用噴射部箇所を中心とした要部拡大平面図、(B)は(A)のXb −Xb矢視断面図、(C)は(A)のXc −Xc矢視図。
【図4】(A)は本発明の除去用噴射部箇所を中心とした別のタイプの要部拡大平面図、(B)は(A)のXd −Xd 矢視断面図、(C)は除去用噴射部箇所を中心としたさらに別のタイプの要部断面図、(D)は除去用噴射部箇所を中心としたさらに別のタイプの要部断面図。
【図5】(A)は正常な状態のスプリングの略示図、(B)は伸縮方向に湾曲した不具合を有するスプリングの略示図、(C)は伸縮方向の軸線に僅かな交差角度で絡まった不具合を有するスプリングの略示図、(D)は伸縮方向の軸線に僅かな交差角度で絡まった不具合を有するスプリングの略示図。
【図6】本発明でスプリングが供給用搬送路から外部装置に搬送される状態を示す平面図である。
【図7】(A)は噴射ノズルの先端が弧状溝領域部に位置するようにして除去用噴射部を装着した状態の要部平面図、(B)は噴射ノズルの先端が直線状溝領域部に位置するようにして除去用噴射部を装着した状態の一部切除した要部平面図。
【図8】(A)は供給用搬送路の接続用搬送溝をスプリングが正常に搬送されている状態図、(B)は不具合のあるスプリングが接続用搬送溝で詰まった状態図、(C)は(B)の(イ)部拡大図。
【図9】(A)は不具合のあるスプリングが原因となって後続のスプリングも詰まり始めた状態図、(B)は(ウ)部拡大図、(C)は不具合のあるスプリングが原因となって多数のスプリングが詰まった状態図、(D)は(エ)部拡大図である。
【図10】(A)は供給用搬送路の接続用搬送溝に詰まったスプリングを搬送方向とは逆方向に吹き飛ばして詰まりを除去した状態図、(B)は(オ)部拡大図。
【図11】(A)は第1選別搬送部の要部斜視図、(B)は第1選別搬送部の要部横断平面図、(C)は(A)のXe −Xe 矢視端面図、(D)は(A)のXf −Xf 矢視端面図、(E)は不具合のあるスプリングが振るい落とされる作用図。
【図12】(A)は第2選別搬送部の要部斜視図、(B)はXg −Xg矢視断面図、(C)Xh −Xh矢視断面図、(D)は不具合のあるスプリングが振るい落とされる作用図、(E)は下方から見た選別片の斜視図、(F)は選別片の正面図、(G)は(F)のXi −Xi矢視図、(H)は(F)のXj −Xj矢視断面図、(I)は(F)のXk −Xk矢視図である。
【図13】本発明の全体を示す斜視図である。
【図14】(A)は本発明の要部斜視図、(B)は本発明の搬送路及び選別板の構成を示す要部斜視図。
【図15】(A)は本発明の要部縦断側面図、(B)は(A)とは異なる方向から見た要部縦断側面図。
【図16】(A)はエア圧が強なる状態のエア噴射の流れ状態を示す作用図、(B)はエア圧が弱なる状態のエア噴射の流れ状態を示す作用図、(C)はタイマー制御を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、全体の構成について説明する。本発明は、図1(A),図6,図13等に示すように、主に、容器1と,供給用搬送路A,加振器9とから構成されている。前記容器1は、図13,図14に示すように、略扁平円筒形状に形成されており、該容器1は、円周側壁11,搬送路12,選別板13等から構成されている。前記円周側壁11は、略円筒形状に形成され、該円周側壁11の内側面11aには、搬送路12が形成されている〔図1(A),図13,図14参照〕。
【0022】
さらに、前記容器1の円周側壁11の上部1bには選別板13が形成され、選別板13と前記搬送路12とは連通している(図13乃至図15参照)。また前記搬送路12及び選別板13と、前記内側面11aとのなす隅角箇所には内部搬送溝14が形成されている〔図1(A),図11(A),(B),図13等参照〕。また、前記容器1の選別板13
が形成されている高さ方向の位置には通過口18が形成されており、該通過口18は、前記内部搬送溝14と、前記容器1の外部に装着された供給用搬送路Aとが連通するための開口として形成されたものである〔図1(A),図11(A),(B),図13参照〕。
【0023】
該供給用搬送路Aは、容器1内で選別された適正なスプリングSを本発明のスプリングフィーダーの外部に搬送し、作業員に供給したり、或いは必要に応じて別の装置にスプリングSを供給する役目をなす部位である。供給用搬送路Aは、図1(A),図6に示すように、前記容器1の円周側壁11の外方側に設置された部位であり、前記円周側壁11と適宜の間隔を有しつつ、且つその長手方向は、円周側壁11に沿って略円弧状に形成されている。また、供給用搬送路Aは、前記容器1の円周側壁11の略半周に亘って構成されている〔図1(A)参照〕。ここで、前記供給用搬送路Aの長手方向とは、スプリングSが搬送される搬送方向に等しい方向である。スプリングSが搬送される搬送方向は、以下単に搬送方向と言う。
【0024】
