説明

スプレー装置用キャップ

本発明は、キャップを容器に固定する手段を備える土台(20)、ヒンジによって土台(20)に固定されたふた(30)、第一の閉じる手段(31)及び第二の閉じる手段(41)によって構成され、その一つが土台(20)に配置され、もう一つがふた(30)に配置されている閉じる手段であって、その閉じる手段(31、41)が協働して、ふた(30)を土台(20)上に折りたたまれた第一の位置に保持する閉じる手段、第一の閉じる手段(31)及び第二の閉じる手段(41)を互いに引き離すためのロック解除手段(40)、及び、ふた(32)を引き上げる手段を備えるキャップ(10)に関するものである。
本発明によると、ふた(30、130、230)を引き上げる手段は、少なくとも一つのばね板(32、132、232)によって構成され、その端部の一方は土台(20、120,220)に固定され、もう一方の端部はふた(30、130、230)の底部を滑動することができ、ばね板(32、132、232)は、ふた(30、130、230)が折りたたまれているときはぴんと張った状態に、ふたが大きく開いた状態にあるときはゆるんだ、または部分的にゆるんだ状態にある。このキャップは、特にスプレー用の噴霧ヘッドに役立つものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載されるキャップに関する。このキャップは、特にスプレー用噴霧ヘッドに使用されるためのものである。
【背景技術】
【0002】
ディフューザは、一般的に、エアゾールバルブを備えるボトル及びボトルのバルブを作動させるための押しボタンを備えるキャップによって構成されている。不注意によって押しボタンが作動するのを防ぐために、通常、押しボタンブロック手段が備えられる。別の解決法は、押しボタンに使用時しかアクセスできないようにすることからなる。そのために、キャップの土台にふたを備え、噴霧ヘッドを隠す。このふたは、ヒンジによって土台に固定される。そのふたを土台に対して折りたたんで保持する手段が備えられ、そのようにして押しボタンにアクセスできないようにする。ふた上にヒンジの反対側に備えられたカスケット状部材によって、上向きの圧力を働かせて、そのふたを開けることができる。
【0003】
ふたを保持する手段があまりに柔軟性があるとき、それによって、あまりに容易に、望ましくないときにさえ、開く危険性がある。反対に剛性がありすぎるときは、ユーザがカスケット状部材によってふたを引き上げるとき痛く、爪を痛める恐れがある。
【0004】
ロック解除手段としてのカスケット状部材は、土台のジャケットからはみ出るという不都合がある。したがって、ストックまたは輸送時に、例えば、化粧道具入れやハンドバックに引っかかる恐れがあり、ふたが不注意によってバック内で開いて、ボトルの中身がバック内にこぼれる恐れがある。
【0005】
特許文献1に、土台及びヒンジによって土台に固定されたふたを備えるキャップが開示されている。
ふたは、土台に配置され、ふたに形成されたくり抜きと協働するフックによって閉じた状態に保持される。土台には噴出し口が備えられ、ふたには気密性シリンダが備えられ、そのシリンダはふたが折りたたまれているとき噴出し口を被覆するためのものである。閉じる手段がロック解除されたとき、ふたを容易に開くために、柔軟な薄板が備えられて、その端部の一つが噴出し口に固定され、もう一つの端部が噴出し口の被覆シリンダによりかかっている。この柔軟な薄板には、多数の欠点がある。例えば、ふたが開く位置に折りたたまれすぎると、気密性シリンダによりかかっている薄板の端部はそのシリンダから離れ、ふたが閉じたとき、その位置に戻らない恐れがある。この問題を防ぐために、薄板を常にこのシリンダと接触する十分な長さにすることができるが、しかし、この場合、土台と再び閉じたふたとの間に位置する閉じた空間で、もはや正確に折りたたむことができない恐れがある。もう一つの欠点は、この薄板が閉じた状態では実際にそれ自体の上に完全に折りたたまれることからくる。そのような薄板は、ふたが再度閉じられ、そのようにしてふたを閉じている間中バルブを開いたままにするとき、押しボタンを押す恐れがあるので加圧ボトル用に使用することができず、これは、明らかに求める効果に反する。また、ここでも、ロック解除手段がキャップのジャケットからはみ出し、ストック時に不意に作動する恐れがある。
【0006】
特許文献2には、飲料用ビンに配置される装置が開示されている。
