スベリヒユ由来の組成物および血中グルコースレベルを調節するために該組成物を使用する方法
スベリヒユからの高血糖防止作用物質を含む組成物が提供される。また、かかる高血糖作用物質を単離する方法及びその使用方法が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スベリヒユ(Portulaca oleracea L.)から得られる組成物、および、より具体的には、血中グルコースレベルを調節するために該組成物を使用する方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、患者の健康、生活の質、および平均余命、ならびに保険医療システムに対して大きな影響を有する重大な慢性的代謝性障害である。米国では、糖尿病は主要な死因の6番目である[National Institute of Diabetes and digestive and kidney diseases(1995)、Diabetes Statistics、Betheda、MD:NIDDM NIH Publication番号96−3926]。
【0003】
糖尿病はI型糖尿病(以前ではインスリン依存性糖尿病またはIDDMとして知られている)およびII型糖尿病(以前ではインスリン非依存性糖尿病またはNIDDMとして知られている)の2つの大きなカテゴリーに分けられる。糖尿病の全体的な罹患率は人口の約6%であり、そのうちの90%がII型である[Diabetes(1996)、Vital Statistics、Alexandria,VA:American Diabetes Association]。糖尿病の処置および治療は国家の保険医療支出のかなりの部分に相当し、年間1050億ドルを超えている。
【0004】
II型糖尿病は、炭水化物および脂肪の代謝が乱れた症候群である。最も顕著な臨床的特徴は、126mg/dlを超える空腹時血漿グルコースレベルによって明らかにされる高血糖症、または、6.9%を超えるグリコシル化ヘモグロビンA1c(HbA1c)である。ほとんどのII型糖尿病患者において、発症は成人期においてであり、最も一般には、40歳を超える肥満者においてである。高血圧、高脂血症、高インスリン症およびアテローム性動脈硬化が糖尿病に付随することが多い。
【0005】
II型糖尿病の早期段階は、インスリン標的組織(すなわち、肝臓、骨格筋および脂肪細胞)におけるインスリン抵抗性によって特徴づけられる。これらの組織におけるインスリン抵抗性は、肝臓による過度なグルコース産生および末梢組織(特に、筋肉)による損なわれたグルコース利用に関連する。これらの事象は代謝恒常性を徐々に衰えさせるが、早期段階における明白な糖尿病を直接的には生じさせない場合がある。インスリン抵抗性を代償するための増大したインスリン分泌により、基礎状態での血中グルコースレベルが正常範囲内で維持され得るが、患者は、食事性炭水化物負荷試験および経口ブドウ糖負荷試験に対する損なわれた応答を示す場合がある。インスリン分泌の慢性的な過剰刺激は小島β細胞の予備力を徐々に低下させ、最終的には使い果たす。絶対的なインスリン不足の状態が結果として生じ、そして、明白な糖尿病を生じさせる[DeFronzo(1988)、Diabetes、37:667〜687;Seely(1993)、Insulin Resistance and its clinical Disorder(Moller D.編、London、England:John Wiley&Sons,Ltd.)、187〜252]。損なわれたグルコース耐性からII型糖尿病への移行率は、遺伝的背景、肥満、体脂肪分布、ほとんど運動しない生活様式、加齢、および付随する医学的状態によって大きく影響される[Clark(1998)、Diabetes care、21:C32〜C34]。
【0006】
慢性的および重度の高血糖症を有するII型糖尿病患者の生活の質はひどく影響を受ける。典型的な症状には、疲労感および無気力が含まれ、これらは重症になることがあり、成人では作業能力の低下をもたらし、中高年では転倒の増大をもたらす。急性の合併症には、代謝上の様々な問題および感染が含まれる。長期間の合併症には、マクロ血管合併症(例えば、高血圧、異常脂質血症、心筋梗塞、卒中)、ミクロ血管合併症(例えば、網膜症、腎障害、糖尿病神経障害、下痢、神経因性膀胱、損なわれた心臓血管反射、性的機能不全)、および、足の障害がある。
【0007】
II型糖尿病の従来の処置は生活様式の管理に集中している。運動に加えて、体重管理および医学的栄養療法、経口グルコース低下薬、ならびにインスリン注射が従来の治療法である。薬理学的処置が、空腹時グルコースレベルが140mg/dlを超えるか、または、食事後グルコースレベルが160mg/dlを超えるか、または、HbA1cが8%を超えるときには指示される。
【0008】
II型糖尿病を処置するための一般に利用されている経口薬剤には、第一世代および第二世代のスルホニルウレア剤(これらは膵臓β細胞からのインスリン分泌を高める)、薬用植物のガレガソウ(Galega Officinalis)から最初に得られたビグアニド剤(例えば、メトホルミン(登録商標))(これは、肝臓のグルコース産生を阻害し、かつ、筋肉のグルコース取り込みを増大させることによって血漿グルコースを低下させる)、α−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アスコルベート)(これは、炭水化物の消化を妨害し、かつ、グルコースの胃腸吸収を遅らせることによって食後のグルコースレベルを低下させる)、チアゾリジンジオン剤(例えば、トログリタゾン(登録商標)、ロシグリタゾン(登録商標)およびピオグリタゾン(登録商標))(これらは筋肉および肝臓におけるインスリン感受性を改善する)、ならびにメグリチニド剤(例えば、レパグリニド(登録商標))(これはインスリン分泌を増強する)が含まれる。
【0009】
上記の経口血糖降下薬に対する初期の応答は申し分のないものであるが、これらの薬物は、処置された患者の著しい割合でその有効性を失い、また、処置には、通常、有害な副作用(例えば、体重増加、低血糖症、胃腸障害、肝臓毒性および高LDLコレステロールなど)が伴う[Dey(2002)、Alternative Medicine Review、7:45〜58、および、それにおける参考文献]。これらの理由のために、血糖コントロールが経口薬物治療法の最大用量において次善であるときには、インスリンが通常、経口薬剤に加えられる。しかしながら、体重増加および低血糖症がインスリン治療の共通する副作用である。
【0010】
従来の治療法に付随するこれらの重大な制限を考慮して、糖尿病を処置するための代わりの方法(例えば、高血糖防止活性を有する漢方薬など)が患者および保険医療専門家によってますます探し求められている。今日までに、糖尿病に対する400を超える伝統的な植物処置が報告されている[Bailey(1989)、Diabetes Care、12:553〜564]。だが、そのうちのほんの少数が、それらの効力を評価するために科学的評価および医学的評価を受けているに過ぎない。糖尿病を処置するための最も一般的に使用される薬草には、下記が含まれる:チョウセンニンジン(Ginseng)種、例えば、オタネニンジンおよびアメリカニンジンなどの種、これらは、著しい血糖降下作用を有することが報告されている;ツルレイシ(Momordica charantia)(ニガウリ)、これは、糖尿病に対する治療薬として民間療法で広く使用されている;フェヌグリーク(Trigonella foenum graecum)(Fenugreek)、これは、特にインドでは、糖尿病に対する治療薬として使用されている;ギムネマ・シルベスター(Gymnema sylvestre);タマネギ(Allium cepa)およびニンニク(Allium sativum)、これらは、生のタマネギ片およびニンニク片に存在する揮発油に由来する血糖低下効果を有する;プテロカルプス・マルスピウム(Pterocarpus marsupium)および他のエピカテキン含有植物;アロエベラ(Aloe vera)およびその他。
【0011】
スベリヒユは、Purslane、VerdolagaおよびPursleyとしてもまた知られており、世界のほとんどの地域で栽培される食用の多肉性の「草」である。
【0012】
スベリヒユは、多くの生物学的に活性な化合物、ならびに、多くの栄養素を含有しており、これらには、アルカロイド、ω−3脂肪酸、クマリン類、フラボノイドおよびアントラキノングリコシドが含まれる(2)。
【0013】
この植物は、広範囲の様々な病気に対する治療薬として、特に寄生虫に対する処置として、また、消化器系障害に対する治療薬として伝統的に使用されている。加えて、抗炎症活性および抗真菌活性がスベリヒユには伴っている。世界中からの未確認の報告では、多くの病気および状態に対する治療薬としてスベリヒユの使用が明らかにされた(3)。
【0014】
スベリヒユは高血糖症に対する治療薬として以前に報告されている。EskanderおよびH.Won Jun(4)は、血液中のグルコースレベルを低下させることにおけるスベリヒユ(植物全体)の効力を示した。PCT国際特許出願公開00/00211は、血液中の糖レベルを低下させるための、スベリヒユから抽出されたヒドロコロイドの使用を教示する。
【0015】
本発明を実施に移しているとき、本発明者らは、スベリヒユの極性抽出物および非極性抽出物が、その必要性のある対象において血中グルコースレベルを生物学的に安全な様式で調節するために効率よく使用できることを発見した。
【発明の開示】
【0016】
本発明の1つの態様によれば、スベリヒユ(Portulaca oleracea L.)から高血糖防止作用物質を単離する方法が提供され、この場合、この方法は、極性成分をスベリヒユから抽出し、それにより、スベリヒユから高血糖防止作用物質を単離することを含む。
【0017】
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、抽出は、極性が増大する溶媒グラジエントを用いることによって行われる。
【0018】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、抽出はエタノール−水抽出によって行われる。
【0019】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、極性が増大する溶媒は、ヘキサン、酢酸エチル、ジクロロメタン、メタノールおよび水である。
【0020】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、極性が増大する溶媒は、ヘキサン:ジクロロメタン:酢酸エチル(1:1:1)およびメタノール:エタノール:水(1:1:1)である。
【0021】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、この方法はさらに、極性成分を抽出物から精製することを含む。
【0022】
本発明の別の態様によれば、スベリヒユから高血糖防止作用物質を単離する方法が提供され、この場合、この方法は、非極性成分をスベリヒユから抽出し、それにより、スベリヒユから高血糖防止作用物質を精製することを含む。
【0023】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、抽出は、非極性溶媒を使用して行われる。
【0024】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、抽出はエタノール−水抽出によって行われる。
【0025】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、非極性溶媒は、ヘキサン、ジクロロメタンおよび酢酸エチルからなる群から選択される。
【0026】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、この方法はさらに、非極性成分を抽出物から精製することを含む。
【0027】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、非極性成分を抽出物から精製することは薄層クロマトグラフィーによって行われる。
【0028】
本発明のなお別の態様によれば、スベリヒユのエタノール−水抽出物を含む組成物が提供される。
【0029】
本発明のさらに別の態様によれば、スベリヒユの極性画分抽出物を含む組成物が提供される。
【0030】
本発明のさらなる態様によれば、血中グルコースレベルを低下させるための、スベリヒユの極性抽出物を含む組成物の使用が提供される。
【0031】
本発明のなおさらなる態様によれば、スベリヒユの非極性画分抽出物を含む組成物が提供される。
【0032】
本発明のさらにさらなる態様によれば、血中グルコースレベルを低下させるための、スベリヒユの非極性抽出物を含む組成物の使用が提供される。
【0033】
本発明のさらなる態様によれば、血中グルコースレベルを低下させるための、スベリヒユのエタノール−水抽出物を含む組成物の使用が提供される。
【0034】
本発明のなおさらなる態様によれば、スベリヒユの極性画分抽出物を含む組成物の治療効果的な量と、医薬的に許容され得るキャリアまたは希釈剤とを含む、血中グルコースレベルを低下させるための医薬組成物が提供される。
【0035】
本発明のさらにさらなる態様によれば、スベリヒユの非極性画分抽出物を含む組成物の治療効果的な量と、医薬的に許容され得るキャリアまたは希釈剤とを含む、血中グルコースレベルを低下させるための医薬組成物が提供される。
【0036】
本発明のさらにさらなる態様によれば、スベリヒユのエタノール−水抽出物を含む組成物の治療効果的な量と、医薬的に許容され得るキャリアまたは希釈剤とを含む、血中グルコースレベルを低下させるための医薬組成物が提供される。
【0037】
本発明のさらにさらなる態様によれば、対象における高血糖関連疾患を処置する方法が提供され、この場合、この方法は、スベリヒユのエタノール−水抽出物を含む組成物の治療効果的な量をその必要性のある対象に投与し、それにより、対象における高血糖関連疾患を処置することを含む。
【0038】
本発明のさらにさらなる態様によれば、対象における高血糖関連疾患を処置する方法が提供され、この場合、この方法は、スベリヒユの極性画分抽出物を含む組成物の治療効果的な量をその必要性のある対象に投与し、それにより、対象における高血糖関連疾患を処置することを含む。
【0039】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、極性抽出物は血液中のグルコースレベルを低下させることができる。
【0040】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0〜0.45の範囲にRf値を有する。
【0041】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0〜0.32の範囲にRf値を有する。
【0042】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17〜0.41の範囲にRf値を有する。
【0043】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノールを使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0、0.31、0.34、0.36、0.39および0.45からなる群から選択されるRf値を有する。
【0044】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、スベリヒユの極性画分抽出物は、水を使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0のRf値を有する。
【0045】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノールを用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0、0.15、0.30および0.32からなる群から選択されるRf値を有する。
【0046】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノール:エタノール:水を1:1:1の比率で用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17、0.27、0.30、0.34、0.39および0.41からなる群から選択されるRf値を有する。
【0047】
本発明のさらにさらなる態様によれば、対象における高血糖関連疾患を処置する方法が提供され、この場合、この方法は、スベリヒユの非極性画分抽出物を含む組成物の治療効果的な量をその必要性のある対象に投与し、それにより、対象における高血糖関連疾患を処置することを含む。
【0048】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、スベリヒユの非極性画分抽出物はヒドロコロイドを含まない。
【0049】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、高血糖関連疾患は、糖尿病、クッシング病、クッシング症候群、摂食障害、損なわれたグルコース耐性、腎糸球体微小血管障害、びまん性糸球体硬化症、結節性糸球体硬化症、尿路感染症、急性腎盂腎炎、壊死性乳頭炎、気腫性腎盂腎炎、グリコーゲンネフローゼ(アルマンニ−エブシュタイン病変)、網膜症、非増殖性網膜症、毛細血管瘤、網膜浮腫滲出物、出血、増殖性網膜症、小血管の増殖、出血性線維症、網膜剥離、白内障、レンズの浸透圧変化による一過性の屈折異常、虹彩における血管の増殖による緑内障、網膜感染症、脳血管のアテローム硬化性疾患、神経障害、皮膚感染症、冠状動脈のアテローム性動脈硬化、心筋梗塞、末梢のアテローム性動脈硬化:四肢虚血、壊疽、増大した胎児死亡率、増大した感染感受性、および、遅れた創傷治癒からなる群から選択される。
【0050】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、非極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11〜0.89の範囲にRf値を有する。
【0051】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、非極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11〜0.88の範囲にRf値を有する。
【0052】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、非極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17〜0.91の範囲にRf値を有する。
【0053】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサンを使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.36、0.45、0.52、0.71および0.88からなる群から選択されるRf値を有する。
【0054】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、スベリヒユの非極性画分抽出物は、酢酸エチルを使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11、0.18、0.31、0.36、0.45、0.52および0.71からなる群から選択されるRf値を有する。
【0055】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサンを用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.3、0.32、0.41、0.47および0.89からなる群から選択されるRf値を有する。
【0056】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、スベリヒユの非極性画分抽出物は、酢酸エチルを用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.15、0.36、0.47、0.73および0.89からなる群から選択されるRf値を有する。
【0057】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサン:DCM:酢酸エチルを1:1:1の割合で用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17、0.30、0.36、0.41、0.68および0.91からなる群から選択されるRf値を有する。
【0058】
本発明のさらにさらなる態様によれば、血液中のグルコースレベルを調節するための作用物質を特定する方法が提供され、この場合、この方法は、(a)スベリヒユの抽出物を分画化し、それにより、複数の画分を得ること;および(b)血液中のグルコースレベルを調節することができる少なくとも1つの画分を前記複数の画分から特定し、それにより、血液中のグルコースレベルを調節するための作用物質を特定することを含む。
【0059】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、分画化は、極性が増大する溶媒グラジエントを用いて行われる。
【0060】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、工程(b)は、(i)腸を介したグルコース吸収および/または(ii)細胞内へのグルコース輸送に対する画分の影響を調べることによって行われる。
【0061】
本発明は、スベリヒユに由来する新規な組成物、および、血中グルコースレベルを調節するために該組成物を使用する方法を提供することによって、現在知られている形態の欠点に対処することに成功している。
【0062】
本明細書で使用される技術用語と科学用語はすべて、特に断らない限り、本発明の属する技術分野の当業者が共通して理解しているのと同じ意味を持っている。本明細書に記載されているのと類似の又は均等の方法と材料は本発明を実施又は試験するのに使用できるが、適切な方法と材料は以下に述べる。争いが生じた場合、定義を含めて本特許明細書が基準である。さらに、本明細書の材料、方法及び実施例は例示することだけを目的とし本発明を限定するものではない。
【0063】
図面の説明
本明細書では本発明を単に例示し図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の好ましい実施態様を例示考察することだけを目的としており、本発明の原理や概念の側面の最も有用でかつ容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示していることを強調するものである。この点について、本発明を基本的に理解するのに必要である以上に詳細に本発明の構造の詳細は示さないが、図面について行う説明によって本発明のいくつもの形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
【0064】
図1は血中グルコースレベルが試験開始時に300mg/dlを超えるインスリン非依存性糖尿病患者(図1a)、および、血中グルコースレベルが試験開始時に300mg/dl未満であるインスリン非依存性糖尿病患者(図1b)における血中グルコースレベルに対するスベリヒユ抽出物の影響を示すグラフである。
図2はMTTアッセイを使用して測定されたときの、HepG2細胞の生存性に対するスベリヒユ抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである;すべての測定を三連で行った。測定をスベリヒユの同じ抽出物に対して行った。
図3はMTTアッセイを使用して測定されたときの、HepG2およびTHP1の同時培養物の生存性に対するスベリヒユ抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである;細胞生存性を処理細胞および非処理細胞の吸収パーセントとして測定した。すべての測定を三連で行った。
図4はMTTアッセイを使用して測定されたときの、LPSにより刺激されたHepG2およびTHP1の同時培養物の生存性に対するスベリヒユ抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである。
図5はLDHアッセイを使用して測定されたときの、HepG2細胞からの総LDH放出(細胞を完全に破壊した後でのLDH濃度、培地中へのLDHの放出最大量)の百分率としてのLDH放出に対するスベリヒユ抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである;すべての測定を三連で行った。
図6はLDHアッセイを使用して測定されたときの、HepG2細胞およびTHP1細胞の同時培養物からのLDH放出の百分率に対するスベリヒユ抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである;すべての測定を三連で行った。
図7はLDHアッセイによる、LPS刺激されたHepG2およびTHP1の同時培養物からのLDH放出の百分率に対するスベリヒユ抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである。
図8はアルブミン分泌アッセイを使用して測定されたときの、HepG2細胞におけるアルブミン産生に対するスベリヒユ抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである;結果が、コントロールの非処置細胞からの総アルブミン分泌の百分率として示される。
図9はMDAアッセイを使用したときの、ヒツジ肝臓ホモジネートにおける10μMのFeSO4により誘導される脂質過酸化に対するスベリヒユのアルコール・水抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである(n=3);X軸は、10μMの硫酸鉄を含有する細胞ホモジネートの溶液における薬草抽出物の濃度を(mg/mlで)示す。すべての測定を三連で行った。
図10は時間の関数としての、ヒツジ腸を介するグルコース吸収に対するスベリヒユ抽出物の影響を示す線グラフである;p1およびp2は、同じ条件のもとで行われた2つの異なる実験である。
図11は酵母細胞におけるグルコース取り込みに対するスベリヒユ抽出物の影響を示す線グラフである。グラフは4つの別個の実験を示し、その平均値を示す。測定を植物抽出物添加後60分で行った。グルコース取り込みの増大(%で表される)が植物抽出物の増大する量の存在下で示されることに留意すること。
図12は活性成分を植物から精製するための段階毎の手順を例示する流れ図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
本発明は、血中グルコースレベルを調節するために使用することができるスベリヒユ由来の組成物に関する。具体的には、本発明の高血糖防止組成物は、高血糖関連疾患(例えば、II型糖尿病など)を処置することのために血中グルコースレベルを低下させるために使用することができる。本発明の低血糖防止組成物は、低血糖関連疾患(例えば、小島細胞過形成など)を処置することのために血中グルコースレベルを増大させるために使用することができる。
【0066】
本発明の原理および操作は、図面および添付された説明を参照してより良く理解することができる。
【0067】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明に示される細部または実施例によって例示される細部に限定されないことを理解しなければならない。本発明は、他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実施することができ、または様々な方法で実施される。また、本明細書中で用いられる表現および用語は説明のためであり、従って限定として見なされるべきではないことを理解しなければならない。
【0068】
II型糖尿病は慢性的な代謝性疾患であり、患者の健康、生活の質、および平均余命に対する大きな影響を有する。グルコース恒常性を改善するために不可欠ではあるが、生活様式管理対策(すなわち、運動、食事および体重管理)は不十分である場合があり、このことは従来の薬物治療(例えば、経口グルコース低下剤(すなわち、血糖低下剤)など)を多くの患者については必要にしている。
【0069】
しかしながら、現在利用可能な経口投与される抗糖尿病薬は、処置された患者の著しい割合でその有効性を失っており、また、加えて、処置には、通常、様々な有害な副作用、例えば、体重増加、低血糖、胃腸障害、肝臓毒性、高LDLコレステロールおよび大きな費用などが付随する。これらの理由のために、インスリンが、通常、最大経口送達投薬量で経口薬剤に加えられる。これらの理由のために、医学分野界は、II型糖尿病患者を処置するために使用することができる新しい高血糖防止作用物質を絶えず捜し求めている。
【0070】
スベリヒユは、Purslane、VerdolagaおよびPursleyとしてもまた知られており、広範囲の様々な病気に対する治療薬として、特に寄生虫感染および消化器系障害に対する治療薬として伝統的に使用されている。スベリヒユはまた、高血糖症に対する治療薬としても報告されている。(i)PCT国際特許出願公開00/00211は、血液中の糖レベルを低下させるためのスベリヒユ由来のヒドロコロイドの使用を教示する。(ii)EskanderおよびH.Won Jun(4)は、糖尿病の処置のために、エジプトの民間療法で使用される数多くの薬草(スベリヒユを含む)をスクリーニングして、それらの血糖低下効果および血中インスリン増加効果を確認した。水に懸濁された乾燥粉砕薬草からなる動物飼料として作製された粗薬草抽出物がアロキサン糖尿病ラットに投与された。EskanderおよびH.Won Jun(4)は、スベリヒユが、処置されたラットの血中グルコースレベルを低下させることにおいて効果的であることを示した。しかしながら、この動物飼料には、植物の固体粒子、ならびに、水抽出物が含まれたので、この活性を何らかの特定の植物成分に帰属することができなかった。
【0071】
本発明を実施に移しているとき、本発明者らは、スベリヒユのエタノール−水抽出物が、糖尿病被験者において血中グルコースレベルを生物学的に安全な様式で低下させるために効率よく使用され得ることを発見した。さらに本発明を実施に移しているとき、本発明者らは、スベリヒユから抽出された極性画分および非極性画分がこの高血糖防止作用に関係することを発見した。
【0072】
下記の実施例の節において例示されるように、様々な異常に高いグルコースレベル(すなわち、300mg/dl超または300mg/dl未満)を有するヒト糖尿病被験者に対するスベリヒユのエタノール−水抽出物の投与は被験者の血中グルコースレベルを正常にまで有意に低下させた(実施例の節の実施例2を参照のこと)。この抗糖尿病作用を媒介する活性な成分を単離する試みにおいて、この植物の逐次極性抽出が行われた(実施例の節の実施例1を参照のこと)。興味深いことに、スベリヒユ由来の極性成分および非極性成分の両方により、異なる作用機構によるものではあるが、血中グルコースレベルを低下させることを説明することができた。すなわち、スベリヒユ由来の極性抽出物が、細胞膜を介した細胞内へのグルコース輸送を増大させたが、非極性抽出物は腸のグルコース吸収を低下させた。
【0073】
従って、今回のこれらの発見は、スベリヒユ由来の非極性抽出物および極性抽出物が、(同じ植物のエタノール−水抽出物と同様に)、グルコース代謝の異なる段階に対して作用することを示している(本質的には、それぞれ、小腸を介したグルコース吸収の阻害、および、細胞へのグルコース輸送の促進)。このことから、血中グルコースレベルを低下させることにおけるそれらの個々の使用または混合使用が示唆される。
【0074】
本発明の組成物は、インビトロ細胞生存性アッセイ(すなわち、MTT)および細胞機能アッセイ(例えば、アルブミン分泌アッセイおよび乳酸デヒドロゲナーゼアッセイ、実施例3を参照のこと)によって明らかにされるように、生物学的に安全な様式で作用することが示された。このことは本発明の組成物の使用を臨床的に実行可能にしている。
【0075】
従って、本発明の1つの態様によれば、スベリヒユのエタノール−水抽出物を含む組成物が提供される。
【0076】
好ましくは、本発明のこの態様の組成物におけるエタノール−水の比率は80%−20%である。
【0077】
本発明のこの態様の組成物は、細胞内へのグルコース輸送を増大させ、および/または、腸を介したグルコース吸収を低下させることによって血液中のグルコースレベルを低下させることができる。
【0078】
上記で述べられたように、本発明者らは、活性な成分(すなわち、血中グルコースレベルを低下させることができる活性な成分)をスベリヒユから単離することができた。
【0079】
従って、本発明の別の態様によれば、スベリヒユの組織(例えば、葉、茎、根または植物全体)の極性画分抽出物を含む組成物が提供される。
【0080】
本明細書中で使用される表現「スベリヒユの組織」は、完全なスベリヒユ植物またはその一部分(例えば、葉、根、茎および滲出物など)を示す。
【0081】
本明細書中で使用される「極性画分抽出物」は、極性成分から構成され、かつ、極性溶媒(例えば、アルコールなど)を使用して得られるスベリヒユ抽出物を示す。本発明のスベリヒユ抽出物は、好ましくは、固体の植物粒子を含まない。
【0082】
用語「極性」は、双極子モーメントを形成する負極および正極を有する極性の官能基を有する化合物(例えば、アミド、酸、アルコール、ケトン、アルデヒド、アミン)を示す。極性画分抽出物には、植物組織の表面に見出される化合物(すなわち、滲出物)、または、植物組織内ではあるが、植物細胞(アポプラスト)の外側に見出される化合物、または、植物の細胞の内部に見出される化合物(細胞質性、液胞性またはオルガネラ捕捉)が含まれ得る。
【0083】
極性画分抽出のために好適な溶媒の例には、水およびアルコール(例えば、メタノール、エタノールおよびイソプロピルアルコールなど)が含まれるが、これらに限定されない。植物組織全体を、組織の破壊を必要とすることなく、そのような溶媒に浸すことができる。だが、組織のそのような物理的操作は、極性成分の抽出を実質的に改善するので好ましい。本発明とともに利用され得る組織破壊技術の例には、凍結組織の粉砕、および、ホモジナイザーを使用する均質化が含まれる。植物組織の抽出を改善するための他の前処理方法が下記に記載される。
【0084】
下記の実施例の節において例示されるように、本発明の教示に従って得られる極性画分抽出物は血液中のグルコースレベルを正常なレベル[すなわち、115mg/dl未満の正常な空腹時血中(すなわち、血漿)グルコースレベル]に低下させることができる。実施例の節の実施例4において例示されるように、極性抽出物に対して行われた分析では、極性抽出物は、細胞内へのグルコース輸送を増大させることができる成分を含むことが明らかにされた。
【0085】
