説明

スプレッダへの接着剤の供給方法及び供給機構

【課題】板材の全幅に対する接着剤の塗布量の均等化、接着剤の消費量の節約を図る。
【解決手段】塗布ロール1と、規制ロール2と、左右一対の堰板3とを有し、前記各ロール1・2の上側の対向間隔内に、接着剤の貯留部を設けて成る塗布機構Aを、板材9の通路の上方又は/及び下方に配設すると共に、塗布ロール1の有効塗布幅を、板材9の最大幅Wに比べて相当に広く設定することにより、塗布ロール1の常用区域Uを適正な姿勢で通過する際の板材9の左右に、適宜寸法の予備区域Tを設けて成るスプレッダに於て、前記接着剤の貯留部へ接着剤5を供給する供給管7を、少なくとも前記貯留部の上方に於ては二本備える共に、該二本の供給管7の各末端7bを、前記塗布ロール1の左右の予備区域Tに対応する接着剤の貯留部に於ける左右の予備域tの上方に夫々臨ませ、二本の供給管7を介して、前記貯留部の左右の予備域tへ接着剤5を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプレッダへの接着剤の供給方法及び供給機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ベニヤ単板、合板等の板材に、熱硬化性接着剤、常温硬化性接着剤等の接着剤を塗布する塗布装置としては、例えば図4(イ)、(ロ)、(ハ)に模式的に表示する如く、必要に応じて、円筒状の外周部にゴム等の弾性体を被覆すると共に、適宜の断面形状を有する適数条の接着剤溜め用の細溝を、前記弾性体の外周面に刻設して成る塗布ロール1と、該塗布ロール1に並設した規制ロール(ドクターロール)2と、前記各ロール1・2の左右両側部の夫々に密接させた一対の堰板3とを少なくとも有し、前記各ロール1・2の上側の対向間隔内に、接着剤の貯留部を設けて成る塗布機構Aを、板材9の通路の上方又は/及び下方に配設して(必要に応じては、送りロール4を、前記塗布ロール1に対設して)成るスプレッダが多用されており、前記貯留部への接着剤の供給は、貯留部の上方に配設した接着剤の供給管を介して行われている(特許文献1参照)。
【0003】
詳述すると、接着剤の混合装置、接着剤の一時貯蔵槽等から成る接着剤の供給源からスプレッダへ接着剤を供給する供給本管のスプレッダ側の接続部(スプレッダが複数基在る場合には、接続部も複数個所となる)に、接着剤の供給管の始端(入口端)を接続すると共に、必要に応じて、前記供給本管或は供給管の適宜位置に、手動又は自動にて開閉自在な開閉弁を介在させ、更に、供給管の末端(出口端)を、前記貯留部の中央上方の一箇所のみに臨ませて備え、必要に応じて、前記開閉弁を間歇的に開閉するか或は開閉弁を適当に絞って、接着剤を適量ずつ前記貯留部に供給する供給態様を採っており、接着剤は、専ら前記貯留部の中央へ供給するのが、従来の通例であった。
【0004】
また一方、スプレッダ(塗布ロール)の有効塗布幅と板材の最大幅との相対関係について述べると、例えば乾燥収縮の差異に起因して、各枚毎に板幅が異なる乾燥ベニヤ単板の如く、板幅が不均一な板材や、或は例えば反りに伴う空気抵抗の差異に起因して、搬送方向に対して斜めにズレた合板の如く、通過姿勢が不適正に乱れた板材などに対して、支障なく接着剤を塗布する為に、塗布ロールの有効塗布幅を、板材の最大幅に比べて相当に広く設定し、塗布ロールの常用区域(左右均等乃至は左右略均等な振分け状の箇所)を、適正な姿勢(進行方向と平行状乃至は略平行状)で通過する際の板材の左右に、適宜寸法の予備区域を設けることも、従来の通例であり、それに伴って、前記接着剤の貯留部に於ても、塗布ロールの常用区域に対応する貯留部の常用域の左右に、塗布ロールの予備区域に対応する貯留部の予備域が形成されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−244191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
