スペーサ
【課題】鉄筋籠をコンクリート等の水硬性材料が充填された掘削孔内に挿入するとき、鉄筋籠の挿入性を向上させることができるスペーサを提供する。
【解決手段】掘削孔20に挿入される鉄筋籠10に取り付けられるスペーサ1であって、鉄筋籠10の軸方向に延在する主鉄筋11に接合され主鉄筋11から鉄筋籠10の径方向外方に所定高さ突出するとともに鉄筋籠10の軸方向に所定長さ延在するように構成された所定厚さのスペース保持部2と、スペース保持部2の主鉄筋11と反対側の端部に設けられ掘削孔20の内壁21に当接するように構成された内壁当接部3と、を備える。スペース保持部2の厚さ寸法を主鉄筋11の直径寸法以下に設定する。
【解決手段】掘削孔20に挿入される鉄筋籠10に取り付けられるスペーサ1であって、鉄筋籠10の軸方向に延在する主鉄筋11に接合され主鉄筋11から鉄筋籠10の径方向外方に所定高さ突出するとともに鉄筋籠10の軸方向に所定長さ延在するように構成された所定厚さのスペース保持部2と、スペース保持部2の主鉄筋11と反対側の端部に設けられ掘削孔20の内壁21に当接するように構成された内壁当接部3と、を備える。スペース保持部2の厚さ寸法を主鉄筋11の直径寸法以下に設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現場造成杭を築造するための鉄筋籠に取り付けられるスペーサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建築物の基礎構造体として現場造成杭が用いられている。現場造成杭を築造する際には、ケーシング等の掘削冶具を用いて掘削孔を形成するが、この際、掘削孔保護の目的から、掘削孔内を掘削泥水で満たし、泥水圧によって掘削孔の崩壊を防止している。そして、泥水で満たされた掘削孔内に鉄筋籠を挿入した後、トレミー管を所定深度まで挿入し、その後にコンクリートを打設することにより杭を築造している。かかる掘削方法においては、掘削泥水により満たされた掘削孔内にコンクリートを打設して掘削泥水を置換するため、産業廃棄物となる汚泥が過大に発生するという問題がある。
【0003】
このような問題点を解決するために、現在においては、地盤中に杭や柱列壁(地中壁)を構築する際の工法としてCFA(Continuous Flight Auger)工法が提案されている。この工法は、例えば大口径のオーガー(杭削孔機)で所定深度まで削孔して土砂を排出し、このオーガーを引き上げながら先端からコンクリートやモルタルを注入して打設し、その後、芯材となる鉄筋や型鋼をコンクリートやモルタルの中に挿入して場所打ち杭や柱列壁を構築するというものであり、現場造成で比較的簡単に杭や柱列壁等の杭体を構築できるという利点がある。このCFA工法では、削孔時に孔壁の崩壊を防ぎかつ孔壁にかかる土圧をオーガーで支持しながら、土砂をコンクリートやモルタルによって削孔内で置換して杭や柱列壁を構築し、排出された土砂を廃棄する。このため、従来の場所打ち杭工法に比べ、大幅に掘削残土を削減することができる。
【0004】
ところで、現場造成杭を築造するために掘削孔に挿入される鉄筋籠には、掘削孔内に満たされた泥水中に鉄筋籠を挿入する際に必要なかぶり厚さを確保するために、スペーサが取り付けられている。従来のスペーサとしては、かぶり厚さを確保するために円形の構造を有するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、近年においては、かぶり厚さを確実に確保するための簡易な構造として平板を曲げ加工したものを採用し、孔壁との接触面積を大きくしたスペーサが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3011538号公報
【特許文献2】特開2003−129470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載されたような従来のスペーサは、コンクリートやモルタルが充填された掘削孔内に挿入することを前提とした構造を有していない。また、特許文献2に記載されたようなスペーサは、鉄筋籠の軸方向(掘削孔への挿入方向)から見た場合のスペーサの厚さが主鉄筋の直径よりも大きくなっている。従って、これらのような従来のスペーサを鉄筋籠に取り付けてCFA工法で形成した掘削孔に鉄筋籠を挿入すると、コンクリートやモルタルを構成する骨材等が鉄筋籠挿入時の抵抗となり、所定の深度まで挿入することが困難となっていた。また、従来のスペーサを採用すると、挿入に長い時間を要するために掘削孔内のコンクリートやモルタルの硬化が始まり、一層挿入が困難になるという問題もあった。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、鉄筋籠をコンクリート等の水硬性材料が充填された掘削孔内に挿入するとき、鉄筋籠の挿入性を向上させることができるスペーサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明者は種々の検討を行った。まず、CFA工法を採用して形成した掘削孔内にコンクリートやモルタルといった硬化材を充填し、次いで、鉄筋籠を構成する部材である主鉄筋、組立て補強筋、帯鉄筋等の様々な部品の寸法を変えて掘削孔内への挿入試験を実施した。この結果、かかる目的の達成に結び付く新たな知見を得るに至った。
【0009】
すなわち、本発明に係るスペーサは、掘削孔に挿入される鉄筋籠に取り付けられるスペーサであって、鉄筋籠の軸方向に延在する主鉄筋に接合され主鉄筋から鉄筋籠の径方向外方に所定高さ突出するとともに鉄筋籠の軸方向に所定長さ延在するように構成された所定厚さのスペース保持部と、スペース保持部の主鉄筋と反対側の端部に設けられ掘削孔の内壁に当接するように構成された内壁当接部と、を備え、スペース保持部の厚さ寸法が主鉄筋の直径寸法以下に設定されてなるものである。
【0010】
かかる構成を採用すると、スペーサのスペース保持部の鉄筋籠軸方向における投影面積を小さくすることができる。従って、スペーサを取り付けた鉄筋籠を軸方向に沿って掘削孔に挿入する際に発生する抵抗を低減させることができ、鉄筋籠を掘削孔に挿入する時間を短縮することができる。また、挿入が完了した時点においては、所定高さを有するスペース保持部により、所定のかぶり厚さを確保することができる。
【0011】
前記スペーサにおいて、スペース保持部の厚さ寸法を、主鉄筋の直径寸法の1/8倍以上1/4倍以下に設定することが好ましい。
【0012】
かかる構成を採用すると、鉄筋籠の主鉄筋とスペーサのスペース保持部との接合強度を確保しながら、鉄筋籠挿入時に発生する抵抗を低減することができる。スペース保持部の厚さ寸法が主鉄筋の直径寸法の1/8倍未満であると、主鉄筋とスペース保持部との接合強度を確保することが困難となる。また、スペース保持部の厚さ寸法が主鉄筋の直径寸法の1/4倍を超えると、鉄筋籠挿入時に発生する抵抗が比較的大きくなり、挿入に要する時間の短縮効果が比較的小さくなる。
