説明

スプレー形態の外用化粧用組成物

本発明は、スプレー形態の局所投与用化粧用組成物、ならびに少なくとも一種の活性化合物、連続分散外部相(天然鉱泉水および/またはワイン)、ポリリン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、およびクエン酸を含む前記化粧用組成物の製造方法に関する。本発明はまた、前記組成物を調剤および適用するための装置、ならびにスプレー形態の局所使用用化粧用組成物の製造のためその使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
発明の分野
本発明は、美容および皮膚治療分野の範囲に入る。
【0002】
より具体的には、本発明は、スプレー形態の外用化粧用組成物、ならびに活性化合物、連続外部分散相(天然鉱泉水および/またはワイン)、ポリリン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウムおよびクエン酸を少なくとも含む前記化粧用組成物の製造方法に関する。
【0003】
本発明はまた、前記組成物を調剤するための装置および美容皮膚治療を目的とする化粧品の製造における前記化粧用組成物の使用にも関する。
【0004】
背景技術
表皮の主な働きは、角質層(HS)を形成することであり、この角質層は、過剰な水分損失や化学的攻撃および微生物攻撃から我々を守る、選択的に透過性を有する膜である。HSにはバリア、機械的保護、および落屑の三つの主な働きがある。バリア性とそれらの細胞保湿能力の組合せは、皮膚柔軟性を維持するのに重要である。
【0005】
HSの不可欠な成分の中では、ケラチン(角質細胞の外層の特殊タンパク質)、脂質、タンパク質、天然保湿成分、デスモソーム(特殊付着構造)、および酵素が際立っている。
【0006】
HS脂質は、水透過性バリアを保持するのに寄与する。その成分の中では、セラミド、コレステロール、および脂肪酸が際立っている。
【0007】
天然保湿成分は、アミノ酸、アミノ酸誘導体、および特定塩の混合物である。天然保湿成分はHS細胞中にのみ存在し、その乾燥重量の10%に相当する。天然保湿成分の役割は、その構成要素が非常に水溶性が高く、吸湿性であるという事実と関連している。天然保湿成分は、大気から水を吸収することができるだけでなく、皮膚から内部に水を吸収することができ、水はHS可塑剤であり、異常な皮膚の落屑およびひび割れを防ぐ。
【0008】
HSのバリア機能は、脂質の濃度および種類だけでなく、天然保湿成分にも非常に依存している。それらがないと、HSの水和は効果的でなく、それは機械的故障を起こすほどであり、皮膚は柔らかさ、弾力性、および柔軟性というその特性を失う。
【0009】
粘土または泥は、毛穴の黒ずみ、吹き出物、またはにきびのない清潔な皮膚にする手助けをすることができる。天然泥または粘土マスクは、脂肪質の皮膚に適している。
【0010】
上記の意味では、角質層を健康に保つために、スキンケアを保証するあらゆる適切な処置を受けることが必須である。
【0011】
このため、本発明では、水和だけでなく安定性および弾力性の点でも表皮を完全な状態に保つことができる手順および化粧用組成物を設計した。本発明の本発明者らは、製造様式が、天然水および活性化合物の選択とともに、皮膚の水和、堅さ、および弾力性を促す要素の好適な組合せとなるように、活性化合物、天然鉱泉水、ポリリン酸ナトリウム、ポリアクリレートポリマー、およびクエン酸を少なくとも含む、スプレー形態で適用される外用化粧用組成物を開発した。
【0012】
本発明により選択される活性化合物の一つは、粘土または泥である。粘土が昔から医薬用途および装飾用途に使用されてきたことはこれまでによく知られた技術である。メキシコのコロンブス以前の文化では保蔵処理用途および保存用途に粘土を使用していたが、今日でも北インドの農民は粘土シャンプーを使用している。
【0013】
粘土または泥は、皮膚を清浄するのに最も好適な成分の一つである。いくつかの形態の粘土は、皮膚の循環を刺激する手助けをし、さらに重要なことには、マスクに粘土を使用する場合、粘土は皮膚表面上で乾き、その油や不純物を吸収する。乾燥すると、粘土のテクスチャーは高吸収性粉末を提供する。
【0014】
