説明

スペクトルデータからノイズを除去するシステム及び方法

【課題】質量分析計から得られるスペクトル等の分光データのノイズを低減する、コンピュータにより実施される方法を提供する。
【解決手段】存在値をそれぞれ有する複数のスペクトルデータ点で構成される1つまたは複数のスペクトルデータスキャンを分光器から受け取る。ノイズバーストレベルを定義して、あるスペクトル点の強度がバーストレベルよりも大きい時、その隣接点を調べる。隣接点に相関があって離散イベントであることが示された場合には、バースト点の存在値を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的にはデータのノイズ低減に関し、特に、質量分析計から得られるスペクトル等の分光データのノイズ低減に関する。
【背景技術】
【0002】
分光計では、データ信号は通常、有用な信号成分及びノイズ成分を含む。「有用な信号」とは通常、関心のあるデータである。「ノイズ」とは、関心のある信号の部分ではない任意の成分として特徴付けることができる。任意の分光計の1つの目標は、信号が使用可能な「実」信号として適格であることができるように「信号」と「ノイズ」とを区別できることである。しかし、ノイズは重要な実信号を隠す場合もあるため、この目標は実現が難しい場合がある。
【0003】
たとえば、図1Aは、信号及びノイズが測定される特定の化合物の典型的なイオン抽出のクロマトグラム100を示す。図1Bは、クロマトグラム100の拡大図を有するクロマトグラム150を示す。ノイズ120が括弧で示され、信号110のうちの2つが矢印で示される。図1Bは、ノイズレベルがこれらの2つの信号110よりも1桁小さいが、それでも他の有用な信号に類似することを示す。また、ノイズのサイズを考えると、信号がノイズ内に隠れることが起こり得る。したがって、原子イオン又は分子イオンが化合物の小片の少ない割合を構成している場合、その存在が失われて、化合物の真の構成が失われる恐れがある。
【0004】
分光計が信号とノイズとをよりよく区別できる場合にその性能がよりよいことは明らかである。機器の性能の1つの測定基準は信号対雑音(S/N)比であり、S/Nが大きいほど性能がよいことを意味する。この比は、信号が増えるか、又はノイズが減る場合に向上する。S/N比が大きいほど、信号とノイズとをよりよく区別することができ、ひいては検出されるイオンに対する感度を高くすることができる。性能の他の測定基準は、MDL(Minimum Detection Limit最小検出限界)又はLLOD(Lower Level of Detection:最低検出レベル)の向上であり、性能が向上すると、レベル又は限界は下がる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、スペクトルデータのノイズを低減することによって分光計の性能を向上させるシステム及び方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、分光計からのスペクトルデータのノイズを低減するシステム及び方法を提供する。一態様によれば、ニュートラルノイズが、複数のスペクトルデータ点をそれぞれ含むスペクトルデータスキャンでの離散ノイズイベントを検出することによって除去される。スキャンでのスペクトル点が、所定のバーストレベル閾値よりも大きな存在(たとえば、強度)値を有する場合、その点はバースト点として特定される。同じスキャンと隣接するスキャンの一方又は両方で、バースト点に隣接する点が調べられて、バースト点を離散ノイズイベントとして特徴付けるべきか否かが判断される。これらの隣接点の関数(相関)により、バースト点が離散イベントであることが示される場合、バースト点の存在レベルが変更又は除去される。したがって、MDL(最小検出限界)及びLLOD(最低検出レベル)等のノイズフロアの低下又は信号対雑音(S/N)比の増大に関連するよりよい性能が実現する。
【0007】
本発明の一態様によれば、分光計からのスペクトルデータのノイズを低減する、コンピュータにより実施される方法が提供される。この方法は通常、存在値をそれぞれ有する複数のスペクトルデータ点で構成される、1つ又は複数のスペクトルデータスキャンを、分光計から受け取ること、ノイズバーストレベルを定義すること、1つ又は複数のスキャンを処理して、ノイズバーストレベルよりも大きな存在値を有するスペクトル点である、1つ又は複数のバースト点を判断することを含む。この方法は通常、第1のバースト点に隣接する1つ又は複数のスペクトル点の第1のセットの第1の関数(相関)を評価すること、及び第1の関数により、第1のバースト点が離散ノイズイベントであることが示される場合、第1のバースト点の存在値を変更することも含む。一態様では、第1の関数は、第1のセット中の指定量のスペクトル点がノイズバーストレベル未満の存在値を有するか否かをテストする。その量は、数、割合、又は他の値であり得る。別の態様では、第1の関数は、セット中のスペクトル点の平均が閾値レベルの上か下かをテストする。セット中のすべてのスペクトル点が、第1のバースト点と同じスキャンからのものであってもよく、又は各点が異なるスキャンからのものであってもよい。後者の場合、各点は同じスペクトル単位を有し得る。たとえば、1セット中のすべてのスペクトル点が第1のバースト点と同じスキャンからのものであり得るとともにその他のセット中の各スペクトル点が異なるスキャンからのものであり得る。別の実施の形態では、スペクトル点のセットは、第1のバースト点と同じスキャンからの点及び他のスキャンからのスペクトル点を含む。
