説明

スペーサが提供された電気泳動媒体

【課題】スペーサが提供された電気泳動媒体の提供。
【解決手段】カプセル化電気泳動媒体は、カプセルの層を含み、各カプセルの層は、液体および液体内に配置された少なくとも1つの粒子を含み、液体内に配置された少なくとも1つの粒子は、媒体に電界を加えることで移動し得る。複数のスペーサは、カプセル間に分散される。媒体は、基板上のカプセルおよびスペーサの混合をコーティングすることによって、または、まず、カプセルをコーティングし、その後、カプセルの層にスペーサを組み込むことによって形成され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペーサが提供された電気泳動媒体、および上記の媒体を組み込ま
れた電気泳動ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
電気泳動ディスプレイは、何年にもわたる熱心な研究および開発の対象となっ
てきた。そのようなディスプレイは、液晶ディスプレイと比較すると、良質の輝
度およびコントラスト、ワイド視野角、状態の双安定性、および低電力消費を有
し得る。(用語「双安定」および「双安定性」は、少なくとも1つの光学的性質
が異なる第1および第2のディスプレイ状態を有するディスプレイ要素を含むデ
ィスプレイに関する分野において、以下のような従来の意味で、本明細書中で使
用される。有限の持続時間のアドレシングパルス(adressing pul
se)によって、任意の所与の要素が駆動された後、第1または第2のディスプ
レイ状態のどちらかを想定し、アドレシングパルスを終了した後に、その状態が
、ディスプレイ要素の状態を変化させるために必要とされるアドレシングパルス
の最小持続時間の、少なくとも数倍(例えば、少なくとも4倍)持続する)。し
かし、これらのディスプレイの長時間の画像の質の問題は、広範な使用が妨げら
れてきた。例えば、電気泳動ディスプレイに含まれる粒子は、クラスターとなり
、沈降する傾向にあり、その結果、これらのディスプレイに対する不適切な耐用
年数が生じる。
【0003】
カプセル化電気泳動ディスプレイは、一般に、従来の電気泳動デバイスのクラ
スタリングおよび沈降による故障モード(failure mode)を受けず
、広範囲のフレキシブルでリジッドな基板上にディスプレイを印刷、またはコー
ティングを可能にするさらなる利点を提供する。(単語「印刷(printin
g)」の使用は、印刷およびコーティングの全ての形態を含むが、それらに制限
されることなく、以下の技術を含む:パッチダイコーティング、スロットまたは
押し出しコーティング、スライドまたはカスケードコーティング、カーテンコー
ティング等の予め計測されるコーティング;ナイフオーバロールコーティング、
順方向および逆方向(forward and reverse)ロールコーテ
ィング等のロールコーティング;グラビアコーティング;浸漬(dip)コーテ
ィング;スプレイコーティング;メニカスコーティング;スピンコーティング;
ブラシコーティング;エアナイフコーティング;シルクスクリーンコーティング
プロセス;静電気印刷プロセス;熱的印刷プロセス;インクジェット印刷;およ
び他の同様の技術)。従って、結果として生じるディスプレイは、フレキシブル
であり得る。さらに、ディスプレイ媒体が(様々な方法を用いて)印刷され得る
ので、ディスプレイ自体は、安価に作製され得る。
【0004】
カプセル化電気泳動ディスプレイが印刷プロセスによって安価に生産され得る
1つの主な理由は、電気泳動媒体自体が実質的な機械的強度および凝集性を有す
る;一般に、個々のカプセルは、高分子結合剤によって共に結合され、それによ
り層の凝集を増大させる。従って、ディスプレイ媒体自体が印刷され得るだけで
なく、同時係属中の出願シリアル番号第09/141,103号および対応の国
際出願番号PCT/US98/17735号(公開番号第WO99/10768
号)に説明されるように、電極は、電気泳動媒体に伝導材料を直接に印刷するこ
とによって形成され得る;あるいは、基板上に予め形成された電極は、そのよう
な積層に必要とされる熱および圧力に損傷なしに耐え得る電気泳動媒体上に積層
され得る。このような印刷された、または積層された構造において、電気泳動媒
体の機械的強度および凝集は、媒体のいずれかの片側に配置された電極の間の必
要な間隔を維持し、この間隔を制御するいかなる機械的スペーサまたは同様のデ
バイスを必要としない。従って、電極(および電極に取り付けられる任意の基板
)はフレキシブルである場合、カプセル化電気泳動ディスプレイは、デバイスの
ディスプレイの質に影響を与えずに曲げられ、または巻かれ得る;例えば、損傷
無く、鉛筆に巻きつけられているフレキシブルカプセル化電気泳動ディスプレイ
を示すDzraic et al.,「A Printed and Roll
able Bistable Electronic Display SID
(Society for Information Display)98
Digest,1131ページ(1998)」を参照のこと。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述で説明されたように、カプセル化電気泳動媒体は、かなりの機械的強度お
