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スプレー用ゲルタイプ皮膚・粘膜付着型製剤およびそれを用いた投与システム
説明

スプレー用ゲルタイプ皮膚・粘膜付着型製剤およびそれを用いた投与システム

【課題】粘膜または皮膚に適用するための噴霧可能な噴霧用ゲル基剤。
【解決手段】本発明では、皮膚・粘膜付着剤を含有するゲル基剤中に医薬活性物質を含むゲル製剤からなる、スプレー用ゲルタイプ皮膚・粘膜付着型製剤およびそれを用いた投与システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬活性物質を含むゲルタイプ皮膚・粘膜付着製剤、および医薬活性物質を含む粘性のゲルタイプ皮膚・粘膜付着製剤を、ゲル製剤用噴霧容器(上方排圧エアレス式噴霧容器)を用いて、噴霧容器の投与方向を任意に設定して使用できる投与システムに関する。特に点鼻用として、点鼻スプレー容器を用いて該製剤を、噴霧容器の投与方向を任意に設定して鼻腔内に噴霧し、ゲル基剤を鼻腔内の広範囲に分布させ滞留させることが可能な製剤および該製剤を用いた投与システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従前から薬物の投与手段として、液剤を噴霧容器に充填して、内腔および体表面上の粘膜および皮膚に噴霧して投与する方法は広く利用されている。特に、鼻腔内投与型製剤は広く利用されている。ここで用いられる薬物は、鼻炎治療等の局所作用を期待するものに限られていたが、最近では全身作用を目的とした薬物の投与経路としても注目されている。既に、全身作用を期待したブトルファノールやスマトリプタンなどの低分子薬物、並びにカルシトニンやデスモプレシンなどのペプチド性薬物の鼻腔内投与型製剤が市販されており、さらに吸収改善や速効性を期待した薬物の経鼻投与応用が数多く試みられている。
【0003】
粘膜への噴霧投与型製剤、特に鼻腔内投与型製剤のメリットとしては、(1)早い吸収により即効性が期待できること、(2)肝臓の初回通過に起因する薬物の分解を回避することができること、(3)胃酸や消化管酵素などの消化管中での薬物分解を回避することができること、(4)高い生物学的利用率により薬物の低用量化が可能となること、(5)注射と比較して非侵襲的投与ルートであること、(6)自分で治療することができること、(7)薬物を直接血液循環あるいは中枢神経系に到達させることができること等を挙げることができ、一方、鼻腔内投与型製剤のデメリットとしては(1)鼻腔に投与できる投与量は1回に25〜200μLに限られること、(2)1kD以上の高分子量の化合物はこのルートでの吸収は困難であること、(3)鼻腔の病理の状態により吸収に影響を及ぼすこと、(4)鼻腔の状態は個体差があること、(5)ムコシリアリークリアランスの異物排除システムが薬物吸収に影響を及ぼすこと、(6)鼻腔内酵素バリアーが存在すること、(7)薬物により鼻粘膜への刺激があること等を挙げることができる。
【0004】
鼻腔は、口腔と共に外界と接する最初の部位であり、非常に優れた異物除去能と感染防御能を有している。これらの機能の異常な活性化やそれによる破綻は、鼻炎、鼻アレルギーなどの原因となる。特に花粉症は、深刻な社会問題となっている。これらの鼻局所疾患の治療を目的に、血管収縮剤、抗アレルギー剤、ステロイド剤などを含有させた点鼻薬が多数市販されている。
【0005】
一方、分子量1000〜3000の生理活性ペプチドや水溶性ペプチドを含有させた経鼻吸収型製剤が、市販されるようになってきた。これら水溶性高分子薬物は、経口投与では無効であり、注射剤でのみ有効な投与方法であったが、経鼻投与では数%から十数%ほどの高い生物学的利用率が得られている。この大きな理由は、水溶性高分子薬物の吸収経路である鼻粘膜上皮層の透過性が消化管や他の粘膜のそれよりも極めて高いことによる。このように全身作用を期待する水溶性高分子薬物の経鼻吸収型製剤は、注射剤に代わる非侵襲的な投与剤形として非常に有用である。
【0006】
近年では、鼻粘膜上皮層の透過性が他部位の粘膜透過性よりも良好であることを利用して、麻薬性鎮痛薬や偏頭痛薬のような急激な痛みの緩和を期待した経鼻吸収型製剤が設計・開発されている。このような中枢神経作用型薬物を含有した経鼻吸収製剤は、経口投与剤よりも速やかにその薬理効果が期待でき、かつ自己投与が可能であるため、患者のQOLの向上に著しく貢献している。鼻腔はリンパ系組織類似のNALT(鼻咽頭関連リンパ組織)が存在する。現在、鼻の免疫応答性が高いことを利用したインフルエンザワクチンやジフテリアワクチンなどを空気感染するようなウイルスに対するワクチン投与経路として鼻腔内投与型製剤が設計・開発されている。このように鼻腔の解剖生理学的特徴を生かした鼻腔内投与型製剤の開発には大きな期待が寄せられているが、それを設計・開発するためには、鼻粘膜とその周辺組織の解剖生理学的特徴を理解し、製剤設計を行わなければならない。
【0007】
鼻腔内投与型製剤には、鼻腔からのクリアランスが大きいため、色々な工夫が必要である。開発されている製剤剤型には、鼻腔軟膏型製剤、ドロップレッド(液滴)型製剤、スプレー型製剤、パウダー型製剤などが含まれる。これらの製剤は、鼻腔内での分散性を高めて活性薬物と鼻粘膜との接触時間の増大を計ることによって、もしくは、滞留性(付着性)を高めて活性薬物と鼻粘膜との接触時間の増大を計ることによって、活性薬物を効率的に鼻腔で効果を発現させ、鼻腔から吸収させることを目的に設計・開発されている(特許文献1)。
鼻腔軟膏型製剤は通例指で塗布するために衛生的ではなく、また指で塗布するだけでは鼻腔深部の粘膜まで到達せず、一定量の活性薬物を投与することが困難である。
ドロップレッド(液滴)型製剤は、過去において最もシンプルで簡便な方法だが、正確な量を投与するのが難しいのに加え、ムコシリアリークリアランスによって速やかに鼻腔から咽頭側へ除去されてしまう。
スプレー型製剤は薬液製剤をポンプによって吸い上げ、霧状にして鼻腔内に噴霧するため、ドロップレッド(液滴)型製剤よりも分散性が良好である。
パウダー(粉末)型製剤は、溶液中で分解しやすい薬物や鼻腔内での滞留性を確保したい場合に利用される。しかし、鼻に投与したときの違和感や粘膜障害性がみられることもあり、粒子系の均一化等製剤設計が難しい。
【0008】
これら鼻腔内投与型製剤のなかで、最も一般的に用いられている剤型がスプレー型製剤であり、簡便であり使用感も良好であることによる。スプレー型製剤においても、活性薬物と鼻粘膜への接触面積、接触時間を長くすることすなわち滞留性を改善することで、薬効・吸収性の向上を計る種々の試みがなされている。
【0009】
通常のスプレー型製剤においては、鼻前庭で捕捉されてしまうこと又は鼻孔からたれることを避けるために、噴霧操作の際に鼻で吸気することを広く勧められているが、実際には鼻弁の弾性組織がさらに狭くなり、大部分が鼻から口に運ばれ、嚥下されてしまうと考えられる。
【0010】
ここで通常用いられている液体スプレー装置は、ポンプによって内容薬液をチューブで吸い上げる液剤スプレー型製剤であり、これの使用は、通常角度が約0〜25°の範囲で使用されることが多い(図3参照)。これは、容器中に装着されている液を吸い上げるためのチューブの先端を常に薬液と接触させる必要があるために、頭を前に倒し噴霧容器の投与角度を0°近くにして使用する投与となるためである。しかし、この投与方法では、粘度がなく、付着性を有しない通常の液剤又は低粘度の液剤では直ちに外鼻孔へ垂れてしまう、一方、頭を後ろに倒し噴霧容器の投与角度を約65〜90°で使用した場合には、通常の液剤スプレー型製剤では鼻腔内の鼻甲介や鼻中隔といった壁に薬液が衝突し、付着性がないために下鼻道に垂れ、大部分が口に運ばれ、嚥下されてしまうことになる。この下鼻道に垂れてくるのは、後述の付着性高分子を製剤基剤として添加することである程度改善を計ることができるが、付着性高分子を用いることにより、噴霧製剤粒子の粒径が大きくなることと、噴霧容器からの噴射角度が狭くなることから広範囲に分散しなくなり、鼻腔内での粒径同士の衝突によりさらに大きな粒子となり壁に衝突し、やはりかなりの部分が口に運ばれ、嚥下されてしまうと考えられる。更に投与角度を上げて噴霧することにより、鼻甲介の広範囲に行き渡らせることを図ることも期待できるが、通常のスプレー型製剤では吸い上げのためのチューブの先端が薬液と接触できなくなり、頭を倒しての投与角度の調整については一定の限界があった。
また、上記の液体スプレー装置は、外気を取り込むシステムとなっているため、一定量の防腐剤等の使用を余儀なくされていた。
【0011】
更に、点鼻スプレー装置で噴霧される製剤の粒子径も、薬物のクリアランスの改善を図る上で考慮すべき要素の一つである。すなわち、ヒトの鼻腔は、およそ150〜180cmの面積を有しており、外鼻孔から鼻咽頭までの距離は直線的に測定して12〜14cmもあり、鼻腔の下気道を保護するために、最適化された狭い複雑な幾何学的構造となり、鼻腔内での鼻弁の狭い隙間は鼻腔の空気抵抗全体の半分に相当する。更に鼻弁の後部には鼻甲介によりスリット状に仕切られた空間があり、ここで噴霧された製剤粒子は速度を落とし、鼻粘膜と接触し分散する。しかし、複雑で曲がりくねった鼻腔内では、噴霧された製剤粒子は直ちに鼻腔内の壁に衝突して捕捉沈着してしまうことになる。つまり、鼻腔内に製剤が噴射されると、粒子径が5μm以上のほとんどの製剤粒子は鼻腔に捕捉され、そして、鼻腔内の鼻甲介粘膜に衝突し捕捉沈着された製剤粒子は、粘膜を覆う繊毛細胞の繊毛運動により後方に運ばれ、後鼻腔、咽頭を経て最終的に嚥下または口腔から排出されることとなる。この繊毛と粘液による異物としての活性薬物の除去(ムコシリアリークリアランス)への対策は、鼻腔内投与型製剤の設計上で極めて重要なポイントであり、鼻粘膜での薬物の効果・吸収性は、鼻粘膜の捕捉部位での薬物の滞留性(製剤の付着性)と透過性により主に決定される。鼻腔内の有効捕捉部位に投与された薬物は、主にムコシリアリークリアランスによる食道、気道方向への除去と鼻粘膜を介する鼻粘膜細胞側への吸収方向への除去により、それらの併発反応として投与捕捉部位から消失する。有効捕捉部位からの食道、気道方向への除去速度が速いと、吸収方向へのクリアランスが低下し、生物学的利用率は減少する。一方で、噴霧される製剤の粒子径を小さくすることで鼻腔内到達部位を広範囲に改善できるが、肺に到達する危険性が高まるため、そのバランスを考慮する必要があることは当業者によって知られている事実でもあった。従って、吸収方向へのクリアランスを増大させるためには、最適な噴霧される製剤の粒子径で適当な噴射角度で均等な密度で噴霧させて、更に薬物の滞留性、すなわち製剤の鼻粘膜付着性を付加することが吸収を改善する上で重要であり、付着性高分子を製剤基剤として添加し、その改善を計る必要があった。