供給用搬送路Aは、第1選別搬送部4と、第2選別搬送部5及び接続用搬送部6とから構成されている(図1,図6参照)。そして、供給用搬送路Aは、前記加振器9によって容器1と共に振動し、スプリングSを容器1内部から供給用搬送路Aの第1選別搬送部4と第2選別搬送部5及び接続用搬送部6に亘って搬送させるものである。スプリングSの容器1内及び供給用搬送路Aにおける搬送方向は、図6において太線の矢印にて示されている。また、図6では、前記容器1内部の内部搬送溝14から前記通過口18を介して前記供給用搬送路Aの第1選別搬送部4にスプリングSが搬送される方向が太い点線矢印にて示されている。
【0025】
まず、前記第1選別搬送部4の始端箇所は、前記容器1内部の選別板13に形成された内部搬送溝14と、前記通過口18を介して連通する構成となっている〔図1(A),図11(A),(B)等参照〕。第1選別搬送部4の始端箇所は、前記通過口18から容器1の内部に僅かに入り込んだ状態となっている。また第1選別搬送部4は、その長手方向が前記容器1の外周に沿って、弧状に形成されたものである。第1選別搬送部4は、ベース部41に搬送溝42が形成されたものである。該搬送溝42は、前記内部搬送溝14と前記通過口18にて連通している〔図1(A),図11(A),(B)参照〕。
【0026】
前記ベース部41は、図11(A)乃至(C)に示すように、帯板状に形成され、その長手方向(搬送方向)に直交する断面形状は、略長方形状であり、且つその長辺方向が上下方向となるように形成されている。前記搬送溝42は、図11(C)に示すように、ベース部41の頂部に形成されたものであり、その断面形状は略V字形状であり、具体的には、V字形状を構成する両斜面のなす角度は、90度或いは90度付近(85度乃至95度の範囲)の角度である。また、前記搬送溝42の断面形状は、半円(U字)形状としたり、方形状(長方形,正方形)としてもよい。
【0027】
第1選別搬送部4では、選別用切欠部43が形成されている〔図11(A),(B),(D),(E)参照〕。該選別用切欠部43は、前記搬送溝42の幅方向両側のいずれか
一方の斜面部が下方部分を僅かに残し、上方部分が切除されることによって形成された部分である。選別用切欠部43が形成された搬送溝42では、部分的に溝幅及び溝深さが共に小さくなり、二つ以上が絡まり合って塊状となった不具合を有するスプリングSdが前記選別用切欠部43で振るい落とされるものである〔図11(E)参照〕。
【0028】
このような選別用切欠部43は、第1選別搬送部4に2箇所以上形成される。具体的には、搬送溝42の溝幅方向の一端側と他端側に選別用切欠部43が形成されるものであり、前記通過口18箇所に位置する搬送溝42では、選別用切欠部43は容器1の内方側に位置するように形成され、選別用切欠部43から振るい落とされる不具合を有するスプリングSdは容器1内に落下するようになっている。また、その他の位置に形成される選別用切欠部43では、不具合を有するスプリングSdが容器1の外部に落下することになるが、この場合には、容器1の円周側壁11の外側面11bに形成された補助容器8に、不具合を有するスプリングSdが振るい落とされる。補助容器8は、前記容器1の底部1aと連通しており、前記選別用切欠部43から振るい落とされた不具合を有するスプリングSdは、前記容器1の底部1aに戻され、再度容器1の底部1aから上方に搬送される。
【0029】
次に、第2選別搬送部5は、図12(A)に示すように、ベース部51と搬送溝52と選別片53とから構成されている。ベース部51は、帯板形状であり、平面的に見て弧状であり〔図1(A)参照〕、また搬送方向に直交する断面形状では傾斜板状に形成されている〔図12(A)乃至(C)参照〕。ベース部51の高さ方向の略中央位置には搬送溝52が形成されている。該搬送溝52は、前記ベース部51の長手方向に直交する断面において、上下方向に対して略中央位置に段差形状として形成されたものであり、前記搬送溝52よりも上方側が下方側よりもへこむ形状となっている〔図12(B),(C)参照〕。換言するとベース部51の断面形状は、前記搬送溝52よりも上方側の肉厚が、下方側の肉厚よりも薄くなるように形成されたものである。
【0030】
該搬送溝52は、ベース部51の長手方向に直交する断面で、且つ該ベース部51の表面の上下方向の略中央箇所に突出された段差面52aが形成されたものである。搬送溝52の段差面52aのベース部51表面からの突出寸法kは、スプリングSの直径よりも小さく形成されている〔図12(D)参照〕。特にスプリングSが微小スプリングである場合では、その突出量は、略1mm以下である。搬送溝52は、スプリングSがその伸縮方向を搬送方向と一致した状態に載置された状態において、1本のみが搬送されることができる程度となっている〔図12(B),(C)参照〕。したがって、搬送溝52では、原則的に2本以上が絡み合った状態の不具合を有するスプリングSdが通過するときには、この不具合を有するスプリングSdがバランスを崩して搬送溝52から落下することになり、このような不具合のあるスプリングSdの通過を不可能としている〔図12(D)参照〕。
