説明

スマートフォン及びそれを用いた自動改札機又はこれらを用いた自動改札システム

【課題】乗車券として使用されたスマートフォンが、有効期限切れ等により自動改札機を通過できないときに、スマートフォンの操作表示部に券面画像情報を表示できるようにしたスマートフォン及びそれを用いた自動改札又はこれらを用いた自動改札システムを提供すること。
【解決手段】自動改札機30からの乗車情報要求(S1)に基づいてスマートフォン70から乗車情報を送信すると(S4)、自動改札機は当該乗車情報に基づく乗車判定結果及び復号鍵情報をスマートフォンに送信する(S5)。スマートフォンは、受信した乗車判定結果が有効期限切れ等の異常判定の場合には、受信した復号鍵情報を用いて記憶部(73)から当該乗車情報に基づく券面画像情報を読み出し、当該券面画像情報を操作表示部71に出力する(S8)。操作表示部は入力した当該券面画像情報を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、スマートフォン及びこれを用いた自動改札機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICSFカード(以下、SFカードと称する。)などチャージ可能な非接触ICカードを用いて自動改札機を利用することが可能になってきた。また、スマートフォンなどのモバイル端末を用いて自動改札機を利用することも可能である。なお、スマートフォンとは、携帯電話(又はPHS)機能と携帯情報端末(PDA)機能を有する携帯端末のことである。
【0003】
前者のSFカードは、定期券として使用される場合には、表面に乗車期間(有効期限)及び乗車区間などが表示される。
【0004】
一方、後者のスマートフォンは、操作部及び表示部が一体として備えられているものが知られているが、定期券などの乗車券として用いられる場合であっても、当該操作表示部に乗車期間(有効期限)及び乗車区間などを表示した定期券表示を行っていないのが一般的である。なお、携帯通信端末を定期券として利用する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−30074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したスマートフォンを定期券などの乗車券として使用する場合、当該スマートフォンの表示面には当該乗車券としての乗車情報は表示されない。通常スマートフォンを所持する利用者は、特にその内容を確認しながら乗車することを必要としないことによる。
【0007】
しかしながら、定期券の有効期限が切れているスマートフォンが自動改札機で使用された場合、当該スマートフォンの所持者は当該自動改札機によって入場(又は出場)が禁止されるが、定期券としてのスマートフォンの表示部に乗車情報が表示されないためにその理由が即座にはわからないという課題があった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、スマートフォンが自動改札機で使用された場合であって、乗車期間外(有効期限切れ)乗車又は乗車区間外乗車の場合には、ストアードフェア(運賃の蓄積)設定がされていない場合、定期券などの乗車券の券面画像を操作表示部に表示し、当該乗車券が有効期限切れ乗車又は乗車区間外乗車であることを利用者に通知することにより、利用者の不安を解消することができるスマートフォン及びそれを用いた自動改札機又はこれらを用いた自動改札システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載のスマートフォンは、自動改札機と非接触通信可能なスマートフォンであって、前記自動改札機と非接触で送受信可能な通信部と、当該スマートフォンを乗車券として使用する場合の乗車情報及び券面画像情報を記憶する記憶部と、当該スマートフォンを利用するための入出力手段としての操作表示部と、前記自動改札機から受信した乗車情報要求に基づいて、前記記憶部にアクセスして読み出した乗車情報を前記通信部を介して前記自動改札機に送信し、この自動改札機から当該乗車情報に基づく乗車判定結果及び復号鍵情報を前記通信部を介して受信し、当該乗車判定結果が、異常判定の場合には、前記券面画像情報を前記復号鍵情報に基づいて前記記憶部から読み出し、この読み出した券面画像情報を前記操作表示部に出力する制御部と、を備え、前記操作表示部は、前記制御部から入力した券面画像情報を表示することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例に係る自動改札システム