よび凝集を有するが、少数のカプセルの破断でさえ、カプセルの内部相(この内
部の相は、懸濁された電気泳動粒子自体および液体媒体を含む媒体を通って漏れ
得、従ってディスプレイの外観に悪影響を与えるので、このようなディスプレイ
のカプセルが破断されないことは、当然、重要である。そのようなカプセル化電
気泳動媒体の内部にスペーサを提供することによって、機械的応力に対する媒体
の抵抗力が増大し、それによって媒体は、そうでなければ許容できないカプセル
の破断が生じる用途においておよび処理条件下で使用され得る。
【0006】
1つの局面において、本発明は、カプセルの層を含むカプセル化電気泳動媒体
を提供し、これらのカプセルのそれぞれは、液体および液体内に配置された少な
くとも1つの粒子を含み、媒体に電界を加えることにより移動し得る。媒体は、
カプセルの間に分散された複数のスペーサによって特徴付けられる。
【0007】
別の局面において、本発明は、電気泳動ディスプレイを形成する方法を提供す
る;本方法は、(a)基板を提供する工程;および(b)基板に隣接し、カプセ
ルの層を含むカプセル化電気泳動媒体を提供する工程であって、これらのカプセ
ルのそれぞれは、液体および液体内に配置された少なくとも1つの粒子を含み、
その粒子は媒体に電界を加えることにより液体を通って移動し得る工程とを包含
する。本方法は、カプセル間に分散された複数のスペーサを提供することによっ
て特徴付けられる。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1) カプセル化電気泳動媒体は、カプセル(112)の層を含み
、これらのカプセル(112)の層のそれぞれは、液体(114)および該液体
(114)内に配置された少なくとも1つの粒子(116)を含み、該少なくと
も1つの粒子(116)は、該媒体に電界を加えることによって移動可能であり
、該カプセルの層は、薄膜の他の2つの寸法より実質的に小さい厚みを有する該
薄膜の形態を有し、該媒体は、該カプセル(112)の間に分散された複数のス
ペーサ(118;218;318)によって特徴付けられ、該薄膜の厚みに平行
な該スペーサ(118;218;318)の寸法は、該薄膜の厚みの0.9〜1
.0倍である、媒体。
(項目2) 前記スペーサ(118;218;318)の少なくとも1つ
は、実質的に球形またはロッドの形態を有することを特徴とする、項目1に記
載の媒体。
(項目3) 前記スペーサ(118;218;318)が、ガラスおよび
/または高分子材料から形成されることを特徴とする、項目1または2のいず
れかに記載の媒体。
(項目4) 前記スペーサ(118;218;318)が、実質的に透明
材料から形成されることを特徴とする、項目1〜3のいずれかに記載の媒体。
(項目5) 前記カプセル(112)に対する前記スペーサ(118;2
18;318)の割合が、1:100〜1:1,000,000の範囲内である
ことを特徴とする、項目1〜4のいずれかに記載の媒体。
(項目6) 前記カプセル(112)に対する前記スペーサ(118;2
18;318)の割合が、1:1,000〜1:1,000,000の範囲内で
あることを特徴とする、項目5に記載の媒体
(項目7) 第1(104)および第2(110)の電極を組み合せて、
前記電気泳動媒体の反対側に配置される項目1〜6のいずれかに記載のカプセ
ル化電気泳動媒体を含む電気泳動ディスプレイ(100;200;300)であ
って、該第1(104)および第2(110)の電極の少なくとも1つが光透過
性である、電気泳動ディスプレイ。
(項目8) 第1(102)および第2(108)の基板が、前記電気泳
動媒体の反対側に配置され、該第1(102)および第2(108)の基板が、
個別に前記第1(104)および第2(110)の電極に対して確保されること
を特徴とする、項目7に記載の電気泳動ディスプレイ。
(項目9) 前記第1(104)および第2(110)の電極ならびに前
記第1(102)および第2(108)の基板が全てフレキシブルであることを
特徴とする、項目8に記載の電気泳動ディスプレイ。
(項目10) 前記電気泳動媒体から前記第1(104)および第2(1
10)の電極の一方の反対側に配置されるタッチ感知手段によって特徴付けられ
る、項目7〜9のいずれかに記載の電気泳動ディスプレイ。
(項目11) 前記スペーサ(118;218;318)の少なくとも1
つは、前記第1(104)および第2(110)の電極の一方、または前記第1
(102)および第2(108)の基板の一方に対して、確保される、または一
体化されていることを特徴とする、項目7〜10に記載のいずれかに記載の電
気泳動ディスプレイ。
(項目12) 基板上の電気泳動ディスプレイ(100,200,300
)を形成する方法であって、該方法は、該基板に隣接し、カプセル(112)の
層を含むカプセル化電気泳動媒体を提供する工程を包含する方法であって、これ
らのカプセル(112)の層のそれぞれは、液体(114)および該液体(11
4)内に配置された少なくとも1つの粒子(116)を含み、該少なくとも1つ
