説明

スライドファスナー用スライダー

【課題】引手を着脱可能に取り付け可能で、また、組み立て作業の効率化により生産性を向上させて、製造コストの低減を図ることが可能なスライダーを提供する。
【解決手段】本発明は、スライダー胴体(2,72,82) と、そのスライダー胴体(2,72,82) の上面側に一端部(31)が固定されて片持状に取り付けられた引手保持体(3,73,83) と、前記引手保持体(3,73,83) の他端部(32)と前記上翼板(21)との間に形成される間隙(33)を開閉するように前記スライダー胴体(2,72,82) に摺動可能に配された開閉部材(4) と、前記開閉部材(4) を前記間隙(33)の閉鎖位置に付勢する弾性部材(5) とを備え、前記スライダー胴体(2,72,82) と前記引手保持体(3,73,83) との間に引手(8) を着脱可能に保持するスライドファスナー用スライダー(1,71,81) であって、前記引手保持体(3,73,83) を前記スライダー胴体(2,72,82) の前端又は後端から嵌合し、前記スライダー胴体(2,72,82) の長さ方向に相対的に摺動する嵌合摺動構造を有することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライダー胴体に対して引手を容易に着脱することが可能なスライドファスナー用スライダーに関し、特に、スライダーの組み立ての効率化により、生産性の向上とコストダウンが図れるスライドファスナー用スライダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣服や鞄等の開口部を開閉するために、その開口部にスライドファスナーが取り付けられている。一般に、このようなスライドファスナーに用いられるスライダーは、案内柱により所定の間隔をおいて前端側が連結された上下翼板を有するスライダー胴体、スライダーを操作するための引手、及び、スライダー胴体の上面との間で引手を移動及び回動可能に保持する引手保持体の3つの部品により主に構成されている。
【0003】
また、スライドファスナー用スライダーに対して、例えば衣料品や鞄等のメーカー側では、顧客の要求や好みに容易に対応するため、個々のスライダー胴体に対して、色や形態が異なる各種タイプの引手を容易に取り付けられることや、またスライダー胴体に取り付けた引手をその他のタイプの引手に交換できることなどが求められている。このため、従来から、引手をスライダー胴体に対して任意に着脱することが可能なスライダーが多く用いられてきている。
【0004】
このような引手を着脱可能なスライダーの一例が、実公平4−32974号公報(特許文献1)に開示されている。なお、この特許文献1に記載されているスライダーは、引手を着脱可能に取り付けるだけでなく、引手によるファスナーの開閉操作が行われないときに、ファスナーエレメント列に対してスライダーの摺動を自動停止させる自動停止機構を備えている。
【0005】
ここで、前記特許文献1のスライダーについて、図27〜図30を参照しながら説明する。特許文献1のスライダー100は、図26及び図27に示すように、スライダー胴体101の上翼板上面に軸孔115を有する取付片116を立設し、この取付片116にピン117を用いて、下向き凹状の引手保持体102の一端部を外嵌して片持状に固着するとともに、停止爪体103を上下揺動可能に軸支している。また、スライダー胴体101の上翼板には、同上翼板を上下に貫通した係止窓孔104が形成されている。
【0006】
前記停止爪体103の先端部には、前記スライダー胴体101に形成した係止窓孔104から同スライダー胴体101のエレメント案内路へ突出する係止爪105と、前記上翼板の後口側に向けて開口し、引手106の取付軸部を収容する作動凹溝107とが形成されている。また、停止爪体103の係止爪105を前記係止窓孔104からエレメント案内路へ突出させるように、停止爪体103の基端部下面は、図27に示すように、前記上翼板に形成された小孔内に介装された第1コイルばね118のばね力によって常に付勢されている。
【0007】
前記引手保持体102は、左右の壁部の後口側寄りに凹状に形成された退避空間111と、肩口側寄りに凹状に形成された収納空間112と、退避空間111と収納空間112の間に連続して形成された連続縁部113とを有している。また、引手保持体102の後口側の端部とスライダー胴体101の上翼板との間には間隙部108が形成され、この間隙部108は、引手106の取付軸部106aの挿通間隙とされている。更に、スライダー胴体101の上翼板には、前記間隙部108を開閉する開閉部材109が後口側寄りの間隙閉鎖位置と肩口側寄りの間隙開口位置との間を摺動できるように配設されており、この開閉部材109は、第2コイルばね120によって間隙閉鎖位置方向に向けて常に付勢されている。
【0008】
前記開閉部材109は、図27に示すように平面形状が略U字状をなしている。開閉部材109の二股状のアーム部には、上方に突出した第1閉鎖部110と第2閉鎖部114とがそれぞれ基端側と先端側に形成されている。これにより、開閉部材109は、開閉部材109が付勢されて間隙閉鎖位置にあるときに、前記間隙部108を引手106の取付軸部106aが通過できないように前記第1閉鎖部110で閉鎖するとともに、引手保持体102の連続縁部113とスライダー胴体101の上翼板との間の間隙を引手106の取付軸部106aが通過できないように前記第2閉鎖部114で閉鎖する。
【0009】
上述のように構成された前記特許文献1のスライダー100は、図28〜図30に示すように、先ずスライダー胴体101に停止爪体103、開閉部材109、引手保持体102などの構成部品を用いて1次組立体119が組み立てられ、その組み立てられた1次組立体119に対して引手106が着脱可能に取り付けられる。
【0010】
前記特許文献1においては、1次組立体119に引手106を取り付けるにあたり、先ず、第1工程として、図28及び図29に示すように引手106の取付軸部106aを、スライダー胴体101と引手保持体102との間の間隙部108内に押し込む。これにより、引手106の取付軸部106aによって前記開閉部材109の第1閉鎖部110の後端が押圧され、図28に示すように、開閉部材109が引手保持体102の後口側の端部から前方に摺動するため、第1閉鎖部110により閉鎖されていた前記間隙部108が、引手106の取付軸部106aを通過できるように広く開口する。次いで、引手106の取付軸部106aを前記間隙部108から引手保持体102の退避空間111内へ移動させると、前記開閉部材109は第2コイルばね120の復元力により図30に示す元の間隙閉鎖位置に戻る。
【0011】
次に、第2工程として、図30に示すように引手106の取付軸部106aを、引手保持体102の退避空間111から開閉部材109の第1及び第2閉鎖部110,114間に形成された凹部へ移動させる。
【0012】
更に第3工程として、再び、引手106の取付軸部106aをスライダー100の前方に向けて押し込むと、図29に破線で示すように開閉部材109が摺動して、第2閉鎖部114が引手保持体102の連続縁部113とスライダー胴体101との間の間隙を閉鎖する位置から移動する。このとき、引手106の取付軸部106aは、開閉部材109の前記凹部内に納められた状態で前記連続縁部113の下端を通過し、引手保持体102の収納空間112の下方に移動すると同時に、停止爪体103の作動凹溝107内へ移動する。
【0013】
その後、第4工程として、引手106を上方へ移動させて引手106の取付軸部106aを引手保持体102の収納空間112内へ移動させると、前記取付軸部106aと開閉部材109の第2閉鎖部114との干渉がなくなるため、開閉部材109は第2コイルばね120のばね力によって前記間隙閉鎖位置へ戻り、引手106の取付けが完了する。また、このようにスライダー100に取り付けられた引手106は、開閉部材109が第2コイルばね120により間隙閉鎖位置に付勢されていることにより、スライダー100から自由に抜脱することが防止されている。
【0014】
