説明

スペクトル光学測定に基づく生体測定の装置および方法

【課題】本発明は、組織(40)の光学スペクトルを利用する、個体の生体測定を実施するための方法およびシステムに関する。
【解決手段】開示される生体測定としては、同一性の測定または認証、年齢の測定または認証、性別の測定または認証、サンプルの生存およびサンプルの認証の測定が挙げられる。開示される装置は、発光ダイオード、レーザダイオード、垂直共振器型面発光レーザー、および狭帯域光学フィルタを備えた広帯域光源のような別個の光源(41、43、45、47、49、51)に基づく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連特許および係属出願の相互参照)
本出願は、2001年4月11日に出願された、米国特許出願番号09/832,534号、表題「Apparatus and Method of Biometric Indentification or Verification of Individuals using Optical Spectroscopy」に関連し、これは、1999年10月8日に出願された米国特許出願番号09/415,594号、表題「Apparatus and Method for Indentification of Individuals by Near−Infrared Spectrum」の一部係属出願であり;そしてこれは、1998年10月19日に出願された、米国特許出願番号09/174,812号、表題「Method for Non−Invasive Analyte Measurement with Improved
Optical Interface」;および1997年6月9日に出願された米国特許出願番号08/871,366号、表題「Diffuse Reflectance
Monitoring Apparatus」に関連し、全ては、本出願人と同一の譲受人に譲渡され、これらの出願の開示は、本明細書中で参考として援用されている。
【0002】
(技術分野)
本発明は、一般に、組織の光学スペクトルを利用する、個体の生体測定を実施するための方法およびシステムに関する。より具体的には、本発明は、同一性を測定または認証するため、年齢を測定または認証するため、性別を測定または認証するため、および生存を測定または認証するため、ならびにサンプルの信頼性を測定するための方法およびシステムに関連する。本発明は、波長と供給源−検出器の間隔との組み合わせを使用して、組織に関する光学情報を得るための方法およびシステムを開示する。本発明は、種々の生体測定タスクに適切である、近紫外スペクトル領域、可視スペクトル領域、および近赤外スペクトル領域で作動する、一連の小型の特定の目的の光学センサを開示する。これらのセンサは、単独で特定の用途に使用され得るか、または種々の個人デバイス(例えば、携帯電話、個人デジタルアシスタント、腕時計、または電子ホブ(electronic fob))に組み込まれて、パーソナルバイオメトリックセキュリティーを提供し、種々の保護プロパティへのアクセスを保護する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
生体測定は、一般に、1つ以上の物理プロパティまたは行動プロパティを測定および使用するプロセスとして規定されるか、または個人、動物、もしくは他の生物学的実体の、同一性、年齢、もしくは性別に関する情報を得るのに寄与する。同様に、安全性を確実にするために、生体測定タスクは、測定されるサンプルが認証され、そして測定されるサンプルが生存していることについて測定されることを確実にする、さらなるタスクを備え得る。この後者の試験は、生存の決定といわれる。
【0004】
同一性の生体測定が生じる、2種の一般的なモード(1対多数(識別)および1対1(認証))が存在する。1対多数の識別は、「私は、あなたを知っていますか?」の問に答えることを試みる。この生体測定デバイスは、一連の生体測定データを収集し、そしてこの情報単独から、この人物が、以前に確かめられた(「認識された」)個人であるか否かを評価する。1対多数の識別タスクを実行するシステム(例えば、FBIの自動指紋識別システム(FBI’s Automatic Fingerprint Identification System)(AFIS))は、一般に非常に高価(1千万ドル以上
)であり、未知のサンプルと数百万または数億の入力を含む大きなデータベースとの間の一致を検索するのに、何分もかかる。生体測定分析の1対1モードは、「あなたはあなたですか(are you who you say you are?)」の問に答える。このモードは、個人が、使用者名、個人識別番号(PIN)もしくは他のコード、磁気カード、または他の手段を使用して同一性の要求をする場合に使用され、そしてこのデバイスは、個人の同一性を確認するために使用される、一連の生体測定データを収集する。
【0005】
一般に、1対多数の識別タスクは、1対1よりも困難であるが、所定の生体測定デバイスについての認識使用者または認定使用者の数は、一人だけの個人まで減少させるので、この2種のタスクは、同じになる。生体測定識別タスクが、認識データベースの少ない数の入力のみを有するという状況は、極めて一般的である。例えば、住居、個人の自動車、個人のコンピュータ、携帯電話、および他のこのような個々のデバイスに対する生体測定アクセスは、代表的に、ほんの2、3人の人間の認識データベースだけを必要とする。
【0006】
生体測定の識別および認識は、多くの適用において有用である。例としては、機械を起動する前または秘密領域に入る前に、同一性を認識することが挙げられる。別の例は、特に、個人の同一性が未知である場合、病院の患者記録と一致させるためなど、個人を、個人に関するファイルにおける記録と一致させるための、個人の識別である。生体測定識別はまた、容疑者が逮捕されるが、容疑者の真の正体が未知であるときに、警察官の記録と一致させるのに役立つ。生体測定識別または認識のさらなる用途としては、自動車のキーレススタート、ならびにアプリケーション(秘密コンピュータおよびネットワークアクセスアプリケーション、自動化金融取引アプリケーション、認識された拳銃使用のアプリケーション、および在席時間アプリケーション)が挙げられる。一般に、保護プロパティは、アクセスするために生体測定認識を必要とし得る、物品、場所、サービス、および情報の全てを記載するために使用される用語である。
【0007】
生体測定識別のための現在の方法は、マニホルドであるが、いくつかの主な一般的な技術としては、指紋パターンの一致、顔面認識、手の形、虹彩のスキャニング、および音声認識が挙げられる。これらの技術の各々は、ある程度まで生体測定識別についての要求に取り組んでいる。しかし、費用、性能、または他の問題に起因して、既存の方法の各々は、他の技術に対する利益および不利益を有する。
【0008】
保護プロパティにアクセスするために使用される、現在の多くの個人電子デバイスが存在するが、これは、生体測定能力を含まない。例えば、電子ホブは、自動車に入るため、および市販の住居警報システムを起動するために使用される。Swatch Accessモデルのような腕時計を使用して、スキー場、および他の有料の娯楽場への入場を容易にするコードを購入およびダウンロードし得る。Xylocによって販売されている腕時計は、この時計が、この保護システムに接近したとき、コンピュータ、プリンター、ネットワーク、または他の適切に装着されたハードウェアおよびシステムへのアクセスを可能にする。Dallas Semiconductorによって販売されているiButtonとして公知の小さな電子デバイスは、リング、キーホブ、札入れ、金属カード、またはバッジに組み込まれ、個人が持ち運び、適切に装着されたドアおよび他の保護システムへのアクセスに使用する。しかし、認識された使用者は、認識されていない使用者から単にデバイスを得ることによって、これらのシステムによって保護されたプロパティのいずれかにアクセスし得る。これらのデバイスは、認識された使用者と認識されていない使用者との間を区別するための能力を有さず、そしてこのデバイスを有する全ての人物に対して作動する。この欠点は、重大な安全性の問題を表す。
【0009】
米国特許第6,041,410において、Hsuらは、指紋データを使用する個人識別ホブを開示する。このシステムは、指紋画像、画像相関器(image correla
ter)、サイクリックリダンダンシーコードを使用するコミュニケーション手段、および生体測定システムによって制御され、そして保護プロパティへのアクセスを可能にする「ドア」を保持するための特定の記憶に特定化される。Hsuら、は、ビル、部屋、自動車、および財政勘定を含む、保護プロパティにアクセスするための手段を「ドア」と一般的にいう。開示される方法は、プロパティおよびそのホブとの相互作用を保護するドアに関連し、この方法には、「目覚まし」メッセージ、および生体測定データを収集し、その生体測定データを参照データと比較して、一致を決定し、次いで、このデバイスを作動させて、ドアを介するアクセスを提供するための一連の工程が挙げられる。