開口部を備えるビンの面に固定される上部には、土台、ヒンジによって土台に接続されているふた及びふたを閉じた状態に保持する手段が備えられる。ロック解除手段が作動したときふたを容易に開くことができるように、ばねに装着されたストローが備えられている。そのストローの端部の一つはビン内に入り、もう一つの端部は、ふたが閉じた位置にあるときふたの中心に固定された凸形の挿入物によりかかる。ふたを引き上げるこれらの手段は特に複雑であり、多数の部品を必要とする。それらの手段は高価なので、使い捨てのボトルに使用することはできない。また、このばね上のストローは、土台の前面によりかかる。したがって、このふたを引き上げる装置は、スプレー用キャップとは一緒に使用することができない。実際、このストローは、押しボタンによりかかり、ビンが閉じている間に噴霧を開始し、これは求める効果に反するものである。また別の欠点は、ユーザの口に入る必要がある、したがって、残りの飲料と唾液を保持するストローの端部がふたの底によりかかることにある。また、さらにここでも、ロック解除手段が土台のジャケットからはみ出していて、したがって、輸送またはストック時に間違って作動する恐れがある。
【0007】
特許文献3には、土台、ふた及びふたを閉じた位置に保持する手段を備えるキャップが公開示されている。
また、一方では、ヒンジの近傍の土台上に鉛直な二つのばね板と、もう一方では、ばね板の前面のふたの内部の二つのリブを備える。ふたが土台上に折りたたまれているとき、リブはばね板の平らな部分によりかかることになり、ばね板をアーチ型にする。しかし、断面の一つから、これらのばね板はキャップと共に一つの部品しか形成せず、キャップの残りの部分と同じ材料で形成されていることが分かる。言い換えれば、これらの薄板は、土台と同じ材料で製造されていて、一般的に、ポリプロピレン(PP)またはポリエチレン(PE)である。いずれにせよ、これらの材料は形状記憶をもたず、そのような曲げ加工を受けると、非可逆的に変形する。その結果、特許文献3によって提案されたふたを引き上げる手段は一回か二回しか作動することができず、薄板がアーチ型にされた後は、当初の鉛直な位置に戻ることができない。さらに、リブを使用することによって、ばね板の長さを小さくする必要があり、そのことがそれらの装置の効率を大きく制限する。また、さらにここでも、ロック解除手段がジャケットからはみ出し、したがって、輸送またはストック時に間違って作動する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】日本特許第2004352307号A
【特許文献2】日本特許第2003054601号
【特許文献3】日本特許第09142511号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、前記の欠点を示すことなく、ふたを引き上げる手段を使用して、そのふたを開けることを容易にすることである。本発明のもう一つの目的は、輸送またはストック時に間違って作動する危険性のないロック解除手段を備えることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、この目的は、ふたを引き上げる手段が少なくとも一つのばね板によって構成され、その端部の一方が土台に固定され、もう一方の端部はふたの底を滑動することができ、ふたが折りたたまれているときそのばね板はぴんと張った状態にあり、ふたが大きく開いた状態にあるときゆるんだ、または、部分的にゆるんだ状態にあることから達成される。ばね板の第二の端部がふたの底部を滑動するとき、そのばね板は比較的長いことがあり、したがって、従来技術と同様に曲げ加工される必要はない。
【0011】
一つまたは複数のばね板が土台とは異なる材料で形成されていることが特に好都合であり、土台は、好ましくはポリプロピレン(PP)または高密度または低密度ポリエチレン(HDPEまたはLDPE)で形成され、一つまたは複数のばね板は、好ましくはポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)またはポリプロピレンテレフタレート(PPT)のように、形状記憶の良好なプラスチック物質で形成される。そのように、土台及びふた用に比較的剛性の第一の材料を選択するが(その部品とスプレーボトルまたはケースとの安全な組立てを得るまたは確実にするため)、その機械的特性はヒンジの形成に適する。反対に、ばね板には、形状記憶の良好な、より柔軟な材料を選択する。
