説明

スプレー装置

【課題】不用意な噴霧を防止することができるスプレー構造を提供する。
【解決手段】スライドボタン111をスライドして延出部114先端をキャップ14奥面34に対向したロック位置151に配置すると、操作ボタン81の操作部82を押操作しても延出部114先端が奥面34に当接して当該操作ボタン81を操作できないロック状態152が形成される。スライドボタン111をスライドして延出部114が奥面34の横長穴36に位置したアンロック位置161に配置すると、操作ボタン81を押操作した際に延出部114が横長穴36を挿通することによって、操作ボタン81の押操作を可能とするアンロック状態162が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香剤、消臭剤、殺虫剤等の薬剤を噴霧するスプレー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレや居住空間内で使用する芳香剤、消臭剤、殺虫剤としては、スプレータイプのものが知られている。
【0003】
このスプレータイプの芳香剤等は、薬剤と共に圧縮ガスや液化ガス等の噴射剤がスプレー本体内に収容されており、該スプレー本体に設けられた噴出ノズルから噴霧されるように構成されている。
【0004】
このようなスプレー装置としては、スプレー本体上部に嵌着されたキャップの側面に、噴射ボタンが設けられたものが知られている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
【0005】
該噴射ボタンの裏面に設けられた突出部は、内側へ向けて延出しており、スプレー本体の中央部には、上方に延出したノズルが設けられている。該ノズルには、噴出ノズルが嵌着されており、前記ノズルから噴出された液状薬剤を上方へ噴出できるように構成されている。
【0006】
これにより、前記噴射ボタンを側面側から押圧操作して前記ノズルを側方へ傾倒することで、前記キャップ上面より上方へ向けて前記液状薬剤を噴霧できるように構成されている。
【0007】
この様な側面に噴射ボタンを備えたスプレーは、手に持って操作することはもちろん、スプレーの背面を壁の壁面に固定した状態であっても、噴射ボタンを容易に操作することができ、幅広い用途に利用されるものである。
【特許文献1】実開昭62−109760号公報
【特許文献2】実開平01−170469号公報
【特許文献3】実開平03−090654号公報
【特許文献4】実開平04−019480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このようなスプレー装置にあっては、液状薬剤を噴霧させる為の噴射ボタンがキャップの側面に設けられている。このため、スプレー本体を把持する際や、スプレー本体を壁面に設置したり取り外す際に、前記噴射ボタンに誤って触れてしまうことがある。
【0009】
これにより、意図せずに液状薬剤を噴霧させてしまい、薬剤を無駄に消費してしまうばかりか、衣類や周囲を汚してしまうことがあった。
【0010】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、不用意な噴霧を防止することができるスプレー構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために本発明の請求項1のスプレー装置にあっては、スプレー本体より延出したノズルを包囲するキャップを備え、該キャップの側面に設けられた操作部を押操作して前記ノズルから前記スプレー本体内の薬剤を噴出するスプレー装置において、前記操作部の押操作を阻止したロック状態及び前記操作部の押操作を可能としたアンロック状態を形成するロック機構を設けた。
【0012】
すなわち、このスプレー装置には、ロック機構が設けられており、前記操作部の押操作を阻止したロック状態を形成することができる。このため、当該スプレー装置を把持して壁面に設置したり取り外す際に、前記ロック状態を形成することによって、誤って前記操作部に触れてしまった場合であっても、前記操作部の誤操作による薬剤の噴出が防止される。
【0013】
また、設置後には、前記ロック機構を前記アンロック状態にすることで、前記操作部の押操作を可能とすることができる。これにより、前記操作部の操作に応じた薬剤の噴出が可能となる。
【0014】
また、請求項2のスプレー装置においては、前記ロック機構は、前記操作部に沿ってスライドされるスライド操作部を備え、前記操作部に対する前記スライド操作部のスライドに方向に応じて前記ロック状態と前記アンロック状態とを形成する。
