説明

スペクトル拡散信号

【課題】高レベルのスペクトル制御と良好な全同期能力とを組み合わせたスペクトル拡散信号を提供すること
【解決手段】スペクトル拡散信号は、第1波形レートでの第1バイナリ波形と第2波形レートでの第2バイナリ波形との実数の線形結合を備え、キャリア波を変調する拡散波形を備え、前記第1波形レートは前記第2波形レートと異なり、双方の波形レートはゼロでなく、前記線形結合は、信号識別符号を備えた少なくとも1つのバイナリシーケンスにより変調される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に信号変調の分野に関するもので、特に衛星ナビゲーションシステムに関する。本発明は更に拡散スペクトル信号を発生する方法及びかかる拡散スペクトル信号を受信するための適切な技術に関するものであり、特に衛星ナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線ナビゲーションまたは通信のためにスペクトル拡散技術を使用することは、電気工学の分野で周知となっている。この技術は、例えばノイズの多い環境で、高信頼性を必要とする用途で有利である。更に、スペクトル割り当ての利用度が限られていることに起因し、周波数バンドを効率的に使用することが望まれている。
【0003】
所定の周波数バンドにおいて、新しい信号を実現するには現在の信号の歪みを最小にする制限事項を満たさなければならない。スペクトルアイソレーションの問題は、例えばガリレオ衛星システムおよび現在の全世界測位システムの相互運用性に関係する重要な問題である。ダイレクトシーケンススペクトル拡散または周波数ホッピングスペクトル拡散を含む広範なスペクトル拡散技術が進展した。
【0004】
衛星ナビゲーションシステムの領域における一部の変調技術は、バイナリオフセットキャリア(BOC)信号を使用している。これら信号は、矩形波形によるノンリターンツーゼロ疑似ランダムノイズ符号を変調する結果得られる。m×1.023MHzのサブキャリア(副搬送波)周波数を有し、n×1.023Mcps(毎秒10のチップ)のレートで、疑似ランダムノイズ符号によって変調されたBOC変調は、BOC(m、n)と表示される。BOC(10、5)は、例えば10.23MHzのサブキャリアを有する矩形波形を5.115Mcpsのチップレートを有する疑似ランダムノイズ符号で変調することによって得られる。ここで、チップ変化は矩形波形の変化と同期する。従って、疑似ランダムノイズ符号の各チップは、m/nサイクルの矩形波形に適用される。キャリア波(搬送波)をBOC変調することによって得られるスペクトル拡散信号は、キャリア周波数で極めて低いスペクトルパワー密度を有する。この結果、L1で送信されると、これら信号はL1バンドの中心周波数でピークを有するGPS
C/A信号とコンパーチブルとなる。それにもかかわらず、L1周波数バンドはGPS P(Y)信号およびGPSのM符号に割り当てられているので、新しい信号と現在の信号との干渉を低く維持するには多大な努力を払わなければならない。
【0005】
A.R.プラット氏外著、ION GPS 2003年9月の「BOC変調波形」では、キャリア波を変調するためにサイン波形のステップ状近似である波形を使用することが記載されている。バイナリ波形はサイン波の大まかなステップ状の近似であると見なすことができる。プラット氏外はより多くのレベルを導入することにより、サイン波により近い拡散波形を実現している。かかる拡散は、BOC(m、n)波形に関して、サブキャリア波形の高周波の振幅を減衰させ時々は除去することもある。他の点に関し、所定の二次ローブのパワーレベルが低減される。波形レベルの数が多くなればなるほど、より多くの高調波がフィルタにより除去できる。レベルの数が無限になるにつれ、拡散波形はサイン波に近似し、この結果、高調波のないLOC(リニアなオフセットキャリア)信号が得られる。これまで説明した技術は、5レベルのサブキャリアを使用する一定エンベロープの変調に適用される。この場合、フル変調すると、8PSK(8位相シフトキーイング)形状の変調が行われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
無線ナビゲーションの分野では、信号の二次ローブをフィルタリングまたは低減すると、この信号の同期能力(またはトラッキング性能)も劣化し、これによって測位精度が低下することが周知となっている。上記技術およびそれに類似する技術は、このような原則から逃れることはできない。サイン波形に近似すると、一部の信号(例えばBOC(2、2)信号に適用されるときのGPS
M符号)のスペクトルアイソレーションを改善する効率的で、かつ的確な方法を提供するが、全体のトラッキング性能が低下するという欠点も生じる。
【0007】
信号変調技術における別の課題は、変調の時間変化する振幅成分を除去することである。信号を非線形の部品(例えば増幅器)によって処理するときに、振幅の変化は、望ましくないAM対AM、およびAM対PM歪みを生じさせる。
【0008】
従って、本発明の目的は、高レベルのスペクトル制御と良好な全同期能力とを組み合わせたスペクトル拡散信号を提供することにあり、この目的は請求項1記載のスペクトル拡散によって達成される。
【0009】
本発明の別の目的は、かかるスペクトル拡散信号を発生するための方法を提供することにある。
【0010】
本発明の更に別の目的は、かかるスペクトル拡散信号を受信できる受信機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
スペクトル拡散信号はキャリア波を変調する少なくとも1つの拡散波形を含む。本発明の重要な特徴によれば、この拡散波形は、第1波形レートでの第1バイナリ波形と、少なくとも1つの第2波形レートのバイナリ波形の実数の線形結合を含み、双方の波形レートは異なり、ゼロでない。第2波形の振幅は第1波形の振幅と異なることが好ましく、第1波形と第2波形の線形結合は信号識別符号を含む少なくとも1つのバイナリシーケンスによって変調される。
【0012】
本発明に関連し、「実数の線形結合」なる用語は、次の性質に均等であると理解すべきである。すなわちα・w(t)+β・w(t)は第1波形w(t)および第2波形w(t)と係数αおよびβ、および時間変数tとの前記実数の線形結合を示し、[α・w(t)]/[β・w(t)]は任意の時間tにおける実数であり、双方の係数α、βはゼロでない。
【0013】
第1波形レートにおける従来のBOC波形と比較すると、本拡散波形は、より高い波形レートでの第2波形が存在することに起因し、トラッキング能力が優れている。拡散波形のスペクトルは、第1波形および第2波形のそれぞれのスペクトルに応じて決まる。第1波形および第2波形の相対的振幅を変えることにより、拡散波形のスペクトルの形状を調節できる。スペクトルシェイピングの従来の解決方法に関し、この信号は拡散波形のスペクトル内の異なるローブに別々にアクセスできるという別の利点を有する。これによって、トラッキング性能を維持しながら、同一周波数バンド内での他の信号に対するスペクトルアイソレーションを保証できる。BOC変調された信号と比較すると、トラッキング性能さえも強化されている。第1波形および第2波形の相対的振幅は、時間的に変化してもよいし、または一定のままでよいことが理解できよう。この変化のタイムスケールは、信号の発振のタイムスケールよりもかなり大きい。かかる変化は、バイナリシーケンスのレート、例えば1Hzよりも実質的に低いレートで生じることが好ましい。従って、短いタイムスケールでは線形結合における係数の時間依存性を無視できる。
【0014】
第1波形および/または第2波形はバイナリのオフセットキャリア(BOC)波形またはバイナリの符号化されたシンボル(BCS)波形であることが好ましい。従って、拡散波形はノコギリ歯状の波形となる。相対的振幅を適正に選択すれば、拡散波形はおおまかに第1波形のコースに従う。第1波形の周波数でバイナリ信号を取得しトラッキングするようになっている簡単な受信機でも、スペクトル拡散された複合信号をトラッキングできる。拡散波形の全ての同期能力の利点を享受するには、受信機は第2波形のバンド幅とも互換性がなければならない。
【0015】
第2波形レートは、第1波形レートの整数倍であることが好ましく、第2波形レートは第1波形レートの2倍〜24倍であることがより好ましい。第1波形と第2波形の遷移とを同期化してもよいし、また意図的にオフセットしてもよい。
【0016】
バイナリシーケンスは、更に情報データ、例えば衛星ナビゲーションデータ、信号整合性データまたは商業用データを含むことができる。疑似ランダムバイナリシーケンスのチップレートよりも実質的に低いビットレートでこれら情報を符号化できる。バイナリシーケンスはメッセージシーケンスで変調された所定の、またはあらかじめ決定されたバイナリシーケンスを提供することによって達成できる。
【0017】
バイナリシーケンスは、所定のチップレートRcになる符号チップを含むことができ、第1波形レートFscは、Fsc=m・Rc/2(ここで、mは整数である)となるように定められる。第1波形レートは、チップレート以上であることが好ましく、符号変化は第1波形の遷移と同期化することが好ましい。
【0018】
スペクトル拡散信号の好ましい実施例では、前記キャリア波の同相分次の式
【数1】

