スポットシステム、スポット方法及びスポット装置
【課題】 応答性がよく小型なスポット装置を提供すること。
【解決手段】 スポット装置11の筐体13に、第1連通部61と第2連通部62と第3連通部65とがタンク室15aに連通するように形成されたタンクブロック15と、第1連通部61に連結され、第1連通部61を真空装置に接続する第1シリコンチューブ19と、第2連通部62に連結され、第2連通部62を流体供給源に接続する第2シリコンチューブ20と、入口流路46と出口流路48との間に設けられた弁座49が第3連通部65に連通するようにタンクブロック15に連結され、弁座49に弁体50を当接または離間させることにより、第3連通部65と加圧エア供給源との連通状態を制御する小型電磁弁16と、第1シリコンチューブ19を開閉する第1ピンチバルブ17と、第2シリコンチューブ20を開閉する第2ピンチバルブ18とを内設する。
【解決手段】 スポット装置11の筐体13に、第1連通部61と第2連通部62と第3連通部65とがタンク室15aに連通するように形成されたタンクブロック15と、第1連通部61に連結され、第1連通部61を真空装置に接続する第1シリコンチューブ19と、第2連通部62に連結され、第2連通部62を流体供給源に接続する第2シリコンチューブ20と、入口流路46と出口流路48との間に設けられた弁座49が第3連通部65に連通するようにタンクブロック15に連結され、弁座49に弁体50を当接または離間させることにより、第3連通部65と加圧エア供給源との連通状態を制御する小型電磁弁16と、第1シリコンチューブ19を開閉する第1ピンチバルブ17と、第2シリコンチューブ20を開閉する第2ピンチバルブ18とを内設する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を充填される充填空間にスポットピンの流路が連通し、スポットピンからスポット領域に流体を供給するスポットシステム、スポット方法及びスポット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、流体を充填される充填空間にスポットピンの流路が連通し、スポットピンからスポット領域に流体を供給するスポットシステム、スポット方法及びスポット装置として、図16に示すように、検体分取分注装置100に使用されるものが知られている。図16は、従来のスポットシステム及びスポット装置102を含む検体分取分注装置100の概略構成図である。
【0003】
検体分取分注装置100は、主制御装置101による制御信号に基づいて、スポット装置102を水平方向又は垂直方向へ移動させ、親検体容器(図示せず)に位置合わせすると、ノズル機構103内の排気を行い、親検体容器(図示せず)内の検体Sを当該ノズル機構103の分取分注チップ104内に吸い込んで保持する。その後、スポット装置102をスポット領域へ移動させ、ノズル機構103内への給気を行い、チップ104内の検体Sを加圧してスポットピン104aからスポット領域となる子検体容器(図示せず)内へ供給する。スポット装置102には、給排気用チューブ105を介して給排気装置106が接続し、チップ104の給排気を制御する。よって、スポット装置102は、給排気装置106によって検体Sの吸い込み、供給を制御される。なお、スポット装置102は、給排気装置106に僅かな空気漏れが生じると、ノズル機構103の内圧が変化し、検体Sを漏洩するおそれがあるため、給排気用チューブ105上にピンチ機構107を設け、給排気装置106に起因するチップ104内の圧力変動を防止している(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
【特許文献1】特開平10−94535号公報(段落0005、0012、第1図参照。)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のスポットシステム、スポット方法及びスポット装置102には、以下の問題があった。
(1)従来のスポットシステム及びスポット方法は、チップ104内に検体Sを吸い込むときに、チップ104内に残留する空気を巻き込み、検体Sに気泡が混じることがあった。気泡の混じった検体Sをチップ104から子検体容器(図示せず)に分注すると、気泡が混じった検体Sは気泡が混じらない検体Sより流量が少なく、しかも、検体Sに混じる気泡の量もまちまちであるため、スポットピン104aから子検体容器(図示せず)に供給する検体Sの供給量が不安定になっていた。このことは、流体供給量が微小流量である場合に、検体Sを子検体容器(図示せず)に供給できないおそれがあり、問題である。
【0006】
また、従来のスポット装置102は、ノズル機構103から離れた位置に給排気装置106を設けていたため、給排気装置106がエアを給気し始めてからノズル機構103がスポットピン104aから検体Sを供給し始めるまでの時間、あるいは、給排気装置106が給気を停止してからノズル機構103がスポットピン104aから検体Sの供給を停止するまでの時間がかかり、応答性が悪かった。給排気装置106をノズル機構103から離れた位置に配設していたのは、給排気装置106をスポット装置102に組み込むと、スポット装置102が大型化し、例えば子検体容器(図示せず)が9mm程度の狭い間隔で並べられているときに、子検体容器(図示せず)の間隔にスポットピン104aの間隔を合わせるようにスポット装置102を並べ、マニホールド化することができないためである。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、流体供給量が安定し、流体を微小流量ずつでも供給することができるスポットシステム及びスポット方法を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、応答性がよく小型なスポット装置を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記第1の目的を達成するために、本発明に係るスポットシステムは、次のような構成を有する。
(1)流体を充填される充填空間にスポットピンの流路が連通し、スポットピンからスポット領域に流体を供給するスポットシステムにおいて、充填空間に第1連通部と第2連通部と第3連通部とが開口しており、第1連通部に接続し、充填空間を真空にする真空手段と、第2連通部に接続し、充填空間に流体を充填する充填手段と、第3連通部に接続し、充填空間に充填された流体を加圧する加圧手段と、真空手段によって充填空間を真空にした後、充填手段によって流体を充填空間に充填し、その後、充填空間に充填された流体を加圧手段によって加圧するように真空手段と充填手段と加圧手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明のスポット方法は、上記第1の目的を達成するために、以下の構成を有する。
(2)流体を充填される充填空間にスポットピンの流路が連通し、スポットピンからスポット領域に流体を供給するスポット方法において、充填空間に第1連通部と第2連通部と第3連通部とが連通し、第1連通部に真空装置が接続し、第2連通部に流体供給源が接続し、第3連通部に加圧エア供給源が接続するスポット装置を使用し、スポットピンの先端部を閉鎖するとともに、第2連通部と第3連通部を閉鎖状態にした後、第1連通部を解放状態にし、その後、真空装置を用いて充填空間を真空にする真空工程と、第1連通部と第2連通部と第3連通部とを閉鎖状態にして、スポットピンの先端部を解放する解放工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、上記第2の目的を達成するために、本発明に係るスポット装置は、次のような構成を有する。
(3)流体を充填される充填空間にスポットピンの流路が連通し、スポットピンからスポット領域に流体を供給するスポット装置において、中空状の直方体形状をなし、スポットピンを一側面に取り付けられた筐体と、筐体に固定されるブロック体であって、充填空間の少なくとも一部を形成するタンク室を内部に設けられ、第1連通部と第2連通部と第3連通部とが外部からタンク室に連通するように形成されたタンクブロックと、第1連通部に連通するようにタンクブロックに連結され、第1連通部を真空装置に接続する第1配管と、第2連通部に連通するようにタンクブロックに連結され、第2連通部を流体供給源に接続する第2配管と、筐体に内設されるものであって、入口流路と出口流路との間に設けられた弁座が第3連通部に連通するようにタンクブロックに連結され、弁座に弁体を当接または離間させることにより、第3連通部と加圧エア供給源との連通状態を制御する小型電磁弁と、筐体に内設され、第1配管を開閉する第1開閉弁と、筐体に内設され、第2配管を開閉する第2開閉弁と、を有することを特徴とする。
【0011】
(4)(3)に記載の発明において、第2開閉弁及び小型電磁弁を閉弁した状態で第1開閉弁を開弁し、タンク室を真空状態にした後、第1開閉弁を閉弁して第2開閉弁を開弁し、タンク室に流体を充填し、その後、第2開閉弁を閉弁して小型電磁弁を開弁し、タンク室に加圧エアを供給する制御手段を有することを特徴とする。
【0012】
(5)(3)又は(4)に記載の発明において、小型電磁弁は、中空のコイルボビンに巻線が巻き付けられたコイルと、コイルボビン内に固定された固定鉄心と、コイルボビン内に摺動可能に設けられた可動鉄心と、先端にバルブシートが設けられるとともに、他端が可動鉄心に連結されて固定鉄心を挿通する軸棒と、軸棒の途中に設けられたベロフラムと、可動鉄心を固定鉄心から離れる方向へ常時付勢するためのスプリングとを有し、コイルへの通電によって固定鉄心を励磁し、可動鉄心を固定鉄心側に吸着することにより、バルブシートを弁座に当節又は離間させて弁開閉動作を行うものであって、入口流路に流体が供給されたときにおける、ベロフラムの受圧面積とバルブシートの受圧面積とが等しいものであることを。
【0013】
(6)(3)乃至(5)の何れか一つに記載の発明において、第1配管と第2配管がシリコンチューブであり、第1開閉弁と第2開閉弁がピンチバルブであることを特徴とする。
【0014】
(7)(6)に記載の発明において、ピンチバルブが、ボディと、ボディ内に固定された固定ピンと、固定ピンと平行な状態でボディに摺動可能に保持される可動ピンと、可動ピンに連結するシリンダとを有するものであり、筐体が、第1開閉弁のシリンダに駆動流体を供給する第1ポートと、第2開閉弁のシリンダに駆動流体を供給する第2ポートと、小型電磁弁の入力流路に加圧エアを供給する第3ポートとを設けられていることを特徴とする。
【0015】
(8)(3)乃至(7)の何れか一つに記載の発明において、小型電磁弁への通電時間により、スポットピンから供給する流体供給量又は流体供給時間を制御するものであることを特徴とする。
(9)(3)乃至(7)の何れか一つに記載の発明において、充填空間に液面を検出する液面検出手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
上記構成を有する本発明のスポットシステムは、充填空間を真空手段で真空にした後、充填手段で流体を充填するので、充填空間内に残留する空気等が除去され、充填時に充填空間内に気泡が発生しない。そのため、その後、加圧手段で流体を加圧してスポットピンから流体を供給するときに、流体に気泡が混じらない。よって、本発明のスポットシステムによれば、連続して流体を微少量ずつスポットする場合でも流体に気泡が混じらず、流体供給量が安定し、流体を微小流量ずつ正確に供給することができる。
【0017】
また、上記構成を有する本発明のスポット方法は、スポットピンの先端部を閉鎖するとともに第1〜第3連通部を閉鎖状態にして充填空間を密閉した後、第1連通部を閉鎖状態から解放状態にして真空装置を充填空間に連通させ、充填空間を負圧にする。その後、第1連通部を解放状態から閉鎖状態にしてから、第2連通部を閉鎖状態から解放状態にすることにより、流体供給源を充填空間に連通させ、流体を充填空間に充填する。このとき、充填空間が負圧であるため、流体に気泡が混じらない。充填空間に流体を所定量充填したら、第1〜第3連通部を閉鎖状態にして充填を終了し、スポットピンの先端部を解放する。スポットピンの先端部を解放すると、充填空間が外気に連通するが、流体を充填されていない部分の充填空間が真空であるため、流体がスポットピンの先端部から垂れ落ちにくい。このように充填した流体には気泡が混じっていないため、スポットピンをスポット領域に位置合わせして充填空間内の液面を加圧し、流体をスポット領域に供給するときに、気泡の混じらない流体を供給することができる。
よって、本発明のスポット方法によれば、連続して流体を微少量ずつスポットする場合でも流体に気泡が混じらず、流体供給量が安定し、流体を微小流量ずつ正確に供給することができる。
【0018】