化粧品における粘土の使用はこれまでにもあった。ヨーロッパでは、粘土は、皮膚を清浄し治療するために、薬草や精油と組み合わせて使用されてきた。例えば、薬草または油などの他の成分と混合する場合、粘土の使用は安全で、あらゆる肌質に適している。アロマセラピーと、粘土とは効果的な組合せとなる。
【0015】
粘土の種類はいくつかある。一部の種類は見つけるのが難しい。グリーンクレイまたはフレンチクレイは化粧品に一般的に使用されている。この粘土は、自然食品店で容易に入手することができる。
【0016】
しかしながら、この種の粘土マスクは、長い適用過程を要し、後に清浄することが必要であり、前記適用に第三者の手助けが通常必要であるため、通常それらのマスクの適用方法から生じる一連の不便さを与える(原材料の保存と関連する二次微小環境汚染とを考慮に入れてない)。
【0017】
そのため、本発明の目的は、これらの不便さを総て、迅速かつ効果的に解決して、均一分布を可能にし、かつしっかり閉まる容器内に入っている場合には微生物学的状態の保存を保証するという迅速で清潔で簡易な適用のための、スプレー形態で外用することができる、粘土として天然元素を含む化粧用組成物を提供する。このため、本発明は、この組成物の製造方法だけでなく、皮膚の保湿およびリアファーミング(reaffirming)用の化粧品におけるその使用も表す。
【0018】
技術の現状において、本書において主張される要素のいくつかを含む化粧用組成物を記載している文書があるが、それらの用途は異なっており、粘土またはポリマーの使用は、別の用途を目的としている。例えば、米国特許出願第740578号公報には、非可溶性ポリマー、膜形成ポリマー、および有機親和性粘土を含んでなる化粧用組成物が記載されているが、この場合、それらの化粧用組成物は目用化粧下地として用いられ、有機親和性粘土は有機溶媒(ビヒクル)として使用されており、活性化合物としては使用されていない。さらに、天然水は、我々の発明では必須であるが、この文書ではそのような特徴を有する成分については何も触れられていない。
【0019】
ポリマー粒子および粘土を扱う技術の現状についての別の文書は、欧州特許第95306121号公報であるが、この場合、題材は、粘土凝集ポリマーを含んでなる洗剤用組成物であり、そのため、それらの洗剤用組成物は皮膚化粧品には使用されず、スプレー形態でも使用されない。
【0020】
技術の現状において、噴霧可能な化粧用製造物もあるが、例えば米国特許第429894号公報に記載されているように毛髪用のものでしかなく、それらの組成物は、ヘアコンディショナーとしてシリコンのような可塑性要素を含む。
【0021】
米国特許第3372043号公報、韓国特許第20040020328号公報、およびドイツ特許第19951000447号公報などの技術の現状の他の文書は、「噴霧乾燥機」の化学的手法により得られる、マイクロ化またはナノ化粉末状態で粘土を含んでなる組成物に言及している。前記の場合では、この技術は、組成物の不均質な混合物が同時に粉末化し乾燥させる方法により得られることから、我々の発明とは全く関係なく、これらの組成物がスプレー形態で最後に適用されるということではない。
【発明の概要】
【0022】
本発明は、スプレー形態の外用化粧用組成物、ならびに本発明において用いる、レッドクレイまたはホワイトクレイ、ワイン、およびココアのような活性化合物の保湿性、リアファーミング特性、および滑らかにする特性に基づく美容皮膚治療用の化粧品の製造における前記化粧用組成物の使用に関する。
【0023】
本発明はまた、少なくとも一種の活性化合物、例えば天然鉱泉水のような周囲液体分散相、ポリリン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、およびクエン酸を含む化粧用組成物の製造方法にも関する。
【0024】
本発明では、前記活性化合物として液体粘土を使用することが好ましく、液体粘土は、本発明に明記される製造方法によりスプレー形態で適用することができる。
【発明の具体的説明】
【0025】
この説明において用いるとおり、特に限定のない限り、次の用語は次に示す意味を有するということが理解される。
【0026】
「活性化合物」は、化粧用組成物に保湿性、リアファーミング特性、および滑らかにする特性などを与える、化粧用組成物中に含まれるものである。本発明において好ましい活性化合物は、ホワイトクレイおよび/またはレッドクレイ、ワインならびにココアを単独でまたはそれらを組み合わせて含んでなる。
