説明

スプレーディスペンサ

【課題】スプレーディスペンサからの流体の漏れの恐れを減少させると共に、コンパクトな改良型のスプレーディスペンサを提供する。
【解決手段】スプレーディスペンサは、ベース12と、本体14と、ヘッド16とを構成するハウジング4を有する。本体14は、液体を貯めるリザーバ30を有する。ベース12は、リザーバ30から液体を受け入れて、リザーバ30から受け入れた液体から過酸化水素を発生させ、前記液体中の酸化特性レベルを増大させる電解セル92、及び、リザーバと電解セルとの間で流体を循環させる流体循環システムを有する。ヘッド16は、リザーバから液体を小出しするノズル26を有する。さらに、リザーバからノズルに液体を運ぶために、ユーザの手の人差し指により作動可能なトリガ28が、本体14のヘッド16のノズル側部分の下に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプレーディスペンサに関する。本発明は、特に液体を表面に吹き付ける手持ち型スプレーディスペンサに関するが、これには限定されない。
【背景技術】
【0002】
従来の手持ち型スプレーディスペンサは、吹き付けられる又は噴霧されるべき液体、例えば水溶液の容器と、容器に取り外し可能に取り付けられていて、容器から水溶液を噴霧するスプレーヘッドとを有している。容器は、通常、スプレーヘッドが取り付けられた注ぎ口を有するボトル又は瓶の形態をしている。スプレーヘッドは、通常、ノズル、容器内に延びる可撓性の浸漬管及びトリガ作動式ポンプを有している。トリガを押すと、ポンプは、ノズルを通ってスプレーヘッドから溶液を送り出し、トリガを放すと、ポンプは、溶液を管の中へ上方に引き上げてスプレーヘッド内に引き込む。
【0003】
手持ち型ディスペンサの一般的な用途は、滅菌溶液を表面に吹き付けて殺菌を行うことにある。国際公開第02/48054号パンフレットは、作業面又は食品を滅菌する際に用いられる水をオゾン化する器具を記載している。この器具は、ユーザが水で満たし、ベースステーション上に置かれる容器を備えたスプレーディスペンサを有する。ベースステーションは、軟水装置、電解セル及び水をディスペンサから軟水装置に、次に電解セルに圧送するポンプを収納しており、電解セルは、軟水からオゾンを発生させる。ポンプの圧送作用下において、オゾン化水は、電解セル内で生じた気体状O2及びO3と一緒にディスペンサに戻される。ディスペンサは、容器に連結された従来型スプレーヘッドを有し、トリガの作動により、オゾン化水とガスの混合物が、ノズルから噴霧されるようになっている。
【0004】
ディスペンサは、その下面に設けられた2つの一方弁を有し、1つの一方弁は、ベースステーションへの水の流出のためであり、もう1つは、ベースステーションからのオゾン化水の流入のためである。これら弁の各々は、ベースステーションに設けられた弁の各々とそれぞれ協働する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第02/48054号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
器具のコスト及び複雑さの増大に加えて、ディスペンサの底面に設けられている弁のうちの一方の摩耗及び(又は)破損により、ディスペンサからのオゾン化水の漏れが生じる場合がある。さらに、ディスペンサ内に貯められている水中のオゾンの崩壊(減退)速度は、かなり速く、したがって、ディスペンサは、貯められている水中のオゾンの量を補給するために約15分後にはベースステーションに戻される必要がある。
【0007】
本発明の目的は、改良型スプレーディスペンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、スプレーディスペンサであって、液体を貯めるリザーバ、リザーバから液体を受け入れて液体中の酸化特性レベルを増大させる電解セル、及び流体をリザーバと電解セルとの間で循環させる手段を収容したハウジングと、リザーバから液体を小出しするノズルとを有することを特徴とするスプレーディスペンサを提供する。
【0009】
かくして、スプレーディスペンサは、リザーバ、電解セル及び流体循環手段を有していて、スプレーディスペンサからの流体の漏れの恐れを減少させると共にコンパクトなスプレーディスペンサを提供する閉ループ流体回路を有している。
【0010】
電解セルは、好ましくは、リザーバから受け入れた水から過酸化水素を発生させるよう構成されており、この過酸化水素は、オゾンよりも水中における崩壊速度が非常に低い。したがって、本発明は又、スプレーディスペンサであって、水を貯めるリザーバ、リザーバから水を受け入れると共に酸素含有ガスを受け入れてこれらから過酸化水素を発生させる電解セル、及び流体をリザーバと電解セルとの間で循環させて貯められた水の中の過酸化水素の濃度を増大させる手段を収容したハウジングと、リザーバから過酸化水素含有水を小出しするノズルとを有することを特徴とするスプレーディスペンサを提供する。
【0011】
電解セルは、好ましくは、ガス拡散カソードと、メンブレンと、アノードとを有し、スプレーディスペンサは、酸素含有ガスをカソードの一方の側に供給する手段を有し、流体循環手段は、水をカソードの他方の側とメンブレンとの間で運ぶよう構成されている。メンブレンは、好ましくは、水素イオン交換膜から成る。
【0012】
水循環手段は、好ましくは、リザーバからの水を第1の流量でカソードに運んでカソードのところに過酸化水素を発生させ、又、アノードにゼロよりも大きく、第1の流量とは異なる第2の流量で運ぶよう構成されている。かくして、本発明は又、水リザーバと、カソード、アノード及びカソードとアノードとの間に設けられていて、カソードチャンバ及びアノードチャンバを画定するメンブレンを有する電解セルと、酸素含有ガスをカソードに供給する手段と、水をリザーバから第1の流量でカソードチャンバに運んでカソードのところに過酸化水素を発生させ、又、ゼロよりも大きく、第1の流量とは異なる第2の流量でアノードチャンバに運ぶ手段とを有するスプレーディスペンサを提供する。水運搬手段は、好ましくは、リザーバに連結された入口、カソードチャンバに連結された第1の出口及びアノードチャンバに連結された第2の出口を備えた構造体から成る。この構造体は、好ましくは、マニホルドから成り、このマニホルドは、好ましくは、電解セルの一部をなしている。
【0013】
酸素含有ガス供給手段は、好ましくは、空気をカソードの一方の側に吹き付けるファンから成る。流体循環手段は、好ましくは、水をアノードとメンブレンとの間で運ぶよう構成されている。
【0014】
ハウジングは、好ましくは、ベース及びベースから上方に延びる本体を有し、電解セルは、ベース内に配置されている。
【0015】
スプレーディスペンサは、好ましくは、リザーバから水を受け入れて、電解セルに軟水を出力する軟水装置を有する。軟水装置は、好ましくは、リザーバから受け入れた水から遷移金属イオンを除くイオン交換物質を有する。かくして、スプレーディスペンサは、好ましくは、リザーバから水を受け入れ、受け取った水から遷移金属イオンを除き、そして繊維金属イオンが減少した水を電解セルに出力するイオン交換物質を有する。軟水装置は、好ましくは、取り外し可能なカートリッジの形態をしており、好ましくは、ベースの底面の少なくとも一部を形成する。軟水装置は、電力をディスペンサに供給するための電気コネクタを受け入れる孔を構成するよう形作られているのが良い。スプレーディスペンサは、好ましくは、軟水装置をディスペンサに解除可能に取り付け保持する手動で操作可能なキャッチを有する。
【0016】
スプレーディスペンサは、好ましくは、水をリザーバ内に導入する注ぎ口を有し、注ぎ口は、リザーバに対して開放位置と閉鎖位置との間で動くことができる。リザーバは、好ましくは、注ぎ口が閉鎖位置にあるとき、流体出口を流体入口から隔離する手段を有する。かくして、本発明は又、液体を貯めるリザーバと、リザーバから液体を小出しするノズルと、リザーバに液体を補給するための注ぎ口とを有するスプレーディスペンサであって、注ぎ口は、流体入口及び流体出口を有し、注ぎ口は、リザーバに対して開放位置と閉鎖位置との間で動くことができ、リザーバは、注ぎ口が閉鎖位置にあるときに、流体出口を流体入口から隔離するための手段を有することを特徴とするスプレーディスペンサを提供する。
