説明

スポーツシューズの緊締構造

【課題】 サイドステップ時に生じるアッパーの変形を効果的に規制する。
【解決手段】 着用者の足の第5指基節骨PP骨体側面に相当する位置のアッパー部位に固着された始端Aを有し、第4指中足骨MP骨頭上に相当する位置のアッパー部位上に配置された終端Cを有する第1のベルト部材10と、第5指中足骨MB骨体側面に相当する位置のアッパー部位に固着された始端Bを有し、第4指中足骨MP骨頭上に相当する位置のアッパー部位上に配置された終端Cを有しかつ当該終端Cが第1のベルト部材10の終端Cに一致している第2のベルト部材11と、各ベルト部材10,11の終端Cを始端として第1指中足骨MB骨体側面に相当する位置のアッパー部位まで延びる第3のベルト部材12とから足甲ベルト1を構成する。足甲ベルト1は、アッパー足甲部上に略Y字状に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポーツシューズの緊締構造に関し、詳細には、サイドステップ時に生じるアッパーの変形を効果的に規制でき、さらには、サイドステップ時に生じるシューズ履き口の変形を利用してアッパーの変形を規制できるようにした緊締構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
スポーツシューズの緊締構造として、例えば特開2003−125805号公報や特開平8−317801号公報に示すようなものが提案されている。
【0003】
特開2003−125805号公報に示す緊締構造は、甲被足甲上部の内外甲側にそれぞれ配設されたベルト部材41,42からなるベルト締結機構4と、甲被前足部の内外甲側にそれぞれ配設されたベルト部材41’,42’からなるベルト締結機構4’とを有している。各ベルト締結機構4,4’の左右の各ベルト部材41,42および41’,42’は、甲被開口部を挟んでほぼ対称な位置に配設されている(同公報の段落[0036]参照)。
【0004】
当該公報に示す緊締構造においては、各ベルト部材を左右対称に配置したことにより、各ベルト部材を互いに逆方向に引っ張った際に、甲被部にねじれや皺が生じることなく、甲被内甲側部および甲被外甲側部を均等に引き寄せて、着用者の足甲部全体をシューズの甲被部で包み込むように保持している。
【0005】
特開平8−317801号公報に示す緊締構造は、甲被前足部に配設された前ベルト3Aと、甲被足甲部に配設された中ベルト3Bと、甲被足甲上部に配設された後ベルト3Cとを有している。
【0006】
当該公報に示す緊締構造においては、前ベルト3Aの緊締により足の前足部を締め付けるとともに、中ベルト3Bおよび後ベルト3Cの緊締により、アウタ1を立ち上げて足根部を締め付ける(同公報の段落[0021]参照)ことによって、アウタ1を足にフィットさせるようにしている。
【0007】
上記各公報に示すシューズの緊締構造では、シューズの甲被部の前足部および足甲部にそれぞれ対応して配設された各ベルトを締め付けることにより、甲被部の各部分を着用者の足の前足部および足甲部にフィットさせるようにしており、シューズとしての一般的なフィット性を高めるように構成されているだけである。
【0008】
本願の発明者らは、横方向の動きが多いバレーボールやバスケットボールなどの球技系種目において、サイドステップ時に競技者の足に作用する力について鋭意研究を進めた結果、上述した従来のシューズの緊締構造では、サイドステップ時にアッパーの変形を十分に規制できず、また、このとき着用者の足の不適切な位置に過大な圧力が作用していることを突き止めた。
【特許文献1】特開2003−125805号公報(図1および図3参照)
【特許文献2】特開平8−317801号公報(図2参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、サイドステップ時に生じるアッパーの変形を効果的に規制できるスポーツシューズの緊締構造を提供することにある。また、本発明は、サイドステップ時に生じるスポーツシューズの履き口の変形を利用してアッパーの変形を規制できる緊締構造を提供しようとしている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一般に、サイドステップは、横方向に跳躍する動作であるが、跳躍の直前には、着用者は、着地後、足を屈曲してから蹴り出し動作に移行している。
【0011】
このようなサイドステップにおいて、足の着地時には、シューズのアッパーの外甲側に大きな圧力が作用していると考えられる。そこで、本願の発明者らは、まず、着地時にシューズのアッパーに作用する力の分布を求めることから始めた。
【0012】
図17に示すように、長手方向に延びる8個の圧力センサシートS〜Sを用意し、被験者の足の第1指Tに圧力センサシートS〜S、第2指に圧力センサシートS、第3指に圧力センサシートS、第4指に圧力センサシートS、第5指に圧力センサシートSおよびSをそれぞれ貼着した。ここで、第1指については、第1指の上面に圧力センサシートS、Sを配置し、第1指の側面(内甲側面)に圧力センサシートSを配置した。また、第5指については、第5指の上面に圧力センサシートSを配置し、第5指の側面(外甲側面)に圧力センサシートSを配置した。なお、図17中、曲線MJは、足の中足趾節関節を示している。
【0013】
被験者が圧力センサシートS〜Sを足に貼り付けた状態でシューズを履き、サイドステップを行ったとき、各圧力センサシートS〜Sはシューズのアッパーから圧力を受けるが、このとき、各圧力センサシートS〜Sにより検出された各圧力を一つの図にまとめたものが、図18に示す圧力分布図である。
【0014】
図18中、実線の四角で囲まれた領域Rは、図17中の一点鎖線の四角で囲まれた領域Rに対応している。したがって、図18では、領域Rの上側が足甲側を、下側がつま先側を、右側が外甲側を、左側が内甲側をそれぞれ示している。また、図18において、横軸に目盛られた各部S〜Sは、図17の各圧力センサシートS〜Sの幅にそれぞれ対応している。さらに、図18中、色が濃い程、圧力が高いことを示している。
【0015】
図18から分かるように、圧力センサシートS〜Sにおいて一部高い圧力が発生している個所もあるが、圧力センサシートS〜Sにおいては、大部分の領域で高い圧力が発生していることが分かる。また、図18中に書き入れた中足趾節関節MJの位置を見れば、第5指中足趾節関節の位置およびその周囲の領域に高い圧力が作用していることが分かる。
【0016】
したがって、サイドステップの際の足の着地時には、着用者の足の第5指中足趾節関節の位置およびその周囲の領域がシューズのアッパーから高い押付圧を受けており、このとき、第5指中足趾節関節の位置およびその周囲の領域に対応するアッパー部位に高い押付圧が作用して、当該アッパー部位が最大変形を生じている。
【0017】
その一方、図19は、足の着地時に足からシューズのアッパーに作用する押付圧によりアッパーに発生する引張応力の分布をコンピュータシミュレーションにより求め、これを足の骨格図の上に重ねて表したものである。なお、図19中、第5指に付された各参照符号において、DPは末節骨を、MPは中節骨を、PPは基節骨を、MBは中足骨を、MJは中足趾節関節をそれぞれ示している。
【0018】
図19に示すように、アッパーに発生する引張応力は、着用者の足の第5指中足趾節関節MJおよびその周囲で高くなっており、これは、図18の結果とほぼ一致している。
【0019】