【0015】
すなわち、前記スライド操作部を前記操作部に沿ってスライドすることにより、前記ロック状態又は前記アンロック状態を形成することができる。
【0016】
このアンロック状態において、前記操作部を押操作することにより、前記ノズルから前記スプレー本体内の薬剤を噴出することができる。
【0017】
このように、前記スライド操作部を操作して前記ロック状態又は前記アンロック状態を形成する際の操作方向と、前記操作部を押操作して前記薬剤を噴出する際の操作方向とが異なる方向に設定される。
【0018】
さらに、請求項3のスプレー装置では、前記スライド操作部に前記キャップ側へ延出する延出部を設けるとともに、前記スライド操作部をスライドして前記アンロック状態を形成した際に前記延出部が位置する前記キャップの部位に前記延出部を挿通可能な挿通穴を設けた。
【0019】
すなわち、前記スライド操作部をスライドして前記アンロック状態を形成した際には、前記スライド操作部より延出した延出部が前記キャップに設けられた挿通穴位置に配置される。
【0020】
この状態では、前記延出部を前記挿通穴へ挿通することができるため、前記操作部の押操作が許容される。
【0021】
加えて、請求項4のスプレー装置にあっては、前記操作部と前記スライド操作部との対向面に、該スライド操作部のスライド方向をガイドする溝及び該溝に沿って移動する突出部からなるガイド構造を設けた。
【0022】
すなわち、前記操作部と前記スライド操作部との対向面には、該スライド操作部のスライド方向をガイドする溝及び突出部からなるガイド構造が設けられており、前記スライド操作部をスライドする際には、このガイド構造によって前記スライド操作部の操作方向が定められる。
【0023】
また、請求項5のスプレー装置においては、前記スライド操作部に凸部を設け、該凸部が係合する凹部を前記操作部に設けるとともに、前記操作部に対して前記スライド操作部を前記ロック状態へ移動した際に前記凸部が係合する位置と、前記操作部に対して前記スライド操作部を前記アンロック状態へ移動した際に前記凸部が係合する位置とに前記凹部を設けた。
【0024】
すなわち、前記操作部に対して前記スライド操作部を前記ロック状態へ移動した際には、前記凸部が一方の前記凹部と係合する。これにより、クリック感が得られる。
【0025】
また、前記操作部に対して前記スライド操作部を前記アンロック状態へ移動した際には、前記凸部が他方の前記凹部に係合する。これにより、クリック感が得られる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように本発明の請求項1のスプレー装置にあっては、前記ロック機構をアンロック状態にすることで、前記操作部の押操作を可能とすることができ、前記操作部の操作に応じた薬剤の噴出が可能となる。
【0027】
一方、前記ロック機構をロック状態とすることで、当該スプレー装置を把持して壁面に設置したり取り外す際に、誤って前記操作部に触れてしまった場合であっても、前記操作部の誤操作による薬剤の噴出を防止することができる。
【0028】
したがって、意図しない薬剤の不用意な噴出を確実に防止することができる。
【0029】
また、請求項2のスプレー装置においては、前記スライド操作部を前記操作部に沿ってスライドすることで、前記ロック状態又は前記アンロック状態を形成することができる。
【0030】
そして、前記スライド操作部を操作して前記ロック状態又は前記アンロック状態を形成する際の操作方向と、前記操作部を操作して前記薬剤を噴出する際の操作方向とを異なる方向にすることができる。
【0031】
このため、ロック操作と噴出操作との操作ミスを防止しつつ、両操作時での操作性を高めることができる。
【0032】
さらに、請求項3のスプレー装置では、前記スライド操作部をスライドして前記アンロック状態を形成した際には、前記スライド操作部より延出した延出部が前記キャップに設けられた挿通穴位置に配置される。
【0033】
このため、この状態において前記延出部を前記挿通穴へ挿通することができるため、前記操作部の押操作を可能とした前記アンロック状態を形成することができる。
【0034】
加えて、請求項4のスプレー装置にあっては、前記操作部と前記スライド操作部との対向面に、該スライド操作部のスライド方向をガイドする溝及び突出部からなるガイド構造を設けることによって、前記スライド操作部をスライドする際には、このガイド構造によって前記スライド操作部の操作方向を定めることができる。
【0035】
