説明

スマートメータ評価装置及びスマートメータの評価方法

【課題】スマートメータの動作状態を評価することができるスマートメータ評価装置及びスマートメータの評価方法を提供する。
【解決手段】スマートメータ評価装置10は、ベースバンド信号をデジタルデータに変換して復調データを出力する復調部41aと、復調データに含まれる通信情報を取得する通信情報取得部41bと、ベースバンド信号の信号波形を取得する信号波形取得部41cと、ベースバンド信号の信号レベルを測定する信号レベル測定部42と、復調データの送信元のスマートメータを特定するスマートメータ管理部44と、復調データの信号種別を特定する信号種別特定部45と、通信情報や信号波形、信号レベル、スマートメータ特定情報、信号種別等のデータを表示する表示部33と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートメータの動作状態を評価するスマートメータ評価装置及びスマートメータの評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力メータやガスメータ等に通信機能を持たせたスマートメータと呼ばれる計器の導入が検討されている。電力量を計量するスマートメータとしては、特許文献1に開示されたものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載のスマートメータは、ネットワークを介して各顧客の使用電力量の情報を自動的に取得する自動検針装置に接続され、各顧客の検針値データを取得する検針手段と、検針値データを自動検針装置に転送する検針値データ転送手段と、自動検針装置からの所定の通告を受信する通告受信部と、を備えている。この構成により、特許文献1に記載のスマートメータは、各顧客の使用電力量のデータを一定間隔で取得したり、使用電力量の抑制を通知したりすることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−128810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、スマートメータは使用電力量の情報の取得や所定の通告の受信ができる利便性の高いものではあるが、スマートメータの動作状態を評価する装置は提案されていなかった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、スマートメータの動作状態を評価するスマートメータ評価装置及びスマートメータの評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係るスマートメータ評価装置は、ネットワークに接続され、所定の通信プロトコルに従って無線周波数の信号を送受信する複数のスマートメータ(1〜5)の動作状態を評価するスマートメータ評価装置(10)であって、前記無線周波数の信号を受信してベースバンド信号に変換する受信手段(21)と、前記ベースバンド信号をデジタルデータに変換して復調データとして出力する復調手段(41a)と、前記復調データの信号種別を特定する信号種別特定手段(45)と、前記復調データに含まれる通信情報を取得する通信情報取得手段(41b)と、前記ベースバンド信号の信号波形を取得する信号波形取得手段(41c)と、前記信号種別、前記通信情報及び前記信号波形を表示する表示手段(33)と、を備えた構成を有している。
【0008】
この構成により、本発明の請求項1に係るスマートメータ評価装置は、スマートメータの通信信号から信号種別、通信情報及び信号波形を取得し、表示手段が、信号種別、通信情報及び信号波形を表示するので、スマートメータの動作状態を評価することができる。
【0009】
また、本発明の請求項2に係るスマートメータ評価装置は、前記復調データの送信元のスマートメータを特定するスマートメータ特定手段(44)と、前記ベースバンド信号の信号レベルを測定する信号レベル測定手段(42)と、をさらに備え、前記スマートメータ特定手段は、前記信号レベルに基づいて前記復調データの送信元のスマートメータを特定するものである構成を有している。
【0010】
この構成により、本発明の請求項2に係るスマートメータ評価装置は、受信データの送信元のスマートメータを特定することができる。
【0011】
さらに、本発明の請求項3に係るスマートメータ評価装置は、一のスマートメータにおいて複数のスマートメータからの各信号が衝突したことを前記信号レベルに基づいて検出する信号衝突検出手段(43)をさらに備えた構成を有している。
【0012】
