説明

スプレー装置及びそのためのキット

【課題】粘度に関わらず塗料などの液状組成物のスプレー塗布に適したスプレー装置を提供する。
【解決手段】スプレー装置2として、ガス容器4aを備える本体4と、ガス容器からのガスを噴出するガス噴出ノズル22と、液状組成物を直接的に又は間接的に保持するとともに、該保持した液状組成物を排出する液状組成物排出口44を備える液状組成物保持部40と、を備えるようにし、液状組成物保持部40は、保持された液状組成物が流下可能な程度に下方を指向し、ガス噴出ノズル22は水平より下方を指向するとともにその先端は液状組成物排出口44の近傍に位置されるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状組成物のスプレー装置及びキットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境への影響を考慮して例えば車両の塗装等には液状組成物が多く用いられるようになっている。また、液状組成物による塗装面の補修には同様に液状組成物が用いられるようになってきている。液状組成物は、分散媒体として水を用いているため、工業的には大型のスプレー装置に容易に適用できる。一方、細かい部分や補修部分などには刷毛やペン型のカートリッジを用いた手作業が主流である。液状組成物は、通常、溶剤系塗料に比較して粘度が高いため、手作業で刷毛などを用いた場合には、刷毛目などが出やすく良好な仕上げ面を得るには熟練が必要であった。また、簡易型のスプレーガンも知られている(特許文献1)。このスプレーガンでは、通常、高い圧力の圧縮ガスにより塗料カートリッジ内の塗料がノズルに送液されノズルから吐出されるとともに、別途送られる圧縮ガスより霧化されるようになっている。
【特許文献1】特開平10−305243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
こうしたスプレーガンによれば、粘度の低い溶剤系塗料を塗布するのには都合がよいが、液状組成物のように粘度が高い場合には、送液に支障がある場合があった。また、液状組成物は粘度や比重が大きいこともあり、上方に向かって吐出された液状組成物に霧化用ガスが噴霧されるため、標的に対して所望の面積で所望の量をスプレー塗布することが困難であった。また、このスプレーガンでは、液状組成物カートリッジ内に侵入させるノズルを塗料の色を変えるなど液状組成物のカートリッジの付け替え毎に洗浄するか、カートリッジ毎にノズルを準備する必要があった。
【0004】
そこで、本発明は、粘度に関わらず塗料などの液状組成物のスプレー塗布に適したスプレー装置及びキットを提供することを一つの目的とする。また、本発明は、液状組成物の交換が容易なスプレー装置及びキットを提供することを他の一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記した課題を解決するために以下の手段を採った。
(1) 液状組成物のスプレー装置であって、
ガス容器を備える本体と、
前記ガス容器からのガスを噴出するガス噴出ノズルと、
前記液状組成物を直接的に又は間接的に保持するとともに、該保持した液状組成物を排出する液状組成物排出口を備える液状組成物保持部と、
を備え、
前記液状組成物保持部は、前記保持された液状組成物が流下可能な程度に下方を指向し、前記ガス噴出ノズルは水平より下方を指向するとともにその先端は前記液状組成物保持部の前記液状組成物排出口近傍に位置している、スプレー装置。
(2) 前記液状組成物保持部は、前記液状組成物が充填されるカートリッジの開口部近傍を保持することにより前記液状組成物を間接的に保持するカートリッジホルダーである、(1)に記載のスプレー装置。
(3)前記カートリッジホルダーは、前記カートリッジの開口部近傍を保持可能な開口を有し前記カートリッジから流下する液状組成物を受容可能な容器状であり、その底部近傍に前記液状組成物排出口を備える、(2)に記載のスプレー装置。(4)前記カートリッジホルダーは、前記カートリッジホルダー内に収容され前記カートリッジの開口部と前記液状組成物排出口にそれぞれ連通するスリーブを備えている、(2)又は(3)に記載のスプレー装置。
(5)前記スリーブは、前記液状組成物排出口側に向かって徐々に開口径が小さくなるテーパー部を有している、(4)に記載のスプレー装置。
(6)前記スリーブの前記テーパー部における開口は、前記液状組成物排出口の開口径よりも大きい、(5)に記載のスプレー装置。
(7)前記カートリッジホルダーは、その内部に収容されるインサートを備えており、
該インサートは、
前記液状組成物排出口近傍に嵌合して前記液状組成物排出口を閉鎖可能な先端部と、
前記カートリッジの開口部と連通して前記液状組成物を受容可能なキャビティであって該キャビティと前記カートリッジホルダーと間に形成される空間に連通する液状組成物の導出口を備えるキャビティと、
を有する、(2)又は(3)に記載のスプレー装置。
(8)前記インサートは、前記カートリッジホルダーの所定の内壁部に係止可能に前記インサートの周囲に沿って外側に張り出すとともに弾性変形可能な端縁部を有している、(7)に記載のスプレー装置。
(9)前記インサートは、前記カートリッジホルダーへの挿入深さにより前記液状組成物排出口の開閉程度が調整される、(7)又は(8)に記載のスプレー装置。
(10)前記インサートは、前記カートリッジの開口部近傍に嵌合可能であり、前記カートリッジへの挿入深さは前記カートリッジの前記カートリッジホルダーへの挿入深さにより調整可能である、(9)に記載のスプレー装置。
(11)前記カートリッジホルダーは、前記液状組成物排出口近傍の所定部位に、該所定部位より前記液状組成物排出口側への移動が抑制された状態で回転自在に球状体を保持している、(2)〜(6)のいずれかに記載のスプレー装置。
(12)前記カートリッジホルダーは、
前記球状体表面又は前記球状体を保持する前記カートリッジホルダーの内壁に、前記球状体表面と前記内壁との間に前記液状組成物が流下可能な程度の間隙を形成する1又は2以上の凹状部を有している、(11)に記載のスプレー装置。
(13)前記カートリッジホルダーは、前記液状組成物のスプレー時において前記液状組成物が前記液状組成物排出口から流下可能に空気を供給する空気供給部を備える、(1)〜(12)のいずれかに記載のスプレー装置。
(14)前記カートリッジホルダーの開口及び前記カートリッジの開口部は互いに螺合する雌ネジ部及び雄ネジ部をそれぞれ有しており、
前記空気供給部は、前記雌ネジ部又は前記雄ネジ部の少なくとも一部が切欠き状とされ螺合時においても螺合部を空気が流通可能な1個又は2個以上のスリットである、(13)に記載のスプレー装置。
(15)前記液状組成物保持部は、前記液状組成物を貯留可能で液状組成物の導入口を備える容器である、(1)に記載のスプレー装置。
(16)前記液状組成物保持部は、前記液状組成物排出口近傍に嵌合して前記液状組成物排出口を閉鎖可能な先端部を有するインサートを、前記液状組成物排出口への嵌合状態を調整可能に備える、(15)に記載のスプレー装置。
(17)前記インサートの前記先端部の前記液状組成物排出口への嵌合状態は、前記インサートを含むネジ機構による前記先端部の前記液状組成物排出口への挿入深さにより調整される、(15)又は(16)に記載のスプレー装置。
(18)スプレー装置のためのキットであって、
前記スプレー装置は、
ガス容器を備える本体と、前記ガス容器からのガスを噴出するガス噴出ノズルと、液状組成物が充填されるカートリッジの開口部近傍を保持するとともに、前記カートリッジ内の前記液状組成物を排出する液状組成物排出口を備えるカートリッジホルダーと、を備え、前記カートリッジホルダーは、前記カートリッジ内の前記液状組成物が流下可能な程度に下方を指向しているとともに、前記ガス噴出ノズルは水平より下方を指向するとともにその先端は前記カートリッジホルダーの前記液状組成物排出口近傍に位置しているスプレー装置であり、
