スプール弁
【課題】変形等による不具合を解消することができるスプール弁を提供する。
【解決手段】スプール12の基端側にストレート部42を形成し、ストレート部42を構成する周面24を摺接面25に摺接して入力ポート21の入力溝23を開閉する。ストレート部42より先端側に、先端側へ向かうに従って外形寸法が変化する制御領域51を設定し、制御領域51を、ストレート部42より先端側に設けられた第1テーパー部61と、第1テーパー部61より先端側に設けられた第2テーパー部62と、第2テーパー部62から先端までの間に設けられた第3テーパー部63とで構成する。第1テーパー部61の第1テーパー角θ1と、第2テーパー部62の第2テーパー角θ2と、第3テーパー部63の第3テーパー角θ3とを異なる角度に設定する。
【解決手段】スプール12の基端側にストレート部42を形成し、ストレート部42を構成する周面24を摺接面25に摺接して入力ポート21の入力溝23を開閉する。ストレート部42より先端側に、先端側へ向かうに従って外形寸法が変化する制御領域51を設定し、制御領域51を、ストレート部42より先端側に設けられた第1テーパー部61と、第1テーパー部61より先端側に設けられた第2テーパー部62と、第2テーパー部62から先端までの間に設けられた第3テーパー部63とで構成する。第1テーパー部61の第1テーパー角θ1と、第2テーパー部62の第2テーパー角θ2と、第3テーパー部63の第3テーパー角θ3とを異なる角度に設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば流量を制御するスプール弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流量を制御する際には、スプール弁が用いられており、該スプール弁では、ポートの開度を調整することによって流量を制御するように構成されている。
【0003】
このようなスプール弁では、ポートの開口部形状とスプールの位置とによって制御流量が決定するため、ポートの開口部形状やスプール制御位置を適正に選定することで、所望の流量特性を得ることができる。
【0004】
ここで、スプール制御位置を任意に制御する為には、製品形状の大型化を招くため、望ましくない。このため、開口部形状を適切に選定することで、所望の流量特性を達成している。
【0005】
図3の(a)は、このようなスプール弁801を示す図であり、該スプール弁801のスプール802は、図3(b)にも示すように、円筒状の部材によって構成されている。該スプール802の先端部には、三角形状の切欠部803,803が対向した箇所に設けられており、各切欠部803,803の奥側には、スリット804,804が形成されている。
【0006】
これにより、図3の(a)に示したように、前記スプール802の長さ方向への位置を制御して、入力ポート811に対する前記切欠部803,803の位置を制御することにより、前記入力ポート811から前記切欠部803,803を介して入力されるオイルの通流量を制御できるように構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このようなスプレー弁801にあっては、円筒状のスプール802の端部に切欠部803,803を形成する構造上、スプール802端部が断続してしまい、スプール802の外周部の剛性が低下してしまう。
【0008】
このため、当該スプール802に前記切欠部803,803形成した後の熱処理や仕上げ加工工程において、外周部の変形や歪みを招くことがあり、真円度が低下する恐れがあった。
【0009】
この場合、前記スプール802の摺動クリアランスが小さいと、この変形により摺動不良等が発生することがあり、異常動作を招く原因となり得る。
【0010】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、変形等による不具合を解消することができるスプール弁を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために本発明の請求項1のスプール弁にあっては、筒状のスプールを軸方向に作動して該スプールの周面が摺接する摺接面に設けられたポートを開閉し、該ポートからの通流量を制御するスプール弁において、前記スプールの先端部に、基端部より小径であって先端側へ向かうに従って外形寸法が変化する制御領域を設定した。
【0012】
すなわち、前記スプールの先端部には、先端側へ向かうに従って外形寸法が変化する制御領域が設定されており、この制御領域においては、当該スプールの周面と、該周面が摺接する摺接面間に形成される間隙が、外形寸法に応じて変化する。
【0013】
このため、前記摺接面に形成されたポートに対して前記スプールを軸方向に作動することによって、当該スプールの周面と前記摺接面間の間隙を可変することができ、この間隙を介して前記ポートを通流する通流量が可変される。