本発明のこの態様の組成物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒混合物を使用するアルミニウムシート上でのシリカゲル60F254[20×20cm(Merck KGaA、Darmstadt、ドイツ)]での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、保持因子(Rf、溶媒先端が移動した距離によって除される、化合物が移動した距離)の値が0.0〜0.50の範囲(より好ましくは0.0〜0.45の範囲、さらに一層より好ましくは0.0〜0.32の範囲、なおさらに一層より好ましくは0.17〜0.41の範囲)にある成分を含む。
【0086】
スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノールを使用してソックスレー抽出によって抽出することができ(下記の実施例1を参照のこと)、そのような場合、極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0、0.31、0.34、0.36、0.39および0.45のRf値を有する成分を含む。
【0087】
本発明のスベリヒユの極性画分抽出物は、水を使用してソックスレー抽出によって抽出することができ、そのような場合、極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0のRf値を有する成分を含む。
【0088】
本発明のスベリヒユの極性画分抽出物は、メタノールを用いて抽出することができ、そのような場合、極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0、0.15、0.30および0.32のRf値を有する成分を含む。
【0089】
最後に、スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノール:エタノール:水を1:1:1の比率で用いて抽出することができ、そのような場合、極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17、0.27、0.30、0.34、0.39および0.41のRf値を有する成分を含む。
【0090】
下記の実施例の節の実施例1において示されるように、スベリヒユから得られる非極性抽出物は小腸からのグルコース吸収を低下させることができ、そのため、血液中のグルコース濃度を低下させるために使用することができる。
【0091】
従って、本発明のさらに別の態様によれば、スベリヒユの非極性画分抽出物を含む組成物が提供される。
【0092】
本明細書中で使用される「非極性画分抽出物」は、非極性成分から構成され、かつ、非極性溶媒を使用して得られるスベリヒユ抽出物を示す。
【0093】
用語「非極性」は、正極または負極が形成されないように電荷の分離を有しない非極性の官能基(例えば、アルキル、シアノ、エステルおよび他の非イオン性基)を有する化合物を示す。非極性成分を抽出するために使用され得る非極性溶媒の例には、ヘキサン、シクロヘキサン、酢酸エチルおよびトルエンが含まれるが、これらに限定されない。
【0094】
非極性画分抽出物には、植物組織の表面に見出される化合物(すなわち、滲出物)、または、植物組織内ではあるが、植物細胞(アポプラスト)の外側に見出される化合物、または、植物の細胞の内部に見出される化合物(細胞質性、液胞性またはオルガネラ捕捉)が含まれ得る。
【0095】
本発明のこの態様の非極性画分抽出物は、血液中のグルコースレベルを好ましくは正常なレベル[例えば、少なくとも75mg/dl]に低下させることができ、このことは、高血糖防止作用物質(すなわち、血中糖レベルを低下させることができる作用物質)としてのその使用を示唆している。下記の実施例の節の実施例1において例示されるように、本発明の非極性画分抽出物は、小腸を介したグルコース吸収を低下させ、そのため、高血糖防止作用物質として使用することができる。
【0096】
本発明のこの態様の組成物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用するアルミニウムプレート上でのシリカゲル60F254[20×20cm(製造:Merck KGaA、Darmstadt、ドイツ)]での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、Rf値が0.11〜0.95の範囲(より好ましくは0.11〜0.89の範囲、さらに一層より好ましくは0.11〜0.88の範囲、なおさらに一層より好ましくは0.17〜0.91の範囲)にある成分を含む。
【0097】
好ましくは、スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサンを使用してソックスレー抽出(下記参照)によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.36、0.45、0.52、0.71または0.88のRf値を有する成分を含む。
【0098】
本発明のスベリヒユの非極性画分抽出物は、酢酸エチルを使用してソックスレー抽出によって抽出することができ、そのような場合、非極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11、0.18、0.31、0.36、0.45、0.52または0.71のRf値を有する成分を含む。
【0099】
本発明のスベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサンを用いて抽出することができ、そのよう場合、非極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.3、0.32、0.41、0.47または0.89のRf値を有する成分を含む。
【0100】
本発明のスベリヒユの非極性画分抽出物は、酢酸エチルを用いて抽出することができ、そのような場合、非極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.15、0.36、0.47、0.73または0.89のRf値を有する成分を含む。
【0101】
最後に、スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサン:ジクロロメタン(DCM):酢酸エチルを1:1:1の割合で用いて抽出することができ、そのような場合、非極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17、0.30、0.36、0.41、0.68または0.91のRf値を有する成分を含む。
【0102】
本発明の高血糖防止作用物質(すなわち、極性画分抽出物および非極性画分抽出物)は、好ましくは、ヒドロコロイド(水溶液においてゲルを形成する物質)を含まない。
【0103】
本発明の高血糖防止作用物質は、極性成分を植物から抽出することによってスベリヒユから単離することができる。
【0104】
活性な成分を植物から単離する様々な方法がこの分野では広く知られている。植物材料からの活性な成分の一般的な単離手順が図12の流れ図に記載される[Wink(1999)、Function of Plant Secondary Metabolites and their Exploitation in Biotechnology(CRC Press)もまた参照のこと]。
【0105】
典型的には、目的とする植物組織が得られる。植物のオルガネラもまた、極性成分の供給源として使用され得ることが理解される。例えば、植物の液胞を、極性成分を抽出するために使用することができる。植物のプロトプラストを液胞の供給源として単離する様々な方法がこの分野では広く知られている[例えば、Guy,M.他、Plant Physiol.、64:61〜64(1979)を参照のこと]。
【0106】
このようにして得られた植物組織は新鮮物または乾燥物であり得る。好ましくは、乾燥物が、さらなる大規模抽出を簡略化するために使用される。従って、植物組織は、使用前のその貯蔵を長くすることができる、乾燥(実施例の節の実施例1もまた参照のこと)および粉砕などの前処理に供することができる。
【0107】
植物材料は、その後、本明細書中に記載される極性成分(有効成分)を単離するために抽出に供される。
【0108】
本明細書中で使用される用語「抽出」は、極性溶媒対非極性溶媒における溶解性などの特徴における化学的および/または物理的な差に基づいて混合物を分離する手法を示す。数多くの抽出手法がこの分野では知られている。
【0109】
本発明のこの態様によるスベリヒユからの極性画分の抽出は、好ましくは、極性が増大する溶媒を順次使用して行われる。本質的には、乾燥させた植物材料が、別個の溶媒(例えば、ヘキサン、その後、酢酸エチルおよびクロロホルム)によって、あるいは、そのような溶媒の混合物を使用することによって非極性抽出に供される。その後、同じ植物材料は極性抽出に供される。そのような逐次抽出工程は、活性な成分を単離する分離度を改善する。
【0110】
例えば、極性が増大する溶媒グラジエント(例えば、ヘキサン、ジクロロメタン(DCM)、エタノールおよび水)を用いることによって行われる極性成分のソックスレー抽出が下記の実施例の節の実施例1に示される。この方法は、好ましくは、熱安定性の化合物に関して使用される。
【0111】
その後、活性な成分(例えば、極性成分)が、この分野で広く知られている精製方法を使用して抽出物から精製される。例えば、抽出物を、極性が増大する溶媒を用いてシリカゲル(TLC、薄層クロマトグラフィー)プレートで分離することができる。サンプルは、好ましくは、プレートに直ちに付けられ、酸化を最小限に抑えるために間を置かずに処理される。だが、抽出物の乾燥もまた行うことができる(下記の実施例の節の実施例1を参照のこと)。活性な成分がUV光のもとで可視化される。可視化はまた、プレートに発色剤(例えば、リンモリブデン酸のエタノール溶液)を噴霧し、加熱して色の変化を生じさせることによって行うことができる。このTLC法は効率的であり、迅速であり、かつ、感度および簡便性と低コストとを併せ持つ。
【0112】
粉末化された植物材料からの活性な成分の効率的な抽出はまた、促進溶媒抽出(ASE)によって、すなわち、高い温度および圧力での高められた可溶化速度論を利用する手法[Obana Analyst.(1997)、122(3):217〜20]によって行うことができる。
【0113】
活性な成分は、様々な生物学的アッセイを使用して定量することができる。好適な生物学的読み取りの選択は活性な成分の所望する機能に依存する。従って、血中グルコースレベルを調節する化合物を特定するために、実施例4に記載されるアッセイのいずれかを使用することができる。有効成分が、本明細書中下記においてさらに記載されるようなケモインフォマティクスを使用して化学的に特定される。
【0114】
例えば、UVフォトダイオードアレイ検出器に連結されたHPLC(LC/DAD−UV)および質量分析法に連結されたHPLC(LC/MSまたはLC/MS/MS)は、単離前の抽出物における活性な成分についての構造的情報を提供することができる[Outtara、Phytochemistry(2004)、65(8):1145〜51を参照のこと]。ハイフンで結ばれた技術(例えば、LC/UV、LC/MSおよびLC/MS/NMR[Mazza、J AOAC Int.2004(Jan−Feb)、87(1):129〜45;Wolfender、J Chromatogr A.、2003(Jun 6)、1000(1−2):437〜55]など)を使用する化学的スクリーニングは、微量の植物材料を用いて、既知の植物成分の構造的情報を提供することができる。このことは、粗植物抽出物から直接、新規な化合物と、既知の化合物とを区別することを可能にする。
【0115】
あるいは、所望の活性(例えば、高血糖防止活性)をバイオアッセイ(例えば、小腸を介するグルコース輸送)で示す植物抽出物を、LC/UV/MSを使用する分析によって化学的にスクリーニングすることができる。分離を、広いアセトニトリルグラジエントまたはメタノールグラジエントを用いた逆相RP−C18カラムで行うことができる。UVスペクトルが記録され、分子量情報が、サーモスプレー、連続流高速原子衝撃、大気圧化学的イオン化またはエレクトロスプレーイオン化を用いたMSによって得られる。フラグメントの情報がタンデムMS/MS実験または多段MSn実験によって得られ、一方で、LC/NMRが、化合物の正体を確認するために使用される。
【0116】
一体化された、情報が多い検出システム(例えば、クロマトグラフィー−紫外−核磁気共鳴−質量分析(LC−UV−NMR−MS)など)、ならびに、他のゲノミクス法およびプロテオミクス法を、植物由来の目的とする活性な成分を特定するために使用することができる。
【0117】
植物(すなわち、スベリヒユ)からの非極性成分の単離を、上記で記載された方法を使用して行うことができ、非極性溶媒は、非極性成分を抽出する最初の工程で使用されるだけである。
【0118】
本明細書中上記で述べられたように、本発明の高血糖防止作用物質(すなわち、極性抽出物、非極性抽出物、エタノール−水抽出物)を、血液中のグルコースレベルを調節するために使用することができる。
【0119】
従って、本発明では、対象における高血糖関連疾患を処置する方法が意図される。
【0120】
本明細書中で使用される表現「高血糖関連疾患」は、その発症および/または進行について高血糖症に依存する疾患を示す。本明細書中で使用される用語「高血糖(症)」は、血液中の異常に高いグルコース濃度(すなわち、115mg/dlを超える)を示す。高血糖に関係づけられる疾患および障害の例には、糖尿病、クッシング病、クッシング症候群、摂食障害(例えば、神経性食欲不振、食欲不振、過食症)、損なわれたグルコース耐性(IGT)、腎糸球体微小血管障害、びまん性糸球体硬化症、結節性糸球体硬化症(キンメルスティール−ウィルソン病)、尿路感染症、急性腎盂腎炎、壊死性乳頭炎、気腫性腎盂腎炎、グリコーゲンネフローゼ(アルマンニ−エブシュタイン病変)、網膜症、非増殖性網膜症、毛細血管瘤、網膜浮腫滲出物、出血、増殖性網膜症、小血管の増殖、出血性線維症、網膜剥離、白内障、レンズの浸透圧変化による一過性の屈折異常、虹彩における血管の増殖による緑内障、網膜感染症、脳血管のアテローム硬化性疾患(卒中)、末梢神経障害(末梢の感覚神経および運動神経、頭蓋神経、自律神経)、皮膚感染症(カルブンケルを生じさせる毛包炎)、糖尿病性リポイド類壊死症(微小血管障害に起因する)、黄色腫(高脂血症に対して二次的)、冠状動脈のアテローム性動脈硬化(心筋梗塞)、末梢のアテローム性動脈硬化(四肢虚血)、壊疽、増大した胎児死亡率(胎盤疾患、新生児呼吸窮迫症候群、感染症)、増大した感染感受性、および、遅れた創傷治癒が含まれるが、これらに限定されない。
【0121】
本明細書中で使用される用語「処置する」は、本発明の疾患の有害な影響を防止すること、治療すること、逆転させること、弱めること、緩和すること、最小限に抑えること、抑制すること、または停止させることを示す。
【0122】
本明細書中で使用される用語「その必要のある対象」は、本発明の疾患に罹患しているか、または、本発明の疾患に罹りやすい哺乳動物対象(例えば、ヒト)を示す。
【0123】
本発明のこの態様による方法は、対象(本明細書中下記においてさらに記載される)に治療効果的な量の本発明の組成物(すなわち、上記に記載されるスベリヒユの極性抽出物、非極性抽出物またはエタノール−水抽出物)を投与し、それにより、対象における高血糖関連疾患を処置することによって行われる。本発明の組成物のそれぞれ(すなわち、極性抽出物および非極性抽出物)がグルコース代謝の異なる段階、および、そのようなものとして、グルコース代謝の補体阻害を阻害するように作用するので、その混合投与が、治療効力を改善するために好ましいことが理解される。従って、これらの組成物は対象に同時に(一緒に)、または連続して投与することができる。
【0124】
本発明の組成物(すなわち、高血糖防止作用物質)は、対象に、それ自体で、または、組成物が医薬的に許容され得るキャリアと混合される医薬組成物の一部として投与することができる。
【0125】
本明細書中で使用される「医薬組成物」は、本明細書中に記載される有効成分の1つまたは複数と、他の化学的成分(例えば、生理学的に好適なキャリアおよび賦形剤)との調製物を示す。医薬組成物の目的は、生物に対する化合物の投与を容易にすることである。
【0126】
本明細書中において、用語「有効成分(活性成分)」は、生物学的効果を説明することができる調製物を示す。
【0127】
以降、表現「生理学的に許容され得るキャリア」および表現「医薬的に許容され得るキャリア」は交換可能に使用することができ、生物に対する著しい刺激を生じさせず、かつ、投与された調合物の生物学的活性および生物学的性質を阻害しないキャリアまたは希釈剤を示す。佐剤がこれらの表現に含まれる。医薬的に許容され得るキャリアに含まれる成分の1つが、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、すなわち、有機媒体および水性媒体の両方において広範囲の溶解性を有する生体適合性ポリマーであり得る(Mutter et al.(1979))。
【0128】
本明細書中において、用語「賦形剤」は、有効成分の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される不活性な物質を示す。賦形剤の非限定的な例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖およびタイプのデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油およびポリエチレングリコールが含まれる。
【0129】
薬物の配合および投与のための様々な技術が“Remington’s Pharmaceutical Sciences”(Mack Publishing Co.、Easton、PA、最新版)(これは参考として本明細書中に組み込まれる)に見出され得る。
【0130】
好適な投与経路には、例えば、局所的送達、膣内送達、経尿道送達、経口送達、直腸送達、経粘膜送達、経皮送達(特に経鼻送達)、腸管送達または非経口送達(これには、筋肉内注射、皮下注射および髄内注射、ならびに、クモ膜下注射、直接的な脳室内注射、静脈内注射、腹腔内注射、鼻内注射または眼内注射が含まれる)が含まれ得る。あるいは、例えば患者の身体の特定領域中への調製物の直接注射によって調製物を系統的な方法によりむしろ局所的な方法で投与してもよい。
【0131】
本発明の医薬組成物は、この分野で十分に知られている様々なプロセスによって、例えば、混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、研和、乳化、カプセル化、包括化または凍結乾燥の従来のプロセスによって製造することができる。
【0132】
本発明に従って使用するための医薬組成物は有効成分を医薬として使用可能な製剤にする加工を容易にする賦形剤及び補助剤を含む一つ以上の医薬的に許容され得るキャリアを使用して従来のように配合されてもよい。適切な配合は選択された投与経路に依存する。
【0133】
注射の場合、本発明の活性成分は、水溶液において、好ましくは生理学的に適合し得る緩衝液(例えば、ハンクス溶液、リンゲル溶液、または生理学的な生理的食塩水緩衝液など)において配合することができる。経粘膜投与の場合、浸透剤が配合において使用される。そのような浸透剤はこの分野では一般に知られている。好ましくは、本発明の化合物は経口的に投与される。経口投与の場合、化合物は、活性な化合物を、この分野で十分に知られている薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせることによって容易に配合することができる。そのようなキャリアにより、本発明の化合物は、患者によって経口摂取される錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、スラリー剤、懸濁物などとして配合することが可能になる。経口使用される薬学的調製物は、錠剤または糖衣錠コアを得るために、固体の賦形剤を使用し、得られた混合物を場合により粉砕し、そして所望する場合には好適な補助剤を添加した後、顆粒の混合物を加工して作製することができる。好適な賦形剤は、具体的には、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖などの充填剤;セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボメチルセルロースなど;および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などの生理学的に受容可能なポリマーである。所望する場合には、架橋型ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩(アルギン酸ナトリウムなど)などの崩壊剤を加えることができる。
【0134】
糖衣錠コアには、好適なコーティングが施される。この目的のために、高濃度の糖溶液を使用することができ、この場合、糖溶液は、場合により、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液および好適な有機溶媒または溶媒混合物を含有し得る。色素または顔料が、活性な化合物の量を明らかにするために、または活性な化合物の量の種々の組合せを特徴づけるために、錠剤または糖衣錠コーティングに添加され得る。
【0135】
経口使用され得る医薬組成物には、ゼラチンから作製されたプッシュ・フィット型カプセル、ならびにゼラチンおよび可塑剤(グリセロールまたはソルビトールなど)から作製された軟密閉カプセルが含まれる。プッシュ・フィット型カプセルは、充填剤(ラクトースなど)、結合剤(デンプンなど)、滑剤(タルクまたはステアリン酸マグネシウムなど)および場合により安定化剤と混合された有効成分を含有し得る。軟カプセルでは、活性な化合物を好適な液体(脂肪油、流動パラフィンまたは液状のポリエチレングリコールなど)に溶解または懸濁させることができる。さらに、安定化剤を加えることができる。経口投与される配合物はすべて、選ばれた投与経路に好適な投薬形態でなければならない。
【0136】
口内投与の場合、組成物は、従来の様式で配合された錠剤またはトローチの形態を取ることができる。
【0137】
鼻腔吸入による投与の場合、本発明に従って使用される有効成分は、好適な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタンまたは二酸化炭素)の使用により加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレー提示物の形態で都合よく送達される。加圧されたエアロゾルの場合、投薬量単位は、計量された量を送達するためのバルブを提供することによって決定され得る。吸入器または吹き入れ器で使用される、例えば、ゼラチン製のカプセルおよびカートリッジで、化合物と好適な粉末基剤(ラクトースまたはデンプンなど)との粉末混合物を含有するカプセルおよびカートリッジを配合することができる。
【0138】
本明細書で記述される調製物は非経口投与、例えばボーラス注射または連続点滴のために配合されることができる。注射のための配合は、単位用量形態(例えばアンプルまたは多用量コンテナ)で提供されることができ、これらには所望により保存剤が添加されている。組成物は懸濁物、溶液または油性もしくは水性ビヒクル中のエマルションであることができ、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤の如き配合剤を含むことができる。
【0139】
非経口投与される医薬組成物には、水溶性形態における活性な調製物の水溶液が含まれる。さらに、活性な化合物の懸濁物を、適切なオイル状のまたは水ベースの注射用懸濁物として調製することができる。好適な親油性の溶媒またはビヒクルには、脂肪油(ゴマ油など)、または合成脂肪酸エステル(オレイン酸エチルなど)、トリグリセリドまたはリポソームが含まれる。水性の注射用懸濁物は、懸濁物の粘度を増大させる物質、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールまたはデキストランなどを含有し得る。場合により、懸濁物はまた、高濃度の溶液の調製を可能にするために化合物の溶解性を増大させる好適な安定化剤または薬剤を含有し得る。
【0140】
あるいは、有効成分は、使用前に好適なビヒクル(例えば、滅菌されたパイロジェン非含有水)を用いて構成される粉末形態にする。
【0141】
本発明の調製物はまた、例えば、カカオ脂または他のグリセリドなどの従来の座薬基剤を使用して、座薬または停留浣腸剤などの直腸用組成物に配合することができる。
【0142】
本発明に関連した使用のために好適な医薬組成物には、有効成分が、意図された目的を達成するために効果的な量で含有される組成物が含まれる。より具体的には、治療効果がある量は、処置されている対象の疾患の症状を防止、軽減または改善するために、あるいは、処置されている対象の生存を延ばすために効果的な有効成分の量を意味する。
【0143】
治療効果がある量の決定は十分に当業者の範囲内である。
【0144】
本発明の方法に使用される調製物に対して、治療的に有効な量又は用量は最初にインビトロ分析から分析されることができる。例えば、用量は動物モデルで配合されることができ、かかる情報は人間に有用な用量をより正確に決定するために使用されることができる。
【0145】
本明細書中に記載される有効成分の毒性および治療効力は、インビトロ、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手法によって明らかにすることができる。これらのインビトロアッセイおよび細胞培養アッセイならびに動物研究から得られたデータは、ヒトへの使用のための投薬量範囲を定める際に使用することができる。投薬量は、用いられる投薬形態物および利用される投与経路に依存して変化し得る。正確な配合、投与経路および投薬量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選ぶことができる(例えば、Fingl他、1975、“The Pharmacological Basis of Therapeutics”(第1章、1頁)を参照のこと)。
【0146】
処置される状態の重篤度および応答性に依存して、投薬は単回投与または多回投与が可能であり、処置の経過が、数日から数週間まで、あるいは、治癒が達成されるまで、または、疾患状態の縮小が達成されるまで続く。
【0147】
投与される組成物の量は、当然のことではあるが、処置されている対象、苦痛の重篤度、投与様式、主治医の判断などに依存する。
【0148】
適合し得る医薬用キャリアに配合された本発明の調製物を含む医薬組成物はまた、適応状態の処置のために調製し、適切な容器に入れ、表示することができる。
【0149】
本発明の医薬組成物は、所望される場合には、活性成分を含有する一つ以上の単位投薬形態物を含有し得る、FDA承認キットなどのパックまたはディスペンサーデバイスで提供され得る。パックは、例えば、金属箔またはプラスチック箔を含むことができ、例えば、ブリスターパックなどである。パックまたはディスペンサーデバイスには、投与のための説明書が添付され得る。パックまたはディスペンサーにはまた、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府当局により定められた形式で容器に付けられた通知が伴い得る。この場合、そのような通知は、組成物の形態またはヒトもしくは動物への投与の当局による承認を反映する。そのような通知は、例えば、処方薬物についての米国食品医薬品局により承認されたラベル書きであり得るか、または承認された製品添付文書であり得る。
【0150】
本発明の上記の治療法は、この分野で知られている他の処置様式と併用され得ることが理解される。例えば、本発明の高血糖防止作用物質は、糖尿病を処置する方法において様々な天然物質または合成物質と組み合わせることができる。そのような物質の例には、ギムネマ・シルベスタ、フェヌグリーク、ニガウリ、α−リポ酸、バナナ葉、ヤコウ(yacou)根、ツルレイシ、オリーブ葉抽出物、プテロカルプス・マルスピウム、サラシア・レチクラータ(salacia reticulate)、ニンニク、サンザシ、コロソール酸、ウルソール酸、D−ピニトール、アロエ・ベラ、ピコリン酸クロム、ホスファチジルコリン、ω−3脂肪酸、レジスタントデンプン、ニチニチソウ(catharanthus roseus)、カシューナットノキ(anacardium occidentale)、ムラサキフトモモ(syzygium cumini)、ユーカリ(eucalyptus globules)、シロバナハウチワマメ(lupinus albus)、タマネギ、ニンニク、キンレイジュ(tecoma stans)、セイヨウイラクサ(urtica dioica)、セイヨウタンポポ(taraxacum officinale)、オオヒメクグ(kyllinga monocephala)、アンマロク(phyllanthus emblica)、キダチミカンソウ(phyllanthus niruri)、インドセンダン(azadirachta indica)、モルブス・アルバ(morbus alba)、ポテリウム・アンシストロイデス(poterium ancistroides)、ニンジン(daucus carota)、インスリン、ならびに、他の経口投与される薬剤、例えば、スルホニルウレア剤、ビグアニド剤、α−グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジンジオン剤およびメグリトニド剤などが含まれるが、これらに限定されない。糖尿病を処置する方法において使用される物質のこれらの組合せは、それぞれの成分(すなわち、スベリヒユ抽出物、および、スベリヒユ抽出物が投与のために組み合わせられる物質)に起因すると考えられる利益をもたらす。
【0151】
本発明の組成物はまた、栄養学的添加物として、例えば、スポーツ栄養補給を改善するためなどの栄養学的添加物として使用され得ることが理解される。それによれば、本発明の組成物は単独で使用することができ、あるいは、下記の天然に存在する(例えば、植物由来の)物質または化学化合物のいずれか1つの効果的な用量と組み合わせることができる:クレアチン、クレアチン一水和物、クレアチン塩(例えば、クエン酸クレアチン、ピルビン酸クレアチンなど)、クレアチン誘導体およびその塩、ホスホクレアチン、カフェイン、α−リポ酸、グルコサミン、コンドロイチン、加水分解コラーゲン、メチルスルホニル−メタン、乳清タンパク質、L−グルタミン、ホスファチジルコリン、コリン、コリン塩、ホスファチジルセリン、β−ヒドロキシ−β−メチルブチラート、ピルバート、L−カルニチン、D−リボース、アミノ酸(通常型アミノ酸)、分岐鎖アミノ酸、S−アデノシルメチオニン、タウリン、共役リノール酸、α−リポ酸、α−リポ酸塩、ならびにグリセリン。様々な化合物の塩を参照することにおいて、本発明では、化合物および任意の好適な塩形成対イオン(例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ハロゲンイオン、有機カチオン、有機イオン、錯イオン、および、この分野で知られている任意の他の対イオンなど)が意図される。
【0152】
本発明の組成物はまた、体重を調節するために(すなわち、体重管理のために)使用され得ることがさらに理解される。この場合、効果的な用量の本発明の組成物が下記の天然に存在する物質(例えば、植物由来の物質)または化学化合物のいずれか1つの効果的な用量と組み合わせられる:ピルビン酸、L−カルニチン、ヒドロキシクエン酸、エフェドリン、カフェインおよび共役リノール酸(CLA)。栄養補給(例えば、スポーツ栄養補給など)を改善するための方法において使用される物質のこれらの組合せはまた、それぞれの成分(すなわち、スベリヒユ抽出物、および、スベリヒユ抽出物が投与のために組み合わせられる物質)に起因すると考えられる利益をもたらす。
【0153】
本発明の組成物は治療用キットまたは栄養補給キットに包装することができる。
【0154】
例えば、本発明の組成物は、適切な緩衝剤および保存剤とともに1つまたは複数の容器に詰めることができ、また、治療的処置を導くために使用することができる。
【0155】
従って、組成物(例えば、スベリヒユのエタノール−水画分抽出物、極性画分抽出物および非極性画分抽出物)を1つの容器において混合することができ、または、個々の容器に入れることができる。好ましくは、容器はラベルを含む。好適な容器には、例えば、ビン、バイアル、シリンジおよび試験管が含まれる。容器は、様々な材料から、例えば、ガラスまたはプラスチックなどから形成され得る。
【0156】
加えて、他の添加剤(例えば、安定化剤、緩衝剤および阻止剤など)もまた加えることができる。
【0157】
キットはまた、検査された対象が、異常な血中グルコースレベルに関連する状態、障害または疾患に罹患しているかどうか、あるいは、異常な血中グルコースレベルに関連する状態、障害または疾患を発症する危険性があるかどうかを明らかにするための説明書を含むことができる。
【0158】
本発明の追加の目的、利点及び新規な特徴は、下記実施例を考察すれば、当業技術者には明らかになるであろう。なおこれら実施例は本発明を限定するものではない。さらに、先に詳述されかつ本願の特許請求の範囲の項に特許請求されている本発明の各種実施態様と側面は各々、下記実施例の実験によって支持されている。
【実施例】
【0159】
上記説明とともに、以下の実施例を参照して本発明を例示する。なおこれら実施例によって本発明は限定されない。
【0160】
本願で使用される用語と、本発明で利用される実験方法には、分子生化学、微生物学及び組み換えDNAの技法が広く含まれている。これらの技法は文献に詳細に説明されている[例えば以下の諸文献を参照されたい。「Molecular Cloning:A laboratory Manual」Sambrookら1989年;Ausubel, R.M.編1994年「Current Protocols in Molecular Biology」I〜III巻;Ausubelら著1989年「Current Protocols in Molecular Biology」John Wiley and Sons,米国メリーランド州バルチモア;Perbal著「A Practical Guide to Molecular Cloning」John Wiley & Sons,米国ニューヨーク1988年;Watsonら、「Recombinant DNA」Scientific American Books、米国ニューヨーク;Birrenら編「Genome Analysis:A Laboratory Manual Series」1〜4巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press、米国ニューヨーク1998年;米国特許の4666828号、4683202号、4801531号、5192659号及び5272057号に記載される方法;Cellis, J.E.編「Cell Biology:A Laboratory Handbook」I〜III巻1994年;Coligan, J.E.編「Current Protocols in Immunology」I〜III巻1994年;Stitesら編「Basic and Clinical Immunology」(第8版)、Appleton & Lange、米国コネティカット州ノーウォーク1994年;MishellとShiigi編「Selected Methods in Cellular Immunology」、W.H. Freeman and Co.、米国ニューヨーク1980年;また利用可能な免疫検定法は、例えば以下の特許と科学文献に広範囲にわたって記載されている。米国特許の3791932号、3839153号、3850752号、3850578号、3853987号、3867517号、3879262号、3901654号、3935074号、3984533号、3996345号、4034074号、4098876号、4879219号、5011771号及び5281521号;Gait,M.J.編「Oligonucleotide Synthesis」1984年;Hames, B.D.及びHiggins S.J.編「Nucleic Acid Hybridization」1985年;Hames,B.D.及びHiggins S.J.編「Transcription and Translation」1984年;Freshney, R.I.編「Animal Cell Culture」1986年;「Immobilized Cells and Enzymes」IRL Press 1986年;Perbal, B.著「A Practical Guide to Molecular Cloning」1984年及び「Methods in Enzymology」1〜317巻、Academic Press;「PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications」、Academic Press、米国カリフォルニア州サンディエゴ1990年;Marshakら、「Strategies for Protein Purification and Characterization−A Laboratory Course Manual」、CSHL Press、1996年;なおこれらの文献類は、あたかも本願に完全に記載されているように援用するものである]。その外の一般的な文献は、本明細書を通じて提供される。本明細書に記載の方法は当業技術界で周知であると考えられ、読者の便宜のために提供される。本明細書に含まれるすべての情報は本願に援用するものである。
