説明

スペクトル表示装置、スペクトル表示方法、およびプログラム

【課題】スペクトルを有効に表示することができるスペクトル表示装置を提供する。
【解決手段】スペクトル表示装置100は、第1軸を所定の物理量とし、第2軸を前記所定の物理量に対する強度として表したスペクトルの一部を拡大して表示するスペクトル表示装置であって、前記スペクトルの前記第1軸の拡大範囲を指定するための操作部10と、操作部10によって指定された前記拡大範囲の情報を取得する範囲情報取得部22と、前記拡大範囲の情報に基づいて、前記拡大範囲が所定の拡大率で前記第1軸に沿って拡大され、かつ前記拡大範囲とは異なる前記第1軸の範囲が所定の縮小率で前記第1軸に沿って縮小された拡大スペクトルを生成するスペクトル生成部24と、スペクトル生成部24が生成した前記拡大スペクトルを表示する表示部30とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペクトル表示装置、スペクトル表示方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光X線分析などのX線分析や質量分析等では、その測定結果として、波形スペクトルが得られる。このような波形スペクトルを表示するための表示装置では、波形スペクトルから得られる情報を容易に把握できるように表示することが重要である。例えば、特許文献1では、スペクトルに含まれるピークの重みに応じて、スクロールの速度を変えて表示することにより、ユーザーがピークが多い重要な箇所を確認しやすくした表示装置が開示されている。
【0003】
従来、蛍光X線分析等で得られた波形スペクトルの中から、注目するピークを伸張して表示する場合、注目するピークとその近傍の範囲以外を省いて表示することにより、注目するピークを伸張して表示していた。
【0004】
図18は、連続したエネルギー分布を示した波形スペクトルの一例を示す図である。この波形スペクトル中のピークa1に注目した場合、ピークa1を含むエネルギー範囲a2を指定し、そのエネルギー範囲a2のみ限定して表示することにより、図19に示すように、表示領域全体にピークa1が伸張して表示され、ピークa1の詳細を確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−121179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図18や図19に示す表示方法では、波形スペクトルの全体を表示するか、一部のエネルギー範囲を伸張して表示するかのいずれかであった。
【0007】
図20は、蛍光X線分析で得られた波形スペクトルの一例である。この波形スペクトルにはSn(錫)の情報が含まれており、Snのエネルギーを示すピークが含まれている。具体的には、図20に示す波形スペクトルには、低域側にSnのL線のα、βのピーク、高域側にSnのK線のα、β線のピークが含まれている。
【0008】
この波形スペクトルにおいて、SnのK線を観察するために、図20の例では、SnのK線を含むエネルギー範囲b1を選択し伸張している。このとき、表示領域bには、例えば、エネルギー範囲b1のみが表示され、SnのL線を含むエネルギー範囲b3、および、エネルギー範囲b1よりも高域側のエネルギー範囲b4が表示されなくなる。このため、エネルギー範囲b1以外のエネルギー範囲b3,b4のスペクトルの確認を行うには、再度、波形スペクトル全体を表示するか、表示範囲の変更を行う必要がある。
【0009】
図21は、蛍光X線分析で得られた波形スペクトルの一例である。図21に示すスペクトルでは、SnのL線、K線の両方のピークの観察を行うために、エネルギー範囲c1の選択を行い、エネルギー範囲c1の波形スペクトルの伸張している。図21に示すように、SnのL線のピークを含むエネルギー範囲c2より低域側の範囲と、SnのK線のピークを含む範囲c3よりも高域側の範囲を削除しても、表示された波形スペクトルには、エネルギー範囲c2とエネルギー範囲c3の間の不要な波形スペクトルを含むエネルギー範囲c4まで含まれてしまうため、目的の範囲c2,c3に含まれる波形スペクトルを十分に伸張することができないといった問題が発生する。
【0010】
このように、従来の表示方法では、スペクトル全体を表示しつつ、所望の範囲を拡大して表示するような有効な表示ができないという問題があった。
【0011】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、スペクトルを有効に表示することができるスペクトル表示装置、スペクトル表示方法、およびプログラムを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)本発明に係るスペクトル表示装置は、
第1軸を所定の物理量とし、第2軸を前記所定の物理量に対する強度として表したスペクトルの一部を拡大して表示するスペクトル表示装置であって、
前記スペクトルの前記第1軸の拡大範囲を指定するための操作部と、
前記操作部によって指定された前記拡大範囲の情報を取得する範囲情報取得部と、
前記拡大範囲の情報に基づいて、前記拡大範囲が所定の拡大率で前記第1軸に沿って拡大され、かつ前記拡大範囲とは異なる前記第1軸の範囲が所定の縮小率で前記第1軸に沿って縮小された拡大スペクトルを生成するスペクトル生成部と、
前記スペクトル生成部が生成した前記拡大スペクトルを表示する表示部と、
