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スライドドア車のロッカ構造
説明

スライドドア車のロッカ構造

【課題】側面衝突によってロッカの上部が開口変形することを抑制することができるスライドドア車のロッカ構造を得る。
【解決手段】ロッカアウタアッパ32の上側フランジ部32Dとロッカインナパネル30の上側フランジ部30Cとが重ね合わされて接合されると共に、ロッカアウタロア34の下側フランジ部34Hとロッカインナパネル30の下側フランジ部30Gとが重ね合わされて接合されることにより形成されたロッカ16の閉断面の上部に補強部材58を設けた。これにより、側面衝突による衝突荷重がロッカ16に加わったとしても、ロッカ16の上部が開口変形することを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドドアを備えた車体のロッカ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車体の側面に設けられたスライドドアが側面衝突による衝突荷重を受けた場合において、該スライドドアがキャビンに侵入することを抑制する構造が知られている。例えば、下記特許文献1には、スライドドアの下部に設けられた引っ掛けビードをロッカレールのガイド溝の上縁に係合させて、スライドドアがキャビンに侵入することを抑制する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−081853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の構造では、側面衝突による衝突荷重を受けて、ロッカの上部が口開き変形すると、引っ掛けビードとロッカレールのガイド溝の上縁との係合が外れてしまい、スライドドアがキャビンに侵入することを充分に抑制できないことが考えられる。そのため、上記ロッカの変形を抑えるために、ロッカ全体の強度及び剛性を上げることが考えられるが、この場合、ロッカ全体の重量増加を招き、ひいては車体全体の重量の増加を招く。
【0005】
上記事実に鑑み、本発明は、車体の重量増加を抑制しつつ、側面衝突によってロッカの上部が口開き変形することを抑制することができるスライドドア車のロッカ構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明に係るスライドドア車のロッカ構造は、スライドドアが配設される側の車体側部の下部側に設けられ、車両の前後方向を長手方向として延在するロッカインナパネルと、前記ロッカインナパネルの車幅方向外側に配設されて前記ロッカインナパネルと接合されると共に前記ロッカインナパネルとの間に車幅方向外側に開口したU字状の閉断面を形成するロッカアウタパネルと、前記閉断面の上部に設けられ、前記閉断面の上部が断面変形することを抑制する補強部材と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項1に係る本発明では、補強部材がロッカの閉断面の上部に設けられている。そのため、側面衝突による衝突荷重がロッカに加わったとしても、補強部材がロッカの閉断面の上部を口開き変形させようとするモーメントに抗する。また、このような補強部材の配置とすることで、ロッカ全体の強度及び剛性を上げる場合と比較して、車体の重量の増加が抑制される。
【0008】
請求項2記載の本発明に係るスライドドア車のロッカ構造は、請求項1記載のスライドドア車のロッカ構造において、前記ロッカインナパネルは車両前後方向及び車幅方向に延在する上壁を備えると共に、前記ロッカアウタパネルは前記ロッカインナパネルの前記上壁よりも車両下方側に配置されかつ車両前後方向及び車幅方向に延在する上壁を備え、前記補強部材が前記ロッカインナパネルの前記上壁と前記ロッカアウタパネルの前記上壁との間に設けられたことを特徴とする。
【0009】
ところで、スライドドア車のロッカは、車幅方向外側に開口したU字状の断面を成している。この場合、側面衝突による衝突荷重がロッカに加わると、ロッカインナパネルの上壁とロッカアウタパネルの上壁との間の空間が断面崩れしてしまい、この断面崩れによってロッカ上部の剛性が低下してしまう。しかしながら、請求項2記載の本発明では、ロッカインナパネルの上壁とロッカアウタパネルの上壁との間に補強部材が設けられているため、該ロッカインナパネルの上壁とロッカアウタパネルの上壁との間の空間が断面崩れしてしまうことが抑制される。