【0012】
実際には、一つまたは複数のばね板は、土台上にオーバーモールドされる。また、一つまたは複数のばね板は土台とは別個の部品であることも可能であり、その土台上に機械的係留手段によって固定することができる。例えば、反抜き代または引っ掛けジョイントなどを用いる。
【0013】
さらに一つまたは複数のばね板を長くするためには、一つまたは複数のばね板をふたの反対側の土台の低部に固定して、土台がそのような前面を備えるときその前面に裂け目を形成して、一つまたは複数のばね板が通過できるようにすることが可能である。具体的には、第一の端部は、土台の前面の下方で土台に固定され、ばね板は裂け目を通って、ふたが折りたたまれているときにふたの底部にもたれることになる。裂け目の長さは、ばね板が裂け目によって窮屈にならず、自由に曲がることができるように選択される。ばね板が長いほど、ばね作用は良好であり、ふたが閉まるときにばね板が受ける応力は小さくなる。その上、ばね板が長いほど、そのばね板とふたとの接触が長くなり、それによって、ふたの案内が改良される。また、ばね板は土台の前面の両側を通過することが可能である。
【0014】
ロック解除手段は、土台またはふたの内部にそのジャケットからはみ出ないように配置されることが好ましい。ジャケットとは、土台またはふたの外側壁の全体の幾何学的形状を尊重して、その外側壁によって決定される事実上の幾何学的表面を意味する。したがって、ロック解除手段は、その手段が存在していなければ、土台またはふたが占めていたはずの場所をはみ出さないように配置される。
【0015】
特に好ましい実施態様では、第一及び第二の閉じる手段は、第一の段部及び第二の段部によって構成され、その段部の一つは少なくともある程度の弾力性を示す支持部材に配置され、したがって、ふたの折りたたみの動きの間、柔軟な支持部材は二つの段部の接近の動きに垂直に離れていき、それによって、もう一つの段部が通過して、二つの段部が互いにはまり込むようになり、したがって、支持部材が少なくとも部分的にその初期位置に戻ることができる。
【0016】
本発明の第一の実施態様では、ロック解除手段は、第一及び第二の閉じる手段を土台またはふたの壁に平行に互いに引き離す手段によって構成される。
【0017】
閉じる手段を土台またはふたの壁に平行に引き離す手段は、第一及び第二の閉じる手段が固定されたプレートによって構成され、そのプレートは、ふたが折りたたまれているとき二つの閉じる手段がそのふたを折りたたんだままに保持するように協働する第一の位置と、ふたは折りたたまれているが二つの閉じる手段が協働しなくなる第二の位置との間で、土台またはふたの壁に平行な運動によって、土台またはふたに対して移動することができ、好ましくは、外部応力が存在しないとき、プレートを自動的に第一の位置に戻すためにばねが備えられている。
【0018】
実際の解決法は、カラーの形状のプレートを考案することからなり、その断面は、少なくとも、ふたが折りたたまれているときふたによって被覆される区域の外側で、土台の周縁部の少なくとも一部分の上に配置され、カラーは土台に対して滑動することができ、カラーの一部分が戻しばねの機能を果たすことができる。
【0019】
本発明の第二の実施態様では、ロック解除手段は、第一及び第二の閉じる手段を土台またはふたに垂直に引き離す手段によって構成される。
【0020】
そのため、垂直に引き離す手段は、ふたの外部から弾性薄板に圧力をかける手段によって構成されていることが好ましい。
【0021】
ロック解除手段を土台またはふたに配置されたはめ込み部品上に配置することは、本発明に好適である。
【0022】
この第二の実施態様の第一の例では、閉じる手段とロック解除手段は、ヒンジの反対側に配置される。
【0023】
この第二の実施態様の第二の例では、キャップは、ヒンジの中心を通る正中面の両側に対称に配置された閉じる手段とロック解除手段の各々の遊びを備えている。
【発明の効果】
【0024】
本発明によるキャップは、特に加圧ボトルに適している。この場合、土台上の、キャップが折りたたまれているときそのキャップによって被覆することができる区域に配置された押しボタンを備え、その押しボタンは、キャップが上に配置される容器に配置されたバルブを作動させるための手段を備えることができ、また、土台は、押しボタンの作動手段によってバルブが作動したとき容器のバルブから出てくる製品を運搬する導管を備えることができる。
