説明

スライド染色装置用の試薬パック

【課題】組織の自動染色装置の操作を簡単にすること。
【解決手段】検体スライド(710)を準備する方法および装置が開示される。本発明のこの方法および装置は、少なくとも1つの検体スライド(710)およびそれに関連付けられた試薬パック(720)の受容器を有するスライド・トレー(700)を使用する。検体スライド(710)および(または)試薬パックは、続いて行われるべき特定のスライド準備工程を明記した識別票(420)を含む。この方法および装置は、特定のスライド準備工程を決定するために識別票(420)を読み取り、その後特定のスライド準備工程に従って検体スライドを準備する。この装置は試薬パック(400)から特定のスライド準備工程に必要な試薬の全てまたは幾つかを得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療実験装置の分野に関する。特に本発明は、組織検体の染色および細胞準備のための全自動システムを開示する。
【背景技術】
【0002】
医療研究所の一般的な機能は、細胞および細胞組織を顕微鏡下で試験することである。個々の細胞と背景基質(マトリックス)との間、または細胞の個々の部分の間のコントラストの不足は、細胞試験および組織準備を困難にする。このコントラストを改善するために、研究員は試験すべき細胞および組織検体に染料を与えている。この染料は細胞内の各種の構造部分による吸収が異なり、したがってさまざまな細胞構造部分の間のコントラストが改善される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
組織検体の染色は長時間を必要とする処理である。しばしば、多数の異なる染色および洗浄ステージが要求される。それぞれのステージは特定量の試薬または緩衝剤を必要とし、特定の長さの時間を使用する。したがって、このような作業を実施するために訓練された技術者がしばしば使われる。さらに、病院および研究所は、患者を診断するために非常に多数の組織検体を染色しなければならない。したがって、自動化された組織染色システムが開発されてきている。この処理を自動化することで、高価につく人的労力が解消される。さらに、検体の自動染色は、染色処理時に間違いが生じる可能性を大幅に減少させる。
【0004】
適当な染色処理が継続されることを保証するために、大半の自動染色システムは使用者が染色工程を注意して入力し、適当な試薬を装填することを必要としている。複雑な手順は、そのような装置が効果的に作動できるまで、使用者に訓練を要求する。したがって組織の自動染色装置の操作を簡単化することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
検体スライドを準備する方法および装置が開示される。本発明の方法および装置は、少なくとも1つの検体スライドおよびそれに関連された試薬パックのための受容器を有するスライド・トレーを使用する。検体スライドおよび(または)試薬パックは、続いて行われるべき特定のスライド準備工程を明記した識別票を含む。この方法および装置は、特定のスライド準備工程を決定するために識別票を読み取り、その後その特定のスライド準備工程に従って検体スライドを準備する。この装置は特定のスライド準備工程で必要とされる試薬の幾つかまたは全てを試薬パックから得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1A】第1の傾動可能なシンク組立体の断面図を示す。
【図1B】傾動シンク組立体が右に傾けられた状態の図1Aの傾動可能なシンク組立体を示す。
【図1C】傾動シンク組立体が左に傾けられた状態の図1Aの傾動可能なシンク組立体を示す。
【図2A】第2の傾動可能なシンク組立体の実施例の断面図を示す。
【図2B】傾動シンク組立体が右に傾けられた状態の図2Aの傾動可能なシンク組立体を示す。
【図2C】傾動シンク組立体が左に傾けられた状態の図2Aの傾動可能なシンク組立体を示す。
【図3】自動染色装置の内部の流体流通部材の概念的な系統図を示す。
【図4a】本発明の自動染色装置用の試薬パックの第1の配列を示す。
【図4b】本発明の自動染色装置用の試薬パックの第2の配列を示す。
【図5a】4ウェル型試薬パックまたは本発明の自動染色装置を示す。
【図5b】6ウェル型試薬パックまたは本発明の自動染色装置を示す。
【図5c】8ウェル型試薬パックまたは本発明の自動染色装置を示す。
【図6a】バルク・パッケージ型試薬パックの第1の実施例を示す。
