説明

スライドファスナー開閉用補助具

【課題】背中にスライドファスナーのある衣服を、所謂四十肩、五十肩の人や高齢者等でも補助者の助けを借りることなく独力で着脱できるための、スライドファスナー開閉用補助具を開発する。未使用時にはコンパクトに折畳んで小振りのハンドバッグにも簡単に収容できるものとする。
【解決手段】衣服のスライドファスナーのスライダーの把手部分に繋着される繋着部3と、展開折畳み自在で全体の長さが可変である連成部2と、折畳まれた状態の連成部を収納できる収容部4から構成され、連成部の至端に繋着部が連結されているスライドファスナー開閉用補助具1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服、とくに女性のドレスの一種に見られるように、背中の部分に開閉用のスライドファスナーが設けられている衣服において、該衣服の背中の部分の開閉用のスライドファスナーを着用者自身が操作する際に、障害や加齢等により手が背中に回しにくくなり、ファスナーの開閉に困難をきたす場合に、着用者自身がファスナーの開閉用補助具として用いる、衣服のスライドファスナーのスライダーあるいはスライダーの把手部分に繋着される繋着部と、展開折畳み自在で全体の長さが可変である連成部と、折畳まれた状態の連成部を収納できる収容部から構成され、連成部の至端に繋着部が連結されていることを特徴とするスライドファスナー開閉用補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
衣服、特に女性用のドレスの一部には、図6aに見るように、背中の部分にスライドファスナーSFが設けられているものが多く見受けられる。しかるに、この背中の部分のスライドファスナーSFの開閉が、所謂四十肩、五十肩と呼称される肩部分の疾患に罹患して肩及び腕の運動に支障をきたすようになった人々、あるいは加齢やその他の障害によりやはり肩及び腕の運動に支障をきたすようになった人々にとっては非常な困難を伴い、一人ではどうしてもスライドファスナーSFの開閉が行えず、他者の補助を必要とする場合も多々生じている。
【0003】
図6a〜図6fは上記事情を説明図と模式図によって説明するものである。まず、図6aはドレス型の衣服Dを着込んで、最後に背中の部分のスライドファスナーSFのスライダーSの把手部分Shを右手で掴み、スライダーSを引き上げてスライドファスナーSFを閉じようとしているところである。所謂四十肩、五十肩の人や高齢者でも、殆どの人はスライダーSが最下位置にあるこの状態では、比較的楽に把手部分Shに手が届く。
【0004】
次に、図6cは、スライダーSをやや上位に引き上げた状態であるが、所謂四十肩、五十肩の人や高齢者等では、この状態でもう手がスライダーSの取手部分Shに届かなくなり、これ以上の引き上げを断念せざるを得なくなる。無理に引き上げようとすれば肩や上腕部に激痛が走るので、多くの人はここで断念して、これ以降の引き上げは補助者に依頼することとなる。補助者が見つからなかった場合は、衣服Dの着用を断念して背中にスライドファスナーのない別の衣服を捜す羽目となる。
【0005】
図6eは、図6cに示すスライダーSの中間位置からの引き上げをなんとか克服して、スライダーSを最上位置にまで引き上げることのできた場合を示している。このスライダーSの最上位置にては、スライダーSの把手部分Shに再び手が届くようになるので、最後の段階の引き上げは比較的楽な作業となる。すなわち、引き上げに困難を極めるのは図6cに示すようにスライダーSが中間位置にあるときのみで、最下位置あるいは最上位置にある場合には、所謂四十肩、五十肩の人や高齢者等でもスライダーSの把手部分Shに比較的楽に手が届くのである。
【0006】
この事情を、図6b、図6d、図6fの模式図を用いて説明する。図6bは図6aの状態を模式図にて示したもので、kは肩、hjは肘、a1は上腕、a2は下腕、pは手、cは上体の中心線、d1は中心線cから肩kまでの距離(即ち肩幅の半分)を表している。この状態では、肩kを中心として回動する上腕が垂直線となす角度θ1が45°以下の鋭角になるので、肘hjの位置を上体に近いところに位置させることができ、従って肘hjから伸びる下腕a2と手pも中心線cに接近させることが可能となる。
【0007】
しかるに、図6cに示す状態、すなわち、スライダーSが中間位置にある状態で手pを中心線cに接近させようとしているところを図6dに模式的に示す。この状態で、上腕a2が垂直線と作る角度θ1は略90°に近い角度となり、肘hjは上体から最も遠のく。これにより、必然的に下腕a2と手pも中心線cから離れることになる。つまり、図6cに示すように手がスライダーSの把手部分Shを掴むことが不可能となってしまう。