【0161】
実施例1
スベリヒユ(Portulaca oleracea L.)由来の生物活性成分の精製、単離および特定
最初の実験では、スベリヒユの抽出を、非極性から極性まで変化する溶媒を使用して段階的に行った。2つの主要な予備的手法を開発し、効力について比較した。それにより得られた結果を、その後、標準的な抽出手順の開発において利用した。
【0162】
実施例1a
反復ソックスレー抽出
実験手順
材料。溶媒をFrutarom Ltd.(Haifa、イスラエル)またはJ.T.Baker(Deventer、オランダ)から購入し、溶媒は、別途指定されない限り、分析規格であった。D−グルコース一水和物をRiedel−de Haen(Seelze、ドイツ)から購入した。さらなる研究用化学薬品をSigma−Aldrich(Milwaukee、米国)から購入した。
【0163】
ソックスレー抽出。20gの乾燥スベリヒユ粉砕物を標準的なソックスレー抽出用円筒ろ紙に入れ、粉砕物を、下記においてさらに記載されるように250mlの溶媒を用いて抽出した。抽出を5回行い、それぞれ、極性が増大する下記の5つの異なる溶媒の1つを使用した:ヘキサン、酢酸エチル、ジクロロメタン(DCM)、メタノールおよび水。抽出を溶媒の還流下で完全な2サイクルにわたって続けた(すなわち、2回、円筒ろ紙を溶媒で満たし、空にした)。抽出後、溶媒を真空ロタベイパーでエバポレーションし、乾燥した抽出物を集め、重量測定した。残留する植物材料を65℃において乾燥器で乾燥し、その後、さらに抽出した。乾燥抽出物を集め、薄層クロマトグラフィーによって分析した[(TLC)、シリカプレート、アルミニウム上でのシリカゲル60F254、ジクロロメタン(DCM)−ヘキサン−メタノール(1:1:0.2)にて]。TLCプレートを、UVによって、また、IPAにおける5%リンモリブデン酸による染色によって可視化した。
【0164】
腸を介したグルコース吸収。下記の実施例4を参照のこと。
【0165】
細胞内へのグルコース輸送。実施例4を参照のこと。
【0166】
結果
抽出収量。下記の表1には、5つの溶媒のそれぞれを使用したスベリヒユの反復ソックスレー抽出の結果、ならびに残渣が示され、併せて、各抽出部の対応する重量(グラム単位)、植物材料の総量の抽出された百分率、および、物理的特徴に関する所見が列挙される。
【表1】
【0167】
TLC分析。下記の表2には、5つの反復ソックスレー抽出物のそれぞれのTLC分析の結果が列挙される。UVおよび/または染色によって視認され得るすべてのスポットがRf値として報告される。
【表2】
【0168】
得られたTLCパターンの分析では、最も強い強度のスポット(0.45および0.36)が、5つの画分のうちの4つで、ある程度現れたことが示された。これらのスポットの強度はDCM抽出物において最も強いようであった。だが、DCMは、TLCプレートに塗布する前に蒸発してしまっているかもしれない非常に揮発性の溶媒であり、それにより、より小さい、より濃縮されたスポットをもたらすので、このことは惑わせるかもしれない。このTLC分析で得られた分離は、多くの化合物が極性および非極性の両方の性質を有するようであり、従って、脂肪酸、ステロイドおよびアミンなどの分子については当てはまるように、両方の条件のもとで抽出され得ることを示していた。
【0169】
生物学的活性の分析。抽出物を、2つの標準的なバイオアッセイを使用して、すなわち、腸を介するグルコース吸収(この場合、腸を介するグルコースの吸収に対する抽出物の影響が、実施例4に記載されるように測定される)、および、細胞内へのグルコース輸送(この場合、血流から細胞内部へのグルコースの輸送に対する影響が、実施例4において同様に記載されるように測定される)を使用して生物学的活性について分析した。下記の表3には、5つの抽出物のそれぞれのバイオアッセイの結果が列挙される。
【表3】
【0170】
実施例1b
室温(RT)法によるスベリヒユ活性成分の抽出
材料および実験手順
RT抽出。100grの乾燥スベリヒユ粉砕物を1lの溶媒とともにガラスビーカーに入れ、RTで24時間(hr)撹拌した。抽出を、極性が増大する下記の5つの異なる溶媒の1つを使用して並行して5回行った:ヘキサン、酢酸エチル、DCM、メタノールおよび水。抽出後、植物材料をろ過して除き、ろ液の溶媒を真空ロタベイパーでエバポレーションし、乾燥した抽出物を集め、重量測定した。残留する植物材料を65℃において乾燥器で乾燥し、その後、さらに抽出した。乾燥抽出物を集め、実施例1aにおいて記載されたようにTLCによって分析した。
【0171】
腸を介したグルコース吸収。下記の実施例4を参照のこと。
【0172】
細胞内へのグルコース輸送。実施例4を参照のこと。
【0173】
結果
抽出収量。下記の表4には、5つの溶媒のそれぞれを使用したRT抽出の結果、ならびに残渣が示され、併せて、各抽出部の対応する重量(グラム単位)、植物材料の総量の抽出された百分率、および、物理的特徴に関する所見が列挙される。
【表4】
【0174】
TLC分析。表5には、5つのRT抽出物のそれぞれのTLC分析の結果が列挙される。UVおよび/または染色によって視認され得るすべてのスポットがRf値として報告される。
【表5】
【0175】
TLCパターンの分析では、明確な分離が、より高い領域(0.89〜0.47)におけるスポットと、より低い領域(0.30〜0.0)におけるスポットとの間で示された。非極性から極性への移行は、スポットが0〜1の全範囲全体に存在するソックスレー抽出における場合よりも顕著であるようであった。
【0176】
これらの結果は、非極性物質のほとんどがヘキサンによって除かれたこと、および、極性物質が、メタノールまたは水を使用して抽出されたことを示している。TLCプレートの中間領域における大きな画分は、極性および非極性の両方の特徴を有する分子の存在を示している。
【0177】
生物学的活性の分析。抽出物を、実施例4において同様に記載されるように、2つの標準的なバイオアッセイ(腸を介するグルコース吸収、および、細胞内へのグルコース輸送)を使用して生物学的活性について分析した。表6には、5つの抽出物のそれぞれのバイオアッセイの結果が列挙される。
【表6】
【0178】
実施例1c
反復ソックスレー抽出法およびRT抽出法の比較
これら2つの予備的な抽出法を下記の基準に基づいて比較した:抽出効率、すなわち、各溶媒を使用して抽出された植物材料の割合、および、溶媒における抽出された物質の濃度(g/mlの単位で);抽出の清浄度、すなわち、抽出時における材料の分解を示すTLCにおける筋の形成;TLCにより検出される両手順での各溶媒により抽出された物質;および、抽出物の生物活性。
【0179】
抽出効率。両方の抽出手法から得られた全データは類似しており(上記の表1〜表5を参照のこと)、また、一般的には、両手法の異なる溶媒が同一のTLCスポットを生じさせた。このことは、類似する成分がおそらくは抽出されたことを示している。反復ソックスレー抽出はRT抽出よりも大きい収量で物質をもたらした(極性溶媒を使用したときにはそれぞれ19%対12%、また、非極性溶媒を使用したときにはそれぞれ5%対1.2%)。このことが、ソックスレー抽出の方が効率が大きいこと、または、望ましくない植物物質の抽出を示しているかどうかは、現在、調査中である。
【0180】
抽出の清浄度。RT抽出は、TLCプレート上での筋のあるスポットおよび細長いスポット(これらは過度な加熱の結果としての分解産物を示す)が観測された反復ソックスレー抽出よりも清浄であることが見出された。
【0181】
TLC比較。一般に、両方の抽出手法は、類似する主要なTLCスポットを類似する強度で与えた。反復ソックスレー法の方が多くのスポットを与えた。これは、様々な物質がより大きく濃縮された結果であり得るか、または、分解の結果であり得る。
【0182】
生物活性。検出された生物活性は極性−非極性分割の全面に明らかに分布していた。細胞内へのグルコース輸送は極性画分(メタノールおよび水)に明らかに関連し、活性が非極性画分では見出されなかった一方で、腸壁を介したグルコース吸収は非極性成分に関連していた;グルコース吸収は非極性画分によって明らかに減少した。
【0183】
考察
上記の抽出手法により、それぞれがグルコース代謝の異なる部分において活性である2つの別個の植物画分の存在が示された。非極性抽出物画分は、腸を介した低下したグルコース吸収活性を示し、一方、極性画分は、細胞への増強されたグルコース輸送を示した。これらの画分は、有効成分を解明する過程での一段階である。
【0184】
明らかに少なくとも2つ、おそらくは3つの異なる因子が、スベリヒユ抽出物の観測された生物学的活性に関係している。
【0185】
これらの抽出手法は、抽出を2工程(すなわち、非極性溶媒を使用する工程、および、極性溶媒を使用する工程)に削減することによって簡略化することができる。加えて、RT抽出の収率は少し低いが、この方法は、生じ得る分解が回避され得るので好ましい。重要な化合物が反復ソックスレー法によってさらに抽出されるかどうかはまだ検討されていない。逐次抽出手法は、活性な成分の単離を最大限にするために用いられるはずであり、本質的には、非極性抽出が最初に行わなければならず、その後、極性抽出が行われることに留意すること。
【0186】
実施例1d−標準的な2段階法によるスベリヒユの抽出
材料および実験手順
標準的な2段階抽出。200gの乾燥スベリヒユ粉砕物を2lの溶媒混合物とともにガラスビーカーに入れ、RTで24hr撹拌した。抽出を、下記の2つの異なる溶媒混合物を用いて順次行った:非極性:ヘキサン−DCM−酢酸エチル(1:1:1)、および、極性:メタノール−エタノール−水(1:1:1)。抽出後、植物材料をろ過して除き、ろ液の溶媒を真空ロタベイパーでエバポレーションし、乾燥した抽出物を集め、重量測定した。残留する植物材料を65℃において乾燥器で乾燥し、その後、さらに抽出した。乾燥抽出物を集め、実施例1aにおいて記載されたようにTLCによって分析した。
【0187】
腸を介したグルコース吸収。下記の実施例4を参照のこと。
【0188】
細胞内へのグルコース輸送。実施例4を参照のこと。
【0189】
結果
抽出収量。下記の表7には、この標準的な2段階抽出の各画分(非極性、極性または残渣)の重量(グラム単位)、植物材料の総量の抽出された対応する百分率、ならびに、物理的特徴に関する所見が示される。
【表7】
【0190】
TLC分析。表8には、UV下および染色によって視認され得るすべてのスポットのRf値として報告されるTLC分析の結果が示される。
【表8】
【0191】
3つのTLCスポット(0.41、0.30および0.17)が両方の抽出手法に共通していた。さらなる分析が、何らかの相関する生物学的活性を示すためには必要である。
【0192】
生物学的活性の分析。抽出物を、実施例4に記載されるように、2つの標準的なバイオアッセイ(腸を介するグルコース吸収、および、細胞へのグルコース輸送)を使用して生物学的活性について分析した。表9には、これら2つのバイオアッセイを使用して測定されたスベリヒユ抽出物の非極性画分および極性画分の生物学的活性がまとめられている。
【表9】
【0193】
考察
スベリヒユの生物活性成分の特定および精製を目指した標準的な抽出手法を開発した。この2段階手法は、非極性抽出、その後の極性抽出からなり、極性画分および非極性画分の両方ならびに生物活性成分の良好な初期分離をもたらした。スベリヒユのこの2段階抽出は、生物活性因子のさらなる精製および特定のための良好な基礎を形成している。
【0194】
実施例2
ヒト糖尿病患者の血中グルコースレベルに対するスベリヒユ抽出物の影響
材料および実験手順
試験被験者。ヒト被験者に対する試験をNazareth地区(イスラエル)の医師および生化学実験室との協力で行った。2群の非インスリン性(2型)糖尿病患者を、血液中のグルコースレベルに対するスベリヒユ抽出物の影響について評価した。患者は、血中グルコースの初期レベルに基づいて2つの群の一方に割り振られた。試験開始時に、第1群の患者における血中グルコースレベルは300mg/dlを超えており、一方、第2群の血中グルコースレベルは300mg/dl未満であった。下記の表10には、試験開始時の血中グルコースレベルが300mg/dlを超えている患者の特徴および臨床履歴が示される。
【表10】
【0195】
下記の表11には、試験開始時の血中グルコースが300mg/dl未満である患者の特徴および臨床履歴が示される。
【表11】
【0196】
患者に投与されるスベリヒユ抽出物の調製。エタノール−水(80%−20%)のスベリヒユ抽出物を、TCP結合剤(β−リン酸三カルシウム)を用いて作製した。抽出を、粉砕乾燥植物材料およびエタノール−水(80−20)を10−90(w/w)の比率で使用して40℃で4時間行った。溶液をろ過し、抽出物を、TCP(商業的に使用されている結合剤物質)の存在下、0℃で真空乾燥した。
製造物の最終組成は25%の抽出物および75%の結合剤物質であった。抽出の収率は8重量%〜9重量%であった。
【0197】
血中グルコースレベルの測定。グルコースを、毎週、12hrの絶食の後、市販のグルコメーターを使用して測定した。
【0198】
結果
スベリヒユのエタノール・水抽出物(標準的な植物ゼラチンカプセルに封入された乾燥粉末)を、何らかの他の薬物治療の非存在下、450mg/日(100mgの活性な抽出物)の投薬量で投与した。図1aおよび図1bのグラフは、血中グルコースが300mg/dlを超えるインスリン非依存性糖尿病患者、および、血中グルコースが300mg/dl未満であるインスリン非依存性糖尿病患者に対するスベリヒユ抽出物の影響をそれぞれ示している。スベリヒユ抽出物は、初期の血中グルコースレベルにもかかわらず、両群のすべての患者においてグルコース血中レベルを正常化することができたことがグラフから明らかである。血中グルコースレベルは、空腹時血中グルコースが126mg/dl(7.0mmol/L)以上であるとき、2時間の経口ブドウ糖負荷試験結果が200mg/dl(11.1mmol/L)以上であるときには、アメリカ糖尿病学会(ADA)の基準に従って糖尿病であると見なされることに留意すること。
【0199】
考察
両群の2型糖尿病患者において、血中グルコースレベルの顕著な低下が観測された。試験開始時の血中グルコースが300mg/dl未満である糖尿病患者は2週間後〜3週間後において正常な血中グルコースレベルを維持した。正常な血中グルコースレベルが、300mg/dlを超える初期レベルを有する糖尿病患者群では4週間後〜5週間後において得られた。
【0200】
実施例3
本発明のスベリヒユ抽出物のインビトロでの毒性作用試験
スベリヒユのインビトロでの生物安全性を多数のインビトロ毒性学アッセイによって検討した。細胞生存性および細胞傷害性(MTTアッセイおよびLDH放出アッセイ)、肝細胞における分化した機能の発現(アルブミン分泌アッセイ)、ならびに、脂質過酸化(酸化ストレスの主要な指標)(MDAアッセイ)に対するスベリヒユ抽出物の影響を調べた。ヒト肝細胞株(HepG2)、肝細胞および単球細胞株(THP1)の同時培養物(これは生理学的な細胞環境を模倣する)、リポ多糖(LPS)(マクロファージおよび肝細胞の知られている活性化因子)により刺激された細胞、ならびに、ヒツジ肝臓の組織ホモジネートを様々な濃度のスベリヒユ抽出物とインキュベーションし、アッセイした。毒性学の測定を伴う標準的手法。2タイプ以上の細胞が調べられる。単球細胞は白血球である。
【0201】
材料および実験手順
植物抽出物。植物抽出物を上記の実施例2に記載されるように作製したが、結合剤を使用しなかっただけである。簡単に記載すると、100gの乾燥植物を、標準的な還流装置において40℃で4時間、900mlのエタノール−水混合物(80−20)により抽出した。抽出物をろ過して、植物残渣を除き、エタノールを50℃における真空中でエバポレーションし、水を乾燥機における40℃での乾燥によって除いた。抽出物(粘着性の粉末化物)をそのまま使用し、使用しないときには冷蔵保存した。
【0202】
細胞培養。スベリヒユ抽出物の潜在的な毒性を、ヒトヘパトプラストーマ細胞株HepG2(ATCC寄託番号HB−8065)および単球細胞株THP1(ATCC寄託番号TIB−202)を使用する細胞培養系で評価した。HepG2細胞株は正常な肝細胞の分化した実質機能を保持しているが、無限に成長することができ、従って長期間の研究を可能にする。THP1細胞およびHepG2細胞を、10%(vol/vol)の不活性化ウシ胎児血清、1%の非必須アミノ酸、1%のグルタミン、100U/mLのペニシリンおよび10μg/mLのストレプトマイシンが補充された高グルコース含有量(4.5g/L)のダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で成長させた。細胞を95%O2−5%CO2の加湿された雰囲気において37℃で維持した。培地のpHを7.4にモニターした。細胞培地を1週間に2回交換した。70%〜80%のコンフルエンスで、細胞を、0.05%トリプシンおよび0.02%EDTAを使用して5分間トリプシン処理し、200gで10分間遠心分離し、培養培地に再懸濁し、マイクロタイターディッシュに置床した。接種後24時間で、細胞を新しい無血清培地において様々な濃度の植物抽出にさらした。
【0203】
MTTアッセイ。2×104個の細胞を96ウエルマイクロタイターディッシュの各ウエルにおいて100μlの培養培地[すなわち、10%(vol/vol)の不活性化ウシ胎児血清、1%の非必須アミノ酸、1%のグルタミン、100U/mLのペニシリンおよび10μg/mLのストレプトマイシンが補充された高グルコース含有量(4.5g/L)のダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)]に接種した。接種後24時間で、細胞を植物の水抽出物の様々な濃度と37℃で24時間インキュベーションした。植物抽出物を各ウエルから除いた後、細胞をリン酸塩緩衝化生理的食塩水(PBS)で洗浄した。その後、細胞を、MTT(0.5mg/ml)が各ウエルに添加された無血清DMEM(10μl)においてインキュベーションし、さらに4時間インキュベーションした。各ウエルに100μLのMTT溶液を加えた(0.5mg/mlのMTTを含む)。その後、培地を除き、細胞を100μlの酸性イソプロパノール(0.08N HCl)と15分間(min)インキュベーションして、ホルマザン血漿を溶解させた。MTTホルマザンの吸光度を酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)読み取り装置で570nmにおいて測定した。生存性を、非処理細胞に対する処理細胞の吸光度の百分率として表される比率として定義した。
【0204】
乳酸デヒドロゲナーゼアッセイ。100μlのDMEM培地(上記参照)における2×104個の細胞を96ウエルマイクロタイターディッシュの各ウエルに接種した。接種後24時間で、細胞を増大する濃度の植物抽出物(0.001mg/ml〜0.5mg/ml)にさらした。24時間のインキュベーションの後、上清を各ウエルから注意深く吸引した。その後、細胞単層を細胞溶解液(100μl)により室温で30分間処理し、得られた溶解物を、マイクロピペットを使用して集めた。LDH活性を、CytoTox96非放射性細胞傷害性アッセイキット(Promega、WI、米国)を製造者の説明書に従って使用して上清および細胞溶解物の両方の画分で測定した。
【0205】
LDHアッセイは、下記の化学反応によって要約される、赤色のホルマザン生成物へのテトラゾリウム塩の変換に基づいている:
【0206】
赤い色の強度はLDH活性に比例する。吸光度を96ウエルプレートELISA読み取り装置で490nmにおいて測定した。細胞から放出されたLDHの割合を、下記の式を使用して求めた:
LDH放出=(上清の吸光度)/(上清+溶解物の吸光度)×100。
【0207】
アルブミン分泌アッセイ。細胞から分泌されたアルブミンの定量を下記のように行った。100μlの培養上清を96ウエルマイクロタイターディッシュにおいて37℃で1時間または4℃で一晩インキュベーションした。洗浄工程の後、非特異的結合部位を、0.5%のウシ血清アルブミン(BSA)を含有するPBSにおいてRTで1時間ブロッキング処理した。2回目の洗浄工程の後、ペルオキシダーゼコンジュゲート化ヤギ抗ラットアルブミン抗体を、1%のBSAを含有するPBSにおいて加え、RTで2時間インキュベーションした。その後、マイクロタイターディッシュを洗浄し、基質(100mMの酢酸Na、50mMのリン酸Naおよび9×10−3%のH2O2における0.5mg/mlの2,2−アジノ−ジ−3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)を加えた。すべての洗浄工程を、PBSを使用してRTで行った。吸収をELISA読み取り装置で405nmにおいて測定した。バックグラウンド値を細胞上清の非存在下で測定し、実験値から引いた。すべてのELISA測定を二連で行った。
【0208】
MDAアッセイ(6)。チオバルビツール酸反応性基質についてのMDA脂質過酸化アッセイを使用する脂質過酸化の測定は、反応が試薬とMDAとの間で生じるときにピンク色を与えるTBARS(チオバルビツール酸)試薬を加えることによってもたらされるMDA(マロンジアルデヒド)の回収に基づいている(Diane W.Morel、Arteriosclerosis、vol.4、No.4、1984)。
【0209】
TBARS試薬の調製。TBARS溶液(作業用試薬)(これは0.12MのTBAを含有する;pH=7.0)を、0.375gのTBA、2.5mlの濃HClおよび15mlの100%TCA(トリクロロ酢酸)の混合物に水を加えて、100mlの最終体積にすることによって調製した。この溶液を、TBAが溶解するまで約40℃に加熱した。
【0210】
10mMのMDAを含有するMDA標準溶液を下記のように調製した。82μlのMDAを3.5mlの濃HClに加え、生理的食塩水(0.9%のNaCl)の添加によって50mlの最終体積にした。100μMのMDAを含有するMDA作業用標準溶液を、MDA標準溶液を生理的食塩水で1:100希釈することによって調製した。
【0211】
MDA標準曲線の調製。試験管を下記の表12に従って準備した。
【表12】
【0212】
各試験管に1mlのTBARS作業用試薬を加え、混合物を激しく撹拌した。100℃で20分間インキュベーションした後、混合物を2000rpmで10分間遠心分離し、上清のO.D.を水ブランクに対して522nmで読み取った。
【0213】
植物抽出物のMDAアッセイ。2mg/mlの植物抽出物溶液を調製し、その後、第1欄に示される濃度で新しい試験管に下記の表13に従って希釈した。
【表13】
【0214】
試験管を、時々振とうしながら、水浴において37℃で30分間インキュベーションした。3500rpm(2900xg)での10分間の遠心分離の後、0.5mlの上清を新しい試験管に移した。1mlのTBARS作業用溶液を加えた後、混合物を激しく撹拌し、100℃で20分間加熱し、その後、2000rpmで10分間遠心分離した。上清のO.D.を水ブランクに対して522nmで読み取った。MDAの量を下記の式に従って標準曲線から計算した:
【0215】
結果
スベリヒユ抽出物は、MTTアッセイによって測定されたとき、インビトロ細胞成長に影響を及ぼさない。テトラゾリウム色素のMTTは、細胞の生存性および/または代謝状態を評価するために広く使用されている。この比色法アッセイは、生細胞におけるミトコンドリアのコハク酸デヒドロゲナーゼによる赤色ホルマザン誘導体への黄色テトラゾリウムブロミド(MTT)の変換に基づいている。
【0216】
HepG2。エタノール−水によるスベリヒユ抽出物の生物安全性を評価するために、HepG2細胞を増大する濃度のスベリヒユ抽出物と24時間インキュベーションした。植物抽出物を各ウエルから除いた後、細胞をPBSで洗浄し、MTTアッセイを、実施例3の材料および実験手順に記載されるように行った。図2において認められるように、スベリヒユ由来の抽出物は、試験された濃度のいずれにおいても明白な負の影響を示さなかった。
【0217】
HepG2およびTHP1の同時培養物。エタノール−水によるスベリヒユ抽出物の生物安全性をさらに評価するために、HepG2細胞および単球細胞株THP1の同時培養物に対する増大する濃度の抽出物の影響を、24時間のインキュベーションの後で、上記に記載されるように行われたMTTアッセイを使用して調べた。図3において認められるように、スベリヒユ由来の抽出物は、試験されたすべての濃度で何らかの負の影響の徴候を全く示さなかった。100μg/ml(試験された最大濃度)まで、抽出物は細胞生存性に対する影響を全く示さなかった。
【0218】
リポ多糖(LPS)により処理されたHepG2およびTHP1の同時培養物。LPSにより活性化された細胞に対する植物抽出物の影響を評価するために、HepG2細胞(2×104個)およびTHP1細胞(5×103個)の同時培養物を96ウエルディッシュの各ウエルにおいて100μlの培地に接種した。接種後24時間で、細胞を、10μg/μlのLPSの非存在下および存在下、37℃で24時間、エタノール−水によるスベリヒユ抽出物の増大する濃度とインキュベーションした。上清を各ウエルから注意深く吸引した後、細胞をPBSで洗浄し、MTTアッセイを、実施例3の材料および実験手順に記載されるように行った。図4には、LPSおよび増大する濃度のスベリヒユ抽出物との一晩の同時インキュベーションの後でのHepG2およびTHP1の同時培養物におけるMTTアッセイの結果がまとめられている。MTT試験は、細胞生存性の低下を、試験された最大レベル(すなわち、500μgr/ml)まで示さなかった。
【0219】
スベリヒユ抽出物は膜の一体性に影響を及ぼさない。膜の一体性を、乳酸のピルビン酸への変換を触媒する乳酸デヒドロゲナーゼ活性(LDH)の測定によって評価することができる。このLDHアッセイでは、もっぱら細胞質ゾルに存在する酵素(LDH)の細胞外培地への漏出が測定される。細胞が破壊されたとき、LDH活性が上昇する。細胞培養培地におけるLDHの存在は、細胞の死または細胞膜における漏出のいずれかに起因する細胞膜に対する損傷を示している。
【0220】
HepG2細胞。HepG2細胞を増大する濃度のスベリヒユ抽出物と24時間インキュベーションし、LDHアッセイを、実施例3の材料および実験手順に記載されるように行った。図5には、LDH漏出が、エタノール−水によるスベリヒユ抽出の増大する濃度との一晩のインキュベーションの後でのHepG2細胞からの総量(すなわち、細胞破壊後のLDHの総量)の百分率としてまとめられている。図6では、エタノール−水によるスベリヒユ抽出物の様々な濃度との一晩のインキュベーションの後でのHepG2−THP1細胞同時培養物からのLDH漏出の百分率がまとめられている。従って、HepG2−THP1細胞とのスベリヒユ抽出物の24時間のインキュベーションは培養培地におけるLDHレベルの著しい変化を誘導しなかった。
【0221】
HepG2およびTHP1のLPS処理された同時培養物。図7には、10μg/mlのLPSおよび増大する濃度のスベリヒユ抽出物との一晩のインキュベーションの後でのHepG2およびTHP1の同時培養細胞からのLDH漏出の百分率がまとめられている。HepG2細胞単独に関して観測されたように、LPS処理されたHepG2およびTHP1の同時培養物の培地におけるLDHレベルは、エタノール−水によるスベリヒユ抽出物とのインキュベーションの後で著しく増大していなかった。
【0222】
スベリヒユ抽出物は細胞機能に影響を及ぼさない。タンパク質の細胞タイプ特異的発現に対するスベリヒユ抽出物の影響を、分化した機能を調べるための手段として検討した。肝臓特異的な機能の発現を、実施例3の材料および実験手順に記載されるようにアルブミン分泌アッセイを使用してHepG2細胞によるアルブミン分泌を測定することによって評価した。図8は、増大する濃度のスベリヒユ抽出物との一晩のインキュベーションの後でのHepG2細胞におけるアルブミン産生を示す。細胞培養培地におけるアルブミンのレベルは、スベリヒユ抽出物とのインキュベーションによって変化しないことが見出された。
【0223】
スベリヒユ抽出物は酸化ストレスを誘導しない。チオバルビツール酸反応性物質(TBARS)を測定する感度は、MDAアッセイを、脂質の過酸化(酸化ストレスの主要な指標)をスクリーニングおよびモニターリングするための優れた方法にしている(1〜3)。この迅速かつ使いやすい手法は、薬物、食品製造物、ならびに、ヒトおよび動物の生物学的組織をはじめとする多くのタイプのサンプルとの使用のために研究者によって改変されている(4〜7)。MDAアッセイは、疾患状態におけるフリーラジカル活性に関する重要な情報を提供しており、いくつかの化合物の抗酸化活性の測定のために使用されている。
【0224】
MDA放出をヒツジ肝臓ホモジネートにおけるスベリヒユ抽出物の濃度の関数として測定した。図9は、ヒツジ肝臓ホモジネートにおける10μMのFeSO4により誘導される脂質過酸化に対する、スベリヒユのアルコール−水抽出物の増大する濃度の結果を示す。フリーラジカル濃度の変化が認められなかった。このことは、抽出物が過酸化プロセスに対して作用を有しないことを示している。
【0225】
考察
MTTアッセイ、LDH放出アッセイ、アルブミン分泌アッセイおよびMDAアッセイは、スベリヒユのエタノール−水抽出物が、1000μg/mlの抽出物濃度まで、毒性作用を全く生じさせず、あるいは、測定されたすべてのパラメーターにおける分化した機能に対する影響も、また、フリーラジカルの濃度に対する影響も何ら生じさせなかったので、スベリヒユのエタノール−水抽出物は生物学的に安全であることを示している。
【0226】
実施例4
スベリヒユ抽出物のインビトロでの効力の試験
上記実施例2の予備実験では、スベリヒユ抽出物が糖尿病患者の血流におけるグルコースレベルを減少させたことが明らかにされた。2型糖尿病の複雑性は、ヒト被験者において観測される効力(この場合、グルコースレベルの減少は、それがどのようにして達成されるかに関しては何ら示さない全体的な作用である)を再現する1つの全般的なインビトロアッセイを開発することを不可能にしている。従って、グルコースの輸送ならびに吸収に対するスベリヒユ抽出物の作用をできる限り忠実に模倣することが重要である。培地(血液)から細胞膜を介して細胞内へのグルコースの輸送を測定するいくつかの標準的なアッセイを利用することができる。加えて、小腸の壁を介した血流内へのグルコース吸収のインビトロ測定(これはグルコース代謝の最初の段階の目安を提供する)を、動物の腸組織を介した吸収を使用してモデル化することができる。2つのアッセイを、グルコースの吸収および輸送に対するスベリヒユ抽出物の影響を明らかにするために行った。
【0227】
実施例4aは腸を介したグルコース吸収に対するスベリヒユ抽出物の影響を記載する。
【0228】
材料および実験手順
腸を介したグルコース吸収に対するスベリヒユ抽出物の影響の測定。長さ10cmのヒツジ小腸を、100mg/mlのD−グルコースおよび関連した量のスベリヒユ抽出物を含有するクレブス溶液を保持する容器に一方の側でつなぎ、回収容器に反対側でつなぎ、その結果、クレブス溶液が腸を通って流れるようにした。系内への溶液の流束は50ml/hr〜55ml/hrであった。腸を、DDWを含有する恒温浴において37℃でインキュベーションした。糖が、腸を介して吸収し、壁を通って水浴に輸送される。浴からのサンプルを15分毎に採取し、サンプルのグルコース濃度を、グルコース濃度を測定するための一般的な方法であるDNS法(これは本明細書中下記に記載される)に従って調べた。
【0229】
DNS試薬の調製。7.49gの3,5−ジニトロサリチル酸(DNS)および14gのNaOHを11のDDWに加え、混合した。溶解したとき、216gのロッシェル塩(酒石酸NaK)、5.37gのフェノールおよび5.86gのメタ重硫酸ナトリウムを加え、混合した。
【0230】
DNS法。3mlのDNS試薬を1mlのサンプルに加え、混合物を沸騰水(100℃)中で5分間インキュベーションし、その後、室温に達するまで氷に移した。O.D.を、分光光度計を使用して640nmで測定し、結果を、0mg/ml、0.2mg/ml、0.4mg/ml、0.6mg/ml、0.8mg/mlおよび1.0mg/mlの濃度でのデキストロースの標準曲線から計算した。
【0231】
結果
図10は、ヒツジの腸を介したグルコース吸収に対するスベリヒユ抽出物の影響を示す。測定値を、そのタンパク質含有量を示す腸サンプルの重量について正規化した。スベリヒユ抽出物が、腸を介したグルコースの輸送を部分的に阻害したことがグラフから明白である。このことは、血流におけるグルコースレベルの減少が生じることを示している。
【0232】
実施例4bは酵母細胞内へのグルコースの輸送に対するスベリヒユ抽出物の影響を記載する。
【0233】
酵母細胞内へのグルコース輸送の測定(これは、長年にわたって使用されている方法である)では、グルコース濃度に対する直接的な応答である、活性の指標としての酵母細胞によるCO2の発生が利用される。
【0234】
材料および実験手順
グルコース輸送アッセイ。2.5mlのパン酵母(Saccharomyces cerevisiae)のストック溶液(40mg/ml)、および、増大する量(0.05mg/mlから0.5mg/mlまで)のスベリヒユ抽出物のストック溶液(1mg/mlの標準的なエタノール−水(80:20)抽出物、その体積は合計で24mlに調節された)を100mlの血清ボトルに加えた。血清ボトルを窒素下で維持し、ガス発生を測定するために目盛り付きマノメーターにつないだ。実験はまた、スベリヒユ抽出物を含まない酵母溶液からなるブランクを用いても行われた。
【0235】