【図6b】バルク・パッケージ型試薬パックの第2の実施例を示す。
【図7a】4つのスライドを準備するためのスライドおよび試薬パックの組み合わされた棚の前面図を示す。
【図7b】4つのスライドを準備するためのスライドおよび試薬パックの組み合わされた棚の後面図を示す。
【図8A】自動染色装置の全体的な作動の系統図を示す。
【図8B】自動染色制御プログラムのスライド工程スケジュール・システムの系統図の要約を示す。
【図9a】現行スケジュール・アレー(CSA)に新たなスライドを追加することの詳細を説明する系統図を示す。
【図9b】現行スケジュール・アレー(CSA)に新たなスライドを追加することの詳細を説明する系統図を示す。
【図9c】現行スケジュール・アレー(CSA)に新たなスライドを追加することの詳細を説明する系統図を示す。
【図9d】現行スケジュール・アレー(CSA)に新たなスライドを追加することの詳細を説明する系統図を示す。
【0007】
本発明の他の目的、特徴および利点は、図面および以下の詳細な説明から明白となるであろう。
【0008】
本発明の目的、特徴および利点は以下の詳細な説明に鑑みて当業者に明白となるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0009】
組織検体を自動染色する方法および装置が開示される。以下の説明で、説明を目的として、本発明の完全な理解を得るために特定の専門用語が記載される。しかしながら当業者には、それらの特定の詳細内容は本発明を実施するために必要でないことが明白となるであろう。例えば、本発明は組織検体の染色を引用して説明されるが、同じ技術を他の形式のスライド準備作業に容易に適用することができる。
【0010】
(自動染色ハードウェア)
本発明は自動化した染色において利点を有する。自動スライド染色装置の例は1998年11月17日付けで付与された「組織の自動染色方法および装置」と題する米国特許第5839091号の最初の図に見い出せる。その特許の記載内容の全てを本明細書に援用する。自動染色システムは、ガラススライド上に置かれた組織検体を染色することに使用される。本発明は幾つかの異なるスライド棚を使用し、各々のスライド棚は1以上のスライドを保持する。一実施例では、6つのスライド棚があり、各々のスライド棚は4つのスライドを保持でき、したがってこの自動染色装置は24の異なるスライドを同時に準備することができる。
【0011】
自動染色装置はロボット型配給システムを使用し、このシステムは充填試薬、少量供給試薬、緩衝液および空気をガラススライドに付与する。ロボット型配給システムはコンピュータ・システムによって制御される。コンピュータ・システムは自動染色制御プログラムを実行し、制御指令を送ってロボット型配給システムを制御する。一実施例では、自動染色装置のロボット型配給システムはX軸機構、Y軸機構、およびZヘッドを米国特許第5839091号に示されるように含んで構成される。Zヘッドは、少数の選ばれた充填試薬および緩衝洗浄液を配給する充填流体配給チューブと、スライドに空気を吹き付ける空気ブレードと、ガラス・スライド上に置かれる試薬を採り上げるための注射器プローブとを有する。
【0012】
汚染を防止するために、注射器プローブは異なる試薬が使用される中間において試薬プローブ洗浄ビン内で洗浄される。洗浄ビンは3つのステージで使用される3つの異なる受容器を有する。第1の穴は、プローブ内部を通して充填洗浄液を下方の第1のドレン受容器へ推し流すことで、プローブ内部を洗浄することに使用される。第2の受容器は、プローブが緊密に制限された第2の受容器の中にある状態で、プローブ内部を通して緩衝洗浄液を推し流し、緩衝液がプローブの外部へ推し上げられるようにすることで、プローブ外面を洗浄することに使用される。最後に、プローブは第3の受容器内に配置され、プローブを通して空気が推し流されて緩衝洗浄液を除去する。
【0013】
自動染色装置のスライド棚の下方にシンク組立体が配置される。シンク組立体はスライドから滴り落ちた試薬および緩衝清浄液を受け取る。図1Aは、シンク組立体の第1の実施例の断面図頂視図である。図1Aに示されるように、傾動可能なシンク210はスライド棚(図示せず)の支持ブラケットの下方に装着される。傾動可能なシンク210は傾動機構220を使用して左または右に傾けられる。傾動可能なシンク210が図1Bに示すように右側に傾けられると、スライドからこぼれた全ての廃液は右側のドレン穴231から排出され、蛇腹チューブ241およびドレン・パイプ251を通り、最後に廃棄ライン#1(図示せず)へ至る。同様に傾動可能なシンク210が図1Cに示すように左側に傾けられると、全ての廃液はドレン穴232から排出され、蛇腹チューブ242およびドレン・パイプ252を通り、最後に廃棄ライン#2(図示せず)へ至る。図1A〜図1Cに示すように、2つの廃棄ラインは同じ位置で適当に装置から出る。
