説明

スライドトレイに顕微鏡スライドを配置するための装置

本発明による装置は、ケースを配置するための水平な棚が設けられた少なくとも1つの容器と、前記容器に垂直平面における往復運動を行わせることができるフレキシブルな駆動装置とを含む。駆動装置は、モータ及び少なくとも1つのプーリが設けられた閉回路の形式で組み込まれている。前記装置は、水平なプッシャをも含み、このプッシャは、その作動端部に、ケースを掴んで容器の外側に配置された作業領域へ移動させかつ容器へ戻すための構成と、作業領域の上方の水平面において水平なプッシャの動作に対して垂直な方向に可動な標本ガラスグリッパとが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
請求された発明は、診断及び研究のための機器、特に鏡検のための組織学的及び生物学的標本を準備するために使用される装置に関する。この装置は、細胞及び組織標本の顕微鏡研究を行う生物学的及び医学的実験室において、特に組織学的及び細胞学的研究に専門化する実験室において適用されることができる。
【0002】
適切に処理され、顕微鏡スライドに取り付けられ、染色された組織学的又は生物学的標本は次いで、特別な媒体に固定され、これにより、光学的に均一な領域が形成され、標本は調査のための十分な期間だけ保存される。カナダバルサム、ポリスチレン及びスチレンコポリマは、一般的に使用される光学媒体の幾つかの例である。封入剤のキシレン溶剤は、スライドに固定された標本に提供され、全体がカバーガラスで被覆される。標本が顕微鏡調査を受けることができる前に、カバーガラスの移動又は媒体の漏れを防止するためにスライドが水平に位置決めされながら媒体が乾燥しなければならない。標本が取り付けられた顕微鏡スライドはスライドトレイにおける乾燥のために配置される。スライドトレイは、矩形の標準的なスライドサイズのセルを備えた、プラスチック、木、又は厚紙製のトレイである。スライドトレイは、一列又は複数列に配置された10、20又は30個のセルを有することができる。スライドトレイにおけるスライドはさらに顕微鏡調査が行われる。
【0003】
スライドは手作業でスライドトレイに配置される。すなわち、この作業は、労力を費やし、注意深い人員を必要とする。これに加え、スライドトレイは、スライドが配置されている時に、広い実験室作業スペースを占有する。
【0004】
従来の技術
我々の知る限り、スライドトレイに顕微鏡スライドを配置するための公知の装置は存在しない。オーストラリアのVisionBioSystemsによって製造された公知の装置は、顕微鏡スライドを、容器内に配置されたスライドトレイから、顕微鏡ステージへ供給し、顕微鏡スライドをスライドトレイへ戻すことができるが、スライドは既にスライドトレイに配置されていることが要求される(プロスペクトコピーが同封されている)。
【0005】
発明の開示
請求された発明によって達成された技術的結果は、標本が固定された顕微鏡スライドをスライドトレイに配置するという労力を費やす作業を機械化することを可能にする装置を構成することになる。
【0006】
前記技術的結果は、顕微鏡スライドをスライドトレイに配置するための請求された装置によって達成され、この装置は、スライドトレイのための水平な棚を備えた少なくとも1つの容器を含み、この容器は、フレキシブルな駆動装置によって垂直なガイドに沿って往復運動することができ、駆動装置は、循環駆動ロープと、モータと、少なくとも1つのプーリとから成り、さらに作業端部に設けられた水平なプッシャを含み、このプッシャは、スライドトレイを掴み、スライドトレイを、容器の外側の作業領域へ推進し、次いで容器内へ戻すためのツールを備えており、さらに水平なプッシャの方向に対して垂直な方向に作業領域上へ水平に移動することができるスライドグリッパを含む。
【0007】
前記装置は、作業領域の両側に配置された2つの容器をも有し、第2の容器は、同じ駆動装置に接続されており、往復垂直運動を行うことができる。2つの容器を備えた装置の駆動装置は2つの付加的なプーリを含むことができ、そのうち一方は、モータを備えた第2の容器レベルの上方に配置されており、他方は、第1の容器の下方のプーリを備えた第2の容器レベルの下方に配置されている。
【0008】
水平なプッシャのスライドトレイグリッパは、機械的なラッチ又は磁気的なグリッパであることができる。
【0009】
図面の簡単な説明
請求された発明は図1〜図4に示されたような図面を参照しながら説明されることができる。
【0010】
図1は、スライドトレイのための棚を備えた1つの容器を含む請求された装置を示している。
【0011】
図2は、水平なプッシャの移動平面における同じ装置の上面図を示している。
【0012】
図3は、スライドトレイのための棚を備えた2つの容器を含む請求された装置を示している。
【0013】
図4は、水平なプッシャの移動平面における図3の装置の上面図を示している。
【0014】
スライドトレイのための棚2を備えた容器1(図1及び図2)は駆動装置3に接続されており、駆動装置は、循環駆動ロープと、モータ4と、プーリ5とを含む。駆動プーリは、可撓性の金属、ゴム又はプラスチック帯材等から成る、循環ワイヤ又はチェーンから形成されることができる。プッシャ6は駆動装置7に接続されており、この駆動装置はプッシャを往復運動させることができる。作業端部において、プッシャ6にはあらゆる種類の機械的又は磁気的なグリッパ(図示せず)が設けられている。磁気的なグリッパの場合、スライドトレイは、短い側において、鉄、鋼又は別の磁気的な材料のストライプを支持しているべきである。スライドグリッパ8は、作業領域の上方に配置されており、駆動装置9(図2)によって、水平なプッシャ6の方向に対して垂直な方向に水平に移動することができる。
