説明

スマートベッドシステム

【課題】患者データを管理する。
【解決手段】患者を収容するスマートベッドは、1つまたは複数の監視装置に動作可能に接続することができるスマートベッドコンピュータを含む。スマートベッドコンピュータは、監視装置によって記録された任意の監視データを格納するように構成される。スマートベッドシステムは、スマートベッドコンピュータに結合されたサーバをも含む。サーバは、患者に関する任意の患者データを格納するように構成される。サーバは、スマートベッドコンピュータから、監視データを受け取り、その後、監視データを患者データの一部として格納するように構成される。患者データは、スマートベッドから直接にアクセスすることができるように、サーバからスマートベッドコンピュータに選択的に転送することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スマートベッドシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療記録、ケアプラン、チャート、人口動態統計など、患者データは一般に、病院内の中央コンピュータ内に格納される。患者を治療する病院職員は、適切な一連の措置を決定するために、患者を治療しまたは看護する前に中央コンピュータから患者データをダウンロードしなければならないことがある。患者を治療しまたは看護する前に中央コンピュータから患者データをダウンロードするプロセスは、特に多数の異なる患者に適用される場合には、非常に手間がかかることがある。
【0003】
病院は、患者を監視し、結果として得られる患者データを収集するために様々な異なるシステムを実装することがある。こうした患者データを収集した後、データは一般に編纂され、またはプロット、グラフ、チャートなどの便利な形式にされ、次いで医師によって解析されまたは評価される。患者データを収集し、編纂し、解析するプロセスは一般に、手作業で実施されるかなりの数のステップまたは操作を含む。
【0004】
1つの問題は、患者を治療しまたは看護する前に中央コンピュータから患者データをダウンロードするプロセスに関係する。問題は、このプロセスが、患者の治療が開始され得る前に物理的に中央コンピュータまで行き、患者データをダウンロードし、次いで患者へと戻る追加のステップを必要とするので非能率的であるということである。多数の患者に適用される場合、この非能率性は高まる。
【0005】
別の問題は、従来の方法に従って患者データを収集し、編纂し、解析するプロセスに関係し、このプロセスは、手作業で実施されるかなりの数のステップまたは操作を含む。この問題は、手作業で実施されるこれらのステップが一般に、手間がかかり、連続的には実施することができず、人為的な誤りが生じやすいということである。従来の患者監視およびデータ解析方法に関する別の問題は、地理的に近いことの制約に関連する。より正確に述べると、患者を監視し、結果のデータを評価するには、一般に患者の近くにいなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第2002/044059号公報
【特許文献2】欧州特許第1623666号公報
【特許文献3】国際特許第2004/028344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記で言及された欠点、短所および問題に本発明において対処し、それは、以下の明細を読み理解することによって理解される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態では、スマートベッドシステムは、患者を収容するように適合されたスマートベッドを含む。スマートベッドは、1つまたは複数の監視装置に動作可能に接続することができるスマートベッドコンピュータを含む。スマートベッドコンピュータは、監視装置によって記録された任意の監視データを格納するように構成される。スマートベッドシステムは、スマートベッドコンピュータに結合されたサーバをも含む。サーバは、患者に関する任意の患者データを格納するように構成される。サーバは、スマートベッドコンピュータから、監視データを受け取り、その後、監視データを患者データの一部として格納するように構成される。患者データは、スマートベッドから直接にアクセスすることができるように、サーバからスマートベッドコンピュータに選択的に転送することができる。
【0009】
別の実施形態では、スマートベッドシステムが、複数の異なる患者に関する患者データを格納するように構成されたサーバと、患者を収容するようにそれぞれ適合された複数のスマートベッドとを含む。複数のスマートベッドは、サーバにそれぞれ結合された対応する複数のスマートベッドコンピュータをそれぞれ含む。患者データは、複数のスマートベッドのそれぞれから直接にアクセスすることができるように、サーバから複数のスマートベッドコンピュータのそれぞれに選択的に転送することができる。サーバおよび/または複数のスマートベッドコンピュータ内に格納されたどんな患者データも、遠隔に位置する1人または複数の看護者が複数の患者を集団的にまたは個々に治療することができるように遠隔からアクセス可能である。
【0010】
別の実施形態では、スマートベッドシステムは、複数の異なる患者に関する患者データを格納するように構成されたサーバと、患者を収容するようにそれぞれ適合された複数のスマートベッドとを含む。複数のスマートベッドはそれぞれ、サーバに結合されたスマートベッドコンピュータを含む。患者データは、複数のスマートベッドのそれぞれから直接にアクセスすることができるように、サーバから複数のスマートベッドのスマートベッドコンピュータに選択的に転送することができる。スマートベッドシステムは、サーバ、および/または複数のスマートベッドのスマートベッドコンピュータ内に格納されたアルゴリズムをも含む。アルゴリズムは、患者のケアプランを評価し、患者のケアプランへのコンプライアンスを監視するように構成される。サーバおよび/または複数のスマートベッドのスマートベッドコンピュータ内に格納されたどんな患者データも、遠隔に位置する1人または複数の看護者が複数の患者を集団的にまたは個々に治療することができるように遠隔からアクセス可能である。
【0011】
本発明の様々な他の特徴、目的および利点は、添付の図面およびその詳細な説明から当業者には明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施形態によるスマートベッドシステムの概略図である。
【図2】一実施形態によるアルゴリズムを示すブロック図である。
【図3】一実施形態による複数の入力装置に結合されたスマートベッドを示す概略図である。
【図4】一実施形態による複数の出力装置に結合されたスマートベッドを示す概略図である。