【0031】
ベース部51における搬送溝52が形成された付近には、選別片53が装着されている〔図12(A)乃至(C)参照〕。該選別片53は、前記第2選別搬送部5のベース部51にボルト等の固着具54によって固着されるものであって、選別片53には固着具54が貫通する貫通孔53aが形成されている。選別片53は、ベース部51とは別部材としたものであって、図12(E),(F)に示すように、略方形状の板片形状に形成され、その任意の一辺は選別端部531となっている。該選別片53は、前記選別端部531が前記搬送溝52に近接するようにして前記ベース部51に設置されている。選別端部531は、下方側が三角形状の斜面となるように形成された部位であって〔図12(E)参照〕、選別片53がベース部51に適正に装着された状態で前記選別端部531の断面形状は厚さの薄い部分から厚い部分に亘って傾斜状となるように形成されたものである〔図12(F)乃至(I)参照〕。
【0032】
選別端部531の下端は、前記搬送溝52の搬送方向に平行となるようにセットされ〔図12(A)参照〕、且つ搬送方向に沿って前記選別端部531は薄い部分から厚い部分となるようにセットされるものである〔図12(A)乃至(C)参照〕。また、前述したように、前記搬送溝52は、スプリングSがその伸縮方向を搬送方向と一致した状態に載置された状態において、1本のみが搬送されることができる程度となっている。したがって、適正な状態のスプリングSのみが搬送溝52を通過することができる〔図12(B),(C)参照〕。そして、不具合を有するスプリングSdが、前記第2選別搬送部5の搬送溝52を通過する場合では、不具合を有するスプリングSdが搬送溝52に沿って搬送され、前記選別片53の選別端部531の箇所を通過するときに、不具合を有するスプリングSdの変形した部分或いは絡まり合った部分が前記選別端部531に触れて、次第にバランスが崩れるように変化し、前記搬送溝52から振るい落とされる〔図12(D)参照〕。
【0033】
次に、接続用搬送部6は、図1,図2(A)に示すように、本発明におけるスプリングフィーダーを他の作業機器100と接続する役目をなす部位であり、接続用搬送部6は、供給用搬送路Aの終端部位となる。接続用搬送部6は、図2(A)乃至(C)に示すように、接続用ベース材61に接続用搬送溝62が形成されたものであり、該接続用搬送溝62の長手方向に直交する断面形状は略方形状に形成されており〔図2(D)参照〕、該接続用搬送溝62には、その長手方向を弧状とした弧状溝領域部621と、その長手方向を直線状とした直線状溝領域部622と、前記弧状溝領域部621と前記直線状溝領域部622との間に位置する境目溝領域部623が存在する〔図2(C)参照〕。前記弧状溝領域部621は、前記第2選別搬送部5の搬送溝52に連通し、第2選別搬送部5から搬送されたスプリングSが弧状溝領域部621を通過して、前記直線状溝領域部622に搬送される。すなわち、前記接続用搬送溝62は、搬送方向に沿って、弧状溝領域部621,境目溝領域部623,直線状溝領域部622の順番で連通している(図2参照)。
【0034】
さらに、接続用搬送部6では、カバー部材63が備わっている〔図2(A),(B)参照〕。該カバー部材63は、前記接続用ベース材61に形成された接続用搬送溝62を溝方向の一端側から他端側に向けてその長手方向に亘って覆うものであり、且つ接続用搬送溝62の溝幅方向においては、全面的に覆うものではなく一部は開放状態として覆うものである〔図2(A),(D),図3(A),(B)参照〕。具体的には、溝幅方向において、接続用搬送溝62の溝幅方向の中心位置を僅かに超えた位置まで覆うものであり、前記カバー部材63によって、覆われない部分は隙間jとなっている〔図3(A),(B)参照〕。
【0035】
前記接続用ベース材61とカバー部材63とは、ボルト64によって接合される。前記接続用ベース材61には、複数の内螺子部61a,61a,…が形成され、前記カバー部材63には、前記複数の内螺子部61a,61a,…と同等数の螺子用貫通孔63a,63a,…が形成され、前記ボルト64が螺子用貫通孔63aを貫通しつつ、前記内螺子部61aに螺合されて、接続用ベース材61とカバー部材63とが接合固着される〔図1(B),図2(A),(B)参照〕。
【0036】
また、前記カバー部材63の幅方向の一端側で且つ長手方向に沿って薄肉縁部63bが形成され、該薄肉縁部63bと前記接続用搬送溝62との間に隙間jが形成されることもある〔図4(C)参照〕。さらに前記接続用搬送溝62の幅方向一端側で且つ長手方向に沿って前記接続用ベース材61の肉厚が薄く形成された薄肉部61bとし、該薄肉部61bと、前記カバー部材63との間に隙間jが形成されるようにすることもある〔図4(D)参照〕。