また、請求項5のスプレー装置においては、前記操作部に対して前記スライド操作部を前記ロック状態へ移動した際と、前記スライド操作部を前記アンロック状態へ移動した際とにおいて、前記凸部がいずれかの前記凹部に係合し、クリック感を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかるスプレー装置1を示す図であり、このスプレー装置1としては、トイレなどで使用される芳香消臭剤がその一例として挙げられる。
【0037】
このスプレー装置1のスプレー本体11は、円筒容器状に形成されており、その天面には、上方に膨出した膨出部12が形成されている。該膨出部12の中央からは、円筒状のノズル13が上方へ向けて延出しており、該ノズル13は、当該スプレー本体11側へ後退操作された際に当該スプレー本体11内に収容された液状薬剤を先端から噴霧するプッシュダウン型で構成されている。このスプレー本体11の上部には、前記ノズル13を包囲するキャップ14が固定されており、前記ノズル13の不用意な操作が防止されるように構成されている。
【0038】
このキャップ14は、前記スプレー本体11上縁の外折返部21に外嵌する側面を構成する外周壁22と、該外周壁22の内側に設けられた内円筒部23とを備えている。前記キャップ14の天面24には、図2にも示すように、噴霧穴25が設けられており、該噴霧穴25は、前記内円筒部23に連通している。前記天面24からは、図2の(b)に示したように、前記内円筒部23に沿って延在するフランジ部26と、前記噴霧穴25の開口縁部より延出した延出片27が設けられており、前記内円筒部23には、中心部へ向かって延出したリブ28が突設されている。
【0039】
前記外周壁22には、図2の(a)に示したように、壁面に取り付ける為の壁掛け部31が設けられている。この壁掛け部31の逆側には、図3にも示すように、前記天面24から下方へ向かうに従って外側に傾斜した傾斜面32が形成されおり、該傾斜面32の中央部には、上下に延在する長方形状の取付凹部33が凹設されている。該取付凹部33の奥面34は、前記内円筒部23の一部を構成しており、この奥面34には、上下に延在する縦長穴35と該縦長穴35の上部に連続した挿通穴としての横長穴36とからなる取付穴37が開設されている。
【0040】
この奥面34と前記傾斜面32との間には、図2の(b)に示したように、両者を連設する三角形状の連設壁41が形成されており、この連設壁41は、前記取付凹部33の下縁より下側まで延長されている。この延長部42の手前側には、矩形状の段部43が対向する延長部42側へ向けて突設されており、該段部43の下端は、連結片44によって前記内円筒部23に連結されている。これにより、前記連結片44と前記連設壁41との間には、矩形状の軸支穴45が設けられており、該軸支穴45は、前記各連設壁41の下部に対向して設けられている。
【0041】
前記内円筒部23の下部には、図1に示したように、内嵌部材51が内嵌した状態で固定されている。該内嵌部材は、図4にも示すように、円筒状の基部52を備えており、該基部52の先端側には、前記内円筒部23に内嵌される小径部53が形成されている。前記基部52の基端側には、前記小径部53より大径の大径部54が形成されており、該大径部54は、図1に示したように、前記スプレー本体11の膨出部12上縁の内折返部55を内嵌した状態で固定できるように構成されている。
【0042】
前記基部52の上縁には、噴出ノズル61が支持板62を介して上下方向へ揺動可能に支持されており、該支持板62と前記基部52との間には、該基部52の内縁に沿って延在する溝により薄肉部63が形成されている。この噴出ノズル61の中央部には、円筒状のノズル部64が一体形成されており、該ノズル部64の基端には、図1に示したように、前記スプレー本体11より延出した前記ノズル13の先端部が挿入されるように構成されている(図1参照)。また、前記ノズル部64は、前記キャップ14の天面24に設けられた前記噴霧穴25へ向けて延出しており、前記ノズル13より噴出された液状薬剤を前記ノズル部64を介して前記噴霧穴25から上方へ向けて噴霧できるように構成されている。
【0043】
前記ノズル部64の基端部には、前記支持板62と逆側に延出する二股延出部71が一体形成されており、該二股延出部71は二股に形成されているとともに、その先端には円柱部72が架橋されている。そして、この二股延出部71の先端側に位置する前記基部52の小径部53には、切欠部74が形成されている。
【0044】