【0027】
「天然鉱泉水」とは、防腐剤を含まない低アレルギー誘発性の水を意味する。この水は、Elkai泉を供給しているような、例えば、そして意味を限定することなく、自然保護区として認定された保護されているカルスト地帯の、帯水層の中心部で深さ100mの源泉から直接、人間の操作なしに無菌室で採取される。この水の物理化学的性質は、例えば:
低鉱化作用
乾燥残渣: 236mg/l
pH:7.75
カリウム: 0.3mg/l
マグネシウム: 5.8mg/l
ナトリウム: 6.8mg/l
塩化物: 17.8mg/l
シリカ: 2.3mg/l
硝酸塩: 1.4mg/l
カルシウム: 68.8mg/l
硫酸塩: 7.7mg/l
重炭酸塩: 187.9mg/l
である。
【0028】
「スプレー」とは、容器に入っている液体を霧状にするための特殊な装置を備えた容器のほかに、この容器に入っている液体物質または本発明の組成物対象の適用形態も意味する。
【0029】
本発明の態様は、少なくとも一種の活性化合物、外部液体分散相(天然鉱泉水またはワイン)、ポリリン酸ナトリウム、ポリアクリレートポリマー、およびクエン酸を含む化粧用組成物の製造方法に関する。
【0030】
本発明では、前記活性化合物として液体粘土を使用することが好ましく、液体粘土は、本発明に明記される製造方法によりスプレー形態で適用することができる。
【0031】
一般に、前記方法は次の工程を含む:
1.原材料の採収および粉砕:
採鉱では、粘土は、その純度および微量元素含有量ならびに他の自然特性を保証するために、予め選定する
【0032】
原材料の選定後、産物乾式粉砕と呼ばれる工程を行う。この工程は、最大粒径50μm〜100μmのマイクロ化粘土を得るのに非常に重要であり、必須である。この工程は、我々の官能的要求に応じて、最後に、優れた粉末度特性、テクスチャー特性、柔らかさ特性、および化粧品特性ならびに粘土と適用処方物との間の分子レベルでの有効相互作用を得るのに不可欠である。
【0033】
2.物理化学的乳化工程:
乾式粉砕工程により得た生成物から、不均質多相系均一エマルジョンを形成し、この不均質多相系均一エマルジョンは、
粘土が含まれている、囲まれた不連続内部分散相と、
吸着によって形成され相間に二重誘電体層を作る保護膜という手段でマイクロ化粘土粒子の界面張力を低下させ、その結果、それがより均一で安定となることでエマルジョンの合体を防ぐ、乳化界面の、水の連続周囲外部分散相と
からなる。
【0034】
前記工程に前記ポリマーを加えることで、ネット構造またはメッシュを形成することができ、そのウェブには内部エマルジョン相が含まれる。形成されたそのメッシュでは、外部乳化相により水滴が抱き込むように取り囲まれている。乳化特性の選択は、マイクロ化粘土の特定のサイズおよび粒度分布とともに、安定なエマルジョンを得るのに寄与するもう一つの因子であり、乳化剤が外部相より内部相に対する溶解度が低いということが考慮される。
【0035】
本発明の特定の処方物および組成物の対象は、粘土および水などの必須製品の選択、ならびにメタリン酸ナトリウムおよびポリアクリル酸ナトリウムなどの乳化補助剤の選択に基づいて行われ、防腐剤としてのクエン酸、酸化防止剤、バッファー、およびキレート化剤により結果として生じる修正が加わって、一般に、表皮を、水和、堅さ、および弾力性について完全な状態に保つ手助けをする固有の特異な特性を提供する。
【0036】
製造に使用する材料および装置は、メスシリンダー、ビーカー、はかり、スパチュラ、攪拌システム、および調剤または充填システムである。
【0037】
前記処方物を得るための方法論および工程:
本発明による化粧用組成物を得るための工程は、前記活性化合物が粘土であり、前記外部分散相が天然水である具体例として示される次の工程を含み、そのため、本明細書に明記される工程は、本発明の具体例として明らかにされているが、限定的な意味を有さない:
a)粘土を選択する工程、
b)前記粘土を乾式粉砕する工程、
c)完全な処方物を製造するのに必要な製品の成分を秤量する工程、
d)天然水の必要な体積を測定する工程、
e)前記乾式粉砕粘土を容器に入れ、スパチュラでゆっくりと混ぜながら前記水を加える工程、