【0013】
また、前記スペーサにおいて、スペース保持部の孔挿入方向先端側部分の高さを他の部分よりも低く設定することにより、内壁当接部の孔挿入方向先端側部分を傾斜させることができる。
【0014】
かかる構成を採用すると、スペース保持部の孔挿入方向先端側部分の高さを他の部分よりも低く設定し、これにより、スペーサの内壁当接部の孔挿入方向先端側部分を傾斜させているので、鉄筋籠を掘削孔に挿入する際に発生する抵抗をより一層低減させることができる。
【0015】
また、前記スペーサにおいて、スペース保持部の孔挿入方向先端側端部の高さ寸法を他の部分の高さ寸法の0.6倍以上に設定することが好ましい。
【0016】
かかる構成を採用すると、スペーサを取り付けた鉄筋籠を、掘削孔に充填されたコンクリート内に挿入する際に、スペーサの内壁当接部と掘削孔内壁との間にコンクリートの骨材が挟まれて抵抗が発生することを抑制することができる。
【0017】
また、前記スペーサにおいて、鉄筋籠の軸方向に沿って所定間隔で配置された複数の接合部を介してスペース保持部を主鉄筋に接合し、これら接合部間に凹部を形成することができる。かかる場合において、スペース保持部を複数の部材から構成することができる。
【0018】
かかる構成を採用すると、鉄筋籠の軸方向に沿って所定間隔で配置された複数の接合部を介してスペース保持部が主鉄筋に接合され、これら接合部間に凹部が形成されるので、スペース保持部と主鉄筋との間に空隙を形成することができる。従って、既に主鉄筋の外周に接合されている帯鉄筋や組立筋を跨いでスペーサを取り付けることができる。また、スペース保持部を複数の部材から構成することにより、主鉄筋への接合部や凹部を容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、鉄筋籠をコンクリート等の水硬性材料が充填された掘削孔内に挿入するとき、鉄筋籠の挿入性を向上させることができるスペーサを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第一実施形態に係るスペーサの構成を説明するためのものであり、(A)は正面図、(B)は側面図((A)の矢印B方向から見た図)、(C)は上面図((A)の矢印C方向から見た図)である。
【図2】図1に示すスペーサを取り付けた鉄筋籠の構成を説明するためのものであり、(A)は上面図、(B)は側面図である。
【図3】図1に示すスペーサの実施例を説明するためのものであり、(A)はスペーサの正面図、(B)は(A)のスペーサを矢印B方向から見た図、(C)は(A)のスペーサを取り付けた鉄筋籠の側面図、(D)は(C)の鉄筋籠を矢印D方向から見た図である。
【図4】本発明の第二実施形態に係るスペーサの構成を説明するためのものであり、(A)は正面図、(B)は側面図((A)の矢印B方向から見た図)、(C)は上面図((A)の矢印C方向から見た図)である。
【図5】本発明の第三実施形態に係るスペーサの構成を説明するためのものであり、(A)は正面図、(B)は側面図((A)の矢印B方向から見た図)、(C)は上面図((A)の矢印C方向から見た図)である。
【図6】本発明の第四実施形態に係るスペーサの構成を説明するためのものであり、(A)は正面図、(B)は上面図((A)の矢印B方向から見た図)、(C)は(A)のスペーサの内壁当接部の形状を変更した場合の上面図(矢印C方向から見た図)である。
【図7】本発明の第五実施形態に係るスペーサの構成を説明するためのものであり、(A)は正面図、(B)は上面図((A)の矢印B方向から見た図)である。
【図8】本発明の第六実施形態に係るスペーサの構成を説明するためのものであり、(A)は正面図、(B)は上面図((A)の矢印B方向から見た図)である。
【図9】本発明の第七実施形態に係るスペーサの構成を説明するためのものであり、(A)は正面図、(B)は上面図((A)の矢印B方向から見た図)、(C)は(A)のスペーサのスペース保持部の形状を変更した場合の上面図(矢印C方向から見た図)である。
【図10】本発明の第八実施形態に係るスペーサの構成を説明するためのものであり、(A)は正面図、(B)は上面図((A)の矢印B方向から見た図)である。
【図11】従来のスペーサの構成を説明するためのものであり、(A)は正面図、(B)は側面図((A)の矢印B方向から見た図)、(C)は上面図((A)の矢印C方向から見た図)である。
【図12】図11に示す従来のスペーサを取り付けた鉄筋籠の構成を説明するためのものであり、(A)は上面図、(B)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施形態に係るスペーサについて図面を参照して説明する。なお、以下に記載される実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定するものではない。従って、本発明はその要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
【0022】
<第一実施形態>
まず、図1及び図2等を用いて、本発明の第一実施形態に係るスペーサ1について説明する。
【0023】
本実施形態に係るスペーサ1は、掘削孔20に挿入される円筒状の鉄筋籠10(図2)に取り付けられるものである。スペーサ1は、図1及び図2に示すように、鉄筋籠10の軸方向に延在する主鉄筋11に接合され主鉄筋11から鉄筋籠10の径方向外方に所定高さ突出するとともに鉄筋籠10の軸方向に所定長さ延在するように構成された所定厚さのスペース保持部2と、スペース保持部2の主鉄筋11と反対側の端部に設けられ掘削孔20の内壁(孔壁21)に当接するように構成された内壁当接部3と、を備えている。
【0024】
スペース保持部2を有することにより、図1(A)及び図2に示すように、鉄筋籠10と掘削孔20の孔壁21との間に適切なかぶり厚さKを与えることができる。スペース保持部2は、鉄筋籠10の中心軸と掘削孔20の中心軸が重なるように、鉄筋籠10の外周部から外側に向けて放射状に取り付けられるのが好ましい。
【0025】
スペース保持部2の厚さ寸法Tは、主鉄筋11の公称直径寸法Dよりも短く設定されることが肝要である。発明者らが実施した、掘削孔20内にコンクリートを充填した場合の鉄筋籠10の挿入時におけるコンクリートの流れの調査結果によれば、鉄筋籠10が掘削孔20内に挿入されると、鉄筋籠10の体積分のコンクリートが掘削孔20内から排出され、この際のコンクリートは鉄筋籠10の先端から置換されていき、先端付近のコンクリートの多くが鉄筋籠10の内側を通して上部に移動することで鉄筋籠10が挿入されていることが確認できた。同時に鉄筋籠10の外側は空間が小さいため、コンクリートの移動は中央部分に比べて少ないことから挿入抵抗が大きく、この空間に位置するスペーサの、挿入方向に対する面積を極力小さくすることが挿入性の改善になることが分かった。また、鉄筋籠10の外側のコンクリートの移動についても調査したところ、スペーサの体積分のコンクリートが鉄筋籠10の内側に移動していることが測定できたため、主鉄筋と組立筋及び帯鉄筋に囲まれた空間をコンクリートが移動しやすいように、この空間を狭めることが無いようなスペーサの寸法とすることが重要であることがわかった。