血清ボトルを恒温振とう器浴において37℃で振とうした。CO2の発生が直ちに始まるが、系が平衡に達したときすぐに止まる。その時点で0.15g/mlのグルコースの1mlを加え、放出されたCO2の量を、1hrの期間にわたって5分毎に時間の関数として測定し、記録した。1hr後、実験を停止した。記録されたCO2の量を、1gCO2=2.04gグルコースの変換に基づいてグルコースのmgに変換した。スベリヒユ抽出物の存在下および非存在下で消費されたグルコースの量をグラフに経時的に示した。
【0236】
結果
測定された数の酵母細胞を制御された条件のもとで維持し、特定量のグルコースを与え、CO2の発生を測定した。実験を二連で行い、それにより、スベリヒユ抽出物を、第2の実験ではグルコースに加えて加えた。発生したCO2の量の変化は、細胞内へのグルコース輸送に対するスベリヒユ抽出物の影響の尺度である。
【0237】
スベリヒユ抽出物が酵母細胞のCO2産出を増大させたことが、酵母細胞におけるグルコース取り込みに対するスベリヒユ抽出物の影響をまとめる図11から明白である。このことは、増大した活性が、スベリヒユ抽出物によって生じた細胞内へのグルコース輸送の増大に起因することを示している。
【0238】
考察
上記のインビトロ実験は、ヒト糖尿病被験者に対する予備的試験と同様に、スベリヒユ抽出物が生物学的に安全であり、かつ、血流中のグルコースレベルの減少において効果的であることを明らかにしている。
【0239】
インビトロ実験は、抽出物が、小腸を介したグルコースの吸収だけでなく、細胞内へのグルコースの輸送に影響を及ぼすことを示している。このことは、少なくとも2つの有効成分が存在することを示し得る。抽出物の精製および活性成分の単離は、抽出物の機構のより詳細な研究を可能にする。
【0240】
明確にするため別個の実施態様で説明されている本発明の特定の特徴は単一の実施態様に組み合わせて提供することもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施態様で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで提供することもできる。
【0241】
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更及び変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更及び変形すべてを包含するものである。本願で挙げた刊行物、特許、特許願及びGenBankアセッション番号はすべて、個々の刊行物、特許、特許願及びGenBankアセッション番号が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用又は確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。
【0242】
【図面の簡単な説明】
【0243】
【図1】血中グルコースレベルが試験開始時に300mg/dlを超えるインスリン非依存性糖尿病患者(図1a)、および、血中グルコースレベルが試験開始時に300mg/dl未満であるインスリン非依存性糖尿病患者(図1b)における血中グルコースレベルに対するスベリヒユ抽出物の影響を示すグラフである。
【図2】MTTアッセイを使用して測定されたときの、HepG2細胞の生存性に対するスベリヒユ抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである。
【図3】MTTアッセイを使用して測定されたときの、HepG2およびTHP1の同時培養物の生存性に対するスベリヒユ抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである。
【図4】MTTアッセイを使用して測定されたときの、LPSにより刺激されたHepG2およびTHP1の同時培養物の生存性に対するスベリヒユ抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである。
【図5】LDHアッセイを使用して測定されたときの、HepG2細胞からの総LDH放出(細胞を完全に破壊した後でのLDH濃度、培地中へのLDHの放出最大量)の百分率としてのLDH放出に対するスベリヒユ抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである。
【図6】LDHアッセイを使用して測定されたときの、HepG2細胞およびTHP1細胞の同時培養物からのLDH放出の百分率に対するスベリヒユ抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである。
【図7】LDHアッセイによる、LPS刺激されたHepG2およびTHP1の同時培養物からのLDH放出の百分率に対するスベリヒユ抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである。
【図8】アルブミン分泌アッセイを使用して測定されたときの、HepG2細胞におけるアルブミン産生に対するスベリヒユ抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである。
【図9】MDAアッセイを使用したときの、ヒツジ肝臓ホモジネートにおける10μMのFeSO4により誘導される脂質過酸化に対するスベリヒユのアルコール・水抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである(n=3)。
【図10】時間の関数としての、ヒツジ腸を介するグルコース吸収に対するスベリヒユ抽出物の影響を示す線グラフである。
【図11】酵母細胞におけるグルコース取り込みに対するスベリヒユ抽出物の影響を示す線グラフである。
【図12】活性成分を植物から精製するための段階毎の手順を例示する流れ図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、スベリヒユ(Portulaca oleracea L.)から得られる組成物、および、より具体的には、血中グルコースレベルを調節するために該組成物を使用する方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、患者の健康、生活の質、および平均余命、ならびに保険医療システムに対して大きな影響を有する重大な慢性的代謝性障害である。米国では、糖尿病は主要な死因の6番目である[National Institute of Diabetes and digestive and kidney diseases(1995)、Diabetes Statistics、Betheda、MD:NIDDM NIH Publication番号96−3926]。
【0003】
糖尿病はI型糖尿病(以前ではインスリン依存性糖尿病またはIDDMとして知られている)およびII型糖尿病(以前ではインスリン非依存性糖尿病またはNIDDMとして知られている)の2つの大きなカテゴリーに分けられる。糖尿病の全体的な罹患率は人口の約6%であり、そのうちの90%がII型である[Diabetes(1996)、Vital Statistics、Alexandria,VA:American Diabetes Association]。糖尿病の処置および治療は国家の保険医療支出のかなりの部分に相当し、年間1050億ドルを超えている。
【0004】
II型糖尿病は、炭水化物および脂肪の代謝が乱れた症候群である。最も顕著な臨床的特徴は、126mg/dlを超える空腹時血漿グルコースレベルによって明らかにされる高血糖症、または、6.9%を超えるグリコシル化ヘモグロビンA1c(HbA1c)である。ほとんどのII型糖尿病患者において、発症は成人期においてであり、最も一般には、40歳を超える肥満者においてである。高血圧、高脂血症、高インスリン症およびアテローム性動脈硬化が糖尿病に付随することが多い。
【0005】
II型糖尿病の早期段階は、インスリン標的組織(すなわち、肝臓、骨格筋および脂肪細胞)におけるインスリン抵抗性によって特徴づけられる。これらの組織におけるインスリン抵抗性は、肝臓による過度なグルコース産生および末梢組織(特に、筋肉)による損なわれたグルコース利用に関連する。これらの事象は代謝恒常性を徐々に衰えさせるが、早期段階における明白な糖尿病を直接的には生じさせない場合がある。インスリン抵抗性を代償するための増大したインスリン分泌により、基礎状態での血中グルコースレベルが正常範囲内で維持され得るが、患者は、食事性炭水化物負荷試験および経口ブドウ糖負荷試験に対する損なわれた応答を示す場合がある。インスリン分泌の慢性的な過剰刺激は小島β細胞の予備力を徐々に低下させ、最終的には使い果たす。絶対的なインスリン不足の状態が結果として生じ、そして、明白な糖尿病を生じさせる[DeFronzo(1988)、Diabetes、37:667〜687;Seely(1993)、Insulin Resistance and its clinical Disorder(Moller D.編、London、England:John Wiley&Sons,Ltd.)、187〜252]。損なわれたグルコース耐性からII型糖尿病への移行率は、遺伝的背景、肥満、体脂肪分布、ほとんど運動しない生活様式、加齢、および付随する医学的状態によって大きく影響される[Clark(1998)、Diabetes care、21:C32〜C34]。
【0006】
慢性的および重度の高血糖症を有するII型糖尿病患者の生活の質はひどく影響を受ける。典型的な症状には、疲労感および無気力が含まれ、これらは重症になることがあり、成人では作業能力の低下をもたらし、中高年では転倒の増大をもたらす。急性の合併症には、代謝上の様々な問題および感染が含まれる。長期間の合併症には、マクロ血管合併症(例えば、高血圧、異常脂質血症、心筋梗塞、卒中)、ミクロ血管合併症(例えば、網膜症、腎障害、糖尿病神経障害、下痢、神経因性膀胱、損なわれた心臓血管反射、性的機能不全)、および、足の障害がある。
【0007】
II型糖尿病の従来の処置は生活様式の管理に集中している。運動に加えて、体重管理および医学的栄養療法、経口グルコース低下薬、ならびにインスリン注射が従来の治療法である。薬理学的処置が、空腹時グルコースレベルが140mg/dlを超えるか、または、食事後グルコースレベルが160mg/dlを超えるか、または、HbA1cが8%を超えるときには指示される。
【0008】
II型糖尿病を処置するための一般に利用されている経口薬剤には、第一世代および第二世代のスルホニルウレア剤(これらは膵臓β細胞からのインスリン分泌を高める)、薬用植物のガレガソウ(Galega Officinalis)から最初に得られたビグアニド剤(例えば、メトホルミン(登録商標))(これは、肝臓のグルコース産生を阻害し、かつ、筋肉のグルコース取り込みを増大させることによって血漿グルコースを低下させる)、α−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アスコルベート)(これは、炭水化物の消化を妨害し、かつ、グルコースの胃腸吸収を遅らせることによって食後のグルコースレベルを低下させる)、チアゾリジンジオン剤(例えば、トログリタゾン(登録商標)、ロシグリタゾン(登録商標)およびピオグリタゾン(登録商標))(これらは筋肉および肝臓におけるインスリン感受性を改善する)、ならびにメグリチニド剤(例えば、レパグリニド(登録商標))(これはインスリン分泌を増強する)が含まれる。
【0009】
上記の経口血糖降下薬に対する初期の応答は申し分のないものであるが、これらの薬物は、処置された患者の著しい割合でその有効性を失い、また、処置には、通常、有害な副作用(例えば、体重増加、低血糖症、胃腸障害、肝臓毒性および高LDLコレステロールなど)が伴う[Dey(2002)、Alternative Medicine Review、7:45〜58、および、それにおける参考文献]。これらの理由のために、血糖コントロールが経口薬物治療法の最大用量において次善であるときには、インスリンが通常、経口薬剤に加えられる。しかしながら、体重増加および低血糖症がインスリン治療の共通する副作用である。
【0010】
従来の治療法に付随するこれらの重大な制限を考慮して、糖尿病を処置するための代わりの方法(例えば、高血糖防止活性を有する漢方薬など)が患者および保険医療専門家によってますます探し求められている。今日までに、糖尿病に対する400を超える伝統的な植物処置が報告されている[Bailey(1989)、Diabetes Care、12:553〜564]。だが、そのうちのほんの少数が、それらの効力を評価するために科学的評価および医学的評価を受けているに過ぎない。糖尿病を処置するための最も一般的に使用される薬草には、下記が含まれる:チョウセンニンジン(Ginseng)種、例えば、オタネニンジンおよびアメリカニンジンなどの種、これらは、著しい血糖降下作用を有することが報告されている;ツルレイシ(Momordica charantia)(ニガウリ)、これは、糖尿病に対する治療薬として民間療法で広く使用されている;フェヌグリーク(Trigonella foenum graecum)(Fenugreek)、これは、特にインドでは、糖尿病に対する治療薬として使用されている;ギムネマ・シルベスター(Gymnema sylvestre);タマネギ(Allium cepa)およびニンニク(Allium sativum)、これらは、生のタマネギ片およびニンニク片に存在する揮発油に由来する血糖低下効果を有する;プテロカルプス・マルスピウム(Pterocarpus marsupium)および他のエピカテキン含有植物;アロエベラ(Aloe vera)およびその他。
【0011】
スベリヒユは、Purslane、VerdolagaおよびPursleyとしてもまた知られており、世界のほとんどの地域で栽培される食用の多肉性の「草」である。
【0012】
スベリヒユは、多くの生物学的に活性な化合物、ならびに、多くの栄養素を含有しており、これらには、アルカロイド、ω−3脂肪酸、クマリン類、フラボノイドおよびアントラキノングリコシドが含まれる(2)。
【0013】
この植物は、広範囲の様々な病気に対する治療薬として、特に寄生虫に対する処置として、また、消化器系障害に対する治療薬として伝統的に使用されている。加えて、抗炎症活性および抗真菌活性がスベリヒユには伴っている。世界中からの未確認の報告では、多くの病気および状態に対する治療薬としてスベリヒユの使用が明らかにされた(3)。
【0014】
スベリヒユは高血糖症に対する治療薬として以前に報告されている。EskanderおよびH.Won Jun(4)は、血液中のグルコースレベルを低下させることにおけるスベリヒユ(植物全体)の効力を示した。PCT国際特許出願公開00/00211は、血液中の糖レベルを低下させるための、スベリヒユから抽出されたヒドロコロイドの使用を教示する。
【0015】
本発明を実施に移しているとき、本発明者らは、スベリヒユの極性抽出物および非極性抽出物が、その必要性のある対象において血中グルコースレベルを生物学的に安全な様式で調節するために効率よく使用できることを発見した。
【発明の開示】
【0016】
本発明の1つの態様によれば、スベリヒユ(Portulaca oleracea L.)から高血糖防止作用物質を単離する方法が提供され、この場合、この方法は、極性成分をスベリヒユから抽出し、それにより、スベリヒユから高血糖防止作用物質を単離することを含む。
【0017】
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、抽出は、極性が増大する溶媒グラジエントを用いることによって行われる。
【0018】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、抽出はエタノール−水抽出によって行われる。
【0019】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、極性が増大する溶媒は、ヘキサン、酢酸エチル、ジクロロメタン、メタノールおよび水である。
【0020】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、極性が増大する溶媒は、ヘキサン:ジクロロメタン:酢酸エチル(1:1:1)およびメタノール:エタノール:水(1:1:1)である。
【0021】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、この方法はさらに、極性成分を抽出物から精製することを含む。
【0022】
本発明の別の態様によれば、スベリヒユから高血糖防止作用物質を単離する方法が提供され、この場合、この方法は、非極性成分をスベリヒユから抽出し、それにより、スベリヒユから高血糖防止作用物質を精製することを含む。
【0023】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、抽出は、非極性溶媒を使用して行われる。
【0024】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、抽出はエタノール−水抽出によって行われる。
【0025】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、非極性溶媒は、ヘキサン、ジクロロメタンおよび酢酸エチルからなる群から選択される。
【0026】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、この方法はさらに、非極性成分を抽出物から精製することを含む。
【0027】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、非極性成分を抽出物から精製することは薄層クロマトグラフィーによって行われる。
【0028】
本発明のなお別の態様によれば、スベリヒユのエタノール−水抽出物を含む組成物が提供される。
【0029】
本発明のさらに別の態様によれば、スベリヒユの極性画分抽出物を含む組成物が提供される。
【0030】
本発明のさらなる態様によれば、血中グルコースレベルを低下させるための、スベリヒユの極性抽出物を含む組成物の使用が提供される。
【0031】
本発明のなおさらなる態様によれば、スベリヒユの非極性画分抽出物を含む組成物が提供される。
【0032】
本発明のさらにさらなる態様によれば、血中グルコースレベルを低下させるための、スベリヒユの非極性抽出物を含む組成物の使用が提供される。
【0033】
本発明のさらなる態様によれば、血中グルコースレベルを低下させるための、スベリヒユのエタノール−水抽出物を含む組成物の使用が提供される。
【0034】
本発明のなおさらなる態様によれば、スベリヒユの極性画分抽出物を含む組成物の治療効果的な量と、医薬的に許容され得るキャリアまたは希釈剤とを含む、血中グルコースレベルを低下させるための医薬組成物が提供される。
【0035】
本発明のさらにさらなる態様によれば、スベリヒユの非極性画分抽出物を含む組成物の治療効果的な量と、医薬的に許容され得るキャリアまたは希釈剤とを含む、血中グルコースレベルを低下させるための医薬組成物が提供される。
【0036】
本発明のさらにさらなる態様によれば、スベリヒユのエタノール−水抽出物を含む組成物の治療効果的な量と、医薬的に許容され得るキャリアまたは希釈剤とを含む、血中グルコースレベルを低下させるための医薬組成物が提供される。
【0037】
本発明のさらにさらなる態様によれば、対象における高血糖関連疾患を処置する方法が提供され、この場合、この方法は、スベリヒユのエタノール−水抽出物を含む組成物の治療効果的な量をその必要性のある対象に投与し、それにより、対象における高血糖関連疾患を処置することを含む。
【0038】
本発明のさらにさらなる態様によれば、対象における高血糖関連疾患を処置する方法が提供され、この場合、この方法は、スベリヒユの極性画分抽出物を含む組成物の治療効果的な量をその必要性のある対象に投与し、それにより、対象における高血糖関連疾患を処置することを含む。
【0039】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、極性抽出物は血液中のグルコースレベルを低下させることができる。
【0040】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0〜0.45の範囲にRf値を有する。
【0041】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0〜0.32の範囲にRf値を有する。
【0042】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17〜0.41の範囲にRf値を有する。
【0043】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノールを使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0、0.31、0.34、0.36、0.39および0.45からなる群から選択されるRf値を有する。
【0044】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、スベリヒユの極性画分抽出物は、水を使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0のRf値を有する。
【0045】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノールを用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0、0.15、0.30および0.32からなる群から選択されるRf値を有する。
【0046】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノール:エタノール:水を1:1:1の比率で用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17、0.27、0.30、0.34、0.39および0.41からなる群から選択されるRf値を有する。
【0047】
本発明のさらにさらなる態様によれば、対象における高血糖関連疾患を処置する方法が提供され、この場合、この方法は、スベリヒユの非極性画分抽出物を含む組成物の治療効果的な量をその必要性のある対象に投与し、それにより、対象における高血糖関連疾患を処置することを含む。
【0048】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、スベリヒユの非極性画分抽出物はヒドロコロイドを含まない。
【0049】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、高血糖関連疾患は、糖尿病、クッシング病、クッシング症候群、摂食障害、損なわれたグルコース耐性、腎糸球体微小血管障害、びまん性糸球体硬化症、結節性糸球体硬化症、尿路感染症、急性腎盂腎炎、壊死性乳頭炎、気腫性腎盂腎炎、グリコーゲンネフローゼ(アルマンニ−エブシュタイン病変)、網膜症、非増殖性網膜症、毛細血管瘤、網膜浮腫滲出物、出血、増殖性網膜症、小血管の増殖、出血性線維症、網膜剥離、白内障、レンズの浸透圧変化による一過性の屈折異常、虹彩における血管の増殖による緑内障、網膜感染症、脳血管のアテローム硬化性疾患、神経障害、皮膚感染症、冠状動脈のアテローム性動脈硬化、心筋梗塞、末梢のアテローム性動脈硬化:四肢虚血、壊疽、増大した胎児死亡率、増大した感染感受性、および、遅れた創傷治癒からなる群から選択される。
【0050】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、非極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11〜0.89の範囲にRf値を有する。
【0051】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、非極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11〜0.88の範囲にRf値を有する。
【0052】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、非極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17〜0.91の範囲にRf値を有する。
【0053】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサンを使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.36、0.45、0.52、0.71および0.88からなる群から選択されるRf値を有する。
【0054】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、スベリヒユの非極性画分抽出物は、酢酸エチルを使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11、0.18、0.31、0.36、0.45、0.52および0.71からなる群から選択されるRf値を有する。
【0055】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサンを用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.3、0.32、0.41、0.47および0.89からなる群から選択されるRf値を有する。
【0056】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、スベリヒユの非極性画分抽出物は、酢酸エチルを用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.15、0.36、0.47、0.73および0.89からなる群から選択されるRf値を有する。
【0057】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサン:DCM:酢酸エチルを1:1:1の割合で用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17、0.30、0.36、0.41、0.68および0.91からなる群から選択されるRf値を有する。
【0058】
本発明のさらにさらなる態様によれば、血液中のグルコースレベルを調節するための作用物質を特定する方法が提供され、この場合、この方法は、(a)スベリヒユの抽出物を分画化し、それにより、複数の画分を得ること;および(b)血液中のグルコースレベルを調節することができる少なくとも1つの画分を前記複数の画分から特定し、それにより、血液中のグルコースレベルを調節するための作用物質を特定することを含む。
【0059】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、分画化は、極性が増大する溶媒グラジエントを用いて行われる。
【0060】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、工程(b)は、(i)腸を介したグルコース吸収および/または(ii)細胞内へのグルコース輸送に対する画分の影響を調べることによって行われる。
【0061】
本発明は、スベリヒユに由来する新規な組成物、および、血中グルコースレベルを調節するために該組成物を使用する方法を提供することによって、現在知られている形態の欠点に対処することに成功している。
【0062】
本明細書で使用される技術用語と科学用語はすべて、特に断らない限り、本発明の属する技術分野の当業者が共通して理解しているのと同じ意味を持っている。本明細書に記載されているのと類似の又は均等の方法と材料は本発明を実施又は試験するのに使用できるが、適切な方法と材料は以下に述べる。争いが生じた場合、定義を含めて本特許明細書が基準である。さらに、本明細書の材料、方法及び実施例は例示することだけを目的とし本発明を限定するものではない。
【0063】
図面の説明
本明細書では本発明を単に例示し図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の好ましい実施態様を例示考察することだけを目的としており、本発明の原理や概念の側面の最も有用でかつ容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示していることを強調するものである。この点について、本発明を基本的に理解するのに必要である以上に詳細に本発明の構造の詳細は示さないが、図面について行う説明によって本発明のいくつもの形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
【0064】
図1は血中グルコースレベルが試験開始時に300mg/dlを超えるインスリン非依存性糖尿病患者(図1a)、および、血中グルコースレベルが試験開始時に300mg/dl未満であるインスリン非依存性糖尿病患者(図1b)における血中グルコースレベルに対するスベリヒユ抽出物の影響を示すグラフである。
図2はMTTアッセイを使用して測定されたときの、HepG2細胞の生存性に対するスベリヒユ抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである;すべての測定を三連で行った。測定をスベリヒユの同じ抽出物に対して行った。
図3はMTTアッセイを使用して測定されたときの、HepG2およびTHP1の同時培養物の生存性に対するスベリヒユ抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである;細胞生存性を処理細胞および非処理細胞の吸収パーセントとして測定した。すべての測定を三連で行った。
図4はMTTアッセイを使用して測定されたときの、LPSにより刺激されたHepG2およびTHP1の同時培養物の生存性に対するスベリヒユ抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである。
図5はLDHアッセイを使用して測定されたときの、HepG2細胞からの総LDH放出(細胞を完全に破壊した後でのLDH濃度、培地中へのLDHの放出最大量)の百分率としてのLDH放出に対するスベリヒユ抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである;すべての測定を三連で行った。
図6はLDHアッセイを使用して測定されたときの、HepG2細胞およびTHP1細胞の同時培養物からのLDH放出の百分率に対するスベリヒユ抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである;すべての測定を三連で行った。
図7はLDHアッセイによる、LPS刺激されたHepG2およびTHP1の同時培養物からのLDH放出の百分率に対するスベリヒユ抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである。
図8はアルブミン分泌アッセイを使用して測定されたときの、HepG2細胞におけるアルブミン産生に対するスベリヒユ抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである;結果が、コントロールの非処置細胞からの総アルブミン分泌の百分率として示される。
図9はMDAアッセイを使用したときの、ヒツジ肝臓ホモジネートにおける10μMのFeSO4により誘導される脂質過酸化に対するスベリヒユのアルコール・水抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである(n=3);X軸は、10μMの硫酸鉄を含有する細胞ホモジネートの溶液における薬草抽出物の濃度を(mg/mlで)示す。すべての測定を三連で行った。
図10は時間の関数としての、ヒツジ腸を介するグルコース吸収に対するスベリヒユ抽出物の影響を示す線グラフである;p1およびp2は、同じ条件のもとで行われた2つの異なる実験である。
図11は酵母細胞におけるグルコース取り込みに対するスベリヒユ抽出物の影響を示す線グラフである。グラフは4つの別個の実験を示し、その平均値を示す。測定を植物抽出物添加後60分で行った。グルコース取り込みの増大(%で表される)が植物抽出物の増大する量の存在下で示されることに留意すること。
図12は活性成分を植物から精製するための段階毎の手順を例示する流れ図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
本発明は、血中グルコースレベルを調節するために使用することができるスベリヒユ由来の組成物に関する。具体的には、本発明の高血糖防止組成物は、高血糖関連疾患(例えば、II型糖尿病など)を処置することのために血中グルコースレベルを低下させるために使用することができる。本発明の低血糖防止組成物は、低血糖関連疾患(例えば、小島細胞過形成など)を処置することのために血中グルコースレベルを増大させるために使用することができる。
【0066】
本発明の原理および操作は、図面および添付された説明を参照してより良く理解することができる。
【0067】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明に示される細部または実施例によって例示される細部に限定されないことを理解しなければならない。本発明は、他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実施することができ、または様々な方法で実施される。また、本明細書中で用いられる表現および用語は説明のためであり、従って限定として見なされるべきではないことを理解しなければならない。
【0068】
II型糖尿病は慢性的な代謝性疾患であり、患者の健康、生活の質、および平均余命に対する大きな影響を有する。グルコース恒常性を改善するために不可欠ではあるが、生活様式管理対策(すなわち、運動、食事および体重管理)は不十分である場合があり、このことは従来の薬物治療(例えば、経口グルコース低下剤(すなわち、血糖低下剤)など)を多くの患者については必要にしている。
【0069】
しかしながら、現在利用可能な経口投与される抗糖尿病薬は、処置された患者の著しい割合でその有効性を失っており、また、加えて、処置には、通常、様々な有害な副作用、例えば、体重増加、低血糖、胃腸障害、肝臓毒性、高LDLコレステロールおよび大きな費用などが付随する。これらの理由のために、インスリンが、通常、最大経口送達投薬量で経口薬剤に加えられる。これらの理由のために、医学分野界は、II型糖尿病患者を処置するために使用することができる新しい高血糖防止作用物質を絶えず捜し求めている。
【0070】
スベリヒユは、Purslane、VerdolagaおよびPursleyとしてもまた知られており、広範囲の様々な病気に対する治療薬として、特に寄生虫感染および消化器系障害に対する治療薬として伝統的に使用されている。スベリヒユはまた、高血糖症に対する治療薬としても報告されている。(i)PCT国際特許出願公開00/00211は、血液中の糖レベルを低下させるためのスベリヒユ由来のヒドロコロイドの使用を教示する。(ii)EskanderおよびH.Won Jun(4)は、糖尿病の処置のために、エジプトの民間療法で使用される数多くの薬草(スベリヒユを含む)をスクリーニングして、それらの血糖低下効果および血中インスリン増加効果を確認した。水に懸濁された乾燥粉砕薬草からなる動物飼料として作製された粗薬草抽出物がアロキサン糖尿病ラットに投与された。EskanderおよびH.Won Jun(4)は、スベリヒユが、処置されたラットの血中グルコースレベルを低下させることにおいて効果的であることを示した。しかしながら、この動物飼料には、植物の固体粒子、ならびに、水抽出物が含まれたので、この活性を何らかの特定の植物成分に帰属することができなかった。
