説明

スマートカードの電力管理

【課題】スマートカード装置の消費電力を自動的に調整し、供給電力に制限のある端末との互換性を維持する。
【解決手段】スマートカードは、端末から受信したコマンドを実行するコントローラを含んでいて、少なくとも1個のコマンドの実行が、少なくとも1個の他のコマンドが次いで実行される間のスマートカード装置の電力消費に影響を及ぼす。さらに、少なくとも1個のコマンドの実行が、クロック周波数または不揮発性メモリの動作時間等、スマートカード装置の動作パラメータを設定することにより、後続する実行の間のスマートカード装置の電力消費に影響を及ぼす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートカード装置に関し、特にスマートカードの電力管理に関する。
【背景技術】
【0002】
<スマートカード装置>
スマートカードは、人が携行するのに便利な電子機器であり、その各々が、個別に認可
された外部機器と、セキュリティ管理下でインターフェース接続しデータ交換を行なえる
有効な内部論理機器を含んでいる。スマートカードは、「集積回路カード」または「チッ
プカード」と呼ばれる場合もある。一般に、スマートカードはメモリ、論理メモリが関連
付けられたマイクロコントローラ、および実行可能コードを含んでいる。
【0003】
多くのスマートカード装置の顕著な特徴の一つは、オペレーティング・システムおよび
セキュリティ論理により制御されたインターフェースへのアクセスを制限することにより
、保存されているデータを不正アクセスおよび操作から保護できる点である。このように
、スマートカード外部の装置によりデータが一切読まれないような仕方で機密データをス
マートカードに書き込んで保存することができる。
【0004】
国際標準化機構(ISO)はISO7816標準等、スマートカード用の機械的および
電気的仕様を開示している。集積回路カード用の基準に基づくスマートカードは一般に、
適用可能な場合はこれらに準拠するが、必ずしもそれに記載されていない特徴をも含んで
いる。スマートカードは一般に、含まれているメモリ容量、集積回路(IC)、複雑なプ
ロセスの処理能力、暗号化スキーム、電気的インターフェース、および機械的配置により
区別される。
【0005】
スマートカードが応用可能な対象として、公衆電話カード、販売時点情報管理(POS
)端末や現金自動預け払い機(ATM)で使用するバンク・カード、セットトップボック
ス内の有料テレビ、および移動通信グローバルシステム(GSM)端末内の加入者識別モ
ジュール(SIM)カードを実装する無線テレコム・オペレータが含まれるが、これに限
定されない。SIMカードは、(a)形状が小型である、(b)電源を落として一度装着
するだけでよい、および(c)商業的に重要、であるため特に関心が持たれている。第三
世代(3G)欧州移動電話技術としてユニバーサル移動通信システム(UMTS)が導入
されたことにより、USIM(UMTS加入者識別モジュールまたはユニバーサル加入者
識別モジュール)と呼ばれるSIMカードの新バージョンがUMTS移動ネットワーク用
に導入された。USIMカードは、UMTS加入されたオペレータ・ネットワークへのア
クセスを可能にすべく関連情報を含んでいる。SIMカードおよびUSIMカードの両方
ともにスマートカードの範疇に含まれる。
【0006】
移動電話にスマートカードを利用したことは、スマートカードの国際的な普及を促進す
る上で特に重要であった。GSM電話がスマートカードをアクセス媒体として利用する理
由の一つは、スマートカードが移動電話網にアクセスする際に高度のセキュリティを提供
でき、且つネットワーク・オペレータおよびサービスプロバイダが電話とサービスを別々
に販売できるようになるため移動電話のマーケティングに新たな可能性、従って大きな利
点をもたらすことにある。
【0007】
図1Aに、従来技術によるスマートカード・アーキテクチャの例を示す。カード(4)
は、ホストシステムへの接続のためにISO基準により定義された、クロック、データ転
送用のデータ信号、リセット信号、および電力ピンを含むピンの組(1)を含んでいる。
CPU(3)は、バス・インターフェース(2)を介してピン群(1)に接続されている
。CPU(3)は、実行可能コードを格納するROM(7)の領域、RAM(5)、およ
び主に設定可能データ(例:専用暗号化キー)の格納に使用されるEEPROM要素(6
)へのアクセス権限を有している。大量のデータおよび/または要件の厳しいアプリケー
ションに対応すべく、フラッシュメモリの形で拡大されたメモリ容量を提供することもで
きる。
【0008】
図1Bに、従来技術によるISO互換スマートカード(41)および該カードとのイン
ターフェース接続のために用いる8個の端子(40)の組の機械的配置を示す。ISO標
準は5本のピンだけを規定する一方、3本の追加的なピンは将来的な利用に予約されてい
る。
【0009】