f)まず、工程e)において得られた混合物に、メタリン酸ナトリウム、続いてポリアクリル酸ナトリウム、最後にクエン酸を加える工程、
g)エマルジョンを形成するために前記混合物を工業用ミキサーにより600〜800rpmにおいて15〜20分間攪拌する工程、
h)工程g)において形成されたエマルジョンをパッケージングホッパーに移す工程、
i)調剤および充填された製品を完全に滅菌する工程(この滅菌に用いる技術は「β線または電子衝撃による滅菌」と呼ばれている。この滅菌は絶対的であり、健康保証は欧州規制を満たしている)、
j)法律および国際化粧品規制に従って完全滅菌および病原菌または有毒成分の非存在を認定するために微生物学的分析および細菌学的分析を実施する工程。
【0038】
また、本発明は、スプレー形態の外用化粧用組成物、ならびに本発明において用いる、レッドクレイまたはホワイトクレイ、ワイン、およびココアなどの活性化合物の保湿性、リアファーミング特性、および滑らかにする特性による皮膚美容治療用の化粧品の製造のための前記化粧用組成物の使用にも関する。
【0039】
前記組成物は、次の成分を含有し得る:
1.粘土およびココアで形成される群から選択される活性化合物の単独またはそれらの組合せ:
a)粘土:
【0040】
本発明の液体粘土処方物対象は、商業的にはClaySpray(登録商標)と呼ばれており、好ましくは、粘土の種類によって異なる化学的および鉱物学的含有量(Al、SiOILL、K、Qz)を有するケイ酸アルミニウムに基づく粘土を含み、これらの含有量によって種々の成分の色が決まり、pH6.5および密度1.2(g/cm)という物理化学的性質を有する。粉砕工程後、種々のサイズのマイクロ化粒子が得られる。
【0041】
粘土の粒度分析特性およびその選択粒径は、界面を増加させ、乳化作用を伴って前記因子により保護膜を形成させ、その結果として、合体が減少し、安定性が増大する。
【0042】
粘土固有の物理化学構造は、エマルジョン全体に可塑性および揺変性を加える。このため、最もよく知られた特徴の一つは、体への適用後に製品は滴り落ちたり流れ出たりせず、簡易で均一で迅速な適用が可能であるということであり、それは他の外用投与に関しては大きな利点となる。
【0043】
これまでに、本発明の発明者らは、粘土、水、および有機分子間に起こる相互作用を決定し、それらの総ては可逆的相互作用であった。つまり、封入した固体を熱処理または物理化学処理に付しても、その材料は、蛇腹に加えられた力に従って伸び縮みするアコーディオンで起こるように、サイクルが繰り返されるのと同じ回数だけその元の形を取り戻す。この観点では、粘土に差はない。
【0044】
結果として、我々は、粘土の層間空間寸法が不変である。つまり、その材料が受ける処理とは関係なく層間隔離距離が一定のままであるという条件で、粘土が複数の分野において重要な役割を果たすということを決定した。よって、科学者らが、粘土の層間距離を固定することにより粘土を安定にする方法を見出したことから、粘土は産業上興味深い多数の反応において真の触媒としての役割を果たすことができる。この目的を達成させることが可能な戦略は、1974年に触媒反応の専門家の会議中に示された。数度にわたり討議を重ねた後、次のように進めることを決定した:粘土の層構築物がその初期形状を取り戻さないようにするために、層間の空間を柱で支えることが必要である。そのため、粘土を用いる場合には、粘土フレークの層間空間に入り込み、それらの構造を拡張し、その後、崩壊に耐える別の安定な相を形成する(ピラーリング概念)ことができる適切なサイズの化学種を開発することが必要である。
【0045】
b)ココア:
液体粘土の製造方法について研究した成分を含む特定の処方物を用いて、乳化工程の内部相は、混合物を用いず、純粋ココアパウダーと置き換えられる。
【0046】
c)粘土およびココア:
液体粘土の製造方法について研究した成分を含む特定の処方物を用いて、乳化工程の内部相は、ココアパウダーおよびレッドクレイと置き換えられる。
【0047】
2−天然鉱水および赤ワインにより形成される群の中から選択される連続周囲外部液体分散相の単独またはそれらの組合せ:
1.水:
前記水相の水特性の選択は、我々の製品総ての最終結果に重要である。中位pH(およそpH7.75)、弱鉱化作用、その結果として低残渣の天然鉱水を用いることにより、我々は、乳化剤で囲まれた粘土マイクロ化粒子のより高い分散、ならびに工業生産工程全体の制御および安定性を達成する。