一方、引手106の取付後において、引手106をスライダー100から取り外す場合には、前記開閉部材109を第2コイルばね120の付勢力に抗して、間隙閉鎖位置から間隙間口位置に移動させ、同開閉部材109を間隙開口位置に保持した状態で、引手106を上記と逆の手順で移動させる。これにより、引手106を容易に取り外すことができ、またその後、引手106とは異なるタイプの引手を新たに取り付けることが可能となる。
【0015】
上述のように引手106が取り付けられたスライダー100を操作する場合は、引手106を把持して斜め上方向又はスライダー摺動方向に向けて引くと、引手106の取付軸部106aによって停止爪体103が第1コイルばね118の付勢力に抗して持ち上げられ、停止爪体103の係止爪105がスライダー胴体101のエレメント案内路から退避する。これにより、ファスナーチェーンに対してスライダー100を自由に摺動させて、ファスナーチェーンのエレメント列を噛合又は離脱させることができる。
【0016】
また、スライダー100を停止させて引手106を手放したときには、停止爪体103が第1コイルばね118に付勢されて、停止爪体103の係止爪105が上翼板の係止窓孔104からエレメント案内路に突出する。これにより、その係止爪105が、ファスナーチェーンのエレメント間に自動的に挿入されて係合し、スライダーの移動を停止させることができる。
【0017】
ところで、従来では、スライダー胴体に停止爪体、引手保持体、及びコイルばね等の部品を取り付けてスライドファスナー用スライダーを組み立てる場合には、そのスライダー組立作業が1つ1つのスライダーについて手作業で行われたり、また、特開昭61−247402号公報(特許文献2)に開示されているようなターンテーブルを備えた連続組立装置を用いて行われている。
【0018】
ここで、前記特許文献2に記載されているスライダーの連続組立装置は、スライダー胴体の保持部(溝部)が半径方向に沿って放射状に複数形成されたターンテーブルを有し、また、そのターンテーブルの外周縁に沿って、スライダー胴体の供給部やその他の部品の供給部、コーキング部(加締め部)、及び光感知センサー(組立検査部)等の各作業部が所定位置に順番で配されている。
【0019】
また、このスライダー連続組立装置は、ターンテーブルへの各部品の供給方向や、各作業部における作業方向がターンテーブルの半径方向に沿うように設定されており、スライダー胴体に対して、引手保持体等の各部品をスライダー胴体の前後方向や上下方向から供給して組付けるように構成されている。
【0020】
従って、実際にスライダーの組立作業を行う際には、スライダー胴体の前後方向をターンテーブルの半径方向に向けてスライダー胴体をターンテーブルに配した保持部に供給し、その後、スライダー胴体を保持したターンテーブルを所定の角度で間歇的に回転させながら、ターンテーブルを停止させた各位置にて、前記スライダー胴体にその他の部品の供給や加締め加工等を順番に行うことにより、スライダーが機械的に連続して組み立てられる。
【0021】
このようなターンテーブルを備えた前記特許文献2のスライダー連続組立装置は、例えば自動停止機構を備えたスライダーを効率的に組み立てることができるとともに、不良品の選別も機械的に行うことができる。従って、適正に組み立てられた自動停止機構付きスライダーが確実に得られ、品質の高いスライダーを大量生産することが可能となる。
【特許文献1】実公平4−32974号公報
【特許文献2】特開昭61−247402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
前記特許文献1に記載されているような引手が着脱可能であり、しかも自動停止機構を備えたスライダーにおいては、図27に示したように、引手保持体102及び停止爪体103をスライダー胴体101に取り付けて固定するために、上翼板に立設した取付片116の軸孔115の位置に、引手保持体102と停止爪体103に形成した各ピン孔の位置を合わせた状態で、ピン117が横方向(左右方向)から挿入され、更に同ピン117は加締め加工等が行われることにより取付片116に固定されている。
【0023】
しかしながら、前記特許文献1のスライダーを例えば手作業によって組み立てる場合に、上述のような取付片116の軸孔115と、引手保持体102及び停止爪体103の各ピン孔との位置を合わせ、更に、そこにピン117を挿入して固定する作業が極めて煩雑であり、作業時間がかかってしまう。このため、スライダーの生産性が低下し、製造コストを増大させる要因の一つとなっていた。
【0024】
一方、前記特許文献1のスライダーを連続的に且つ効率的に組み立てるために、例えば前記特許文献2に記載されているようなターンテーブルを備えたスライダー連続組立装置を用いて、スライダーの組立作業を連続して行うことが考えられる。この場合、前記特許文献2のスライダー連続組立装置は、前述のように、各構成部品を供給する方向や組み立てを行う方向が、基本的にターンテーブルの半径方向に沿うようにして構成されているため、スライダー胴体に対して前後方向や上下方向への移動を伴う作業は容易に行えるものの、スライダー胴体に対して左右方向(ターンテーブルの周方向)に作業を行うことができない。このため、図27に示したようなピン117をスライダー胴体の横方向から挿入して引手保持体102及び停止爪体103を取り付ける作業を行うためには、スライダー胴体に対して左右方向からピンを供給し、且つ、そのピンを加締め等で固定する作業を行う手段を設けるように装置自体の設計を変更することが必要とされる。
【0025】
しかしながら、このようにスライダー連続組立装置の設計を変更する場合、スライダー胴体に対して左右方向に稼動するような機構を新たに設けなければならないため、装置自体の構成が複雑となるという問題があった。更に、スライダー胴体に対して左右方向からピンを供給するためには、ターンテーブルのサイズや回転角度を大きくすること等によって、ターンテーブルに保持されたスライダー胴体の左右側方に十分な領域を確保することが必要となる。このため、スライダー連続組立装置が大型化するとともに、スライダーの生産性の低下を招くといった問題もあった。
【0026】
ところで、スライドファスナー用スライダーのスライダー胴体や引手保持体などは、一般的にダイキャスト成形や射出成形を行うことによって製造されている。また従来では、スライダー胴体や引手保持体の成形において、成形金型(上型及び下型)に複数の成形キャビティを形成するとともに各成形キャビティをランナで連通しておき、1回の成形を行ったときに複数個の成形品が同時に得られるようにその金型構造が設計され、それによって、スライダーのコストダウンを図っている。
【0027】
しかし、例えば図27に示したスライダー100に用いられるスライダー胴体101や引手保持体102は、上述のようにピン117を挿入して固定するための軸孔115やピン孔を有している。このため、スライダー胴体101や引手保持体102のダイキャスト成形又は射出成形を行う場合には、軸孔115やピン孔を形成するためにその金型構造にスライダー胴体に対して横方向に移動するスライドコアを設けなければならず、金型構造が複雑になり、更に、金型構造のスライドコアを設けるスペースを確保しなければならないことから、その金型構造を用いて1回の成形を行ったときに得られる成形品の個数を減少させてしまう。従って、前記特許文献1のような引手が着脱可能なスライダーにおいては、スライダー胴体や引手保持体などの各部品毎のコストが高くなるという問題もあった。
【0028】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その具体的な目的は、引手を着脱可能に取り付けることができ、しかも、組み立て作業の効率化により生産性を向上させ、更に、スライダー胴体や引手保持体などを成形する際に1回の成形で得られる成形品の個数を増して、製造コストの低減を図ることが可能なスライドファスナー用スライダーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記目的を達成するために、本発明により提供されるスライドファスナー用スライダーは、基本的な構成として、上翼板と下翼板とがその前端側に配した案内柱で連結され、後端に後口を有するスライダー胴体と、そのスライダー胴体の上面側に一端部が固定されて片持状に取り付けられた引手保持体と、前記引手保持体の他端部と前記上翼板との間に形成される間隙を開閉するように前記スライダー胴体に摺動可能に配された開閉部材と、前記開閉部材を前記間隙の閉鎖位置に付勢する弾性部材とを備え、前記開閉部材を前記弾性部材の付勢に抗して摺動させて前記間隙を開口し、その開口時に前記間隙を介して引手を挿脱することにより、前記引手を前記スライダー胴体と前記引手保持体との間に着脱可能に保持するスライドファスナー用スライダーであって、前記引手保持体を前記スライダー胴体の前端又は後端から嵌合し、前記スライダー胴体の長さ方向に相対的に摺動する嵌合摺動構造を有してなることを最も主要な特徴とするものである。