また、本発明のスポット装置は、タンクブロックに第1連通部と第2連通部と第3連通部をタンク室に連通するように設け、第1連通部と真空装置とを接続する第1配管を第1開閉弁で開閉し、第2連通部と流体供給源を接続する第2配管を第2開閉弁で開閉し、第3連通部と加圧エア供給源を接続する小型電磁弁をタンクブロックに取り付けて、タンク室に供給する加圧エアを小型電磁弁で制御するようにしている。第1開閉弁、第2開閉弁及び小型電磁弁を直方体形状の筐体にまとめて内設しているため、配管を余分に引き回す必要がなく、装置サイズがコンパクトである。また、小型電磁弁が、スポットピンの近くに配置されるので、小型電磁弁の開弁動作からスポットピンの流体供給までの応答時間、及び、小型電磁弁の閉弁動作からスポットピンの流体供給停止までの応答時間が短くなり、応答性が向上する。よって、本発明のスポット装置によれば、装置サイズを小型化して、流体供給の応答性を向上させることができる。
【0019】
ここで、スポット装置は、第1開閉弁と第2開閉弁と小型電磁弁を閉弁した状態を待機状態とすると、まず最初に第1開閉弁だけを開弁し、タンク室を第1連通部、第1配管を介して真空装置に連通させる。真空装置によってタンク室が真空状態にされると、第1開閉弁を閉弁し、その後、第2開閉弁だけを開弁する。タンク室は、第2連通部、第2配管を介して流体供給源に連通し、流体を充填される。タンク室に所定量の流体を充填したら、第2開閉弁を閉弁する。そして、小型電磁弁だけを開弁してタンク室に加圧エアを供給し、タンク室内の流体を加圧してスポットピンから供給する。流体を所定量供給したら、小型電磁弁を閉弁し、流体の供給を停止する。これにより、スポットシステムは、待機状態に復帰する。このように、スポット装置は、タンク室を真空にした後に流体を充填するため、流体充填時に気泡がタンク室内に発生せず、スポット装置が連続して流体を微小流量ずつ供給する場合でも、流体に気泡が混じらず、流体供給量が安定し、流体を微小流量ずつ供給することができる。
【0020】
スポット装置に内蔵される小型電磁弁は、コイルに対する通電を制御することにより、固定鉄心を励磁・消磁させて、可動鉄心を固定鉄心に吸着・解放することで、バルブシートを弁座に当接・離間させて弁開閉動作を行う。小型電磁弁の入口流路に加圧エア供給源から加圧エアが供給されると、コイルに通電しない状態では、入口流路から弁座までの間に加圧エアが満たされるが、ベロフラムの受圧面積とバルブシートの受圧面積とが等しいので、ベロフラムに作用する流体圧力とバルブシートに作用する流体圧力が等しくなる。従って、小型電磁弁は、流体圧力に影響されることなく、バルブシートを弁座に当接・離間させることができる。つまり、小型電磁弁は、弁開閉動作に必要な固定鉄心の可動鉄心に対する吸引力が小さくても弁開閉動作を精度よく行うことができる。そのため、小型電磁弁は、加圧エアの圧力を小さくすることなく小型化が図られる。スポット装置は、このような小型電磁弁を内蔵するため、装置サイズを小さくできる。
【0021】
なお、第1配管と第2配管をシリコンチューブとし、第1開閉弁と第2開閉弁をピンチバルブとすることが望ましい。この場合、ピンチバルブがシリコンチューブを押しつぶしたときに流路が遮断され、ピンチバルブがシリコンチューブを押しつぶさないときに流路が解放される。このように、シリコンチューブとピンチバルブを用いることにより、筐体内の狭い空間でも配管作業を簡単に行うことができる。
【0022】
さらに、より好ましくは、ピンチバルブは、シリンダを駆動しないときに、シリコンチューブの弾拡力で可動ピンを固定ピンから離間させ、シリンダを駆動したときに、シリコンチューブの弾拡力に抗して可動ピンを固定ピン側に移動させてシリコンチューブを押しつぶすものであることが望ましい。この場合、第1開閉弁であるピンチバルブのシリンダに駆動流体を供給する第1ポートと、第2開閉弁であるピンチバルブのシリンダに駆動流体を供給する第2ポートと、小型電磁弁にエアを供給する第3ポートとを、筐体の一側面にまとめて設けることが望ましい。このようにすることにより、スポット装置は、第1,第2開閉弁が薄型になり、装置サイズを小さくすることができ、しかも、第1〜第3ポートを一側面に集めることにより、集積時の配管作業を容易に行うことができる。
【0023】
なお、小型電磁弁への通電時間によってスポットピンから供給する流体供給量又は流体供給時間を制御するようにすれば、簡単に流体供給量や流体供給時間を制御することができる。
また、充填空間に液面検出手段を設けて液面を検出するようにすれば、流体切れする前に、充填空間を負圧にして充填空間に流体を充填することができ、流体供給量の安定性をより一層向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明に係るスポットシステム、スポット方法及びスポット装置の一実施形態について図面を参照して説明する。図8は、スポットシステム10及びスポット装置11を用いた生化学解析ユニット1の正面図であるである。図9は、図8の側面図である。
スポット装置11は、生化学解析ユニット1に組み付けられ、溶液をウェル2に微少量ずつ供給するために使用される。生化学解析ユニット1は、複数のウェル2を形成されたバイオチッププレート3が載せられる可動台4に、第1アクチュエータ5を連結し、可動台4をX−Y方向へ移動させるようになっている。生化学解析ユニット1は、スポット装置11を第2アクチュエータ6に取り付け、Z方向へ移動させられるように保持している。第1アクチュエータ5、第2アクチュエータ6、スポット装置11は、コントローラ(特許請求の範囲の「制御装置」に相当。)7に接続し、動作を制御される。
【0025】
このような生化学装置1は、第1アクチュエータ5を駆動して可動台4を移動させ、スポット装置11のスポットピン12にバイオチッププレート3のウェル2を位置合わせしたら、第2アクチュエータ6を駆動してスポット装置11を下降させ、スポットピン12からウェル2に溶液を所定量供給し、その後、第2アクチュエータ6によってスポット装置11を上昇させる。生化学装置1は、この一連の動作を繰り返して、1個のスポット装置11で複数のウェル2に順次溶液を供給する。
【0026】
図1は、スポット装置11の内部構造を示す図である。図2は、図1の左側面図である。図3は、図1の右側面図である。
スポット装置11は、図1〜図3に示すように、外観が主として筐体13で構成され、薄い箱形形状をなす。筐体13は、図2及び図3に示すように、耐腐食性の観点よりPPSやPFA等の樹脂を射出成形した部品を連結もしくは溶着して、中空の直方体形状に組み立てたものである。筐体13は、図1に示すように、スポットピン12を保持する保持機構14が外向きに取り付けられる一方、タンクブロック15、小型電磁弁16、第1ピンチバルブ(特許請求の範囲の「第1開閉弁」に相当。)17、第2ピンチバルブ(特許請求の範囲の「第2開閉弁」に相当。)18などが内部に固定されて納められている。
【0027】
筐体13には、貫通孔が形成され、その貫通孔を挟んで保持機構14とタンクブロック15が反対向きに取り付けられている。タンクブロック15には、小型電磁弁16が積み重ねられてネジ止めされ、筐体13のほぼ中央に配設されている。また、筐体13の図中左右内壁には、第1ピンチバルブ(特許請求の範囲の「第1開閉弁」に相当。)17と第2ピンチバルブ(特許請求の範囲の「第2開閉弁」に相当。)18がネジ止めされている。第1,第2ピンチバルブ17,18は、タンクブロック15の対向する側面に接続する第1シリコンチューブ(特許請求の範囲の「第1配管」に相当。)19と第2シリコンチューブ(特許請求の範囲の「第2配管」に相当。)20をそれぞれ挿通され、第1シリコンチューブ19と第2シリコンチューブ20を狭持して押し潰したり、解放するようになっている。
【0028】
筐体13は、第2ピンチバルブ18をネジ止めされる側面に第1ポート21と、第2ポート22と、第3ポート23が設けられている。第1ポート21は、チューブ24を介して第1ピンチバルブ17に連通している。第2ポート22は、チューブ25を介して第2ピンチバルブ18に連通している。第3ポート23は、チューブ26と流路変更ブロック27を介して小型電磁弁16に連結している。また、筐体13には、小型電磁弁16に電流を供給する配線28を外部に取り出すための孔29が、第1〜第3ポート21,22,23を設けられた側面と同一側面に形成されている。
【0029】
かかるスポット装置11は、第1ポート21と第2ポート22を図示しないエア供給源に接続し、第3ポート23を図示しない加圧エア供給源に接続し、第1シリコンチューブ19を図示しない真空装置に接続し、第2シリコンチューブ20を図示しない溶液供給源に接続し、さらに、小型電磁弁16の配線28、図示しないエア供給源、図示しない加圧エア供給源、図示しない真空装置、図示しない溶液供給源等をコントローラ7に接続することにより、スポットシステム10を構成する。
【0030】
なお、スポットシステム10は、図示しない真空装置、第1ピンチバルブ17、第1シリコンチューブ19、第1ポート21、チューブ24、図示しないエア供給源などにより「真空手段」が構成される。また、スポットシステム10は、図示しない溶液供給源、第2ピンチバルブ18、第2シリコンチューブ20、第2ポート22、チューブ25、図示しないエア供給源などにより「充填手段」が構成される。また、スポットシステム10は、小型電磁弁16、流路変更ブロック27、チューブ26、第3ポート23、図示しない加圧エア供給源などによって「加圧手段」が構成される。さらに、スポット装置10は、コントローラ7(図8参照)により「制御手段」が構成される。
【0031】
次に、小型電磁弁16と第1,第2ピンチバルブ17,18の構造について説明する。図4は、小型電磁弁16の中央縦断面図である。
小型電磁弁16は、大別して駆動部30と弁部40とを備えている。駆動部30には、コイルボビン31に導電性の巻線が巻き付けられ構成されたコイル32が設けられている。コイルボビン31の下端開口部には、固定鉄心33が装填され、その固定鉄心33と同軸上に可動鉄心34がコイルボビン31の上端開口部から摺動自在に嵌挿されている。可動鉄心34に対しては、縮設されたスプリング35によって常に図中上向きの力が作用するようになっている。また、駆動部30の上端部に調整ネジ36が設けられており、この調整ネジ36を操作することにより、可動鉄心34のストローク、つまり弁開度を調整することができるようになっている。また、調整ネジ36の中央には手動操作ボタン37が設けられており、手動操作ボタン37を押下することにより、手動で弁開状態にすることができるようになっている。
【0032】
可動鉄心34から図中下方には、樹脂製(PPS、PTFE等)の第1軸棒38が延設されている。第1軸棒38は、固定鉄心33を貫通し、先端が後述するベロフラム室41に位置している。第1軸棒38の先端には拡径部38aが設けられ、この拡径部38aの端面に環状の凹部38bが形成されている。また、第1軸棒38の先端には、後述する樹脂製(PPS、PTFE等)の第2軸棒42が連結されている。
【0033】
一方、弁部40は、フッ素ゴム(FKM、パーフローローエラストマー等)等の弾性材料により形成されたベロフラム45を、変形可能に保持している。ベロフラム45は、外周縁部に形成された凸部がバルブボディ44の上面に形成された環状の取り付け溝に配置され、上方からベロフラム押さえ43によって押さえつけられて固定されている。ベロフラム45は、中央に孔を形成され、その孔の周りに沿って環状の肉厚部を設けている。第1軸棒38は、ベロフラム45の中央部に設けた肉厚部を凹部38bに嵌合された状態で、第2軸棒42と突き合わされ、超音波溶着により第2軸棒41に接合されている。これにより、ベロフラム45は、第1軸棒38と第2軸棒42とに狭持され固定される。この場合、ベロフラム45の孔周辺は、可動部より肉厚にされ、第1軸棒38と第2軸棒42との間で押し潰されるため、流体漏れが防止される。なお、ベロフラム押さえ43及びバルブボディ44は、PPSやPTFE等の樹脂により形成されている。
【0034】
バルブボディ44には、入口流路46と、出口流路47と、入口流路46と出口流路47とを連通させる連通流路48とが形成されている。連通流路48と出口流路47との連通部には、弁座49が形成されている。また、連通流路48内に第1軸棒38に連結された第2軸棒42が位置し、第2軸棒42の先端にバルブシート50が設けられている。バルブシート50は、弁座49より大径に形成され、出口流路47側から弁座49に当接している。バルブシート50は、可動鉄心34から延設された第1軸棒38を介して第2軸棒42に固定されており、スプリング35の弾圧力を伝達されて常時上向きの力が作用している。従って、バルブシート50は、可動鉄心34の移動に連動して、弁座49に当接・離間する。なお、バルブシート50も樹脂製(PPS,PTFE等)である。
【0035】
このような小型電磁弁16は、バルブシート50とベロフラム45の受圧面が同一にされている。そのため、バルブシート50とベロフラム45に作用する流体圧が相殺し合い、可動鉄心34をスプリング35に抗して移動させる力が小さくてすむ。そのため、コイル32の小さい小型電磁弁16であっても、入力流路46に供給される加圧エアの流体圧を下げることなく制御することができる。