【0008】
図面及び特許請求の範囲を含む本明細書の残りの部分を参照することで、本発明の他の特徴及び利点が認識されよう。本発明のさらなる特徴及び利点、並びに本発明の各種実施形態の構造及び動作について、添付図面に関連して以下により詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
概説
本発明は、分光計機器からのデータ信号のノイズ、特に質量分析計からのデータ信号のニュートラルノイズを低減又は除去するシステム及び方法を提供する。本発明の態様は、全体検出限界を下げ、及び/又は信号対雑音比を向上させることによって分光計機器の感度を有利に向上させる。
【0010】
図2は、本発明の一実施形態による質量分析システム1300を示す。質量分析システム1300は、質量分析装置1350及びデータ解析システム1325を備える。一態様では、質量分析装置1350は、クロマトグラフ1305、イオン源1310、質量分離部、たとえば四重極1315、及び検出器1320を備える。質量分析装置1350は、電磁分光計等の任意の種類の分光計であってもよいことを理解されたい。さらに、本発明の実施形態及び態様は、気相質量分析(GCMS)、液相質量分析(LCMS)、誘電結合プラズマ質量分析(ICPMS)、及び関心のある信号とデータのノイズ特徴の間に一意の対応がある分析技術に適用可能なことを理解されたい。本発明の教示は、電子イオン化(EI)、化学イオン化(CI)、大気圧化学イオン化(APCI)、エレクトロスプレーイオン化(ESI)、大気圧光イオン化(APPI)等のすべての種類のソースに適用可能でもあり、これらは一般に質量分析計に使用される。本発明の教示は、異なる種類の質量分析計(シングルクワッド、マルチクワッド、イオントラップ等)並びに異なる種類の分光計にも使用することができる。質量を、粒子の区別を可能にする属性として言及するが、波長又は断面積等の他の属性を使用することも可能である。
【0011】
データ解析システム1325は、当業者に明らかなように、スタンドアロンコンピュータシステム及び/又はマイクロプロセッサ等の統合インテリジェントモジュール、関連するデータ記憶装置、並びに質量分析装置1350の各種システムとインタフェースするシステム及びインタフェース回路を含むことができる。たとえば、データ解析システム1325は、好ましくは、制御信号をクロマトグラフ1305、イオン源1310、四重極1315、プリアンプ及びA/D1318、並びに検出器1320に提供するためのインタフェース回路を含む。データ解析システム1325は、質量分析装置1350からのスペクトルのリアルタイムデータ解析を提供する、すなわち、データをユーザに送信又は表示する前、又は別のシステムに送信する前に、且つデータ取得を行いながら、そのデータを解析してノイズを低減することができる。データ解析システム1325は、すべてのデータを取得した後、且つ生データがユーザ又は他のシステムに提供された後にノイズ低減を提供することもできる。
【0012】
より詳細に後述するように、本発明のノイズ低減方法は、バーストレベルを超える単一イベントの隣接点を比較するバースト技法を実施し、これは質量領域及び/又は時間領域で行うことができる。スキャン中のスペクトル点が所定のバーストレベル閾値よりも大きい強度を有する場合、その点はバースト点として特定される。同じスキャン及び/又は隣接スキャン中のバースト点に隣接する点が調べられて、バースト点を離散ノイズイベントとして特徴付けるべきか否かを判断される。これらの隣接点の関数(相関)により、バースト点が離散イベントであることが示される場合、バースト点の存在レベルが変更又は除去される。バーストレベル閾値及び隣接設定(たとえば、隣接の数)は、たとえば、技法の性能に影響を及ぼし得るスキャン速度/地域幅及び検出器利得等の機器の動作設定又は動作パラメータに基づいて手動又は自動のいずれかで調整可能である。
【0013】
ノイズ源
質量分析計では、ノイズは電子、化学、又はニュートラルに分類することができる。図3は、電子ノイズ及びニュートラルノイズを示す、GCMSシステムからの典型的な生データスキャンのグラフ200を示す。存在値が縦軸に示され、質量対電荷比(m/z)が横軸に示される。グラフ200は、ノイズ源に焦点をあてるために存在値目盛りの下に向けて拡大されている。「信号」応答は大半の部分で目盛りからはみ出している。
【0014】
電子ノイズ(または、電子的ノイズ。電子ノイズに統一して表記する。)は、機器の残りの部分から独立し、常に存在するノイズの部分である。これは、イオンが生成されるか否かに関係せず、通常、特定のAMU(原子質量単位)位置に関わりがない。電子ノイズは通常、固有の周波数成分とコヒーレントであるか、又は高いホワイトノイズを含有する。適当なプリアンプ及び電子システム設計を使用した場合、グラフ200に示すように、電子ノイズは非常に小さくなり得る。この特定のスキャンでは、電子ノイズは基底線オフセットの上に数個だけである。