【0014】
本発明の傾動可能なシンク・システムにより、本発明は異なる形式の排液を異なる廃棄ラインへ送ることができ、したがって第1の廃棄ラインは危険のない排液を取り出すために使用され、他の廃棄ラインは危険な廃液を取り出すために使用できる。危険のない廃液ラインは下水パイプへ簡単に連結することができる。危険な廃液ラインは適当に配置される危険廃液容器に連結されねばならない。
【0015】
図2A〜図2Cは傾動可能なシンク・システムの代替実施例を示している。図2A〜図2Cを参照すれば、ドレン・ラインは真っ直ぐ下方へ延在し、2つの廃棄ラインは別の位置から出ている。
【0016】
(流体流通部材)
幾つかの他の部材も自動染色装置の内部に配置されている。図3は自動染色装置の流体流通部材の概念的な系統図である。図3を参照すれば、自動染色装置のZヘッド組立体に配置された3つの異なる出口装置は空気または流体をスライドへ配給する。
【0017】
第1の出口装置は充填流体配給チューブ321である。充填流体配給チューブ321は比較的大量の流体をスライドへ配給することに使用される。充填流体配給チューブ321は緩衝剤供給源301から緩衝剤を、または内部の充填試薬供給源302,303,304から試薬を配給する。配給される特定流体は8路分配バルブ331で選ばれる。
【0018】
第2の出口装置は試薬配給プローブ322である。試薬配給プローブ322は注射器ポンプ340を使用して特定の試薬を吸入した後、その吸入試薬を特定のスライドに配給する。試薬配給プローブ322が別の試薬で汚染されることを防止するために、自動染色装置は試薬配給プローブ322を洗浄する。特に、自動染色装置は最初に、3路バルブ332を使用し、試薬配給プローブ322を通して緩衝液を推し流すことによって、試薬配給プローブ322をフラッシュ洗浄する。その後、自動染色装置は3路バルブ333を使用し、試薬配給プローブ322を通して空気を推し流すことにより、試薬配給プローブ322を乾燥させる。
【0019】
第3の出口装置は空気ブレード323である。空気ブレード323はスライドを乾燥させるため、また余分な試薬を吹き飛ばすために使用される。
【0020】
(自動染色装置用の試薬パック)
作動を簡単化するために、本発明は非常に簡略化された作動を自動染色システムに導入する。本発明の自動染色システムを使用するために、使用者は1組のスライドを簡単に加え、各々のスライドは特定のスライド準備工程で必要とされる試薬を収容している特定の試薬パックに同行する。試薬パックはさらに、遂行されるべきスライド準備を識別する情報を含んでいる。
【0021】
図4aは本発明の自動染色システムで使用される試薬パックの第1の実施例を示す。図4aに示されるように、試薬パックは試薬を収容する1組のウェル(図4aでは401〜406)を備えた容器を含む。容器はカバー410を使用して密閉されている。カバー410は遂行すべきスライド準備工程を識別するためにバーコード411のような識別マークを含むことができる。カバー410はウェル401〜406内の試薬を保護および保持し、さらに必要とされるときに、試薬配給プローブ322がそのカバーを刺し通して試薬にアクセスすることができる。
【0022】
カバー410は第2のバーコード識別ステッカー420をさらに含んでいる。バーコード識別ステッカー420は使用されるスライドに直接配置され、これにより自動染色装置が遂行すべきスライド準備工程を自動的に知ることができる。
【0023】
図4bは代替実施例の試薬パック490を示す。図4bの代替実施例では識別票431,441はウェル401〜406のラインに平行に配置されている。散乱似たの実施例(図示せず)では、傾動シンクは4つのドレン穴を有して形成され、各コーナーに1つの穴が配置される。このような実施例では、4つの異なる廃棄システムが使用できる。
【0024】
本発明の自動染色システムは、全く数の異なる試薬を必要とする多数の異なるスライド準備工程を扱うことができる。図5a、図5bおよび図5cは異なる工程用の異なる寸法の試薬パックを示している。図5aは簡単なスライド準備に使用される簡単な4ウェル型の試薬パックを示す。図5aは図4aの6ウェル型試薬パックを示す。図5cは複雑なスライド準備工程に使用される8ウェル型試薬パックを示す。