【0036】
次に、第1,第2ピンチバルブ17,18の構造について説明する。第1,第2ピンチバルブ17,18は同一構造であるため、ここでは第1ピンチバルブ17の構造を中心に説明し、第2ピンチバルブ18の構造の説明を省略する。図5は、ピンチバルブ17(18)の縦断面図であって、(A)がピンチ解除状態を示し、(B)がピンチ状態を示す。図6は、ピンチバルブ17(18)の上面図であって、(A)がピンチ解除状態を示し、(B)がピンチ状態を示す。
第1ピンチバルブ17は、シリンダ51がチューブ24に接続し、駆動エアによってシリンダロッド52を突出させるようになっている。シリンダロッド52の先端部は、可動ピン53に突き当てられている。可動ピン53は、ハウジング54に内設された中空長孔形状の保持孔55に摺動自在に保持され、ハウジング54に固定された固定ピン56に対して直線往復運動可能に設けられている。固定ピン56と可動ピン53との間には、第1シリコンチューブ19が挿通されている。従って、第1ピンチバルブ17は、図5(A)及び図6(A)に示すように、第1シリコンチューブ19の反発力で可動ピン53が固定ピン56から離間し、ピンチを解除する一方、チューブ24からシリンダ51に駆動エアを供給すると、図5(B)及び図6(B)に示すように、シリンダロッド52が突出して可動ピン53を固定ピン56側へ押圧し、可動ピン53と固定ピン56との間で第1シリコンチューブ19を押し潰してピンチする。
【0037】
次に、スポット装置11の流路構成について説明する。図7は、スポット装置11のスポット部近傍の流路構成を示す図である。
スポット装置11は、タンクブロック15の中央に充填空間の一部を形成するタンク室15aが形成されている。タンク室15aには、第1連通孔(特許請求の範囲の「第1連通部」に相当。)61と第2連通孔(特許請求の範囲の「第2連通部」に相当。)62が左右対称位置に開口している。第1連通孔61には、第1継手63を介して第1シリコンチューブ19が接続される。また、第2連通孔62には、第2継手64を介して第2シリコンチューブ20が接続される。タンク室15aの上端開口部(特許請求の範囲の「第3連通部」に相当。)65は、中間ブロック66の貫通孔66aを介して小型電磁弁16の弁座49が連通している。弁座49は、連通流路48、入口流路46、流路変更ブロック27の流路27aを介してチューブ26に連通している。従って、スポット装置11は、タンク室15aを介して第1シリコンチューブ19、第2シリコンチューブ20及び小型電磁弁16が相互に連通し、第1,第2ピンチバルブ17,18及び小型電磁弁16を開閉することにより、任意の流路を選択してタンク室15aに連通させることができる。なお、本実施の形態では、タンク室15a、ノズル機構14の供給流路14a、中間ブロック66の貫通孔66aなどにより、特許請求の範囲の「充填空間」が形成され、スポットピン12の流路に連通している。
【0038】
続いて、本実施の形態のスポット装置11の動作について説明する。図10は、スポット装置11の動作説明図であって、待機状態を示す。
スポット装置11は、例えば生化学解析ユニット1が待機中のときには、所定の待機位置で図10に示す状態で待機する。待機状態のスポット装置11は、第1ポート21及び第2ポート22に駆動エアを供給し、第1,第2ピンチバルブ17,18によって第1,第2シリンダチューブ19,20をピンチしている。また、小型電磁弁16を非通電にして、弁を全閉している。従って、タンク室15aには、何れの流路も連通していない。
【0039】
次に、スポット装置11に溶液を充填する動作について説明する。図11は、スポット装置11の動作説明図であって、真空工程を示す。図12は、スポット装置11の動作説明図であって、流体充填工程を示す。
充填動作は、タンク室15aを負圧にした後に、溶液を充填することにより行われる。具体的には、まず、図11に示すように、スポット装置11を充填位置まで移動させ、スポットピン12の先端開口部を閉鎖部材67で塞ぎ、タンク室15aと外気との連通を遮断する。そして、第2ポート22に対しては駆動エアを供給したまま、第1ポート21に対しては駆動エアの供給を停止し、第1ピンチバルブ17によるピンチを解除する。これにより、タンク室15aが第1シリコンチューブ19を介して図示しない真空装置に連通するので、図示しない真空装置を駆動して、図中ドットで示した領域、すなわち、第1シリンダチューブ19からタンクブロック15のタンク室15a、タンク室15aから小型電磁弁16の弁座49、第2ピンチバルブ18、保持機構14のスポットピン12までの領域を負圧にする。
【0040】
スポット装置11は、第1連通孔61と第2連通孔62が左右対称に設けられているので、真空引きを行う際に第2シリコンチューブ20内の液体や気体を効率よく吸い取ることができる。また、スポット装置11は、溶液の「充填空間」を形成するタンクブロック16のタンク室15a、中間ブロック66の貫通孔66a、ノズル保持機構14の供給流路14aがほぼ同径に形成され、内壁に凹凸が少ないので、真空引きしたときに充填空間内に気泡や液体が残留しにくい。なお、充填空間の真空状態は、溶液充填時に気泡が発生しない程度でよい。具体的には、5torr〜100torrの真空でよく、本実施の形態では、50torr程度にされる。
【0041】
タンク室15aの内圧が所定圧まで低下したら、第1ポート21に駆動エアを供給して、第1ピンチバルブ17で第1シリコンチューブ19をピンチする。これにより、充填空間の真空状態が確保される。
【0042】
その後、図12に示すように、第2ポート22への駆動エアの供給を停止し、第2ピンチバルブ18によるピンチを解除する。これにより、タンク室15aが第2シリコンチューブ20を介して図示しない溶液供給源に連通するので、図示しない溶液供給源を駆動して溶液をタンク室15aに充填する。このとき、タンク室15aから第1ピンチバルブ17、小型電磁弁16の弁座49、保持機構14のスポットピン12までの領域が予め負圧にされているので、溶液充填時に気泡が発生しにくい。また、上記した真空引きにより第2シリコンチューブ20の内壁やタンク室15aの内壁、ノズル保持機構14の供給流路14a内壁に付着した気泡を予め除去しているため、気泡の混じった溶液がタンク室15aに充填されにくい。なお、溶液充填時には、溶液の充填速度を気泡が発生しない程度に設定し、第2シリコンチューブ20からタンク室15aに充填される溶液の勢いを抑えることが望ましい。気泡の発生をより確実に防止するためである。
【0043】
所定量の溶液をタンク室15a充填したら、第2ポート22に駆動エアを供給し、第2ピンチバルブ18で第2シリコンチューブ20をピンチする。その後、スポット装置11を充填位置から待機位置まで復帰させる。スポットピン12は、先端部が閉鎖部材67から離間して外気に解放されるが、タンク室15aの溶液を充填されていない部分の空間が負圧にされているため、溶液が先端開口部から垂れ落ちにくい。
【0044】
次に、スポット装置11が溶液をスポット領域にスポットする動作について説明する。図13は、スポット装置11の動作説明図であって、スポット工程を示す。
スポット装置11は、生化学解析ユニット1が可動台4を移動させ、スポット装置11のスポットピン12にバイオチッププレート3のウェル2を位置合わせすると、待機位置からスポット位置まで下降される。
【0045】
スポット装置11は、第1,第2ピンチバルブ17,18によって第1,第2シリコンチューブ19,20をピンチした状態で、小型電磁弁16に通電してバルブシート50を弁座49から離間させ、第3ポート23から流路ブロック27の流路27a、小型電磁弁16の入口流路46、連通流路48を介して弁座49まで供給された加圧エアを、タンク室15aに供給する。溶液は、加圧エアに液面を加圧され、スポットピン12の先端部から押し出されてスポット領域に供給される。このとき、小型電磁弁16は、加圧エアの供給量を溶液が泡立たない程度に制御することが望ましい。加圧時に気泡が溶液に混じるのを防止するためである。
【0046】
ここで、スポット装置11は、ウェル2に供給する流体供給量や流体供給時間(スポット時間)を、小型電磁弁16への通電時間に基づいて制御している。これは、スポット装置11が、小型電磁弁16をスポットピン12の近くに配置し、小型電磁弁16の開閉弁動作とスポットピン12からの流体供給停止動作との応答性がよいため、流量センサ等で流量を検出しながら流量制御する場合と比べて、微小流量の溶液を正確に制御できるからである。
【0047】
溶液をウェル2に供給し始めてから所定の時間が経過したら、小型電磁弁16への通電を止めて、溶液の供給を停止する。その後、スポット装置11は、生化学解析ユニット1によりスポット位置から上昇し、待機位置に復帰する。以上で1回分のスポット動作が完了する。スポット装置11は、上記のスポット動作を繰り返せば、連続して溶液を供給することができる。
【0048】
図14は、マニホールド化されたスポット装置11の側面図である。図15は、バイオチッププレート3の平面図である。
スポット装置11は、図14に示すように、他のスポット装置11と連結されて、マニホールド化される。例えば、図15に示すように、生化学解析ユニット1で使用するバイオチッププレート3が、ウェル2をX方向に8個、Y方向に12個形成されて、X方向に一列に並ぶウェル3にスポット装置11で同時にスポットしたい場合には、図14に示すように、8個のスポット装置11の側面を当接させて連結し、生化学解析ユニット1に組み付ける。この場合、スポット装置11は、スポットピン12の中心から中心までの距離P1が、ウェル2の直径Rの中心から中心までの距離P2と一致するように、他のスポット装置11に位置合わせされて連結される。スポット装置11は、小型電磁弁16等を内蔵していても薄い箱形をなすため、距離P1を9mm程度まで狭めてコンパクトにマニホールド化することができる。
【0049】
従って、本実施の形態のスポットシステム10及びスポット方法によれば、タンク室15aを真空にした後、溶液をタンク室15aに充填するので(図11、図12参照。)、充填時にタンク室15a内に気泡が発生しない。そのため、その後、タンク室15aの溶液を加圧してスポットピン12から溶液を供給するときに(図13参照。)、流体に気泡が混じらない。よって、本実施の形態のスポットシステム10によれば、連続して溶液を微少量ずつスポットする場合でも溶液に気泡が混じらず、流体供給量が安定し、溶液を微少流量ずつ正確に供給することができる。
【0050】
本実施の形態のスポット装置11は、タンクブロック15に第1連通孔61と第2連通孔62とタンクブロック15の上端開口部65をタンク室15aに連通するように設け、第1連通孔61と図示しない真空装置とを接続する第1シリコンチューブ19を第1ピンチバルブ17で開閉し、第2連通孔62と図示しない溶液供給源を接続する第2シリコンチューブ20を第2ピンチバルブ18で開閉し、タンクブロック15の上端開口部65と図示しない加圧エア供給源を接続する小型電磁弁16をタンクブロック15に取り付けて、タンク室15aに供給する加圧エアを小型電磁弁16で制御するようにしている。第1ピンチバルブ17、第2ピンチバルブ18及び小型電磁弁16を直方体形状の筐体13にまとめて内設しているため(図1参照。)、配管を余分に引き回す必要がなく、装置サイズがコンパクトである。また、小型電磁弁16が、スポットピン12の近くに配置されるので(図1参照。)、小型電磁弁16の開弁動作からスポットピン12の流体供給までの応答時間、及び、小型電磁弁16の閉弁動作からスポットピン12の流体供給停止までの応答時間が短くなり、応答性が向上する。よって、本実施の形態のスポット装置11によれば、装置サイズを小型化して、流体供給の応答性を向上させることができる。スポット装置11を小型化できたことは、スポット領域の間隔にスポットピン12の間隔を合わせるようにスポット装置11を並べてマニホールド化できる点で(図14参照。)、特に有益である。
【0051】
ここで、スポット装置11は、タンク室15aを真空にした後に溶液をタンク室15aに充填するため(図11及び図12参照。)、溶液充填時にタンク室15aに気泡が発生せず、スポット装置11が連続して溶液を供給する場合でも(図13参照。)、溶液に気泡が混じらず、流体供給量が安定し、溶液を微小流量ずつ供給することができる。
【0052】
スポット装置11に内蔵される小型電磁弁16は、コイル32に対する通電を制御することにより、固定鉄心33を励磁・消磁させて、可動鉄心34を固定鉄心33に吸着・解放することで、バルブシート50を弁座49に当接・離間させて弁開閉動作を行う。小型電磁弁16の入口流路46に図示しない加圧エア供給源から加圧エアが供給されると、コイル32に通電しない状態では、入口流路46から弁座49までの間に加圧エアが満たされるが、ベロフラム45の受圧面積とバルブシート50の受圧面積とが等しいので(図4参照。)、ベロフラム45に作用する流体圧力とバルブシート50に作用する流体圧力が等しくなる。従って、小型電磁弁16は、流体圧力に影響されることなく、バルブシート50を弁座49に当接・離間させることができる。つまり、小型電磁弁16は、弁開閉動作に必要な固定鉄心33の可動鉄心34に対する吸引力が小さくても弁開閉動作を精度よく行うことができる。そのため、小型電磁弁16は、加圧エアの圧力を小さくすることなく小型化が図られる。スポット装置11は、このような小型電磁弁16を内蔵するため、装置サイズを小さくできる。