【0071】
本発明を実施に移しているとき、本発明者らは、スベリヒユのエタノール−水抽出物が、糖尿病被験者において血中グルコースレベルを生物学的に安全な様式で低下させるために効率よく使用され得ることを発見した。さらに本発明を実施に移しているとき、本発明者らは、スベリヒユから抽出された極性画分および非極性画分がこの高血糖防止作用に関係することを発見した。
【0072】
下記の実施例の節において例示されるように、様々な異常に高いグルコースレベル(すなわち、300mg/dl超または300mg/dl未満)を有するヒト糖尿病被験者に対するスベリヒユのエタノール−水抽出物の投与は被験者の血中グルコースレベルを正常にまで有意に低下させた(実施例の節の実施例2を参照のこと)。この抗糖尿病作用を媒介する活性な成分を単離する試みにおいて、この植物の逐次極性抽出が行われた(実施例の節の実施例1を参照のこと)。興味深いことに、スベリヒユ由来の極性成分および非極性成分の両方により、異なる作用機構によるものではあるが、血中グルコースレベルを低下させることを説明することができた。すなわち、スベリヒユ由来の極性抽出物が、細胞膜を介した細胞内へのグルコース輸送を増大させたが、非極性抽出物は腸のグルコース吸収を低下させた。
【0073】
従って、今回のこれらの発見は、スベリヒユ由来の非極性抽出物および極性抽出物が、(同じ植物のエタノール−水抽出物と同様に)、グルコース代謝の異なる段階に対して作用することを示している(本質的には、それぞれ、小腸を介したグルコース吸収の阻害、および、細胞へのグルコース輸送の促進)。このことから、血中グルコースレベルを低下させることにおけるそれらの個々の使用または混合使用が示唆される。
【0074】
本発明の組成物は、インビトロ細胞生存性アッセイ(すなわち、MTT)および細胞機能アッセイ(例えば、アルブミン分泌アッセイおよび乳酸デヒドロゲナーゼアッセイ、実施例3を参照のこと)によって明らかにされるように、生物学的に安全な様式で作用することが示された。このことは本発明の組成物の使用を臨床的に実行可能にしている。
【0075】
従って、本発明の1つの態様によれば、スベリヒユのエタノール−水抽出物を含む組成物が提供される。
【0076】
好ましくは、本発明のこの態様の組成物におけるエタノール−水の比率は80%−20%である。
【0077】
本発明のこの態様の組成物は、細胞内へのグルコース輸送を増大させ、および/または、腸を介したグルコース吸収を低下させることによって血液中のグルコースレベルを低下させることができる。
【0078】
上記で述べられたように、本発明者らは、活性な成分(すなわち、血中グルコースレベルを低下させることができる活性な成分)をスベリヒユから単離することができた。
【0079】
従って、本発明の別の態様によれば、スベリヒユの組織(例えば、葉、茎、根または植物全体)の極性画分抽出物を含む組成物が提供される。
【0080】
本明細書中で使用される表現「スベリヒユの組織」は、完全なスベリヒユ植物またはその一部分(例えば、葉、根、茎および滲出物など)を示す。
【0081】
本明細書中で使用される「極性画分抽出物」は、極性成分から構成され、かつ、極性溶媒(例えば、アルコールなど)を使用して得られるスベリヒユ抽出物を示す。本発明のスベリヒユ抽出物は、好ましくは、固体の植物粒子を含まない。
【0082】
用語「極性」は、双極子モーメントを形成する負極および正極を有する極性の官能基を有する化合物(例えば、アミド、酸、アルコール、ケトン、アルデヒド、アミン)を示す。極性画分抽出物には、植物組織の表面に見出される化合物(すなわち、滲出物)、または、植物組織内ではあるが、植物細胞(アポプラスト)の外側に見出される化合物、または、植物の細胞の内部に見出される化合物(細胞質性、液胞性またはオルガネラ捕捉)が含まれ得る。
【0083】
極性画分抽出のために好適な溶媒の例には、水およびアルコール(例えば、メタノール、エタノールおよびイソプロピルアルコールなど)が含まれるが、これらに限定されない。植物組織全体を、組織の破壊を必要とすることなく、そのような溶媒に浸すことができる。だが、組織のそのような物理的操作は、極性成分の抽出を実質的に改善するので好ましい。本発明とともに利用され得る組織破壊技術の例には、凍結組織の粉砕、および、ホモジナイザーを使用する均質化が含まれる。植物組織の抽出を改善するための他の前処理方法が下記に記載される。
【0084】
下記の実施例の節において例示されるように、本発明の教示に従って得られる極性画分抽出物は血液中のグルコースレベルを正常なレベル[すなわち、115mg/dl未満の正常な空腹時血中(すなわち、血漿)グルコースレベル]に低下させることができる。実施例の節の実施例4において例示されるように、極性抽出物に対して行われた分析では、極性抽出物は、細胞内へのグルコース輸送を増大させることができる成分を含むことが明らかにされた。
【0085】
本発明のこの態様の組成物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒混合物を使用するアルミニウムシート上でのシリカゲル60F254[20×20cm(Merck KGaA、Darmstadt、ドイツ)]での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、保持因子(Rf、溶媒先端が移動した距離によって除される、化合物が移動した距離)の値が0.0〜0.50の範囲(より好ましくは0.0〜0.45の範囲、さらに一層より好ましくは0.0〜0.32の範囲、なおさらに一層より好ましくは0.17〜0.41の範囲)にある成分を含む。
【0086】
スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノールを使用してソックスレー抽出によって抽出することができ(下記の実施例1を参照のこと)、そのような場合、極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0、0.31、0.34、0.36、0.39および0.45のRf値を有する成分を含む。
【0087】
本発明のスベリヒユの極性画分抽出物は、水を使用してソックスレー抽出によって抽出することができ、そのような場合、極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0のRf値を有する成分を含む。
【0088】
本発明のスベリヒユの極性画分抽出物は、メタノールを用いて抽出することができ、そのような場合、極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0、0.15、0.30および0.32のRf値を有する成分を含む。
【0089】
最後に、スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノール:エタノール:水を1:1:1の比率で用いて抽出することができ、そのような場合、極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17、0.27、0.30、0.34、0.39および0.41のRf値を有する成分を含む。
【0090】
下記の実施例の節の実施例1において示されるように、スベリヒユから得られる非極性抽出物は小腸からのグルコース吸収を低下させることができ、そのため、血液中のグルコース濃度を低下させるために使用することができる。
【0091】
従って、本発明のさらに別の態様によれば、スベリヒユの非極性画分抽出物を含む組成物が提供される。
【0092】
本明細書中で使用される「非極性画分抽出物」は、非極性成分から構成され、かつ、非極性溶媒を使用して得られるスベリヒユ抽出物を示す。
【0093】
用語「非極性」は、正極または負極が形成されないように電荷の分離を有しない非極性の官能基(例えば、アルキル、シアノ、エステルおよび他の非イオン性基)を有する化合物を示す。非極性成分を抽出するために使用され得る非極性溶媒の例には、ヘキサン、シクロヘキサン、酢酸エチルおよびトルエンが含まれるが、これらに限定されない。
【0094】
非極性画分抽出物には、植物組織の表面に見出される化合物(すなわち、滲出物)、または、植物組織内ではあるが、植物細胞(アポプラスト)の外側に見出される化合物、または、植物の細胞の内部に見出される化合物(細胞質性、液胞性またはオルガネラ捕捉)が含まれ得る。
【0095】
本発明のこの態様の非極性画分抽出物は、血液中のグルコースレベルを好ましくは正常なレベル[例えば、少なくとも75mg/dl]に低下させることができ、このことは、高血糖防止作用物質(すなわち、血中糖レベルを低下させることができる作用物質)としてのその使用を示唆している。下記の実施例の節の実施例1において例示されるように、本発明の非極性画分抽出物は、小腸を介したグルコース吸収を低下させ、そのため、高血糖防止作用物質として使用することができる。
【0096】
本発明のこの態様の組成物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用するアルミニウムプレート上でのシリカゲル60F254[20×20cm(製造:Merck KGaA、Darmstadt、ドイツ)]での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、Rf値が0.11〜0.95の範囲(より好ましくは0.11〜0.89の範囲、さらに一層より好ましくは0.11〜0.88の範囲、なおさらに一層より好ましくは0.17〜0.91の範囲)にある成分を含む。
【0097】
好ましくは、スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサンを使用してソックスレー抽出(下記参照)によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.36、0.45、0.52、0.71または0.88のRf値を有する成分を含む。
【0098】
本発明のスベリヒユの非極性画分抽出物は、酢酸エチルを使用してソックスレー抽出によって抽出することができ、そのような場合、非極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11、0.18、0.31、0.36、0.45、0.52または0.71のRf値を有する成分を含む。
【0099】
本発明のスベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサンを用いて抽出することができ、そのよう場合、非極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.3、0.32、0.41、0.47または0.89のRf値を有する成分を含む。
【0100】
本発明のスベリヒユの非極性画分抽出物は、酢酸エチルを用いて抽出することができ、そのような場合、非極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.15、0.36、0.47、0.73または0.89のRf値を有する成分を含む。
【0101】
最後に、スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサン:ジクロロメタン(DCM):酢酸エチルを1:1:1の割合で用いて抽出することができ、そのような場合、非極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17、0.30、0.36、0.41、0.68または0.91のRf値を有する成分を含む。
【0102】
本発明の高血糖防止作用物質(すなわち、極性画分抽出物および非極性画分抽出物)は、好ましくは、ヒドロコロイド(水溶液においてゲルを形成する物質)を含まない。
【0103】
本発明の高血糖防止作用物質は、極性成分を植物から抽出することによってスベリヒユから単離することができる。
【0104】
活性な成分を植物から単離する様々な方法がこの分野では広く知られている。植物材料からの活性な成分の一般的な単離手順が図12の流れ図に記載される[Wink(1999)、Function of Plant Secondary Metabolites and their Exploitation in Biotechnology(CRC Press)もまた参照のこと]。
【0105】
典型的には、目的とする植物組織が得られる。植物のオルガネラもまた、極性成分の供給源として使用され得ることが理解される。例えば、植物の液胞を、極性成分を抽出するために使用することができる。植物のプロトプラストを液胞の供給源として単離する様々な方法がこの分野では広く知られている[例えば、Guy,M.他、Plant Physiol.、64:61〜64(1979)を参照のこと]。
【0106】
このようにして得られた植物組織は新鮮物または乾燥物であり得る。好ましくは、乾燥物が、さらなる大規模抽出を簡略化するために使用される。従って、植物組織は、使用前のその貯蔵を長くすることができる、乾燥(実施例の節の実施例1もまた参照のこと)および粉砕などの前処理に供することができる。
【0107】
植物材料は、その後、本明細書中に記載される極性成分(有効成分)を単離するために抽出に供される。
【0108】
本明細書中で使用される用語「抽出」は、極性溶媒対非極性溶媒における溶解性などの特徴における化学的および/または物理的な差に基づいて混合物を分離する手法を示す。数多くの抽出手法がこの分野では知られている。
【0109】
本発明のこの態様によるスベリヒユからの極性画分の抽出は、好ましくは、極性が増大する溶媒を順次使用して行われる。本質的には、乾燥させた植物材料が、別個の溶媒(例えば、ヘキサン、その後、酢酸エチルおよびクロロホルム)によって、あるいは、そのような溶媒の混合物を使用することによって非極性抽出に供される。その後、同じ植物材料は極性抽出に供される。そのような逐次抽出工程は、活性な成分を単離する分離度を改善する。
【0110】
例えば、極性が増大する溶媒グラジエント(例えば、ヘキサン、ジクロロメタン(DCM)、エタノールおよび水)を用いることによって行われる極性成分のソックスレー抽出が下記の実施例の節の実施例1に示される。この方法は、好ましくは、熱安定性の化合物に関して使用される。
【0111】
その後、活性な成分(例えば、極性成分)が、この分野で広く知られている精製方法を使用して抽出物から精製される。例えば、抽出物を、極性が増大する溶媒を用いてシリカゲル(TLC、薄層クロマトグラフィー)プレートで分離することができる。サンプルは、好ましくは、プレートに直ちに付けられ、酸化を最小限に抑えるために間を置かずに処理される。だが、抽出物の乾燥もまた行うことができる(下記の実施例の節の実施例1を参照のこと)。活性な成分がUV光のもとで可視化される。可視化はまた、プレートに発色剤(例えば、リンモリブデン酸のエタノール溶液)を噴霧し、加熱して色の変化を生じさせることによって行うことができる。このTLC法は効率的であり、迅速であり、かつ、感度および簡便性と低コストとを併せ持つ。
【0112】
粉末化された植物材料からの活性な成分の効率的な抽出はまた、促進溶媒抽出(ASE)によって、すなわち、高い温度および圧力での高められた可溶化速度論を利用する手法[Obana Analyst.(1997)、122(3):217〜20]によって行うことができる。
【0113】
活性な成分は、様々な生物学的アッセイを使用して定量することができる。好適な生物学的読み取りの選択は活性な成分の所望する機能に依存する。従って、血中グルコースレベルを調節する化合物を特定するために、実施例4に記載されるアッセイのいずれかを使用することができる。有効成分が、本明細書中下記においてさらに記載されるようなケモインフォマティクスを使用して化学的に特定される。
【0114】
例えば、UVフォトダイオードアレイ検出器に連結されたHPLC(LC/DAD−UV)および質量分析法に連結されたHPLC(LC/MSまたはLC/MS/MS)は、単離前の抽出物における活性な成分についての構造的情報を提供することができる[Outtara、Phytochemistry(2004)、65(8):1145〜51を参照のこと]。ハイフンで結ばれた技術(例えば、LC/UV、LC/MSおよびLC/MS/NMR[Mazza、J AOAC Int.2004(Jan−Feb)、87(1):129〜45;Wolfender、J Chromatogr A.、2003(Jun 6)、1000(1−2):437〜55]など)を使用する化学的スクリーニングは、微量の植物材料を用いて、既知の植物成分の構造的情報を提供することができる。このことは、粗植物抽出物から直接、新規な化合物と、既知の化合物とを区別することを可能にする。
【0115】
あるいは、所望の活性(例えば、高血糖防止活性)をバイオアッセイ(例えば、小腸を介するグルコース輸送)で示す植物抽出物を、LC/UV/MSを使用する分析によって化学的にスクリーニングすることができる。分離を、広いアセトニトリルグラジエントまたはメタノールグラジエントを用いた逆相RP−C18カラムで行うことができる。UVスペクトルが記録され、分子量情報が、サーモスプレー、連続流高速原子衝撃、大気圧化学的イオン化またはエレクトロスプレーイオン化を用いたMSによって得られる。フラグメントの情報がタンデムMS/MS実験または多段MSn実験によって得られ、一方で、LC/NMRが、化合物の正体を確認するために使用される。
【0116】
一体化された、情報が多い検出システム(例えば、クロマトグラフィー−紫外−核磁気共鳴−質量分析(LC−UV−NMR−MS)など)、ならびに、他のゲノミクス法およびプロテオミクス法を、植物由来の目的とする活性な成分を特定するために使用することができる。
【0117】
植物(すなわち、スベリヒユ)からの非極性成分の単離を、上記で記載された方法を使用して行うことができ、非極性溶媒は、非極性成分を抽出する最初の工程で使用されるだけである。
【0118】
本明細書中上記で述べられたように、本発明の高血糖防止作用物質(すなわち、極性抽出物、非極性抽出物、エタノール−水抽出物)を、血液中のグルコースレベルを調節するために使用することができる。
【0119】
従って、本発明では、対象における高血糖関連疾患を処置する方法が意図される。
【0120】
本明細書中で使用される表現「高血糖関連疾患」は、その発症および/または進行について高血糖症に依存する疾患を示す。本明細書中で使用される用語「高血糖(症)」は、血液中の異常に高いグルコース濃度(すなわち、115mg/dlを超える)を示す。高血糖に関係づけられる疾患および障害の例には、糖尿病、クッシング病、クッシング症候群、摂食障害(例えば、神経性食欲不振、食欲不振、過食症)、損なわれたグルコース耐性(IGT)、腎糸球体微小血管障害、びまん性糸球体硬化症、結節性糸球体硬化症(キンメルスティール−ウィルソン病)、尿路感染症、急性腎盂腎炎、壊死性乳頭炎、気腫性腎盂腎炎、グリコーゲンネフローゼ(アルマンニ−エブシュタイン病変)、網膜症、非増殖性網膜症、毛細血管瘤、網膜浮腫滲出物、出血、増殖性網膜症、小血管の増殖、出血性線維症、網膜剥離、白内障、レンズの浸透圧変化による一過性の屈折異常、虹彩における血管の増殖による緑内障、網膜感染症、脳血管のアテローム硬化性疾患(卒中)、末梢神経障害(末梢の感覚神経および運動神経、頭蓋神経、自律神経)、皮膚感染症(カルブンケルを生じさせる毛包炎)、糖尿病性リポイド類壊死症(微小血管障害に起因する)、黄色腫(高脂血症に対して二次的)、冠状動脈のアテローム性動脈硬化(心筋梗塞)、末梢のアテローム性動脈硬化(四肢虚血)、壊疽、増大した胎児死亡率(胎盤疾患、新生児呼吸窮迫症候群、感染症)、増大した感染感受性、および、遅れた創傷治癒が含まれるが、これらに限定されない。
【0121】
本明細書中で使用される用語「処置する」は、本発明の疾患の有害な影響を防止すること、治療すること、逆転させること、弱めること、緩和すること、最小限に抑えること、抑制すること、または停止させることを示す。
【0122】
本明細書中で使用される用語「その必要のある対象」は、本発明の疾患に罹患しているか、または、本発明の疾患に罹りやすい哺乳動物対象(例えば、ヒト)を示す。
【0123】
本発明のこの態様による方法は、対象(本明細書中下記においてさらに記載される)に治療効果的な量の本発明の組成物(すなわち、上記に記載されるスベリヒユの極性抽出物、非極性抽出物またはエタノール−水抽出物)を投与し、それにより、対象における高血糖関連疾患を処置することによって行われる。本発明の組成物のそれぞれ(すなわち、極性抽出物および非極性抽出物)がグルコース代謝の異なる段階、および、そのようなものとして、グルコース代謝の補体阻害を阻害するように作用するので、その混合投与が、治療効力を改善するために好ましいことが理解される。従って、これらの組成物は対象に同時に(一緒に)、または連続して投与することができる。
【0124】
本発明の組成物(すなわち、高血糖防止作用物質)は、対象に、それ自体で、または、組成物が医薬的に許容され得るキャリアと混合される医薬組成物の一部として投与することができる。
【0125】
本明細書中で使用される「医薬組成物」は、本明細書中に記載される有効成分の1つまたは複数と、他の化学的成分(例えば、生理学的に好適なキャリアおよび賦形剤)との調製物を示す。医薬組成物の目的は、生物に対する化合物の投与を容易にすることである。
【0126】
本明細書中において、用語「有効成分(活性成分)」は、生物学的効果を説明することができる調製物を示す。
【0127】
以降、表現「生理学的に許容され得るキャリア」および表現「医薬的に許容され得るキャリア」は交換可能に使用することができ、生物に対する著しい刺激を生じさせず、かつ、投与された調合物の生物学的活性および生物学的性質を阻害しないキャリアまたは希釈剤を示す。佐剤がこれらの表現に含まれる。医薬的に許容され得るキャリアに含まれる成分の1つが、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、すなわち、有機媒体および水性媒体の両方において広範囲の溶解性を有する生体適合性ポリマーであり得る(Mutter et al.(1979))。
【0128】
本明細書中において、用語「賦形剤」は、有効成分の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される不活性な物質を示す。賦形剤の非限定的な例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖およびタイプのデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油およびポリエチレングリコールが含まれる。
【0129】
薬物の配合および投与のための様々な技術が“Remington’s Pharmaceutical Sciences”(Mack Publishing Co.、Easton、PA、最新版)(これは参考として本明細書中に組み込まれる)に見出され得る。
【0130】
好適な投与経路には、例えば、局所的送達、膣内送達、経尿道送達、経口送達、直腸送達、経粘膜送達、経皮送達(特に経鼻送達)、腸管送達または非経口送達(これには、筋肉内注射、皮下注射および髄内注射、ならびに、クモ膜下注射、直接的な脳室内注射、静脈内注射、腹腔内注射、鼻内注射または眼内注射が含まれる)が含まれ得る。あるいは、例えば患者の身体の特定領域中への調製物の直接注射によって調製物を系統的な方法によりむしろ局所的な方法で投与してもよい。
【0131】
本発明の医薬組成物は、この分野で十分に知られている様々なプロセスによって、例えば、混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、研和、乳化、カプセル化、包括化または凍結乾燥の従来のプロセスによって製造することができる。
【0132】
本発明に従って使用するための医薬組成物は有効成分を医薬として使用可能な製剤にする加工を容易にする賦形剤及び補助剤を含む一つ以上の医薬的に許容され得るキャリアを使用して従来のように配合されてもよい。適切な配合は選択された投与経路に依存する。
【0133】
注射の場合、本発明の活性成分は、水溶液において、好ましくは生理学的に適合し得る緩衝液(例えば、ハンクス溶液、リンゲル溶液、または生理学的な生理的食塩水緩衝液など)において配合することができる。経粘膜投与の場合、浸透剤が配合において使用される。そのような浸透剤はこの分野では一般に知られている。好ましくは、本発明の化合物は経口的に投与される。経口投与の場合、化合物は、活性な化合物を、この分野で十分に知られている薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせることによって容易に配合することができる。そのようなキャリアにより、本発明の化合物は、患者によって経口摂取される錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、スラリー剤、懸濁物などとして配合することが可能になる。経口使用される薬学的調製物は、錠剤または糖衣錠コアを得るために、固体の賦形剤を使用し、得られた混合物を場合により粉砕し、そして所望する場合には好適な補助剤を添加した後、顆粒の混合物を加工して作製することができる。好適な賦形剤は、具体的には、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖などの充填剤;セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボメチルセルロースなど;および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などの生理学的に受容可能なポリマーである。所望する場合には、架橋型ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩(アルギン酸ナトリウムなど)などの崩壊剤を加えることができる。
【0134】
糖衣錠コアには、好適なコーティングが施される。この目的のために、高濃度の糖溶液を使用することができ、この場合、糖溶液は、場合により、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液および好適な有機溶媒または溶媒混合物を含有し得る。色素または顔料が、活性な化合物の量を明らかにするために、または活性な化合物の量の種々の組合せを特徴づけるために、錠剤または糖衣錠コーティングに添加され得る。
【0135】
経口使用され得る医薬組成物には、ゼラチンから作製されたプッシュ・フィット型カプセル、ならびにゼラチンおよび可塑剤(グリセロールまたはソルビトールなど)から作製された軟密閉カプセルが含まれる。プッシュ・フィット型カプセルは、充填剤(ラクトースなど)、結合剤(デンプンなど)、滑剤(タルクまたはステアリン酸マグネシウムなど)および場合により安定化剤と混合された有効成分を含有し得る。軟カプセルでは、活性な化合物を好適な液体(脂肪油、流動パラフィンまたは液状のポリエチレングリコールなど)に溶解または懸濁させることができる。さらに、安定化剤を加えることができる。経口投与される配合物はすべて、選ばれた投与経路に好適な投薬形態でなければならない。
【0136】
口内投与の場合、組成物は、従来の様式で配合された錠剤またはトローチの形態を取ることができる。
【0137】
鼻腔吸入による投与の場合、本発明に従って使用される有効成分は、好適な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタンまたは二酸化炭素)の使用により加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレー提示物の形態で都合よく送達される。加圧されたエアロゾルの場合、投薬量単位は、計量された量を送達するためのバルブを提供することによって決定され得る。吸入器または吹き入れ器で使用される、例えば、ゼラチン製のカプセルおよびカートリッジで、化合物と好適な粉末基剤(ラクトースまたはデンプンなど)との粉末混合物を含有するカプセルおよびカートリッジを配合することができる。
【0138】
本明細書で記述される調製物は非経口投与、例えばボーラス注射または連続点滴のために配合されることができる。注射のための配合は、単位用量形態(例えばアンプルまたは多用量コンテナ)で提供されることができ、これらには所望により保存剤が添加されている。組成物は懸濁物、溶液または油性もしくは水性ビヒクル中のエマルションであることができ、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤の如き配合剤を含むことができる。
【0139】
非経口投与される医薬組成物には、水溶性形態における活性な調製物の水溶液が含まれる。さらに、活性な化合物の懸濁物を、適切なオイル状のまたは水ベースの注射用懸濁物として調製することができる。好適な親油性の溶媒またはビヒクルには、脂肪油(ゴマ油など)、または合成脂肪酸エステル(オレイン酸エチルなど)、トリグリセリドまたはリポソームが含まれる。水性の注射用懸濁物は、懸濁物の粘度を増大させる物質、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールまたはデキストランなどを含有し得る。場合により、懸濁物はまた、高濃度の溶液の調製を可能にするために化合物の溶解性を増大させる好適な安定化剤または薬剤を含有し得る。
【0140】
あるいは、有効成分は、使用前に好適なビヒクル(例えば、滅菌されたパイロジェン非含有水)を用いて構成される粉末形態にする。
【0141】
本発明の調製物はまた、例えば、カカオ脂または他のグリセリドなどの従来の座薬基剤を使用して、座薬または停留浣腸剤などの直腸用組成物に配合することができる。
【0142】
本発明に関連した使用のために好適な医薬組成物には、有効成分が、意図された目的を達成するために効果的な量で含有される組成物が含まれる。より具体的には、治療効果がある量は、処置されている対象の疾患の症状を防止、軽減または改善するために、あるいは、処置されている対象の生存を延ばすために効果的な有効成分の量を意味する。
【0143】
治療効果がある量の決定は十分に当業者の範囲内である。
【0144】
本発明の方法に使用される調製物に対して、治療的に有効な量又は用量は最初にインビトロ分析から分析されることができる。例えば、用量は動物モデルで配合されることができ、かかる情報は人間に有用な用量をより正確に決定するために使用されることができる。
【0145】
本明細書中に記載される有効成分の毒性および治療効力は、インビトロ、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手法によって明らかにすることができる。これらのインビトロアッセイおよび細胞培養アッセイならびに動物研究から得られたデータは、ヒトへの使用のための投薬量範囲を定める際に使用することができる。投薬量は、用いられる投薬形態物および利用される投与経路に依存して変化し得る。正確な配合、投与経路および投薬量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選ぶことができる(例えば、Fingl他、1975、“The Pharmacological Basis of Therapeutics”(第1章、1頁)を参照のこと)。
【0146】
処置される状態の重篤度および応答性に依存して、投薬は単回投与または多回投与が可能であり、処置の経過が、数日から数週間まで、あるいは、治癒が達成されるまで、または、疾患状態の縮小が達成されるまで続く。
【0147】
投与される組成物の量は、当然のことではあるが、処置されている対象、苦痛の重篤度、投与様式、主治医の判断などに依存する。
【0148】
適合し得る医薬用キャリアに配合された本発明の調製物を含む医薬組成物はまた、適応状態の処置のために調製し、適切な容器に入れ、表示することができる。
【0149】
本発明の医薬組成物は、所望される場合には、活性成分を含有する一つ以上の単位投薬形態物を含有し得る、FDA承認キットなどのパックまたはディスペンサーデバイスで提供され得る。パックは、例えば、金属箔またはプラスチック箔を含むことができ、例えば、ブリスターパックなどである。パックまたはディスペンサーデバイスには、投与のための説明書が添付され得る。パックまたはディスペンサーにはまた、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府当局により定められた形式で容器に付けられた通知が伴い得る。この場合、そのような通知は、組成物の形態またはヒトもしくは動物への投与の当局による承認を反映する。そのような通知は、例えば、処方薬物についての米国食品医薬品局により承認されたラベル書きであり得るか、または承認された製品添付文書であり得る。
【0150】
本発明の上記の治療法は、この分野で知られている他の処置様式と併用され得ることが理解される。例えば、本発明の高血糖防止作用物質は、糖尿病を処置する方法において様々な天然物質または合成物質と組み合わせることができる。そのような物質の例には、ギムネマ・シルベスタ、フェヌグリーク、ニガウリ、α−リポ酸、バナナ葉、ヤコウ(yacou)根、ツルレイシ、オリーブ葉抽出物、プテロカルプス・マルスピウム、サラシア・レチクラータ(salacia reticulate)、ニンニク、サンザシ、コロソール酸、ウルソール酸、D−ピニトール、アロエ・ベラ、ピコリン酸クロム、ホスファチジルコリン、ω−3脂肪酸、レジスタントデンプン、ニチニチソウ(catharanthus roseus)、カシューナットノキ(anacardium occidentale)、ムラサキフトモモ(syzygium cumini)、ユーカリ(eucalyptus globules)、シロバナハウチワマメ(lupinus albus)、タマネギ、ニンニク、キンレイジュ(tecoma stans)、セイヨウイラクサ(urtica dioica)、セイヨウタンポポ(taraxacum officinale)、オオヒメクグ(kyllinga monocephala)、アンマロク(phyllanthus emblica)、キダチミカンソウ(phyllanthus niruri)、インドセンダン(azadirachta indica)、モルブス・アルバ(morbus alba)、ポテリウム・アンシストロイデス(poterium ancistroides)、ニンジン(daucus carota)、インスリン、ならびに、他の経口投与される薬剤、例えば、スルホニルウレア剤、ビグアニド剤、α−グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジンジオン剤およびメグリトニド剤などが含まれるが、これらに限定されない。糖尿病を処置する方法において使用される物質のこれらの組合せは、それぞれの成分(すなわち、スベリヒユ抽出物、および、スベリヒユ抽出物が投与のために組み合わせられる物質)に起因すると考えられる利益をもたらす。
【0151】