【0025】
本発明は、以下の添付図面に示した二つの実施態様によって、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】ふたが開いた位置にあるときの第一の実施態様の斜視図である。
【図2】ふたが開いた位置にあるときの図1のキャップの前面図である。
【図3】ふたが閉じているときの図1のキャップの前面図である。
【図4】ふたが開いているときの図2の断面E−Eによる正中断面図である。
【図5】ふたが閉じているときの図3の断面A−Aによる正中断面図である。
【図6】ふたが開いた位置にあるときの図1のキャップの背面図である。
【図7】ふたが閉じているときの図1のキャップの背面図である。
【図8】ふたが開いた位置にあるときの第二の実施態様の斜視図である。
【図9】図8のキャップの上方から見た図である。
【図10】ふたが閉じているときの図9の断面C−Cによる断面図である。
【図11】図10のEの拡大図である。
【図12】ふたが開いているときの第三の実施態様の斜視図である。
【図13】ふたが引き上げられているときの図12のキャップの土台、カラー及びばね板の斜視図である。
【図14】ふたが引き上げられているときの図12のキャップの上方から見た図である。
【図15】ふたが閉じているときの図12のキャップの前面図である。
【図16】ふたが閉じているときの図15の断面A−Aによる正中断面図である。
【図17】ふたが閉じているときの図15の断面B−Bによる断面図である。
【図18】ふたが開いているときの図15の断面A−Aによる正中断面図である。
【図19】ふたが開いているときの図15の断面B−Bによる正中断面図である。
【図20】図16のEの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1〜11は、同一の実施例の二つの変形例を示している。これらの二つの変形例は、極めて類似していて、第一の変形例はヒンジのほぼ反対側に配置された閉じる手段及びロック解除手段の単一の遊びを備え、一方、第二の変形例は、ヒンジを通過する正中面に関して対称に配置された二つの遊びを備える。図12〜20は、第二の実施例を示す。
【実施例】
【0028】
キャップ10、110、210は、土台20、120、220及びヒンジによってその土台20、120、220に固定されたふた30、130、230によって構成されている。
【0029】
キャップは、エアゾールバルブ(図示せず)を備える圧力下の容器の上部に配置されるものである。そのために、固定手段29、129、229が土台20、120、220に備えられている。
【0030】
土台20、120、220は、主に前面を形成する押しボタン22、122、222によって上部が閉じられたほぼ円筒形の部分21、121、221を備える。押しボタンは、容器のエアゾールバルブを作動させる手段23、123、223を備え、その上にキャップが装着されている。この作動手段23、123、223には、導管及び噴霧ノズル24、124、224が続く。押しボタン22、122、222は、ノズル24、124、224の側に配置された舌状部材25、125、225によってのみ、土台20、120、220の残りの部分に接続され、したがって、上方への圧力を働かせて、作動手段23、123、223を下方に移動させ、それによって、バルブを作動させることができる。
【0031】
ふた30、130、230は、ヒンジによって土台20、120、220に接続され、これによって、ふたが土台20、120、220上で完全に折りたたまれ、したがって、押しボタン22、122、222を引っ込める位置と大きく開いて、ユーザがこの押しボタン22、122、222にアクセスすることができる位置との間を移動することができる。このヒンジは、それ自体、小さなばね作用を有し、したがって、ある開く角度に達するとすぐに、ふたを大きく開く位置に移動させようとするように設計される。
【0032】
土台20、120、220及びふた30、130、230は、例えば、ポリプロピレン(PP)または高密度ポリエチレン(HDPE)または低密度ポリエチレン(LDPE)によって形成される。
【0033】