【0053】
なお、第1,第2ピンチバルブ17,18が第1,第2シリコンチューブ19,20を押しつぶしたときに真空用の流路及び流体充填用の流路が遮断され、第1,第2ピンチバルブ17,18が第1,第2シリコンチューブ19,20を押しつぶさないときに真空用の流路及び流体充填用流路が解放される(図10〜図13参照。)。このように、第1,第2シリコンチューブ19,20と第1,第2ピンチバルブ17,18を用いることにより、筐体13内の狭い空間でも配管作業を簡単に行うことができる。
【0054】
さらに、第1,第2ピンチバルブ17,18は、シリンダ51を駆動しないときに、第1,第2シリコンチューブ19,20の弾拡力で可動ピン53を固定ピン56から離間させ、シリンダ51を駆動したときに、第1,第2シリコンチューブ19,20の弾拡力に抗して可動ピン53を固定ピン56側に移動させて第1,第2シリコンチューブ19,20を押しつぶすものである(図5、図6参照)。また、スポット装置11は、第1〜第3ポート21,22,23が、筐体13の一側面にまとめて設けられている(図1、図3参照。)。そのため、スポット装置11は、第1,第2ピンチバルブ17,18が薄型になり、装置サイズを小さくすることができ、しかも、第1〜第3ポート21,22,23を一側面に集めることにより、集積時の配管作業を容易に行うことができる。
【0055】
なお、本実施の形態のスポット装置11は、小型電磁弁16への通電時間によってスポットピン12から供給する流体供給量又は流体供給時間を制御するので、簡単に流体供給量や流体供給時間を制御することができる。
【0056】
尚、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
【0057】
(1)例えば、上記実施の形態では、空圧式の第1,第2ピンチバルブ17,18を第1,第2開閉弁として使用したが、第1,第2ピンチバルブ17,18に変えて電磁式のピンチバルブを使用してもよい。この場合、第1,第2ピンチバルブ17,18より弁が大きくなるが、チューブ24,25のような配管が不要になる。また、電磁弁を用いることにより、応答性や耐圧性が向上する。
【0058】
(2)例えば、上記実施の形態では、スポットシステム10及びスポット装置11を生化学解析システム1に使用したが、各種スポッター、塗布装置、導電ペースト、絶縁ペースト塗布、その他描画塗布、点塗布などに用いてもよい。
【0059】
(3)例えば、上記実施の形態では、第1〜第3ポート21,22,23を第2シリコンチューブ22を導入する側面と同一側面に設けたが、筐体13の上側面に設けてもよい。上方に第1〜第3ポート21,22,23に接続するチューブ24,25,26を筐体13内で引き回す量を減らし、チューブ24,25,26にかかる負担を軽減できる。
【0060】
(4)例えば、上記実施の形態では、第1,第2シリコンチューブ19,20を第1,第2配管として使用し、チューブ26を第3配管として使用したが、それらを金属管や流路ブロック等にしてもよい。この場合、重量が大きくなるが、チューブを用いるよりも劣化を遅らせることができる。また、この場合、ピンチバルブでは流路を開閉できないので、第1,第2開閉弁をエアオペレイト式の開閉弁にしたり、電磁式の開閉弁にすることが好ましい。
【0061】
(5)例えば、上記実施の形態では、タンクブロック15や小型電磁弁16等の溶液がふれる部品を樹脂にして軽量化を図ったが、耐熱性等を要求する場合には金属を材質としてもよい。要するに、制御する流体の特性に合わせた材質にすればよい。
【0062】
(6)例えば、上記実施の形態では、タンクブロック15の対向する側面に第1,第2シリンダチューブ19,20を連結したが、同一側面に連結してもよい。つまり、タンク室15aに真空用の開口部と溶液用の開口部を別個に設けていれば、第1,第2連通部の位置は限定されない。配管を一側面に集めた場合には、配管作業を容易にすることができ、配管を別側面に設けた場合でも、スポット装置11以外の装置との関係で自由に真空用の配管と溶液用の配管をタンクブロックに連結できる。
【0063】
(7)例えば、上記実施の形態では、溶液をスポットピン12から滴下させて供給することを想定したが、例えば、微小流量であれば、スポットピン12の先端部をウェル2の壁面に近づけて、溶液が表面張力でウェル2に装着されるようにしてもよい。また、粘性のある溶液をスポットしてもよい。
【0064】
(8)例えば、上記実施の形態のスポット装置11において、タンクブロック15に液面センサを取り付けて溶液の残量を検出し、充填時期を知らせるようにしてもよい。これは、スポット装置11で連続してスポット動作を行う際に、液切れ等の不具合を回避し、流体供給量の安定性をより一層向上させることができる。
【0065】
(9)例えば、上記実施の形態では、1種類の溶液の充填動作、スポット動作について説明した。しかし、第2連通孔62に複数の溶液供給源を接続し、スポット装置11が複数の溶液を制御してもよい。この場合、タンク室15aに真空ポンプが接続しているため、洗浄液を流してタンク室15aを洗浄した後、真空ポンプでタンク室15aに残留する液体を除去し、新しい溶液をタンク室15aに充填することにより、複数の溶液が混合するのを防止してもよい。
【0066】
(10)例えば、上記実施の形態では、スポット装置11の外部にコントローラ7を設け、スポットシステム10を構成した。これに対して、制御装置を筐体13に内蔵したり、筐体13の外部に取り付けたりして、スポット装置11と一体に設けてもよい。また、各スポット装置11ごとに制御装置を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施の形態に係り、スポット装置の内部構造を示す図である。
【図2】同じく、図1の左側面図である。
【図3】同じく、図1の右側面図である。
【図4】同じく、小型電磁弁の中央縦断面図である。
【図5】同じく、ピンチバルブの縦断面図であって、(A)がピンチ解除状態を示し、(B)がピンチ状態を示す。
【図6】同じく、ピンチバルブの上面図であって、(A)がピンチ解除状態を示し、(B)がピンチ状態を示す。
【図7】同じく、スポット装置のスポット部近傍の流路構成を示す図である。
【図8】同じく、スポットシステム及びスポット装置を用いた生化学解析ユニットの正面図である。
【図9】同じく、図8の側面図である。
【図10】同じく、スポット装置の動作説明図であって、待機状態を示す。
【図11】同じく、スポット装置の動作説明図であって、真空工程を示す。
【図12】同じく、スポット装置の動作説明図であって、流体充填工程を示す。
【図13】同じく、スポット装置の動作説明図であって、スポット工程を示す。
【図14】同じく、マニホールド化されたスポット装置の側面図である。
【図15】同じく、バイオチッププレートの平面図である。
【図16】従来のスポットシステム及びステップ装置を含む検体分取分注装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0068】
10 スポットシステム
11 スポット装置
12 スポットピン
13 筐体
15 タンクブロック
16 小型電磁弁
17 第1ピンチバルブ
18 第2ピンチバルブ
19 第1シリコンチューブ
20 第2シリコンチューブ
21 第1ポート
22 第2ポート
23 第3ポート
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を充填される充填空間にスポットピンの流路が連通し、スポットピンからスポット領域に流体を供給するスポットシステム、スポット方法及びスポット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、流体を充填される充填空間にスポットピンの流路が連通し、スポットピンからスポット領域に流体を供給するスポットシステム、スポット方法及びスポット装置として、図16に示すように、検体分取分注装置100に使用されるものが知られている。図16は、従来のスポットシステム及びスポット装置102を含む検体分取分注装置100の概略構成図である。
【0003】
検体分取分注装置100は、主制御装置101による制御信号に基づいて、スポット装置102を水平方向又は垂直方向へ移動させ、親検体容器(図示せず)に位置合わせすると、ノズル機構103内の排気を行い、親検体容器(図示せず)内の検体Sを当該ノズル機構103の分取分注チップ104内に吸い込んで保持する。その後、スポット装置102をスポット領域へ移動させ、ノズル機構103内への給気を行い、チップ104内の検体Sを加圧してスポットピン104aからスポット領域となる子検体容器(図示せず)内へ供給する。スポット装置102には、給排気用チューブ105を介して給排気装置106が接続し、チップ104の給排気を制御する。よって、スポット装置102は、給排気装置106によって検体Sの吸い込み、供給を制御される。なお、スポット装置102は、給排気装置106に僅かな空気漏れが生じると、ノズル機構103の内圧が変化し、検体Sを漏洩するおそれがあるため、給排気用チューブ105上にピンチ機構107を設け、給排気装置106に起因するチップ104内の圧力変動を防止している(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
【特許文献1】特開平10−94535号公報(段落0005、0012、第1図参照。)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のスポットシステム、スポット方法及びスポット装置102には、以下の問題があった。
(1)従来のスポットシステム及びスポット方法は、チップ104内に検体Sを吸い込むときに、チップ104内に残留する空気を巻き込み、検体Sに気泡が混じることがあった。気泡の混じった検体Sをチップ104から子検体容器(図示せず)に分注すると、気泡が混じった検体Sは気泡が混じらない検体Sより流量が少なく、しかも、検体Sに混じる気泡の量もまちまちであるため、スポットピン104aから子検体容器(図示せず)に供給する検体Sの供給量が不安定になっていた。このことは、流体供給量が微小流量である場合に、検体Sを子検体容器(図示せず)に供給できないおそれがあり、問題である。
【0006】
また、従来のスポット装置102は、ノズル機構103から離れた位置に給排気装置106を設けていたため、給排気装置106がエアを給気し始めてからノズル機構103がスポットピン104aから検体Sを供給し始めるまでの時間、あるいは、給排気装置106が給気を停止してからノズル機構103がスポットピン104aから検体Sの供給を停止するまでの時間がかかり、応答性が悪かった。給排気装置106をノズル機構103から離れた位置に配設していたのは、給排気装置106をスポット装置102に組み込むと、スポット装置102が大型化し、例えば子検体容器(図示せず)が9mm程度の狭い間隔で並べられているときに、子検体容器(図示せず)の間隔にスポットピン104aの間隔を合わせるようにスポット装置102を並べ、マニホールド化することができないためである。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、流体供給量が安定し、流体を微小流量ずつでも供給することができるスポットシステム及びスポット方法を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、応答性がよく小型なスポット装置を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記第1の目的を達成するために、本発明に係るスポットシステムは、次のような構成を有する。
(1)流体を充填される充填空間にスポットピンの流路が連通し、スポットピンからスポット領域に流体を供給するスポットシステムにおいて、充填空間に第1連通部と第2連通部と第3連通部とが開口しており、第1連通部に接続し、充填空間を真空にする真空手段と、第2連通部に接続し、充填空間に流体を充填する充填手段と、第3連通部に接続し、充填空間に充填された流体を加圧する加圧手段と、真空手段によって充填空間を真空にした後、充填手段によって流体を充填空間に充填し、その後、充填空間に充填された流体を加圧手段によって加圧するように真空手段と充填手段と加圧手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明のスポット方法は、上記第1の目的を達成するために、以下の構成を有する。
