説明

スポンジケーキ、ロールケーキ及びスポンジケーキの製造方法

【課題】動物、キャラクターの絵や多色により図柄が描かれた高級感のあるロールケーキ、及び大型の設備を必要としないで前記ロールケーキ用のスポンジケーキを長時間をかけないで製造する製造方法を提供する。
【解決手段】ロールケーキ用スポンジケーキの製造工程に、少なくとも1工程の図柄作製工程を含み、前記図柄作製工程は、重なっていない図柄構成要素毎に図柄用生地を用いて調理用シートに図柄を描く工程と前記図柄構成要素の表面を調理用オーブンで少なくとも1分間焼成して前記図柄用生地の表面を乾燥させる図柄焼成工程とからなる工程であり、前記図柄用生地は、卵黄生地に薄力粉と食用色素とが所定の割合で混合されて作製されている。更に、乾燥状態に応じて図柄焼成時間を追加し、食用色素により図柄11を描くと好適である。また、図柄が描かれたロールケーキ100にメッセージを描いてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図柄や動物、キャラクターの絵が焼成された高級感のあるロールケーキ、それに使用されるスポンジケーキ及びスポンジケーキの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロールケーキの美観上の魅力を向上させるためにロールケーキに模様を形成する技術として、従来技術としてパータ・デコールがあった。パータ・デコールは、ケーキを焼成する天板に模様を描いて、それを天板と共に冷凍庫で30分から1時間の時間をかけて凍らせて、その上をケーキ生地でおおってオーブンで焼き、模様が描かれたロールケーキを製造する技術である。この従来技術によった場合には、模様を描いた天板を格納して凍らせるために、大きな冷凍庫設備が必要で、且つ、模様生地を重ねて模様を描こうとする場合には、1色ごとに30分から1時間の冷凍時間がかかった。そのため、色数が多くなるほど冷凍時間が長くかかり、例えば3色から4色で模様を描こうとすると数時間もの冷凍時間が必要であった。
【0003】
また、特開2000-106817号公報(特許文献1)には、模様部分とその他の部分との濃淡を異ならせて模様部分を明確に際だたせる技術が紹介されている。これは、コンベアーの上にスポンジケーキ生地を平たく流し込み、次いで、該スポンジケーキ生地の上面にホイップ油脂組成物を載せるように絞り出して模様を描き、オーブンで焼成し、その後、スポンジケーキの上面に描いた模様が外側に現れるよう端部から巻回してロール状に成形する製造方法を開示するものである。この技術による場合には、大掛かりなコンベア設備を必要とする上、比重が調整されたホイップ油脂組成物を用いることが必要であり、小規模のケーキ製造所では容易に製造できなかった。更に、焼き加減よる濃淡の模様を描くことはできても、複数の色を使った複雑な図柄を形成することは困難であった。
【0004】
また、特開平05−268867号公報(特許文献2)には、ベース生地の上に、デコレーションペーストを模様を描くように押し出してから、焼成して得たベースカステラにクリーム、あん等を塗り、渦巻状に巻きつけて、鮮明な色のロールケーキを製造する技術が開示されている。これは、一定速度で廻っているエンドレスベルトの上に、ベース生地をベースホッパーから一定厚さ塗布し、ついでその上に、このベース生地とはちがった色のデコレーションペーストをデコレーションホッパーから線状または帯状あるいは点状等に幾何学的に塗布してから、オーブン中に導入するものであった。この技術による場合においても、ベース生地に固まっていないデコレーションペーストが重ねられた状態であるため、模様が滲み複雑な模様や図柄を形成することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-106817号公報
【特許文献2】特開平05−268867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、動物、キャラクターの絵や多色により複雑な図柄が描かれた高級感のあるロールケーキ、及び大型の設備を用いることなく、短時間で前記ロールケーキを容易に製造する製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の発明は、スポンジケーキであって、スポンジケーキベースとは異なる色の図柄部分を含んでスポンジケーキベース生地が焼成して形成され、前記図柄部分が食用色素により着色された図柄用生地を予め焼成して形成されていることを特徴としている。