図1Cに、従来技術によるSIMまたはUSIMカードの物理的な形状を示す。
【0010】
ISOインターフェース以外に、他のスマートカード・インターフェースが規定されて
いる。これらの追加的なインターフェースは通常、高速データ転送が可能であり、主に大
容量メモリカードに用いられる。典型的スマートカード・インターフェースは、セキュア
・デジタル(SD)、マルチメディア・カード(MMC)、および無線/非接触インター
フェースを含んでいるが、これらに限定されない。近年、ユニバーサル・シリアルバス(
USB)がスマートカード用の他のインターフェース候補として提案されている。新規の
インターフェースは、予約済みISOピンを使用するか、ISO標準ピンに加え、または
これに代えて、ピンの新たな組を規定する。
【0011】
最新のスマートカード・オペレーティングシステムにより、ユーザーにカードが支給さ
れた後でカードに新規アプリケーションをアップロードすることができる。これらの新型
スマートカード・オペレーティングシステムがもたらす新たな可能性が全く新しいアプリ
ケーション領域を開拓する。例えば、スマートカードの利用を通じて、インターネット取
引および支払いで不可欠な個人セキュリティ・モジュールが信頼できるものになる。これ
らのセキュリティ・モジュールは、個人鍵をセキュリティ保証しつつ格納して、高性能な
暗号アルゴリズムを実行することができる。セキュリティ関連の作業は、暗号コプロセッ
サを備えたマイクロプロセッサにより、洗練された方法で実行することができる。
【0012】
スマートカード内で提供されるメモリ容量は、小さい金型で大容量メモリの製造を可能
にする新技術が導入されるに従い増大している。メモリ技術の発展により、カード自体に
大容量フラッシュメモリを組み込むことでスマートカードをより多くのアプリケーション
に対応可能にする。
【0013】
マルチメディア機能が強化された移動端末が利用可能になるに従い、且つサービスプロ
バイダがブロードバンド移動サービスを実装し始めるに従い、安全で、スケーラブル、且
つ設定可能な大容量記憶に対するニーズが高まっている。強化された大容量(U)SIM
カードの一例として、M−Systems社(カリフォルニア州ニューアーク(Newa
rk、Ca))のMegaSIM(商標)カード・モジュールがある。MegaSIMを
用いて、(U)SIMカード・ベンダーは自身の移動オペレータ顧客に、MMS、MP3
およびビデオ・クリップのダウンロード、完全な個人情報管理(PIM)機能、および高
解像度画像記憶等、各種の高度な移動サービスを可能にする(U)SIMカードを提供す
ることができる。
【0014】
大量のメモリを必要とする新規のアプリケーションの出現により、高性能の携帯電話は
、これらのアプリケーションが必要とするデータを保存する専用インターフェースをメモ
リカードに提供し始めた。典型的アプリケーションとして、静止画写真および/またはビ
デオ・クリップ、MP3ファイル、およびマルチメディア・メッセージングサービス(M
MS)メッセージを保存するために大量のメモリを必要とする一体型カメラが含まれる。
現在まで、メモリカードはメガバイト(MB)単位のメモリを提供しているのに対し、(
U)SIMカードはキロバイト(KB)単位に過ぎない。メガバイト単位のメモリを含む
MegaSIMの導入により強化されたアプリケーションは、(U)SIMカードを従来
用途、およびマルチメディア装置やアプリケーション用に大量のデータを格納する用途の
両方に利用できる。
【0015】
要約すれば、スマートカード上で動作する高度なオペレーティング・システム、および
デジタル静止画またはビデオ画像(MPEGファイル等)、音楽(MP3ファイル)、ゲ
ーム等のマルチメディア・アプリケーションの出現、且つスマートカードにおけるより大
規模なメモリ容量に対するニーズが、移動ネットワーク・オペレータおよびサービスプロ
バイダ向けに各種の新たな機会を開拓する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
高度なスマートカード装置は強化された機能を提供するものの、これらの装置が必要と
する電力は多くの場合、従来型のスマートカード装置が必要とする電力より大きい点に注
意されたい。残念ながら、必要とされる余分の電力が利用できない状況が多い。
【0017】
<スマートカードの電力消費>
第三世代パートナーシップ(3GPP)組織のGSM11.18仕様に、(U)SIM
カードが引き込める最大量の電流が定められている。これらの仕様によれば、(U)SI
Mカードが引き込める最大電流は、正常な動作状態で4ミリアンペアを超えることができ
ない。今日市販されている多くの移動端末は、この制限を課しており、(U)SIMカー
ドが過剰な電流を引き込んだ場合、カードは端末により拒絶され、内部エラーが発生する
。処理能力が向上し、メモリ容量が大きく、恐らくは機能も向上した新たな、より先端的