前記キットは、
前記本体と、
前記本体に対して直接又は間接に着脱可能であって、少なくとも前記カートリッジホルダーを備えるカートリッジユニットと、
を備え、
前記ガス噴出ノズルは、前記本体及び前記カートリッジユニットのいずれかに着脱可能であるか又は前記本体及び前記カートリッジユニットのいずれかに一体化されて備える、キット。
(19) 前記カートリッジホルダー内に収容可能であって、前記カートリッジの開口部と前記液状組成物排出口にそれぞれ連通するスリーブを備える、(18)に記載のキット。
(20)前記カートリッジホルダー内に収容可能であって、前記液状組成物排出口近傍に嵌合して前記液状組成物排出口を閉鎖可能な先端部と、前記カートリッジの開口部と連通して前記液状組成物を受容可能なキャビティであって該キャビティと前記カートリッジホルダーと間に形成される空間に連通する液状組成物の導出口を備えるキャビティと、を有するインサートを備える、(18)に記載のキット。
(21)前記カートリッジに前記空気供給口を開口可能な突起部を有し、該突起部により前記カートリッジに開口させた前記空気供給口を遮断する遮蔽部を備えているキャップ部材を備える、(18)〜(20)のいずれかに記載のキット。
(22)スプレー装置用のカートリッジユニットであって、
前記スプレー装置は、
ガス容器を備える本体と、前記ガス容器からのガスを噴出するガス噴出ノズルと、液状組成物が充填されるカートリッジの開口部近傍を保持するとともに、前記カートリッジ内の前記液状組成物を排出する液状組成物排出口を備えるカートリッジホルダーと、を備え、前記カートリッジホルダーは、前記カートリッジ内の前記液状組成物が流下可能な程度に下方を指向しているとともに、前記ガス噴出ノズルは水平より下方を指向するとともにその先端は前記カートリッジホルダーの前記液状組成物排出口近傍に位置しているスプレー装置であり、
少なくとも前記カートリッジホルダーを備えるカートリッジユニット。
(23)前記カートリッジユニットには、前記ガス噴出ノズルを備える、(22)に記載のユニット。
(24)前記液状組成物保持部は、前記液状組成物排出口近傍の所定部位に、該所定部位より前記液状組成物排出口側への移動が抑制された状態で回転自在に球状体を保持する、(1)に記載のスプレー装置。
(25)前記液状組成物保持部は、
前記液状組成物排出口近傍の第1の所定部位において、該第1の所定部位より前記液状組成物排出口側への移動が抑制された状態で回転自在に保持される第1の球状体と、
前記第1の所定部位よりも前記液状組成物排出口から離れた第2の所定部位において、該第2の所定部位よりも前記液状組成物排出口側への移動が抑制された状態で回転自在に保持される第2の球状体と、
を備える、(24)に記載のスプレー装置。
(26)前記第1の球状体の表面又は前記球状体を保持する前記液状組成物保持部材の内壁に、前記第1の球状体表面と前記内壁との間に前記液状組成物が流下可能な間隙を形成する1又は2以上の凹状部を有している、(25)記載のスプレー装置。
(27)前記第1の球状体又は前記内壁に、前記間隙を形成可能な1又は2以上の凸状部を有する、(25)又は(26)に記載のスプレー装置。
(28)前記液状組成物保持部は、前記第2の球状体によって、ガス噴出時には前記液状組成物が通過可能であり、ガス非噴出時には前記液状組成物の流下を抑制可能な開口を備える球状体保持部材を備える、(25)〜(27)のいずれかに記載のスプレー装置。
(29)前記球状体保持部材の前記第2の球状体に当接する開口端面は、前記液状組成物保持部の前記液状組成物排出口を指向する中心軸に直交するよりも傾斜している、(28)に記載のスプレー装置。
(30)前記液状組成物保持部は、前記液状組成物が充填されるカートリッジの開口部近傍を保持することにより前記液状組成物を間接的に保持するカートリッジホルダーであり、
前記球状体保持部材は、前記カートリッジの開口部と前記液状組成物排出口にそれぞれ連通するスリーブの前記液状組成物排出口側部分を構成する、(28)又は(29)に記載のスプレー装置。
(31)前記カートリッジホルダーの開口及び前記カートリッジの開口部は互いに螺合する雌ネジ部及び雄ネジ部をそれぞれ有しており、
前記雌ネジ部又は前記雄ネジ部の少なくとも一部が切欠き状とされ螺合時においても螺合部を空気が流通可能な1個又は2個以上のスリットである空気供給部を備える、(29)に記載のスプレー装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の液状組成物のスプレー装置は、ガス容器を備える本体と、前記ガス容器からのガスを噴出するガス噴出ノズルと、前記液状組成物を直接的に又は間接的に保持するとともに、該保持した液状組成物を排出する液状組成物排出口を備える液状組成物保持部と、を備え、前記液状組成物保持部は、前記保持された液状組成物が流下可能な程度に下方を指向し、前記ガス噴出ノズルは水平より下方を指向するとともにその先端は前記液状組成物保持部の前記液状組成物排出口近傍に位置していることを特徴としている。
【0007】
また、本発明のスプレーキットは、ガス容器を備える本体と、前記ガス容器からのガスを噴出するガス噴出ノズルと、液状組成物が充填されるカートリッジの開口部近傍を保持するとともに、前記カートリッジ内の前記液状組成物を排出する液状組成物排出口を備えるカートリッジホルダーと、を備え、前記カートリッジホルダーは、前記カートリッジ内の前記液状組成物が流下可能な程度に下方を指向しているとともに、前記ガス噴出ノズルは水平より下方を指向するとともにその先端は前記カートリッジホルダーの前記液状組成物排出口近傍に位置しているスプレー装置のためのキットであり、
前記本体と、
前記本体に対して直接又は間接に着脱可能であって、少なくとも前記カートリッジホルダーを備えるカートリッジユニットと、
を備えることを特徴としている。
【0008】
こうした液状組成物のスプレー装置及びキットによれば、液状組成物保持部又はカートリッジホルダーは液状組成物が流下可能な程度に下方を指向しているため、液状組成物の粘度に関わらず、重力の作用によりガス噴出ノズルの近傍に液状組成物が供給される。また、こうしてガス噴出ノズル近傍に供給される液状組成物に対して、水平よりも液状組成物排出口側に傾斜してガス噴出ノズルからガスが噴射されることにより、液状組成物は安定して液滴化され霧状となってスプレーされる。
【0009】
このように、本発明のスプレー装置及びキットによれば、液状組成物の重力による流下やカートリッジ構造を利用することにより、スプレーしようとする液状組成物に適したスプレー装置を提供することができる。また、本発明のスプレー装置及びキットによれば、液状組成物のカートリッジを液状組成物保持部に保持させることにより、簡易に液状組成物をスプレーできる。
【0010】
以下、本発明のスプレー装置及びキットについて実施形態を例示して具体的に説明する。図1には、本実施形態のスプレーキットを示し、図2には、こうしたキットによるスプレー装置を示し、図3には、カートリッジホルダー部分の詳細な断面図を示す。
【0011】
本実施形態のスプレー装置2及びキット102は、図1及び図2に例示するように液状組成物として水性塗料のカートリッジ100に用いる。このカートリッジ100は、カートリッジ本体Cとネジ式のキャップを備えており、このキャップに一体にあるいは別個に刷毛を備えることができる。カートリッジ本体Cの開口部にある雄ネジ部は、カートリッジホルダー40の開口42の雌ネジ部に螺合されるようになっている。
【0012】