【0010】
個人識別ユニットを現在販売しているある企業は、AiTの関連事業部であるaffinitexであり、その製品名は、VeriMeである。VeriMe製品ならびにバッテリーおよび制御エレクトロニクスに組み込まれた指紋リーダーの大きさに起因して、このユニットは、比較的大きく、そしてペンダントのように首の周りに垂らされることが意図される。対照的に、生体測定コミュニティーにおいて多くの長期にわたる要求は、腕時計のような宝石類の一部に別個に取り込まれ得る、生体測定技術である(例えば、Biometrics;Advanced Identiry Verification,JulianAshbourn,Springer,2000,第63−4頁を参照のこと)。
【0011】
生体測定を実行する種々の組織部位の光学画像に依存する、多数の公知の生体測定製品および技術が存在する。例えば、Fowlerらの米国特許第4,537,484号は、光学技術を使用する指紋画像を収集するための装置を記載する。米国特許第6,175,407号において、Sartorは、光学技術を使用する、手掌画像を収集するための装置を記載している。米国特許第5,291,560号において、Daugmanは、虹彩の光学画像を収集および処理するための方法を記載する。米国特許第5,793,881号において、Stiverらは、画像方法を使用する、手の皮下構造の画像を収集するためのシステムおよび方法を記載する。しかし、これらの技術の多くは、生体測定のための基礎として組織の画像を生成および使用する。画像の使用は、一般に、必要な生体測定の細部を捕捉するための十分な大きさを有する、高品質の高価な光学システムおよび画像化領域を必要とする。画像化領域が小さ過ぎる場合、これらの画像システムの生体測定性能が低下する。この理由のために、接触画像システム(例えば、指紋および手掌リーダー)は、このようなシステムが取り込まれ得る製品の範囲および形態を制限する、比較的大きく、滑らかで、アクセス可能な表面を必要とする。最後に、登録された画像と試験画像との間の一致の決定は、2つの画像の配向に依存するので、このような生体測定システムは、これらの潜在的な効果を補正しなければならない。この理由のために、画像技術に依存する生体測定システムは、画像のずれ、回転およびゆがみを補正するために、有意なコンピュータ性能および洗練されたアルゴリズムを必要とし、これにより、使用者を認識するために必要とされる、システム費用の増加および時間の増加を導く。
【0012】
画像化技術の代替として、生体測定決定のためのスペクトル情報の使用が、2001年4月11日に出願された、発明の名称「Apparatus and Method of Biometric Identification or Verification of Individuals using Optical Spectroscopy」の米国特許出願番号09/832,534(これは、1999年10月8日に出願された、発明の名称「Apparatus and Method for Identification of Individuals by Near−Infrared Spectrum」の米国特許出願番号09/415,594の一部継続出願である)に開示されている。これらの出願に開示されている測定を実施するために使用される機器は、比較的大きく、かつ高価な、多目的の実験室等級の市販の分光計に基づいた。これらの出願に開示される技術のファミリーは、スペクトル生体測定と称される。これら
の出願の開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0013】
組織スペクトルは、一般に、その組織の吸収特性と散乱特性との両方によって影響を受けることが周知である。多くのスペクトル測定の適用について、測定されるスペクトルの、その組織の吸収特徴を表す部分は、測定のために、散乱に起因する効果より重要である。これらの2つの効果を分離するための1つの技術は、半径方向に解像される拡散反射分光光度法として公知であり、これは、異なる光源−検出器分離距離を有する複数の測定値を収集することに基づく。このデータの収集は、散乱および吸収に起因する効果を排除および分離するために十分な情報を提供する(Nicholsら、Design and Testing of a White−Light,Steady−State Diffuse Reflectance Spectrometer for Determination of Optical Properties of Highly
Scattering Systems,Applied Optics,1997年1月1日、36(1)、93〜104頁を参照のこと)。複数の光源−検出器分離の使用は、生物学的サンプル中での分析物測定のための周知の技術であるが、スペクトル生体測定決定のための類似の測定構成の使用は、以前には開示されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
スペクトル生体測定決定を実施するための、安価で、頑丈で、そして小さな分光計に対する必要性が存在する。このような分光計を構築するために使用され得る1つの方法は、異なる波長で作動してサンプルを照射し、そしてこれらの波長の各々において、これらのサンプルの光学特性を測定する、複数の不連続な光源(例えば、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード、垂直共振器表面発光ダイオードレーザー(VCSEL)、および広帯域光源(例えば、白熱電球または黒体エミッタ)に結合された狭帯域光学フィルタ)を使用することに基づく。これらの型の分光計は公知であり、そして多くの適用のために、分光学的情報を収集するために使用される。例えば、米国特許第3,910,701号において、Hendersonらは、種々の生物学的サンプルの測定のための、複数のLED源を組み込む分光計を開示する。米国特許第4,857,735号において、Nollerは、溶液サンプルを測定するために1つ以上のLEDを使用する分光計を開示する。米国特許第5,257,086号において、Fatelyらは、アダマールまたはフーリエの周波数符号化法(frequency encoding)を組み込む、マルチLED光源を有する光学分光計を開示する。しかし、生体測定決定に最適な設計を有する、小さく、頑丈で、そして安価な分光計に対する必要性が存在する。
【0015】
生体測定決定の作業の一部として、生体測定決定のために使用されるサンプルが生存していることを確実にすることが必要である。例えば、Ostenらに対する米国特許第5,719,950号は、生体測定特異的な測定(例えば、指紋、掌紋、声紋など)を、非特異的な生体測定パラメータ(例えば、皮膚の温度、脈拍、心電図または組織スペクトル特徴)の別個の測定と組み合わせて、そのサンプルの生存性を確実にする方法およびシステムを開示する。
【0016】
生体測定同定または照合を実施し、そして測定されているサンプルが生存組織であることを確実にすることに加えて、生体測定決定作業の一部として、検査中の人物の年齢の推定値、性別、および他の人口統計学的特徴を決定することに対する必要性もまた、存在し得る。例えば、米国の連邦取引委員会は、最近、子供が不適切なサイトにアクセスすることを妨げる目的で、ウェブサイトにアクセスを試みる人物の年齢を遠隔的に決定する問題を検討する委員会を設立した。オンライン子供保護に関する委員会(COPA)は、2000年6月9日に、後にわかる(then−dnown)生体測定技術は、公知の生体測定特徴のいずれに基づいても、人物の年齢の決定を補助するために使用され得ないことを
示す証言を聞いた。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(発明の要旨)
本発明の詳細な実施形態が、本明細書中に開示される。しかし、開示される実施形態は、本発明の単なる例示であり、本発明は種々の系で実施され得ることが、理解されるべきである。従って、本明細書中に開示される具体的な詳細は、限定としては解釈されず、むしろ、特許請求の範囲についての基礎として、そして当業者に本発明を様々に実施することを教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。
【0018】
本発明は、正確で、精密で、かつ再現性のある個体の組織スペクトル(近紫外範囲、可視範囲、非常に近赤外の範囲、または近赤外の範囲の選択された波長、およびこれらの範囲から選択される波長の組み合わせを含む)が、その個体について独特のスペクトル特徴およびスペクトル特徴の組み合わせを含むという、本出願人の認識に基づく。生体測定決定が示されるスペクトル範囲は、350nm〜2500nmの波長に及ぶが、類似の能力が、この範囲の外側に存在するようである。
【0019】
