説明

スポーツ靴用インソール

【課題】スポーツに適したインソール2の提供。
【解決手段】インソール2は、ベース4と立ち上がり部6とを備えている。ベース4は板状であり、概して平坦である。立ち上がり部6は、ベース4の周縁においてこのベース4と連続している。立ち上がり部6は、ベース4から上方に延在する。立ち上がり部6は、第一壁8、第二壁10、第三壁12、第四壁14、第五壁16及び第六壁18を備えている。第一壁8の平均高さHa1は、第二壁10の平均高さHa2よりも大きい。差(Ha1−Ha2)は、2mm以上15mm以下である。第三壁12の平均高さHa3は、第四壁14の平均高さHa4よりも大きい。差(Ha3−Ha4)は、1mm以上10mm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフ等のスポーツに適した靴のインソールに関する。
【背景技術】
【0002】
靴は、アウトソール、ミッドソール、インソール、アッパー等から構成されている。インソールは、履き心地、クッション性等の向上の目的で用いられている。スポーツ靴用のインソールは、板状のベースと、立ち上がり部とを備えているものが多い。立ち上がり部は、ベースの周縁においてこのベースと連続している。立ち上がり部は、ベースから上方に延在する。
【0003】
従来のインソールでは、立ち上がり部は、足の土踏まずに相当する箇所から踵に相当する箇所にかけて形成されている。この立ち上がり部により、土踏まず及び踵がホールドされる。足の土踏まずに相当する箇所のインサイドには、高さの大きな立ち上がり部が形成されている。
【0004】
特開平9−28401号公報には、ゴルフ靴用のインソールが開示されている。このインソールは、指の付け根の近傍に滑り止め部を備えている。このインソールはさらに、踵側の周縁に傾斜部を備えている。
【0005】
ゴルファーは、左右の爪先を結ぶ線が目標方向とほぼ平行となるようにアドレスする。アドレスでは、ゴルフクラブのヘッドはゴルフボールの近くに位置する。この状態からゴルファーはテイクバックを開始し、ヘッドを右へ、次いで上へと振り上げる。最もヘッドが振り上げられた位置は、トップ位置と称される。トップ位置からダウンスイングが開始されてヘッドが振り下ろされ、ヘッドがゴルフボールと衝突する。衝突後、ゴルファーはゴルフクラブを左へ振り、さらに上へと振りぬいて、フィニッシュを迎える。
【0006】
トップ位置からフィニッシュにかけて、ゴルファーは左足を軸としてボディターンを行う。同時にゴルファーは、右足で地面を蹴ってその力をゴルフボールに伝える。右利きのゴルファーは、左足を軸足として使い、右足を蹴足として使う。左利きゴルファーの場合は、右足を軸足として使い、左足を蹴足として使う。
【特許文献1】特開平9−28401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
スイングのときゴルファーは、主として蹴足のインサイドに体重をかけて地面を蹴る。ゴルファーはまた、主として軸足のインサイドで体重を受け止める。蹴足においても軸足においても、地面に伝えられる力は、外向きである。スイングにおける動作は、特殊である。スイングに適した靴が望まれている。
【0008】
他のスポーツにおいても、足のインサイドに体重がかかる動作が見られる。テニス、スカッシュ等のラケット競技では、ラケットをスイングするときに、足のインサイドに体重がかかる。フィールドホッケーでは、スティックをスイングするときに、足のインサイドに体重がかかる。バスケットボール及びエアロビクス体操では、左右反転動作のときに、足のインサイドに体重がかかる。これらのスポーツにおいても、動作に適した靴が望まれている。
【0009】
本発明の目的は、スポーツに適したインソールの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るインソールは、ベースと立ち上がり部とを備える。ベースは、板状である。立ち上がり部は、ベースの周縁においてこのベースと連続している。立ち上がり部は、ベースから上方に延在する。立ち上がり部は、踵側であってアウトサイドに位置する第一壁と、踵側であってインサイドに位置する第二壁とを含む。第一壁の平均高さHa1は、第二壁の平均高さHa2よりも大きい。
【0011】
好ましくは、第一壁の平均高さHa1と第二壁の平均高さHa2との差(Ha1−Ha2)は、2mm以上15mm以下である。好ましくは、第一壁の最大高さHm1は、第二壁の最大高さHm2よりも大きい。
【0012】
好ましくは、立ち上がり部は、爪先側であってアウトサイドに位置する第三壁と、爪先側であってインサイドに位置する第四壁とをさらに含む。第三壁の平均高さHa3は、第四壁の平均高さHa4よりも大きい。好ましくは、第三壁の平均高さHa3と第四壁の平均高さHa4との差(Ha3−Ha4)は、1mm以上10mm以下である。好ましくは、第三壁の最大高さHm3は、第四壁の最大高さHm4よりも大きい。