【0008】
本発明において食用色素とは、食品用の合成着色料をいうが、ココアパウダー、抹茶等の色のある食用材料に含まれている色素を含むものとする。本発明の第1の発明のスポンジケーキによれば、高級感があり、食する人に驚きを与えることができる滲んでいない多様な図柄が形成されたロールケーキを製造することができる。
【0009】
本発明の第2の発明は、第1の発明のスポンジケーキであって、前記図柄部分が、各々異なる色の食用色素が使われた複数の図柄用生地からなり、前記図柄部分の一部の図柄部分をなす図柄構成要素の周囲が、前記一部の図柄部分用の生地とは異なる前記図柄用生地により囲まれていることを特徴としている。
【0010】
本発明の第2の発明によれば、図柄の中に他の図柄を囲んだ、従来にない複雑な図柄が焼成されたスポンジケーキを形成することができる。これにより、例えば動物の顔の図柄等が焼成され、食する人に、より驚きを与え、喜ばせるスポンジケーキを作成することができる。
【0011】
本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明によるスポンジケーキを巻き回して形成したロールケーキであることを特徴としている。本発明により多様な図柄が描かれたスポンジケーキによれば、食する人を、驚かせ、喜ばせることができる。
【0012】
本発明の第4の発明は、第3の発明のロールケーキの表面に食用色素により、図柄、文字及び記号の少なくともいずれかが記載されていることを特徴としている。本発明の第4の発明によれば、ロールケーキをより細かく装飾するだけでなく、食する人にメッセージを伝えることができる。
【0013】
本発明の第5の発明は、スポンジケーキの表面に、所望の図柄を焼成することを可能とするスポンジケーキの製造方法であって、
少なくとも一工程の図柄作製工程を含み、前記図柄作製工程は、重なっていない図柄構成要素毎に図柄用生地を用いて調理用シートに図柄を描く工程と、前記図柄構成要素の表面を調理用オーブンで少なくとも1分間焼成して乾燥させる図柄焼成工程とからなる工程であり、
前記図柄用生地は、卵黄生地に薄力粉と食用色素とが所定の割合で混合されて含まれていることを特徴としている。
【0014】
本発明の第5の発明によれば、食用色素と薄力粉を含んだ少なくとも1色、好適には複数の色により、流れにくい図柄用生地が作製され、それによって図柄を構成する要素が描かれる。図柄の構成要素の形状は限定されず、線状、帯状、輪郭のある様々な形であってもよく、また色数は一色に限定されない。例えば、濃淡の違いのある2色の図柄用生地を接触させて円形の図柄を描いて、その接触した部分を一方の側方に引き伸ばして、2色からなるハート型の図柄の構成要素等を描くことができる。本発明の図柄用生地には薄力粉が混合されているため、生地が流れにくくなり、2色の図柄用生地が混ざりにくく、滲みのない複数の色からなる所望の形の図柄構成要素を描くことができる。
【0015】
そして、重なっていない一つの図柄構成要素を描いてから、調理用オーブンでその図柄構成要素が乾燥するまで、少なくとも1分間焼成される。この焼成時間は、図柄構成要素をなす図柄用生地の量や調理用オーブンの性能に応じて、適宜、加減される。
【0016】
重なっていない一つの図柄構成要素の表面が乾燥されてから、次の図柄構成要素が追加して描かれ焼成され、その工程が重なる図柄構成要素の数だけ繰り返される。重なる図柄構成要素であってもロールケーキの仕上げ表面側となる図柄構成要素から、順次乾燥されるように焼成される。これにより、重なる図柄構成要素を用いて図柄を描く場合であっても、図柄構成要素の境界が滲むことがなく、複雑な図柄であっても明りょうに図柄を描いたスポンジケーキとすることができる。
【0017】
本発明の第6の発明は、前記第5のスポンジケーキの製造方法において、前記図柄焼成工程は、1分間焼成して、表面が乾燥していない場合には、更に30秒間ずつ追加して表面が乾燥されるまで焼成することを特徴としている。第6の発明においては、焼成時間を30秒ずつ追加して前記図柄構成要素の表面が乾燥するまで焼成される。これにより、図柄構成要素の生地の量が多い場合や、分厚い場合であっても、短い時間で乾燥させることができる。また、複数の図柄構成要素の輪郭を滲ませず、図柄用生地を焦げさせることがなく、明りょうな図柄が描かれた美味しいロールケーキとすることができる。