【0030】
本発明に係るスライドファスナー用スライダーの前記嵌合摺動構造は、前記スライダー胴体及び前記引手保持体の一方の部品に、その長さ方向に沿って形成されたフランジと、他方の部品に、その長さ方向に沿って形成され、前記フランジを嵌合して摺動させるフランジ摺動溝とを有していることが好ましい。
この場合、前記フランジは、前記引手保持体の前記一端部の左右側面に配され、前記フランジ摺動溝は、前記スライダー胴体の前記上翼板の前端部又は後端部に配されていることが好ましい。
【0031】
また本発明において、前記スライダーは、基端部と、その基端部から延設されたアーム部と、そのアーム部の先端部に形成された爪部とを有する停止爪体を備えており、前記スライダー胴体は、前記上翼板と前記下翼板との間に形成されたエレメント案内路と、前記上翼板の上面に設けられ、前記停止爪体を上下揺動可能に支持する爪体支持部とを有し、前記停止爪体は、通常は弾性を有する付勢手段から付勢を受けて前記爪部を前記エレメント案内路に突出させ、前記引手が操作されたときはその操作を受けて前記爪部を前記エレメント案内路から退避させるように枢支されていることが好ましい。
【0032】
この場合、前記付勢手段は板ばねで構成されていることが好ましい。また、前記板ばねは、前記停止爪体とは別体に設けられ、前記スライダー胴体又は前記引手保持体に配されていても良く、又は、前記停止爪体に一体化されていても良い。
更に本発明では、前記引手保持体が前記上翼板又は前記爪体支持部に加締め固定されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係るスライドファスナー用スライダーは、引手をスライダー胴体との間で着脱可能に保持する手保持体を、スライダー胴体の前端又は後端から嵌合し、スライダー胴体の長さ方向に相対的に摺動することによってスライダー胴体の上面側に片持状に取り付ける嵌合摺動構造を有している。このように引手保持体がスライダー胴体に嵌合し、相対的に摺動させることによって取り付けられていれば、例えば前記特許文献1のスライダー(図26を参照)のようにスライダー胴体の横方向から挿入するピンを用いなくても、スライダーの組み立てが容易になされる。
【0034】
従って、このようなスライダーの組み立て作業を、例えばターンテーブルを備えた連続組立装置を用いて行う場合には、スライダー胴体の前後方向及び上下方向に引手保持体等の各部品を移動させてスライダー胴体に組み付けることが可能となるので、ターンテーブルに保持されたスライダー胴体に対して左右方向に稼動するような機構を当該装置に設ける必要がなく、またターンテーブルの周方向に余分なスペースを確保する必要もない。このため、連続組立装置の大型化を防ぎ、スライダーの組み立てを効率的に行って生産性の向上を図ることが可能となる。
【0035】
一方、例えばスライダーの組み立て作業を手作業で行う場合にも、従来のようにピン孔の位置を合わせてピンを挿入するといった煩わしい作業を省略してスライダーの組み立てを効率的に行うことができるため、スライダーの生産性を向上させることができる。
【0036】
更に、本発明のスライダーは嵌合摺動構造を有しているので、スライダー胴体や引手保持体に左右方向に貫通する軸孔やピン孔を形成する必要がない。このため、これらの部品のダイキャスト成形又は射出成形を行う際に、スライドコアを用いない金型構造を採用することができる。従って、従来の引手を着脱可能なスライダーを製造する場合に比べて、金型構造を簡単に構成できるとともに、その金型構造に多くの成形キャビティを形成して1回の成形において得られるスライダー胴体や引手保持体の個数を増やすことができるため、スライダーの単価を低減することができる。
【0037】
また、このような本発明のスライドファスナー用スライダーは、スライダー胴体及び引手保持体の一方の部品に、その長さ方向に沿って設けたフランジと、他方の部品に、その長さ方向に沿って形成され、前記フランジを嵌合して摺動させるフランジ摺動溝とを備えることにより、前記嵌合摺動構造を容易に形成して、引手保持体の取り付けをより簡単に行うことができる。
【0038】
特にこの場合、前記フランジは、引手保持体の一端部の左右側面に配され、前記フランジ摺動溝は、スライダー胴体の前端部又は後端部に配されていれば、そのフランジとフランジ摺動溝とにより構成される嵌合摺動構造により、引手保持体が片持状に容易に取り付け固定され、また、その引手保持体の固定を安定させることができる。
【0039】
更に、本発明のスライドファスナー用スライダーは、爪部を有する停止爪体を備えており、前記スライダー胴体は、上下翼板間に形成されたエレメント案内路と、上翼板上面に立設され、停止爪体を上下揺動可能に支持する爪体支持部とを有している。また、停止爪体は、通常は弾性を有する付勢手段から付勢を受けて爪部をエレメント案内路に突出させ、引手が操作されたときには、その操作を受けて爪部をエレメント案内路から退避させるように枢支されている。これにより、本発明のスライダーは、スライダー胴体のエレメント案内路に挿通したファスナーエレメント列に対してスライダーの摺動を自動停止させる自動停止機構を容易に備えることができる。
【0040】
この場合、前記付勢手段が板ばねで構成されていれば、前記停止爪体を確実に付勢することができるとともに、例えば付勢手段をコイルばねで構成する場合に比べて、製造コストを低く抑えることができる。またこの場合、前記板ばねは、停止爪体とは別体に設けられていても、また、停止爪体に一体化されていても良く、例えば前記板ばねを停止爪体と別体に設ける場合は、スライダー胴体又は引手保持体に板ばねを配することにより、前記停止爪体を確実に付勢することができるとともに、スライダーの各構成部品をより簡単に形成してスライダーの組み立てをより簡単に行うことができる。また、例えば前記板ばねを停止爪体に一体化すれば、スライダーの構成部品点数を少なくすることができる。
【0041】
更に、本発明のスライドファスナー用スライダーにおいて、前記引手保持体が上翼板又は爪体支持部に加締め固定されていることにより、スライダー胴体に対する引手保持体の固定をより確実にすることができるため、スライダーの組み立てがより頑丈となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明の好適な実施の形態について、実施例を挙げて図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0043】
図1〜図10は、本発明の実施例1に係るスライドファスナー用スライダーを示している。ここで、図1は同スライドファスナー用スライダーを構成する部品が分離した状態を示す斜視図であり、図2〜図7は同スライダーの組立手順を示す縦断面図である。また、図8は同スライダーの加締め固定を行う前の状態を示す前面図であり、図9は、同スライダーの加締め固定を説明する要部拡大図である。更に、図10は同スライダーを組み立てた状態を示す斜視図である。
【0044】
本実施例1に係るスライドファスナー用スライダー1は、図1に示したように、スライダー胴体2と、引手保持体3と、開閉部材4と、弾性部材となるコイルばね5と、停止爪体6と、付勢手段となる板ばね7と、引手8とにより構成されている。本実施例1のスライダー1において、引手保持体3や停止爪体6は、ステンレスや銅合金等の金属材料を使用してプレス成形やダイキャスト成形により製造することができる。一方、スライダー胴体2、開閉部材4、引手8は、アルミニウム合金、亜鉛合金などの金属材料を使用してダイキャスト成形によって製造することができる。なお、これらの部品は、金属材料に代えて、それぞれポリアミド、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリプチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂や耐摩耗性強化材を添加した熱可塑性樹脂材料などを使用して射出成形により製造することもできる。