【0026】
以上の知見によれば、図1に示すように、スペース保持部2の厚さ寸法Tは、主鉄筋11の公称直径寸法D以下に設定されることが好ましい。スペース保持部2の厚さ寸法Tは、主鉄筋11の公称直径寸法Dの1/10倍以上1/2倍以下(0.1≦T/D≦0.5)に設定されることが好ましく、1/8倍以上1/4倍以下(0.125≦T/D≦0.25)に設定されることがより好ましい。スペース保持部2の厚さ寸法Tを主鉄筋11の公称直径寸法Dの1/10倍以上に設定するのは、鉄筋籠10にスペーサ1を取り付ける場合は溶接によって設置されることが多いため、挿入時の抵抗で取りはずれが無いように適切なのど厚を確保する必要があるからである。スペーサ1のスペース保持部2の厚さ寸法Tと主鉄筋11の公称直径寸法Dの範囲を上記のように設定することで、スペーサ1の設置がしやすく挿入性も良好で、抵抗による変形も抑制することが可能となる。
【0027】
スペース保持部2の形態は、挿入時の抵抗が小さく、変形が生じないように挿入面に対しては断面積が小さく、側面の面積は大きい図1に示すような板状であることが好ましい。また、内壁当接部3は、所定のかぶり厚さが得られ、孔壁21との接触面の面圧が小さくなるような形状を有しており、好ましい形態としては図1に示すような板状体等があげられる。
【0028】
スペース保持部2は、接合部4を介して主鉄筋11に接合されている。本実施形態においては、図1(A)に示すように、鉄筋籠10の軸方向に沿って所定間隔で接合部4を2つ配置し、これら接合部4間に凹部5(欠損部)を形成している。これにより、スペーサ1は、主鉄筋11と既に接合されている帯鉄筋12や組立筋を跨いで取り付けることが可能となるため、主鉄筋11よりも外周に帯鉄筋12等の部材が設置されていても、必要なかぶり厚さKを確保することが可能となる。
【0029】
また、本実施形態においては、図1に示すように、スペース保持部2と内壁当接部3とを一体化した部材から構成し、スペース保持部2の一部を折り曲げることで内壁当接部3を形成している。このような製造方法とすることで、スペース保持部2と内壁当接部3を取り付ける溶接による接続構造を省略できることから、大幅に製造効率を向上させることができる。また、本実施形態においては、図1に示すように、内壁当接部3の両端部3aを若干内側に折り曲げて傾斜させることにより、掘削孔20への挿入性を高める構造を採用している。
【0030】
以上説明した実施形態に係るスペーサ1においては、スペース保持部2の鉄筋籠軸方向における投影面積を小さくすることができる。従って、スペーサ1を取り付けた鉄筋籠10を軸方向に沿って掘削孔20に挿入する際に発生する抵抗を低減させることができ、鉄筋籠10を掘削孔20に挿入する時間を短縮することができる。また、挿入が完了した時点においては、所定高さを有するスペース保持部2により、所定のかぶり厚さを確保することができる。
【0031】
また、以上説明した実施形態に係るスペーサ1においては、スペース保持部2の厚さ寸法Tを主鉄筋11の公称直径寸法Dよりも短く設定している(例えば、スペース保持部2の厚さ寸法Tを主鉄筋11の公称直径寸法Dの1/8倍以上1/4以下に設定している)ため、鉄筋籠10の主鉄筋11とスペーサ1のスペース保持部2との接合強度を確保しながら、鉄筋籠挿入時に発生する抵抗を低減することができる。
【0032】
また、以上説明した実施形態に係るスペーサ1においては、鉄筋籠10の軸方向に沿って所定間隔で配置された複数の接合部4を介してスペース保持部2が主鉄筋11に接合され、これら接合部4間に凹部5が形成されるので、スペース保持部2と主鉄筋11との間に空隙(凹部5)を形成することができる。従って、既に主鉄筋11の外周に接合されている帯鉄筋12や組立筋を跨いでスペーサ1を取り付けることができる。
【0033】
次に、本実施形態に係るスペーサ1について挿入試験を実施した例を、従来のスペーサ100と比較して説明する。
【0034】
本実施例において、スペーサ1が取り付けられた鉄筋籠10を構成する主鉄筋11は、公称直径寸法Dが25mmの異型鉄筋で、組立て補強筋13の周囲にPCD320mmで等間隔で配置してあるものとする。そして、主鉄筋11の外側には、せん断補強として、公称直径寸法が10mmの帯鉄筋12がスパイラル状に設置されているものとする。本実施例においては、スペーサ1のスペース保持部2の高さ寸法Hを100mm、厚さ寸法Tを4.5mm、長さ寸法Lを250mmに設定している。すなわち、本実施例においては、スペース保持部2の厚さ寸法Tを、主鉄筋11の公称直径寸法Dの9/50倍(T/D=0.18)に設定している。
【0035】
図11及び図12には、従来の現場造成杭用のスペーサ100を鉄筋籠10に取り付けた状態を示している。従来のスペーサ100は、前記した特許文献2に開示されたような平板を凸状に曲げ加工した構造を有しており、その高さ寸法Hを100mm、幅寸法Tを50mm、長さ寸法Lを250mmに設定している。すなわち、従来のスペーサ100においては、その幅寸法Tが主鉄筋11の公称直径寸法Dの2倍(T/D=2.0)に設定されている。
【0036】
ここで、発明者らは、図2に示す本発明を適用したスペーサ1を取り付けた鉄筋籠10と、図12に示す従来のスペーサ100を取り付けた鉄筋籠10と、を用いて、掘削孔20内への挿入試験を実施した。
【0037】
直径600mmのスクリューを使用して地下30mまで掘削した掘削孔20内に、粗骨材の最大粒径が20mmでフロー値が50cmである高流動コンクリートを充填し、図2及び図12に示す鉄筋籠10を挿入した。その結果、図12に示す従来のスペーサ100を用いた鉄筋籠10においては、地下5mまで自沈した後、バイブロを用いた地下30mまでの挿入に60分(溶接作業等の時間を除く)を要した。これに対し、図2に示す本発明を適用したスペーサ1を用いた鉄筋籠10においては、地下10mまで自沈した後、バイブロを用いた地下30mまでの挿入に要した時間は15分であった。
【0038】
このように、本発明を適用したスペーサ1を用いることにより、硬化前のコンクリートやモルタルが充填された掘削孔20内に鉄筋籠10を迅速かつ確実に挿入することが可能となる。
【0039】
[他の実施例]