次に、サイドステップの際の足の屈曲動作時には、シューズ内甲側側面図である図15に示すように、着用者Pの足の踵部分Hは接地面Gから浮いており、足のつま先部分Tのみが接地面Gと接地した状態にある。また、このとき、図15のシューズを同図のやや前方上側から見た図である図16に示すように、着用者Pの脚は内甲側に傾いた状態にある。なお、図16中には、シューズのアッパーの圧縮ひずみ分布が併せて示されており、ここで、アッパーの「圧縮ひずみ」とは、アッパーの圧縮変形後の長さから元の長さを引いたもの(圧縮変形量)を元の長さで割った値であり、図16中、色が濃いほど圧縮ひずみが大きいことを表している。
【0020】
図16から分かるように、アッパーの圧縮ひずみは、アッパー足甲部の第1指中足骨骨頭直上付近で大きくなっている。また同図中、点線で囲まれた部分は、着用者の足の第1指中足骨骨体部に相当しており、当該部分における圧縮ひずみは相対的に小さいことが分かる。
【0021】
以上のことから、本願の発明者らは、サイドステップの際の足の着地時に生じるアッパーの変形を効果的に規制するためには、シューズのアッパー外甲側部位において、緊締ベルトの一端を着用者の足の第5指中足趾節関節およびその周囲に対応するアッパー外甲側部位に固着すればよいと考えた。また、本願の発明者らは、サイドステップの際の足の屈曲時には、第1指中足骨骨頭直上でアッパーの圧縮ひずみが大きいため、シューズの緊締ベルトは、第1指中足骨骨頭直上の位置を外れた位置に設けるのが好ましいと判断した。さらに、本願の発明者らは、当該緊締ベルトの他端は、アッパー内甲側部位において、アッパーの変形が小さい、足の第1指中足骨骨体部に相当するアッパー部位まで延設して止着するようにすればよいと考えた。
【0022】
本願発明は、以上のような考察結果に基づいてなされたものであって、本願の請求項1の発明に係るスポーツシューズの緊締構造は、図1の模式図に示すように、シューズのアッパーの足甲部に配設される足甲ベルト(1)を有している。当該足甲ベルト(1)は、着用者の足の第5指基節骨(PP)骨体側面に相当する位置のアッパー部位に固着された始端(A)を有し、第4指中足骨(MB)骨頭上に相当する位置のアッパー部位上に配置された終端(C)を有する第1のベルト部材(10)と、第5指中足骨(MB)骨体側面に相当する位置のアッパー部位に固着された始端(B)を有し、第4指中足骨(MB)骨頭上に相当する位置のアッパー部位上に配置された終端(C)を有しかつ当該終端(C)が第1のベルト部材(10)の終端(C)に一致している第2のベルト部材(11)と、第1および第2のベルト部材(10,11)の終端(C)から着用者の足の第1指中足骨(MB)骨体側面に相当する位置のアッパー部位まで延びる第3のベルト部材(12)と、第3のベルト部材(12)を介して当該足甲ベルト(1)を緊締するための足甲ベルト緊締手段とを備えており、足甲ベルト(1)がアッパーの足甲部上に略Y字状に配設されている。
【0023】
なお、本願明細書中、「骨体」とは、骨先端の骨頭部および骨末端の骨底部を除く骨の中間部位を指している。
【0024】
請求項1の発明によれば、足甲ベルト(1)を構成する第1、第2のベルト部材(10,11)の始端(A,B)が、第5指基節骨(PP)骨体側面に相当する位置および第5指中足骨(MB)骨体側面に相当する位置の各アッパー部位に配置されているので、サイドステップの際の足の着地時に足からアッパーに作用する押付圧を第1、第2のベルト部材(10,11)で略均等に受けることができ、これにより、アッパーの変形を効果的に規制できる。
【0025】
また、この場合には、第1、第2のベルト部材(10,11)の始端(A,B)が足の第5指中足趾節関節(MJ)の位置に配置されていないので、サイドステップの際の足の着地時に第5指が中足趾節関節(MJ)で屈曲する際に、第5指の屈曲が各ベルト部材(10,11)によって阻害されるのを防止できるとともに、第5指に対する足当たりを良好にすることができる。
【0026】
しかも、この場合には、足甲ベルト(1)がアッパーの足甲部上にY字状に配設されているので、足甲ベルト緊締手段により第3のベルト部材(12)を緊締した際には、第3のベルト部材(12)の張力が第1、第2のベルト部材(10,11)のV字状の配設部分に作用する。すると、第5指中足趾節関節(MJ)の前後位置における第5指の部位が各ベルト部材(10,11)により挟み込まれるようにして保持される。これにより、足の第5指がシューズのアッパー内で前後方向にずれるのを確実に防止できるようになる。
【0027】
これに対して、従来の緊締構造のように、足甲ベルトを単にアッパー幅方向に配設しただけのものでは、サイドステップの際の足の着地時に足の第5指がアッパー内で前後方向にずれる恐れがある。
【0028】
ここで、サイドステップの際の足の着地動作時に生じる床反力の方向を測定して、ソールに作用する最大せん断力方向を求めたところ、図1中、第1指中足趾節関節MJ内の中心Oからそれぞれ延びる矢印X方向および矢印Y方向で挟まれた領域において、中心Oから延びる方向に最大せん断力方向が発生していることが判明した。その一方、第3のベルト部材(12)の配設方向は、始端(C)から終端(D)に向かう方向であるが、この場合、終端(D)を第1指中足骨(MB)の骨体のどの位置に配置したところで、第3のベルト部材(12)の配設方向は、矢印X方向および矢印Y方向で挟まれた領域に位置している。
【0029】
したがって、第3のベルト部材(12)の始端(C)および終端(D)を上述した位置に配置することにより、第3のベルト部材(12)の配設方向を最大せん断力方向と略一致させることができ、これにより、サイドステップの際の足の着地動作時に生じる床反力を第3のベルト部材(12)によって効果的に支持できるようになる。
【0030】
さらに、請求項1の発明によれば、第3のベルト部材(12)の終端(D)が、屈曲時にアッパーの圧縮ひずみが大きい第1指中足骨(MB)骨頭位置を避けて、第1指中足骨(MB)骨体側面に配設されているので、第1指に対する足当りを良好にすることができる。
【0031】
ところで、上述した特開2003−125805号公報の図1に記載された緊締構造のシューズの場合、第2のベルト部材(42’)の基端部(42’a)は二股になっているが、これらの二股状部分はいずれもシューズ幅方向に平行に配設されており、本願の請求項1の発明のように、アッパー上でV字状に交差するようには設けられていない。また、二股状部分のうちの前側部分は、着用者の足の第5指中足趾節関節とオーバラップする位置に設けられている。
【0032】
請求項2の発明では、第1および第2のベルト部材(10,11)の各始端(A,B)が、第5指中足趾節関節(MJ)を外れた位置に配置されている。
【0033】
この場合には、サイドステップの際の足の着地時に第5指が中足趾節関節(MJ)で屈曲するときに、第5指の屈曲が各ベルト部材(10,11)によって阻害されるのを確実に防止できる。
【0034】
請求項3の発明では、第2のベルト部材(11)の始端(B)が、第5指中足骨(MB)骨頭近傍に相当する位置に配置されている。
【0035】
この場合には、第1、第2のベルト部材(10,11)によるV字状の配設部分の交差角度が小さくなって、第5指基節骨(PP)の骨底部および第5指中足骨(MB)の骨頭部が第1、第2のベルト部材(10,11)で強固に挟持されることになるので、足の第5指がシューズのアッパー内で前後方向にずれるのをより確実に防止できるようになる。
【0036】
第2のベルト部材(11)の始端(B)は、請求項4の発明に記載されているように、第5指中足骨(MB)骨体の中央部に相当する位置に配置されていてもよい。
【0037】