図1に示すように、本実施形態のスプレー装置2は、ガス容器4aを備える本体4と、ガス噴出ノズルを備えるノズル部20と、水性塗料が充填されたカートリッジ本体Cを保持するカートリッジホルダー40とを備えている。また、本実施形態のスプレーキット102は、このスプレー装置2を構成するキットであって、本体4と、ノズル部20とカートリッジホルダー40とが一体となったカートリッジユニット10とを備えている。
【0013】
ガス容器4aは、ガス供給源であればよく、ガスの種類やガスの充填形態などを問わない。したがって、エアボンベであってもよい、液化ガスや圧縮ガスが充填されたものであってもよい。こうしたガス容器4aは、交換可能に構成されていてもよい。
【0014】
操作部6の形態は特に限定されず、図1に例示するようにいわゆるスパウトであってもよいし、ボタンであってもよい。さらに、グリップ式であってもよい。例えば、操作部6を押圧すると、これに連動してガス容器4a内部のガスがガス噴出口8から勢いよく噴出されるようになっている。
【0015】
カートリッジユニット10は、ガス容器4aの上部に着脱可能に備えられている。カートリッジユニット10は、ノズル部20とカートリッジホルダー40とを備えている。
【0016】
ノズル部20は、ガス噴出ノズル22を備えている。ガス噴出ノズル22は、先細り状の筒状体に形成されており、本体4にカートリッジユニット10を装着するときには、同時に本体4のガス噴出口8と連通するように装着される。本実施形態では、ガス噴出ノズル22は、ガス噴出口8を外挿するようにして装着されるようになっている。
【0017】
ノズル部20は、カートリッジユニット10を本体4に装着した状態において、その全体が水平より下方を指向するように形成されており、このノズル部20の長軸に沿ってガス噴出ノズル22も同様に下方を指向している。
【0018】
ガス噴出ノズル22は、真下を指向するというわけでなく、後述する水性塗料の粘度との関係もあるが、水性塗料が排出される水性塗料排出口側を指向して緩く下方に傾く程度に傾斜するよう構成されている。なお、ガス噴出ノズル22の先端は、カートリッジホルダー40の水性塗料排出口44を指向するのではなく、該排出口44よりもやや先を指向するように位置決めされている。また、ガス噴出ノズル22の先端は、カートリッジホルダー40に接触しないように配置されていることが好ましい。カートリッジホルダー40の先端側は水性塗料の霧化によって汚染される可能性があるからである。
【0019】
ノズル部20には、本体4にユニット10を着脱可能に固定するための固定部材を備えている。例えば、ノズル部20を下から支持して本体4に固定する脚部24を備えることができる。脚部24は、ノズル部20を支持するようにその下部に一体に形成され、その下端がガス容器4aの上部に備える端縁等に係合又は嵌合により固定化することができるようになっている。この脚部24は、ユニット10の本体4への固定部材であるが、同時に、ガス噴出ノズル22における一定のガス噴射方向を維持するとともに、カートリッジホルダー40にカートリッジ本体Cを脱着する時に係る荷重を支持するのに都合がよいものとなっている。
【0020】
また、他の固定部材としては、ノズル部20の上部に、ガス容器4aの操作部6の近傍に設けた端縁に係止されるブラケット26を備えることができる。ブラケット26は、ノズル部20の上部に設けたカートリッジホルダー40を一体化する基部28に一体化されている。そして、ブラケット26は、この基部28から本体4を指向して延出され、その先端に本体4の操作部6近傍に設けた端縁に対する係合部26aを備えている。このブラケット26による本体4への係合状態を維持することで、本体4に対するユニット10全体の取り付け形態(姿勢)を安定して確保することができる。また、ガス噴射圧に抗してユニット10を一定位置に保持しておくことができる。さらに、カートリッジホルダー40へのカートリッジ本体Cの脱着時にかかる荷重を分散支持することもできる。
【0021】
なお、こうしたユニット10における本体4への固定部材における固定手段の固定手法としては、嵌合、係合、螺合、締着など各種の固定手段を用いることができ、また、上記固定手段の形態はブラケットや脚部には限定されないで各種の態様が可能である。
【0022】
カートリッジホルダー40は、ノズル部20の上部に設けた基部28に一体化されている。基部28は、ノズル部20の上部から上方を指向して突出されてカートリッジホルダー40の側面を支持している。カートリッジホルダー40は、カートリッジ本体Cの開口部近傍を保持するようになっており、ユニット10が本体4に装着されたとき、カートリッジ本体C内の水性塗料が流下可能な程度に下方を指向するように構成されている。
【0023】
カートリッジホルダー40は、装着しようとするカートリッジ本体Cの開口部形状に対応した容器状体であることが好ましい。容器状体であると、安定してカートリッジ本体Cを保持できる。カートリッジホルダー40は、その開口近傍の内周面に雌ねじ部を有しており、カートリッジ本体Cの開口部近傍にある雄ねじ部と螺合可能となっている。なお、カートリッジホルダー40は、カートリッジ本体Cをどのような固定手段で保持してもよいが、嵌合、係合、螺合等の各種の固定手段により、カートリッジ本体Cによってカートリッジホルダー40内を略密閉状態とする程度に保持することが好ましい。
【0024】
カートリッジホルダー40は、その水性塗料排出口44側に徐々に径が小さくなるテーパー状であることが好ましい。水性塗料排出口44から排出される水性塗料は指向性が強いことが好ましいからである。
【0025】
カートリッジホルダー40は、図3に詳細に示すように、その水性塗料排出口44の近傍の所定位置において球状体46を保持している。球状体46は、その保持部位よりも先端側には移動されないように適当な係止構造等により抜け止めされて保持されている。この球状体46が所定部位に保持されることで、非スプレー時などにおいて、カートリッジ本体Cから流下してくる水性塗料が水性塗料排出口44から排出されるのを抑制することができる。また、この球状体46を保持するカートリッジホルダー40の内壁に1個又は2個以上の凹状部48aを備えることができる。こうした凹状部48aを備えることで、保持部位の内壁と球状体46との間に間隙を形成することができ、スプレー時には、水性塗料を水性塗料排出口44から適切に排出させることができる。凹状部48aは、水性塗料排出口44を指向するように、具体的にはそうした方向性を持った溝状に形成されていてもよい。なお、凹状部48aは、球状体46の表面に形成されていてもよい。
【0026】
カートリッジホルダー40は、その内部にスリーブ50を備えている。スリーブ50は、カートリッジホルダー40内に固定されており、カートリッジ本体Cの開口部と水性塗料排出口44とに連通する筒状体に形成されている。したがって、スリーブ50の内側が、カートリッジ本体Cから流下する水性塗料を受容する部分となっている。なお、本実施形態では、スリーブ50は、カートリッジ本体Cの内栓101に密着するように固定されている。スリーブ50をカートリッジホルダー40内に備えることにより、カートリッジホルダー40内の水性塗料が貯留される空間を減容させて、カートリッジホルダー40からカートリッジ本体Cを外すときにカートリッジホルダー40から水性塗料が溢れ出ることを抑制できる。また、スリーブ50はカートリッジ本体Cの開口部に連通されているため、カートリッジ本体C側にカートリッジホルダー40内に貯留した水性塗料が流下するようにカートリッジホルダー40又はカートリッジ本体Cを支持したときには、水性塗料がカートリッジ本体C内に戻りやすく、これによっても、カートリッジ本体Cの取り外し時における水性塗料の漏れを抑制できる。
【0027】