本発明の組成物はまた、栄養学的添加物として、例えば、スポーツ栄養補給を改善するためなどの栄養学的添加物として使用され得ることが理解される。それによれば、本発明の組成物は単独で使用することができ、あるいは、下記の天然に存在する(例えば、植物由来の)物質または化学化合物のいずれか1つの効果的な用量と組み合わせることができる:クレアチン、クレアチン一水和物、クレアチン塩(例えば、クエン酸クレアチン、ピルビン酸クレアチンなど)、クレアチン誘導体およびその塩、ホスホクレアチン、カフェイン、α−リポ酸、グルコサミン、コンドロイチン、加水分解コラーゲン、メチルスルホニル−メタン、乳清タンパク質、L−グルタミン、ホスファチジルコリン、コリン、コリン塩、ホスファチジルセリン、β−ヒドロキシ−β−メチルブチラート、ピルバート、L−カルニチン、D−リボース、アミノ酸(通常型アミノ酸)、分岐鎖アミノ酸、S−アデノシルメチオニン、タウリン、共役リノール酸、α−リポ酸、α−リポ酸塩、ならびにグリセリン。様々な化合物の塩を参照することにおいて、本発明では、化合物および任意の好適な塩形成対イオン(例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ハロゲンイオン、有機カチオン、有機イオン、錯イオン、および、この分野で知られている任意の他の対イオンなど)が意図される。
【0152】
本発明の組成物はまた、体重を調節するために(すなわち、体重管理のために)使用され得ることがさらに理解される。この場合、効果的な用量の本発明の組成物が下記の天然に存在する物質(例えば、植物由来の物質)または化学化合物のいずれか1つの効果的な用量と組み合わせられる:ピルビン酸、L−カルニチン、ヒドロキシクエン酸、エフェドリン、カフェインおよび共役リノール酸(CLA)。栄養補給(例えば、スポーツ栄養補給など)を改善するための方法において使用される物質のこれらの組合せはまた、それぞれの成分(すなわち、スベリヒユ抽出物、および、スベリヒユ抽出物が投与のために組み合わせられる物質)に起因すると考えられる利益をもたらす。
【0153】
本発明の組成物は治療用キットまたは栄養補給キットに包装することができる。
【0154】
例えば、本発明の組成物は、適切な緩衝剤および保存剤とともに1つまたは複数の容器に詰めることができ、また、治療的処置を導くために使用することができる。
【0155】
従って、組成物(例えば、スベリヒユのエタノール−水画分抽出物、極性画分抽出物および非極性画分抽出物)を1つの容器において混合することができ、または、個々の容器に入れることができる。好ましくは、容器はラベルを含む。好適な容器には、例えば、ビン、バイアル、シリンジおよび試験管が含まれる。容器は、様々な材料から、例えば、ガラスまたはプラスチックなどから形成され得る。
【0156】
加えて、他の添加剤(例えば、安定化剤、緩衝剤および阻止剤など)もまた加えることができる。
【0157】
キットはまた、検査された対象が、異常な血中グルコースレベルに関連する状態、障害または疾患に罹患しているかどうか、あるいは、異常な血中グルコースレベルに関連する状態、障害または疾患を発症する危険性があるかどうかを明らかにするための説明書を含むことができる。
【0158】
本発明の追加の目的、利点及び新規な特徴は、下記実施例を考察すれば、当業技術者には明らかになるであろう。なおこれら実施例は本発明を限定するものではない。さらに、先に詳述されかつ本願の特許請求の範囲の項に特許請求されている本発明の各種実施態様と側面は各々、下記実施例の実験によって支持されている。
【実施例】
【0159】
上記説明とともに、以下の実施例を参照して本発明を例示する。なおこれら実施例によって本発明は限定されない。
【0160】
本願で使用される用語と、本発明で利用される実験方法には、分子生化学、微生物学及び組み換えDNAの技法が広く含まれている。これらの技法は文献に詳細に説明されている[例えば以下の諸文献を参照されたい。「Molecular Cloning:A laboratory Manual」Sambrookら1989年;Ausubel, R.M.編1994年「Current Protocols in Molecular Biology」I〜III巻;Ausubelら著1989年「Current Protocols in Molecular Biology」John Wiley and Sons,米国メリーランド州バルチモア;Perbal著「A Practical Guide to Molecular Cloning」John Wiley & Sons,米国ニューヨーク1988年;Watsonら、「Recombinant DNA」Scientific American Books、米国ニューヨーク;Birrenら編「Genome Analysis:A Laboratory Manual Series」1〜4巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press、米国ニューヨーク1998年;米国特許の4666828号、4683202号、4801531号、5192659号及び5272057号に記載される方法;Cellis, J.E.編「Cell Biology:A Laboratory Handbook」I〜III巻1994年;Coligan, J.E.編「Current Protocols in Immunology」I〜III巻1994年;Stitesら編「Basic and Clinical Immunology」(第8版)、Appleton & Lange、米国コネティカット州ノーウォーク1994年;MishellとShiigi編「Selected Methods in Cellular Immunology」、W.H. Freeman and Co.、米国ニューヨーク1980年;また利用可能な免疫検定法は、例えば以下の特許と科学文献に広範囲にわたって記載されている。米国特許の3791932号、3839153号、3850752号、3850578号、3853987号、3867517号、3879262号、3901654号、3935074号、3984533号、3996345号、4034074号、4098876号、4879219号、5011771号及び5281521号;Gait,M.J.編「Oligonucleotide Synthesis」1984年;Hames, B.D.及びHiggins S.J.編「Nucleic Acid Hybridization」1985年;Hames,B.D.及びHiggins S.J.編「Transcription and Translation」1984年;Freshney, R.I.編「Animal Cell Culture」1986年;「Immobilized Cells and Enzymes」IRL Press 1986年;Perbal, B.著「A Practical Guide to Molecular Cloning」1984年及び「Methods in Enzymology」1〜317巻、Academic Press;「PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications」、Academic Press、米国カリフォルニア州サンディエゴ1990年;Marshakら、「Strategies for Protein Purification and Characterization−A Laboratory Course Manual」、CSHL Press、1996年;なおこれらの文献類は、あたかも本願に完全に記載されているように援用するものである]。その外の一般的な文献は、本明細書を通じて提供される。本明細書に記載の方法は当業技術界で周知であると考えられ、読者の便宜のために提供される。本明細書に含まれるすべての情報は本願に援用するものである。
【0161】
実施例1
スベリヒユ(Portulaca oleracea L.)由来の生物活性成分の精製、単離および特定
最初の実験では、スベリヒユの抽出を、非極性から極性まで変化する溶媒を使用して段階的に行った。2つの主要な予備的手法を開発し、効力について比較した。それにより得られた結果を、その後、標準的な抽出手順の開発において利用した。
【0162】
実施例1a
反復ソックスレー抽出
実験手順
材料。溶媒をFrutarom Ltd.(Haifa、イスラエル)またはJ.T.Baker(Deventer、オランダ)から購入し、溶媒は、別途指定されない限り、分析規格であった。D−グルコース一水和物をRiedel−de Haen(Seelze、ドイツ)から購入した。さらなる研究用化学薬品をSigma−Aldrich(Milwaukee、米国)から購入した。
【0163】
ソックスレー抽出。20gの乾燥スベリヒユ粉砕物を標準的なソックスレー抽出用円筒ろ紙に入れ、粉砕物を、下記においてさらに記載されるように250mlの溶媒を用いて抽出した。抽出を5回行い、それぞれ、極性が増大する下記の5つの異なる溶媒の1つを使用した:ヘキサン、酢酸エチル、ジクロロメタン(DCM)、メタノールおよび水。抽出を溶媒の還流下で完全な2サイクルにわたって続けた(すなわち、2回、円筒ろ紙を溶媒で満たし、空にした)。抽出後、溶媒を真空ロタベイパーでエバポレーションし、乾燥した抽出物を集め、重量測定した。残留する植物材料を65℃において乾燥器で乾燥し、その後、さらに抽出した。乾燥抽出物を集め、薄層クロマトグラフィーによって分析した[(TLC)、シリカプレート、アルミニウム上でのシリカゲル60F254、ジクロロメタン(DCM)−ヘキサン−メタノール(1:1:0.2)にて]。TLCプレートを、UVによって、また、IPAにおける5%リンモリブデン酸による染色によって可視化した。
【0164】
腸を介したグルコース吸収。下記の実施例4を参照のこと。
【0165】
細胞内へのグルコース輸送。実施例4を参照のこと。
【0166】
結果
抽出収量。下記の表1には、5つの溶媒のそれぞれを使用したスベリヒユの反復ソックスレー抽出の結果、ならびに残渣が示され、併せて、各抽出部の対応する重量(グラム単位)、植物材料の総量の抽出された百分率、および、物理的特徴に関する所見が列挙される。
【表1】
【0167】
TLC分析。下記の表2には、5つの反復ソックスレー抽出物のそれぞれのTLC分析の結果が列挙される。UVおよび/または染色によって視認され得るすべてのスポットがRf値として報告される。
【表2】
【0168】
得られたTLCパターンの分析では、最も強い強度のスポット(0.45および0.36)が、5つの画分のうちの4つで、ある程度現れたことが示された。これらのスポットの強度はDCM抽出物において最も強いようであった。だが、DCMは、TLCプレートに塗布する前に蒸発してしまっているかもしれない非常に揮発性の溶媒であり、それにより、より小さい、より濃縮されたスポットをもたらすので、このことは惑わせるかもしれない。このTLC分析で得られた分離は、多くの化合物が極性および非極性の両方の性質を有するようであり、従って、脂肪酸、ステロイドおよびアミンなどの分子については当てはまるように、両方の条件のもとで抽出され得ることを示していた。
【0169】
生物学的活性の分析。抽出物を、2つの標準的なバイオアッセイを使用して、すなわち、腸を介するグルコース吸収(この場合、腸を介するグルコースの吸収に対する抽出物の影響が、実施例4に記載されるように測定される)、および、細胞内へのグルコース輸送(この場合、血流から細胞内部へのグルコースの輸送に対する影響が、実施例4において同様に記載されるように測定される)を使用して生物学的活性について分析した。下記の表3には、5つの抽出物のそれぞれのバイオアッセイの結果が列挙される。
【表3】
【0170】
実施例1b
室温(RT)法によるスベリヒユ活性成分の抽出
材料および実験手順
RT抽出。100grの乾燥スベリヒユ粉砕物を1lの溶媒とともにガラスビーカーに入れ、RTで24時間(hr)撹拌した。抽出を、極性が増大する下記の5つの異なる溶媒の1つを使用して並行して5回行った:ヘキサン、酢酸エチル、DCM、メタノールおよび水。抽出後、植物材料をろ過して除き、ろ液の溶媒を真空ロタベイパーでエバポレーションし、乾燥した抽出物を集め、重量測定した。残留する植物材料を65℃において乾燥器で乾燥し、その後、さらに抽出した。乾燥抽出物を集め、実施例1aにおいて記載されたようにTLCによって分析した。
【0171】
腸を介したグルコース吸収。下記の実施例4を参照のこと。
【0172】
細胞内へのグルコース輸送。実施例4を参照のこと。
【0173】
結果
抽出収量。下記の表4には、5つの溶媒のそれぞれを使用したRT抽出の結果、ならびに残渣が示され、併せて、各抽出部の対応する重量(グラム単位)、植物材料の総量の抽出された百分率、および、物理的特徴に関する所見が列挙される。
【表4】
【0174】
TLC分析。表5には、5つのRT抽出物のそれぞれのTLC分析の結果が列挙される。UVおよび/または染色によって視認され得るすべてのスポットがRf値として報告される。
【表5】
【0175】
TLCパターンの分析では、明確な分離が、より高い領域(0.89〜0.47)におけるスポットと、より低い領域(0.30〜0.0)におけるスポットとの間で示された。非極性から極性への移行は、スポットが0〜1の全範囲全体に存在するソックスレー抽出における場合よりも顕著であるようであった。
【0176】
これらの結果は、非極性物質のほとんどがヘキサンによって除かれたこと、および、極性物質が、メタノールまたは水を使用して抽出されたことを示している。TLCプレートの中間領域における大きな画分は、極性および非極性の両方の特徴を有する分子の存在を示している。
【0177】
生物学的活性の分析。抽出物を、実施例4において同様に記載されるように、2つの標準的なバイオアッセイ(腸を介するグルコース吸収、および、細胞内へのグルコース輸送)を使用して生物学的活性について分析した。表6には、5つの抽出物のそれぞれのバイオアッセイの結果が列挙される。
【表6】
【0178】
実施例1c
反復ソックスレー抽出法およびRT抽出法の比較
これら2つの予備的な抽出法を下記の基準に基づいて比較した:抽出効率、すなわち、各溶媒を使用して抽出された植物材料の割合、および、溶媒における抽出された物質の濃度(g/mlの単位で);抽出の清浄度、すなわち、抽出時における材料の分解を示すTLCにおける筋の形成;TLCにより検出される両手順での各溶媒により抽出された物質;および、抽出物の生物活性。
【0179】
抽出効率。両方の抽出手法から得られた全データは類似しており(上記の表1〜表5を参照のこと)、また、一般的には、両手法の異なる溶媒が同一のTLCスポットを生じさせた。このことは、類似する成分がおそらくは抽出されたことを示している。反復ソックスレー抽出はRT抽出よりも大きい収量で物質をもたらした(極性溶媒を使用したときにはそれぞれ19%対12%、また、非極性溶媒を使用したときにはそれぞれ5%対1.2%)。このことが、ソックスレー抽出の方が効率が大きいこと、または、望ましくない植物物質の抽出を示しているかどうかは、現在、調査中である。
【0180】
抽出の清浄度。RT抽出は、TLCプレート上での筋のあるスポットおよび細長いスポット(これらは過度な加熱の結果としての分解産物を示す)が観測された反復ソックスレー抽出よりも清浄であることが見出された。
【0181】
TLC比較。一般に、両方の抽出手法は、類似する主要なTLCスポットを類似する強度で与えた。反復ソックスレー法の方が多くのスポットを与えた。これは、様々な物質がより大きく濃縮された結果であり得るか、または、分解の結果であり得る。
【0182】
生物活性。検出された生物活性は極性−非極性分割の全面に明らかに分布していた。細胞内へのグルコース輸送は極性画分(メタノールおよび水)に明らかに関連し、活性が非極性画分では見出されなかった一方で、腸壁を介したグルコース吸収は非極性成分に関連していた;グルコース吸収は非極性画分によって明らかに減少した。
【0183】
考察
上記の抽出手法により、それぞれがグルコース代謝の異なる部分において活性である2つの別個の植物画分の存在が示された。非極性抽出物画分は、腸を介した低下したグルコース吸収活性を示し、一方、極性画分は、細胞への増強されたグルコース輸送を示した。これらの画分は、有効成分を解明する過程での一段階である。
【0184】
明らかに少なくとも2つ、おそらくは3つの異なる因子が、スベリヒユ抽出物の観測された生物学的活性に関係している。
【0185】
これらの抽出手法は、抽出を2工程(すなわち、非極性溶媒を使用する工程、および、極性溶媒を使用する工程)に削減することによって簡略化することができる。加えて、RT抽出の収率は少し低いが、この方法は、生じ得る分解が回避され得るので好ましい。重要な化合物が反復ソックスレー法によってさらに抽出されるかどうかはまだ検討されていない。逐次抽出手法は、活性な成分の単離を最大限にするために用いられるはずであり、本質的には、非極性抽出が最初に行わなければならず、その後、極性抽出が行われることに留意すること。
【0186】
実施例1d−標準的な2段階法によるスベリヒユの抽出
材料および実験手順
標準的な2段階抽出。200gの乾燥スベリヒユ粉砕物を2lの溶媒混合物とともにガラスビーカーに入れ、RTで24hr撹拌した。抽出を、下記の2つの異なる溶媒混合物を用いて順次行った:非極性:ヘキサン−DCM−酢酸エチル(1:1:1)、および、極性:メタノール−エタノール−水(1:1:1)。抽出後、植物材料をろ過して除き、ろ液の溶媒を真空ロタベイパーでエバポレーションし、乾燥した抽出物を集め、重量測定した。残留する植物材料を65℃において乾燥器で乾燥し、その後、さらに抽出した。乾燥抽出物を集め、実施例1aにおいて記載されたようにTLCによって分析した。
【0187】
腸を介したグルコース吸収。下記の実施例4を参照のこと。
【0188】
細胞内へのグルコース輸送。実施例4を参照のこと。
【0189】
結果
抽出収量。下記の表7には、この標準的な2段階抽出の各画分(非極性、極性または残渣)の重量(グラム単位)、植物材料の総量の抽出された対応する百分率、ならびに、物理的特徴に関する所見が示される。
【表7】
【0190】
TLC分析。表8には、UV下および染色によって視認され得るすべてのスポットのRf値として報告されるTLC分析の結果が示される。
【表8】
【0191】
3つのTLCスポット(0.41、0.30および0.17)が両方の抽出手法に共通していた。さらなる分析が、何らかの相関する生物学的活性を示すためには必要である。
【0192】
生物学的活性の分析。抽出物を、実施例4に記載されるように、2つの標準的なバイオアッセイ(腸を介するグルコース吸収、および、細胞へのグルコース輸送)を使用して生物学的活性について分析した。表9には、これら2つのバイオアッセイを使用して測定されたスベリヒユ抽出物の非極性画分および極性画分の生物学的活性がまとめられている。
【表9】
【0193】
考察
スベリヒユの生物活性成分の特定および精製を目指した標準的な抽出手法を開発した。この2段階手法は、非極性抽出、その後の極性抽出からなり、極性画分および非極性画分の両方ならびに生物活性成分の良好な初期分離をもたらした。スベリヒユのこの2段階抽出は、生物活性因子のさらなる精製および特定のための良好な基礎を形成している。
【0194】
実施例2
ヒト糖尿病患者の血中グルコースレベルに対するスベリヒユ抽出物の影響
材料および実験手順
試験被験者。ヒト被験者に対する試験をNazareth地区(イスラエル)の医師および生化学実験室との協力で行った。2群の非インスリン性(2型)糖尿病患者を、血液中のグルコースレベルに対するスベリヒユ抽出物の影響について評価した。患者は、血中グルコースの初期レベルに基づいて2つの群の一方に割り振られた。試験開始時に、第1群の患者における血中グルコースレベルは300mg/dlを超えており、一方、第2群の血中グルコースレベルは300mg/dl未満であった。下記の表10には、試験開始時の血中グルコースレベルが300mg/dlを超えている患者の特徴および臨床履歴が示される。
【表10】
【0195】
下記の表11には、試験開始時の血中グルコースが300mg/dl未満である患者の特徴および臨床履歴が示される。
【表11】
【0196】
患者に投与されるスベリヒユ抽出物の調製。エタノール−水(80%−20%)のスベリヒユ抽出物を、TCP結合剤(β−リン酸三カルシウム)を用いて作製した。抽出を、粉砕乾燥植物材料およびエタノール−水(80−20)を10−90(w/w)の比率で使用して40℃で4時間行った。溶液をろ過し、抽出物を、TCP(商業的に使用されている結合剤物質)の存在下、0℃で真空乾燥した。
製造物の最終組成は25%の抽出物および75%の結合剤物質であった。抽出の収率は8重量%〜9重量%であった。
【0197】
血中グルコースレベルの測定。グルコースを、毎週、12hrの絶食の後、市販のグルコメーターを使用して測定した。
【0198】
結果
スベリヒユのエタノール・水抽出物(標準的な植物ゼラチンカプセルに封入された乾燥粉末)を、何らかの他の薬物治療の非存在下、450mg/日(100mgの活性な抽出物)の投薬量で投与した。図1aおよび図1bのグラフは、血中グルコースが300mg/dlを超えるインスリン非依存性糖尿病患者、および、血中グルコースが300mg/dl未満であるインスリン非依存性糖尿病患者に対するスベリヒユ抽出物の影響をそれぞれ示している。スベリヒユ抽出物は、初期の血中グルコースレベルにもかかわらず、両群のすべての患者においてグルコース血中レベルを正常化することができたことがグラフから明らかである。血中グルコースレベルは、空腹時血中グルコースが126mg/dl(7.0mmol/L)以上であるとき、2時間の経口ブドウ糖負荷試験結果が200mg/dl(11.1mmol/L)以上であるときには、アメリカ糖尿病学会(ADA)の基準に従って糖尿病であると見なされることに留意すること。
【0199】
考察
両群の2型糖尿病患者において、血中グルコースレベルの顕著な低下が観測された。試験開始時の血中グルコースが300mg/dl未満である糖尿病患者は2週間後〜3週間後において正常な血中グルコースレベルを維持した。正常な血中グルコースレベルが、300mg/dlを超える初期レベルを有する糖尿病患者群では4週間後〜5週間後において得られた。
【0200】
実施例3
本発明のスベリヒユ抽出物のインビトロでの毒性作用試験
スベリヒユのインビトロでの生物安全性を多数のインビトロ毒性学アッセイによって検討した。細胞生存性および細胞傷害性(MTTアッセイおよびLDH放出アッセイ)、肝細胞における分化した機能の発現(アルブミン分泌アッセイ)、ならびに、脂質過酸化(酸化ストレスの主要な指標)(MDAアッセイ)に対するスベリヒユ抽出物の影響を調べた。ヒト肝細胞株(HepG2)、肝細胞および単球細胞株(THP1)の同時培養物(これは生理学的な細胞環境を模倣する)、リポ多糖(LPS)(マクロファージおよび肝細胞の知られている活性化因子)により刺激された細胞、ならびに、ヒツジ肝臓の組織ホモジネートを様々な濃度のスベリヒユ抽出物とインキュベーションし、アッセイした。毒性学の測定を伴う標準的手法。2タイプ以上の細胞が調べられる。単球細胞は白血球である。
【0201】
材料および実験手順
植物抽出物。植物抽出物を上記の実施例2に記載されるように作製したが、結合剤を使用しなかっただけである。簡単に記載すると、100gの乾燥植物を、標準的な還流装置において40℃で4時間、900mlのエタノール−水混合物(80−20)により抽出した。抽出物をろ過して、植物残渣を除き、エタノールを50℃における真空中でエバポレーションし、水を乾燥機における40℃での乾燥によって除いた。抽出物(粘着性の粉末化物)をそのまま使用し、使用しないときには冷蔵保存した。
【0202】
細胞培養。スベリヒユ抽出物の潜在的な毒性を、ヒトヘパトプラストーマ細胞株HepG2(ATCC寄託番号HB−8065)および単球細胞株THP1(ATCC寄託番号TIB−202)を使用する細胞培養系で評価した。HepG2細胞株は正常な肝細胞の分化した実質機能を保持しているが、無限に成長することができ、従って長期間の研究を可能にする。THP1細胞およびHepG2細胞を、10%(vol/vol)の不活性化ウシ胎児血清、1%の非必須アミノ酸、1%のグルタミン、100U/mLのペニシリンおよび10μg/mLのストレプトマイシンが補充された高グルコース含有量(4.5g/L)のダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で成長させた。細胞を95%O2−5%CO2の加湿された雰囲気において37℃で維持した。培地のpHを7.4にモニターした。細胞培地を1週間に2回交換した。70%〜80%のコンフルエンスで、細胞を、0.05%トリプシンおよび0.02%EDTAを使用して5分間トリプシン処理し、200gで10分間遠心分離し、培養培地に再懸濁し、マイクロタイターディッシュに置床した。接種後24時間で、細胞を新しい無血清培地において様々な濃度の植物抽出にさらした。
【0203】
MTTアッセイ。2×104個の細胞を96ウエルマイクロタイターディッシュの各ウエルにおいて100μlの培養培地[すなわち、10%(vol/vol)の不活性化ウシ胎児血清、1%の非必須アミノ酸、1%のグルタミン、100U/mLのペニシリンおよび10μg/mLのストレプトマイシンが補充された高グルコース含有量(4.5g/L)のダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)]に接種した。接種後24時間で、細胞を植物の水抽出物の様々な濃度と37℃で24時間インキュベーションした。植物抽出物を各ウエルから除いた後、細胞をリン酸塩緩衝化生理的食塩水(PBS)で洗浄した。その後、細胞を、MTT(0.5mg/ml)が各ウエルに添加された無血清DMEM(10μl)においてインキュベーションし、さらに4時間インキュベーションした。各ウエルに100μLのMTT溶液を加えた(0.5mg/mlのMTTを含む)。その後、培地を除き、細胞を100μlの酸性イソプロパノール(0.08N HCl)と15分間(min)インキュベーションして、ホルマザン血漿を溶解させた。MTTホルマザンの吸光度を酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)読み取り装置で570nmにおいて測定した。生存性を、非処理細胞に対する処理細胞の吸光度の百分率として表される比率として定義した。
【0204】
乳酸デヒドロゲナーゼアッセイ。100μlのDMEM培地(上記参照)における2×104個の細胞を96ウエルマイクロタイターディッシュの各ウエルに接種した。接種後24時間で、細胞を増大する濃度の植物抽出物(0.001mg/ml〜0.5mg/ml)にさらした。24時間のインキュベーションの後、上清を各ウエルから注意深く吸引した。その後、細胞単層を細胞溶解液(100μl)により室温で30分間処理し、得られた溶解物を、マイクロピペットを使用して集めた。LDH活性を、CytoTox96非放射性細胞傷害性アッセイキット(Promega、WI、米国)を製造者の説明書に従って使用して上清および細胞溶解物の両方の画分で測定した。
【0205】
LDHアッセイは、下記の化学反応によって要約される、赤色のホルマザン生成物へのテトラゾリウム塩の変換に基づいている:
【0206】
赤い色の強度はLDH活性に比例する。吸光度を96ウエルプレートELISA読み取り装置で490nmにおいて測定した。細胞から放出されたLDHの割合を、下記の式を使用して求めた:
LDH放出=(上清の吸光度)/(上清+溶解物の吸光度)×100。
【0207】
アルブミン分泌アッセイ。細胞から分泌されたアルブミンの定量を下記のように行った。100μlの培養上清を96ウエルマイクロタイターディッシュにおいて37℃で1時間または4℃で一晩インキュベーションした。洗浄工程の後、非特異的結合部位を、0.5%のウシ血清アルブミン(BSA)を含有するPBSにおいてRTで1時間ブロッキング処理した。2回目の洗浄工程の後、ペルオキシダーゼコンジュゲート化ヤギ抗ラットアルブミン抗体を、1%のBSAを含有するPBSにおいて加え、RTで2時間インキュベーションした。その後、マイクロタイターディッシュを洗浄し、基質(100mMの酢酸Na、50mMのリン酸Naおよび9×10−3%のH2O2における0.5mg/mlの2,2−アジノ−ジ−3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)を加えた。すべての洗浄工程を、PBSを使用してRTで行った。吸収をELISA読み取り装置で405nmにおいて測定した。バックグラウンド値を細胞上清の非存在下で測定し、実験値から引いた。すべてのELISA測定を二連で行った。
【0208】
MDAアッセイ(6)。チオバルビツール酸反応性基質についてのMDA脂質過酸化アッセイを使用する脂質過酸化の測定は、反応が試薬とMDAとの間で生じるときにピンク色を与えるTBARS(チオバルビツール酸)試薬を加えることによってもたらされるMDA(マロンジアルデヒド)の回収に基づいている(Diane W.Morel、Arteriosclerosis、vol.4、No.4、1984)。
【0209】
TBARS試薬の調製。TBARS溶液(作業用試薬)(これは0.12MのTBAを含有する;pH=7.0)を、0.375gのTBA、2.5mlの濃HClおよび15mlの100%TCA(トリクロロ酢酸)の混合物に水を加えて、100mlの最終体積にすることによって調製した。この溶液を、TBAが溶解するまで約40℃に加熱した。
【0210】
10mMのMDAを含有するMDA標準溶液を下記のように調製した。82μlのMDAを3.5mlの濃HClに加え、生理的食塩水(0.9%のNaCl)の添加によって50mlの最終体積にした。100μMのMDAを含有するMDA作業用標準溶液を、MDA標準溶液を生理的食塩水で1:100希釈することによって調製した。
【0211】
MDA標準曲線の調製。試験管を下記の表12に従って準備した。
【表12】
【0212】
各試験管に1mlのTBARS作業用試薬を加え、混合物を激しく撹拌した。100℃で20分間インキュベーションした後、混合物を2000rpmで10分間遠心分離し、上清のO.D.を水ブランクに対して522nmで読み取った。
【0213】
植物抽出物のMDAアッセイ。2mg/mlの植物抽出物溶液を調製し、その後、第1欄に示される濃度で新しい試験管に下記の表13に従って希釈した。
【表13】
【0214】
試験管を、時々振とうしながら、水浴において37℃で30分間インキュベーションした。3500rpm(2900xg)での10分間の遠心分離の後、0.5mlの上清を新しい試験管に移した。1mlのTBARS作業用溶液を加えた後、混合物を激しく撹拌し、100℃で20分間加熱し、その後、2000rpmで10分間遠心分離した。上清のO.D.を水ブランクに対して522nmで読み取った。MDAの量を下記の式に従って標準曲線から計算した:
【0215】
結果
スベリヒユ抽出物は、MTTアッセイによって測定されたとき、インビトロ細胞成長に影響を及ぼさない。テトラゾリウム色素のMTTは、細胞の生存性および/または代謝状態を評価するために広く使用されている。この比色法アッセイは、生細胞におけるミトコンドリアのコハク酸デヒドロゲナーゼによる赤色ホルマザン誘導体への黄色テトラゾリウムブロミド(MTT)の変換に基づいている。
【0216】
HepG2。エタノール−水によるスベリヒユ抽出物の生物安全性を評価するために、HepG2細胞を増大する濃度のスベリヒユ抽出物と24時間インキュベーションした。植物抽出物を各ウエルから除いた後、細胞をPBSで洗浄し、MTTアッセイを、実施例3の材料および実験手順に記載されるように行った。図2において認められるように、スベリヒユ由来の抽出物は、試験された濃度のいずれにおいても明白な負の影響を示さなかった。
【0217】
HepG2およびTHP1の同時培養物。エタノール−水によるスベリヒユ抽出物の生物安全性をさらに評価するために、HepG2細胞および単球細胞株THP1の同時培養物に対する増大する濃度の抽出物の影響を、24時間のインキュベーションの後で、上記に記載されるように行われたMTTアッセイを使用して調べた。図3において認められるように、スベリヒユ由来の抽出物は、試験されたすべての濃度で何らかの負の影響の徴候を全く示さなかった。100μg/ml(試験された最大濃度)まで、抽出物は細胞生存性に対する影響を全く示さなかった。
【0218】
リポ多糖(LPS)により処理されたHepG2およびTHP1の同時培養物。LPSにより活性化された細胞に対する植物抽出物の影響を評価するために、HepG2細胞(2×104個)およびTHP1細胞(5×103個)の同時培養物を96ウエルディッシュの各ウエルにおいて100μlの培地に接種した。接種後24時間で、細胞を、10μg/μlのLPSの非存在下および存在下、37℃で24時間、エタノール−水によるスベリヒユ抽出物の増大する濃度とインキュベーションした。上清を各ウエルから注意深く吸引した後、細胞をPBSで洗浄し、MTTアッセイを、実施例3の材料および実験手順に記載されるように行った。図4には、LPSおよび増大する濃度のスベリヒユ抽出物との一晩の同時インキュベーションの後でのHepG2およびTHP1の同時培養物におけるMTTアッセイの結果がまとめられている。MTT試験は、細胞生存性の低下を、試験された最大レベル(すなわち、500μgr/ml)まで示さなかった。
【0219】
スベリヒユ抽出物は膜の一体性に影響を及ぼさない。膜の一体性を、乳酸のピルビン酸への変換を触媒する乳酸デヒドロゲナーゼ活性(LDH)の測定によって評価することができる。このLDHアッセイでは、もっぱら細胞質ゾルに存在する酵素(LDH)の細胞外培地への漏出が測定される。細胞が破壊されたとき、LDH活性が上昇する。細胞培養培地におけるLDHの存在は、細胞の死または細胞膜における漏出のいずれかに起因する細胞膜に対する損傷を示している。
【0220】
HepG2細胞。HepG2細胞を増大する濃度のスベリヒユ抽出物と24時間インキュベーションし、LDHアッセイを、実施例3の材料および実験手順に記載されるように行った。図5には、LDH漏出が、エタノール−水によるスベリヒユ抽出の増大する濃度との一晩のインキュベーションの後でのHepG2細胞からの総量(すなわち、細胞破壊後のLDHの総量)の百分率としてまとめられている。図6では、エタノール−水によるスベリヒユ抽出物の様々な濃度との一晩のインキュベーションの後でのHepG2−THP1細胞同時培養物からのLDH漏出の百分率がまとめられている。従って、HepG2−THP1細胞とのスベリヒユ抽出物の24時間のインキュベーションは培養培地におけるLDHレベルの著しい変化を誘導しなかった。
【0221】
HepG2およびTHP1のLPS処理された同時培養物。図7には、10μg/mlのLPSおよび増大する濃度のスベリヒユ抽出物との一晩のインキュベーションの後でのHepG2およびTHP1の同時培養細胞からのLDH漏出の百分率がまとめられている。HepG2細胞単独に関して観測されたように、LPS処理されたHepG2およびTHP1の同時培養物の培地におけるLDHレベルは、エタノール−水によるスベリヒユ抽出物とのインキュベーションの後で著しく増大していなかった。
【0222】
スベリヒユ抽出物は細胞機能に影響を及ぼさない。タンパク質の細胞タイプ特異的発現に対するスベリヒユ抽出物の影響を、分化した機能を調べるための手段として検討した。肝臓特異的な機能の発現を、実施例3の材料および実験手順に記載されるようにアルブミン分泌アッセイを使用してHepG2細胞によるアルブミン分泌を測定することによって評価した。図8は、増大する濃度のスベリヒユ抽出物との一晩のインキュベーションの後でのHepG2細胞におけるアルブミン産生を示す。細胞培養培地におけるアルブミンのレベルは、スベリヒユ抽出物とのインキュベーションによって変化しないことが見出された。