の粒子(116)は、該媒体に電界を加えることによって移動することを可能に
し、該カプセルの層は、薄膜の他の2つの寸法より実質的に小さい厚みを有し、
該方法は、該カプセル(112)の間に複数のスペーサ(118;218;31
8)を組み込むことによって特徴付けられ、該薄膜の厚みに平行な該スペーサ(
118;218;318)の寸法は、該薄膜の厚みの0.9〜1.0倍となる、
方法。
(項目13) 前記カプセル(112)およびスペーサ(118;218
;318)の混合物が結合剤で形成され、この混合物が前記基板の表面にコーテ
ィングされることを特徴とする、項目12に記載の方法。
(項目14) 結合剤による前記カプセル(112)の混合物が前記基板
の表面にコーティングされ、前記スペーサ(118;218;318)が該カプ
セル(112)の間に分散されることを特徴とする、項目12に記載の方法。
(項目15) 前記2つの基板(102,108)がカプセル(112)
の層の反対側にあるように、該カプセル(112)の層に第2の基板を積層する
ことによって特徴付けられる、項目12〜14のいずれかに記載の方法。
(項目16) 前記基板、または前記基板の少なくとも1つが伝導コーテ
ィング(104,110)を有することを特徴とする、項目12〜15のいず
れかに記載の方法。
(項目17) 項目2〜11に規定される任意の1つ以上の特性により
、特徴付けられる項目12〜16のいずれかに記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付図面の図1〜3は、本発明の異なる好適なカプセル化電気泳動ディスプレ
イをディスプレイの電極面に対して垂直に切り取った模式的な断面図である。こ
れらの図面は、縮尺比が一定でなく、その代わりに、本発明の原理を示すことに
重点が置かれるように強調される。
【図1】添付図面の図1は、本発明の異なる好適なカプセル化電気泳動ディスプレイをディスプレイの電極面に対して垂直に切り取った模式的な断面図である。
【図2】添付図面の図2は、本発明の異なる好適なカプセル化電気泳動ディスプレイをディスプレイの電極面に対して垂直に切り取った模式的な断面図である。
【図3】添付図面の図3は、本発明の異なる好適なカプセル化電気泳動ディスプレイをディスプレイの電極面に対して垂直に切り取った模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上述のように、本発明のカプセル化電気泳動媒体において、複数のスペーサが
カプセルの間に分散される。これらのスペーサは、実質的な圧力が電気泳動媒体
にかけられる場合に、そうではないとカプセルに加えられるある程度の圧力(s
ome of the pressure)を解放するために有用であり、従っ
て、媒体が、カプセル破断を起こさず、スペーサがない場合に耐え得る圧力より
高い圧力に耐えることを可能にする。
【0010】
本媒体で使用されるスペーサは、従来の液晶ディスプレイに使用されるスペー
サと全く異なる機能を提供する。上述されたように、カプセル化電気泳動媒体は
、かなりの機械的強度および凝集を処理し、それによりスペーサを必要とせず、
関連する電極の間の空間を非常に正確に制御することができる。対照的に、従来
の液晶ディスプレイにおいて、液晶の電気光学的に活性な層は、完全な液体(t
rue liquid)であり、液晶層の反対の側に配置されたディスプレイの
層の間の任意の特定の間隔を維持すること自体を不可能にする。さらに、そのよ
うな液晶ディスプレイは、非常に小さいギャップ(一般的には約2〜7μm)の
維持を、12インチ(304mm)以上であり得るディスプレイの幅全体にわた
って必要とする。液晶ディスプレイの動作は、光の偏光面を回転させる液晶に依
存し、この回転は、液晶層の厚みに比例し、ギャップは、非常に正確に維持され
なければならない。一般的に液晶ディスプレイがリジッドなガラス板を使って作
製されたとしても、液晶層内のスペーサの使用に依存せずに、ディスプレイの幅
全体にわたって十分な正確さで、必要な間隔を維持することは、全く実行不可能
である。ディスプレイの表面上の適度な圧力でさえ、ディスプレイの外観に本質
的な変化を生成するのに十分なギャップの変化を引き起こすには十分である。
【0011】
本発明で使用されるスペーサと従来の液晶ディスプレイに使用されるスペーサ
との間の機能上の差異を説明として、圧力が全くかかっていない場合、スペーサ
の厚みが電気泳動媒体の厚みと正確に同じであることは本質的でないことを留意
し得る。スペーサの厚みが媒体の厚みより僅かに小さく、その結果、媒体が圧力
下にない場合、その厚みはカプセルにより決定されるが、媒体にかかる圧力が増
大し、カプセルが僅かに歪むにつれて、媒体のどちらか片側上の層はスペーサに
接触し、スペーサは、カプセルの応力を緩和し、それによってこの応力がカプセ
ルの破断が生じるレベルにまで高まるのを防ぐ。例えば、電気泳動媒体を形成す
るカプセルの層が、他の2つの寸法より実質的に小さい厚みを有する薄膜の形態
を有する一般的な用途では、薄膜の厚みに平行なスペーサの寸法は、この厚みの
1.0倍に近いスペーサの寸法が好適ではあるが、この厚みの約0.9〜約1.