ロック解除手段が作動するとすぐに、ふた30、130、230が自動的に開くことを確実にするために、二つのばね板32、132、232を備え、その端部の一方は土台の円筒形部分21、121、221に固定され、もう一方の端部はふた30、130、230の内側面を滑動することができる。ばね板32、132、232は、押しボタン22、122、222を土台20、120、220に接続する舌状部材25、125、225の両側を通っている。これらのばね板32、132、232は、ふた30、130、230が土台20、120、220上で折りたたまれているときぴんと張った状態にあり、ふた30、130、230が大きく開いた状態にあるときゆるんだ状態か、または、いずれにせよあまりぴんと張っていない状態にある。土台の低部で、ばね板の第一の端部を前面22、122、222の下方に配置すると、ばね板の長さが大きくなることができ、大きくなるほど、受ける圧力が小さくなり、そのばね板がさらに有効になる。裂け目26、126によって、押しボタン22、122は実際に土台20、120の横断面を全部被覆している。裂け目26、126は、ばね板32、132が折りたたまれるふたの作用下で湾曲できるよう大きな自由を有するようにサイズが決定される。
【0034】
ばね板32、132、232は、好ましくはポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)またはポリプロピレンテレフタレート(PPT)のような、形状記憶の良好な材料で形成される。土台に使用される材料とばね板に使用される材料が相溶性でないとき、ばね板は、物理的係留(反抜き代または係留ジョイント)を利用して、土台上にオーバーモールドされる。また、これらのばね板は土台とは異なる別個の部品であり、適切な手段によって、土台上に固定することもできる。
【0035】
ばね板は、ふたの底部上を滑動し、特許文献1のように、特定の支点との接触を失う恐れはない。ふたが大きく開いて、ばね板がふたの底部との接触を失ったとしても、ふたが折りたたまれるときに先に離れた点での接触を再度見出すことができる。さらに、時間の経過と共に少々変形したとしても、初期の接触点に対してわずかに移動した点でふたの底部と接触し続ける。
【0036】
閉じる手段は、ふた30、130、230及び土台20、120、220上に備えられる。それらの手段は、ふた30、130、230の内側面上に位置する第一の段部31、131、231及び土台20、120、220の円筒形部分21、121、221の高さに位置する第二の段部41、141、241によって構成されている。
【0037】
第一の実施態様では、この第二の段部41、141は、ふた30、130が閉じるとき第一の段部31、131の相対運動に関してわずかに傾斜し、ある程度の弾性を備える薄板40、140に配置される。また、一つまたは複数の第一の段部31、131の前には傾斜面があり、さらに第一の段部31、131を備えるふたの部分が第二の段部41、141を備える薄板40、140の部分との接触に入りやすくなる。そのようにして、ふた30、130が土台20、120上で折りたたまれているとき、第一の段部31、131の前にある傾斜面が薄板40、140と接触し、その第一の段部31、131が第二の段部41、141の後を通るまで、キャップ10、110の内側に向かってわずかに薄板から離れながら、または、とにかく全く近寄らずに、薄板40、140をその初期位置に戻す。この位置では、二つの段部31/41、131/141が一緒に協働し、もうふたを開くことができない。薄板40、140の弾性は、ふた30、130が土台上に折りたたまれたとき、ふたを確実に自動的に閉めるように、だからといって抵抗が大きすぎないように選択される。もちろん、傾斜面を第一の段部の前及び/または第二の段部の前に配置できる。
【0038】
薄板40、140の段部41、141の反対側の部分は、土台20、120の円筒形部分21、121に固定されている。したがって、二つの段部31/41、131/141を解放するには、薄板を押して、その薄板にキャップの中心に向けて、土台にほぼ垂直な動きを与えて、第一の段部31、131から第二の段部41、141を離せばよい。ここに記載した実施例では、薄板は、土台20、120にはめ込まれたはめ込み部品である。また、薄板を土台の円筒形部品21、121の部分と同じ材料で形成するか、オーバーモールドによって別の材料で形成して、単一の部品を製造することも考えられる。本発明の特定の一実施態様によると、これらの薄板40、140は、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)またはポリプロピレンテレフタレート(PPT)のように、形状記憶の良好なプラスチック材料で形成される。
