説明

スライダーコントロール制御方法、システム、装置及びプログラム

【課題】あるパラメータに従属する他のパラメータの変更を直感的に把握することができるスライダーコントロール制御方法を提供する。
【解決手段】コンピュータが、スライダー値に対応した棒状の2以上のスライダーを表示して、該スライダーにより一のスライダーのスライダー値を受付けるスライダー値受付け、2以上のスライダーのスライダー値の間に成立する所定の関係式に、前記受付けた一のスライダーのスライダー値を当てはめて、該スライダーとは別のスライダーのスライダー値を算出し、受付けた一のスライダーのスライダー値を該スライダーのスライダー値に、算出したスライダー値を前記別のスライダーのスライダー値に決定し、決定したスライダー毎のスライダー値に応じて棒状の2以上のスライダーのそれぞれの表示を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライダーコントロールにおけるスライダーの動作を制御するスライダーコントロール制御方法、システム、装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々なアプリケーションのユーザインターフェースとしてスライダーコントロールが利用されている。ここで、スライダーコントロールとは、スライド式の入力インターフェースを生成するものである。スライダーコントロールを利用することで、特定範囲に収まる数値の入力をマウスにより行うことが可能になる。
【非特許文献1】[online]、2007年11月1月号、Sliderコントロールでスライダを定義するには?、[2008年7月17日検索]、インターネット<URL:http://www.atmarkit.co.jp/fdotnet/dotnettips/665aspajaxslider/aspajaxslider.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来例のスライダーコントロールが複数配置されたフォームでは、パラメータとしてのスライダー値に従属する他のパラメータの変更を直感的に把握することができなかった。各スライダーがマウスでそれぞれドラッグされることにより、スライダー毎に独立してスライダー値の入力を受付けるからである。
【0004】
本発明は、このような事情を考慮して提案されるものであり、あるスライダーのパラメータが変更されると、このパラメータに従属する他のパラメータが自動的に変更され、これに対応するスライダーが移動して表示されることにより、あるパラメータに従属する他のパラメータの変更を直感的に把握することができるスライダーコントロール制御方法、システム、装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明者は、予め定められた一定のルールに従ってあるパラメータに従属する他のパラメータが自動的に変更され、これに対応するスライダーが移動して表示される仕組みを見出し、本発明を想到するに至った。
【0006】
本発明に係るスライダーコントロール制御方法は、あるスライダーのパラメータが変更されると、2以上のスライダーのパラメータの間に成立する所定の関係式に従って、各スライダーのパラメータを算出して棒状の2以上のスライダーのそれぞれの表示を変更出力することにより、あるパラメータに従属する他のパラメータの変更を直感的に把握することができるものである。
【0007】
(1)コンピュータが、スライダー値に対応した棒状の2以上のスライダーを表示して、該スライダーにより一のスライダーのスライダー値を受付けるスライダー値受付ステップと、2以上のスライダーのスライダー値の間に成立する所定の関係式に、前記コンピュータが受付けた一のスライダーのスライダー値を当てはめて、該スライダーとは別のスライダーのスライダー値を算出するパラメータ値算出ステップと、前記コンピュータが受付けた一のスライダーのスライダー値を該スライダーのスライダー値に、前記算出したスライダー値を前記別のスライダーのスライダー値に決定するパラメータ値決定ステップと、前記決定したスライダー毎のスライダー値に応じて前記棒状の2以上のスライダーのそれぞれの表示を変更するスライダー表示変更ステップを出力するスライダー値出力ステップと、を少なくとも実行することを特徴とするスライダーコントロール制御方法。
【0008】
