説明

スライス位置設定装置、磁気共鳴装置、スライス位置設定方法、およびプログラム

【課題】スライス位置の信頼性を向上させる。
【解決手段】人体の頭部の表面の基準の形状を表す点群データPGrefを事前に準備し、点群データPGrefとスライス位置SL〜SLの位置情報を対応付けておく。そして、被検体13のローカライザ画像データを取得し、被検体13の頭部の表面の形状を表す点群データPGを作成する。次に、ローカライザ画像データから検出した頭部の表面の点群データPGと、スライス位置SL〜SLの位置情報が対応付けられた点群データPGrefとを照合し、点群データPGおよびPGrefの位置合わせを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体を撮影するときのスライス位置を設定するスライス位置設定装置、磁気共鳴装置、スライス位置設定方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スライス位置の自動設定技術として、スライス位置決め用の画像データを取得し、取得した画像データと、事前に用意しておいたテンプレートデータとを照合して、スライス位置を設定する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−212148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、画像データとスライス位置とが対応付けられたテンプレートデータを事前に用意しており、このテンプレートデータと、スライス位置決め用の画像データとを照合し、スライス位置を設定している。しかし、この方法では、例えば、被検体の撮影部位に出血が生じている場合、照合の精度が低下し、スライス位置の信頼性が低下することがある。したがって、スライス位置の信頼性を向上させることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様は、被検体を撮影するときのスライス位置を設定するスライス位置設定装置であって、
人体の所定部位の表面の基準の形状を表し、スライス位置の位置情報が対応付けられた第1の点群データと、前記被検体の前記所定部位の表面の形状を表す第2の点群データとを照合し、照合結果に基づいて、前記被検体の前記所定部位のスライス位置を設定する、スライス位置設定装置である。

本発明の第2の態様は、スライス位置設定装置を備えた磁気共鳴装置である。

本発明の第3の態様は、被検体を撮影するときのスライス位置を設定するスライス位置設定方法であって、
人体の所定部位の表面の基準の形状を表し、スライス位置の位置情報が対応付けられた第1の点群データと、前記被検体の前記所定部位の表面の形状を表す第2の点群データとを照合し、照合結果に基づいて、前記被検体の前記所定部位のスライス位置を設定するステップ、を有するスライス位置設定方法である。

本発明の第4の態様は、被検体を撮影するときのスライス位置を設定するためのプログラムであって、
人体の所定部位の表面の基準の形状を表し、スライス位置の位置情報が対応付けられた第1の点群データと、前記被検体の前記所定部位の表面の形状を表す第2の点群データとを照合し、照合結果に基づいて、前記被検体の前記所定部位のスライス位置を設定する処理、を計算機に実行させるためのプログラムである。

【発明の効果】
【0006】
所定部位の表面の形状を表す点群データを用いているので、スライス位置を設定するときの信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の形態の磁気共鳴装置の概略図である。
【図2】ハードディスク10に記憶されている点群データPGrefの説明図である。
【図3】点群データPGrefの作成方法の一例の説明図である。
【図4】第1の形態で実行されるスキャンの一例を示す図である。
【図5】被検体の頭部を撮影するときのMR装置100の動作フローを示す図である。
【図6】ローカライザスキャンAによって取得されたローカライザ画像データDL1を概略的に示す図である。
【図7】被検体13の頭部の表面から検出された点群データPGを概略的に示す図である。
【図8】ハードディスク10に記憶されている基準の点群データPGrefと、ローカライザ画像データDL1から検出した被検体13の点群データPGとを示す図である。
【図9】位置合わせ後の様子を示す図である。