(2)流体を充填される充填空間にスポットピンの流路が連通し、スポットピンからスポット領域に流体を供給するスポット方法において、充填空間に第1連通部と第2連通部と第3連通部とが連通し、第1連通部に真空装置が接続し、第2連通部に流体供給源が接続し、第3連通部に加圧エア供給源が接続するスポット装置を使用し、スポットピンの先端部を閉鎖するとともに、第2連通部と第3連通部を閉鎖状態にした後、第1連通部を解放状態にし、その後、真空装置を用いて充填空間を真空にする真空工程と、第1連通部と第2連通部と第3連通部とを閉鎖状態にして、スポットピンの先端部を解放する解放工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、上記第2の目的を達成するために、本発明に係るスポット装置は、次のような構成を有する。
(3)流体を充填される充填空間にスポットピンの流路が連通し、スポットピンからスポット領域に流体を供給するスポット装置において、中空状の直方体形状をなし、スポットピンを一側面に取り付けられた筐体と、筐体に固定されるブロック体であって、充填空間の少なくとも一部を形成するタンク室を内部に設けられ、第1連通部と第2連通部と第3連通部とが外部からタンク室に連通するように形成されたタンクブロックと、第1連通部に連通するようにタンクブロックに連結され、第1連通部を真空装置に接続する第1配管と、第2連通部に連通するようにタンクブロックに連結され、第2連通部を流体供給源に接続する第2配管と、筐体に内設されるものであって、入口流路と出口流路との間に設けられた弁座が第3連通部に連通するようにタンクブロックに連結され、弁座に弁体を当接または離間させることにより、第3連通部と加圧エア供給源との連通状態を制御する小型電磁弁と、筐体に内設され、第1配管を開閉する第1開閉弁と、筐体に内設され、第2配管を開閉する第2開閉弁と、を有することを特徴とする。
【0011】
(4)(3)に記載の発明において、第2開閉弁及び小型電磁弁を閉弁した状態で第1開閉弁を開弁し、タンク室を真空状態にした後、第1開閉弁を閉弁して第2開閉弁を開弁し、タンク室に流体を充填し、その後、第2開閉弁を閉弁して小型電磁弁を開弁し、タンク室に加圧エアを供給する制御手段を有することを特徴とする。
【0012】
(5)(3)又は(4)に記載の発明において、小型電磁弁は、中空のコイルボビンに巻線が巻き付けられたコイルと、コイルボビン内に固定された固定鉄心と、コイルボビン内に摺動可能に設けられた可動鉄心と、先端にバルブシートが設けられるとともに、他端が可動鉄心に連結されて固定鉄心を挿通する軸棒と、軸棒の途中に設けられたベロフラムと、可動鉄心を固定鉄心から離れる方向へ常時付勢するためのスプリングとを有し、コイルへの通電によって固定鉄心を励磁し、可動鉄心を固定鉄心側に吸着することにより、バルブシートを弁座に当節又は離間させて弁開閉動作を行うものであって、入口流路に流体が供給されたときにおける、ベロフラムの受圧面積とバルブシートの受圧面積とが等しいものであることを。
【0013】
(6)(3)乃至(5)の何れか一つに記載の発明において、第1配管と第2配管がシリコンチューブであり、第1開閉弁と第2開閉弁がピンチバルブであることを特徴とする。
【0014】
(7)(6)に記載の発明において、ピンチバルブが、ボディと、ボディ内に固定された固定ピンと、固定ピンと平行な状態でボディに摺動可能に保持される可動ピンと、可動ピンに連結するシリンダとを有するものであり、筐体が、第1開閉弁のシリンダに駆動流体を供給する第1ポートと、第2開閉弁のシリンダに駆動流体を供給する第2ポートと、小型電磁弁の入力流路に加圧エアを供給する第3ポートとを設けられていることを特徴とする。
【0015】
(8)(3)乃至(7)の何れか一つに記載の発明において、小型電磁弁への通電時間により、スポットピンから供給する流体供給量又は流体供給時間を制御するものであることを特徴とする。
(9)(3)乃至(7)の何れか一つに記載の発明において、充填空間に液面を検出する液面検出手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
上記構成を有する本発明のスポットシステムは、充填空間を真空手段で真空にした後、充填手段で流体を充填するので、充填空間内に残留する空気等が除去され、充填時に充填空間内に気泡が発生しない。そのため、その後、加圧手段で流体を加圧してスポットピンから流体を供給するときに、流体に気泡が混じらない。よって、本発明のスポットシステムによれば、連続して流体を微少量ずつスポットする場合でも流体に気泡が混じらず、流体供給量が安定し、流体を微小流量ずつ正確に供給することができる。
【0017】
また、上記構成を有する本発明のスポット方法は、スポットピンの先端部を閉鎖するとともに第1〜第3連通部を閉鎖状態にして充填空間を密閉した後、第1連通部を閉鎖状態から解放状態にして真空装置を充填空間に連通させ、充填空間を負圧にする。その後、第1連通部を解放状態から閉鎖状態にしてから、第2連通部を閉鎖状態から解放状態にすることにより、流体供給源を充填空間に連通させ、流体を充填空間に充填する。このとき、充填空間が負圧であるため、流体に気泡が混じらない。充填空間に流体を所定量充填したら、第1〜第3連通部を閉鎖状態にして充填を終了し、スポットピンの先端部を解放する。スポットピンの先端部を解放すると、充填空間が外気に連通するが、流体を充填されていない部分の充填空間が真空であるため、流体がスポットピンの先端部から垂れ落ちにくい。このように充填した流体には気泡が混じっていないため、スポットピンをスポット領域に位置合わせして充填空間内の液面を加圧し、流体をスポット領域に供給するときに、気泡の混じらない流体を供給することができる。
よって、本発明のスポット方法によれば、連続して流体を微少量ずつスポットする場合でも流体に気泡が混じらず、流体供給量が安定し、流体を微小流量ずつ正確に供給することができる。
【0018】
また、本発明のスポット装置は、タンクブロックに第1連通部と第2連通部と第3連通部をタンク室に連通するように設け、第1連通部と真空装置とを接続する第1配管を第1開閉弁で開閉し、第2連通部と流体供給源を接続する第2配管を第2開閉弁で開閉し、第3連通部と加圧エア供給源を接続する小型電磁弁をタンクブロックに取り付けて、タンク室に供給する加圧エアを小型電磁弁で制御するようにしている。第1開閉弁、第2開閉弁及び小型電磁弁を直方体形状の筐体にまとめて内設しているため、配管を余分に引き回す必要がなく、装置サイズがコンパクトである。また、小型電磁弁が、スポットピンの近くに配置されるので、小型電磁弁の開弁動作からスポットピンの流体供給までの応答時間、及び、小型電磁弁の閉弁動作からスポットピンの流体供給停止までの応答時間が短くなり、応答性が向上する。よって、本発明のスポット装置によれば、装置サイズを小型化して、流体供給の応答性を向上させることができる。
【0019】
ここで、スポット装置は、第1開閉弁と第2開閉弁と小型電磁弁を閉弁した状態を待機状態とすると、まず最初に第1開閉弁だけを開弁し、タンク室を第1連通部、第1配管を介して真空装置に連通させる。真空装置によってタンク室が真空状態にされると、第1開閉弁を閉弁し、その後、第2開閉弁だけを開弁する。タンク室は、第2連通部、第2配管を介して流体供給源に連通し、流体を充填される。タンク室に所定量の流体を充填したら、第2開閉弁を閉弁する。そして、小型電磁弁だけを開弁してタンク室に加圧エアを供給し、タンク室内の流体を加圧してスポットピンから供給する。流体を所定量供給したら、小型電磁弁を閉弁し、流体の供給を停止する。これにより、スポットシステムは、待機状態に復帰する。このように、スポット装置は、タンク室を真空にした後に流体を充填するため、流体充填時に気泡がタンク室内に発生せず、スポット装置が連続して流体を微小流量ずつ供給する場合でも、流体に気泡が混じらず、流体供給量が安定し、流体を微小流量ずつ供給することができる。
【0020】
スポット装置に内蔵される小型電磁弁は、コイルに対する通電を制御することにより、固定鉄心を励磁・消磁させて、可動鉄心を固定鉄心に吸着・解放することで、バルブシートを弁座に当接・離間させて弁開閉動作を行う。小型電磁弁の入口流路に加圧エア供給源から加圧エアが供給されると、コイルに通電しない状態では、入口流路から弁座までの間に加圧エアが満たされるが、ベロフラムの受圧面積とバルブシートの受圧面積とが等しいので、ベロフラムに作用する流体圧力とバルブシートに作用する流体圧力が等しくなる。従って、小型電磁弁は、流体圧力に影響されることなく、バルブシートを弁座に当接・離間させることができる。つまり、小型電磁弁は、弁開閉動作に必要な固定鉄心の可動鉄心に対する吸引力が小さくても弁開閉動作を精度よく行うことができる。そのため、小型電磁弁は、加圧エアの圧力を小さくすることなく小型化が図られる。スポット装置は、このような小型電磁弁を内蔵するため、装置サイズを小さくできる。
【0021】
なお、第1配管と第2配管をシリコンチューブとし、第1開閉弁と第2開閉弁をピンチバルブとすることが望ましい。この場合、ピンチバルブがシリコンチューブを押しつぶしたときに流路が遮断され、ピンチバルブがシリコンチューブを押しつぶさないときに流路が解放される。このように、シリコンチューブとピンチバルブを用いることにより、筐体内の狭い空間でも配管作業を簡単に行うことができる。
【0022】
さらに、より好ましくは、ピンチバルブは、シリンダを駆動しないときに、シリコンチューブの弾拡力で可動ピンを固定ピンから離間させ、シリンダを駆動したときに、シリコンチューブの弾拡力に抗して可動ピンを固定ピン側に移動させてシリコンチューブを押しつぶすものであることが望ましい。この場合、第1開閉弁であるピンチバルブのシリンダに駆動流体を供給する第1ポートと、第2開閉弁であるピンチバルブのシリンダに駆動流体を供給する第2ポートと、小型電磁弁にエアを供給する第3ポートとを、筐体の一側面にまとめて設けることが望ましい。このようにすることにより、スポット装置は、第1,第2開閉弁が薄型になり、装置サイズを小さくすることができ、しかも、第1〜第3ポートを一側面に集めることにより、集積時の配管作業を容易に行うことができる。
【0023】
なお、小型電磁弁への通電時間によってスポットピンから供給する流体供給量又は流体供給時間を制御するようにすれば、簡単に流体供給量や流体供給時間を制御することができる。
また、充填空間に液面検出手段を設けて液面を検出するようにすれば、流体切れする前に、充填空間を負圧にして充填空間に流体を充填することができ、流体供給量の安定性をより一層向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明に係るスポットシステム、スポット方法及びスポット装置の一実施形態について図面を参照して説明する。図8は、スポットシステム10及びスポット装置11を用いた生化学解析ユニット1の正面図であるである。図9は、図8の側面図である。
スポット装置11は、生化学解析ユニット1に組み付けられ、溶液をウェル2に微少量ずつ供給するために使用される。生化学解析ユニット1は、複数のウェル2を形成されたバイオチッププレート3が載せられる可動台4に、第1アクチュエータ5を連結し、可動台4をX−Y方向へ移動させるようになっている。生化学解析ユニット1は、スポット装置11を第2アクチュエータ6に取り付け、Z方向へ移動させられるように保持している。第1アクチュエータ5、第2アクチュエータ6、スポット装置11は、コントローラ(特許請求の範囲の「制御装置」に相当。)7に接続し、動作を制御される。
【0025】
このような生化学装置1は、第1アクチュエータ5を駆動して可動台4を移動させ、スポット装置11のスポットピン12にバイオチッププレート3のウェル2を位置合わせしたら、第2アクチュエータ6を駆動してスポット装置11を下降させ、スポットピン12からウェル2に溶液を所定量供給し、その後、第2アクチュエータ6によってスポット装置11を上昇させる。生化学装置1は、この一連の動作を繰り返して、1個のスポット装置11で複数のウェル2に順次溶液を供給する。
【0026】
図1は、スポット装置11の内部構造を示す図である。図2は、図1の左側面図である。図3は、図1の右側面図である。
スポット装置11は、図1〜図3に示すように、外観が主として筐体13で構成され、薄い箱形形状をなす。筐体13は、図2及び図3に示すように、耐腐食性の観点よりPPSやPFA等の樹脂を射出成形した部品を連結もしくは溶着して、中空の直方体形状に組み立てたものである。筐体13は、図1に示すように、スポットピン12を保持する保持機構14が外向きに取り付けられる一方、タンクブロック15、小型電磁弁16、第1ピンチバルブ(特許請求の範囲の「第1開閉弁」に相当。)17、第2ピンチバルブ(特許請求の範囲の「第2開閉弁」に相当。)18などが内部に固定されて納められている。
【0027】