【0012】
点鼻製剤の噴霧には、理論的にはネブライザーを用いて噴霧製剤粒子を50μm以下にコントロールし、噴霧吸入しながら使用して鼻弁の後部まで送達できる可能性があるが、50μm以下の微粒子を用いると、半分以上が気管支、肺まで到達し、鼻腔内に捕捉される薬物が失われることになり、同時に好ましくない副作用も現れ得る。しかもネブライザーのような機器は高価であり、安価で簡便に広く鼻腔内全体に製剤をいきわたらせるような粒子径の有効なシステムはなかった。
【0013】
本発明者らは、スプレー型製剤の薬物の鼻腔内での滞留性を改善すべく、粘膜または皮膚に適用するための噴霧可能な噴霧用ゲル基剤を発明し、粘膜部位である鼻腔に適用し、展着性の優れた点鼻スプレー型製剤として使用することができる噴霧用ゲル基剤および該基剤に活性薬物を混合してなる噴霧用ゲル剤を既に提案している(特許文献1)。
しかし、滞留性を上げるために高粘度の噴霧用ゲル剤を調製しても、噴霧操作によってその粘度の低下があることも既に知られた問題点であった。
また、該噴霧用ゲル製剤は高粘度を有するために、スプレー型製剤として用いるとスプレー容器の中の側壁に付着し、容器の外に噴射されず容器内に製剤が残存する残存率が通常の液剤と比較して高く、また、内容製剤の液体がスプレー容器内を容易に素早く流動しないため、急激な噴射角度の変更等によっては、一定量の安定した噴霧量を担保することが困難な場合があった。加えて、その粒度分布から噴霧により製剤粒子が鼻腔深部に到達しにくいことおよび噴射角度が調整できなく、均等な密度で噴霧させることが困難であるという欠点もあった。
また、皮膚に噴霧して投与する製剤においても、その製剤の滞留性、噴霧容器の投与角度等に関する上記点鼻製剤と類似の問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】日本特許第2011069号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記のように、鼻腔、眼、耳、口腔、直腸、膣、尿道等の粘膜への噴霧投与型製剤、特に点鼻スプレー型製剤に関しては、薬液の滞留性を改善すべく、薬液を噴霧用ゲル基剤にすることで一定の改善は認められたが、なお既存の点鼻スプレーを用いて使用しても、その滞留性のためから容器からの噴霧において上記のような高残存率や不安定な噴霧量といった障害を伴っており、また薬液自身についても噴霧操作により粘度の低下があり、その改善が必要であった。また、既存の点鼻スプレー装置は、外気を取り込むシステムとなっているため、一定量の防腐剤等の使用が必要であり、安全性や製造コスト等の面で改善の余地があった。
更に、複雑な鼻腔内の構造に対して、鼻甲介の広範囲に噴霧製剤を行き渡らせるには、スプレーの投与する角度を鼻腔内の構造に合わせて投与するなどの手法が有効と考えられるが、従前の点鼻スプレー型製剤では、投与する角度にも一定の限界があり、有効な角度で投与して鼻甲介の広範囲に噴霧製剤を行き渡らせる投与システム、並びにそれを可能にする点鼻製剤の開発が必要であった。
また、手、指、足、体部、股部、頭皮、肛門周囲、性器周囲等の皮膚への噴霧投与製剤においても、上記点鼻製剤と類似の問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは上記状況に鑑み、さらに鋭意研究を重ねた結果、ゲルタイプ皮膚・粘膜付着製剤を、通常の点鼻製剤などで用いられる噴霧容器とは異なるゲル製剤用噴霧容器(上方排圧エアレス式噴霧容器)に充填することで、噴霧容器の投与方向を任意に設定して使用できる投与システムを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には皮膚・粘膜付着剤として一定量のカルボキシビニルポリマーおよび/またはジェランガムを含有することで、上記の目的に達するゲルタイプ皮膚・粘膜付着製剤が調製できた。特にジェランガムを加えることにより、鼻汁などによる本製剤の粘度低下を著しく改善できることを見出した。
【0017】
さらに、上記製剤に外部からせん断力を与えて比較的高粘度(例えば10000mPa・sから50000mPa・s)となる製剤の粘度を調整することで均等な噴霧が可能となり、また噴霧操作による粘度低下も完全に抑えることが可能であることを見出した。その上、粘度調節剤および外部からせん断力を与えて粘度を調整することで、驚くべきことに噴霧容器からの噴射角度、噴射密度を目的に適するように管理できるということを見出した。すなわち、せん断力を加えて粘度を調整したゲルタイプ粘膜付着製剤では、噴霧容器からの噴射角度は狭くなる傾向にあり、粘度調節剤を加えてせん断力を加えると噴射角度は広くなる傾向にあることを見出した。この原理を利用すれば、同一の噴霧容器であるにも拘わらず目的に適するように管理した噴霧角度が調整可能となる。また噴霧密度についてもせん断力を加えていない粘度調節剤のみの調整によるゲルタイプ粘膜付着製剤では、噴霧容器からの噴霧が外周に偏る傾向があったが、せん断を加えることで均等な噴霧が可能となることを見出したことから、これらのファクターを利用すれば、その噴射密度も目的に適するように管理することが可能となる。
【0018】
さらに、これらのゲルタイプ皮膚・粘膜付着製剤は粘性・付着性があり、安定した噴霧量で噴霧することは困難で、しかも容器内の製剤を使い切ることは困難であったが、ゲル製剤用噴霧容器(上方排圧エアレス式噴霧容器)を用いることで、安定した噴霧量で使用後の残存率が大幅に改善されることを見出した。
特にこの製剤およびシステムを用いた点鼻製剤においては、投与体位(頭部の角度)とスプレー容器を有効な角度でセットして鼻腔に噴霧したときに、鼻甲介の広範囲に製剤を行き渡らせることができる。
【0019】
具体的に本発明では、皮膚・粘膜付着剤を含有するゲル基剤中に医薬活性物質を含むゲル製剤からなる、スプレー用ゲルタイプ皮膚・粘膜付着型製剤を提供する。
【0020】
また本発明では、適用する粘膜が鼻腔、眼、耳、口腔、直腸、膣、もしくは尿道、または適用する皮膚が手、指、足、体部、股部、頭皮、肛門周囲、もしくは性器周囲である上記のスプレー用ゲルタイプ皮膚・粘膜付着型製剤を提供する。特に本発明では点鼻用として、粘膜付着剤を含有するゲル基剤中に医薬活性物質を含むゲル製剤からなる、点鼻スプレー用ゲルタイプ粘膜付着型製剤を提供する。
【0021】
また本発明では、皮膚・粘膜付着剤としてカルボキシビニルポリマーおよび/またはジェランガムを含有する上記のスプレー用ゲルタイプ皮膚・粘膜付着型製剤を提供する。さらに本発明では、皮膚・粘膜付着剤であるカルボキシビニルポリマーまたはジェランガムを含有する場合、その重量%が0.1%から2.0%であり、カルボキシビニルポリマーおよびジェランガムの両方を含有する場合には、その合計が0.2%から4.0%である上記のスプレー用ゲルタイプ皮膚・粘膜付着型製剤を提供する。
【0022】
また本発明では、皮膚・粘膜付着剤として0.1重量%から2.0重量%のカルボキシビニルポリマーを含有し、外部からせん断力を与えて粘度を調整した上記のスプレー用ゲルタイプ皮膚・粘膜付着型製剤を提供する。調整される粘度は通常50mPa・sから5000mPa・sであり、好ましくは100mPa・sから4000mPa・sであり、更に望ましくは500mPa・sから3000mPa・sであり、最も好ましくは2000mPa・sから2500mPa・sである。
【0023】
加えてさらに本発明では、皮膚・粘膜付着剤として0.1重量%から2.0重量%のカルボキシビニルポリマーを含有し、粘度調節剤および外部からせん断力を与えて比較的高粘度となる製剤(例えば10000mPa・sから50000mPa・s)の粘度を調整し、噴霧容器からの噴射角度、噴射密度を目的に適するように管理した上記の点鼻スプレー用ゲルタイプ皮膚・粘膜付着型製剤を提供する。外部からせん断力を加えることにより、噴射角度が狭くなる傾向にある。この狭くなった噴射角度は粘度調節剤を加えることで広げられるので、この2つのファクターを調整することで目的に適するように噴射角度が管理できる。また、外部からせん断力を加えることにより、粘度調節剤のみの調整による場合の外周に偏った噴霧密度が均等に噴霧されるようになり、これについても、外部からのせん断力によって目的に適するように噴射密度が管理できる。
ここで粘度調節剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウムおよび塩化カルシウムよりなる群から選ばれることが望ましい。調整される粘度は通常50mPa・sから5000mPa・sであり、好ましくは100mPa・sから4000mPa・sであり、更に望ましくは500mPa・sから3000mPa・sであり、最も好ましくは2000mPa・sから2500mPa・sである。
【0024】
また本発明では、中性または塩基性の水溶性アミノ酸から選ばれるカルボキシビニルポリマーの増粘化剤を、カルボキシビニルポリマーに対する重量比で1:0.5から1:3(好ましくは1:1から1:2)の範囲で含有する上記のスプレー用ゲルタイプ皮膚・粘膜付着型製剤を提供する。更に該カルボキシビニルポリマーの増粘化剤は、好ましくは、アルギニン、リジン、および/またはオルニチンである。