【0014】
また、請求項2のスプール弁においては、基端側から先端側へ向かうに従って縮径するテーパー部を軸方向に複数設けて前記制御領域を構成するとともに、各テーパー部での周面と当該スプールの中心軸とが成す傾斜角を異なる角度に設定した。
【0015】
すなわち、前記制御領域は、軸方向に設けられた複数のテーパー部で構成されており、各テーパー部での周面と当該スプールの中心軸とが成す傾斜角は、異なる角度に設定されている。
【0016】
このため、各テーパー部の軸方向の長さや、各テーパー部での角度を用途に合わせて設定することで、目的とした流量特性が得られる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明の請求項1のスプール弁にあっては、前記スプールの先端部に、外形寸法が変化する制御領域を形成することによって、スプールの先端部に切欠部を設けること無く、前記スプールの軸方向への作動に応じて前記ポートの通流量を可変することができる。
【0018】
このため、前記スプールの先端を全周に渡って連続した形状に維持することができるため、スプールの外周部の剛性を確保することができる。
【0019】
したがって、前記スプールの変形に起因した摺動不良等の発生を防止することができ、摺動不良等による不具合を確実に防止することができる。
【0020】
また、請求項2のスプール弁においては、前記制御領域が軸方向に設けられた複数のテーパー部で構成されており、各テーパー部での周面と当該スプールの中心軸とが成す傾斜角が異なる角度に設定されている。
【0021】
このため、各テーパー部の軸方向の長さや、各テーパー部での角度を用途に合わせて設定することで、目的とした流用特性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施の形態を図面に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかるスプール弁1を示す図であり、当該スプール弁1のノズル部2が示されている。このスプール弁1は、例えばディーゼルエンジン車のコモンレールシステムに設けられ、該コモンレールシステムの一次ポンプから二次ポンプへ供給される燃料の流量を制御するものである。
【0023】
このスプール弁1の前記ノズル部2には、円形のスプール収容室11が形成されており、該スプール収容室11は、当該ノズル2先端に開口している。このスプール収容室11には、スプール12が移動自在に収容されており、該スプール12は、図外のプランジャーによって軸方向13へ駆動されるように構成されている。
【0024】
前記ノズル2には、前記一次ポンプからの燃料が供給される入力ポート21が設けられており、該入力ポート21は、当該ノズル2の外周面に開口した連通穴22と、該連通穴22が連通した入力溝23とによって構成されている。該入力溝23は、前記スプール収容室11の内側面に周方向に延設されており、当該入力溝23は、前記スプール12の周面24が摺接する摺接面25に凹設されている。
【0025】
前記スプール収容室11は、当該ノズル2の先端側に開口しており、この開口部によって出力ポート31が構成されている。これにより、前記入力ポート21から前記スプール収容室11内に入力された燃料を前記出力ポート31を介して前記二次ポンプ側へ出力できるように構成されている。
【0026】
前記スプール12は、図1(b)にも示すように、有底円筒状に形成されており、前記出力ポート31側の先端が開口するように構成されている。このスプール12基端側の周面には、第1溝32及び第2溝33が周方向に延設されており、該第2溝33より先端側の周面24部分は、図2にも示すように、当該スプール12の中心軸41と平行したストレート部42が形成されている。該ストレート部42を構成する周面24は、前記摺接面25に摺接するように構成されており、該ストレート部42が前記入力溝23位置に配置された際には、当該ストレート部42によって前記入力溝23を閉鎖するように構成されている。
【0027】
このストレート部42より先端側には、前記ストレート部42より小径であって、先端側へ向かうに従って外形寸法が変化する制御領域51が設定されている。これにより、前記スプール12の前記軸方向13への作動によって前記制御領域51が前記入力溝23位置に移動された際には、当該制御領域51における周面24と前記摺接面25との間にリング状の間隙52を形成することで、前記入力溝23を前記スプール収容室11内に開放するように構成されており、前記入力ポート21に供給された燃料を前記入力ポート21を介して前記スプール収容室11へ流入できるように構成されている。
【0028】
