説明

スライダーの引手延長具

【課題】環を作りその中に指をつっこむ形式の引手延長具を提供する。
【解決手段】取っ手(20)とテープ(10)からなる。前記取っ手(20)は正面板(21)と、その裏側の裏面板(22)と、それらを繋ぐ左右両側板(23,24)を有し、さらに開口した頂部(25)と底部(26)と、内部において前記正面板と裏面板を繋ぐストッパ(27)を有する。前記テープ(10)は、環(12)を形成すると共に、前記ストッパ(27)をこの環の中に取り込む形で配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドファスナーにおいて、務歯に沿って上下動するスライダーの引手に取り付ける延長具に関する。
【背景技術】
【0002】
スライダーには引手がついているが、小さくてつかみにくかったり、デザイン的に物足りなかったりする。そのようなとき、取替え用又は追加用に引手の延長具を取り付けることがよく行われている。
【0003】
本出願人も例えば下記特許文献1及び2のような引手の延長具を出願している。
【特許文献1】特開2000−342308
【特許文献2】特開2003−9914
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの従来技術の引手延長具は指で握る形式であるが、手の不自由な人にとっては指で握る作業が困難な人がいるので必ずしも十分とはいえなかった。本発明者は、指で握らなくても、延長具で環を作りその中に指をつっこむ形式を考えたが、それだけでは健常者にとって環が邪魔になる場合もある。そこで、手の不自由な人にとっても健常者にとっても使いやすい引手延長具はできないかと考え、試行錯誤を繰り返して本発明に到達した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るスライダーの引手延長具は、取っ手とテープからなり、前記取っ手は正面板と、その裏側の裏面板と、それらを繋ぐ左右両側板を有し、さらに開口した頂部と底部と、内部において前記正面板と裏面板を繋ぐストッパを有し、前記テープは、環を形成すると共に、前記ストッパをこの環の中に取り込む形で配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、取っ手を上下させることにより、環の大きさを自由に変えることができる。この環を大きくして、指を環の中につっこむことにより、手が不自由で指がよく動かない人でも容易にスライダーを上下させることができる。
【0007】
一方、健常者は環を小さくして、普通の引手延長具として使用することができる。しかし、健常者でも手袋などをはめたままスライドファスナを操作するときには環を大きくして、指を環の中につっこむ使い方の方が使いやすい場合もある。
【0008】
また、環になったテープは平面的なテープに比べて目立つので、ここに斬新なデザインを組み込んだり、商標のロゴやマークをいれたりすると、周囲の関心を高めることになるので、宣伝広告の効果が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
テープは、通常1本で十分であり、引手に近い位置で末端同士が接合されて環を形成している。テープの素材は、天然繊維や合成繊維など幅広く使用することができる。接合は、糸による縫着、熱による融着、接着剤による接着などを使用することができる。
【0010】
取っ手は、上下が開口した箱状のものであればよい。デザイン上、後記する実施例のように中空の跳び箱のような形態が好ましい。
【0011】
ストッパは正面板及び裏面板を接続するものであればどのようなものでもよく、ピン、円柱、三角柱、四角柱、五角柱などがある。
【実施例1】
【0012】
以下、添付の図面に基づき、本発明の実施例を説明する。
【0013】
図1は、本発明の1実施例に係る引手延長具1の斜視図であり、仮想線で内部構造を表している。図2は、図1における2−2断面図である。
【0014】
この引手延長具1の先端にスライダー2が取り付けられている。このスライダーがスライドファスナー(図示せず)に取り付けられ、務歯に沿って上下動する。
【0015】
図1,図2に示すように、この引手延長具1は、全体が環になったテープ10と、この環の大きさを制御可能とする取っ手20からなる。
【0016】
テープ10は、1本であり、引手に近い位置で末端同士11が接合されて環12を形成している。
【0017】
取っ手20は、図1、2に示すように、中空の跳び箱のような形態を有する。すなわち、跳び箱の正面に当たる正面板21と、その裏側の裏面板22と、それらを繋ぐ両側板23,24を有する。跳び箱で手をつく部分に相当する頂部25は全面が開口しており、跳び箱で床につく部分に相当する底部26も全面が開口している。
【0018】
この取っ手は完全中空ではなく、ほぼ中央部に正面板21と裏面板22を繋ぐ円柱のようなストッパ27が形成されている。
【0019】
発明にとって必須ではないが、取っ手20の両側板23,24には、滑り止めとして横方向に伸びる小さな突起28が3本ずつ形成されている。また、テープのスライドをなめらかにするため、頂部開口に段部29が形成されている。
【0020】
取っ手20の全体は、合成樹脂により、一体成形されている。
【0021】
前記テープ10は、図2に示すように、取っ手のストッパ27を環12の中に取り込む形で配置される。
【0022】
この取っ手20を下方におろせば、図3に示すように、取っ手はテープ10の末端に位置する。ストッパ27があるので、取っ手20がテープ10から抜け落ちることはない。健常者は通常この形で引手延長具1を使用するであろう。
【0023】
取っ手20が図1、2の位置にあると、テープ10が大きい環12を形成する。このとき、使用者が指を環の中につっこむことにより、スライダーを上下させることができ、手が不自由で指がよく動かない人にとって、非常に使いやすいものとなる。しかし、健常者でも手袋などをはめたままスライドファスナを操作するときにはこのやり方の方が都合がよい場合もあるであろう。
【実施例2】
【0024】
図4は、第2実施例に係る引手延長具の断面図である。取っ手の形状が一方の側板24Aはなだらかに曲線を描いているが、他方23Aは垂直面となっている。また、ストッパ27Aは三角柱である。これらはデザイン的な変形であって、技術的な効果は変わらない。第1実施例と同じ機能を有する部品には、同じ符号に「A」を付けて表記し、説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の1実施例に係る引手延長具の斜視図であり、仮想線で内部構造を表している。
【図2】図1における2−2断面図である。
【図3】取っ手を下げた状態の引手延長具の断面図である。
【図4】第2実施例に係る引手延長具の断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 引手延長具
2 スライダー
10 テープ
12 環
20 取っ手
25 頂部
26 底部
27 ストッパ
23,24 両側板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
取っ手(20)とテープ(10)からなり、
前記取っ手(20)は正面板(21)と、その裏側の裏面板(22)と、それらを繋ぐ左右両側板(23,24)を有し、さらに開口した頂部(25)と底部(26)と、内部において前記正面板と裏面板を繋ぐストッパ(27)を有し、
前記テープ(10)は、環(12)を形成すると共に、前記ストッパ(27)をこの環の中に取り込む形で配置されることを特徴とするスライダーの引手延長具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−43095(P2006−43095A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−227779(P2004−227779)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【出願人】(000114606)モリト株式会社 (198)
【Fターム(参考)】