【0048】
前記水は、低アレルギー誘発性であり、防腐剤を含まない。この水は、Elkai泉を供給しているような、自然保護区として認定された保護されているカルスト地帯の帯水層の中心部で深さ100mの源泉から直接、人間の操作なしに無菌室で採取される。
【0049】
化学的物理的分析
低鉱化作用
乾燥残渣: 236mg/l
pH:7.75
カリウム: 0.3mg/l
マグネシウム: 5.8mg/l
ナトリウム: 6.8mg/l
塩化物: 17.8mg/l
シリカ: 2.3mg/l
硝酸塩: 1.4mg/l
カルシウム: 68.8mg/l
硫酸塩: 7.7mg/l
重炭酸塩: 187.9mg/l
【0050】
2.ワイン:
連続周囲外部分散相の構成水は、ワイン(赤ワイン)と置き換えることができる。
【0051】
3.メタリン酸ナトリウム:
同義語:ヘキサメタリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、グラハム塩、ガラス状ポリリン酸ナトリウム、ポリメタリン酸ナトリウム。
化学式:一般式:
(n+2)(3n+l)
(式中、nは2以上である)
の直鎖縮合ポリリン酸のナトリウム塩の不均質混合物。
【0052】
メタリン酸ナトリウムは、増粘剤、金属イオン封鎖/キレート剤、安定剤、乳化補助剤、および抗凝集性界面活性剤(antiflocculating surfactant agent)としての役割を果たし、その粘着性から粒子間の接着性および凝集性を高める。
【0053】
メタリン酸ナトリウムは、疎水力を高め、膜を形成し相間に二重誘電体層を作り、それがより均一で安定となることでエマルジョン合体および沈降を防ぐ。
【0054】
4.ポリマー:ポリアクリル酸ナトリウム
同義語:ポリアクリレート、アクリルアミドポリマー、アクリルアミド−アクリレートポリマー。
網状ポリアクリル酸ナトリウム(モノマー:−CH−CH(CONa)−)は、網状アクリル酸ポリマーのナトリウム塩である。
【0055】
ポリアクリル酸ナトリウムは、大きな鎖に端と、端とで結合された多くのアクリレートモノマーを含むポリマーである。鎖間の網目構造がそれらの鎖を「結び付けている」。
【0056】
ポリアクリル酸ナトリウムは、部分的に中和される。つまり、いずれの場所においてもCOOHという基(酸性基)の50〜70%から始まってそれぞれのナトリウム塩に変換されているということである。
【0057】
ClaySprayという登録商標を有する本発明の粘土対象は、高分子ヒドロゲル(ポリアクリル酸ナトリウム)が含まれており、この高分子ヒドロゲルはこの千年間の新しいインテリジェント材料と考えられており、重量の800倍まで保水することができることから、前記活性化合物(泥または粘土およびココア)の保湿効果、リアファーミング効果、および引張効果を増強することや、スプレー中であろうと非密封容器中であろうと製品特性およびその本来の湿潤性を何カ月もの間維持することに関して、非常に効果的なビヒクル技術となる。
【0058】
特性:
ポリアクリル酸ナトリウムは、撥水性および膜形成性も高める。この分子量はより高く、吸水能力は重量の800倍まで高まる。
【0059】
ポリアクリル酸ナトリウムは、エマルジョンの延展性(spreadability)および滑性(gliding)を改善する適切な粘度レベルを提供する。
【0060】
ポリアクリル酸ナトリウムを加えることによりエマルジョンのソーピング効果(the soaping effect)が抑えられる(消泡)。ポリアクリル酸ナトリウムは、製品をエモリエントで柔らかでつややかにし、蒸発による冷却感を防ぐ。
【0061】
ポリアクリル酸ナトリウムは、処方物に揺変性、界面活性剤特性、湿潤剤特性、およびレオロジー特性を与える。ポリアクリル酸ナトリウムは、製品に可塑性を与えて、一定粘度の塑性流動を提供し、その解膠性および粘着性から粒子間の接着性および凝集性を高める(ポリアクリル酸ナトリウムは、粒子合体を減じ、界面面積を増加させるため)。
【0062】
5.クエン酸:
クエン酸は、多数の果物、主にレモンやオレンジのようなカンキツ属の果実に存在する有機トリカルボン酸である。その化学式は、C(3−ヒドロキシ−1,3,5−ペンタノ−トリカルボン酸)である。
【0063】