を含む。
【0013】
このようなスペクトル表示装置によれば、表示部に、スペクトルの全体を表示しつつ、ユーザーが注目する第1軸の範囲を拡大して表示することができる。すなわち、スペクトルを有効に表示することができる。
【0014】
(2)本発明に係るスペクトル表示装置において、
前記スペクトルは、前記第1軸を蛍光X線のエネルギーとし、前記第2軸を前記蛍光X線のエネルギーに対する強度として表した蛍光X線のスペクトルであってもよい。
【0015】
(3)本発明に係るスペクトル表示装置において、
元素に対応する前記拡大範囲の情報が記憶された記憶部を含み、
前記表示部は、前記記憶部に記憶された前記元素を表示し、
前記範囲情報取得部は、前記表示部に表示された前記元素から前記操作部によって指定された前記元素に基づいて、前記記憶部から前記拡大範囲の情報を取得してもよい。
【0016】
このようなスペクトル表示装置によれば、ユーザーは、容易に拡大範囲を指定することができる。
【0017】
(4)本発明に係るスペクトル表示装置において、
複数の前記拡大範囲の情報を記憶した記憶部を含み、
前記表示部は、前記記憶部に記憶された複数の前記拡大範囲を表示し、
前記範囲情報取得部は、前記表示部に表示された複数の前記拡大範囲から前記操作部によって指定された前記拡大範囲に基づいて、前記記憶部から前記拡大範囲の情報を取得してもよい。
【0018】
このようなスペクトル表示装置によれば、ユーザーは、容易に拡大範囲を指定することができる。
【0019】
(5)本発明に係るスペクトル表示装置において、
前記表示部は、前記拡大範囲を変更するためのカーソルを表示し、
前記範囲情報取得部は、前記操作部によって操作された前記カーソルの位置に基づいて、前記拡大範囲の情報を取得してもよい。
【0020】
このようなスペクトル表示装置によれば、ユーザーは、容易に拡大範囲を変更することができる。
【0021】
(6)本発明に係るスペクトル表示装置において、
前記操作部は、前記表示部に設けられたタッチパネルを含んでいてもよい。
【0022】
(7)本発明に係るスペクトル表示方法は、
第1軸を所定の物理量とし、第2軸を前記所定の物理量に対する強度として表したスペクトルの一部を拡大して表示するスペクトル表示方法であって、
前記スペクトルの前記第1軸の拡大範囲を指定するための操作部によって指定された前記拡大範囲の情報を取得する範囲情報取得工程と、
前記拡大範囲の情報に基づいて、前記拡大範囲が所定の拡大率で前記第1軸に沿って拡大され、かつ前記拡大範囲とは異なる前記第1軸の範囲が所定の縮小率で前記第1軸に沿って縮小された拡大スペクトルを生成するスペクトル生成工程と、
前記スペクトル生成工程で生成した前記拡大スペクトルを表示する表示工程と、
を含む。
【0023】
このようなスペクトル表示方法によれば、表示部に、スペクトルの全体を表示しつつ、ユーザーが注目する第1軸の範囲を拡大して表示することができる。すなわち、スペクトルを有効に表示することができる。
【0024】
(8)本発明に係るプログラムは、
第1軸を所定の物理量とし、第2軸を前記所定の物理量に対する強度として表したスペクトルの一部を拡大して表示するプログラムであって、
前記スペクトルの前記第1軸の拡大範囲を指定するための操作部と、
前記操作部によって指定された前記拡大範囲の情報を取得する範囲情報取得部と、
前記拡大範囲の情報に基づいて、前記拡大範囲が所定の拡大率で前記第1軸に沿って拡大され、かつ前記拡大範囲とは異なる前記第1軸の範囲が所定の縮小率で前記第1軸に沿って縮小された拡大スペクトルを生成するスペクトル生成部と、
前記スペクトル生成部が生成した前記拡大スペクトルを表示する表示部としてコンピューターを機能させる。
【0025】
このようなプログラムによれば、表示部に、スペクトルの全体を表示しつつ、ユーザーが注目する第1軸の範囲を拡大して表示することができる。すなわち、スペクトルを有効に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態に係るスペクトル表示装置の構成の一例を示す図。
【図2】第1実施形態に係るスペクトル生成方法の一例としてのスペクトル表示装置の処理を説明するためのフローチャート。
【図3】表示部に表示された蛍光X線のスペクトルの一例を示す図。
【図4】スペクトル生成部が生成した拡大スペクトルの一例を示す図。
【図5】スペクトル生成部における拡大スペクトルの生成方法の一例について説明するための図。
【図6】スペクトル生成部における拡大スペクトルの生成方法の一例について説明するための図。
【図7】スペクトル生成部における拡大スペクトルの生成方法の一例について説明するための図。
【図8】スペクトル生成部における拡大スペクトルの生成方法の一例について説明するための図。
【図9】表示部に表示された元素のリスト。
【図10】表示部に表示された処理対象となるスペクトル。
【図11】第2実施形態に係る処理を説明するための図。
【図12】表示部に表示された蛍光X線のスペクトルの一例を示す図。
【図13】第3実施形態に係るスペクトル表示装置100が生成した拡大スペクトル。
【図14】図13に示すスペクトルの一部を拡大した図。
【図15】図13に示すマーカーを示す図。
【図16】表示部に表示されたエネルギー範囲(拡大範囲)のリスト。
【図17】第4実施形態に係るスペクトル表示装置の動作を説明するための図。
【図18】連続したエネルギー分布を示した波形スペクトルの一例を示す図。