【0025】
自動染色装置は表示に多数のスライド準備を遂行するために使用される。各々のスライド準備は試薬パックを必要とする。簡単に購入できるようにするために、試薬パックは大量パッケージとして購入される。図6aは1つの可能とされる大量パッケージを示しており、幾つかの試薬パックが切取線を有する個々の試薬パックからなる二次元マトリックスとして販売される。図6bは他の大量パッケージを示しており、幾つかの試薬パックは個々の試薬パックが連結されたストリップとして販売される。
【0026】
(修正装置のスライド棚)
本発明の自動染色装置用のスライド棚は、使用が簡単で、最大限の融通性を得られるように設計されている。図7aは本発明の自動染色装置に使用できる1つの可能とされるスライド棚の前面図を示す。スライド棚700は4つのスライド位置を有しており、したがってスライド棚700は4つのスライド710を保持できる。他のスライド棚の実施例は4つよりも多数または少数のスライドを保持できる。スライドは標準的な米国または国際的なスペーサのスライドとされる。スライド棚700は隣接するスライド位置に関連付けられる試薬パック720を保存するための4つの試薬位置をさらに含む。図7bはスライド棚700の後面図を示す。
【0027】
(自動染色装置の制御およびプログラミング)
これまで説明したように、自動染色装置はコンピュータ・システムによって制御される。この実施例では、コンピュータ・システムはPCIバスを備えたマザーボードの標準的パソコン(PC)を基本とする。このコンピュータ・システムは自動染色装置の作動を制御するために自動染色装置制御プログラムをランする。
【0028】
自動染色装置制御プログラムは、安全、自動スライド工程プログラミング、制御およびロギングの多数の特性を満たす精巧な制御プログラムである。この自動染色装置制御プログラムを完全に記載するために、本明細書は自動染色装置のサンプル的な使用を通して説明を進める。
【0029】
(使用者による装填)
自動染色装置を作動させるには、使用者はスライド検体および関連付けされた試薬パックを備えたスライド・トレー(図7aおよび図7bに示されるように)を装填する。一実施例では、使用者は準備されるべき検体スライドに隣接する試薬パック受容器に適当な試薬パックをただ配置する。他の実施例では、使用者は準備すべき検体スライドのつや消し部分に関連付けられた識別票を取り付ける。これは試薬パック400からバーコード・ステッカー420を剥ぎ取った後、それをスライドのつや消し部分に取り付けることで行われる。各スライドに遂行すべき工程の特定のラベルを取り付けることで、誤った試薬パックが検体スライドの隣りに不用意に取り付けられることで生じる間違いは生じない。
【0030】
(スライド準備工程の識別)
1以上のスライド・トレーを装填した後、使用者はラベル付けされたスライド・トレーを自動染色システムに挿入する。その後、使用者は「再始動」入力を操作してスライド準備を開始するように自動染色システムに指令する。使用者が非常に高い優先順位のスライドを自動染色装置に追加したならば、使用者はこのかわりに「STAT」入力を押し、新たなスライドが非常に高い優先順位のものであることを指示する。これにより自動染色システムは、装填されたスライドおよび試薬パックを最初に試験し、遂行すべきスライド準備工程を決定するように作動を開始する。特に、この自動染色システムは全ての識別票(スライドおよび(または)試薬パックに付いている)を読み取った後、遂行すべきスライド準備工程を有する試薬パック上のさまざまな識別票のマップを形成するスライド準備工程データベースを調べる。
【0031】
スライド準備工程データベースはフレキシブルディスクやCD−ROMのような出荷される媒体で定期的にアップデートされるのであり、これらの媒体は自動染色装置の適当なドライブに挿入される。一実施例では、自動染色システムは自動的にデータベース・アップデートを回収するネットワークを使用する。これは電話線にモデムを経て自動染色装置を連結し、自動染色装置がスライド準備工程データベース・アップデートを得るために特定電話番号を呼び出すようにすることで遂行される。代替実施例では、自動染色装置はグローバル・インターネットに連結され、自動染色装置が最新のスライド準備工程データベース情報を保存するサーバーに連結される。これらの実施例のいずれにおいても、自動染色装置は同時にプログラム・アップデートを受け取り、自動染色装置を制御するプログラムが自動的にアップデートされることができる。