【0025】
また本発明では、医薬活性物質が0.001〜10重量%含まれるゲル製剤である、上記のスプレー用ゲルタイプ皮膚・粘膜付着型製剤を提供する。
【0026】
また本発明では、医薬活性物質が溶解状態、懸濁状態または乳化状態にある、上記のスプレー用ゲルタイプ皮膚・粘膜付着型製剤を提供する。
【0027】
上記のスプレー用ゲルタイプ皮膚・粘膜付着型製剤を、ゲル製剤用噴霧容器(上方排圧エアレス式噴霧容器)に充填して、噴霧容器の投与方向を任意に設定して処置する患部に噴霧し、ゲル基剤をすべての角度に噴霧できることを特徴とする投与システムを提供する。特に上記の点鼻スプレー用ゲルタイプ粘膜付着型製剤においては、ゲル製剤用噴霧容器(上方排圧エアレス式噴霧容器)に充填して、噴射角度を任意に設定して鼻腔内に噴霧し、ゲル基剤を鼻腔内の広範囲に分布させ滞留させることを特徴とする投与システムを提供する。
【0028】
また本発明では、ゲル製剤の粘度が50mPa・sから5000mPa・s(好ましくは100mPa・sから4000mPa・s)の範囲であり、噴霧操作によって得られる噴霧された製剤粒子の粘度保持率が50%以上である上記の投与システムを提供する。
また本発明では、ゲル製剤の粘度が外部からのせん断力により50mPa・sから5000mPa・sの範囲に調整されたゲル製剤を含む、噴霧操作によって得られる噴霧された製剤粒子の粘度保持率が90%以上である上記の投与システムを提供する。
【0029】
また本発明では、噴霧された製剤粒子の平均粒子径が10μmから100μm(好ましくは50μmから100μm)の範囲である上記の投与システムを提供する。
【0030】
また本発明では、ゲル製剤の粘度が外部からのせん断力(適宜粘度調節剤を加える)により、50mPa・sから5000mPa・sの範囲に調整されたゲル製剤を含む、噴霧容器からの噴射角度を10°から70°の範囲にし、噴射密度を均等乃至外周に集中させて、使用目的に適するように管理するように調整された上記の投与システムを提供する。
【0031】
また本発明では、使用により完全に噴霧され噴霧ができなくなった時点での容器中のゲル製剤の残存率が20%以下(好ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下)であり、設定量の±10%以内の範囲で噴霧される率が70%以上(好ましくは80%以上)である上記の投与システムを提供する。
【0032】
また本発明では、噴霧容器の投与角度が0°から360°のいずれかの角度または角度の範囲である、上記の投与システムを提供する。更に本発明では、投与角度が45°から180°のいずれかの噴霧容器の投与角度または角度の範囲である上記の点鼻用投与システムを提供する。
【0033】
また本発明では、防腐剤または保存剤を配合しないかもしくは通常配合量の50%以下に減量されていることを特徴とする上記の投与システムを提供する。
【0034】
また本発明では、ゲル製剤用噴霧容器(上方排圧エアレス式噴霧容器)の容器内において、無駄なスペースを取り除くリングを装填し、摺動底蓋本体に5〜30°(好ましくは15〜25°)の角度を持たせ、該リングも同じ角度を有する、上記の投与システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明で用いられるゲル製剤用噴霧容器(上方排圧エアレス式噴霧容器)を示す。図面の右半面は内部の構造がわかるように断面図を示す。
【図2】図面1で示したゲル製剤用噴霧容器(上方排圧エアレス式噴霧容器)断面図の要部の拡大図を示す。ただし、右半面は本発明の特徴である摺動底蓋本体に一定の角度(本図面では一例として20°)を持たせた容器で、左半面は従前の上方排圧エアレス式噴霧容器を示す。
【図3】ヒトの鼻甲介(鼻道)に本発明の点鼻スプレー製剤を挿入して所定の角度で投与する様子を示す。点鼻スプレー製剤を垂直した状態を0°とし、25°、45°、65°、90°、135°および180°で投与する7態様を示す。
【図4】粘度1000mPa・s(噴射角度0°)での各噴霧容器による噴霧量の安定性を示す。
【図5】粘度2000mPa・s(噴射角度0°)での各噴霧容器による噴霧量の安定性を示す。
【図6】粘度3600mPa・s(噴射角度0°)での各噴霧容器による噴霧量の安定性を示す。
【図7】噴射角度45°(粘度2000mPa・s)での各噴霧容器による噴霧量の安定性を示す。
【図8】噴射角度65°(粘度2000mPa・s)での各噴霧容器による噴霧量の安定性を示す。
【図9】噴射角度90°(粘度2000mPa・s)での各噴霧容器による噴霧量の安定性を示す。
【図10】実施例5(塩化ナトリウム0%、外部からのせん断力により粘度を2500mPa・sに調整した製剤)の噴射密度分布図を示す。
【図11】実施例6(塩化ナトリウム0.125%、外部からのせん断力により粘度を2500mPa・sに調整した製剤)の噴射密度分布図を示す。
【図12】実施例7(塩化ナトリウム0.25%、外部からのせん断力により粘度を2500mPa・sに調整した製剤)の噴射密度分布図を示す。
【図13】実施例8(塩化ナトリウム0.50%、外部からのせん断力なしに粘度を2500mPa・sに調整した製剤)の噴射密度分布図を示す。
【図14】実施例4〜実施例10および比較例の人工鼻汁による粘度変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明において、ゲル基剤とは、粘膜付着剤である水溶性高分子化合物と、水および/またはアルコール類からなる粘稠性を有する基剤をいう。ゲル基剤には、医薬品に通常用いられる防腐剤、保存剤、等張化剤、pH調整剤、着色剤等を更に含んでいてもよい。
【0037】
本発明において皮膚・粘膜付着剤(付着性高分子)として用いられる水溶性高分子化合物には、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシビニルポリマー、カルメロースナトリウム、キサンタンガム、ジェランガム、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、メチルセルロース等が例示される。これらを複数組み合わせた粘膜付着剤を用いてもよい。更に皮膚・粘膜付着性を有し、スプレー操作により製剤の粘度変化が少なく、高粘度のまま処置される患部(点鼻用においては鼻腔内)に到達し、噴霧後の製剤の平均粒子径が10〜100μm(好ましくは50〜100μm)と十分に微細であることを同時に満足させるために、付着性高分子としてはカルボキシビニルポリマーもしくはジェランガム、またはカルボキシビニルポリマーとジェランガムを同時に使用したゲル基剤を用いることが好ましい。カルボキシビニルポリマーを用いた基剤としては、本発明者が別に発明した「噴霧用ゲル基剤およびそれを用いたゲル剤」(特許文献1)を使用してもよい。
【0038】
また、カルボキシビニルポリマーに外部からせん断力を与えて粘度を調整するか、またはカルボキシビニルポリマーに、粘度調節剤と外部からせん断力を与えて粘度を調整して、噴霧容器からの噴射角度、噴射密度を目的に適するように管理されたゲル基剤に調製してもよい。
ここで行うせん断力を与える操作については、当業者に公知の方法で行われ、具体的にせん断力を与える装置は、高速回転型乳化装置、コロイドミル型乳化装置、高圧乳化装置、ロールミル型乳化装置、超音波式乳化装置および膜式乳化装置を用いることができる。特にホモミキサー型、櫛歯型および断続ジェット流発生型の高速回転型乳化装置が好ましい。
ここで調整される粘度は、通常50mPa・sから5000mPa・sであり、好ましくは100mPa・sから4000mPa・sであり、更に望ましくは500mPa・sから3000mPa・sであり、最も好ましくは2000mPa・sから2500mPa・sである。
また、ここで噴射角度とは、噴射口からまっ直ぐ噴射される製剤を0°とし、そこから広がって噴射されたゲル製剤の角度をいう。また噴射密度は、噴射したゲル製剤の広がりの中で均等さを示す指標をいう。具体的には均等に噴霧、外周に偏るなどと表す。なおこの噴射密度の評価は、噴射口から板に向かって噴霧してそこに付着したゲル製剤を目視で観察して判断した。
【0039】
本発明の付着性高分子として用いるカルボキシビニルポリマーは、アクリル酸を主成分として重合して得られる親水性ポリマーであり、通常のもの、たとえば米国Noveon社より市販されているカーボポール(登録商標)等を用いることができる。カルボキシビニルポリマーの使用濃度は、通常約0.1〜2.0重量%で用いられる。ジェランガムはSphingomonas elodea という微生物が菌体外に産出する多糖類であり、各種食品等に幅広く利用されている。特に低アセチル化型のジェランガムである商品名ゲルライト(ゲルライト(Gelrite(登録商標)))等が好適に用いられる。ジェランガムの使用濃度は、通常約0.1〜2.0重量%で用いられる。このカルボキシビニルポリマーとジェランガムを同時に使用した場合、鼻汁(鼻粘液)と接触した時、そのイオンに対する感受性が逆行しているために、イオン強度(イオン濃度)によりその基剤は鼻腔に噴霧されることにより、最初に粘度低下しいったん基剤が鼻腔に広くいきわたり、その後粘度維持(上昇)することにより鼻腔に長く留まるには理想的なプロファイルを示すこととなる。カルボキシビニルポリマーとジェランガムの合計使用濃度は、通常0.2〜4.0重量%で用い、その配合比率は活性薬物を含む製剤が鼻汁(鼻粘液)と接触した時の粘度変化に応じて調整される。
【0040】