【図10】ローカライザスキャンAによって取得されたローカライザ画像データDL2を概略的に示す図である。
【図11】被検体13の頭部の表面から検出された点群データPGを概略的に示す図である。
【図12】ハードディスク10に記憶されている基準の点群データPGrefと、手術後のローカライザ画像データDL2から検出した被検体13の点群データPGとを示す図である。
【図13】位置合わせ後の様子を示す図である。
【図14】第2の形態において、ハードディスク10に記憶されている点群データPGrefの説明図である。
【図15】点群データPGを概略的に示す図である。
【図16】位置合わせ後の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明を実施するための形態について説明するが、本発明は、以下の形態に限定されることはない。
【0009】
(1)第1の形態
図1は、本発明の第1の形態の磁気共鳴装置の概略図である。
磁気共鳴装置(以下、「MR装置」と呼ぶ。MR:Magnetic Resonance)100は、マグネット2、テーブル3、受信コイル4などを有している。
【0010】
マグネット2は、被検体13が収容されるボア21を有している。また、マグネット2には、超伝導コイル22、勾配コイル23、送信コイル24などが内蔵されている。超伝導コイル22は静磁場を印加し、勾配コイル23は勾配パルスを印加し、送信コイル24はRFパルスを送信する。尚、超伝導コイル22の代わりに、永久磁石を用いてもよい。
【0011】
テーブル3は、クレードル3aを有している。クレードル3aは、ボア21内に移動できるように構成されている。クレードル3aによって、被検体13はボア21に搬送される。
【0012】
受信コイル4は、被検体13の頭部に取り付けられている。受信コイル4は、被検体13からの磁気共鳴信号を受信する。
【0013】
MR装置100は、更に、シーケンサ5、送信器6、勾配磁場電源7、受信器8、中央処理装置9、ハードディスク10、操作部11、および表示部12を有している。
【0014】
シーケンサ5は、中央処理装置9の制御を受けて、パルスシーケンスの情報を送信器6および勾配磁場電源7に送る。
【0015】
送信器6は、シーケンサ5から送られた情報に基づいて、RFコイル24を駆動するための信号を出力する。
【0016】
勾配磁場電源7は、シーケンサ5から送られた情報に基づいて、勾配コイル23を駆動するための信号を出力する。
【0017】
受信器8は、受信コイル4で受信された磁気共鳴信号を信号処理し、中央処理装置9に出力する。
【0018】
中央処理装置9は、シーケンサ5および表示部12に必要な情報を伝送したり、受信器8から受け取ったデータに基づいて画像を再構成するなど、MR装置100の各種の動作を実現するように、MR装置100の各部の動作を制御する。中央処理装置9は、例えばコンピュータ(computer)によって構成される。中央処理装置9は、点群データ作成手段91、スライス位置設定手段92などを有している。
【0019】
点群データ作成手段91は、ローカライザ画像データ(例えば図6参照)に基づいて、点群データを作成する。
【0020】
スライス位置設定手段は、点群データ作成手段91により作成された点群データに基づいて、スライス位置を設定する。
【0021】
中央処理装置9は、点群データ作成手段91およびスライス位置設定手段92を構成する一例であり、所定のプログラムを実行することにより、これらの手段として機能する。中央処理装置は、スライス位置設定装置の一例である。
【0022】
ハードディスク10には、点群データが記憶されている。
図2は、ハードディスク10に記憶されている点群データPGrefの説明図である。
点群データPGrefは、人体の頭部の表面の基準の形状を表すデータである。図2(a)は、頭部全体を示しており、図2(b)は、頭部のサジタル断面を示している。尚、点群データPGrefは、黒丸で示されている。
【0023】
点群データPGrefには、スライス位置SL〜SLの位置情報が対応付けられている。この点群データPGrefは、被検体13を撮影する前に事前に作成されている。以下に、点群データPGrefの作成方法について説明する。
【0024】
図3は、点群データPGrefの作成方法の一例の説明図である。
先ず、複数の被検体SUB〜SUBの頭部を撮影し、頭部の画像データD〜Dを取得する(図3(a1)〜(an)参照)。
【0025】