で示す第1拡散波s(t)で変調され、
【0019】
直交分は次の式
【数2】

で示す第2拡散波形s(t)で変調される。
【0020】
これら式では、tは時間変数であり、aおよびbは実数のゼロでない係数であり、w(t)は第1波形レートでの第1バイナリ波形であり、w(t)は第2波形レートでの第2バイナリ波形であり、前記第1波形レートは前記第2波形レートと異なり、PRN(t)は第1バイナリシーケンスであり、PRN(t)は第2バイナリシーケンスである。2つのバイナリシーケンスは互いに異なっていてもよいし、同じでもよい。複素変調波形s(t)は、s(t)+i・s(t)(iは虚数単位を示す)で示され、これにより、s(t)のエンベロープは、
【数3】

で示されるように時間的に変化しないことがすぐに分かる。一定エンベロープの変調は非線形部品、例えば増幅器内でのAM対AMおよびAM対PM歪みを防止するのに重要である。上記のように、係数aおよびbは、拡散波形の代表的な変化と比較して長いタイムスケールで変化し得る。
【0021】
スペクトル拡散信号の別の好ましい実施例では、キャリア波の同相分は次の式
【数4】

で示す第1拡散波形s(t)で変調される。
【0022】
キャリア波の前記直交分は次の式
【数5】

で示される第2拡散波形s(t)で変調される。
【0023】
これら式では、tは時間変数であり、θおよびθは実数の角度であり、w(t)は第1波形レートでの第1バイナリ波形であり、w(t)は第2波形レートでの第2バイナリ波形であり、前記第1波形レートは前記第2波形レートと異なり、w(t)は第3バイナリ波形であり、PRN(t)は第1バイナリシーケンスであり、PRN(t)は第2バイナリシーケンスであり、PRN(t)は第3バイナリシーケンスである。この第1波形レートは第2波形レートと異なる。この複素変調s(t)=s(t)+i・s(t)も一定のエンベロープ|s(t)|も有することが理解できよう。θおよびθは、拡散波形に対してゆっくりと変化し得る。
【0024】
本発明は更に、ナビゲーション信号システムすなわち前記第1波形が、BOC(1、1)であり、前記第2波形は10.23Mcpsまたは12.276Mcpsまたは15.345Mcpsまたは30.69Mcps(例えばそれぞれBOC(5、1)、BCS([111111-111111]、1)、BCS([11111111-1111111]、1)およびBCS(15、1))のレートを有するバイナリ波形である、上記スペクトル拡散信号を有する全地球ナビゲーション衛星システムを提供する。バイナリシーケンスは信号ソースの識別データを含むことができ、この識別データは地上をベースとするもの(例えば疑似衛星)または空中をベースとするものでもよい。グローバルまたは地域衛星ナビゲーション信号システムの場合、バイナリシーケンスは衛星識別データ、例えば距離符号および衛星情報データ、例えば測位アルゴリズムで使用するためのナビゲーションデータを含むことができる。
【0025】
更に、第1波形レートで第1波形を提供すると共に、第2波形レートで第2波形を提供するステップを備え、前記第1波形レートは、前記第2波形レートとは異なったものが選択され、両波形レートはゼロではない。
少なくとも1つの信号識別符号を含むバイナリシーケンスを提供するステップと、
前記第1波形と前記第2波形との線形結合を形成するステップを備え、前記線形結合は、前記バイナリシーケンスで変調され、更にキャリア波を変調するための拡散波形としてこの結果生じる波形を使用するステップとを有するスペクトル拡散信号を発生するための方法も提供される。
【0026】
後に明らかとなるように、第1波形と第2波形の延長された線形結合を形成するためのステップは、2つの均等な方法で実行できる。すなわち変調されていない第1波形と第2波形をまず組み合わせ、この結果得られる和または差をバイナリシーケンスで変調するか、または第1波形および第2波形を変調し、その後線形的に結合するかのいずれかの方法で実行できる。
【0027】
この方法によって、同期能力を高めながらスペクトルアイソレーション(例えば別の信号に対する所定のスペクトル分離係数(SSC))に関する、信号しきい値の適正化を可能にする。
【0028】
第1波形および/または第2波形はバイナリのオフセットキャリア波形またはバイナリの符号化されたシンボル(BCS)波形であることが好ましい。
【0029】
この方法は、波形の線形結合を変調するバイナリシーケンスと異なる第2バイナリシーケンスで第2波形を変調するステップを含むこともできる。従って、1つの信号内に2つの異なるバイナリまたは疑似ランダムシーケンスを組み合わせることが可能である。
【0030】
本発明の別の態様によれば、
前記バイナリシーケンスのローカル符号レプリカを発生するステップと、
前記第1波形のローカルレプリカおよび前記第2波形のローカルレプリカを発生するステップと、
着信電磁波と前記第1波形の前記ローカルレプリカおよび前記ローカル符号レプリカとの第1相関化を実行するステップと、