どの測定波長を使用するかの選択は、部分的に、適切な照射源および検出器の利用可能性および費用によって余儀なくされる。本願に開示される不連続な光源の場合、最も通常でそして最も安価な光学構成要素が、350〜1000nmの波長領域の光で作動する。このようなシステムは、シリコン検出器材料、ならびに容易に入手可能なLED、レーザダイオード、VCSELまたは電球に結合された光学フィルタから構築され得る。しかし、他の検出器および他の光源もまた、代替の構成要素として、またはより大きいスペクトル範囲もしくは異なるスペクトル範囲に及ぶために、使用され得る。
【0020】
本発明の方法および装置はまた、測定されているサンプルが生存組織であるか否かの生体測定決定(「生存性」決定として公知)を提供する。さらに、本発明のシステムは、高いシステム機密保護を維持する。なぜなら、この生体測定デバイスは、登録されたデータの特性の整合に加えて、それが操作しているサンプルが現実でありかつ生存していることを確実にするからである。従って、生存性の正確な決定は、認証された個体から取り外された部分および/または模倣された身体部分の使用を妨げる。生存組織の分光学的サインは、大部分の他の媒体(死亡組織を含む)とかなり異なることが見出されており、従って、生存性の決定は、本発明の生体測定デバイスおよび方法の不可分部分である。
【0021】
本発明の方法および装置はまた、生体測定を受けている人物の年齢を推定または照合するために使用され得る。さらに、本発明の方法および装置は、生体測定を受けている人物の性別を推定または照合するために使用され得る。
【0022】
生体測定の同定の決定、生存性の決定、年齢の決定、および性別の決定のために利用され得る、組織スペクトルを獲得し得るセンサ装置についての種々の実施形態が、本明細書中に開示される。本発明のこれらの実施形態は、種々のシステムに組み込むための小型化および耐衝撃化に耐えられる。このような固定設置的用途しては、仕事場、家、ホテル、安全な産業領域および他の制御された場所に物理的に入ることの保証;時間および出席のモニタリング;鍵不要の乗車、鍵不要の始動、自動車の個人設定、および移動インターネットアクセスのような自動車の適用;パーソナルコンピュータおよびネットワークの機密保全;健康記録アクセスの機密保持;自動金融取引;ならびに認定された拳銃の使用が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
固定されたシステムの適用に加えて、本願に開示される装置および方法は、小さな個人用の生体測定パッケージ(例えば、使用者/所有者/着用者が運び得るスマートカード、
電子フォブ(fob)または腕時計)において使用され得、そして生体測定により保証された認定を、種々のデバイスおよびシステムに提供し得る。このような個人用生体測定システムは、認定された個人によって活性化された場合にのみ、保護された特性へのアクセスを提供し、そして認定されていない人々による、この保護されたシステムへの侵入を減少または排除する、鍵として働く。従って、本発明の個人用生体測定デバイスは、このようなデバイスとインターフェースし、そして保有者がアクセスを認定される任意のシステムへのアクセスを可能にする型のスマートキーとなる。このようなシステムおよび使用としては、パーソナルコンピュータ、ネットワークアクセスデバイス、オフィスビルおよび個人住居のドア、時間および出席のシステム、自動車、機密保護機器、自動金融取引、携帯電話、料金所、電子自動販売機取引、およびペイパーエントリー事象(例えば、映画)などが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0024】
あるいは、個人情報機器(PDA)および携帯電話のような個人用エレクトロニクスが種々の無線アプリケーションに組み込まれているので、本発明は、そのデバイスを使用する人物の身元を確認するための手段を提供する。このことは、移動商業のような無線適用がこのようなデバイスを使用して、一時的な伝達を認定するかまたは購入する場合に、特に重要であり得、同時にまた、医療記録へのアクセスを可能にし、そして家、事務所および自動車の電子鍵として働く。PDAを使用して保護された特性にアクセスすることを試みる人物の身元を確認するために使用され得る、一体化された、小型で、頑丈な機密保護生体測定システムを提供することによって、本発明は、多くの毎日の生活状況において適用可能な能力を提供する。
【0025】
単一の生体測定としてのスペクトル生体測定センサの適用に加えて、本願に開示されるセンサおよび同定方法はまた、システム内で他の生体測定技術と組み合わせて使用され、このシステムの精度を増加させ得るか、またはこのシステムの耐久性を増加させ得るかの、いずれかである。より高度なシステムの機密保護が必要とされる場合、スペクトル生体測定技術が、1つ以上の他の生体測定方法と組み合わせられ得、そしてその結果が組み合わせられて、人物の身元を確実にし得る。あるいは、開示されるシステムおよび方法が、他の生体測定技術と組み合わせられて、システムの不備または他の理由に起因して1つの方法が不可能である場合に人物を同定するための1つより多い方法を与え、全体としてより頑丈なシステム性能を確実にし得る。
【0026】
生体測定決定を実施するための1つのシステムは、以下を備える:1つ以上の単色照射源、1つ以上の検出器、および光学サンプラーを備える光学センサヘッドであって、複数の光源−検出器間隔または複数の異なる単色波長、あるいはその両方が存在するように全て配置されている、光学センサヘッド;光源符号化システム;入力および出力デバイスを備える、マイクロプロセッサ;認定された人物ついての選択された組織スペクトルデータ、または未知の個体が確認される個体についてのスペクトルデータの収集を含む、データベース;ならびに標的個体のスペクトルデータと、認定されたスペクトルデータまたは一群の個体についてのスペクトルを含むスペクトルデータベースのコレクションとの間を区別するために、マイクロプロセッサにおいて実行されるプログラム。このプログラムは、生存性の決定、年齢の決定、および性別の決定のための分析を、測定されたスペクトルデータに基づいて実行するための、ソフトウェアを含み得る。
【0027】
本発明を特徴付ける、これらおよび種々の他の利点および新規性の特徴は、本明細書中に付随しそして本明細書の一部を形成する、特許請求の範囲に具体的に指摘されている。しかし、本発明、その利点、およびその使用により得られる目的のより良好な理解のために、本明細書のさらなる部分を形成する図面、および付随する説明的事項(ここに、本発明の好ましい実施形態が図示および説明されている)に対する参照がなされるべきである。
【0028】
図面において、同様の参照番号は、いくつかの図にわたって、本発明の好ましい実施形態の対応する部品または要素を示す。したがって、本発明は、以下をも提供する。
(1) 生体測定タスクを実施するために、組織由来のスペクトル情報を収集するためのシステムであって、該システムは、以下:
複数の別個の光源;
該光源をコード化する手段;
該光を該組織に向ける手段;
表面下の組織を実質的に通過する光を検出する手段;
得られた検出シグナルを記録および記憶する手段;ならびに
得られたスペクトルデータを処理して、生体測定を実施する手段、
を含む、システム。
(2) 前記光源が、発光ダイオードである、項目1に記載のシステム。
(3) 前記光源が、レーザダイオードである、項目1に記載のシステム。
(4) 前記光源が、垂直共振器型面発光レーザー(VCSEL)である、項目1に記載のシステム。
(5) 前記光源が、複数の光学フィルタに連結された1種以上の白熱源上に置かれる、項目1に記載のシステム。
(6) 前記光源をコード化する前記手段が、電気的手段である、項目1に記載のシステム。
(7) 前記光源をコード化する前記手段が、電気機械手段である、項目1に記載のシステム。
(8) コード化する前記電気機械手段が、ミクロ電気機械システム(MEMS)アセンブリである、項目7に記載のシステム。
(9) 前記光源をコード化する前記手段が、機械手段である、項目1に記載のシステム。
(10) 前記コード化は、前記組織サンプリング間隔の間に、一連の単一光源に前記組織を照射させる、項目1に記載のシステム。
(11) 前記コード化は、前記組織サンプリング間隔の間に、組み合わせの光源に前記組織を照射させる、項目1に記載のシステム。
(12) 項目1に記載のシステムであって、光を組織に向ける前記手段は、供給源および検出器の全ての組み合わせについて、実質的に同一の供給源−検出器の距離で、組織に入光させる、システム。
(13) 項目1に記載のシステムであって、光を組織に向ける前記手段は、供給源および検出器の全ての組み合わせについて、実質的に異なる供給源−検出器の距離で、組織に入光させる、システム。
(14) 前記組織が、皮膚である、項目1に記載のシステム。
(15) 光を検出する前記手段が、単一エレメント検出器である、項目1に記載のシステム。