(1)の発明によれば、2以上のスライダーのスライダー値の間に成立する所定の関係式に従って、各スライダーのスライダー値を算出して棒状の2以上のスライダーのそれぞれの表示を変更出力するので、あるパラメータに従属する他のパラメータの変更を直感的に把握することができる。ここで、所定の関係式は、線形方程式であるか非線形方程式であるかを問わない。また、所定の関係式は、あるパラメータに対して他のパラメータの値が定まるものであればよく、予め定められたテーブルからあるパラメータの値に対応する他のパラメータの値を抽出するようにしてもよい。
【0009】
(2)少なくとも1つのスライダーのスライダー値を所定の値に固定することを特徴とする(1)に記載のスライダーコントロール制御方法。
【0010】
(2)の発明によれば、少なくとも1つのスライダーのスライダー値を所定の値に固定するので、自由度を小さくすることができる。ここで、自由度とは、変数のうち独立に選べるものの数、すなわち、全変数の数から、それら相互間に成り立つ関係式の数を引いたものである。例えば、所定の関係式として、N個のスライダーのスライダー値に対して、(N−2)元連立1次方程式が与えられている場合には、自由度は2である。ここで、1つのスライダーのスライダー値を固定すると、自由度は1となる。また、自由度が0になると、原則としてすべてのスライダー値は一意に定まるので、各スライダーは固定されることになる。このため、ある特定のパラメータを固定した場合において、あるパラメータに従属する他のパラメータの変更を直感的に把握することができる。なお、固定されたスライダーの色彩等を変更することにより、その表示態様を変更してもよい。これによると、マウスでドラッグできないスライダーを容易に視認することができる。
【0011】
(3)前記スライダーのスライダー値が該スライダーの表示範囲を超える場合に、該表示範囲を、該スライダー値を含む表示範囲に変更することを特徴とする(1)に記載のスライダーコントロール制御方法。ここで、表示範囲の変更としては、例えば、スライダー値が表示範囲の最大値より大きくなった場合に、旧最大値を新たな最小値とし、この最小値に旧最大値と旧最小値の差を加えたものを新たな最大値とする表示範囲に変更することが考えられる。同様に、スライダー値が表示範囲の最小値より小さくなった場合に、旧最小値を新たな最大値とし、この最大値に旧最大値と旧最小値の差を減じたものを新たな最小値とする表示範囲に変更することが考えられる。
【0012】
(3)の発明によれば、前記スライダーのスライダー値が該スライダーの表示範囲を超える場合に、該表示範囲を、該スライダー値を含む表示範囲に変更するので、あるパラメータに従属する他のパラメータの値が当初のスライダーの表示範囲を越えてもその値を表示することができる。
【0013】
(4)前記表示範囲を変更する際に、該表示範囲を拡張することを特徴とする(3)に記載のスライダーコントロール制御方法。
【0014】
(4)の発明によれば、前記表示範囲を変更する際に、該表示範囲を拡張するので、あるパラメータに従属する他のパラメータの値が当初のスライダーの表示範囲を越えると、そのスライダーの移動速度が遅くなる。ここで、表示範囲の拡張とは、表示範囲の最大値と最小値の差を大きくすることをいう。この際、スライダーの移動速度に応じて表示範囲を拡張してもよい。例えば、スライダーの移動速度が大きいほど表示範囲を所定の割合で拡張するようにしてもよい。これによると、スライダーの移動速度に応じて表示範囲を拡張するので、表示範囲の変更の回数を減らすことができる。
【0015】
(5)前記表示範囲を拡張する際に、該表示範囲に表示されている目盛の値を前記拡張に応じて変更することを特徴とする(4)に記載のスライダーコントロール制御方法。
【0016】
(5)の発明によれば、前記表示範囲を変更する際に、該表示範囲に表示されている目盛の値を前記拡張に応じて変更するので、スライダー値の大きさを目視により確認することが容易になる。
【0017】
(6)スライダー値に対応した棒状の2以上のスライダーを表示して、該スライダーにより一のスライダーのスライダー値を受付けるスライダー値受付手段と、2以上のスライダーのスライダー値の間に成立する所定の関係式に、前記スライダー値受付手段が受付けた一のスライダーのスライダー値を当てはめて、該スライダーとは別のスライダーのスライダー値を算出するパラメータ値算出手段と、前記スライダー値受付手段が受付けた一のスライダーのスライダー値を該スライダーのスライダー値に、前記パラメータ値算出手段が算出したスライダー値を前記別のスライダーのスライダー値に決定するパラメータ値決定手段と、前記パラメータ値決定手段が決定したスライダー毎のスライダー値に応じて前記棒状の2以上のスライダーのそれぞれの表示を変更するスライダー表示変更手段を出力するスライダー値出力手段と、を備えることを特徴とするスライダーコントロール制御システム。ここで、当該スライダーコントロール制御システムには、複数のコンピュータからなるシステムのみならず、パーソナルコンピュータのように単体のコンピュータからなるシステムも含まれる。