【0018】
本発明の第7の発明は、前記第5又は第6のスポンジケーキの製造方法において、複数の図柄作製工程を含み、先に実行された図柄作製工程により乾燥された図柄構成要素の周囲を囲んで、後の図柄構成要素が形成される図柄作製工程が実行されることを特徴としている。
【0019】
本発明の第7の発明によれば、例えば、動物の顔の図柄を描く場合であっても、鼻の部分を先に焼成して乾燥させてから、その周囲を全て含んだ顔全体の図柄を描くことができる。これにより、生地を冷凍して固まらせ、又は、固まっていない同質の生地を流し入れて模様を重ねて作る場合に比べて、短時間で輪郭がくっきりした明りょうな模様や図柄を表現することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のスポンジケーキの製造方法によれば、スポンジケーキの表面に滲みのない多色からなる所望の形の構成要素等を描くことができ、大型の冷凍設備を必要とせず、高級感のあるロールケーキ用スポンジケーキを、短時間で容易に製造することができる。また、本発明のスポンジケーキを使用したロールケーキは、高級感があるとともに、メッセージを伝え食する者に驚きと喜びを与えるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、ロールケーキの斜視図である(実施例1)。
【図2】図2は、ロールケーキの斜視図である(実施例2)。
【図3】図3は、ロールケーキの斜視図である(実施例3)。
【図4】図4は、ロールケーキの斜視図である(実施例4)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施例1)
実施例1では、ロールケーキ用スポンジケーキの表面に唐草模様11が形成されたロールケーキ100の製造方法を、図1を参照して説明する。実施例1では、所定の温度を維持してスポンジケーキを焼成する機能を有するオーブンを使って、25cm角のオーブン用天板で1本のロールケーキ用スポンジケーキ(以下、スポンジケーキという。)を製造する実施例を説明する。実施例1のロールケーキは図柄用生地が先に焼成されて、その後にスポンジケーキベース(以下、ベースという。)生地が焼成されて、ロールケーキ用中身具材(以下、具材という。)がスポンジケーキにより巻き回されてロールケーキが製造される。なお、オーブン用天板は前記の大きさに限定されるものではない。
【0023】
実施例1の1本のロールケーキ用スポンジケーキ生地を製造するために使用する材料及びその数量を、下記の表1に示す。ただし下記のうち卵黄1個分は使用しない。なお、卵Mサイズとは、1個あたり58g以上64g未満の大きさの鶏卵をいう。
【表1】

【0024】
表1に示した材料で製造したスポンジケーキを使用してロールケーキとする工程における、ロールケーキに風味を付与するシロップの塗布や、スポンジケーキを巻き回してロールケーキとする製法は、従来技術によればよく、実施例1では公知の製法の内の一つを説明するが他の公知の製法でも代替可能である(以下の他の実施例においても同じ)。
【0025】
さて、ロールケーキの製造工程は、スポンジケーキ用の卵黄生地を作る工程(工程1)と、図柄用生地を作成して乾燥させる図柄作製工程(工程2)と、乾燥された図柄部分を含んだベース作製工程(工程3)と、具材をスポンジケーキで巻き回す巻き回し工程(工程4)とからなっている。
【0026】
以下、順に説明する。スポンジケーキ用の卵黄生地を作る工程(工程1)は、撹拌容器に卵の卵黄3個分を溶きほぐし、計量した砂糖35gを入れ、白くなるまでミキサーで泡立て、水50ml、サラダ油40ml、バニラオイル数滴の順に加え混ぜる。そして、生地用の薄力粉80gをふるい入れ、生地にねばりが出るまでミキサーでよく混ぜる。
【0027】
次に、図柄用生地を作製して乾燥させる図柄作製工程(工程2)を説明する。工程2では、工程1で作った卵黄生地のうち大さじ1杯15mlを撹拌容器に取り分け、図柄用の薄力粉小さじ1/2杯2.5mlを加え混ぜる(工程2−1)。また、別の撹拌容器に卵白1個分を溶きほぐし、ミキサーで泡立て、その仕上げにコーンスターチ1mlを加えて混合しツノが立った状態(以下、メレンゲという。)とする(工程2−2)。ここでツノが立つとは、ミキサーを離間させたときに、生地がぴんと立つ状態をいい、コーンスターチとはトウモロコシ澱粉をいい、薄力粉はタンパク質の割合が8.5重量%以下の小麦粉をいう。
