説明

スライド型電子機器

【課題】第1筐体1と第2筐体2とがスライドモジュール3を介して互いに連結されているスライド型電子機器において、部品点数の削減を図る。
【解決手段】本発明に係るスライド型電子機器において、スライドモジュール3は、ベース板とスライド板32を具え、第2筐体2には、スライドモジュール3のスライド板32が閉じ位置及び開き位置の少なくとも一方の位置に達した状態で該スライド板32に摺接すべき端子部材41が配備されている。端子部材41は、スライドモジュール3のスライド板32が前記少なくとも一方の位置に達した状態で該スライド板32に摺接すべき導通部42と、該導通部42と一体に形成されてスライドモジュール3のスライド板32が前記少なくとも一方の位置に達したときに該スライド板32を受け止めるストッパー部43とを具えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の筐体が互いにスライド可能に係合したスライド型電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、第1筐体に対して第2筐体がスライド可能に係合したスライド型電子機器が知られており(特許文献1)、例えば図15に示すスライド型電子機器においては、下側の筐体(8)と上側の筐体(図示省略)とがスライドモジュール(9)によって互いにスライド可能に連結されている。
【0003】
スライドモジュール(9)は、ベース板(91)に対してスライド板(92)がスライド可能に係合して構成されており、ベース板(91)が下側の筐体(8)に固定されると共に、スライド板(92)が上側の筐体に固定されている。
【0004】
図16に示す如く、筐体(8)上には、スライドモジュール(9)のスライド板(92)と摺接して両筐体間の電気的導通を図るべき端子部材(81)と、スライド板(92)をスライド完了位置で受け止めるためのストッパー(82)とが配備されている。
【0005】
上記スライド型電子機器においては、図17に示す如くスライドモジュール(9)のスライド板(92)がスライド完了位置に達する直前では、スライドモジュール(9)のスライド板(92)と端子部材(81)とは互いに離間しているが、図18に示す如く更にスライド板(92)がスライド完了位置に向かってスライドすることにより、スライド板(92)が端子部材(81)と摺接し、その後、スライド板(92)がスライド完了位置に達すると、スライド板(92)が端子部材(81)と摺接したまま、ストッパー(82)に当接して、それ以上のスライドが受け止められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−32098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図15〜図18に示す従来のスライド型電子機器においては、端子部材(81)とストッパー(82)とが別個に設けられているため、部品点数が多くなる問題があった。
そこで本発明の目的は、部品点数の削減が可能なスライド型電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るスライド型電子機器においては、第1筐体(1)と第2筐体(2)とがスライドモジュール(3)を介して互いにスライド可能に連結され、スライドモジュール(3)は、閉じ位置と開き位置の間で互いにスライド可能に係合するベース板(31)とスライド板(32)を具え、ベース板(31)が第2筐体(2)に固定されると共に、スライド板(32)が第1筐体(1)に固定されている。
又、第2筐体(2)上には、スライドモジュール(3)のスライド板(32)が閉じ位置及び開き位置の少なくとも一方の位置に達した状態で該スライド板(32)に摺接すべき端子部材(41)が配備されている。
【0009】
ここで端子部材(41)は、スライドモジュール(3)のスライド板(32)が前記少なくとも一方の位置に達した状態で該スライド板(32)に摺接すべき導通部(42)と、該導通部(42)と一体に形成されたストッパー部(43)とを具え、該ストッパー部(43)は、第2筐体(2)に形成された係止受け部に係止されており、スライドモジュール(3)のスライド板(32)が前記少なくとも一方の位置に達したときに該スライド板(32)を受け止める。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るスライド型電子機器によれば、端子部材(41)に導通部(42)とストッパー部(43)とが一体に形成されているので、端子部材とは別個にストッパーが配備されていた従来の電子機器と比較して、部品点数の削減を図ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の一実施形態であるスライド型電子機器の閉じた状態を示す斜視図である。
【図2】図2は、該スライド型電子機器の閉じた状態を裏返して示す斜視図である。
【図3】図3は、該スライド型電子機器の開いた状態を示す斜視図である。
【図4】図4は、該スライド型電子機器の開いた状態を裏返して示す斜視図である。
【図5】図5は、該スライド型電子機器の分解斜視図である。
【図6】図6は、図5とは上下逆関係におけるスライド型電子機器の分解斜視図である。
【図7】図7は、スライドモジュールの閉じ位置における斜視図である。
【図8】図8は、スライドモジュールの開き位置における斜視図である。
【図9】図9は、第2筐体の斜視図である。
【図10】図10は、第2筐体から4つの端子部材を分解した状態を示す斜視図である。
【図11】図11は、閉じ位置直前における第2筐体上のスライドモジュールと端子部材の関係を示す斜視図である。
【図12】図12は、閉じ位置における第2筐体上のスライドモジュールと端子部材の関係を示す斜視図である。