この構成により、本発明の請求項3に係るスマートメータ評価装置は、一のスマートメータにおいて信号が衝突したことを検出することができる。
【0013】
本発明の請求項4に係るスマートメータ評価方法は、ネットワークに接続され、所定の通信プロトコルに従って無線周波数の信号を送受信する複数のスマートメータ(1〜5)の動作状態を評価するスマートメータの評価方法であって、前記無線周波数の信号を受信してベースバンド信号に変換する受信ステップと、前記ベースバンド信号をデジタルデータに変換して復調データとして出力する復調ステップと、前記復調データの信号種別を特定する信号種別特定ステップと、前記復調データに含まれる通信情報を取得する通信情報取得ステップと、前記ベースバンド信号の信号波形を取得する信号波形取得ステップと、前記信号種別、前記通信情報及び前記信号波形を表示する表示ステップと、を含む構成を有している。
【0014】
この構成により、本発明の請求項4に係るスマートメータ評価方法は、表示ステップにおいて、信号種別、通信情報及び信号波形を表示するので、スマートメータの動作状態を評価することができる。
【0015】
また、本発明の請求項5に係るスマートメータ評価方法は、前記ベースバンド信号の信号レベルを測定する信号レベル測定ステップと、一のスマートメータにおいて複数のスマートメータからの各信号が衝突したことを前記信号レベルに基づいて検出する信号衝突検出ステップと、をさらに含む構成を有している。
【0016】
この構成により、本発明の請求項5に係るスマートメータ評価方法は、一のスマートメータにおいて信号が衝突したことを検出することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、スマートメータの動作状態を評価することができるという効果を有するスマートメータ評価装置及びスマートメータの評価方法を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るスマートメータ評価装置の適用例を示した模式図である。
【図2】本発明に係るスマートメータ評価装置の一実施形態におけるブロック構成図である。
【図3】本発明に係るスマートメータ評価装置の一実施形態における表示部の表示例を示す図である。
【図4】本発明に係るスマートメータ評価装置の一実施形態において、信号の衝突判定の前に実施する準備段階の動作のフローチャートである。
【図5】本発明に係るスマートメータ評価装置の一実施形態において、信号の衝突判定の動作のフローチャートである。
【図6】本発明に係るスマートメータ評価装置の一実施形態において、復調データの波形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明に係るスマートメータ評価装置を、電力量を計量するスマートメータを評価するものに適用した例を挙げて説明する。
【0020】
図1は、本実施形態におけるスマートメータ評価装置10の適用例を示した模式図である。図1において、スマートメータ1〜5は、例えば、各住宅に設置され、各住宅の電力使用量を計測するものである。また、スマートメータ1〜5は、無線通信機能を有し、それぞれが自律的に無線アドホックネットワークを形成し、計測した電力使用量のデータを所定の通信プロトコルに従ってパケット化してマルチホップ通信により集約装置6に送信するようになっている。通信プロトコルとしては、例えば、ZigBee(登録商標)と呼ばれるものがある。このZigBeeは、OSI参照モデルのネットワーク層以上の範囲をカバーするものであり、物理層及びMAC(Media Access Control)層についてはIEEE802.15.4を採用している。
【0021】
図1では、スマートメータ2が、計測した電力使用量のデータを含むパケットをスマートメータ3及び5を介して集約装置6に送信する状態を示している。本実施形態におけるスマートメータ評価装置10は、スマートメータ1〜5の各通信信号を受信し、通信信号の解析を行うことができるものである。以下、スマートメータ評価装置10の構成について説明する。
【0022】
図2に示すように、スマートメータ評価装置10は、測定装置20及び解析装置30を備える。
【0023】
測定装置20は、受信部21、AD(アナログデジタル)変換部22、受信信号記憶部23を備える。受信部21は、アンテナ21aを有し、スマートメータ1〜5から無線周波数の各通信信号を受信してベースバンド信号に周波数変換し、AD変換部22に出力するようになっている。この受信部21は、本発明に係る受信手段を構成する。AD変換部22は、ベースバンド信号をアナログ値からデジタル値に変換するようになっている。受信信号記憶部23は、デジタル値のベースバンド信号を記憶するようになっている。なお、測定装置20は、多種多様な信号を受信して各種測定を行う測定機能を備えてはいるが、これらの測定機能は本発明とは直接関係しないので、測定に係る構成の図示は省略している。