第2のベルト部材(11)の始端(B)の位置としては、少なくとも第5指中足骨(MB)の骨頭位置を避けていることが必要であるが、第5指中足骨(MB)が長さの長い骨であるため、第2のベルト部材(11)の始端(B)の位置は、第5指中足骨(MB)の骨体の前側の位置に限らず、中央の位置でもよい。このように、第2のベルト部材(11)の始端位置を、標準的な足の第5指中足骨の骨体中央位置に相当するアッパー部位に配置した場合には、着用者の足の長さや形状に個体差があった場合でも、第2のベルト部材(11)の始端位置は、着用者の足の第5指中足骨の骨体中央位置の近傍領域に配置されることになる。
【0038】
請求項5の発明では、第3のベルト部材(12)の終端(D)が、第1指中足骨(MB)骨体の中央部に相当する位置に配置されている。
【0039】
この場合には、図1において、ソールの長軸をLとするとき、第3のベルト部材(12)の配設方向は、長軸Lから約70°の方向にある。その一方、矢印X方向は長軸Lから外甲側に30°の方向にあり、矢印Y方向は長軸Lから外甲側に110°の方向にある。このことから、第3のベルト部材(12)の配設方向は、矢印X方向と矢印Y方向の中央値の方向と一致していることが分かる。
【0040】
したがって、第3のベルト部材(12)の終端(D)の位置を請求項5の発明に記載された位置に配置することにより、第3のベルト部材(12)の配設方向を平均的な最大せん断力方向と一致させることができ、これにより、サイドステップの際の着地動作時に生じる床反力を第3のベルト部材(12)によって一層効果的に支持できるようになる。
【0041】
請求項6の発明では、足甲ベルト緊締手段が、アッパーの内甲側に設けられかつ第3のベルト部材(12)を通すためのベルト通し具と、ベルト通し具を通ってアッパーの外甲側に折り返された第3のベルト部材(12)を当該第3のベルト部材(12)またはアッパー外甲側部分に係止するための係脱可能な係止手段とから構成されている。
【0042】
ベルト通し具は、請求項7の発明では、アッパーの内甲側部位に固着されたベルト片に取り付けられたD環から構成されており、請求項8の発明では、シューズのソール構成部材に形成されたスリットにより構成されている。
【0043】
ベルト通し具をD環から構成する場合には、着用者の足に対する足当たり感を悪化させないように、D環の位置を考慮する必要があるが、スリットの場合には、このような配慮をする必要がない。なお、本願明細書中、「D環」とは、D字形のリングのみならず、矩形状や楕円状等のリングを含む趣旨である。
【0044】
請求項9の発明では、ソール構成部材が、ソール内に配設された樹脂製のプレートであり、スリットが、プレートの側部に設けられている。この場合には、スリットとしての強度を確保できる。
【0045】
プレートは、請求項10の発明に記載されているように、前後方向に進む波形状を有するウェーブプレートであってもよい。
【0046】
この場合には、着地時のソールの横触れを防止するためのウェーブプレートを利用してスリットを設けることができ、D環のような別個の部材を設ける必要がない。
【0047】
請求項11の発明では、ソール構成部材がミッドソールまたはアウトソールである。
【0048】
すなわち、この場合には、ミッドソールまたはアウトソールに形成されたスリットにより、ベルト通し具が構成される。
【0049】
請求項12の発明では、図1の模式図に示すように、第5指中足骨(MB)骨体側面に相当する位置(E)からアッパーの足甲上部を通ってシューズの履き口部の内甲側部分の位置(F)まで延びる足甲上部ベルト(2)をさらに備えており、足甲上部ベルト(2)が、シューズの中足部において実質的に幅方向に延設されて第3のベルト部材(12)に連結されるとともに、当該足甲上部ベルト(2)を緊締するための足甲上部ベルト緊締手段を有している。なお、図1中、参照符号CUは楔状骨、CBは立方骨、NAは舟状骨、CAは踵骨、TAは距骨をそれぞれ示している。
【0050】
この場合には、サイドステップの際の着地動作時において着用者の足首が内側に傾斜した際に、シューズの履き口部の開きに応じて足甲上部ベルト(2)のベルト部材(20)が上方に引っ張られ、足甲ベルト(1)の第3のベルト部材(12)がシューズの内甲側に引っ張られるので、足甲ベルト(1)の第1、第2のベルト部材(10,11)をさらに緊締できる。これにより、サイドステップの際の着地動作時にアッパーの外甲側部分が変形するのをより強固に規制できるようになる。
【0051】
なお、サイドステップの際の着地時にアッパー外甲側部分に作用する押付荷重が過大なものであったり、足甲ベルト(1)によるアッパー足甲部の締付圧が弱かったりした場合には、サイドステップの際の着地時にアッパーの外甲側部分が若干変形することにより、足甲ベルト(1)が外甲側に引っ張られ、その結果、ベルト部材(20)が下方に引っ張られることになるので、シューズの履き口を締め付けることができるようになり、シューズと足を一体化することができる。
【0052】
請求項13の発明では、足甲上部ベルトが、シューズの中足部においてソールの底面側に配設されている。
【0053】
ここでいう「ソール」とは、アウトソール、ミッドソールの他、ソールを構成するプレート部材等を含む趣旨である。なお、アウトソールの底面側とは、接地面側を指している。
【0054】
請求項14の発明では、足甲上部ベルトが、シューズの中足部においてソールを幅方向に貫通するスリットを通って幅方向に配設されている。
【0055】
請求項13の発明と同様に、ここでいう「ソール」とは、アウトソール、ミッドソールの他、ソールを構成するプレート部材等を含む趣旨である。
【0056】
請求項15の発明では、足甲上部ベルトが、シューズの中足部において、アッパーを幅方向に貫通するスリットを通り、アッパーの内部においてインソールの上面または下面に沿って足幅方向に延びている。
【0057】
請求項16の発明では、足甲上部ベルトまたは第3のベルト部材のいずれか一方が一端にD環を有しており、足甲上部ベルトまたは第3のベルト部材の他方が、D環を通って折り返された後、足甲上部ベルト、第3のベルト部材またはアッパーに係脱可能に係止されるようになっている。
【0058】
請求項17の発明では、足甲上部ベルトが第3のベルト部材と一体に設けられている。
【0059】
この場合には、足甲ベルトおよび足甲上部ベルトを一本のベルトで構成でき、緊締構造を簡略化できるので、緊締動作が容易になる。
【0060】
足甲上部ベルトは、請求項18の発明では、シューズの外甲側においてアッパーの外側に配設されており、請求項19の発明では、シューズの外甲側においてアッパーに形成されたスリットを通ってアッパーの内側に配設されている。
【0061】
足甲上部ベルトをアッパーの内側に配設した場合には、第3のベルト部材のための係止手段の取付位置をアッパー上に容易に確保することができるとともに、足甲上部ベルトのシューズ外甲側配設個所のアッパー上にシューズの意匠を施すことができるようになる。
【0062】
請求項20の発明では、足甲上部ベルト緊締手段が、シューズの履き口部の内甲側部分に配設された履き口ベルトに取り付けられたD環と、D環を通ってアッパーの外甲側に折り返された足甲上部ベルトを当該足甲上部ベルトまたはアッパー外甲側部分に係止するための係脱可能な係止手段とから構成されている。
【0063】
請求項21の発明では、足甲上部ベルト緊締手段が、足甲上部ベルトの先端に取り付けられたD環と、シューズの履き口部に配設された履き口ベルトと、D環を通って折り返された履き口ベルトを当該履き口ベルトまたはアッパーに係止するための係脱可能な係止手段とから構成されている。
【発明の効果】
【0064】