前記キャップ14の前記傾斜面32には、図1に示したように、操作ボタン81が取り付けられている。該操作ボタン81は、図5及び図6にに示すように、ハート形板状の操作部82と、該操作部82の裏面83に突設された突設板84とによって構成されている。該突設板84は、図5の(a)及び図6に示したように、前記操作部82の中央部から下方へ延出した縦板部85と、該縦板部85の上縁に一体形成された横板部86とからなり、該横板部86の奥側には、前記キャップ14に設けられた前記取付穴37の前記横長穴36に挿入された状態で、該横長穴36の左右の縁に当接する抜け止め87,87が突設されている。
【0045】
また、前記縦板部85の後部には、図6に示したように、下方へ延長されてなる下方延長部91が一体形成されている。この下方延長部91の手前側の角部には、側方へ延出した円柱状の軸部92が一体形成されており、当該操作ボタン81を前記キャップ14に取り付けた際には、前記軸部92が前記キャップ14の前記連結片44と前記連設壁41との間に形成された前記軸支穴45に遊嵌された状態で回動自在に支持されるように構成されている。また、前記下方延長部91の奥側には、円弧状の円弧部93が切欠されており、該円弧部93は、当該操作ボタン81を前記キャップ14に取り付けた状態で、該キャップ14内の内嵌部材51に設けられた前記二股延出部71間の前記円柱部72に上方から嵌合するように構成されている。
【0046】
これにより、前記操作ボタン81を前記キャップ14に取り付けた状態において、該キャップ14の側面に突設した前記操作部82を前記キャップ14側へ後退するように押操作した際に、当該操作ボタン81が前記軸部92を中心に回動し、前記下方延長部91の前記円弧部93が嵌合した前記噴出ノズル61の自由端部に設けられた前記円柱部72を押し下げるように構成されている。このとき、当該噴出ノズル61を前記基部52に支持する前記支持板62が前記薄肉部63を中心として下方へ弾性変形することで、当該支持板62に設けられたノズル部64を下方へ押し下げ、これにより該ノズル部64が前記スプレー本体11の前記ノズル13を押圧操作することで、該ノズル13から噴出された前記スプレー本体11内の液状薬剤を前記ノズル部64先端から上方へ向けて噴出できるように構成されている。
【0047】
また、前記操作ボタン81の前記操作部82の中央部には、図5の(b)に示したように、正方形状の矩形穴101が開設されており、その中央部に前記突設板84の前記縦板部85が配置されている。前記操作ボタン81の表面102には、対を成す円形の上凹部103,103及び下凹部104,104が上下に離間して前記矩形穴101の両側にそれぞれ凹設されており、前記矩形穴101の下部には、前記縦板部85に平行して延在する一対のガイド溝105,105が形成されている。
【0048】
前記矩形穴101には、図1に示したように、スライド操作部としてのスライドボタン111が取り付けられており、該スライドボタン111は、図7及び図8にも示すように、ハート形板状のスライド部112と、該スライド部112の裏面113より延出した延出部114とによって構成されている。
【0049】
この延出部114は、図8の(a)にも示すように、離間して設けられた一対の挟持部121,121によって構成されており、当該延出部121,121を前記操作ボタン81の前記矩形穴101に挿入した状態で、両挟持部121,121が前記操作ボタン81に設けられた前記突設板84の前記縦板部85を両脇から挟持するように構成されている。前記挟持部121,121は、断面L字状に形成されており、両挟持部121,121の対向した対向面122,122の先端側には、対向面122側へ突出した突起123が設けられている。
【0050】
これにより、前記両挟持部121,121で前記突設板84の前記縦板部85を両脇から挟持した状態で、当該スライドボタン111の前記縦板部85からの抜けが前記突起123,123によって阻止できるように構成されており、この挟持状態を維持しながら前記スライドボタン111を、前記縦板部85に沿って縦方向へスライドできるように構成されている。
【0051】
前記スライド部112の裏面113には、該裏面113が対向する前記操作ボタン81の表面102に形成された前記ガイド溝と105,105対を成す突出部としてのレール131,131が突設されており、各レール131,131は、当該スライドボタン111を前記操作ボタン81に取り付けた状態において、前記ガイド溝105内を移動することで、前記操作ボタン81に対する前記スライドボタン111の移動方向をガイドするガイド構造を構成している。
【0052】