筐体13には、貫通孔が形成され、その貫通孔を挟んで保持機構14とタンクブロック15が反対向きに取り付けられている。タンクブロック15には、小型電磁弁16が積み重ねられてネジ止めされ、筐体13のほぼ中央に配設されている。また、筐体13の図中左右内壁には、第1ピンチバルブ(特許請求の範囲の「第1開閉弁」に相当。)17と第2ピンチバルブ(特許請求の範囲の「第2開閉弁」に相当。)18がネジ止めされている。第1,第2ピンチバルブ17,18は、タンクブロック15の対向する側面に接続する第1シリコンチューブ(特許請求の範囲の「第1配管」に相当。)19と第2シリコンチューブ(特許請求の範囲の「第2配管」に相当。)20をそれぞれ挿通され、第1シリコンチューブ19と第2シリコンチューブ20を狭持して押し潰したり、解放するようになっている。
【0028】
筐体13は、第2ピンチバルブ18をネジ止めされる側面に第1ポート21と、第2ポート22と、第3ポート23が設けられている。第1ポート21は、チューブ24を介して第1ピンチバルブ17に連通している。第2ポート22は、チューブ25を介して第2ピンチバルブ18に連通している。第3ポート23は、チューブ26と流路変更ブロック27を介して小型電磁弁16に連結している。また、筐体13には、小型電磁弁16に電流を供給する配線28を外部に取り出すための孔29が、第1〜第3ポート21,22,23を設けられた側面と同一側面に形成されている。
【0029】
かかるスポット装置11は、第1ポート21と第2ポート22を図示しないエア供給源に接続し、第3ポート23を図示しない加圧エア供給源に接続し、第1シリコンチューブ19を図示しない真空装置に接続し、第2シリコンチューブ20を図示しない溶液供給源に接続し、さらに、小型電磁弁16の配線28、図示しないエア供給源、図示しない加圧エア供給源、図示しない真空装置、図示しない溶液供給源等をコントローラ7に接続することにより、スポットシステム10を構成する。
【0030】
なお、スポットシステム10は、図示しない真空装置、第1ピンチバルブ17、第1シリコンチューブ19、第1ポート21、チューブ24、図示しないエア供給源などにより「真空手段」が構成される。また、スポットシステム10は、図示しない溶液供給源、第2ピンチバルブ18、第2シリコンチューブ20、第2ポート22、チューブ25、図示しないエア供給源などにより「充填手段」が構成される。また、スポットシステム10は、小型電磁弁16、流路変更ブロック27、チューブ26、第3ポート23、図示しない加圧エア供給源などによって「加圧手段」が構成される。さらに、スポット装置10は、コントローラ7(図8参照)により「制御手段」が構成される。
【0031】
次に、小型電磁弁16と第1,第2ピンチバルブ17,18の構造について説明する。図4は、小型電磁弁16の中央縦断面図である。
小型電磁弁16は、大別して駆動部30と弁部40とを備えている。駆動部30には、コイルボビン31に導電性の巻線が巻き付けられ構成されたコイル32が設けられている。コイルボビン31の下端開口部には、固定鉄心33が装填され、その固定鉄心33と同軸上に可動鉄心34がコイルボビン31の上端開口部から摺動自在に嵌挿されている。可動鉄心34に対しては、縮設されたスプリング35によって常に図中上向きの力が作用するようになっている。また、駆動部30の上端部に調整ネジ36が設けられており、この調整ネジ36を操作することにより、可動鉄心34のストローク、つまり弁開度を調整することができるようになっている。また、調整ネジ36の中央には手動操作ボタン37が設けられており、手動操作ボタン37を押下することにより、手動で弁開状態にすることができるようになっている。
【0032】
可動鉄心34から図中下方には、樹脂製(PPS、PTFE等)の第1軸棒38が延設されている。第1軸棒38は、固定鉄心33を貫通し、先端が後述するベロフラム室41に位置している。第1軸棒38の先端には拡径部38aが設けられ、この拡径部38aの端面に環状の凹部38bが形成されている。また、第1軸棒38の先端には、後述する樹脂製(PPS、PTFE等)の第2軸棒42が連結されている。
【0033】
一方、弁部40は、フッ素ゴム(FKM、パーフローローエラストマー等)等の弾性材料により形成されたベロフラム45を、変形可能に保持している。ベロフラム45は、外周縁部に形成された凸部がバルブボディ44の上面に形成された環状の取り付け溝に配置され、上方からベロフラム押さえ43によって押さえつけられて固定されている。ベロフラム45は、中央に孔を形成され、その孔の周りに沿って環状の肉厚部を設けている。第1軸棒38は、ベロフラム45の中央部に設けた肉厚部を凹部38bに嵌合された状態で、第2軸棒42と突き合わされ、超音波溶着により第2軸棒41に接合されている。これにより、ベロフラム45は、第1軸棒38と第2軸棒42とに狭持され固定される。この場合、ベロフラム45の孔周辺は、可動部より肉厚にされ、第1軸棒38と第2軸棒42との間で押し潰されるため、流体漏れが防止される。なお、ベロフラム押さえ43及びバルブボディ44は、PPSやPTFE等の樹脂により形成されている。
【0034】
バルブボディ44には、入口流路46と、出口流路47と、入口流路46と出口流路47とを連通させる連通流路48とが形成されている。連通流路48と出口流路47との連通部には、弁座49が形成されている。また、連通流路48内に第1軸棒38に連結された第2軸棒42が位置し、第2軸棒42の先端にバルブシート50が設けられている。バルブシート50は、弁座49より大径に形成され、出口流路47側から弁座49に当接している。バルブシート50は、可動鉄心34から延設された第1軸棒38を介して第2軸棒42に固定されており、スプリング35の弾圧力を伝達されて常時上向きの力が作用している。従って、バルブシート50は、可動鉄心34の移動に連動して、弁座49に当接・離間する。なお、バルブシート50も樹脂製(PPS,PTFE等)である。
【0035】
このような小型電磁弁16は、バルブシート50とベロフラム45の受圧面が同一にされている。そのため、バルブシート50とベロフラム45に作用する流体圧が相殺し合い、可動鉄心34をスプリング35に抗して移動させる力が小さくてすむ。そのため、コイル32の小さい小型電磁弁16であっても、入力流路46に供給される加圧エアの流体圧を下げることなく制御することができる。
【0036】
次に、第1,第2ピンチバルブ17,18の構造について説明する。第1,第2ピンチバルブ17,18は同一構造であるため、ここでは第1ピンチバルブ17の構造を中心に説明し、第2ピンチバルブ18の構造の説明を省略する。図5は、ピンチバルブ17(18)の縦断面図であって、(A)がピンチ解除状態を示し、(B)がピンチ状態を示す。図6は、ピンチバルブ17(18)の上面図であって、(A)がピンチ解除状態を示し、(B)がピンチ状態を示す。
第1ピンチバルブ17は、シリンダ51がチューブ24に接続し、駆動エアによってシリンダロッド52を突出させるようになっている。シリンダロッド52の先端部は、可動ピン53に突き当てられている。可動ピン53は、ハウジング54に内設された中空長孔形状の保持孔55に摺動自在に保持され、ハウジング54に固定された固定ピン56に対して直線往復運動可能に設けられている。固定ピン56と可動ピン53との間には、第1シリコンチューブ19が挿通されている。従って、第1ピンチバルブ17は、図5(A)及び図6(A)に示すように、第1シリコンチューブ19の反発力で可動ピン53が固定ピン56から離間し、ピンチを解除する一方、チューブ24からシリンダ51に駆動エアを供給すると、図5(B)及び図6(B)に示すように、シリンダロッド52が突出して可動ピン53を固定ピン56側へ押圧し、可動ピン53と固定ピン56との間で第1シリコンチューブ19を押し潰してピンチする。
【0037】
次に、スポット装置11の流路構成について説明する。図7は、スポット装置11のスポット部近傍の流路構成を示す図である。
スポット装置11は、タンクブロック15の中央に充填空間の一部を形成するタンク室15aが形成されている。タンク室15aには、第1連通孔(特許請求の範囲の「第1連通部」に相当。)61と第2連通孔(特許請求の範囲の「第2連通部」に相当。)62が左右対称位置に開口している。第1連通孔61には、第1継手63を介して第1シリコンチューブ19が接続される。また、第2連通孔62には、第2継手64を介して第2シリコンチューブ20が接続される。タンク室15aの上端開口部(特許請求の範囲の「第3連通部」に相当。)65は、中間ブロック66の貫通孔66aを介して小型電磁弁16の弁座49が連通している。弁座49は、連通流路48、入口流路46、流路変更ブロック27の流路27aを介してチューブ26に連通している。従って、スポット装置11は、タンク室15aを介して第1シリコンチューブ19、第2シリコンチューブ20及び小型電磁弁16が相互に連通し、第1,第2ピンチバルブ17,18及び小型電磁弁16を開閉することにより、任意の流路を選択してタンク室15aに連通させることができる。なお、本実施の形態では、タンク室15a、ノズル機構14の供給流路14a、中間ブロック66の貫通孔66aなどにより、特許請求の範囲の「充填空間」が形成され、スポットピン12の流路に連通している。
【0038】
続いて、本実施の形態のスポット装置11の動作について説明する。図10は、スポット装置11の動作説明図であって、待機状態を示す。
スポット装置11は、例えば生化学解析ユニット1が待機中のときには、所定の待機位置で図10に示す状態で待機する。待機状態のスポット装置11は、第1ポート21及び第2ポート22に駆動エアを供給し、第1,第2ピンチバルブ17,18によって第1,第2シリンダチューブ19,20をピンチしている。また、小型電磁弁16を非通電にして、弁を全閉している。従って、タンク室15aには、何れの流路も連通していない。
【0039】
次に、スポット装置11に溶液を充填する動作について説明する。図11は、スポット装置11の動作説明図であって、真空工程を示す。図12は、スポット装置11の動作説明図であって、流体充填工程を示す。
充填動作は、タンク室15aを負圧にした後に、溶液を充填することにより行われる。具体的には、まず、図11に示すように、スポット装置11を充填位置まで移動させ、スポットピン12の先端開口部を閉鎖部材67で塞ぎ、タンク室15aと外気との連通を遮断する。そして、第2ポート22に対しては駆動エアを供給したまま、第1ポート21に対しては駆動エアの供給を停止し、第1ピンチバルブ17によるピンチを解除する。これにより、タンク室15aが第1シリコンチューブ19を介して図示しない真空装置に連通するので、図示しない真空装置を駆動して、図中ドットで示した領域、すなわち、第1シリンダチューブ19からタンクブロック15のタンク室15a、タンク室15aから小型電磁弁16の弁座49、第2ピンチバルブ18、保持機構14のスポットピン12までの領域を負圧にする。
【0040】
スポット装置11は、第1連通孔61と第2連通孔62が左右対称に設けられているので、真空引きを行う際に第2シリコンチューブ20内の液体や気体を効率よく吸い取ることができる。また、スポット装置11は、溶液の「充填空間」を形成するタンクブロック16のタンク室15a、中間ブロック66の貫通孔66a、ノズル保持機構14の供給流路14aがほぼ同径に形成され、内壁に凹凸が少ないので、真空引きしたときに充填空間内に気泡や液体が残留しにくい。なお、充填空間の真空状態は、溶液充填時に気泡が発生しない程度でよい。具体的には、5torr〜100torrの真空でよく、本実施の形態では、50torr程度にされる。
【0041】
タンク室15aの内圧が所定圧まで低下したら、第1ポート21に駆動エアを供給して、第1ピンチバルブ17で第1シリコンチューブ19をピンチする。これにより、充填空間の真空状態が確保される。
【0042】
その後、図12に示すように、第2ポート22への駆動エアの供給を停止し、第2ピンチバルブ18によるピンチを解除する。これにより、タンク室15aが第2シリコンチューブ20を介して図示しない溶液供給源に連通するので、図示しない溶液供給源を駆動して溶液をタンク室15aに充填する。このとき、タンク室15aから第1ピンチバルブ17、小型電磁弁16の弁座49、保持機構14のスポットピン12までの領域が予め負圧にされているので、溶液充填時に気泡が発生しにくい。また、上記した真空引きにより第2シリコンチューブ20の内壁やタンク室15aの内壁、ノズル保持機構14の供給流路14a内壁に付着した気泡を予め除去しているため、気泡の混じった溶液がタンク室15aに充填されにくい。なお、溶液充填時には、溶液の充填速度を気泡が発生しない程度に設定し、第2シリコンチューブ20からタンク室15aに充填される溶液の勢いを抑えることが望ましい。気泡の発生をより確実に防止するためである。
【0043】
所定量の溶液をタンク室15a充填したら、第2ポート22に駆動エアを供給し、第2ピンチバルブ18で第2シリコンチューブ20をピンチする。その後、スポット装置11を充填位置から待機位置まで復帰させる。スポットピン12は、先端部が閉鎖部材67から離間して外気に解放されるが、タンク室15aの溶液を充填されていない部分の空間が負圧にされているため、溶液が先端開口部から垂れ落ちにくい。