カートリッジ本体Cが装着されたカートリッジホルダー40内に空気を供給可能な空気供給部を備えることができる。カートリッジホルダー40内は略密閉された空間となっているため、ガス噴出ノズル22からガスが噴射されている間、カートリッジホルダー40から水性塗料を安定して排出するためには外部空気を供給して内部が減圧になり過ぎるのを防ぐ必要がある。空気供給部は、単に、カートリッジホルダー40の内外を連通させる開口部であってもよいが、確実に外部空気を供給するには、カートリッジホルダー40内外を連通するような空気供給管52を装着することができる。
【0028】
空気供給管52は、空気の取り入れ口53をカートリッジホルダー40の外部に備えている。この取り入れ口53は、カートリッジホルダー40内に貯留した水性塗料が流出しないように、ユニット10の本体4への装着時に取り入れ口53が上方に開口するように屈曲されている。空気供給管52のカートリッジホルダー40内における開口は、水性塗料排出口44に連通する空間内にあることが好ましい。したがって、本実施形態では、スリーブ50内に空気供給管52が開口されている。また、本実施形態では、空気供給管52は、カートリッジホルダー40及びスリーブ50に形成した貫通孔によってそれぞれ嵌合保持されている。このために、空気供給管52は安定してカートリッジホルダー40に対して保持されるようになっている。
【0029】
次に、こうしたスプレー装置2を用いて水性塗料をスプレーする操作について説明する。まず、図1に示すように、カートリッジユニット10を本体4に対して装着する。すなわち、カートリッジユニット10の脚部24を本体4の上部端縁に係合させるとともに、ブラケット26の係合部26aを本体4の操作部近傍の端縁に係止する。さらに、ガス噴出口8にノズル部20を外嵌するようにして嵌めあわせる。これらの結果、カートリッジユニット10は本体4に固定され、ノズル部20及びカートリッジホルダー40について、それぞれ所定の姿勢が形成される。
【0030】
次いで、水性塗料のカートリッジ100のキャップを外してカートリッジ本体Cをカートリッジホルダー40に装着する。すなわち、カートリッジ本体Cの開口部の雄ネジ部とカートリッジホルダー40の開口42の雌ネジ部とを螺合させて装着する。これにより、カートリッジホルダー40の開口42側がカートリッジ本体Cにより略密閉された状態が形成される。また、カートリッジ本体Cの開口部近傍はカートリッジホルダー40内部に挿入された状態となるとともに、カートリッジ本体Cの開口部はカートリッジホルダー40内部にあるスリーブ50の端部を嵌合して、スリーブ50をカートリッジホルダー40内にしっかりと固定する。
【0031】
なお、こうしたセット状態において、カートリッジ本体C内の水性塗料は、重力によりカートリッジホルダー40内に流下してくるが、球状体46が排出口44に近傍で保持されているため、水性塗料の排出口44からの排出を防止できる。なお、球状体46の保持部位の内壁に形成した凹状部48aは、こうした非スプレー時において水性塗料の排出を防止できる程度の形態で形成されているため、水性塗料が容易に流下してしまうことはない。なお、カートリッジホルダー40に予めカートリッジ本体Cを保持した後、このカートリッジユニット10を本体4に装着してもよい。
【0032】
次いで、塗装しようとする領域に対してスプレー装置2を把持して位置し、操作部6を押圧してガス容器4aの内部のガスをガス噴出口8を介してガス噴出ノズル22から噴出させる。ガスがガス噴出ノズル22から噴出されるとそのガス圧でカートリッジホルダー40の水性塗料排出口44の近傍の空気も吸引される。これに伴い、カートリッジ本体C内の水性塗料が排出口44から排出される。このように、スプレー装置2では、水性塗料を重力に自然流下させつつ、ガス噴出ノズル22からのガス噴射による吸引により水性塗料を排出口44から排出させてガス噴出ノズル22の先端側に供給するものであるため、従来のように水性塗料の粘性の高さによる不都合を回避できる。すなわち、粘性に関わらずスプレー化が容易になった。
【0033】
排出口44から斜め下方を指向して排出された水性塗料は、排出後、直ちにガス噴出ノズル22からのガスによって液滴化されて飛散される。ガス噴出ノズル22からのガスは、斜め下方を指向して噴出されているため、同様に斜め下方を指向している水性塗料を過剰に飛散させることなく液滴化することができる。この結果、補修時などにおいても小さな領域に的確にスプレー塗装することができる。これによって、小さい塗布面積であっても、刷毛で塗装したときに生じる刷毛目など生じさせることなく良好な塗装面を得ることができる。特に、こうしたスプレー形態によれば、液滴を分散させることなく狭い領域に集中させることができる。このため、スプレーであっても細いライン等細かい模様を容易に描くことができる。
【0034】
また、カートリッジホルダー40のスリーブ50内には、水性塗料のスプレー中、空気供給管52を介して、水性塗料が排出された量に対応してカートリッジホルダー40内に空気が供給される。このため、カートリッジホルダー40内が減圧になりすぎることなく、安定的に排出口44から水性塗料が排出される。この結果、安定してスプレーを継続することができる。
【0035】
また、空気供給管52のカートリッジホルダー40の外部部分は屈曲されており、その空気取り入れ口53は、ユニット10が本体4に装着されたときには上方に開口するようになっている。このため、スプレー塗装の実施中及び実施後にカートリッジホルダー40内に水性塗料がたまっていても、空気取り入れ口53から水性塗料が流出したりしないようになっている。さらに、本実施形態では、空気供給管52をカートリッジホルダー40とその内部に設けたスリーブ50とで支持する構造としたため、スプレー中に空気供給管52が外れたりすることなく、安定して保持される。また、本実施形態では、空気供給管52をカートリッジホルダー40に設けることとしたので、カートリッジ本体Cに特別な空気供給構造を形成することを省略することができる。
【0036】
なお、ガス噴出ノズル22からガスの噴射が開始されて、カートリッジホルダー40内が吸引されるような状態にあるときには、球状体46はその保持部位に保持されているが、凹状部48aの存在により、カートリッジホルダー40内及びカートリッジ本体Cからの水性塗料の排出が妨げられないようになっている。
【0037】
スプレーを終了するときには、操作部6の押圧状態を解除する。こうすることで、カートリッジホルダー40内の吸引状態は終了し、球状体46が所定位置に保持されることにより排出口44側が略遮断されて、水性塗料の排出が防止される。
【0038】
最後に、カートリッジホルダー40とカートリッジ本体Cを、螺合を解除して、カートリッジ本体Cを取り外す。カートリッジホルダー40には球状体46により水性塗料の排出が防止されているため、こうした取り外し操作も容易に行うことができる。カートリッジホルダー40を洗浄等するには、ブラケット26や基部28と本体4との固定状態を解除すればよい。
【0039】
以上のことから、本発明のスプレー装置及びキットによれば、スプレーしようとする塗料などの液状組成物の粘度に関わらず、容易にスプレーをすることができる。特に、粘度が高い液状組成物であっても容易にスプレーすることができる。また、カートリッジホルダーに保持するカートリッジ本体を交換することで、容易に塗料などの液状組成物を交換することができる。
【0040】
また、本発明のスプレー装置及びキットによれば、スプレーによる塗布にも関わらず狭い領域に液状組成物を塗布することができるとともに、細いラインなど細かい模様を容易に描くことができる。しかも、刷毛目などなく良好な塗布面が得られる。このため、細かい塗布作業に適したスプレー装置及びキットとなっている。