な(U)SIMカードの導入により、4ミリアンペアでは追加された機能を実際に利用す
るには不十分である。上述の制限に起因して、メモリ容量が増やされて機能強化された新
型(U)SIMカードの利用が、より高い電力要求に対応すべく設計された特定の種類の
端末に限られる。正常動作させるのに必要なより大量の電流を提供すべく設計されていな
い移動端末に新型(U)SIMカードが挿入された場合、当該端末が(U)SIMカード
を不良品として拒絶する恐れがある。
【0018】
自身の電力消費を動的に調整するスマートカード装置に対する一定のニーズがある。こ
れらの追加された機能により、通常は大量の電力を消費する先端的な特徴を搭載したスマ
ートカードに対し、スマートカードが消費する最大量の電流を厳しく規制する端末との互
換性を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述のニーズは本発明のいくつかの態様により満たされる。
【0020】
コマンドを発行する端末と、スマートカード機能を端末に提示するインターフェースお
よび発行されたコマンドを実行するコントローラを有するスマートカードと、スマートカ
ードの電力消費決定を処理する電力消費決定処理機構とを含んでいる節電型のスマートカ
ードシステムを今回初めて開示する。いくつかの実施形態によれば、少なくとも1個のコ
マンドが、少なくとも1個の他のコマンドが次いで実行される間のスマートカード装置の
電力消費に影響を及ぼし、且つ当該端末が電力消費決定に従い少なくとも1個のコマンド
を発行すべく動作する。
【0021】
電力消費決定処理機構により実行および/または処理される電力消費決定の種類には明
確な制限は存在しない。このように、例示的な電力消費決定は、スマートカード装置電力
消費を増やす決定、スマートカード装置の電力消費を減らす決定、およびスマートカード
の最大電力消費を所与の値より低く抑える決定を含んでいるが、これに限定されない。
【0022】
電力消費決定処理機構の特定の実装方式に対する制限は存在しない。いくつかの実施形
態において、電力消費決定機構の少なくとも一部は、端末またはスマートカードに存在す
る。代替的にまたは追加的に、電力消費決定機構の少なくとも一部は、スマートカード端
末システムの外部に存在する。「電力消費決定処理機構」が単一の装置にあっても、ある
いは多数の装置にまたがって分散されていてもよく、ソフトウェア、ハードウェア、ファ
ームウェアの任意の適切な組合せを用いて実装できる点に注意されたい。
【0023】
このように、本発明のいくつかの実施形態によれば、スマートカードの電流消費を制御
すべく動作する1個以上のコマンドが当該カードのコマンド・ポートフォリオに追加され
ている。上述の1個以上のコマンドの構文に対する明確な制限は存在せず、従ってこれら
のコマンドが特定の電力または電流レベルを明確に言及する必要がない点を理解されたい

【0024】
電力消費決定を行なう方法、電力消費決定を行なう場所または電力消費決定を行なう時
点に対する特段の制限は存在しない。
【0025】
一つの具体例によれば、新型(U)SIMカードの電源投入時に3GPP GSM11
.18仕様に準拠すべく最小限の電流を消費するように初期化され、当該(U)SIMカ
ードがあらゆる種類の移動端末互換性を持つようにする。向上した機能のために設計され
ていて、U(SIM)カードにより多くの電流を流すことができる新型移動端末は、例え
ば、カードの処理速度を加速するスマートカード・コマンドを発行する。このコマンドの
実行は同時にスマートカード装置の電力消費を増やし、他のコマンドが次いで実行される
間のスマートカードの性能向上を可能にする。
【0026】
但し、当該(U)SIMカードは標準の移動機器との互換性を維持する。従って、特定
の性能を向上した端末が(U)SIMカードの電流消費を動的に増やすことにより(U)SIMカードの向上した性能および能力を利用できる一方、より厳しい最大電流ポリシーを有する他の端末は、特定の(U)SIMカードの機能ブロックを停止したり、カードの処理能力を低下させたりすることにより、スマートカード機能を落としたモードでスマートカードを動作させることができる。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1個のコマンドを実行することでスマートカ
ード装置の動作パラメータが設定され、これにより後続処理を実行する間のスマートカー
ド装置の電力消費に影響を及ぼす。代替的にまたは追加的に、少なくとも1個のコマンド
の実行により、スマートカード装置の機能単位が有効または無効化される。代替的にまた
は追加的に、少なくとも1個のコマンドの実行により、スマートカード装置の少なくとも
一部のメモリが有効または無効化される。例示的な実施形態において、有効または無効化