【0015】
装置は、スライドトレイのための棚11を備えた第2の容器10(図3及び図4)をも有することができ、この場合、駆動装置3は付加的なプーリ12及び13を有する。
【0016】
装置は以下のように機能する。プッシャ6(図2)は、スライドトレイ14を、1つのスライドセル幅のための作業領域へ推進する。グリッパ8は、作業領域上へ移動し、スライドをセル内に配置する。その後、プッシャ6はスライドトレイ14を別のセル幅のために推進し、グリッパ8は次のスライドをそのセル内に配置する。複数列スライドトレイが使用される場合には、スライドはトレイに一列ごとに配置されることができるか、又は択一的に、スライドトレイが次のステップのために押される前に、一行におけるセルが満たされることができる。
【0017】
スライドトレイ14が満たされた後、プッシャ6はスライドトレイを容器1における棚へ戻す。駆動装置3は、容器1を1つの棚高さのために移動させ、これにより、プッシャ6は次のスライドトレイ(図1)を作動させることができる。
【0018】
2つの容器を備えた態様は以下のように使用される(図3及び図4)。容器1には空のスライドトレイが装入されている。満たされたトレイは、容器10の空の棚に配置されている。駆動装置3は、一回のステップで同時に容器1を上昇させ容器10を下降させる。容器10が充填された後、装入されたスライドトレイが容器10から取り出されることができるのに対し、容器1には、空のスライドトレイが装入される。
【0019】
スライドが、マイクロチップ、バーコード等による自動化された読取りのために符号化されているならば、請求された装置は、スライドを特定された形式で自動的に配列することができる。例えば、特定のケースに関する全てのスライドが一緒に集合させられることができる。符号読取り入力装置は、例えばグリッパ8に配置されていることができる。
【0020】
産業上の用途
顕微鏡スライドをスライドトレイに配置するための請求された装置は、組織学的及び細胞学的実験室において、及び細胞及び組織の顕微鏡調査を行うあらゆるその他の医学的及び生物学的施設において使用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】スライドトレイのための棚を備えた1つの容器を含む請求された装置を示している。
【図2】水平なプッシャの移動平面における同じ装置の上面図を示している。
【図3】スライドトレイのための棚を備えた2つの容器を含む請求された装置を示している。
【図4】水平なプッシャの移動平面における図3の装置の上面図を示している。
【符号の説明】
【0022】
1 容器、 2 棚、 3 駆動装置、 4 モータ、 5 プーリ、 6 プッシャ、 7 駆動装置、 8 スライドグリッパ、 9 駆動装置、 10 第2の容器、 11 棚、 12,13 プーリ、 14 スライドトレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡スライドをスライドトレイ上に配置するための装置において、
スライドトレイのための水平な棚を備えた少なくとも1つの容器を含み、該容器が、循環駆動ケーブルロープと、モータと、少なくとも1つのプーリとから成るフレキシブルな駆動装置に接続されており、該駆動装置が前記容器を垂直なガイドに沿って往復運動させることができ、水平なプッシャを含み、該プッシャの作業端部に、スライドトレイを掴みかつ該スライドトレイを前記容器の外側の作業領域へ推進しかつ前記スライドトレイを容器内へ戻すためのツールが設けられており、前記水平なプッシャの移動方向に対して垂直に作業領域上へ水平に移動することができるスライドグリッパを含むことを特徴とする、顕微鏡スライドをスライドトレイ上に配置するための装置。
【請求項2】
付加的に、作業領域の他方の側に配置されておりかつ前記フレキシブルな駆動装置に接続された、スライドトレイのための棚を備えた第2の容器を含む、請求項1記載の顕微鏡スライドをスライドトレイ上に配置するための装置。
【請求項3】
付加的に2つのプーリを含み、一方のプーリが、前記モータと同じ高さに第2の容器レベルの上方に配置されており、他方のプーリが、第1の容器の下方のプーリと同じ高さに第2の容器レベルの下方に配置されている、請求項2記載の顕微鏡スライドをスライドトレイ上に配置するための装置。
【請求項4】
水平なプッシャの掴みツールが機械的なラッチである、請求項1記載の顕微鏡スライドをスライドトレイ上に配置するための装置。
【請求項5】
水平なプッシャの掴みツールが磁気的なグリッパである、請求項1記載の顕微鏡スライドをスライドトレイ上に配置するための装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−514010(P2009−514010A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537626(P2008−537626)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【国際出願番号】PCT/RU2006/000569
【国際公開番号】WO2007/049994
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(399065198)
【氏名又は名称原語表記】Ilya Borisovich Izvozchikov
【住所又は居所原語表記】ul. Zhaka Dyuklo, 8−2−18, St.Petersburg, 194223 Russian Federation
【Fターム(参考)】