【0017】
注ぎ口は、好ましくは、流体入口を有する比較的幅の広い部分及び流体出口を有する比較的幅の狭い部分を備えた漏斗状の壁を有する。流体出口は、好ましくは、壁の比較的幅の狭い部分周りに部分的に延びている。流体出口を流体入口から隔離する手段は、好ましくは、壁の比較的幅の狭い部分を受け入れるよう構成されたスピンドルから成る。スピンドルは、その周りに延びていて、注ぎ口の壁に係合する環状密封部材を有するのが良い。スピンドルは、流体入口に向かって延びていて、流体を流体出口の方に差し向ける円錐形の表面を有するのが良い。注ぎ口は、好ましくは、リザーバに回転可能に連結される。注ぎ口とリザーバは、好ましくは、一緒になって空気ブリード穴を構成し、この空気ブリード穴は、注ぎ口が閉鎖位置にあるときに閉じられる。注ぎ口は、好ましくは、リザーバから後方に延び、好ましくはノズルと反対側に設けられる。注ぎ口は、好ましくは、リザーバに対して実質的に直角である。注ぎ口は、好ましくは、リザーバの内面に連結される。注ぎ口から突起が半径方向に突き出るのが良く、リザーバは、その内面に設けられていて、突起を受け入れる螺旋形の溝を有する。螺旋溝は、好ましくは、リザーバの内面周りに約90°にわたって延びる。
【0018】
注ぎ口は、好ましくは、液体がノズルから噴霧されているとき、空気がリザーバに入るようにするためのガス通路を有する。ガス通路は、好ましくは、リザーバからの液体の噴霧中、空気がリザーバに入ることができるようにし、電解セルによる酸化体(オキシダント)発生によるガス状副生物をリザーバから放出することができるようにする弁を有する。かくして、本発明は又、液体を貯めるリザーバと、液体からリザーバを受け入れてこの液体から酸化体を発生させる手段と、酸化体含有液体をリザーバに戻す手段と、リザーバから酸化体含有液体を小出しするノズルと、リザーバからの酸化体含有液の噴霧中、空気がリザーバに入ることができるようにし、酸化体発生によるガス状副生物をリザーバから放出することができるようにする弁とを有するスプレーディスペンサを提供する。
【0019】
弁は、好ましくは、スロットを構成する可撓性材料で作られた本体を有し、スロットは、酸化体含有液体の噴霧中、空気がリザーバに入ることができるよう開くことができる。この本体は、ダックビルの形態を有するのが良い。弁は、好ましくは、エラストマー材料で作られる。弁は、好ましくは、弁座を有するガス通路内に配置され、弁は、ガス状副生物をリザーバから放出することができるよう弁座から遠ざかることができる。弁は、好ましくは、弁座に係合する環状面を有する。
【0020】
ハウジングは、好ましくは、電解セルを作動させる制御回路を収納している。制御回路は、好ましくは、注ぎ口の移動から経過した時間に応じて、電解セルの作動の持続時間を制御するよう構成されている。注ぎ口の運動を検出し、かかる運動を表す信号を制御回路に出力するセンサを設けるのが良い。代替的に又は追加的に、制御回路は、注ぎ口が動いてから小出しされた液体の量に応じて、電解セルの作動を制御するよう構成されているのが良い。
【0021】
流体循環手段は、好ましくは、電動式ポンプから成る。
【0022】
スプレーディスペンサは、好ましくは、手持ち型スプレーディスペンサの形態をしている。
【0023】
本発明は又、手持ち型スプレーディスペンサであって、本体と、ノズル及び電動式ポンプを有する前側部分並びに使用中、ディスペンサをユーザの手の上に支持する下面を備えた後側部分を有するヘッドとを有し、本体は、リザーバと、ヘッドの前側部分の下に設けられていて、ポンプを作動させて液体をリザーバからノズルに運ぶようユーザの手の人差し指により作動可能なトリガとを有し、トリガは、ユーザの人差し指を支える棚部となるように形作られていることを特徴とする手持ち型スプレーディスペンサを提供する。
【0024】
棚部は、好ましくは、ディスペンサの本体に実質的に直角であり、好ましくは、トリガのベース周りに延びている。棚部は、好ましくは、実質的にC字形である。本体は、好ましくは、トリガの下に設けられていて、ユーザの手の別の指を受け入れる凹状部分を有する。棚部とヘッドの後側部分の下面との間の垂直距離は、好ましくは、20〜30mmである。スプレーディスペンサは、好ましくは、本体に向かうトリガの押し込みに応答してポンプを作動させる制御回路を有する。制御回路は、好ましくは、トリガの押し込みに続き、0.5〜2秒の期間にわたりポンプの作動を遅らせ、トリガの釈放に続き、0.5〜2秒の期間にわたりポンプの作動を続行させると共に(或いは)本体に向かうトリガの2〜5mmの押し込みに応答してポンプを作動させるよう構成されている。
【0025】
本発明は又、上述のスプレーディスペンサと、スプレーディスペンサを受け入れ、電力を電解セルに供給するベースステーションとを有することを特徴とする装置を提供する。ベースステーションは、好ましくは、電解セルが水平に対して傾けられ、好ましくは、水平に対して6°〜20°の角度をなして傾けられるよう電解セルへの電力の供給中、電解セルを支持するよう構成されている。電解ステーションは、好ましくは、電解セルへの電力の供給中、電解セルを支持する傾斜支持面を有する。スプレーディスペンサは、好ましくは、電池と、ベースステーションから電力を受け取るよう構成された電池充電器とを有する。
【0026】
かくして、本発明は又、過酸化水素を発生させる装置であって、水リザーバと、カソード、アノード及びカソードとアノードとの間にサンドイッチされていて、カソードチャンバ及びアノードチャンバを画定するメンブレンを有する積層本体の形態をした電解セルと、水をリザーバからカソードチャンバ及びアノードチャンバに供給する手段と、酸素含有ガスをカソードに供給してカソードのところに過酸化水素を発生させる手段と、過酸化水素の発生中、電力を電解セルに供給する支持器具とを有し、この支持器具は、電解セルが水平に対して傾けられるよう電解セルへの電力の供給中、電解セルを支持するよう構成されていることを特徴とする装置を提供する。
【0027】
次に、添付の図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】ベースステーション上に置かれたスプレーディスペンサの側面図である。
【図2】図1のスプレーディスペンサの平面図である。
【図3】図1のスプレーディスペンサ及びベースステーションの断面図である。
【図4(a)】図1のスプレーディスペンサのケーシングの後側部分の斜視図であり、注ぎ口を閉鎖位置で示す図である。
【図4(b)】図4(a)に類似した斜視図であり、注ぎ口を開放位置で示す図である。
【図5(a)】図1のスプレーディスペンサのケーシングの後側部分の断面図であり、注ぎ口を閉鎖位置で示す図である。
【図5(b)】図5(a)に類似した断面図であり、注ぎ口を開放位置で示す図である。
【図6】図1のスプレーディスペンサ内の流体再循環システムの略図である。
【図7】図1のスプレーディスペンサの電気化学セルの断面図である。
【図8】図1のベースステーションの分解組立て図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明のスプレーディスペンサが、図1及び図2に示されている。ディスペンサ2は、表面を滅菌するための滅菌液を小出しするよう構成されている。この実施形態では、ディスペンサ2は、ディスペンサ2に導入された水から過酸化水素を発生させ、ユーザによる作動時に、過酸化水素含有水を噴霧するよう構成されている。
【0030】