【0018】
(7)スライダーのスライダー値を受付けるスライダー値受付手段と、2以上のスライダーのスライダー値の間に成立する所定の関係式に、前記スライダー値受付手段が受付けたスライダーのスライダー値を当てはめて、該スライダーとは別のスライダーのスライダー値を算出するパラメータ値算出手段と、前記スライダー値受付手段が受付けたスライダーのスライダー値を該スライダーのスライダー値に、前記パラメータ値算出手段が算出したスライダー値を前記別のスライダーのスライダー値に決定するパラメータ値決定手段と、前記パラメータ値決定手段が決定したスライダー毎のスライダー値を送信するスライダー値送信手段と、を備えることを特徴とするスライダーコントロール制御装置。
【0019】
(8)(1)に記載の方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、2以上のスライダーのスライダー値の間に成立する所定の関係式に従って、各スライダーのスライダー値を算出して棒状の2以上のスライダーのそれぞれの表示を変更出力するので、あるパラメータに従属する他のパラメータの変更を直感的に把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
[スライダーコントロール制御装置と関連要素の全体構成]
【0022】
図1は、本実施形態に係るスライダーコントロール制御装置1と関連要素の全体構成を示す図である。
【0023】
本実施形態に係るスライダーコントロール制御装置1及びユーザ端末2は、インターネット等の通信ネットワークNに接続されている。通信ネットワークNとの接続は有線であると無線であるとを問わない。
【0024】
スライダーコントロール制御装置1は、通信ネットワーク上に接続されたユーザ端末2から、複数のスライダーコントロールが配置されたフォームの閲覧要求を受付けて、閲覧要求のあったフォームを返信する。また、スライダーコントロール制御装置1は、ユーザ端末2から、あるスライダーのスライダー値の変更要求を受付けて、変更要求のあったスライダーのスライダー値を変更する。
【0025】
ユーザ端末2は、複数のスライダーコントロールが配置されたフォームを閲覧するユーザが利用する情報処理装置であって、一般的なコンピュータが該当する。
[スライダーコントロール制御装置の機能構成]
【0026】
図2は、本実施形態に係るスライダーコントロール制御装置1の機能構成の概要を示す図である。本実施形態に係るスライダーコントロール制御装置1は、スライダー値受付手段11と、パラメータ値算出値手段12と、パラメータ値決定手段13と、スライダー値送信手段14と、を備える。
【0027】
スライダー値受付手段11は、ユーザ端末2からスライダーのスライダー値の変更要求を受付けて、当該変更要求のあったスライダーのスライダー値をパラメータ値算出手段12及びパラメータ値決定手段13に渡す。
【0028】
パラメータ値算出手段12は、所定の関係式に従って、スライダー値受付手段11から受け取った変更要求のあったスライダーのスライダー値に基づいて、変更要求のあったスライダーとは別のスライダーのスライダー値を算出してパラメータ値決定手段13に渡す。ここで、パラメータ設定データベース15は、パラメータ値算出手段12の一部を構成している。パラメータ設定データベース15の詳細については後述する。
【0029】
パラメータ値決定手段13は、スライダー値受付手段11から受け取った変更要求のあったスライダーのスライダー値と、パラメータ値算出手段12から受け取った変更要求のあったスライダーとは別のスライダーのスライダー値とに基づいて、スライダー毎のスライダー値を決定してスライダー値送信手段14に渡す。
【0030】
スライダー値送信手段14は、パラメータ値決定手段13から受け取ったスライダー毎のスライダー値を、スライダー値の変更要求を行ったユーザ端末2に送信する。
[パラメータ設定データベースの構成]
【0031】
図3は、パラメータ設定データベース15の構成の概要を示す図である。
【0032】
パラメータ設定データベース15は、予めパラメータ設定IDと、複数のスライダーコントロールにおけるスライダーのパラメータとしてのスライダー値が満たすパラメータ関係式とを対応付けて記憶している。本実施形態では説明の便宜上、パラメータ関係式に線形方程式を採用しているが、非線形方程式を採用してもよい。