【0037】
接続用搬送部6には、図1,図2等に示すように、除去用噴射部7が装着されている。該除去用噴射部7は、噴射ノズル71と空気弁72とから構成されており、該空気弁72は接続用搬送部6の接続用ベース材61に装着され、前記空気弁72は、容器1の外部に備えられた(図示されない)エアコンプレッサー等からチューブ73を介してエアが供給される構成となっている。そして、除去用噴射部7の噴射ノズル71の噴射口71aから所望の噴射圧に調整してエア噴射を行う。
【0038】
前記除去用噴射部7の噴射ノズル71先端、すなわち噴射口71aは、図1,図2(A)乃至(C),図3(A),(B)等に示すように、前記接続用搬送溝62に近接される。すなわち、前記接続用搬送溝62に被せられたカバー部材63との間に形成された隙間jに噴射口71aが近接するように除去用噴射部7が装着される。前記噴射ノズル71先端の噴射口71aからのエア噴射の噴射方向は、接続用搬送溝62において、スプリングSが搬送される方向に対して略反対方向に噴射される〔図3(A),図4(A)参照〕。
【0039】
前記スプリングSの搬送方向に対する略反対方向について述べると、まず、前記接続用搬送溝62におけるスプリングSの搬送方向に対して直交し、且つ前記除去用噴射部7の噴射口71aが位置する箇所に仮想境界面Pを設定する〔図3(A),図4(A)参照〕。該仮想境界面Pは、前記接続用搬送溝62における前記噴射ノズル71の噴射口71aが位置する点から放射状に延出する仮想の平坦面である〔図3(A),(C)参照〕。そして、前記噴射ノズル71の噴射口71aが位置する前記仮想境界面Pを前記接続用搬送溝62の境界面とし、搬送方向において前記仮想境界面PのスプリングSが搬入されて来る側を搬入側Ta称し、また、前記仮想境界面PのスプリングSが搬出されて行く側を搬出側Tbと称する〔図3(A),(C),図7乃至図9等参照〕。
【0040】
換言すると、前記仮想境界面Pは、搬送方向において前記スプリングSが近づいて来る側が搬入側Taであり、前記仮想境界面Pから前記スプリングSが遠ざかる側が搬出側Tbである。前記噴射口71aから噴射されるエアの方向すなわち噴射方向は、前記仮想境界面Pの位置から、前記搬入側Taに向かう方向である。これは、結果として、前記噴射口71aから前記第2選別搬送部5側に向かってエアが噴射される状態となる。噴射ノズル71の噴射口71aからの噴射方向に符号を付してエア噴射方向Vとすると、該エア噴射方向Vは、前記仮想境界面Pに対して搬入側Taと角度αをなすものである〔図3(A),(B),図10等参照〕。
【0041】
すなわち、噴射口71aからのエア噴射方向Vは、搬入側Taに向かって前記仮想境界面Pと角度αを構成する。該角度αは、前記エア噴射方向Vが常に前記仮想境界面Pから前記搬入側Taに向かっているものが全て含まれ、0°及び180°を除く範囲に亘っている。実際には角度αは、約20°乃至約90°程度の範囲であるが、除去用噴射部7の設置条件によって、適宜の傾斜角度となる。このように、前記噴射ノズル71の噴射口71aから噴射されるエアの方向(エア噴射方向V)は、必ず接続用搬送溝62内におけるスプリングSの搬送方向に対して反対側に向かう状態となる。
【0042】
除去用噴射部7の噴射ノズル71の噴射口71aからエア噴射することによって、その噴射されたエアの大部分は、前記接続用搬送溝62に沿って前記仮想境界面Pから搬入側Taに向かって流れ込み、該接続用搬送溝62の溝内を流れる溝内エアfが前記接続用搬送溝62内に詰まっている不具合を有するスプリングSd及びスプリングS等を、第2選別搬送部5側に向かって吹き飛ばす(図10参照)。前記溝内エアfによって、不具合を有するスプリングSdやその他のスプリングSは、接続用搬送溝62から前記補助容器8内に吹き飛ばされて落とされることとなる。このようにして、前記供給用搬送路Aに設けた選別用切欠部43又は選別片53等の厳重な選別手段をごく稀にすり抜けて搬送され、前記接続用搬送溝62に到達してまった不具合を有するスプリングSdが、引っ掛かって接続用搬送溝62内に詰まりが生じた場合に、除去用噴射部7のエア噴射によって、詰まりを除去するものである。
【0043】
前記除去用噴射部7の前記接続用搬送部6への装着位置には、複数のパターンが存在する。まず、第1のパターンでは、前記除去用噴射部7の噴射ノズル71先端の噴射口71aの位置は、前記弧状溝領域部621と直線状溝領域部622との境目溝領域部623付近に設けられるものである〔図1(B),図2(A)乃至(C)参照〕。この場合、境目溝領域部623よりも僅かに弧状溝領域部621側に位置していることが好ましい。第2のパターンでは、前記除去用噴射部7の噴射ノズル71先端は、前記弧状溝領域部621の範囲内に設けられるものである〔図7(A)参照〕。
【0044】