なお、本実施形態に係るスペーサ1においては、スペース保持部2の厚さ寸法Tを適宜変更することができる。また、スペーサ1が取り付けられる鉄筋籠10においては、主鉄筋11の公称直径寸法Dや帯鉄筋12の配置態様を種々変更することができるのは言うまでもない。例えば、図3に示すように、公称直径寸法Dが29mmの主鉄筋11を18本有し、公称直径寸法が10mmの帯鉄筋12を所定寸法(例えば200mm)ピッチで配置した鉄筋籠10を構成することもできる。この際、スペーサ1のスペース保持部2の厚さ寸法Tを3mm程度に設定することもできる。かかる場合、スペース保持部2の厚さ寸法Tは、主鉄筋11の公称直径寸法Dの約1/10倍(T/D=0.103)となる。
【0040】
続いて、図4〜図10を用いて、本発明の第二〜第八実施形態に係るスペーサについて説明する。第二〜第八実施形態に係るスペーサは、第一実施形態に係るスペーサ1の構成のスペース保持部2又は内壁当接部3の構成を変更したものである。このため、以下の第二〜第八実施形態においては、第一実施形態と異なる構成を中心に説明することとし、重複する構成については詳細な説明を省略する。
【0041】
<第二実施形態>
本発明の第二実施形態に係るスペーサ1Aは、図4に示すように、スペース保持部2と内壁当接部3Aを別々の材料から構成している。これにより、スペース保持部2の長手方向の長さによらず、内壁当接部3Aと孔壁21との接触面積を大きくとることができるため、内壁当接部3Aと地盤をより円滑に安定して接触させることができるようになる。なお、スペース保持部2を複数の部材から構成すると、主鉄筋11への接合部4や凹部5を容易に形成することができる。
【0042】
<第三実施形態>
本発明の第三実施形態に係るスペーサ1Bにおいては、図5に示すように、スペース保持部2Bの孔挿入方向先端側部分の高さ寸法hを他の部分の高さ寸法Hよりも短く設定することにより、内壁当接部3Bの孔挿入方向先端側部分を傾斜させて挿入性を高める構造を採用している。
【0043】
一般的に、水位以下のコンクリート構造物のかぶり厚さは100mm以上であると規定されている。また、普通コンクリートの最大骨材径は40mm以下であり、一般的に使用されるものに関しては25mm以下であることが多い。内壁当接部3Bの孔挿入方向先端部分の傾斜寸法(H−h)が最大骨材径よりも大きいと、内壁当接部3Bの先端部分と孔壁21の間に粗骨材がかみこんで挿入時の抵抗となる。このため、スペース保持部2Bの孔挿入方向先端側部分の高さ寸法hを他の部分の高さ寸法Hの0.6倍以上(0.6≦h/H≦1)に設定することが好ましい。この範囲であるとき、内壁当接部3Bは挿入方向から順次接触していくため、鉄筋籠10の鉛直性の確保が困難な場合においても安定し、挿入性を妨げずに所定のかぶり厚さKを確保することができる。また、スペース保持部2Bの孔挿入方向先端側端部の高さ寸法hを他の部分の高さ寸法Hの0.75倍以上(0.75≦h/H≦1)に設定すると、一般的な普通コンクリートに対して挿入性を高める構造とすることができる。さらに、スペース保持部2Bの孔挿入方向先端側端部の高さ寸法hを他の部分の高さ寸法Hの0.8倍以上(0.8≦h/H≦1)に設定することがより好ましい。
【0044】
<第四実施形態>
本発明の第四実施形態に係るスペーサ1Cは、図6に示すように、内壁当接部3Cを鉄筋棒により形成したものである。内壁当接部3Cを形成する鉄筋棒としては、図6(B)に示す円柱型のものや、図6(C)に示す四角柱型のものを採用することができ、また、図示していないが三角柱型や多角柱型の鉄筋棒を採用することもできる。
【0045】
<第五実施形態>
本発明の第五実施形態に係るスペーサ1Dは、図7に示すように、複数の鉄筋棒を組み合わせてスペース保持部2Dを形成したものである。本実施形態におけるスペース保持部2Dは、主鉄筋11の軸方向に対して直角な方向に配置された2本の鉄筋棒2Daと、これら2本の鉄筋棒2Daの間に対角線状に配置された2本の鉄筋棒2Dbと、から形成されている。スペース保持部2Dを形成する鉄筋棒としては、円柱型のものや四角柱型のもの等を採用することができる。本実施形態においても、図7(B)に示すように、スペース保持部2Dの厚さ寸法Tは、主鉄筋11の公称直径寸法Dよりも短く設定されている。
【0046】
<第六実施形態>
本発明の第六実施形態に係るスペーサ1Eは、図8に示すように、プレス加工により、主鉄筋11の軸方向に平行に延在する所定幅の凹部や凸部を平板に形成してスペース保持部2Eを形成したものである。本実施形態においても、図8(B)に示すように、スペース保持部2Eの厚さ寸法Tは、主鉄筋11の公称直径寸法Dよりも短く設定されている。
【0047】
<第七実施形態>
本発明の第七実施形態に係るスペーサ1Fは、図9に示すように、プレス加工により、主鉄筋11の軸方向に平行な長軸を有する楕円形の凹部や凸部を平板に形成してスペース保持部2Fを形成したものである。本実施形態においても、図9(B)、(C)に示すように、スペース保持部2Fの厚さ寸法Tは、主鉄筋11の公称直径寸法Dよりも短く設定されている。
【0048】
<第八実施形態>
本発明の第八実施形態に係るスペーサ1Gは、図10に示すように、プレス加工により、主鉄筋11の軸方向に対して直角な方向に延在する長軸を有する楕円形の凹部を平板に形成してスペース保持部2Gを形成したものである。本実施形態においても、図10(B)に示すように、スペース保持部2Gの厚さ寸法Tは、主鉄筋11の公称直径寸法Dよりも短く設定されている。
【符号の説明】
【0049】
1・1A・1B・1C・1D・1E・1F・1G…スペーサ
2・2B・2D・2E・2F・2G…スペース保持部
3・3A・3B・3C…内壁当接部
4…接合部
5…凹部
10…鉄筋籠
11…主鉄筋
20…掘削孔
21…孔壁(内壁)
【技術分野】
【0001】
本発明は、現場造成杭を築造するための鉄筋籠に取り付けられるスペーサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建築物の基礎構造体として現場造成杭が用いられている。現場造成杭を築造する際には、ケーシング等の掘削冶具を用いて掘削孔を形成するが、この際、掘削孔保護の目的から、掘削孔内を掘削泥水で満たし、泥水圧によって掘削孔の崩壊を防止している。そして、泥水で満たされた掘削孔内に鉄筋籠を挿入した後、トレミー管を所定深度まで挿入し、その後にコンクリートを打設することにより杭を築造している。かかる掘削方法においては、掘削泥水により満たされた掘削孔内にコンクリートを打設して掘削泥水を置換するため、産業廃棄物となる汚泥が過大に発生するという問題がある。
【0003】