また、前記スライド部112の裏面113には、前記延出部114の両脇に円形の凸部141,141が突設されており、前記各凸部141,141は、前記操作ボタン81の表面102に設けられた対応する凹部103,103,104,104と係合するように構成されている。これにより、前記操作ボタン81に対して前記スライドボタン111をスライド操作した際に、前記凸部141,141が上凹部103,103又は下凹部104,104と係合することで、クリック感が得られるように構成されている。
【0053】
そして、前記スライドボタン111を前記操作ボタン81に対してスライドして前記凸部141,141を前記下凹部104,104に係合した状態では、図2及び図3に示したように、前記延出部114の前記両挟持部121,121先端が前記キャップ14の前記取付凹部33を構成する前記奥面34に対向したロック位置151に配置されるように構成されており、この状態で、前記操作ボタン81の操作部82を押操作しても、前記延出部114の前記両挟持部121,121先端が前記キャップ14の前記奥面34に当接することによって、当該操作ボタン81を操作できない前記ロック状態152が形成されるように構成されている。
【0054】
また、前記スライドボタン111を前記操作ボタン81に対してスライドして前記凸部141,141を前記上凹部103,103に係合した状態では、前記延出部114の前記両挟持部121,121先端が前記キャップ14の前記奥面34に形成された前記取付穴37の前記横長穴36に配置されたアンロック位置161に配置されるように構成されており、この状態で、前記操作ボタン81の前記操作部82を押操作した際には、前記延出部114の前記両挟持部121,121先端が前記横長穴36を挿通することによって、当該操作ボタン81の押操作を可能としたアンロック状態162が形成されるように構成されている。
【0055】
これにより、前記操作ボタン81に対して前記スライドボタン111を下方へスライドした際に前記操作ボタン81の押操作を阻止した前記ロック状態152を形成するとともに、前記スライドボタン111を上方へスライドした際に前記アンロック状態162を形成するロック機構171が構成されている。
【0056】
以上の構成にかかる本実施の形態において、このスプレー装置1は、前記ロック機構171を備えており、このロック機構171を前記アンロック状態162にすることで、前記操作部82の押操作を可能とすることができ、当該操作部82の操作に応じた薬剤の噴霧が可能となる。
【0057】
一方、当該スプレー装置1を把持して壁面に設置したり取り外す際には、前記ロック機構171を前記ロック状態152とすることによって、誤って前記操作部82に触れてしまった場合であっても、前記操作部82の誤操作による薬剤の噴霧を防止することができる。
【0058】
したがって、意図しない薬剤の不用意な噴出を確実に防止することができる。
【0059】
そして、前記スライドボタン111を前記操作ボタン81に沿ってスライドすることにより、前記ロック状態152又は前記アンロック状態162を形成することができる。
【0060】
このアンロック状態162では、前記操作ボタン81を押操作することにより、前記噴出ノズル61のノズル部64から前記スプレー本体11内の薬剤を噴出することができる。
【0061】
このように、前記スライドボタン111を操作して前記ロック状態152又は前記アンロック状態162を形成する際の操作方向と、前記操作ボタン81を押操作して前記薬剤を噴出する際の操作方向とは異なる方向に設定されている。
【0062】
このため、ロック操作と噴出操作との操作ミスを防止しつつ、両操作を一つの指で行うことができ、操作性を高めることができる。
【0063】
そして、前記スライドボタン111をスライドして前記アンロック状態162を形成した際には、前記スライドボタン111より延出した延出部114が前記キャップ14に設けられた横長穴36位置に配置される。
【0064】
このため、この状態において前記延出部114を前記横長穴36へ挿通することができるため、前記操作ボタン81の押操作を可能とした前記アンロック状態162を形成することができる。
【0065】
そして、前記操作ボタン81の表面102と前記スライドボタン111の裏面113に、該スライドボタン111のスライド方向をガイドするガイド溝105,105及びレール131,131からなるガイド構造を設けることによって、前記スライドボタン111をスライドする際には、このガイド構造によって前記スライドボタン111の操作方向を定めることができる。
【0066】
また、前記スライド部112の裏面113には、前記延出部114の両脇に円形の凸部141,141が突設されており、前記各凸部141,141は、前記操作ボタン81の表面102に設けられた対応する凹部103,103,104,104と係合するように構成されている。
