説明

スポンジ製造のプロセスおよびプラント

【課題】従来技術の技術的な欠点を除去できるプロセスおよびプラントを提供する。
【解決手段】スポンジ製造プロセスは、テフロン(登録商標)またはシリコーンのモールドを60℃〜70℃の間の温度に加熱することと、プラスチック材料と試薬とを含む混合物をモールドに注入することと、混合物を30分未満の間膨張させることと、完成したスポンジをモールドから抜き出すことと、からなる。このようにして、不透水表皮層のない吸水性スポンジが得られる。プラントは、モールドをモールド加熱手段に、続いて注入手段に移動するためのコンベアを備えている。次に、プラントは、モールドに注入された混合物を膨張させるために、モールドをある時間保持するように構成された膨張手段と、その後にスポンジを排出する手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポンジ製造のプロセスおよびプラントに関し、本発明によって、天然型または他の形態のスポンジを製造することができる。
【背景技術】
【0002】
従来のスポンジは、ポリウレタン、セルロース、PVAなどのプラスチック材料を金属製のモールドで成形することによって、またはブロックの発泡ポリウレタン、発泡セルロースなどを機械加工することによって製造されることが知られている。
【0003】
次に、スポンジは、切削またはフライス加工のいずれかによって外面を除去するよう加工されて、所望の形状とされる。
【0004】
従来のスポンジ製造方法には、明らかに、多くの欠点と形状制限とがある。特に、大量の製造廃棄物を含み、その結果、廃材とこの製造廃棄物を適切に処分する必要性との両方に関連するコストを伴う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の技術的な目的は、上述した公知技術の技術的な欠点を除去できるプロセスおよびプラントを提供することである。
【0006】
この技術的な目的の範囲内で、本発明の目的は、製造廃棄物を制限できるプロセスおよびプラントを提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、スポンジを実質的に低コストで製造できる、環境にやさしく経済的なプロセスおよびプラントを提供することである。
【0008】
本発明のさらに別の目的は、プラスチック材料で作製されていても、天然スポンジと類似の外観を示すスポンジを製造するためのプロセスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
技術的な目的は、ならびにこれらおよび別の目的は、添付の特許請求の範囲に従うプロセスおよびプラントによって本発明により達成される。
【0010】
本発明の別の特徴および利点が、添付の図面において限定を意味しない例として示した、プロセスおよびプラントの好ましいが非排他的な実施形態の説明から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1を参照すると、スポンジ10の製造プロセスは、モールド3(Siliconi Padova社によって販売されているタイプ3040Aおよびタイプ3040Bのシリコーンで形成された)を、60℃〜70℃の温度、好ましくは約65℃に加熱することからなる。
【0012】
親水性のポリウレタンプレポリマーなどのプラスチック材料と、細菌学的純水(動的に混合された)などの試薬とを含んだ混合物が、モールドに注入される。混合物は、30分未満の間、好ましくは約20分間膨張することができる。
【0013】
その後、完成したスポンジ10がモールド3から取り出される。このようにして、不透水性表皮層のない吸水性スポンジが得られ、包装および/または販売されるよう準備される。
【0014】
好ましくは、モールド3の内面だけが60℃〜70℃の温度、好ましくは65℃に加熱される。
【0015】
混合物はまた、界面活性剤および/または抗菌薬および/または増粘剤、香料、抗菌石鹸、ビタミン、スポンジ柔軟剤および軟化剤、殺菌剤、染料、酸化防止剤、抗菌剤、クリーム、油、洗剤、化粧品および/または薬理学的物質のうち、1つまたは複数からなる添加剤(水、樹脂または混合ヘッドに直接加えた)を含んでもよい。
【0016】