【0013】
好ましくは、ベースは、爪先側であってアウトサイドに位置する第一部位と、爪先側であってインサイドに位置する第二部位とを備える。第一部位の平均厚みTa1は、第二部位の平均厚みTa2よりも大きい。好ましくは、第一部位の平均厚みTa1と第二部位の平均厚みTa2との差(Ta1−Ta2)は、1mm以上5mm以下である。好ましくは、第一部位の最大厚みTm1は、第二部位の最大厚みTm2よりも大きい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るインソールは第一壁を備えているので、このインソールを備えたスポーツ靴では、足のインサイドに体重がかかりやすい。このインソールは、種々のスポーツに適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0016】
図1は本発明の一実施形態に係るインソール2が示された正面図であり、図2はその右側面図であり、図3はその左側面図であり、図4は図1のIV−IV線に沿った断面図であり、図5は図1のV−V線に沿った断面図であり、図6は図1のVI−VI線に沿った断面図である。図1において、上側が爪先側であり、下側が踵側であり、右側がアウトサイドであり、左側がインサイドである。このインソール2は、右足用である。左足用のインソールは、図1に示された形状が左右反転した形状を有する。このインソール2が、アウトソール、ミッドソール、アッパー等とアッセンブリーされることにより、ゴルフ靴が得られる。
【0017】
このインソール2は、ベース4と立ち上がり部6とを備えている。ベース4は板状であり、概して平坦である。立ち上がり部6は、ベース4の周縁においてこのベース4と連続している。立ち上がり部6は、ベース4から上方に延在する。この実施形態では、立ち上がり部6はベース4と一体的に成形されている。ベース4の周縁のほぼ全体が、立ち上がり部6に囲まれている。ベース4の周縁の一部において、立ち上がり部6が形成されなくてもよい。
【0018】
図1において符号Sで示された線分は、長さ線である。長さ線Sは、インソール2の輪郭の内部に画かれうる最長の線分である。矢印Lで示されているのは、長さ線Sの長さである。点Phは、長さ線Sの踵側端である。点Ptは長さ線Sの爪先側端である。点P1は、長さ線Sの上にあり、かつ点Ptからの距離が長さLの95%の点である。点P2は、長さ線Sの上にあり、かつ点Ptからの距離が長さLの80%の点である。点P3は、長さ線Sの上にあり、かつ点Ptからの距離が長さLの45%の点である。点P4は、長さ線Sの上にあり、かつ点Ptからの距離が長さLの35%の点である。点P5は、長さ線Sの上にあり、かつ点Ptからの距離が長さLの10%の点である。点P6は、長さ線Sの上にあり、かつ点Ptからの距離が長さLの5%の点である。
【0019】
線分S1は、点P1において長さ線Sと直交する。線分S2は、点P2において長さ線Sと直交する。線分S3は、点P3において長さ線Sと直交する。線分S4は、点P4において長さ線Sと直交する。線分S5は、点P5において長さ線Sと直交する。線分S6は、点P6において長さ線Sと直交する。
【0020】
立ち上がり部6は、第一壁8、第二壁10、第三壁12、第四壁14、第五壁16及び第六壁18を備えている。第一壁8、第二壁10、第三壁12、第四壁14、第五壁16及び第六壁18のそれぞれは、立ち上がり部6の一部である。第一壁8は、長さ線Sよりもアウトサイドにあり、線分S1と線分S2とに挟まれている。第二壁10は、長さ線Sよりもインサイドにあり、線分S1と線分S2とに挟まれている。第三壁12は、長さ線Sよりもアウトサイドにあり、線分S3と線分S6とに挟まれている。第四壁14は、長さ線Sよりもインサイドにあり、線分S3と線分S6とに挟まれている。第五壁16は、長さ線Sよりもアウトサイドにあり、線分S2と線分S3とに挟まれている。第六壁18は、長さ線Sよりもインサイドにあり、線分S2と線分S3とに挟まれている。第一壁8及び第二壁10は、踵側に位置する。第三壁12及び第四壁14は、爪先側に位置する。第五壁16及び第六壁18は、土踏まずの近傍に位置する。
【0021】
図4において矢印H1で示されているのは、第一壁8の高さである。長さ方向において2mm刻みに測定点が選択され、高さH1が測定される。これらの測定値が平均されることにより、第一壁8の平均高さHa1が算出される。図4において矢印H2で示されているのは、第二壁10の高さである。長さ方向において2mm刻みに測定点が選択され、高さH2が測定される。これらの測定値が平均されることにより、第二壁10の平均高さHa2が算出される。