着信電磁波と前記第2波形の前記ローカルレプリカおよび前記ローカル符号レプリカとの第2相関化を実行するステップと、
前記第1相関化と前記第2相関化とを線形的に結合するステップとを備えるスペクトル拡散信号を受信するための方法が提供される。
【0031】
上記方法とは異なり、スペクトル拡散信号を受信するための方法は、
前記バイナリシーケンスのローカル符号レプリカを発生するステップと、
前記第1波形のローカルレプリカおよび前記第2波形のローカルレプリカを発生するステップと、
前記第1波形のローカルレプリカと前記第2波形の前記ローカルレプリカとの線形結合を実行するステップと、
前記ローカルレプリカと前記ローカル符号レプリカとの結合と着信電磁波とを相関化するステップとを含むことができる。
【0032】
本発明の更に重要な態様によれば、スペクトル拡散信号を取得するための受信機が提供される。この受信機は、前記バイナリシーケンスのローカル符号レプリカを発生するための手段と、前記第1波形のローカルレプリカを発生するための第1波形発生器と、前記第2波形のローカルレプリカを発生するための第2波形発生器と、着信電磁波と前記第1波形の前記ローカルレプリカおよび前記ローカル符号レプリカとを相関化し、第1の相関化の結果を形成するための手段と、着信電磁波と前記第2波形の前記ローカルレプリカおよび前記ローカル符号レプリカとを相関化し、第2の相関化の効果を形成するための手段と、前記第1の相関化の効果と前記第2相関化の効果とを線形的に結合するための手段とを含む。
【0033】
上記とは異なり、受信機は、前記バイナリシーケンスのローカル符号レプリカを発生するための手段と、 前記第1波形のローカルレプリカを発生するための第1波形発生器と、前記第2波形のローカルレプリカを発生するための第2波形発生器と、前記第1波形のローカルレプリカと前記第2波形の前記ローカルレプリカとの線形結合を形成するための手段と、前記ローカルレプリカと前記ローカル符号レプリカとの組み合わせと着信電磁波とを相関化するための手段とを含むことができる。
【0034】
後に理解できるように、バイナリシーケンスのローカル符号レプリカは、変調に使用されるバイナリシーケンスの既知の部分の正確なコピーとすることができる。バイナリシーケンスがアプリオリが決定されていないメッセージを含む場合、ローカル符号レプリカ内にはこのメッセージは生じない。この同じ結論は、第1または第2波形レプリカにも当てはまる。
【0035】
好ましい実施例では、受信機はトラッキングループ、例えば受信した信号をトラッキングするための遅延ロックループおよび/または位相ロックループおよび/または周波数ロックループを含む。このトラッキングループは、第1波形および/または第2波形および/またはそれらの線形結合をトラッキングできるように、受信機内に配置できる。オプションとして、トラッキングループはキャリア波もトラッキングできる。第1波形および第2波形をそれぞれトラッキングできるように遅延ロックループを配置でき、第2波形および第1波形をトラッキングできるように位相ロックループおよび/または周波数ロックループを配置できる。これとは異なり、位相ロックループおよび/または周波数ロックループは、第1波形と第2波形の線形結合をトラッキングするようにもできる。
【0036】
受信機を、全地球ナビゲーション衛星信号受信機内に組み込むことができる。この場合、第1波形発生器は、BOC(1、1)波形を発生できることが好ましく、一方、第2波形発生器は、10.23Mcpsまたは12.276Mcpsまたは15.345Mcpsまたは30.69Mcps(例えばそれぞれBOC(5、1)、BCS([111111-111111]、1)、BCS([11111111-1111111]、1)およびBOC(15、1))のレートを有するバイナリ波形を発生できる。ローカル符号レプリカは、衛星識別データ、例えば距離符号を含むことが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
次に添付図面を参照し、本発明の異なる態様の好ましい実施例について説明する。
【0038】
図1を参照し、キャリア波を変調するための拡散波形10の一例についてより詳細に説明する。この実施例では、BOC(m1、n)によって形成され、第1係数aが乗算された第1バイナリ波形12と、BOC(m2、n)によって形成され、第2係数bが乗算された第2バイナリ波形14をコヒーレントに合算することによって得られる。このBOC(m2、n)波形は、BCSに類似した、より一般的なバイナリ波形、例えばBCS([1-111111111]、1)と有利に置換できる。Fig1に見られるように、拡散波形10は鋸歯状の形をしている。双方の波形に対して同じ符号16を適用してもよい。換言すれば、次の式に従った単一のバイナリ符号シーケンス16により、第1波形12および第2波形14を変調する。
【数6】