この制御領域51は、前記ストレート部42より先端側に設けられた第1テーパー部61と、該第1テーパー部61より先端側に設けられた第2テーパー部62と、該第2テーパー部62から当該スプール12先端までの間に設けられた第3テーパー部63とによって構成されている。
【0029】
前記各テーパー部61,62,63は、それぞれ基端側から先端側へ向かうに従って縮径する形状に形成されており、各テーパー部61,62,63での周面24と当該スプール12の前記中心軸41とが成す傾斜角は、前記第1テーパー部61では、第1テーパー角θ1に設定されている。また、前記第2テーパー部62での周面24と前記中心軸41とが成す傾斜角は、第2テーパー角θ2に設定されており、前記第3テーパー部63での周面24と前記中心軸41とが成す傾斜角は、第3テーパー角θ3に設定され、前記各テーパー角θ1〜θ3は異なる角度に設定されている。
【0030】
これにより、前記スプール12を基端側へ移動するに従って、当該スプール12の周面24と前記摺接面25との間に形成される前記間隙52が、次第に広くなるように構成されており、前記スプール12の前記軸方向13に作動に応じて前記入力ポート21からの通流量を制御できるように構成されている。
【0031】
そして、前記第1テーパー部61及び前記第2テーパー部62の軸方向13への長さは、ほぼ同じ寸法に設定されており、前記第3テーパー部63の軸方向13への長さは、前記第1及び第2テーパー部61,62の長さより長くなるように設定されている。これにより、要求された流量特性が得られるように構成されている。
【0032】
なお、本実施の形態では、前記制御領域51を基端側から先端側へ向かうに従って縮径した前記各テーパー部61〜63で構成した場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば断面形状をR形状にしたり、基端側から先端側へ向かう中途部にへこみを形成しても良い。
【0033】
以上の構成にかかる本実施の形態にあっては、前記スプール12の先端部には、基端側の前記ストレート部42より小径であって、先端側へ向かうに従って外形寸法が変化する制御領域51が設定されており、この制御領域51においては、当該スプール12の周面24と、該周面24が摺接する摺接面25間に形成される間隙52が、設定された外形寸法に応じて変化する。
【0034】
このため、前記摺接面25に形成された前記入力ポート21の前記入力溝23に対して前記スプール12を軸方向13へ作動することによって、当該スプール12の周面24と前記摺接面25間の前記間隙52を可変することができ、この間隙52を介して前記入力ポート21を通流する通流量を可変することができる。
【0035】
このように、前記スプール12の先端部に切欠部を設けること無く、前記スプール12の軸方向13への作動に応じて前記入力ポート21の通流量を制御することができる。このため、前記スプール12の先端を全周に渡って連続した形状に維持することができるため、当該スプール12の外周部の剛性を確保することができる。
【0036】
したがって、このスプール12の変形に起因した摺動不良等の発生を防止することができ、摺動不良等による不具合を確実に防止することができる。
【0037】
また、前記制御領域51は、前記軸方向13に設けられた第1〜第3のテーパー部61〜63で構成されており、各テーパー部61〜63での周面24と当該スプール12の中心軸41とが成す傾斜角が、それぞれ異なるテーパー角θ1〜θ3に設定されている。
【0038】
このため、各テーパー部61〜63の軸方向13の長さや、各テーパー部61〜63でのテーパー角θ1〜θ3を用途に合わせて設定することで、目的に応じた流用特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施の形態を示す図で、(a)は要部断面図であり、(b)はスプールの斜視図である。
【図2】同実施の形態の要部を示す拡大図である。
【図3】従来のスプール弁を示す図で、(a)は要部断面図であり、(b)はスプールの斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
1 スプール弁
12 スプール
13 軸方向
21 入力ポート
24 周面
25 摺接面
41 中心軸
51 制御領域
61 第1テーパー部
62 第2テーパー部
63 第3テーパー部
θ1 第1テーパ角
θ2 第2テーパ角
θ3 第3テーパ角
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば流量を制御するスプール弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流量を制御する際には、スプール弁が用いられており、該スプール弁では、ポートの開度を調整することによって流量を制御するように構成されている。