【0039】
第一の変形例では、キャップは一つの薄板40と段部31、41の一つの遊びしか備えていない。この薄板40は、ふた30のヒンジの反対側に配置される。
【0040】
第二の変形例では、キャップは各々が段部141を有する二つの薄板140を備え、ふた130は、その内側面に対応する二つの段部131を備える。これらの二つの薄板140及び対応する段部131は、ヒンジの中心を通るキャップの正中面に関して対称に配置されている。安定性の理由から、土台120の円筒形部分121は、薄板140を部分的に被覆する。
【0041】
一つまたは複数の薄板40、140によって構成されているロック解除手段40、140にかかる圧力がなくなるとすぐに、閉じる手段41、141及びロック解除手段40、140はその初期位置をとる。
【0042】
一つまたは複数の薄板40、140に圧力がかかるとすぐに、二つの段部は協働するのを止め、二つのばね板32、132が、土台20、120からふた30、130を大きく開く位置まで引き離し、ふたは、ばね板32、132によってその位置に保持される。ユーザが一つまたは複数のばね板32、132のばね作用に逆らって、ふた30、130を土台上に折りたたむとき、段部31/41、131/141が噛み合い、ふた30、130を折りたたんだ位置に保持する。
【0043】
第二の実施態様210では、一つまたは複数の第二の段部241は、柔軟な薄板ではなく、土台に接して、段部231、241に平行に、その段部が協働しなくなるまで移動することができるプレート240上に配置される。ここに示した実施例では、このプレートは、ふた230が折りたたまれているときふたの下方でキャップ210の土台220を部分的に囲むカラー240によって構成されている。上から見ると、このカラー240は、リングの形状であり、その大部分242が土台220の周縁部に寄りかかっていて、ユーザはいつでもアクセスすることができる。他の部分243、244は、ヒンジの中央が通過する土台の正中面にほぼ垂直であり、キャップの内部に存在する。この内側部分の中心243は、溝に挟まれるが、その端部244は束縛されず、カラー240の安定した中心位置を中心にしてカラー240が小さな円形運動をすることができる湾曲区域を形成する。したがって、ユーザが土台220に対してカラー240の外側部分242を土台220に接し、段部231、241に平行な運動によって右側にまたは左側に滑動させるとき、段部の互いに対する滑動が引き起こされる。ばね板232によって、二つの段部231、241が整列しないとすぐに、ふた230が引き上げられる。ユーザがカラー240をゆるめた後、カラーは、そのカラー240の外側区域244のばね作用により自動的にその均衡中心位置に戻る。ユーザがふた230を土台220上に折りたたむときふた230を自動的に閉じることができるように、第一の段部231を支持するふた230の部分は、十分に柔軟であり、第一の段部231が第二の段部241を有するカラー240の突起に対して滑動するとき軽く離れることができるが、それは、第一の段部が第二の段部を通り過ぎて、二つの段部が再度協働するまでである。上記の実施例とは反対に、第一の段部を通すために曲がるのは、第二の段部の支持部材ではなく、第一の段部の支持部材であり、二つの段部が互いに滑動することを可能にするように曲がる。実際、この実施態様では、カラーは土台に寄りかかっており、それは前記の実施例の薄板40、140の端部の場合とは異なる。
【0044】
二つの実施態様では、一つまたは複数の薄板40、140またはカラー240によって構成されているロック解除手段は、常に土台の外側壁の延長にあり、したがって、そこからはみ出ることはない。柔軟な薄板またはカラーの通路での土台の幾何学的形状の非連続性はない。これは、特に図1及び8の斜視図及び図11、16及び20の断面図からよく分かる。これらのロック解除手段は、製品の輸送またはストック時に不注意によって作動する危険性はほとんどない。突き出た物体に引っかかる恐れもない。
【0045】
ここで図示し、記載した実施例は土台上にロック解除手段40、140、240を配置するものであるが、ふたの上に配置することも全く同様に考えられる。また、ばね板32、132、232は、ふた上に固定され、土台の内側面を滑動することができる。また、全く別のばね装置も考えられる。
【符号の説明】
【0046】