【0067】
このため、前記操作ボタン81に対して前記スライドボタン111を前記ロック位置151又はアンロック位置161へスライド操作して前記ロック状態152又は前記アンロック状態162を形成した際には、前記凸部141,141が上凹部103,103又は下凹部104,104と係合することで、クリック感を得ることができる。
【0068】
なお、本実施の形態では、前記ノズル13を前記スプレー本体11側へ後退操作した際に当該スプレー本体11内に収容された液状薬剤を先端から噴霧するプッシュダウン型バルブを備えたエアゾールで構成した場合に付いてのみ説明したが、これに限定されるものではなく、前記ノズル13を側方へ傾倒操作した際に当該スプレー本体11内に収容された液状薬剤を先端から噴霧するチルト型バルブを備えたエアゾールで構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施の形態を示す要部の断面図である。
【図2】同実施の形態のキャップを示す図で、(a)は平面図であり、(b)は要部の断面図である。
【図3】同実施の形態のキャップを示す正面図である。
【図4】同実施の形態の内嵌部材を示す図で、(a)は平面図であり、(b)は要部の断面図である。
【図5】同実施の形態の操作ボタンを示す図で、(a)は背面図であり、(b)は正面図である。
【図6】同実施の形態の操作ボタンを示す側面図である。
【図7】同実施の形態のスライドボタンを示す図で、(a)は背面図であり、(b)は正面図である。
【図8】同実施の形態のスライドボタンを示す図で、(a)は平面図であり、(b)は要部の断面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 スプレー装置
11 スプレー本体
13 ノズル
14 キャップ
22 外周壁
36 横長穴
81 操作ボタン
82 操作部
102 表面
105 ガイド溝
111 スライドボタン
113 裏面
114 延出部
131 レール
151 ロック位置
152 ロック状態
161 アンロック位置
162 アンロック状態
171 ロック機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプレー本体より延出したノズルを包囲するキャップを備え、該キャップの側面に設けられた操作部を押操作して前記ノズルから前記スプレー本体内の薬剤を噴出するスプレー装置において、
前記操作部の押操作を阻止したロック状態及び前記操作部の押操作を可能としたアンロック状態を形成するロック機構を設けたことを特徴とするスプレー装置。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記操作部に沿ってスライドされるスライド操作部を備え、前記操作部に対する前記スライド操作部のスライドに方向に応じて前記ロック状態と前記アンロック状態とを形成することを特徴とした請求項1記載のスプレー装置。
【請求項3】
前記スライド操作部に前記キャップ側へ延出する延出部を設けるとともに、前記スライド操作部をスライドして前記アンロック状態を形成した際に前記延出部が位置する前記キャップの部位に前記延出部を挿通可能な挿通穴を設けたことを特徴とする請求項2記載のスプレー装置。
【請求項4】
前記操作部と前記スライド操作部との対向面に、該スライド操作部のスライド方向をガイドする溝及び該溝に沿って移動する突出部からなるガイド構造を設けたことを特徴とする請求項2又は3記載のスプレー装置。
【請求項5】
前記スライド操作部に凸部を設け、該凸部が係合する凹部を前記操作部に設けるとともに、前記操作部に対して前記スライド操作部を前記ロック状態へ移動した際に前記凸部が係合する位置と、前記操作部に対して前記スライド操作部を前記アンロック状態へ移動した際に前記凸部が係合する位置とに前記凹部を設けたことを特徴とする請求項2、3又は4記載のスプレー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−136888(P2008−136888A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−322704(P2006−322704)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000141118)株式会社丸一 (47)
【出願人】(000102544)エステー株式会社 (127)
【Fターム(参考)】