第3のパターンでは、前記除去用噴射部7の噴射ノズル71先端は、前記直線状溝領域部622の範囲内に設けられるものである〔図7(B)参照〕。また、前記除去用噴射部7は、接続用搬送部6において外側、すなわち容器1が位置する側とは反対となる側に設置されている〔図1(A),図3(A),(B)参照〕。また、前記除去用噴射部7は、接続用搬送部6において内側、すなわち容器1が位置する側と同一の側に設置されることもある〔図4(A)(B)参照〕。上記3つのパターンにおいても前記噴射ノズル71の噴射口71aの位置に仮想境界面Pが設定される。
【0045】
除去用噴射部7は、常時噴射されるものでなく、適宜の時間をおいて噴射及び噴射停止を繰り返すもので、間欠的に行われるものである。そのエア噴射の間欠手段としては、タイマー制御により行われるものである。タイマーによりエア噴射の始動,停止を制御する状態は、具体的にはエア噴射は約3秒に設定され、停止時間は約7秒に設定される。しかし、上記エア噴射の始動、停止のそれぞれの時間は、適宜に設定すれば良く、上記数値に限定されるものではない。また、接続用搬送溝62の付近には、センサが設置され、該センサによって、不具合のあるスプリングSdに接続用搬送溝62内の詰まりを検知確認して、前記センサから前記除去用噴射部7に噴射命令を送り噴射ノズル71の噴射口71aからエア噴射を行い、詰まりを除去することもある。
【0046】
本発明のスプリングフィーダーは、種々のサイズのコイルタイプのスプリングSを扱うことができるものであるが、小形サイズのスプリングに好適であり、特に微小サイズのスプリングに対して好適である。スプリングSにおいて小形スプリングは、その長さが約2mmから約15mm程度であり、外径は約0.8mmから約3mm程度であり、線径は約0.08mmから約0.5mm程度である。また、微小スプリングは、長さが約2mmから約5mm程度であり、外径は約0.8mmから約1mm程度であり、線径は約0.08mmから約0.1mm程度である。特に微小スプリングの場合では、最小のものとして、長さ約2mm,外径約0.8mm,線径約0.08mmである。本発明の説明では、スプリングSは、小形スプリングとし、その主なものは微小スプリングとしている。
【0047】
次に、除去用噴射部7によって、接続用搬送溝62に不具合を有するスプリングSdによるスプリングSの詰まりが生じたときに、その詰まりを除去する行程について説明する。まず、接続用搬送溝62に引っ掛かり、多くのスプリングS,S,…の詰まりの原因となる不具合を有するスプリングSdについて、図5に基づいて説明する。図5(A)は、適正な状態のスプリングSが開示されている。スプリングSは、コイルスプリングであり、その伸縮方向における軸芯線Lsを設定すると、適正なスプリングSの場合には、伸縮方向の自然状態が軸芯線Lsに一致している。
【0048】
不具合を有するスプリングSdには、以下のようなものが存在する。その第1タイプは、軸芯線Lsに対して、スプリングSdの伸縮方向が弧状に湾曲してしまったものである〔図5(B)参照〕。その湾曲の曲率半径Rは、スプリングSdの伸縮方向に対して、大きなものであると、スプリングSdの伸縮方向は略直線状であるため、第1選別搬送部4及び第2選別搬送部5の選別手段を通過し、さらに接続用搬送溝62を通過することになる。不具合を有するスプリングSdの第2タイプは、2本のスプリングSd同士が重なるようにして絡み合ったもので、略1本のスプリングSdと同一の形状となる〔図5(C)参照〕。このタイプでは、絡み合った2本のスプリングS,Sは、1本のスプリングSと同一形状のものとほとんど変わらず、供給用搬送路Aの選別手段では除去されにくく前記接続用搬送部6の接続用搬送溝62にまで到達し、該接続用搬送溝62内に引っ掛る可能性が十分にあるものである。
【0049】
さらに、第3タイプでは、2本のスプリングSd同士が一直線を構成するようにして連結状態で絡み合ったものである〔図5(D)参照〕。第2及び第3タイプのスプリングSd同士の2本の軸芯線Lsのなす角度Δθは、微小である。これら不具合を有する第1乃至第3タイプのスプリングSdは、全て伸縮方向は略直線状であるため、第1選別搬送部4及び第2選別搬送部5の選別手段を通過してしまう可能性があり〔図8(B)参照〕、さらに接続用搬送溝62に入り込むことになる。そのために、不具合を有するスプリングSdは接続用搬送溝62内での搬送途中で引っ掛かる可能性が十分にある〔図8(B)参照〕。
【0050】
次に、接続用搬送溝62内の詰まりを除去する工程を述べる。まず、図8(A)では、適正なスプリングSが、適正な状態で円滑に搬送されている。そして、供給用搬送路Aの第1選別搬送部4及び第2選別搬送部5によっても、排除しきれなかった不具合を有するスプリングSdが接続用搬送部6の接続用搬送溝62に入り込むと、図8(B)及び(C)に示すように、不具合を有するスプリングSdが接続用搬送溝62内で引っ掛かってしまうことになる。不具合を有するスプリングSdが接続用搬送溝62内で引っ掛って、搬送が停止することにより、後続のスプリングS,S,…も搬送が出来なくなり、大量に詰まることになる〔図9(A),(B)参照〕。したがって、多数のスプリングS,S,…の搬送が停止してしまう〔図9(C),(D)参照〕。
