説明

スプレー導管及び90度オフセットしたスプレー導管を有するエアゾール缶用キャップ

スプレー導管(10)、特に、ボタン(6)及び90°オフセットしたスプレー導管(10)を有するキャップ(7)に組み込まれたスプレー導管(10)に関して、心地よい音を達成する目的で、前記スプレー導管が、製品の吐出に影響を与える表面構造を内表面上に有して、その結果特有の吐出音が達成されることを提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品を噴霧するための容器に関し、一方で、スプレー音に影響を与える装置を有し、表面構造が、製品の吐出動作に影響を与えるために、スプレー導管の内表面に設けられている、製品、特にヘアースプレーを噴霧するためのスプレー導管に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者に心地よいスプレー音は、主として容器が可聴範囲で使用される場合に、その消費者にとって有利となる。一方、本発明は、90°オフセットしたスプレー導管を囲む、キャップに組み込まれたスプレーブラケットを有すると共に、容器、特にエアゾール缶又はスプレー缶の弁を作動させるためのボタンを有するキャップであって、ボタンが手動で作動されたときにステムを偏向させて弁を開くために、90°オフセットしたスプレー導管を介して容器のステムに対して作用するようにボタンが設けられているキャップに関する。このようにして、缶に収容された製品は、スプレー導管を通過して、スプレー導管がスプレー音を変化させる方式で音響的に影響を受けるときに、ステムと、キャップに設けられた製品吐出開口部とを通って出ることが可能となる。キャップ内部での音の変化は、対応する共鳴空間を有するキャップにおいて特に適切である。
【0003】
このタイプのスプレー導管及びこのタイプのキャップは、WO01/96210A2により既知である。弁ハウジングのアダプター内の溝は、特定の目標とする音調を達成する目的で、容器内に流動導管を形成する(前記公報の図58及び59)ために使用される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既知の技術は、満たされた容器における共鳴が比較的高い減衰を受けるという欠点を有している。又、スプレー導管の内表面の比較的粗い表面構造は、あらゆる容器設計又は製品に対して最適ではない。
従って、本発明の目的は、この欠点に対する解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、キャップの領域において、スプレー導管に表面構造を設けることによって達成される。この状況において、スプレー導管は、90°オフセットしたスプレー導管を囲むスプレーブラケットとして設計される(請求項1)。スプレー導管は、キャップ内に配置され、その表面構造付きのバージョンにおいては、キャップ内部の対応する共鳴と共に心地よいスプレー音を生じる。非常に良好な結果は、基本的に、表面構造がミクロ構造である場合に達成される(請求項3)。しかしながら、流れの方向に互いに平行に整列された複数の流動リブを備える構造(請求項2)も又、非常に良好な音響結果をもたらす。特に、スプレー流路の内部が、粗面化された表面、エンボス加工された表面、侵食がなされた表面、又はひび入りのラッカーが設けられた表面であるものがミクロ構造として適切となる(請求項4)。しかしながら、ミクロ構造は、サメ皮のように、ハス葉の表面のように、又は、永久的なオイルコーティング(permanent oil coating)若しくは他の方法など、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)でコーティングした他の表面のように設計することができる。ミクロ構造において、その構造、例えば偏菱形の構造は、より大きな効果を達成するように、流れの方向に向けることができる。これらの処置はすべて、エアゾールスプレー及びフォームの場合に流動抵抗を低下させることになる。エアゾール製品は、出口圧力下にあり、アルミニウム又はブリキ板のエアゾール圧力容器に収容されている。製品を排出するために、弁プレートに配置された弁を始動させ、エアゾールが、圧力と音を放ちながら缶から出る。そのように動作する際、エアゾールはまず、缶から流出して弁に流入する。次いで、エアゾールは弁ステムを通過してフィードライン(ヘアースプレーの場合、これはスプレー導管である)に流入し、ノズル(ヘアースプレーの場合はインサート)を通過する。
【0006】
弁及びスプレーレバー、又フィードラインは流動抵抗である。それらはエネルギーを消費し、音を生じる。これらはいずれも望ましくないものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明について、2つの例示的な実施形態を示す図を参照して、以下で詳細に説明する。
【0008】
空気動力学の分野から、境界層に対する乱流及び層流は、流動容器(流動胴体)の壁を粗面化することによって低減できることが知られている。エアゾール缶における流動の場合、これは次のことを意味する。
【0009】
即ち、すべての流動導管は、例えば、サンドブラストによって内部を粗面化するか、導管の内側をエンボス加工によって粗面化するか、リブを構造的に組み込むことによって導管内を粗面化するか、又は成形面によって導管内を粗面化することができる。
【0010】