このような問題点を解決するために、現在においては、地盤中に杭や柱列壁(地中壁)を構築する際の工法としてCFA(Continuous Flight Auger)工法が提案されている。この工法は、例えば大口径のオーガー(杭削孔機)で所定深度まで削孔して土砂を排出し、このオーガーを引き上げながら先端からコンクリートやモルタルを注入して打設し、その後、芯材となる鉄筋や型鋼をコンクリートやモルタルの中に挿入して場所打ち杭や柱列壁を構築するというものであり、現場造成で比較的簡単に杭や柱列壁等の杭体を構築できるという利点がある。このCFA工法では、削孔時に孔壁の崩壊を防ぎかつ孔壁にかかる土圧をオーガーで支持しながら、土砂をコンクリートやモルタルによって削孔内で置換して杭や柱列壁を構築し、排出された土砂を廃棄する。このため、従来の場所打ち杭工法に比べ、大幅に掘削残土を削減することができる。
【0004】
ところで、現場造成杭を築造するために掘削孔に挿入される鉄筋籠には、掘削孔内に満たされた泥水中に鉄筋籠を挿入する際に必要なかぶり厚さを確保するために、スペーサが取り付けられている。従来のスペーサとしては、かぶり厚さを確保するために円形の構造を有するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、近年においては、かぶり厚さを確実に確保するための簡易な構造として平板を曲げ加工したものを採用し、孔壁との接触面積を大きくしたスペーサが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3011538号公報
【特許文献2】特開2003−129470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載されたような従来のスペーサは、コンクリートやモルタルが充填された掘削孔内に挿入することを前提とした構造を有していない。また、特許文献2に記載されたようなスペーサは、鉄筋籠の軸方向(掘削孔への挿入方向)から見た場合のスペーサの厚さが主鉄筋の直径よりも大きくなっている。従って、これらのような従来のスペーサを鉄筋籠に取り付けてCFA工法で形成した掘削孔に鉄筋籠を挿入すると、コンクリートやモルタルを構成する骨材等が鉄筋籠挿入時の抵抗となり、所定の深度まで挿入することが困難となっていた。また、従来のスペーサを採用すると、挿入に長い時間を要するために掘削孔内のコンクリートやモルタルの硬化が始まり、一層挿入が困難になるという問題もあった。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、鉄筋籠をコンクリート等の水硬性材料が充填された掘削孔内に挿入するとき、鉄筋籠の挿入性を向上させることができるスペーサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明者は種々の検討を行った。まず、CFA工法を採用して形成した掘削孔内にコンクリートやモルタルといった硬化材を充填し、次いで、鉄筋籠を構成する部材である主鉄筋、組立て補強筋、帯鉄筋等の様々な部品の寸法を変えて掘削孔内への挿入試験を実施した。この結果、かかる目的の達成に結び付く新たな知見を得るに至った。
【0009】
すなわち、本発明に係るスペーサは、掘削孔に挿入される鉄筋籠に取り付けられるスペーサであって、鉄筋籠の軸方向に延在する主鉄筋に接合され主鉄筋から鉄筋籠の径方向外方に所定高さ突出するとともに鉄筋籠の軸方向に所定長さ延在するように構成された所定厚さのスペース保持部と、スペース保持部の主鉄筋と反対側の端部に設けられ掘削孔の内壁に当接するように構成された内壁当接部と、を備え、スペース保持部の厚さ寸法が主鉄筋の直径寸法以下に設定されてなるものである。
【0010】
かかる構成を採用すると、スペーサのスペース保持部の鉄筋籠軸方向における投影面積を小さくすることができる。従って、スペーサを取り付けた鉄筋籠を軸方向に沿って掘削孔に挿入する際に発生する抵抗を低減させることができ、鉄筋籠を掘削孔に挿入する時間を短縮することができる。また、挿入が完了した時点においては、所定高さを有するスペース保持部により、所定のかぶり厚さを確保することができる。
【0011】
前記スペーサにおいて、スペース保持部の厚さ寸法を、主鉄筋の直径寸法の1/8倍以上1/4倍以下に設定することが好ましい。
【0012】
かかる構成を採用すると、鉄筋籠の主鉄筋とスペーサのスペース保持部との接合強度を確保しながら、鉄筋籠挿入時に発生する抵抗を低減することができる。スペース保持部の厚さ寸法が主鉄筋の直径寸法の1/8倍未満であると、主鉄筋とスペース保持部との接合強度を確保することが困難となる。また、スペース保持部の厚さ寸法が主鉄筋の直径寸法の1/4倍を超えると、鉄筋籠挿入時に発生する抵抗が比較的大きくなり、挿入に要する時間の短縮効果が比較的小さくなる。
【0013】
また、前記スペーサにおいて、スペース保持部の孔挿入方向先端側部分の高さを他の部分よりも低く設定することにより、内壁当接部の孔挿入方向先端側部分を傾斜させることができる。
【0014】
かかる構成を採用すると、スペース保持部の孔挿入方向先端側部分の高さを他の部分よりも低く設定し、これにより、スペーサの内壁当接部の孔挿入方向先端側部分を傾斜させているので、鉄筋籠を掘削孔に挿入する際に発生する抵抗をより一層低減させることができる。
【0015】
また、前記スペーサにおいて、スペース保持部の孔挿入方向先端側端部の高さ寸法を他の部分の高さ寸法の0.6倍以上に設定することが好ましい。
【0016】
かかる構成を採用すると、スペーサを取り付けた鉄筋籠を、掘削孔に充填されたコンクリート内に挿入する際に、スペーサの内壁当接部と掘削孔内壁との間にコンクリートの骨材が挟まれて抵抗が発生することを抑制することができる。
【0017】
また、前記スペーサにおいて、鉄筋籠の軸方向に沿って所定間隔で配置された複数の接合部を介してスペース保持部を主鉄筋に接合し、これら接合部間に凹部を形成することができる。かかる場合において、スペース保持部を複数の部材から構成することができる。
【0018】
かかる構成を採用すると、鉄筋籠の軸方向に沿って所定間隔で配置された複数の接合部を介してスペース保持部が主鉄筋に接合され、これら接合部間に凹部が形成されるので、スペース保持部と主鉄筋との間に空隙を形成することができる。従って、既に主鉄筋の外周に接合されている帯鉄筋や組立筋を跨いでスペーサを取り付けることができる。また、スペース保持部を複数の部材から構成することにより、主鉄筋への接合部や凹部を容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、鉄筋籠をコンクリート等の水硬性材料が充填された掘削孔内に挿入するとき、鉄筋籠の挿入性を向上させることができるスペーサを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第一実施形態に係るスペーサの構成を説明するためのものであり、(A)は正面図、(B)は側面図((A)の矢印B方向から見た図)、(C)は上面図((A)の矢印C方向から見た図)である。
【図2】図1に示すスペーサを取り付けた鉄筋籠の構成を説明するためのものであり、(A)は上面図、(B)は側面図である。