【0003】
このようなスプール弁では、ポートの開口部形状とスプールの位置とによって制御流量が決定するため、ポートの開口部形状やスプール制御位置を適正に選定することで、所望の流量特性を得ることができる。
【0004】
ここで、スプール制御位置を任意に制御する為には、製品形状の大型化を招くため、望ましくない。このため、開口部形状を適切に選定することで、所望の流量特性を達成している。
【0005】
図3の(a)は、このようなスプール弁801を示す図であり、該スプール弁801のスプール802は、図3(b)にも示すように、円筒状の部材によって構成されている。該スプール802の先端部には、三角形状の切欠部803,803が対向した箇所に設けられており、各切欠部803,803の奥側には、スリット804,804が形成されている。
【0006】
これにより、図3の(a)に示したように、前記スプール802の長さ方向への位置を制御して、入力ポート811に対する前記切欠部803,803の位置を制御することにより、前記入力ポート811から前記切欠部803,803を介して入力されるオイルの通流量を制御できるように構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このようなスプレー弁801にあっては、円筒状のスプール802の端部に切欠部803,803を形成する構造上、スプール802端部が断続してしまい、スプール802の外周部の剛性が低下してしまう。
【0008】
このため、当該スプール802に前記切欠部803,803形成した後の熱処理や仕上げ加工工程において、外周部の変形や歪みを招くことがあり、真円度が低下する恐れがあった。
【0009】
この場合、前記スプール802の摺動クリアランスが小さいと、この変形により摺動不良等が発生することがあり、異常動作を招く原因となり得る。
【0010】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、変形等による不具合を解消することができるスプール弁を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために本発明の請求項1のスプール弁にあっては、筒状のスプールを軸方向に作動して該スプールの周面が摺接する摺接面に設けられたポートを開閉し、該ポートからの通流量を制御するスプール弁において、前記スプールの先端部に、基端部より小径であって先端側へ向かうに従って外形寸法が変化する制御領域を設定した。
【0012】
すなわち、前記スプールの先端部には、先端側へ向かうに従って外形寸法が変化する制御領域が設定されており、この制御領域においては、当該スプールの周面と、該周面が摺接する摺接面間に形成される間隙が、外形寸法に応じて変化する。
【0013】
このため、前記摺接面に形成されたポートに対して前記スプールを軸方向に作動することによって、当該スプールの周面と前記摺接面間の間隙を可変することができ、この間隙を介して前記ポートを通流する通流量が可変される。
【0014】
また、請求項2のスプール弁においては、基端側から先端側へ向かうに従って縮径するテーパー部を軸方向に複数設けて前記制御領域を構成するとともに、各テーパー部での周面と当該スプールの中心軸とが成す傾斜角を異なる角度に設定した。
【0015】
すなわち、前記制御領域は、軸方向に設けられた複数のテーパー部で構成されており、各テーパー部での周面と当該スプールの中心軸とが成す傾斜角は、異なる角度に設定されている。
【0016】
このため、各テーパー部の軸方向の長さや、各テーパー部での角度を用途に合わせて設定することで、目的とした流量特性が得られる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明の請求項1のスプール弁にあっては、前記スプールの先端部に、外形寸法が変化する制御領域を形成することによって、スプールの先端部に切欠部を設けること無く、前記スプールの軸方向への作動に応じて前記ポートの通流量を可変することができる。
【0018】
このため、前記スプールの先端を全周に渡って連続した形状に維持することができるため、スプールの外周部の剛性を確保することができる。
【0019】
したがって、前記スプールの変形に起因した摺動不良等の発生を防止することができ、摺動不良等による不具合を確実に防止することができる。
【0020】
また、請求項2のスプール弁においては、前記制御領域が軸方向に設けられた複数のテーパー部で構成されており、各テーパー部での周面と当該スプールの中心軸とが成す傾斜角が異なる角度に設定されている。
【0021】