(16) 前記単一エレメント検出器が、シリコン検出器である、項目15に記載のシステム。
(17) 前記単一エレメント検出器が、インジウム−ガリウムヒ素検出器である、項目15に記載のシステム。
(18) 前記単一エレメント検出器が、硫化鉛検出器である、項目15に記載のシステム。
(19) 前記単一エレメント検出器が、ボロメータである、項目15に記載のシステム。
(20) 光を検出するための前記手段が、検出器アレイである、項目1に記載のシステム。
(21) 前記検出器アレイが、シリコン検出器アレイである、項目20に記載のシステム。
(22) 前記検出された光が、前記組織から拡散して反射される、項目1に記載のシステム。
(23) 前記検出された光が、前記組織を透過する、項目1に記載のシステム。
(24) 前記生体測定が、識別タスクである、項目1に記載のシステム。
(25) 前記生体測定が、識別確認タスクである、項目1に記載のシステム。
(26) 前記生体測定が、年齢推定タスクである、項目1に記載のシステム。
(27) 前記生体測定が、性別推定タスクである、項目1に記載のシステム。
(28) 前記生体測定が、生存測定タスクである、項目1に記載のシステム。
(29) 前記生体測定が、基準試料測定タスクである、項目1に記載のシステム。
(30) 生体測定タスクを実施するために、組織由来のスペクトル情報を収集するための照射システムであって、該システムは、以下:
複数の別個の光源;および
該光源の強度をコード化する手段、
を含む、照射システム。
(31) 前記光源が、共通点から全て実質的に同一の距離にある、項目30に記載のシステム。
(32) 前記光源が、発光ダイオードである、項目31に記載のシステム。
(33) 前記光源が、レーザダイオードである、項目31に記載のシステム。
(34) 前記光源が、垂直共振器型面発光レーザーである、項目31に記載のシステム。
(35) 前記光源が、1種以上の白熱源に連結された光学フィルタである、項目31に記載のシステム。
(36) 共通点から2種以上の実質的に異なる距離となるように配置される、項目30に記載のシステム。
(37) 前記光源が、発光ダイオードである、項目36に記載のシステム。
(38) 前記光源が、レーザダイオードである、項目36に記載のシステム。
(39) 前記光源が、垂直共振器型面発光レーザーである、項目36に記載のシステム。
(40) 前記光源が、1種以上の白熱源に連結された光学フィルタである、項目36に記載のシステム。
(41) 前記光源をコード化する前記手段が、電気的手段である、項目30に記載のシステム。
(42) 前記光源をコード化する前記手段が、電気機械手段である、項目31に記載のシステム。
(43) コード化の前記電気機械手段が、ミクロ電気機械システム(MEMS)アセンブリである、項目42に記載のシステム。
(44) 前記光源をコード化する前記手段が、機械手段である、項目31に記載のシステム。
(45) 多数の測定値を有する、組織スペクトルデータを使用する、生体測定タスクを実施するための方法であって、該方法は、以下:
多数の別個の光源からの照射を使用して、標的組織スペクトルデータを各々の該標的から得る工程;および
多変量アルゴリズムを使用して該標的組織スペクトルデータを処理して、生体測定を提供する工程、
を包含する、方法。
(46) 前記スペクトルデータは、単一の供給源−検出器の隔離距離を表す、項目45に記載の方法。
(47) 前記スペクトルデータは、複数の供給源−検出器の隔離距離を表す、項目45に記載の方法。
(48) 前記生体測定が、識別タスクである、項目45に記載の方法。
(49) 前記生体測定が、識別確認タスクである、項目45に記載の方法。
(50) 前記生体測定が、年齢推定タスクである、項目45に記載の方法。
(51) 前記生体測定が、性別推定タスクである、項目45に記載の方法。
(52) 前記生体測定が、生存測定タスクである、項目45に記載の方法。
(53) 前記生体測定が、サンプル確実性タスクである、項目45に記載の方法。
(54) 保護されたプロパティにアクセスし得る生体測定タスクを実施するための個人識別システムであって、該システムは、以下:
個人デバイス;
スペクトル生体測定センサ;
得られたスペクトルデータを処理して、生体測定を実施するための手段;および
該生体測定の結果に従って、該保護されたプロパティへのアクセスを認定または否定する手段、
を含む、個人識別システム。
(55) 前記個人デバイスが、個人デジタルアシスタントである、項目54に記載のシステム。
(56) 前記個人デバイスが、携帯電話である、項目54に記載のシステム。
(57) 前記個人デバイスが、腕時計である、項目54に記載のシステム。
(58) 前記個人デバイスが、電子ホブである、項目54に記載のシステム。
(59) 前記個人デバイスが、スマートカードである、項目54に記載のシステム。
(60) 前記個人デバイスが、小火器である、項目54に記載のシステム。
(61) 生体測定センサを使用して、保護されたプロパティに対するにアクセス制限するための方法であって、該方法は、以下:
既知の認定されていない人物から生体測定記録データを収集する工程;
標的人物から標的生体測定データを収集する工程;
該標的生体測定データを該認定されていない記録データと比較する工程;および
該標的生体測定データと該認定されていない記録データとの間の一致を決定した場合、該保護されたプロパティへのアクセスを否定する工程、
を包含する、方法。
(62) 前記生体測定センサが、スペクトル生体測定センサである、項目61に記載の方法。
(63) 前記保護されたプロパティが、兵器である、項目61に記載の方法。
(64) 前記兵器が、小火器である、項目63に記載の方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明の詳細な実施形態が、本明細書中に開示される。しかし、開示される実施形態は、本発明の単なる例示であり、本発明は、種々の系で実施され得ることが理解されるべきである。従って、本明細書中に開示される具体的な細部は、限定としては解釈されず、むしろ、特許請求の範囲についての基礎として、および当業者に本発明を様々に実施することを教示するための代表的な基礎として、解釈される。
【0030】
本発明は、近紫外範囲、可視範囲、非常に近赤外、または近赤外のスペクトル範囲、およびこれらの範囲の組み合わせにおける、正確で、精密で、かつ再現性のある個体の組織スペクトルが、その個体について独特のスペクトル特徴およびスペクトル特徴の組み合わせを含むという、本出願人の認識に基づく。本発明は、さらに、識別分析技術を利用する適切な分析が、スペクトル出力の目視分析では容易には明らかでないこれらの独特の特徴または組み合わせを同定し得、その結果、個体の身元が、使用の時点に得られた組織スペクトルデータと、先の測定からの格納された組織スペクトルデータとの比較によって決定され得るという認識に基づく。
【0031】
さらに、組織スペクトルは、個体に対して独特な情報を含むのみでなく、このようなスペクトルサンプルが、そのサンプルの生存時にとられたか否かを示す多数の特徴および特徴の組み合わせをも含むことが、見出された。サンプルの状態(生存または死)を示すスペクトル特徴を生じる生理学的効果としては、血液灌流、温度、水和状態、グルコースレベルおよび他の分析物のレベル、および組織崩壊の全体的な状態が挙げられるが、これらに限定されない。従って、本発明の生体測定同定法および生体測定照合方法はまた、組織の生存性の状態の決定と組み合わせてか、またはその決定とは別に使用され得る。他の生物学的系(器官、動物など)由来の組織もまた、組織の組成および形態の際に起因してヒトの皮膚とは区別可能に異なるスペクトル特徴を有することが見出された。従って、本発明の生体測定同定方法はまた、サンプルがヒトの皮膚であるか他の何らかの組織であるかの決定と組み合わせてか、またはその決定とは別に使用され得る。さらに、組織様の物質(例えば、コラーゲン、ゼラチン、ラテックス、水溶液など)は、組成および形態の差異に起因してヒト組織とは区別可能に異なるスペクトル特徴を有することが、見出された。従って、本発明の生体測定同定方法および生体測定照合方法は、サンプルが実際の組織であるか他の何らかの物質であるかの決定と共にか、またはその決定とは別に、使用され得る。
【0032】
本発明を利用しながら、組織スペクトルにおいて観察された、他のスペクトル特徴が、測定されている人物の年齢および性別に関連することもまた、見出された。これらの特徴は、一部には、若いヒトと老いたヒトとの間の皮膚の厚さの差異、および男性と女性との間の皮膚の厚さの差異に起因すると考えられる。このような皮膚の厚さの変化および組成は、サンプルの散乱特性に影響を与えることによって、組織の光学的特長に影響を与える。これらの特性は、次に、測定された組織スペクトルに異なるスペクトル形状を与え、これは、適切な多変数技術によって抽出および使用されて、年齢および性別の推定値を提供し得る。
【0033】