以上のように本発明に係るスポーツシューズの緊締構造によれば、足甲ベルトを構成する第1、第2のベルト部材の始端を、第5指基節骨骨体側面に相当する位置および第5指中足骨骨体側面に相当する位置の各アッパー部位に配置するようにしたので、サイドステップの際の着地時に足からアッパーに作用する押付圧を第1、第2のベルト部材で略均等に受けることができ、これにより、アッパーの変形を効果的に規制できる。また、この場合、サイドステップの際の足の着地時に第5指が中足趾節関節で屈曲する際に、第5指の屈曲が各ベルト部材によって阻害されるのを防止できるとともに、第5指に対する足当りを良好にすることができる。しかも、この場合には、足甲ベルト緊締手段により第3のベルト部材を緊締した際に、第5指中足趾節関節の前後位置における第5指の部位が各ベルト部材により挟み込まれるようにして保持されるので、第5指がシューズのアッパー内で前後方向にずれるのを確実に防止できる。さらに、第3のベルト部材の終端を、第1指中足骨骨頭位置を避けて、屈曲動作時にアッパーの圧縮ひずみが小さい、第1指中足骨骨体側面に相当する位置のアッパー部位に配置するようにしたので、屈曲動作時の足当りを良好にすることができる。また、第3のベルト部材の配設方向を接地時の最大せん断力方向と一致させることができ、これにより、サイドステップの際の着地動作時に生じる床反力を第3のベルト部材で効果的に支持できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
<第1の実施例>
図2ないし図4は、本発明の第1の実施例によるバレーボールシューズを示しており、図2はシューズの外甲側側面概略図、図3は図2の平面概略図、図3Aは図3のシューズ全体を正面側上方から見た斜視図、図4は図2の内甲側側面概略図である。なお、図2、図3および図4では、シューズの前足部のみが実線で示されており、その後方側部分は二点鎖線で示されている。また、図3Aは、図3中の一点鎖線に対応している。
【0066】
これらの図に示すように、バレーボールシューズ100は、ソール101と、ソール101の上に固着されたアッパー102とを備えている。アッパー102の足甲部には、緊締構造を構成する足甲ベルト1が配設されている。
【0067】
足甲ベルト1は、アッパー102の外甲側において略V字状に交差するように配設された第1および第2のベルト部材10,11と、両ベルト部材10,11の交差個所からアッパー3の内甲側まで延びる第3のベルト部材12とから構成されている。足甲ベルト1は、アッパー102の足甲部上において、略Y字状に配設されている。
【0068】
第1のベルト部材10は、始端Aから終端Cまで延びており、第2のベルト部材11は、始端Bから終端Cまで延びている。第1のベルト部材10は、始端Aでアッパー102に固着されており、第2のベルト部材11は、始端Bでアッパー102に固着されている。第3のベルト部材12は、第1、第2のベルト部材10,11の終端Cを始端として終端Dまで延びている。
【0069】
ここで、各端A,B,C,Dは、図1中の各端A,B,C,Dにそれぞれ対応している。すなわち、始端Aは、着用者の足の第5指基節骨PP骨体側面に相当する位置のアッパー部位に配置されており、始端Bは、第5指中足骨MB骨体側面に相当する位置のアッパー部位に配置されており、終端Cは、第4指中足骨MB骨頭上に相当する位置のアッパー部位上に配置されている。終端Dは、着用者の足の第1指中足骨MB骨体側面に相当する位置のアッパー部位に配置されている。
【0070】
アッパー102の内甲側には、第3のベルト部材12の配設方向に沿って延びるベルト片13が設けられている。ベルト片13の下端は、アッパー102の下部に固着されている。ベルト片13の上端には、D環14が取り付けられている。第3のベルト部材12がベルト片13のD環14を通って足甲側に折り返されるために、終端Dの上にはベルト片13が配置されている。
【0071】
第3のベルト部材12の端部には、D環14を通ってアッパー外甲側に折り返された当該第3のベルト部材12の係止手段としての面ファスナ部材12aが固着されている。一方、面ファスナ部材12aに対応した当該第3のベルト部材12上の部位またはアッパー外甲側部位には、面ファスナ12aに係脱可能に係合し得る面ファスナ部材が固着されている。
【0072】
ここで、図3には、D環14を通った第3のベルト部材12が、当該第3のベルト部材12上に折り返された例(同図実線参照)と、その後方側の足甲上に折り返された例(同図一点鎖線参照)とが示されている。後者のように、第3のベルト部材12をアッパー外甲側に折り返して面ファスナ12aによりアッパー外甲側部位に止着した場合には、アッパー中足部位のアッパー開口部(図示せず)を挟んだ内外甲側部分にも緊締力を及ぼすことができ、これにより、足の屈曲時におけるアッパー開口部のねじれや左右の開きを規制できる。
【0073】
図3Aは、第3のベルト部材12が足甲側に折り返された例に対応しており、さらに、この場合には、第3のベルト部材12は、アッパー102の外甲側部分から足甲側に向かって延設されたベルト部材15の上に面ファスナ部材を介して係脱自在に係合している。ベルト部材15の先端は、第3のベルト部材12に連結されている。
【0074】
次に、本実施例の作用効果について説明する。
着用者がシューズ100を履いて、足甲ベルト1により緊締する際には、第3のベルト12をD環14内に通してからアッパー外甲側に折り返し、面ファスナ12aによって、第3のベルト部材12上に止着し(図3実線参照)、またはアッパー外甲側部位に止着する(同図一点鎖線参照)。
【0075】
この場合には、足甲ベルト1を構成する第1、第2のベルト部材10,11の始端A,Bが、第5指基節骨PP骨体側面に相当する位置および第5指中足骨MB骨体側面に相当する位置の各アッパー部位に配置されているので、サイドステップの際の着地時に足からアッパーに作用する押付圧を第1、第2のベルト部材10,11で略均等に受けることができ、これにより、アッパー102の変形を効果的に規制できる。
【0076】
また、第1、第2のベルト部材10,11の始端A,Bが足の第5指中足趾節関節MJを外れた位置に配置されているので、サイドステップの際の足の屈曲時に第5指が中足趾節関節MJで屈曲する際に、第5指の屈曲が各ベルト部材10,11によって阻害されるのを防止できるとともに、第5指に対する足当りを良好にすることができる。
【0077】
しかも、足甲ベルト1がアッパーの足甲部上にY字状に配設されているので、第3のベルト部材12を緊締した際には、第3のベルト部材12の張力が第1、第2のベルト部材10,11のV字状の配設部分に作用する。すると、第5指中足趾節関節MJの前後位置における第5指の部位が各ベルト部材10,11により挟み込まれるようにして保持される。これにより、足の第5指がシューズのアッパー内で前後方向にずれるのを確実に防止できるようになる。
【0078】
さらに、第1、第2のベルト部材10,11の終端Cが、第4指中足骨MB骨頭上に相当する位置のアッパー部位に配置されているので、サイドステップの際の足の屈曲時に、各ベルト部材が各足指の屈曲の妨げになることがない。この点を図1を用いてより詳細に説明すると、同図において、第1、第2のベルト部材10,11の終端Cを、第3のベルト部材12の配設方向であるCD方向に沿って内甲側(つまり線分CD上において終端D寄りの位置)に配置した場合には、始端Aおよび終端Cを結ぶ第1のベルト部材10が第4指中足趾節関節MJ上を通ることになって、第4指の屈曲を妨げることになる。その一方、第1、第2のベルト部材10,11の終端Cを、第3のベルト部材12の配設方向であるCD方向に沿って外甲側(つまり線分CDの始端C側への延長線上の位置)に配置した場合には、始端Aおよび終端Cを結ぶ第1のベルト部材10が第5指中足趾節関節MJ上を通ることになって、第5指の屈曲を妨げることになる。これに対して、第1、第2のベルト部材10,11の終端Cを第4指中足骨MB骨頭上に配置した場合には、第1のベルト部材10が(第2のベルト部材11についても)足指の屈曲を妨げることはない。