而して、前記接着剤の貯留部に於ける予備域に在る接着剤は、貯留部の常用域に在る接着剤に比べて、板材に塗布される確率が極めて少なく、先記両ロールによって常に混練されながら滞留している状態であるから、時間の経過に伴って、粘度が漸増するのは必然であり、而も、貯留部の常用域に在る接着剤の貯留量が、板材への塗布に伴って漸減する際には、貯留部の予備域に在る接着剤が、少量づつ貯留部の常用域の両端側に混入することになるので、やがて、貯留部の常用域に在る接着剤の粘度が、常用域の中央部と両端部とで異なることとなり、結果的に、板材への接着剤の塗布量が、板材の幅方向の中央部と両端部とで異なる不具合を誘発し、ひいては、接着剤の浪費や、局部的な接着剤の硬化ムラ等の弊害を誘発する要因となっている(接着剤の粘度が増大すると、接着剤の塗布量が増加するので、概して、板材の幅方向の両端部付近に接着剤が過剰に塗布され易く、また、過剰な接着剤の硬化が遅延する傾向となる)ことが、本発明の開発過程で判明した。
【0007】
それに対して、先述の如く、専ら貯留部の常用域の中央へ接着剤を供給する従来の供給方法によると、貯留部の常用域の中央へ新たに供給された接着剤が、貯留部の常用域の両端側付近に在って既に中央部に比べて粘度が増加している接着剤を、再び貯留部の予備域へ押し戻して、貯留部の予備域に滞留している接着剤の粘度の増大を助長する作用を成すので、前記不具合・弊害の発生を益々増長させる悪循環を招く結果となっている。
【0008】
付言すると、仮に、接着剤の供給管を複数本備えて、複数個所に接着剤を供給し得る構成を採っても、実際の供給位置が、貯留部の常用域内である場合には、やはり、新たに供給された接着剤が、貯留部の常用域の両端側付近に在る比較的高粘度の接着剤を、再び貯留部の予備域へ押し戻し、予備域に在る接着剤の粘度の増大を助長する作用を成すことに変わりはなく、前記不具合・弊害の防止には無効である。また、仮に、一本の供給管を介して、接着剤の貯留部のいずれか片側の予備域のみに、接着剤を供給する構成を採った場合には、反対側の予備域に於ける接着剤の粘度の増大が一層助長されることになるので、前記不具合・弊害の発生を根本的に解消するには至らない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、斯様な従来の供給方法の欠陥を改善すべく開発したものであって、具体的には、先述の如く、塗布ロールの常用区域に対応する貯留部の常用域の左右に、塗布ロールの予備区域に対応する貯留部の予備域を形成して成るスプレッダに於て、接着剤の供給源から前記貯留部の上方へ接着剤を供給する接着剤供給路を、少なくとも前記貯留部の上方に於ては二条設ける共に、該二条の接着剤供給路の各末端を、前記貯留部の予備域の上方に夫々臨ませ、二条の接着剤供給路を介して、貯留部の左右の予備域へ接着剤を供給することを特徴とするスプレッダへの接着剤の供給方法(請求項1)と、やはり先述の如く、塗布ロールの常用区域に対応する貯留部の常用域の左右に、塗布ロールの予備区域に対応する貯留部の予備域を形成して成るスプレッダに於て、接着剤の供給源から前記貯留部の上方へ接着剤を供給する接着剤供給路を形成する供給部材を、少なくとも前記貯留部の上方に於ては二本備える共に、該二本の供給部材の各末端を、前記塗布ロールの左右の予備区域に対応する貯留部の予備域の上方に夫々臨ませ、二本の供給部材を介して、貯留部の左右の予備域へ接着剤を供給することを特徴とするスプレッダへの接着剤の供給機構(請求項2)と、接着剤の供給源からスプレッダの上方へ接着剤を供給する一本の供給部材の末端を、スプレッダの中央上方に臨ませると共に、該一本の供給部材の末端に、二本の供給部材の始端を二股状に係合させて成る請求項2記載のスプレッダへの接着剤の供給機構(請求項3)と、接着剤の供給源から接着剤の貯留部に於ける左右の予備域の上方まで、各々が直に接着剤を供給する二本の供給部材を備えて成る請求項2記載のスプレッダへの接着剤の供給機構(請求項4)と、二本の供給部材の各末端を、接着剤の貯留部に於ける左右の予備域の可及的に外側寄りの上方に臨ませて成る請求項2又は請求項3又は請求項4記載のスプレッダへの接着剤の供給機構(請求項5)とを提案する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る接着剤の供給方法によれば、二条の接着剤供給路を介して、接着剤の貯留部に於ける左右の予備域へ新たに供給される接着剤は、貯留部の予備域に滞留している接着剤に混合され、該滞留している接着剤の粘度を、本来の適正な粘度に近づけるように低減させる作用を成すのみならず、貯留部の予備域に滞留している接着剤を、貯留部の常用域に向けて押出す作用をも併せて成すので、貯留部の予備域に於ける接着剤の滞留自体が大幅に軽減されることとなって、滞留に起因する粘度の増大が大幅に減少し、結果的に、貯留部の常用域と予備域との間に於て、従前の如き接着剤の粘度の差異が生じ難くなるので、板材への接着剤の塗布量が、板材の幅方向の中央部と両端部とで異なる不具合や、接着剤の浪費等の弊害を誘発する欠陥も大幅に改善されることになる。而して、斯様な供給方法の実施には、請求項2〜請求項5に記載した接着剤の供給機構の適用が可能であり、夫々の構成に相応して有益である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る接着剤の供給機構を備えたスプレッダの正面説明図である。