特性:
酸化防止剤、防腐剤、エマルジョンの緩衝、および安定化添加物。クエン酸は、最終製品のpHを変更および制御し、我々の製品総てにおいて皮膚に中性のpH(pH約5.5〜6)を与える。
【0064】
本発明の製造方法対象により、近年の研究結果を適用することによって、前述したように、安定した微生物学的に純粋なエマルジョンが得られる。
【0065】
各製品について特定の処方物が開発されており、それらは総て使える状態にある液体エマルジョン形態である。
【0066】
本発明の好ましい処方物は、活性な化合物としての粘土、連続外部分散相としての天然水、ポリリン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウムポリマー、およびクエン酸を含むものである。
【0067】
別の好ましい処方物は、活性化合物としてのココア、連続外部分散相としての天然水、ポリリン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウムポリマー、およびクエン酸で形成されるものである。
【0068】
別の好ましい処方物は、活性化合物としてのココアおよび粘土、連続外部分散相としての天然水、ポリリン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウムポリマー、およびクエン酸により形成されるものである。
【0069】
別の好ましい処方物は、活性化合物としてのココアおよび粘土、連続外部分散相としての天然水、ポリリン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウムポリマー、およびクエン酸により形成されるものである。
【0070】
別の好ましい処方物は、活性化合物としての粘土、連続外部分散相としての赤ワイン、ポリリン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウムポリマー、およびクエン酸で形成されるものである。
【0071】
別の好ましい処方物は、活性化合物としてのココア、連続外部分散相としての赤ワイン、ポリリン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウムポリマー、およびクエン酸で形成されるものである。
【0072】
別の好ましい処方物は、活性化合物としてのココアおよび粘土、連続外部分散相としての赤ワイン、ポリリン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウムポリマー、およびクエン酸で形成されるものである。
【0073】
その吸収能力および殺菌効果により、本発明の化粧品処方物対象は、前記活性成分と、前記外部相とによって皮下に蓄積された毒素を抽出し、皮膚不純物を排除する。さらに、本発明の化粧品処方物対象は血管収縮性および抗炎症性を有する。
【0074】
スプレーを用いて皮膚上に細かく分布される前記処方物を適用すると、有用な物質は体内に浸透し、毒素、毒物および憂慮すべき物質は前記処方物(泥)によって排除、吸収され、皮膚機能も刺激される。
【0075】
本発明の処方物対象は、その製品範囲総てにおいてビヒクルとして粘土を用い、このようなビヒクルは、毒素抽出のための粘土特性を伝えるため、現在研究されている上述の他の活性物質が浸透し、それらの特性を提示することができるようにする。
【0076】
容器仕様(スプレー):
生物学的汚染を避けるために密閉充填すると、長期安定性および乾燥耐性(drying up resistance)の点で報告されている液体粘土の特徴から、有利な再生利用可能なダブルチャンバー型アルミニウム製一体鋳造容器により、事前に緻密に作り上げること無しに、いかなる場合においてもそれを使用できるようになる。
【0077】
ClaySpray社は、液体粘土を含む処方物を充填するためにスプレー容器を使用する市場において最初の製造業者であるため、現在のところ、これは国際的なレベルで非常に革新的なシステムである。
【0078】
純度を保証するため、製品は常に気密チャンバー内に隔離されており、高圧ガス(propeller gas)と接触していない。
【0079】
製品を尊重し、いかなるときでも製品の微生物学的純度および鮮度を保持する、不活性な環境保護ガスである窒素を高圧ガスとして用い、製品を防腐剤であるoガス(o gas)と混合することは不要となる。