【0008】
図6eのようにスライダーSが最上位置にきたところを模式的に示したのが図6fである。図6fでは、角度θ1は再び45°以下の鋭角となり、それに加うるに、上腕a1を身体の前方に向けることができるようになり、肩kも前方に出る。この効果により肩kから中心線cまでの距離は縮小されてd2となり、これが角度θ1が45°以下となった効果に加わって、下腕a2と手pは図6dに示す状態よりはるかに楽に中心線cに接近させ得るのである。
【0009】
したがって、背中にスライドファスナーSFのある衣服Dの着脱において最も困難を感じるのは、スライダーSが中間位置にあるときであり、スライダーSが最下位置あるいは最上位置にある場合には問題なくスライダーSの把手部分Shに手が届くということが言える。ゆえに、このスライダーSが中間位置にあるときを克服すれば、所謂四十肩、五十肩の人や高齢者等でも背中にスライドファスナーSFのある衣服Dを補助者の助けを借りることなく独力で着脱できるということになるのである。
【0010】
背中にスライドファスナーのある衣服は、その独特の意匠上の魅力から、女性にとってはやはり何歳になっても身に着けたい衣装の一つである。しかるに、所謂四十肩、五十肩や高齢等からスライドファスナーが一人で開閉できないという理由だけで着用を諦めなければならない現状は、非常に残念至極であり、これを克服できる手段の開発は、世の多くの女性層に待ち望まれているものであるとの確信から、本発明の開発に着手したものである。
【0011】
本発明の開発にあたって先行技術調査を行ったが、叙上のような視点から背中にスライドファスナーのある衣服のスライドファスナーの開閉を補助する発明・考案は発見できなかった。下記に示す特許文献1の「スライドファスナー用スライダーの引手取付機構」は、単にスライダーのクランパーに引手を連結及び離脱させる着脱操作が簡易に行え、かつ安定した連結が可能であるというものにすぎないし、また、特許文献2の「スライドファスナー用スライダーの引手連結具」は、丸紐などの紐体を用いた引手を簡単にスライダー胴体に装着できる引手連結具を提供するというものにすぎない。この両者は、いずれも、本発明の目的である「背中にスライドファスナーのある衣服を所謂四十肩、五十肩の人や高齢者等でも補助者の助けを借りることなく独力で着脱できる」ということを達成できないものである。
【0012】
例えば、特許文献1の「スライドファスナー用スライダーの引手取付機構」において、引手(図6cの把手部分Shに相当)を通常の引手の十倍以上の長さのものとすれば、図6c、図6dのスライダーSが中間位置にある場合にても、該引手を掴んでスライダーSを引き上げることは可能かもしれない。しかしながら、引手即ち図6cの把手部分Shが以上に長い場合には衣服Dの外見が異様なものとなるので、実際に着用して衆目の集まる場所に出掛けるということは不可能である。また、該引手は剛性の棒状体となるので、極めて操作しづらいものである。
【0013】
また、特許文献1では引手の着脱が容易である旨謳われているものの、明細書中に記載された機構にては、要部を目視して着脱を行うことが必要であり、背中に回した手先の感触のみを頼りに着脱を行うのは容易ではないことは想像に難くない。よしんば着脱できたとしても、今度はスライダーから取り外した異常に長い引手を収納する場所がなくて困る。外出先にて衣服の着脱を行う可能性がゼロであれば家に置いて出れば良いが、外出先にて衣服の着脱を行う可能性が皆無ではないことを考えると携行したいところである。しかし、異常に長い引手は、例えば女性用の小振りのハンドバッグには納まりきらない。特に、背中にスライドファスナーのある衣服を着用して出掛ける場合には携行品は小振りのハンドバッグ一つという場合が多いので、この小振りのハンドバッグに収容可能なものでなければ実用的とは言い難いものである。
【0014】
また、特許文献2の「スライドファスナー用スライダーの引手連結具」は、スライダー胴体に連結環と連結具を介して紐体を装着する構成であるので、該紐体を延長の長いものとすれば、図6c、図6dのスライダーSが中間位置にある場合にても、該紐体を掴んでスライダーSを引き上げることは可能といえる。しかしながら、該紐体の着脱もやはり背中に回した手指の感触のみで行えるものではないので、着用者は背中のスライダーSから長く垂れた紐を衆目に晒す結果となってしまう。