【図2】実施例に係る自動改札機及びスマートフォンの情報の流れを示すブロック図
【図3】スマートフォンの定期券が期限切れの場合の券面画像表示の一例
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施例に係るスマートフォンは、自動改札機及び窓口機と非接触通信が可能な通信手段を有する。また、自動改札機、窓口処理機は、LANなどの通信回線を介して上位装置と通信可能に接続される。以下、実施例を説明するための形態を図面を参照して説明する。
【実施例】
【0012】
図1は、実施例に係る自動改札システムである。自動改札機30及び窓口処理機40がLAN60を介して上位装置50対して通信可能に接続される。
【0013】
自動改札機30には、スマートフォン70と非接触通信可能なICカード読取部(通信部)31が設けられている。スマートフォン70を所持する利用者が当該スマートフォン70をICカード読取部31に翳すと、スマートフォン70は、乗車情報を自動改札機30に送信する。自動改札機30のICカード読取部31は当該送信された乗車情報を受信し、当該乗車情報に基づく乗車情報の判定を行う。この判定結果に基づいて、自動改札機30での通行の可否が判定される。その際、上述したストアードフェア設定が行われている場合には、チャージ残額が案内表示部32に表示される。また、この判定結果に基づいてゲート33(33a、33bの総称)が開閉駆動される。これら一連の動作は、自動改札機内部に設けられたCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)、メモリ、I/O(Input Output:入出力装置)などにより構成された制御部によって制御される。
【0014】
窓口処理機40は、係員操作部41、チャージ部42、客用表示部44及びICカードリーダライタ45などで構成され、駅係員によって操作される。
【0015】
上位装置50は、管轄する駅又は管轄するエリアに配置され、自動改札機30及び窓口処理機40とLAN(Local Area Network:構内通信ネットワーク)60を介して接続され、相互に通信可能である。なお、図示した例では、自動改札機などの装置が各1台LANに接続された場合を示しているが、駅の規模により駅に複数台設置されて運用されるのが一般的である。また、他の自動券売機(図示しない)、定期券発行機(図示しない)なども接続される。その場合には、当該LANにもこれらの装置が複数台接続されて自動改札システムが構成される。
【0016】
また、この上位装置50は、図示しないセンター装置と接続される。上述したスマートフォン70の個人IDや乗降情報はこの上位装置50を介してセンター装置(図示しない)に送信される。
【0017】
センター装置は、上記IDに関連付けてセンター装置が管理する記憶装置から定期券情報などの乗車情報を読み出して上位装置50に送信する。
【0018】
実施例では、このように構成された自動改札システムにおいて、スマートフォン70を利用する利用者に期限切れが発生した場合にはその期限切れ情報を通知するスマートフォン及びそれを用いた自動改札機又はこれらを用いた自動改札システムムを提供する。なお、自動改札機30の案内表示部32には期限切れの案内表示が行われる。
【0019】
しかしながら、自動改札機30を利用する利用客が連続した場合には、当該案内表示部32に表示された内容が誰に対するメッセージであるか判別しにくい場合があり、当該表示内容を確認せずに当該自動改札機30を通過する利用客が多い。実施例では、利用者が所持するスマートフォン70の操作表示部に乗車券の券面画像(実施例では定期券の券面画像)が表示されるため、その通知効果は大きい。
【0020】
図2は、自動改札機30及びスマートフォン70の情報の流れを示すブロック図である。スマートフォン70を所持する利用者が、当該スマートフォンを自動改札機30のICカード読取部31に翳すと、スマートフォン70の制御部72は、自動改札機30から送信された乗車情報要求を受信する(S1)。
【0021】
スマートフォン70の通信部75は、自動改札機30から受信した乗車情報要求(S1)を制御部72に出力する。制御部72は、記憶部73にアクセスし(S2)、記憶部73から乗車情報を読み出す(S3)。制御部72は、当該読み出した乗車情報を自動改札機30に送信する(S4)。