【0010】
請求項3記載の本発明に係るスライドドア車のロッカ構造は、請求項2記載のスライドドア車のロッカ構造において、前記ロッカアウタパネルには、前記ロッカインナパネルの前記上壁よりも上方側に配置されると共に車幅方向外側に突出した第1凸部が設けられたことを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る本発明では、上記構成の第1凸部がロッカアウタパネルに設けられている。そのため、スライドドアが側面衝突による衝突荷重を受けて、スライドドアが第1凸部に当接すると、ロッカには、該ロッカ上部を口開き変形させようとするモーメントを打ち消す反モーメントが入力される。
【0012】
請求項4記載の本発明に係るスライドドア車のロッカ構造は、請求項3記載のスライドドア車のロッカ構造において、前記第1凸部の車幅方向外側かつ車両上下方向下方側には、ドアインナパネルに設けられかつ車幅方向内側に突出した第2凸部が配置されたことを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の本発明では、側面衝突によりスライドドアがキャビン側に向けて変形すると、該スライドドアのドアインナパネルに設けられた第2凸部がロッカアウタパネルに設けられた第1凸部に係止される。
【0014】
請求項5記載の本発明に係るスライドドア車のロッカ構造は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のスライドドア車のロッカ構造において、前記補強部材には、車幅方向に延びる凹部と凸部とが車両前後方向に沿って形成されたことを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の本発明では、補強部材の形状が車幅方向に延びる凹部と凸部とが車両前後方向に沿って形成された所謂波板形状を成している。従って、補強部材自体の重量増加を抑制しつつ、補強部材の車両前後方向の断面2次モーメントが向上する。
【0016】
請求項6記載の本発明に係るスライドドア車のロッカ構造は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のスライドドア車のロッカ構造において、前記ロッカインナパネルは、前記ロッカインナパネルの前記上壁の車幅方向内側の端部から車両下方側に延在する側壁及び前記ロッカインナパネルの前記上壁と前記側壁との間に跨って設けられた肩パッチを備えると共に、前記補強部材の車幅方向内側の端部が前記肩パッチに近接して配置されたことを特徴とする。
【0017】
ところで、ロッカに対して過大な側面衝突による衝突荷重が加わった場合、前記側壁近傍のロッカ断面が断面崩れしてしまうことが考えられる。しかしながら、請求項6記載の本発明では、補強部材の車幅方向内側の端部が肩パッチと近接して配置されている。換言すると、補強部材はロッカインナパネルの上壁とロッカアウタパネルの上壁との間から、該ロッカインナパネルの側壁近傍まで延在している。その結果、過大な衝突荷重が加わったとしても、肩パッチ近傍の補強部材が過大な衝突荷重に抗することによって、前記側壁近傍のロッカ断面が断面崩れしてしまうことが抑制される。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、請求項1記載の本発明に係るスライドドア車のロッカ構造は、車体の重量増加を抑制しつつ、側面衝突によってロッカの上部が口開き変形することを抑制することができる、という優れた効果を有する。
【0019】
請求項2記載の本発明に係るスライドドア車のロッカ構造は、ロッカ断面の上部の空間が断面崩れしてしまうことによるロッカ上部の剛性の低下を抑制することができ、ひいては側面衝突によってロッカの上部が口開き変形することをより一層抑制することができる、という優れた効果を有する。
【0020】
請求項3記載の本発明に係るスライドドア車のロッカ構造は、ロッカ上部を口開き変形させようとするモーメントを低減することができる、という優れた効果を有する。
【0021】
