説明

スライド型プラスチックケース

【課題】小ロット品に適すると共に安定した閉じ状態が得られるスライド型プラスチックケースを提供する。
【解決手段】プラスチックシートから折り曲げ形成された外ケース1と内ケース2とを備え、内ケース2は外ケース1の一端開口部14からスライド自在に挿入され、両ケース1,2は、内ケース2のスライド方向に対して直交する横断面視においてそれぞれ外面側凸の湾曲形状に形成された一対の主壁面10,11を備え、内ケース2の一端は閉塞部であって該一端閉塞部24は内ケース2の両主壁面間の離間距離を該一端において所定以下とならないように保持すべく構成され、内ケース2を外ケース1に格納すると、内ケース2が外ケース1の一端開口部14における両主壁面10,11を内面側から押圧して格納状態が保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉に際してスライドさせる構造のスライド型プラスチックケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、繰り返し開閉できるスライド型のケースは射出成形により形成されている。しかしながら、成形のための金型が必要であるために大ロットの大量生産向きであり、小ロット品には不向きである。
【0003】
そこで、本発明者らは、プラスチックシートから外ケースと内ケースを形成して内ケースを外ケースにスライド自在に挿入する構成のスライド型プラスチックケースを検討した。スライド型プラスチックケースをプラスチックシートから形成することによって小ロット品に容易に適用することができる。かかるスライド型プラスチックケースとしては、例えば外ケースと内ケースを共に横断面視矩形の箱形として外ケースの一端開口部と内ケースの他端開口部が向かい合うようにして外ケースに内ケースを挿入する構成が考えられる。即ち、外ケースと内ケースの一対の主壁面を平坦面として形成する構成が考えられる。
【0004】
しかしながら、内ケースは外ケースに対して一回り小さく形成されるため、横断面視矩形の箱形とすると、内ケースを外ケースに格納した格納状態において、内ケースが外ケースに対してがたつくことになり、振動等によって外ケースから内ケースが不用意に引き出されるというおそれがある。かかる問題は、外ケースを横断面視矩形の角型スリーブ状とし、内ケースを上面開放のトレー状とした構成においても同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−1613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それゆえに本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされ、小ロット品に適すると共に安定した閉じ状態が得られるスライド型プラスチックケースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであって、本発明に係るスライド型プラスチックケースは、プラスチックシートから折り曲げ形成された外ケースと内ケースとを備え、内ケースは外ケースの一端開口部からスライド自在に挿入され、両ケースは、内ケースのスライド方向に対して直交する横断面視においてそれぞれ外面側凸の湾曲形状に形成された一対の主壁面を備え、内ケースの一端は閉塞部であって該一端閉塞部は内ケースの両主壁面間の離間距離を該一端において所定以下とならないように保持すべく構成され、内ケースを外ケースに格納すると、内ケースが外ケースの一端開口部における両主壁面を内面側から押圧して格納状態が保持されることを特徴とする。
【0008】
該構成のスライド型プラスチックケースにあっては、外ケースと内ケースがプラスチックシートから形成されており、それぞれ外面側凸の湾曲形状に形成された一対の主壁面を備えているので、両主壁面は互いに離れるように外面側に向けて膨出変形したり逆に互いに近づくように内面側に向けて扁平に変形したりすることができる。そして、内ケースの一端閉塞部が内ケースの両主壁面間の離間距離を該一端において所定以下とならないように保持すべく構成されているので、内ケースを外ケースに格納すると、内ケースが外ケースの一端開口部における両主壁面を内面側から押圧し、内ケースが格納状態に保持される。また、格納状態から内ケースを引き出すと、内ケースによる外ケースの一端開口部の押圧が解除され、内ケースを外ケースからスムーズに引き出すことができる。