【0041】
本発明のスプレー装置及びスプレーキットにおいては、カートリッジ100も組み合わせてキット化することもできる。さらに、カートリッジ本体に充填可能な塗料などの液状組成物もキット化することができる。さらにまた、ガスを充填した本体4も加えてキット化することもできる。
【0042】
なお、本実施形態では、カートリッジユニット10は、本体4に対して着脱可能に設けたが、本体4に対して一体化されて予めスプレー装置2して構成されていてもよい。また、カートリッジユニット10において、ノズル部20に対してカートリッジホルダー40を一体に設けたがノズル部20に対して着脱可能に設けることもできる。また、こうすることでカートリッジホルダー40のみを取り外して洗浄することができる。また、カートリッジホルダー40のみを取り替え可能とすることで、塗料の色替えなどが容易に行うことができる。なお、ノズル部20に対してカートリッジホルダー40を着脱可能に固定する手段は特に限定されず、嵌合、係止、螺合、締着などの従来公知の固定手段を用いることができる。
【0043】
さらに、本実施形態では、カートリッジユニット10は、カートリッジホルダー40とノズル部20とを備えるものとしたが、カートリッジホルダー40のみを備えるものとしてもよい。すなわち、本体4に対してノズル部20を予め一体に備えるものとし、こうした本体側の一部にカートリッジホルダー40を着脱可能に備えるようにすることもできる。こうすることで、上記と同様にカートリッジホルダー40の洗浄も容易に行うことができるし、塗料の交換も容易になる。なお、ノズル部20のみを個別の部品としてキット化してもよい。
【0044】
また、本実施形態では、予め水性塗料が充填された水性塗料カートリッジ100を用いるものとしたが、空容器のカートリッジ本体Cに適宜液状組成物を充填して用いるようなカートリッジを用いてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、液状組成物として水性塗料を用いるものとしたが、これに限定するものではない。液状組成物には、溶液のほか、懸濁液、使用時に強制分散させるような液状体も包含される。こうした液状組成物としては、溶剤系塗料(クリア塗料を含む)、潤滑剤、接着剤(例えば二液性接着剤)などの工業用途(特に車両補修用)の液状組成物や家庭用の液状組成物(DIYやガーデニング用)、インク、各種絵具等の図工、ホビー又は美術用途の液状組成物、油脂、調味料等の食品系液状組成物、ローション、乳液、液状ファウンデーション等の化粧品類、コロン類、マニキュア類等の化粧用の液状組成物、ヘアローション、ヘア着色料などの毛髪化粧用の液状組成物、各種洗浄用の液状組成物、液状医薬品等の医薬用液状組成物が挙げられる。
【0046】
また、本実施形態では、球状体46により液状組成物たる水性塗料が非スプレー時に排出口44から流下するのを防ぐものとしたが、こうした液状組成物の非スプレー時の漏出抑制はこれに限定するものではない。例えば、図4に示すようなスリーブ51を用いることができる。このスリーブ51は、カートリッジホルダー40の排出口44側に開口径が徐々に小さくなるテーパー部51aを備える点においてスリーブ50と相違している。こうしたテーパー部51aはそれ自体液状組成物の漏出防止に有効であり、また、球状体46などの他の漏出防止手段と組み合わせても有効である。このテーパー部51aの開口51bは、排出口44の開口径との関係は特に限定しないが、排出口44の開口径よりも大きく形成しておくことでスプレー時における液状組成物の排出を妨げることがない。さらに、テーパー部51aが弾性変形可能な場合には、このスリーブ51をより深くカートリッジホルダー40内に挿入することでカートリッジホルダー40のテーパー状の内壁によりテーパー部51aを変形させて、テーパー部51aの開口51bをより小径となるようにひいては開口51bを押しつぶして開口51bを遮蔽することも可能である。なお、スリーブ51の挿入深さは、例えば、本実施形態ではカートリッジ本体Cとカートリッジホルダー40との螺合状態で調整できるし、単なる嵌合によりカートリッジホルダー40にカートリッジ本体Cを保持する場合には、嵌合深さによって調整できる。
【0047】
また、図5に示すインサート54を用いることもできる。インサート54は、カートリッジホルダー40に挿入されるものであって、排出口44の近傍に感冒して遮蔽可能な先端部54aとカートリッジ本体Cの開口部に連通して液状組成物を受容可能なキャビティ54bとを備えている。このキャビティ54bには、カートリッジホルダー40とインサート54との間の空間に連通する液状組成物の導出口55を有している。こうした構成によれば、非スプレー時には、先端部54aが排出口44を塞ぐ程度の深さにインサート54をカートリッジホルダー40内に挿入することで、液状組成物の排出口44からの漏出が防止される。また、スプレー時には、先端部54aが排出口44を塞がない程度の深さにインサート54をカートリッジホルダー40内に位置させることで、液状組成物はカートリッジ本体Cからキャビティ54b、導出口55を経て排出口44から排出される。インサート54のカートリッジホルダー40に対する挿入深さは、上記したように、カートリッジホルダー40とカートリッジ本体Cとの保持状態を適宜調整することで可能である。こうした排出口44の閉鎖構造を備えることで、粘性の低い液状組成物についても非スプレー時の漏出を効果的に防止できる。なお、導出口55を開口高さ(特に、キャビティ54b内における開口高さ)を高く(カートリッジ本体Cに近い側)設けるか、あるいは、導出口55の開口箇所をキャビティ54b内に流下してくる液状組成物の液面が到達しないか到達しにくい位置に設けることで導出口55からの液状組成物の導出を抑制し、もって排出口44からの漏出も抑制できる。また、先端部54aの表面又はその周囲のカートリッジホルダー40の内壁に排出口44へ向かう凹状部を形成してもよい。こうすることで、スプレー時における液状組成物の排出を容易にすることができる。
【0048】
また、本実施形態では、空気供給部は、カートリッジホルダー40内に導入された空気供給管52としたが、これに限定するものではない。例えば、図6に示すように、カートリッジホルダー40とカートリッジ本体Cとの螺合部を利用することができる。すなわち、カートリッジホルダー40の開口42近傍の雌ネジ部かカートリッジ本体Cの開口部の雄ネジ部のいずれかのねじ山の少なくとも一部を切欠き状とし、螺合時においても、空気が流通可能にスリット58を設けることができる。スリット58は1個でも2個以上設けることができる。スリットの形成領域により、螺合状態によって空気の供給状態を調整できる。例えば、スリット58を雌ネジ部又は雄ネジ部の形成範囲に渡って設ける場合には、雌ネジ部と雄ネジ部とを完全に螺合させても空気が流通可能な状態となっているが、雌ねじ部の開口から中途まで、あるいは雄ネジ部の開口から中途までの範囲にスリット58を設けた場合には、スリット58を超えない程度に螺合させたときには、空気は流通可能であるが、スリット58を超えて螺合させたときには、空気はもはや流通可能ではなくなる。
【0049】