【図3】図1に示すスペーサの実施例を説明するためのものであり、(A)はスペーサの正面図、(B)は(A)のスペーサを矢印B方向から見た図、(C)は(A)のスペーサを取り付けた鉄筋籠の側面図、(D)は(C)の鉄筋籠を矢印D方向から見た図である。
【図4】本発明の第二実施形態に係るスペーサの構成を説明するためのものであり、(A)は正面図、(B)は側面図((A)の矢印B方向から見た図)、(C)は上面図((A)の矢印C方向から見た図)である。
【図5】本発明の第三実施形態に係るスペーサの構成を説明するためのものであり、(A)は正面図、(B)は側面図((A)の矢印B方向から見た図)、(C)は上面図((A)の矢印C方向から見た図)である。
【図6】本発明の第四実施形態に係るスペーサの構成を説明するためのものであり、(A)は正面図、(B)は上面図((A)の矢印B方向から見た図)、(C)は(A)のスペーサの内壁当接部の形状を変更した場合の上面図(矢印C方向から見た図)である。
【図7】本発明の第五実施形態に係るスペーサの構成を説明するためのものであり、(A)は正面図、(B)は上面図((A)の矢印B方向から見た図)である。
【図8】本発明の第六実施形態に係るスペーサの構成を説明するためのものであり、(A)は正面図、(B)は上面図((A)の矢印B方向から見た図)である。
【図9】本発明の第七実施形態に係るスペーサの構成を説明するためのものであり、(A)は正面図、(B)は上面図((A)の矢印B方向から見た図)、(C)は(A)のスペーサのスペース保持部の形状を変更した場合の上面図(矢印C方向から見た図)である。
【図10】本発明の第八実施形態に係るスペーサの構成を説明するためのものであり、(A)は正面図、(B)は上面図((A)の矢印B方向から見た図)である。
【図11】従来のスペーサの構成を説明するためのものであり、(A)は正面図、(B)は側面図((A)の矢印B方向から見た図)、(C)は上面図((A)の矢印C方向から見た図)である。
【図12】図11に示す従来のスペーサを取り付けた鉄筋籠の構成を説明するためのものであり、(A)は上面図、(B)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施形態に係るスペーサについて図面を参照して説明する。なお、以下に記載される実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定するものではない。従って、本発明はその要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
【0022】
<第一実施形態>
まず、図1及び図2等を用いて、本発明の第一実施形態に係るスペーサ1について説明する。
【0023】
本実施形態に係るスペーサ1は、掘削孔20に挿入される円筒状の鉄筋籠10(図2)に取り付けられるものである。スペーサ1は、図1及び図2に示すように、鉄筋籠10の軸方向に延在する主鉄筋11に接合され主鉄筋11から鉄筋籠10の径方向外方に所定高さ突出するとともに鉄筋籠10の軸方向に所定長さ延在するように構成された所定厚さのスペース保持部2と、スペース保持部2の主鉄筋11と反対側の端部に設けられ掘削孔20の内壁(孔壁21)に当接するように構成された内壁当接部3と、を備えている。
【0024】
スペース保持部2を有することにより、図1(A)及び図2に示すように、鉄筋籠10と掘削孔20の孔壁21との間に適切なかぶり厚さKを与えることができる。スペース保持部2は、鉄筋籠10の中心軸と掘削孔20の中心軸が重なるように、鉄筋籠10の外周部から外側に向けて放射状に取り付けられるのが好ましい。
【0025】
スペース保持部2の厚さ寸法Tは、主鉄筋11の公称直径寸法Dよりも短く設定されることが肝要である。発明者らが実施した、掘削孔20内にコンクリートを充填した場合の鉄筋籠10の挿入時におけるコンクリートの流れの調査結果によれば、鉄筋籠10が掘削孔20内に挿入されると、鉄筋籠10の体積分のコンクリートが掘削孔20内から排出され、この際のコンクリートは鉄筋籠10の先端から置換されていき、先端付近のコンクリートの多くが鉄筋籠10の内側を通して上部に移動することで鉄筋籠10が挿入されていることが確認できた。同時に鉄筋籠10の外側は空間が小さいため、コンクリートの移動は中央部分に比べて少ないことから挿入抵抗が大きく、この空間に位置するスペーサの、挿入方向に対する面積を極力小さくすることが挿入性の改善になることが分かった。また、鉄筋籠10の外側のコンクリートの移動についても調査したところ、スペーサの体積分のコンクリートが鉄筋籠10の内側に移動していることが測定できたため、主鉄筋と組立筋及び帯鉄筋に囲まれた空間をコンクリートが移動しやすいように、この空間を狭めることが無いようなスペーサの寸法とすることが重要であることがわかった。
【0026】
以上の知見によれば、図1に示すように、スペース保持部2の厚さ寸法Tは、主鉄筋11の公称直径寸法D以下に設定されることが好ましい。スペース保持部2の厚さ寸法Tは、主鉄筋11の公称直径寸法Dの1/10倍以上1/2倍以下(0.1≦T/D≦0.5)に設定されることが好ましく、1/8倍以上1/4倍以下(0.125≦T/D≦0.25)に設定されることがより好ましい。スペース保持部2の厚さ寸法Tを主鉄筋11の公称直径寸法Dの1/10倍以上に設定するのは、鉄筋籠10にスペーサ1を取り付ける場合は溶接によって設置されることが多いため、挿入時の抵抗で取りはずれが無いように適切なのど厚を確保する必要があるからである。スペーサ1のスペース保持部2の厚さ寸法Tと主鉄筋11の公称直径寸法Dの範囲を上記のように設定することで、スペーサ1の設置がしやすく挿入性も良好で、抵抗による変形も抑制することが可能となる。
【0027】
スペース保持部2の形態は、挿入時の抵抗が小さく、変形が生じないように挿入面に対しては断面積が小さく、側面の面積は大きい図1に示すような板状であることが好ましい。また、内壁当接部3は、所定のかぶり厚さが得られ、孔壁21との接触面の面圧が小さくなるような形状を有しており、好ましい形態としては図1に示すような板状体等があげられる。
【0028】
スペース保持部2は、接合部4を介して主鉄筋11に接合されている。本実施形態においては、図1(A)に示すように、鉄筋籠10の軸方向に沿って所定間隔で接合部4を2つ配置し、これら接合部4間に凹部5(欠損部)を形成している。これにより、スペーサ1は、主鉄筋11と既に接合されている帯鉄筋12や組立筋を跨いで取り付けることが可能となるため、主鉄筋11よりも外周に帯鉄筋12等の部材が設置されていても、必要なかぶり厚さKを確保することが可能となる。
【0029】