【0015】
あるいは、仮に紐体の着脱に成功したとしても、今度はその長い紐体を小振りのハンドバックに収容するという問題が残されている。紐体である以上、特許文献1の引手を異常に長くしたものよりも収容は当然楽であるが、紐体のままではハンドバック内部で他の小物に絡んだりするので、紐体を巻き取って収容する特殊なケースを考えなくてはならないということになる。したがって、下記特許文献1、2の発明は、いずれも本発明における目的を達成するために用いることはできないものであるといわざるを得ないのである。
【特許文献1】特開平8‐66207号公報
【特許文献2】特開平11‐103911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
叙上により、本発明の解決すべき課題を以下のとおりに設定した。
<課題1>
背中にスライドファスナーのある衣服を、所謂四十肩、五十肩の人や高齢者等でも補助者の助けを借りることなく独力で着脱できるための、スライドファスナー開閉用補助具を開発する。
<課題2>
該スライドファスナー開閉用補助具においては、衣服の着用者が、背中に手を回した状態で、スライドファスナーのスライダーあるいはスライダーの把手部分に手指の感触のみで簡単に着脱できるものであること。
<課題3>
該スライドファスナー開閉用補助具においては、特にスライドファスナーのスライダーが中間位置にある場合に、手からスライダーまでの乖離距離を十分に補足するだけの延長が必要である。
<課題4>
しかも、乖離距離を十分に補足するだけの延長があっても剛性のものでは極めて操作がしづらいので、撓みや曲折に耐えていかなる操作状況にも柔軟に対応できるだけの可撓性が必要である。
<課題5>
該スライドファスナー開閉用補助具においては、未使用時にはコンパクトに折畳んで小振りのハンドバッグにも簡単に収容できるサイズのものとならねばならない。さらに、その際、紐のように他の小物と絡む懼れがあるものは採用できない。また、軽量である必要があるのは当然である。
<課題6>
さらに望むべくは、略女性専用の補助具となるので、意匠的にも洗練され、例えば洗面所等にて小振りのハンドバッグから取り出しても衆目に違和感を与えないような構成のものが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、以下の解決手段を提供するものである。
<解決手段1>
衣服のスライドファスナーのスライダーの把手部分に繋着される繋着部と、展開折畳み自在で全体の長さが可変である連成部と、折畳まれた状態の連成部を収納できる収容部から構成され、連成部の至端に繋着部が連結されていることを特徴とするスライドファスナー開閉用補助具。
<解決手段2>
繋着部が衣服のスライドファスナーのスライダーあるいはスライダーの把手部分に設けられた孔に挿入繋着可能な鉤状に構成されていることを特徴とする解決手段1に記載のスライドファスナー開閉用補助具。
<解決手段3>
連成部が複数のユニットを相互に回動自在に連結して構成されており、連成部を折畳んだ状態で複数のユニットが全て重なって連成部の全体が積層体として収容部に収容されることを特徴とする解決手段1あるいは解決手段2に記載のスライドファスナー開閉用補助具。
<解決手段4>
収容部の側面の一部に収容部開閉機構が設けられて開閉自在に構成され、該収容部開閉機構により収容部の上板と下板が収容部の側面の収容部開閉機構が設けられていない部分を蝶番として開かれ、折畳まれた状態で収容部に収容されている連成部を簡単に展開し、あるいは展開されていた連成部を簡単に折畳んで収容できることを特徴とする解決手段1あるいは解決手段2あるいは解決手段3に記載のスライドファスナー開閉用補助具。
<解決手段5>
収容部開閉機構がスライドファスナーであり、該スライドファスナーが収容部側面の半分以上に亘って設けられていることを特徴とする解決手段4に記載のスライドファスナー開閉用補助具。
【発明の効果】
【0018】
本発明の解決手段1の発明によれば、衣服のスライドファスナーのスライダーの把手部分に繋着される繋着部と、展開折畳み自在で全体の長さが可変である連成部と、折畳まれた状態の連成部を収納できる収容部から構成され、連成部の至端に繋着部が連結されているので、背中にスライドファスナーのある衣服を、所謂四十肩、五十肩の人や高齢者等でも補助者の助けを借りることなく独力で着脱できる。
【0019】