されたメモリは、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含んでいる。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1個のコマンドにより設定された動作パラメ
ータは、少なくとも1個の他のコマンドを次いで実行するための限られた時間だけ設定さ
れる。
【0029】
あるいは、動作パラメータは新たな動作設定として継続的に設定される。
【0030】
例示的な動作パラメータは、クロック周波数および不揮発性メモリの動作時間を含んで
いるがこれに限定されない。
【0031】
有効または無効化される装置の例示的な機能単位として浮動小数点ユニットおよび暗号
化ユニットが含まれるがこれに限定されない。
【0032】
端末からコマンドを受信して、前記端末にスマートカード機能を提示するインターフェ
ースと、受信したコマンドを実行するコントローラとを含んでいて、少なくとも1個のコ
マンドがスマートカード装置の機能単位を有効または無効化すべく動作する、可搬型のス
マートカード装置を今回初めて開示する。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、当該機能単位は、少なくとも1個の他のコマンドが次い
で実行される間、有効または無効状態に維持される。
【0034】
端末からコマンドを受信して、前記端末にスマートカード機能を提示するインターフェ
ースと、受信したコマンドを実行するコントローラとを含んでいて、少なくとも1個のコ
マンドがスマートカード装置のメモリの少なくとも一部を有効または無効化すべく動作す
る、可搬型のスマートカード装置を今回初めて開示する。
【0035】
端末からコマンドを受信して、前記端末にスマートカード機能を提示するインターフェ
ースと、受信したコマンドを実行するコントローラとを含んでいて、少なくとも1個のコ
マンドの実行により、少なくとも1個の他のコマンドが次いで実行される間のスマートカ
ード装置の電力消費に影響を及ぼし、少なくとも1個のコマンドがスマートカードの内部
機能回路の動作パラメータを設定する、可搬型のスマートカード装置を今回初めて開示す
る。
【0036】
端末によりスマートカード装置を動作させる方法であって、スマートカード装置の電力
消費決定を行なうステップと、電力消費決定に従って、当該端末によりスマートカード装
置に対し少なくとも1個のコマンドを発行して、少なくとも1個のコマンドが、少なくと
も1個の他のコマンドが次いで実行される間の当該スマートカード装置の電力消費に影響
を及ぼすステップと、当該端末により少なくとも1個の他のコマンドを発行するステップ
とを含む方法を今回初めて開示する。
【0037】
いくつかの実施形態によれば、本方法は更に、当該スマートカード装置による少なくと
も1個の他のコマンドの実行を含んでいる。
【0038】
端末によりスマートカード装置を動作させる方法を今回初めて開示する。今回開示する
方法は、端末からコマンドを受信すべくスマートカード装置を設定(例:スマートカード
装置を端末に接続)するステップと、当該端末によりスマートカード装置に対しスマート
カード装置の機能単位を有効または無効化する少なくとも1個のコマンドを発行するステ
ップとを含んでいる。いくつかの実施形態によれば、機能単位は、少なくとも1個の他の
コマンドが次いで実行される間、有効または無効状態に維持される。
【0039】
いくつかの実施形態によれば、今回開示する方法は更に、当該端末により少なくとも1
個の他のコマンドを発行するステップを含んでいる。
【0040】
端末によりスマートカード装置を動作させる方法を今回初めて開示する。今回開示する
方法は、端末からコマンドを受信すべくスマートカード装置を設定(例:スマートカード
装置を端末に接続)するステップと、当該端末によりスマートカード装置に対しスマート
カード装置のメモリの少なくとも一部を有効または無効化する少なくとも1個のコマンド
を発行するステップとを含んでいる。
【0041】
いくつかの実施形態によれば、メモリの少なくとも一部は、少なくとも1個の他のコマ
ンドが次いで実行される間、有効または無効状態に維持される。
【0042】
いくつかの実施形態によれば、今回開示する方法は更に、当該端末により少なくとも1
個の他のコマンドを発行するステップを含んでいる。
【0043】
端末によりスマートカード装置を動作する方法を今回初めて開示する。今回開示する方
法は、当該端末によりスマートカード装置に対し、少なくとも1個の他のコマンドが次い
で実行される間の当該スマートカード装置の電力消費に影響を及ぼすようにスマートカー
ド装置の内部機能回路の動作パラメータを設定する少なくとも1個のコマンドを発行する
ステップと、当該端末により少なくとも1個の他のコマンドを発行するステップとを含ん
でいる。
【0044】
コンピュータ可読記憶媒体内にコンピュータ可読コードが埋め込まれたコンピュータ可
読記憶媒体を今回初めて開示しており、当該コンピュータ可読コードのスマートカード装