【0009】
特に、内ケースの一端閉塞部は該内ケースの両主壁面の一端縁同士を連結する内連結片を備え、該内連結片は、内ケースの両主壁面間の中途部において谷折りに折り曲げられて該折り曲げ部を介して一方の主壁面側の第一内連結片部と他方の主壁面側の第二内連結片部に区分けされ、第二内連結片部は内ケースの両主壁面間の離間距離を保持すべく内ケースの他方の主壁面から一方の主壁面に向けて起立し、第一内連結片部は内ケースの一方の主壁面側に傾倒して該一方の主壁面と共に指先で摘むことができる摘み部を構成していることが好ましい。内ケースの他方の主壁面から起立している第二内連結片部が突っ張り壁となって内ケースの両主壁面間の離間距離を保持するので、内ケースがしっかりと格納される。また、摘み部を摘むことで内ケースを容易に引き出すことができ、また格納することができる。
【0010】
また更に、外ケースの他端は閉塞部であって該他端閉塞部は外ケースの両主壁面の他端縁同士を連結する外連結片を備え、該外連結片は、外ケースの両主壁面間の中途部において谷折りに折り曲げられて該折り曲げ部を介して一方の主壁面側の第一外連結片部と他方の主壁面側の第二外連結片部に区分けされ、第一外連結片部は外ケースの一方の主壁面と共に指先で摘むことができる摘み部を構成していることが好ましい。内ケースを外ケースから引き出す際には例えば一方の手で外ケースを把持した状態で他方の手で内ケースを持って引き出すことになる。外ケースがプラスチックシートから形成されているため、外ケースを強く把持すると内側に変形して内ケースをスムーズに引き出しにくい場合もあるが、例えば外ケースの摘み部を一方の手で摘むと共に内ケースの摘み部を他方の手で摘んで互いを引き離すようにしながら内ケースをスムーズに引き出すことができ、同様に格納することができる。
【0011】
また、外ケースの一端側と内ケースの他端側には、内ケースを引き出した際に互いに係止する係止部が形成されていることが好ましい。内ケースを引き出す際に係止部によって内ケースが所定位置で停止するので、内ケースが外ケースから分離するということがない。
【0012】
特に、内ケースの他端は開口部であって、内ケースの他方の主壁面における他端縁から係止部としての内係止片が延設されて他端縁で外側に折り返され、外ケースの他方の主壁面における一端縁から係止部としての外係止片が延設されて一端縁で内側に折り返され、内係止片及び外係止片は、プラスチックシートの弾性復元力によって、それぞれ内ケースの他方の主壁面及び外ケースの他方の主壁面から所定角度浮き上がるように付勢され、内ケースの格納状態において、内ケースの他方の主壁面が外係止片を介して外ケースの他方の主壁面を押圧することが好ましい。内係止片及び外係止片が、プラスチックシートの弾性復元力によって、それぞれ内ケースの他方の主壁面及び外ケースの他方の主壁面から所定角度浮き上がるように付勢されているので、内ケースを引き出すと内係止片と外係止片が自動的に浮き上がって係止姿勢となり、内ケースが所定位置で確実に係止される。しかも、格納状態においては、内ケースの他方の主壁面が外係止片を介して外ケースの他方の主壁面を押圧するので、外係止片の厚さによって、より一層大きな保持力が得られる。そして、内ケースを引き出すと外係止片は自動的に浮き上がって係止姿勢となり、内係止片を確実に係止する。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明に係るスライド型プラスチックケースにあっては、プラスチックシートから形成することで小ロット品に対応することができ、しかも、格納状態において内ケースが外ケースの一端開口部における両主壁面を内面側から押圧するので安定した閉じ状態が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態におけるスライド型プラスチックケースを示す正面図であって、内ケースを格納した状態を示す。
【図2】同実施形態におけるスライド型プラスチックケースを示す側面図であって、内ケースを格納した状態を示す。