すなわち、スライドファスナーのスライダーが中間位置にあって最もスライダーの把手部分に手の届きにくい状況においても、スライダーの把手部分に繋着部が繋着され、連成部の至端に繋着部が連結されているので、着用者は、連成部の任意の部分を手に把持して、展開された連成部を介してスライダーの把手部分に繋着されている繋着部を引き上げることにより、用意にスライダーを引き上げることができる。すなわち、背中にスライドファスナーのある衣服を、所謂四十肩、五十肩の人や高齢者等でも補助者の助けを借りることなく独力で着脱できるものである。
【0020】
本発明の解決手段2の発明によれば、繋着部が衣服のスライドファスナーのスライダーあるいはスライダーの把手部分に設けられた孔に挿入繋着可能な鉤状に構成されているので、衣服の着用者が、背中に手を回した状態で、スライドファスナーのスライダーあるいはスライダーの把手部分に手指の感触のみで簡単に着脱できる。すなわち、鉤状になった先端部分をスライドファスナーのスライダーあるいはスライダーの把手部分に設けられた孔に挿入するだけで繋着できるので、目視を必要とせず、手指の感触のみで繋着できるものである。同様に、鉤状の繋着部をスライダーあるいはスライダーの把手部分に設けられた孔から脱抜する際にも目視を必要とせず、手指の感触のみで脱抜できるものである。
【0021】
本発明の解決手段3の発明によれば、連成部が複数のユニットを相互に回動自在に連結して構成されているので、複数のユニットの数を調整することにより、スライドファスナーのスライダーが中間位置にある場合においても手からスライダーまでの乖離距離を十分に補足するだけの延長が確保し得るものである。また、連成部が複数のユニットを相互に回動自在に連結して構成されているところから、連成部全体に可撓性が生じるので、撓みや曲折に耐えていかなる操作状況にも柔軟に対応でき、スライダーの引き上げや引き下ろしも極めて容易に行えるものである。
【0022】
さらに、連成部を折畳んだ状態で複数のユニットが全て重なって連成部の全体が積層体として収容部に収容されるので、未使用時にはコンパクトに折畳んで小振りのハンドバッグにも簡単に収容できるサイズのものとすることができる。さらに、連成部は全てが収容部に収容されるので、紐のように他の小物と絡む懼れもない。また、連成部を構成する複数のユニットの個々のユニットは、軟質合成樹脂等の軽い素材を用いた薄板状とし得るので、全体として極めて軽量にすることが可能である。
【0023】
また、複数のユニットの意匠や色彩を工夫することにより、連成部が折畳まれた状態にても展開された状態にても、意匠的にも洗練され、例えば洗面所等にて小振りのハンドバッグから取り出しても衆目に違和感を与えないような構成とすることができる。
【0024】
本発明の解決手段4の発明によれば、収容部の側面の一部に収容部開閉機構が設けられて開閉自在に構成され、該収容部開閉機構により収容部の上板と下板が収容部の側面の収容部開閉機構が設けられていない部分を蝶番として開かれるので、折畳まれた状態で収容部に収容されている連成部を簡単に展開し、あるいは展開されていた連成部を簡単に折畳んで収容することができる。
【0025】
本発明の解決手段5の発明によれば、収容部開閉機構がスライドファスナーであり、該スライドファスナーが収容部側面の半分以上に亘って設けられているので、折畳まれた状態の連成部を展開する際にも展開された連成部を折畳んで収容する場合にも極めて容易に且つ迅速に行えるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明を実施するための最良の形態を、以下に図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例1のスライドファスナー開閉用補助具は、解決手段5に記載の発明の1実施例である。
【実施例1】
【0027】
<実施例1の構成>
図1に、実施例1のスライドファスナー開閉用補助具1の連成部2が展開された状態の平面図を示す。3は先端が鉤状となった線材で構成された繋着部であり、4は正面43と左側面45と右側面46にスライドファスナー47が設けられた収容部である。
【0028】
繋着部3の構成は図1、図2aに示すとおりで、繋着部3は線材で構成されたリング31に釣針状の鉤状先端32が一体に固着されて構成され、リング31は連成部2の連結片213の端部に穿設された孔hに挿通されている。
【0029】
連成部2は、軟質合成樹脂の薄板からなる12枚の環状のユニット201〜212を連結部Rにおいて連結ピンPにより回動自在に連結して構成されている。12枚の環状のユニット201〜212の詳細を図5a〜図5lに示す。