カルボキシビニルポリマーを増粘させるために用いる増粘化剤とは、酸性物質であるカルボキシビニルポリマーを中和させることにより、カルボキシビニルポリマーがイオン化し立体的に増大することで増粘化させる水溶性塩基物質をいい、その具体例としては、たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基;ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミンなどのアミン類、アルギニン、リジン、オルニチンなどのアミノ酸、等の有機塩基を挙げることができ、好ましくはアルギニン、リジン、オルニチンである。ここで含まれるアミノ酸の増粘化剤は、カルボキシビニルポリマーに対して通常その重量比が1:0.5から1:3の範囲であり、好ましくは1:1から1:2である。これら水溶性塩基物質は、カルボキシビニルポリマーを中和して所望のpH範囲に調整することも可能にする。増粘化剤は上記の物質を複数組み合わせて用いてもよい。
【0041】
本発明においてゲル基剤に溶解した「医薬活性物質」とは、皮膚および/または粘膜部位に通常用いられる医薬品をいい、例えば炎症、アレルギーを局所作用により処置する薬物、経皮および経鼻等の経粘膜吸収により全身作用が期待できるような薬物が挙げられるが、これらに限らない。具体的に本発明の皮膚および/または粘膜部位に投与することができる医薬活性物質の例示としては、例えば硝酸ナファゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸オキシメタゾリン、塩酸トラマゾリンなどの局所血管収縮薬;ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、リン酸デキサメタゾン、フルニソリド、リン酸ベタメタゾン、プロピオン酸ベクロメタゾンナトリウム、プロピオン酸フルチカゾン、フランカルボン酸モメタゾン、フランカルボン酸フルチカゾン、ブデソニド、シクレソニド、酪酸プロピオン酸ベタメタゾン、吉草産ジフルコルトロンなどのステロイド薬;アスピリン、メフェナム酸、イブプロフェンピコノール、スプロフェン、ブフェキサマク、ベンダザック、ウフェナマート、ジクロフェナクナトリウム、インドメタシン、フェルビナク、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、プラノプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム、アルミノプロフェン、ザルトプロフェン、ピロキシカム、メロキシカム、ロルノキシカム、セレコキシブ、ロフェコキシブなどの非ステロイド系鎮痛消炎薬;ジフェンヒドラミン、フマル酸クレマスチン、塩酸トリプロリジン、塩酸イソチペンジル、酒石酸アリメマジン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸プロメタジンなどの抗ヒスタミン薬;クロモグリク酸ナトリウム、トラニラスト、フマル酸ケトチフェン、アンレキサノクス、塩酸アゼラスチン、オキサトミド、塩酸レボカバスチン、塩酸フェキソフェナジン、塩酸エピナスチン、エバスチン、塩酸セチリジン、ベシル酸ベポタスチン、塩酸オロパタジン、ロラタジン、塩酸オザグレル、セラトロダスト、プランルカスト水和物、ザフィルルカスト、モンテルカストナトリウム、トシル酸スプラタストなどの抗アレルギー薬;ナジフロキサシン、リン酸クリンダマイシン、レボフロキサシン、セフカペンピボキシル塩酸塩水和物、クラリスロマイシン、セフジトレン ピボキシル、塩酸バンコマイシン、メロペネム水和物、フロモキセフナトリウム、塩酸セフォチアム ヘキセチル、オルビフロキサシンなどの抗菌剤;アシクロビル、塩酸バラシクロビル、ビダラビンなどの抗ヘルペスウイルス薬;ガンシクロビル、ホスカルネットナトリウム水和物などの抗サイトメガロウイルス薬;リン酸オセルタミビル、ザナミビル水和物などの抗インフルエンザウイルス薬;アムホテリシンB、フルコナゾール、イトラコナゾール、ミカファンギンナトリウム、塩酸テルビナフィン、塩酸ネチコナゾール、ラノコナゾール、ルリコナゾール、リラナフタート、塩酸ブテナフィン、塩酸アモロルフィンなどの抗真菌薬;ポビドンヨード、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシンなどの消毒薬;リドカイン、ジブカインなどの局所麻酔薬;シクロスポリン、タクロリムス水和物などの免疫抑制薬;タカルシトール、カルシポトリオール、アルファカルシドール、カルシトリオール、マキサカルシトールなどの活性型ビタミンD製剤;ミノキシジル、塩化カルプロニウムなどの脱毛治療薬;アルミニウムクロロヒドロキシアラントイネート、トレチノイントコフェリル、ブクラデシンナトリウム、アルプロスタジルアルファデクス、トラフェルミンなどの皮膚潰瘍治療薬;シアノコバラミン、メコバラミンなどのビタミンB12製剤;フィトナジオン、メナテトレノンなどのビタミンK製剤;イプシロン−アミノカプロン酸、トラネキサム酸などの抗プラスミン薬;クロナゼパム、カルバマゼピン、ゾニサミドなどの抗てんかん薬;トリアゾラム、ブロチゾラム、酒石酸ゾルピデム、クアゼパム、ニトラゼパム、ジアゼパムなどの催眠鎮静薬;塩酸パロキセチン水和物、エチゾラム、マレイン酸フルボキサミン、塩酸ミルナシプラン、塩酸イミプラミンなどの抗うつ薬;オランザピン、リスペリドン、フマル酸クエチアピンなどの統合失調症治療薬;塩酸ドネペジル、ニセルゴリンなどの認知症治療薬;アポモルヒネ、カベルゴリン、メシル酸ペルゴリド、メシル酸ブロモクリプチン、塩酸アマンタジン、ドロキシドパなどのパーキンソン病薬;エダボランなどの脳保護薬;モルヒネ、オキシコドン、フェンタニル、塩酸ブプレノルフィン、酒石酸ブトルファノールなどの鎮痛薬;ニコチンなどの禁煙補助薬;酒石酸エルゴタミン、スマトリプタン、ゾルミトリプタン、臭化水素酸エレトリプタン、安息香酸リザトリプタン、ナラトリプタン、フロバトリプタン、アルモトリプタン、アビトリプタンなどの偏頭痛薬;シアノコバラミン、メコバラミン等のビタミン剤;エストラジオール、エストリオール、プロゲステロン、テストステロン等の性ステロイドホルモン薬;メシル酸デフェロキサミンなどの金属解毒薬;リン酸コデイン、塩酸イソプロテレノールなどの鎮咳去痰薬;塩酸オンダンセトロン、塩酸ラモセトロン、塩酸トロピセトロン、塩酸グラニセトロン、メトクロプラミド、ドンペリドン、クエン酸モサプリドなどの制吐薬;酢酸ゴセレリン、ビカルタミド、テガフール、パクリタキセル、クエン酸タモキシフェン、塩酸ゲムシタビン、ドキシフルリジン、カペシタビン、メシル酸イマチニブ、リツキシマブ、ゲフィチニブ、トラスツズマブ、パクリタキセル、ドセタキセル水和物などの抗がん薬;カンデサルタンシレキセチル、バルサルタン、ロサルタンカリウム、テルミサルタン、オルメサルタンメドキソミル、ベシル酸アムロジピン、ニフェジピン、塩酸ベニジピン、塩酸ニカルジピン、ニルバジピン、アゼルニジピン、塩酸マニジピン、塩酸ジルチアゼム、マレイン酸エナラプリル、塩酸イミダプリル、塩酸テモカプリル、ペリンドプリルエルブミン、カルベジロール、フマル酸ビソプロロール、塩酸プロプラノロール、アテノロールなどの降圧薬;塩酸タムスロシン、ナフトピジルなどの排尿障害治療薬;シメチジン、塩酸ラニチジン、ファモチジン、ニザチジンなどの抗潰瘍薬;塩酸ドパミン、塩酸ドブタミンなどの強心薬;臭化水素酸フェノテロール、臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウムなどの気管支拡張薬;マジンドール、ペプチドYYなどの肥満治療薬;メチル硫酸ネオスチグミンなどの自律神経作用薬;ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、ニコランジルなどの狭心症用薬;塩酸チクロピジン、シロスタゾール、塩酸サルポグレラート、ベラプロストナトリウムなどの血小板凝集抑制薬;ボグリボース、アカルボース、グリメピリド、ナテグリニド、塩酸メトホルミン、塩酸ピオグリタゾン、グリクラジドなどの糖尿病薬;プラバスタチンナトリウム、シンバスタチン、フルバスタチンナトリウム、アトルバスタチンカルシウム水和物、ピタバスタチンカルシウム、ロスバスタチンカルシウム、ベザフィブラートなどの高脂血症治療薬;塩酸ピルジカイニド、塩酸メキシレチン、リン酸ジソピラミドなどの不整脈用薬;バクロフェン、ピラセタム、塩酸エペリゾン、塩酸チザニジンなどの筋弛緩薬;ブシラミン、メトトレキサート、インフリキシマブ、ファルネシル酸プレドニゾロン、アクタリットなどの抗リウマチ薬、さらにペプチド/タンパク質性薬物として、LHRH(黄体形成ホルモン放出ホルモン)類;成長ホルモン放出因子類;ソマトスタチン誘導体類;バソプレシン、酢酸デスモプレシンなどの下垂体後葉ホルモン;オキシトシン類;ヒルジン誘導体類;エンケファリン類;ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)誘導体類;ブラジキニン誘導体類;インスリン類;グルカゴン誘導体類;成長ホルモン類;成長ホルモン放出ホルモン類;黄体形成ホルモン類;インスリン様成長因子類;カルシトニン遺伝子関連ペプチド類;心房性ナトリウム利尿ペプチド誘導体類;インターフェロン類;インターロイキン類;エリスロポエチン;顆粒球コロニー形成刺激因子;マクロファージ形成刺激因子;副甲状腺ホルモン類;副甲状腺ホルモン放出ホルモン;プロラクチン;甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン;およびアンジオテンシン類等;カルシトニン類;酢酸リュープロレリン、酢酸ブセレリン、酢酸ナファレリンなどのGn−RH(ゴナドロピン放出ホルモン)誘導体類;チソキナーゼ、アルテプラーゼ、モンテプラーゼ、パミテプラーゼ、ナサルプラーゼなどの血栓溶解薬;インフルエンザHAワクチン、肺炎球菌ワクチン、組換え沈降B型肝炎ワクチン等のワクチン類を挙げることができる。該医薬活性物質の含量は、特に制限されるものではないが、0.001〜10重量%含まれる。また、ゲル製剤中には複数の該医薬活性成分を含んでいてもよい。
【0042】