親水性プレポリマーは、DOWにより品名Hypol(登録商標)で販売されている製品からなり、親水性プレポリマーおよび水は1:1〜1:1.5の重量比で混合物に含まれ、例えば、親水性プレポリマー1kgに対して、1〜1.5kgの水量が用いられる。
【0017】
混合物は、鋳込によってモールドに注入され、鋳込の後、モールドは閉じられ、モールドが閉じられて垂直に置かれた状態で膨張し始める。
【0018】
鋳込の前に、スポンジをモールドから取り外しやすくするための生成物がモールドの内面に塗布される。
【0019】
好ましくは、スポンジがモールドから取り出された後に、少なくとも1つの別の添加剤がスポンジに注入される。この添加剤は、香料、抗菌薬、石鹸、ビタミン、スポンジ柔軟剤および軟化剤、殺菌剤、染料、酸化防止剤、抗菌剤、クリーム、油、洗剤、化粧品および/または薬理学的物質などのうち、少なくとも1つを含んでいる。
【0020】
プロセスは、モールド3を、赤外線オーブンからなるモールド加熱手段4に搬送するコンベア2(例えば、ベルトコンベア)を備えたスポンジ製造プラント1によって実施される。
【0021】
ベルト2は、その後、混合物をモールド3に注入する手段にモールド3を運ぶ。これらの注入手段は、本実施例では、三軸ロボットの形態の注入ヘッド5からなる。
【0022】
プラントは、次に、モールド3に含まれた混合物を膨張させるために、モールド3を所定時間保持するように構成された膨張手段7と、次いで、プラント内でスポンジ10をモールド3から取り外すスポンジ排出手段8とを備えている。
【0023】
好ましい実施形態においては、プラント1は注入ヘッド5の下流にモールド3を閉じる部材9を備える。同様に、排出手段8は、モールド3に収容されたスポンジを排出するためにモールド3を開ける部材を含む。
【0024】
本発明はまた、上述の製造プロセスで使用する、スポンジ10用のシリコーンモールド3を形成する方法に関する。
【0025】
モールド3の形成方法は、中空体15内部に(その開放構成で)、製造されるスポンジの型16を配置することからなる。
【0026】
中空体15は、例えば、ヒンジ19によって回転可能に一体に結合された(開閉可能な)2つの金属製のハーフケース17、18からなる。
【0027】
型16が中空体15内に導入された後、Siliconi Padova社により販売されているタイプ3040Aのシリコーンと、Siliconi Padova社により販売されているタイプ3040Bの触媒とからなる第1混合物20(中空体のハーフケース17の約半分が充填される)を、30℃〜40℃の温度に8時間維持して、反応により凝固させる。
【0028】
混合物20が凝固すると、剥離生成物の層21を凝固した混合物20の自由表面に塗布し、シリコーンと触媒との第2液体混合物22を、中空体のハーフケース18に導入し(中空体のハーフケース18の約半分が充填される)、30℃〜40℃の温度で8時間反応させて凝固させる。
【0029】
中空体15は、その後、開けられ、型16がモールドから除去され、形成されたモールド3が中空体から取り出される。
【0030】
モールドは、2つの半分のモールドの間に置かれる、ヒンジとして作用する結合要素28を備えて形成されることが好ましい。
【0031】
第1混合物20と第2混合物22とは同一で、それら(混合物20、22)は85%〜95%の重量パーセントのシリコーンと、5%〜15%の重量パーセントの触媒とを含み、それぞれが供給された後のそれらの膨張時間は、10時間未満、好ましくは7〜9時間、より好ましくは約8時間である。
【0032】
中空体15は、ヒンジ19が取り付けられる端部の反対側の、中空体15の端部に設けられた2つの面取り部24からなる、少なくとも1つの反応ガス通気路を有する。
【0033】
型16は、ユリア樹脂で処理して硬くした天然スポンジからなる。詳細には、天然スポンジは、Concord社によって製造されているProtodurユリア樹脂に浸されて、天然スポンジが完全に硬くなるまで反応するように維持される。
【0034】
全て同一で、全て同じ外観を有する複数のモールドを形成するために、モールドが形成された後、その内部に、Siliconi Padova社によって販売されているタイプPU3670Aの急速硬化ポリウレタン樹脂が注入される。その後、モールドが閉じられ、樹脂を、大気温度で、20〜40分間、好ましくは30分間維持して反応させ、天然スポンジの印象を示すモールドを(上述の方法で)形成するのに使用できる、複数の硬質の天然スポンジ型を形成する。