【0030】
ユニット201は図5aに見るように、軟質合成樹脂の薄板からなる環状の本体201aの中心を通る直線x上に上下対称になるように本体201aから突片201b、201cが本体201aと一体に突設されていて、突片201b、201cには夫々孔hが穿設されている。また、ユニット202は、図5bに見るように、軟質合成樹脂の薄板からなる環状の本体202aの中心を通る直線x上に本体202aから突片202bが本体202aと一体に突設され、且つ直線xに対して角度θ2=30°で交わる直線y上に本体202aから突片202cが本体202aと一体に突設されていて、突片202b、202cには夫々孔hが穿設されている。
【0031】
ユニット203は図5cに見るようにユニット201と同形(反時計回りに30°回転されている)で、本体203aから突片203b、203cが本体203aと一体に突設されていて、突片203b、203cには夫々孔hが穿設されている。ユニット204は図5dに見るようにユニット202と同形で(反時計回りに30°回転されている)、本体204aから突片204b、204cが本体204aと一体に突設されていて、突片204b、204cには夫々孔hが穿設されている。
【0032】
ユニット205は図5eに見るようにユニット201と同形(反時計回りに60°回転されている)で、本体205aから突片205b、205cが本体205aと一体に突設されていて、突片205b、205cには夫々孔hが穿設されている。ユニット206は図5fに見るようにユニット202と同形で(反時計回りに60°回転されている)、本体206aから突片206b、206cが本体206aと一体に突設されていて、突片206b、206cには夫々孔hが穿設されている。
【0033】
ユニット207は図5gに見るようにユニット201と同形(反時計回りに90°回転されている)で、本体207aから突片207b、207cが本体207aと一体に突設されていて、突片207b、207cには夫々孔hが穿設されている。ユニット208は図5hに見るようにユニット202と同形(反時計回りに90°回転されている)で、本体208aから突片208b、208cが本体208aと一体に突設されていて、突片208b、208cには夫々孔hが穿設されている。
【0034】
ユニット209は図5iに見るようにユニット201と同形(反時計回りに120°回転されている)で、本体209aから突片209b、209cが本体209aと一体に突設されていて、突片209b、209cには夫々孔hが穿設されている。ユニット210は図5jに見るようにユニット202と同形(反時計回りに120°回転されている)で、本体210aから突片210b、210cが本体210aと一体に突設されていて、突片210b、210cには夫々孔hが穿設されている。
【0035】
ユニット211は図5kに見るようにユニット201と同形(反時計回りに150°回転されている)で、本体211aから突片211b、211cが本体211aと一体に突設されていて、突片211b、211cには夫々孔hが穿設されている。ユニット212は図5lに見るようにユニット202と同形(反時計回りに150°回転されている)で、本体212aから突片212b、212cが本体212aと一体に突設されていて、突片212b、212cには夫々孔hが穿設されている。
【0036】
図2aには、ユニット201〜212を折畳み積層した状態の平面図を示す。また、図2bにはユニット201〜212を折畳み積層した状態の正面図を示す。ユニット201〜212の連結構成の代表例として、ユニット207の突片207cとユニット208の突片208bの連結部Rの縦断面図を図3aに示す。図3aに見るように、突片207cの孔hと突片208bの孔hは同位置に重ねられてピンPで回動自在に連結されている。
【0037】
ピンPは両端に皿状の頭部のある有頭枢軸で、ピンPにより突片207cと突片208bが回動自在に連結され、これによりユニット207とユニット208も回動自在に連結されている。同様に、突片201cと突片202bが回動自在に連結されることによりユニット201とユニット202が回動自在に連結され、突片202cと突片203bが回動自在に連結されることによりユニット202とユニット203が回動自在に連結され、突片203cと突片204bが回動自在に連結されることによりユニット203とユニット204が回動自在に連結され、突片204cと突片205bが回動自在に連結されることによりユニット204とユニット205が回動自在に連結され、突片205cと突片206bが回動自在に連結されることによりユニット205とユニット206が回動自在に連結され、突片206cと突片207bが回動自在に連結されることによりユニット206とユニット207が回動自在に連結される。