[スライダーコントロール制御装置のハードウェア構成図]
【0033】
図4は、本実施形態に係るスライダーコントロール制御装置1のハードウェア構成を示す図である。
【0034】
スライダーコントロール制御装置1は、制御部300を構成するCPU(Central Processing Unit)310(マルチプロセッサ構成ではCPU320等複数のCPUが追加されてもよい)、バスライン200、通信I/F(I/F:インタフェース)330、メインメモリ340、BIOS(Basic Input Output System)350、I/Oコントローラ360、ハードディスク370、光ディスクドライブ380、並びに半導体メモリ390を備える。尚、ハードディスク370、光ディスクドライブ380、並びに、半導体メモリ390はまとめて記憶装置410と呼ばれる。
【0035】
制御部300は、スライダーコントロール制御装置1を統括的に制御する部分であり、ハードディスク370(後述)に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
【0036】
通信I/F330は、スライダーコントロール制御装置1が、通信ネットワークN(図1)を介してユーザ端末2等(図1)と情報を送受信する場合のネットワーク・アダプタである。通信I/F330は、モデム、ケーブル・モデム及びイーサネット(登録商標)・アダプタを含んでよい。
【0037】
BIOS350は、スライダーコントロール制御装置1の起動時にCPU310が実行するブートプログラムや、スライダーコントロール制御装置1がハードウェアに依存するプログラム等を記録する。
【0038】
I/Oコントローラ360には、ハードディスク370、光ディスクドライブ380、及び半導体メモリ390等の記憶装置410を接続することができる。
【0039】
ハードディスク370は、本ハードウェアをスライダーコントロール制御装置1として機能させるための各種プログラム、本発明の機能を実行するプログラム及び後述するテーブル及びレコードを記憶する。なお、スライダーコントロール制御装置1は、外部に別途設けたハードディスク(図示せず)を外部記憶装置として利用することもできる。
【0040】
光ディスクドライブ380としては、例えば、DVD−ROMドライブ、CD−ROMドライブ、DVD−RAMドライブ、CD−RAMドライブを使用することができる。この場合は各ドライブに対応した光ディスク400を使用する。光ディスク400から光ディスクドライブ380によりプログラムまたはデータを読み取り、I/Oコントローラ360を介してメインメモリ340またはハードディスク370に提供することもできる。
【0041】
なお、本発明でいうコンピュータとは、記憶装置、制御部等を備えた情報処理装置をいい、スライダーコントロール制御装置1は、記憶装置410、制御部300等を備えた情報処理装置により構成され、この情報処理装置は、本発明のコンピュータの概念に含まれる。
【0042】
このスライダーコントロール制御装置1では、制御部300が主としてパラメータ値算出手段12及びパラメータ値決定手段13に対応し、通信I/F330が主としてスライダー値受付手段11及びスライダー値送信手段14に対応する。
[ユーザ端末のハードウェア構成]
【0043】
ユーザ端末2も、上述のスライダーコントロール制御装置1と同様な構成を持つ。
[本発明の実施形態に係るフローチャート]
【0044】
図5は、本発明の実施形態に係るスライダーコントロール制御処理のフローチャートを示している。
【0045】
S1:スライダー値受付手段11は、ユーザ端末2からスライダー(X1)のスライダー値の変更要求を受付けて、当該変更要求に含まれるスライダー(X1)のスライダー値(x1)をパラメータ値算出手段12及びパラメータ値決定手段13に渡す。なお、S1の前にユーザ端末2は、事前にスライダーコントロール制御装置1から取得した複数のスライダーコントロールが配置されたフォームであって、スライダー値に対応した棒状の2以上のスライダーを表示したものを表示している。そして、ユーザ端末2は、そのうちの1つのスライダーコントロールにおけるスライダー(X1)をマウスでドラッグすることにより、ドラッグを解除した位置のスライダー値(x1)をスライダーコントロール制御装置1に送信する。図6は、ユーザ端末2に表示されるn個のスライダーコントロールが配置されたフォームの一例を示す図である。以下、n番目のスライダーをスライダー(Xn)とし、そのスライダー値をスライダー値(xn)とする。
【0046】
S2:パラメータ値算出手段12は、パラメータ設定データベース15からパラメータ関係式を抽出し、スライダー値受付手段11から受け取ったスライダー(X1)のスライダー値(x1)を代入する。