また、本実施形態においては、図1に示すように、スペース保持部2と内壁当接部3とを一体化した部材から構成し、スペース保持部2の一部を折り曲げることで内壁当接部3を形成している。このような製造方法とすることで、スペース保持部2と内壁当接部3を取り付ける溶接による接続構造を省略できることから、大幅に製造効率を向上させることができる。また、本実施形態においては、図1に示すように、内壁当接部3の両端部3aを若干内側に折り曲げて傾斜させることにより、掘削孔20への挿入性を高める構造を採用している。
【0030】
以上説明した実施形態に係るスペーサ1においては、スペース保持部2の鉄筋籠軸方向における投影面積を小さくすることができる。従って、スペーサ1を取り付けた鉄筋籠10を軸方向に沿って掘削孔20に挿入する際に発生する抵抗を低減させることができ、鉄筋籠10を掘削孔20に挿入する時間を短縮することができる。また、挿入が完了した時点においては、所定高さを有するスペース保持部2により、所定のかぶり厚さを確保することができる。
【0031】
また、以上説明した実施形態に係るスペーサ1においては、スペース保持部2の厚さ寸法Tを主鉄筋11の公称直径寸法Dよりも短く設定している(例えば、スペース保持部2の厚さ寸法Tを主鉄筋11の公称直径寸法Dの1/8倍以上1/4以下に設定している)ため、鉄筋籠10の主鉄筋11とスペーサ1のスペース保持部2との接合強度を確保しながら、鉄筋籠挿入時に発生する抵抗を低減することができる。
【0032】
また、以上説明した実施形態に係るスペーサ1においては、鉄筋籠10の軸方向に沿って所定間隔で配置された複数の接合部4を介してスペース保持部2が主鉄筋11に接合され、これら接合部4間に凹部5が形成されるので、スペース保持部2と主鉄筋11との間に空隙(凹部5)を形成することができる。従って、既に主鉄筋11の外周に接合されている帯鉄筋12や組立筋を跨いでスペーサ1を取り付けることができる。
【0033】
次に、本実施形態に係るスペーサ1について挿入試験を実施した例を、従来のスペーサ100と比較して説明する。
【0034】
本実施例において、スペーサ1が取り付けられた鉄筋籠10を構成する主鉄筋11は、公称直径寸法Dが25mmの異型鉄筋で、組立て補強筋13の周囲にPCD320mmで等間隔で配置してあるものとする。そして、主鉄筋11の外側には、せん断補強として、公称直径寸法が10mmの帯鉄筋12がスパイラル状に設置されているものとする。本実施例においては、スペーサ1のスペース保持部2の高さ寸法Hを100mm、厚さ寸法Tを4.5mm、長さ寸法Lを250mmに設定している。すなわち、本実施例においては、スペース保持部2の厚さ寸法Tを、主鉄筋11の公称直径寸法Dの9/50倍(T/D=0.18)に設定している。
【0035】
図11及び図12には、従来の現場造成杭用のスペーサ100を鉄筋籠10に取り付けた状態を示している。従来のスペーサ100は、前記した特許文献2に開示されたような平板を凸状に曲げ加工した構造を有しており、その高さ寸法Hを100mm、幅寸法Tを50mm、長さ寸法Lを250mmに設定している。すなわち、従来のスペーサ100においては、その幅寸法Tが主鉄筋11の公称直径寸法Dの2倍(T/D=2.0)に設定されている。
【0036】
ここで、発明者らは、図2に示す本発明を適用したスペーサ1を取り付けた鉄筋籠10と、図12に示す従来のスペーサ100を取り付けた鉄筋籠10と、を用いて、掘削孔20内への挿入試験を実施した。
【0037】
直径600mmのスクリューを使用して地下30mまで掘削した掘削孔20内に、粗骨材の最大粒径が20mmでフロー値が50cmである高流動コンクリートを充填し、図2及び図12に示す鉄筋籠10を挿入した。その結果、図12に示す従来のスペーサ100を用いた鉄筋籠10においては、地下5mまで自沈した後、バイブロを用いた地下30mまでの挿入に60分(溶接作業等の時間を除く)を要した。これに対し、図2に示す本発明を適用したスペーサ1を用いた鉄筋籠10においては、地下10mまで自沈した後、バイブロを用いた地下30mまでの挿入に要した時間は15分であった。
【0038】
このように、本発明を適用したスペーサ1を用いることにより、硬化前のコンクリートやモルタルが充填された掘削孔20内に鉄筋籠10を迅速かつ確実に挿入することが可能となる。
【0039】
[他の実施例]
なお、本実施形態に係るスペーサ1においては、スペース保持部2の厚さ寸法Tを適宜変更することができる。また、スペーサ1が取り付けられる鉄筋籠10においては、主鉄筋11の公称直径寸法Dや帯鉄筋12の配置態様を種々変更することができるのは言うまでもない。例えば、図3に示すように、公称直径寸法Dが29mmの主鉄筋11を18本有し、公称直径寸法が10mmの帯鉄筋12を所定寸法(例えば200mm)ピッチで配置した鉄筋籠10を構成することもできる。この際、スペーサ1のスペース保持部2の厚さ寸法Tを3mm程度に設定することもできる。かかる場合、スペース保持部2の厚さ寸法Tは、主鉄筋11の公称直径寸法Dの約1/10倍(T/D=0.103)となる。
【0040】
続いて、図4〜図10を用いて、本発明の第二〜第八実施形態に係るスペーサについて説明する。第二〜第八実施形態に係るスペーサは、第一実施形態に係るスペーサ1の構成のスペース保持部2又は内壁当接部3の構成を変更したものである。このため、以下の第二〜第八実施形態においては、第一実施形態と異なる構成を中心に説明することとし、重複する構成については詳細な説明を省略する。
【0041】
<第二実施形態>
本発明の第二実施形態に係るスペーサ1Aは、図4に示すように、スペース保持部2と内壁当接部3Aを別々の材料から構成している。これにより、スペース保持部2の長手方向の長さによらず、内壁当接部3Aと孔壁21との接触面積を大きくとることができるため、内壁当接部3Aと地盤をより円滑に安定して接触させることができるようになる。なお、スペース保持部2を複数の部材から構成すると、主鉄筋11への接合部4や凹部5を容易に形成することができる。
【0042】
<第三実施形態>
本発明の第三実施形態に係るスペーサ1Bにおいては、図5に示すように、スペース保持部2Bの孔挿入方向先端側部分の高さ寸法hを他の部分の高さ寸法Hよりも短く設定することにより、内壁当接部3Bの孔挿入方向先端側部分を傾斜させて挿入性を高める構造を採用している。
【0043】
一般的に、水位以下のコンクリート構造物のかぶり厚さは100mm以上であると規定されている。また、普通コンクリートの最大骨材径は40mm以下であり、一般的に使用されるものに関しては25mm以下であることが多い。内壁当接部3Bの孔挿入方向先端部分の傾斜寸法(H−h)が最大骨材径よりも大きいと、内壁当接部3Bの先端部分と孔壁21の間に粗骨材がかみこんで挿入時の抵抗となる。このため、スペース保持部2Bの孔挿入方向先端側部分の高さ寸法hを他の部分の高さ寸法Hの0.6倍以上(0.6≦h/H≦1)に設定することが好ましい。この範囲であるとき、内壁当接部3Bは挿入方向から順次接触していくため、鉄筋籠10の鉛直性の確保が困難な場合においても安定し、挿入性を妨げずに所定のかぶり厚さKを確保することができる。また、スペース保持部2Bの孔挿入方向先端側端部の高さ寸法hを他の部分の高さ寸法Hの0.75倍以上(0.75≦h/H≦1)に設定すると、一般的な普通コンクリートに対して挿入性を高める構造とすることができる。さらに、スペース保持部2Bの孔挿入方向先端側端部の高さ寸法hを他の部分の高さ寸法Hの0.8倍以上(0.8≦h/H≦1)に設定することがより好ましい。