【0024】
解析装置30は、信号解析手段40、操作部31、表示制御部32、表示部33を備える。なお、解析装置30は、図示を省略したが、解析装置30の全体の動作を制御するCPU及びこのCPUを機能させるためのプログラムを記憶するROM、RAM等で構成された制御回路を備えている。
【0025】
信号解析手段40は、信号処理部41、信号レベル測定部42、判定部43、スマートメータ管理部44、信号種別特定部45、メモリ部46を備える。信号処理部41は、復調部41a、通信情報取得部41b、信号波形取得部41cを備える。
【0026】
復調部41aは、受信信号記憶部23から評価対象のベースバンド信号を読み出してデジタルデータに変換(復調)し、このデータを復調データとして出力するようになっている。なお、復調部41aは、必要に応じて復調データの復号も行えるようになっている。この復調部41aは、本発明に係る復調手段を構成する。
【0027】
通信情報取得部41bは、復調データに含まれる通信情報を取得するようになっている。通信情報は、例えば、ヘッダ情報、通信ログ情報、電力量データ等を含む。この通信情報取得部41bは、本発明に係る通信情報取得手段を構成する。
【0028】
信号波形取得部41cは、表示部33にベースバンド信号波形を表示するために、受信信号記憶部23から評価対象のベースバンド信号を読み出すことにより、その信号波形を取得するようになっている。この信号波形取得部41cは、本発明に係る信号波形取得手段を構成する。
【0029】
信号レベル測定部42は、受信信号記憶部23から評価対象のベースバンド信号を読み出し、読み出したベースバンド信号の信号レベルを測定するようになっている。この信号レベル測定部42は、本発明に係る信号レベル測定手段を構成する。
【0030】
判定部43は、後述する操作部31の設定に従って各種の判定を行うようになっている。例えば、判定部43は、あるスマートメータにおいて、信号の衝突(パケットの衝突)が発生しているか否かの判定や、受信データが正常か否かといった判定を行うものである。この判定部43は、本発明に係る信号衝突検出手段を構成する。
【0031】
スマートメータ管理部44は、スマートメータとベースバンド信号の信号レベルとを関連付けた関連情報を予め取得し、この関連情報と、信号レベル測定部42が測定した信号レベルとに基づいて、復調部41aが復調した復調データの送信元のスマートメータを特定するようになっている。このスマートメータ管理部44は、本発明に係るスマートメータ特定手段を構成する。なお、スマートメータ管理部44は、スマートメータ1〜5の通信ログを参照することによって、復調データの送信元のスマートメータを特定するものであってもよい。
【0032】
信号種別特定部45は、復調部41aが復調した復調データの信号種別を特定するようになっている。例えば、信号種別特定部45は、復調データのヘッダ情報から、信号種別として、ビーコン信号、データ信号、Ack(Acknowledgement)信号、MACコマンド信号等を特定することができる。この信号種別特定部45は、本発明に係る信号種別特定手段を構成する。
【0033】
メモリ部46は、通信情報取得部41bが取得した通信情報、信号波形取得部41cが取得したベースバンド信号波形、信号レベル測定部42が測定した信号レベル、スマートメータ管理部44が特定したスマートメータ特定情報、信号種別特定部45が特定した信号種別等のデータを記憶するようになっている。
【0034】
操作部31は、信号解析手段40で解析する解析項目や解析条件、判定条件等を設定するため評価者が操作するものである。例えば、操作部31は、図示を省略したが、各種条件を設定するための設定画面を表示するディスプレイ、キーボード、ダイヤル又はマウスのような入力デバイス、これらを制御する制御回路等を備える。
【0035】
表示制御部32は、操作部31の設定内容に応じて、メモリ部46に記憶された各データをスマートメータごとに表示部33に表示するための表示制御を行うようになっている。
【0036】
表示部33は、例えば液晶モニタで構成され、表示制御部32の出力信号を表示するようになっている。この表示部33は、本発明に係る表示手段を構成する。
【0037】