【0022】
第一壁8の平均高さHa1は、第二壁10の平均高さHa2よりも大きい。この第一壁8は、足をホールドする。高さHa1の大きな第一壁8により、ゴルファーは、内側体重を達成することができる。この靴を着用したゴルファーは、スイング中に踏ん張ることができる。このインソール2により、安定したスイングが達成されうる。
【0023】
差(Ha1−Ha2)は、2mm以上15mm以下が好ましい。差(Ha1−Ha2)が2mm以上であるインソール2により、内側体重が容易に達成されうる。この観点から、差(Ha1−Ha2)は3mm以上がより好ましく、5mm以上が特に好ましい。差(Ha1−Ha2)が15mm以下であるインソール2は、生産性に優れる。この観点から、差(Ha1−Ha2)は10mm以下がより好ましい。
【0024】
内側体重の観点から、第一壁8の平均高さHa1は5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましく、18mm以上が特に好ましい。インソール2の生産性の観点から、高さHa1は45mm以下が好ましく、40mm以下がより好ましく、35mm以下が特に好ましい。
【0025】
足のホールドの観点から、第二壁10の平均高さHa2は3mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましく、15mm以上が特に好ましい。インソール2の生産性の観点から、高さHa2は40mm以下が好ましく、35mm以下がより好ましく、30mm以下が特に好ましい。
【0026】
内側体重の観点から、第一壁8の最大高さHm1が第二壁10の最大高さHm2よりも大きいことが好ましい。内側体重の観点から、差(Hm1−Hm2)は2mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましく、5mm以上が特に好ましい。インソール2の生産性の観点から、差(Hm1−Hm2)は15mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましい。
【0027】
内側体重の観点から、第一壁8の最大高さHm1は7mm以上が好ましく、13mm以上がより好ましく、20mm以上が特に好ましい。インソール2の生産性の観点から、高さHm1は48mm以下が好ましく、43mm以下がより好ましく、40mm以下が特に好ましい。
【0028】
足のホールドの観点から、第二壁10の最大高さHm2は5mm以上が好ましく、13mm以上がより好ましく、18mm以上が特に好ましい。インソール2の生産性の観点から、高さHm2は43mm以下が好ましく、38mm以下がより好ましく、35mm以下が特に好ましい。
【0029】
図5において矢印H3で示されているのは、第三壁12の高さである。長さ方向において2mm刻みに測定点が選択され、高さH3が測定される。これらの測定値が平均されることにより、第三壁12の平均高さHa3が算出される。図5において矢印H4で示されているのは、第四壁14の高さである。長さ方向において2mm刻みに測定点が選択され、高さH4が測定される。これらの測定値が平均されることにより、第四壁14の平均高さHa4が算出される。
【0030】
第三壁12の平均高さHa3は、第四壁14の平均高さHa4よりも大きい。この第三壁12は、足をホールドする。高さHa3の大きな第三壁12を備えた靴を着用することにより、ゴルファーは、力を地面に伝えやすい。換言すれば、第三壁12は運動性に寄与する。
【0031】
差(Ha3−Ha4)は、1mm以上10mm以下が好ましい。差(Ha3−Ha4)が1mm以上であるインソール2は、運動性に優れる。この観点から、差(Ha3−Ha4)は2mm以上がより好ましく、5mm以上が特に好ましい。差(Ha3−Ha4)が10mm以下であるインソール2は、アッパー等と容易にアッセンブリーされる。この観点から、差(Ha3−Ha4)は8mm以下がより好ましい。
【0032】
運動性の観点から、第三壁12の平均高さHa3は3mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、8mm以上が特に好ましい。アッセンブリー容易の観点から、高さHa3は20mm以下が好ましく、18mm以下がより好ましく、15mm以下が特に好ましい。
【0033】
足のホールドの観点から、第四壁14の平均高さHa4は2mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましい。アッセンブリー容易の観点から、高さHa4は15mm以下が好ましく、14mm以下がより好ましく、13mm以下が特に好ましい。
【0034】