次に、各画像データD〜Dに基づいて、各被検体SUB〜SUBの頭部の表面から点群データPG〜PGを検出し(図3(b1)〜(bn)参照)、これらの点群データPG〜PGを平均する。点群データPG〜PGの平均値が、人体の頭部の表面の基準の形状を表す点群データPGref(図3(c)参照)となる。最後に、点群データPGrefに、スライス位置SL〜SLの位置情報を対応付ける。このようにして、図2に示すように、スライス位置SL〜SLの位置情報が対応付けられた点群データPGrefが作成される。
【0026】
第1の形態では、点群データPGrefを用いて、被検体13を撮影するときのスライス位置を設定する。点群データPGrefを用いてスライス位置を設定する方法については、後述する。
【0027】
操作部11は、オペレータにより操作され、種々の情報を中央処理装置9に入力する。表示部12は種々の情報を表示する。
MR装置100は、上記のように構成されている。
【0028】
図4は、第1の形態で実行されるスキャンの一例を示す図である。
第1の形態では、ローカライザスキャンAと、本スキャンBを実行し、被検体13の頭部を撮影する。
【0029】
ローカライザスキャンAは、頭部のスライス位置を設定するときに使用されるローカライザ画像データを取得するためのスキャンである。本スキャンBは、ローカライザ画像データを用いて設定されたスライス位置に基づいて、頭部を撮影するためのスキャンである。
【0030】
次に、MR装置100で被検体13を撮影するときのフローについて説明する。以下では、被検体13の頭部を手術する必要があり、手術前と手術後に頭部を撮影する場合について説明する。
【0031】
(1)手術前の頭部の撮影について
図5は、被検体の頭部を撮影するときのMR装置100の動作フローを示す図である。
【0032】
ステップST1では、ローカライザスキャンAを実行し、頭部のスライス位置を設定するときに使用されるローカライザ画像データを取得する(図6参照)。
【0033】
図6は、ローカライザスキャンAによって取得されたローカライザ画像データDL1を概略的に示す図である。
【0034】
図6(a)は、ローカライザ画像データDL1の全体図であり、図6(b)は、図6(a)のサジタル面における断層画像データを示す図である。
【0035】
手術前では、被検体13の頭部には、出血部が見られているとする。ローカライザ画像データDL1を取得した後、ステップST2に進む。
【0036】
ステップST2では、点群データ作成手段91(図1参照)が、ローカライザ画像データDL1に基づいて、被検体13の頭部の表面の形状を表す点群データを作成する(図7参照)。
【0037】
図7は、被検体13の頭部の表面から検出された点群データPGを概略的に示す図である。
【0038】
図7(a)は頭部全体を示しており、図7(b)は、頭部のサジタル断面を示している。尚、点群データPGは、白丸で示されている。
【0039】
被検体13の頭部の外側は空気であるので、被検体13の頭部の内側の領域は、被検体13の頭部の外側の領域よりも信号値が高くなる。したがって、ローカライザ画像データDL1における信号値の変化を検出することによって、被検体13の頭部の表面の位置を特定することができるので、被検体13の頭部の表面から点群データPGを検出することができる。検出する点の数は、例えば、1000点以上である。点群データPGを検出することによって、被検体13の頭部の表面の形状を表す形状データを得ることができる。点群データPGを検出した後、ステップST3に進む。
【0040】
ステップST3では、スライス位置設定手段92(図1参照)が、後述するステップST4において被検体13を撮影するときのスライス位置を設定する。以下に、スライス位置の設定方法について説明する。
【0041】
スライス位置を設定する場合、図8に示すように、ハードディスク10に記憶されている基準の点群データPGref(図2参照)と、ローカライザ画像データDL1から検出した被検体13の点群データPG(図7参照)とを用いる。
【0042】
スライス位置設定手段92は、先ず、ハードディスク10に記憶されている基準の点群データPGrefと、ローカライザ画像データDL1から検出した被検体13の点群データPGとを照合し、点群データPGrefおよびPGの位置合わせを行う。
【0043】
図9は位置合わせ後の様子を示す図である。