【0028】
次に、工程2−1で混合した生地に、工程2−2のメレンゲの2/3を加えてよく混合して図柄用生地を作製して、先端に穴のあいた図柄用生地を搾り出す袋(以下、コルネという。)に入れる。そして、オーブン用天板の上に、唐草模様が描かれた型紙と、その上にその図柄が透けて見える調理用シート(以下、オーブンシートという。)を敷き、その上に予めサラダ油を塗っておき、その上に前記コルネの先端から型紙の図柄に沿って唐草模様11を描き、170℃に予熱したオーブンで1分30秒間焼成して(工程2−3)、図柄用生地を乾燥させる。
【0029】
次に、ベース作製工程(工程3)を説明する。工程3では、工程1で作製した卵黄生地から図柄用生地を取り分けた残りに、20mlの湯で溶いた抹茶を入れて混ぜる(工程3−1)。また、撹拌容器に卵白3個分を溶きほぐし、ミキサーで固く泡立て、工程1で使った残りの砂糖30gを加え、つやが出たらコーンスターチの残り4mlを加えてツノが立つまで泡立てる(工程3−2)。工程2−2の残りの卵白と工程3−2の卵白を合わせて、それを1/3ずつ3回に分けて工程3−1の抹茶を溶かした卵黄生地に加え、卵白のかたまりがなく滑らかなベース生地になるまでよく混ぜる(工程3−3)。
【0030】
次に、図柄用生地を焼成して乾燥させた工程2−3の天板の上に、前記ベース生地を流し入れ、表面を均した後、軽く振動を加えて、ベース生地の大きな気泡を除き、170℃に予熱したオーブンで14分間焼成する。そして焼成されたベース12の表面にオーブンシートをかぶせ、天板ごと天地反転させ、図柄用生地が上面となるようにベース生地を取り出して、一旦表面のオーブンシートを剥がした上で、再度かぶせて余熱がとれるまで冷やす(工程3−4)。これにより、スポンジケーキの乾燥を防止して、表面のひび割れを防止することができる。
【0031】
次に、具材をスポンジケーキで巻き回す巻き回し工程(工程4)を説明する。生クリームに砂糖を加え固く泡立てたホイップクリームを作製する。グラニュー糖を適量の湯で溶かしシロップを作製する。前記工程3で作製したベース生地の図柄用生地を形成した面を下にして、スポンジケーキの上面に約2cmの間隔で切れ目をいれ、前記シロップを塗り、上からホイップクリーム13を重ねて塗り、更にゆで小豆14を巻き回す方向に交差する方向に筋状に載せる。更に生地の手前からオーブンシートとともに巻き回して、冷蔵庫で1時間以上冷やす。そして、温めたカッターで巻き回して不揃いな状態の端部を切断して端部が平坦な状態のロールケーキとする。
【0032】
実施例1の唐草模様が形成されたロールケーキは、ゆで小豆と抹茶の風味がある和風の味覚とともに、その唐草模様の美観を楽しむことができる新規なロールケーキとなる。
【0033】
(実施例2)
実施例2では、ロールケーキ用スポンジケーキの表面に2色のハート型図柄21,22が形成されたロールケーキ200の製造方法を、図2を参照して説明する。実施例1と同様である部分については、実施例1を引用して説明を省略する。実施例2のスポンジケーキも、実施例1と同じ大きさのスポンジケーキであり、具材がスポンジケーキにより巻き回されてロールケーキが製造される。
【0034】
実施例2の1本のロールケーキ用スポンジケーキを製造するために使用する材料及びその数量を、下記の表2に示す。ただし下記のうち卵黄1個分は使用しない。
【表2】

【0035】
実施例2のロールケーキの製造工程は、スポンジケーキ用の卵黄生地を作る工程(工程1)と、図柄用生地を作成して乾燥させる図柄作製工程(工程2)と、乾燥された図柄部分を含んだベース作製工程(工程3)と、具材をスポンジケーキで巻き回す巻き回し工程(工程4)とからなっている。これらの工程のうち、工程1と工程4は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0036】
実施例2の図柄作製工程(工程2)を説明する。工程2では、まず2色の図柄用生地を作製する。工程1で作った卵黄生地から、小さじ2杯10mlずつを2つの撹拌容器に取り分け、夫々に図柄用の薄力粉小さじ1/2杯2.5mlずつを加え混ぜる(工程2−1−1)。赤の食用色素0.625mlを水で溶いて、工程2−1−1の一方の撹拌容器に少しずつ薄いピンク色になるまで加える(工程2−1−2)。工程2−1−1の他方の撹拌容器には、工程2−1−2より多く赤の食用色素を加えて、濃いピンク色とする(工程2−1−3)。また、工程2−2でメレンゲを泡立てる(工程2−2)。