【0044】
<第四実施形態>
本発明の第四実施形態に係るスペーサ1Cは、図6に示すように、内壁当接部3Cを鉄筋棒により形成したものである。内壁当接部3Cを形成する鉄筋棒としては、図6(B)に示す円柱型のものや、図6(C)に示す四角柱型のものを採用することができ、また、図示していないが三角柱型や多角柱型の鉄筋棒を採用することもできる。
【0045】
<第五実施形態>
本発明の第五実施形態に係るスペーサ1Dは、図7に示すように、複数の鉄筋棒を組み合わせてスペース保持部2Dを形成したものである。本実施形態におけるスペース保持部2Dは、主鉄筋11の軸方向に対して直角な方向に配置された2本の鉄筋棒2Daと、これら2本の鉄筋棒2Daの間に対角線状に配置された2本の鉄筋棒2Dbと、から形成されている。スペース保持部2Dを形成する鉄筋棒としては、円柱型のものや四角柱型のもの等を採用することができる。本実施形態においても、図7(B)に示すように、スペース保持部2Dの厚さ寸法Tは、主鉄筋11の公称直径寸法Dよりも短く設定されている。
【0046】
<第六実施形態>
本発明の第六実施形態に係るスペーサ1Eは、図8に示すように、プレス加工により、主鉄筋11の軸方向に平行に延在する所定幅の凹部や凸部を平板に形成してスペース保持部2Eを形成したものである。本実施形態においても、図8(B)に示すように、スペース保持部2Eの厚さ寸法Tは、主鉄筋11の公称直径寸法Dよりも短く設定されている。
【0047】
<第七実施形態>
本発明の第七実施形態に係るスペーサ1Fは、図9に示すように、プレス加工により、主鉄筋11の軸方向に平行な長軸を有する楕円形の凹部や凸部を平板に形成してスペース保持部2Fを形成したものである。本実施形態においても、図9(B)、(C)に示すように、スペース保持部2Fの厚さ寸法Tは、主鉄筋11の公称直径寸法Dよりも短く設定されている。
【0048】
<第八実施形態>
本発明の第八実施形態に係るスペーサ1Gは、図10に示すように、プレス加工により、主鉄筋11の軸方向に対して直角な方向に延在する長軸を有する楕円形の凹部を平板に形成してスペース保持部2Gを形成したものである。本実施形態においても、図10(B)に示すように、スペース保持部2Gの厚さ寸法Tは、主鉄筋11の公称直径寸法Dよりも短く設定されている。
【符号の説明】
【0049】
1・1A・1B・1C・1D・1E・1F・1G…スペーサ
2・2B・2D・2E・2F・2G…スペース保持部
3・3A・3B・3C…内壁当接部
4…接合部
5…凹部
10…鉄筋籠
11…主鉄筋
20…掘削孔
21…孔壁(内壁)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削孔に挿入される鉄筋籠に取り付けられるスペーサであって、
前記鉄筋籠の軸方向に延在する主鉄筋に接合され、前記主鉄筋から前記鉄筋籠の径方向外方に所定高さ突出するとともに前記鉄筋籠の軸方向に所定長さ延在するように構成された所定厚さのスペース保持部と、
前記スペース保持部の前記主鉄筋と反対側の端部に設けられ、前記掘削孔の内壁に当接するように構成された内壁当接部と、を備え、
前記スペース保持部の厚さ寸法が前記主鉄筋の直径寸法以下に設定されてなる、
スペーサ。
【請求項2】
前記スペース保持部の厚さ寸法が、前記主鉄筋の直径寸法の1/8倍以上1/4倍以下に設定されてなる、
請求項1に記載のスペーサ。
【請求項3】
前記スペース保持部の孔挿入方向先端側部分の高さが他の部分よりも低く設定されることにより、前記内壁当接部の孔挿入方向先端側になるに従って傾斜するように構成されてなる、
請求項1又は2に記載のスペーサ。
【請求項4】
前記スペース保持部の孔挿入方向先端側端部の高さ寸法が他の部分の高さ寸法の0.6倍以上に設定されてなる、
請求項3に記載のスペーサ。
【請求項5】
前記スペース保持部は、前記鉄筋籠の軸方向に沿って所定間隔で配置された複数の接合部を介して前記主鉄筋に接合され、前記接合部間に凹部が形成される、
請求項1から4の何れか一項に記載のスペーサ。
【請求項6】
前記スペース保持部は、複数の部材から構成される、
請求項5に記載のスペーサ。
【請求項1】
掘削孔に挿入される鉄筋籠に取り付けられるスペーサであって、
前記鉄筋籠の軸方向に延在する主鉄筋に接合され、前記主鉄筋から前記鉄筋籠の径方向外方に所定高さ突出するとともに前記鉄筋籠の軸方向に所定長さ延在するように構成された所定厚さのスペース保持部と、
前記スペース保持部の前記主鉄筋と反対側の端部に設けられ、前記掘削孔の内壁に当接するように構成された内壁当接部と、を備え、
前記スペース保持部の厚さ寸法が前記主鉄筋の直径寸法以下に設定されてなる、
スペーサ。
【請求項2】
前記スペース保持部の厚さ寸法が、前記主鉄筋の直径寸法の1/8倍以上1/4倍以下に設定されてなる、
請求項1に記載のスペーサ。
【請求項3】
前記スペース保持部の孔挿入方向先端側部分の高さが他の部分よりも低く設定されることにより、前記内壁当接部の孔挿入方向先端側になるに従って傾斜するように構成されてなる、
請求項1又は2に記載のスペーサ。
【請求項4】
前記スペース保持部の孔挿入方向先端側端部の高さ寸法が他の部分の高さ寸法の0.6倍以上に設定されてなる、
請求項3に記載のスペーサ。
【請求項5】
前記スペース保持部は、前記鉄筋籠の軸方向に沿って所定間隔で配置された複数の接合部を介して前記主鉄筋に接合され、前記接合部間に凹部が形成される、
請求項1から4の何れか一項に記載のスペーサ。
【請求項6】
前記スペース保持部は、複数の部材から構成される、
請求項5に記載のスペーサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−162855(P2012−162855A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21840(P2011−21840)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(390018717)旭化成建材株式会社 (249)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(390018717)旭化成建材株式会社 (249)
【Fターム(参考)】
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