0倍であり得る。例えば、カプセルが直径100μmである場合、スペーサは、
直径が100μmまたは100μmよりも僅かに小さいガラス球の形態を有し得
る。
【0012】
本発明で使用されるスペーサは、圧力が電気泳動媒体に加えられる場合、カプ
セルに必要な応力緩和を提供し得る任意の材料から形成され得る;材料の選択は
、媒体を使用する予定の用途、従ってカプセルが曝される圧力のタイプおよび大
きさに依存して変化し得ることが理解される。従って、スペーサは、ガラス等の
リジッド材料から、またはポリエチレンを例とする柔軟な高分子等のフレキシブ
ル材料から形成され得る。ここで、上記材料は、必要な応力緩和を提供するよう
なフレキシブルであることを仮定している。高分子でコーティングされたガラス
球を例とする材料の組み合わせがまた、使用され得る。色付き(この用語は黒お
よび白を含んで使用される)のスペーサは、電気泳動ディスプレイにより生成さ
れる画像の質に悪影響を及ぼし得るので、スペーサが実質的に透明材料から形成
されることが、一般に好適である。
【0013】
スペーサが様々な形状を有し得る;例えば、スペーサのそれぞれは、球、ロッ
ド、円錐、ピラミッド、円錐の形態、あるいは円錐またはピラミッドの切頭体を
実質的に有する。異なる形状のスペーサの混合もまた使用され得る。
【0014】
本電気泳動媒体におけるカプセルに対するスペーサの割合は、媒体の意図され
る用途に依存して広く変化し得る。この割合は、少なくとも部分的に、2つの競
合する考慮を妥協したものである。あまりにも少なすぎるスペーサが使用される
場合、スペーサに近傍に位置しない一定のカプセルが望ましくない応力レベルに
曝され得る。他方で、スペーサは、カプセルが受ける光学的特徴の変化を受け得
ないので、スペーサは、ディスプレイにより生成される画像に人工物(arti
fact)を導入する傾向があり得、人目を引くそのような人工物のリスクが使
用されるスペーサと共に増大する。一般的に、カプセルに対するスペーサの割合
は、1:100〜1:1,000,000の範囲内であり、好適には1:1,0
00〜1:100,000の範囲内である。
【0015】
電気泳動ディスプレイを形成するために、本発明のカプセル化電気泳動媒体は
、一般的に、媒体の反対側に配置された、少なくとも第1および第2の電極の1
つが光伝搬性である第1および第2の電極を提供される。電気泳動ディスプレイ
はまた、電気泳動媒体の反対側に配置された第1および第2の基板を含み、これ
らの第1および第2の基板は第1および第2の電極に個別に確保される;一般的
に、第1および第2の電極は、任意の利便性の高いタイプの印刷またはコーティ
ングプロセスにより各自の基板に形成される。
【0016】
そのようなディスプレイの1形態において、第1および第2の電極ならびに第
1および第2の基板が全てフレキシブルであり、その結果、ディスプレイ全体が
フレキシブルとなる。そのようなディスプレイは、従来のポスターまたは本の1
ページに類似するような紙の厚みで作製され得る。そのようなディスプレイへの
スペーサの供給は、ディスプレイの一部が非常にはっきりと曲げられ、これが発
生した場合、例えば、フレームまたは類似の構造に合わせるようにディスプレイ
が手動で操作される場合に、ディスプレイに対する損傷を防ぐのに有用であり得
る。
【0017】
そのようなディスプレイの別の形態は、電気泳動媒体から第1および第2の電
極の内の1つの反対側に配置されたタッチ感知手段を含み、その結果、ディスプ
レイはタッチスクリーンとして機能する。当業者に周知であるように、タッチス
クリーンのタッチ感知手段は、一般に、2つの透明基板上に2つの連続的な直交
する電極を含み、これらの連続的な電極は、アナログ電圧分圧器として動作する
。あるいは、そのようなタッチ感知手段は、個別の透明基板上に透明電極(1つ
の基板上の一連の平行な行電極および他の基板の一連の平行な列電極、または1
つの基板上のマトリクスアレイおよび他の基板の1つの連続的な電極を例とする
)の2つのアレイを含み得る。全ての場合において、2つの電極または電極のア
レイは、互いに平行に位置するが、機械的なスペーサ、液体膜または加圧ガスに
よって短距離だけ離れて位置する。少なくとも(ユーザに隣接する)前部基板は
、フレキシブルに作製され、その結果、前部基板上にユーザの指から加えられる
ような適度な圧力を与えることで、電極間(各アレイにおける少なくとも1つの
電極間)の接触を引き起こし、それにより関連電極が、感知手段のどこに圧力が
加えられたかを示す信号を生成する。タッチ感知手段は、画像が形成されるスク
リーン(一般的に、陰極線管のスクリーン、または一般的ではないが液晶ディス
プレイのスクリーン)に固定され、その結果、ユーザがスクリーン上の画像を触
れているように見える。
【0018】
カプセル化電気泳動ディスプレイは、タッチスクリーンにおける陰極線管およ
び液晶ディスプレイの両方について実質的な利点を有する。陰極線管および従来
の液晶ディスプレイの両方は、放射の動作を行い(液晶ディスプレイはバックラ
イトが照射される)、その結果、画像は、例えば、ドライブアップ(drive
−up)現金自動預入支払機(ATM)が銀行の外に配置される場合、強い太陽
光線では読むのが困難である。対照的に、電気泳動ディスプレイは、反射によっ
て動作し、その結果、非常に強い光の下でさえ十分に読むことができる。また、
電気泳動ディスプレイは、陰極線管よりかさばらず、ATMには重要であると考
えられる。
【0019】
タッチスクリーン上にユーザの指により生じる圧力は比較的小さいが、ユーザ
が、偶然に、スクリーンを意図するより激しく叩き得る、または、指先による単
なる圧力より非常に大きい圧力を生み出し得る指の爪、指輪、時計バンド、ブレ
スレット等で叩き得る。従って、タッチスクリーンで用いられる電気泳動ディス
プレイは、有利に、本発明に従ってスペーサを組み込み得、それにより、実質的
