説明

スライド位置調整機構

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願は、支持体例えばロッカーの扉内面に対し、被支持体例えば鏡部材をその高さ位置が調節できるよう取り付けるためのスライド位置調整機構に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、鏡部材をロッカーの扉内面に高さ位置調節可能に取り付ける場合、ロッカーの扉内面に上下位置に係止孔を所要の間隔をもって配設した取付板を固設し、前記係止孔に対し鏡部材の裏面に設けたフックを選択的に係止する構成のものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが上記した従来の構成によれば、鏡部材の位置を使用者の身長に合わせて変更する場合に、一々フックと係止孔との係脱操作を行う必要があったので使用に不便であり、また構成上、その高さ位置を細かく設定できないなどの不都合があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで本願は上記した不都合を解消するため、支持体例えばロッカーの扉内面に対する被支持体例えば鏡部材のスライド位置調整機構であって、摺動案内部材と、係止部材とから構成され、前記摺動案内部材が摺動方向に延びる対向する側面に夫々係合凹部を連続して設けた案内溝部と、それよりも狭幅で、かつ、摺動方向に延びて一端で開口するスリットとを厚味方向に設けた板体状から成り、また前記係止部材が、前記案内溝部内に摺動可能に介在される部片に前記係合凹部と係脱可能な係合片と、支持体もしくは被支持体に取り付けられる挿通片とを設けて成る構成としたものであり、好ましくは摺動案内部材が板状体の厚味方向に摺動方向に延びる開口部を設けると共に、案内溝部の長手方向の一端を開口し、また係止部材が、部片に摺動課程において前記開口部の一端部と係止する係止凸部を有した操作片を設けて成る。
【0005】
【作用】しかして、使用に際しては、例えば鏡部材の裏面に垂直状態に設けた摺動案内部材の案内溝部内に係止部材を介在して係合凹部に係合圧接した状態で、支片を直接または取付部材を介して支持体例えばロッカーの扉内面に垂直状態に取り付けるものであるが、係止部材に対する摺動案内部材の高さ位置を調整するときには、その裏面において、係止部材を上下方向に摺動する。すると、各係合片は係合凹部に対し順次係脱しながら摺動して係止部材に対する摺動案内部材の上下位置が調整される。また上記した摺動案内部材の高さ位置の調整は、取付片を例えばロッカーの扉内面に取り付けた状態で鏡部材を上下方向に押圧操作することによっても行うことができる。また、摺動案内部材が、部材の厚味方向に摺動方向に延びる開口部を設けると共に、案内溝部の長手方向の一端を開口し、また係止部材が、部片に摺動課程において前記開口部の一端部と係止する係止凸部を有した操作片を設けて成る場合には、係止部材を案内溝部の最下方位置に摺動したとき、係止凸部が開口部の下縁に当接してそれ以上の下降は阻止されると共に、この状態で操作片を傾動操作して開口部の一端部と係止凸部との係止を解除することにより、係止部材を案内溝部の下方より抜き取ることができる。
【0006】
【実施例】以下、図面に基づいて本願実施例を詳述すると、図1は、本願スライド位置調整機構を用いてロッカー扉aの内面に鏡部材Bを上下方向に調整可能に装備した場合の実施例を示しており、前記鏡部材Bは、縦長方形状の基板1の前面に周縁部に沿って上縁が内向きに僅か屈曲した縁片2を設けて基板1の前面に鏡板3を嵌め込むための嵌合凹部4を形成すると共に、この縁片2の四隅部に、その前縁より内方に大きく張り出した止板5を延設して基板1との間に取付溝6を形成し、さらに、前記止板5に対向する基板1の四隅部に、L字状に屈曲した切欠部7を開設した合成樹脂の成形体から成る基体8と、軟質の合成樹脂ベルトの内側面に沿って嵌合溝9を有して、前記縁片2の内側面に沿って密接する保護部材10と、前記嵌合溝9に周縁が嵌合して保護部材10により包囲されて前記嵌合凹部4に埋め込まれる方形状の鏡板3とから構成されている。