【図19】図18に示すスペクトルの一部を伸張した図。
【図20】蛍光X線分析で得られた波形スペクトルの一例を示す図。
【図21】蛍光X線分析で得られた波形スペクトルの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0028】
1. 第1実施形態
1.1. スペクトル表示装置の構成
まず、第1実施形態に係るスペクトル表示装置について説明する。図1は、本実施形態に係るスペクトル表示装置100の構成の一例を示す図である。
【0029】
スペクトル表示装置100は、第1軸を所定の物理量とし、第2軸を前記所定の物理量に対する強度として表したスペクトルの一部を拡大(伸張)して表示するための装置である。ここで、スペクトル表示装置100の処理対象となるスペクトルは、例えば、波形スペクトルである。波形スペクトルとは、例えば、連続したエネルギーの強度の分布を示したものである。処理対象となるスペクトルとしては、例えば、蛍光X線分析の結果得られる蛍光X線のスペクトル、質量分析の結果得られるマススペクトル、X線回折の結果得られるスペクトル等が挙げられる。
【0030】
蛍光X線のスペクトルは、例えば、第1軸(横軸)を蛍光X線のエネルギーとし、第2軸(縦軸)を蛍光X線のエネルギーに対する強度として表したスペクトルである。また、マススペクトルは、例えば、第1軸(横軸)を質量(質量電荷比)とし、第2軸(縦軸)を質量(質量電荷比)に対する強度として表したスペクトルである。以下、スペクトル表示装置100の処理対象となるスペクトルとして、蛍光X線のスペクトルを用いた場合について説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0031】
スペクトル表示装置100は、図1に示すように、操作部10と、処理部20と、表示部30と、を含む。スペクトル表示装置100は、さらに、記憶部32と、情報記憶媒体34と、を含むことができる。
【0032】
操作部10は、ユーザーが操作情報を入力するためのものであり、入力された操作情報を処理部20(インターフェース部21)に出力する。例えば、操作部10は、ユーザーがスペクトルのエネルギー軸の範囲(拡大範囲)を指定するために用いられる。操作部10の機能は、キーボード12、マウス14、タッチパネル16などのハードウェアにより実現することができる。例えば、表示部30がタッチパネル16を備えていてもよい。ユーザーは、指先(タッチペンでもよい)をタッチパネル16に接触させる操作を行うことで、表示部30に表示されたスペクトルの任意の位置を指定することができる。
【0033】
処理部20は、範囲情報取得部22と、画像生成部24と、を含む。処理部20は、さらに、インターフェース部21と、範囲情報記憶部23と、スペクトル抽出部25と、表示処理部27と、を含むことができる。処理部20の機能は、各種プロセッサ(CPU、DSP等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。
【0034】
インターフェース部21は、操作部10が出力した操作情報を受け取ることができる。
【0035】
範囲情報取得部22は、操作部10によって指定された拡大範囲の情報I22を取得する。具体的には、範囲情報取得部22は、インターフェース部21が受け取った操作情報が、スペクトルのエネルギー軸の範囲(拡大範囲)を指定するものであるかを判断する。範囲情報取得部22は、操作情報がスペクトルのエネルギー軸の範囲(拡大範囲)を指定するものであると判断した場合、この操作情報から、拡大範囲の情報I22を取得する。範囲情報取得部22は、取得した拡大範囲の情報I22を範囲情報記憶部23に出力する。
【0036】
範囲情報記憶部23は、範囲情報取得部22から受け取った拡大範囲の情報I22を、スペクトル生成部24の要求に応じて、スペクトル生成部24に出力する。
【0037】
スペクトル生成部24は、拡大範囲の情報I22に基づいて、拡大範囲が所定の拡大率でエネルギー軸(第1軸)に沿って拡大され、かつ、拡大範囲とは異なるスペクトルの範囲が所定の縮小率でエネルギー軸に沿って縮小された拡大スペクトルを生成する。拡大率や縮小率は、例えば、予めユーザーによって設定されていてもよい。また、縮小率は、拡大範囲を所定の拡大率で拡大したときに、表示部30の表示領域に、スペクトルの全体が表示されるように設定されてもよい。
【0038】
スペクトル生成部24は、範囲情報記憶部23に拡大範囲の情報I22を要求する。また、スペクトル生成部24は、拡大スペクトルを生成するためのスペクトルデータを、スペクトル抽出部25に要求する。スペクトル生成部24は、範囲情報記憶部23から取得した拡大範囲の情報I22およびスペクトル抽出部25から取得したスペクトルデータに基づいて、拡大スペクトルを生成することができる。
【0039】
スペクトル生成部24は、生成した拡大スペクトルを、表示処理部27に出力する。
【0040】
スペクトル抽出部25は、例えば、情報記憶媒体34に格納されたスペクトルデータから、スペクトル生成部24から要求されたスペクトルデータを抽出して、スペクトル生成部24に出力する。
【0041】
表示処理部27は、スペクトル生成部24が生成した拡大スペクトルの情報、および拡大スペクトル以外の表示情報(後述するカーソルやマーカー等の情報)を、表示部30に出力する。
【0042】