【図13】図13は、閉じ位置直前におけるスライドモジュールと端子部材の関係を示す断面図である。
【図14】図14は、閉じ位置におけるスライドモジュールと端子部材の関係を示す断面図である。
【図15】図15は、従来のスライド型電子機器における筐体上のスライドモジュールを示す斜視図である。
【図16】図16は、同上の要部を拡大して示す斜視図である。
【図17】図17は、従来のスライド型電子機器の閉じ位置直前におけるスライドモジュールと端子部材の関係を示す断面図である。
【図18】図18は、閉じ位置における同上の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明の一実施形態であるスライド型電子機器は、図1〜図4に示す如く、第1筐体(1)と第2筐体(2)とを互いにスライド可能に連結して構成され、図1及び図2に示す閉じ状態と、図3及び図4に示す開き状態との間で、開閉が可能である。
【0013】
図3の如く第1筐体(1)の表面には複数の操作キー(11)が配備される一方、第2筐体(2)の表面には画面(21)が配備されており、閉じ状態と開き状態で画面(21)の視認が可能であると共に、開き状態で操作キー(11)の操作が可能となる。
図2及び図4の如く、第1筐体(1)の背面には、透明樹脂板からなる撮影窓(44)が設けられると共に、放音孔(17)が開設されている。
【0014】
図5及び図6に示す如く、第1筐体(1)は、フロントキャビネット(12)とバックキャビネット(13)とを互いに接合して構成され、バックキャビネット(13)の背面には電池蓋(16)が取り付けられる。
フロントキャビネット(12)は、インサート成型によって互いに一体化された樹脂成型部(14)とインサート板金部(15)とから構成される。
【0015】
第1筐体(1)の内部には、電池(10)と、アンテナモジュール(4)と、基板アセンブリ(5)とが収容される。基板アセンブリ(5)は、シールド板(51)と回路基板(52)とから構成される。
尚、フロントキャビネット(12)とバックキャビネット(13)とは複数本のビス(72)を用いて互いに締結される。
【0016】
第2筐体(2)は、フロントキャビネット(22)とバックキャビネット(23)とを互いに接合して構成され、フロントキャビネット(22)の表面には、液晶表示モジュール(6)が設置され、該液晶表示モジュール(6)を覆って、前記画面(21)を形成する透明板からなるスクリーン(61)が固定される。
【0017】
第2筐体(2)の内部には、液晶表示モジュール(6)を第1筐体(1)内の回路基板(52)と接続するためのフレキシブルリード(55)が配備される。
尚、フロントキャビネット(22)とバックキャビネット(23)とは複数本のビス(71)を用いて互いに締結される。
【0018】
そして、第1筐体(1)のフロントキャビネット(12)と第2筐体(2)のバックキャビネット(23)とがスライドモジュール(3)によって互いにスライド可能に連結される。
【0019】
スライドモジュール(3)は、図7及び図8に示す如く、金属製のベース板(31)と、該ベース板(31)に対してスライド可能に係合する金属製のスライド板(32)と、ベース板(31)に対してスライド板(32)をスライド方向に沿う双方向へ付勢するスプリング(33)とから構成される。
【0020】
スライド板(32)の両側部には、左右一対のスライド部(35)(35)が形成され、該一対のスライド部(35)(35)がベース板(31)の両側部にスライド可能に係合している。ベース板(31)の両側部には、スライド板(32)が開き位置から閉じ位置に達したときにスライド板(32)のスライド部(35)(35)の端部が当接すべき2つのフランジ部(36)(36)が突設されている。
【0021】
斯くして、スライド板(32)は、図7に示す閉じ位置と図8に示す開き位置との間で往復移動し、スプリング(33)によって中間位置から各位置へ向かって付勢される。
【0022】
スライドモジュール(3)のベース板(31)は図5及び図6に示す第2筐体(2)のバックキャビネット(23)に固定され、スライドモジュール(3)のスライド板(32)は第1筐体(1)のフロントキャビネット(12)に固定される。
【0023】
スライドモジュール(3)のスライド板(32)は、複数本のビス(7)によって、第1筐体(1)のフロントキャビネット(12)に固定される。具体的には、スライド板(32)の外周部に沿って分散する複数箇所にて、複数本のビス(7)が第1筐体(1)のフロントキャビネット(12)のインサート板金部(15)から、スライドモジュール(3)のスライド板(32)にねじ込まれる。
【0024】
図9及び図10に示す如く、第2筐体(2)には、その四隅に、ステンレス鋼製のバネ板からなる4つの端子部材(41)〜(41)が設置される。
端子部材(41)は、図11及び図12に示す如く、スライドモジュール(3)のスライド板(32)が閉じ位置又は開き位置に達した状態で該スライド板(32)に摺接すべき導通部(42)と、該導通部(42)と一体に形成されたストッパー部(43)とを具えている。
【0025】
端子部材(41)のストッパー部(43)は、図13及び図14に示す様に、第2筐体(2)のバックキャビネット(23)に突設された合成樹脂製のボス(24)に係止されている。
【0026】
図13に示す如く、スライドモジュール(3)のスライド板(32)が開き位置から閉じ位置に向かってスライドし、閉じ位置に達する直前では、スライドモジュール(3)のスライド板(32)と端子部材(41)の導通部(42)とは互いに離間しているが、図14に示す如く更にスライド板(32)が閉じ位置に向かってスライドすることにより、スライド板(32)が端子部材(41)の導通部(42)と摺接すると共に、スライド板(32)が閉じ位置に達することにより該スライド板(32)の端部がストッパー部(43)に当接して、それ以上のスライドが受け止められる。