【0051】
このように多数のスプリングS,S,…が停止した状態で、前記除去用噴射部7の噴射ノズル71の噴射口71aからエアを噴出し、不具合を有するスプリングSdと共に、接続用搬送溝62内に詰まってしまった多数のスプリングS,S,…を吹き飛ばして、接続用搬送溝62から除去する。この除去は、一瞬にして行われるものである。除去用噴射部7の噴射口71aからの噴射は一定時間の間隔で行われるものである。このように、噴射ノズル71の噴射口71aからのエア噴射方向Vは、スプリングSの搬送方向とは略反対(逆)方向であり、接続用搬送溝62内に詰まってしまったスプリングSを、不具合を有するスプリングSdと共に、第2選別搬送部5側へ吹き飛ばし、詰まり状態となったスプリングSを除去するものである。
【0052】
次に、容器1内の構成について説明する。搬送路12は、緩やかな傾斜を有しながら容器1の内側面11aに沿って、前記容器1の底部1aから上部1bに向かって螺旋状に形成されている(図13,図14参照)。前記搬送路12は、帯板から形成されたものであり、前記内側面11aに対して搬送路12の内端側(前記容器1の中心側寄り)が上向き傾斜状となるように、適宜の角度を有している。該搬送路12は、スプリングSが容器1の底部1aから容器1の上方に向かって搬送させる役目をなすもので、後述する加振器9による容器1の振動にて、スプリング群S,S,…を移動させる。また、前記搬送路12の内側面11a寄りには、周方向に沿って内部搬送溝14が形成されている〔図1(A)参照〕。該内部搬送溝14は、個々のスプリングSが納まり内部搬送溝14内でその伸縮方向に沿って一列に配列させることが行われ易いものにすることができる(図6参照)。
【0053】
その容器1の上部箇所には、選別板13が装着されている。該選別板13は、平面的に見て略半円形状をなし〔図1(A)参照〕、且つ中央箇所が最も高く、その円形外周縁に向かって高さが低くなるように傾斜している(図15参照)。換言すると、前記選別板13は、略偏平円錐板において、その中心部を通過する直径線を基準にして略半割りにされたような形状としたもので、平面的に見て略半円形状としたものである。容器1の上部箇所では、前記選別板13にてカバーされた部分以外の部分を戻し開口部1cと称する。該戻し開口部1cも略半円状である。
【0054】
前記選別板13と内側面11aとは直角に交わるものではなく、選別板13の中心側が上向き傾斜状となるように内側面11aに交わっている(図15参照)。これによって、選別板13上のスプリングSは、選別板13と内側面11aとの交差する部分,即ち選別板13の外周側に向かって移動するようになっている。前記搬送路12の最上位置と選別板13の内側面11a寄り箇所とが連続してつながっている。そして、前記搬送路12に沿って上方に移動するスプリング群S,S,…は、選別板13に搬送される。その搬送路12の最上位置と選別板13との連続位置で且つ容器1の内側面11aには、絡まり合ったスプリングS,S,…を分離するための分離手段として分離用噴射部2が設けられている。
【0055】
該分離用噴射部2は、噴射口21と空気弁22とから構成されており、該空気弁22は前記容器1の外側面11b側に装着されている〔図14(A),図16等参照〕。前記空
気弁22は、容器1の外部に備えられた(図示しない)エアコンプレッサー等からチューブ23を介してエアが供給される構成となっている。そして、分離用噴射部2の噴射口21から所望の噴射圧に調整してエア噴射を行うことができるようになっている。その選別板13上で且つ前記分離用噴射部2の噴射口21付近から前記選別板13の中心方向に向かってエアガイド壁部15が形成されている。該エアガイド壁部15は、略垂直壁板状に形成され、その長手方向は、分離用噴射部2の噴射口21からのエア噴射方向に沿って形成されている(図13,図14参照)。そのエアガイド壁部15は、対向する2つの主壁板15aと補助壁板15bとから構成されている。
【0056】
主壁板15aは、補助壁板15bより長く形成され、選別板13の直線状端縁に沿って設けられている。その主壁板15aと内側面11aとの間には、所定の間隔が設けられている。この間隔内に前記搬送路12と選別板13との連結部分が存在し、スプリング群S,S,…が搬送路12から選別板13に移動して入り込むための間隔となるものである。また、補助壁板15bは、主壁板15aと平行に配置されている。そして、分離用噴射部2からのエア噴射は、主壁板15aと補助壁板15bとの間を流れ、該エア噴射により吹き飛ばされるスプリング群S,S,…は、主壁板15aと補助壁板15bとの間を通過してゆく(図16参照)。