【図2】本発明に係る接着剤の供給機構を備えたスプレッダの側面説明図である。
【図4】図1の線Y―Yに於ける断面説明図である。
【図3】既存のスプレッダの形態を模式的に表した概略側面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を図面に例示した実施の一例と共に更に詳述するが、必要に応じて、塗布ロールの外周面に形成する接着剤溜め用の細溝については、従来公知の種々の形態を採用して差支えなく、また、スプレッダの各ロール類を駆動する駆動源や、必要に応じて、貯留部に残存する接着剤の残量を検知する為に備える接着剤の残量検知器等についても、格別特殊な形態のものを用いる必要はなく、更に、各駆動源の作動を制御したり、或は前記接着剤の残量検知器の検知信号や、手動信号等に基づいて、開閉弁の開閉を自動的に制御する制御機構についても、格別特殊な制御機能を具備する必要はなく、一般的な技術水準の制御機能を具備すれば足りるので、図面を簡略化して見易くする便宜上、制御系(制御回路)を含めて、いずれも、図示を省略した。
【実施例】
【0013】
図1は、本発明に係る接着剤の供給機構を備えたスプレッダの正面説明図であり、図2は、本発明に係る接着剤の供給機構を備えたスプレッダの側面説明図であり、図3は、図1の線Y―Yに於ける断面説明図である。図中、1は、外周部に被覆されたゴム等から成る弾性体1aの周面に、適宜の断面形状を有する条状の細溝(図示省略)が穿設されて成る塗布ロールであって、スプレッダの塗布機構Aを構成すべく、図示しない軸受等を介して機枠(図示省略)に枢着されており、図示しない制御機構によって駆動が制御される電動機等から成る駆動源(図示省略)を介して、所定の周速にて図示矢印方向へ回転せしめられ、後述する規制ロール2と対向する周面の上部側に、接着剤の貯留部を形成すると共に、後述する送りロール4と協働して、単板9を図示矢印方向へ移送する都度、単板9の上面に適量の接着剤5を塗布する。
【0014】
2は、滑らかな周面を有して成る規制ロールであつて、スプレッダの塗布機構Aを構成すべく、ハンドル付の螺子等から成る変位部材(図示省略)の変位作用を得て、前後方向へ精密に変位し得るよう、図示しない軸受等を介して機枠(図示省略)に前後移動可能に係止されており、前記塗布ロール1と対向する周面の上部側に、接着剤の貯留部を形成すると共に、図示しない制御機構によって駆動が制御される電動機等から成る駆動源(図示省略)を介して、通例通り、前記塗布ロール1の周速よりも幾分遅い周速にて実線で示す矢印方向へ回転せしめられ、塗布ロール1を介して単板9の上面に塗布する接着剤5の塗布量が適量となるように規制する。
【0015】
3は、前記塗布ロール1及び規制ロール2の両側部に配設された左右一対の堰板であって、スプレッダの塗布機構Aを構成すべく、発条等から成る弾発部材(図示省略)の弾発作用を得て、前記各ロール1・2の両側面に軽く圧接されており、前記各ロール1・2の対向する周面の上部側に形成された接着剤の貯留部に、所望量の接着剤5が貯留し得るように堰き止める。
【0016】
而して、前記塗布ロール1の有効塗布幅Lは、板材9の最大幅Wに比べて相当に広く、板材9の最大幅Wと同等の寸法を有する塗布ロール1の常用区域U(左右均等乃至は左右略均等な振分け状の箇所)を、適正な姿勢(進行方向と平行状乃至は略平行状)で通過する際の板材9の左右に、適宜寸法の予備区域Tが設けられており、たとえ、板材9の最大幅Wに若干誤差があったり、或は板材9の搬送姿勢が幾分斜めにズレたりしたとしても、板材9に接着剤5が支障なく塗布できるよう構成されている。従って、接着剤の貯留部についても、塗布ロール1の常用区域Uに対応する貯留部の常用域uの左右に、塗布ロール1の予備区域Tに対応する貯留部の予備域tが形成されることとなる。