な圧力がタッチスクリーンに及ぼされる場合、ディスプレイへの損傷を防ぐ。
【0020】
タッチスクリーン自体が2つの電極を必要とし、電気泳動ディスプレイもまた
、2つの電極を必要とするが、ある場合、(用いられるタッチ感知手段のタイプ
に依存する)場合には、3つの電極のみを用いることにより電気泳動ディスプレ
イを備えるタッチスクリーンの複雑さおよび費用を減らすことが可能となり得る
。タッチスクリーンの後部電極が非常に薄い基板上に製造される場合、タッチス
クリーンの後部電極および電気泳動ディスプレイの前部電極の両方として、この
電極を使用することが可能となり得る。そのような2重機能の電極は、利便的に
連続した電極タイプ(すなわち、タッチスクリーンディスプレイの全面積にわた
って伸びる1つの電極の形態)となり得る。あるいは、1つの基板は、好適には
フレキシブルプラスチック膜は、伝導材料の連続的な層で両側にコーティングが
なされ得、その結果、このコーティングされた基板は、タッチスクリーンの後部
電極および電気泳動ディスプレイの前部電極の両方として提供される。
【0021】
本発明の別の用途は、類似の従来技術の媒体よりより広範囲の条件下で積層さ
れ得るカプセル化電気泳動媒体を提供することであり得る。上述されたように、
カプセル化電気泳動ディスプレイを作製するには、基板上に電極を形成し、次い
でこの基板/電極の結合体を、異なる基板上にコーティングされたカプセル化電
気泳動媒体に積層するのが一般的な実施例である。この積層化は、通常、熱およ
び圧力の両方を用いて行われ、熱および圧力のこの組み合わせがカプセルに実質
的な応力を与え得る。というのも、積層化によって与えられた外部圧力に加え、
カプセル内の電気泳動流体の熱膨張により引き起こされる内部圧力がカプセルに
加わるからである。本発明に従って電気泳動媒体にスペーサを設けることによっ
て、積層化の間にカプセルに与えられる応力が減少し、それにより、使用され得
る圧力および/または温度の範囲を広げ得る。積層化の接着剤の選択は、積層化
に使用され得る主に温度および圧力によって制限されるので、温度および圧力の
許容範囲が広がることは、使用可能な積層化の接着剤の範囲を広げ、従って、他
の場合では電気泳動媒体に使用できない(耐久性を増す等の)ある所望な性質を
有する接着剤の使用を可能にする。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態において、スペーサは、以下で詳細に説明するよ
うに、カプセルがカプセルの層に形成される前後のいずれかに、カプセルの間に
混合される個別のエンティティである。しかし、少なくともスペーサのいくつか
もまた、電気泳動ディスプレイの電極または基板の1つに確保されるか、または
一体化している。例えば、基板の1つまたは両方は、フレキシブルプラスチック
膜の形態を有する場合、そのような膜は、スペーサとして機能するプロジェクシ
ョンまたはリッジ(ridge)を有してもよい。そのようなプロジェクション
またはリッジは、ディスプレイの視野表面に対する有用なテーパーであり得る;
例えば、後部基板のプロジェクションは、形状において、フルスト(frust
o)円錐型のまたはフルストピラミッド型であり得、その結果、基板が、カプセ
ルの層を印刷されるまたはカプセルの層でコーティングされる場合、カプセルは
、プロジェクションまたはリッジの広いベースの外部部分にオーバーレイし、プ
ロジェクションの比較的狭い上部のみが最終的なディスプレイで露出され、従っ
て、ディスプレイによって提供される画像に見ることのできる人工物をもたらす
投射の可能性を減らす。
【0023】
カプセルの層にスペーサを組み込むために使用される正確な方法は、変化し得
、最適な方法は、用いられるスペーサの数およびタイプに依存して変化し得る。
上述したように、一般的に、カプセルの層は、カプセルの間にあり、カプセルを
共に結合させる結合剤を提供することによってコヒーレントになる。カプセルの
層は、基板の表面に結合剤におけるカプセルの混合物を印刷する、またはコーテ
ィングすることによって形成される;利便的に、伝導コーティングは、印刷また
はコーティングの前に基板上に提供され、その結果、この伝導コーティングは、
最終的なディスプレイの電極の1つとして機能し得る。一定の厚みを有する(s
pacing−containg)カプセルの層を形成する方法において、スペ
ーサは、カプセルおよび結合剤と混合し、結果として生じる混合物は、基板の表
面に印刷され、またはコーティングされる。本方法は、詳細には、カプセル/結
合剤混合物と同様の密度を有するスペーサ(例えば、高分子スペーサ)に適して
いる。第2の方法において、カプセルおよび結合剤の通常の混合物は、基板の表
面にまずコーティングされ、その後、スペーサは、カプセルの間に分散される。
いずれの方法においても、一般に、スペーサを備えるカプセルの層が、基板上に
形成された後、第2の基板がカプセルの層に2つの基板は、この層の反対側にあ
るように積層される。この第2の基板は、最終的な電気泳動ディスプレイの第2
の電極として機能する伝導層を有し得る。
【0024】
上述の説明を通じて、本発明のカプセル化電気泳動媒体が複数の別個のカプセ
ルを含むことを示す様態で、カプセルおよび結合剤について述べてきた(添付す
る図面が本発明のこの形態を示す)が、本発明の媒体はまた、「高分子分散型電
気泳動ディスプレイ」(以下、「PDED」と省略される)の形態を有し得る。
本質的に、PDEDは、不連続な相を有する2相システム(two−phase
system)であり、2相システムは、電気泳動流体の個別の複数の液滴を
複数含む(通常、液体および液体内に配置され、電界をその液体に加えることに
よって移動可能な少なくとも1つの粒子を含む)。PDED内の電気泳動流体の
個別の液滴は、個別のカプセル膜が個々の液滴それぞれに関連していなくとも、