水に不溶性の活性薬物を使用する場合には、得られる本発明の製剤は白濁するが、活性薬物が沈降するということはなく、通常の投与に支障はない。しかし、活性薬物が溶解している方が処置される患部(点鼻用では鼻粘膜)の吸収に良好である場合は、溶解剤を使用するか、または活性薬物を前もって水溶性有機溶媒に溶解して製剤化することが好ましい。かかる水溶性有機溶媒としては、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、分子量300〜500のポリエチレングリコールなどのグリコール類が挙げられる。また、溶解剤としては、活性薬物の溶解性に応じて各種界面活性剤などを用いることができる。
【0043】
また、適当な懸濁化剤を添加して活性薬物を懸濁させることもでき、かかる懸濁化剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリソルベート80、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン等の各種界面活性剤等を例示することができる。
【0044】
また、適当な乳化剤を添加して当該ゲル基剤を乳化させそこに活性薬物を配合すること、および活性薬物自体を乳化させることもでき、かかる乳化剤としては、各種の界面活性剤などを用いることができる。
【0045】
本発明において用いられる用語「粘膜」とは、上皮細胞に覆われた外胚葉由来の上皮層のことをいい、具体的には鼻腔、眼、耳、口腔、直腸、膣、性器、尿道、肛門などが挙げられる。また、本発明において用いられる用語「皮膚」とは、体表面を覆っている層のことをいい、具体的には手、指、足、体部、股部、頭皮、肛門周囲、性器周囲などの層が挙げられる。
本発明において用いられる「皮膚・粘膜」とは、「皮膚および/または粘膜」であることを意味し、例えば、肛門周囲や性器周囲のように皮膚と粘膜が共存し区別しにくい患部も包含できるように表記する趣旨である。
【0046】
本発明において規定する粘度は、例えば、日本薬局方一般試験法の粘度測定法で挙げられている毛細管粘度計法、回転粘度計法などで測定することができる。
本発明のゲル製剤においては粘度が通常50mPa・sから5000mPa・sであり、好ましくは100mPa・sから4000mPa・sであり、更に望ましくは500mPa・sから3000mPa・sであり、最も好ましくは2000mPa・sから2500mPa・sである。
【0047】
本発明において規定する粘度保持率とは、噴霧前のゲル製剤の粘度に対する、噴霧直後の噴霧された粒子の粘度の割合をいう。
本発明においては、噴霧操作によって得られる噴霧された製剤粒子の粘度保持率が50%以上であることが好ましい。
【0048】
本明細書において用いる噴霧された製剤粒子の平均粒子径は、例えば、レーザー光散乱方式の粒子径測定装置を用いて測定できる。
ここで平均粒子径は10μmから100μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは50μmから100μmの範囲である。
【0049】
本発明において規定する残存率とは、ゲル製剤用噴霧容器(上方排圧エアレス式噴霧容器)を用いて、点鼻スプレー用ゲルタイプ粘膜付着型製剤を完全に噴霧され噴霧ができなくなった時点での容器中に残っているゲル製剤の量の、使用前の全量に対する割合をいう。
本発明においては、上記残存率が通常20%以下であり、好ましくは15%以下であり、更に好ましくは10%以下である。
【0050】
本発明において規定する設定値とは、上記の点鼻スプレーの1回の噴霧操作で噴霧される内容製剤のあらかじめ定められている量の値または量の範囲をいい、具体的には例えば、1回の噴霧操作で約100mgの内容製剤が噴霧されると定められていれば、100mgが設定値である。
本発明においては、上記設定値の±10%以内の範囲で噴霧される率が70%以上であることが好ましく、更に好ましくは80%以上である。
【0051】
本発明において規定する防腐剤の具体例としては、これらに限らないが、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなどが挙げられる。また保存剤としては、これらに限らないが、メチルパラベン、プロピルパラベン等のパラベン類が挙げられる。ここで通常配合量とは、例えば医薬品の承認において認められている添加量をいい、通常当業者であれば既承認の医薬品での添加量と化合物の構造等から容易に類推できる値である。
【0052】
本発明で用いられるゲル製剤用噴霧容器(上方排圧エアレス式噴霧容器)とは、添付図面の図1に示されるような容器が例示される。ここで該噴霧容器は、容器のフードを外し、容器の頭部に装着されたポンプの環状の操作部を押し下げることにより、容器内からポンプの吸引室に吸引した内容物を噴射孔より外部に吐出させると共に、容器内のエアを排気するように吸引に連動して上方へ摺動する摺動底蓋本体を備え、その摺動底蓋本体の周囲に容器の内周面に圧接してシール状態で移動する環状の外周面部が形成されているポンプ付エアレス容器である。
【0053】
上記のようなメカニズムの噴霧容器は、用途は特に点鼻用としてなどの明記はないものの、ポンプ付エアレス容器として既に公開されている(特開2003−212262)。しかしながら、本発明のようなゲル製剤用の(上方排圧エアレス式)噴霧容器としては、可能な限り噴霧に供されない無駄なスペースを排除し、製剤充てん時に容器内のエアと製剤をスムーズに置換させることを可能にする必要があった。特に本発明で用いられる滞留性のゲル製剤においては流動性が悪く、使用終了時に残存しているゲル製剤の量が通常の製剤に比べ多くなることが予想された。そこで本発明においては、従前のエアレス噴霧容器に更に改良を加えて、図2の右半面に示すように無駄なスペースを取り除くためのリングを装填し、更に通常平らな摺動底蓋本体に一定の角度を持たせることで、容器内のエアが抜けやすくし、更に同じ角度をリングにも付けて、使用終了時には摺動底蓋本体とリングがほぼ完全に付合してデッドボリュームをほぼ完全に取り除くことで、使用終了時の残存量を非常に少なくできることを見出した。そして、これらの特徴を有する図1および図2に例示するような本特許に使用されるゲル製剤用噴霧容器(上方排圧エアレス式噴霧容器)は、通常の医薬品としての噴霧量精度が担保されている。この摺動底蓋本体の一定の角度は、小さいと製剤充てん時、容器本体の肩部分に空隙が残り、大きいと摺動底蓋の裾野部分に空隙が残り、不都合である。その角度は5〜30°が好ましく、さらに好ましくは15〜25°である。
【0054】
また、本特許に使用されるゲル製剤用噴霧容器(上方排圧エアレス式噴霧容器)は、外気を取り込むシステムではないため、外気による微生物汚染を受けにくいという医薬製剤として極めて有用な特性も有しており、必要以上の防腐剤や保存剤を要しないという安全性や製造コストの面からも極めて優れた経鼻投与システムである。
【0055】
本発明では、噴霧容器の投与角度が0°から360°のいずれの角度または角度の範囲でも使用することができる。例えば点鼻用の場合、上記のスプレー型点鼻製剤を、投与体位(頭部の角度)とスプレー容器との投与角度を添付図面の図3のように種々変化させて使用することができる。すなわち、従前の点鼻スプレーでも噴霧可能であった角度0°付近から、噴霧が困難であった45°〜90°、更には噴霧が不可能であった180°まで噴霧可能である。
ここで、頭を後ろに倒し容器投与角度を65〜180°で使用することにより、鼻甲介(鼻道)が平行方向から垂直方向へ変化していくことになり、最初に鼻甲介の先端部分に確実に分散させて付着させることができると考えられ、鼻甲介に捕捉沈着した製剤は、重力による流れと粘膜を覆う繊毛細胞の繊毛運動により後方に運ばれ、鼻甲介広範囲に製剤がいきわたることになる。
したがって、投与体位とスプレー容器との投与角度としては、0°〜180°のいずれの角度でもよく、好ましくは45°〜180°、更に好ましくは65°〜180°、最も好ましくは135°付近の鼻甲介(鼻道)が垂直方向であり、鼻甲介の広範囲に製剤を行き渡る角度が最も有利で望ましい。また投与の際の姿勢は、起立状態、座位、仰臥位、横臥位等いずれでもよく、本発明の点鼻製剤はいずれの投与角度でも使用することができる。
【実施例】
【0056】
次に、実施例および試験例に基づいて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。実際に医薬活性物質を配合する本発明の製剤については、製剤例として実施例を本明細書の後段で示すが、物性に関する各種試験については、特に物理化学的性質に影響がないと考えられることから医薬活性物質を配合せずに、粘度等の異なる下記の9種類のゲルタイプ皮膚・粘膜付着製剤を下記の成分を用いて作成し、各種物性に関する試験に供した。
なお、以下の実施例および試験例において、粘度はC形粘度計を用いて20℃で測定した。
実施例1〜3についてはせん断を加えずに粘度調節剤である塩化ナトリウムを同一量加えて調製したゲル製剤で、それぞれ1000、2000および3000mPa・sの粘度を有する。(実施例1〜3において粘度調節剤である塩化ナトリウムが添加されていない場合、その粘度は実施例1では31000mPa・s、実施例2では35000mPa・s、実施例3では36000mPa・sである。)
実施例4〜7についてはせん断を加えて調製したゲル製剤で、実施例6および7は更に粘度調節剤である塩化ナトリウムを加えてせん断力を加える。いずれも粘度は2500mPa・sに調整する。(実施例4において、せん断が加えられていない場合、その粘度は23000mPa・sであり、実施例5〜7において、せん断が加えられていないか(実施例5)、粘度調節剤である塩化ナトリウムを添加せず、せん断も加えない場合(実施例6、実施例7)の粘度は34000mPa・sである。)
実施例8については実施例4〜7と同様の組成で、せん断力を加えずに、粘度調節剤のみで、粘度を2500mPa・sに調整した製剤である。(粘度調節剤である塩化ナトリウムを添加しない場合、その粘度は34000mPa・sである。)
また、実施例4〜8の対照として、粘度調節剤も外部からのせん断力による粘度調整も行わない粘度が2500mPa・sの製剤を作成し、これを比較例とする。