こうした空気供給部は、スリーブ50、51やインサート54を備える場合に好ましい。特に、カートリッジ本体Cのカートリッジホルダー40への挿入深さにより排出口44の開閉程度が調整される場合には好ましい。例えば、図6に示すように、インサート54は、その外周に沿って外方に突出する端縁部56を備えることができる。この端縁部56は、スリット58からの空気を遮断するシール材として機能することができる。端縁部56は、カートリッジホルダー40内部の内壁の所定部位に係止可能に構成されている。図6(a)に示すように、スプレー時においては、この端縁部56が内壁の所定部位に単に係止されているときには、排出口44も先端部54aによって閉鎖されていない。また、スリット58から空気も供給されている。この結果、液状組成物はキャビティ54bに導入され、排出口44から排出可能な状態となっている。一方、図6(b)に示すように、非スプレー時には、この端縁部56がカートリッジ本体Cによって押し込まれて弾性変形の結果、内壁の係止部位に密着されるとともに、スリット58からの空気も遮断され、排出口44は先端部54aによって閉鎖される。この結果、液状組成物は排出口44から排出不可能な状態となっている。こうした空気遮断構造を備えることで、粘性の低い液状組成物についても非スプレー時の漏出を効果的に防止できる。なお、端縁部56の弾性変形性は、例えば、端縁部56の構成材料によって得ることもできるし、端縁部56の基部など少なくとも一部に脆弱部を設けることによっても得ることができる。なお、端縁部56を備えることで、インサート54を深く挿入しすぎることを防ぐことができる。また、端縁部56を備えることで、排出口44の閉鎖状態を解除するためにインサート54をカートリッジホルダー40から一定量引き出すことが容易になる。特に、液状組成物が乾燥しやすいものの場合には、端縁部56を備えることで、容易に排出口44の閉鎖状態を解除できる。したがって、端縁部56を備えることで、排出口44の先端部54aによる開閉を容易にまた確実に行うことができるようになる。
【0050】
さらに、空気供給部は、図7及び図8に示す構成としてもよい。空気供給部は、カートリッジ本体Cに設けることもできる。例えば、図7に示すように、カートリッジ本体Cの底部に設けた開口62であってもよいし、カートリッジホルダー40を介してカートリッジ本体C本体の底部(カートリッジホルダー40に保持されている状態では上部)にまで到達する空気供給口65を備える空気供給管64であってもよい。また、カートリッジ本体Cの底部に開口する形態の場合には、スプレー時に始めて底部に開口62を形成するものとし、こうした開口62を形成可能な突起部72を備えるキャップ70を備えるようにしてもよい。このキャップ70は、スプレー終了時には、開口62を密封するように、カートリッジ本体Cの底部をキャッピングできるような形態を備えることができる。また、空気供給管64の空気取り入れ口66を密封可能なキャップ等のシール材を設けることが好ましい。
【0051】
また、本実施形態では、液状組成物保持部であるカートリッジホルダー40にカートリッジ本体Cを装着して使用するものとしたが、カートリッジホルダー40自体を液状組成物の容器として用いることも可能である。この場合には、液状組成物保持部を、液状組成物を貯留可能であって、液状組成物の導入口を備える容器状に構成すればよい。こうした液状組成物保持部の一例を図9に示す。図9に示す例においては、液状組成物保持部140とインサート148と蓋部152とを備えている。液状組成物保持部140は、開口142を有するカップ状に形成されるとともにその底部に液状組成物排出口144を有している。排出口144は、この排出口144の近傍に嵌合する先端部150を有するインサート148により開閉可能に構成されている。図9(a)及び(b)に示すように、排出口144の開閉、すなわち、排出口144と先端部150との嵌合状態は、インサート148の液状組成物保持部140への挿入深さにより調整されるようになっており、図9に示す例では、インサート148に設けた雄ネジ部と蓋部152に設けた雌ネジ部の螺合状態により調整可能となっている。また、蓋部152には、液状組成物の導入口154を有するとともに、開閉可能なキャップ156を備えている。なお、こうした液状組成物保持部140についても、上記した空気供給構造や液状組成物の漏出防止構造を適用することができる。例えば、液状組成物保持部140と蓋部152とに、図6に示す雌ネジ部と雄ネジ部とによる空気供給構造を適用することもできるし、図3に示す空気供給管も採用できる。また、図3に示す球状体や図4〜6に示すスリーブやインサートも適用できる。また、液状組成物導入口154とキャップ156とについて、螺合による空気供給構造を適用してもよい。
【0052】
さらに、図1〜図3に示す本実施形態では、一つの球状体によって液状組成物たる水性塗料が非スプレー時に排出口44から流下するのを防ぐものとしたが、二つ以上の球状体を用いてさらに非スプレー時における液状組成物の排出口44からの流下を効果的に抑制できる。2つ以上の球状体を用いて液状組成物保持部の排出口からの液状組成物の流下を抑制する一実施形態を図10に示す。
【0053】
図10には、液状組成物保持部として、カートリッジ100を保持するカートリッジホルダー240が示されている。このカートリッジホルダー240は、排出口244の近傍に回転自在に保持される第1の球状体246と、第1の球状体246よりも排出口244から離れた位置に回転自在に保持される第2の球状体248とを備えている。
【0054】
第1の球状体246は、金属など剛性体で構成された球体であり、排出口244側で先細り状になったカートリッジホルダー240内に収容されており、この部位の内壁によって干渉されて排出口244側の所定の部位に保持されるようになっている。第1の球状体246が当接され保持されるカートリッジホルダー240内の排出口244近傍の内壁には、排出口244を指向した一筋の凹状部250が形成されている。この凹状部250は、非スプレー時には液状組成物を通過するのを抑制できるとともにスプレー時において液状組成物に噴出圧が負荷されたときには、液状組成物を通過可能とする程度の大きさに形成されている。また、凹状部250とともに、非スプレー時には、液状組成物の通過を抑制できるとともにスプレー時において液状組成物に噴出圧が負荷されたときには、液状組成物を通過可能とする程度とする1又は複数個の凸状部252を備えることができる。凸状部252を備えることで、凹状部250と第1の球状体246との間隙を確実に確保することができ、スプレー時の液状組成物の噴出状態をより安定化することができる。なお、凸状部252は、第1の球状体246の表面にあってもよい。また、凸状部252を、凹状部250に替えて備えていてもよい。凸状部252のみを備えることによっても必要な間隙を形成することができる。
【0055】
第2の球状体248は、第1の球状体246よりも大径であって金属などの剛性体で構成された球体であり、排出口244側への移動が抑制されると同時にこの状態で液状組成物の排出口244側への流下を抑制するように保持されている。第2の球状体248を備えることで、第1の球状体246による液状組成物の流下抑制効果とあいまって一層非スプレー時の液状組成物の流下を抑制できる。なお、第2の球状体248は、必ずしも第1の球状体246よりも大径であることを要しない。第2の球状体248の大きさ等は、液状組成物保持部140の形態等に応じて決定される。
【0056】
第2の球状体248は、カートリッジホルダー240内において、第2の球状体248によって、スプレー時液状組成物が通過可能であり、非スプレー時には液状組成物の流下を抑制可能な開口262を備える球状体保持部材260によって保持することができる。球状体保持部材260は、筒状体あるいはリング状体とし、開口はこれらの孔部とすることができる。好ましくは、球状体保持部材260は、図10に示すように、カートリッジホルダー240にカートリッジ本体C内部と排出口244とを連通するスリーブ270の一部を構成している。すなわち、球体保持部材260はスリーブ270の排出口244側を構成している。なお、スリーブ270は、カートリッジ本体Cの内栓101とカートリッジホルダー240の第1の球状体246の保持部位よりも後端側との間において嵌合や係止等により安定的にカートリッジホルダー240内に保持されるようになっている。また、スリーブ270は、カートリッジホルダー240に予め収容されるものであってもよいし、カートリッジ本体Cの内栓101に嵌合あるいは一体のものとしてカートリッジ本体Cに予め備えられるものであってもよい。