次に、本実施形態におけるスマートメータ評価装置10の動作について説明する。なお、受信信号記憶部23には、評価対象のベースバンド信号が記憶されているものとする。
【0038】
評価者が操作部31を操作することにより、信号解析手段40において以下の動作が行われる。
【0039】
復調部41aは、受信信号記憶部23から評価対象のベースバンド信号を読み出してデジタルデータに変換(復調)し、復調データ、復調データに含まれる通信情報、復調データの信号波形のデータをメモリ部46に記憶する。
【0040】
信号レベル測定部42は、復調部41aが復調した復調データに対応するベースバンド信号の信号レベルを測定し、測定結果のデータを復調データと関連付けてメモリ部46に記憶する。
【0041】
判定部43は、操作部31の設定に従って各種の判定を行う。例えば、判定部43は、復調部41aの復調結果が正常か否かの判定や、スマートメータの異常の有無、信号の衝突の発生の有無等を判定し、その判定結果のデータをメモリ部46に記憶する。
【0042】
スマートメータ管理部44は、信号レベル測定部42が測定した信号レベルに基づいて、復調部41aが復調した復調データの送信元のスマートメータを特定し、特定結果のデータをメモリ部46に記憶する。
【0043】
信号種別特定部45は、復調部41aが復調した復調データの信号種別を特定し、特定結果のデータをメモリ部46に記憶する。
【0044】
さらに、評価者が操作部31を操作することにより、表示制御部32が、メモリ部46に記憶された各データを読み出して表示部33に表示する動作が行われる。その結果、表示部33は、例えば、図3に示すような表示を行う。図3は、表示部33の表示例を示す図である。
【0045】
表示部33の表示画面は、PHY(物理層)解析結果を表示する表示エリア51、MAC解析結果を表示する表示エリア52、各通信信号の波形を表示する表示エリア53、各通信信号の送信タイミングを表示する表示エリア54、各通信信号の送信電力を表示する表示エリア55で構成されている。
【0046】
図3に示した表示例では、表示エリア52において、通信情報取得部41bが取得した通信情報のうち、信号F3の通信内容が表示されている。この表示エリア52を評価者が見れば、通信プロトコルによる通信内容の詳細が分かり、どのようなデータが送受されているかを容易に知ることができる。具体的には、送信元のスマートメータの識別番号、通信データの暗号化の有無及び暗号種別、使用電力量等のデータの宛先、使用電力量等のデータの内容及び計測条件等の情報が表示エリア52に表示される。
【0047】
また、表示エリア53には、時間軸及び電力軸で表された各信号及びその波形(ベースバンド信号波形)が識別表示されている。例えば、信号F3はビーコン信号、信号F4はMACコマンド信号、信号F5はAck信号、信号F6はデータ信号であることが容易に分かるよう表示エリア53に識別表示されている。識別表示の例としては、各信号名を表すエリアを色分けして表示する手法がある。また、例えば、送信元のスマートメータごとにその送信信号の波形を識別表示したり、文字で識別表示したりしてもよい。
【0048】
また、表示エリア54には、各信号の時間軸上の位置や、隣接する信号間の時間間隔(GAP TIME)が表示されている。
【0049】
次に、本実施形態におけるスマートメータ評価装置10において、信号の衝突判定の動作について説明する。この信号の衝突判定は、ZigBee/IEEE802.15.4の規格では信号送出の同期管理が行われないので、あるスマートメータにおいて信号が衝突するおそれがあるため実施するものである。
【0050】
最初に、スマートメータ評価装置10は、信号の衝突判定の前に、図4に示した準備段階の動作を行う。
【0051】
復調部41aは、受信信号記憶部23に記憶されたベースバンド信号を読み出してデジタルデータに変換(復調)し(ステップS11)、復調データをメモリ部46に出力する。
【0052】
スマートメータ管理部44は、復調データのヘッダ情報を参照し、その復調データの送信元のスマートメータを特定する(ステップS12)。
【0053】
信号レベル測定部42は、復調データに対応するベースバンド信号の信号レベルの平均値をスマートメータごとに測定する(ステップS13)。
【0054】
スマートメータ管理部44は、信号レベル測定部42が測定した、復調データに対応するベースバンド信号の信号レベルと、その復調データの送信元のスマートメータとを関連付けたデータをメモリ部46に記憶する(ステップS14)。
【0055】