【0223】
スベリヒユ抽出物は酸化ストレスを誘導しない。チオバルビツール酸反応性物質(TBARS)を測定する感度は、MDAアッセイを、脂質の過酸化(酸化ストレスの主要な指標)をスクリーニングおよびモニターリングするための優れた方法にしている(1〜3)。この迅速かつ使いやすい手法は、薬物、食品製造物、ならびに、ヒトおよび動物の生物学的組織をはじめとする多くのタイプのサンプルとの使用のために研究者によって改変されている(4〜7)。MDAアッセイは、疾患状態におけるフリーラジカル活性に関する重要な情報を提供しており、いくつかの化合物の抗酸化活性の測定のために使用されている。
【0224】
MDA放出をヒツジ肝臓ホモジネートにおけるスベリヒユ抽出物の濃度の関数として測定した。図9は、ヒツジ肝臓ホモジネートにおける10μMのFeSO4により誘導される脂質過酸化に対する、スベリヒユのアルコール−水抽出物の増大する濃度の結果を示す。フリーラジカル濃度の変化が認められなかった。このことは、抽出物が過酸化プロセスに対して作用を有しないことを示している。
【0225】
考察
MTTアッセイ、LDH放出アッセイ、アルブミン分泌アッセイおよびMDAアッセイは、スベリヒユのエタノール−水抽出物が、1000μg/mlの抽出物濃度まで、毒性作用を全く生じさせず、あるいは、測定されたすべてのパラメーターにおける分化した機能に対する影響も、また、フリーラジカルの濃度に対する影響も何ら生じさせなかったので、スベリヒユのエタノール−水抽出物は生物学的に安全であることを示している。
【0226】
実施例4
スベリヒユ抽出物のインビトロでの効力の試験
上記実施例2の予備実験では、スベリヒユ抽出物が糖尿病患者の血流におけるグルコースレベルを減少させたことが明らかにされた。2型糖尿病の複雑性は、ヒト被験者において観測される効力(この場合、グルコースレベルの減少は、それがどのようにして達成されるかに関しては何ら示さない全体的な作用である)を再現する1つの全般的なインビトロアッセイを開発することを不可能にしている。従って、グルコースの輸送ならびに吸収に対するスベリヒユ抽出物の作用をできる限り忠実に模倣することが重要である。培地(血液)から細胞膜を介して細胞内へのグルコースの輸送を測定するいくつかの標準的なアッセイを利用することができる。加えて、小腸の壁を介した血流内へのグルコース吸収のインビトロ測定(これはグルコース代謝の最初の段階の目安を提供する)を、動物の腸組織を介した吸収を使用してモデル化することができる。2つのアッセイを、グルコースの吸収および輸送に対するスベリヒユ抽出物の影響を明らかにするために行った。
【0227】
実施例4aは腸を介したグルコース吸収に対するスベリヒユ抽出物の影響を記載する。
【0228】
材料および実験手順
腸を介したグルコース吸収に対するスベリヒユ抽出物の影響の測定。長さ10cmのヒツジ小腸を、100mg/mlのD−グルコースおよび関連した量のスベリヒユ抽出物を含有するクレブス溶液を保持する容器に一方の側でつなぎ、回収容器に反対側でつなぎ、その結果、クレブス溶液が腸を通って流れるようにした。系内への溶液の流束は50ml/hr〜55ml/hrであった。腸を、DDWを含有する恒温浴において37℃でインキュベーションした。糖が、腸を介して吸収し、壁を通って水浴に輸送される。浴からのサンプルを15分毎に採取し、サンプルのグルコース濃度を、グルコース濃度を測定するための一般的な方法であるDNS法(これは本明細書中下記に記載される)に従って調べた。
【0229】
DNS試薬の調製。7.49gの3,5−ジニトロサリチル酸(DNS)および14gのNaOHを11のDDWに加え、混合した。溶解したとき、216gのロッシェル塩(酒石酸NaK)、5.37gのフェノールおよび5.86gのメタ重硫酸ナトリウムを加え、混合した。
【0230】
DNS法。3mlのDNS試薬を1mlのサンプルに加え、混合物を沸騰水(100℃)中で5分間インキュベーションし、その後、室温に達するまで氷に移した。O.D.を、分光光度計を使用して640nmで測定し、結果を、0mg/ml、0.2mg/ml、0.4mg/ml、0.6mg/ml、0.8mg/mlおよび1.0mg/mlの濃度でのデキストロースの標準曲線から計算した。
【0231】
結果
図10は、ヒツジの腸を介したグルコース吸収に対するスベリヒユ抽出物の影響を示す。測定値を、そのタンパク質含有量を示す腸サンプルの重量について正規化した。スベリヒユ抽出物が、腸を介したグルコースの輸送を部分的に阻害したことがグラフから明白である。このことは、血流におけるグルコースレベルの減少が生じることを示している。
【0232】
実施例4bは酵母細胞内へのグルコースの輸送に対するスベリヒユ抽出物の影響を記載する。
【0233】
酵母細胞内へのグルコース輸送の測定(これは、長年にわたって使用されている方法である)では、グルコース濃度に対する直接的な応答である、活性の指標としての酵母細胞によるCO2の発生が利用される。
【0234】
材料および実験手順
グルコース輸送アッセイ。2.5mlのパン酵母(Saccharomyces cerevisiae)のストック溶液(40mg/ml)、および、増大する量(0.05mg/mlから0.5mg/mlまで)のスベリヒユ抽出物のストック溶液(1mg/mlの標準的なエタノール−水(80:20)抽出物、その体積は合計で24mlに調節された)を100mlの血清ボトルに加えた。血清ボトルを窒素下で維持し、ガス発生を測定するために目盛り付きマノメーターにつないだ。実験はまた、スベリヒユ抽出物を含まない酵母溶液からなるブランクを用いても行われた。
【0235】
血清ボトルを恒温振とう器浴において37℃で振とうした。CO2の発生が直ちに始まるが、系が平衡に達したときすぐに止まる。その時点で0.15g/mlのグルコースの1mlを加え、放出されたCO2の量を、1hrの期間にわたって5分毎に時間の関数として測定し、記録した。1hr後、実験を停止した。記録されたCO2の量を、1gCO2=2.04gグルコースの変換に基づいてグルコースのmgに変換した。スベリヒユ抽出物の存在下および非存在下で消費されたグルコースの量をグラフに経時的に示した。
【0236】
結果
測定された数の酵母細胞を制御された条件のもとで維持し、特定量のグルコースを与え、CO2の発生を測定した。実験を二連で行い、それにより、スベリヒユ抽出物を、第2の実験ではグルコースに加えて加えた。発生したCO2の量の変化は、細胞内へのグルコース輸送に対するスベリヒユ抽出物の影響の尺度である。
【0237】
スベリヒユ抽出物が酵母細胞のCO2産出を増大させたことが、酵母細胞におけるグルコース取り込みに対するスベリヒユ抽出物の影響をまとめる図11から明白である。このことは、増大した活性が、スベリヒユ抽出物によって生じた細胞内へのグルコース輸送の増大に起因することを示している。
【0238】
考察
上記のインビトロ実験は、ヒト糖尿病被験者に対する予備的試験と同様に、スベリヒユ抽出物が生物学的に安全であり、かつ、血流中のグルコースレベルの減少において効果的であることを明らかにしている。
【0239】
インビトロ実験は、抽出物が、小腸を介したグルコースの吸収だけでなく、細胞内へのグルコースの輸送に影響を及ぼすことを示している。このことは、少なくとも2つの有効成分が存在することを示し得る。抽出物の精製および活性成分の単離は、抽出物の機構のより詳細な研究を可能にする。
【0240】
明確にするため別個の実施態様で説明されている本発明の特定の特徴は単一の実施態様に組み合わせて提供することもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施態様で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで提供することもできる。
【0241】
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更及び変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更及び変形すべてを包含するものである。本願で挙げた刊行物、特許、特許願及びGenBankアセッション番号はすべて、個々の刊行物、特許、特許願及びGenBankアセッション番号が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用又は確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。
【0242】
【図面の簡単な説明】
【0243】
【図1】血中グルコースレベルが試験開始時に300mg/dlを超えるインスリン非依存性糖尿病患者(図1a)、および、血中グルコースレベルが試験開始時に300mg/dl未満であるインスリン非依存性糖尿病患者(図1b)における血中グルコースレベルに対するスベリヒユ抽出物の影響を示すグラフである。
【図2】MTTアッセイを使用して測定されたときの、HepG2細胞の生存性に対するスベリヒユ抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである。
【図3】MTTアッセイを使用して測定されたときの、HepG2およびTHP1の同時培養物の生存性に対するスベリヒユ抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである。
【図4】MTTアッセイを使用して測定されたときの、LPSにより刺激されたHepG2およびTHP1の同時培養物の生存性に対するスベリヒユ抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである。
【図5】LDHアッセイを使用して測定されたときの、HepG2細胞からの総LDH放出(細胞を完全に破壊した後でのLDH濃度、培地中へのLDHの放出最大量)の百分率としてのLDH放出に対するスベリヒユ抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである。
【図6】LDHアッセイを使用して測定されたときの、HepG2細胞およびTHP1細胞の同時培養物からのLDH放出の百分率に対するスベリヒユ抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである。
【図7】LDHアッセイによる、LPS刺激されたHepG2およびTHP1の同時培養物からのLDH放出の百分率に対するスベリヒユ抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである。
【図8】アルブミン分泌アッセイを使用して測定されたときの、HepG2細胞におけるアルブミン産生に対するスベリヒユ抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである。
【図9】MDAアッセイを使用したときの、ヒツジ肝臓ホモジネートにおける10μMのFeSO4により誘導される脂質過酸化に対するスベリヒユのアルコール・水抽出物の増大する濃度の影響を示す棒グラフである(n=3)。
【図10】時間の関数としての、ヒツジ腸を介するグルコース吸収に対するスベリヒユ抽出物の影響を示す線グラフである。
【図11】酵母細胞におけるグルコース取り込みに対するスベリヒユ抽出物の影響を示す線グラフである。
【図12】活性成分を植物から精製するための段階毎の手順を例示する流れ図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スベリヒユ(Portulaca oleracea L.)から高血糖防止作用物質を単離する方法であって、極性成分をスベリヒユから抽出し、それによりスベリヒユから高血糖防止作用物質を単離することを含む方法。
【請求項2】
前記抽出は、極性が増大する溶媒グラジエントを用いることによって行われる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抽出はエタノール−水抽出によって行われる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記極性が増大する溶媒は、ヘキサン、酢酸エチル、ジクロロメタン、メタノールおよび水である請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記極性が増大する溶媒は、ヘキサン:ジクロロメタン:酢酸エチル(1:1:1)およびメタノール:エタノール:水(1:1:1)である請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記極性成分を前記抽出物から精製することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記極性成分を前記抽出物から精製することは薄層クロマトグラフィーによって行なわれる請求項6に記載の方法。
【請求項8】
スベリヒユから高血糖防止作用物質を単離する方法であって、非極性成分をスベリヒユから抽出し、それによりスベリヒユから高血糖防止作用物質を精製することを含む方法。
【請求項9】
前記抽出は、非極性溶媒を使用して行われる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記抽出はエタノール−水抽出によって行われる請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記非極性溶媒は、ヘキサン、ジクロロメタンおよび酢酸エチルからなる群から選択される請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記非極性成分を前記抽出物から精製することをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記非極性成分を前記抽出物から精製することは薄層クロマトグラフィーによって行われる請求項12に記載の方法。
【請求項14】
スベリヒユのエタノール−水抽出物を含む組成物。
【請求項15】
前記エタノール−水の比は80%−20%である請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記スベリヒユのエタノール−水抽出物は、血中グルコースレベルを低下させることができる請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
前記スベリヒユのエタノール−水抽出物は、細胞内へのグルコース輸送を増加させかつ/または腸を介したグルコース吸収を減少させることができる請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
スベリヒユの極性画分抽出物を含む組成物。
【請求項19】
前記極性抽出物は血液中のグルコースレベルを低下させることができる請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記極性抽出物は細胞内へのグルコース輸送を増加させることができる請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0〜0.45の範囲にRf値を有する請求項18に記載の組成物。
【請求項22】
前記組成物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0〜0.32の範囲にRf値を有する請求項18に記載の組成物。
【請求項23】
前記組成物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17〜0.41の範囲にRf値を有する請求項18に記載の組成物。
【請求項24】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノールを使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0、0.31、0.34、0.36、0.39および0.45からなる群から選択されるRf値を有する請求項18に記載の組成物。
【請求項25】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、水を使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0のRf値を有する請求項18に記載の組成物。
【請求項26】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノールを用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0、0.15、0.30および0.32からなる群から選択されるRf値を有する請求項18に記載の組成物。
【請求項27】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノール:エタノール:水を1:1:1の比率で用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17、0.27、0.30、0.34、0.39および0.41からなる群から選択されるRf値を有する請求項18に記載の組成物。
【請求項28】
血中グルコースレベルを低下させるための、スベリヒユの極性抽出物を含む組成物の使用。
【請求項29】
前記極性抽出物は細胞内へのグルコース輸送を増加させることができる請求項28に記載の使用。
【請求項30】
前記組成物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0〜0.45の範囲にRf値を有する請求項28に記載の使用。
【請求項31】
前記組成物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0〜0.32の範囲にRf値を有する請求項28に記載の使用。
【請求項32】
前記組成物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17〜0.41の範囲にRf値を有する請求項28に記載の使用。
【請求項33】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノールを使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0、0.31、0.34、0.36、0.39および0.45からなる群から選択されるRf値を有する請求項28に記載の使用。。
【請求項34】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、水を使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0のRf値を有する請求項28に記載の使用。。
【請求項35】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノールを用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0、0.15、0.30および0.32からなる群から選択されるRf値を有する請求項28に記載の使用。
【請求項36】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノール:エタノール:水を1:1:1の比率で用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17、0.27、0.30、0.34、0.39および0.41からなる群から選択されるRf値を有する請求項18に記載の使用。
【請求項37】
スベリヒユの非極性画分抽出物を含む組成物。
【請求項38】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物はヒドロコロイドを含まない請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記非極性抽出物は血中グルコースレベルを減少させることができる請求項37に記載の組成物。
【請求項40】
前記非極性抽出物は腸を介したグルコース吸収を減少させることができる請求項37に記載の組成物。
【請求項41】
前記組成物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11〜0.89の範囲にRf値を有する請求項37に記載の組成物。
【請求項42】
前記組成物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11〜0.88の範囲にRf値を有する請求項37に記載の組成物。
【請求項43】
前記組成物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17〜0.91の範囲にRf値を有する請求項37に記載の組成物。
【請求項44】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサンを使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.36、0.45、0.52、0.71および0.88からなる群から選択されるRf値を有する請求項37に記載の組成物。
【請求項45】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、酢酸エチルを使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11、0.18、0.31、0.36、0.45、0.52および0.71からなる群から選択されるRf値を有する請求項37に記載の組成物。
【請求項46】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサンを使用して抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.3、0.32、0.41、0.47および0.89からなる群から選択されるRf値を有する請求項37に記載の組成物。
【請求項47】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、酢酸エチルを使用して抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.15、0.36、0.47、0.73および0.89からなる群から選択されるRf値を有する請求項37に記載の組成物。
【請求項48】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサン:DCM:酢酸エチルを1:1:1の比率で用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17、0.30、0.36、0.41、0.68および0.91からなる群から選択されるRf値を有する請求項37に記載の組成物。
【請求項49】
血中グルコースレベルを低下させるための、スベリヒユの非極性抽出物を含む組成物の使用。
【請求項50】
前記組成物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11〜0.89の範囲にRf値を有する請求項49に記載の使用。
【請求項51】
前記組成物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11〜0.88の範囲にRf値を有する請求項49に記載の使用。
【請求項52】
前記組成物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17〜0.91の範囲にRf値を有する請求項49に記載の使用。
【請求項53】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサンを使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.36、0.45、0.52、0.71および0.88からなる群から選択されるRf値を有する請求項49に記載の使用。
【請求項54】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、酢酸エチルを使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11、0.18、0.31、0.36、0.45、0.52および0.71からなる群から選択されるRf値を有する請求項49に記載の使用。
【請求項55】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサンを使用して抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.3、0.32、0.41、0.47および0.89からなる群から選択されるRf値を有する請求項49に記載の使用。
【請求項56】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、酢酸エチルを使用して抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.15、0.36、0.47、0.73および0.89からなる群から選択されるRf値を有する請求項49に記載の使用。
【請求項57】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサン:DCM:酢酸エチルを1:1:1の比率で用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17、0.30、0.36、0.41、0.68および0.91からなる群から選択されるRf値を有する請求項49に記載の使用。
【請求項58】
血中グルコースレベルを低下させるための、スベリヒユのエタノール−水抽出物を含む組成物の使用。
【請求項59】
スベリヒユの極性画分抽出物を含む組成物の治療効果的な量と、医薬的に許容され得るキャリアまたは希釈剤とを含む、血中グルコースレベルを低下させるための医薬組成物。
【請求項60】
前記極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0〜0.45の範囲にRf値を有する請求項59に記載の医薬組成物。
【請求項61】
前記極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0〜0.32の範囲にRf値を有する請求項59に記載の医薬組成物。
【請求項62】
前記極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17〜0.41の範囲にRf値を有する請求項59に記載の医薬組成物。
【請求項63】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノールを使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0、0.31、0.34、0.36、0.39および0.45からなる群から選択されるRf値を有する請求項59に記載の医薬組成物。
【請求項64】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、水を使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0のRf値を有する請求項59に記載の医薬組成物。
【請求項65】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノールを用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0、0.15、0.30および0.32からなる群から選択されるRf値を有する請求項59に記載の医薬組成物。
【請求項66】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノール:エタノール:水を1:1:1の比率で用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17、0.27、0.30、0.34、0.39および0.41からなる群から選択されるRf値を有する請求項59に記載の医薬組成物。
【請求項67】
スベリヒユの非極性画分抽出物を含む組成物の治療効果的な量と、医薬的に許容され得るキャリアまたは希釈剤とを含む、血中グルコースレベルを低下させるための医薬組成物。
【請求項68】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物はヒドロコロイドを含まない請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項69】
前記非極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11〜0.89の範囲にRf値を有する請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項70】
前記非極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11〜0.88の範囲にRf値を有する請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項71】
前記非極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17〜0.91の範囲にRf値を有する請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項72】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサンを使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.36、0.45、0.52、0.71および0.88からなる群から選択されるRf値を有する請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項73】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、酢酸エチルを使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11、0.18、0.31、0.36、0.45、0.52および0.71からなる群から選択されるRf値を有する請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項74】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサンを使用して抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.3、0.32、0.41、0.47および0.89からなる群から選択されるRf値を有する請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項75】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、酢酸エチルを使用して抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.15、0.36、0.47、0.73および0.89からなる群から選択されるRf値を有する請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項76】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサン:DCM:酢酸エチルを1:1:1の比率で用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17、0.30、0.36、0.41、0.68および0.91からなる群から選択されるRf値を有する請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項77】
スベリヒユのエタノール−水抽出物を含む組成物の治療効果的な量と、医薬的に許容され得るキャリアまたは希釈剤とを含む、血中グルコースレベルを低下させるための医薬組成物。
【請求項78】
対象における高血糖関連疾患を処置する方法であって、スベリヒユのエタノール−水抽出物を含む組成物の治療効果的な量をその必要性のある対象に投与し、それにより対象における高血糖関連疾患を処置することを含む方法。
【請求項79】
対象における高血糖関連疾患を処置する方法であって、スベリヒユの極性画分抽出物を含む組成物の治療効果的な量をその必要性のある対象に投与し、それにより対象における高血糖関連疾患を処置することを含む方法。
【請求項80】
高血糖関連疾患は、糖尿病、クッシング病、クッシング症候群、摂食障害、損なわれたグルコース耐性、腎糸球体微小血管障害、びまん性糸球体硬化症、結節性糸球体硬化症、尿路感染症、急性腎盂腎炎、壊死性乳頭炎、気腫性腎盂腎炎、グリコーゲンネフローゼ(アルマンニ−エブシュタイン病変)、網膜症、非増殖性網膜症、毛細血管瘤、網膜浮腫滲出物、出血、増殖性網膜症、小血管の増殖、出血性線維症、網膜剥離、白内障、レンズの浸透圧変化による一過性の屈折異常、虹彩における血管の増殖による緑内障、網膜感染症、脳血管のアテローム硬化性疾患、神経障害、皮膚感染症、冠状動脈のアテローム性動脈硬化、心筋梗塞、末梢のアテローム性動脈硬化:四肢虚血、壊疽、増大した胎児死亡率、増大した感染感受性、および、遅れた創傷治癒からなる群から選択される請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記極性抽出物は血中グルコースレベルを減少させることができる請求項79に記載の方法。
【請求項82】
前記極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0〜0.45の範囲にRf値を有する請求項79に記載の方法。
【請求項83】
前記極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0〜0.32の範囲にRf値を有する請求項79に記載の方法。
【請求項84】
前記極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17〜0.41の範囲にRf値を有する請求項79に記載の方法。
【請求項85】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノールを使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0、0.31、0.34、0.36、0.39および0.45からなる群から選択されるRf値を有する請求項79に記載の方法。
【請求項86】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、水を使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0のRf値を有する請求項79に記載の方法。
【請求項87】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノールを用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0、0.15、0.30および0.32からなる群から選択されるRf値を有する請求項79に記載の方法。