置への命令は、端末から複数のコマンドを受信し、スマートカード装置の機能単位を修正
して有効または無効化する少なくとも1個のコマンドを実行させる命令である。
【0045】
コンピュータ可読記憶媒体内にコンピュータ可読コードが埋め込まれたコンピュータ可
読記憶媒体を今回初めて開示しており、当該コンピュータ可読コードのスマートカード装
置への命令は、端末から複数のコマンドを受信し、スマートカード装置のメモリの少なく
とも一部を修正して有効または無効化する少なくとも1個のコマンドを実行させる命令で
ある。
【0046】
コンピュータ可読記憶媒体内にコンピュータ可読コードが埋め込まれたコンピュータ可
読記憶媒体を今回初めて開示しており、当該コンピュータ可読コードのスマートカード装
置への命令は、端末から複数のコマンドを受信し、少なくとも1個の他のコマンドが次い
で実行される間の当該スマートカード装置の電力消費に影響を及ぼすようにスマートカー
ド装置の内部機能回路の動作パラメータを設定する少なくとも1個のコマンドを実行させ
る命令である。
【0047】
これら、および更なる実施形態が、以下の詳細な説明および実施例から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1A】スマートカード・アーキテクチャの例を示す。
【図1B】ISO互換スマートカードの機械的配置を示す。
【図1C】SIMまたはUSIMカードの物理的形状を示す。
【図2】本発明のいくつかの実施形態による、新型スマートカードの例示的なアーキテクチャを示す。
【図3】フラッシュメモリへの書込または消去時間とフラッシュメモリに供給される電流との間の例示的な関係を示す。
【図4】(U)SIMカードの例示的な電力制御ルーティンを示す。
【図5】浮動小数点ユニット起動の例示的なルーティンを示す。
【図6】ハードウェア利用の暗号化ユニットを起動するための例示的なルーティンを示す。
【図7】最大許容電流に従いプロセッサ速度が設定された例示的な電力管理ルーティンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明を特定の例示的な実施形態に関して説明する。本発明が、開示している例
示的な実施形態に限定されない点を理解されたい。また、スマートカード装置、スマート
カードシステム、スマートカード電力管理の方法、および記述しているコンピュータ可読
コードの必ずしもすべての特徴が請求項の特定のいずれか一つに記載された本発明を実装
するため必要ではない点も理解されたい。装置の各種の要素および特徴は、本発明を完全
に動作させるために記載されている。また、本開示全体にわたり、プロセスまたは方法が
図示または記述されている場合、あるステップがその前に実行されている別のステップに
依存することが前後関係から明白でない限り、本方法のステップは任意の順序で、または
同時に実行できる点を理解されたい。
【0050】
本開示の目的のため、スマートカードは、カード内に格納されたデータへのセキュリテ
ィが保障されたアクセスを提供する任意のカードであってよい。この定義は、ISO78
16標準の必須事項に準拠する任意のカード、任意のSIMカード、および任意のUSI
Mカードを含んでいるが、これらに限定されない。
【0051】
本開示の目的のため、端末は、スマートカードとインターフェース接続可能な任意のコ
ンピュータであってよい。この定義は、携帯電話、PDA、および他の種類の移動端末を
含んでいるが、これらに限定されない。
【0052】
一般に、スマートカード装置は、端末とスマートカード装置との間の通信を可能にする
回路(例:「インターフェース機能回路」)を含んでいる。更に、スマートカード装置は
また一般に、「内部機能回路」すなわちスマートカード装置と外界との間の通信に直接関
係していない回路も含んでいる。特定の設定および特定の例において、内部機能回路は、
装置CPU、浮動小数点または暗号化ユニット、および不揮発性(例:フラッシュ)メモ
リを含んでいてよい。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態は1個以上のコマンドを提供し、これらを実行することに
より、少なくとも1個の他のコマンドが次いで実行される間のスマートカード装置の電力
消費に影響を及ぼす。1個以上のコマンドの実行をいつどのようにスマートカード装置の
電力消費に影響を及ぼすかについては特段の制限がない点に注意されたい。このように、
いくつかの実施形態において、たとえ後続する少なくとも1個の他のコマンドの実行が後
ほど生じる場合でも、1個以上のコマンドの実行が直ちにスマートカード装置の電力消費
に影響を及ぼす。
【0054】
一つの非限定的な例において、暗号化のコアを停止または無効にすることにより、後続
する他のどのコマンドの実行にも無関係に、スマートカード装置の電力消費を直ちに低下
させる。後ほど、後続する1個以上の他のコマンドの実行時に、暗号化のコアを先に停止