この式は次のように記載できる。
【数7】

【0039】
ここで、tは時間変数を示し、s(t)はその結果得られる拡散波形10であり、s(t)は第1バイナリ波形12であり、w(t)は第1バイナリ波形14であり、w(t)は第2バイナリ波形14であり、PRN(t)はバイナリ疑似ランダムノイズシーケンス16であり、aおよびbは係数である。本明細書では、バイナリ関数またはバイナリシーケンスは、値+1または−1のいずれかをとるとの慣習を用いる。従って、この慣習において、2つのバイナリ値を乗算することは、バイナリ値が真または偽、すなわちそれぞれ0または1である他の慣習における論理XOR(排他的OR)演算またはモジュロ2の加算に対応している。
【0040】
本例では、第2バイナリ波形14の波形レートは、第1バイナリ波形12の波形レートの5倍の大きさである。第1波形12の立ち上がりエッジ18と第2波形14の立ち上がりエッジ19との間のタイミングオフセットは、インターバル[−T/2、T/2]内に選択でき、ここで、Tは第2バイナリ波形14のサイクルの時間長さを示す。図1では、オフセットをゼロにセットされている。
【0041】
2つのバイナリ波形12、14の相対的振幅を変えることができる。BOC(1、1)およびBOC(5、1)の場合、BOC(1、1)の振幅に対して、BOC(5、1)の振幅を立ち上げる結果、主にBOC(1、1)の第5高調波のスペクトルパワーが増加する。本例では、第2バイナリ波形14の振幅bは、第1バイナリ波形12の振幅aよりも低く選択されたので、その結果生じる拡散波形10は、第1バイナリ波形12に対する高い類似性を維持する。この場合、第1バイナリ波形12のみをトラッキングするように設計された受信機は、通常第1バイナリ波形12と第2バイナリ波形14の線形結合を含む拡散波形10をトラッキングできる。従って、相対的振幅a、bを適当に選択することにより、本例の拡散波形10は第1波形12の波形レートでの矩形波形に対して設計された受信機と互換性を維持できる。しかしながら、複合拡散波形10の高い同期能力には、双方の波形12、14に適応できない受信機からはアクセスできない。拡散波形10の改善された性能は、rmsバンド幅(rms:平均平方根)によって表現できる。次の式を検討する。
【数8】

【0042】
ここで、DSPw1(f)およびDSPw2(f)は、それぞれ第1波形12および第2波形14によって処理された信号のスペクトルである。従って、組み合わされた拡散波形10のrmsバンド幅は、第1波形12のrmsバンド幅よりも広い。
【0043】
上記のように示された拡散波形10を、キャリア波の一定エンベロープ変調に対して使用できる。キャリア波の一定でないエンベロープ変調は、比較的ストレートフォワードであるが、一定エンベロープ変調は変調方式がこの変調で送信すべき有効チャンネル数によって決まるので、より複雑となっている。
【0044】
C.ヘガーチ氏外著論文「GNSSのためのバイナリ符号化されたシンボル変調」、ION GPS、2004年6月に記載されているように、次の式で示されるよう、1つの同相波形と、他方に直交位相の波形と共に、不平衡の直交位相シフトキーイング(QPSK)を使用することにより、4レベルの複素サブキャリアにより1つのチャンネルだけの一定エンベロープ変調を行うことができる。
【数9】