【0017】
4は、前記各部材を有する塗布機構Aと組合わせて、スプレッダを構成すべく、前記塗布ロール1の下方に配設した送りロールであって(図示は省略したが、必要に応じては、外周部にゴム等から成る弾性体を被覆する)、処理する単板9の厚さの変更に適応できるように、ハンドル付の螺子等から成る昇降部材(図示省略)の昇降作用を得て、上下方向へ精密に昇降し得るよう、図示しない軸受等を介して機枠(図示省略)に昇降可能に係止されており、図示しない制御機構によって駆動が制御される電動機等から成る駆動源(図示省略)を介して、前記塗布ロール1の周速と同等の周速にて図示矢印方向へ回転せしめられ、前記塗布ロール1と協働して、単板9を図示矢印方向へ移送する。
【0018】
6は、接着剤の供給経路を形成する一本の供給本管であって、接着剤の混合装置、接着剤の一時貯蔵槽等から成る接着剤の供給源(図示省略)に始端が接続されると共に、前記各部材を有するスプレッダの中央上方に臨ませた末端6bの近傍に、手動又は自動にて開閉自在な開閉弁8が介在されており、接着剤の供給源からスプレッダの中央上方まで接着剤5を供給する。また、必要に応じて、適時、開閉弁8を間歇的に開閉するか或は適当に絞ることにより、接着剤5の供給量を調整することができる。
【0019】
7は、接着剤5の供給経路を形成するニ本の供給管であって、前記供給本管6の末端6bに、各供給管7の始端7aが二股状に接続されると共に、各供給管7の末端7bが、前記接着剤の貯留部に於ける予備域tの上方に夫々臨むように配設されており、前記供給本管6及び開閉弁8を介して、接着剤の供給源(図示省略)から供給される接着剤5を、前記接着剤の貯留部の予備域tに供給する。
【0020】
本発明に係る接着剤の供給方法は、例えば斯様に構成した供給機構を用いて実施することが可能であり、板材9に対する接着剤5の塗布の繰り返しに伴って、接着剤の貯留部に於ける接着剤5の貯留量が、一定限度以下に減少した場合には、作業者の手動操作によって、所望期間だけ、開閉弁8を開くか、若しくは、作業者の操作による手動信号、或は必要に応じて備える接着剤の残量検知器の検知信号等に基づいて、適宜期間だけ、開閉弁8を自動的に開くことにより、ニ本の供給管7aを介して、接着剤5を、前記貯留部の予備域tに供給すると、予備域tへ新たに供給された接着剤5は、予備域tに滞留している接着剤5に混合され、該予備域tに滞留している接着剤5の粘度を、本来の適正な粘度に近づけるように低減させる作用を成すのみならず、図3に矢印で示す如く、予備域tに滞留している接着剤5を、貯留部の常用域uに向けて押出す作用をも併せて成すので、貯留部の予備域tに於ける接着剤5の滞留自体が大幅に軽減されることとなって、滞留に起因する粘度の増大が大幅に減少し、結果的に、貯留部の常用域uと予備域tとの間に於て、従前の如き接着剤5の粘度の差異が生じ難くなるので、板材9への接着剤5の塗布量が、板材9の幅方向の中央部と両端部とで異なる不具合や、接着剤5の浪費等の弊害を誘発する欠陥も大幅に改善されることになる。
【0021】
因に、接着剤供給路を形成する供給部材の具体的な形態としては、前記実施例に例示する如く、接着剤の供給源からスプレッダの上方まで接着剤を供給する一本の供給部材と、該一本の供給部材によって供給される接着剤を、接着剤の貯留部の各予備域に分配供給する二本の供給部材との組み合わせによる形態が、全体的な構成の簡略化に適するものの、必ずしも斯様な形態に限る必要はなく、図示は省略したが、接着剤の供給源から接着剤の貯留部に於ける左右の予備域の上方まで、各々が直に接着剤を供給する二本の供給部材を備える形態としても差支えなく、必要に応じて、二本の供給部材の適宜位置に、開閉弁を介在させれば、各別に供給量を調整することが可能である。
【0022】
また、いずれにしても、前記実施例に例示する如く、二条の接着剤供給路を形成する二本の供給部材の各末端を、接着剤の貯留部に於ける左右の予備域の可及的に外側寄りの上方に臨ませるようにすれば、貯留部の予備域に滞留している接着剤に対する、貯留部の常用域への押し出し作用が、一層有効に促進されることになるので一段と効果的である。
【0023】