【0015】
ニュートラルノイズは、生の信号に出現する単一又は複数の検出器イベントと考えられる。こういったイベントは、質量範囲又は時間範囲にわたって擬似ランダムに出現するという点で、検出中の化合物のイオンに関連しない。通常、こういったイベントは通常の信号と比較して小さな検出器応答であり、GCMSシステムでのヘリウム等のキャリアガスから形成される中性物質に起因する。検出器ショットノイズもニュートラルノイズと同様の応答を有するため、ニュートラルノイズの分類に入れることができる。
【0016】
キャリアガス分子の数は化学信号の分子の数に勝るため、ニュートラルノイズはGCMSシステムでのノイズレベルを支配する。本発明の実施形態は、ニュートラルノイズと実信号とを区別する。ニュートラルノイズは離散イベントとして出現し、実信号は、適宜サンプリングされた場合、理論的予想に従ったピーク形状及び周波数を示す。たとえば、ニュートラルノイズに対応する離散イベントは、同じ分光計設定で信号のピーク形状よりも一般に狭いピーク形状を有する。
【0017】
化学ノイズは単に、不要な「信号」の一種である。本発明では、化学ノイズは「真のノイズ」源とみなされない。これは、機器の目的が実際のイオンの検出であるためである(それが不要なイオンであっても)。したがって、化学ノイズは実信号として扱われる。
【0018】
質量領域テスト
図4は、本発明の一実施形態による質量領域内のニュートラルノイズを低減する方法300を示す。方法300は、取得されたもののスペクトルを調べて離散イベントを特定し、離散イベントをニュートラルノイズとして除去する。実信号は離散イベントではない。実信号は、機器の分解能及びサンプリング間隔に伴って質量中で隔てられ、分布する隣接点に囲まれる。たとえば、四重極機器は、半分の高さでの信号ピーク幅がおよそ0.5〜およそ0.6AMU幅になるように較正される。
【0019】
したがって、存在値が徐々に低減する信号が、実信号のピークの中央の両側に存在する。ニュートラルノイズのスパイクは、質量領域にわたって同じ分布を有さない。ニュートラルノイズのスパイクには通常、存在値が徐々に低減する隣接点がピークの中央の両側にない。このような信号イベントを質量領域での「バースト」と呼ぶ。特定の態様では、離散イベントは1つ又は複数の隣接点を有し得るが、隣接点の量は実信号の隣接点の量よりも少ない。
【0020】
ステップ305において、ノイズを含むスペクトルデータスキャンを受け取る。スペクトルスキャンは、スペクトルデータ点及び各スペクトル点での存在値を含む。スペクトル点は、質量、波長、断面積、又は他の適したスペクトル属性等の、検出中の粒子又は波の物理的性質(関心のある数量)に基づいて別のスペクトル点から区別される。通常、スペクトルスキャンは、スペクトル特性が横軸にあり、存在値が縦軸にあるグラフとして提示される。スペクトルスキャンはさらなるスペクトル属性を含むことができ、これをさらなる軸に提示することができる。
【0021】
方法300は、スペクトル内又は単一スキャン内で発生するデータに基づいてニュートラルノイズを判断するが、他の実施形態では複数のスキャンが使用される。スキャンとは関心のある数量、たとえば質量又は音響周波数を通る単一パスである。マルチスキャンは、特定の時間期間にわたって、たとえばクロマトグラフィピークの時間期間にわたって行うことができる。
【0022】
ステップ310において、離散イベントを判断するための質量バースト(MBURST)レベルが確立される。バーストレベルの目標は、分光計の検出器に起因する離散イベントから電子ノイズ及び基底線を分けることである。このレベルが下げられた場合、電子ノイズからのイベントを含んで開始することがあり得る。これは、レベルを下げることが、高電子ノイズ源又はショットノイズ源をなくすのに役立つことができるため、特定の態様では望ましいであろう。
【0023】
特定の態様では、バーストレベルは機器の利得設定に関連する。通常、利得設定が高いほど、必要なバーストレベルも高くなる。バーストレベルは、電子ノイズとニュートラルノイズとを区別できるようにする。利得が適宜設定されている場合、ニュートラルノイズ存在ピークはバーストレベルよりも高くあるべきであり、電子ノイズピークはバーストレベル未満であるべきである。バーストレベルは一定値に代えて、スペクトルの質量点の関数(相関)であってもよい。
【0024】
ステップ315において、バースト点が求められる。利得が適宜設定されている場合、ニュートラルノイズは通常、「ショット」、すなわち基底線から抜きん出る単一イベントとして出現する。利得が高いシステムほど、ショットは大きくなり得る。利得が低いシステムほど、「ショット」は小さくなり得る。システムを最適化するには、電子ノイズよりもかなり上の「ショット」を生成するが、他の質量ビン中へのテーリングを生成するほど高くないように検出器の利得を設定すべきである。
【0025】