ディスペンサ2は、ハウジング4を有し、このハウジングは、前側部分6及び前側部分に連結されると共にこれに隣接して位置する後側部分8を有し、前側部分6の外面は、後側部分8の外面と面一をなすようになっている。好ましくは、ハウジング4の前側部分6と後側部分8の両方は、プラスチック材料で作られ、ハウジング4の後側部分8は、好ましくは、透明なプラスチック材料で作られる。ハウジング4は、ベース12、ベース12から上方に延びる本体14及びヘッド16を備えるよう形作られている。前側部分6は、ベース12を構成するよう形作られ、ハウジング4の前側部分6と後側部分8は、一緒になって、本体12及びヘッド16を構成している。本体14は、好ましくは、ベース12に実質的に垂直である。ヘッド16は、ノズル26を有し、液体は、スプレーの形態でこのノズルから小出しされる。ノズル26からの液体の噴霧を行わせるトリガ28が、ヘッド26の真下で本体14に設けられている。
【0031】
図3は、図1及び図2のスプレーディスペンサ2の内部コンポーネントを示している。ハウジング4の後側部分8は、ノズル26から小出しされるべき液体を貯めるリザーバ30を構成しており、かかる液体は、この例では、水溶液である。リザーバ30は、好ましくは、10〜200ミリリットルの容量を有し、この例では、リザーバ30は、約150ミリリットルの容量を有する。ハウジング4の後側部分8は、実質的に円形の孔32を備え、液体、この例では水は、この孔を通ってリザーバ30に導入される。孔32は、好ましくは、ノズル26と反対側に且つ本体14の長手方向軸線36に実質的に直角の垂直軸線34を備えた平面内に位置している。注ぎ口38が、孔32内に設けられている。注ぎ口38は、これがリザーバ30に対して、注ぎ口38からリザーバ30内への水の導入が阻止される閉鎖位置と、水が注ぎ口38からリザーバ30に入ることができる開放位置との間で動くことができるようハウジング4の後側部分8に連結されている。この例では、注ぎ口38は、リザーバ30の内部に連結されている。注ぎ口38は、ハウジング4の後側部分8の内面に形成された閉じられた螺旋形の溝42内に設けられた半径方向に突き出た突起40を有し、ハウジング4に対する注ぎ口38の回転により、注ぎ口38は、軸線34に沿って動くようになっている。螺旋溝42は、好ましくは、リザーバ30の内面の周りに約90°にわたって延びている。
【0032】
図4(a)及び図5(a)は、ハウジング4の後側部分8を詳細に示している。注ぎ口38は、半径方向に突き出た突起40を備えた実質的に円筒形の外壁44を有している。外壁44は、好ましくは、ハウジング4の後側部分8の外面と実質的に面一をなしている。環状密封部材46が、好ましくはエラストマーOリングの形態をしており、この環状密封部材は、注ぎ口38が図4(a)及び図5(a)に示された閉鎖位置にあるとき、ハウジング4の後側部分8の内面と実質的に気密シールを形成するよう外壁44の周りに延びている。
【0033】
注ぎ口38の外壁44は、注ぎ口38の漏斗状内壁48に連結された状態でこの周りに延びている内壁48は、外壁44に連結されていて、注ぎ口38の流体入口50を構成する比較的幅の広い部分及びリザーバ30内に延びる比較的幅の狭い部分52を有している。図5(b)に示されているように、内壁48の比較的幅の狭い部分52の周りに部分的に延びる少なくとも1つの流体出口54が設けられている。複数の流体出口54が、内壁48の比較的幅の狭い部分52の周りに同一平面内に位置すると共に角度間隔をなした配置状態で設けられるのが良い。この例では、注ぎ口38は、3つの流体出口54を有している。
【0034】
スピンドル56が、内壁48の比較的幅の狭い部分52内に設けられている。スピンドル56は、ハウジング4の後側部分8から孔32に向かって延びている。環状密封部材58が、これ又好ましくはエラストマーOリングの形態をしており、この環状密封部材は、注ぎ口38が閉鎖位置にあるとき、内壁48の比較的幅の狭い部分52の内面に係合してこれと実質的に気密シールを形成するようスピンドル56の周りに延びている。この閉鎖位置では、流体出口54は、密封部材58の左側(図示のように)設けられており、流体出口54は、密封部材58によって流体入口50から隔離されている。
【0035】
上述したように、ハウジング4の後側部分8と注ぎ口38との間の連結部の螺旋溝42は、注ぎ口38の回転により、注ぎ口38が軸線34に沿って並進するよう形作られている。図4(b)及び図5(b)は、注ぎ口38を反時計回りの方向に(図示のように)90°回転させた後の開放位置にある注ぎ口38を示している。この開放位置では、流体出口54は、密封部材58の右側(図示のよう)に少なくとも部分的に位置し、流体出口54が流体入口50と流体連通状態をなすようになっている。加うるに、注ぎ口38の外壁44の周りに延びる密封部材46は、今や、ハウジング4の後側部分8の内壁から間隔を置いて位置し、空気ブリード穴60が注ぎ口38とハウジング4の後側部分8との間に形成されるようになっている。
【0036】
図4(a)及び図5(a)に示されているように、ディスペンサ2は、弁組立体62を有している。弁組立体62の機能は、注ぎ口38が閉鎖位置にあるときにガスがリザーバ30から逃げ出ると共にリザーバ30に入ることができるようにし、それによりリザーバ30と外部環境との間のガス圧力を等しくするということにある。この例では、弁組立体62は、注ぎ口38の外壁44と内壁48との間で注ぎ口38を貫通したガス通路63内に設けられている。ガス通路63は、好ましくは、注ぎ口38が閉鎖位置にあるとき、注ぎ口38の上方部分内に位置する。注ぎ口38は、弁座64を構成するよう形作られており、この弁座は、ガス通路63の周りに延び、弁体66を受け入れる。弁体66は、エラストマー材料で作られており、弁体66前後の圧力差に応じて弁座64に対して動くよう配置されている。この例では、弁体66は、1対の半円形弁リップ68を有するダックビルの形態をした第1の部分及び弁座64に係合する傘状の形態をした第2の部分を有し、弁リップ68は、これら弁リップ68によって常態では閉鎖されたスロット開口部を構成している。リザーバ30内のガス圧力が大気圧よりも低い場合、外部環境により弁体66に及ぼされる力により、弁体66の第1の部分は、変形してスロット開口部を開き、それによりガスが外部環境からリザーバ30に入ることができるようになる。リザーバ30内のガス圧力が大気圧よりも高い場合、リザーバ30内のガスにより弁体に及ぼされる力により、弁体66の第2の部分は、弁座64に対して動いてガスがガス通路63を通って大気中に流出することができる。
【0037】
リザーバ30は、ディスペンサ2のハウジング4内に設けられた流体循環システムの一部をなしている。この循環システムは、図6に概略的に示されている。リザーバ30に加えて、循環システムは、循環システムを通って流体を圧送する流体ポンプ70を有している。図3に示されているように、流体ポンプ70は、好ましくは、ディスペンサ2のベース12内に設置されている。流体ポンプ70は、10〜100ミリリットル/分の流量で且つ水を循環システム中に押し込むのに十分な圧力で水を循環システム中に圧送するよう構成されている。この例では、流体は、約32ミリリットル/分の流量で循環システムを通って流れる。流体ポンプ70は、好ましくは、電動式ポンプ、例えば容量形ポンプである。流体ポンプ70は、導管76によってリザーバ30の第1の流体出口ポート74に連結された入口72を有している。第1の流体出口ポート74は、好ましくは、図4(a)及び図5(a)に示されているように、ハウジング4の後側部分8の底部寄りに配置されており、リザーバ30が比較的少量の液体しか収容していない場合、流体を流体循環システム内で循環させることができるようになっている。
【0038】