運動性の観点から、第三壁12の最大高さHm3が第四壁14の最大高さHm4よりも大きいことが好ましい。運動性の観点から、差(Hm3−Hm4)は1mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましく、5mm以上が特に好ましい。アッセンブリー容易の観点から、差(Hm3−Hm4)は10mm以下が好ましく、8mm以下がより好ましい。
【0035】
運動性の観点から、第三壁12の最大高さHm3は4mm以上が好ましく、6mm以上がより好ましく、10mm以上が特に好ましい。アッセンブリー容易の観点から、高さHm3は22mm以下が好ましく、20mm以下がより好ましく、18mm以下が特に好ましい。
【0036】
足のホールドの観点から、第四壁14の最大高さHm4は3mm以上が好ましく、4mm以上がより好ましい。アッセンブリー容易の観点から、高さHm4は17mm以下が好ましく、16mm以下がより好ましく、15mm以下が特に好ましい。
【0037】
図6において矢印H5で示されているのは、第5壁の高さである。長さ方向において2mm刻みに測定点が選択され、高さH5が測定される。これらの測定値が平均されることにより、第五壁16の平均高さHa5が算出される。図6において矢印H6で示されているのは、第六壁18の高さである。長さ方向において2mm刻みに測定点が選択され、高さH6が測定される。これらの測定値が平均されることにより、第六壁18の平均高さHa6が算出される。
【0038】
第六壁18の平均高さHa6は、第五壁16の平均高さHa5よりも大きい。この第六壁18は、足の土踏まずをホールドする。この第六壁18は、運動性に寄与する。運動性の観点から、差(Ha6−Ha5)は、3mm以上38mm以下が好ましい。運動性の観点から、高さHa6は5mm以上40mm以下が好ましい。アッセンブリー容易の観点から、高さHa5は2mm以上35mm以下が好ましい。
【0039】
高さH1、H2、H3、H4、H5及びH6の測定では、水平であり硬質であるプレートの上に、インソール2が置かれる。このプレートからの、立ち上がり部6の上端までの距離が測定される。
【0040】
図7は、図1のインソール2の一部が示された拡大図である。この図7において符号C1で示されているのは、インソール2の輪郭のインサイドからの距離が幅W(図5参照)の90%である曲線である。符号C2で示されているのは、インソール2の輪郭のインサイドからの距離が幅Wの60%である曲線である。符号C3で示されているのは、インソール2の輪郭のインサイドからの距離が幅Wの15%である曲線である。
【0041】
図5及び7に示されるように、ベース4は、第一部位20及び第二部位22を備えている。第一部位20は、爪先側であってアウトサイドに位置している。第一部位20は、線分S4、曲線C1、線分S5及び曲線C2に囲まれている。第二部位22は、爪先側であってインサイドに位置している。第二部位22は、線分S4、曲線C2、線分S5及び曲線C3に囲まれている。
【0042】
図5において矢印T1で示されているのは、第一部位20の厚みである。長さ方向及び幅方向のそれぞれにおいて5mm刻みに測定点が選択され、厚みT1が測定される。これらの測定値が平均されることにより、第一部位20の平均厚みTa1が算出される。図5において矢印T2で示されているのは、第二部位22の厚みである。長さ方向及び幅方向のそれぞれにおいて5mm刻みに測定点が選択され、厚みT2が測定される。これらの測定値が平均されることにより、第二部位22の平均厚みTa2が算出される。
【0043】
第一部位20の平均厚みTa1は、第二部位22の平均厚みTa2よりも大きい。従来のゴルフ靴を着用したゴルファーがスイングするとき、足の小指近傍が踏ん張りに寄与しない傾向がある。本発明に係るインソール2では、厚い第一部位20により、内側体重と小指近傍の踏ん張りとが達成される。このインソール2により、安定したスイングが達成されうる。
【0044】
差(Ta1−Ta2)は、1.0mm以上5mm以下が好ましい。差(Ta1−Ta2)が1.0mm以上であるインソール2により、スイング時の踏ん張りが容易に達成されうる。この観点から、差(Ta1−Ta2)は1.5mm以上が特に好ましい。差(Ta1−Ta2)が5mm以下であるインソール2は、履き心地に優れる。
【0045】
踏ん張りの観点から、第一部位20の平均厚みTa1は3mm以上が好ましく、4mm以上がより好ましく、5mm以上が特に好ましい。履き心地の観点から、厚みTa1は13mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましく、8mm以下が特に好ましい。
【0046】