【0022】
自動改札機30のICカード読取部(通信部)31は、スマートフォン70から受信した乗車情報を制御部35に出力する。
【0023】
制御部35は、当該乗車情報の乗車判定を行い(乗車判定手段)、その乗車判定結果に基づき、ゲート33(33a、33bの総称)を駆動し、入出場の可否を行う(入出場制御手段)。また、乗車判定結果が「有効期限切れ」により「入出場否」の判定が行われた場合は、案内表示部32に「有効期限切れ」表示を行うと共に、上記ゲート33を駆動して通行を拒否する(入出場制御手段)。
【0024】
上記乗車情報の乗車判定結果は、ICカード読取部31からスマートフォン70に送信される(S5)。この際、判定結果が「否」の場合は、スマートフォン70の操作表示部71に券面画像を表示するための復号鍵情報を送信する(S5)。
【0025】
スマートフォン70の制御部72は、上記復号鍵情報を受信した場合に当該復号鍵情報を記憶部73に出力する(S6)。
【0026】
記憶部73は、入力した復号鍵を用いて記憶されている券面画像を読み出す(S7)。読み出した券面画像を操作表示部71に出力する(S8)。このようにして操作表示部71に券面画像71aが表示される。
【0027】
図3は、スマートフォンの定期券の乗車期間が期限切れ又は乗車区間が乗車区間外の場合の券面画像表示の一例である。図3(1)はスマートフォン70を自動改札機30に翳した状態を示す。図3(2)は、定期券情報書き込み済みのスマートフォン70を示す。このスマートフォン70は、定期券の乗車期間の期限切れ等の異常が発生しない場合には、図示したように操作表示部71には定期券の券面画像は表示されない。図3(3)は、定期券が期限切れになったスマートフォン70を自動改札機30で使用した場合に操作表示部71に表示される定期券の券面画像を表示した一例である。上述したように当該自動改札機30の通過ができない場合に当該スマートフォン70の操作表示部71に定期券の券面画像が表示される。
【0028】
なお、スマートフォンでは、当該定期券の乗車期間、乗車区間などの乗車情報をテキストファイルとして読み出し、当該スマートフォン70の操作表示部71に表示するサービスが知られている。この乗車情報は上述した復号鍵情報を用いることなく当該操作表示部71からアプリケーションを操作することにより表示できる。これに対して、実施例は、スマートフォン70を定期券などの乗車券として使用した場合で上述した条件の場合に自動的に当該スマートフォン70の操作表示部71に券面画像を表示するもので上述した乗車情報をテキストファイルとして表示するサービスとは異なるものである。
【0029】
以上説明したように復号鍵情報を用いて券面情報を読み出すのは、上述した乗車券(定期券)として使用する場合などに限定するためである。すなわち、所定の手続きを経た場合にのみ、当該スマートフォン70の記憶部73に記憶された乗車券面情報を読み出せるようにしてある。所定の手続きとは、例えば、当該スマートフォン70が正規の乗車券(定期券を含む)として使用され、かつ「乗車期間」内の乗車又は「乗車区間」内の乗車ではない乗車が行われたことによる異常状態である場合、又は当該スマートフォン70が窓口処理機40のICカードリーダライタ45で読み取られた場合など、事前に設定された手続きを行った場合に限定される。
【0030】
すなわち、スマートフォン70が情報端末として上述した乗車券として自動改札機30を利用した場合でない場合であっても券面画像を表示することができるとすると、当該表示された券面情報が容易に他のスマートフォンなどモバイル端末(図示しない)によって読み込まれ偽造など悪用される場合があるのを防止するためである。
【0031】
以上説明したように、実施例によれば、スマートフォンを定期券などの乗車券として使用した場合、当該定期券の乗車期間又は乗車区間が過ぎたスマートフォンを自動改札機などで使用したことにより異常判定された場合、当該スマートフォンを使用する利用者に当該乗車券の券面画像を表示することにより利用者に通知することができるスマートフォン及びそれを用いた自動改札機又はこれらを用いた自動改札システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0032】
30 自動改札機
31 カード読取部
32 案内表示部
33a、33b ゲート
35 制御部
40 窓口処理機
45 ICカードリーダライタ
50 上位装置
60 LAN
70 スマートフォン