【図3】同実施形態におけるスライド型プラスチックケースを示す正面図であって、内ケースを引き出した状態を示す。
【図4】同実施形態におけるスライド型プラスチックケースを示す一部破断線を含む側面図であって、内ケースを引き出した状態を示す。
【図5】同実施形態におけるスライド型プラスチックケースの外ケースを示す正面図。
【図6】同実施形態におけるスライド型プラスチックケースの外ケースを示す背面図。
【図7】同実施形態におけるスライド型プラスチックケースの外ケースを示す側面図。
【図8】同実施形態におけるスライド型プラスチックケースの外ケースを示し、(a)は外ケースの軸線方向他端部を軸線方向に見た図、(b)は(a)のA−A線断面図。
【図9】同実施形態におけるスライド型プラスチックケースの外ケースの展開図。
【図10】同実施形態におけるスライド型プラスチックケースの内ケースを示す正面図。
【図11】同実施形態におけるスライド型プラスチックケースの内ケースを示す背面図。
【図12】同実施形態におけるスライド型プラスチックケースの内ケースを示す側面図。
【図13】同実施形態におけるスライド型プラスチックケースの内ケースを示し、(a)は内ケースの軸線方向一端部を軸線方向に見た図、(b)は(a)のB−B線断面図。
【図14】同実施形態におけるスライド型プラスチックケースの内ケースの展開図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係るスライド型プラスチックケースについて、図1〜図14を参酌しつつ説明する。本実施形態に係るスライド型プラスチックケースは、プラスチックシートから折り曲げ形成された外ケース1と内ケース2を備えている。内ケース2は、外ケース1にスライド自在に挿入される構成とされて、図1及び図2に示すように外ケース1の内側にその略全体が格納され、また、その格納状態から図3及び図4に示すような所定の引き出し位置まで引き出すことができる。以下、外ケース1と内ケース2について順に説明する。
【0016】
外ケース1は、図5及び図6に示すように、全体として、内ケース2のスライド方向(以下単にスライド方向)に長い形状であって、正面視において略長方形状である。該外ケース1は、一端開口他端閉塞の扁平筒状である。具体的には、外ケース1は、互いに対向した一対の主壁面10,11を備えている。該一対の主壁面10,11は全体として略長方形状であるが、図8のように、スライド方向に対して直交する方向の横断面視においては、その外面側が凸となるように膨出した湾曲形状となっている。
【0017】
また、外ケース1は、両主壁面10,11の側縁同士を連結する側壁面を有していないものであって、その両側縁部12はプラスチックシートが折り返されたシート折り曲げ部により構成されている。即ち、両主壁面10,11間の離間距離は、幅方向中央において最も長く、そこから両側縁部12に向けて徐々に短くなり、両側縁部12においてはシート折り返し部によって側方に尖った形状となっている。このように、外ケース1は、幅方向の寸法に対して厚さ方向の寸法(両主壁面10,11間の離間方向)が小さい扁平筒状である。尚、外ケース1の両側縁部12を構成するシート折り返し部は、正面側の主壁面10(一方の主壁面)の両側縁からそれぞれ延設された糊代片13が折り返されることにより形成されており、両糊代片13は背面側の主壁面11(他方の主壁面)の外面に接着剤や両面テープ等により固着されている。該両糊代片13は外ケース1の略全長に亘って設けられていて、その幅はそれぞれ背面側の主壁面11の幅に対して略1/3程度である。
【0018】
かかる外ケース1の一端は開口部であるが、該一端開口部14において、図5に示すように、正面側の主壁面10の一端縁には切欠部16が形成されている。該切欠部16は、例えば略半円状であって、親指等の指先に合った大きさに形成されている。また、背面側の主壁面11の一端縁の略中央には図6に二点鎖線にて示すように外係止片17(係止部)が延設されていて、該外係止片17が図5乃至図7に示すように一端縁において内側に折り返されている。該外係止片17は、例えば略矩形であって、外ケース1の単体では、図7に示すように、背面側の主壁面11の内面に重なり合うのではなく、プラスチックシートの弾性復元力によって付勢されて背面側の主壁面11の内面から所定角度浮き上がっている。