試験容器としては1回の操作で約100mgを噴霧できるポンプを装填した次の噴霧容器を使用した。
本発明容器:ゲル製剤用噴霧容器(上方排圧エアレス式噴霧容器)(100mgポンプ、充填量5g)
対照容器(1):本体容器を2重構造とし内側が擂鉢型の形状を有し、容器内残量に対する配慮がなされている市販製品の噴霧容器(100mgポンプ、充填量5g)
対照容器(2):汎用型噴霧容器(100mgポンプ、充填量5g)
【0057】
容器内残量、規定範囲内噴霧量及び回数に関する試験
空の重量を測定した本発明容器、対照容器(1)および対照容器(2)の3種類の噴霧容器に、実施例1〜実施例8の製剤をそれぞれ正確に約5.0g充填し、表1および表2に示すように投与角度を0°〜180°まで変化させて、1回噴霧する度に、前後の質量差から1回の噴霧量を求め、ほぼ完全に内容物が噴霧されるまで、噴霧操作を繰り返して測定した結果を、本発明容器については表1に、対照容器については表2に示す。
その際の容器内充填製剤の使用分布(%)として、ポンプから噴霧ができなくなった時点での容器内残量(%)、容器の噴霧量として規定された設定量(100mg)の範囲内(±10%以内)で噴霧された噴霧量累計の全量(5.0g)に対する割合を表す「100±10mg範囲内量(%)」、および設定量の範囲外で噴霧された同様の割合を表す「100±10mg範囲外量(%)」を以下の式により求め、それぞれの値も表1および表2に示した。
容器内残量(%)=容器内残量(g)/初期充填量(g)×100
100±10mg範囲内(%)=100±10mg範囲内噴霧量累計(g)/初期充填量(g)×100
100±10mg範囲外(%)=100±10mg範囲外噴霧量累計(g)/初期充填量(g)×100
さらに、100±10mg範囲内で使用できた回数も示した。
【0058】
【表1】