スライス位置設定手段92は、点群データPGおよびPGrefの位置ずれが最も小さくなるように、点群データの位置合わせを行う。点群データPGおよびPGrefを照合するときのアルゴリズムとしては、例えば、Iterative Closest Point法や、Robust Point Matching法を用いることができる。基準の点群データPGrefには、事前に設定されたスライス位置SL〜SLが対応付けられているので、点群データの位置合わせを行うことによって、被検体の点群データPGに対して、スライス位置SL〜SLを位置決めすることができる。スライス位置SL〜SLを設定した後、ステップST4に進む。
【0044】
ステップST4では、ステップST3で設定されたスライス位置SL〜SLに従って、本スキャンが行われ、フローが終了する。
【0045】
(2)手術後の頭部の撮影について
手術後も、図5に示すフローに従って撮影が行われる。
【0046】
ステップST1では、ローカライザスキャンAを実行し、頭部のスライス位置を設定するときに使用されるローカライザ画像データを取得する(図10参照)。
【0047】
図10は、ローカライザスキャンAによって取得されたローカライザ画像データDL2を概略的に示す図である。
【0048】
図10(a)は、ローカライザ画像データDL2の全体図であり、図10(b)は、図10(a)のサジタル面における断層画像データを示す図である。
【0049】
手術後では、手術前に見られた出血部(図6(b)参照)は取り除かれているとする。ローカライザ画像データDL2を取得した後、ステップST2に進む。
【0050】
ステップST2では、点群データ作成手段91が、ローカライザ画像データDL2に基づいて、被検体13の頭部の表面の形状を表す点群データを作成する。図11に、被検体13の頭部の表面から検出された点群データPGを概略的に示す。点群データPGは白丸で示されている。点群データPGを検出した後、ステップST3に進む。
【0051】
ステップST3では、スライス位置設定手段92が、後述するステップST4において被検体13を撮影するときのスライス位置を設定する。スライス位置を設定する場合、図12に示すように、ハードディスク10に記憶されている基準の点群データPGref(図2参照)と、手術後のローカライザ画像データDL2から検出した被検体13の点群データPG(図11参照)とを用いる。
【0052】
スライス位置設定手段92は、先ず、ハードディスク10に記憶されている基準の点群データPGrefと、ローカライザ画像データDL2から検出した被検体13の点群データPGとを照合し、点群データPGrefおよびPGの位置合わせを行う。
【0053】
図13は位置合わせ後の様子を示す図である。
基準の点群データPGrefには、事前に設定されたスライス位置SL〜SLが対応付けられているので、点群データの位置合わせを行うことによって、被検体の点群データPGに対して、スライス位置SL〜SLを位置決めすることができる。スライス位置SL〜SLを設定した後、ステップST4に進む。
【0054】
ステップST4では、ステップST3で設定されたスライス位置SL〜SLに従って、本スキャンが行われ、フローが終了する。
以上のようにして、手術前の撮影、手術後の撮影が実行される。
【0055】
第1の形態では、被検体13の頭部の表面の形状を表す点群データPGを作成し(ステップST2、図7参照)、事前に用意した人体の頭部の表面の基準の形状を表す点群データPGref(図2参照)と、被検体の頭部の表面の形状を表す点群データPGとを照合している(ステップST3、図9参照)。したがって、被検体13の頭部の内側に出血部が見られても、基準の点群データPGrefと、被検体13の頭部の表面の形状を表す点群データPGとの位置合わせを精度よく行うことができるので、スライス位置を設定するときの信頼性を向上させることができる。
【0056】
また、第1の形態では、被検体13の頭部の表面の形状を表す点群データPGおよびPGを作成しているので(ステップST2、図7および図11参照)、後頭部など、解剖学的な特徴点が少ない部位にも、表面の形状を表すための多数の点が設定される。したがって、解剖学的な特徴点が少ない部位にスライス位置を設定する場合でも、点群データの位置合わせを精度よく行うことができる。
【0057】