次に、図5及び図6に基づき、スマートメータ評価装置10の信号の衝突判定の動作について説明する。
【0056】
復調部41aは、受信信号記憶部23に記憶された評価対象のベースバンド信号を読み出してデジタルデータに変換(復調)し(ステップS21)、復調データをメモリ部46に出力する。
【0057】
スマートメータ管理部44は、復調データのヘッダ情報を参照し、その復調データの送信元のスマートメータを特定する(ステップS22)。
【0058】
通信情報取得部41bは、復調データのヘッダ情報に含まれるLength値を読み取る(ステップS23)。このLength値は、復調データの長さを示す値である。このLength値から、対応する信号の信号長(時間の長さ)が推定できる。その結果、例えば、図6(a)に示したデータ61は、Length値相当の位置まで復調できたことが分かる。また、通信情報取得部41bは、復調データのMACヘッダを解析し、MAC解析結果を取得する(ステップS24)。
【0059】
判定部43は、MAC解析結果が正常か否かを判定する(ステップS25)。ここで、MAC解析結果が正常とは、通信情報取得部41bによるMACヘッダの解析の結果、ZigBee/IEEE802.15.4の規格に沿った意味のあるデータが得られたことをいう。
【0060】
ステップS25において、MAC解析結果が正常であると判定された場合は、判定部43は、Length値相当の位置より後の信号レベルが閾値レベル(図6(a)参照)以下か否かを判定する(ステップS26)。このステップS26において、Length値相当の位置より後の信号レベルが閾値レベル以下と判定された場合は、復調データは正常であると判定し(ステップS27)、その判定結果が表示制御部32により表示部33に表示される(ステップS35)。
【0061】
ステップS25において、MAC解析結果が正常ではない、すなわち異常であると判定された場合は、判定部43は、MAC解析結果の異常部分の信号レベルが閾値レベル以下か否かを判定する(ステップS31)。このステップS31において、MAC解析結果の異常部分の信号レベルが閾値レベル以下と判定された場合は、判定部43は、復調データの送信元のスマートメータが異常であると判定し(ステップS32)、ステップS35に進む。
【0062】
例えば、図6(b)に示すデータ62は、後半部分のデータ62aが消失している。したがって、データ62は、Length値相当の位置まで復調できたものではなく、データ62aが消失した部分はMAC解析結果の異常部分と判定され、かつ、この異常部分の信号レベルが閾値レベル以下であると判定される。
【0063】
ステップS26においてLength値相当の位置より後の信号レベルが閾値レベル以下ではないと判定された場合と、ステップS31においてMAC解析結果の異常部分の信号レベルが閾値レベル以下ではないと判定された場合(例えば図6(c)、(d))は、判定部43は、復調データの送信元のスマートメータの信号と、それ以外のスマートメータからの信号とが衝突したと判定する(ステップS33)。
【0064】
具体的には、図6(c)に示すデータ63は、後半部分に衝突したデータ63aが重畳されている。また、図6(d)に示すデータ64は、後半部分に衝突したデータ64aが重畳されている。
【0065】
ステップS33の判定結果が得られた場合、スマートメータ管理部44は、復調データの信号レベルから衝突した信号の送信元のスマートメータを特定し(ステップS34)、ステップS35に進む。例えば、スマートメータ管理部44は、図6(c)及び(d)にそれぞれ示したデータ63a及び64aの各信号レベルと、図4のステップS14で記憶した関連情報とに基づいて、それぞれの送信元のスマートメータを特定することができる。
【0066】
以上のように、本実施形態におけるスマートメータ評価装置10は、表示部33が、信号種別、通信情報及び信号波形を表示する構成を有するので、スマートメータの動作状態を評価することができる。
【0067】
また、スマートメータ評価装置10は、前述の信号の衝突判定を行うことにより、無線アドホックネットワーク上のどのスマートメータにおいて信号の衝突が発生しているかを特定することができ、異常箇所の特定が容易となる。
【0068】
なお、前述の実施形態では、スマートメータ評価装置10が、無線アドホックネットワークに接続されたスマートメータを評価する例を挙げて説明したが、他の無線ネットワークや、有線ネットワークに接続されたスマートメータを評価することもできる。
【0069】