ステップ320において、バースト点に隣接する点の関数(相関)が評価されて、バースト点が離散イベントを表すか否かが判断される。一実施形態では、1単位低い質量のイオン、1単位高い質量のイオン、又は両方のイオンが使用される。質量単位は、機器が操作されている分解能に基づく単位であっても、又は分析に望ましい任意の単位であってもよい。たとえば、質量分析計の分解能が0.1AMUである場合、直隣接点はバースト点から0.1AMU離れた質量点として定義され、二次隣接点はバースト点から0.2AMU離れた質量点として定義され、以下同様である。他の種類の分光計の場合、隣接点は、1単位大きな波長又は小さな波長、断面積、又は粒子の区別に適している他の物理的性質であり得る。特定の態様では、隣接点の使用は、分析中のバースト点の質量から1単位よりも大きな質量に拡張することができる。
【0026】
2つの隣接点を使用する実施形態では、関数(相関)により、バースト点が離散イベントであることが示される場合、2つの隣接点はバーストレベル閾値未満でなければならない。たとえば、2つの直隣接点が使用される場合、バースト点を離散イベントとして特徴付けるには、質量のより高いイオン「及び」質量のより低いイオンが質量領域においてバーストレベル未満でなければならない。他の実施形態では、バースト点を離散イベントとして特徴付けるには、質量のより高いイオン「又は」質量のより低いイオンのいずれかがバーストレベル未満であり得る。関数(相関)はまた、加重平均を計算するに当たって隣接点の相対存在レベルを使用することもできる。関数(相関)はまた、代替の形態のバイナリロジックと共にさらなる閾値レベルを使用することもできる。
【0027】
ステップ325において、バースト点が離散イベントであると判断された場合、バースト点の存在値が変更される。一態様では、バースト点の存在値は、バースト点の隣の質量点(隣接点)に相関する存在値(たとえば、平均)、又は基底線値に相関する存在値で置き換えられる。存在値は、ゼロ値で置き換えることもでき、又は信号に影響することなくシステムの全体のノイズを下げることによって機器の性能を積極的に向上させるように「ノイズ」存在値を変更する、計算された任意の線形関数もしくは非線形関数からの存在値で置き換えることもできる。
【0028】
図5は、本発明の一実施形態による、バーストレベル閾値が約70存在単位に設定された非常に低い信号レベルでの単一スペクトルのグラフ400を示す。各縦線は、分解能0.1AMUでの質量イオンの存在度に対応する。単一イベントが、図5のおよそ271AMU及び278AMUに示される。本発明の技法を用いて、これらのイベントの存在値が変更又は除去され、ひいてはこれらのイベントがスペクトルから有効に除去される。非単一イベントがおよそ281AMU、283AMU、及び291AMUに示される。特定の実施形態、たとえば、たった2つの隣接点を使用する実施形態では、これらのイベントは、信号のピークの両側にバーストレベルを超える隣接点があるため、実信号とみなされる。
【0029】
方法300が質量範囲全体及び取得されたすべてのスキャンに使用される場合、多くの離散イベントがスペクトルから除去されるため、全体のノイズレベルが低減する。残される項目には、たとえば、大きなピークを有する強度の信号並びに除去されたニュートラルノイズ信号イベントと同様の大きさのピークを有する信号が含まれる。この時点で残っている低レベル信号を認識することは容易なため、全体の最低検出レベルが向上する。
【0030】
時間領域テスト
図6は、本発明の別の実施形態によるニュートラルノイズを除去する方法500を示す。方法300は同じスペクトルスキャン内の点を質量領域で比較するが、方法500は異なるスペクトルスキャン内の点を比較する。したがって、方法500は時間領域での質量点を調べる。
【0031】
ステップ505において、ノイズを含む複数のスペクトルデータスキャンが受け取られる。各スキャンは、異なる時間期間中に行われる。ステップ510において、時間バースト(TBURST)レベルが、単一イベントを判断するために確立される。一実施形態では、バーストレベルはすべてのスキャンで同じである。他の実施形態では、バーストレベルはスキャン毎に異なり得る。ステップ515において、バースト点が判断される。一態様では、質量データ点、すなわちスペクトルの横軸上の点がバーストレベルを超える存在値を有する場合、その質量点は「バースト」点と判断される。
【0032】
ステップ520において、バースト点に隣接する点の関数(相関)が評価されて、バースト点が離散イベントを表すか否かが判断される。一実施形態では、隣接点はバースト点と同じ質量を有するが、前のスキャン又は後のスキャンからのイオンとして定義される。他の実施形態では、隣接点は最も(時間的に)近いスキャンを超えたスキャンからの対応する質量点を含むように拡張することができる。2つの最も近いスキャンでの隣接点の「AND」等、方法300に使用される関数(相関)を方法500に使用することもできる。ステップ525において、関数(相関)により、バースト点が離散イベントであることが示される場合、バースト点の隣接値が変更又は除去される。存在値は、上述した任意の方法又は他の方法、たとえば、周囲の点の平均、基底線値に設定すること、ゼロに設定すること等により変更することができる。
【0033】