【0045】
前記スライダー胴体2は、図1及び図2に示すように、上翼板21と、下翼板22と、この上下翼板21,22の前端部を連結する案内柱23とを有している。上下翼板21,22の左右側部には、その後端から略中央位置にかけて左右の上下フランジ21a,22aがそれぞれ配されている。このスライダー胴体2は、上下翼板21,22の間にY字形のエレメント案内路24が形成されており、後端に後口25と、前方に2つの肩口とを有している。
【0046】
また、スライダー胴体2は、上翼板21の上面前部に爪体支持部27が立設しており、この爪体支持部27は、前記停止爪体6を嵌着可能な間隔をもって離間した左右壁部27a,27bと、これら左右壁部27a,27bの前端側を連結する前壁部27cとを有しており、左右壁部27a,27b間には、前記停止爪体6を上下揺動可能に枢支するために枢支凸部27dが形成されている。
【0047】
更に、スライダー胴体2は、上翼板21の爪体支持部27よりも前端側に凹設され、引手保持体3の後述する前端側フランジ32を嵌着する嵌着部28aと、この嵌着部28aの左右両脇に、スライダー胴体2の長さ方向に沿って上翼板21の前端から爪体支持部27の左右壁部27a,27bの後方側に渡って直線状に凹設されたフランジ摺動溝28bとを有している。
【0048】
前記フランジ摺動溝28bは、上翼板21の上面から下方に凹設され、更に、引手保持体3の後述する左右側フランジ35bを嵌合できるように、前記嵌着部28aの底面側がスライダー胴体2の幅方向外側に向けて直角に屈曲した形状に形成されている。また、上翼板21の前端側には、図8に示したように、フランジ摺動溝28bに沿って上翼板21の上面から断面三角形状に肉盛りした加締め用肉盛り部28cが設けられている。
【0049】
更にまた、スライダー胴体2は、爪体支持部27の後方に、上翼板21の上面からエレメント案内路24に貫通する爪孔30が形成されている。上翼板21の上面には、その後端から前方に向けて、前記開閉部材4を嵌着して長さ方向に摺動させるための開閉部材ガイド溝29が形成されており、この開閉部材ガイド溝29は爪孔30の左右側方部まで設けられている。
【0050】
また、前記開閉部材ガイド溝29の底面の一部には、コイルばね5を装着するためのばね装着溝29aが形成されている。更に、上翼板21の後端部には、開閉部材ガイド溝29の底面から突設した突片部29bが左右両側に配されており、この突片部29bは、開閉部材4を開閉部材ガイド溝29に嵌着した後に、突片部29bの上端部をスライダー胴体2の幅方向中央部に向けて押し曲げることにより、開閉部材4のストッパーとしての役割を果たす。
【0051】
前記引手保持体3は、下向きに略凹状に湾曲した形状を有しており、左右壁部間には空間部34が形成されている。この引手保持体3は、その一端部(固定側基端部31)が上翼板21の上面前方部に固定されることにより、スライダー胴体2に対して長さ方向に片持状に取り付けられており、他端部(後端部32)とスライダー胴体2との間には間隙33が形成される。また引手保持体3の内側上面には、図2に示したように、係着部36が前部と後部に設けられており、この係着部36に前記板ばね7の前後に形成した切抜き部7aを係着させることにより、引手保持体3の空間部34内に板ばね7が内装される。
【0052】
更に、引手保持体3の固定側基端部31は前後方向(長さ方向)に広く形成されており、この固定側基端部31の前面部には、スライダー胴体2の嵌着部28aに嵌着する前端側フランジ35aが配され、固定側基端部31の左右側面部には、スライダー胴体2のフランジ摺動溝28bに嵌着して摺動する左右側フランジ35bが配されている。この左右側フランジ35bは前端側フランジ35aよりも薄く形成されている。一方、引手保持体3の後端部32側の左右側面部には、退避部37と収容部38とが、スライダー胴体2に対向して下向きに凹状に形成されており、退避部37と収容部38との間には連続縁部39が配されている。
【0053】
前記開閉部材4は、スライダー胴体2の上翼板21に取り付けられて摺動したときに前記爪孔30と干渉しないように、平面形状が略U字状に形成されている。この開閉部材4は、その左右側縁部の下端に、上翼板21の開閉部材ガイド溝29に摺動可能に嵌着するガイド部43が設けられている。また、開閉部材4の二股状のアーム部には、上方に向けて凸状に形成された基端側の第1閉鎖部41と先端側の第2閉鎖部42とが配されている。
【0054】
前記停止爪体6は、爪体基端部61と、爪体基端部61から二股に分岐して略平行に延設した上側アーム部62及び下側アーム部63とを有しており、下側アーム部63の先端には、スライダー胴体2の爪孔30を介してエレメント案内路24に突出する爪部64が形成されている。また、上下のアーム部62,63間には、スライダー胴体2の後口25側に向けて開口する作動凹溝65が設けられており、爪体基端部61には、爪体支持部27の枢支凸部27dに枢着する枢支凹部66が設けられている。
【0055】
前記引手8は、短冊状板材により構成されている。この引手8の一端側には引手保持体3が挿入される環状部11が形成され、この環状部11から他端側にかけて把手部12が形成されている。また、環状部11の先端部には、円形断面をもつ軸部13が配されている。この軸部13の長さは、引手保持体3の幅寸法よりも大きく設定されている。
【0056】
次に、本実施例1のスライドファスナー用スライダー1を組み立てる手順について説明する。
始めに、スライダー胴体2に開閉部材4とコイルばね5とを組み付ける工程を行う。即ち、スライダー胴体2の上翼板21に形成したばね装着溝29aにコイルばね5を挿嵌してから、開閉部材4のガイド部43を上翼板21の開閉部材ガイド溝29に嵌入し、開閉部材4を上翼板21にその後端側から挿し込んで嵌着させる。更に、開閉部材4を上翼板21の前方側に向けて押し込んでコイルばね5を縮ませた状態で、開閉部材ガイド溝29の入口両側に配した突片部29bを、スライダー胴体2の幅方向中央部に向けて押し曲げる。
【0057】
これにより、開閉部材4及びコイルばね5が、スライダー胴体2の上翼板21に脱落不能に組み付けられる。このとき、開閉部材4は、スライダー胴体2の長さ方向において、上翼板21との間にコイルばね5が介在しているため、開閉部材4はコイルばね5によって常に後方に付勢された状態で、ばね装着溝29aに沿って摺動可能にスライダー胴体2に取り付けられる。
【0058】
次に、開閉部材4及びコイルばね5を組み付けたスライダー胴体2に、停止爪体6、引手保持体3、及び板ばね7を組み付ける工程を行う。先ず、図2に示したように、スライダー胴体2の爪体支持部27に停止爪体6を上方から嵌入し、停止爪体6の枢支凹部66を爪体支持部27の枢支凸部27dに枢着して停止爪体6を上下揺動可能に枢支する。その一方で、引手保持体3の空間部34に板ばね7を内装する。続いて、引手保持体3の左右側フランジ35bをスライダー胴体2の前端からフランジ摺動溝28bに嵌合し、更に引手保持体3をフランジ摺動溝28bに沿ってスライダー胴体2の後方に向けて摺動する。これにより、板ばね7を内装した引手保持体3がスライダー胴体2に組み付けられて、図3に示したような1次組立体10が得られる。
【0059】
その後、スライダー胴体2に設けた加締め用肉盛り部28cを(図8を参照)、上翼板21の上面側からパンチ等で圧潰することにより、図9に示したように、引手保持体3の左右側フランジ35bを上翼板21に加締め固定する。これにより、引手保持体3をスライダー胴体2から離脱しないように強固に固定することができる。
【0060】