【図5】一実施形態による方法を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
下記の詳細な説明では、本明細書の一部をなす添付の図面に言及し、図面では、実施され得る特定の実施形態が例示するために示されている。これらの実施形態は、当業者が諸実施形態を実施することができるように十分詳細に述べられており、他の実施形態を使用してもよく、また諸実施形態の範囲から逸脱せずに論理的、機械的、電気的および他の変更を加えてもよいことを理解されたい。したがって、下記の詳細な説明は、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきでない。
【0014】
図1を参照すると、一実施形態によるスマートベッドシステム10が示されている。スマートベッドシステム10は、1つまたは複数のスマートベッド14a〜14nに動作可能に接続されたサーバ12を含む。本発明の目的のため、「サーバ」は、プロセッサおよび記憶媒体を有する遠隔アクセス可能な装置を含むものと定義される。スマートベッドシステム10は複数のサーバを含んでもよく、概略的に示されたサーバ12は複数のサーバを表し得ることを理解されたい。
【0015】
サーバ12は、たとえば患者を連続的に監視し、患者のニーズに直接対処し、または患者のニーズに対処するように他者に指示し、患者が最適な看護を受けることを保証するために予防措置を講じ、診断の取得またはケアプランの策定のために関連した患者データを個人またはチームに伝えるなどの目的のために、複数の異なるソースからデータを受信し、またはそこに送信する。限定しないやり方で、これらのソースは、スマートベッド14a〜14n、主治医16、医療チーム18、遠隔モニタ20、および/または緊急警告装置22を含んでもよい。
【0016】
各スマートベッド14a〜14nは、患者24a〜24nのうちの1人を保持するようにそれぞれ適合されている。スマートベッド14a〜14nはそれぞれ、従来のやり方でサーバ12に結合されたコンピュータ26a〜26nを含む。スマートベッド14a〜14nはそれぞれ複数のコンピュータを含んでもよく、概略的に示されたコンピュータ26a〜26nはそれぞれ、複数のコンピュータを表し得ることを理解されたい。看護士などのローカル看護者28は、患者のニーズを最適に満たすためにサーバ12にデータを転送し、またはそこからデータを取り出すためにスマートベッドコンピュータ26a〜26nを実装することができる。一実施形態によれば、ローカル看護者28は、コンピュータ26a〜26nにアクセスするために携帯情報端末(PDA:personal digital assistant)30を実装してもよい。あるいは、ローカル看護者28は、キーボード、マウス、タッチスクリーンなど、知られているいずれかのやり方でコンピュータ26a〜26nにアクセスすることができる。別の実施形態によれば、下記に詳細に述べられるように、スマートベッド14a〜14nは、データをサーバ12に自動的に転送し、またはそこからデータを取り出すように構成されてもよい。
【0017】
主治医16は、サーバ12から直接にまたは遠隔でデータを抽出し、サーバ12に入力してもよい。主治医16とサーバ12の間の例示的な対話は、以下を含んでもよい。主治医16は最初、患者24aについての病歴および現在の人口動態統計などの情報をサーバ12から抽出する。サーバ12からこの情報を得て評価した後、主治医16は、患者24aを最適に治療するように適合されたケアプラン32を策定し、サーバ12にケアプラン32を入力する。ケアプラン32は、ローカル看護者28が主治医のケアプラン32を実施することができるように、スマートベッド26aを介してローカル看護者28からアクセス可能である。治療の間、主治医16は、患者の経過を評価し、ケアプラン32を調整するために、その後に取得された任意の患者データなどの追加の情報を抽出することができる。したがって、スマートベッドシステム10は、主治医が遠隔位置から複数の患者を解析し治療することを可能にする。
【0018】
医療チーム18は、サーバ12から直接にまたは遠隔からデータを抽出し、サーバ12にデータを入力することができる。サーバ12に遠隔からアクセス可能であるので、医療チーム18は、離れた地理的領域からのメンバを含んでもよい。したがって、患者24a〜24nを評価し治療するために、世界中の専門家を医療チーム18の一部として事実上まとめることができる。医療チーム18とサーバ12の間の例示的な対話は、以下を含んでもよい。医療チーム18は最初、患者の病歴、初期診断、医療報告書、ケアプラン32などの情報をサーバ12から抽出する。その後、医療チームのメンバは、追加のフィードバックを提供するために、サーバ12からの情報を集団的に評価する。次いで、このフィードバックは、主治医16によってさらに考慮するためにサーバ12に入力されてもよく、その結果、ローカル看護者28は、いずれかの指示を実施することができる。したがって、スマートベッドシステム10は、遠隔に位置する複数のチームメンバに、患者の診断および/または治療のために患者データの共通の収集物をレビューする機会を提供することによって、チームベースの医療をサポートする。サーバ12に直接にアクセス可能であるので、スマートベッドシステム10は、ローカルチームベースの医療をもサポートする。
【0019】
遠隔モニタ20は一般に、患者24a〜24nの1人または複数からのデータを観察しまたは監視するためにサーバ12に遠隔からアクセスする個人または個人のグループである。したがって、遠隔モニタ20は、患者24a〜24nのための追加の保護層を提供することができる。遠隔モニタ20が問題のある患者データを観察する場合、遠隔モニタ20は、さらなる解析またはフォローアップのために主治医16および/またはローカル看護者28に警告することができる。遠隔モニタ20は、問題のある患者データが観察される場合、以下に詳細に述べられる緊急警告装置22を遠隔でトリガすることもできる。
【0020】
緊急警告装置22は、サーバ12、またはスマートベッド14a〜14nのいずれかから手作業でトリガしてもよいし、または下記に詳細に述べられるアルゴリズム100によって自動的にトリガしてもよい。緊急警告装置は、医療緊急事態に迅速に対処するために主治医16、ローカル看護者28および/または他の任意の職員に警告するように適合されたアラームシステムを含む。緊急警告装置22は、従来の音声(たとえばサイレンや口頭の警告)および/または視覚的な(たとえば点滅光の)フィードバックでローカルの職員に警告するように構成されてもよく、携帯電話またはページャの呼出しや、テキストメッセージの送信などによって、遠隔に位置する職員に警告するように構成されてもよい。
【0021】