【0057】
球状体保持部材260は、スリーブ270の排出口244側において、排出口244に連通し、第2の球状体248により閉鎖可能な開口262を有していればよいが、好ましくは、図10に示すように、第2の球状体248を指向する開口端面264(開口262周縁の壁面)を備える。開口端面264を有していることで、スプレー時において噴出圧がかかったとき、容易に開口262からの液状組成物の吐出性を確保することができる。
さらに、開口端面264は、カートリッジホルダー240の排出口244を指向する中心軸に直交していてもよいが、図10に示すように傾斜していることが好ましい。このように傾斜した開口端面264を有し、この開口端面264に第2の球状体248が当接するようにすることで、非スプレー時には、開口262を第2の球状体248でおおよそ覆って液状組成物の流下を抑制する一方、スプレー時には、傾斜した開口端面264と開口262とにより排出口244側とカートリッジ本体C側とが連通されているため、液状組成物を安定して吐出させることができる。上記中心軸に開口端面264が直交している場合には、第2の球状体248及び開口262の組み合わせよっては、開口262と第2の球状体248との間の間隙が少なすぎて排出口244側とカートリッジ本体C側とが連通しにくくなり、噴出圧がかかっても液状組成物が液状組成物排出口244側に吐出されにくいおそれがあるが、開口端面264を傾斜させることで、第2の球状体248と開口262との関係に関わらず液状組成物を安定して吐出させやすくなる。
【0058】
なお、図10に示す実施形態においてカートリッジホルダー240内への空気供給部は、図6に示すようなカートリッジホルダーとカートリッジ本体Cとの螺合部を利用することができる。
【0059】
図10に示すような実施形態によれば、2つの球状体246、248によって非スプレー時の液状組成物の流下を効果的に抑制できるとともに、スプレー時の安定した液状組成物の噴出を妨げることがないようになっている。特に、第2の球状体248が開口端面264を備える球状体保持部材260によって保持される場合には、スプレー時において液状組成物の噴出を容易にかつ安定して確保することができる。
【0060】
なお、図10に示す実施形態においては、カートリッジホルダー240としての液状組成物保持部について説明したが、既に説明したように、カートリッジ本体Cを装着しないで直接液状組成物を収容する容器としての液状組成物保持部においても、1つ以上の球状体、具体的には、図10に示すような第1の球状体と第2の球状体とを備えるようにすることもでき、この結果、非スプレー時の液状組成物の流下を一層抑制しつつスプレー時の液状組成物を噴出容易性及び安定性を確保できる。この場合においても、既に説明した各種態様を採ることができ、採用した態様による効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施形態であるスプレーキットを示す図である。
【図2】本発明の一実施形態であるスプレー装置を示す図である。
【図3】カートリッジホルダーの詳細を示す断面図である。
【図4】カートリッジホルダーのスリーブの他の一例を示す図である。
【図5】カートリッジホルダーのインサートの一例を示す図である。
【図6】カートリッジホルダーにおける空気供給部の一例とインサートの他の一例を示す図である。
【図7】カートリッジ本体における空気供給構造の一例を示す図である。
【図8】カートリッジ本体における空気供給構造の他の一例を示す図である。
【図9】液状組成物保持部の他の一例を示す図である。
【図10】カートリッジホルダーとしての液状組成物保持部の他の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
2 スプレー装置、4 本体、4a ガス容器、6 操作部、8 ガス噴出口、10 カートリッジユニット、20 ノズル部、22 ガス噴出ノズル、24 脚部、26 ブラケット、26a 係合部、28 基部、40 カートリッジホルダー、42 カートリッジホルダー開口、44 水性塗料排出口、46 球状体、48a 凹状部、50、51
スリーブ、51a テーパー部、51b 開口、52、64 空気供給管、53、66
空気取り入れ口、54 インサート、54a 先端部、54b キャビティ、56 端縁部、58 スリット、62 開口、65 空気供給口、70 キャップ、72 突起部、100 カートリッジ、101 カートリッジの内栓、102 スプレーキット、140 液状組成物保持部、142 液状組成物保持部の開口、144 液状組成物排出口、148 インサート、150 先端部、152 蓋部、154 液状組成物導入口、156 キャップ、240 カートリッジホルダー、244 液状組成物排出口、246 第1の球状体、248 第2の球状体、250 凹状部、252 凸状部、260 球状体保持部材、262 開口、264 開口端面、270 スリーブ、C カートリッジ本体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状組成物のスプレー装置であって、
ガス容器を備える本体と、
前記ガス容器からのガスを噴出するガス噴出ノズルと、
前記液状組成物を直接的に又は間接的に保持するとともに、該保持した液状組成物を排出する液状組成物排出口を備える液状組成物保持部と、
を備え、
前記液状組成物保持部は、前記保持された液状組成物が流下可能な程度に下方を指向し、前記ガス噴出ノズルは水平より下方を指向するとともにその先端は前記液状組成物保持部の前記液状組成物排出口近傍に位置している、スプレー装置。
【請求項2】
前記液状組成物保持部は、前記液状組成物が充填されるカートリッジの開口部近傍を保持することにより前記液状組成物を間接的に保持するカートリッジホルダーである、請求項1に記載のスプレー装置。
【請求項3】
前記カートリッジホルダーは、前記カートリッジの開口部近傍を保持可能な開口を有し前記カートリッジから流下する液状組成物を受容可能な容器状であり、その底部近傍に前記液状組成物排出口を備える、請求項2に記載のスプレー装置。
【請求項4】
前記カートリッジホルダーは、前記カートリッジホルダー内に収容され前記カートリッジの開口部と前記液状組成物排出口にそれぞれ連通するスリーブを備えている、請求項2又は3に記載のスプレー装置。
【請求項5】
前記スリーブは、前記液状組成物排出口側に向かって徐々に開口径が小さくなるテーパー部を有している、請求項4に記載のスプレー装置。
【請求項6】
前記スリーブの前記テーパー部における開口は、前記液状組成物排出口の開口径よりも大きい、請求項5に記載のスプレー装置。
【請求項7】
前記カートリッジホルダーは、その内部に収容されるインサートを備えており、
該インサートは、
前記液状組成物排出口近傍に嵌合して前記液状組成物排出口を閉鎖可能な先端部と、
前記カートリッジの開口部と連通して前記液状組成物を受容可能なキャビティであって該キャビティと前記カートリッジホルダーと間に形成される空間に連通する液状組成物の導出口を備えるキャビティと、
を有する、請求項2又は3に記載のスプレー装置。
【請求項8】
前記インサートは、前記カートリッジホルダーの所定の内壁部に係止可能に前記インサートの周囲に沿って外側に張り出すとともに弾性変形可能な端縁部を有している、請求項7に記載のスプレー装置。
【請求項9】
前記インサートは、前記カートリッジホルダーへの挿入深さにより前記液状組成物排出口の開閉程度が調整される、請求項7又は8に記載のスプレー装置。