図7は、方法500を使用して解析できる3つの連続したスペクトル610、620、及び630を示す。質量範囲270AMU〜300AMUを有する各スペクトルは、分解能0.1AMUステップサイズを使用して質量チャネル(点)で収集された生データである。スペクトル610は時間的に最初のスキャンS−1に対応し、時間的に次のスキャンSに対応し、スペクトル630は時間的に最後のスキャンS+1に対応する。なお、各ピークに記された数は、最も近い整数AMU質量に対応するが、実際の質量は小数値を有し得る。たとえば、スペクトル630に290と記されるピークは、およそ290.5AMUにある。
【0034】
一実施形態では、スペクトル620からの質量チャネルが解析されて、時間バーストレベルを超えるイベントが発生しているか否かが判断される。スペクトル620からのバースト点が、スペクトルスキャン610及び630からの質量チャネルでの存在レベルと比較される。一態様では、バースト点は、隣接スペクトルがバーストレベル未満の信号を含む場合に有効に除去される(たとえば、存在値が変更される)。スペクトルが図7に示すように並べられると、単一イベントを有するこのような質量チャネルの認識が容易である。このような1つのイベント615が、図7のスキャン「S」のおよそ276・8AMUに見られる。スキャン「S−1」610及びスキャン「S+1」630はそれぞれの対応するスペクトルにイベントを含まないため、スキャン「S」620でのイベントがステップ525に従って除去される。
【0035】
質量領域と時間領域とを組み合わせたテスト
図8は、本発明の一実施形態によるニュートラルノイズを除去する方法700を示す。方法700は、質量領域方法300の態様と時間領域方法500の態様を組み合わせたものである。ステップ705において、ノイズを含む複数のスペクトルデータスキャンが受け取られる。ステップ710において、1つ又は複数のバーストレベルが、単一イベントを判断するために順に確立される。特定の態様では、たとえば、時間バーストレベル(TBURST)及び質量バーストレベル(MBURST)は、単一スキャンに対して同じであり、他の態様では異なる。ステップ715において、質量チャネル(データ点)がバーストレベル(TBURST又はMBURST)を超える存在値を有する場合、質量点は「バースト」点と判断される。
【0036】
ステップ720において、各バースト点に対して、バースト点に隣接する質量を有する点の関数(相関)が評価されて、バースト点が離散イベントを表すか否かが判断される。ステップ725において、スキャン中のバースト点に隣接する点の関数(相関)が評価される。方法300及び方法500と同様に、隣接点は、最も近いスキャンを超えるスキャンを含むように拡張することが可能である。同様に、方法300及び方法500に使用される関数(相関)を方法700に使用することもできる。
【0037】
ステップ730において、バースト点が離散イベントであると判断される場合、バースト点の存在値は変更される。一実施形態では、質量領域からの関数「又は」時間領域の関数が離散イベントを示す場合、存在値は変更される。別の実施形態では、両方の領域の関数(「AND」)が離散イベントを示さなければならない。このステップにおいて、「OR」論理関数が最も離散的なイベントをなくす。本質的には、これらの論理演算は、特定の領域での関数からの入力を使用する全体関数として機能する。全体関数は、上述した任意の種類のものであってもよい。さらに別の実施形態では、全体関数は、後述するように両方の領域での隣接点の入力を直接取り入れることができる。すなわち、異なる領域の2つの関数を共に併合することができる。
【0038】
質量領域及び時間領域の両方で隣接点を評価することにより、スペクトルから除去される離散イベントの数が多くなり、ノイズがさらに低減される。たとえば、図7は、隣接点がMBURSTレベルを超える存在値を有するため、質量領域解析のみを使用した場合には除去されない可能性がある、スキャン「S」620のおよそM=284.3AMUにあるデータ点605を示す。「AND」関数又は「OR」関数のいずれかをスキャン「S」620に使用すると、このイベントのメインピークがバーストレベルよりも大きな存在値を有する「M+0.1」AMU及び「M−0.1」AMUに隣接点を有するため、MBURSTテスト300はこのイベントを除去しない。しかし、TBURSTテスト500が適用される場合、この点の隣接スキャンは、TBURSTレベルを超える存在値を有する対応する質量チャネルにデータを有さないため、この点は除去される。この場合、「M+0.1」でのイベントもTBURSTによって除去される。
【0039】
図9Bは、本発明の方法700の一実施形態により改良された取得データ全体のスペクトルの組み合わせのグラフ850を示す。この技法の改良を理解するために、図1Bからのデータが図9Aにおいてグラフ800として再生成される。本発明の一実施形態がグラフ800のデータに対して実行されると、ノイズ領域は図9Bに示すように劇的に低減する。ノイズ領域の高さが劇的に低減する。平均ノイズは、およそ4分の1に低減し、二乗平均(RMS)ノイズはおよそ10分の1に低減する。したがって、使用されるS/Nの測定に応じて、本発明の態様は、示すデータに対して4〜10倍の改良を使用される機器に提供する。