ここで図1を参照すると、本発明の代表的な光学センサヘッドの実施形態の斜視図が示されている。センサアセンブリ30は、選択された様式でセンサヘッド32に配置された一連の複数の光源34からなり、このセンサアセンブリはまた、1つ以上の検出器36を備える。センサアセンブリ30はまた、電源調節エレクトロニクス(図示せず)を備え得
、これは、光源34に電力を供給し、そしてセンサアセンブリ30はまた、信号処理エレクトロニクス(図示せず)を備え得、この信号処理エレクトロニクスは、検出器36から得られた信号を増幅する。多導線ケーブル38は、センサヘッドに電力供給し、そして検出された信号を、スペクトルデータを処理するマイクロプロセッサまたはコンピュータ(図示せず)に伝達して戻す手段を提供する。
【0034】
光源34は、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード、垂直共振器表面発光ダイオードレーザー(VCSEL)、光学的シャッターを備える光学通過帯域フィルタを備える石英タングステンハロゲン白熱電球、または当該分野において公知の他の種々の光源であり得る。光源34は、各々が、同じ波長特徴を有し得るか、または約350nm〜約2500nmのスペクトル範囲の異なる中心波長を有する光源から構成され得る。一般に、光源34のコレクションは、他のものと同じ波長を有するいくつかの光源、およびいくつかの異なる光源を備え得る。好ましい実施形態において、光源34は、約350nm〜約1100nmのスペクトル範囲内の異なる波長特徴を有するLED、レーザダイオード、VCSEL、または他の固体オプトエレクトロニクデバイスのセットを備える。
【0035】
検出器36は、単一の要素であり得るか、または要素の一次元アレイもしくは二次元アレイであり得る。検出器の型および材料は、光源の波長ならびに測定信号およびタイミングの要件に適切であるように、選択される。これらの検出器としては、PbS、PbSe、InSb、MCT、ボロメータおよびマイクロボロメータアレイが挙げられ得る。光源34および固体オプトエレクトロニクデバイスが約350nm〜約1100nmのスペクトル範囲内で作動する、好ましい実施形態において、好ましい検出器材料は、ケイ素である。
【0036】
光源34は、各光源についての組織特性を測定するために、各光源の各々の電源をオンとオフとにすることによって、連続的に照明および消灯され得る。あるいは、複数の光源34が、当業者に公知の符号化方法を使用して、電子的に変調され得る。これらの符号化パターンとしては、フーリエ強度変調、アダマール変調、ランダム変調、および他の変調方法が挙げられる。
【0037】
図2は、拡散反射測定において使用するための、図1のセンサヘッド32の断面図を示す。センサヘッド32の面39に接触する組織40、ならびに各光源41、43、45、47、49、51から検出器356へと進む光のそれぞれの平均光路42、44、46、48、50、52もまた、示される。組織スペクトルデータの獲得の際に、少なくとも2つの異なるサンプリング様式で、測定がなされ得る。図2に示される光学構造は、拡散反射サンプリング構造として公知であり、ここで、光源および検出器は、組織の同じ側に位置する。代替の方法は、透過サンプリングとして公知であり、ここで、光は、薄い組織領域(例えば、肘または指先)に片側で入り、次いでその組織の他方の側に位置する検出器によって、検出される。シリコン領域のような領域にある光は、その波長に依存して、1センチメートル以上の有意な深さで組織に透過し得るが、組織の透過サンプリングは、使用され得る身体の領域を制限する。従って、いずれの様式のサンプリングも、本発明に、そして特に、シリコン領域の光を利用する分析に適用可能であるが、好ましい、より汎用的なサンプリング方法は、反射光に基づく。
【0038】
図2を参照すると、組織が特定の光源41によって照射される場合、検出器36によって検出される、得られる信号は、光源41と検出器36との間の経路に沿った、組織光学特性についての情報を含む。任意の所定の光子の実際の経路は、組織による光学的散乱の影響に起因して、非常に不規則であるが、平均光路42は、図に示されるように、より規則的な平滑な曲線である。
【0039】
この平均光路は、一般に、異なる光源−検出器分離距離について異なる。別の光源51が、検出器36から光源41と同じ距離で配置され、そしてこれら2つの光源が同じ波長特徴を有する場合、得られる信号が組み合わせられて、得られるその測定の信号対ノイズ比を増加させ得る。光源51が光源41と異なる波長特徴を有する場合、一般に、得られる信号は、組織の光学特性についての独特で有用な情報を提供する(特に、これらの光学特性がスペクトル生体測定決定に関連し、そして異なるデータ点として分析されるべきである場合)。類似の様式で、2つの光源が同じ波長特徴を有し、そして検出器36から異なる距離に配置される場合(例えば、光源41および43)、2つの信号において得られる情報は異なり、測定値は、異なるデータ点として記録および分析されるべきである。波長特徴と光源−検出器分離との両方の差異は、組織40の光学特徴についての新たな有用な方法を提供する。
【0040】
一般に、検出器36は、センサヘッドの中心に位置し得るか、またはより大きな光源−検出器分離距離を提供するために、センサヘッド32の片側にずれ得る。センサヘッド32は、他の形状(楕円形、正方形および矩形が挙げられる)であり得る。センサヘッド32はまた、光学表面上で複合の曲率を有して、このセンサヘッドが取り付けられるデバイスの輪郭に整合し得る。
【0041】
皮膚の最上層から反射する光は、より深い組織特性についての重要な情報を含まない。実際に、組織の頂部表面からの反射(「鏡面」光または「迂回」光として公知)は、ほとんどの光学的な測定に対して有害である。この理由により、図2は、検出器36が、光学的に不透明な材料37(これが、センサヘッド32の本体を作製する)中でセンサ表面39から凹んでいる、センサヘッド構造を示す。検出器36の凹んだ配置は、組織の第一(上皮)表面から反射した後に検出され得る光の量を最小にする。同じ光学ブロッキング効果が、光源の各々を凹ませることによって、または検出器と光源との両方を凹ませることによって、生じ得ることが、見られ得る。光学ブロッキングの他の等価な手段は、当業者によって容易に確立され得る。
【0042】
図3は、可視できる、複数の光源34および1つの検出器36を備える、センサヘッド32の上面図を示す。この図は、種々の光源34およびこれらの光源の間で種々の間隔を空けた検出器36を考慮した配置の表示を意図する。一般に、この配置は、異なる波長特徴を有する少数の光源34が利用可能である場合に、最も適用可能である。これらの場合において、光源34と検出器36との間の種々の距離を使用して、さらに任意の光学的情報を収集する。
【0043】
図4を参照すると、光源34はまた、検出器36から等距離になるように配置され得る。この配置は、各光源34が異なる波長であり、かつ十分な光源がシステムに対して所望の精度結果を達成するように得られ得る場合に、最も適用可能である。この例は、個々の光源が、光学フィルタを1つ以上のブロードバンド光源(例えば、白熱光源)と組み合わせて生じる場合に、生じる。この場合において、多数の独特の波長バンドが規定され得、各光源34は、中央の検出器36から等距離で配置され得る。
【0044】
種々の光源−検出器の配置の代替の実施形態が、図5において例示され、この図は、この型のセンサ70の上面図を概略的に示す。この実施形態において、4つの異なる光源71、74、77および80は、共通の検出器83の周りに配置される。これら4つの光源71、74、77および80は、例示目的で示されるが、この数より少数または多数の検出器が、特定の実施形態において使用され得る。各光源71、74、77および80は、異なる光学的導波管72、75、78および81に光学的に連結され得る。各導波管72、75、78および81は、個々に制御可能な電子シャッターまたは力学的な光学シャッター73、76、79および82を有する。これらの光学シャッター73、76、79お
よび82は、所定の位置で、光が導波管72、75、78および81から組織に入るのを可能にすることによってこの光をコードするように、個々に制御され得る。光学シャッターを実行するための1つの方法は、微小電気機械システム(MEMS)構造を使用する方法であり、この方法は、当業者に周知の技術である。光源71、74、77および80は、異なるLED、レーザダイオードまたはVCSELであり得る。あるいは、異なる光学フィルタを有する1つ以上の白熱源を使用して、異なる波長特徴の光を発生させて、各導波管72、75、78および81に連結し得る。同様に、このMEMS開口ジオメトリは、本出願の他の図面で例示される、他の照射源およびジオメトリとともに使用され得る。
【0045】