流体ポンプ70の出口78は、導管84によって軟水装置82の入口80に連結されている。軟水装置82は、ディスペンサ2のベース12に取り外し可能に連結されたカートリッジの形態をしている。ベース12に連結されたばね押しキャッチ機構体85が、軟水装置82をベース12に当接保持するよう軟水装置82の下方に延びるリブ87に係合している。図3に示されているように、軟水装置82は、軟水装置82がディスペンサ2の底面86を提供するようベース12に取り外し可能に連結されており、それにより、ディスペンサ2への軟水装置82の連結及びその後の交換が容易になっている。慣例として、軟水装置82は、イオン交換樹脂ビーズの床を収容し、このイオン交換樹脂ビーズ床は、循環中の水中のカルシウムイオン及びマグネシウムイオンを引き付けてこれらをナトリウムイオンで置き換える。循環中の水か遷移金属イオンを除去するためのイオン交換物質の第2の床を設けるのが良い。この第2の床は、軟水装置の別個のコンパートメント内に配置されても良く、カルシウム及びマグネシウムイオンを引き付けるためのイオン交換樹脂ビーズと混合されても良い。もう1つの別法として、この第2の床は、ディスペンサ2に取り外し可能に連結された別個のカートリッジ内に収容されても良い。
【0039】
軟水装置82の出口88は、ディスペンサ2のベース12内に設けられた電解セル92の入口90に連結されている。電解セルの断面図が、図7に示されている。電解セル92は、ベース12内に配置された積層本体の形態をしており、この電解セルは、ベース12の底面86に実質的に平行な平面内に位置している。電解セル92は、気体透過性カソード94、アノード96及びカソード94とアノード96との間に位置するメンブレン98を有している。カソード94は、好ましくは、炭素粒子で含浸され又は被覆された長方形のカーボンクロスによって提供されている。カソード94の周囲は、第1のプラスチック製取付け具95によって保持されている。アノード96は、好ましくは、導電性金属酸化物、例えば酸化タンタル、酸化イリジウム及び(又は)酸化ルテニウム或いは他の耐腐食性導電性材料で被覆された長方形のチタンメッシュで作られている。アノードの周囲は、第1のプラスチック製取付け具95の下に配置された第2のプラスチック製取付け具97によって保持され、この第2のプラスチック取付け具も又、アノード96の上方の(図示のように)表面がメンブレン98の下面と密な接触関係をなすようにメンブレン98の周囲を保持している。オプションとして、有孔プラスチック製メンブレン支持体99を、メンブレン98の上方の(図示のように)表面と密な接触関係をなして配置するのが良い。ベース100が、電解セル92の底部を閉鎖するよう第2の取付け具97を底部に連結されている。
【0040】
カソード94及びアノード96は、電解セル92の使用中、電極に適当な電流及び電圧を加えるためのDC電源(図7には示されていない)に接続されている。カソード94は、カソード94と並置されると共に列状に並んだ孔を有する長方形の金属板101によって電源に接続されており、この金属板は、この例では、真鍮で作られている。以下に詳細に説明するように、微孔質フルオロカーボン層102が、カソード94と金属板101との間にサンドイッチされていて、カソード94の上方の(図示のように)表面を実質的に覆っている。金属板101及び層102の周囲も又、第1の取付け具95によって保持されるのが良い。リード線(図示せず)が、アノード96及び金属板101の電源に接続している。
【0041】
この例では、メンブレン98は、好ましくは、Nafion(登録商標)フィルムで作られた陽子伝導性メンブレンである。メンブレン98は、電解セル92内に、カソードチャンバ104及びアノードチャンバ106を画定している。カソードチャンバ104は、カソード94の下方の(図示のように)表面とメンブレン98の上面との間に配置され、アノードチャンバ106は、メンブレン98の下面と電解セル92のベース100の上面との間に配置されている。有孔プラスチックスペーサ110が、カソード94とメンブレン98との間の距離を設定するためにカソード94とメンブレン98(又は、オプションとしてのメンブレン支持体99)との間に位置決めされている。
【0042】
取付け具95,97は、図7に参照符号112で示された入口マニホルドを構成するよう形作られており、この入口マニホルドは、電解セル92の入口90から水を受け入れるよう配置された入口及び水をカソードチャンバ104及びアノードチャンバ106の各々に運び込むよう配置された複数の出口を有している。取付け具95,97は又、図7に参照符号114で示された出口マニホルドを構成するよう形作られており、この出口マニホルドは、各々がカソードチャンバ104及びアノードチャンバ106の各々からそれぞれ水を受け入れるよう配置された複数の入口及び水を電解セル92から出口116に運ぶよう配置された出口を有している。かくして、軟水装置82から受け入れられた軟水は、カソード液としてカソードチャンバ104に供給されると共にアノード液としてアノードチャンバ106に供給される。電解セル92は、カソード液を第1の流量で、好ましくは20ミリリットル/分を超える流量、この例では、約30ミリリットル/分の流量でカソードチャンバ104に供給すると共にアノード液を第1の流量よりも低いゼロではない第2の流量、好ましくは5ミリリットル/分未満の流量、この例では、約2ミリリットル/分の流量でアノードチャンバ106に供給するよう構成されている。カソードチャンバ104及びアノードチャンバ106を通る水の流量の変化を多種多様な仕方のうちの1つで生じさせることができる。この例では、入口マニホルド112の出口は、それぞれ互いに異なるサイズを有している。変形例として、アノードチャンバ106を通る水の流れを絞るためのフローレストリクタを入口マニホルド112とアノードチャンバ106との間に配置しても良い。スペーサ110は、カソード94の下方の(図示のように)表面を横切る水の均一の流れを生じさせる一方で、カソード94とメンブレン98との間の接触を阻止するよう形作られている。
【0043】
軟水装置82から受け取った軟水をアノードチャンバ106へのその供給と平行してカソードチャンバ104に供給するのに手法の代替手段として、軟水をこれらチャンバに直列に運び込んでも良い。例えば、軟水をカソードチャンバ104に運び込み、次にアノードチャンバ106に運び込んでも良く、或いはアノードチャンバ106に運び込み、次にカソードチャンバ104に運び込んでも良い。この構成により、電解セル92の性能が低下するが、電解セル92の構造は、幾分単純化される。
【0044】
電解セル92は、酸素含有ガス、この例では空気をカソード94に供給する空気チャンバ118を更に有している。図3に示されているように、空気チャンバ118を通る空気の流れを発生させるためのファン120が、電解セル92に取り付けられている。ファン120は、空気チャンバ118を通る流量が約3リットル/分及び圧力が1〜3ミリバールの空気流を発生させるよう構成されている。過剰空気を空気チャンバ118から排出することができるようにする圧力逃がし弁を設けるのが良い。
【0045】
図6に戻ると、電解セル92の出口116から排出された流体は、導管124によってリザーバ30の流体入口ポート122に運ばれる。流体入口ポート122は、好ましくは、ハウジング4の後側部分8に設けられた第1の流体出口ポート74と反対側に設けられている。
【0046】
流体ポンプ70、電解セル90及びファン120の作動は、図3に示されているように、ハウジング4の前側部分6内に設けられた電子制御回路126によって制御される。制御回路126は、マイクロプロセッサを有し、この制御回路は、プリント回路板上に実装されており、このプリント回路板は、全体がハウジング4の前側部分6内に配置されるようハウジング4の後側部分8の前側に取り付けられるのが良い。
【0047】