クッション性の観点から、第二部位22の平均厚みTa2は1mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましく、3mm以上が特に好ましい。アッセンブリーの容易の観点から、厚みTa2は8mm以下が好ましく、7mm以下がより好ましく、6mm以下が特に好ましい。
【0047】
踏ん張りの観点から、第一部位20の最大厚みTm1が第二部位22の最大厚みTm2よりも大きいことが好ましい。踏ん張りの観点から、差(Tm1−Tm2)は1.0mm以上が好ましく、1.5mm以上がより好ましく、2.0mm以上が特に好ましい。履き心地の観点から、差(Tm1−Tm2)は7mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましい。
【0048】
踏ん張りの観点から、第一部位20の最大厚みTm1は4mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、6mm以上が特に好ましい。履き心地の観点から、厚みTm1は15mm以下が好ましく、13mm以下がより好ましく、10mm以下が特に好ましい。
【0049】
クッション性の観点から、第二部位22の最大厚みTm2は2mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましく、4mm以上が特に好ましい。アッセンブリーの容易の観点から、厚みTm2は10mm以下が好ましく、9mm以下がより好ましく、8mm以下が特に好ましい。
【0050】
本発明では、差(Ha1−Ha2)がゼロよりも大きいことが必須である。差(Ha3−Ha4)は、ゼロ以下であってもよい。差(Ta1−Ta2)は、ゼロ以下であってもよい。
【0051】
このインソール2は、気泡を含むポリマー成形体からなる。インソール2の基材ポリマーとしては、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリエチレンが例示される。インソール2に、天然ゴム又は合成ゴムが用いられてもよい。気泡は、熱分解型発泡剤の発泡によって形成される。用いられる熱分解型発泡剤としては、アゾジカルボンアミドのようなアゾ化合物、ジニトロソペンタメチレンテトラミンのようなニトロソ化合物及びトリアゾール化合物が例示される。
【0052】
気泡を含むポリマー成形体の上面に、被覆層が積層されてもよい。通気性、吸湿性、乾燥性、保温性及び耐摩耗性に優れた素材が、被覆層に用いられる。織布、不織布、編布、皮革、合成皮革等が、被覆層として用いられうる。
【0053】
図8は、本発明の他の実施形態に係るインソール24が示された断面図である。図示されていないが、このインソール24には、図1及び図7に示されたインソール2と同様に、長さ線S、線分S1、S2、S3、S4、S5及びS6並びに曲線C1、C2及びC3が想定されうる。この図8には、インソール24の爪先側近傍が示されている。この図8は、前述のインソール2の図5に相当する。このインソール24は、ベース26と立ち上がり部28とを備えている。この立ち上がり部28は、図1から7に示された立ち上がり部6と同様に、第一壁、第二壁、第三壁30、第四壁32、第五壁及び第六壁を備えている。図8には、第三壁30及び第四壁32が示されている。
【0054】
図8に示されるように、ベース26は、第一部位34及び第二部位36を備えている。第一部位34は、爪先側であってアウトサイドに位置している。第一部位34は、線分S4、曲線C1、線分S5及び曲線C2に囲まれている。第二部位36は、爪先側であってインサイドに位置している。第二部位36は、線分S4、曲線C2、線分S5及び曲線C3に囲まれている。
【0055】
図8において矢印T1で示されているのは、第一部位34の厚みである。長さ方向及び幅方向のそれぞれにおいて5mm刻みに測定点が選択され、厚みT1が測定される。これらの測定値が平均されることにより、第一部位34の平均厚みTa1が算出される。図8において矢印T2で示されているのは、第二部位36の厚みである。長さ方向及び幅方向のそれぞれにおいて5mm刻みに測定点が選択され、厚みT2が測定される。これらの測定値が平均されることにより、第二部位36の平均厚みTa2が算出される。
【0056】
このベース26は、小指に相当する部分に、厚肉部38を備えている。この厚肉部38により、内側体重と小指近傍の踏ん張りとが達成される。このインソール24により、安定したスイングが達成されうる。厚肉部38は、第一部位34に属している。この厚肉部38に起因して、第一部位34の平均厚みTa1は、第二部位36の平均厚みTa2よりも大きい。
【0057】
差(Ta1−Ta2)は、1.0mm以上5mm以下が好ましい。差(Ta1−Ta2)が1.0mm以上であるインソール24により、スイング時の踏ん張りが容易に達成されうる。この観点から、差(Ta1−Ta2)は1.5mm以上が特に好ましい。差(Ta1−Ta2)が5mm以下であるインソール24は、履き心地に優れる。