【0057】
次に、選別板13の略中心付近には、固定壁板16が設けられている(図13乃至図15参照)。具体的には、選別板13の中心位置において、その分離用噴射部2側と反対側となる位置に固定壁板16が配置され、且つそのエア噴射方向に対して適宜の傾斜角度を有して傾斜している。そして、分離用噴射部2からのエア噴射は、その固定壁板16の傾斜角度により選別板13側に噴射方向が変換するようになっている。また、固定壁板16には、エア噴射により吹き飛ばされたスプリング群S,S,…が衝突し、このときの衝撃により2つ以上の絡まり合ったスプリングS,S同士を分離させるものである〔図16(A)参照〕また、その固定壁板16には、適宜の間隔をおいて対向する副固定板17が設けられ、固定壁板16に衝突したスプリング群S,S,…のなかで、まだ絡まりが分離されないものが再度衝突して分離できる。
【0058】
容器1の下部には、加振器9が配置され、該加振器9により、容器1が振動する。その加振器9は電磁式による物などが使用されている。そして、容器1の振動により搬送路12に適正なる振動が与えられ、内部に貯蔵されたスプリング群S,S,…が搬送路12に沿って容器1の上方に移動し、スプリング群S,S,…を選別板13に向けて搬送することができる。容器1の上部1bには、カバー体19が着脱自在に装着されている。該カバー体19は、アクリル,ガラス等の透明板にて形成され、螺子部材にて容器1の頂部に固定する。そしてカバー体19には、(図示しない)小蓋部が形成され、該小蓋部を開けることにより、容器1の内部に多量のスプリング群S,S,…を入れることができる。
【0059】
噴射口21からのエア噴射は、タイマー制御を介して間欠運動とすることができる。即ち、エア噴射の作動及び停止の間隔を時間的に制御して行うものである(図16参照)。このようにして、選別板13上で絡まり状態から解除され、個々に分離されたスプリングS,S,…が内部搬送溝14内で一列に配列され次工程に移動させることができる。図16(C)は、タイマーによりエア噴射の強弱のそれぞれの時間を制御する状態を示したグラフである。グラフでは、横軸がエア圧の強弱の時間であり、エア圧が強状態の時間はTL であり、エア圧が弱状態の時間はTS である。
【0060】
まず、カバー体19の小蓋部を開けて、容器1内に多量のスプリングS,S,…を入れ、加振器9を駆動させて、容器1に適正な振動を与える。容器1の底部1aに貯蔵されたスプリング群S,S,…は、搬送路12に沿って移動し、選別板13に向かって搬送される。搬送路12の最上位置と選別板13との連続箇所に位置する噴射口21からのエア噴射は、常時,エア圧が弱い状態で行われ、強圧なるエア噴射がタイマー制御を介して間欠運動として行われる。該エア噴射は、タイマー制御により、常時は弱なるエア圧によって、噴射口21の周辺に搬送されてきたスプリング群S,S,…が動き回り、噴射口21を塞ぐことがないようにしている。そして、一定間隔の時間をおいて、強なるエア圧によるエア噴射が行われ、噴射口21周辺に集合したスプリング群S,S,…を固定壁板16に向けて一気に吹き飛ば、絡まり状態のスプリングS,Sが固定壁板16に衝突し、そのときに絡まり状態のスプリングS,Sが分離する。
【0061】
エア噴射のエア圧が間欠動作により再度,弱なる時間になったときに、個々のスプリングS,S,…は、選別板13の外周端縁に形成された内部搬送溝14に納まり、加振器9による振動にて内部搬送溝14に沿って通過口18に向かって移動し、内部搬送溝14から容器1の外部に設けた供給用搬送路Aにスプリング群S,S,…が送り出され、さらにそのスプリング群S,S,…が供給用搬送路Aの搬送方向端に設けたスプリング供給装置に搬送される。
【0062】
上述したように、エア噴射のエア圧の強弱の繰り返しにおいて、エア圧が強の時間で絡まり状態のスプリングS,Sが分離される作業が行われ、エア圧が弱なる時間で、個々のスプリングSが内部搬送溝14から供給用搬送路Aに搬送されるものである。上記のエア噴射のエア圧の強弱の時間は、本発明では、弱なるエア圧の時間は約7秒であり、強なるエア圧の時間は約3秒としている。しかし、これは、一つの実施例にすぎず、タイマー制御により、エア圧の強弱の時間を適宜変更しても構わない。
【0063】
また、一回目のエア噴射による固定壁板16への衝突で絡まり状態が分離されなかったスプリングS,Sは、選別板13から再び容器1の底部1aに戻され、この絡まり状態のスプリングS,Sが再度搬送路12から選別板13に移動し、エア噴射による同様の作動が繰り返され、絡まり状態のスプリングS,Sの分離が行われる。そして、適正なスプリングSが適正な状態で内部搬送溝14から、供給用搬送路Aの第1選別搬送部4の搬送溝42に搬送され、スプリングSは、第1選別搬送部4,第2選別搬送部5及び接続用搬送部6に搬送される(図6参照)。
【0064】