図2を参照すると、アルゴリズム100を例示するブロック図が示されている。図2の個々のブロックは、アルゴリズム100に従って実施され得るステップを表す。一実施形態によれば、アルゴリズム100は、スマートベッドシステム10(図1に示される)のサーバ12(図1に示される)に格納されてもよく、患者24a〜24n(図1に示される)のための追加の保護の提供、患者24a〜24nに提供されるケアレベルの向上、ならびにさもなければ手作業で実施されるプロセスを自動化することによって労働を最小限に抑えることなどの目的ために一般に連続的に操作され得る。別の実施形態によれば、アルゴリズム100は、スマートベッドコンピュータ26a〜26n(図1に示される)のそれぞれに個々に格納されてもよい。
【0022】
ステップ102で、アルゴリズム100は、患者データを自動的に収集するように構成される。患者データは、サーバ12(図1に示される)に直接格納されたものから、およびサーバ12に結合された任意のソースから収集することができる。一例として、アルゴリズム100は、特定の患者のスマートベッドから心疾患を潜在的に示す人口動態統計(たとえば血圧、心拍数など)を取り出すように実装されてもよい。その後、取り出されたデータは、プロット、グラフ、チャートまたは医療記録など、アルゴリズム100によって都合のよいやり方で自動的に編纂することができる。次いで、編纂されたデータは、医療報告書の形で任意のローカルまたはリモート看護者に提示可能である。特定の患者のニーズを最適に満たすために、収集されたデータの特定のタイプ、およびそれが提示される形式は選択可能であることを理解されたい。
【0023】
別の例として、ステップ102で、アルゴリズム100は、たとえば提供されるサービスの一覧およびその関連コスト、患者の入院期間、患者の保険提供元および適用範囲のタイプなどを含み得るすべての課金データを取り出すように実装されてもよい。その後、取り出されたデータは、アルゴリズム100によって、費用の項目別の一覧を含む1つまたは複数の請求書の形に自動的に編纂することができる。一例として、患者の医療プランが一部負担を含む場合、一部負担の額をカバーする第1の請求書を自動的に作成し、患者に送信することができ、費用の残り部分をカバーする第2の請求書を自動的に作成し、患者の保険提供元に送信することができる。
【0024】
ステップ104で、アルゴリズム100は、患者データを自動的に解析するように構成される。一例として、アルゴリズム100は、事前定義された範囲から外れるいずれの患者データをも識別し、またはそれにフラグを立て、フラグが立てられたこうしたデータへの適切な応答を開始するように構成することができる。例示的な応答は、医師または他の病院職員に警告すること、医療チームのケースレビューミーティングをスケジューリングすること、および/または一連の措置を自動的に開始することを含んでもよい。最も適切な応答は、フラグが立てられた特定のタイプのデータ、および/またはフラグ付きデータが、事前定義された範囲から外れている量によって決まり得る。一連の措置を自動的に開始することは、以下に詳細に述べられるように、スマートベッドシステム10(図1に示される)によって使用可能になる特徴である。特定の患者のニーズを最適に満たすために、解析されるデータの特定のタイプ、およびそれが解析されるやり方は選択可能であることを理解されたい。
【0025】
ステップ104は、自動化されたサービスルーチン116を含むこともできる。サービスルーチン116は、たとえば、どんなサービスニーズをも前もって満たすことができるように、スマートベッドシステム10の動作を監視し、どんな障害状態も識別するように構成してもよい。障害状態は選択可能であり、たとえば、スマートベッドシステム10の電気的、機械的およびソフトウェア機能性に基づいてもよい。一例によれば、サービスルーチン116は、「使用中」スマートベッドの動作時間数を記録し、記録された情報(記録されたどんな障害事象をも含む)を解析および障害判断のためのサービスプロバイダシステムに転送することができる。自動サービスルーチン116は、スマートベッドシステム10に対して実施された保守を記録し、日常保守が必要なときを看護者またはサービスプロバイダに示し、追加の患者の受入れを防ぐため、修理を要するいずれのスマートベッドについても「使用停止」を示すこともできる。修理を要するスマートベッドを患者が占有する場合、自動サービスルーチン116は、元のスマートベッドが修理される間、患者が看護され得るように、新しいスマートベッドを患者に割り当ててもよい。
【0026】
手順106で、アルゴリズム100は、患者24a〜24n(図1に示される)への追加の保護層を提供するために、患者ケアプラン32(図1に示される)を評価するように構成される。アルゴリズム100は、たとえば、患者が処方されたいずれも薬にもアレルギーがなく、または過度に敏感でないことを確認するために、ケアプラン32を患者の病歴と比較するように適合されてもよい。一実施形態によれば、アルゴリズム100は、薬物相互作用情報110を含むデータベースにアクセスしてもよい。アルゴリズム100は、患者が潜在的に有害な薬物組合せの処方および/または投与を受けないことを保証するために、薬物相互作用情報110をケアプラン32と比較することができる。別の実施形態によれば、アルゴリズム100は、たとえば患者の性別、体重、年齢などに基づいて様々な異なる薬物の投与量範囲を提供する推奨投与量テーブル112にアクセスしてもよい。アルゴリズム100は、過剰投与を防ぐために、ケアプラン32を推奨投与量テーブル112と比較してもよい。薬物相互作用情報110および推奨投与量テーブル112は、サーバ12(図1に示される)、またはサーバ12によってアクセス可能な任意のステムに直接に格納されてもよい。ケアプラン32に関するいずれかの潜在的な問題が識別される場合、アルゴリズム100は、ステップ104に関して上記に述べられた応答を含めて、こうした問題への適切な応答を開始することができる。
【0027】
手順108で、アルゴリズム100は、ケアプラン32(図1に示される)のコンプライアンスを監視するように構成される。一例として、ケアプラン32によって指定された任意の活動の実施、およびこうした活動が実施された時間は、コンプライアンス記録114の形で手作業で、または自動的に保存することができる。次いで、アルゴリズム100は、ケアプラン32が適切に実行されることを保証するために、ケアプラン32をコンプライアンス記録114と比較することができる。ケアプラン32からの逸脱が識別される場合、アルゴリズム100は、逸脱のどんな影響をも最小限に抑え、また将来の逸脱を防ぐために、適切なやり方でこうした情報を伝えることができる。
【0028】
複数の例示的な実施形態に従ってスマートベッドシステム10(図1に示される)について述べたが、次にスマートベッド14a(図1に示される)についてより詳細に述べられる。以下の節では例示するためにスマートベッド14aについて述べられており、他のスマートベッド14b〜14n(図1に示される)も同様に構成され得ることを理解されたい。代替実施形態によれば、スマートベッド14a〜14nは、たとえば特に熱傷の治療、心臓病リハビリテーションまたは集中治療に特別に適合された1つまたは複数のスマートベッドなど、専門の看護を提供するように個々に構成されてもよい。