【0019】
また、外ケース1の他端は閉塞部であり、該他端閉塞部15は、両主壁面10,11の他端縁同士が所定以上の離間距離を保持できるように突っ張る突っ張り壁として機能している。具体的には、図8に示すように、外ケース1の他端閉塞部15は両主壁面10,11の他端縁同士を連結する外連結片を備えている。該外連結片は、両主壁面10,11間の中途部において谷折り(内面側凸)に折り曲げられ、該折り曲げ部50を介して正面側の主壁面10側に位置する第一外連結片部51と背面側の主壁面11側に位置する第二外連結片部52に区分けされる。そして、第一外連結片部51は正面側の主壁面10の内面に略沿うあるいはそれとの間の角度が小さくなるように傾倒しており、第二外連結片部52は背面側の主壁面11から正面側の主壁面10に向けて90度に近い角度で起立している。
【0020】
第二外連結片部52は、外ケース1の横断面形状とほぼ同じ形状に形成されている。即ち、第二外連結片部52は、背面側の主壁面11の他端縁から延設されているが、その幅方向中央において最も延設寸法が大きく側方に向けて徐々に延設寸法が小さくなっている。そして、第二外連結片部52は幅方向に沿って内面側凸に湾曲しており、従って、幅方向の中央の位置において最も一端側に位置している。該第二外連結片部52が突っ張り壁となって両主壁面10,11間の離間距離を保持している。
【0021】
一方、第一外連結片部51は、正面側の主壁面10の他端縁の中央部分から延設されて正面側の主壁面10よりも幅が狭く、折り曲げ部50を介して第二外連結片部52の中央部分と連続している。該第一外連結片部51は、正面側の主壁面10と共に指先(例えば親指と人差し指)で摘むことができる摘み部53を構成している。
【0022】
また、第一外連結片部51の両側にはカバー片部54がそれぞれ連続的に設けられている。該左右のカバー片部54も正面側の主壁面10の他端縁から延設されていて互いに左右対称形状であって、第二外連結片部52の外側に重なるように位置している。該カバー片部54が設けられていることにより、他端閉塞部15の隙間から外ケース1の内部にゴミ等が侵入することを防止できる。
【0023】
かかる構成の外ケース1は、フリーな状態においては図7に示すように他端側から一端側に向けて徐々に厚さが薄くなる。即ち、一端開口部14に向けて徐々に扁平の度合いが強くなって薄く押しつぶれた状態となる。
【0024】
かかる外ケース1は、図9に示すような展開形状に裁断された一枚のプラスチックシートを折り曲げて形成されている。図9に示す破線が折り曲げ部分であってそこには各種の折り曲げ罫線が形成されている。
【0025】
一方、内ケース2は、外ケース1と同様の構成である。内ケース2は、図10及び図11に示すように、全体としてスライド方向に長い形状であって正面視において略長方形状である。該内ケース2は、一端閉塞他端開口の扁平筒状であって、互いに対向した一対の主壁面20,21を備えている。該一対の主壁面20,21は全体として略長方形状であり、図14のようにスライド方向に対して直交する方向の横断面視においては、その外面側が凸となるように膨出した湾曲形状となっている。尚、外ケース1とは異なり、内ケース2の正面側の主壁面20には、外ケース1から図3のように所定位置まで引き出した際において内ケース2に収納した被収納物を出し入れできる取り出し口28が形成されている。該取り出し口28は、スライド方向に沿って長い略長方形状に形成されていて、図3のように所定位置まで引き出した状態においてその全体が外ケース1から表出する。
【0026】
また、内ケース2も外ケース1と同様に両主壁面20,21の対向する側縁同士を連結する側壁面を有していないものであって、その両側縁部22はプラスチックシートが折り返されたシート折り曲げ部により構成されている。即ち、両主壁面20,21間の離間距離は、幅方向中央において最も長く、そこから両側縁部22に向けて徐々に短くなり、両側縁部22においてはシート折り返し部によって側方に尖った形状となっている。このように、内ケース2は幅方向の寸法に対して厚さ方向の寸法が小さい扁平筒状である。尚、内ケース2の両側縁部22を構成するシート折り返し部は、正面側の主壁面20の両側縁からそれぞれ延設された糊代片23が折り返されることにより形成されており、両糊代片23は背面側の主壁面21の外面に接着剤や両面テープ等により固着されている。該糊代片23は内ケース2の略全長に亘って設けられていて、その幅は背面側の主壁面21の幅に対して略1/3程度である。但し、外ケース1とは異なり、内ケース2の糊代片23は、図11に示すように、背面側の主壁面21の一端縁よりも僅かにスライド方向に突出している。