請求項4記載の本発明に係るスライドドア車のロッカ構造は、スライドドアがキャビンに侵入することを抑制することができる、という優れた効果を有する。
【0022】
請求項5記載の本発明に係るスライドドア車のロッカ構造は、補強部材自体の重量の増加を抑制しつつ該補強部材の車幅方向への曲げ剛性をより一層向上させることができる、という優れた効果を有する。
【0023】
請求項6記載の本発明に係るスライドドア車のロッカ構造は、側面衝突による過大な衝突荷重がロッカに加わった場合であっても、ロッカ断面が断面崩れしてしまうことをより一層抑制することができ、ひいては側面衝突によってロッカの上部が口開き変形することをより一層抑制することができる、という優れた効果を有する
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態のロッカ構造を示す断面図である。
【図2】図1のA−A線に沿った拡大断面図である。なお、ロッカ上部及び補強部材以外の構成の図示は省略してある。
【図3】(A)は本実施形態のロッカ構造が適用された車体を示す斜視図であり、(B)は(A)に記載された車体におけるスライドドアの開扉状態を示す斜視図である。
【図4】スライドドアに対して、側面衝突による荷重が加わった際のスライドドア及びロッカの状態を示す図1に対応する断面図である。
【図5】スライドドアに対して側面衝突による荷重が加わることにより、スライドドアがキャビン側に向けて変形した状態を示す図1に対応する断面図である。
【図6】(A)は中実厚肉の鋼板等を用いて形成された補強部材が適用されたロッカの上部を示す断面図であり、(B)は角柱状の補強部材が適用されたロッカの上部を示す断面図であり、(C)は繊維強化樹脂を充填することにより形成された補強部材が適用されたロッカの上部を示す断面図である。なお、ロッカ上部及び補強部材以外の構成の図示は省略してある。
【図7】補強部材が設けられていないロッカに対して、側面衝突による荷重が加わることにより、スライドドアがキャビン側に向けて変形した状態を示す該スライドドア及びロッカの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1〜図3を用いて、本発明の実施形態に係るロッカ構造について説明する。なお、車両前後方向前方側を矢印FRで示し、車幅方向外側を矢印OUTで示し、車両上下方向上側を矢印UPで示す。
【0026】
図3(A)に示されるように、本実施形態に係るロッカ構造10が適用された車体12は、大型のスライドドア14を開閉することにより、乗員が助手席等の前席や後席に乗車することが可能とされた所謂前席スライドドア車である。
【0027】
また、図3(B)に示されるように、車体12は、車両前後方向を長手方向として延在するロッカ16と、該ロッカ16の車両前方側の端部から車両上方側に延在するフロントピラー18とを備えている。また、車体12は、フロントピラー18の車両上方側の端部から車両後方側に延在するルーフレール20と、該ルーフレール20の車両後方側の端部から車両下方側に延在すると共に、下端部がロッカ16の後端部に接続されたセンタピラー22とを備えている。この、ロッカ16、フロントピラー18、ルーフレール20及びセンタピラー22によって、車両側面視で略矩形状のドア枠24が形成されている。図3(A)に示されるように、このドア枠24にスライドドア14が収容されることにより、スライドドア14がキャビン26と車外側とを開閉可能に隔成する構成である。
【0028】
以下、先ずスライドドア14について説明し、次いで本実施形態の要部であるロッカ16について説明する。
【0029】
(スライドドア14)
図1に示されるように、スライドドア14は、車幅方向外側に配置されたドアアウタパネル48と車両幅方向内側に配置されたドアインナパネル50とを主要な要素として構成されている。また、ドアアウタパネル48とドアインナパネル50との間には、スライドドア14を補強するドアロアヒンジリインフォース52及びドアヒンジリインフォースロア54が設けられている。
【0030】