表示部30は、処理部20によって生成された画像を表示するものであり、その機能は、LCD、CRTなどにより実現できる。表示部30は、表示処理部27から受け取った拡大スペクトルや表示情報を、表示することができる。表示部30は、タッチパネル16を備えていてもよい。
【0043】
記憶部32は、処理部20のワーク領域となるもので、その機能はRAMなどにより実現できる。情報記憶媒体34(コンピュータにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、その機能は、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、或いはメモリ(ROM)などにより実現できる。処理部20は、情報記憶媒体34に格納されるプログラムに基づいて本実施形態の種々の処理を行う。情報記憶媒体34には、処理部20の各部としてコンピューターを機能させるためのプログラムを記憶することができる。また、情報記憶媒体34は、スペクトルデータを記憶することができる。
【0044】
1.2. 第1実施形態に係るスペクトル生成方法
次に、第1実施形態に係るスペクトル生成方法について説明する。図2は、第1実施形態に係るスペクトル生成方法の一例としてのスペクトル表示装置100の処理を説明するためのフローチャートである。以下、図1に示すスペクトル表示装置100および図2に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0045】
(1)まず、範囲情報取得部22が、スペクトルのエネルギー軸の拡大範囲の情報I22を取得する(拡大範囲情報取得工程S10)。
【0046】
具体的には、まず、処理部20が、表示部30に処理対象となるスペクトルを表示させる。
【0047】
図3は、表示部30に表示された蛍光X線のスペクトルの一例を示す図である。
【0048】
処理対象となるスペクトルは、図3に示すように、蛍光X線のエネルギーを横軸(エネルギー軸)とし、蛍光X線のエネルギーに対する強度を縦軸として表したスペクトルである。
【0049】
ここで、ユーザーは、操作部10を操作して、表示部30に表示されたスペクトルからエネルギー軸の範囲(拡大範囲)を指定する。図3の例では、ユーザーは、Sn−Lα線、Sn−Lβ線を含むエネルギー範囲D1と、Sn−Kα線とSn−Kβ線を含むエネルギー範囲D2とを指定した。例えば、ユーザーが範囲D1を指定する場合、ユーザーは、マウス14やタッチパネル16を用いて、範囲D1の低エネルギー側の端と、範囲D1の高エネルギー側の端の2点を指定する。範囲D2についても同様である。このようにしてユーザーが入力した操作情報は、操作部10によって、インターフェース部21に出力される。
【0050】
次に、インターフェース部21が、操作部10が出力した操作情報を受け取り、範囲情報取得部22に出力する。範囲情報取得部22は、この操作情報が、エネルギー軸の範囲(拡大範囲)を指定するものであるかを判断する。範囲情報取得部22は、操作情報がエネルギー軸の範囲(拡大範囲)を指定するものであると判断した場合、操作情報から、拡大範囲(範囲D1および範囲D2)の情報I22を取得する。範囲情報取得部22は、拡大範囲D1,D2の情報I22を、範囲情報記憶部23に出力する。
【0051】
(2)次に、スペクトル生成部24が、拡大範囲D1,D2の情報I22に基づいて、拡大範囲が所定の拡大率でエネルギー軸に沿って拡大され、かつ、拡大範囲とは異なるスペクトルの範囲が所定の縮小率でエネルギー軸に沿って縮小された拡大スペクトルを生成する(拡大スペクトル生成工程S12)。
【0052】
具体的には、スペクトル生成部24が、範囲情報記憶部23に拡大範囲D1,D2の情報I22を要求する。そして、スペクトル生成部24が、拡大範囲D1,D2の情報に基づいて、拡大範囲D1,D2が所定の拡大率でエネルギー軸に沿って拡大され、かつ、拡大範囲D1,D2とは異なる範囲D3,D4,D5が所定の縮小率でエネルギー軸に沿って縮小された拡大スペクトルを生成する。
【0053】
スペクトル生成部24は、拡大スペクトルを生成するためのスペクトルデータを、スペクトル抽出部25に要求してもよい。スペクトル生成部24は、範囲情報記憶部23から取得した拡大範囲D1,D2の情報I22およびスペクトル抽出部25から取得したスペクトルデータに基づいて、拡大スペクトルを生成してもよい。なお、スペクトル生成部24における拡大スペクトルの生成方法については、後述する。
【0054】
図4は、スペクトル生成部24が生成した拡大スペクトルの一例を示す図である。図4に示す拡大スペクトルは、図3に示す処理対象のスペクトルと比べて、拡大範囲D1,D2がエネルギー軸に沿って拡大され、拡大範囲D1,D2とは異なる範囲D3,D4,D5がエネルギー軸に沿って縮小されている。スペクトル生成部24は、例えば、範囲D3,D4,D5の縮小率を調整して、表示部30の表示領域にスペクトルの全体が表示されるような拡大スペクトルを生成してもよい。
【0055】
次に、スペクトル生成部24が、生成した拡大スペクトルを、表示処理部27に出力する。
【0056】
(3)次に、表示部30が、スペクトル生成部24が生成した拡大スペクトルを表示する(表示工程S14)。
【0057】
具体的には、表示処理部27が、スペクトル生成部24が生成した拡大スペクトルの情報を表示部30に出力する。表示処理部27は、例えば、拡大スペクトル以外の表示情報(後述するカーソルやマーカー等の情報)も併せて、表示部30に出力してもよい。