バッテリパック129が、プリント回路板に接続されている。バッテリパック128は、好ましくは、充電可能であり、好ましくは、完全充電状態で2.4〜3.6Vの電圧を有する出力を生じさせる単一のリチウムイオン電池から成る。制御回路126は、好ましくは、バッテリパックを充電する充電回路を有している。制御回路126は、バッテリパック128を充電するための電力を、ディスペンサ2のベース12を受け入れるよう構成されたベースステーション130から受け取る。図3及び図8を参照すると、ベースステーション130は、ベース134に連結されていて、これから直立した実質的に半円形の側壁132を備えた本体を有している。傾斜面136は、側壁132と一体でこれによって包囲されており、かかる傾斜面は、側壁132と一緒になって、ディスペンサ2のベース12の底面86を受け入れると共にディスペンサ2をベースステーション130上に保持するキャビティを構成している。傾斜面136は、好ましくは、水平に対して6°〜20°の角度をなして傾斜し、この例では、水平に対して約8°の角度をなして傾斜している。ドーム状コネクタ138が、ディスペンサ2のベース12に設けられた受け具140と嵌合するよう傾斜面136から上方に延びており、この受け具は、軟水装置82に形成された孔を貫通している。一対の金属製コネクタ142,144が、ベース134から直立しており、各コネクタ142,144は、受け具140内に設けられていて、制御回路126に電力を供給するよう構成された電気コネクタ(図示せず)に接触するようドーム状コネクタ138に設けられている孔146の各々をそれぞれ貫通している。制御回路126は、ディスペンサ2がベースステーション130上に正しく位置決めされているときに、即ち、コネクタ142,144はベース12の電気接点に接触した状態で信号を出力するセンサ(図示せず)を有している。ベースステーション130が設置されている作業カウンタ又は他の表面に係合する足148をベースステーション130のベース134の底面に連結するのが良い。電源ケーブル(図示せず)が、ベースステーション130から延びており、ベースステーション130を電源コンセントに接続するプラグで終端している。
【0048】
図3及び図6に戻ると、ディスペンサ2は、水をリザーバ30からノズル26に供給する第2の流体ポンプ150を有している。第2の流体ポンプ150は、好ましくはノズル26のすぐ後ろでハウジング4の前側部分6内に設けられている。第2の流体ポンプ150は、好ましくは、モータ152によって作動される歯車ポンプ又は別の容量形ポンプであり、モータ152も又、ケーシング4の前側部分6内に設けられている。モータ152の作動は、トリガ28の作動に応答して制御回路126によって制御される。トリガ28は、ばね154又は他の弾性要素によってディスペンサ2の本体14から「オフ」位置に向かって押し離されており、この「オフ」位置では、第2の流体ポンプ150は、不作動状態にある。水を第2の流体ポンプ150に供給する可撓性導管156が、リザーバ30の第2の流体出口ポート158と第2の流体ポンプ150の入口160との間に連結されている。第2の流体出口ポート158は、好ましくは、ケーシング4の後側部分8の底部寄りに配置され、かかる第2の流体出口ポートは、第1の流体出口ポート74に並んで又はその下に配置されるのが良い。
【0049】
次に、ディスペンサ2の作動について詳細に説明する。リザーバ30を充填するため、ユーザは、ディスペンサ2をベースステーション130から取り外し、片手でディスペンサ2の本体14を持って注ぎ口38の軸線34がほぼ垂直になるようにする。ユーザは、もう片方の手の親指及び人差し指で注ぎ口38を約90°だけ反時計回りの方向に回転させて注ぎ口38を図4(a)及び図5(a)に示す閉鎖位置から図4(b)及び図 5(b)に示す開放位置に動かす。次に、ユーザは、水を蛇口、ディスペンサ又は他の水源から注ぎ口38内に注ぎ込む。水は、注ぎ口38の内壁48によって注ぎ口38の流体入口50から流体出口54に運ばれ、水は、この流体出口を通ってリザーバ30に流入する。図5(a)及び図5(b)に示すように、スピンドル56の端部161は、水を流体出口54内に案内するよう形状が円錐形である。注ぎ口38が開放位置にあるときに空気ブリード穴60が開いているので、空気は、リザーバ30が水で一杯になるにつれて、空気ブリード穴60を通ってリザーバ30から押し退けられる。
【0050】
ユーザは、注ぎ口38を開放位置に動かすたびにリザーバ30を満たすよう指示される。リザーバ30が一杯になると、ユーザは、注ぎ口38を時計回りの方向に回転させて注ぎ口38を閉鎖位置に戻すと共に空気ブリード穴60を閉鎖する。以下に詳細に説明する理由で、制御回路126は、好ましくは、閉鎖位置から開放位置への注ぎ口38の運動を検出するセンサを有する。このセンサは、好都合には、プリント回路板の後面に設けられるのが良い。
【0051】
次に、ユーザは、ディスペンサ2を電力が電源コンセントから供給されるベースステーション130の上に置く。制御回路126は、ディスペンサ2がベースステーション130上に正しく位置決めされているとき、即ち、コネクタ142,144がベース12の電気接点に接触している状態で、信号を出力するセンサ(図示せず)を有する。制御回路126は、この信号の受信時に、ベースステーション130から受け取った電力を用いて流体ポンプ70及びファン120を稼働させると共に電解セル92を作動させる。バッテリパック128の電圧に応じて、電気回路は又、バッテリパック128を充電するよう充電回路を制御することができる。バッテリパック128の現在の電圧を表す信号を出力する別のセンサを設けるのが良く、かかる現在の電圧は、バッテリパック128が充電を必要としているかどうかを判定するために制御回路126によって用いられる。
【0052】
流体ポンプ70を作動させると、水は、流体循環システム中を循環する。水は、約32ミリリットル/分の流量で、リザーバ30の第1の流体出口ポート74から流体ポンプ70の入口72に流れ、次に流体ポンプ70の出口78から軟水装置82の入口80に流れる。軟水装置82内では、水は、イオン交換樹脂ビーズの床を通って運ばれて水中のカルシウムイオン及びマグネシウムイオンがナトリウムイオンで置き換えられる。
【0053】
軟水は、軟水装置82を通過すると、電解セル92にその入口90を通って流入する。軟水は、第1及び第2のプラスチック製取付け具95,97により構成された入口マニホルド112に流入し、この入口マニホルドは、軟水を第1の流れと第2の流れに分割する。入口マニホルド112の出口のサイズが互いに異なるために、第1の流れは、カソード液として130ミリリットル/分の流量でカソードチャンバ104内に運び込まれ、第2の流れは、アノード液として約2ミリリットル/分の流量でアノードチャンバ106内に運び込まれる。
【0054】
制御回路126によるファン120の作動により、空気チャンバ118を通る空気の流れが生じる。空気チャンバ118内の酸素分子は、金属板101の孔及び微孔質層102の細孔を通ってカソード94を形成しているカーボンクロスの細孔に流入する。金属板101とカソード94との間に微孔質層102が設けられているので、カソードチャンバ104から空気チャンバ118への軟水の通過に対して物理的及び化学的バリヤが得られる。かかるバリヤをカソードチャンバ104と空気チャンバ118との間に設けることにより、カソード94及び空気チャンバ118を通る流体循環システムからの水の漏れが、阻まれる。さらに、空気チャンバ118への空気は、電解セル92から空気チャンバ118内への水の流入に対する空気バリヤとして働く必要がないので、空気チャンバ118を通って流れる空気流の圧力は、酸素分子を許容可能な流量でカソード94に供給するのに十分な比較的低い値、例えば、1〜3ミリバールを有することができる。これにより、比較的安価且つ比較的小形のファン120を用いて空気チャンバ118内に空気流を生じさせることができる。
【0055】
制御回路126は、カソード94及びアノード96に電圧をかけることにより電解セル92を作動させる。流体ポンプ70の作動が開始した後、電解セル92は、所与の期間、この例では、約3〜4秒間作動され、したがって、電解セル92が作動されると、水は、電解セル92を通って既に流れているようになる。ファン120の作動は、流体ポンプ70の作動前に、この例では、約3〜4秒前に開始され、それによりカソード94は、水が溢れるようになるのが阻止される。軟水は、作動状態の電解セル92のアノード96のところで酸化されて以下の反応式に従って酸素及び陽子(水素イオン)を生じる。
【0056】
〔化1〕
2H2O→O2+4H++4e-
【0057】