【0058】
踏ん張りの観点から、第一部位3420の平均厚みTa1は3mm以上が好ましく、4mm以上がより好ましく、5mm以上が特に好ましい。履き心地の観点から、厚みTa1は13mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましく、8mm以下が特に好ましい。
【0059】
クッション性の観点から、第二部位3622の平均厚みTa2は1mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましく、3mm以上が特に好ましい。アッセンブリーの容易の観点から、厚みTa2は8mm以下が好ましく、7mm以下がより好ましく、6mm以下が特に好ましい。
【0060】
踏ん張りの観点から、第一部位34の最大厚みTm1が第二部位36の最大厚みTm2よりも大きいことが好ましい。踏ん張りの観点から、差(Tm1−Tm2)は1.0mm以上が好ましく、1.5mm以上がより好ましく、2.0mm以上が特に好ましい。履き心地の観点から、差(Tm1−Tm2)は7mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましい。
【0061】
踏ん張りの観点から、第一部位34の最大厚みTm1は4mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、6mm以上が特に好ましい。履き心地の観点から、厚みTm1は15mm以下が好ましく、13mm以下がより好ましく、10mm以下が特に好ましい。
【0062】
クッション性の観点から、第二部位36の最大厚みTm2は2mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましく、4mm以上が特に好ましい。アッセンブリーの容易の観点から、厚みTm2は10mm以下が好ましく、9mm以下がより好ましく、8mm以下が特に好ましい。
【実施例】
【0063】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0064】
[実施例1]
エチレン−酢酸ビニル共重合体の発泡体の上面に織布が積層されたインソールを得た。このインソールの長さLは、260mmである。このインソールは、第一壁、第二壁、第三壁、第四壁、第五壁及び第六壁を備えている。第一壁の平均高さHa1は、第二壁の平均高さHa2よりも大きい。第三壁の平均高さHa3は、第四壁の平均高さHa4よりも大きい。このインソールでは、ベースの厚みは一定である。従って、第一部位の平均厚みTa1は、第二部位の平均厚みTa2と同一である。このインソールの各部分のサイズが、下記の表2に示されている。このインソールを、アウトソール、ミッドソール、アッパー等とアッセンブリーして、実施例1のゴルフ靴を得た。
【0065】
[実施例2から5及び比較例]
高さHa1、Ha2、Hm1及びHm2を下記の表1及び2に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2から5及び比較例のゴルフ靴を得た。
【0066】
[実施例6及び7]
厚みTa1、Ta2、Tm1及びTm2を下記の表2に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例6及び7のゴルフ靴を得た。
【0067】
[実施例8から10]
高さHa3、Ha4、Hm3及びHm4を下記の表3に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例8から10のゴルフ靴を得た。
【0068】
[実施例11]
高さHa3、Ha4、Hm3及びHm4並びに厚みTa1、Ta2、Tm1及びTm2を下記の表3に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例11のゴルフ靴を得た。
【0069】
[横飛び時の運動性]
ゴルフ靴をテスターに着用させ、60cmの間隔で反復横跳び運動を行わせた。1分間の横飛び回数を測定した。5名のテスターによる平均値が、指数として、下記の表1から3に示されている。
【0070】
[履き心地]
ゴルフ靴をテスターに着用させ、コンクリート路面上でランニングを行わせた。下記基準に基づき、テスターに履き心地を評価させた。
5・・・よい
4・・・ややよい
3・・・普通
2・・・やや悪い
1・・・悪い
5名のテスターによる平均値が、下記の表1から3に示されている。
【0071】
[スイング時の安定性]
ゴルフ靴をテスターに着用させ、ドライバーでゴルフボールを打撃させた。下記基準に基づき、テスターにスイング時の安定性を評価させた。
5・・・よい
4・・・ややよい