【表2】

【0059】
本発明容器を用いた本発明のシステムであれば、高粘度を有する製剤であっても、その粘度に関係なく、また噴射角度に関係なく容器内充填製剤の使用分布(%)はほとんど一定の値であり、容器内製剤残量(%)は低い値(約7.1%)を示し、設定値の範囲内量(%)も高い値(約87.7%)を示した。これに対し対照容器(1)及び対照容器(2)では下記の表2とおり粘度に依存し、容器内製剤残量(%)は高粘度になるほど増加し、規定範囲内量(%)は減少した。
以下、上記の表1および表2の結果を基に、投与角度および製剤の種類ごとに分類して、並べ替えた結果を、表3〜表8に示す。
【0060】
まず、投与角度を0°にし、各粘度の製剤を用いた各噴霧容器での使用分布(%)を表3、表4及び表5にまとめた。本発明容器を用いた本発明のシステムが極めて優れていることがわかった。また各噴霧容器ごとに粘度と噴霧量の安定性についても、表3〜表5の結果をそれぞれグラフにした図4、図5及び図6からも本発明システムが優れていることが明らかであった。
【表3】


【表4】


【表5】

【0061】
また、内容製剤を実施例2と実施例7の製剤を選択し、噴射角度を種々変化させた、各噴霧容器での使用分布(%)を表6〜表11にまとめた。いずれの噴射角度においても本発明容器を用いた本発明のシステムでは残存率も低く、極めて安定した噴霧が可能であることがわかった。また各噴霧容器ごとに噴射角度と噴霧量の安定性についても、表6〜表8の結果をそれぞれグラフにした図7〜図9からもわかるように、噴射角度65°及び90°で使用可能なのは本発明システムのみであることが明らかになった。
【表6】


【表7】


【表8】


【表9】


【表10】


【表11】

【0062】
平均粒子径の比較
本発明ゲルタイプ皮膚・粘膜付着製剤と他のゲルタイプ皮膚・粘膜付着製剤の噴霧による平均粒子径をレーザー光散乱方式による粒子径測定装置を用いて測定し比較した(表12)。容器はすべて同一のゲル製剤用噴霧容器(上方排圧エアレス式噴霧容器)を使用した。本発明ゲルタイプ皮膚・粘膜付着製剤は、高粘度であるにも拘らず、小さな粒子径を示し、特に鼻腔内投与型製剤として理想的な平均粒子径(50〜100μm)であることが見出された。
【表12】

【0063】
噴霧による粘度保持の比較
本発明ゲルタイプ皮膚・粘膜付着製剤と他のゲルタイプ皮膚・粘膜付着製剤の噴霧による粘度の変化を噴霧前と噴霧直後を測定することにより比較した(表13)。容器はすべて同一のゲル製剤用噴霧容器(上方排圧エアレス式噴霧容器)を使用した。本発明ゲルタイプ皮膚・粘膜付着製剤のみが、極めて高い粘度保持率を有することが見出された。特に、せん断力を加えて粘度を調整した製剤である実施例4〜7においては、噴射前後で粘度の変化は全くなく、極めて高い粘度保持率であった。
【表13】

【0064】
噴霧による噴射角度と噴射密度の比較
上記で調製した粘度、調製方法が異なる各ゲルタイプ皮膚・粘膜付着製剤の噴霧による噴射角度と噴射密度を測定し、比較した(表14)。容器はすべて同一のゲル製剤用噴霧容器(上方排圧エアレス式噴霧容器)を使用した。
粘度の違いにより噴射角度が影響を受けることはなかったが(例えば、実施例1〜3を比較)、せん断力を加えて粘度を調整したゲルタイプ粘膜付着製剤である実施例4〜7では、噴射角度は狭くなる傾向にあり、またこれらの実施例の製剤の中でも、粘度調節剤である塩化ナトリウムを加えた実施例6および実施例7においては、それを加えていない同一組成の実施例5と比較して噴射角度は広くなる傾向にあった。
また、噴射密度に関してもせん断力を加えることによって影響を受けた。すなわち、せん断力を加えていない実施例1〜3および実施例8の製剤では外周に偏って噴霧されたが、せん断力を加えた実施例4〜7の製剤では噴射密度が均等に噴霧されることがわかった(図10〜13参照)。
これらの知見より、本発明ゲルタイプ皮膚・粘膜付着製剤は、ゲル製剤の粘度を粘度調節剤と外部からのせん断力により、噴霧容器からの噴射角度、噴射密度を目的に適するようにコントロールすることが可能であるということであり、例えば、医薬活性物質がイオン性であり溶解状態にある場合、粘度調節剤と同じ役割を担うため、外部からのせん断力のみにより、噴霧容器からの噴射角度と噴射密度を均等となるように調整することが可能となる。
【表14】

【0065】
人工鼻汁による製剤の粘度変化の比較
下記の成分を用いてジェランガムを配合したゲルタイプ皮膚・粘膜付着製剤を作成し、実施例4〜実施例8および比較例の製剤とともに人工鼻汁(組成は下記)による製剤の粘度変化の比較試験に供した。
人工鼻汁はヒトの鼻汁と同様のイオンを同様の濃度で配合した調製液であり、添加後均一化し、約5分後に粘度を測定した。(人工鼻汁の添加量は製剤10gに対して添加した量(g)で示した)




上記、人工鼻汁は、佐分利保雄ら「鼻汁によるスギ花粉の破裂」(日本公衆衛生誌 1992年 第39巻 第6号 P341〜P346に記載されている組成を基に調製したものである。

本発明ゲルタイプ粘膜付着製剤の人工鼻汁による製剤の粘度変化を図14に示す。容器はすべて同一のゲル製剤用噴霧容器(上方排圧エアレス式噴霧容器)を使用した。すなわち、粘度調節剤による粘度調整及び外部からのせん断力により粘度調整のいずれも行っていない比較例では人工鼻汁の添加によって著しく粘度の低下が観察されたのに対し、これらの粘度調整のいずれかを行った実施例4〜10では、粘度の低下がかなり抑えられた。特に注目すべきは、ジェランガムを配合した実施例9および10では、ジェランガムを配合していない他の実施例よりも人工鼻汁の添加量の増加によって、粘度の変化に影響を受けにくいということがわかった。
【0066】
微生物に対する安定性の比較
0.2%ジェランガム溶液を加熱滅菌し内容製剤とし、EOG滅菌処理したゲル製剤用噴霧容器(上方排圧エアレス式噴霧容器)及び対照容器(2)に製剤5gを充填し、内容製剤量が50%になるまで2.5g噴霧し、37℃の恒温器、室温に保存し経時的に観察し微生物に対する安定性を比較した(表15)。本発明のゲル製剤用噴霧容器の方が従前の点鼻用容器に比べ、微生物に対する安定性が優れていることが示唆された。
【表15】

【0067】
サッカリン製剤を利用した鼻腔内滞留性の比較
実施例2の製剤に0.5%の濃度になるように甘みを有するサッカリンナトリウムを添加した製剤と0.5%サッカリンナトリウム水溶液を100mgを噴霧できるポンプを装填した点鼻用ゲル製剤用噴霧容器(上方排圧エアレス式噴霧容器)を用いて色々な角度で被験者(3名:A、B、C)に点鼻投与(両鼻孔に1回、合計200mg)し、投与後一定の時間後に頭位を垂直にして、投与後被験者が甘みを感じるまでの時間を種々測定し、比較した(表16〜表19)。いずれの場合においても、実施例2のゲルタイプ皮膚・粘膜付着製剤の方が、ゲルタイプではない通常の水溶液よりも甘みを感じるまでに大幅に時間を要したことから、ゲルタイプでは鼻腔内での滞留性が十分に高いことが示唆された。
【表16】