【0058】
次に、表示部30が、表示処理部27から受け取った拡大スペクトルや表示情報を、表示する。
【0059】
以上の工程により、スペクトル(拡大スペクトル)を表示することができる。
【0060】
1.3. 拡大スペクトルの生成方法
ここで、スペクトル生成部24における拡大スペクトルの生成方法の一例について説明する。
【0061】
図5〜図8は、スペクトル生成部24における拡大スペクトルの生成方法の一例について説明するための図である。
【0062】
スペクトル生成部24は、処理対象となるスペクトルと比べて、拡大範囲が設定された拡大率でエネルギー軸に沿って拡大され、拡大範囲とは異なる範囲(拡大範囲以外の範囲)が設定された縮小率でエネルギー軸に沿って縮小されたスペクトル(拡大スペクトル)を生成する。拡大率および縮小率は、例えば、ユーザーが任意に設定することができ、スペクトル生成部24に予め記録されている。
【0063】
図5に示す例では、拡大範囲の拡大率は、拡大範囲に含まれるスペクトルを表示するための領域31aの割合が、表示部30の表示領域31全体の80%となるように設定されている。また、拡大範囲31aとは異なる範囲の縮小率は、当該範囲に含まれるスペクトルを表示するための領域31bの割合が、表示領域31全体の20%となるように設定されている。
【0064】
ここで、図6に示すように、処理対象となるスペクトルに2つのピークα,βがある場合について説明する。図6では、X軸方向がエネルギー軸であり、Y軸方向が強度軸である。図6に示すスペクトルから、ユーザーがピークαを含むエネルギー範囲Dαを指定すると、スペクトル生成部24は、図7に示すように、範囲Dαに含まれるスペクトルが表示領域31の80%を占めるようにX軸方向に拡大され、範囲Dα以外の範囲に含まれるスペクトルが表示領域31の20%を占めるようにX軸方向に縮小されたスペクトルを生成する。
【0065】
図6に示すスペクトルから、ユーザーがピークαを含むエネルギー範囲Dαと、ピークβを含むエネルギー範囲Dβの2つの範囲を選択した場合について説明する。ここで、範囲Dαと範囲Dβの比は、3:2である。このとき、スペクトル生成部24は、図8に示すように、範囲Dαに含まれるスペクトルが表示領域31の48%を占めるようにX軸方向に拡大され、範囲Dβに含まれるスペクトルが表示領域31の32%を占めるようにX軸方向に拡大され、範囲Dα,Dβ以外の範囲に含まれるスペクトルが表示領域31の20%を占めるようにX軸方向に縮小された画像を生成する。すなわち、2つの範囲Dα,Dβを指定した場合、各範囲Dα,Dβの比率で拡大範囲に含まれるスペクトルが占める領域(図示の例では、表示領域の80%の領域)を分配する。
【0066】
このようにして、スペクトル生成部24は、拡大スペクトルを生成することができる。
【0067】
本実施形態によれば、拡大範囲の情報I22に基づいて、拡大範囲が所定の拡大率でエネルギー軸に沿って拡大され、かつ拡大範囲とは異なるエネルギー軸の範囲が所定の縮小率でエネルギー軸に沿って縮小された拡大スペクトルを生成することができる。これにより、表示部30の表示領域に、スペクトルの全体を表示しつつ、ユーザーが注目するエネルギー範囲を拡大して表示することができる。すなわち、本実施形態によれば、スペクトルを有効に表示することができる。したがって、ユーザーは、スペクトル全体の把握しつつ、注目する範囲を詳細に確認することができ、スペクトルから効率よく情報を得ることができる。
【0068】
さらに、表示部30の表示領域に、スペクトルの全体を表示することができるため、例えば、スペクトルの一部を拡大しその他の範囲を削除して表示する場合と比べて、スペクトル内の表示領域の変更といった操作を行う必要が少なくなり、操作量を少なくすることができる。
【0069】
2. 第2実施形態
次に、第2実施形態に係るスペクトル表示装置について説明する。第1実施形態では、ユーザーが、マウス14やタッチパネル16を用いて、表示部30に表示されたスペクトルのエネルギー軸の任意の2点を指定することにより、拡大範囲が指定された。これに対して、第2実施形態では、ユーザーが、表示部30に表示された元素名を選択することによって、拡大範囲が指定される。なお、第1実施形態と同様な構成については、第2実施形態においても同じ番号を付して、詳細な説明は省略する。
【0070】
まず、第2実施形態に係るスペクトル表示装置の構成について説明する。
【0071】
第2実施形態に係るスペクトル表示装置では、記憶部32(または情報記憶媒体34)に元素に対応する拡大範囲の情報I22が記憶されている。表示部30は、記憶部32に記憶された元素(元素名)を表示する。範囲情報取得部22は、表示部30に表示された元素から操作部10によって指定された元素に基づいて、記憶部32から拡大範囲の情報I22を取得する。
【0072】
図9は、表示部30に表示された元素のリストである。図9に示すように、元素は周期率表に従って表示されている。記憶部32には、表示部30に表示された各元素に対応する拡大範囲の情報I22が記憶されている。拡大範囲の情報I22は、例えば、蛍光X線分析で得られた波形スペクトルのエネルギー範囲のうち、各元素に対応するピークが現れるエネルギー範囲およびその近傍のエネルギー範囲を含むエネルギー範囲の情報を含む。さらに、拡大範囲の情報I22には、拡大範囲の拡大率および拡大範囲とは異なるエネルギー範囲の縮小率の情報が含まれていてもよい。