【0079】
また、既述したように、第3のベルト部材12の配設方向は、始端Cから終端Dに向かう方向であるが、この場合、終端Dを第1指中足骨MBの骨体のどの位置に配置したところで、第3のベルト部材12の配設方向は、図1中の矢印X方向および矢印Y方向で挟まれた領域に位置している。これにより、第3のベルト部材12の配設方向を最大せん断力方向と一致させることができ、これにより、サイドステップの際の着地動作時に生じる床反力を第3のベルト部材12によって効果的に支持できるようになる。
【0080】
さらに、終端Dが、第1指中足骨MB骨頭位置を避けて、第1指中足骨MB骨体側面に相当する位置に配設されているので、ベルト片13による第1指への足当りを良好にすることができる。
【0081】
第2のベルト部材11の始端Bは、図1に示すように、第5指中足骨MB骨頭下部に相当する位置に配置されているのが好ましい。
【0082】
この場合には、第1、第2のベルト部材10,11によるV字状の配設部分の交差角度が小さくなって、第5指基節骨PPの骨底部および第5指中足骨MBの骨頭部が第1、第2のベルト部材10,11で強固に挟持されることになるので、足の第5指がシューズのアッパー内で前後方向にずれるのをより確実に防止できるようになる。
【0083】
なお、第2のベルト部材11の始端Bは、第5指中足骨MB骨体の中央部に相当する位置に配置されていてもよい。
【0084】
第2のベルト部材11の始端Bの位置としては、少なくとも第5指中足骨MBの骨頭位置を避けていることが必要であるが、第5指中足骨MBが長さの長い骨であるため、第2のベルト部材11の始端Bの位置は、第5指中足骨MBの骨体の前側の位置に限らず、中央の位置でもよい。
【0085】
第3のベルト部材12の終端Dは、第1指中足骨MB骨体の中央部に相当する位置に配置されているのが好ましい。
【0086】
この場合には、既述したように、第3のベルト部材12の配設方向が、図1中の矢印X方向と矢印Y方向の中央値の方向(すなわち、長軸Lから約70°の方向)と一致しており、平均的な最大せん断力方向と一致させることができ、これにより、サイドステップの際の着地動作時に生じる床反力を第3のベルト部材12によって一層効果的に支持できるようになる。
【0087】
<第2の実施例>
図5は、本発明の第2の実施例によるバレーボールシューズの内甲側側面概略図である。同図中、前記第1の実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0088】
前記第1の実施例では、第3のベルト部材12のベルト通し具として、ベルト片13に取り付けられたD環14を用いた例を示したが、この第2の実施例では、ソール101内のウェーブプレート103に形成されたスリット103aを用いている。
【0089】
図5に示すように、ソール101は、下方に配置され、波形状面を有する下部ソール101Aと、その上方に配置され、下部ソール101Aの波形状面に対応した波形状面を有する上部ソール101Bとから構成されており、ウェーブプレート103は、上下部ソール101A,101Bの各波形状面で挟持されている。ウェーブプレート103は、前後方向(同図左右方向)に進行する波形状を有しており、例えば硬質樹脂製の部材である。ウェーブプレート103は、上方に立ち上がる巻上げ部103Aを側部に有している。巻上げ部103Aには、第3のベルト部材12を通すためのスリット103aが形成されている。
【0090】
この場合には、着地時のソールの横触れを防止するためのウェーブプレート103の巻上げ部103Aを利用してウェーブプレート103にスリット103aを設けることができ、D環のような別個の部材を設ける必要がない。しかも、この場合には、硬質樹脂製の部材にスリットが形成されるので、スリットとしての強度を確保できる。また、前記第1の実施例のように、ベルト通し具としてD環を用いた場合には、着用者の足に対する足当たり感を悪化させないように、D環の位置を考慮する必要があるが、スリットの場合には、このような配慮をする必要がない。
【0091】
なお、この第2の実施例では、波形状のウェーブプレートにスリットを形成した例を示しているが、スリットは、平坦状のプレートに形成するようにしてもよい。あるいは、プレートを用いることなく、軟質弾性部材製のミッドソールや硬質弾性部材製のアウトソール自体にスリットを形成するようにしてもよい。
【0092】
<第3の実施例>
図6および図7は、本発明の第3の実施例によるバレーボールシューズを説明するための図であって、図6はバレーボールシューズの内甲側側面概略図、図7はその外甲側側面概略図である。各図中、前記第1の実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0093】
この第3の実施例では、足甲ベルト1に加えて、足甲上部ベルト2が設けられている点が前記第1の実施例と異なっている。足甲上部ベルト2は、単一のベルト部材20から構成されている。
【0094】
ベルト部材20は、図1の模式図に示すように、第2のベルト11の始端 Bの後方であって第5指中足骨MB骨体側面に相当する位置Eからアッパーの足甲上部(すなわち楔状骨CUおよび舟骨NAの上方)を通ってシューズの履き口部の内甲側部分の位置Fまで延びるとともに、シューズの中足部において実質的に足幅方向に延設されて(図1中の点線参照)、第3のベルト部材12に連結されている。ベルト部材20のシューズ中足部における配設方向としては、第3のベルト部材12の終端Dにおいてソールの長軸Lに直交する垂線に対して第3のベルト部材12と対称な方向に配設されているのが好ましい。
【0095】
ベルト部材20は、シューズの中足部においてソール101の底面側(つまりアウトソール接地面側)に配設されている。ベルト部材20は、その一端にD環14を有しており、D環14を介して足甲ベルト1の第3のベルト部材12に連結されている。ベルト部材20の他端は、シューズの履き口部の内甲側部分に設けられたD環31を通って履き口の外甲側部分に沿って折り返されるとともに、面ファスナ部材20aによってアッパー外甲側部分に係脱可能に止着されている。D環31は、ベルト部材20の履き口内甲側部への配設方向と一致する方向に沿って履き口部の内甲側部分に配設された履き口ベルト3の先端に取り付けられている。ベルト部材20の終端Fの位置には、履き口ベルト3が配設されている。また、ベルト部材20は、シューズの外甲側において、アッパー102の上に配設されている。
【0096】
この場合、サイドステップの際の着地時に、アッパー102の外甲側部分の変形が足甲ベルト1により規制される点は、前記第1の実施例と同様であるが、この第3の実施例においては、さらに、サイドステップの際の着地動作時において着用者の足首が内側に傾斜した際に、シューズの履き口部の開きに応じて足甲上部ベルト2のベルト部材20が上方に引っ張られ、D環14を介して足甲ベルト1の第3のベルト部材12がシューズの内甲側に引っ張られるので、足甲ベルト1の第1、第2のベルト部材10,11をさらに緊締できる。これにより、サイドステップの際の着地動作時にアッパー102の外甲側部分が変形するのをより強固に規制できるようになる。