このため、各テーパー部の軸方向の長さや、各テーパー部での角度を用途に合わせて設定することで、目的とした流用特性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施の形態を図面に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかるスプール弁1を示す図であり、当該スプール弁1のノズル部2が示されている。このスプール弁1は、例えばディーゼルエンジン車のコモンレールシステムに設けられ、該コモンレールシステムの一次ポンプから二次ポンプへ供給される燃料の流量を制御するものである。
【0023】
このスプール弁1の前記ノズル部2には、円形のスプール収容室11が形成されており、該スプール収容室11は、当該ノズル2先端に開口している。このスプール収容室11には、スプール12が移動自在に収容されており、該スプール12は、図外のプランジャーによって軸方向13へ駆動されるように構成されている。
【0024】
前記ノズル2には、前記一次ポンプからの燃料が供給される入力ポート21が設けられており、該入力ポート21は、当該ノズル2の外周面に開口した連通穴22と、該連通穴22が連通した入力溝23とによって構成されている。該入力溝23は、前記スプール収容室11の内側面に周方向に延設されており、当該入力溝23は、前記スプール12の周面24が摺接する摺接面25に凹設されている。
【0025】
前記スプール収容室11は、当該ノズル2の先端側に開口しており、この開口部によって出力ポート31が構成されている。これにより、前記入力ポート21から前記スプール収容室11内に入力された燃料を前記出力ポート31を介して前記二次ポンプ側へ出力できるように構成されている。
【0026】
前記スプール12は、図1(b)にも示すように、有底円筒状に形成されており、前記出力ポート31側の先端が開口するように構成されている。このスプール12基端側の周面には、第1溝32及び第2溝33が周方向に延設されており、該第2溝33より先端側の周面24部分は、図2にも示すように、当該スプール12の中心軸41と平行したストレート部42が形成されている。該ストレート部42を構成する周面24は、前記摺接面25に摺接するように構成されており、該ストレート部42が前記入力溝23位置に配置された際には、当該ストレート部42によって前記入力溝23を閉鎖するように構成されている。
【0027】
このストレート部42より先端側には、前記ストレート部42より小径であって、先端側へ向かうに従って外形寸法が変化する制御領域51が設定されている。これにより、前記スプール12の前記軸方向13への作動によって前記制御領域51が前記入力溝23位置に移動された際には、当該制御領域51における周面24と前記摺接面25との間にリング状の間隙52を形成することで、前記入力溝23を前記スプール収容室11内に開放するように構成されており、前記入力ポート21に供給された燃料を前記入力ポート21を介して前記スプール収容室11へ流入できるように構成されている。
【0028】
この制御領域51は、前記ストレート部42より先端側に設けられた第1テーパー部61と、該第1テーパー部61より先端側に設けられた第2テーパー部62と、該第2テーパー部62から当該スプール12先端までの間に設けられた第3テーパー部63とによって構成されている。
【0029】
前記各テーパー部61,62,63は、それぞれ基端側から先端側へ向かうに従って縮径する形状に形成されており、各テーパー部61,62,63での周面24と当該スプール12の前記中心軸41とが成す傾斜角は、前記第1テーパー部61では、第1テーパー角θ1に設定されている。また、前記第2テーパー部62での周面24と前記中心軸41とが成す傾斜角は、第2テーパー角θ2に設定されており、前記第3テーパー部63での周面24と前記中心軸41とが成す傾斜角は、第3テーパー角θ3に設定され、前記各テーパー角θ1〜θ3は異なる角度に設定されている。
【0030】
これにより、前記スプール12を基端側へ移動するに従って、当該スプール12の周面24と前記摺接面25との間に形成される前記間隙52が、次第に広くなるように構成されており、前記スプール12の前記軸方向13に作動に応じて前記入力ポート21からの通流量を制御できるように構成されている。
【0031】
そして、前記第1テーパー部61及び前記第2テーパー部62の軸方向13への長さは、ほぼ同じ寸法に設定されており、前記第3テーパー部63の軸方向13への長さは、前記第1及び第2テーパー部61,62の長さより長くなるように設定されている。これにより、要求された流量特性が得られるように構成されている。
【0032】
なお、本実施の形態では、前記制御領域51を基端側から先端側へ向かうに従って縮径した前記各テーパー部61〜63で構成した場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば断面形状をR形状にしたり、基端側から先端側へ向かう中途部にへこみを形成しても良い。