ドアアウタパネル48は、車両前後方向及び車幅方向に延在する板状のプレス成型部品であり、車幅方向外側に向けて突出すると共に緩やかに湾曲して形成されている。また、ドアアウタパネル48の車幅方向外側の面は、車両の外観意匠の一部を構成する意匠面とされている。また、ドアアウタパネル48の車両下方側の端部48Aが折り返されてヘミング加工が施されることによって、ドアアウタパネル48の車両下方側の端部48Aとドアロアヒンジリインフォース52の車両下方側の端部とが結合されている構成である。
【0031】
ドアインナパネル50は、車両上下方向に延在する平面部50Aを備えている。この平面部50Aは、スライドドア14がドア枠24に収容された状態において、後述する第1凸部46と対向する位置に配置されている。また、ドアインナパネル50は、平面部50Aの車両上方側の端部から段差部50Bを介して車両上方側に延在する第1延在部50Cを備えている。また、ドアインナパネル50は、平面部50Aの車両下方側の端部から、車幅方向内側に向けて傾斜して延在する第2延在部50Dを備えている。さらに、ドアインナパネル50は、第2延在部50Dの車両下方側の端部から車両下方側に屈曲して延在する第3延在部50E及び、該第3延在部50Eの車両下方側の端部から車幅方向外側に向けて傾斜して延在する第4延在部50Fを備えている。この第4延在部50Fがドアロアヒンジリインフォース52に接合されることにより、該ドアロアヒンジリインフォース52を介してドアアウタパネル48の下端部とドアインナパネル50の下端部とが接合される構成である。
【0032】
また、ドアインナパネル50の平面部50Aの車両下方側には、上記第2延在部50D、第3延在部50E及び第4延在部50Fによって、車幅方向内側に突出した第2凸部56が形成されている。さらに、この第2凸部56の車両上方側の角部は上側角部56Aとされると共に、第2凸部56の車両下方側の角部は下側角部56Bとされている。
【0033】
(ロッカ16)
図1に示されるように、ロッカ16は、車幅方向外側に開口した略U字状の閉断面を成している。このロッカ16は、車幅方向外側に配置されたロッカアウタパネル28と車幅方向内側に配置されたロッカインナパネル30とを含んで構成された分割構造とされている。更に、ロッカアウタパネル28は、車両上方側に配置されたロッカアウタアッパ32の下端部と車両下方側に配置されたロッカアウタロア34の上端部とが接合されることにより構成された分割構造とされている。
【0034】
ロッカアウタアッパ32は、車両上下方向に延在する第1延在部32Aを備えている。また、この第1延在部32Aの車両下方側の端部は接合部32Bとされている。さらに、ロッカアウタアッパ32は、第1延在部32Aの車両上方側の端部から車幅方向外側に屈曲して延在する第2延在部32Cを備えている。また、ロッカアウタアッパ32は、第2延在部32Cの車幅方向外側の端部から車両上方側に屈曲して延在する上側フランジ部32Dを備えている。
【0035】
ロッカアウタロア34は、車両上下方向に延在する第1延在部34Aを備えている。また、この第1延在部34Aの車両上方側の端部は、ロッカアウタアッパ32の接合部32Bと重ね合わされて接合される接合部34Bとされている。さらに、ロッカアウタロア34は、第1延在部34Aの車両下方側の端部から車幅方向外側に屈曲して延在する第2延在部34C及び、該第2延在部34Cの車幅方向外側の端部から段差部34Dを介して車幅方向外側に延在する第3延在部34Eを備えている。また、ロッカアウタロア34は、第3延在部34Eの車幅方向外側の端部から、車幅方向外側に傾斜して延在する第4延在部34Fを備えている。さらに、ロッカアウタロア34は、第4延在部34Fの車幅方向外側の端部から、車幅方向内側に傾斜して延在する第5延在部34G及び、該第5延在部34Gの車両下方側の端部から車両下方側へ屈曲して延在する下側フランジ部34Hを備えている。
【0036】