【0027】
かかる内ケース2の一端は閉塞部であり、該一端閉塞部24は、外ケース1の他端閉塞部15と同様の構成を有している。即ち、一端閉塞部24は、両主壁面20,21の一端縁同士が所定以上の離間距離を保持できるように突っ張る突っ張り壁として機能している。具体的には、図13に示すように、内ケース2の一端閉塞部24は両主壁面20,21の一端縁同士を連結する内連結片を備えている。該内連結片は、両主壁面20,21間の中途部において谷折りに折り曲げられ、該折り曲げ部60を介して正面側の主壁面20側に位置する第一内連結片部61と背面側の主壁面21側に位置する第二内連結片部62に区分けされる。そして、第一内連結片部61は正面側の主壁面20の内面に略沿うあるいはそれとの間の角度が小さくなるように傾倒し、第二内連結片部62は背面側の主壁面21から正面側の主壁面20に向けて90度に近い角度で起立している。
【0028】
第二内連結片部62は、背面側の主壁面21の一端縁から延設され、その幅方向中央において最も延設寸法が大きく側方に向けて徐々に延設寸法が小さくなっており、内ケース2の横断面形状とほぼ同じ形状とされている。そして、第二内連結片部62は幅方向に沿って内面側凸に湾曲していて、幅方向の中央の部分が最も他端側に位置している。該第二内連結片部62が突っ張り壁となって両主壁面20,21間の離間距離を保持している。また、第一内連結片部61は、正面側の主壁面20の一端縁の中央部分から延設されて正面側の主壁面20よりも幅が狭く、折り曲げ部60を介して第二内連結片部62の中央部分と連続している。該第一内連結片部61は、正面側の主壁面20と共に指先で摘むことができる摘み部63を構成している。また、第一内連結片部61の両側にはカバー片部64がそれぞれ設けられ、該左右のカバー片部64も正面側の主壁面20の一端縁から延設されていて互いに左右対称形状であって、第二内連結片部62の外側に重なるように位置している。
【0029】
一方、内ケース2の他端は開口部であり該他端開口部25において、図11に二点鎖線で示すように背面側の主壁面21の他端縁の略中央には内係止片27(係止部)が延設されていて、該内係止片27は図12に示すように背面側の主壁面21の他端縁において外側に折り返されている。該内係止片27は、例えば略矩形であって外ケース1の外係止片17と略同幅である。また、内係止片27は、内ケース2の単体では、図11に示すようにプラスチックシートの弾性復元力によって付勢されて背面側の主壁面21の外面から所定角度浮き上がっている。
【0030】
この内ケース2もフリーな状態においては図12に示すように一端側から他端側に向けて徐々に厚さが薄くなる。即ち、他端開口部25に向けて徐々に扁平の度合いが強くなって薄く押しつぶれた状態となっている。かかる内ケース2も外ケース1と同様に、図14に示すような展開形状に裁断された一枚のプラスチックシートを折り曲げて形成されている。図14に示す破線が折り曲げ部分であってそこには各種の折り曲げ罫線が形成されている。
【0031】
尚、プラスチックシートには種々のものが使用可能であり、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラートなどのポリエステル系、ポリスチレン系、ポリアミド系などからなるシートが使用できる。その中でも、被収容物(内容物)を外部から視認できる程度の透明性と内ケース2のスライドをスムースに行うための適度な弾性復元力(剛性)を有するポリオレフィン系及びポリエステル系のシートが好ましく、透明性に優れたポリプロピレン製シート及びポリエチレンテレフタラート製シートがより好ましい。特に、ポリエチレンテレフタラート製シートは比較的剛性が高く、シート厚みを低減しても適度な弾性復元力(剛性)を維持できる点でより好ましい。更に、印刷を施したものも使用可能である。尚、シートの厚さは、0.1mm〜1.0mm程度が好ましく、特に0.2mm〜0.6mm程度がより好ましい。