カプセルまたはマイクロカプセルと呼ばれ得る。従って、本明細書中で「カプセ
ル」と呼ぶ場合は、カプセル化電気泳動ディスプレイのサブセットと考えられる
PDEDのカプセルまで拡張して解釈されるべきである。
【0025】
本発明の実施形態は、上述したように添付図面を参考にして、図示のみによっ
てではあるが、ここで説明される。添付図面は、本発明の3つの異なるカプセル
化電気泳動ディスプレイについての模式的な断面図を示す。これらの断面は、デ
ィスプレイの電極面に垂直に切り取られている。
【0026】
添付図面の図1は、本発明の(一般に100で示される)カプセル化電気泳動
ディスプレイを示す。このディスプレイは、例えば、インジウム−錫酸化物(I
TO)から形成され得る連続的な透明前部電極104でコーティングされる透明
前部基板102を含む。前部基板102の露出される(外部)表面106(図1
に示されるような上部表面)は、視野表面として機能し、観察者は、視野表面を
通してディスプレイ100を見る。例えば、ディスプレイ100は、タッチスク
リーンディスプレイの一部として使用される場合、ディスプレイのタッチ感知手
段が表面106上に取り付けられる。ディスプレイ100は、複数の個別の後部
電極110でコーティングされる後部基板108をさらに含み、個別の後部電極
110は、ディスプレイ100の個々の画素を規定する。2つの後部電極110
のみが図1で示される。電極104および110の間に、複数のマイクロカプセ
ル(一般に112で示される)が配置される。これらのマイクロカプセルのそれ
ぞれは、色付き液体114を封入しているカプセルウォール(capsule
wall)を含む。色付き液体114の中には、色付き液体114と異なる色の
懸濁荷電色付き粒子(suspended charged colored
particle)116が含まれる。実際に、マイクロカプセル112は、共
有に係る米国特許番号第6,607,185号で説明される非球形であるのが望
ましいが、図示を容易にするために、マイクロカプセル112は、図中に球形と
して示される。マイクロカプセル112は、電極104と110との間の間隔を
維持するには、マイクロカプセル112自体で十分である。しかし、既に上述さ
れた理由から、マイクロカプセル112と実質的に同じ直径のガラス球の形態を
有する複数のスペーサ118(図1に示される1つのみ)は、マイクロカプセル
112の間に分散される。
【0027】
上述したように、個々のマイクロカプセル112は、通常、高分子結合剤によ
り、互いに、ならびに電極104および110に結合される。この結合剤は、図
示および理解するのを容易にするために図1、2および3から省略されている。
【0028】
図2は、本発明の第2のカプセル化電気泳動ディスプレイ(一般に200で示
される)を示す。このディスプレイ200は、球形スペーサ118は、(図2に
示される1つのみ)円筒型ロッドスペーサ218に取り替えられていることを除
けば、図1に示されるディスプレイ100に非常に類似している。スペーサ21
8は、ガラス高分子または他の材料で形成され得る。
【0029】
図3は、本発明の第3のカプセル化電気泳動ディスプレイを示す(一般に30
0で示される)。このディスプレイ300は、スペーサが118および218が
、後部基板108と一体化しているフルスト円錐型スペーサ318(図3に示さ
れる1つのみ)によって取り替えられることを除いて、図1および図2に個別に
示されるディスプレイ100および200に非常に類似している。スペーサ31
8の片側上のマイクロカプセル112がスペーサのベースの一部に重なり、それ
によってスペーサ318が任意の見ることができる人工物をディスプレイ300
にもたらす危険を減らすことに留意すべきである。また、スペーサ318の上端
(図3参照)が、前部電極104から僅かに離れており、それによって前部基板
102、前部電極104およびマイクロカプセル112が、前部電極104がス
ペーサ318に接触する前に僅かに歪み得ることに留意すべきである。
【0030】
スペーサの使用とは別に、本発明のカプセル化電気泳動ディスプレイは、従来
技術のカプセル化電気泳動ディスプレイに類似しており、本発明のディスプレイ
は、例えば、米国特許番号第6,017,584号および第6,067,185
号、ならびに、同時係属中で、同一人に譲渡され、1999年10月6日に出願
された出願シリアル番号第09/413,444号、および対応する国際出願P
CT/US99/23313(公開番号第WO 00/20922号)で説明さ
れるようなディスプレイの生産用の任意の公知の材料およびプロセスの詳細を利
用し得る;上述の特許および出願の全ての開示全体は、参考のために援用される
。従って、読者は、そのような材料およびプロセスに対する上述の特許および出
願を参考にする。
【0031】
次の実施例は、本発明の電気泳動媒体を作製するのに有用であり得る好適な材
料、条件および方法を示すために、図示のみによって、ここで与えられる。
【0032】
1.実施例1
次の手順は、本発明の電気泳動ディスプレイに使用されるゼラチン/アカシア
(gelatin/acacia)マイクロカプセル化を説明する。
【0033】
a.オイル(Oil)(内部)相の作製
1Lフラスコに0.5gのオイル ブルー N(Aldrich,Milwa
ukee,WI)、0.5gのスーダン レッド 7B(Aldrich)、4
17.25gの水素化炭化水素オイル0.8(Halogenated hyd
rocarbon Products Corp.,River Edge,N
J)、73.67gのIsopar−G(登録商標)(Exxon,Houst
on,TX)を加える。混合物を、6時間の間、60°Cで攪拌し、次いで室温
まで冷却される。結果として生じる溶液50.13gは、50mLのポリプロピ
レン遠心機管で配置される。その溶液に水素化炭化水素オイル0.8中の、1.