ロッカインナパネル30は、車両上下方向に延在する第1延在部30Aを備えている。また、ロッカインナパネル30は、第1延在部30Aの車両上方側の端部から車幅方向外側に屈曲して延在する第2延在部30Bを備えている。さらに、ロッカインナパネル30は、第2延在部30Bの車幅方向外側の端部から車両上方側に屈曲して延在すると共に、上記ロッカアウタアッパ32の上側フランジ部32Dと重ね合わされて接合される上側フランジ部30Cを備えている。また、ロッカインナパネル30は、第1延在部30Aの車両下方側の端部から段差部30Dを介して車両下方側に延在する第3延在部30Eを備えている。さらに、ロッカインナパネル30は、第3延在部30Eの車両下方側の端部から車幅方向外側に傾斜して延在する第4延在部30Fを備えている。また、ロッカインナパネル30は、第4延在部30Fの車幅方向外側の端部から車両下方側に延在すると共に、上記ロッカアウタロア34の下側フランジ部34Hと重ね合わされて接合される下側フランジ部30Gを備えている。さらに、第1延在部30Aと第2延在部30Bとにより形成された屈曲部30Hには、車両前後方向に延在すると共に略L字状の断面とされた肩パッチ36が接合されている。
【0037】
以上説明した、ロッカアウタアッパ32、ロッカアウタロア34及びロッカインナパネル30によってロッカ16が形成される。
【0038】
また、ロッカ16の車幅方向外側に開口した溝部38には、スライドドア14を開閉可能にスライドさせるスライドレールガイド40及びガイドローラ41が設けられている。スライドレールガイド40は、車両前後方向を長手方向として延在すると共に車両下方側に開口した断面U字形状とされている。このスライドレールガイド40がロッカアウタアッパ32の第2延在部32Cの車両下方側の壁面に接合されている。さらに、このスライドレールガイド40に沿ってガイドローラ41が転動可能に収容されることにより、スライドドア14がヒンジ42を介して車両前後方向にスライド可能となる構成である。
【0039】
また、ロッカ16におけるロッカアウタアッパ32の上側フランジ部32Dには、略ハット型断面に形成されたサイメンアウタの下部44が接合されている。サイメンアウタの下部44は、車両上下方向に延在する第1接合部44Aと、該第1接合部44Aの車両下方側の端部から車幅方向外側に傾斜して延在する第1延在部44Bと、該第1延在部44Bの下端部から車両下方側に延在する第2延在部44Cと、該第2延在部44Cの車両下方側の端部から車幅方向内側に傾斜して延在する第3延在部44Dと、該第3延在部44Dの下端部から車両下方側に延在する第2接合部44Eと、を備えている。このサイメンアウタの下部44の第1接合部44A及び第2接合部44Eがロッカアウタアッパ32の上側フランジ部32Dに重ね合わされて接合されることにより、サイメンアウタの下部44がロッカ16の外側面に固定されている。また、サイメンアウタの下部44には、上記第1延在部44B、第2延在部44C及び第3延在部44Dによって第1凸部46が形成されている。この第1凸部46は、ロッカインナパネル30の第2延在部30Bよりも車両上方側に配置されると共に、車幅方向外側に突出して形成されている。さらに、この第1凸部46の車両上方側の角部は上側角部46Aとされると共に、第1凸部46の車両下方側の角部は下側角部46Bとされている。
【0040】
また、ロッカ16におけるロッカアウタアッパ32、ロッカアウタロア34及びロッカインナパネル30によって囲まれることにより形成された閉断面の上部には補強部材58が設けられている。具体的には、ロッカインナパネル30の第2延在部30Bとロッカアウタアッパ32の第2延在部32Cとの間には、車両前後方向及び車幅方向に延在する所謂波板形状の補強部材58が設けられている。この補強部材58の車幅方向外側の端部はロッカアウタアッパ32のフランジ部32Dに隣接して配置されており、車幅方向内側の端部は肩パッチ36に隣接して配置されている。換言すると、この補強部材58はロッカアウタアッパ32のフランジ部32Dから肩パッチ36にかけて延在している構成である。さらに、図2に示されるように、補強部材58には、車幅方向に延在すると共に車両上方側に開口して形成された凹部58Aと車両上方側に突出して形成された凸部58Bとが、車両前後方向に沿って交互に連続して設けられている。さらに、この凹部58Aとロッカアウタアッパ32の第2延在部32Cとが重ね合わされて接合されることにより、補強部材58がロッカアウタパネル28に固定されている。
【0041】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0042】