アノード96がメッシュ状なので、多数のエッジが得られ、このエッジにおいて、酸素ガスが放出される。陽子は、メンブレン98を横切ってカソード94に向かって移動し、このカソードのところでは、空気チャンバ118からカソード94に流入する空気とカソードチャンバ104からカソード94に流入する軟水との間に三相気−液−固インタフェースが存在する。このインタフェースのところでは酸素は過酸化水素に還元され、この反応は、次のように簡単に表しえる。
【0058】
〔化2〕
2H++O2+2e-→H22
【0059】
カソード94のところの電流密度は、カソード94のところで水の還元から水素ガス(H2)の望ましくない生成が生じるのを阻止するよう制御される。第1に、制御回路126は、10〜20Vの比較的低い電圧を電解セル92の両電極間に印加するよう構成されている。第2に、スペーサ110は、カソードチャンバ104内において、カソード94の下面を横切る比較的一様な水の流れを発生させるのに役立ち、それにより、カソード94の端から端まで比較的一様な電流分布が生じる。これは、水の流量が比較的低いカソード94の領域に比較的高い電流密度の孤立した「ポケット」の生成を阻止する。
【0060】
電解セル92の使用中、メンブレン98は、水と連続接触状態にあり、それにより、メンブレン98は、膨潤する。スペーサ110及び(又は)オプションとしてのメンブレン支持体99に形成された孔により、メンブレン98は、これら孔を通ってカソード94に向かって上方に膨張する。これら孔の寸法及び分布の結果として、各孔を通るメンブレン98の比較的一様で小規模の膨張が生じる。カソード94とメンブレン98との間の間隔は、膨張後のメンブレン98がカソード94に接触して損傷状態になることがないように選択される。
【0061】
軟水装置82内でのナトリウムイオンによるカルシウムイオンの置き換えは、電解セル92の稼働寿命を著しく延長するのに役立つ。もしそうでなければ、カソードチャンバ104を通って流れるカソード液中のカルシウムイオンの存在により、カソード94への炭酸カルシウムの付着が生じ、それにより、カーボンクロスの細孔が塞がると共に酸素がカソード94内に気−液−固インタフェースを形成するのが阻止される。
【0062】
かくして、出口マニホルド114は、カソードチャンバ104から過酸化水素含有水の流れを受けると共にアノードチャンバ106から酸素含有水の流れを受け取る。これら2つの水の流れは、出口マニホルド114のところで混合され、過酸化水素及び酸素の泡を含んだ混合状態の水の流れは、流体ポンプ70の圧送作用下において電解セル92の出口116からリザーバ30の流体入口ポート122に運ばれる。その結果、流体循環システムの作動中、リザーバ30内に貯められた水中の過酸化水素の濃度は、次第に増大する。流体入口ポート122を通ってリザーバ30に流入する水の中に同伴されている酸素の泡は、リザーバ30内のガス圧力が弁体66の第2の部分を弁座64から遠ざけるのに十分な場合、弁組立体62によってリザーバ30から定期的に排出される。
【0063】
リザーバ30と電解セル92との間の水の循環の結果として、アノードチャンバ106を通って流れるアノード液は、漸増する量の過酸化水素を含むことになる。アノード液中の過酸化水素は、次の反応式に従って酸化されて水になる。
【0064】
〔化3〕
2H22→2H2O+O2+2e-
【0065】
アノードチャンバ106を通る水の流量(この例では約2リットル/分)は、アノード96のところでの過酸化水素の分解を最小限に抑えるためにカソードチャンバ104を通る水の流量(この例では、30リットル/分)よりも著しく低くなるよう選択される。アノードチャンバ106を通る水の流量は、ゼロではないレベルに保たれる。というのは、カソードチャンバ104からの過酸化水素に富んだ水とアノードチャンバ106からの過酸化水素が少なくなった水の混合が、有利には、リザーバ30内に貯められている水のpHを減少させるのに役立ち、それにより、貯留水中の過酸化水素の安定性が高まる(過酸化水素の崩壊速度、即ち、半減期を減少させることにより)からである。この例では、過酸化水素発生の完了時にリザーバ30内に貯められている溶液のpHは、好ましくは9.5未満である。さらに、アノードチャンバ106を通るアノード液の流れは、アノード96のエッジのところに生じる酸素ガスの泡を脱落させるのに役立ち、それにより、これら泡を電解液の流れに入った状態でアノードチャンバ106から運び出すことができると共に酸素ガスの新たな泡をアノード96のところに発生させることができる。
【0066】
アノードチャンバ106からの酸素泡の除去は、過酸化水素の発生中、水平に対する電解セル92の傾斜によって一段と助けられる。これを考慮して、制御回路126は、ディスペンサ2がベースステーション130上に正しく位置決めされているときにのみ、即ち、ディスペンサ2のベース12の底面86がベースステーション130の傾斜面136上に完全に且つこれに平行に配置された状態で、流体ポンプ70及びファン120を稼働させると共に電解セル92を作動させるよう構成されている。ディスペンサ2がベースステーション130から取り外されると、制御回路126は、電解セル92を作動停止させて、過酸化水素の発生を終わらせ、流体ポンプ70の作動を停止させ、そしてファン120の作動を停止させるよう構成されている。
【0067】
循環中の水からの遷移金属イオンの除去も又、過酸化水素を酸化して水にする速度を最小限に抑えるのを助ける。かかる金属イオンは、過酸化水素の分解のための触媒としての役目を果たすことができ、したがって、循環中の水中の遷移金属イオンの存在は、アノードチャンバ106内における過酸化水素の酸化を望ましくないほど促進するのに役立つということが判明した。制御回路126は、好ましくは、実質的に満杯状態のリザーバ30、即ち約150ミリリットルの水中に0.6〜0.65%、この例では約0.62%の濃度の過酸化水素を発生させるのに十分な期間にわたり電解セル92を作動させるよう構成されている。この例では、過酸化水素の濃度は、約2〜10時間、好ましくは約4〜6時間でこの値に達する。図2及び図4(a)に戻ってこれらを参照すると、ライトパイプ162が、ケーシング4の前側部分6に形成された孔を通って突き出るようケーシング4の後側部分8に取り付けられている。ライトパイプ162は、制御回路126の緑色発光ダイオード(LED)及び赤色LEDに接続されている。制御回路126は、これらLEDを作動させて多くの視覚的警報をディスペンサ2のユーザに発生させる。これら視覚的警報としては、次のものが挙げられる。
・電解セル92による過酸化水素の発生中における赤色光の常時点灯、
・例えばリザーバ30が空である場合又は軟水装置82の排出の結果として、電解セル92内における炭酸カルシウムの堆積が生じた場合、電解セルによる過酸化水素の発生中における赤色光の閃光、
・貯留水中の過酸化水素の濃度が所定の値に達する前にディスペンサ2がベースステーションから取り外された場合、貯留水中の過酸化水素の濃度がこの所定の値よりも低い場合又はこれを下回った場合、若しくは、バッテリパック128が充電を必要とする場合における琥珀色光の閃光、
・注ぎ口38が開放位置にあることを示すための緑色光の閃光、及び
・電解セルによる過酸化水素の発生が完了した時点における緑色光の常時点灯。
【0068】
この例では、この所定の値は、0.45〜0.6%、好ましくは約0.5%である。
【0069】
赤色光の常時点灯から緑色の常時点灯への変化により、ディスペンサ2がいつでも使用できる状態にあることがユーザに知らされる。ディスペンサ2をベースステーション130から取り外すために、ユーザは、ディスペンサ2の本体14を掴み、これをベースステーション130から持ち上げる。ベースステーション130から取り外されると、電力がバッテリパック128から制御回路126に供給され、この電力は、制御回路126によって用いられてとりわけモータ152及びLEDを作動させる。
【0070】