【0029】
図3に示されるように、スマートベッドコンピュータ26aは、サーバ12および複数の異なる入力装置に結合されてもよい。入力装置は、たとえば、無線通信装置(たとえば無線周波数識別(RFID:radio frequency identification)アンテナ40)と、複数のセンサ42と、仮想キーボード46を有するタッチスクリーン44と、1つまたは複数の監視装置(たとえば患者監視装置61およびベッド監視装置63)とを含んでもよい。この開示の目的のために、用語「監視」は、限定しないやり方で、記録、観察、評価、識別などの行為を含むものと定義され得る。
【0030】
RFIDアンテナ40、センサ42aのうちのいずれか、および/またはタッチスクリーン44は、入力装置と出力装置の両方(すなわち入出力装置)を動作させるように構成されてもよいが、しかし、それらは、この開示の目的のために入力装置として述べられている。タッチスクリーン44は、任意選択であり、別法としてキーボード、マウス、タッチパッド、ジョイスティック、リモコン装置(無線または有線)、トラックボール、Marquetteトリム用ノブなど、知られている他の入力装置を含んでもよい。一実施形態によれば、スマートベッドコンピュータ26aは、サーバ12に無線で結合され、RFIDアンテナ40は、スマートベッドの動きを制限する外部ケーブルの数を最小限に抑えるために、スマートベッド14aに直接に取り付けられる。
【0031】
無線通信装置は、下記ではRFIDアンテナ40として述べられているが、しかし、たとえばバーコードリーダなど他の無線通信装置を想定することもできる。RFIDアンテナ40は、リストバンドを用いてなど、従来のやり方で患者24aに取り付けられたRFID装置50から入力を受信してもよい。入院の間、患者のRFID装置50は、患者の識別情報(たとえば性別、年齢、身長、体重)、医療情報(たとえば病歴、アレルギー、食事制限)、課金情報(たとえば保険業者)などを含めて幅広い情報を含むようにプログラムすることができる。その後、治療の間に収集された追加の患者情報を、RFID装置50に追加することができる。RFID装置50がRFIDアンテナ40に十分に隣接している場合、RFID装置50内にプログラムされた任意の情報をスマートベッドコンピュータ26aにダウンロードし、サーバ12に転送することができる。RFID装置50は、下記に詳細に示されるように、暗号化装置86を含むこともできる。
【0032】
RFIDアンテナ40は、ローカル看護者28または他の病院職員に取り付けられたRFID装置52から、また薬物58を含むIVバッグまたはボトルなどの物体に取り付けられた1つまたは複数のRFID装置56から入力を受信することもできる。ローカル看護者28に取り付けられたRFID装置52は、たとえば、ローカル看護者の身元および職業を含むようにプログラムされ得る。したがって、RFID装置52を着用しているローカル看護者28がRFIDアンテナ40の十分近くに入るときはいつでも、ローカル看護者の身元および時間がコンピュータ26aによって自動的に記録され、サーバ12に転送され得る。ローカル看護者28は、PDA 30、タッチスクリーン44、専用のリモート制御装置(図示せず)または他の任意の入力装置によってスマートベッドコンピュータ26aに直接に追加の情報を手作業で入力することもできる。この追加情報は、訪問の目的、任意の発見物、施された任意の手順などを含んでもよい。
【0033】
薬物58を含むIVバッグまたはボトルなどの物体に取り付けられたRFID装置56は、たとえば薬物のタイプおよび量を含むようにプログラムされ得る。したがって、薬物58が患者24aに投与され、RFID装置56がRFIDアンテナ40に十分近い場合、投与された薬物のタイプおよび量、ならびにそれが投与された時間などの情報が、コンピュータ26aによって自動的に計算され記録され、サーバ12に転送され得る。RFID装置56は再プログラム可能なので、たとえば、薬物58の所定の部分が投与された後、RFID装置56は、IVバッグまたはボトル内の薬物58の残りの量を反映するように再プログラムすることができる。薬物58の残りの量もまた、正確なカウントを維持することができ、したがって追加の供給を適宜指示することができるように施設の主材料管理スケジューラ(master materials management scheduler)に提供され得る。
【0034】
他のスマートベッド14b〜14n(図1に示される)に関連する他のRFIDアンテナ(図示せず)は、所与の患者のRFID装置から入力を受信することもできる。したがって、スマートベッドシステム10(図1に示される)は、患者位置特定/追跡装置として実装されてもよい。より正確には、病院職員は、スマートベッド14a〜14nのうちのどれが、位置を特定すべき患者のRFID装置からの信号を受信しているか判断するためにサーバ12にアクセスすることができる。病院は、その患者をより徹底的に位置特定し追跡するための追加のRFIDアンテナ(図示せず)を含むこともできる。
【0035】
複数のセンサ42は、患者に直接取り付けられた第1のセンサ群(患者センサ)60a〜60nと、スマートベッドに取り付けられた第2のセンサ群(ベッドセンサ)62a〜62nとを含む。患者センサ60a〜60nは、観血式のやり方で患者に取り付けられたセンサと、非観血式のやり方で患者に取り付けられたセンサの両方を含んでもよい。この開示の目的のために、「ベッドセンサ」は、内側に配置された、または毛布、シーツおよび枕に取り付けられたセンサを含むものと定義される。
【0036】
限定しないやり方で、患者センサ60a〜60nは、患者の動き、体重、体温、血圧、血液グルコースレベル、脈拍、心拍数などを測定するように適合された装置を含んでもよい。有利には、患者センサ60a〜60nを組み込むと、患者24aを一般に連続的に監視することが可能となる。センサデータは、コンピュータ26aによって記録し、サーバ12に転送することができる。一実施形態によれば、センサデータは、ステップ104(図2に示される)に関して述べられるように、自動解析のためのアルゴリズム100(図2に示される)によって実装することができる。
【0037】