【0080】
第1の重要な態様によれば、本発明は、スプレー形態の外用液体化粧用組成物であって、
粘土およびココアおよび/またはそれらの誘導体より形成される群から選択される活性化合物の単独またはそれらの組合せと、
天然鉱泉水およびワインにより形成される群から選択される連続外部分散相の単独またはそれらの組合せと、
ポリリン酸ナトリウムと、
ポリアクリル酸ナトリウムと、
クエン酸と
を少なくとも含むスプレー形態の外用液体化粧用組成物に関する。
【0081】
別の態様によれば、前記スプレー形態の外用液体化粧用組成物の粘土は、ケイ酸アルミニウムを含む。
【0082】
別の態様によれば、前記スプレー形態の外用液体化粧用組成物中の天然鉱水は、中位pH7.75および次の物理化学的性質を有する:
低鉱化作用
乾燥残渣: 236mg/l
カリウム: 0.3mg/l
マグネシウム: 5.8mg/l
ナトリウム: 6.8mg/l
塩化物: 17.8mg/l
シリカ: 2.3mg/l
硝酸塩: 1.4mg/l
カルシウム: 68.8mg/l
硫酸塩: 7.7mg/l
重炭酸塩: 187.9mg/l。
【0083】
別の態様によれば、前記スプレー形態の外用液体化粧用組成物は、一般式:
(n+2)(3n+l)
(式中、nは2以上である)
のポリリン酸ナトリウムを含む。
【0084】
別の態様によれば、前記スプレー形態の外用液体化粧用組成物は、中性pH値5.5〜6を有する。
【0085】
本発明の第2の重要な態様は、スプレー形態の外用液体化粧用組成物の製造方法であって、次の工程を含む方法である:
a)活性化合物を選択する工程、
b)前記活性化合物を乾式粉砕する工程、
c)完全な処方物を製造するのに必要な製品の成分を秤量する工程、
d)周囲外部液体分散相の必要な体積を測定する工程、
e)前記乾式粉砕活性化合物を容器に入れ、スパチュラでゆっくりと混ぜながら前記外部液体相を加える工程、
f)工程e)において得られた混合物に、メタリン酸ナトリウム、続いてポリアクリル酸ナトリウム、最後にクエン酸を加える工程、
g)エマルジョンを形成するために前記混合物を工業用ミキサーにより600〜800rpmにおいて15〜20分間攪拌する工程、
h)工程g)において形成されたエマルジョンをパッケージングホッパーに移す工程、
i)調剤および充填された製品を完全に滅菌する工程、および
j)法律および国際化粧品規制に従って完全滅菌および病原菌または有毒成分の非存在を認定するために微生物学的分析および細菌学的分析を実施する工程。
【0086】
別の態様によれば、乾式粉砕後に得られる前記活性化合物の粒径は50〜100μmである。
【0087】
別の態様によれば、前記調剤および充填された製品の滅菌は、β線または電子衝撃により行われる。
【0088】
第3の態様によれば、本発明は、前記化粧用組成物の調剤および適用装置であって、再生利用可能なダブルチャンバー型アルミニウム製一体鋳造容器であり、ここで、前記化粧用組成物が気密チャンバー内に隔離されており、高圧ガスと接触しておらず、使用する高圧ガスが窒素であることを特徴とする装置に関する。
【0089】
本発明の第4の重要な態様は、前記組成物の微生物的安定性を保証するしっかり閉まるスプレー形態の外用化粧用組成物の製造についての説明において定義した組成物の使用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプレー形態の外用液体化粧用組成物であって、
粘土およびココアおよび/またはそれらの誘導体より形成される群から選択される少なくとも一種の活性化合物の単独またはそれらの組合せと、
天然鉱泉水およびワインにより形成される群から選択される連続外部分散相の単独またはそれらの組合せと、
ポリリン酸ナトリウムと、
ポリアクリル酸ナトリウムと、
クエン酸と
を含むことを特徴とする、スプレー形態の外用液体化粧用組成物。
【請求項2】
好ましくは、活性化合物としての粘土と、連続外部分散相としての天然鉱泉水と、ポリリン酸ナトリウムと、ポリアクリル酸ナトリウムと、クエン酸とを含むことを特徴とする、請求項1に記載のスプレー形態の外用液体化粧用組成物。
【請求項3】
前記粘土がケイ酸アルミニウムを含むことを特徴とする、請求項2に記載のスプレー形態の外用液体化粧用組成物。