【0033】
以上の構成にかかる本実施の形態にあっては、前記スプール12の先端部には、基端側の前記ストレート部42より小径であって、先端側へ向かうに従って外形寸法が変化する制御領域51が設定されており、この制御領域51においては、当該スプール12の周面24と、該周面24が摺接する摺接面25間に形成される間隙52が、設定された外形寸法に応じて変化する。
【0034】
このため、前記摺接面25に形成された前記入力ポート21の前記入力溝23に対して前記スプール12を軸方向13へ作動することによって、当該スプール12の周面24と前記摺接面25間の前記間隙52を可変することができ、この間隙52を介して前記入力ポート21を通流する通流量を可変することができる。
【0035】
このように、前記スプール12の先端部に切欠部を設けること無く、前記スプール12の軸方向13への作動に応じて前記入力ポート21の通流量を制御することができる。このため、前記スプール12の先端を全周に渡って連続した形状に維持することができるため、当該スプール12の外周部の剛性を確保することができる。
【0036】
したがって、このスプール12の変形に起因した摺動不良等の発生を防止することができ、摺動不良等による不具合を確実に防止することができる。
【0037】
また、前記制御領域51は、前記軸方向13に設けられた第1〜第3のテーパー部61〜63で構成されており、各テーパー部61〜63での周面24と当該スプール12の中心軸41とが成す傾斜角が、それぞれ異なるテーパー角θ1〜θ3に設定されている。
【0038】
このため、各テーパー部61〜63の軸方向13の長さや、各テーパー部61〜63でのテーパー角θ1〜θ3を用途に合わせて設定することで、目的に応じた流用特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施の形態を示す図で、(a)は要部断面図であり、(b)はスプールの斜視図である。
【図2】同実施の形態の要部を示す拡大図である。
【図3】従来のスプール弁を示す図で、(a)は要部断面図であり、(b)はスプールの斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
1 スプール弁
12 スプール
13 軸方向
21 入力ポート
24 周面
25 摺接面
41 中心軸
51 制御領域
61 第1テーパー部
62 第2テーパー部
63 第3テーパー部
θ1 第1テーパ角
θ2 第2テーパ角
θ3 第3テーパ角
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のスプールを軸方向に作動して該スプールの周面が摺接する摺接面に設けられたポートを開閉し、該ポートからの通流量を制御するスプール弁において、
前記スプールの先端部に、基端部より小径であって先端側へ向かうに従って外形寸法が変化する制御領域を設定したことを特徴とするスプール弁。
【請求項2】
基端側から先端側へ向かうに従って縮径するテーパー部を軸方向に複数設けて前記制御領域を構成するとともに、各テーパー部での周面と当該スプールの中心軸とが成す傾斜角を異なる角度に設定したことを特徴とする請求項1記載のスプール弁。
【請求項1】
筒状のスプールを軸方向に作動して該スプールの周面が摺接する摺接面に設けられたポートを開閉し、該ポートからの通流量を制御するスプール弁において、
前記スプールの先端部に、基端部より小径であって先端側へ向かうに従って外形寸法が変化する制御領域を設定したことを特徴とするスプール弁。
【請求項2】
基端側から先端側へ向かうに従って縮径するテーパー部を軸方向に複数設けて前記制御領域を構成するとともに、各テーパー部での周面と当該スプールの中心軸とが成す傾斜角を異なる角度に設定したことを特徴とする請求項1記載のスプール弁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2008−144839(P2008−144839A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−331905(P2006−331905)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【出願人】(000220505)日本電産トーソク株式会社 (189)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【出願人】(000220505)日本電産トーソク株式会社 (189)
【Fターム(参考)】
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