患者センサ60a〜60nは、好ましくはスマートベッド14aに取り付けられた、または組み込まれた患者監視装置61に結合されてもよい。一例として、心拍数および脈拍を測定するために、心電図(ECG:electrocardiogram)装置(図示せず)をスマートベッド14aに組み込み、1つまたは複数の患者センサ60a〜60nに結合することができる。患者監視装置61をスマートベッド14aに直接取り付け、または監視装置61をスマートベッド14aに組み込むことによって、スマートベッド14aは、ベッドの動きを制限する外部ワイヤが減少するように設計することができる。したがって、患者24aは、ベッドにいるままで制約なしに都合よく移送されることができ、患者24aは、こうした移送の間も連続的に監視され得る。概略的に示された患者監視装置61は、複数の患者監視装置を表し得ることを理解されたい。限定しないやり方で、患者監視装置61は、上記に言及されたECG装置、血圧監視装置、体温監視装置、パルスオキシメータ装置、筋電図(EMG:electromyogram)装置、脳波(EEG:electroencephalogram)装置などの装置を含んでもよい。
【0038】
一実施形態によれば、1つまたは複数の患者監視装置61は、カートリッジ型の取付けなどによって、取外しできるようにスマートベッド14aに取付け可能であり得る。したがって、スマートベッド14aは、特定の患者に必要な監視装置61だけを含むように設定することができる。患者24aがスマートベッド14aから起きることを選ぶ場合、監視装置61は、取り外し、たとえば移動スタンドやラックに載せて患者と一緒に運ぶことができる。このように、患者24aは、ワイヤによってそれほど制限されず、また患者24aは、連続的に監視される間、歩き回ることができる。
【0039】
限定しないやり方で、ベッドセンサ62a〜62nは、1つまたは複数の圧力センサおよび/または質量センサを含んでもよい。圧力センサは、スマートベッド14a内の患者24aの存在を識別し、スマートベッド14aから出入りする患者の動きを監視し、スマートベッド14a内の患者の動きを監視するために使用してもよい。一例として、圧力センサは、患者があまりにも動かないことを示す場合、血栓症を防ぐために予防措置を実施することが必要になることがある。患者の体重の増減を監視するために、質量センサが実装されてもよい。患者の体重の減少または増加は、腎臓機能を評価するために、たとえば輸液投与および排泄物データと組み合わせて使用されてもよい。
【0040】
別の実施形態によれば、ベッドセンサ62a〜62nは、スマートベッド14aと接触する体液の存在を識別するように適合されたコンダクタンスセンサアレイを含んでもよい。こうした液体の識別について、従来のやり方で適切な病院職員に伝えることができる。塩分を測定するように適合されたセンサを使用すると、スマートベッドシステム10は、血と尿を区別することができる。スマートベッドシステム10は、血と尿を識別する別の技術として患者24aに対する体液の位置を識別することもできる。たとえば、体液が患者の鼠径部の近くにある場合、体液は、尿を含むと見なされ得る。同様に、記録された傷の近くに体液がある場合、体液は、血を含むと見なされ得る。この情報は、出血および感染滲出(infection weepage)の早期発見を可能にすることができ、無意識の患者にとって特に有用である。
【0041】
ベッドセンサ62a〜62nは、好ましくはスマートベッド14aに取り付けられた、または組み込まれたベッド監視装置63に結合されてもよい。ベッド監視装置63をスマートベッド14aに直接取り付けることによって、または監視装置63をスマートベッド14aに組み込むことによって、スマートベッド14aは、ベッドの動きを制限する外部ワイヤが減少するように設計され得る。したがって、患者24aは、ベッドにいるままで制約なしに都合よく移送されることができ、スマートベッド14aは、こうした移送の間も連続的に監視され得る。概略的に示されたベッド監視装置63は、複数のベッド監視装置を表し得ることを理解されたい。限定しないやり方で、ベッド監視装置63は、圧力、質量、温度、液体の存在などを監視するように適合された装置を含んでもよい。一実施形態によれば、1つまたは複数のベッド監視装置63は、患者監視装置61に関して上述されたやり方と同じように、たとえばカートリッジ型の取付けを用いて、取外しできるようにスマートベッド14aに取付け可能であり得る。
【0042】
図4を参照すると、スマートベッド14aは、電力ケーブル66を介して電気コンセント(図示せず)などの外部電源64によって電力供給を受けることができる。一実施形態によれば、スマートベッド14aは、外部電源64からのエネルギーを蓄積するように適合された充電式電池などのエネルギー蓄積装置68を含んでいる。有利には、この実施形態によって、スマートベッド14aは、電力ケーブル66からの制約を受けずに完全に動作可能となるように、外部電源64からプラグ接続されず、蓄積装置68から電力供給を受けることができる。
【0043】
スマートベッド14aは、患者24aを看護するプロセスを少なくとも部分的に自動化し、患者24aと病院職員の両方にとって都合よく働くように構成された複数の出力装置70を含むことができる。本発明の目的のために、語句「患者の看護」は、限定しないやり方で、患者を治療し、患者を援助し、患者の任意のニーズまたは好みを満たし、患者を楽にするなどの行為を含むものと定義される。出力装置70は、たとえば(任意のシーツ、毛布、枕などを含めて)スマートベッド14a内に置かれ、スマートベッド14aに取り付けられ、またはスマートベッド14aの一部として一体的に形成されてもよい。限定しないやり方で、出力装置70は、ディスプレイ72、スピーカ74、アクチュエータ76、熱変換器78、ポンプ80、バルブ82などを含むことができる。一実施形態によれば、(図1に示された)緊急警告22は、出力装置70のうちの1つとしてそれも含まれるようにスマートベッド14aに組み込まれてもよい。別の実施形態によれば、出力装置70は、ライト(図示せず)を含んでもよく、このライトは、患者に都合よく働くように操作することも、休息の助けとなる環境を作るためにオフにすることもできる。
【0044】
ディスプレイ72は、入出力装置になるようにタッチスクリーン44(図3に示される)を任意選択で組み込んでもよいが、しかし、この開示の目的のために、ディスプレイ72は、出力装置として述べられている。アクチュエータ76は、スマートベッド14aの位置を選択的に調整し制御するように適合された電気または油圧サーボなど、知られている装置を含んでもよい。たとえば、アクチュエータ76は、ベッド全体、ベッドの頭側、および/またはベッドの脚側を上げ下げしてもよい。熱変換器78は、体温を選択的に上昇または低下させるために、(任意の毛布、シート、枕などを含めて)スマートベッド14a内に配置されてもよい。ポンプ80は、電動IV装置を操作するためなど、液体またはガスを送るために使用されてもよい。バルブ82は、IVシステム、酸素供給システムおよび麻酔システムなどの装置の流量を調節するために操作されてもよい。
【0045】