【0045】
ここで、iは虚数単位であり、tは時間変数であり、s(t)は変調の結果生じる波形であり、w(t)は第1バイナリ波形であり、w(t)は第2バイナリ波形であり、aおよびbは実数の係数であり、PRN(t)は疑似ランダムバイナリシーケンスである。これより、時間から独立した次の式が成り立つ。
【数10】

【0046】
2つ以上のチャンネルを送信すべき場合、他の解決案が存在する。一定エンベロープ変調を使用し、キャリア波上に4レベルの波形を有する2つの実数信号s(t)およびs(t)を変調すべきケースでは、次の解決方法が提案される。すなわち、下記のように、キャリア波の同相分を第1拡散波形s(t)で変調し、キャリア波の直交位相成分を第2拡散波形s(t)で変調する。
【数11】

【0047】
ここで、w(t)およびw(t)は、バイナリの波形であり、tは時間変数であり、a、a、bおよびbは、実数の係数であり、PRN(t)およびPRN(t)は、疑似ランダムバイナリシーケンスである。この結果生じる複素変調波形s(t)は次の式で示される。
【数12】

【0048】
従って、この式から、s(t)のエンベロープは時間に対して変化せず、例えばa=aで、かつb=bである場合、次の式が成り立つ。
【数13】

【0049】
同様に、キャリア波に変調される3つの実数の拡散波形を用いて一定エンベロープ変調を行うことも可能である。次の式を検討する。
【数14】

【0050】
ここで、w(t)、w(t)およびw(t)は、バイナリ波形であり、aおよびbは実数の係数であり、PRN(t)、PRN(t)、PRN(t)は疑似ランダムバイナリシーケンスである。aおよびbに対し、a=cos(θ)/2およびb=cos(θ)/2と仮定できる。従って、複素変調波形s(t)を次の形態に書くことができる。
【数15】

【0051】
ここで、IM(t)は次の式で示される相互変調積である。
【数16】

【0052】
上記式から、s(t)に対する次の式を誘導できる。
【数17】

【0053】
図2を参照すると、PRN(t)=PRN(t)である場合、第2項は相殺し、矢印22が示すw(t)のように同相信号は、振動する。PRN(t)=PRN(t)の場合、第1項は相殺し、同相信号は矢印21が示すw2(t)のように振動する。このことは、角度θおよびθにより、図2の位相図内に示された8位相シフトキーイング変調(8PSK)に対応する。この角度θおよびθは、2つのバイナリ波形w(t)とw(t)との間のパワー分布の設定を可能にする。前の例の場合のように、複素変調信号s(t)は一定のエンベロープを有する。
【0054】
L1キャリアのガリレオE2−L1−E1変調の特殊なケースでは、3つの信号を送信しなければならない。すなわちL1オープンサービス(OS)のメッセージを搬送する1つの信号と、L1オープンサービスのための1つのパイロット信号と、公衆規制されたサービスのための1つのバイナリ信号を送信しなければならない。2つのオープンサービス用信号の各々に対し、上記のような1つの最適にされたスペクトル拡散信号を使用できる。3つの拡散波形を有する上記例において、この用途のための適当な一定エンベロープ変調方式について説明する。
【0055】
次の表記を適用する。
・codeOSP(t)はオープンサービスのパイロット拡散符号である。
・codeOSD(t)はメッセージが乗算されたオープンサービスのデータまたはメッセージ拡散符号である。
・w(t)は、1.023MHzのサイン矩形波形である。
・w(t)は、5.115MHzのサイン矩形波形またはより一般的なバイナリ波形である。
・PRS(t)は、公衆規制されたサービス信号である。
【0056】
この結果生じる複素変調を次のように記載できる。
【数18】