【0044】
次に、スポット装置11が溶液をスポット領域にスポットする動作について説明する。図13は、スポット装置11の動作説明図であって、スポット工程を示す。
スポット装置11は、生化学解析ユニット1が可動台4を移動させ、スポット装置11のスポットピン12にバイオチッププレート3のウェル2を位置合わせすると、待機位置からスポット位置まで下降される。
【0045】
スポット装置11は、第1,第2ピンチバルブ17,18によって第1,第2シリコンチューブ19,20をピンチした状態で、小型電磁弁16に通電してバルブシート50を弁座49から離間させ、第3ポート23から流路ブロック27の流路27a、小型電磁弁16の入口流路46、連通流路48を介して弁座49まで供給された加圧エアを、タンク室15aに供給する。溶液は、加圧エアに液面を加圧され、スポットピン12の先端部から押し出されてスポット領域に供給される。このとき、小型電磁弁16は、加圧エアの供給量を溶液が泡立たない程度に制御することが望ましい。加圧時に気泡が溶液に混じるのを防止するためである。
【0046】
ここで、スポット装置11は、ウェル2に供給する流体供給量や流体供給時間(スポット時間)を、小型電磁弁16への通電時間に基づいて制御している。これは、スポット装置11が、小型電磁弁16をスポットピン12の近くに配置し、小型電磁弁16の開閉弁動作とスポットピン12からの流体供給停止動作との応答性がよいため、流量センサ等で流量を検出しながら流量制御する場合と比べて、微小流量の溶液を正確に制御できるからである。
【0047】
溶液をウェル2に供給し始めてから所定の時間が経過したら、小型電磁弁16への通電を止めて、溶液の供給を停止する。その後、スポット装置11は、生化学解析ユニット1によりスポット位置から上昇し、待機位置に復帰する。以上で1回分のスポット動作が完了する。スポット装置11は、上記のスポット動作を繰り返せば、連続して溶液を供給することができる。
【0048】
図14は、マニホールド化されたスポット装置11の側面図である。図15は、バイオチッププレート3の平面図である。
スポット装置11は、図14に示すように、他のスポット装置11と連結されて、マニホールド化される。例えば、図15に示すように、生化学解析ユニット1で使用するバイオチッププレート3が、ウェル2をX方向に8個、Y方向に12個形成されて、X方向に一列に並ぶウェル3にスポット装置11で同時にスポットしたい場合には、図14に示すように、8個のスポット装置11の側面を当接させて連結し、生化学解析ユニット1に組み付ける。この場合、スポット装置11は、スポットピン12の中心から中心までの距離P1が、ウェル2の直径Rの中心から中心までの距離P2と一致するように、他のスポット装置11に位置合わせされて連結される。スポット装置11は、小型電磁弁16等を内蔵していても薄い箱形をなすため、距離P1を9mm程度まで狭めてコンパクトにマニホールド化することができる。
【0049】
従って、本実施の形態のスポットシステム10及びスポット方法によれば、タンク室15aを真空にした後、溶液をタンク室15aに充填するので(図11、図12参照。)、充填時にタンク室15a内に気泡が発生しない。そのため、その後、タンク室15aの溶液を加圧してスポットピン12から溶液を供給するときに(図13参照。)、流体に気泡が混じらない。よって、本実施の形態のスポットシステム10によれば、連続して溶液を微少量ずつスポットする場合でも溶液に気泡が混じらず、流体供給量が安定し、溶液を微少流量ずつ正確に供給することができる。
【0050】
本実施の形態のスポット装置11は、タンクブロック15に第1連通孔61と第2連通孔62とタンクブロック15の上端開口部65をタンク室15aに連通するように設け、第1連通孔61と図示しない真空装置とを接続する第1シリコンチューブ19を第1ピンチバルブ17で開閉し、第2連通孔62と図示しない溶液供給源を接続する第2シリコンチューブ20を第2ピンチバルブ18で開閉し、タンクブロック15の上端開口部65と図示しない加圧エア供給源を接続する小型電磁弁16をタンクブロック15に取り付けて、タンク室15aに供給する加圧エアを小型電磁弁16で制御するようにしている。第1ピンチバルブ17、第2ピンチバルブ18及び小型電磁弁16を直方体形状の筐体13にまとめて内設しているため(図1参照。)、配管を余分に引き回す必要がなく、装置サイズがコンパクトである。また、小型電磁弁16が、スポットピン12の近くに配置されるので(図1参照。)、小型電磁弁16の開弁動作からスポットピン12の流体供給までの応答時間、及び、小型電磁弁16の閉弁動作からスポットピン12の流体供給停止までの応答時間が短くなり、応答性が向上する。よって、本実施の形態のスポット装置11によれば、装置サイズを小型化して、流体供給の応答性を向上させることができる。スポット装置11を小型化できたことは、スポット領域の間隔にスポットピン12の間隔を合わせるようにスポット装置11を並べてマニホールド化できる点で(図14参照。)、特に有益である。
【0051】
ここで、スポット装置11は、タンク室15aを真空にした後に溶液をタンク室15aに充填するため(図11及び図12参照。)、溶液充填時にタンク室15aに気泡が発生せず、スポット装置11が連続して溶液を供給する場合でも(図13参照。)、溶液に気泡が混じらず、流体供給量が安定し、溶液を微小流量ずつ供給することができる。
【0052】
スポット装置11に内蔵される小型電磁弁16は、コイル32に対する通電を制御することにより、固定鉄心33を励磁・消磁させて、可動鉄心34を固定鉄心33に吸着・解放することで、バルブシート50を弁座49に当接・離間させて弁開閉動作を行う。小型電磁弁16の入口流路46に図示しない加圧エア供給源から加圧エアが供給されると、コイル32に通電しない状態では、入口流路46から弁座49までの間に加圧エアが満たされるが、ベロフラム45の受圧面積とバルブシート50の受圧面積とが等しいので(図4参照。)、ベロフラム45に作用する流体圧力とバルブシート50に作用する流体圧力が等しくなる。従って、小型電磁弁16は、流体圧力に影響されることなく、バルブシート50を弁座49に当接・離間させることができる。つまり、小型電磁弁16は、弁開閉動作に必要な固定鉄心33の可動鉄心34に対する吸引力が小さくても弁開閉動作を精度よく行うことができる。そのため、小型電磁弁16は、加圧エアの圧力を小さくすることなく小型化が図られる。スポット装置11は、このような小型電磁弁16を内蔵するため、装置サイズを小さくできる。
【0053】
なお、第1,第2ピンチバルブ17,18が第1,第2シリコンチューブ19,20を押しつぶしたときに真空用の流路及び流体充填用の流路が遮断され、第1,第2ピンチバルブ17,18が第1,第2シリコンチューブ19,20を押しつぶさないときに真空用の流路及び流体充填用流路が解放される(図10〜図13参照。)。このように、第1,第2シリコンチューブ19,20と第1,第2ピンチバルブ17,18を用いることにより、筐体13内の狭い空間でも配管作業を簡単に行うことができる。
【0054】
さらに、第1,第2ピンチバルブ17,18は、シリンダ51を駆動しないときに、第1,第2シリコンチューブ19,20の弾拡力で可動ピン53を固定ピン56から離間させ、シリンダ51を駆動したときに、第1,第2シリコンチューブ19,20の弾拡力に抗して可動ピン53を固定ピン56側に移動させて第1,第2シリコンチューブ19,20を押しつぶすものである(図5、図6参照)。また、スポット装置11は、第1〜第3ポート21,22,23が、筐体13の一側面にまとめて設けられている(図1、図3参照。)。そのため、スポット装置11は、第1,第2ピンチバルブ17,18が薄型になり、装置サイズを小さくすることができ、しかも、第1〜第3ポート21,22,23を一側面に集めることにより、集積時の配管作業を容易に行うことができる。
【0055】
なお、本実施の形態のスポット装置11は、小型電磁弁16への通電時間によってスポットピン12から供給する流体供給量又は流体供給時間を制御するので、簡単に流体供給量や流体供給時間を制御することができる。
【0056】
尚、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
【0057】
(1)例えば、上記実施の形態では、空圧式の第1,第2ピンチバルブ17,18を第1,第2開閉弁として使用したが、第1,第2ピンチバルブ17,18に変えて電磁式のピンチバルブを使用してもよい。この場合、第1,第2ピンチバルブ17,18より弁が大きくなるが、チューブ24,25のような配管が不要になる。また、電磁弁を用いることにより、応答性や耐圧性が向上する。
【0058】
(2)例えば、上記実施の形態では、スポットシステム10及びスポット装置11を生化学解析システム1に使用したが、各種スポッター、塗布装置、導電ペースト、絶縁ペースト塗布、その他描画塗布、点塗布などに用いてもよい。
【0059】
(3)例えば、上記実施の形態では、第1〜第3ポート21,22,23を第2シリコンチューブ22を導入する側面と同一側面に設けたが、筐体13の上側面に設けてもよい。上方に第1〜第3ポート21,22,23に接続するチューブ24,25,26を筐体13内で引き回す量を減らし、チューブ24,25,26にかかる負担を軽減できる。
【0060】
(4)例えば、上記実施の形態では、第1,第2シリコンチューブ19,20を第1,第2配管として使用し、チューブ26を第3配管として使用したが、それらを金属管や流路ブロック等にしてもよい。この場合、重量が大きくなるが、チューブを用いるよりも劣化を遅らせることができる。また、この場合、ピンチバルブでは流路を開閉できないので、第1,第2開閉弁をエアオペレイト式の開閉弁にしたり、電磁式の開閉弁にすることが好ましい。
【0061】
(5)例えば、上記実施の形態では、タンクブロック15や小型電磁弁16等の溶液がふれる部品を樹脂にして軽量化を図ったが、耐熱性等を要求する場合には金属を材質としてもよい。要するに、制御する流体の特性に合わせた材質にすればよい。
【0062】
(6)例えば、上記実施の形態では、タンクブロック15の対向する側面に第1,第2シリンダチューブ19,20を連結したが、同一側面に連結してもよい。つまり、タンク室15aに真空用の開口部と溶液用の開口部を別個に設けていれば、第1,第2連通部の位置は限定されない。配管を一側面に集めた場合には、配管作業を容易にすることができ、配管を別側面に設けた場合でも、スポット装置11以外の装置との関係で自由に真空用の配管と溶液用の配管をタンクブロックに連結できる。
【0063】
(7)例えば、上記実施の形態では、溶液をスポットピン12から滴下させて供給することを想定したが、例えば、微小流量であれば、スポットピン12の先端部をウェル2の壁面に近づけて、溶液が表面張力でウェル2に装着されるようにしてもよい。また、粘性のある溶液をスポットしてもよい。
【0064】
(8)例えば、上記実施の形態のスポット装置11において、タンクブロック15に液面センサを取り付けて溶液の残量を検出し、充填時期を知らせるようにしてもよい。これは、スポット装置11で連続してスポット動作を行う際に、液切れ等の不具合を回避し、流体供給量の安定性をより一層向上させることができる。
【0065】
(9)例えば、上記実施の形態では、1種類の溶液の充填動作、スポット動作について説明した。しかし、第2連通孔62に複数の溶液供給源を接続し、スポット装置11が複数の溶液を制御してもよい。この場合、タンク室15aに真空ポンプが接続しているため、洗浄液を流してタンク室15aを洗浄した後、真空ポンプでタンク室15aに残留する液体を除去し、新しい溶液をタンク室15aに充填することにより、複数の溶液が混合するのを防止してもよい。
【0066】
(10)例えば、上記実施の形態では、スポット装置11の外部にコントローラ7を設け、スポットシステム10を構成した。これに対して、制御装置を筐体13に内蔵したり、筐体13の外部に取り付けたりして、スポット装置11と一体に設けてもよい。また、各スポット装置11ごとに制御装置を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施の形態に係り、スポット装置の内部構造を示す図である。
【図2】同じく、図1の左側面図である。
【図3】同じく、図1の右側面図である。
【図4】同じく、小型電磁弁の中央縦断面図である。
【図5】同じく、ピンチバルブの縦断面図であって、(A)がピンチ解除状態を示し、(B)がピンチ状態を示す。
【図6】同じく、ピンチバルブの上面図であって、(A)がピンチ解除状態を示し、(B)がピンチ状態を示す。
【図7】同じく、スポット装置のスポット部近傍の流路構成を示す図である。
【図8】同じく、スポットシステム及びスポット装置を用いた生化学解析ユニットの正面図である。
【図9】同じく、図8の側面図である。
【図10】同じく、スポット装置の動作説明図であって、待機状態を示す。