図4に示されるように、本実施形態に係るスライドドア14に対して、側面衝突による衝突荷重が加わると、ドアアウタパネル48が車幅方向内側に変形してドアヒンジリインフォースロア54に当接すると共にスライドドア14全体がキャビン26に向けて移動する。この場合、先ずドアインナパネル50の平面部50Aがロッカ16に接合されたサイメンアウタの下部44の第1凸部46の第2延在部44Cに当接する。また、図5に示されるように、スライドドア14がキャビン26に向けてさらに変形すると、平面部50Aの下部に設けられた第2凸部56の第2延在部50Dが第1凸部46の下側角部46Bに当接する。即ち、第2凸部56が第1凸部46に係止される。
【0043】
ここで、図7に示されるように、補強部材58が設けられていないロッカ構造100では、側面衝突による衝突荷重によって、ロッカ100の上部が口開き変形することが考えられる。しかしながら、図5に示されるように、本実施形態では、補強部材58がロッカ16の閉断面の上部に設けられているため、側面衝突による衝突荷重がロッカ16に加わったとしても、補強部材58によってロッカ16の上部が口開き変形してしまうことを抑制することができる。また、ロッカ全体の強度及び剛性を上げる場合と比較して、車体の重量の増加を抑制することができる。
【0044】
また、図7に示されるように、補強部材58が設けられていないロッカ100では、側面衝突による衝突荷重によって、U字状断面のロッカ100の上部即ちロッカインナパネル30の第2延在部30Bとロッカアウタアッパ32の第2延在部32Cとの間の空間(符号Bで示された空間)が断面崩れすることが考えられる。この断面崩れによってロッカ上部の剛性が低下することにより、該部分のさらなる変形を招く。しかしながら、図5に示されるように、本実施形態では、補強部材58がロッカインナパネル30の第2延在部30Bとロッカアウタアッパ32の第2延在部32Cとの間に設けられている。そのため、ロッカインナパネル30の第2延在部30Bとロッカアウタアッパ32の第2延在部32Cとの間の空間(符号Bで示された空間)が断面崩れしてしまうことによるロッカ16の上部の剛性低下を抑制することができる。その結果、ロッカ16の上部が口開き変形してしまうことをより一層抑制することができる。
【0045】
さらに、図7に示されるように、補強部材58が設けられていないロッカ100では、該ロッカ16に対して過大な衝突荷重が加わった場合、ロッカインナパネル30の第1延在部30A近傍のロッカ断面(符号Cで示された空間)が断面崩れすることが考えられる。この場合、ロッカ16の上部の変形がさらに助長される。しかしながら、図5に示されるように、本実施形態では、補強部材58の車幅方向内側の端部が肩パッチ36に隣接して配置されている。その結果、過大な衝突荷重が加わったとしても、肩パッチ36近傍の補強部材58が過大な衝突荷重に抗することによって、ロッカインナパネル30の第1延在部30A近傍のロッカ断面(符号Cで示された空間)が断面崩れしてしまうことが抑制される。
【0046】
また、本実施形態では、補強部材58の形状が車幅方向に延びる凹部58Aと凸部58Bとが車両前後方向に沿って交互に連続して形成された所謂波板形状を成している。従って、補強部材58自体の重量増加を抑制しつつ、該補強部材58の車両前後方向の断面2次モーメントが向上する。即ち、本実施形態では、補強部材58自体の重量の増加を抑制しつつ該補強部材58の車幅方向への曲げ剛性をより一層向上させることができる。
【0047】
さらに、本実施形態では、車幅方向外側に突出して形成された第1凸部46が、ロッカインナパネル30の第2延在部30Bよりも車両上方に配置されると共に、ロッカアウタアッパ32の上側フランジ部32Dに設けられている。そのため、図4に示されるように、ドアインナパネル50の平面部50Aがサイメンアウタの下部44の第1凸部46に当接することにより、衝突荷重がロッカ16に加わると、ロッカ16には、該ロッカ16の上部を口開き変形させようとするモーメント(M1)を打ち消す反モーメント(M2)が入力される。即ち、本実施形態では、ロッカ16の上部を口開き変形させようとするモーメントM1を低減することができる。
【0048】
また、図5に示されるように、本実施形態では、側面衝突によりスライドドア14がキャビン26側に向けて変形すると、該スライドドア14のドアインナパネル50に設けられた第2凸部56がサイメンアウタの下部44に設けられた第1凸部46に係止される車両側部構造となっている。即ち、本実施形態では、第2凸部56が第1凸部46に係止されることによって、スライドドアがキャビンに侵入することを抑制することができる。