71 操作表示部
72 制御部
73 記憶部
75 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動改札機と非接触通信可能なスマートフォンであって、
前記自動改札機と非接触で送受信可能な通信部と、
当該スマートフォンを乗車券として使用する場合の乗車情報及び券面画像情報を記憶する記憶部と、
当該スマートフォンを利用するための入出力手段としての操作表示部と、
前記自動改札機から受信した乗車情報要求に基づいて、前記記憶部にアクセスして読み出した乗車情報を前記通信部を介して前記自動改札機に送信し、この自動改札機から当該乗車情報に基づく乗車判定結果及び復号鍵情報を前記通信部を介して受信し、当該乗車判定結果が、異常判定の場合には、前記券面画像情報を前記復号鍵情報に基づいて前記記憶部から読み出し、この読み出した券面画像情報を前記操作表示部に出力する制御部と、
を備え、
前記操作表示部は、前記制御部から入力した券面画像情報を表示することを特徴とするスマートフォン。
【請求項2】
前記乗車券が定期券であり、かつ、当該定期券の乗車期間が期限切れ又は乗車区間が乗車区間外の場合に前記乗車判定結果が異常判定となり、当該異常判定に基づき、当該定期券の券面画像情報を前記スマートフォンの操作表示部に表示することを特徴とする請求項1記載のスマートフォン。
【請求項3】
スマートフォンと非接触通信可能な自動改札機であって、
前記スマートフォンと非接触で送受信可能な通信部と、
前記スマートフォンから送信された乗車情報が異常の場合に異常情報を表示する案内表示部と、
当該自動改札機からの入出場の可否を行うゲートと、
前記通信部、案内表示部及びゲートと接続され、これらを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記通信部が前記スマートフォンから受信した乗車情報に基づいて乗車判定を行う乗車判定手段と、
この乗車判定手段による乗車判定結果に基づいて前記ゲート及び案内表示部を制御する入出場制御手段と、
当該乗車判定結果及び当該スマートフォンに券面画像を表示するための復号鍵情報を前記スマートフォンに送信する送信手段と、
を備えたことを特徴とする自動改札機。
【請求項4】
スマートフォンと、このスマートフォンと非接触通信可能な自動改札機とを有して構成された自動改札システムであって、
前記スマートフォンは、
前記自動改札機と非接触で送受信可能な通信部と、
当該スマートフォンを乗車券として使用する場合の乗車情報及び券面画像情報を記憶する記憶部と、
当該スマートフォンを利用するための入出力手段としての操作表示部と、
前記自動改札機から受信した乗車情報要求に基づいて、前記記憶部にアクセスして読み出した乗車情報を前記通信部を介して前記自動改札機に送信し、この自動改札機から当該乗車情報に基づく乗車判定結果及び復号鍵情報を前記通信部を介して受信し、当該乗車判定結果が、異常判定の場合には、前記券面画像情報を前記復号鍵情報に基づいて前記記憶部から読み出し、この読み出した券面画像情報を前記操作表示部に出力する制御部と、
を備え、
前記操作表示部は、前記制御部から入力した券面画像情報を表示し、
前記自動改札機は、
前記スマートフォンと非接触で送受信可能な通信部と、
前記スマートフォンから送信された乗車情報が異常の場合に異常情報を表示する案内表示部と、
当該自動改札機への入出場の可否を行うゲートと、
前記通信部、案内表示部及びゲートと接続され、これらを制御する制御部と、
を備え、
当該自動改札機の制御部は、
前記通信部が前記スマートフォンから受信した乗車情報に基づいて乗車判定を行う乗車判定手段と、
この乗車判定手段による乗車判定結果に基づいて前記ゲート及び案内表示部を制御する入出場制御手段と、
当該乗車判定結果及当該スマートフォンに券面画像を表示するための復号鍵情報を当該スマートフォンに送信する送信手段と、
を備え、
スマートフォンの乗車情報が異常の場合に当該スマートフォンの案内表示部に券面画像情報を表示することを特徴とする自動改札システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−84213(P2013−84213A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225079(P2011−225079)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】