【0057】
ここで、相互変調積IM(t)は、次の式で示される。
【数19】

【0058】
受信機レベルでは、図3〜6に示されるようなスペクトル拡散信号を取得し、トラッキングするための種々の実現例を考え付くことができる。図3に示された受信機の構造30により、キャリア波を変調するために使用される拡散波形10のローカルレプリカを発生させることが可能となる。着信放送信号302は、拡散波形のローカルレプリカと混合される。第1に、ローカル符号レプリカ304は第1混合器306内で着信信号302と混合され、次に第2混合器310内で、変調されていない拡散波形308のレプリカが着信信号302と混合される。この結果生じる信号312は、積分ステージ314内で所定の時間にわたって積分される。着信電磁波と拡散波形のローカルレプリカとの相関化が実行される。ローカルレプリカの発生を制御するフィードバックループ内で相関化の結果316を使用できる。
【0059】
数値制御された発振器NCOは、符号発生器320および2つの波形発生器322、324にクロック信号318を与える。符号発生器320は、受信すべき信号の第1波形と第2波形との線形結合を変調するのに使用されるバイナリシーケンスの公知部分のコピーであるローカル符号レプリカ304を出力する。このバイナリシーケンスは、例えばGPSまたはガリレオのような全地球ナビゲーション衛星システムの距離符号とすることができる。基本的には受信機は、バイナリシーケンスを記憶するか、またはこのバイナリシーケンスを再生するためのアルゴリズムを内部で実施するメモリを含む。記憶されたシーケンスとアルゴリズムとを組み合わせることも可能である。ローカル符号発生器320は、記憶されたデータに基づき、または適当なアルゴリズムを実行することにより、バイナリシーケンス304のローカルレプリカを電圧として出力する。このアルゴリズムは、例えば1つ以上のリニアフィードバックシフトレジスタ(LFSR)または他の適当なハードウェアにより実現することができる。
【0060】
発振信号318は第1波形発生器322および第2波形発生器324にも与えられ、これら発生器は受信すべき信号内の線形的に結合された第1波形および第2波形のそれぞれの公知の部分のローカルコピーを再生する。信号を変調するために使用される組み合わせ方式に従い、組み合わせステージ330内で第1ローカル波形レプリカ326と第2ローカル波形レプリカ328が線形的に結合される。この組み合わせステージ330の出力は、混合器310内で着信電磁波と混合される。この線形結合により、波形レプリカの相対的振幅a、bを選択すること、および加算を実行するか減算を実行するかを選択することが可能となる。
【0061】
検出すべき信号は、一般に拡散波形のローカルレプリカに対して時間がずれている。従って、ローカル拡散波形と混合された着信信号を積分することにより、着信信号302とローカル拡散波形との相関化を計算する。従って、この相関化の結果316は、着信信号とローカル拡散波形とが時間的にオーバーラップしているかどうかを表示する。この相関化の結果316は、受信機の内部クロックに関してローカル拡散波形のタイミングオフセットに作用する、フィードバックループのための入力信号としても使用できる。従って、このタイミングオフセットは相関化の結果316に関して最適化できる。
【0062】
受信機の構造30では、ローカル拡散波形のために使用される量子化レベルの数をに意味がある。量子化レベルの数は、第1波形レプリカと第2波形レプリカとを組み合わせるための組み合わせの数を制限するので、第1波形のレプリカと第2波形のレプリカの相対的振幅に影響する。代表的な衛星用測位受信機では、積分前のステージはシステムの複雑さおよびこれらステージの電力消費量を制限するよう、少ない数の量子化レベルで量子化された信号を使用する。図4に示された受信機の構造40は、積分化前の量子化の問題をどのように解決するかの方法を示す。
【0063】
図4では、符号発生器420はローカル符号レプリカ404を出力し、このレプリカ404はバイナリシーケンスの公知部分と同様になっている。第1波形発生器422と第2波形発生器424は、それぞれ第1波形および第2波形の公知部分のローカルコピーを発生する。この実施例では、着信放送信号402は第1相関化ブランチ内でローカル符号レプリカ404および第1波形レプリカ426と相関化され、第2相関化ブランチ内でローカル符号レプリカ404および第2波形レプリカ428と相関化される。この第1相関化の結果416および第2相関化の結果417は、受信されたスペクトル拡散信号に従って線形的な結合される。数学的な観点からは、相関化自体はリニア演算であるので、線形結合および相関化をいずれかの順序で実行できる。しかしながら、信号処理構造では、次に積分前のステージ内でレプリカ発生のための量子化レベルの数を低減できる。第1レプリカ波形および第2レプリカ波形がバイナリ波形である場合、2つの量子化レベルだけで十分である。量子化ステージの後での量子化レベルの数は通常それよりも多い。その結果、相関化の結果の相対的大きさに対する量子化の影響はあまり重要ではなくなる。相対的の結果を1つ以上のトラッキングループに送ることができ、これらループは下記に詳細に説明するように、受信機のクロックに対する波形レプリカのタイミングオフセットを制御する。
【0064】
L1周波数バンド内で送信されるガリレオオープンサービスのための10.23Mcps、15.345Mcpsまたは30.69Mcpsのレートで、BOC(1、1)とバイナリ波形との線形結合を含む拡散波形は、GPS