また、前記実施例に例示する如く、接着剤の供給部材として、管状の供給部材を用いれば、接着剤の供給源を、スプレッダの高さよりも高い位置に備え、接着剤の自重を利用して、スプレッダの貯留部へ接着剤を供給する供給態様の外に、必要に応じては、接着剤の供給源を、スプレッダの高さと同等以下の高さに備え、供給ポンプ等を用いた強制供給を実施或は併用することも可能であり、供給態様の多様化が図り得て好便であるが、供給部材の形状としては、管状に限るものではなく、少なくとも貯留部の予備域の上方に末端を臨ませる二本の供給部材については、必要に応じて、他の形状の供給部材、例えば樋状の供給部材に置換しても差支えない。
【産業上の利用可能性】
【0024】
以上明らかな如く、本発明によれば、従来の供給方法による悪循環を断って、板材の全幅に対する接着剤の塗布量の均等化、接着剤の消費量の節約などを実現することができ、斯界に於ける本発明の実施効果は著大である。
【符号の説明】
【0025】
A :スプレッダの塗布機構
U :塗布ロールの常用区域
u :接着剤の貯留部の常用域
T :塗布ロールの予備区域
t :接着剤の貯留部の予備域
W :板材の最大幅
1 :塗布ロール
2 :規制ロール
3 :堰板
4 :送りロール
5 :接着剤
6 :供給本管
7 :供給管
8 :開閉弁
9 :板材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に付着した接着剤を板材に塗布する塗布ロールと、該塗布ロールの外周面に於ける接着剤の付着量を規制する規制ロールと、前記各ロールの両側部の夫々に密接させた左右一対の堰板とを少なくとも有し、前記各ロールの上側の対向間隔内に、接着剤の貯留部を設けて成る塗布機構を、板材の通路の上方又は下方の少なくともいずれか片方に配設すると共に、前記塗布ロールの有効塗布幅を、板材の最大幅に比べて相当に広く設定することにより、塗布ロールの常用区域を適正な姿勢で通過する際の板材の左右に、適宜寸法の予備区域を設けて成るスプレッダに於て、接着剤の供給源から前記貯留部の上方へ接着剤を供給する接着剤供給路を、少なくとも前記貯留部の上方に於ては二条設ける共に、該二条の接着剤供給路の各末端を、前記塗布ロールの左右の予備区域に対応する貯留部の予備域の上方に夫々臨ませ、二条の接着剤供給路を介して、貯留部の左右の予備域へ接着剤を供給することを特徴とするスプレッダへの接着剤の供給方法。
【請求項2】
外周面に付着した接着剤を板材に塗布する塗布ロールと、該塗布ロールの外周面に於ける接着剤の付着量を規制する規制ロールと、前記各ロールの両側部の夫々に密接させた左右一対の堰板とを少なくとも有し、前記各ロールの上側の対向間隔内に、接着剤の貯留部を設けて成る塗布機構を、板材の通路の上方又は下方の少なくともいずれか片方に配設すると共に、前記塗布ロールの有効塗布幅を、板材の最大幅に比べて相当に広く設定することにより、塗布ロールの常用区域を適正な姿勢で通過する際の板材の左右に、適宜寸法の予備区域を設けて成るスプレッダに於て、接着剤の供給源から前記貯留部の上方へ接着剤を供給する接着剤供給路を形成する供給部材を、少なくとも前記貯留部の上方に於ては二本備える共に、該二本の供給部材の各末端を、前記塗布ロールの左右の予備区域に対応する貯留部の予備域の上方に夫々臨ませ、二本の供給部材を介して、貯留部の左右の予備域へ接着剤を供給することを特徴とするスプレッダへの接着剤の供給機構。
【請求項3】
接着剤の供給源からスプレッダの上方へ接着剤を供給する一本の供給部材の末端を、スプレッダの中央上方に臨ませると共に、該一本の供給部材の末端に、二本の供給部材の始端を二股状に係合させて成る請求項2記載のスプレッダへの接着剤の供給機構。
【請求項4】
接着剤の供給源から接着剤の貯留部に於ける左右の予備域の上方まで、各々が直に接着剤を供給する二本の供給部材を備えて成る請求項2記載のスプレッダへの接着剤の供給機構。
【請求項5】
二本の供給部材の各末端を、接着剤の貯留部に於ける左右の予備域の可及的に外側寄りの上方に臨ませて成る請求項2又は請求項3又は請求項4記載のスプレッダへの接着剤の供給機構。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−103170(P2013−103170A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248758(P2011−248758)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000155182)株式会社名南製作所 (77)
【Fターム(参考)】