【0037】
次に、工程2−1−1及び工程2−1−2で混合した生地のそれぞれに、工程2−2のメレンゲの1/3ずつを加えてよく混合して図柄用生地を作製する(工程2−3−1)。次に、オーブン用天板の上に濃いピンク色の生地を直径1cmの円形状が隣接するようにスプーンで落とし、その接する部分を接する方向にスプーンの先端で引いて濃いピンクのハート型図柄21を描く。同様に薄いピンク色の生地でも薄いピンク色のハート型図柄22を描き、170℃に予熱したオーブンで1分間焼成して図柄用生地を乾燥させる(工程2−3−2)。図柄が乾燥していない場合には、更に30秒ずつ表面の状態を確認しながら表面が乾燥されるまで焼成する(工程2−3−3)。表面が乾燥されてからベース生地が流し込まれることにより、図柄が崩れず滲むことがない。
【0038】
次に、ベース作製工程(工程3)を説明する。実施例2の工程3では、実施例1の抹茶を混ぜる工程(工程3−1)を省略している。また、(工程3−2)は、実施例1と同様である。工程2−2の残りの卵白と工程3−2の卵白を合わせて、それを1/3ずつ3回に分けて、工程1の卵黄生地に加え、卵白のかたまりがなく、滑らかなベース生地になるまでよく混ぜる(工程3−3)。また、生地を焼成してベース23とする工程3−4は、実施例1と同様である。
【0039】
焼成したスポンジケーキに、具材をスポンジケーキで巻き回す巻き回し工程(工程4)は実施例1と同様である。ただし、実施例1とは異なり、具材にゆで小豆に替えて、桃24、キウイ25、バナナ26等の果物を巻き込むようにしてもよい。
【0040】
(実施例3)
実施例3では、薄い緑色の地色に着色されたベース31に、濃いダイヤモンド柄32の図柄が描かれたロールケーキ300を図3を参照して説明する。実施例1と同様である部分については、実施例1を引用して説明を省略する。実施例3のスポンジケーキも、実施例1と同じ大きさのスポンジケーキであり、具材がスポンジケーキにより巻き回されてロールケーキが製造される。
【0041】
実施例3の1本のロールケーキ用スポンジケーキを製造するために使用する材料及びその数量は実施例1と同じであるため、説明を省略する。
【0042】
実施例3のロールケーキの製造工程は、スポンジケーキ用生地の卵黄生地を作る工程(工程1)と、図柄用生地を作成して乾燥させる図柄作製工程(工程2)と、乾燥された図柄部分を含んだベース作製工程(工程3)と、具材をスポンジケーキで巻き回す巻き回し工程(工程4)とからなっている。これらの工程のうち、工程1と工程4は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0043】
実施例3の図柄作製工程(工程2)を説明する。工程2では、濃い緑色のダイヤモンド柄32とダイヤモンド柄32に交差する白いストライプ柄33を作製する。工程1で作った卵黄生地から、小さじ2杯10mlを撹拌容器に取り分け、図柄用の薄力粉小さじ1/2杯2.5mlを加え混ぜる(工程2−1−1)。同様に工程1で作った卵黄生地から、小さじ1杯10mlを別の撹拌容器に取り分け、湯20mlで溶いた抹茶を小さじ1杯10ml加え、濃い緑色のダイヤモンド柄32に使用する生地を作る(工程2−1−2)。また、別の撹拌容器でメレンゲを泡立てる(工程2−2)。
【0044】
工程2−1−1の生地に工程2−2のメレンゲの1/3を加えてよく混ぜ、ストライプ柄を描く第1のコルネに入れる。工程2−1−2の濃い緑色の生地に、工程2−2のメレンゲのうち大さじ3杯45mlを加えよく混ぜ、ダイヤモンド柄を描く第2のコルネに入れる。実施例1と同様にオーブンシートを敷いたオーブン用天板に第1のコルネの先端から着色していない図柄用生地を搾り出して白いストライプ柄33を描いて、170℃に予熱したオーブンで1分間焼成する(工程2−3−1)。更に、工程2−3−1で焼成したストライプ柄の交点の周囲に、第2のコルネにより緑色の生地により濃い緑色のダイヤモンド柄を描いて170℃に予熱したオーブンで1分間焼成する(工程2−3−2)。
【0045】