【0097】
なお、サイドステップの際の着地時にアッパー外甲側部分に作用する押付荷重が過大なものであったり、足甲ベルト1によるアッパー足甲部の締付圧が弱かったりした場合には、サイドステップの際の着地時にアッパー102の外甲側部分が若干変形することにより、足甲ベルト1が外甲側に引っ張られ、その結果、D環14を介してベルト部材20が下方に引っ張られることになるので、シューズの履き口を締め付けることができるようになる。
【0098】
また、この場合には、足甲ベルト1を緊締してアッパー102の足甲部を締め付ける際に、足甲上部ベルト2のベルト部材20を介してシューズの履き口を締め付けることができ、その一方、足甲上部ベルト2のベルト部材20を緊締してシューズの履き口部を締め付ける際に、足甲ベルト1を介してアッパー102の足甲部を締め付けることができるようになる。その結果、フィット性をさらに高めたシューズを実現できる。
【0099】
なお、D環14は、第3のベルト部材12の先端に取り付けられていてもよい。この場合、ベルト部材20が第3のベルト部材12のD環14を通って折り返された後、当該第3のベルト部材12の上に面ファスナ(図示せず)を介して係脱可能に止着される。
【0100】
同様に、D環31は、ベルト部材20の先端に取り付けられていてもよい。この場合、履き口ベルト3がベルト部材20のD環31を通ってアッパー内甲側部分に折り返された後、当該履き口ベルト3またはアッパー102の上に面ファスナ(図示せず)を介して係脱可能に止着される。
【0101】
<第4の実施例>
図8は、本発明の第4の実施例によるバレーボールシューズの内甲側側面概略図である。同図中、前記第3の実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0102】
前記第3の実施例では、ベルト部材20がシューズの中足部においてソール101の底面側(アウトソール接地面側)に配設された例を示したが、この第4の実施例では、ベルト部材20がシューズの中足部においてソール101の内部を挿通している。
【0103】
図8に示すように、ソール101には、ソール101を実質的に幅方向に貫通するスリット101aが形成されており、ベルト部材20は、スリット101a内に配設されている。なお、スリット101aの貫通方向としては、好ましくは、前記第3の実施例におけるベルト部材20の配設方向(図1中の点線DE方向)と同一である。また、ベルト部材20は、シューズの外甲側においてスリット101aから出た後、前記第3の実施例と同様に、アッパー102の足甲上部を通ってシューズの履き口部の内甲側部分の位置のD環31まで延び、D環31を通って折り返されるとともに、アッパー102の外甲側部分に止着されている(図7参照)。
【0104】
なお、ソール101としては、ミッドソールの他、ソールを構成するプレート部材等を含んでいる。また、ベルト部材20は、ミッドソールやプレート部材等の内部を貫通するスリットに通す場合に限らず、ソールを構成する部材同士の界面、たとえばミッドソールおよびアウトソール間の界面、ミッドソールおよびウェーブプレート間の界面、上下に積層された各ウェーブプレート間の界面に沿って配設するようにしてもよい。さらに、ベルト部材20は、ソール幅方向の配設部分において、ソール幅方向全体にわたってソール内部に配設されていなくてもよく、一部がソール外部に露出していてもよい。
【0105】
<第5の実施例>
図9は、本発明の第5の実施例によるバレーボールシューズの内甲側側面概略図である。同図中、前記第4の実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0106】
前記第4の実施例では、ベルト部材20がシューズの中足部においてソール101の内部を挿通している例を示したが、この第5の実施例では、ベルト部材20が、シューズの中足部においてアッパー102を挿通している。
【0107】
図9に示すように、アッパー102には、アッパー102を厚み方向に貫通するスリット102aが形成されている。すなわち、図9には明確に表れていないが、シューズの外甲側のアッパー部位にも同様のスリット102aが形成されている。ベルト部材20は、アッパー102の内外甲側の各スリット102aを通ってシューズの中足部を挿通している。各スリット102aの形成位置としては、各スリット102aを通るベルト部材20の配設方向が前記第3の実施例におけるベルト部材20の配設方向(図1中の点線DE方向)と同一となるような位置が好ましい。
【0108】
また、ベルト部材20は、シューズの内部において、インソール(図示せず)の上面または下面に配設されている。インソールは、着用者の足裏に直接接触する部材であるため、ベルト部材20をインソール上に配設する場合には、足当り感を良好にするために、ベルト部材20の足裏当接部位を幅広に形成して、足裏に対する面圧を下げるようにするのが好ましい。なお、ベルト部材20のシューズ外甲側における取付けは、前記第4の実施例の場合と同様である。
【0109】
<第6の実施例>
前記第3ないし第5の実施例では、足甲ベルト1および足甲上部ベルト2がそれぞれ別個の部材として設けられた例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。図10は、本発明の第6の実施例によるバレーボールシューズの内甲側側面概略図である。同図中、前記第3の実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0110】
この第6の実施例では、足甲ベルト1および足甲上部ベルト2が一体に設けられており、足甲ベルト1および足甲上部ベルト2が単一のベルト部材により構成されている。
【0111】
図10に示すように、足甲上部ベルト2のベルト部材20は、シューズの中足部においてソール101の底面側(アウトソール接地面側)に配設されるとともに、シューズの内甲側においてソール101の上部に形成されたスリット101bを通って、アッパー102の上部から外甲側まで延びている。アッパー102の外甲側において、ベルト部材20は、足甲ベルト1の第1、第2のベルト部材10,11(図7参照)に対応する位置において二股に分岐して配設されている。
【0112】
この場合には、足甲ベルト1および足甲上部ベルト2を一本のベルトで構成でき、緊締構造を簡略化できるので、緊締動作が容易になる。
【0113】
なお、シューズの内甲側においてベルト部材20を通すスリットは、ソール101に形成する場合に限らない。図10Aに示すように、上下部ソール101A,101B間に介装されたウェーブプレート103の巻上げ部103Aに形成したスリット103aを用いるようにしてもよい。
【0114】
<第7の実施例>
図11は、本発明の第7の実施例によるバレーボールシューズの内甲側側面概略図である。同図中、前記第4および第6の実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0115】
この第7の実施例においても、前記第6の実施例と同様に、足甲ベルト1および足甲上部ベルト2が単一のベルト部材により一体に設けられているが、この場合には、シューズの中足部における足甲上部ベルト2のベルト部材20の配設の仕方が、前記第6の実施例とは異なり、前記第4の実施例と同様になっている。
【0116】
すなわち、ベルト部材20は、ソール101に実質的に幅方向に貫通形成されたスリット101a内に配設されるとともに、アッパー102の外甲側において、足甲ベルト1の第1、第2のベルト部材10,11(図7参照)に対応する位置で二股に分岐して配設されている。