【0032】
(スライド染色装置の作動)
使用者が自動染色装置に装填したならば、使用者は染色運転を開始できる。図8Aは自動染色装置を作動させる全体的な手順を示す。図8Aを参照すれば、使用者は段階801でスライド/染料トレーを装填する。その後、使用者は段階802で再始動または始動ボタンを押して装置を始動させる。その後、段階803で遂行しなければならないスライド工程を決定するために、自動染色装置は全てのスライドを試験する。このシステムはスライド上のバーコード・ステッカー402を隣接する試薬パックのカバー410上のバーコード411と比較し、適当な試薬パックが各スライドの隣に配置されていることを保証する。全てのスライドおよび試薬パックを試験した後、システムは開始スケジュールを作成する。自動染色装置が染色スケジュールを作成する詳細は以下に与えられている。
【0033】
染色スケジュールを計算した後、自動染色装置はその作成された染色スケジュールに従ってスライドの処理を開始する。システムは段階805の状態の1つが検出されるまで(またはエラーが起こるまで)、染色作動を継続する。特に、段階805は、染色運転が完全に終わったか、染色運転が部分的に終わったか、または使用者が休止ボタンを押したかを決定する。
【0034】
染色運転が部分的に終わったならば、システムは段階807へ進み、使用者は完了したスライド(単数または複数)の情報を与えられる。使用者はそれらのスライドを取り出して試験できることを望む。
【0035】
使用者が休止ボタンを押したならば、システムは一時的に作動を停止する。これにより使用者は段階801で追加のスライド・トレーを装填することができる。システムは休止状態を保持し、使用者が再始動または始動ボタンを押すまで待機する。使用者が段階802で再始動または始動ボタンを押したならば、システムは段階803へ進み、新たな染色スケジュールを作成する。その後システムは新たな染色スケジュールを使用して、段階804でスライド染色を再開する。
【0036】
段階805へ戻ってこれを参照すれば、システムが染色運転を完全に終えた後、システムは運転を停止する。図8Aに示されるように、休止ボタンおよび再始動/始動ボタンを使用するだけで、使用者は継続的に完了したスライド・トレーを取り出し、また新たなスライド・トレーを継続的に追加することができる。したがって、染色装置は1日中に亘って連続運転することができる。
【0037】
(スライド準備のスケジュール)
遂行する必要のあるスライド準備工程が識別されたならば、自動染色装置の制御プログラムは望まれるスライド工程を遂行するために最も効率の良い配給パターンの計算に進む。
【0038】
図8Bは自動染色装置の制御プログラムが如何にして最も効率の良い配給パターンを計算するかの要約を示す。図8Bを参照すれば、段階810で自動染色装置の制御プログラムはまず運転が既に進行しているかどうかを決定する。運転が既に進行しているならば、自動染色装置の制御プログラムは段階815にて現行スライドをスケジュール・テーブルに追加する。このスケジュール・テーブルは自動染色装置の制御プログラムをプログラミングするのに使用される。
【0039】
次に、段階820で、自動染色装置の制御プログラムは何れかの新たなスライドが追加されていないか、または何れかの既存のスライドが取り出されていないかを決定するために、全てのスライド位置をzヘッド組立体で走査する。未だ工程の出力していないスライドが取り出されていたならば、自動染色装置は使用者にエラーを通知し、使用者がそのスライドを自動染色装置へ戻すことを望むか否かを問う。1以上の新たなスライドが追加されたているならば、図8Bの段階820に示されているように自動染色装置の制御プログラムはそれらのスライドを現行スケジュール・テーブルに追加する。使用者が新たなスライドを「STAT」として指示したならば、それらのアラタに追加されたスライドは最高の優先順位を与えられる。
【0040】
自動染色装置の制御プログラムが満杯のスケジュール・テーブルに追加された後、自動染色装置の制御プログラムは段階830へ進み、自動プログラミングを開始する。段階830では、自動染色装置の制御プログラムはまずスライドを特定の順序にする。一実施例では、自動染色装置の制御プログラムは次の順にスライドの順番を定める。
1.最高の優先順位のスライド(例えばSTATスライド)
2.最長の培養時間
3.番号順
【0041】