一実施形態によれば、スマートベッドシステム10は、個人のやり方でスマートベッド14aを自動的に調整することによって、患者24aに都合よく働くように構成されてもよい。一例として、患者の低身長または相対的な弱さに関する情報が、患者のRFID装置50(図3に示される)にプログラムされてもよいし、スマートベッドコンピュータ26aに直接入力されてもよい。この情報は、さもなければスマートベッド14aに入り、またはそこから出るのに苦労するかもしれない患者を補助するために使用することができる。より正確には、患者24aがスマートベッド14aに接近するとき、スマートベッドのRFIDアンテナ40(図3に示される)は、患者のRFID装置50を感知することができる。その後、スマートベッド14aは、スマートベッド14aを自動的に下げ、それによって入り易くするために、アクチュエータ76のうちの1つまたは複数に電力を送ることができる。(たとえばスマートベッド内の圧力センサからのフィードバックによって示されるように)患者24aがベッドにいることが表示されると、スマートベッド14aは、所定レベルまで自動的に上昇することができる。患者24aは、スマートベッド14aを下げて、スマートベッド14aから出易くするために、タッチスクリーン44(図3に示される)によってコマンドを入力することができる。
【0046】
別の実施形態によれば、スマートベッド14aは、ローカル看護者28(図3に示される)または他の病院職員に都合よく働くように適合されたやり方で自動調整するように構成され得る。たとえば、所与の職員の物理的特徴、制限事項および/または好みに関する情報が、各職員のRFID装置にプログラムされてもよいし、スマートベッド14aに直接入力されてもよい。その後、スマートベッド14aは、各職員について人間工学的に最適なやり方で自動調整することができる。スマートベッド14aは、たとえば指定された手順の実施を容易にするように適合されたやり方で自動調整するように構成することもできる。スマートベッド14aは、ローカル看護者28(図3に示される)または他の病院職員にさらに都合よく働くように適合されたシート84を含むこともできる。シート84は、従来のやり方でスマートベッド14aに取り付けてもよいし、スマートベッド14aの設計に一体的に組み込んでもよい。シート84は、上/下の方向、入/出の方向に調整可能であり、また看護者が患者24aの世話をする間、人間工学的に最適なやり方で座ったままでいることができるように、スマートベッド14aの周辺で変形可能とすることもできる。一実施形態によれば、シート84は、使用時、スマートベッド14aから広げることができ、さもなければスマートベッド14aの中または下に納められる。
【0047】
別の実施形態によれば、スマートベッド14aは、患者24aを看護するために熱変換器78を実装するように構成されてもよい。一例として、患者24aが発熱している場合は、主治医16(図1に示される)は、患者24aが低温環境に置かれるべきことをケアプラン32(図1に示される)内に指定してもよい。スマートベッドシステム10は、スマートベッド14a内に低温環境を作るために、こうしたコマンドに応答して熱変換器78を制御することができる。反対に、患者が低体温症にかかっている場合は、スマートベッドシステム10は、スマートベッド14aの温度を上げることができる。患者の体温が過度に高いまたは低いことを示すセンサ42(図3に示される)からのデータを使用して、熱変換器78をトリガし、それによって自動的に患者24aを楽にし、または看護することもできる。
【0048】
別の実施形態によれば、スマートベッド14aは、患者24aを看護し、保護するために、ポンプ80および/またはバルブ82を実装するように構成されてもよい。一例として、ポンプ80および/またはバルブ82は、ケアプラン32(図1に示される)からの命令に従って所定の速度で静脈内輸液を送るように自動的に操作されてもよい。別の例として、スマートベッドコンピュータ26aが、患者24aがケアプラン32(図1に示す)または患者の病歴(たとえばアレルギー)に合わないIV投薬を受けることになるという表示を(たとえばRFIDアンテナ40から)受信する場合、スマートベッド14aは、合わない薬品の投薬を防ぐためにIVシステムを駆動するポンプ80を停止することができる。したがって、スマートベッドシステム10は、患者24aを保護するために、自動的に予防措置を開始することができる。
【0049】
別の実施形態によれば、スマートベッド14aは、患者24aを楽しませ、看護するために、ディスプレイ72およびスピーカ74を実装するように構成されてもよい。一例として、患者24aが直接要求してもよく、またはケアプラン32(図1に示される)が、患者を楽しませ、または刺激するためにスマートベッドディスプレイ72およびスピーカ74の操作を指示してもよい。限定しないやり方で、ディスプレイ72およびスピーカ74は、テレビ、映画、音楽、インターネットアクセス、ビデオゲームなど、視覚および/または音声による刺激を提供してもよい。別の例として、ケアプラン32が患者24aが休息すべきであることを示す場合、スピーカ74は、休息または睡眠の助けになる静かな環境を提供するための雑音除去技術を組み込込むことができる。雑音除去技術は、他の潜在的に騒々しい患者と単一の部屋を共有する患者には特に有用であり得る。
【0050】
別の実施形態によれば、スマートベッド14aは、患者24aを看護するプロセスを容易にするために、出力装置70のうちの1つまたは複数に動作可能に接続された1つまたは複数の患者ケア装置を含んでもよい。限定しないやり方で、患者ケア装置は、IV装置90、人工呼吸器92、酸素供給装置94、または患者を看護するように適合された、知られている他の任意の装置を含んでもよい。例示的な一実施形態によれば、IV装置90と人工呼吸器92の両方は、ポンプ80のうちの1つ、およびバルブ82のうちの1つに動作可能に接続される。このように、ポンプ80は、IV装置90および人工呼吸器92に動力を供給することができ、バルブ82は、移動速度(transfer rate)を制御することができる。酸素供給装置94は、酸素が患者24aに供給される速度を制御するために実装され得るバルブ82に動作可能に接続されてもよい。ベッドの動きを制限する外部制約(たとえばホースやチューブ)が減少するように、IV装置90、人工呼吸器92および酸素供給装置94を含む任意の患者ケア装置が好ましくはスマートベッド14aに取り付けられ、または組み込まれる。したがって、患者24aは、ベッドにいるままで制約なしに都合よく移送されることができ、患者24aは、こうした移送の間も連続的に看護され得る。
【0051】
図5を参照すると、スマートベッドシステム10(図1に示される)を実装するための方法200を例示するブロック図が示されている。図5の個々のブロックは、方法200に従って実施され得るステップを表す。
【0052】