このようにして得られた前記1次組立体10は、スライダー胴体2の爪体支持部27に嵌着した停止爪体6が板ばね7によって下方に向けて押圧されているため、停止爪体6の爪部64を爪孔30からエレメント案内路24に突出させている。更に、開閉部材4がコイルばね5により後方に付勢されているため、引手保持体3の後端部32とスライダー胴体2の上翼板21との間に形成されている間隙33が、開閉部材4の第1閉鎖部41によって閉鎖され、また、引手保持体3の連続縁部39と上翼板21との間に形成されている間隙も開閉部材4の第2閉鎖部42によって閉鎖された状態となっている。以下、このような状態の開閉部材4の位置を間隙閉鎖位置とする。
【0061】
そして、このような1次組立体10に引手8を取り付けるために、先ず、引手8の軸部13を、1次組立体10の後端側から前記間隙33に向けて押し込む。これにより、図4に示したように、開閉部材4が上翼板21の開閉部材ガイド溝29に沿って、コイルばね5の付勢力に抗して前方に摺動し、前記間隙33が開口するため、引手8の軸部13がその間隙33を通り、更に開閉部材4の第1閉鎖部41の傾斜面に導かれて、引手保持体3の退避部37内に移動する。そして、引手8の軸部13が退避部37に移動すると、軸部13によって前方に押し込まれていた開閉部材4は、図5に示したように、コイルばね5により付勢されて前記間隙閉鎖位置に戻って前記間隙33を閉鎖する。
【0062】
その後、引手保持体3の退避部37に収容されている引手8の軸部13を下方に移動してからスライダー胴体2の前方側に向けて押し込む。これにより、図6に示したように、開閉部材4が再び上翼板21の開閉部材ガイド溝29に沿って、コイルばね5の付勢力に抗して前方に摺動するため、引手保持体3の連続縁部39と上翼板21との間に形成されている間隙が開口し、その開口した間隙を介して、引手8の軸部13が引手保持体3の退避部37から収容部38側に移動する。このとき、引手8の軸部13は、停止爪体6の上下のアーム部62,63間に導かれて作動凹溝65内に導入される。
【0063】
そして、引手8の軸部13が収容部38側に移動し、更に開閉部材4の第2閉鎖部42の傾斜面に導かれて収容部38内に移動すると、引手8の軸部13と開閉部材4の第2閉鎖部42との干渉がなくなるため、前方に押し込まれていた開閉部材4は、図7に示したように、コイルばね5により付勢されて前記間隙閉鎖位置に戻る。これにより、引手8が1次組立体10に取り付けられて、図10に示した本実施例1のスライドファスナー用スライダー1を得ることができる。
【0064】
一方、本実施例1のスライダー1は、引手8を取り付けた後に1次組立体10から取り外す場合には、開閉部材4をコイルばね5の付勢力に抗して前進させて、引手保持体3の連続縁部39と上翼板21との間に形成されている間隙、及び、引手保持体3の後端部32と上翼板21との間に形成されている間隙33を開口し、引手8を図3〜図7に示した手順と逆の手順で段階的に移動させる。これにより、引手8を容易に取り外すことができる。更にその後、前記引手8とは異なるタイプの新しい引手を、図3〜図7に示した手順に従って移動させることにより、1次組立体10に容易に取り付けることが可能である。
【0065】
以上のように、本実施例1のスライダー1は、引手8を着脱可能に取り付けることができ、また、スライダー胴体2に組み付けた停止爪体6が板ばね9により付勢されて爪部64がエレメント案内路24に突出することにより、エレメント案内路24に挿通したファスナーエレメント列に対してスライダー1の摺動を自動停止させる自動停止機構を備えている。
【0066】
また、本実施例1のスライダー1は、停止爪体6をスライダー胴体2の爪体支持部27に嵌着するとともに、スライダー胴体2に形成したフランジ摺動溝28bと、引手保持体3に形成した左右側フランジ35bとにより、引手保持体3をスライダー胴体2の前端から嵌合して後方に摺動する嵌合摺動構造が形成され、この嵌合摺動構造により引手保持体3をスライダー胴体2に固定している。これにより、本実施例1のスライダー1は、前記特許文献1に記載されている引手が着脱可能なスライダーのように左右方向から挿入されるピンを用いずに、1次組立体10(スライダー1)の組み立てを容易に行うことができる。
【0067】
このため、スライダー1の組み立て作業を、例えばターンテーブルを備えた連続組立装置を用いて行う場合に、引手保持体3等の各部品をスライダー胴体2の前後方向及び上下方向から供給して1次組立体10を組み立てることができる。従って、連続組立装置に、ターンテーブルに保持されたスライダー胴体2に対して左右方向(ターンテーブルの周方向)に稼動する機構やターンテーブルの周方向にスペースを広げる必要がないため、連続組立装置の大型化を防ぐことができ、優れた生産性でスライダーの組み立てを効率的に行うことが可能となる。
【0068】
一方、スライダー1の組み立て作業を手作業で行う場合は、従来のようにピンを横方向から挿入するという煩わしい作業を省略してスライダーの組み立てを容易に且つ効率的に行うことができるため、スライダーの生産性の向上を図ることができる。
【0069】
更に、本実施例1のスライダー1は、スライダー胴体2や引手保持体3に左右方向に貫通する軸孔やピン孔を形成する必要がない。従って、これらの部品を成形により製造するときに、スライドコアを備えない金型構造を採用できるため、金型構造を簡単に構成できるとともに、1回の成形において得られるスライダー胴体や引手保持体の成形個数を増やすことにより、スライダー1の製造コストをより低減することができる。
【0070】
なお、本実施例1のスライダー1においては、前述のように引手保持体3を嵌合摺動構造によりスライダー胴体2の前端から組み付けた後、図9に示したように引手保持体3の左右側フランジ35bが上翼板21に加締め固定される。しかしながら、本発明において、引手保持体3を加締め固定する手段はこれに限定されるものではない。例えば図11に示すように、スライダー胴体2の爪体支持部27の左右壁部27a,27bに予め加締め固定用凹溝15を設けておく。
【0071】
そして、引手保持体3を嵌合摺動構造によりスライダー胴体2に組み付けた後に、図12に示すように引手保持体3の固定側基端部31側の左右側面を外側から押圧し、引手保持体3の一部を前記加締め固定用凹溝15に食い込ませることによって、引手保持体3の加締め固定を行うことも可能である。また本発明では、例えば嵌合摺動構造だけでも引手保持体3を十分な強度でスライダー胴体2に固定できるとき、すなわち引手保持体3の左右側フランジ35bとスライダー胴体2のフランジ摺動溝28bとが密に接する場合には、引手保持体3の加締め固定を省略することもできる。
【実施例2】
【0072】
図13〜図18は、本発明の実施例2に係るスライドファスナー用スライダーを示している。ここで、図13は同スライドファスナー用スライダーを構成する部品が分離した状態を示す斜視図であり、図14〜図18は同スライダーの組立手順を示す縦断面図である。なお、本実施例2及び後述する実施例3において、前記実施例1と同様の構成を有する部品及び部材については同じ符号を用いて表しており、それによって、その説明を省略することとする。
【0073】
本実施例2に係るスライドファスナー用スライダー71は、スライダー胴体72と、引手保持体73と、開閉部材4と、コイルばね5と、停止爪体76と、付勢手段となる板ばね77と、停止爪体76を枢支する枢支ピン75と、引手8とにより構成されている。
【0074】
本実施例2のスライダー胴体72において、上翼板21の上面前部には爪体支持部74が立設しており、この爪体支持部74は、前記停止爪体76を嵌着可能な間隔をもって離間した左右壁部74a,74bを有しており、この左右壁部74a,74b間には停止爪体76の載置面74cが設けられている。
【0075】
また、この載置面74cの前方には、図14に示すように板ばね収容孔74dが案内柱23に穿設されており、この板ばね収容孔74d内に前記板ばね77が停止爪体76を付勢するように屈曲した形状で収容される。更に、爪体支持部74の左右壁部74a,74bのそれぞれには、枢支ピン75を嵌入するための嵌入溝74eが左右壁部74a,74bの長さ方向中央部に設けられており、この嵌入溝74eによって前後に分割された部分が枢支ピン取付部74fを形成している。
【0076】
前記引手保持体73は、前記実施例1の引手保持体3から、板ばねを内装する手段である係着部36を省いて形成されており、それ以外については、前記実施例1の前記引手保持体3(図1を参照)と実質的に同様の構成を有している。