【0027】
また同様に、スライドモジュール(3)のスライド板(32)が閉じ位置から開き位置に向かってスライドし、開き位置に達する直前では、スライドモジュール(3)のスライド板(32)と端子部材(41)の導通部(42)とは互いに離間しているが、更にスライド板(32)が開き位置に向かってスライドすることにより、スライド板(32)が端子部材(41)の導通部(42)と摺接すると共に、スライド板(32)が開き位置に達することにより該スライド板(32)の端部がストッパー部(43)に当接して、それ以上のスライドが受け止められる。
【0028】
上記スライド型電子機器によれば、図1及び図2に示す閉じ状態でスライドモジュール(3)のスライド板(32)が2つの端子部材(41)(41)の導通部(42)(42)と摺接して、両筐体(1)(2)間の電気的導通が図られると共に、図3及び図4に示す開き状態でスライドモジュール(3)のスライド板(32)が他の2つの端子部材(41)(41)の導通部(42)(42)と摺接して、両筐体(1)(2)間の電気的導通が図られる。
【0029】
上述の如く、端子部材(41)には、導通部(42)とストッパー部(43)とが一体に形成されているので、従来の如くストッパーを端子部材とは別個に配備する構成と比較して、部品点数を4つ削減することが可能である。
【0030】
又、落下などによって第1筐体(1)に対して第2筐体(2)が開き状態から閉じ状態まで勢いよくスライドした場合、図7に示すスライド板(32)のスライド部(35)の端部がベース板(31)のフランジ部(36)に衝突して、この部分に変形が生じる虞があり、開き状態でこの変形部分が露出してしまう問題があるが、上記スライド型電子機器によれば、先ずスライド板(32)が端子部材(41)のストッパー部(43)によって受け止められることにより衝撃力が吸収されるので、ベース板(31)とスライド板(32)との衝突による変形が防止される。
【0031】
特に閉じ位置にてスライドモジュール(3)のスライド板(32)が摺接すべき端子部材(41)については、該端子部材(41)のストッパー部(43)によってスライド板(32)を受け止めた直後に、スライド板(32)のスライド部(35)がベース板(31)のフランジ部(36)に当接する構成を採用することにより、上述の衝撃力の作用を分散させることが出来るので、ベース板(31)とスライド板(32)との衝突による変形を効果的に防止することが出来る。
【0032】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、本発明は、第1筐体(1)と第2筐体(2)とが入れ替わった構成、即ち、スライドモジュール(3)のベース板(31)が第1筐体(1)に固定されると共に、スライド板(32)が第2筐体(2)に固定されているスライド型電子機器に実施することも可能である。
【符号の説明】
【0033】
(1) 第1筐体
(12) フロントキャビネット
(13) バックキャビネット
(14) 樹脂成型部
(15) インサート板金部
(18) フック受け部
(2) 第2筐体
(22) フロントキャビネット
(23) バックキャビネット
(24) ボス
(3) スライドモジュール
(31) ベース板
(32) スライド板
(33) スプリング
(35) スライド部
(36) フランジ部
(41) 端子部材
(42) 導通部
(43) ストッパー部
(5) 基板アセンブリ
(52) 回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の筐体がスライドモジュールを介して互いにスライド可能に連結され、スライドモジュールは、閉じ位置と開き位置の間で互いにスライド可能に係合するベース板とスライド板を具え、ベース板が一方の筐体に固定されると共に、スライド板が他方の筐体に固定されており、前記一方の筐体には、スライドモジュールのスライド板が閉じ位置及び開き位置の少なくとも一方の位置に達した状態で該スライド板に摺接すべき端子部材が配備されているスライド型電子機器において、
前記端子部材は、スライドモジュールのスライド板が前記少なくとも一方の位置に達した状態で該スライド板に摺接すべき導通部と、該導通部と一体に形成されたストッパー部とを具え、該ストッパー部は、前記一方の筐体に形成された係止受け部に係止されており、スライドモジュールのスライド板が前記少なくとも一方の位置に達したときに該スライド板を受け止めることを特徴とするスライド型電子機器。
【請求項2】
スライドモジュールのスライド板の両側部には、スライド方向に延びる左右一対のスライド部が形成され、該一対のスライド部がベース板の両側部にスライド可能に係合し、前記一方の筐体には、前記一対のスライド部が閉じ位置に達したときに各スライド部の一方の端部が当接すべき2つの位置と、前記一対のスライド部が開き位置に達したときに各スライド部の他方の端部が当接すべき2つの位置のそれぞれに、前記端子部材が配備されている請求項1に記載のスライド型電子機器。
【請求項3】
前記係止受け部は、前記一方の筐体に突設された樹脂製のボスによって構成されている請求項1又は請求項2に記載のスライド型電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−248950(P2012−248950A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117110(P2011−117110)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】