8gの二酸化チタン(TiO2)(du Pont),0.78gのOLOA
1200の10%溶液(Chevron,Somerset,NJ)、および0
.15gのSpan 85(Aldrich)を加える。次いで、この混合物は
、30°Cで、Aquasonic Model 75Dソニケーター(VWR
、Westhester,PA)において、パワー9で、5分間、超音波処理を
行う。
【0034】
b.水(Aqueous)相の作製
アカシア(Aldrich)の10.0gを、100.0gの水に、30分の
間、室温で攪拌して溶解する。結果として生じる混合物は、2つの50mLポリ
プロピレン遠心機管にデカンテーションされ、10分間、約2000rpmで遠
心分離し、不溶性物質を取り除く。次いで、66gの精製された溶液が500m
Lの非バッフルジャケットリアクタ(non−baffled jackete
d reactor)にデカンテーションされ、次いでその溶液を40℃まで加
熱する。次いで、6枚羽根(垂直なジオメトリ)パドル(six−blade(
vertical geometry)paddle)攪拌機を、液体表面のま
さに下に配置する。200rpmで溶液を攪拌する間に、ゼラチン(300ブル
ーム(bloom)、TypeA、Aldrich)の6gを、約20秒間にわ
たって注意深く加え、それにより塊(lump)を避けるために。次いで、攪拌
が50rpmまで減少し、発泡化を減らす。次いで、結果として生じる溶液を3
0秒間で攪拌する。
【0035】
c.カプセル化
200rpmで攪拌し、上述されたように調製されたオイル相を、約15秒間
にわたってゆっくりと、上述されたように調製された水相に注入される。結果と
して生じるオイル/水の乳濁液は、20分間、乳化され得る。この乳濁液に、約
20秒間にわたってゆっくりと、予め40℃に加熱された水200gを加える。
次いで、pHは、10%の酢酸溶液(Aldrichからの酢酸)により5分間
にわたって4.4に減少される。pHを、pH7.0およびpH4.0緩衝溶液
で前もって較正されたpHメーターを用いてモニタリングする。結果として生じ
る混合物は、40分間、攪拌される。次いで、予め40℃に加熱された水150
gを加え、次いで、リアクタの内容物が10℃まで冷却される。溶液の温度が1
0℃に達すると、37%のホルマリン溶液(Aldrich)3.0mLを加え
、溶液は、さらに60分間、攪拌される。カルボキシメチルセルロースナトリウ
ム(NaCMC)20gを加え、次いで、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液2
0wt.%を加えることによって、pHが、10.0にまで上がる。次いで、サ
ーモスタットバスが40℃に設定され、さらに70分の間、攪拌され得る。スラ
リーは、室温まで冷却され得、一昼夜、攪拌される。次いで、結果として生じる
カプセルスラリーは、すぐにふるいにかけられる。
【0036】
d.ディスプレイの形成
上記のカプセルスラリーから本発明の電気泳動ディスプレイを作製するのに適
切と考えられる2つの手順が以下で説明される。
【0037】
i.ウレタン結合剤を用いる手順
上記から結果として生じるカプセルスラリーは、10個のカプセルに対して1
個の結合剤の割合で、水性ウレタン結合剤NeoRez R−9320(Zen
eca Resins,Wilmington,MA)を混合する。スペーサを
提供するために、100μmガラス球もまた、10,000カプセルに対して1
スペーサの割合でスラリー結合剤混合物に混合する。次いで、結果として生じる
混合物を、インジウム−錫酸化物がスパッタリングされたポリエルテル膜の約1
00〜125μmの厚いシートに、ドクター・ブレードを用いてコーティングす
る。ドクター・ブレードのブレードギャップを、カプセルの1つの層を置くよう
に0.18mmに制御する。次いで、コーティング膜を、30分間、温風(60
℃)で乾燥する。乾燥後、乾燥した膜は、Cheminstruments,F
airfield,OHからのホットロール薄膜において、15psiの圧力で
厚い銀の膜および誘電体インクを印刷されたポリエルテルスクリーンの100〜
125μmの厚さのシートを含む背面(backplane)に、60℃で積層
される。背面を、非等方性テープを用いて膜に接続される。伝導領域は、結果と
して作製されるディスプレイのアドレス可能なエリアを形成する。
【0038】
ii.ウレタン/ポリビニルアルコール結合剤を用いる手順
上記の結果として生じるカプセルスラリーは、5個のカプセルに対する1個の
NeoRez R−966に対する1個のAirvol203溶液の割合で、N
eoRez R−966(Zeneca Resins)およびAirvol2
03(ポリ(ビニルアルコール))の20%溶液の混合物を含む水性結合剤と混
合される。スペーサを提供するために、また100μmガラス球を、10,00
0カプセルに対して1スペーサの割合で、スラリー結合剤混合物に混合する。次
いで、結果として生じる混合物は、インジウム−錫酸化物をスパッタリングした
ポリエルテル膜の約100〜125μmの厚さのシートに、ドクター・ブレード
を用いてコーティングされる。ドクターブレードのブレードギャップを、カプセ
ルの1つの層を置くように0.18mmに制御する。次いで、コーティング膜を
、温風(60℃)で、30分間、乾燥する。次いで、乾燥後、厚い膜の銀インク