【0007】前記基板1の中央部には、縦長方形状の開口部11を有しその裏面に膨出するように摺動案内部材12が一体に設けてある。この摺動案内部材12には前記開口部11と連通すると共に、該開口部11より横幅が狭く、かつ、左右で対向する左右側面に沿って係合凹部13を連続して設けると共に、下端で開口する案内溝部14と、該案内溝部14よりも横幅が狭く、かつ、下端で開口するスリット15とを厚み方向で階段状に形成した部厚い板状体16から構成されている。
【0008】前記案内溝部14内に上下動可能に介入される係止部材17は、図2,3,5で示すように、稍広幅の部片18の上下及び左右位置に前記係合凹部13に係脱可能に圧接係合するく字状の係合片19を対称に配設すると共に、前記部片18の中央下部に、上半部が前方下向きに傾斜し、中間部に前記基板1の開口部11の下端に当接する係止凸部20を設けた操作片21を垂設し、さらに、前記部片18の後面に下向きL字状に屈曲しその前面下端部に係止爪22を有する支片23を夫々一体に設けた合成樹脂の成形体から成る。
【0009】前記係止部材17をロッカーの扉aの内面に取り付けるための取付部片24は、横長の前面板25と、縦長で接着剤により扉aの内面に貼着される後面板26との間に左右一対の側片27,27を介して上下方向に貫通し、前記係止部材17の支片23を挿通して係止爪22が前面板25の下縁に係止可能な挿通孔28を有した合成樹脂の成形体から成り、前記前面板25の下面に前記挿通片23の係止爪22が係止した状態で、取付部片24の前面と、係止部材17の係合片19の後面との間に、板状体16が介在する間隔pが形成される。
【0010】しかして、使用に際しては、取付部片24の後面板26をロッカーの扉a内面に接着剤により固着し、次いで案内溝部14内に係止部材17を介在して上下及び左右位置に夫々設けた係合片19を対向する4カ所の係合凹部13に夫々係合圧接した状態で、図3で示すように挿通片23を挿通孔28に上方から挿通して、挿通片23の係止爪22を取付部片24の前面板25の下面に係止して係止部材17を取付部片24を介してロッカーの扉a内面に取り付けるものであるが、係止部材17に対する鏡部材Bの高さ位置を調整するときには、Bの裏面において、係止部材17を上下方向に摺動する。
【0011】すると、各係合片19は係合凹部13に対し順次係脱しながら摺動して再び各係合片19は対向する所要位置の4カ所の係合凹部13に係合圧接し、これによって係止部材17に対する鏡部材Bの上下位置が調整される。上記において係止部材17を案内溝部14の最下方位置に摺動したときは、係止凸部13が開口部11の下縁に当接してそれ以上の下降は阻止され、この状態で操作片21を後方に傾動して係止凸部20を開口部11の下端から外すことにより、係止部材17を案内溝部14の下方より抜き取ることができる。
【0012】さらに鏡部材Bの高さ位置の調整は、取付部片24に係止部材17を取り付けた状態で鏡部材Bを上下方向に押圧操作することによっても行うことができる。上記実施例は、基板1の中央部に設けた開口部11を介してその後方に膨出するように、摺動案内部材12を設けた場合を例示したが、前記開口部11は基本的には摺動案内部材12側に設けられる。
【0013】また、上記実施例は、鏡部材B側に摺動案内部材12を備え、また、ロッカーの扉a内面に係止部材17を備えた構成を示したが、これに代えて鏡部材B側に係止部材17を、ロッカーの扉a内面に摺動案内部材12を夫々備えてよいことは勿論である。具体的には、図9,10,11で示すように、ロッカーの扉aの内面に固設する板状体101に、縦長方形状の開口部11を設けその前面に開口部11と連通し、かつ、対向する左右側面に沿って係合凹部13を連続して設けると共に、上端で開口する案内溝部14とスリット15とを厚味方向に階段状に形成して摺動案内部材12を構成し、また、鏡部材Bを構成する基板1の後面中央位置に係止部材17の支片23を垂直状に直接固着するか或は、図示するように支片23を係止した取付部片24を垂直状に固着する。
【0014】さらにまた、上記実施例は、本願機構を利用してロッカーの扉a内面に鏡部材Bを高さ位置で調整可能に装備した場合について示したが、本願機構を利用して、例えば図12で示すように、図9における鏡部材Bに代えてボックス状の小物入れ102などを高さ位置調節可能に装着してもよく、さらにまた、図13で示すように、板状体101をロッカーの天板103の内面に水平状態に固着すると共に、鏡部材Bに代えて例えばハンガーの吊下げフック104を取付片24に一体に設けてハンガーの取付位置を水平方向に調整可能としてもよいことは勿論である。