M信号に関してトラッキング性能およびスペクトルアイソレーションが良好であるので、有利な選択のように見える。かかる全地球測位信号を特に受信するように図3および4に示された受信機の構造にパラメータを適合させることができる。一例として、第1波形発生器は1.023MHzの矩形波形を発生するが、他方、第2波形発生器は5.115MHzの矩形波形を発生する。GPS信号との相互運用性が求められる場合、図3に示された受信機の構造に対して、図4に示された受信機の構造が好ましい。
【0065】
図5および図6は、受信機内で実現できる異なる信号のトラッキング構造を示す。図5の構造では、着信信号のキャリア波を除去するためにローカルキャリア発生器521が発生したローカルキャリア波503を、着信放送信号502に乗算する。この結果得られた信号505は、第1相関化ブランチ550内でローカル符号レプリカ504および第1波形レプリカと相関化される。同様に、ローカルキャリア波が乗算された後に、着信放送信号502は第2相関化ブランチ552内でローカル符号レプリカ504および第2波形レプリカとも相関化される。この2つの相関化信号およびそれらの線形的な結合は、位相ロックループと遅延ロックループを備えたトラッキングループ554に与えられる。第1相関器551、第2相関器553、符号発生器520およびロックキャリア発生器521にはフィードバック信号が送られる。後に理解できるように、このトラッキング構造はローカル波形レプリカと放送信号との同期化を行うことができる。
【0066】
図6では、各相関化の結果を別々に取り扱うことができる。第1相関化の結果556は、位相ロックループ558へ送られ、第2相関化の結果560は、遅延ロックループ562へ送られる。第1相関化の結果と第2相関化の結果の組み合わせを可能にするスイッチ564が設けられており、この組み合わせは次に位相ロックループ558へ送られる。遅延ロックループ562のフィードバック信号は、第1相関器551および第2相関器553、並びにレプリカの発生を制御するローカル発振器にフィードバックできる。位相ロックループ558のフィードバック信号は、キャリア波の除去(図示せず)に使用できる。
【0067】
当業者であれば理解できるように、ナビゲーション信号受信機は、図3〜6に示されているような2つ以上の受信機の構造を含むことができる。かかる受信機では、いくつかのローカル符号レプリカ、第1波形レプリカおよび第2波形レプリカをローカルクロック信号に対して異なる遅延時間でそれぞれ並列に発生できる。次に、異なる遅延時間に対応する相関化の結果をトラッキングループに送り、トラッキングループは一般的により高速かつより効率的に正しい遅延時間を探す。
【0068】
種々の検討をすると、受信機の処理バンド幅を、より低い波形レートだけに適応化することが適当であるように思われる。この場合、第1波形のみを捕捉し、処理することができる。受信機内の基準信号を第1波形のレプリカとする。このような補足技術によって、より簡略にし、電力消費量をより少なくできる。第1波形を一旦捕捉すると、受信機は2つの波形を捕捉する最適な処理モードに切り換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】キャリア波を変調するために使用される拡散波形の略図である。
【図2】8PSK変調の位相図である。
【図3】第1受信機の構造を示すブロック図である。
【図4】別の受信機の構造を示すブロック図である。
【図5】図4の受信機の構造のための第1信号のトラッキングコンフィギュレーションのブロック図である。
【図6】図4の受信機の構造のための第2信号のトラッキングコンフィギュレーションのブロック図である。
【符号の説明】
【0070】
10 拡散波形
12 第1バイナリ波形
14 第2バイナリ波形
16 バイナリ符号シーケンス
18 第1バイナリ波形の立ち上がりエッジ
19 台バイナリ波形の立ち上がりエッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア波を変調する少なくとも1つの拡散波形を備えるスペクトル拡散信号において、
前記拡散波形は、第1波形レートでの第1バイナリ波形と第2波形レートでの第2バイナリ波形との実数の線形結合を備え、前記第1波形レートは前記第2波形レートと異なり、双方の波形レートはゼロでなく、
信号識別符号を備える少なくとも1つのバイナリシーケンスにより前記線形結合が変調されたことを特徴とするスペクトル拡散信号。
【請求項2】
前記第1波形および/または前記第2波形は、バイナリオフセットキャリア(BOC)波形または符号化されたバイナリのシンボル波形である、請求項1記載のスペクトル拡散信号。
【請求項3】
前記第2波形レートは、前記第1波形レートの整数倍である、請求項1または2記載のスペクトル拡散信号。
【請求項4】
前記バイナリシーケンスは、更に情報データを含む、請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載のスペクトル拡散信号。
【請求項5】
前記バイナリシーケンスは、所定のチップレートRcでの符号チップを備え、前記第1波形レートFscは、Fsc=m・Rc/2(ここで、mは整数である)となるような値である、請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載のスペクトル拡散信号。
【請求項6】
前記キャリア波は、同相分と直交分とを有し、前記同相分は次の式
【数1】