【0047】
S3:パラメータ値算出手段12は、ガウス−ジョルダン法、LU分解法等のアルゴリズムを利用して、代入後のパラメータ関係式を満たす残りのスライダー(X2〜Xn)のスライダー値(x2〜xn)を算出して、パラメータ値決定手段13に渡す。
【0048】
S4:パラメータ値決定手段13は、スライダー値受付手段11から受け取ったスライダー(X1)のスライダー値(x1)をスライダー(X1)のスライダー値に決定し、パラメータ値算出手段12から受け取った残りのスライダー(X2〜Xn)のスライダー値(x2〜xn)をそれぞれスライダー(X2〜Xn)のスライダー値に決定して、スライダー値送信手段14に渡す。
【0049】
S5:スライダー値送信手段14は、パラメータ値決定手段13から受け取ったスライダー(X1〜Xn)のスライダー値(x1〜xn)を、スライダー値の変更要求を行ったユーザ端末2に送信する。なお、ユーザ端末2は、スライダーコントロール制御装置1から受信したスライダー(X1〜Xn)のスライダー値(x1〜xn)に従って、スライダー(X1〜Xn)のスライダーを移動する。
【0050】
以上説明したように、パラメータ値算出手段12が2以上のスライダーのスライダー値の間に成立する所定の関係式に従って各スライダーのスライダー値を算出し、パラメータ値決定手段13がスライダー毎のスライダー値に決定するので、あるパラメータに従属する他のパラメータの変更を直感的に把握することができる。すなわち、スライダーコントロールにおけるスライダーの動きを見ることによって、あるパラメータが他のパラメータに与える影響を容易に確認することができる。
【0051】
図7は、本発明の実施形態に係るスライダー値固定処理のフローチャートを示している。
【0052】
S11:スライダー値受付手段11は、ユーザ端末2からスライダー(X4)のスライダー値(x4)の固定要求を受付けて、当該固定要求のあったスライダー(X4)のスライダー値(x4)をパラメータ設定データベース15のパラメータ関係式に代入する。ここで、スライダー値受付手段11は、代入する前のパラメータ関係式をメモリ等の記憶手段に記憶しておき、ユーザ端末2からスライダー(X4)のスライダー値(x4)の固定解除要求を受付けた場合に、この記憶手段に記憶されたパラメータ関係式に基づいて、パラメータ設定データベース15を当初の状態に戻すようにしてもよい。なお、固定要求を受付ける方法としては、例えば、スライダーコントロール毎に固定又は非固定を選択するラジオボタン等を備えることにより、当該ラジオボタンから固定要求を受付ける方法が該当する。
【0053】
以上説明したように、スライダー値受付手段11が少なくとも1つのスライダーのスライダー値を所定の値に固定するので、パラメータとしてのスライダー値の自由度を小さくすることができる。
【0054】
図8は、本発明の実施形態に係るスライダーの表示範囲変更処理のフローチャートを示している。
【0055】
S21:パラメータ値決定手段13は、スライダー(X1〜Xn)のスライダー値(x1〜xn)のいずれかがそれぞれのスライダーの表示範囲を超える場合に、この表示範囲を変更するための表示情報を生成する。
【0056】
すなわち、パラメータ値決定手段13は、スライダー値が表示範囲の最大値より大きくなった場合に、旧最大値を新たな最小値とし、この最小値に旧最大値と旧最小値の差を加えたものを新たな最大値とする表示範囲の表示情報を生成し、スライダー値送信手段14に渡す。一方、パラメータ値決定手段13は、スライダー値が表示範囲の最小値より小さくなった場合に、旧最小値を新たな最大値とし、この最大値に旧最大値と旧最小値の差を減じたものを新たな最小値とする表示範囲の表示情報を生成し、スライダー値送信手段14に渡す。この際、表示範囲を所定の割合で拡張するようにしてもよい。また、スライダーの移動速度が大きいほど表示範囲を所定の割合で拡張するようにしてもよい。これによると、表示範囲を超えたスライダーの移動速度が遅くなるので、表示範囲の変更の回数を減らすことができる。この際、パラメータ値決定手段13が、拡張した表示範囲の最大値と最小値の差をこの表示範囲に表示されている目盛の数で割ることにより、拡張した表示範囲の1目盛の値を算出し、この算出した1目盛の値に基づいて、拡張した表示範囲の目盛の値を変更するようにしてもよい。これによると、スライダー値の大きさを目視により確認することが容易になる。
【0057】