【0077】
前記停止爪体76は、爪体基端部76aと、爪体基端部76aから二股に分岐して略平行に延設した上側アーム部76b及び下側アーム部76cとを有しており、下側アーム部76cの先端には、スライダー胴体72の爪孔30を介してエレメント案内路24に突出する爪部76dが形成されている。また、上下のアーム部76b,76c間には、スライダー胴体2の後口25側に向けて開口する作動凹溝76eが設けられている。更に、爪体基端部76aには、枢支ピン75を嵌入する嵌入凹部76fが上面側から設けられている。
【0078】
このような部品を備えた本実施例2のスライダー71を組み立てるためには、始めに、スライダー胴体72に開閉部材4とコイルばね5とを前記実施例1と同様の手順で組み付けることにより、開閉部材4がコイルばね5によって常に後方に付勢された状態で、ばね装着溝29aに沿って摺動可能に取り付けられる。
【0079】
次に、図14に示したように、板ばね77をその屈曲部が後方を向くようにスライダー胴体72の板ばね収容孔74dに収容する。続いて、爪体支持部74の左右壁部74a,74b間に停止爪体76を上方から挿入し、爪体支持部74の嵌入溝74eと停止爪体76の嵌入凹部76fの位置を合わせて停止爪体76を載置面74cに載置する。その後、位置合わせした爪体支持部74の嵌入溝74e及び停止爪体76の嵌入凹部76fに枢支ピン75を上方から挿入し、更に、左右壁部74a,74bの上面側に形成した1対の枢支ピン取付部74fを互いに近接するように加締める。
【0080】
これにより、枢支ピン75の左右両端が左右壁部74a,74bに固定されて、停止爪体76が爪体支持部74と枢支ピン75とによって上下揺動可能に枢支される。このとき、停止爪体76は板ばね77によって付勢されて、爪部76dをスライダー胴体72の爪孔30を介してエレメント案内路24に突出させている。
【0081】
停止爪体76を爪体支持部74に嵌着した後、図15に示したように、引手保持体73の左右側フランジ35bをスライダー胴体72の前端からフランジ摺動溝28bに嵌合し、引手保持体73をフランジ摺動溝28bに沿ってスライダー胴体72の後方に向けて摺動する。本実施例2では、スライダー胴体72に形成したフランジ摺動溝28bと、引手保持体73に形成した左右側フランジ35bとにより嵌合摺動構造が形成され、この嵌合摺動構造により引手保持体73がスライダー胴体72に組み付け固定される。
【0082】
その後、前記実施例1と同様に、ライダー胴体72に設けた加締め用肉盛り部28cを上翼板21の上面側から圧潰することにより、引手保持体73の左右側フランジ35bを上翼板21に加締め固定し、引手保持体73の固定を安定させる。これにより、図16に示した本実施例2の1次組立体79が得られる。
【0083】
そして、このような1次組立体79に引手8を取り付けるために、先ず、引手8の軸部13を、引手保持体73の後端部32と上翼板21との間に形成されている間隙33に向けて押し込む。これにより、開閉部材4がコイルばね5の付勢力に抗して前方に摺動して前記間隙33が開口し、同間隙33を介して引手8の軸部13が引手保持体73の退避部37側に導かれる。更に引手8の軸部13が退避部37に移動すると、開閉部材4がコイルばね5により付勢されて間隙閉鎖位置に戻り、前記間隙33が閉鎖される。
【0084】
更にその後、引手保持体73の退避部37に収容されている引手8の軸部13をスライダー胴体72の前方側に向けて押し込む。これにより、図17に示したように、開閉部材4が再びコイルばね5の付勢力に抗して前方に摺動するため、引手保持体73の連続縁部39と上翼板21との間に形成されている間隙が開口し、その開口した間隙を介して、引手8の軸部13が引手保持体73の退避部37から収容部38側に移動する。このとき、引手8の軸部13は、停止爪体76の上下のアーム部76b,76c間に導かれて作動凹溝76e内に導入される。
【0085】
そして、引手8の軸部13が収容部38内に移動すると、引手8の軸部13と開閉部材4の第2閉鎖部42との干渉がなくなるため、前方に押し込まれていた開閉部材4は、図18に示したように、コイルばね5により付勢されて間隙閉鎖位置に戻る。これにより、引手8が1次組立体79に取り付けられて、本実施例2のスライドファスナー用スライダー71を得ることができる。
【0086】
以上のような本実施例2のスライダー71も、前記実施例1のスライダー1と同様に、引手8を着脱可能に取り付けることができ、また、ファスナーエレメント列に対してスライダー71の摺動を自動停止させる自動停止機構を備えている。また、このスライダー71は、嵌合摺動構造により引手保持体73をスライダー胴体72に固定しているため、左右方向から挿入されるピンを用いずに、1次組立体79の組み立てを容易に行うことができ、また、スライダー胴体72や引手保持体73に左右方向に貫通する軸孔やピン孔を形成する必要もないため、前記実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0087】
なお、本実施例2では、停止爪体76を付勢する付勢手段として、前記板ばね77の代わりに、例えば図19に示したように、コイルばね77’を用いることも可能である。このようなコイルばね77’を用いることによってもスライダー71に自動停止機構を持たせることができるが、コイルばね77’よりも板ばね77の方が一般的に安価であることから、付勢手段としては板ばね77を用いることが好ましい。
【実施例3】
【0088】
図20〜図22は、本発明の実施例3に係るスライドファスナー用スライダーを示している。ここで、図20は同スライドファスナー用スライダーを構成する部品が分離した状態を示す斜視図であり、図21は同スライダーの引手を取り付ける前の1次組立体を示す要部縦断面図であり、図22は、図21に示したXXII−XXII線の断面図である。
【0089】
本実施例3に係るスライドファスナー用スライダー81は、スライダー胴体82と、引手保持体83と、開閉部材4と、コイルばね5と、停止爪体86と、付勢手段となる板ばね87と、引手8とにより構成されている。
【0090】
本実施例3において、前記スライダー胴体82は、上翼板21の上面前部に立設した爪体支持部84を有している。この爪体支持部84は、前記停止爪体86を嵌着可能な間隔をもって離間した左右壁部84a,84bを有しており、この左右壁部84a,84b間には停止爪体86の載置面84cが設けられている。この載置面84cの前方には、図21に示すように板ばね固定部84dが設けられている。この板ばね固定部84dは、図22に示すように左右の係止爪84eを有しており、この左右の係止爪84eにより前記板ばね87を挟み込むように固定している。
【0091】
この場合、板ばね87は、後端側が上方へ向けて屈曲した形状を有しており、その屈曲部の後端側に停止爪体86の後述する爪体基端部86aを載せて、その爪体基端部86aを上方に付勢している。なお、停止爪体86を付勢する付勢手段としては、停止爪体86の形状や爪体支持部84の載置面84cの形状などに応じて、後端側が屈曲していない平坦な板ばねを用いることも可能である。
【0092】
前記引手保持体83は、前記実施例1の引手保持体3から、板ばねを内装する手段である係着部36を省くとともに、内側上面から停止爪体86の後述する挿入凹部86fに向けて下方に垂設した突起部83aを有しており、それ以外については、前記実施例1の前記引手保持体3と実質的に同様の構成を有している。
【0093】
前記停止爪体86は、爪体基端部86aと、爪体基端部86aから二股に分岐して略平行に延設した上側アーム部86b及び下側アーム部86cとを有しており、下側アーム部86cの先端には、スライダー胴体82の爪孔30を介してエレメント案内路24に突出する爪部86dが形成されている。また、上下のアーム部86b,86c間には、スライダー胴体2の後口25側に向けて開口する作動凹溝86eが設けられている。更に、爪体基端部86aには、引手保持体83の突起部83aを挿入する挿入凹部86fが上面側から設けられている。
【0094】