【0035】
修正形態および変更形態が可能であり、例えば、モールド(内部にプラスチック材料を注入してスポンジを製造する)は、テフロン(登録商標)または他の材料で形成できる。
【0036】
スポンジを製造するのに用いられるプラスチック材料は、イソシアネート(例えばDOWによって販売されているSpecflex(登録商標)NE150製品)をポリオール(例えばDOWによって販売されているSpecflex(登録商標)NE374製品)と60:100の割合で混合することによって得られるポリマーなど、発泡ポリウレタンからなってもよい。
【0037】
本発明のプロセスおよびプラントは、経済的で環境にやさしいばかりでなく、スポンジが天然スポンジの外観を示すとしても、極めて良好な美的特徴を有するスポンジを形成することができるため、特に有利であることが実際に判明した。
【0038】
このように考案されたプロセスおよびプラントには、多くの修正形態および変更形態が可能であるが、全て本発明の概念の範囲内に含まれ、さらに、全ての詳細部は技術的に等価な要素と置換できる。
【0039】
実際に、使用される材料および寸法は、必要条件および従来技術に応じて任意に選択することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明によるプラントの概略図である。
【図2】モールド形成の各種段階における、本発明のモールドを形成するための中空体の概略図である。
【図3】モールド形成の各種段階における、本発明のモールドを形成するための中空体の概略図である。
【図4】モールド形成の各種段階における、本発明のモールドを形成するための中空体の概略図である。
【符号の説明】
【0041】
1 スポンジ製造プラント
2 コンベア
3 モールド
4 モールド加熱手段
5 注入ヘッド
7 膨張手段
9 モールドを閉じる部材
10 スポンジ
15 中空体
16 スポンジの型
17、18 ハーフケース
19 ヒンジ
20 第1混合物
21 剥離生成物の層
22 第2混合物
24 面取り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テフロン(登録商標)またはシリコーンまたは他の材料のモールド(3)を60℃〜70℃の間の温度に加熱することと、
プラスチック材料と試薬とを含む混合物を前記モールド(3)に注入することと、
混合物を30分未満の間、膨張させることと、
完成したスポンジ(10)をモールド(3)から取り出して、不透水性の表皮層のない吸水性スポンジを得ることと、
からなる、スポンジ製造プロセス。
【請求項2】
前記プラスチック材料が発泡ポリウレタンであることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
発泡ポリウレタンは親水性のポリウレタンプレポリマーであり、前記試薬は水であることを特徴とする、請求項1および2のうち一項以上に記載のプロセス。
【請求項4】
モールド(3)の内面だけが、60℃〜70℃の温度に加熱されることを特徴とする、請求項1から3のうち一項以上に記載のプロセス。
【請求項5】
前記混合物が、追加の界面活性剤および/または抗菌薬および/または増粘剤および/または香料および/または抗菌薬および/または石鹸および/またはビタミンおよび/またはスポンジ柔軟剤および軟化剤および/または殺菌剤および/または染料および/または酸化防止剤および/または抗菌剤および/またはクリームおよび/または油および/または洗剤および/または化粧剤および/または薬理学的物質を含むことを特徴とする、請求項1から4のうち一項以上に記載のプロセス。
【請求項6】
親水性のプレポリマーと水とが、1:1〜1:1.5の重量比で混合物中に含まれていることを特徴とする、請求項1から5のうち一項以上に記載のプロセス。
【請求項7】
混合物が、鋳込によって前記モールド(3)に注入されることを特徴とする、請求項1から6のうち一項以上に記載のプロセス。
【請求項8】
鋳込の後、モールド(3)は閉じられ、モールドが閉じられた状態で膨張させることを特徴とする、請求項1から7のうち一項以上に記載のプロセス。
【請求項9】