S22:スライダー値送信手段14は、パラメータ値決定手段13から受け取った表示情報をユーザ端末2に送信する。なお、ユーザ端末2は、スライダーコントロール制御装置1から受信した表示情報に従って、スライダー値が表示範囲を超えたものについて、その表示範囲を変更する。図9は、表示範囲が変更される前後における、ユーザ端末2に表示されるn個のスライダーコントロールが配置されたフォームの一例を示す図である。
【0058】
以上説明したように、パラメータ値決定手段13はスライダーのスライダー値がその表示範囲を超える場合に、このスライダー値を含む表示範囲に変更するので、あるパラメータに従属する他のパラメータの値が当初のスライダーの表示範囲を越えてもその値を表示することができる。
[広告の入札価格決定システムへの応用]
【0059】
本発明は、スライダー(X1)のスライダー値(x1)を入札価格、スライダー(X2)のスライダー値(x2)を表示占有率、スライダー(X3)のスライダー値(x3)を平均掲載順位、スライダー(X4)のスライダー値(x4)をインプレッション数とする広告の入札価格決定システムへ応用することができる。ここで、表示占有率とは、広告がウェブページ等の広告媒体に表示される割合をいう。また、平均掲載順位とは、予め用意された複数の表示占有率の順位をいう。例えば、複数の表示占有率として、60%、30%、10%が予め用意されている場合に、平均掲載順位は、それぞれ、1位、2位、3位となる。さらに、インプレッション数とは単位時間あたりの広告の閲覧数をいう。
【0060】
ここでは説明の便宜上、パラメータ関係式は、入札価格(x1)=a*表示占有率(x2)+c*平均掲載順位(x3)+d*インプレッション数(x4)のような線形方程式で与えられる。この場合、変数の数が4個なのでパラメータ関係式の数は原則として3個以下となる。
【0061】
このようなパラメータ関係式に従って、広告の入札価格(x1)を決定する入札価格決定システムに本発明を適用する。これによると、例えば、表示占有率(x2)のスライダーを移動すると、表示占有率(x2)に従属する入札価格(x1)、平均掲載順位(x3)、インプレッション数(x4)に対応するスライダーが移動するので、あるパラメータ(表示占有率等)に従属する他のパラメータ(入札価格等)の変更を直感的に把握することができる。また、表示占有率(x2)、平均掲載順位(x3)、インプレッション数(x4)等のパラメータが他のパラメータに与える影響を視覚的に同時に把握することができるので、広告主は瞬時に入札価格の決定をすることができる。一方、広告をウェブページ等の広告媒体に掲載するコンテンツ提供業者、広告代理店等は、広告主に対して、表示占有率等のパラメータが入札価格に与える影響を視覚的に分かりやすく説明することができる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。
【0063】
例えば、前述したスライダーコントロール制御処理、スライダー値固定処理、スライダーの表示範囲変更処理を適宜組み合わせた処理をしてもよい。例えば、スライダーコントロール制御処理を「処理1」、スライダー値固定処理を「処理2」、スライダーの表示範囲変更処理を「処理3」とした場合、以下の組み合わせが考えられる。
【0064】
組み合わせ1:「処理1」と「処理2」との組み合わせ
【0065】
組み合わせ2:「処理1」と「処理3」との組み合わせ
【0066】
組み合わせ3:「処理1」と「処理2」と「処理3」との組み合わせ
【0067】
また、本実施形態では、スライダーコントロール制御装置1とユーザ端末2とからなるシステムについて詳述したが、スライダーコントロール制御装置1が単体で当該システムの機能を備えるようにしてもよい。
【0068】
さらに、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施例に記載されたものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本実施形態に係るスライダーコントロール制御装置と関連要素の全体構成を示す図である。
【図2】本実施形態に係るスライダーコントロール制御装置の機能構成の概要を示す図である。
【図3】パラメータ設定データベースの構成の概要を示す図である。
【図4】本実施形態に係るスライダーコントロール制御装置のハードウェア構成を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るスライダーコントロール制御処理のフローチャートを示している。
【図6】n個のスライダーコントロールが配置されたフォームの一例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係るスライダー値固定処理のフローチャートを示している。