次に、ベース作製工程(工程3)を説明する。実施例3の工程3では、工程1の卵黄生地に工程2−1−2で使用した湯で溶いた抹茶の残りを入れ混ぜる(工程3−1)。また、工程3−2は、実施例1と同様である。工程2−2の残りの卵白と工程3−2の卵白を合わせて、それを1/3ずつ3回に分けて、工程3−1の抹茶を溶かした卵黄生地に加え、卵白のかたまりがなく、滑らかなベース生地になるまでよく混ぜる(工程3−3)。また、ベース生地を焼成する工程3−4は、実施例1と同様である。
【0046】
焼成したスポンジケーキに、具材をスポンジケーキで巻き回す巻き回し工程(工程4)は実施例1と同様である。ただし、実施例1とは異なり、具材に砂糖を入れて泡立てたホイップクリーム13だけを巻きこむようにしてもよい。
【0047】
(実施例4)
実施例4では、薄い茶色の地色に着色されたベース41に、淡い色で小熊の顔の図柄42が描かれたロールケーキ400を図4を参照して説明する。実施例1と同様である部分については、実施例1を引用して説明を省略する。実施例4のスポンジケーキも、実施例1と同じ大きさのスポンジケーキであり、具材がスポンジケーキにより巻き回されてロールケーキが製造される。
【0048】
実施例4の1本のロールケーキ用スポンジケーキを製造するために使用する材料及びその数量を、下記の表3に示す。ただし下記のうち卵黄1個分は使用しない。
【表3】

【0049】
実施例4のロールケーキの製造工程は、スポンジケーキ用の卵黄生地を作る工程(工程1)と、図柄用生地を作成して乾燥させる図柄作製工程(工程2)と、乾燥された図柄部分を含んだベース作製工程(工程3)と、具材をスポンジケーキで巻き回す巻き回し工程(工程4)と、ロールケーキに細部の仕上げを描く工程(工程5)とからなっている。これらの工程のうち、工程1と工程4は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0050】
実施例4の図柄作製工程(工程2)を説明する。工程2では、薄茶色の小熊の鼻の柄43とその周囲を完全に囲む小熊の顔の図柄を作製する。工程1で作った卵黄生地から、小さじ2杯10mlを撹拌容器に取り分け、図柄用の薄力粉小さじ1/2杯2.5mlを加え混ぜる(工程2−1−1)。同様に工程1で作った卵黄生地から、小さじ1杯5mlを別の撹拌容器に取り分け、図柄用の薄力粉小さじ1/8杯0.625mlを加え、ココアパウダー1gを加え、濃い茶色の生地を作る(工程2−1−2)。また、別の撹拌容器でメレンゲを泡立てる(工程2−2)。
【0051】
工程2−1−1の生地に工程2−2のメレンゲの1/3を加えてよく混ぜて白い図柄用生地を作る。工程2−1−2の濃い茶色の生地に工程2−2の泡立てた卵白のうち大さじ3杯45mlを加えよく混ぜ、濃い茶色の図柄用生地を作る。実施例1と同様に型紙に重ねてオーブン用天板の上に敷いたオーブンシートに、型紙の絵に沿って小熊の鼻の図柄を描いて、170℃に予熱したオーブンで1分間焼成する(工程2−3−1)。更に、工程2−3−1で焼成した柄を、小熊の顔を白い図柄用生地で完全に囲むようにして描いて、170℃に予熱したオーブンで1分間焼成する(工程2−3−2)。
【0052】
次に、ベース生地作製工程(工程3)を説明する。実施例4の工程3では、工程1の卵黄生地の残りに、ココアパウダー9gをふるい入れ混ぜる(工程3−1)。また、工程3−2は、実施例1と同様である。工程2−2の残りの卵白と工程3−2の卵白を合わせて、それを1/3の量ずつ3回に分けて、工程3−1のココアパウダーを混ぜた卵黄生地に加え、卵白のかたまりがなく、滑らかなベース生地になるまでよく混ぜる(工程3−3)。また、生地を焼成する工程3−4は、実施例1と同様である。
【0053】
焼成したスポンジケーキ生地に、具材をスポンジケーキで巻き回す巻き回し工程(工程4)は実施例1と同様である。ただし、実施例4では実施例1とは異なり、具材に砂糖を入れて泡立てたホイップクリーム13とバナナ44を巻きこんでもよい。次に、細部の仕上げとして、ブラックココアパウダーを相応の湯で溶いて、目、鼻及び口の柄45を筆で描いて、小熊の顔の柄を完成させる。
【0054】
(その他の実施例)
・前記の図柄を描く工程は、パティシエが図柄を描くものであってもよく、菓子製造機が一連の菓子製造工程の中で図柄を描くものであってもよい。
・前記の実施例では、図柄用生地の焼成温度を170℃としたが、オーブンの機種に応じて温度調整機能が異なるため、その性能に応じて160℃から180℃として、それに応じて焼成時間を1回あたり30秒から2分までの間で加減してもよい。
・また、ベース生地焼成工程も、図柄用生地と同様に、温度を160℃から180度として、それに応じて、数分ずつ加減してもよい。