【0015】
【発明の効果】以上のように本願によれば、支持体に対し被支持体を摺動操作することにより容易に位置調整を行うことができ、かつ、その位置調整も細かく設定でき、さらに本願によれば、垂直状態及び水平状態の取付も可能であり、また、請求項5記載の構成によれば4カ所の係合位置が形成されて係合状態がより確実に得られるなどの利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】一部を切欠した総体正面図
【図2】一部を切欠した総体背面図
【図3】一部を切欠した総体側面図
【図4】鏡部材の横断面図
【図5】係止部材の背面図
【図6】取付部片に係止部片を取り付けた状態の側面図
【図7】取付部片の斜視図
【図8】取付状態の要部の横断面図
【図9】支持体側に摺動案内部材を受けた場合の他の実施例を示す縦断面図
【図10】他の実施例における鏡部材の裏面図
【図11】他の実施例における摺動案内部材の正面図
【図12】小物入れを取り付けた場合の他の実施例の縦断面図
【図13】吊下げ用フックを取り付けた場合の他の実施例の縦断面図
【符号の説明】
11 開口部
12 摺動案内部材
13 係合凹部
14 案内溝部
15 スリット
16 板状体
17 係止部材
18 部片
19 係合片
21 操作片
23 挿通片
24 取付部片
B 鏡部材
a 扉

【特許請求の範囲】
【請求項1】 支持体と被支持体との間に取り付けられて、支持体に対する被支持体のスライド位置調整機構であって、摺動案内部材と、係止部材とから構成され、前記摺動案内部材が、摺動方向に延びて対向する側面に夫々係合凹部を連続して設けた案内溝部と、それよりも狭幅で、かつ、摺動方向に延びて一端で開口するスリットとを厚味方向に設けた板状体から成り、また前記係止部材が、前記案内溝部内に 摺動可能に介在される部片に前記係合凹部と係脱可能な係合片と、支持体もしくは被支持体に直接または間接に取り付けられる支片とを設けて成ることを特徴とするスライド位置調整機構。
【請求項2】 摺動案内部材が板状体の厚味方向に摺動方向に延びる開口部を設けると共に、案内溝部の長手方向の一端を開口し、また係止部材が、部片に摺動課程において前記開口部の一端部と係止する係止凸部を有した操作片を設けて成る請求項1記載のスライド位置調整機構。
【請求項3】 摺動案内部材を、鏡部材の裏面に垂直状に設け、かつ、係止部材をロッカーの扉内面に垂直状に取り付けて成る請求項1または2記載のスライド位置調整機構。
【請求項4】 摺動案内部材を、ロッカー扉の内面に垂直状に設け、かつ、係止部材を鏡部材の裏面に垂直状に設けて成る請求項1または2記載のスライド位置調整機構。
【請求項5】 係止部材が、部片の前後及び左右位置に摺動自在に延びる係合片を夫々設けて成る請求項1,2,3または4記載のスライド位置調整機構。
【請求項6】 摺動案内部材を、ロッカーの内面に水平状に取り付け、かつ、係止部材に、小物入れ或いは吊下げフックを取り付けて成る請求項1,2または5記載のスライド位置調整機構。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図3】
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【図9】
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【図11】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【特許番号】第2541895号
【登録日】平成8年(1996)7月25日
【発行日】平成8年(1996)10月9日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−281135
【出願日】平成4年(1992)9月28日
【公開番号】特開平6−109009
【公開日】平成6年(1994)4月19日
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【出願人】(000162054)共栄工業株式会社 (31)
【参考文献】
【文献】特開平4−215711(JP,A)
【文献】実開昭60−34714(JP,U)
【文献】実公昭49−45622(JP,Y1)