は、乾燥した膜の背面に直接、印刷され、60℃で硬化される。伝導エリアは、
ディスプレイのアドレス可能エリアを形成する。
【0039】
2.実施例2
次は、インサイチュ重合によるマイクロカプセルの調製例である。
【0040】
500mL非バッフルジャケットリアクタ内に、エチレンco−マレイン酸(
co−maleic)無水物(Aldrich)の10wt.%水溶液50mL
、水100mL、レゾルシノール(Aldrich)0.5g、および尿素(A
ldrich)5.0gを混合する。混合物は、200rpmで攪拌され、pH
は、1分にわたって25wt.%NaOH溶液で、3.5に調整される。pHは
、pH7.0およびpH4.0の緩衝溶液で予め較正されたpHメーターを用い
て、モニタリングされる。これに、上記の実施例1で説明したように調製された
オイル相をゆっくりと加え、攪拌は、450rpmに増加され、平均粒子サイズ
を200μm未満に減少させる。次いで、37wt.%水性ホルムアルデヒド溶
液12.5gを加え、温度を55℃まで上げる。溶液を、55℃で2時間加熱す
る。
【0041】
3.実施例3
次は、界面重合によるマイクロカプセルの作成例である。
【0042】
実施例1で上述したように調製されたオイル相44gに、塩化セバコイル(A
ldrich)1.0gを加える。次いで、混合物3mLは、室温で、300r
pmで攪拌し、水200mLに分散させる。次いで、この分散に対して、1,6
−ジアミノヘキサンの10wt.%水性溶液2.5mLを加える。カプセルは、
約1時間後に形成する。
【0043】
他のカプセル化電気泳動ディスプレイと同様に、本発明のカプセル化電気泳動
ディスプレイは、容易に製造され得、電力をほとんど消費しない(または、ある
状態における双安定ディスプレイの場合に、電力を消費しない)フレキシブルな
反射型ディスプレイを提供する。従って、そのようなディスプレイは、さまざま
な用途に組み込まれ得、多くの形態をとり得る。一旦、電界が除去されると、電
気泳動粒子は、一般に安定し得る。さらに、次の電荷を与えることは、粒子の優
先的な構成を変化させ得る。そのようなディスプレイは、例えば、複数の非等方
性の粒子および複数の第2の粒子を、懸濁流体に含んでもよい。第1の電界の印
加により、非等方性の粒子が特定の配向を想定させ得、光学的性質を提示させ得
る。次いで、第2の電界の印加により、複数の第2の粒子を平行移動させ、それ
により非等方性の粒子を無秩序にし、光学的性質をかき乱す。あるいは、または
、さらに、粒子は、懸濁流体の屈折率に実質的に適合する屈折率を有し得る。
【0044】
上述したように、カプセル化電気泳動ディスプレイは、ディスプレイの光学状
態が、ある時間の長さの間、安定するように作成され得る。ディスプレイがこの
態様で安定な2つの状態を有する場合、ディスプレイは、以上で規定された用語
の範囲内で、双安定である;ディスプレイの3つ以上の状態が安定である場合、
ディスプレイは、多安定である。しかし、ディスプレイは効率的に双安定状態で
あるかどうかは、ディスプレイの用途に依存する。ゆっくりと崩壊する光学状態
は、光学状態が要求される視野時間にわたって実質的に変化しない場合、効率的
に双安定であり得る。例えば、数秒毎に更新されるディスプレイにおいて、数時
間または数日間、安定であるディスプレイ画像は、特定の用途に対して効率的に
双安定である。あるいは、ディスプレイにアドレシングする電圧を取り除くと、
すぐに画像が崩壊するカプセル化電気泳動ディスプレイを作成することが可能で
ある(すなわち、ディスプレイは、双安定または多安定でない)。カプセル化電
気泳動ディスプレイが双安定であるかどうか、およびその双安定の程度は、電気
泳動粒子、懸濁流体、カプセル、および結合剤材料の適切な化学修飾によって制
御され得る。
【0045】
カプセル化電気泳動ディスプレイは、多数の形態をとり得る。そのようなディ
スプレイのカプセルは、任意のサイズまたは形状であり得る。カプセルは、例え
ば、球形であり、ミリメートルの範囲内またはミクロンの範囲内の直径を有し得
る。そのようなディスプレイのカプセル内の粒子は、例えば着色され、ルミネセ
ンスで、光を吸収する、または透明であり得る。
【0046】
上述の説明から、本発明のカプセル化電気泳動媒体およびディスプレイは、従
来技術のカプセル化電気泳動媒体およびディスプレイの全ての利点を維持する一
方で、カプセル化電気泳動媒体を媒体上で用いられる圧力からの損傷を受けるこ
とをより少なくする。従って、本発明の媒体およびディスプレイは、従来技術の
カプセル化電気泳動媒体およびディスプレイは、圧力のダメージを被るので、使
用され得ない用途において、有用であり得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−54387(P2013−54387A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−266929(P2012−266929)
【出願日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【分割の表示】特願2001−508641(P2001−508641)の分割
【原出願日】平成12年6月29日(2000.6.29)
【出願人】(500080214)イー インク コーポレイション (148)
【Fターム(参考)】