【0038】
また、前述のように、突片207cと突片208bが回動自在に連結されることによりユニット207とユニット208が回動自在に連結され、さらに、突片208cと突片209bが回動自在に連結されることによりユニット208とユニット209が回動自在に連結され、突片209cと突片210bが回動自在に連結されることによりユニット209とユニット210が回動自在に連結され、突片210cと突片211bが回動自在に連結されることによりユニット210とユニット211が回動自在に連結され、突片211cと突片212bが回動自在に連結されることによりユニット211とユニット212が回動自在に連結され、ユニット201〜212はこのようにしてすべての隣接するユニット同士が回動自在に連結されることにより全体が一連として連結された連成部2を構成する。
【0039】
また、図5aに示すように、ユニット201の突片201bにはピンPを介して連結片213の一端が回動自在に連結される。連結片213の他端には、孔hに繋着部3のリング31が挿通され、これにより、繋着部3は連結片213を介してユニット201に、さらには連成部2に連結されている。
【0040】
連成部2は、ユニット201〜212を完全に折畳んで積層すれば、図2a、図2bのとおりのような状態となる。図2aの平面図で、突片201cと202b、202cと203b、203cと204b、204cと205b、205cと206b、206cと207b、207cと208b、208cと209b、209cと210b、210cと211b、211cと212b、さらに212cが花弁状に展開し、均整のとれた姿となる。また、連結片213は内側に折畳まれて、連結片213の先端の孔hに挿通された繋着部3は、ユニット201〜212の本体201a〜212aの内部に形成される円筒状の空間Cに収容される。
【0041】
図3bには、ユニット212が収容部4に回動自在に連結されている状態を示す。ユニット212の突片212cはピンPLにより収容部4の下板42の隆起部分42aに回動自在に連結されている。ピンPLは両端に皿状の頭部を有する有頭枢軸で、直径はユニット201〜212を夫々連結しているピンPと同一であるが、長さはピンPより長く構成されている。
【0042】
図4aには収容部4の構成を示す(図1も合わせ参照されたい)。収容部4は、略正方形状の上板41と下板42が硬質素材(合成樹脂製あるいは木製あるいは金属製)からなり、正面43、背面44、左側面45、右側面46は一体として布あるいは軟質合成樹脂等の軟質素材から構成され、右側面46、正面43、左側面45にかけては中央部分にスライドファスナー47が装着されていて、上板41と下板42が開閉自在となるように構成されている。すなわち、スライドファスナー47を全開にすると、背面44が蝶番の役割を果たして上板41と下板42が0°〜180°以上の角度をもって開かれるものである。
【0043】
図4bには収容部の別の形態である収容部5の構成を示す。略円形状の上板51と下板52が硬質素材(合成樹脂製あるいは木製あるいは金属製)からなり、側面53は布あるいは軟質合成樹脂等の軟質素材から構成され、側面53の半分以上の中央部分にスライドファスナー54が装着されていて、スライドファスナー54が装着されていない部分の側面53が蝶番の役割を果たして、上板51と下板52が0°〜180°以上の角度をもってで開かれるものである。
【0044】
<実施例1の作用>
実施例1のスライドファスナー開閉用補助具1の使用に際しては、図7a、図7bに示すように、スライドファスナーSFのスライダーSが最下位置にある状態で、係着部3の鉤状先端32の先端32aをスライダーSの把手部分Shの孔H1に繋着する。この場合、孔H1は把手部分Shの端部に穿設されているが、端部に孔H1が穿設されていない把手部分Shの場合には、把手部分ShをスライダーSに連結している孔H2を利用する。この孔H2が穿設されていないスライダーSはまずないので、実施例1のスライドファスナー開閉用補助具1は略全てのスライドファスナーに使用できるものである。
【0045】