このような部品を備えた本実施例3のスライダー81を組み立てるためには、始めに、スライダー胴体82に開閉部材4とコイルばね5とを前記実施例1と同様の手順で組み付けることにより、開閉部材4をコイルばね5によって常に後方に付勢された状態で、ばね装着溝29aに沿って摺動可能に取り付ける。
【0095】
次に、爪体支持部84の板ばね固定部84dに板ばね87の前端部を前記係止爪84eにより固定し、更に、この板ばね87の後端側に爪体基端部86aが載置されるように、停止爪体86を爪体支持部84の左右壁部84a,84b間に上方から挿入して嵌着する。このとき、停止爪体86の下側アーム部86cが爪体支持部84の載置面84cに載置され、爪部86dがスライダー胴体82の爪孔30に挿入される。
【0096】
停止爪体86を爪体支持部84に嵌着した後、引手保持体83の左右側フランジ35bをスライダー胴体82の前端からフランジ摺動溝28bに嵌合し、引手保持体83をフランジ摺動溝28bに沿ってスライダー胴体82の後方に向けて摺動する。本実施例3では、スライダー胴体82に形成したフランジ摺動溝28bと、引手保持体83に形成した左右側フランジ35bとにより嵌合摺動構造が形成され、この嵌合摺動構造により引手保持体83がスライダー胴体82に組み付け固定される。
【0097】
なお、引手保持体83の左右側フランジ35bをフランジ摺動溝28bに嵌合して摺動する際には、引手保持体83の突起部83a先端で停止爪体86の爪体基端部86aを板ばね87の付勢力に抗して下方に押し付けながら、突起部83a先端が停止爪体86の爪体基端部86aの上面を摺動し、更に、引手保持体83がフランジ摺動溝28bの後端位置まで摺動したときに、突起部83aが停止爪体86の挿入凹部86fに挿入されるとともに、板ばね87の弾性変形が元に戻ることになる。
【0098】
このように引手保持体83がスライダー胴体82に組み付け固定されることにより、停止爪体86は、爪体支持部84と引手保持体83の突起部83aとによって上下揺動可能に枢支される。このとき、停止爪体86は板ばね87によって付勢されて、爪部86dをスライダー胴体82の爪孔30を介してエレメント案内路24に突出させている。
【0099】
その後、前記実施例1と同様に、スライダー胴体82に設けた加締め用肉盛り部28cを上翼板21の上面側から圧潰することにより、引手保持体73の左右側フランジ35bを上翼板21に加締め固定し、引手保持体73の固定を安定させる。これにより、図21に示した本実施例3の1次組立体89が得られる。
【0100】
そして、引手8の軸部13を、前記実施例1及び2と同様に、引手保持体83の後端部32と上翼板21との間に形成されている間隙33から引手保持体83の収容部38に向けて、開閉部材4を前方に繰り返し摺動させながら段階的に移動させることによって、引手8が1次組立体89に取り付けられて、本実施例3のスライドファスナー用スライダー81を得ることができる。
【0101】
以上のような本実施例3のスライダー81も、前記実施例1及び前記実施例2と同様に、引手8を着脱可能に取り付けることができ、また、ファスナーエレメント列に対してスライダー81の摺動を自動停止させる自動停止機構を備えている。また、このスライダー81は、嵌合摺動構造により引手保持体83をスライダー胴体72に固定しているため、左右方向から挿入されるピンを用いずに1次組立体89の組み立てを容易に行うことができ、また、スライダー胴体82や引手保持体83に軸孔やピン孔を形成する必要もない。
【0102】
なお、本発明は、以上に説明した前記実施例1〜前記実施例3の形態に何ら限定されるものではなく、本発明と実質的に同一な構成を有し、かつ、同様な作用効果を奏しさえすれば、多様な変更が可能である。例えば、前記実施例1〜前記実施例3においては、引手保持体をスライダー胴体に嵌合して摺動する嵌合摺動構造を、引手保持体の固定側基端部に形成した左右側フランジと、スライダー胴体の上翼板前端から形成したフランジ摺動溝とにより形成しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0103】
例えば図23及び図24に示したスライドファスナー用スライダー91のように、引手保持体93の固定側基端部の左右側縁から引手保持体93の内側に向けて延設したフランジ93aを設けるとともに、スライダー胴体92の爪体支持部94の基端部に前記フランジ93aを嵌合して摺動するフランジ摺動溝95を設けることによって嵌合摺動構造を形成することも可能である。このように嵌合摺動構造を形成することによっても、左右方向から挿入されるピンを用いることなく、スライダー91の組み立てを容易に行うことができる。
【0104】
またこの場合、スライダー胴体92の爪体支持部94の左右壁部94a,94bに予め加締め固定用凹溝15を設けておき、引手保持体93を嵌合摺動構造によってスライダー胴体92に組み付けた後に、図24に示すように引手保持体93の左右側面を外側から押圧し、引手保持体93の一部を前記加締め固定用凹溝15に食い込ませることによって、引手保持体93の加締め固定を行うことができる。
【0105】
更に、前記実施例1〜前記実施例3では、引手保持体をスライダー胴体の前端から嵌合して摺動することによりスライダー胴体に組み付け固定する嵌合摺動構造について説明しているが、本発明においては、例えばフランジ摺動溝をスライダー胴体の後端から形成し、引手保持体をスライダー胴体の後端から嵌合して前方に摺動させるようにして嵌合摺動構造を構成することも可能である。
【0106】
更にまた、前記実施例1〜前記実施例3では、停止爪体の付勢手段である板ばねが停止爪体とは別に設けられ、その板ばねが引手保持体又はスライダー胴体に配されて停止爪体を付勢している。しかし、本発明においては、例えば図25に示したように、停止爪体96を所定形状に屈曲させた板ばねで形成することにより停止爪体96に付勢手段を一体化し、この停止爪体96の爪部96dをエレメント案内路に突出させるようにして停止爪体96の基端部96aをスライダー胴体97に固定することによって自動停止機構を構成してもよい。
【0107】
更に、前記実施例1〜実施例3では、自動停止機構、すなわち停止爪体を有するスライダーにおいて、スライダー胴体と引手保持体との間に嵌合摺動構造を設けている。しかし、本発明においては、停止爪体を有さないスライダーに嵌合摺動構造を採用することもできる例えば図26に示すように、スライダー胴体98は、停止爪体を支持するための爪体支持部、及び停止爪体の爪部をエレメントあんなイブへ突出させるための爪孔を有さず、また引手保持体99は、内部に停止爪体及び爪体支持部などを収容するための空間部を有さない中実体で、このスライダー胴体98と引手保持体99の間に嵌合摺動構造を設けてもよい。スライダー胴体98の上翼板98aと引手保持体99の後端部99aとの間には、上翼板98aと後端部99aとの間隙を開閉可能な閉鎖部材4が配置されており、開閉部材4は単一の閉鎖部41を有し、上翼板98aに対し間隙閉鎖位置と間隙開口位置との間に摺動可能に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の実施例1に係るスライドファスナー用スライダーを構成する部品が分離した状態を示す斜視図である。
【図2】スライダー胴体に引手保持体を嵌合摺動させる手順を説明する縦断面図である。
【図3】実施例1のスライダーの1次組立体を示す縦断面図である。
【図4】開閉部材を摺動させて、引手の軸部を引手保持体の退避部に移動させる手順を説明する縦断面図である。
【図5】引手の軸部が引手保持体の退避部に移動し、開閉部材が間隙閉鎖位置に戻った状態を示す縦断面図である。
【図6】開閉部材を摺動させて、引手の軸部を引手保持体の収容部に移動させる手順を説明する縦断面図である。
【図7】引手の軸部が引手保持体の収容部に移動して、引手が取り付けられた状態を示す縦断面図である。
【図8】加締め固定する前の1次組立体を示す前面図である。
【図9】上翼板による引手保持体の加締め固定を説明する要部拡大図である。
【図10】実施例1に係るスライドファスナー用スライダーの斜視図である。
【図11】加締め固定の変形例を示す要部斜視図である。
【図12】加締め固定の変形例を示す要部横断面図である。
【図13】本発明の実施例2に係るスライドファスナー用スライダーを構成する部品が分離した状態を示す斜視図である。