また、第1の形態では、手術前には出血による患部黒変が見られていたが(図6および図7参照)、手術後には患部黒変が見られなくなっているので(図10および図11参照)、手術前と手術後では、脳の表面付近の画像コントラストが変化する。したがって、画像データとスライス位置とが対応付けられたテンプレートデータを用いてスライス位置を設定する方法や、脳の特徴点(例えば、脳の前端や後端、脳室の前端や後端など)とスライス位置とが対応付けられたテンプレートを用いてスライス位置を設定する方法では、画像コントラストの変化の影響を受けて、手術前のスライス位置と、手術後のスライス位置との位置ずれが大きくなり、手術後の経過観察の妨げになる恐れがある。これに対して、第1の形態では、頭部の表面の形状を表す点群データを検出し、スライス位置を設定しているので、手術前と手術後で頭部の内側に画像コントラストの変化が見られても、画像コントラストの変化の影響を受けずに、スライス位置を設定することができる。したがって、手術後の撮影を行う場合に、手術前のスライス位置を精度よく再現することができるので、手術後の経過観察においても、より的確な診断を行うことができる。
【0058】
また、病変部を手術した場合、手術前と手術後では、画像コントラストの変化だけでなく、局所的な形状変化が見られることもある(例えば、手術前には脳室の拡大が見られていたが、手術後には脳室の大きさが元に戻った場合に生じる局所的な形状変化)。このような局所的な形状変化が生じても、第1の形態では、頭部の表面の形状を表す点群データを検出し、スライス位置を設定しているので、局所的な形状変化の影響を受けずに、スライス位置を設定することができる。したがって、手術後の撮影を行う場合に、手術前のスライス位置を精度よく再現することができるので、手術後の経過観察においても、より的確な診断を行うことができる。
【0059】
(2)第2の形態
第1の形態では、頭部の表面の基準の形状を表す点群データPGref(図2参照)を用いて、スライス位置を設定する方法について説明したが、第2の形態では、頭部の表面の基準の形状を表す点群データの他に、延髄および橋の表面の基準の形状を表す点群データを用いて、スライス位置を設定する方法について説明する。
【0060】
図14は、第2の形態において、ハードディスク10に記憶されている点群データPGrefの説明図である。
【0061】
第2の形態では、点群データPGrefは、人体の頭部の表面の基準の形状を表す点群データと、頭部に含まれる延髄および橋の表面の基準の形状を表す点群データとを含んでいる。点群データPGrefには、スライス位置SL〜SLの位置情報が対応付けられている。この点群データPGrefは、図3に示す被検体SUB1〜SUBnの画像データにおいて、頭部の表面の基準の形状を表す点群データの他に、延髄および橋の表面の基準の形状を表す点群データを設定し、点群データを平均することによって求めることができる。
【0062】
次に、第2の形態において、被検体を撮影するときの手順について、図5のフローを参照しながら説明する。尚、手術前の撮影、手術後の撮影に関わらず、MR装置の動作フローは同じであるので、以下では、手術前の撮影をするときのフローを取り上げて、第2の形態を説明する。
【0063】
ステップST1は、第1の形態と同じであるので、説明は省略する。ローカライザ画像データDL1を取得した後、ステップST2に進む。
【0064】
ステップST2では、点群データ作成手段91(図1参照)が、ローカライザ画像データDL1に基づいて、被検体の頭部の表面の形状を表す点群データと、延髄および橋の表面の形状を表す点群データとを作成する(図15参照)。図15に、作成された点群データPGを概略的に示す。図15(a)は頭部全体を示しており、図15(b)は、頭部のサジタル断面を示している。尚、点群データPGは、白丸で示されている。点群データPGを作成した後、ステップST3に進む。
【0065】
ステップST3では、スライス位置設定手段92が、ハードディスク10に記憶されている点群データPGref(図14参照)と、ローカライザ画像データDL1から検出した被検体13の点群データPG(図15参照)とを照合し、点群データPGrefおよびPGの位置合わせを行う。
【0066】
図16は、位置合わせ後の様子を示す図である。
スライス位置設定手段92は、点群データPGおよびPGrefの位置ずれが最も小さくなるように、点群データの位置合わせを行う。点群データPGrefには、事前に設定されたスライス位置SL〜SLが対応付けられているので、点群データの位置合わせを行うことによって、被検体の点群データPGに対して、スライス位置SL〜SLを位置決めすることができる。スライス位置SL〜SLを設定した後、ステップST4に進む。