【請求項88】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノール:エタノール:水を1:1:1の比率で用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17、0.27、0.30、0.34、0.39および0.41からなる群から選択されるRf値を有する請求項79に記載の方法。
【請求項89】
対象における高血糖関連疾患を処置する方法であって、スベリヒユの非極性画分抽出物を含む組成物の治療効果的な量をその必要性のある対象に投与し、それにより対象における高血糖関連疾患を処置することを含む方法。
【請求項90】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物はヒドロコロイドを含まない請求項89に記載の方法。
【請求項91】
高血糖関連疾患は、糖尿病、クッシング病、クッシング症候群、摂食障害、損なわれたグルコース耐性、腎糸球体微小血管障害、びまん性糸球体硬化症、結節性糸球体硬化症、尿路感染症、急性腎盂腎炎、壊死性乳頭炎、気腫性腎盂腎炎、グリコーゲンネフローゼ(アルマンニ−エブシュタイン病変)、網膜症、非増殖性網膜症、毛細血管瘤、網膜浮腫滲出物、出血、増殖性網膜症、小血管の増殖、出血性線維症、網膜剥離、白内障、レンズの浸透圧変化による一過性の屈折異常、虹彩における血管の増殖による緑内障、網膜感染症、脳血管のアテローム硬化性疾患、神経障害、皮膚感染症、冠状動脈のアテローム性動脈硬化、心筋梗塞、末梢のアテローム性動脈硬化:四肢虚血、壊疽、増大した胎児死亡率、増大した感染感受性、および、遅れた創傷治癒からなる群から選択される請求項89に記載の方法。
【請求項92】
前記非極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11〜0.89の範囲にRf値を有する請求項89に記載の方法。
【請求項93】
前記非極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11〜0.88の範囲にRf値を有する請求項89に記載の方法。
【請求項94】
前記非極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17〜0.91の範囲にRf値を有する請求項89に記載の方法。
【請求項95】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサンを使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.36、0.45、0.52、0.71および0.88からなる群から選択されるRf値を有する請求項89に記載の方法。
【請求項96】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、酢酸エチルを使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11、0.18、0.31、0.36、0.45、0.52および0.71からなる群から選択されるRf値を有する請求項89に記載の方法。
【請求項97】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサンを用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.3、0.32、0.41、0.47および0.89からなる群から選択されるRf値を有する請求項89に記載の方法。
【請求項98】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、酢酸エチルを用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.15、0.36、0.47、0.73および0.89からなる群から選択されるRf値を有する請求項89に記載の方法。
【請求項99】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサン:DCM:酢酸エチルを1:1:1の割合で用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17、0.30、0.36、0.41、0.68および0.91からなる群から選択されるRf値を有する請求項89に記載の方法。
【請求項100】
血液中のグルコースレベルを調節するための作用物質を特定する方法であって
(a)スベリヒユの抽出物を分画化し、それにより複数の画分を得ること;および
(b)血液中のグルコースレベルを調節することができる少なくとも1つの画分を前記複数の画分から特定し、それにより血液中のグルコースレベルを調節するための作用物質を特定すること
を含む方法。
【請求項101】
前記分画化は、極性が増大する溶媒グラジエントを用いて行われる請求項100に記載の方法。
【請求項102】
工程(b)は、(i)腸を介したグルコース吸収および/または(ii)細胞内へのグルコース輸送に対する前記画分の影響を調べることによって行われる請求項101に記載の方法。
【請求項1】
スベリヒユ(Portulaca oleracea L.)から高血糖防止作用物質を単離する方法であって、極性成分をスベリヒユから抽出し、それによりスベリヒユから高血糖防止作用物質を単離することを含む方法。
【請求項2】
前記抽出は、極性が増大する溶媒グラジエントを用いることによって行われる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抽出はエタノール−水抽出によって行われる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記極性が増大する溶媒は、ヘキサン、酢酸エチル、ジクロロメタン、メタノールおよび水である請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記極性が増大する溶媒は、ヘキサン:ジクロロメタン:酢酸エチル(1:1:1)およびメタノール:エタノール:水(1:1:1)である請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記極性成分を前記抽出物から精製することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記極性成分を前記抽出物から精製することは薄層クロマトグラフィーによって行なわれる請求項6に記載の方法。
【請求項8】
スベリヒユから高血糖防止作用物質を単離する方法であって、非極性成分をスベリヒユから抽出し、それによりスベリヒユから高血糖防止作用物質を精製することを含む方法。
【請求項9】
前記抽出は、非極性溶媒を使用して行われる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記抽出はエタノール−水抽出によって行われる請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記非極性溶媒は、ヘキサン、ジクロロメタンおよび酢酸エチルからなる群から選択される請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記非極性成分を前記抽出物から精製することをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記非極性成分を前記抽出物から精製することは薄層クロマトグラフィーによって行われる請求項12に記載の方法。
【請求項14】
スベリヒユのエタノール−水抽出物を含む組成物。
【請求項15】
前記エタノール−水の比は80%−20%である請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記スベリヒユのエタノール−水抽出物は、血中グルコースレベルを低下させることができる請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
前記スベリヒユのエタノール−水抽出物は、細胞内へのグルコース輸送を増加させかつ/または腸を介したグルコース吸収を減少させることができる請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
スベリヒユの極性画分抽出物を含む組成物。
【請求項19】
前記極性抽出物は血液中のグルコースレベルを低下させることができる請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記極性抽出物は細胞内へのグルコース輸送を増加させることができる請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0〜0.45の範囲にRf値を有する請求項18に記載の組成物。
【請求項22】
前記組成物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0〜0.32の範囲にRf値を有する請求項18に記載の組成物。
【請求項23】
前記組成物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17〜0.41の範囲にRf値を有する請求項18に記載の組成物。
【請求項24】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノールを使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0、0.31、0.34、0.36、0.39および0.45からなる群から選択されるRf値を有する請求項18に記載の組成物。
【請求項25】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、水を使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0のRf値を有する請求項18に記載の組成物。
【請求項26】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノールを用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0、0.15、0.30および0.32からなる群から選択されるRf値を有する請求項18に記載の組成物。
【請求項27】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノール:エタノール:水を1:1:1の比率で用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17、0.27、0.30、0.34、0.39および0.41からなる群から選択されるRf値を有する請求項18に記載の組成物。
【請求項28】
血中グルコースレベルを低下させるための、スベリヒユの極性抽出物を含む組成物の使用。
【請求項29】
前記極性抽出物は細胞内へのグルコース輸送を増加させることができる請求項28に記載の使用。
【請求項30】
前記組成物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0〜0.45の範囲にRf値を有する請求項28に記載の使用。
【請求項31】
前記組成物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0〜0.32の範囲にRf値を有する請求項28に記載の使用。
【請求項32】
前記組成物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17〜0.41の範囲にRf値を有する請求項28に記載の使用。
【請求項33】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノールを使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0、0.31、0.34、0.36、0.39および0.45からなる群から選択されるRf値を有する請求項28に記載の使用。。
【請求項34】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、水を使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0のRf値を有する請求項28に記載の使用。。
【請求項35】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノールを用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0、0.15、0.30および0.32からなる群から選択されるRf値を有する請求項28に記載の使用。
【請求項36】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノール:エタノール:水を1:1:1の比率で用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17、0.27、0.30、0.34、0.39および0.41からなる群から選択されるRf値を有する請求項18に記載の使用。
【請求項37】
スベリヒユの非極性画分抽出物を含む組成物。
【請求項38】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物はヒドロコロイドを含まない請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記非極性抽出物は血中グルコースレベルを減少させることができる請求項37に記載の組成物。
【請求項40】
前記非極性抽出物は腸を介したグルコース吸収を減少させることができる請求項37に記載の組成物。
【請求項41】
前記組成物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11〜0.89の範囲にRf値を有する請求項37に記載の組成物。
【請求項42】
前記組成物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11〜0.88の範囲にRf値を有する請求項37に記載の組成物。
【請求項43】
前記組成物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17〜0.91の範囲にRf値を有する請求項37に記載の組成物。
【請求項44】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサンを使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.36、0.45、0.52、0.71および0.88からなる群から選択されるRf値を有する請求項37に記載の組成物。
【請求項45】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、酢酸エチルを使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11、0.18、0.31、0.36、0.45、0.52および0.71からなる群から選択されるRf値を有する請求項37に記載の組成物。
【請求項46】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサンを使用して抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.3、0.32、0.41、0.47および0.89からなる群から選択されるRf値を有する請求項37に記載の組成物。
【請求項47】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、酢酸エチルを使用して抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.15、0.36、0.47、0.73および0.89からなる群から選択されるRf値を有する請求項37に記載の組成物。
【請求項48】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサン:DCM:酢酸エチルを1:1:1の比率で用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17、0.30、0.36、0.41、0.68および0.91からなる群から選択されるRf値を有する請求項37に記載の組成物。
【請求項49】
血中グルコースレベルを低下させるための、スベリヒユの非極性抽出物を含む組成物の使用。
【請求項50】
前記組成物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11〜0.89の範囲にRf値を有する請求項49に記載の使用。
【請求項51】
前記組成物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11〜0.88の範囲にRf値を有する請求項49に記載の使用。
【請求項52】
前記組成物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17〜0.91の範囲にRf値を有する請求項49に記載の使用。
【請求項53】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサンを使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.36、0.45、0.52、0.71および0.88からなる群から選択されるRf値を有する請求項49に記載の使用。
【請求項54】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、酢酸エチルを使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11、0.18、0.31、0.36、0.45、0.52および0.71からなる群から選択されるRf値を有する請求項49に記載の使用。
【請求項55】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサンを使用して抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.3、0.32、0.41、0.47および0.89からなる群から選択されるRf値を有する請求項49に記載の使用。
【請求項56】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、酢酸エチルを使用して抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.15、0.36、0.47、0.73および0.89からなる群から選択されるRf値を有する請求項49に記載の使用。
【請求項57】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサン:DCM:酢酸エチルを1:1:1の比率で用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17、0.30、0.36、0.41、0.68および0.91からなる群から選択されるRf値を有する請求項49に記載の使用。
【請求項58】
血中グルコースレベルを低下させるための、スベリヒユのエタノール−水抽出物を含む組成物の使用。
【請求項59】
スベリヒユの極性画分抽出物を含む組成物の治療効果的な量と、医薬的に許容され得るキャリアまたは希釈剤とを含む、血中グルコースレベルを低下させるための医薬組成物。
【請求項60】
前記極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0〜0.45の範囲にRf値を有する請求項59に記載の医薬組成物。
【請求項61】
前記極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0〜0.32の範囲にRf値を有する請求項59に記載の医薬組成物。
【請求項62】
前記極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17〜0.41の範囲にRf値を有する請求項59に記載の医薬組成物。
【請求項63】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノールを使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0、0.31、0.34、0.36、0.39および0.45からなる群から選択されるRf値を有する請求項59に記載の医薬組成物。
【請求項64】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、水を使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0のRf値を有する請求項59に記載の医薬組成物。
【請求項65】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノールを用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0、0.15、0.30および0.32からなる群から選択されるRf値を有する請求項59に記載の医薬組成物。
【請求項66】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノール:エタノール:水を1:1:1の比率で用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17、0.27、0.30、0.34、0.39および0.41からなる群から選択されるRf値を有する請求項59に記載の医薬組成物。
【請求項67】
スベリヒユの非極性画分抽出物を含む組成物の治療効果的な量と、医薬的に許容され得るキャリアまたは希釈剤とを含む、血中グルコースレベルを低下させるための医薬組成物。
【請求項68】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物はヒドロコロイドを含まない請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項69】
前記非極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11〜0.89の範囲にRf値を有する請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項70】
前記非極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11〜0.88の範囲にRf値を有する請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項71】
前記非極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17〜0.91の範囲にRf値を有する請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項72】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサンを使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.36、0.45、0.52、0.71および0.88からなる群から選択されるRf値を有する請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項73】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、酢酸エチルを使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11、0.18、0.31、0.36、0.45、0.52および0.71からなる群から選択されるRf値を有する請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項74】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサンを使用して抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.3、0.32、0.41、0.47および0.89からなる群から選択されるRf値を有する請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項75】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、酢酸エチルを使用して抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.15、0.36、0.47、0.73および0.89からなる群から選択されるRf値を有する請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項76】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサン:DCM:酢酸エチルを1:1:1の比率で用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17、0.30、0.36、0.41、0.68および0.91からなる群から選択されるRf値を有する請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項77】
スベリヒユのエタノール−水抽出物を含む組成物の治療効果的な量と、医薬的に許容され得るキャリアまたは希釈剤とを含む、血中グルコースレベルを低下させるための医薬組成物。
【請求項78】
対象における高血糖関連疾患を処置する方法であって、スベリヒユのエタノール−水抽出物を含む組成物の治療効果的な量をその必要性のある対象に投与し、それにより対象における高血糖関連疾患を処置することを含む方法。
【請求項79】
対象における高血糖関連疾患を処置する方法であって、スベリヒユの極性画分抽出物を含む組成物の治療効果的な量をその必要性のある対象に投与し、それにより対象における高血糖関連疾患を処置することを含む方法。
【請求項80】
高血糖関連疾患は、糖尿病、クッシング病、クッシング症候群、摂食障害、損なわれたグルコース耐性、腎糸球体微小血管障害、びまん性糸球体硬化症、結節性糸球体硬化症、尿路感染症、急性腎盂腎炎、壊死性乳頭炎、気腫性腎盂腎炎、グリコーゲンネフローゼ(アルマンニ−エブシュタイン病変)、網膜症、非増殖性網膜症、毛細血管瘤、網膜浮腫滲出物、出血、増殖性網膜症、小血管の増殖、出血性線維症、網膜剥離、白内障、レンズの浸透圧変化による一過性の屈折異常、虹彩における血管の増殖による緑内障、網膜感染症、脳血管のアテローム硬化性疾患、神経障害、皮膚感染症、冠状動脈のアテローム性動脈硬化、心筋梗塞、末梢のアテローム性動脈硬化:四肢虚血、壊疽、増大した胎児死亡率、増大した感染感受性、および、遅れた創傷治癒からなる群から選択される請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記極性抽出物は血中グルコースレベルを減少させることができる請求項79に記載の方法。
【請求項82】
前記極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0〜0.45の範囲にRf値を有する請求項79に記載の方法。
【請求項83】
前記極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0〜0.32の範囲にRf値を有する請求項79に記載の方法。
【請求項84】
前記極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17〜0.41の範囲にRf値を有する請求項79に記載の方法。
【請求項85】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノールを使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0、0.31、0.34、0.36、0.39および0.45からなる群から選択されるRf値を有する請求項79に記載の方法。
【請求項86】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、水を使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0のRf値を有する請求項79に記載の方法。
【請求項87】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノールを用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.0、0.15、0.30および0.32からなる群から選択されるRf値を有する請求項79に記載の方法。
【請求項88】
前記スベリヒユの極性画分抽出物は、メタノール:エタノール:水を1:1:1の比率で用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17、0.27、0.30、0.34、0.39および0.41からなる群から選択されるRf値を有する請求項79に記載の方法。
【請求項89】
対象における高血糖関連疾患を処置する方法であって、スベリヒユの非極性画分抽出物を含む組成物の治療効果的な量をその必要性のある対象に投与し、それにより対象における高血糖関連疾患を処置することを含む方法。
【請求項90】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物はヒドロコロイドを含まない請求項89に記載の方法。
【請求項91】
高血糖関連疾患は、糖尿病、クッシング病、クッシング症候群、摂食障害、損なわれたグルコース耐性、腎糸球体微小血管障害、びまん性糸球体硬化症、結節性糸球体硬化症、尿路感染症、急性腎盂腎炎、壊死性乳頭炎、気腫性腎盂腎炎、グリコーゲンネフローゼ(アルマンニ−エブシュタイン病変)、網膜症、非増殖性網膜症、毛細血管瘤、網膜浮腫滲出物、出血、増殖性網膜症、小血管の増殖、出血性線維症、網膜剥離、白内障、レンズの浸透圧変化による一過性の屈折異常、虹彩における血管の増殖による緑内障、網膜感染症、脳血管のアテローム硬化性疾患、神経障害、皮膚感染症、冠状動脈のアテローム性動脈硬化、心筋梗塞、末梢のアテローム性動脈硬化:四肢虚血、壊疽、増大した胎児死亡率、増大した感染感受性、および、遅れた創傷治癒からなる群から選択される請求項89に記載の方法。
【請求項92】
前記非極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11〜0.89の範囲にRf値を有する請求項89に記載の方法。
【請求項93】
前記非極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11〜0.88の範囲にRf値を有する請求項89に記載の方法。
【請求項94】
前記非極性画分抽出物は、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17〜0.91の範囲にRf値を有する請求項89に記載の方法。
【請求項95】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサンを使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.36、0.45、0.52、0.71および0.88からなる群から選択されるRf値を有する請求項89に記載の方法。
【請求項96】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、酢酸エチルを使用してソックスレー抽出によって抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.11、0.18、0.31、0.36、0.45、0.52および0.71からなる群から選択されるRf値を有する請求項89に記載の方法。
【請求項97】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサンを用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.3、0.32、0.41、0.47および0.89からなる群から選択されるRf値を有する請求項89に記載の方法。
【請求項98】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、酢酸エチルを用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.15、0.36、0.47、0.73および0.89からなる群から選択されるRf値を有する請求項89に記載の方法。
【請求項99】
前記スベリヒユの非極性画分抽出物は、ヘキサン:DCM:酢酸エチルを1:1:1の割合で用いて抽出され、かつ、ジクロロメタン:ヘキサン:メタノールの1:1:0.2の割合での溶媒を使用してアルミニウム上でのシリカゲル60F254での薄層クロマトグラフィー分画化に供されたとき、0.17、0.30、0.36、0.41、0.68および0.91からなる群から選択されるRf値を有する請求項89に記載の方法。
【請求項100】
血液中のグルコースレベルを調節するための作用物質を特定する方法であって
(a)スベリヒユの抽出物を分画化し、それにより複数の画分を得ること;および
(b)血液中のグルコースレベルを調節することができる少なくとも1つの画分を前記複数の画分から特定し、それにより血液中のグルコースレベルを調節するための作用物質を特定すること
を含む方法。
【請求項101】
前記分画化は、極性が増大する溶媒グラジエントを用いて行われる請求項100に記載の方法。
【請求項102】
工程(b)は、(i)腸を介したグルコース吸収および/または(ii)細胞内へのグルコース輸送に対する前記画分の影響を調べることによって行われる請求項101に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2007−515475(P2007−515475A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546473(P2006−546473)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【国際出願番号】PCT/IL2004/001155
【国際公開番号】WO2005/060349
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(506215157)ディ−ハーブ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【国際出願番号】PCT/IL2004/001155
【国際公開番号】WO2005/060349
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(506215157)ディ−ハーブ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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