【0049】
以上、本実施形態では、車両前後方向に沿って凹部58Aと凸部58Bとが交互に連続して形成された補強部材58について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、例えば、凹部58A又は凸部58Bを車両前後方向に沿って部分的に設けても良い。また、図6(A)に示されるように、車両前後方向及び車幅方向に延在する中実厚肉の鋼板等を用いて形成された補強部材60をロッカ16の閉断面の上部に設けても良い。さらに、図6(B)に示されるように、車幅方向に延在する角柱状の補強部材62を車両前後方向に沿って所定の間隔でロッカ16の閉断面の上部に設けても良い。また、図6(C)に示されるように、繊維強化樹脂を充填することにより形成された補強部材64をロッカ16の閉断面の上部に設けた構成としても良い。このように、補強部材の形状や材質等は、ロッカ16の強度や製造工程等を考慮して適宜設定すればよい。
【0050】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0051】
10 ロッカ構造
14 スライドドア
16 ロッカ
28 ロッカアウタパネル
30 ロッカインナパネル
30B 第2延在部(上壁)
32 ロッカアウタアッパ(ロッカアウタパネル)
32C 第2延在部(上壁)
36 肩パッチ
46 第1凸部
56 第2凸部
58 補強部材
58A 凹部
58B 凸部
60 補強部材
62 補強部材
64 補強部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライドドアが配設される側の車体側部の下部側に設けられ、車両の前後方向を長手方向として延在するロッカインナパネルと、
前記ロッカインナパネルの車幅方向外側に配設されて前記ロッカインナパネルと接合されると共に前記ロッカインナパネルとの間に車幅方向外側に開口したU字状の閉断面を形成するロッカアウタパネルと、
前記閉断面の上部に設けられ、前記閉断面の上部が断面変形することを抑制する補強部材と、
を備えたスライドドア車のロッカ構造。
【請求項2】
前記ロッカインナパネルは車両前後方向及び車幅方向に延在する上壁を備えると共に、前記ロッカアウタパネルは前記ロッカインナパネルの前記上壁よりも車両下方側に配置されかつ車両前後方向及び車幅方向に延在する上壁を備え、
前記補強部材が前記ロッカインナパネルの前記上壁と前記ロッカアウタパネルの前記上壁との間に設けられた請求項1記載のスライドドア車のロッカ構造。
【請求項3】
前記ロッカアウタパネルには、前記ロッカインナパネルの前記上壁よりも上方側に配置されると共に車幅方向外側に突出した第1凸部が設けられた請求項2記載のスライドドア車のロッカ構造。
【請求項4】
前記第1凸部の車幅方向外側かつ車両上下方向下方側には、ドアインナパネルに設けられかつ車幅方向内側に突出した第2凸部が配置された請求項3記載のスライドドア車のロッカ構造。
【請求項5】
前記補強部材には、車幅方向に延びる凹部と凸部とが車両前後方向に沿って形成された請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のスライドドア車のロッカ構造。
【請求項6】
前記ロッカインナパネルは、前記ロッカインナパネルの前記上壁の車幅方向内側の端部から車両下方側に延在する側壁及び前記ロッカインナパネルの前記上壁と前記側壁との間に跨って設けられた肩パッチを備えると共に、前記補強部材の車幅方向内側の端部が前記肩パッチに近接して配置された請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のスライドドア車のロッカ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−82306(P2013−82306A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223155(P2011−223155)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】