ステップ202で、方法200は、スマートベッド14a(図1に示される)内の患者24a(図1に示される)の存在を確認する。この確認は、RFID装置50(図3に示される)からのデータ、またはセンサ42(図3に示される)からのフィードバックに基づいてもよい。患者の存在を確認するためにRFID装置50が実装される実施形態では、RFIDアンテナ40(図3に示される)が2つ以上のRFID装置50から入力を受信できるほど、2人以上の患者24a〜24n(図1に示される)が単一のスマートベッド14aの近くにいる状況があり得る。スマートベッド14aは、いくつかのやり方のうちの1つでこの状況に対処するようにプログラムすることができる。第1の実施形態によれば、スマートベッド14aは、第1の受信RFID装置からの入力だけを認識し、その後に受信された受信RFID装置からのどんな入力をも無視するように構成される。第2の実施形態によれば、スマートベッド14aは、事前に選択された患者のRFID装置だけを認識し、他のいずれのRFID装置をも無視するように構成される。第3の実施形態によれば、スマートベッド14aは、所定の位置(たとえばスマ−トベッド14aの中心)に最も近いRFID装置だけを認識し、他のいずれのRFID装置をも無視するように構成される。第3の実施形態は、スマートベッド14aの占有者と、スマートベッド14aの占有者の前を通り過ぎ、またはそれを訪問し得る別の患者とを区別するように特にうまく適合される。
【0053】
ステップ204で、方法200は、患者24a(図1に示される)の身元を確認する。スマートベッドシステム10は、患者24aが適切に識別されることを保証する下記の例示的な方法のうちの1つまたは複数を実施することができる。患者24aを識別する第1の例示的な方法は、患者のRFID装置50(図3に示される)から、事前に記録された識別をダウンロードすることを含む。患者24aを識別する第2の例示的な方法は、識別された患者のデジタル写真画像をディスプレイ72(図4に示される)に表示することを含む。次いで、特定の患者の世話をするいずれの病院職員も、識別が正確であることを保証するためにデジタル画像を実際の患者と比較することができる。患者24aを識別する助けとするために、たとえば指紋、網膜走査、音声認識など、知られている他の識別技術をスマートベッド14a(図1に示される)に組み込むこともできる。患者はあるスマートベッドから別のベッドに容易に移動することができるので、ステップ204は、患者がどのスマートベッドを占有しているかに関係なく患者とデータを適切に相関させることを保証するように適合された重要な予防措置である。
【0054】
一実施形態によれば、所与の患者が、別の個人を受け入れるために設定されたスマートベッドにいると判断される場合、スマートベッドは、最初にサービスを否定するように構成されてもよい。その後、病院職員は、患者が誰であり、どこにいるべきか判断するように警告される。このように、患者が別の個人のケアプランに従って潜在的に治療を受けることを防止する。
【0055】
別の実施形態によれば、ステップ204で患者24a(図1に示される)の身元が確認された後、ディスプレイ72(図4に示される)は、関連のある任意の患者データを示すように構成されてもよい。「関連のある患者データ」は、たとえば、患者の経過を評価し、または適切な一連の措置を決定する際に有用な任意の患者データを含み得る。患者データは好ましくは、主治医16(図1に示される)またはローカル看護者28(図3に示される)などの看護者が、患者24aを治療するのに十分近くにいる場合にだけ示される。このように、看護者は、患者24aを看護するのに必要な患者データにアクセスすることができ、その後、データは、患者の機密性を保護するためにディスプレイ72から削除される。
【0056】
ステップ206で、方法200は、たとえば患者のケアプラン32(図1に示される)、病歴、医療報告書、チャート、患者の好みなど、患者データをスマートベッド14a(図1に示される)に転送する。一実施形態によれば、予防措置として、すべての患者データは、サーバ12(図1に示される)内に暗号化された形で格納される。暗号化された患者データは、患者のRFID装置50(図3に示される)の一部として含まれ得る対応する暗号鍵86(図3に示される)を用いてだけ読み取ることができる。したがって、他の患者の患者データは、患者14aが誤ったケアプランに従って潜在的に治療を受けることがないように、スマートベッド14aによって読み取ることはできない。
【0057】
ステップ208で、スマートベッド14a(図1に示される)は、ステップ206でダウンロードされたケアプラン32(図1に示される)を実施する。ケアプラン32の実施は、たとえば、患者14aを(たとえばセンサ42(図3に示される)を用いて)監視すること、センサ42からデータを収集すること、収集されたデータを送信すること、(たとえば出力装置70(図4に示される)を用いて)患者14aを看護することなどを含んでもよい。ステップ210で、スマートベッド14aは、ステップ206でダウンロードされた任意の患者好みを実施する。任意の患者好みを実施することは、たとえば好ましいやり方でベッド位置および/または体温を調節すること、ディスプレイ72および/またはスピーカ74(図4に示される)によって好ましい娯楽媒体を提供することなどを含んでもよい。
【0058】
本発明について好ましい実施形態に関して述べられているが、本発明の精神から逸脱せずに特定の置換、変更および削除を諸実施形態に行ってもよいことが当業者には理解されよう。したがって、上記説明は例示するためのものにすぎず、また以下の特許請求の範囲に述べられた本発明の範囲を制限するものでない。
【符号の説明】
【0059】
10 スマートベッドシステム
12 サーバ
14a スマートベッド
14n スマートベッド
16 主治医
18 医療チーム
20 遠隔モニタ
22 緊急警告装置
24a 患者
24n 患者
26a コンピュータ
26n コンピュータ
28 ローカル看護者
30 携帯情報端末
32 ケアプラン
40 RFIDアンテナ
42 センサ
42a センサ
44 タッチスクリーン
46 仮想キーボード
50 RFID装置
52 RFID装置
56 RFID装置
58 投薬
60a 患者センサ
60n 患者センサ
61 患者監視装置
62a ベッドセンサ
62n ベッドセンサ
63 ベッド監視装置
64 電源
66 電力ケーブル
68 エネルギー蓄積装置
70 出力装置
72 ディスプレイ
74 スピーカ
76 アクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者を収容するように適合されたスマートベッドであって、1つまたは複数の監視装置に動作可能に接続することができ、前記監視装置によって記録された任意の監視データを格納するように構成されたスマートベッドコンピュータを含む、スマートベッドと、