【0117】
<第8の実施例>
前記第3ないし第7の実施例では、足甲上部ベルト2のベルト部材20が、シューズの外甲側において、アッパー102上(つまりアッパー102の外側)に配設された例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。図12は、本発明の第8の実施例によるバレーボールシューズの外甲側側面概略図である。同図中、前記第3の実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0118】
図12に示すように、アッパー102の外甲側部分には、アッパー102を厚み方向に貫通するスリット102bが形成されている。ベルト部材20は、スリット102b内に挿入されるとともに、アッパー102の内側を通って足甲上部まで配設されている。
【0119】
この場合には、足甲ベルト1の第3のベルト部材12をアッパー外甲側に止着するための面ファスナの取付位置(図3点線参照)をアッパー102の上に容易に確保できるとともに、ベルト部材20のシューズ外甲側配設個所におけるアッパー102の上にシューズの意匠を施すことができるようになる。
【0120】
<効果確認試験の結果>
次に、本発明による緊締構造の効果を確認するために確認試験を行った。以下に、試験の概要および結果を示す。
a)試験方法
テスト品: 図11に記載の第7の実施例によるシューズの同等品(着用者の足の第5指中足骨骨頭に相当するアッパー部位に加速度センサを取り付けた)
被験者: インドア系種目の競技者A,B,Cの3名
試験方法: 各被験者について、左右へのサイドステップを反復的に5回試行させる動作を1セットとして、計5セット行ってもらった。そして、各セットにおいて、最後の5試行目の踏み込み時を測定対象として加速度を測定した(5試行目としたのは動作を安定させるため)。また、全セットにおける5つの測定値において、最大値と最小値を除いた残りの3つの測定値を採用した(最大値および最小値を除いたのは、計測のばらつきを排除するため)。さらに、ベルト部材のみによる効果をみるために、同じシューズでベルト部材を緊締したもの(ベルト有りの状態)と緩めたもの(ベルト無しの状態)とで比較した。
b)試験結果
各被験者について、測定した加速度の時間的変化をそれぞれグラフにした。図13は、或る被験者について測定した加速度の時間的変化を示しており、横軸が時間(msec)を、縦軸が加速度(G)をそれぞれ示している。同図に示すように、最大加速度が発生してから加速度が5(G)になったときに振動が減衰した(つまり衝撃が緩和された)ものとみなして、この最大加速度発生時から振動減衰時に要する時間tを各被験者について求めた。この時間tが短いほど、ベルト部材の緊締による振動減衰効果が発揮されており、アッパーの変形が瞬時に抑えられていると考えられる。
【0121】
図14は、各被験者A,B,Cについて求めた時間tの値をグラフにしたものである。同図において、斜線の入った棒グラフがベルト部材を緊締した場合を示し、白抜きの棒グラフがベルト部材を緩めた場合を示している。各棒グラフは、各被験者が行った3回の試行の平均値を示している。
【0122】
図14から容易に分かるように、いずれの被験者の場合も、ベルト部材を緩めたベルト無しの状態よりもベルト部材を緊締したベルト有りの状態の方が振動減衰に要する時間tが短くなった。これにより、本発明によるベルト部材をシューズに設けてこれを緊締することにより、サイドステップ時にはシューズのアッパーの変形を効果的に規制できることが分かった。
【0123】
<その他の実施例>
前記各実施例において、上述した各ベルトを構成する素材としては、例えば人工皮革やナイロン等の合成繊維が用いられるが、これらに限定されるものではなく、ベルト素材として一般に用いられる材料であれば任意の材料を用い得る。
【0124】
また、ワイヤや靴紐などの部材を介在させて二つのベルトを連結することにより、ベルトを構成するようにしてもよい。例えば、ベルト部材20において、シューズ中足部の配設部分をワイヤにより構成するとともに、ワイヤの両端を帯状の人工皮革製ベルト部材に固着するようにしてもよい。この場合には、シューズ中足部におけるベルト部材20の接触面積を小さくできるので、ベルト部材20がシューズ幅方向に滑りやすくなって、ベルト部材20による緊締力を増加させることができる。
【0125】
<他の適用例>
前記各実施例では、本発明による緊締構造が適用されるスポーツシューズとして、バレーボールシューズを例にとって説明したが、本発明は、バレーボールシューズの他、バスケットボールシューズやバドミントンシューズ、ハンドボールシューズ、卓球用シューズ、フィットネスシューズ、フットサルシューズ、テニスシューズ、サッカーシューズ、ラグビーシューズ、野球シューズなどの競技用スポーツシューズにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明によるスポーツシューズの緊締構造を説明するための模式図である。
【図2】本発明の第1の実施例によるバレーボールシューズの外甲側側面概略図である。
【図3】バレーボールシューズ(図2)の平面概略図である。
【図3A】図3のシューズ全体を正面側上方から見た斜視図である。
【図4】バレーボールシューズ(図2)の内甲側側面概略図である。
【図5】本発明の第2の実施例によるバレーボールシューズの内甲側側面概略図である。
【図6】本発明の第3の実施例によるバレーボールシューズの内甲側側面概略図である。
【図7】バレーボールシューズ(図6)の外甲側側面概略図である。
【図8】本発明の第4の実施例によるバレーボールシューズの内甲側側面概略図である。
【図9】本発明の第5の実施例によるバレーボールシューズの内甲側側面概略図である。
【図10】本発明の第6の実施例によるバレーボールシューズの内甲側側面概略図である。
【図10A】図10の変形例を示す図である。
【図11】本発明の第7の実施例によるバレーボールシューズの内甲側側面概略図である。
【図12】本発明の第8の実施例によるバレーボールシューズの外甲側側面概略図である。
【図13】或る被験者について、サイドステップ時に当該被験者の第5指中足骨骨頭に作用する加速度の時間的変化を表すグラフである。
【図14】ベルト有りのシューズとベルト無しのシューズのそれぞれについて、図13における最大加速度発生時から衝撃緩和までに要した時間を被験者ごとにまとめたグラフである。
【図15】サイドステップの際の足の屈曲時の足の状態をシューズの内甲側において真横から見た図である。
【図16】図15のシューズを同図のやや前方上側から見た図であって、アッパーの圧縮ひずみ分布を併せて示す図である。
【図17】被験者の足の第1指〜第5指に圧力センサシートS〜Sを貼着した状態を示す図である。
【図18】被験者が圧力センサシートS〜Sを足に貼り付けた状態でシューズを履いてサイドステップを行った際に、各圧力センサシートS〜Sにより検出された各圧力を一つの図にまとめた圧力分布図である。
【図19】サイドステップの際の足の着地時に足からシューズのアッパーに作用する押付圧によりアッパーに発生する引張応力の分布をコンピュータシミュレーションにより求めてこれを足の骨格図の上に重ねて表したものである。
【符号の説明】
【0127】
1: 足甲ベルト
10: 第1のベルト部材
11: 第2のベルト部材
12: 第3のベルト部材
12a: 面ファスナ(係止手段)
13: ベルト片
14: D環

2: 足甲上部ベルト
20: ベルト部材
20a: 面ファスナ(係止手段)

3: ベルト部材
31: D環