または無効にした結果、電力消費が低下する。
【0055】
あるいは、1個以上のコマンドの実行がスマートカード装置の電力消費に及ぼす影響が
遅延される。
【0056】
いくつかの実施形態において、当該装置は「少なくとも1個のコマンド」の実行時点と
、後続する「少なくとも1個の他のコマンド」の実行時点との間に停止せず、この期間中
は動作状態を維持する点に注意されたい。
【0057】
いくつかの実施形態において、後続する「少なくとも1個の他のコマンド」の最初のコ
マンドが、「少なくとも1個のコマンド」の最後のコマンドの実行の後でスマートカード
・コマンドにより実行される最初のコマンドである。
【0058】
同様に、本発明のいくつかの実施形態は1個以上のコマンドを提供し、これらを実行す
ることにより、スマートカード装置のメモリまたは機能単位等の電子回路を有効または無
効化して、あるいは代替的にまたは追加的にスマートカード回路(例:内部機能回路)の
動作パラメータを変更する。いくつかの実施形態によれば、メモリまたは機能単位の起動
状態、またはスマートカード回路の動作パラメータは、このように後続する1個以上の他
のコマンドの実行のために変更される。但し、メモリまたは機能単位がいつどのように有
効または無効化されるか、あるいは動作パラメータがいつどのように変更されるかについ
て特段の制限がない点に注意されたい。
【0059】
本発明の特定の実施形態は、スマートカードの電力消費の増減を決定する電力消費決定
機構を提供する。決定機構がスマートカードの電力消費の増加を決定する具体的方法につ
いて制限はない。一つの非限定的な特定の実施形態において、電力消費を決定するステッ
プは、特定の構成の装置または例えばテーブルからの動作パラメータの組について将来起
こり得る電力消費を評価または推定するステップを含んでいるが、これは決して本発明の
必須要件ではない。将来起こり得る電力消費が、端末に許された最大電力消費を超える場
合、装置の電力消費を減らす決定がなされ、例えば、スマートカードメモリを無効にする
かまたはクロック速度を落とすべく動作するコマンドが端末からスマートカードへ発行さ
れる。但し、これらの実施形態の場合、消費電力を減らす決定がなされても、且つ実行す
れば電力消費が減るコマンドが発行されても、実際のコマンドまたはコマンド構文は具体
的に電力消費に関係していなくてよい点に注意されたい。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態は、電力消費決定の実行または処理に関する。いくつかの
実施形態によれば、電力消費決定の「処理」は、実際に電力消費の決定を行なうステップ
を含んでいる。いくつかの実施形態によれば、電力消費決定の処理には、電力消費に関す
る考慮に従い、スマートカードに対しコマンドを発行する決定、またはスマートカードに
対しコマンドの発行を控える決定を実行するステップが含まれる。
【0061】
図2に、CPU(22)およびRAM(18)および/またはROM(19)等の補助
メモリを含むコントローラを備えた例示的なスマートカードを示す。コントローラは、ス
マートカード・コマンドを実行すべく動作し、当該コントローラは更に本発明のいくつか
の実施形態に従い電力または電流消費を管理すべく動作する。プログラム可能なクロック
生成回路(21)は、任意の既存のプログラム可能なクロック生成技術(周波数分割装置
、位相ロックループ(PLL)、または他の種類のプログラム可能なクロック生成ハード
ウェア)に従いCPUクロックを生成する。クロック生成回路は電源投入時に、CPU(
22)が最小限の電流を引き込むように初期化される。これは、CPU(22)クロック
を低周波数に設定して、カードの電流消費が3GPP仕様により定められた制限を下回る
ことを保証することにより実現される。電力投入後、(U)SIMカード・インターフェ
ース(20)を介して適当なコマンドを受信したならば、CPU(22)は自身のクロッ
クをより高い周波数に調整することができるが、その結果、性能が向上するのと引き換え
に電流または電力消費が増える。調整は、特定の機能を実行するための限られた時間だけ
持続しても、あるいは新たな動作設定として継続されてもよい。
【0062】
フラッシュメモリ(23)が引き込む電流はまた、フラッシュ制御ブロック(24)を
介してプログラムすることができる。例えば、フラッシュメモリの一部に電源投入または
電源切断することにより、(U)SIMカードの電力消費を更に制御することが可能であ
る。(U)SIMカードが、移動機器により供給される電流の量を制限する移動機器に取
り付けられている場合、当該(U)SIMカードは利用可能なメモリ容量の一部分しか使
用しない。スマートカードの電力管理に従い、電力消費を減らすためにコントローラによ
りメモリのバランスを無効にする(全く電流を引き込まないようにオフにする)ことがで
きる。メモリの全容量は、(U)SIMカードの電流消費を管理する能力を有し、且つカ