次に、図7cに示すように、連成部2を適当な長さに展開した状態にて、収容部4を手に把持して引き上げる。すると、連成部2に連結された繋着部3も引き上げられ、繋着部3に繋着されたスライダーSの把手部分Shも引き上げられ、結果としてスライドファスナーSFは閉じられていく。この際、図7cに見るように、上腕a1、下腕a2、は肩kよりも高い位置にくるため、図6fに示す原理で、肩kに無理な負担がかかることなく楽に引き上げができるものである。
【0046】
図7dはスライドファスナーSFが完全に閉じられた状態を示す。この状態で、手はスライダーSの把手部分Shにまで届くので(図6e、図6f参照)、係着部3の鉤状先端32の先端32a(図7b参照)をスライダーSの把手部分Shの孔H1から脱抜する。これにて、スライドファスナーSFを閉じる工程は終了となるので、後は連成部2と繋着部3を収容部4内に収容し、スライドファスナー47(図4a参照)を閉じて収容部4をバッグ(図示せず)に格納すれば終了となる。なお、スライドファスナーSFを開く場合には、上記の逆の行程を辿れば良い。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、叙上のような構成であるので、所謂四十肩、五十肩の人や高齢者はもとより、なんらかの障害で手が背中まで届きにくくなった人に大きな福音を齎すものである。上記実施例1にては、連成部は12枚のユニットからなっていたが、ユニット数の増減は適宜可能であって、例えばユニット数を8枚とすれば、図5bにおける角度θ2は45°となる。また、ユニット数を6枚とすれば、図5bにおける角度θ2は60°となる。逆に、ユニット数を18枚に増やすと図5bにおける角度θ2は20°となる。このように、様々な展開が可能である。
【0048】
また、ユニットのそれぞれに異なる色彩の素材を用いる等の意匠上の工夫により、女性の持ち物としての価値をさらに高めることも可能である。また、ユニットの形態も、リング状ばかりではなく、方形や5角、6角、ハート型等様々な趣向を凝らすこともむろん可能であり、その場合、展開されたときの形態、折畳まれたときの形態も変化に富んだものとなるので、補助具としてのどちらかといえば暗いイメージでは全くなく、装身具の一環としての明るいイメージで、いわばお洒落を楽しむ感覚で用いることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施例1のスライドファスナー開閉用補助具の連成部を展開した状態の平面図である。
【図2】(a)本発明の実施例1のスライドファスナー開閉用補助具の折畳まれた状態の連成部と繋着部の平面図である。(b)本発明の実施例1のスライドファスナー開閉用補助具の折畳まれた状態の連成部と繋着部の正面図である。
【図3】(a)図2aのA−A線拡大縦断面図である。(b)図2aのB−B線拡大縦断面図である。
【図4】(a)本発明の実施例1のスライドファスナー開閉用補助具の外観斜視図である。 (b)本発明の実施例1のスライドファスナー開閉用補助具の別の形態を示す外観斜視図である。
【図5】(a)本発明の実施例1のスライドファスナー開閉用補助具の繋着部と連成部の1ユニットの平面図である。 (b)本発明の実施例1のスライドファスナー開閉用補助具の連成部の1ユニットの平面図である。 (c)本発明の実施例1のスライドファスナー開閉用補助具の連成部の1ユニットの平面図である。 (d)本発明の実施例1のスライドファスナー開閉用補助具の連成部の1ユニットの平面図である。 (e)本発明の実施例1のスライドファスナー開閉用補助具の連成部の1ユニットの平面図である。 (f)本発明の実施例1のスライドファスナー開閉用補助具の連成部の1ユニットの平面図である。 (g)本発明の実施例1のスライドファスナー開閉用補助具の連成部の1ユニットの平面図である。 (h)本発明の実施例1のスライドファスナー開閉用補助具の連成部の1ユニットの平面図である。 (i)本発明の実施例1のスライドファスナー開閉用補助具の連成部の1ユニットの平面図である。 (j)本発明の実施例1のスライドファスナー開閉用補助具の連成部の1ユニットの平面図である。 (k)本発明の実施例1のスライドファスナー開閉用補助具の連成部の1ユニットの平面図である。 (l)本発明の実施例1のスライドファスナー開閉用補助具の連成部の1ユニットの平面図である。
【図6】(a)背中にスライドファスナーのある衣服のスライドファスナーを閉めようとしている状態を説明する説明図である。 (b)図6aの状態を模式的に表現した模式図である。 (c)背中にスライドファスナーのある衣服のスライドファスナーを閉めようとしている状態を説明する説明図である。 (d)図6cの状態を模式的に表現した模式図である。 (e)背中にスライドファスナーのある衣服のスライドファスナーを閉めようとしている状態を説明する説明図である。 (f)図6eの状態を模式的に表現した模式図である。