ディスペンサ2は、ユーザにより人間工学的に且つ快適な仕方で保持されるよう設計されている。ディスペンサ2は、ディスペンサ2のヘッド16の後方に延びる底面163がユーザの親指で支えられると共にユーザの人差し指がトリガ28のベースの周りに延びる棚部164で支えられて保持されるよう設計されている。図1及び図3に示されているように、棚部164は、ディスペンサ2の本体14に実質的に直角である。棚部164は、種々の大きさの手に対して支持体となるよう実質的にC字形又は半環状である。棚部164は、ユーザの人差し指を棚部164の上面に載せるために上方又は下方に伸ばす必要がないようにヘッド16の底面163の下に配置されている。この例では、ヘッド16の底面163とトリガ28の棚部164の上面との間の垂直距離は、20〜30mm、好ましくは約26mmである。棚部164の前面とケーシング4の後側部分8の後面との間の距離は、好ましくは40〜50mm、より好ましくは46mmであり、その結果、ユーザの人差し指を棚部164の上面に載せるために上方に伸ばす必要がないようになっている。棚部164とディスペンサのベース12の上面との間の垂直距離は、60〜80mm、好ましくは約67mmであり、その結果、ディスペンサ2の本体14を掴んでいるユーザの手の他の指を棚部164とベース12との間に快適に置くことができるようになっている。本体14は、好ましくは、トリガ28の下に設けられていて、ユーザの手の小指を受け入れる凹状部分166を有し、その結果、ディスペンサ2を掴むためにディスペンサ2の本体14周りに指を伸ばす必要がないようになっている。ディスペンサ2の最大重量は、ユーザがディスペンサ2を容易に持ち運ぶことができるよう500g未満である。
【0071】
過酸化水素含有水をディスペンサ2から小出しするため、ユーザは、ノズル26を滅菌されるべき表面に狙いをつけ、トリガ28をばね154の力に抗して、短い距離、例えば3〜5mmだけ押し込む。トリガ28のこの押し込みは、制御回路126によって検出される。制御回路126は、バッテリパック128内に蓄えられている電荷を用いて第2の流体ポンプ150のモータ152を作動させ、それにより第2の流体出口ポート158を通って過酸化水素含有水をリザーバ30から引き出す。過酸化水素含有水は、第2の流体ポンプ150を通り、そして約1ミリリットル/秒の流量で且つ1〜2バールの圧力状態でスプレーの形態でノズル26から小出しされる。スプレーは、好ましくは、60°〜70°の噴霧角度を有する。過酸化水素含有水がリザーバ30から引き出されると、部分真空がリザーバ30中に作られる。リザーバ30内のガスの圧力が減少すると、外部環境により弁体66に及ぼされる力によって、弁体66の第1の部分は、変形して弁体66のスロット開口部を開き、それにより空気が外部環境からリザーバ30に流入することができ、それによりリザーバ30内のガス圧力は、ほぼ大気圧状態に戻る。
【0072】
過酸化水素含有水の噴霧は、(i)トリガ28が一時的に釈放された場合でもディスペンサ2が過酸化水素含有水を噴霧し続けるよう好ましくは0.5秒を越える期間にわたりユーザによるトリガ28の釈放、(ii)リザーバ30が空になること及び(iii)バッテリパック128が消耗することのうちの最初の現象が生じるまで続く。
【0073】
リザーバ30内に溜まっている過酸化水素は、次第に崩壊して水と酸素を生じ、したがって、経時的に、ディスペンサ2から噴霧された溶液中の過酸化水素の濃度は、次第に減少することになる。例えば、過酸化水素の濃度が約0.62%から上述の所定の値、この例では、約0.5%になるのに約12時間かかるであろう。制御回路126は、過酸化水素の濃度が開放位置への注ぎ口38の運動の検出から始まって、時間を基礎としてこの値まで下がった時期を求めるよう構成されている。過酸化水素アノードがこの値まで下がったことを制御回路126がいったん判定すると、制御回路126は、LEDを作動させて閃光状態の琥珀色の光を発生させてディスペンサ2がベースステーション130に戻されるべきことをユーザに警告する。ディスペンサ2がベースステーション130にいったん戻されると、制御回路126は、(i)注ぎ口38が開かれてから経過した期間及び(ii)注ぎ口38が開かれてから小出しされた過酸化水素含有水の量(これは、トリガ28の作動持続時間から求めることができる)に基づいて所与の期間にわたり循環システムを再び作動させる。ディスペンサ2がベースステーション130上に戻される前に注ぎ口38が再び開かれた場合、制御回路126は、リザーバ30に新しい水が補給されたものと見なす。また、ディスペンサ2をベースステーション130上に戻すことは、バッテリパック128を充電するのに役立つ。
【0074】
ユーザは、軟水装置82を定期的に、例えば6箇月ごとに交換するよう指令されるのが良い。変形例として、制御回路126は、使用中、電解セル92に流される電流の量をモニタするよう構成されても良い。というのは、電解セル92に流される電流の変動は、軟水装置82の性能低下に起因した電解セル92内のカルシウム堆積物の増加を表す場合があるからである。電解セル92により消費される電流に応じて、制御回路126は、LEDを作動させて警報、例えば常時点灯による琥珀色の警報を発生させ、それによりユーザに軟水装置82の状態を知らせるのが良い。軟水装置82をいったん交換すると、電解セル92内のカルシウム堆積物は、電解セル92を通って流れる水(カルシウムを含んでいない水)によって次第に除去されることになる。
【0075】
本発明は、上記において詳細に説明した特定の実施形態には限定されない。本発明の範囲から逸脱することなく、添付の図面に示された機器の細部に対して種々の改造を行うことができる。
【0076】
本発明に関連する好ましい態様として、以下のものをあげることができる。
[1]
スプレーディスペンサであって、
液体を貯めるリザーバ、前記リザーバから液体を受け入れて前記液体中の酸化特性レベルを増大させる電解セル、及び流体を前記リザーバと前記電解セルとの間で循環させる手段を収容したハウジングと、
前記リザーバから液体を小出しするノズルとを有する、スプレーディスペンサ。
[2]
前記電解セルは、前記リザーバから受け入れた水から過酸化水素を発生させるよう構成されている、上記[1]記載のスプレーディスペンサ。
[3]
スプレーディスペンサであって、
水を貯めるリザーバ、前記リザーバから水を受け入れると共に酸素含有ガスを受け入れてこれらから過酸化水素を発生させる電解セル、及び流体を前記リザーバと前記電解セルとの間で循環させて貯められた前記水の中の過酸化水素の濃度を増大させる手段を収容したハウジングと、
前記リザーバから過酸化水素含有水を小出しするノズルとを有する、スプレーディスペンサ。
[4]
前記電解セルは、ガス拡散カソードと、メンブレンと、アノードとを有し、前記スプレーディスペンサは、酸素含有ガスを前記カソードの一方の側に供給する手段を有し、前記流体循環手段は、水を前記カソードの他方の側と前記メンブレンとの間で運ぶよう構成されている、上記[2]又は[3]記載のスプレーディスペンサ。
[5]
前記酸素含有ガス供給手段は、空気を前記カソードの前記一方の側に吹き付けるファンから成る、上記[4]記載のスプレーディスペンサ。
[6]
前記流体循環手段は、水を前記アノードと前記メンブレンとの間で運ぶよう構成されている、上記[4]又は[5]記載のスプレーディスペンサ。
[7]
前記メンブレンは、水素イオン交換膜から成る、上記[4]〜[6]のうちいずれか一に記載のスプレーディスペンサ。
[8]
前記ハウジングは、ベース及び前記ベースから上方に延びる本体を有し、前記電解セルは、前記ベース内に配置されている、上記[1]〜[7]のうちいずれか一に記載のスプレーディスペンサ。
[9]
前記リザーバから水を受け入れて、前記電解セルに軟水を出力する軟水装置を有する、上記[1]〜[8]のうちいずれか一に記載のスプレーディスペンサ。
[10]
前記軟水装置は、前記リザーバから受け入れた前記水から遷移金属イオンを除くイオン交換物質を有する、上記[1]〜[9]のうちいずれか一に記載のスプレーディスペンサ。
[11]
前記リザーバから水を受け入れ、受け取った前記水から遷移金属イオンを除き、そして繊維金属イオンが減少した水を前記電解セルに出力するイオン交換物質を有する、上記[1]〜[8]のうちいずれか一に記載のスプレーディスペンサ。