ードのメモリ全体を動作させるのに必要な余分の電流を提供できる移動機器に対して利用
可能になる。
【0063】
図2に示すように、(U)SIMカード内の他の機能ブロック(27)もまた電源投入
または電源切断されて、電流の増加と引き換えに追加機能を提供したり無効にしたりする
ことができる。周期的に電源投入・切断が行なえる機能ブロックの例として、浮動小数点
演算装置(26)およびハードウェア搭載の暗号化コア(28)が含まれる。図2に関す
る一例として、(U)SIMカードの電流消費を制限するために浮動小数点演算装置(2
6)はデフォルト設定では無効にされている。多くの電流供給が可能な性能向上された端
末で(U)SIMカードが用いられる場合、当該カードの浮動小数点演算装置を有効にし
て、高負荷の数学的計算を必要とするアプリケーションを実行する際に性能を向上させる
ことができる。
【0064】
図2に示す別の例示的な機能ブロックは、ハードウェア搭載の暗号化コア(28)であ
る。一例によれば、当該機能ブロックは、(U)SIMカードの電源投入時点で無効にさ
れる。(U)SIMカードを含む従来型装置は、暗号機能をソフトウェアで実行すること
ができるが、より多くの電力を(U)SIMカードに提供可能な装置はハードウェア搭載
の暗号コア(28)を起動して、暗号機能を実行する際に性能を向上させることができる

【0065】
いくつかの実施形態によれば、フラッシュメモリ(23)の書込みおよび/または消去
時間は、フラッシュメモリ(23)が引き込む電流の量に関係する。図3に、そのような
例示的な関係を示すが、図3に示す特定の形式は単に例として提供するのであって、決し
て限定的なものではない点を理解されたい。このように、いくつかの実施形態によれば、
フラッシュメモリ(23)へ供給される電流の量、およびこれに付随してフラッシュメモリ(23)の書込みおよび/または消去時間は、(U)SIMカード・コントローラ等の装置のコントローラにより管理される。この機構は動的に実装可能であり、その場合コントローラは、スマートカード装置が引き込める電流または電力の最大量に従いフラッシュメモリ(23)の書込み/消去速度を設定する。
【0066】
図4に、(U)SIMカードの例示的な電力制御ルーティンを示す。(U)SIMカー
ド(30)に電力を供給した後で、全ての拡張要素が無効にされる(31)。この時点で
、(U)SIMカードは、自身の電流消費が最小で、且つ3GPP GSM11.8によ
る最大電流既定を完全に遵守するモードに設定される。許容される電力または電流の最大量はパラメータとして(U)SIMカード内に保存され、後で(U)SIMカード・インターフェースを介して適当なコマンドが配信されたならば変更することができる。初期化プロセスの後、CPU(22)はコマンドを待機する。「電力モード変更」コマンド(33)は、無効化された機能を起動する、有効にされた機能を無効にする、あるいは、電力消費の変化をもたらすCPU(22)その他の任意の回路の性能を変える任意の種類のコマンドを意味する。そのようなコマンドを受信したならば、(U)SIMは自身の動作モードを電流消費がより高いまたは低いモードに変更し、その結果として(U)SIM機能が各々向上または低下する。
【0067】
新型(U)SIMカード機能に要求されるより高い電力要件に対応できない既存の移動
端末は、(U)SIMカードを基本的な従来モードで動作させ、機能強化された移動機器
は、新型(U)SIMカード機能を最大限に利用することができる。
【0068】
図4に示すような一つの例示的なコマンド・モードの変更は、無効にされた機能を有効
にするようカードに指示する。そのようなコマンドを受信したならば、カードは新たな電
流を最大許容電流(34)と比べて検証する。新たな電流が最大許容電流を下回れば、コ
マンドは受理され、要求された機能が有効にされる(36)。一方、コマンドは拒絶され
(35)、適切なエラー応答が生成される。
【0069】
図5に、浮動小数点ユニット(26)の起動を示す。最初に、電源投入時(40)にお
いて、最小限の電流を引き込むように浮動小数点ユニットが無効(41)にされる。(U
)SIMカード・プロセッサが浮動小数点の有効化コマンド(42)を受信すると即座に、カードのファームウェアが浮動小数点ユニットが有効にされた(44)後、スマートカードの更新された電流または電力消費を計算する(43)。これは例えば、各々の電力制御された装置の電力消費を含むテーブルにアクセスすることにより実行することができる。新たな電流が最大許容電流を下回る場合(45)、ファームウェアは内部浮動小数点ユニット(46)に電力を送って起動する。その瞬間から、内蔵(U)SIMカード・プロセッサにより実行されたアプリケーションは、ハードウェア搭載の浮動小数点ユニットがり提供する拡張された性能を利用することができる。
【0070】
図6に、ハードウェア搭載の暗号化ユニット(25)以外は同様である機能を示す。電