【0073】
範囲情報取得部22は、インターフェース部21から操作情報を受け取り、この操作情報が元素を指定するものであるかを判断する。そして、範囲情報取得部22は、操作情報が元素を指定するものであると判断した場合、操作情報に基づいて、記憶部32から、指定された元素に対応する拡大範囲の情報I22を取得する。
【0074】
次に、第2実施形態に係るスペクトル表示装置の動作について説明する。
【0075】
まず、処理部20が、図9に示すように、表示部30に元素名を表示させる。処理部20は、さらに、表示部30に処理対象となるスペクトルを表示させてもよい。
【0076】
図10は、表示部30に表示された処理対象となるスペクトルS1である。
【0077】
ここで、ユーザーは、表示部30に表示された元素名から、操作部10を操作して、元素を選択する。例えば、ユーザーが、図9に示す周期表内の元素Snを選択すると、範囲情報取得部22が、インターフェース部21からこの操作情報を受け取り、操作情報が元素を指定するものであるかを判断する。範囲情報取得部22が、操作情報が元素を指定するものであると判断した場合、操作情報に基づいて、記憶部32から、指定された元素Snに対応する拡大範囲の情報I22を取得する。
【0078】
図11は、本実施形態に係る処理を説明するための図である。
【0079】
拡大範囲の情報I22には、図11に示す、元素Snのピークが現れるエネルギー範囲およびその近傍のエネルギー範囲を含むエネルギー範囲(拡大範囲)I1,I2の情報が含まれている。拡大範囲の情報I22には、例えば、拡大範囲の拡大率および拡大範囲とは異なるエネルギー範囲の縮小率の情報が含まれている。拡大範囲の拡大率は、例えば、拡大範囲に含まれるスペクトルがスペクトル全体の表示領域の75%となるように設定されている。また、拡大範囲とは異なる範囲の縮小率は、例えば、拡大範囲とは異なる範囲に含まれるスペクトルがスペクトル全体の表示領域の25%となるように設定されている。なお、拡大率や縮小率の情報は、予めスペクトル生成部24に記憶されていてもよい。
【0080】
図11の例では、2つの拡大範囲I1,I2があるため、2つの拡大範囲I1,I2に含まれるスペクトルが、スペクトル全体の表示領域の75%となるようにエネルギー軸に沿って拡大される。具体的には、拡大範囲I1と拡大範囲I2の比は、1:3である。したがって、拡大範囲I1に含まれるスペクトルがスペクトル全体の表示領域の18.75%となるようにエネルギー軸に沿って拡大される。また、拡大範囲I2に含まれるスペクトルがスペクトル全体の表示領域の56.25%となるようにエネルギー軸に沿って拡大される。また、その他の範囲I3,I4,I5に含まれるスペクトルがスペクトル全体の表示領域の25%となるようにエネルギー軸に沿って縮小される。このようにして、スペクトル生成部24は、図11に示す拡大スペクトルS2を生成する。
【0081】
本実施形態によれば、ユーザーは、容易に拡大範囲を指定することができる。
【0082】
3. 第3実施形態
次に、第3実施形態に係るスペクトル表示装置について説明する。なお、第1実施形態および第2実施形態と同様な構成については、第3実施形態においても同じ番号を付して、詳細な説明は省略する。
【0083】
まず、第3実施形態に係るスペクトル表示装置の構成について説明する。
【0084】
処理部20は、表示部30に拡大範囲を変更するためのカーソルを表示させる処理を行う。これにより、表示部30は、拡大範囲を変更するためのカーソルを表示する。ユーザーは、操作部10を介して、カーソルを操作することができる。
【0085】
範囲情報取得部22は、操作部10によって操作されたカーソルの位置に基づいて、拡大範囲の情報I22を取得する。スペクトル生成部24は、この拡大範囲の情報I22に基づいて、拡大範囲が変更された拡大スペクトルを生成する。
【0086】
本実施形態に係るスペクトル表示装置の動作について説明する。
【0087】
図12は、表示部30に表示された蛍光X線のスペクトルの一例を示す図である。
【0088】
ユーザーは、図12に示すように、表示部30に表示されているスペクトルの任意のエネルギー範囲(拡大範囲)Daを指定する。ユーザーは、例えば、図12に示すように、スペクトル上の領域を囲むことによって、拡大範囲Daを指定してもよい。
【0089】
また、ユーザーが、タッチパネル16を用いて、拡大範囲Daを指定してもよい。例えば、ユーザーが、タッチパネル16上の2点を指先等で触れることによってスペクトル上の2点を選択し、拡大範囲Daを選択してもよい。また、ユーザーが、タッチパネル16上に指先を触れたまま移動させた場合、指先のエネルギー軸に沿った移動距離に応じて、拡大範囲の拡大率を設定してもよい。
【0090】
図13は、本実施形態に係るスペクトル表示装置100が生成した拡大スペクトルである。
【0091】
スペクトル表示装置100は、拡大範囲Daの情報に基づいて、図13に示すように、拡大範囲Daをエネルギー軸に沿って拡大し、拡大範囲とは異なるエネルギー範囲(拡大範囲以外のエネルギー範囲)をエネルギー軸に沿って縮小した拡大スペクトルを生成する。拡大スペクトルは、例えば、表示部30の表示領域内に収まるように、拡大範囲とは異なる範囲が縮小されて生成される。
【0092】