その後、システムは良く定められた方法を使用してスライドの再順番付けを進める。図8Bはスライドの1つの可能な番号付けの方法を示す。最初に、段階830の順番の最初のスライドが現行スケジュール・アレー(CAS)を定める。このCASはアラタに提案されたスライド順番を定める。段階845で、この方法はスケジュール・テーブルから次の未スケジュールのスライドを選ぶ。その後、そのスライドを段階850に示されるようにCASに入れる。段階860で、この方法は、CASの現行ステージにそのスライドが適合したかどうかを決定する。CASの現行ステージにスライドが「適合」したかどうかを決定する方法は、図9a〜図9dに完全に定義されている。スライドが適合していないのであれば、この方法は、制御プログラムが残存する全ての未スケジュールのスライドを現行ステージに適合させる試みを行ったかどうかを決定するために段階870へ進む。自動染色装置の制御プログラムが現行スケジュールに入れるように試みなかった未スケジュールのスライドがあるならば、この方法は異なる工程で未スケジュールのスライドを選ぶために段階873へ進む。その後、自動染色装置の制御プログラムは段階85へ戻り、そのスライドを現行ステージに追加することを試みる。
【0042】
段階870で、自動染色装置の制御プログラムがいずれの未スケジュールのスライドを現行スケジュールに適合させることができなければ、自動染色装置の制御プログラムは段階879に示されるように現行スケジュール・アレー(CAS)の次のステージに移動する。その後自動染色装置の制御プログラムは段階845へ戻り、スライドを新たなステージへ配置することを開始する。
【0043】
段階860に戻って参照すれば、各々の新たなスライドがCASに追加された後、自動染色装置の制御プログラムは段階880で示されるように全てのスライドがスケジュールされたどうかを決定する。全てのスライドがスケジュールされているならば、自動染色装置の制御プログラムは現行の最良時間よりも速いスライド処理スケジュールが作成されたかどうかを決定する。自動染色装置の制御プログラムがそれまでの最良時間よりも速いスライド処理スケジュールが作成されたと決定したならば、段階883にて自動染色装置の制御プログラムはその新たに作成されたスケジュールを最良スケジュールとして保存する。段階890で、自動染色装置の制御プログラムは全ての可能なスライド順番が試みられたかどうかを決定する。試みられていなければ、自動染色装置の制御プログラムは段階895へ進み、そこで自動染色装置の制御プログラムはスライド順番を変更するが、指示されたスライドの優先順位は保持する。その後、自動染色装置の制御プログラムは段階840へ進み、新たなスライド・スケジュールを試験する。段階890で、自動染色装置の制御プログラムが全ての可能なスライド順番を試みたと決定したならば(スライドの優先順位は保持する)、自動染色装置の制御プログラムは最良スケジュールに戻る。
【0044】
前述は組織および細胞の自動準備染色を行う方法および装置を記載した。本発明の範囲から逸脱せずに当業者によって本発明の部材の材料および配列に変更および改良を加えることができると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試薬パックが1組のウェルを含み、前記ウェルが特定のスライド準備工程のための試薬を収容しているスライド染色装置用の試薬パックであって、特定のスライド準備工程と関連付けられた識別票を試薬パックがさらに含んでいることを特徴とする試薬パック。
【請求項2】
関連付けられた検体スライドに取り付けるための剥ぎ取り式ステッカーを識別票が含んでいる請求項1に記載された試薬パック。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【図9d】
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【公開番号】特開2013−40974(P2013−40974A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−262302(P2012−262302)
【出願日】平成24年11月30日(2012.11.30)
【分割の表示】特願2001−552071(P2001−552071)の分割
【原出願日】平成13年1月8日(2001.1.8)
【出願人】(502254420)ラブ ビジョン コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】