また、前述の実施形態では、スマートメータ評価装置10が、電力量を計量するスマートメータを評価する例を挙げたが、本発明はこれに限定されるものではなく、ガスや水道等の使用量を計量するスマートメータ及び各種センサネットワークを評価することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上のように、本発明に係るスマートメータの動作状態を評価するスマートメータ評価装置及びスマートメータの評価方法は、スマートメータの動作状態を評価することができるという効果を有し、電力量やガスの使用量を計量するスマートメータ等の動作状態を評価するスマートメータ評価装置及びスマートメータの評価方法として有用である。
【符号の説明】
【0071】
1〜5 スマートメータ
6 集約装置
10 スマートメータ評価装置
20 測定装置
21 受信部(受信手段)
21a アンテナ
22 AD変換部
23 受信信号記憶部
30 解析装置
31 操作部
32 表示制御部
33 表示部(表示手段)
40 信号解析手段
41 信号処理部
41a 復調部(復調手段)
41b 通信情報取得部(通信情報取得手段)
41c 信号波形取得部(信号波形取得手段)
42 信号レベル測定部(信号レベル測定手段)
43 判定部(信号衝突検出手段)
44 スマートメータ管理部(スマートメータ特定手段)
45 信号種別特定部(信号種別特定手段)
46 メモリ部
51〜55 表示エリア
61〜64(62a、63a、64a) データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続され、所定の通信プロトコルに従って無線周波数の信号を送受信する複数のスマートメータ(1〜5)の動作状態を評価するスマートメータ評価装置(10)であって、
前記無線周波数の信号を受信してベースバンド信号に変換する受信手段(21)と、
前記ベースバンド信号をデジタルデータに変換して復調データとして出力する復調手段(41a)と、
前記復調データの信号種別を特定する信号種別特定手段(45)と、
前記復調データに含まれる通信情報を取得する通信情報取得手段(41b)と、
前記ベースバンド信号の信号波形を取得する信号波形取得手段(41c)と、
前記信号種別、前記通信情報及び前記信号波形を表示する表示手段(33)と、を備えたことを特徴とするスマートメータ評価装置。
【請求項2】
前記復調データの送信元のスマートメータを特定するスマートメータ特定手段(44)と、
前記ベースバンド信号の信号レベルを測定する信号レベル測定手段(42)と、をさらに備え、
前記スマートメータ特定手段は、前記信号レベルに基づいて前記復調データの送信元のスマートメータを特定するものであることを特徴とする請求項1に記載のスマートメータ評価装置。
【請求項3】
一のスマートメータにおいて複数のスマートメータからの各信号が衝突したことを前記信号レベルに基づいて検出する信号衝突検出手段(43)をさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載のスマートメータ評価装置。
【請求項4】
ネットワークに接続され、所定の通信プロトコルに従って無線周波数の信号を送受信する複数のスマートメータ(1〜5)の動作状態を評価するスマートメータの評価方法であって、
前記無線周波数の信号を受信してベースバンド信号に変換する受信ステップと、
前記ベースバンド信号をデジタルデータに変換して復調データとして出力する復調ステップと、
前記復調データの信号種別を特定する信号種別特定ステップと、
前記復調データに含まれる通信情報を取得する通信情報取得ステップと、
前記ベースバンド信号の信号波形を取得する信号波形取得ステップと、
前記信号種別、前記通信情報及び前記信号波形を表示する表示ステップと、を含むことを特徴とするスマートメータの評価方法。
【請求項5】
前記ベースバンド信号の信号レベルを測定する信号レベル測定ステップと、
一のスマートメータにおいて複数のスマートメータからの各信号が衝突したことを前記信号レベルに基づいて検出する信号衝突検出ステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載のスマートメータの評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−165047(P2012−165047A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21655(P2011−21655)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】