スペクトル表示装置100は、図13に示すように、表示部30に拡大スペクトルを表示する。すなわち、表示部30では、図12に示すスペクトルが、図13に示す拡大スペクトルに更新される。また、スペクトル表示装置100の表示処理部27は、図13に示すように、拡大範囲Daに含まれるスペクトルの背景の色(濃淡)と、拡大範囲Da以外の範囲Dbに含まれるスペクトルの背景の色(濃淡)を変化させる処理を行う。これにより、拡大したエネルギー範囲(拡大範囲)Daと、縮小したエネルギー範囲(拡大範囲とは異なる領域)Dbと、の識別が容易に行える。
【0093】
図14は、図13に示すスペクトルの一部を拡大した図である。
【0094】
図14に示すように、ユーザーが、操作部10を操作して、範囲Daと範囲Dbの境界abにカーソルCを合わせドラッグして境界abを移動させることにより、新たに拡大範囲を指定することができる。図14の例では、ドラッグ時にカーソルCを範囲Db側に移動させた場合は、拡大範囲Daが広がり、ドラッグ時にカーソルCを範囲Da側に移動された場合は、拡大範囲Daを狭くすることができる。
【0095】
スペクトル表示装置100では、インターフェース部21が、この操作情報を受け取り、範囲情報取得部22が、この操作情報から拡大範囲の情報I22を取得する。そして、スペクトル生成部24が、拡大範囲の情報I22に基づいて、拡大スペクトルを生成し、表示部30に表示される。これにより、新たな拡大範囲が拡大された拡大スペクトルを表示することができる。
【0096】
図15は、図13に示すマーカーMを示す図である。
【0097】
図13に示すように、表示部30には、拡大スペクトルとともに、拡大範囲Daに対応したマーカーMが表示される。図15に示すように、ユーザーが、マーカーMの中央付近M1をドラッグすると、拡大範囲Daの大きさを維持したまま、拡大範囲を高エネルギー側または低エネルギー側に変更することができる。また、マーカーMの一方の端部M2をドラッグし移動させると、拡大範囲Daの拡大率(倍率)を上げることができる。このとき、範囲Dbは拡大範囲Daの拡大率(倍率)の増加に応じて縮小され、拡大スペクトル全体の大きさは変化しない。また、マーカーMの他方の端部M3をドラッグし移動させると、拡大範囲Daの拡大率を下げることができる。このとき、範囲Dbは拡大範囲Daの拡大率(倍率)の減少に応じて拡大され、拡大スペクトル全体の大きさは変化しない。
【0098】
本実施形態によれば、ユーザーは、容易に拡大範囲を変更することができる。
【0099】
4. 第4実施形態
次に、第4実施形態に係るスペクトル表示装置について説明する。第1実施形態では、ユーザーが、マウス14やタッチパネル16を用いて、表示部30に表示されたスペクトルのエネルギー軸の任意の2点を指定することにより、拡大範囲が指定された。これに対して、第4実施形態では、ユーザーが、表示部30に表示された拡大範囲を選択することによって、拡大範囲が指定される。なお、第1〜第3実施形態と同様な構成については、第4実施形態においても同じ番号を付して、詳細な説明は省略する。
【0100】
まず、第4実施形態に係るスペクトル表示装置の構成について説明する。
【0101】
第4実施形態に係るスペクトル表示装置100では、記憶部32(または情報記憶媒体34)に、複数のエネルギー範囲(拡大範囲)が記憶されている。また、記憶部32には、エネルギー範囲ごとの拡大率が記憶されている。処理部20は、表示部30に、記憶部32に記憶された拡大範囲を表示させる処理を行う。これにより、表示部30は、拡大範囲を表示する。範囲情報取得部22は、表示部30に表示された複数の拡大範囲から操作部10によって指定された拡大範囲に基づいて、記憶部32から拡大範囲の情報I22および拡大率の情報を取得する。
【0102】
図16は、表示部30に表示されたエネルギー範囲(拡大範囲)のリストである。表示部30は、図16に示すように、エネルギー範囲(拡大範囲)とその範囲における拡大率を表示する。ユーザーが、操作部10を操作して、表示部30に表示されたリストから、エネルギー範囲を指定すると、インターフェース部21にこの操作情報が出力される。
【0103】
範囲情報取得部22は、インターフェース部21から操作情報を受け取り、この操作情報が拡大範囲を指定するものであるかを判断する。そして、範囲情報取得部22は、操作情報が拡大範囲を指定するものであると判断した場合、操作情報に基づいて、記憶部32から、指定された拡大範囲の情報I22およびその倍率の情報を取得する。
【0104】
次に、第4実施形態に係るスペクトル表示装置の動作について説明する。
【0105】
まず、処理部20が、図16に示すように、表示部30にエネルギー範囲のリストを表示させる処理を行う。これにより、表示部30は、エネルギー範囲のリストを表示する。処理部20は、さらに、表示部30に処理対象となるスペクトルを表示させる処理を行ってもよい。
【0106】
図17は、本実施形態に係るスペクトル表示装置の動作を説明するための図である。
【0107】
ユーザーが、表示部30に表示された図16に示すリストから、操作部10を操作して、エネルギー範囲を選択する。ユーザーが、例えば、図16に示すリストからNo.2のエネルギー範囲およびNo.5のエネルギー範囲を選択すると、スペクトル生成部24が、処理対象となるスペクトルS3に対して、No.2のエネルギー範囲に対応する拡大範囲Dcと、No.5のエネルギー範囲に対応する拡大範囲Deがエネルギー軸に沿って拡大され、拡大範囲Dc,Deとは異なる範囲がエネルギー軸に沿って縮小されたスペクトルS4を生成して表示する。