【0040】
また、信号を感知する感度がより大きくなるため、LLOD(最低検出レベル)も向上する。ノイズはここで低減されるため、データにおいてそれまでは隠されていた信号が出現し始める。以前は発見されなかったこういった信号は、図9Bにおいて「新信号」として示される。「新信号」の高さは低減されず、前から既知であった信号レベルも低減されなかったことに留意されたい。
【0041】
特定の態様によれば、除去される信号量及び残存する信号量に影響する種々の調整を行うことができる。このような調整としては、比較に使用される隣接点の数及び/又は距離の延長、バーストレベルの存在値設定の変更、及び離散イベントを示すために使用される関数の調整が含まれる。
【0042】
上述したように、特定の実施形態では、バースト点、すなわち関心のある信号の両側の2つ以上の隣接点を使用することができる。関心のある信号の両側の1つのみの隣接点が調べられる実施形態は、バーストレベルを超える離散イベントをなくす最高の確率を提供する。しかし、極めて低ノイズの機器に対してより高い感度を実現しようとする際には、これらの単一イベントは、イオン密度が連続したイオンストリームではなく、むしろランダムなイオンストリームパルスである極めて低い密度の実信号になる。この場合、関心のあるイベントの両側で2つ以上の隣接点を使用することが適当であり得る。これは、質量領域及び時間領域の両方で当てはまる。この例が、ノイズが極めて低いCI機器又はQQQ機器で起こり得る。
【0043】
図10は、質量領域及び時間領域(スキャン)の2次元行列プロットの図式によるトップダウン図である。各円は行列中の位置(質量点)を表す。簡易化のために、各点の高さ(存在値)は含まれていない。中央点905は、座標(M,S)を有する「関心のあるイオン」として説明され、他のすべての点はその点に相対する。
【0044】
一実施形態では、MBURSTレベル及び隣接テスト関数が、領域910に示すように、質量領域での両側の単一隣接点からのデータに対して適用される。別の実施形態では、TBURSTレベル及び隣接テスト関数が、領域920に示すように、時間領域での両側の単一隣接点からのデータに対して適用される。異なるテストを組み合わせて、結合テスト関数935にすることができる。
【0045】
MBURSTレベル及びTBURSTレベルは、テストに含まれる隣接点量として調整可能である。たとえば、領域915は質量領域において二次隣接点を含み、領域925は時間領域において二次隣接点を含む。特定の態様では、MBURST/TBURST関数(複数可)は、複数の単一スキャン隣接点が使用され(MBURST)、複数のスキャンからの隣接点が使用される(TBURST)、アレイ930等の複雑なテストアレイを含む。このアレイは行列中の対角項を含むことができる。これは、質量割り当て「M」を中心にわずかに揺れる低レベル信号に対して有用であり得る。したがって、離散イベントは、いくつかの隣接点がバーストレベルを超えるが、それでもやはり十分な数の隣接点が比較的小さい存在レベルを有する単一ショット又はイベントであることができる。
【0046】
特定の態様では、多くの隣接点が使用される場合、バースト点を除去又は変更する基準は、選択される隣接点の任意の関数(相関)であってもよい。関数は、いくつかの点又はすべての点の「AND」又はすべての点の「OR」であってもよい。関数はまた、バーストレベル又は他の閾値レベルの上又は下の隣接点の割合であってもよい。隣接点の存在値を使用する関数も可能であり、たとえば、使用される隣接点の平均存在値が特定の値を下回る場合にバースト点を除去することができる。平均は加重平均であってもよく、たとえば、時間及び質量でのバースト点から離れた点ほど、重みを少なくすることができる。
【0047】
動作設定の影響
特定の態様では、アルゴリズムの動作設定(たとえば、MBURSTレベル及びTBURSTレベル)が、性能を向上させるための機器の動作設定に相関する。アルゴリズムの性能に影響する機器の動作設定としては、イオン検出器の利得、プリアンプ/A−Dシステムのスキャン速度及び帯域幅、並びに電子ノイズレベルが含まれる。さらに、各機器のタイプが、アルゴリズムに対して調整を必要とする種々の特性のこれらのパラメータを有し得る。たとえば、液体クロマトグラフ三連四重極機器は、キャリアガスからの高いニュートラルノイズを有するGCMS EIシステムに対してアルゴリズムに異なる設定を必要とする極めて低いノイズが生じるいくつかの動作モードを有し得る。
【0048】
利得設定については、検出器の利得が低い場合、ニュートラルノイズスパイクはあまり応答を有さない場合がある。これは、これらのイベントをなくすのを助けるために低バーストレベルを必要とし得る。一方、利得が高く、したがってニュートラルノイズ応答が大きい場合、バーストレベルを上げる必要があり得る。レベルの設定が高すぎる場合、実信号がなくなる恐れがある。バーストレベルの設定は、電子ノイズレベル、機器の全体調整、及び取得方法(すなわち、スキャン速度、質量範囲、検出器利得等)に基づいて一定であってもよく、又は動的であってもよい。利得設定もまた、機器の性能に応じて固定されてもよく、又は動的であってもよい。たとえば、利得設定は各機器で較正又は自動調整することができる。