【0067】
ステップST4では、ステップST3で設定されたスライス位置SL〜SLに従って、本スキャンが行われ、フローが終了する。
【0068】
尚、上記の説明では、手術前の撮影におけるフローが説明されているが、手術前の撮影のフローも同様の手順で実行される。
【0069】
第2の形態では、被検体の頭部の表面の形状を表す点群データだけでなく、橋および延髄の表面の形状を表す点群データも用いて、スライス位置を設定している。橋および延髄は外科手術が行われにくい部位であるので、頭部の手術を行った場合でも、手術の前後で、橋および延髄の形状にはほとんど変化は見られない。したがって、橋および延髄の表面の形状を表す点群データも用いて、スライス位置を設定することによって、スライス位置の位置決めの精度を更に高めることができる。尚、点群データPGrefおよびPGの各々に、橋および延髄の表面の点群データだけでなく、脊髄の表面の点群データを含めてもよい。脊髄の点群データも含めることにより、スライス位置の位置決めの精度を更に高めることが可能となる。
【0070】
また、本形態では、MR装置で被検体の経過観察をする場合について説明したが、本発明は、MR装置に限定されることはなく、CT装置など、スライス位置を設定する医用装置を用いて被検体を撮影する場合に適用することができる。
【符号の説明】
【0071】
2 マグネット
3 テーブル
3a クレードル
5 シーケンサ
6 送信器
7 勾配磁場電源
8 受信器
9 中央処理装置
10 ハードディスク
11 操作部
12 表示部
13 被検体
100 MR装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を撮影するときのスライス位置を設定するスライス位置設定装置であって、
人体の所定部位の表面の基準の形状を表し、スライス位置の位置情報が対応付けられた第1の点群データと、前記被検体の前記所定部位の表面の形状を表す第2の点群データとを照合し、照合結果に基づいて、前記被検体の前記所定部位のスライス位置を設定する、スライス位置設定装置。
【請求項2】
前記所定部位は頭部である、請求項1に記載のスライス位置設定装置。
【請求項3】
前記第1の点群データは、頭部の表面の基準の形状を表す点群データと、延髄および橋の表面の形状を表す点群データとを含む、請求項2に記載のスライス位置設定装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のスライス位置設定装置を有する磁気共鳴装置。
【請求項5】
前記所定部位のスライス位置を設定するときに使用されるローカライザ画像データを取得するためのローカライザスキャンを実行するスキャン手段と、
前記ローカライザ画像データに基づいて、前記第2の点群データを作成する点群データ作成手段と、
前記第1の点群データと、前記第2の点群データとを照合し、照合結果に基づいて、前記被検体の前記所定部位のスライス位置を設定するスライス位置設定手段と、
を有する、請求項4に記載の磁気共鳴装置。
【請求項6】
被検体を撮影するときのスライス位置を設定するスライス位置設定方法であって、
人体の所定部位の表面の基準の形状を表し、スライス位置の位置情報が対応付けられた第1の点群データと、前記被検体の前記所定部位の表面の形状を表す第2の点群データとを照合し、照合結果に基づいて、前記被検体の前記所定部位のスライス位置を設定するステップ、を有するスライス位置設定方法。
【請求項7】
被検体を撮影するときのスライス位置を設定するためのプログラムであって、
人体の所定部位の表面の基準の形状を表し、スライス位置の位置情報が対応付けられた第1の点群データと、前記被検体の前記所定部位の表面の形状を表す第2の点群データとを照合し、照合結果に基づいて、前記被検体の前記所定部位のスライス位置を設定する処理、を計算機に実行させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−111274(P2013−111274A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260571(P2011−260571)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】