【請求項10】
前記インサートは、前記カートリッジの開口部近傍に嵌合可能であり、前記カートリッジへの挿入深さは前記カートリッジの前記カートリッジホルダーへの挿入深さにより調整可能である、請求項9に記載のスプレー装置。
【請求項11】
前記カートリッジホルダーは、前記液状組成物排出口近傍の所定部位に、該所定部位より前記液状組成物排出口側への移動が抑制された状態で回転自在に球状体を保持している、請求項1〜6のいずれかに記載のスプレー装置。
【請求項12】
前記カートリッジホルダーは、
前記球状体表面又は前記球状体を保持する前記カートリッジホルダーの内壁に、前記球状体表面と前記内壁との間に前記液状組成物が流下可能な程度の間隙を形成する1又は2以上の凹状部を有している、請求項11に記載のスプレー装置。
【請求項13】
前記カートリッジホルダーは、前記液状組成物のスプレー時において前記液状組成物が前記液状組成物排出口から流下可能に空気を供給する空気供給部を備える、請求項2〜12のいずれかに記載のスプレー装置。
【請求項14】
前記カートリッジホルダーの開口及び前記カートリッジの開口部は互いに螺合する雌ネジ部及び雄ネジ部をそれぞれ有しており、
前記空気供給部は、前記雌ネジ部又は前記雄ネジ部の少なくとも一部が切欠き状とされ螺合時においても螺合部を空気が流通可能な1個又は2個以上のスリットである、請求項13に記載のスプレー装置。
【請求項15】
前記液状組成物保持部は、前記液状組成物を貯留可能で液状組成物の導入口を備える容器である、請求項1に記載のスプレー装置。
【請求項16】
前記液状組成物保持部は、前記液状組成物排出口近傍に嵌合して前記液状組成物排出口を閉鎖可能な先端部を有するインサートを、前記液状組成物排出口への嵌合状態を調整可能に備える、請求項15に記載のスプレー装置。
【請求項17】
前記インサートの前記先端部の前記液状組成物排出口への嵌合状態は、前記インサートを含むネジ機構による前記先端部の前記液状組成物排出口への挿入深さにより調整される、請求項15又は16に記載のスプレー装置。
【請求項18】
スプレー装置のためのキットであって、
前記スプレー装置は、
ガス容器を備える本体と、前記ガス容器からのガスを噴出するガス噴出ノズルと、液状組成物が充填されるカートリッジの開口部近傍を保持するとともに、前記カートリッジ内の前記液状組成物を排出する液状組成物排出口を備えるカートリッジホルダーと、を備え、前記カートリッジホルダーは、前記カートリッジ内の前記液状組成物が流下可能な程度に下方を指向しているとともに、前記ガス噴出ノズルは水平より下方を指向するとともにその先端は前記カートリッジホルダーの前記液状組成物排出口近傍に位置しているスプレー装置であり、
前記キットは、
前記本体と、
前記本体に対して直接又は間接に着脱可能であって、少なくとも前記カートリッジホルダーを備えるカートリッジユニットと、
を備え、
前記ガス噴出ノズルは、前記本体及び前記カートリッジユニットのいずれかに着脱可能であるか又は前記本体及び前記カートリッジユニットのいずれかに一体化されて備える、キット。
【請求項19】
前記カートリッジホルダー内に収容可能であって、前記カートリッジの開口部と前記液状組成物排出口にそれぞれ連通するスリーブを備える、請求項18に記載のキット。
【請求項20】
前記カートリッジホルダー内に収容可能であって、前記液状組成物排出口近傍に嵌合して前記液状組成物排出口を閉鎖可能な先端部と、前記カートリッジの開口部と連通して前記液状組成物を受容可能なキャビティであって該キャビティと前記カートリッジホルダーと間に形成される空間に連通する液状組成物の導出口を備えるキャビティと、を有するインサートを備える、請求項18に記載のキット。
【請求項21】
前記カートリッジに前記空気供給口を開口可能な突起部を有し、該突起部により前記カートリッジに開口させた前記空気供給口を遮断する遮蔽部を備えているキャップ部材を備える、請求項18〜20のいずれかに記載のキット。
【請求項22】
スプレー装置用のカートリッジユニットであって、
前記スプレー装置は、
ガス容器を備える本体と、前記ガス容器からのガスを噴出するガス噴出ノズルと、液状組成物が充填されるカートリッジの開口部近傍を保持するとともに、前記カートリッジ内の前記液状組成物を排出する液状組成物排出口を備えるカートリッジホルダーと、を備え、前記カートリッジホルダーは、前記カートリッジ内の前記液状組成物が流下可能な程度に下方を指向しているとともに、前記ガス噴出ノズルは水平より下方を指向するとともにその先端は前記カートリッジホルダーの前記液状組成物排出口近傍に位置しているスプレー装置であり、
少なくとも前記カートリッジホルダーを備えるカートリッジユニット。
【請求項23】
前記カートリッジユニットには、前記ガス噴出ノズルを備える、請求項22に記載のユニット。
【請求項24】
前記液状組成物保持部は、前記液状組成物排出口近傍の所定部位に、該所定部位より前記液状組成物排出口側への移動が抑制された状態で回転自在に球状体を保持する、請求項1に記載のスプレー装置。
【請求項25】
前記液状組成物保持部は、
前記液状組成物排出口近傍の第1の所定部位において、該第1の所定部位より前記液状組成物排出口側への移動が抑制された状態で回転自在に保持される第1の球状体と、
前記第1の所定部位よりも前記液状組成物排出口から離れた第2の所定部位において、該第2の所定部位よりも前記液状組成物排出口側への移動が抑制された状態で回転自在に保持される第2の球状体と、
を備える、請求項24に記載のスプレー装置。
【請求項26】
前記第1の球状体の表面又は前記球状体を保持する前記液状組成物保持部材の内壁に、前記液状組成物が流下可能な程度に前記第1の球状体との間に間隙を形成する1又は2以上の凹状部を有している、請求項25に記載のスプレー装置。
【請求項27】
前記第1の球状体又は前記内壁に、前記間隙を形成可能な1又は2以上の凸状部を有する、請求項25又は26に記載のスプレー装置。
【請求項28】
前記液状組成物保持部は、前記第2の球状体によって、ガス噴出時には前記液状組成物が通過可能であり、ガス非噴出時には前記液状組成物の流下を抑制可能な開口を備える球状体保持部材を備える、請求項25〜27のいずれかに記載のスプレー装置。
【請求項29】
前記球状体保持部材の前記第2の球状体に当接する開口端面は、前記液状組成物保持部の前記液状組成物排出口を指向する中心軸に直交するよりも傾斜している、請求項28に記載のスプレー装置。
【請求項30】
前記液状組成物保持部は、前記液状組成物が充填されるカートリッジの開口部近傍を保持することにより前記液状組成物を間接的に保持するカートリッジホルダーであり、
前記球状体保持部材は、前記カートリッジの開口部と前記液状組成物排出口にそれぞれ連通するスリーブの前記液状組成物排出口側部分を構成する、請求項28又は29に記載のスプレー装置。
【請求項31】
前記カートリッジホルダーの開口及び前記カートリッジの開口部は互いに螺合する雌ネジ部及び雄ネジ部をそれぞれ有しており、
前記雌ネジ部又は前記雄ネジ部の少なくとも一部が切欠き状とされ螺合時においても螺合部を空気が流通可能な1個又は2個以上のスリットである空気供給部を備える、請求項30に記載のスプレー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−61810(P2007−61810A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−148752(P2006−148752)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(300003743)槌屋ケミカル株式会社 (5)
【Fターム(参考)】