【0049】
図11Aは、低利得でのスキャンのグラフ1000を示す。ここで、バーストレベルは、より効率的になるためにより低い設定を必要とし得る。しかし、実信号イベントは、バーストテストがこれらのイベントを除去しないような低応答を有し得る。図11Bは、高利得及び非常に大きな単一イベント応答を有するスキャンのグラフ1050を示す。この場合、バーストレベルをより高くする必要がある可能性があり、さもなければ離散イベントのいくつかがなくならない場合がある。それは、離散イベントのいくつかが隣接点を有するためである。
【0050】
スキャン速度設定(質量領域を横切る速度)については、イベントがバーストレベルよりも高く、且つその隣接点がバーストレベルよりも低い離散イベントの簡明な測定基準があるべきである。しかし、スキャン速度が十分に遅くない場合、且つ/又はプリアンプ及びアナログ−デジタル(A/D)変換器システム及び関連する電子回路の帯域幅が十分に広くない場合、離散イベントは単一イベントではなくインパルス応答になる。図12は、質量範囲をスキャンしながらの帯域制限応答の例のグラフ1100を示す。示すMBURSTレベルの場合、イベントのいずれもなくならない。したがって、プリアンプシステムの帯域幅をスキャン速度に合わせて、MBURSTテストにおいて許容できる区別を行うべきである。
【0051】
クロマトグラフィ速度もまた、本発明の実施形態に影響を及ぼし得る。クロマトグラフィピークを適宜サンプリングするためには、関心のあるクロマトグラフィピークにわたるいくつかのスキャンがあるべきである。通常、クロマトグラフィピークは4又は5のスキャンを有する。TBURSTテストの場合、これは非常に重要であり得る。たとえば、スキャン速度が1つのスキャンでしか信号を記録しないほど遅かった場合、TBURSTテストによりその信号が除去される恐れがある。図13は、3つの連続したスペクトル1210、1220、及び1230を有するアンダーサンプリングされたピークの例を示す。スペクトル1210は時間的に最初のスキャンS−1に対応し、スペクトル1220は時間的に次のスキャンSに対応し、スペクトル1230は時間的に最後のスキャンS+1に対応する。スキャンSのみが、クロマトグラフィピーク中に行われる。したがって、信号はスキャン「S」に存在するが、隣接するスキャンには存在しない。したがって、TBURSTテストは信号のすべてを除去する可能性が高い。したがって、適正なスキャン速度はクロマトグラフィピークの幅に合致すべきである。
【0052】
一実施形態では、ノイズバーストレベルは、分光計の利得設定に基づいて較正される。別の実施形態では、分光計の利得は、離散ノイズイベントを分光計からの電子ノイズ及び信号から区別できるように設定される。さらに別の実施形態では、分光計のスキャン速度は、分光計のプリアンプ及びA/Dシステムの帯域幅に合致する。分光計が質量分析計である一実施形態では、スキャン速度は、質量分析計の入力に対応するクロマトグラフィピークのサイズに相対して調整される。
【0053】
結論
上記方法及びシステムを組み合わせて、本発明の異なる実施形態を生成する多くの方法を当業者は認めよう。たとえば、ステップを異なる順序で実行してもよく、一実施形態からの態様を別の実施形態で使用してもよい。
【0054】
本発明のノイズ除去方法を実施するようにプロセッサ又はコンピュータシステムを制御するコード及び他の制御ロジックを、このようなロジックを通信する任意の手段を使用して、たとえばコンピュータネットワークを介して、キーボード、マウス、若しくは他の入力装置を介して、CD、DVD、若しくはフレキシブル磁気ディスク等の可搬媒体で、又はRAM、ROM、ASIC、若しくは他の同様の装置等のハードワイヤード媒体でデータ解析システム1325に提供することができる。これらの通信手段は、任意のパラメータリストを受け取るために使用することもできる。
【0055】
本発明について例として特定の実施形態に関して説明したが、本発明が開示された実施形態に限定されないことを理解されたい。逆に、当業者に明らかであるように、上に開示したものに加えて、各種変更及び同様の構成の包含が意図される。したがって、添付の特許請求の範囲は、このような変更及び同様の構成をすべて包含するように最も広義の解釈が与えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1A】本発明の実施形態により改良される、標準イオン抽出を使用したクロマトグラムを示す。
【図1B】本発明の実施形態により改良される、標準イオン抽出を使用したクロマトグラムを示す。
【図2】本発明の一実施形態による、質量分析システムを示す。
【図3】電子ノイズ、ニュートラルノイズ、及び信号を示す質量スペクトルを示す。
【図4】本発明の一実施形態による、スペクトルデータの質量領域のノイズを低減する方法を示す。
【図5】本発明の一実施形態による、質量領域での単一イベント及び質量領域での仲間を伴うイベントを示す質量スペクトルを示す。
【図6】本発明の一実施形態による、スペクトルデータの時間領域でのノイズを低減する方法を示す。