鋳込の前に、モールド(3)からスポンジ(10)を除去しやすくするための生成物がモールド(3)の内面に塗布されることを特徴とする、請求項1から8のうち一項以上に記載のプロセス。
【請求項10】
スポンジ(10)がモールド(3)から取り出された後、香料、抗菌薬、石鹸、ビタミン、スポンジ柔軟剤および軟化剤、殺菌剤、染料、酸化防止剤、抗菌剤、クリーム、油、洗剤、化粧剤および/または薬理学的物質などのうちの少なくとも1つを含む、少なくとも1つの別の添加剤がスポンジ(10)に注入されることを特徴とする、請求項1から9のうち一項以上に記載のプロセス。
【請求項11】
モールド加熱手段(4)に、次いで、モールド(3)に混合物を注入する手段(5)に前記モールド(3)を搬送するためのコンベア(2)を備えることを特徴とする、スポンジ製造プラント(1)であって、前記プラント(1)は、モールド(3)に含まれた混合物を膨張させるために、前記モールド(3)を所定時間保持するよう構成された膨張手段(7)と、続いて、前記スポンジ(10)の排出手段(8)とを備える、スポンジ製造プラント(1)。
【請求項12】
前記注入手段(5)の下流で、前記プラント(1)は前記モールド(3)を閉じるための部材(9)を備え、前記排出手段(8)は前記モールド(3)に含まれたスポンジ(10)を排出するために前記モールド(3)を開ける部材を備えていることを特徴とする、請求項11に記載のプラント(1)。
【請求項13】
前記加熱手段(4)が赤外線オーブンを備え、前記注入手段(5)は注入ヘッドを備えていることを特徴とする、請求項11および12のうち一項以上に記載のプラント(1)。
【請求項14】
スポンジモールド(3)を形成する方法であって、
製造されるスポンジの型(16)を中空体(15)内に配置することと、
シリコーンと触媒からなる第1混合物(20)を中空体(15)に導入することと、
前記第1混合物(20)を反応状態に維持して凝固させることと、
剥離生成物の層(21)を凝固した第1混合物(20)の自由表面に塗布することと、
その後、シリコーンと触媒からなる第2混合物(22)を中空体(15)に導入し、それを凝固するまで反応させることと、
中空体(15)を開け、スポンジ型(16)を除去することと、
形成されたモールド(3)を取り出すことと、
からなることを特徴とする、方法。
【請求項15】
第1混合物(20)と第2混合物(22)とが同一であることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第1混合物(20)と第2混合物(22)とが30〜40℃の温度で8時間反応状態に維持されることを特徴とする、請求項14および15のうち一項以上に記載の方法。
【請求項17】
第1混合物(20)と第2混合物(22)とが、85%〜95%の重量パーセントのシリコーンと、5%〜15%の重量パーセントの触媒とを含んでいることを特徴とする、請求項14から16のうち一項以上に記載の方法。
【請求項18】
シリコーンおよび触媒の第1および第2混合物(20、22)が、それぞれ注入後に膨張する時間は、10時間未満、好ましくは7〜9時間であることを特徴とする、請求項14から17のうち一項以上に記載の方法。
【請求項19】
前記中空体(15)が、少なくとも1つの反応ガス通気路(24)を有することを特徴とする、請求項14から18のうち一項以上に記載の方法。
【請求項20】
前記型(16)が、ユリア樹脂で処理されることによって硬化する天然スポンジからなることを特徴とする、請求項14から19のうち一項以上に記載の方法。
【請求項21】
形成された後、急速硬化ポリウレタン樹脂がモールド(3)の内部に注入され、その後、モールド(3)は閉じられ、樹脂は大気温度で20〜40分間反応状態に維持され、天然スポンジの印象を示すモールドを形成するのに使用できる複数の硬質の天然スポンジ型を形成することを特徴とする、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−211241(P2007−211241A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−16173(P2007−16173)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(507028631)
【Fターム(参考)】