【0032】
このようなプラスチックシートからそれぞれ組み立てられた外ケース1と内ケース2を合体させて一つのプラスチックケース(クリアケース)とする。即ち、外ケース1の一端開口部14から内ケース2の他端側を挿入していく。外ケース1に内ケース2を挿入していく際、外ケース1の両主壁面10,11の内面に内ケース2の両主壁面20,21の外面が摺動していく。挿入長さが短い挿入動作初期の段階では、両ケース1,2の重なり部分が小さく、内ケース2の他端側の厚さも薄いことから、摺動抵抗が比較的小さくてスムーズに挿入することができる。その後、挿入長さの増加と共に徐々に摺動抵抗が増加していき、外ケース1の一端開口部14が内ケース2の両主壁面20,21によって徐々に押し広げられていく。そして、挿入動作終期の段階になると、外ケース1の一端開口部14が内ケース2の一端閉塞部24によって大きく押し広げられて摺動抵抗が一気に増加し、プラスチックシート同士の摺動であるためにしっくり感も伴いながら挿入動作は終了へと向かい、最終的には、内ケース2の他端が外ケース1の他端閉塞部15における第二外連結片部52に当接して止まる。
【0033】
このように、第二外連結片部52に内ケース2の他端が当接することで内ケース2の挿入動作が終了したことを容易に把握することができ、常に一定の格納位置に内ケース2を格納することができる。格納位置の近くになると摺動抵抗が大きくなるが、例えば、指先で内ケース2の一端閉塞部24、特に第二内連結片部62を押すようにして内ケース2を容易に押し込むこともできる。特に、内ケース2の摘み部63を親指と人差し指で挟むようにして摘んで内ケース2を挿入していく場合には、同時に人差し指で第二内連結片部62を押していくこともできる。該第二連結片部は、内ケース2の内部に向けて凹んでいるので、そこを押すことで外ケース1の一端が邪魔にならずに、内ケース2を最後まで容易に挿入することができる。
【0034】
そして、格納状態においては、内ケース2が外ケース1の一端開口部14における両主壁面10,11を内面側から押圧するので、内ケース2がぐらつくことなく保持される。従って、不用意に内ケース2が外ケース1から出ていくということを防止することができる。特に、起立している第二内連結片部62が突っ張り壁となっているので、内ケース2がしっかりと格納され、プラスチックケースを押しつぶそうとする外力に対しても強く十分な強度が確保される。更に、内ケース2の背面側の主壁面21が外係止片17を介して外ケース1の背面側の主壁面11を押圧するので、外係止片17の厚さによって、より一層大きな保持力が得られる。また、格納状態において内ケース2が外ケース1の一端から突出していないので、あたかも一つのケースの如き良好な外観が得られる。しかも、格納状態において内ケース2の正面側の主壁面20の一端と外ケース1の背面側の主壁面11の一端が略面一であるので、そこを底にしてプラスチックケースを自立させることもできる。
【0035】
そして、格納状態から内ケース2を引き出す際には、外ケース1の切欠部16から表出している内ケース2の摘み部63を持って容易に引き出すことができる。その際、外ケース1にも摘み部53が設けられているので、内ケース2の摘み部63と外ケース1の摘み部53をそれぞれ摘むようにして内ケース2を引き出すことができる。尚、格納する場合も同様の操作を行うことができる。そして、格納状態から内ケース2を所定長さ引き出すと、内ケース2による外ケース1の一端開口部14の押圧が解除されるので、その後は、図3及び図4に示す所定の引き出し位置まで内ケース2をスムーズに引き出すことができる。内ケース2が所定の引き出し位置まで来ると、外係止片17と内係止片27が互いに係止して内ケース2のそれ以上の引き出しが阻止される。格納状態では外係止片17が内ケース2に押されて背面側の主壁面11の内面に密着した状態にあるが、内ケース2を引き出すとプラスチックシートの弾性復元力によって外係止片17が背面側の主壁面11の内面から自動的に所定角度浮き上がって係止姿勢となる。従って、内係止片27が係止されずに内ケース2が外ケース1から完全に分離してしまうということがなく、内ケース2が所定の引き出し位置に確実に停止する。そして、内ケース2を引き出すと取り出し口28が外ケース1から表出するので、その取り出し口28から被収納物を取り出すことができ、また収納することもできる。