【図11】同じく、スポット装置の動作説明図であって、真空工程を示す。
【図12】同じく、スポット装置の動作説明図であって、流体充填工程を示す。
【図13】同じく、スポット装置の動作説明図であって、スポット工程を示す。
【図14】同じく、マニホールド化されたスポット装置の側面図である。
【図15】同じく、バイオチッププレートの平面図である。
【図16】従来のスポットシステム及びステップ装置を含む検体分取分注装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0068】
10 スポットシステム
11 スポット装置
12 スポットピン
13 筐体
15 タンクブロック
16 小型電磁弁
17 第1ピンチバルブ
18 第2ピンチバルブ
19 第1シリコンチューブ
20 第2シリコンチューブ
21 第1ポート
22 第2ポート
23 第3ポート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を充填される充填空間にスポットピンの流路が連通し、前記スポットピンからスポット領域に流体を供給するスポットシステムにおいて、
前記充填空間に第1連通部と第2連通部と第3連通部とが開口しており、
前記第1連通部に接続し、前記充填空間を真空にする真空手段と、
前記第2連通部に接続し、前記充填空間に流体を充填する充填手段と、
前記第3連通部に接続し、前記充填空間に充填された流体を加圧する加圧手段と、
前記真空手段によって前記充填空間を真空にした後、前記充填手段によって前記流体を前記充填空間に充填し、その後、前記充填空間に充填された流体を前記加圧手段によって加圧するように前記真空手段と前記充填手段と前記加圧手段を制御する制御手段とを有することを特徴とするスポットシステム。
【請求項2】
流体を充填される充填空間にスポットピンの流路が連通し、流体液面を加圧して前記スポットピンからスポット領域に流体を供給するスポット方法において、
前記充填空間に第1連通部と第2連通部と第3連通部とが連通し、前記第1連通部に真空装置が接続し、前記第2連通部に流体供給源が接続し、前記第3連通部に加圧エア供給源が接続するスポット装置を使用し、
前記スポットピンの先端部を閉鎖するとともに、前記第2連通部と前記第3連通部を閉鎖状態にした後、前記第1連通部を解放状態にし、その後、前記真空装置を用いて前記充填空間を真空にする真空工程と、
前記真空工程にて前記充填空間を負圧にした後、前記第1連通部と第3連通部を閉鎖状態にし、その後、前記第2連通部を解放状態にして前記流体供給源から前記充填空間に所定量の流体を充填する流体充填工程と、
前記第1連通部と前記第2連通部と前記第3連通部とを閉鎖状態にして、前記スポットピンの先端部を解放する解放工程と、を有することを特徴とするスポット方法。
【請求項3】
流体を充填される充填空間にスポットピンの流路が連通し、前記スポットピンからスポット領域に流体を供給するスポット装置において、
中空状の直方体形状をなし、前記スポットピンを一側面に取り付けられた筐体と、
前記筐体に固定されるブロック体であって、前記充填空間の少なくとも一部を形成するタンク室を内部に設けられ、第1連通部と第2連通部と第3連通部とが外部から前記タンク室に連通するように形成されたタンクブロックと、
前記第1連通部に連通するように前記タンクブロックに連結され、前記第1連通部を真空装置に接続する第1配管と、
前記第2連通部に連通するように前記タンクブロックに連結され、前記第2連通部を流体供給源に接続する第2配管と、
前記筐体に内設されるものであって、入口流路と出口流路との間に設けられた弁座が前記第3連通部に連通するように前記タンクブロックに連結され、前記弁座に弁体を当接または離間させることにより、前記第3連通部と加圧エア供給源との連通状態を制御する小型電磁弁と、
前記筐体に内設され、前記第1配管を開閉する第1開閉弁と、
前記筐体に内設され、前記第2配管を開閉する第2開閉弁と、を有することを特徴とするスポット装置。
【請求項4】
請求項3に記載するスポット装置において、
前記第2開閉弁及び前記小型電磁弁を閉弁した状態で前記第1開閉弁を開弁し、前記タンク室を真空状態にした後、前記第1開閉弁を閉弁して前記第2開閉弁を開弁し、前記タンク室に前記流体を充填し、その後、前記第2開閉弁を閉弁して前記小型電磁弁を開弁し、前記タンク室に加圧エアを供給する制御手段を有することを特徴とするスポット装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載するスポット装置において、
前記小型電磁弁は、
中空のコイルボビンに巻線が巻き付けられたコイルと、
前記コイルボビン内に固定された固定鉄心と、
前記コイルボビン内に摺動可能に設けられた可動鉄心と、
先端にバルブシートが設けられるとともに、他端が前記可動鉄心に連結されて前記固定鉄心を挿通する軸棒と、
前記軸棒の途中に設けられたベロフラムと、
前記可動鉄心を前記固定鉄心から離れる方向へ常時付勢するためのスプリングとを有し、
前記コイルへの通電によって前記固定鉄心を励磁し、前記可動鉄心を前記固定鉄心側に吸着することにより、前記バルブシートを前記弁座に当節又は離間させて弁開閉動作を行うものであって、
前記入口流路に流体が供給されたときにおける、前記ベロフラムの受圧面積と前記バルブシートの受圧面積とが等しいものであることを特徴とするスポット装置。
【請求項6】
請求項3乃至請求項5の何れか一つに記載するスポット装置において、
前記第1配管と前記第2配管がシリコンチューブであり、
前記第1開閉弁と前記第2開閉弁がピンチバルブであることを特徴とするスポット装置。
【請求項7】
請求項6に記載するスポット装置において、
前記ピンチバルブが、
ボディと、
前記ボディ内に固定された固定ピンと、
前記固定ピンと平行な状態で前記ボディに摺動可能に保持される可動ピンと、
前記可動ピンに連結するシリンダとを有するものであり、
前記筐体が、
前記第1開閉弁のシリンダに駆動流体を供給する第1ポートと、
前記第2開閉弁のシリンダに駆動流体を供給する第2ポートと、
前記小型電磁弁の入力流路に加圧エアを供給する第3ポートとを設けられていることを特徴とするスポット装置。
【請求項8】
請求項3乃至請求項7の何れか一つに記載するスポット装置において、
前記小型電磁弁への通電時間により、前記スポットピンから供給する流体供給量又は流体供給時間を制御するものであることを特徴とするスポット装置。
【請求項9】
請求項3乃至請求項7の何れか一つに記載するスポット装置において、
前記充填空間に液面を検出する液面検出手段を設けたことを特徴とするスポット装置。
【請求項1】
流体を充填される充填空間にスポットピンの流路が連通し、前記スポットピンからスポット領域に流体を供給するスポットシステムにおいて、
前記充填空間に第1連通部と第2連通部と第3連通部とが開口しており、
前記第1連通部に接続し、前記充填空間を真空にする真空手段と、
前記第2連通部に接続し、前記充填空間に流体を充填する充填手段と、
前記第3連通部に接続し、前記充填空間に充填された流体を加圧する加圧手段と、
前記真空手段によって前記充填空間を真空にした後、前記充填手段によって前記流体を前記充填空間に充填し、その後、前記充填空間に充填された流体を前記加圧手段によって加圧するように前記真空手段と前記充填手段と前記加圧手段を制御する制御手段とを有することを特徴とするスポットシステム。
【請求項2】
流体を充填される充填空間にスポットピンの流路が連通し、流体液面を加圧して前記スポットピンからスポット領域に流体を供給するスポット方法において、
前記充填空間に第1連通部と第2連通部と第3連通部とが連通し、前記第1連通部に真空装置が接続し、前記第2連通部に流体供給源が接続し、前記第3連通部に加圧エア供給源が接続するスポット装置を使用し、
前記スポットピンの先端部を閉鎖するとともに、前記第2連通部と前記第3連通部を閉鎖状態にした後、前記第1連通部を解放状態にし、その後、前記真空装置を用いて前記充填空間を真空にする真空工程と、
前記真空工程にて前記充填空間を負圧にした後、前記第1連通部と第3連通部を閉鎖状態にし、その後、前記第2連通部を解放状態にして前記流体供給源から前記充填空間に所定量の流体を充填する流体充填工程と、
前記第1連通部と前記第2連通部と前記第3連通部とを閉鎖状態にして、前記スポットピンの先端部を解放する解放工程と、を有することを特徴とするスポット方法。
【請求項3】
流体を充填される充填空間にスポットピンの流路が連通し、前記スポットピンからスポット領域に流体を供給するスポット装置において、
中空状の直方体形状をなし、前記スポットピンを一側面に取り付けられた筐体と、
前記筐体に固定されるブロック体であって、前記充填空間の少なくとも一部を形成するタンク室を内部に設けられ、第1連通部と第2連通部と第3連通部とが外部から前記タンク室に連通するように形成されたタンクブロックと、
前記第1連通部に連通するように前記タンクブロックに連結され、前記第1連通部を真空装置に接続する第1配管と、
前記第2連通部に連通するように前記タンクブロックに連結され、前記第2連通部を流体供給源に接続する第2配管と、
前記筐体に内設されるものであって、入口流路と出口流路との間に設けられた弁座が前記第3連通部に連通するように前記タンクブロックに連結され、前記弁座に弁体を当接または離間させることにより、前記第3連通部と加圧エア供給源との連通状態を制御する小型電磁弁と、
前記筐体に内設され、前記第1配管を開閉する第1開閉弁と、
前記筐体に内設され、前記第2配管を開閉する第2開閉弁と、を有することを特徴とするスポット装置。
【請求項4】
請求項3に記載するスポット装置において、
前記第2開閉弁及び前記小型電磁弁を閉弁した状態で前記第1開閉弁を開弁し、前記タンク室を真空状態にした後、前記第1開閉弁を閉弁して前記第2開閉弁を開弁し、前記タンク室に前記流体を充填し、その後、前記第2開閉弁を閉弁して前記小型電磁弁を開弁し、前記タンク室に加圧エアを供給する制御手段を有することを特徴とするスポット装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載するスポット装置において、
前記小型電磁弁は、
中空のコイルボビンに巻線が巻き付けられたコイルと、
前記コイルボビン内に固定された固定鉄心と、
前記コイルボビン内に摺動可能に設けられた可動鉄心と、
先端にバルブシートが設けられるとともに、他端が前記可動鉄心に連結されて前記固定鉄心を挿通する軸棒と、
前記軸棒の途中に設けられたベロフラムと、
前記可動鉄心を前記固定鉄心から離れる方向へ常時付勢するためのスプリングとを有し、
前記コイルへの通電によって前記固定鉄心を励磁し、前記可動鉄心を前記固定鉄心側に吸着することにより、前記バルブシートを前記弁座に当節又は離間させて弁開閉動作を行うものであって、
前記入口流路に流体が供給されたときにおける、前記ベロフラムの受圧面積と前記バルブシートの受圧面積とが等しいものであることを特徴とするスポット装置。
【請求項6】
請求項3乃至請求項5の何れか一つに記載するスポット装置において、
前記第1配管と前記第2配管がシリコンチューブであり、
前記第1開閉弁と前記第2開閉弁がピンチバルブであることを特徴とするスポット装置。
【請求項7】
請求項6に記載するスポット装置において、
前記ピンチバルブが、
ボディと、
前記ボディ内に固定された固定ピンと、
前記固定ピンと平行な状態で前記ボディに摺動可能に保持される可動ピンと、
前記可動ピンに連結するシリンダとを有するものであり、
前記筐体が、
前記第1開閉弁のシリンダに駆動流体を供給する第1ポートと、
前記第2開閉弁のシリンダに駆動流体を供給する第2ポートと、
前記小型電磁弁の入力流路に加圧エアを供給する第3ポートとを設けられていることを特徴とするスポット装置。
【請求項8】
請求項3乃至請求項7の何れか一つに記載するスポット装置において、
前記小型電磁弁への通電時間により、前記スポットピンから供給する流体供給量又は流体供給時間を制御するものであることを特徴とするスポット装置。
【請求項9】
請求項3乃至請求項7の何れか一つに記載するスポット装置において、
前記充填空間に液面を検出する液面検出手段を設けたことを特徴とするスポット装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−250888(P2006−250888A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−71468(P2005−71468)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【出願人】(502128800)株式会社オクテック (83)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【出願人】(502128800)株式会社オクテック (83)
【Fターム(参考)】
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