【図8】本発明の実施形態に係るスライダーの表示範囲変更処理のフローチャートを示している。
【図9】表示範囲が変更される前後における、n個のスライダーコントロールが配置されたフォームの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0070】
1 スライダーコントロール制御装置
2 ユーザ端末
11 スライダー値受付手段
12 パラメータ値算出手段
13 パラメータ値決定手段
14 スライダー値送信手段
15 パラメータ設定データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、
スライダー値に対応した棒状の2以上のスライダーを表示して、該スライダーにより一のスライダーのスライダー値を受付けるスライダー値受付ステップと、
2以上のスライダーのスライダー値の間に成立する所定の関係式に、前記コンピュータが受付けた一のスライダーのスライダー値を当てはめて、該スライダーとは別のスライダーのスライダー値を算出するパラメータ値算出ステップと、
前記コンピュータが受付けた一のスライダーのスライダー値を該スライダーのスライダー値に、前記算出したスライダー値を前記別のスライダーのスライダー値に決定するパラメータ値決定ステップと、
前記決定したスライダー毎のスライダー値に応じて前記棒状の2以上のスライダーのそれぞれの表示を変更するスライダー表示変更ステップを出力するスライダー値出力ステップと、
を少なくとも実行することを特徴とするスライダーコントロール制御方法。
【請求項2】
少なくとも1つのスライダーのスライダー値を所定の値に固定することを特徴とする請求項1に記載のスライダーコントロール制御方法。
【請求項3】
前記スライダーのスライダー値が該スライダーの表示範囲を超える場合に、該表示範囲を、該スライダー値を含む表示範囲に変更することを特徴とする請求項1に記載のスライダーコントロール制御方法。
【請求項4】
前記表示範囲を変更する際に、該表示範囲を拡張することを特徴とする請求項3に記載のスライダーコントロール制御方法。
【請求項5】
前記表示範囲を拡張する際に、該表示範囲に表示されている目盛の値を前記拡張に応じて変更することを特徴とする請求項4に記載のスライダーコントロール制御方法。
【請求項6】
スライダー値に対応した棒状の2以上のスライダーを表示して、該スライダーにより一のスライダーのスライダー値を受付けるスライダー値受付手段と、
2以上のスライダーのスライダー値の間に成立する所定の関係式に、前記スライダー値受付手段が受付けた一のスライダーのスライダー値を当てはめて、該スライダーとは別のスライダーのスライダー値を算出するパラメータ値算出手段と、
前記スライダー値受付手段が受付けた一のスライダーのスライダー値を該スライダーのスライダー値に、前記パラメータ値算出手段が算出したスライダー値を前記別のスライダーのスライダー値に決定するパラメータ値決定手段と、
前記パラメータ値決定手段が決定したスライダー毎のスライダー値に応じて前記棒状の2以上のスライダーのそれぞれの表示を変更するスライダー表示変更手段を出力するスライダー値出力手段と、
を備えることを特徴とするスライダーコントロール制御システム。
【請求項7】
スライダーのスライダー値を受付けるスライダー値受付手段と、
2以上のスライダーのスライダー値の間に成立する所定の関係式に、前記スライダー値受付手段が受付けたスライダーのスライダー値を当てはめて、該スライダーとは別のスライダーのスライダー値を算出するパラメータ値算出手段と、
前記スライダー値受付手段が受付けたスライダーのスライダー値を該スライダーのスライダー値に、前記パラメータ値算出手段が算出したスライダー値を前記別のスライダーのスライダー値に決定するパラメータ値決定手段と、
前記パラメータ値決定手段が決定したスライダー毎のスライダー値を送信するスライダー値送信手段と、
を備えることを特徴とするスライダーコントロール制御装置。
【請求項8】
請求項1に記載の方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−44475(P2010−44475A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−206582(P2008−206582)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【出願人】(500257300)ヤフー株式会社 (1,128)
【Fターム(参考)】