源投入(50)時に、暗号化ユニットは最初は無効にされる(51)。暗号化ユニット初期化コマンドを受信したならば(52)、(U)SIMカード・プロセッサは暗号化ユニットの起動(54)の後、新たな電流消費を計算する(53)。新たな電流が最大許容電流を下回る(55)場合、暗号化ユニットはオンにされる(56)。その瞬間から、アプリケーションは暗号化を用いるアプリケーションの実行を促進すべくハードウェア搭載の暗号化ユニットを使用することができる。
【0071】
図7に、最大許容電流に従いプロセッサ速度が設定された別の例示的な電力管理ルーテ
ィンを示す。カードは、3GPP仕様に定められた既定最大電力に準拠する最小速度(6
1)に初期化される(60)。プロセッサは、新たなコマンド(62)を受信するまで待
機する。コマンドが「プロセッサ速度設定」コマンドである場合、カードは、電流消費が
最大許容電流を常に下回ることを保証すべく、最大プロセッサ速度を計算する専用機能の
結果に従いCPU(22)動作クロック速度を変更する。特定のカード実装に応じて、当
該機能は、解析的な機能またはテーブル駆動される機能であってよい。
【0072】
カードの電力消費を調整する動作パラメータの設定についてクロック周波数に関して図
7で説明したが、カードの電力消費を調整するためにカードの他の任意のパラメータを設
定できる点を理解されたい。更に、上述の電力制御技術は(U)SIMカードおよび互換
端末に関して述べたものであるが、上の例に示す原理が任意のスマートカード装置に適用
できる点を理解されたい。
【0073】
スマートカードの最大電力消費等、スマートカードの電力消費の動的な調整が有用であ
る各種の例示的な状況が存在する点に注意されたい。一例によれば、端末の電池の動作時
間を延ばすことが望ましい。
【0074】
1個のコマンドが、少なくとも1個の他のコマンドが次いで実行される間のスマートカ
ード装置の電力消費にどのように影響を及ぼすかについて特段の制限がない点に注意され
たい。一つの特定の例において、スマートカード装置の最大許容電力消費が増減されて、
調整された最大許容電力消費に従い、後続する少なくとも1個の他のコマンドの実行が行
なわれる。1個のコマンドがスマートカード装置の電力消費に影響を及ぼす仕方の別の例
として最小電力消費を増減、平均電力消費の増減、ピーク電力値の増減が含まれるが、こ
れらに限定されない。
【0075】
本出願の記述および請求項において、各々の動詞「からなる」、「含む」、「有する」
、およびこれらの組み合わせは、動詞の目的語または目的語群が必ずしも当該動詞の主語
または主題群の部材、成分、要素、または部分の完全なリストではないことを示すために
用いている。
【0076】
本発明について、例として与えられた実施形態の詳細記述を用いて説明してきたが、こ
れらの例で本発明の範囲を限定することを意図していない。記述されている実施形態は、
異なる特徴を含んでいるが、これらの全てが本発明の全ての実施形態に必要な訳ではない
。本発明のいくつかの実施形態は、特徴の一部または特徴の可能な組合せだけを用いてい
る。当業者には、本発明の記述されている実施形態、および記述されている実施形態に注
記された特徴の異なる組合せを含む本発明の実施形態の変型が想起されよう。本発明の範
囲は添付の請求項によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
節電型のスマートカードシステムであって、
a)コマンドを発行する端末と、
b)前記端末に対しスマートカード機能を提示するインターフェースおよび前記発行さ
れたコマンドを実行するコントローラを有するスマートカードと、
c)前記スマートカードの電力消費決定を処理する電力消費決定処理機構とを含み、
少なくとも1個の前記コマンドが、前記コマンドの少なくとも他の1個が次いで実行さ
れる間の前記スマートカード装置の電力消費に影響を及ぼし、且つ前記端末が、前記電力
消費決定に従い前記少なくとも1個のコマンドを発行すべく動作するシステム。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−48730(P2012−48730A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−213941(P2011−213941)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【分割の表示】特願2008−506047(P2008−506047)の分割
【原出願日】平成18年3月26日(2006.3.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(502111536)サンディスク アイエル リミテッド (64)
【住所又は居所原語表記】Central Park 2000,Atir Yeda Street 7,44425 Kfar Sabad,Israel
【Fターム(参考)】