あるいは、複数の光源−検出器の距離もまた、図6に示される1より多い検出器素子を使用することによって、達成され得る。図6は、この型のセンサ80の上面図を概略的に示す。この実施形態において、3つの異なる光源82、84および86の各々は、所定の光源と各検出器との間の間隔が異なるように、3つの検出器81、83および85に対して配置される。例えば、光源82についての光源検出器の間隔は、検出器85が最も短く、検出器83が最も長い。連続パターンまたはコード化パターンで光源82、84および86を作動させ、3つの検出器81、83および85の各々での応答を測定することによって、全ての波長における、全ての利用可能な光源−検出器の分類についての組織特徴が、測定され得る。
【0046】
複数の検出器素子および複数の照射源の使用は、図7に示されるような検出器アレイを使用するように拡張され得る。図7は、この型のセンサ90の上面図を概略的に示す。この実施形態において複数の光源92、94、96および98は、検出器アレイ99の注意に配置される。各アレイ素子にて検出された信号は、次いで、所定の光源からの光に対して、異なる光源−検出器の分類を表示する。この配置に対する多くの改変が存在し、これらとしては、一次元(1−D)アレイまたは二次元(2−D)アレイの使用、ならびにアレイ内および外周上への光源の配置が挙げられる。
【0047】
検出器は、検出されるスペクトル領域に対して適切な任意の材料であり得る。約350nm〜約1100nmの領域内の光について、好ましい検出器材料はシリコンであり、そしてこれは、システムの配置および使用されるコード化方法に依存して、単一素子デバイス、別個の素子の集合体(collection)、または1−Dアレイもしくは2−Dアレイとして企図され得る。約1.25〜約2.5μmの領域内の光について、好ましい検出器材料は、InGaAsであり、これもまた、単一素子、素子の集合体、または1−Dアレイもしくは2−Dアレイとして企図され得る。さらなる検出器材料および検出手段としては、InSb、Ge、MCT、PbS、PbSe、ボロメータ、および当業者に公知の他のものが挙げられる。
【0048】
一旦、組織を通過する光が検出されると、標準的な技術によって、信号がデジタル化および記録され得る。次いで、この記録データは、直接処理され得るかまたは当業者に公知であるような、吸光スペクトルもしくはノイズスケールの(noise−scaled)吸光スペクトルに変換され得る。次いで、このデータは、スペクトルの同定または以下に記載される方法による確認のために、使用され得る:米国特許出願第09/832,534号(2001年4月11日出願)(表題「Apparatus and Method
of Biometric Identification or Verification of Individuals using Optical Spectroscopy」、および米国特許出願第09/415,594号(1999年10月8日出願)(表題「Apparatus and Method for Identification of Individuals by Near−Infrared Spectrum」。
【0049】
上記のような、小さな、スペクトルの生体測定サブアセンブリは、種々のシステムおよび適用に組み込まれ得る。このスペクトル生体測定読み取り装置は、PCまたはネットワークインターフェースに接続させるか、ATMに接続されるか、玄関に固定されるかまたは電子工学の特定の部品(例えば、携帯電話)へのアクセスを可能にするような、専用システムとして構成され得る。この様式において、1人以上のヒトが、生体測定システムに登録され得、かつ特定の読み取り装置を使用して、特定の機能または領域へのアクセスを得る。
【0050】
あるいは、スペクトル生体測定システムは、個人の生体測定システムとして構成され得、この個人の生体測定システムは、デバイスを使用するのを許可された個人のみを識別することを確実にし、アクセスへの認証を必要とする、適切に備えられた任意のPC、ATM、玄関または電子光学部品に対する認証を伝達する。この後者のアプローチの利点は、個人の生体測定システムが、必要なユニットに識別コードを伝達し得、次いでその生体測定信号を使用して、認証を確実にし得ることである。このことは、このシステムが、より困難な識別作業ではなく、確認作業を実施するために必要であることを示す。さらに、ユーザの見え方から、このシステムは、彼等自身または彼女等自身を識別するための明白な必要性なしに、ユーザを認識する。従って、このシステムは、識別様式で作動するようであり、これは、ユーザに対してより簡便である。
【0051】
個人生体測定システムのさらなる利点は、認証されていない個人が、特定の生体測定システム−個人の組み合わせに対する個人生体測定システムコードを無効にすることができる場合に、この個人生体測定システムが新たな識別コードを使用するためにリセットされ得るかまたは置き換えられ得、それによって認証した個人に対する確実な生体測定を再確立することである。この性能は、生体測定の特性(スペクトル、および任意の他の生体測定技術(例えば、指紋、虹彩、顔など)での認証のみに基づく複数の個人生体測定システムとは、対照的である。この後者の場合において、侵入者が、認証されるユーザからの信号をどうにかして模倣することによって、このシステムを攻略することができた場合、生体測定コードを変更することはできない。なぜなら、このシステムは、個人の不変の生理学的特徴にのみ基づいているからである。
【0052】
図8は、電子キーホルダー(electronic key fob)102の配置における、個人スペクトル生体測定システム100の1つの実施形態を示す。図4の等距離センサ配置は、例示目的のみで示される。開示されたセンサ配置のどれもが、電子キーホルダーにおいて適用される。照明104および検出システム106は、スペクトル情報を収集およびデジタル化するための手段と同様に、キーホルダー102内に組み込まれる。1つの実施形態において、RF信号103に基づく短い範囲のワイヤレス技術は、このキーホルダーと対応する読み取り装置(図示せず)(これは、PC、玄関などへの利用が可能である)との間を連絡するように伝達され得る。別の実施形態において、赤外光学信号を使用して、キーホルダーと読み取り装置との間の情報を伝達し得る。別の実施形態において、直接型電気接続は、個人生体測定システムと読み取り装置との間に確立される。測定されたスペクトルデータと以前に記録した登録者のスペクトル(テンプレート)との間での実際の比較は、キーホルダー内または読み取り装置においてのいずれかで、なされ得る。前者の場合、比較を行うために必要な倫理的操作は、キーホルダー内でなされ、次いで、単一の確認された信号または拒否された信号が、読み取り装置に伝達される。後者の場合、最新の測定されたスペクトルが、読み取り装置に伝達され、そしてその比較および決定が、この読み取り装置においてかまたはこの読み取り装置が接続するホストにおいて、達成される。いずれにしても、キーホルダーと読み取り装置との間の連絡は、システムの妨害およびシステムの認証されていない使用を回避するために、確実な様式で達成される必要がある。2つのデバイス間の確実な連絡を保証するための方法は、当業者に周知である。
【0053】
個人生体測定システム110の第二の実施形態は、図9に示される。この場合、生体測定読み取り装置111は、腕時計112のケースに組み込まれ得、これは、手首の領域における皮膚から検出される信号に基づいて、操作される。このシステムの操作は、生体測定用キーホルダーについて記載された操作と同一である。図10は、例示目的のみで、図4の等距離センサジオメトリを示す。以前に開示されたセンサジオメトリのいずれもが、この適用において使用され得る。
【0054】
腕時計およびキーホルダーに加えて、類似の生体測定性能が、他の個人生体測定デバイス内に組み込まれ得る。これらのデバイスとしては、パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)および携帯電話が挙げられる。各場合において、個人生体測定システムは、設置されたデバイス両方のアクセスに対するユーザ認証を提供し、かつデバイスが達成し得る、移動通信(M−Commerce)または他のワイヤレスの相互作用についての認証を提供する。
【0055】
開示される小型センサはまた、未許可の使用を防止するために火器に配置され得る。詳細には、生体測定センサは、組織特性を感知するために兵器(例えば、拳銃または他の火器)のハンドグリップ内に配置され得るが、銃は通常の様式において保持される。本出願において開示される装置および方法のさらなる性能は、保護特性にアクセスし、この特性にアクセスするために認証されたヒトを決定することから明白に排除されるべきヒトを識別する能力である。この性能は、デバイスを使用しようと試みていると認識された、認証されていないヒトに対して、このシステムの生体測定能を改善し、これは、個人用拳銃の場合に、特に改善され得る。詳細には、生体測定的に使用可能な拳銃を所有する親は、認証されたユーザとして、自分自身を登録することができ、かつ明確に認証されていないユーザとして自分の子供を登録することもまたできる。この方法において、親は、銃と同じ家庭にあることを認識している子供が、それを使用することができないという、さらなる保険を有し得る。