の形態である第1拡散波形s(t)で変調され、
前記直交分は、次の式
【数2】

の形態である第2拡散波形s(t)で変調され、ここで、tは、時間変数であり、aおよびbは、実数のゼロでない係数であり、w(t)は、第1波形レートでの第1バイナリ波形であり、w(t)は、第2波形レートでの第2バイナリ波形であり、前記第1波形レートは、前記第2波形レートと異なり、PRN(t)は、第1バイナリシーケンスであり、PRN(t)は、第2バイナリシーケンスである、請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載のスペクトル拡散信号。
【請求項7】
前記キャリア波は、同相分と直交分とを有し、前記同相分は、次の式
【数3】

の形態である第1拡散波形s(t)で変調され、
前記直交分は、次の式
【数4】

の形態である第2拡散波形s(t)で変調され、ここで、tは、時間変数であり、θおよびθは、実数の角度であり、w(t)は、第1波形レートでの第1バイナリ波形であり、w(t)は、第2波形レートでの第2バイナリ波形であり、前記第1波形レートは、前記第2波形レートと異なり、w(t)は、第3バイナリ波形であり、PRN(t)は、第1バイナリシーケンスであり、PRN(t)は、第2バイナリシーケンスであり、PRN(t)は、第3バイナリシーケンスである、請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載のスペクトル拡散信号。
【請求項8】
前記第1波形は、BOC(1、1)であり、前記第2波形は10.23Mcpsまたは12.276Mcpsまたは15.345Mcpsまたは30.69Mcpsのレートを有するバイナリ波形であり、請求項1〜7のうちのいずれか1つに記載のスペクトル拡散信号を備えるナビゲーション信号システム。
【請求項9】
前記バイナリシーケンスは、衛星識別データを含む、請求項8記載の全地球ナビゲーション衛星信号システム。
【請求項10】
前記バイナリシーケンスは、更に衛星情報データを含む、請求項8または9記載の全地球ナビゲーション衛星信号システム。
【請求項11】
拡散波形によりキャリア波を変調するステップを備える、請求項1〜7のうちのいずれか1つに記載のスペクトル拡散信号を発生するための方法において、
第1波形レートで第1波形を提供すると共に、第2波形レートで第2波形を提供するステップを備え、前記第1波形レートは、前記第2波形レートと異なり、
少なくとも1つの信号識別符号を含むバイナリシーケンスを提供するステップと、
前記第1波形と前記第2波形との線形結合を形成するステップを備え、前記線形結合は、前記バイナリシーケンスで変調され、
更にキャリア波を変調するための拡散波形としてこの結果生じる波形を使用するステップを特徴とする、スペクトル拡散信号を発生するための方法。
【請求項12】
前記第2波形および/または前記第2波形は、バイナリのオフセットキャリア波形またはバイナリの符号化されたシンボル波形である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記波形の線形結合を変調するバイナリシーケンスと異なる第2バイナリシーケンスで前記第2波形を変調するステップを含む、請求項11または12記載の方法。
【請求項14】
前記バイナリシーケンスのローカル符号レプリカを発生するステップと、
前記第1波形のローカルレプリカおよび前記第2波形のローカルレプリカを発生するステップと、
着信電磁波と前記第1波形の前記ローカルレプリカおよび前記ローカル符号レプリカとの第1相関化を実行するステップと、
着信電磁波と前記第2波形の前記ローカルレプリカおよび前記ローカル符号レプリカとの第2相関化を実行するステップと、
前記第1相関化と前記第2相関化とをリニアに組み合わせるステップとを備える、請求項1〜7のうちのいずれか1つに記載のスペクトル拡散信号を受信するための方法。
【請求項15】
前記バイナリシーケンスのローカル符号レプリカを発生するステップと、
前記第1波形のローカルレプリカおよび前記第2波形のローカルレプリカを発生するステップと、
前記第1波形のローカルレプリカと前記第2波形の前記ローカルレプリカとの線形結合を実行するステップと、
前記ローカルレプリカと前記ローカル符号レプリカとの組み合わせと着信電磁波とを相関化するステップとを備える、請求項1〜7のうちのいずれか1つに記載のスペクトル拡散信号を受信するための方法。
【請求項16】
前記バイナリシーケンスのローカル符号レプリカを発生するための手段と、
前記第1波形のローカルレプリカを発生するための第1波形発生器と、
前記第2波形のローカルレプリカを発生するための第2波形発生器と、
着信電磁波と前記第1波形の前記ローカルレプリカおよび前記ローカル符号レプリカとを相関化し、第1の相関化の結果を形成するための手段と、
着信電磁波と前記第2波形の前記ローカルレプリカおよび前記ローカル符号レプリカとを相関化し、第2の相関化の結果を形成するための手段と、
前記第1の相関化の結果と前記第2相関化の結果とをリニアに組み合わせるための手段とを備える、請求項1〜7のうちのいずれか1つに記載のスペクトル拡散信号を取得するための受信機。
【請求項17】
前記バイナリシーケンスのローカル符号レプリカを発生するための手段と、
前記第1波形のローカルレプリカを発生するための第1波形発生器と、
前記第2波形のローカルレプリカを発生するための第2波形発生器と、
前記第1波形のローカルレプリカと前記第2波形の前記ローカルレプリカとの線形結合を形成するための手段と、
前記ローカルレプリカと前記ローカル符号レプリカとの組み合わせと着信電磁波とを相関化するための手段とを備える、請求項1〜7のうちのいずれか1つに記載のスペクトル拡散信号を取得するための受信機。
【請求項18】
前記受信された信号をトラッキングするためのトラッキングループを備える、請求項16または17記載の受信機。
【請求項19】
前記トラッキングループは、遅延ロックループおよび/または位相ロックループおよび/または周波数ロックループを備える、請求項18記載の受信機。
【請求項20】
前記トラッキングループは、前記第1波形をトラッキングできるようになっている遅延ロックループまたは前記第2波形をトラッキングできるようになっている周波数ロックループを備える、請求項19記載の受信機。
【請求項21】
前記トラッキングループは、前記第1または前記第2波形をトラッキングできるようになっている遅延ロックループおよび前記第1波形と第2波形との前記線形結合をトラッキングできるようになっている位相ロックループまたは周波数ロックループを備える、請求項19記載の受信機。
【請求項22】
前記第1波形発生器は、BOC(1、1)波形を発生でき、前記第2波形発生器は10.23Mcpsまたは12.276Mcpsまたは15.345Mcpsまたは30.69Mcpsのレートを有するバイナリ波形を発生させることができる、請求項16〜21のうちのいずれか1つに記載の受信機を備える、全地球ナビゲーション衛星信号受信機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2008−527873(P2008−527873A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550794(P2007−550794)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際出願番号】PCT/EP2006/050179
【国際公開番号】WO2006/075018
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(507233361)セントル・ナショナル・デチュード・スパシアル (7)
【Fターム(参考)】