【請求項4】
前記天然鉱水が中位pH7.75を有することを特徴とする、請求項2に記載のスプレー形態の外用液体化粧用組成物。
【請求項5】
前記天然鉱水が次の物理化学的性質:
低鉱化作用
乾燥残渣: 236mg/l
カリウム: 0.3mg/l
マグネシウム: 5.8mg/l
ナトリウム: 6.8mg/l
塩化物: 17.8mg/l
シリカ: 2.3mg/l
硝酸塩: 1.4mg/l
カルシウム: 68.8mg/l
硫酸塩: 7.7mg/l
重炭酸塩: 187.9mg/l
を有することを特徴とする、請求項2および請求項3のいずれか一項に記載のスプレー形態の外用液体化粧用組成物。
【請求項6】
前記ポリリン酸ナトリウムが下記一般式:
(n+2)(3n+l)
(式中、nは2以上である)
を有することを特徴とする、請求項1および請求項2のいずれか一項に記載のスプレー形態の外用液体化粧用組成物。
【請求項7】
前記組成物のpHが中性pH値5.5〜6を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のスプレー形態の外用液体化粧用組成物。
【請求項8】
前記組成物の微生物的安定性を保証するしっかり閉まる容器内部に充填されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のスプレー形態の外用液体化粧用組成物。
【請求項9】
請求項1に記載されたスプレー形態の外用液体化粧用組成物の製造方法であって、次の工程:
a)活性化合物を選択する工程、
b)前記活性化合物を乾式粉砕する工程、
c)完全な処方物を製造するのに必要な製品の成分を秤量する工程、
d)周囲外部液体分散相の必要な体積を測定する工程、
e)前記乾式粉砕活性化合物を容器に入れ、スパチュラでゆっくりと混ぜながら前記外部液体相を加える工程、
f)工程e)において得られた混合物に、メタリン酸ナトリウム、続いてポリアクリル酸ナトリウム、最後にクエン酸を加える工程、
g)エマルジョンを形成するために前記混合物を工業用ミキサーにより600〜800rpmにおいて15〜20分間攪拌する工程、
h)工程g)において形成されたエマルジョンをパッケージングホッパーに移す工程、
i)調剤および充填された製品を完全に滅菌する工程、および
j)法律および国際化粧品規制に従って完全滅菌および病原菌または有毒成分の非存在を認定するために微生物学的分析および細菌学的分析を実施する工程
を含むことを特徴とする、製造方法。
【請求項10】
乾式粉砕後に得られる前記活性化合物の粒径が50〜100μmであることを特徴とする、請求項9に記載のスプレー形態の外用液体化粧用組成物の製造方法。
【請求項11】
前記調剤および充填された製品の滅菌がβ線または電子衝撃により行われることを特徴とする、請求項9に記載のスプレー形態の外用液体化粧用組成物の製造方法。
【請求項12】
再生利用可能なダブルチャンバー型アルミニウム製一体鋳造容器であることを特徴とする、請求項1に記載の化粧用組成物の調剤および適用装置。
【請求項13】
前記化粧用組成物が高圧ガスと接触しておらず、気密チャンバー内に隔離されていることを特徴とする、請求項12に記載の化粧用組成物の調剤および適用装置。
【請求項14】
窒素が高圧ガスとして用いられていることを特徴とする、請求項13に記載の化粧用組成物の調剤および適用装置。
【請求項15】
化粧用組成物の製造のための、請求項1〜8に記載された組成物の使用。
【請求項16】
スプレー形態の外用化粧用組成物の製造のための、請求項1〜8に記載された組成物の使用。

【公表番号】特表2010−539143(P2010−539143A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524535(P2010−524535)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際出願番号】PCT/ES2008/000585
【国際公開番号】WO2009/034208
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(510069803)クレイスプレー、ソシエダッド、リミターダ (1)
【氏名又は名称原語表記】CLAYSPRAY, S.L.
【Fターム(参考)】