【表17】


【表18】


【表19】

【0068】
以下に、実際に医薬活性物質を含有する本発明の製剤について、製剤例として実施例を示す。但し、本発明はこれらに限られるものではない。
【表20】


【表21】

【0069】
【表22】


【表23】

【0070】
【表24】


【表25】

【0071】
【表26】


【表27】

【0072】
【表28】


【表29】

【0073】
【表30】


【表31】

【0074】
【表32】


【表33】

【0075】
【表34】


【表35】

【0076】
【表36】


【表37】

【0077】
【表38】


【表39】

【0078】
【表40】


【表41】

【0079】
【表42】


【表43】

【0080】
【表44】


【表45】

【0081】
【表46】


【表47】

【0082】
【表48】


【表49】

【0083】
【表50】

【産業上の利用可能性】
【0084】
以上のように、本発明のスプレー用ゲルタイプ皮膚・粘膜付着型製剤は、従前の薬液に比べ滞留性が改善されており、更に容器においても従前広く用いられてきているチューブで吸い上げるタイプのスプレー容器ではなく、上方排圧エアレス式噴霧容器を用いることによって、本発明のゲル製剤にも適したスプレー製剤を可能にした。特に、点鼻薬に適用することで従前の点鼻製剤では困難であり、不可能であった45°以上での点鼻スプレーの投与を可能とした。
更に、上方排圧エアレス式噴霧容器においても、容器内の摺動底蓋本体を改良することで、残存率が低く、しかも噴霧量が安定であることを可能とする噴霧容器を考案し、安全でしかも製造コスト面でも経済的なゲルタイプ皮膚・粘膜付着型点鼻スプレー製剤を可能とした。
したがって、本発明の点鼻スプレー用ゲルタイプ皮膚・粘膜付着型製剤およびそれを用いた投与システムを用いることで、従来の鼻炎治療等においても吸収やクリアランスの改善が図れ、しかも使用の際必要に応じた角度での投与が可能となり、しかも最後まで安定した噴霧量でほぼ使い切れるという利点を有することから、より効果的で有用な点鼻製剤などを可能とする。また、全身作用を目的とした薬物の投与経路としての鼻腔内投与型製剤の開発においても、大いに有用な投与システムとなり得るものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚・粘膜付着剤を含有するゲル基剤中に医薬活性物質を含むゲル製剤からなる、スプレー用ゲルタイプ皮膚・粘膜付着型製剤。
【請求項2】
適用する粘膜が鼻腔、眼、耳、口腔、直腸、膣、もしくは尿道、または適用する皮膚が手、指、足、体部、股部、頭皮、肛門周囲、もしくは性器周囲である請求項1に記載のスプレー用ゲルタイプ皮膚・粘膜付着型製剤。
【請求項3】
適用する粘膜が鼻腔である請求項1に記載のスプレー用ゲルタイプ皮膚・粘膜付着型製剤。
【請求項4】
皮膚・粘膜付着剤としてカルボキシビニルポリマーおよび/またはジェランガムを含有する請求項1から請求項3のいずれかに記載のスプレー用ゲルタイプ皮膚・粘膜付着型製剤。
【請求項5】
皮膚・粘膜付着剤として0.1重量%から2.0重量%のカルボキシビニルポリマーまたはジェランガムを含有する、請求項4に記載のスプレー用ゲルタイプ皮膚・粘膜付着型製剤。
【請求項6】
皮膚・粘膜付着剤としてその合計が0.2重量%から4.0重量%のカルボキシビニルポリマーおよびジェランガムを含有する、請求項4に記載のスプレー用ゲルタイプ皮膚・粘膜付着型製剤。
【請求項7】
皮膚・粘膜付着剤として0.1重量%から2.0重量%のカルボキシビニルポリマーを含有し、外部からせん断力を与えて粘度を調整した請求項1から請求項3のいずれかに記載のスプレー用ゲルタイプ皮膚・粘膜付着型製剤。
【請求項8】
皮膚・粘膜付着剤として0.1重量%から2.0重量%のカルボキシビニルポリマーを含有し、外部からせん断力を与えて粘度を50mPa・sから5000mPa・sに調整した請求項7に記載のスプレー用ゲルタイプ皮膚・粘膜付着型製剤。
【請求項9】
皮膚・粘膜付着剤として0.1重量%から2.0重量%のカルボキシビニルポリマーを含有し、粘度調節剤および外部からせん断力を与えて粘度を50mPa・sから5000mPa・sに調整した請求項1から請求項3のいずれかに記載のスプレー用ゲルタイプ皮膚・粘膜付着型製剤。
【請求項10】
粘度調節剤が、塩化ナトリウム、塩化カリウムおよび塩化カルシウムよりなる群から選ばれた請求項9に記載のスプレー用ゲルタイプ皮膚・粘膜付着型製剤。
【請求項11】
中性または塩基性の水溶性アミノ酸から選ばれるカルボキシビニルポリマーの増粘化剤を、カルボキシビニルポリマーに対する重量比で1:0.5から1:3の範囲で含有する請求項4から請求項10のいずれかに記載のスプレー用ゲルタイプ皮膚・粘膜付着型製剤。
【請求項12】
増粘化剤がアルギニン、リジン、および/またはオルニチンである請求項11に記載のスプレー用ゲルタイプ皮膚・粘膜付着型製剤。
【請求項13】
医薬活性物質が0.001〜10重量%含まれるゲル製剤である、請求項1から請求項12のいずれかに記載のスプレー用ゲルタイプ皮膚・粘膜付着型製剤。
【請求項14】
医薬活性物質が溶解状態にある、請求項1から請求項13のいずれかに記載のスプレー用ゲルタイプ皮膚・粘膜付着型製剤。
【請求項15】
医薬活性物質が懸濁状態にある、請求項1から請求項13のいずれかに記載のスプレー用ゲルタイプ皮膚・粘膜付着型製剤。
【請求項16】
医薬活性物質が乳化状態にある、請求項1から請求項13のいずれかに記載のスプレー用ゲルタイプ皮膚・粘膜付着型製剤。
【請求項17】
請求項1から請求項16に記載のいずれかのスプレー用ゲルタイプ粘膜付着型製剤を、ゲル製剤用噴霧容器(上方排圧エアレス式噴霧容器)に充填して、噴霧容器の投与方向を任意に設定して処置する患部に噴霧し、ゲル基剤をすべての角度に噴霧できることを特徴とする投与システム。
【請求項18】
ゲル製剤の粘度が50mPa・sから5000mPa・sの範囲であり、噴霧操作によって得られる噴霧された製剤粒子の粘度保持率が50%以上である請求項17に記載の投与システム。
【請求項19】
粘度が外部からせん断力を与えられて50mPa・sから5000mPa・sの範囲に調整されたゲル製剤を含む、噴霧操作によって得られる噴霧された製剤粒子の粘度保持率が90%以上である請求項17に記載の投与システム。
【請求項20】
噴霧された製剤粒子の平均粒子径が10μmから100μmの範囲である請求項17から請求項19に記載の投与システム。
【請求項21】
粘度が外部からせん断力を与えられて50mPa・sから5000mPa・sの範囲に調整されたゲル製剤を含む、噴霧容器からの噴射角度を10°から70°の範囲にし、噴射密度を均等乃至外周に集中させた請求項17に記載の投与システム。
【請求項22】
使用により完全に噴霧され噴霧ができなくなった時点での容器中のゲル製剤の残存率が20%以下であり、設定量の±10%以内の範囲で噴霧される率が70%以上である請求項17から請求項21のいずれかに記載の投与システム。
【請求項23】
使用により完全に噴霧され噴霧ができなくなった時点での容器中のゲル製剤の残存率が15%以下であり、設定量の±10%以内の範囲で噴霧される率が80%以上である請求項17から請求項21のいずれかに記載の投与システム。
【請求項24】
噴霧容器の投与角度が0°から360°のいずれかの角度または角度の範囲である、請求項17から請求項23のいずれかに記載の投与システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−64022(P2013−64022A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−6034(P2013−6034)
【出願日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【分割の表示】特願2008−512157(P2008−512157)の分割
【原出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【出願人】(390002705)東興薬品工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】