10、110、210 キャップ
20、120、220 土台
21、121、221 円筒形部分
22、122、222 押しボタン
23、123、223 作動手段
24、124、224 出力ノズル
25、125、225 舌状部材
26、126 裂け目
29、129、229 固定手段
30、130、230 ふた
31、131、231 第一の段部
32、132、232 ばね板
40、140 薄板
41、141 第二の段部
240 カラー
241 第二の段部
242 外側部分
243 固定された内側部分
244 可撓性の内側部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップ(10、110、210)であって、
―キャップを容器に固定する手段(29、129、229)を備える土台(20、120、220)、
―ヒンジによって土台(20、120、220)に固定されたふた(30、130、230)、
―第一の閉じる手段(31、131、231)及び第二の閉じる手段(41、141、241)によって構成され、その一つが土台(20、120、220)に配置され、もう一つがふた(30、130、230)に配置されている閉じる手段であって、その閉じる手段が協働して、ふた(30、130、230)を土台(20、120、220)上で折りたたまれた第一の位置に保持する閉じる手段、
―第一の閉じる手段(31、131、231)及び第二の閉じる手段(41、141、241)を互いに引き離すためのロック解除手段(40、140、240)、及び
―ふたを引き上げる手段(32、132、232)
とを備え、
―ロック解除手段(41、141、241)及びふた(30、130、230)を引き上げる手段(32、132、232)は互いに別個のものであり、
ふた(30、130、230)を引き上げる手段は、少なくとも一つのばね板(32、132、232)によって構成され、その端部の一方は土台(20、120、220)に固定され、もう一方の端部はふた(30、130、230)の底部を滑動することができ、ばね板(32、132、230)は、ふた(30、130、230)が折りたたまれているときはぴんと張った状態に、ふたが大きく開いた状態にあるときはゆるんだ、または、部分的にゆるんだ状態にある
ことを特徴とするキャップ(10、110、210)。
【請求項2】
一つまたは複数のばね板(32、132、232)が、土台とは異なる材料で形成され、土台は、好ましくはポリプロピレン(PP)または高密度または低密度ポリエチレン(HDPEまたはLDPE)で形成され、一つまたは複数のばね板は、好ましくはポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)またはポリプロピレンテレフタレート(PPT)などの形状記憶の良好なプラスチック材料で形成される
請求項1に記載のキャップ(10、110、210)。
【請求項3】
一つまたは複数のばね板(32、132、232)が、土台(20、120、220)上のオーバーモールドされる
請求項1または2に記載のキャップ(10、110、210)。
【請求項4】
一つまたは複数のばね板(32、132、232)が、土台(20、120、220)とは別個の部品であり、その土台上に機械的係留手段によって固定される
請求項1または2に記載のキャップ(10、110、210)。
【請求項5】
一つまたは複数のばね板(32、132、232)が、ふたの反対側の土台の低部に固定され、土台(20、120)が前面(22、122)を備えるとき、その前面にその一つまたは複数のばね板を通過させる裂け目(26、126)が形成される
請求項1ないし4のいずれかに記載のキャップ(10、110、210)。
【請求項6】
ロック解除手段が、土台(20、120、220)またはふたの中に土台またはふたのジャケットからはみ出ないように配置される
請求項1ないし5のいずれかに記載のキャップ(10、110、210)。
【請求項7】
第一及び第二の閉じる手段が、第一の段部(31、131、231)及び第二の段部(41、141、241)によって構成され、その段部の一つは少なくともある程度の弾力性を示す支持部材(40、140、230)に配置され、ふた(30、130、230)が折りたたまれる動きの間、その柔軟な支持部材は二つの段部の接近の動きに垂直に離れていき、それによって、もう一つの段部(31、131、241)が通過して、二つの段部が互いにはまり込むようになり、支持部材がその初期位置に少なくとも部分的に戻ることができる