100: バレーボールシューズ
101: ソール
101a: スリット
102: アッパー
102a: スリット
103: ウェーブプレート
103A: 巻上げ部
103a: スリット

A: 第5指基節骨骨体側面相当位置
B: 第5指中足骨骨体側面相当位置
C: 第4指中足骨骨頭上相当位置
D: 第1指中足骨骨体側面相当位置
E: 第5指中足骨骨体側面相当位置

PP: 第5指基節骨
MB: 第5指中足骨
MB: 第4指中足骨
MB: 第1指中足骨

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポーツシューズの緊締構造において、
当該緊締構造が、シューズのアッパーの足甲部に配設される足甲ベルトを有しており、
前記足甲ベルトが、
着用者の足の第5指基節骨骨体側面に相当する位置のアッパー部位に固着された始端を有し、第4指中足骨骨頭上に相当する位置のアッパー部位上に配置された終端を有する第1のベルト部材と、
着用者の足の第5指中足骨骨体側面に相当する位置のアッパー部位に固着された始端を有し、第4指中足骨骨頭上に相当する位置のアッパー部位上に配置された終端を有しかつ当該終端が前記第1のベルト部材の前記終端に一致している第2のベルト部材と、
前記第1および第2のベルト部材の前記終端を始端として、着用者の足の第1指中足骨骨体側面に相当する位置のアッパー部位まで延びる第3のベルト部材と、
前記第3のベルト部材を介して当該足甲ベルトを緊締するための足甲ベルト緊締手段とを備え、
前記足甲ベルトがアッパーの足甲部上に略Y字状に配設されている、
ことを特徴とするスポーツシューズの緊締構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1および第2のベルト部材の各始端が、第5指中足趾節関節を外れた位置に配置されている、
ことを特徴とするスポーツシューズの緊締構造。
【請求項3】
請求項1において、
前記第2のベルト部材の始端が、第5指中足骨骨頭近傍に相当する位置に配置されている、
ことを特徴とするスポーツシューズの緊締構造。
【請求項4】
請求項1において、
前記第2のベルト部材の始端が、第5指中足骨骨体の中央部に相当する位置に配置されている、
ことを特徴とするスポーツシューズの緊締構造。
【請求項5】
請求項1において、
前記第3のベルト部材の終端が、第1指中足骨骨体の中央部に相当する位置に配置されている、
ことを特徴とするスポーツシューズの緊締構造。
【請求項6】
請求項1において、
前記足甲ベルト緊締手段が、
アッパーの内甲側に設けられ、前記第3のベルト部材を通すためのベルト通し具と、
前記ベルト通し具を通ってアッパーの外甲側に折り返された前記第3のベルト部材を当該第3のベルト部材またはアッパー外甲側部分に係止するための係脱可能な係止手段とから構成されている、
ことを特徴とするスポーツシューズの緊締構造。
【請求項7】
請求項6において、
前記ベルト通し具が、アッパーの内甲側部位に固着されたベルト片に取り付けられたD環から構成されている、
ことを特徴とするスポーツシューズの緊締構造。
【請求項8】
請求項6において、
前記ベルト通し具が、シューズのソール構成部材に形成されたスリットにより構成されている、
ことを特徴とするスポーツシューズの緊締構造。
【請求項9】
請求項8において、
前記ソール構成部材が、ソール内に配設された、樹脂製のプレートであって、前記スリットが、前記プレートの側部に設けられている、
ことを特徴とするスポーツシューズの緊締構造。
【請求項10】
請求項9において、
前記プレートが、前後方向に進む波形状を有するウェーブプレートである、
ことを特徴とするスポーツシューズの緊締構造。
【請求項11】
請求項8において、
前記ソール構成部材が、ミッドソールまたはアウトソールである、
ことを特徴とするスポーツシューズの緊締構造。
【請求項12】
請求項1において、
第5指中足骨骨体側面に相当する位置からアッパーの足甲上部を通ってシューズの履き口部の内甲側部分の位置まで延びる足甲上部ベルトをさらに備え、
前記足甲上部ベルトが、シューズの中足部において実質的に足幅方向に延設されて前記第3のベルト部材に連結されるとともに、当該足甲上部ベルトを緊締するための足甲上部ベルト緊締手段を有している、
ことを特徴とするスポーツシューズの緊締構造。
【請求項13】
請求項12において、
前記足甲上部ベルトが、シューズの中足部においてソールの底面側に配設されている、
ことを特徴とするスポーツシューズの緊締構造。
【請求項14】
請求項12において、
前記足甲上部ベルトが、シューズの中足部においてソールを幅方向に貫通するスリットを通って足幅方向に配設されている、
ことを特徴とするスポーツシューズの緊締構造。
【請求項15】
請求項12において、
前記足甲上部ベルトが、シューズの中足部において、アッパーを幅方向に貫通するスリットを通り、アッパーの内部においてインソールの上面または下面に沿って足幅方向に延びている、
ことを特徴とするスポーツシューズの緊締構造。
【請求項16】
請求項12において、
前記足甲上部ベルトまたは第3のベルト部材のいずれか一方が一端にD環を有しており、前記足甲上部ベルトまたは第3のベルト部材の他方が、前記D環を通って折り返された後、前記足甲上部ベルト、第3のベルト部材またはアッパーに係脱可能に係止されるようになっている、
ことを特徴とするスポーツシューズの緊締構造。
【請求項17】
請求項12において、
前記足甲上部ベルトが、前記第3のベルト部材と一体に設けられている、
ことを特徴とするスポーツシューズの緊締構造。
【請求項18】
請求項12ないし17のいずれかにおいて、
前記足甲上部ベルトが、シューズの外甲側においてアッパーの外側に配設されている、
ことを特徴とするスポーツシューズの緊締構造。
【請求項19】
請求項12ないし17のいずれかにおいて、
前記足甲上部ベルトが、シューズの外甲側においてアッパーに形成されたスリットを通ってアッパーの内側に配設されている、
ことを特徴とするスポーツシューズの緊締構造。
【請求項20】
請求項12において、
前記足甲上部ベルト緊締手段が、
シューズの履き口部の内甲側部分に配設された履き口ベルトに取り付けられたD環と、
前記D環を通ってアッパーの外甲側に折り返された前記足甲上部ベルトをアッパー外甲側部分に係止するための係脱可能な係止手段とから構成されている、
ことを特徴とするスポーツシューズの緊締構造。
【請求項21】
請求項12において、
前記足甲上部ベルト緊締手段が、
前記足甲上部ベルトの先端に取り付けられたD環と、
シューズの履き口部に配設された履き口ベルトと、
前記D環を通って折り返された前記履き口ベルトを当該履き口ベルトまたはアッパーに係止するための係脱可能な係止手段とから構成されている、
ことを特徴とするスポーツシューズの緊締構造。

【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図1】
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【図10A】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−259685(P2008−259685A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−105039(P2007−105039)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(000005935)美津濃株式会社 (239)
【Fターム(参考)】