前記スマートベッドコンピュータに結合されたサーバであって、前記患者に関する任意の患者データを格納するように構成され、前記スマートベッドコンピュータから前記監視データを受け取り、その後、前記監視データを前記患者データの一部として格納するように構成されたサーバとを含むスマートベッドシステムであって、
前記患者データに前記スマートベッドから直接アクセスすることができるように、前記患者データを前記サーバから前記スマートベッドコンピュータに選択的に転送することができる、スマートベッドシステム。
【請求項2】
前記サーバおよび/または前記スマートベッドコンピュータに動作可能に接続された緊急警告装置をさらに含む、請求項1記載のスマートベッドシステム。
【請求項3】
前記スマートベッドが、前記サーバに結合されたスマートベッドコンピュータをそれぞれ有する複数のスマートベッドを含む、請求項1記載のスマートベッドシステム。
【請求項4】
前記サーバおよび/または前記スマートベッドコンピュータ内に格納されたアルゴリズムをさらに含み、前記アルゴリズムが、選択可能なタイプのデータを自動的に収集するように構成される、請求項1記載のスマートベッドシステム。
【請求項5】
前記サーバおよび/または前記スマートベッドコンピュータ内に格納されたアルゴリズムをさらに含み、前記アルゴリズムが、データを自動的に評価するように構成される、請求項1記載のスマートベッドシステム。
【請求項6】
前記サーバおよび/または前記スマートベッドコンピュータ内に格納された自動サービスルーチンをさらに含む、請求項1記載のスマートベッドシステム。
【請求項7】
前記サーバおよび/または前記スマートベッドコンピュータ内に格納されたアルゴリズムをさらに含み、前記アルゴリズムが、患者ケアプランを評価するように構成される、請求項6記載のスマートベッドシステム。
【請求項8】
前記サーバおよび/または前記スマートベッドコンピュータ内に格納されたアルゴリズムをさらに含み、前記アルゴリズムが、患者ケアプランへのコンプライアンスを監視するように構成される、請求項6記載のスマートベッドシステム。
【請求項9】
複数の異なる患者に関する患者データを格納するように構成されたサーバと、
前記サーバにそれぞれ結合された対応する複数のスマートベッドコンピュータをそれぞれ含む、患者を収容するようにそれぞれ適合された複数のスマートベッドであって、前記患者データに前記複数のスマートベッドのそれぞれから直接アクセスすることができるように、前記患者データを前記サーバから前記複数のスマートベッドコンピュータのそれぞれに選択的に転送することができる、複数のスマートベッドと
を含むスマートベッドシステムであって、
遠隔に位置する1人または複数の看護者が複数の患者を集団的にまたは個々に治療することができるように、前記サーバおよび/または前記複数のスマートベッドコンピュータ内に格納された任意の患者データに遠隔からアクセス可能である、スマートベッドシステム。
【請求項10】
前記サーバ、および/または前記複数のスマートベッドコンピュータの1つまたは複数に動作可能に接続された緊急警告装置をさらに含む、請求項9記載のスマートベッドシステム。
【請求項11】
前記サーバ、および/または前記複数のスマートベッドコンピュータの1つまたは複数に格納されたアルゴリズムをさらに含み、前記アルゴリズムが、選択可能なタイプのデータを自動的に収集するように構成される、請求項9記載のスマートベッドシステム。
【請求項12】
前記サーバ、および/または前記複数のスマートベッドコンピュータの1つまたは複数に格納されたアルゴリズムをさらに含み、前記アルゴリズムが、データを自動的に評価するように構成される、請求項9記載のスマートベッドシステム。
【請求項13】
前記サーバ、および/または前記スマートベッドコンピュータ内に格納された自動サービスルーチンをさらに含む、請求項9記載のスマートベッドシステム。
【請求項14】
前記サーバ、および/または前記複数のスマートベッドコンピュータの1つまたは複数に格納されたアルゴリズムをさらに含み、前記アルゴリズムが、患者ケアプランを評価するように構成される、請求項9記載のスマートベッドシステム。
【請求項15】
前記サーバ、および/または前記複数のスマートベッドコンピュータの1つまたは複数に格納されたアルゴリズムをさらに含み、前記アルゴリズムが、患者ケアプランへのコンプライアンスを監視するように構成される、請求項9記載のスマートベッドシステム。
【請求項16】
複数の異なる患者に関する患者データを格納するように構成されたサーバと、
前記サーバに結合されたスマートベッドコンピュータをそれぞれ含む、患者を収容するようにそれぞれ適合された複数のスマートベッドであって、前記患者データに前記複数のスマートベッドのそれぞれから直接アクセスすることができるように、前記患者データを前記サーバから前記複数のスマートベッドの前記スマートベッドコンピュータに選択的に転送することができる、複数のスマートベッドと、
前記サーバ、および/または前記複数のスマートベッドの前記スマートベッドコンピュータ内に格納されたアルゴリズムであって、患者ケアプランを評価し、前記患者ケアプランへのコンプライアンスを監視するように構成されたアルゴリズムとを含むスマートベッドシステムであって、
遠隔に位置する1人または複数の看護者が複数の患者を集団的にまたは個々に治療することができるように、前記サーバ、および/または前記複数のスマートベッドの前記スマートベッドコンピュータ内に格納された任意の患者データに遠隔からアクセス可能である、スマートベッドシステム。
【請求項17】
前記サーバ、および/または前記複数のスマートベッドの前記スマートベッドコンピュータに動作可能に接続された緊急警告装置をさらに含む、請求項16記載のスマートベッドシステム。
【請求項18】
前記アルゴリズムが、選択可能なタイプのデータを自動的に収集するように構成される、請求項16記載のスマートベッドシステム。
【請求項19】
前記アルゴリズムが、データを自動的に評価するように構成される、請求項16記載のスマートベッドシステム。
【請求項20】
前記アルゴリズムが、自動サービスルーチンをさらに含む、請求項16記載のスマートベッドシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−510832(P2010−510832A)
【公表日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−538453(P2009−538453)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/084747
【国際公開番号】WO2008/067176
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】