【0056】
固定設備(例えば、家、事業所、または自動車)において、生体測定システムの明白な拒否性能を使用することもまた、可能である。例えば、事業所の玄関に設置された生体測定システムを使用して、従業員および派遣労働者の認証を可能にし得る。従業員が派遣労働者を解雇するかまたは派遣労働者の有効期間が過ぎた場合、彼等の登録データは、認証データベースから非認証データベースにシフトされ得、そして、彼等が入ろうと試みた場合、以前の従業員へのアクセスは明確なチェックにより拒否される。
【0057】
光学スペクトルの特性に起因して、サンプルについて類似の材料を使用することなく、同様の形状のスペクトルおよび吸光特性を作製することは、困難である。この理由が原因で、他の生体測定システム(例えば、指紋読み取り装置または掌紋システム)を無効にするために使用される、多くの一般材料(例えば、ラテックスおよびワックス)は、スペクトル生体測定システムに対して無効な組織代用物(surrongate)であるからである。スペクトル比較を行うことによって、ほとんどの非組織サンプルは拒絶され、結果として、可能性のある侵入者に対する、強力な対向手段性能となる。
【0058】
同様に、本発明によって開示される波長範囲内に存在する、多くのスペクトル特徴は、生存組織を示す。これらの特徴としては、オキシヘモグロビンバンドおよびデオキシヘモグロビンバンド、温度効果、細胞内水和などが挙げられる。これらの効果は、測定されるサンプルのスペクトル特性全体に寄与し、そして整合サンプルが、生存している個人の一部でありかつ正常に灌流されるサンプルであるのを確実にする。従って、良好なスペクトル比較は、サンプルの「生存」を確実にし、スペクトル生体測定システムを回避する方法として、死亡組織または切除組織の使用を防止する。
【0059】
インターネットアクセス認証のようないくつかの適用において、スペクトル生体測定システムを使用して、個人の性別および/または年齢を確認し得ることが、有用であり得る。皮膚構造における年齢による特異差および性別による特異差、ならびにそれらの比較の両方に起因して、光学スペクトル変化は、年齢および性別が、生体測定スペクトルデータを使用して確立され得るような体系的かつ直接的様式で変化する。
【0060】
本発明の実施において、組織スペクトルデータは、種々の光源に対する出力センサによって受容される光強度を測定することによって、決定され、この光強度は、異なる波長および/または異なる光源−検出の分類 において、組織の光学特性の指標を与える。当業者に周知であるように、入射光レベルに応じて、検出器によって生じる信号は、識別の登録または認証のための引き続く分析のために記録および使用され得るスペクトルデータに変換され得る。
【0061】
(実験結果)
別個の波長光源は、生体測定決定作業のために使用され得、そしてさらなる利点は、同じ光源が異なる光源−検出器間隔で整列されることによって得られ得るという前提を試験および確認するために、研究室での実験を行った。図10は、この実験において使用される研究室システムの概略を示す。このシステムは、照明サブシステム100を使用し、このシステム100は、100W石英タングステンハロゲン球102および数種の光学フィルター104を組み込んで、1.25〜2.5μmのスペクトル範囲の光を伝達した。この光を、光ファイバーサンプラー106に指向し、この光を使用して、前腕の掌側表面の拡散反射率の光学測定を行った。次いで、サンプラー106によって収集された拡散反射した光を、フーリエ変換赤外線(FTIR)スペクトルメーター108に指向し、そして延長範囲のインジウムガリウムヒ化物(InGaAs)検出器110によって、検出した。スペクトルメーターは、16cm−1のスペクトル解像度で作動する、Perkin Elmer 2000 FTIRであった。得られたインターフェログラムデータを、デジタル化し、記録し、そして当業者に周知の技術を使用して、スペクトルデータに変換した。
【0062】
光学サンプラー106は、2つの異なる光源−検出器間隔を使用して組織スペクトルデータを収集することができる、サンプルヘッド120を備える。図11は、3つの異なる光ファイバー集合(外環121、内環122および中心束123)を備える、光学サンプラーまたはサンプルヘッド120の上面図を示す。光ファイバー121の外環および光ファイバー122の内環を使用して、組織を照射し、サンプルファイバーの中心束123を使用して、拡散反射光を収集した。光学スイッチ(図示せず)を、光学サンプラーサブシステムに組み込み、その結果、光ファイバーの外環121か光ファイバーの内環122かのいずれかが、任意の時間、組織を照射した。中心検出束123に対するファイバーの内環122の中心環距離は、約0.5mmであり、一方、外環121の分離は、約0.7mmであった。従って、外環が組織を照射しているときに収集されるスペクトルは、内環122の照射で収集されるスペクトルよりも長くて深い、平均経路長を有した。光学システムを設定し、そのようなスペクトルを、近い間隔で調子を合わせて、内部照射および外部照射を交互に使用することによって、収集した。
【0063】
研究に関与した22人の糖尿病被験体を、全体で16週間の期間にわたり測定した。この研究において、各個人を、研究の最初の7週間の各々について、1週間あたり2回の別々の訪問の間に測定した。次いで、8週間の間隔を置き、研究のさらに1週間後、各個人をさらに、2回の別々の訪問の間に測定した。各測定訪問の間、複数(5個)の光学サンプルを、左前腕の下側から収集した。各光学サンプルは、90秒の測定時間からなった。
【0064】
図11に示されるサンプラーによって収集された光学サンプルを使用して、図3に示される配置と類似した、別個の光源配置を模倣した。図11に示されるシステムは、ブロードバンド照射システムであり、この研究室システムにより収集されたスペクトルデータを後処理して、別個の波長システムをエミュレートした。少数の不均一に間隔を空けた、別個のスペクトル素子(種々に、4個、6個、10個または20個)を、連続スペクトルデータから選択し、そして前記の同じ型の分析方法を使用する、引き続く生体測定分析のために使用した。生体測定決定を、以下に記載される技術と非常に類似した技術で行った:米国特許出願第09/832,534号(2001年4月11日出願)(表題「Apparatus and Method of Biometric Identification or Verification of Individuals using Optical Spectroscopy」。詳細には、生体測定分析を、少数の被験体のデータを、認証されたユーザ(「確認」)としてランダムに選択し、認証されていないユーザ(「侵入者」)として異なる小さいサブセットを選択し、そして残りの被験体データを使用して、較正設定を確立した。比較的少数の被験体に起因して、分析は、確証のために6人のランダムな被験体を使用し、そして侵入者として2人の被験体を使用した。この分析を、10回繰り返し、そして出力を、安定した結果を達成するまでプールした。
【0065】
較正データを、米国特許第6,157,041、表題「Methods and Apparatus for Tailoring Spectroscopic Calibration Models」に記載されるような一般的なデータを作成するために処理した。これらのデータのPCA分解を、50の固有ベクトルおよびスコアを作製するために実施した。次いで、このスコアを、スコアの各々のセットに関して、人間の間でのバリエーション対人間内でのバリエーションの比について、最も大きな値を有する20の因子を決定するために分析した。
【0066】
各々の被験体データの確認についての第1の2つのサンプルを平均し、そして開始登録スペクトルとして使用した。各々の残った確認スペクトルを、時間的順序で取り入れ、そして登録スペクトルから減算した。次いで、このスペクトルの違いを、選択された較正因子に示し、そしてMahanlanobis距離を計算した。このMahalanobis距離が、特定の閾値以下である場合、確認スペクトルを、妥当であるとみなし、そして確認スペクトル(0.2)および登録スペクトル(0.8)の加重した合計を使用して、登録スペクトルをアップデータした。このプロセスを、複数の閾値について繰り返した。スペクトルF率が、同一性決定を実施するためにMahalanobis距離に代わってか、または共に使用され得ることを、当業者は、認識する。侵入データを、類似の様式で、同じ閾値を使用して確認データとして処理した。
【0067】
この分析を、インナーリングのイルミナーションからのスペクトルデータ、アウターリングのイルミナーションからのスペクトルデータ、およびインナーイルミネーションおよびアウターイルミナーションの両方からの選択されたデータをつないだデータセットに適用した。この後者の場合は、異なる別個の供給原のいくつかの数(N)の1つの対が、2つの異なる供給原−検出器の距離でのイルミネーションについて使用される、条件をシミュレートし、そしてデータを、各々2N供給原に対して別個に回収した。