【0108】
本実施形態によれば、ユーザーは、容易に拡大範囲を指定することができる。
【0109】
以上に述べた実施形態は、任意の複数の形態を適宜組み合わせることが可能である。これにより、組み合わされた実施形態は、それぞれの実施形態が有する効果または相乗的な効果を奏することができる。
【0110】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0111】
C カーソル、M マーカー、α,β ピーク、P1,P2 ピーク、10 操作部、
12 キーボード、14 マウス、16 タッチパネル、20 処理部、
21 インターフェース部、22 範囲情報取得部、23 範囲情報記憶部、
24 スペクトル生成部、25 スペクトル抽出部、27 表示処理部、30 表示部、
31 表示領域、31a,31b 領域、32 記憶部、34 情報記憶媒体、
100 スペクトル表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸を所定の物理量とし、第2軸を前記所定の物理量に対する強度として表したスペクトルの一部を拡大して表示するスペクトル表示装置であって、
前記スペクトルの前記第1軸の拡大範囲を指定するための操作部と、
前記操作部によって指定された前記拡大範囲の情報を取得する範囲情報取得部と、
前記拡大範囲の情報に基づいて、前記拡大範囲が所定の拡大率で前記第1軸に沿って拡大され、かつ前記拡大範囲とは異なる前記第1軸の範囲が所定の縮小率で前記第1軸に沿って縮小された拡大スペクトルを生成するスペクトル生成部と、
前記スペクトル生成部が生成した前記拡大スペクトルを表示する表示部と、
を含む、スペクトル表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記スペクトルは、前記スペクトルは、前記第1軸を蛍光X線のエネルギーとし、前記第2軸を前記蛍光X線のエネルギーに対する強度として表した蛍光X線のスペクトルである、スペクトル表示装置。
【請求項3】
請求項2において、
元素に対応する前記拡大範囲の情報が記憶された記憶部を含み、
前記表示部は、前記記憶部に記憶された前記元素を表示し、
前記範囲情報取得部は、前記表示部に表示された前記元素から前記操作部によって指定された前記元素に基づいて、前記記憶部から前記拡大範囲の情報を取得する、スペクトル表示装置。
【請求項4】
請求項2において、
複数の前記拡大範囲の情報を記憶した記憶部を含み、
前記表示部は、前記記憶部に記憶された複数の前記拡大範囲を表示し、
前記範囲情報取得部は、前記表示部に表示された複数の前記拡大範囲から前記操作部によって指定された前記拡大範囲に基づいて、前記記憶部から前記拡大範囲の情報を取得する、スペクトル表示装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、
前記表示部は、前記拡大範囲を変更するためのカーソルを表示し、
前記範囲情報取得部は、前記操作部によって操作された前記カーソルの位置に基づいて、前記拡大範囲の情報を取得する、スペクトル表示装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、
前記操作部は、前記表示部に設けられたタッチパネルを含む、スペクトル表示装置。
【請求項7】
第1軸を所定の物理量とし、第2軸を前記所定の物理量に対する強度として表したスペクトルの一部を拡大して表示するスペクトル表示方法であって、
前記スペクトルの前記第1軸の拡大範囲を指定するための操作部によって指定された前記拡大範囲の情報を取得する範囲情報取得工程と、
前記拡大範囲の情報に基づいて、前記拡大範囲が所定の拡大率で前記第1軸に沿って拡大され、かつ前記拡大範囲とは異なる前記第1軸の範囲が所定の縮小率で前記第1軸に沿って縮小された拡大スペクトルを生成するスペクトル生成工程と、
前記スペクトル生成工程で生成した前記拡大スペクトルを表示する表示工程と、
を含む、スペクトル表示方法。
【請求項8】
第1軸を所定の物理量とし、第2軸を前記所定の物理量に対する強度として表したスペクトルの一部を拡大して表示するプログラムであって、
前記スペクトルの前記第1軸の拡大範囲を指定するための操作部と、
前記操作部によって指定された前記拡大範囲の情報を取得する範囲情報取得部と、
前記拡大範囲の情報に基づいて、前記拡大範囲が所定の拡大率で前記第1軸に沿って拡大され、かつ前記拡大範囲とは異なる前記第1軸の範囲が所定の縮小率で前記第1軸に沿って縮小された拡大スペクトルを生成するスペクトル生成部と、
前記スペクトル生成部が生成した前記拡大スペクトルを表示する表示部としてコンピューターを機能させる、プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図16】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図4】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−53873(P2013−53873A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190862(P2011−190862)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】