[12]
水を前記リザーバ内に導入する注ぎ口を有し、前記注ぎ口は、前記リザーバに対して開放位置と閉鎖位置との間で動くことができる、上記[1]〜[11]のうちいずれか一に記載のスプレーディスペンサ。
[13]
前記ハウジングは、前記電解セルを作動させる制御回路を収納している、上記[1]〜[12]のうちいずれか一に記載のスプレーディスペンサ。
[14]
前記制御回路は、前記注ぎ口の移動から経過した時間に応じて、前記電解セルの作動の持続時間を制御するよう構成されている、上記[12]又は[13]記載のスプレーディスペンサ。
[15]
前記注ぎ口の運動を検出し、かかる運動を表す信号を前記制御回路に出力するセンサを有する、上記[14]記載のスプレーディスペンサ。
[16]
前記制御回路は、前記注ぎ口が動いてから小出しされた液体の量に応じて、前記電解セルの作動を制御するよう構成されている、上記[14]又は[15]記載のスプレーディスペンサ。
[17]
前記流体循環手段は、電動式ポンプから成る、上記[1]〜[16]のうちいずれか一に記載のスプレーディスペンサ。
[18]
手持ち型スプレーディスペンサの形態をしている上記[1]〜[17]のうちいずれか一に記載のスプレーディスペンサ。
[19]
上記[1]〜[18]のうちいずれか一に記載のスプレーディスペンサと、前記スプレーディスペンサを受け入れ、電力を前記電解セルに供給するベースステーションとを有する、装置。
[20]
前記スプレーディスペンサは、電池と、前記ベースステーションから電力を受け取るよう構成された電池充電器とを有する、上記[19]記載の装置。
【符号の説明】
【0077】
2 スプレーディスペンサ
4 ハウジング
6 ハウジングの前側部分
8 ハウジングの後側部分
12 ベース
14 本体
26 ノズル
28 トリガ
30 リザーバ
32 孔
38 注ぎ口
42 溝
62 弁組立体
70 流体ポンプ
82 軟水装置
92 電解セル
150 第2の流体ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプレーディスペンサであって、
ベース(12)と、前記ベース(12)から上方に延びる本体(14)と、ヘッド(16)とを構成するように形作られているハウジング(4)を有し、
前記本体(14)は、液体を貯めるリザーバ(30)を有し、
前記ベース(12)は、前記リザーバ(30)から液体を受け入れて、前記リザーバ(30)から受け入れた液体から過酸化水素を発生させ、前記液体中の酸化特性レベルを増大させる電解セル(92)、及び、前記リザーバ(30)と前記電解セルとの間で液体を循環させる流体循環システムを有し、
前記流体循環システムは、前記流体循環システムを通って液体を圧送する第1の流体ポンプ(70)を有しており、
前記ヘッド(16)は、前記リザーバ(30)から液体を小出しするノズル(26)を有し、
さらに、水を前記リザーバ(30)から前記ノズル(26)に供給する第2の流体ポンプ(150)を有しており、
さらに、前記リザーバ(30)から前記ノズル(26)に液体を運ぶために、ユーザの手の人差し指により作動可能なトリガ(28)が、前記本体(14)の前記ヘッド(16)のノズル側部分の下に設けられている、
ことを特徴とするスプレーディスペンサ。
【請求項2】
前記液体は水であり、前記電解セルは、前記リザーバから前記液体を受け入れると共に酸素含有ガスを受け入れ、前記液体は、前記リザーバと前記電解セルとの間で循環されて、前記リザーバに貯められた前記液体の中の過酸化水素の濃度を増大させ、前記ノズルは、前記リザーバから過酸化水素含有水を小出しする、
ことを特徴とする請求項1に記載のスプレーディスペンサ。
【請求項3】
前記電解セルは、ガス拡散カソードと、メンブレンと、アノードとを有し、前記スプレーディスペンサは、酸素含有ガスを前記カソードの一方の側に供給する手段を有し、
前記メンブレンは、前記カソードと前記アノードとの間に位置し、カソードチャンバ及びアノードチャンバを画定し、
前記流体循環システムは、水を前記カソードの他方の側と前記メンブレンとの間で運ぶよう構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のスプレーディスペンサ。
【請求項4】
前記酸素含有ガス供給手段は、空気を前記カソードの前記一方の側に吹き付けるファンを含むことを特徴とする、請求項3に記載のスプレーディスペンサ。
【請求項5】
前記流体循環システムは、水を前記アノードと前記メンブレンとの間で運ぶよう構成されていることを特徴とする、請求項3又は4記載のスプレーディスペンサ。
【請求項6】
前記メンブレンは、水素イオン交換膜から成ることを特徴とする、請求項3〜5のうちいずれか一項に記載のスプレーディスペンサ。
【請求項7】
前記ハウジングは、ベース及び前記ベースから上方に延びる本体を有し、前記電解セルは、前記ベース内に配置されていることを特徴とする、請求項1〜6のうちいずれか一項に記載のスプレーディスペンサ。
【請求項8】
前記リザーバから水を受け入れて、前記電解セルに軟水を出力する軟水装置を有することを特徴とする、請求項1〜7のうちいずれか一項に記載のスプレーディスペンサ。
【請求項9】
前記軟水装置は、前記リザーバから受け入れた前記水から遷移金属イオンを除くイオン交換物質を有することを特徴とする、請求項8に記載のスプレーディスペンサ。
【請求項10】
前記リザーバから水を受け入れ、受け取った前記水から遷移金属イオンを除き、そして遷移金属イオンが減少した水を前記電解セルに出力するイオン交換物質を有することを特徴とする、請求項1〜7のうちいずれか一項に記載のスプレーディスペンサ。
【請求項11】
水を前記リザーバ内に導入する注ぎ口を有し、前記注ぎ口は、前記リザーバに対して開放位置と閉鎖位置との間で動くことができることを特徴とする、請求項1〜10のうちいずれか一項に記載のスプレーディスペンサ。
【請求項12】
前記ハウジングは、前記電解セルを作動させる制御回路を収納していることを特徴とする、請求項11に記載のスプレーディスペンサ。
【請求項13】
前記制御回路は、前記注ぎ口が開かれてから経過した期間に基づいて、前記流体循環システムを再び作動させるように構成されていることを特徴とする、請求項12に記載のスプレーディスペンサ。
【請求項14】
前記制御回路は、閉鎖位置から開放位置への前記注ぎ口の運動を検出し、かかる運動を表す信号を前記制御回路に出力するセンサを有することを特徴とする、請求項13に記載のスプレーディスペンサ。
【請求項15】
前記制御回路は、前記トリガの作動持続時間から求めた前記注ぎ口が開かれてから小出しされた液体の量に基づいて、前記流体循環システムを再び作動させるように構成されていることを特徴とする、請求項13又は14に記載のスプレーディスペンサ。
【請求項16】
前記流体循環システムは、電動式ポンプを含むことを特徴とする、請求項1〜15のうちいずれか一項に記載のスプレーディスペンサ。
【請求項17】
請求項1〜16のうちいずれか一項に記載のスプレーディスペンサと、前記スプレーディスペンサを受け入れ、電力を前記電解セルに供給するベースステーションとを有することを特徴とする装置。
【請求項18】
前記スプレーディスペンサは、電池と、前記ベースステーションから電力を受け取るよう構成された電池充電器とを有することを特徴とする、請求項17に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−223761(P2012−223761A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−119775(P2012−119775)
【出願日】平成24年5月25日(2012.5.25)
【分割の表示】特願2009−40684(P2009−40684)の分割
【原出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(508032310)ダイソン テクノロジー リミテッド (286)
【Fターム(参考)】