以上の述べたように、本発明は、振動が適宜に与えられる容器1と、該容器1の内側面側に沿って形成された螺旋状の搬送路12と、前記容器1の上部1b箇所の一部を被覆し且つ前記搬送路12の最上端と連通する選別板13と、該選別板13上に形成された固定壁板16と、前記容器1の内側面から前記固定壁板16に向かってエア噴射する噴射口21と、容器1の頂部の略全面をカバーするカバー体19と、前記容器1の外部に設置され且つ該容器1内部のスプリングSを容器1外部に搬送する供給用搬送路Aとから構成されるものであって、前記供給用搬送路Aの終端部には接続用搬送溝62を有する接続用搬送部6が備えられ、前記接続用搬送溝62の適宜の位置に噴射ノズル71を有する除去用噴射部7が装着され、該除去用噴射部7の噴射ノズル71先端は前記接続用搬送溝62に近接されると共に、前記噴射ノズル71の噴射方向はスプリングSの搬送方向に対して略反対方向としてなるスプリングフィーダーである。
【符号の説明】
【0065】
1…容器、S…スプリング、A…供給用搬送路、4…第1選別搬送部、
43…選別用切欠部、5…第2選別搬送部、53…選別片、6…接続用搬送部、
62…接続用搬送溝、621…弧状溝領域部、622…直線状溝領域部、
623…境目溝領域部、63…カバー部材、7…除去用噴射部、71…噴射ノズル、
j…隙間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動が適宜に与えられる容器と、絡まり合ったスプリングを分離する分離手段と、前記容器の外部に設置され且つ該容器内部のスプリングを前記容器外部に搬送する供給用搬送路とから構成されるものであって、該供給用搬送路の終端部には接続用搬送溝を有する接続用搬送部が備えられ、前記接続用搬送溝の適宜の位置に噴射ノズルを有する除去用噴射部が装着され、該除去用噴射部の前記噴射ノズル先端は前記接続用搬送溝に近接されると共に、前記噴射ノズルの噴射方向はスプリングの搬送方向に対して略反対方向としてなることを特徴とするスプリングフィーダー。
【請求項2】
請求項1において、前記接続用搬送溝は弧状溝領域部と直線状溝領域部とからなり、前記除去用噴射部の前記噴射ノズル先端は前記弧状溝領域部に設けられてなることを特徴とするスプリングフィーダー。
【請求項3】
請求項1において、前記接続用搬送溝は弧状溝領域部と直線状溝領域部とからなり、前記除去用噴射部の噴射ノズル先端は前記直線状溝領域部に設けられてなることを特徴とするスプリングフィーダー。
【請求項4】
請求項1において、前記接続用搬送溝は、弧状溝領域部と直線状溝領域部と境目溝領域部とから構成され、前記除去用噴射部の噴射ノズル先端は前記弧状溝領域部と前記直線状溝領域部との間の前記境目溝領域部に設けられてなることを特徴とするスプリングフィーダー。
【請求項5】
請求項1,2,3又は4のいずれか1項の記載において、前記除去用噴射部のエア噴射はタイマー制御を介して間欠的作動としてなることを特徴とするスプリングフィーダー。
【請求項6】
請求項1,2,3,4又は5のいずれか1項の記載において、前記接続用搬送溝にはカバー部材がスプリングの搬送方向に沿って設けられると共に、前記接続用搬送溝と前記カバー部材との間には隙間が設けられ、前記噴射ノズルの先端が前記隙間に近接されてなることを特徴とするスプリングフィーダー。
【請求項7】
請求項1,2,3,4,5又は6のいずれか1項の記載において、前記供給用搬送路は、第1選別搬送部,第2選別搬送部が備わっており、前記容器側より前記第1選別搬送部,前記第2選別搬送部及び前記接続用搬送部の順序で連通され、前記第2選別搬送部の搬送溝は前記第1選別搬送部の搬送溝よりも狭く形成されると共に、前記第2選別搬送部の搬送溝は搬送方向に一本のみのスプリングが載置されてなることを特徴とするスプリングフィーダー。
【請求項8】
請求項7において、前記第1選別搬送部の搬送溝には溝幅方向の一端側又は他端側に選別用切欠部が形成されてなることを特徴とするスプリングフィーダー。
【請求項9】
請求項7又は8において、前記第2選別搬送部は搬送溝に近接する位置に選別片が装着され、前記搬送溝に適正のスプリングが通過するときのみ前記選別片と略非接触となることを特徴とするスプリングフィーダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−173779(P2010−173779A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17693(P2009−17693)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【特許番号】特許第4373488号(P4373488)
【特許公報発行日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(599028032)関東電子株式会社 (5)
【Fターム(参考)】