【0036】
尚、本実施形態では、外ケース1と内ケース2が、両主壁面10,11,20,21間に側壁面を有しない構成であったが、左右に側壁面を有する構成とすることもできる。
【0037】
また、内ケース2の取り出し口28を省略することもでき、他端開口部25から被収納物を出し入れしてもよい。
【0038】
尚、内ケース2の正面側の主壁面20に取り出し口28を形成する場合において、内ケース2の他端を閉塞部としてもよい。
【0039】
また、内ケース2や外ケース1における閉塞部の構成についても種々のものが採用可能であって上述した構成には限定されない。
【符号の説明】
【0040】
1 外ケース
2 内ケース
10 正面側の主壁面
11 背面側の主壁面
12 側縁部
13 糊代片
14 一端開口部
15 他端閉塞部
16 切欠部
17 外係止片(係止部)
20 正面側の主壁面
21 背面側の主壁面
22 側縁部
23 糊代片
24 一端閉塞部
25 他端開口部
27 内係止片(係止部)
28 取り出し口
50 折り曲げ部
51 第一外連結片部
52 第二外連結片部
53 摘み部
54 カバー片部
60 折り曲げ部
61 第一内連結片部
62 第二内連結片部
63 摘み部
64 カバー片部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックシートから折り曲げ形成された外ケースと内ケースとを備え、内ケースは外ケースの一端開口部からスライド自在に挿入され、両ケースは、内ケースのスライド方向に対して直交する横断面視においてそれぞれ外面側凸の湾曲形状に形成された一対の主壁面を備え、内ケースの一端は閉塞部であって該一端閉塞部は内ケースの両主壁面間の離間距離を該一端において所定以下とならないように保持すべく構成され、内ケースを外ケースに格納すると、内ケースが外ケースの一端開口部における両主壁面を内面側から押圧して格納状態が保持されることを特徴とするスライド型プラスチックケース。
【請求項2】
内ケースの一端閉塞部は該内ケースの両主壁面の一端縁同士を連結する内連結片を備え、該内連結片は、内ケースの両主壁面間の中途部において谷折りに折り曲げられて該折り曲げ部を介して一方の主壁面側の第一内連結片部と他方の主壁面側の第二内連結片部に区分けされ、第二内連結片部は内ケースの両主壁面間の離間距離を保持すべく内ケースの他方の主壁面から一方の主壁面に向けて起立し、第一内連結片部は内ケースの一方の主壁面側に傾倒して該一方の主壁面と共に指先で摘むことができる摘み部を構成している請求項1記載のスライド型プラスチックケース。
【請求項3】
外ケースの他端は閉塞部であって該他端閉塞部は外ケースの両主壁面の他端縁同士を連結する外連結片を備え、該外連結片は、外ケースの両主壁面間の中途部において谷折りに折り曲げられて該折り曲げ部を介して一方の主壁面側の第一外連結片部と他方の主壁面側の第二外連結片部に区分けされ、第一外連結片部は外ケースの一方の主壁面と共に指先で摘むことができる摘み部を構成している請求項2記載のスライド型プラスチックケース。
【請求項4】
外ケースの一端側と内ケースの他端側には、内ケースを引き出した際に互いに係止する係止部が形成されている請求項1乃至3の何れかに記載のスライド型プラスチックケース。
【請求項5】
内ケースの他端は開口部であって、内ケースの他方の主壁面における他端縁から係止部としての内係止片が延設されて他端縁で外側に折り返され、外ケースの他方の主壁面における一端縁から係止部としての外係止片が延設されて一端縁で内側に折り返され、内係止片及び外係止片は、プラスチックシートの弾性復元力によって、それぞれ内ケースの他方の主壁面及び外ケースの他方の主壁面から所定角度浮き上がるように付勢され、内ケースの格納状態において、内ケースの他方の主壁面が外係止片を介して外ケースの他方の主壁面を押圧する請求項4記載のスライド型プラスチックケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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