【0055】
・前記の実施例では図柄に応じて具体的な使用数量を示したが、図柄に応じて、図柄用生地は卵黄3個と薄力粉70〜80gと水50〜60mlとサラダ油40mlと砂糖35gの割合で混合した卵黄生地のうち10〜15mlに対して薄力粉2.5〜5mlの割合で混合されると共に食用色素を含み、更に卵白1個とコーンスターチ1mlからなるメレンゲの1/3〜2/3が混合された生地であればよい。
・前記の実施例の材料の分量は、1本のロールケーキを作製するための分量を説明したが、作製本数に応じて略同じ割合で増減すればよいことはもちろんである。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記した説明に限られず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0056】
100,200,300,400…ロールケーキ、
11…唐草模様、12…ベース、13…ホイップクリーム、14…ゆで小豆、
21…濃いピンクのハート型図柄,22…薄いピンクのハート型図柄、
23…ベース、24…桃、25…キウイ、26…バナナ、
31…ベース,32…ダイヤモンド柄,33…ストライプ柄、
41…ベース,42…小熊の顔の図柄,43…小熊の鼻の柄,44…バナナ,45…目、鼻及び口の柄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポンジケーキであって、
スポンジケーキベースとは異なる色の図柄部分を含んでスポンジケーキベース生地が焼成して形成され、
前記図柄部分が食用色素により着色された図柄用生地を予め焼成して形成されている、
ことを特徴とするスポンジケーキ。
【請求項2】
前記図柄部分が、各々異なる色の食用色素が使われた複数の図柄用生地からなり、
前記図柄部分の一部の図柄部分をなす図柄構成要素の周囲が、前記一部の図柄部分用の生地とは異なる前記図柄用生地により囲まれている、
ことを特徴とする請求項1に記載のスポンジケーキ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のスポンジケーキを巻き回して形成したロールケーキである、
ことを特徴とするロールケーキ。
【請求項4】
ロールケーキの表面に食用色素により、図柄、文字及び記号の少なくともいずれかが記載されている、
ことを特徴とする請求項3に記載のロールケーキ。
【請求項5】
スポンジケーキの表面に、所望の図柄を焼成することを可能とするスポンジケーキの製造方法であって、
少なくとも一工程の図柄作製工程を含み、前記図柄作製工程は、重なっていない図柄構成要素毎に図柄用生地を用いて調理用シートに図柄を描く工程と、前記図柄構成要素の表面を調理用オーブンで少なくとも1分間焼成して乾燥させる図柄焼成工程とからなる工程であり、
前記図柄用生地は、卵黄生地に薄力粉と食用色素とが所定の割合で混合され含まれている、
ことを特徴とするスポンジケーキの製造方法。
【請求項6】
前記図柄焼成工程は、1分間焼成して、表面が乾燥していない場合には、更に30秒間ずつ追加して表面が乾燥されるまで焼成する、
ことを特徴とする請求項5のスポンジケーキの製造方法。
【請求項7】
複数の図柄作製工程を含み、
先に実行された図柄作製工程により乾燥された図柄構成要素の周囲を囲んで、後の図柄構成要素が形成される図柄作製工程が実行される、
ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のスポンジケーキの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−125184(P2012−125184A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279610(P2010−279610)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 刊行物の発行社名:株式会社メディアファクトリー、刊行物名:デコ・ロール作っちゃお!、初版発行年月日:2010年9月24日 [刊行物等] 電気通信回線による発表:掲載年月日:2010年6月25日からブログで継続、掲載アドレス:http://ameblo.jp/chottono−kufu/
【出願人】(510330275)
【Fターム(参考)】