【図7】本発明の一実施形態による、時間領域での単一イベントを示す質量スペクトルを示す。
【図8】本発明の一実施形態による、スペクトルデータの質量領域及び時間領域でのノイズを低減する方法を示す。
【図9A】本発明の実施形態により改良される、標準イオン抽出を使用したクロマトグラムを示す。
【図9B】本発明の実施形態を使用して得られる改良されたクロマトグラムを示す。
【図10】本発明の実施形態による、異なる隣接テストを示す。
【図11A】低利得分光計機器からのスペクトルを示す。
【図11B】高利得分光計機器からのスペクトルを示す。
【図12】非常に高速のスキャン速度又は低帯域幅の結果生じるスペクトルを示す。
【図13】クロマトグラフィピークと比較して非常に低速のスキャン速度の結果生じるスペクトルスキャンを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分光計からのスペクトルデータのノイズを低減する、コンピュータにより実施される方法(300、500)であって、
存在値をそれぞれ有する複数のスペクトルデータ点で構成される、1つ又は複数のスペクトルデータスキャンを、分光計から受け取ること(305、505)、
ノイズバーストレベルを定義すること(310、510)、
前記1つ又は複数のスキャンを処理して、ノイズバーストレベルよりも大きな存在値を有するスペクトル点である、1つ又は複数のバースト点を判断すること(315、515)、
第1のバースト点に隣接する1つ又は複数のスペクトル点の第1のセットの第1の関数を評価すること(320、520)、及び
前記第1の関数により、前記第1のバースト点が離散ノイズイベントであることが示される場合、該第1のバースト点の前記存在値を変更すること(325、525)
を含む、分光計からのスペクトルデータのノイズを低減する、コンピュータにより実施される方法。
【請求項2】
前記分光計は質量分析計(1350)であることを特徴とする、請求項1に記載の分光計からのスペクトルデータのノイズを低減する、コンピュータにより実施される方法。
【請求項3】
前記第1の関数は、前記第1のセット中の指定量の前記スペクトル点が前記ノイズバーストレベル未満の存在値を有するか否かをテストすることを特徴とする、請求項1に記載の分光計からのスペクトルデータのノイズを低減する、コンピュータにより実施される方法。
【請求項4】
前記第1の関数は、前記第1のセット中の前記スペクトル点の平均が閾値レベルよりも上か下かをテストすることを特徴とする、請求項1に記載の分光計からのスペクトルデータのノイズを低減する、コンピュータにより実施される方法。
【請求項5】
前記第1のバースト点の前記存在値を変更することは、該存在値を、前記隣接点の前記存在値の平均又は基底線値に相関する存在値で置き換えることを含むことを特徴とする、請求項1に記載の分光計からのスペクトルデータのノイズを低減する、コンピュータにより実施される方法。
【請求項6】
前記第1のバースト点に隣接する1つ又は複数のスペクトル点の第2のセットの第2の関数を評価すること、及び
前記第2の関数により、前記第1のバースト点が離散ノイズイベントであることが示される場合、該第1のバースト点の前記存在値を変更すること
をさらに含む、請求項1に記載の分光計からのスペクトルデータのノイズを低減する、コンピュータにより実施される方法。
【請求項7】
前記第1のセット中の前記スペクトル点のすべてが前記第1のバースト点と同じスキャンからのものであり、前記第2のセット中の少なくとも1つのスペクトル点が前記第1のバースト点と異なるスキャンからのものであり、該第1のバースト点と同じスペクトル単位を有することを特徴とする、請求項6に記載の分光計からのスペクトルデータのノイズを低減する、コンピュータにより実施される方法。
【請求項8】
前記第1のセットの隣接点は、前記第1のバースト点から1単位小さいスペクトル点及び該第1のバースト点から1単位大きいスペクトル点から成ることを特徴とする、請求項1に記載の分光計からのスペクトルデータのノイズを低減する、コンピュータにより実施される方法。
【請求項9】
前記第1のセットのスペクトル点は、前記第1のバースト点と同じスキャンからのスペクトル点及び他のスキャンからのスペクトル点を含むことを特徴とする、請求項1に記載の分光計からのスペクトルデータのノイズを低減する、コンピュータにより実施される方法。
【請求項10】
前記ノイズバーストレベルはスペクトル点毎に異なる、請求項1に記載の分光計からのスペクトルデータのノイズを低減する、コンピュータにより実施される方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−20459(P2008−20459A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−184368(P2007−184368)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(399117121)アジレント・テクノロジーズ・インク (710)
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
【Fターム(参考)】