請求項1ないし6のいずれかに記載のキャップ(10、110、210)。
【請求項8】
ロック解除手段が、第一及び第二の閉じる手段(231、241)を土台またはふたの壁に平行に互いに引き離すカラー(240)によって構成される
請求項1ないし7のいずれかに記載のキャップ(210)。
【請求項9】
閉じる手段(231、241)を土台またはふたの壁に平行に引き離す手段が、その第一または第二の閉じる手段(241)が固定されたプレート(240)によって構成され、プレート(240)は、ふたが折りたたまれているとき二つの閉じる手段(231、241)がそのふた(230)を折りたたんだままに保持するように協働する第一の位置と、ふた(230)は折りたたまれているが二つの閉じる手段(231、241)が協働しなくなる第二の位置との間で、土台(220)またはふた(230)の壁に平行な運動によって、土台(220)またはふた(230)に対して移動することができ、好ましくは、第一の位置で、外部応力が存在しないときプレート(240)を自動的に戻すばね(244)が備えられる
請求項1ないし8のいずれかに記載のキャップ(210)。
【請求項10】
プレートの少なくとも一部分(242)が、少なくともふた(230)が折りたたまれているとき、ふた(230)によって被覆される区域の外側で、土台(220)の周縁部の少なくとも一部分の上に配置されているカラー(240)によって構成され、カラー(240)は土台(220)に対して滑動することができ、カラー(240)の一部分(243、244)が戻しばねの機能を果たす
請求項1ないし9のいずれかに記載のキャップ(210)。
【請求項11】
ロック解除手段(40、140)が、第一(31、131)及び第二(41、141)の閉じる手段を土台またはふたに垂直に引き離す手段によって構成される
請求項1ないし7のいずれかに記載のキャップ(10、110)。
【請求項12】
垂直に引き離す手段が、ふた(30、130)の外部から弾性薄板(40、140)に圧力をかける手段(42、142)によって構成される
請求項11に記載のキャップ(10、110)。
【請求項13】
ロック解除手段(40、140)が、土台(20、120)またはふた(30、130)に配置されたはめ込み部品上に配置される
請求項11または12に記載のキャップ(10、110)。
【請求項14】
閉じる手段(31、41)とロック解除手段(40)が、ヒンジの反対側に配置される
請求項1ないし13のいずれかに記載のキャップ(10)。
【請求項15】
ヒンジの中心を通る正中面の両側に対称に配置された閉じる手段(131、141)とロック解除手段(140)の二つが遊びを備える
請求項1ないし13のいずれかに記載のキャップ(110)。
【請求項16】
土台(20、120、220)上において、キャップが折りたたまれているときキャップ(30、130、230)によって被覆することができる区域に配置された押しボタン(22、122、222)を備え、その押しボタン(22、122、222)が、キャップが上に配置されている容器に配置されたバルブを作動させるための手段(23、123、223)を備えることができ、また、土台(20、120、220)は、押しボタン(22、122、222)の作動手段(23、123、223)によってバルブが作動したとき容器のバルブから出てくる製品を運搬する出力ノズル(24、124、224)を端に有する導管を備えることができる
請求項1ないし15のいずれか記載のキャップ(10、110、210)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2010−522671(P2010−522671A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500233(P2010−500233)
【出願日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【国際出願番号】PCT/EP2008/053368
【国際公開番号】WO2008/125416
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(508332184)リンダル フランス サス (5)
【氏名又は名称原語表記】LINDAL FRANCE SAS
【Fターム(参考)】