【0068】
この分析の結果は、図12および13に示される。図12は、20のスペクトルエレメントが生体測定の同定タスクのために使用される場合のレシーバー−オペレーター特性(receiver−operator characteristic)(ROC)曲線を示す。インナーリングデータの等しい誤り率(equal error rate)(EER、誤った採択率=誤った拒否率として定義される)は、2.0%であるが、アウターリングデータは、1.6%のEERを得た。対照的に、インナーリングのスペクトルエ
レメントおよびアウターリングのスペクトルエレメントの両方を作製したスペクトルデータセットは、改善された0.7%のEERを得る。図13は、4、6、10および20のエレメントが分析のために使用される場合の全3つのサンプリング状態についてのEERを示す。全ての場合において、組み合わせたリングデータは、どんなスペクトルチャネルよりも良好に実行し、さらなる生体測定情報が、複数の供給原−検出器分離を用いて組織を測定するために同じ波長を使用することによって可能であることを示す。
【0069】
スペクトルデータを用いた年齢評価の性能を、図10および図11に示したシステムと同様の、研究室グレードのFTIRシステムを用いて実施された複数の人の研究からの、NIRスペクトルを用いて試験した。しかし、光源102は40W石英タングステンハロゲンバルブであり、FTIR分光計108はBomem WorkIRであり、そして光学的なサンプル106は、図11に示したインナーリング122および中心バンドル123と同様の、ちょうど1つの照明リングおよび中央検出器であるファイバーバンドル(fiber bundle)からなる。
【0070】
データを、17週間の研究の一部として関与した87人の糖尿病患者から集めた。およそ半分の人は6週間の研究に関与し、そして半分の人が11週間の研究に関与した。いずれの場合も、研究に関与した各週について、各個人を、1週間につき2回の別々の訪問の間に測定した。それぞれの測定に訪れる間、彼らの左前腕の裏面から、複数(3〜5)の光学的なサンプルを集めた。各々の光学的なサンプルは90秒の測定時間からなった。全体で5100より多い光学的なサンプルを、この研究グループは集めた。得られたスペクトル強度は、擬似吸光度データを対数変換したものであり、スペクトルの特徴を均一にするように、これらのスペクトルに目盛の尺度を適用した。標準アウトライアー(outlier)距離(Mahalanobis Distance and Spectral
F−Ratio)を、比例吸光度データに適用し、後のプロセスの前に、範囲外にあるスペクトルを除いた。
【0071】
年齢予測の精度を決定するために、部分最小自乗回帰(PLS)多変量補正アルゴリズムと併用して、比例吸光度スペクトルおよび対応する被験者の年齢を使用した。パーソンアウト(person−out)交差確認を行い、図14に示す結果を得た。ここで「SEP」は予測の標準誤差であり、これは、誤差の一つの標準偏差測定である。6年より精度のよいSEPによる年齢予測は、NIR組織スペクトルに基づく可能性があると考えられ得る。
【0072】
性別予測性能を決定するために、同様の多変量解析を行った。この場合、87個人の被験者由来の、各々のNIRスペクトルに、そのスペクトルが測定された個人の性別に基づいて、0または1のいずれかの参考値を代入した。次いで、これらのスペクトルデータおよび参考値をPLSを用いて処理し、サブジェクトアウト(subjekct−out)交差確認を行って性別予測を決定した。0.5より大きい予測値を値1に割り当て、0.5未満の予測値を0に割り当てた。この分析結果を図15に示した。ここで、およそ85%のスペクトルが正確な性別予測を示すと考えられ得る。これらのケースのいくつかにおいて、生の予測は閾値が0.5に近く、それらの予測が推測であり、曖昧であることを示している。これらの閾値に最も近い予測を曖昧なものとして排除した場合、残りのサンプルの予測性能は改善される。図16は、どのぐらいの頻度で頻度スペクトルが曖昧であるとみなすかという関数として、どれほど予測性能が改善されるかを示す。
【0073】
生存組織とその他のサンプル型との間を識別する、スペクトル生体測定の性能を図17および図18に示す。これらの結果を与えた実験は、関与した人の小集団間の識別作業の実施するために設定した事例に基づく。この実験において、上記のNIR87人分析区分で記載した人と同様のシステムについて、正当な使用者として、数人の人が関与した。次
いで、正当な使用者の1人は、このシステムに関与していない他の人と一緒に、システムに提示し、同様に、ラテックスグラブ(latex grove)を生理的食塩水で満たし、これを使用して別の試験サンプルを集めた。最終的に、牛皮の小片をまた、試験サンプルとしてこのシステムで測定した。この実験の結果を図17に示す。ここで、ラテックスグラブは、非常に増加した(inflated)整合距離を生じると考え得る。図18は図18のブローアップ(blow−up)を示す。ここで、非常に整合した組織サンプル(例えば、牛皮製品)でさえ、かなり結果が増加すると考え得る。最も整合していると認定された人から得たサンプルに対して、認定されていない人のサンプルは、他の正当な使用者のサンプルと比較して、顕著な増加を示した。
【0074】
本明細書で含まれる、本発明の新規な特徴付けおよび利点を、前の記載で示してきた。しかしながら、この開示が、非常に多くの点で、例示のみであることが理解されている。変更は、詳細に、特に、物品の形状、サイズおよび配置において、本発明の範囲を超えない範囲でなされ得る。本発明の範囲は、もちろんのことながら、添付の特許請求で表される文言で定義される。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1は、1つの好ましい実施形態における、スペクトル生体測定センサヘッドの斜視図である。
【図2】図2は、複数の平均光路を示す、皮膚表面に結合された生体センサ要素の概略断面図である。
【図3】図3は、可変の光源−検出器距離で配置された複数の光源を組み込む、生体測定センサの概略上面図である。
【図4】図4は、共通の光源−検出器距離で配置された複数の光源を組み込む、代替の生体測定センサの上面図の概略表現である。
【図5】図5は、可変の光源−検出器距離を提供するための、複数の光源および導波管/開口プレートを組み込む、代替の生体測定センサの概略上面図である。
【図6】図6は、可変の光源−検出器分離を提供する、複数の光源および複数の検出器を備える、代替の生体測定センサの概略上演図である。
【図7】図7は、可変の光源−検出器分離を提供するための、複数の光源および検出器アレイを組み込む、代替の生体測定センサの概略上面図である。
【図8】図8は、キーホブに組み立てられた、個人用生体測定センサの概略表現である。
【図9】図9は、時計の後面カバーに組み立てられた個人用生体測定センサを組み込む時計の概略表現である。
【図10】図10は、スペクトル生体測定デバイスの性能を確認するための実験を実施するために使用された、実験室分光計システムの概略である。
【図11】図11は、二重経路光ファイバーサンプラーの端面図の概略図である。
【図12】図12は、図11の二重経路サンプラーについての受信者−動作特性を示すグラフである。
【図13】図13は、可変数の不連続なスペクトル要素を使用する二重経路サンプラー分析についての等しいエラー率を示すグラフである。
【図14】図14は、本発明の実施形態を利用する年齢予測についての実験結果を、グラフで示す。
【図15】図15は、本発明の実施形態を利用する性別予測についての実験結果を、グラフで示す。
【図16】図16は、不明瞭であると決定されたデータの割合に対する、性別予測能力をグラフで示す。
【図17】図17は、生存性試験の結果をグラフで示す。
【図18】図18は、図17に示される生存性試験をさらに詳述する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−296052(P2008−296052A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−237233(P2008−237233)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【分割の表示】特願2003−502467(P2003−502467)の分割
【原出願日】平成14年1月15日(2002.1.15)
【出願人】(503156596)ルミダイム インコーポレイテッド (12)
【住所又は居所原語表記】800 Bradbury SE, Suite 213 Albuquerque, New Mexico 87106 U.S.A.
【Fターム(参考)】