【図7】(a)本発明の実施例1のスライドファスナー開閉用補助具の作用を説明する説明図である。 (b)図7aの要部の拡大図である。 (c)本発明の実施例1のスライドファスナー開閉用補助具の作用を説明する説明図である。 (d)本発明の実施例1のスライドファスナー開閉用補助具の作用を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0050】
1 スライドファスナー開閉用補助具
2 連成部
201 ユニット
201a 本体
201b 突片
201c 突片
202 ユニット
202a 本体
202b 突片
202c 突片
203 ユニット
203a 本体
203b 突片
203c 突片
204 ユニット
204a 本体
204b 突片
204c 突片
205 ユニット
205a 本体
205b 突片
205c 突片
206 ユニット
206a 本体
206b 突片
206c 突片
207 ユニット
207a 本体
207b 突片
207c 突片
208 ユニット
208a 本体
208b 突片
208c 突片
209 ユニット
209a 本体
209b 突片
209c 突片
210 ユニット
210a 本体
210b 突片
210c 突片
211 ユニット
211a 本体
211b 突片
211c 突片
212 ユニット
212a 本体
212b 突片
212c 突片
213 連結片
3 繋着部
31 リング
32 鉤状先端
4 収容部
41 上板
42 下板
42a 肉厚部分
43 正面
44 背面
45 左側面
46 右側面
47 スライドファスナー
5 収容部
51 上板
52 下板
53 側面
54 スライドファスナー
C 空間
D 衣服
H1 孔
H2 孔
P ピン
PL ピン
R 連結部
S スライダー
SF スライドファスナー
Sh 把手部分
a1 上腕
a2 下腕
c 中心線
d1 距離
d2 距離
hj 肘
h 孔
k 肩
p 手
x 直線
y 直線
θ1 角度
θ2 角度






【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服のスライドファスナーのスライダーの把手部分に繋着される繋着部と、展開折畳み自在で全体の長さが可変である連成部と、折畳まれた状態の連成部を収納できる収容部から構成され、連成部の至端に繋着部が連結されていることを特徴とするスライドファスナー開閉用補助具。
【請求項2】
繋着部が衣服のスライドファスナーのスライダーあるいはスライダーの把手部分に設けられた孔に挿入繋着可能な鉤状に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のスライドファスナー開閉用補助具。
【請求項3】
連成部が複数のユニットを相互に回動自在に連結して構成されており、連成部を折畳んだ状態で複数のユニットが全て重なって連成部の全体が積層体として収容部に収容されることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載のスライドファスナー開閉用補助具。
【請求項4】
収容部の側面の一部に収容部開閉機構が設けられて開閉自在に構成され、該収容部開閉機構により収容部の上板と下板が収容部の側面の収容部開閉機構が設けられていない部分を蝶番として開かれ、折畳まれた状態で収容部に収容されている連成部を簡単に展開し、あるいは展開されていた連成部を簡単に折畳んで収容できることを特徴とする請求項1あるいは請求項2あるいは請求項3に記載のスライドファスナー開閉用補助具。
【請求項5】
収容部開閉機構がスライドファスナーであり、該スライドファスナーが収容部側面の半分以上に亘って設けられていることを特徴とする請求項4に記載のスライドファスナー開閉用補助具。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−280847(P2006−280847A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−108484(P2005−108484)
【出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【出願人】(505125794)
【Fターム(参考)】