【図14】停止爪体をスライダー胴体の爪体支持部に枢着した状態を示す縦断面図である。
【図15】スライダー胴体に引手保持体を嵌合摺動させる手順を説明する縦断面図である。
【図16】実施例2のスライダーの1次組立体を示す縦断面図である。
【図17】開閉部材を摺動させて、引手の軸部を引手保持体の収容部に移動させる手順を説明する縦断面図である。
【図18】引手の軸部が引手保持体の収容部に移動して、引手が取り付けられた状態を示す縦断面図である。
【図19】実施例2のスライダーの変形例を示す縦断面図である。
【図20】本発明の実施例3に係るスライドファスナー用スライダーを構成する部品が分離した状態を示す斜視図である。
【図21】実施例3のスライダーの1次組立体を示す縦断面図である。
【図22】図21に示したXXII−XXII線の断面図である。
【図23】本発明の嵌合摺動構造の変形例を説明する要部斜視図である。
【図24】同変形例を説明する要部横断面図である。
【図25】本発明のスライドファスナー用スライダーの別の変形例を示す要部縦断面図である。
【図26】本発明のスライドファスナー用スライダーの更に別の変形例を示す要部断面図である。
【図27】従来のスライダーの分解斜視図である。
【図28】従来のスライダーの1次組立体を示す縦断面図である。
【図29】従来のスライダーにおいて、引手を退避空間へ移動させる手順を説明する縦断面図である。
【図30】従来のスライダーにおいて、引手を退避空間から収納空間へ移動させる手順を説明する縦断面図である。
【符号の説明】
【0109】
1 スライドファスナー用スライダー
2 スライダー胴体
3 引手保持体
4 開閉部材
5 コイルばね(弾性部材)
6 停止爪体
7 板ばね(付勢手段)
8 引手
10 1次組立体
11 環状部
12 把手部
13 軸部
15 加締め固定用凹溝
21 上翼板
21a 上フランジ
22 下翼板
22a 下フランジ
23 案内柱
24 エレメント案内路
25 後口
26 肩口
27 爪体支持部
27a 左壁部
27b 右壁部
27c 前壁部
27d 枢支凸部
28a 嵌着部
28b フランジ摺動溝
28c 加締め用肉盛り部
29 開閉部材摺動溝
29a ばね装着溝
29b 突起部
30 爪孔
31 固定側基端部
32 後端部
33 間隙
34 空間部
35a 前端側フランジ
35b 左右側フランジ
36 係着部
37 退避部
38 収容部
39 連続縁部
41 第1閉鎖部
42 第2閉鎖部
43 ガイド部
61 爪体基端部
62 上側アーム部
63 下側アーム部
64 爪部
65 作動凹溝
66 枢支凹部
71 スライドファスナー用スライダー
72 スライダー胴体
73 引手保持体
74 爪体支持部
74a 左壁部
74b 右壁部
74c 載置面
74d 板ばね収容孔
74e 嵌入溝
74f 枢支ピン取付部
75 枢支ピン
76 停止爪体
76a 爪体基端部
76b 上側アーム部
76c 下側アーム部
76d 爪部
76e 作動凹溝
76f 嵌入凹部
77 板ばね
77’ コイルばね
79 1次組立体
81 スライドファスナー用スライダー
82 スライダー胴体
83 引手保持体
83a 突起部
84 爪体支持部
84a 左壁部
84b 右壁部
84c 載置面
84d 板ばね固定部
84e 係止爪
86 停止爪体
86a 爪体基端部
86b 上側アーム部
86c 下側アーム部
86d 爪部
86e 作動凹溝
86f 挿入凹部
87 板ばね
89 1次組立体
91 スライドファスナー用スライダー
92 スライダー胴体
93 引手保持体
93a フランジ
94 爪体支持部
94a 左壁部
94b 右壁部
95 フランジ摺動溝
96 停止爪体
96a 爪体基端部
96d 爪部
97 スライダー胴体
98 スライダー胴体
98a 上翼板
99 引手保持体
99a 後端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上翼板(21)と下翼板(22)とがその前端側に配した案内柱(23)で連結され、後端に後口(25)を有するスライダー胴体(2,72,82) と、そのスライダー胴体(2,72,82) の上面側に一端部(31)が固定されて片持状に取り付けられた引手保持体(3,73,83) と、前記引手保持体(3,73,83) の他端部(32)と前記上翼板(21)との間に形成される間隙(33)を開閉するように前記スライダー胴体(2,72,82) に摺動可能に配された開閉部材(4) と、前記開閉部材(4) を前記間隙(33)の閉鎖位置に付勢する弾性部材(5) とを備え、前記開閉部材(4) を前記弾性部材(5) の付勢に抗して摺動させて前記間隙(33)を開口し、その開口時に前記間隙(33)を介して引手(8) を挿脱することにより、前記引手(8) を前記スライダー胴体(2,72,82) と前記引手保持体(3,73,83) との間に着脱可能に保持するスライドファスナー用スライダー(1,71,81) であって、 前記引手保持体(3,73,83) を前記スライダー胴体(2,72,82) の前端又は後端から嵌合し、前記スライダー胴体(2,72,82) の長さ方向に相対的に摺動する嵌合摺動構造を有してなることを特徴とするスライドファスナー用スライダー。
【請求項2】
前記嵌合摺動構造は、前記スライダー胴体(2,72,82) 及び前記引手保持体(3,73,83) の一方の部品に、その長さ方向に沿って形成されたフランジ(35b) と、他方の部品に、その長さ方向に沿って形成され、前記フランジ(35b) を嵌合して摺動させるフランジ摺動溝(28b) とを有してなる請求項1記載のスライドファスナー用スライダー。
【請求項3】
前記フランジ(35b) は、前記引手保持体(3,73,83) の前記一端部(31)の左右側面に配され、
前記フランジ摺動溝(28b) は、前記スライダー胴体(2,72,82) の前記上翼板(21)の前端部又は後端部に配されてなる、
請求項2記載のスライドファスナー用スライダー。
【請求項4】
前記スライダー(1,71,81) は、基端部(61,76a,86a)と、その基端部(61,76a,86a)から延設されたアーム部(63,76c,86c)と、そのアーム部(63,76c,86c)の先端部に形成された爪部(64,76d,86d)とを有する停止爪体(6,76,86) を備えており、
前記スライダー胴体(2,72,82) は、前記上翼板(21)と前記下翼板(22)との間に形成されたエレメント案内路(24)と、前記上翼板(21)の上面に設けられ、前記停止爪体(6,76,86) を上下揺動可能に支持する爪体支持部(27,74,84)とを有し、
前記停止爪体(6,76,86) は、通常は弾性を有する付勢手段から付勢を受けて前記爪部を前記エレメント案内路(24)に突出させ、前記引手(8) が操作されたときはその操作を受けて前記爪部を前記エレメント案内路(24)から退避させるように枢支されてなる、
請求項1〜3のいずれかに記載のスライドファスナー用スライダー。
【請求項5】
前記付勢手段は、板ばね(7,77,87,96)で構成されてなる請求項4記載のスライドファスナー用スライダー。
【請求項6】
前記板ばね(7,77,87) は、前記停止爪体(6,76,86) とは別体に設けられ、前記スライダー胴体(2,72,82) 又は前記引手保持体(3,73,83) に配されてなる請求項5記載のスライドファスナー用スライダー。
【請求項7】
前記板ばね(96)は、前記停止爪体に一体化されてなる請求項5記載のスライドファスナー用スライダー。
【請求項8】
前記引手保持体(3,73,83) は、前記上翼板(21)又は前記爪体支持部(27,74,84)に加締め固定されてなる請求項4〜7のいずれかに記載のスライドファスナー用スライダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2008−228808(P2008−228808A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−69100(P2007−69100)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000006828)YKK株式会社 (263)
【Fターム(参考)】