3・・・普通
2・・・やや悪い
1・・・悪い
5名のテスターによる平均値が、下記の表1から3に示されている。
【0072】
[飛距離の測定]
ゴルフ靴をテスターに着用させ、ドライバーでゴルフボールを打撃させて飛距離を測定した。10回の測定の最大値と最小値との差を、算出した。5名のテスターによる平均値が、指数として、下記の表1から3に示されている。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

【0075】
【表3】

【0076】
表1から3に示されるように、本発明に係るゴルフ靴は、ゴルフのスイングに適している。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明に係るインソールは、種々の運動に適している。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るインソールが示された正面図である。
【図2】図2は、図1のインソールが示された右側面図である。
【図3】図3は、図1のインソールが示された左側面図である。
【図4】図4は、図1のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】図5は、図1のV−V線に沿った断面図である。
【図6】図6は、図1のVI−VI線に沿った断面図である。
【図7】図7は、図1のインソールの一部が示された拡大図である。
【図8】図8は、本発明の他の実施形態に係るインソールが示された断面図である。
【符号の説明】
【0079】
2、24・・・インソール
4、26・・・ベース
6、28・・・立ち上がり部
8・・・第一壁
10・・・第二壁
12、30・・・第三壁
14、32・・・第四壁
16・・・第五壁
18・・・第六壁
20、34・・・第一部位
22、36・・・第二部位
38・・・厚肉部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のベースと、
このベースの周縁においてこのベースと連続しており、このベースから上方に延在する立ち上がり部とを備えており、
この立ち上がり部が、踵側であってアウトサイドに位置する第一壁と、踵側であってインサイドに位置する第二壁とを含んでおり、
第一壁の平均高さHa1が第二壁の平均高さHa2よりも大きいスポーツ靴用インソール。
【請求項2】
上記第一壁の平均高さHa1と第二壁の平均高さHa2との差(Ha1−Ha2)が2mm以上15mm以下である請求項1に記載のインソール。
【請求項3】
上記第一壁の最大高さHm1が第二壁の最大高さHm2よりも大きい請求項1又は2に記載のインソール。
【請求項4】
上記立ち上がり部が、爪先側であってアウトサイドに位置する第三壁と、爪先側であってインサイドに位置する第四壁とをさらに含んでおり、
第三壁の平均高さHa3が第四壁の平均高さHa4よりも大きい、請求項1から3のいずれかに記載のインソール。
【請求項5】
上記第三壁の平均高さHa3と第四壁の平均高さHa4との差(Ha3−Ha4)が1mm以上10mm以下である請求項4に記載のインソール。
【請求項6】
上記第三壁の最大高さHm3が第四壁の最大高さHm4よりも大きい請求項4又は5に記載のインソール。
【請求項7】
上記ベースが、爪先側であってアウトサイドに位置する第一部位と、爪先側であってインサイドに位置する第二部位とを備えており、第一部位の平均厚みTa1が第二部位の平均厚みTa2よりも大きい請求項1から6のいずれかに記載のインソール。
【請求項8】
上記第一部位の平均厚みTa1と第二部位の平均厚みTa2との差(Ta1−Ta2)が1mm以上5mm以下である請求項7に記載のインソール。
【請求項9】
上記第一部位の最大厚みTm1が第二部位の最大厚みTm2よりも大きい請求項7又は8に記載のインソール。
【請求項10】
板状のベースと、
このベースの周縁においてこのベースと連続しており、このベースから上方に延在する立ち上がり部とを備えており、
この立ち上がり部が、踵側であってアウトサイドに位置する第一壁と、踵側であってインサイドに位置する第二壁とを含んでおり、
第一壁の平均高さHa1が第二壁の平均高さHa2よりも大きいインソールを備えたスポーツ靴。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−220795(P2008−220795A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−66031(P2007−66031)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(504017809)SRIスポーツ株式会社 (701)
【Fターム(参考)】