製造の要件により、対応する流動導管は、内部の機械加工が可能となるような方式で設計されなければならない。これは、例えば、2つの半体を射出成形し、後にそれらを一体に組み合わせることによって達成することができる。侵食の表面構造は従って、VDI 3400、RT 12−45に基づいて施すことができる。この表面構造は、1つの乱流境界層に相当する最大高さを有することになる。
【0011】
すべての表面構造は、いかなる付加的な流動抵抗も生じないように、流れの方向に整列されなければならない。
【0012】
キャップ7は、90°オフセットしたスプレー導管10を囲み且つキャップ7に組み込まれたスプレーブラケット2と共に、エアゾール缶である缶1の弁を作動させるためのボタン6を有している(図1)。ボタン6は、この目的で、ボタン6が手動で作動されたときにステム11を偏向させて弁(不図示)を開くために、ヒンジ5を旋回させ、90°オフセットしたスプレー導管10を介して缶1のステム11に対して作用するように設けられており、その結果、容器1に収容された製品が、スプレー導管10を通過して、ステム11と、ノズル12と、キャップ7に設けられた製品吐出開口部3とを通って出ることができる。スプレー導管10は、スプレー音に影響を与える装置を有している。この目的で、表面構造は、製品の吐出動作に影響を与えるために、スプレー導管10の内表面に設けられている。スプレー導管10は、90°オフセットしたスプレー導管10を囲むスプレーブラケット2として設計されている。表面構造は複数の流動リブ9を備えており、その複数の流動リブ9は、互いに平行に整列されており、又、乱流を低減する内表面で、ステム11から製品吐出開口部3まで、スプレー導管10全体を囲んでいる。スプレー導管10は、プラグイン接合部4(図2)によって互いにスナップはめされる、2つの導管半体13、14を備えている。このタイプの2つ割り設計は、施されるあらゆるタイプの表面構造に適切であり、縦断面は吐出方向に得られる。
【0013】
第2の例示的な実施形態(図3)において、表面構造はミクロ構造として設計されている。これはサメ皮表面を有している。
【0014】
流動リブ9及びミクロ構造15の双方は、流動容器10内の乱流を低減し、それによって心地よいスプレー音を達成するのに役立つ。
【0015】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】スプレーレバーに対して作用するボタンを有するキャップを部分的に垂直断面で示す側面図であり、スプレーレバーは90°オフセットしたスプレー導管を含んでおり、キャップは、ヘアースプレーを収容している缶の上に配置が可能であり、ボタンは作動されておらず、スプレー導管は流れの方向に向いた流動リブを有している。
【図2】図1の流動導管を、図1の線A−Aにおける断面で示す図。
【図3】ミクロ構造を有する垂直配向のスプレー導管を縦断面で示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品、特にヘアースプレーを噴霧するためのスプレー導管(10)であって、
スプレー音に影響を与える装置を有し、
表面構造が、前記製品の吐出動作に影響を与える目的で、前記スプレー導管(10)の内表面に設けられており、
前記スプレー導管(10)は、90°オフセットしたスプレー導管(10)を囲むスプレーブラケット(2)として設計されているスプレー導管。
【請求項2】
前記表面構造は、流れの方向に互いに平行に整列された複数のフローリブ(9)を有している、請求項1に記載のスプレー導管。
【請求項3】
製品、特にヘアースプレーを噴出するためのスプレー導管(10)であって、
スプレー音に影響を与える装置を有し、
表面構造が、前記製品の吐出動作に影響を与える目的で、前記スプレー導管(10)の内表面に設けられており、
前記表面構造はミクロ構造(15)であるスプレー導管。
【請求項4】
前記ミクロ構造(15)は、粗面化された表面、エンボス加工された表面、侵食がなされた表面、ひび入りのラッカーが設けられた表面、又はサメ皮のように若しくはハス葉の表面のように設計された表面を有する、請求項3に記載のスプレー導管。
【請求項5】
前記ミクロ構造(15)は流動方向に整列されている、請求項3又は4に記載のスプレー導管。
【請求項6】
90°オフセットしたスプレー導管(10)を囲むキャップ(7)に組み込まれたスプレーブラケット(2)を有すると共に、容器(1)、特にエアゾール缶又はスプレー缶の弁を作動させるためのボタン(6)を有するキャップ(7)であって、
前記ボタン(6)が手動で作動されたときにステム(11)を偏向させて前記弁を開くために、前記90°オフセットしたスプレー導管(10)を介して前記容器(1)の前記ステム(11)に対して作用するように前記ボタン(6)が設けられており、その結果、容器(1)に収容された製品は、スプレー導管(10)を通過してスプレー導管が音響効果を受ける時に、前記ステム(11)と、前記キャップ(7)に設けられた製品吐出開口部(3)とを通って出ることができ、
前記スプレー導管(10)が請求項2〜5のいずれか一項に記載のようにその内表面上に表面構造を有するキャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−521715(P2008−521715A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543625(P2007−543625)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/043903
【国際公開番号】WO2006/060764
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】