説明

スライド部材保持装置及びスライド部材保持装置を用いたロック装置付きの折り畳みコンテナ

【課題】スライド部材が破損した際に簡単にスライド部材のみを取り外し新たなスライド部材に交換できる。
【解決手段】保持部材2にスライド部材収納部1に開口する取外し用開口部8を形成する。保持部材2に、スライド部材3をスライド部材3収納部にスライド自在に嵌め込んだ状態で、スライド部材3が取外し用開口部8から抜けるのを阻止するための抜け防止部9を設ける。スライド部材3をスライドさせて前記取外し用開口部8に折取り・折曲げ用端部7を位置させた状態で折取り・折曲げ用端部7を折取り又は折り曲げさせることを可能とする。折取り・折曲げ用端部7を折取り又は折曲げた状態における本体部5のスライド部材収納部1内における所定のスライド位置で、抜け防止部による抜け止め部6の抜け止めが解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライド部材をスライド自在に保持するスライド部材保持装置及びスライド部材保持装置を用いたロック装置付きの折り畳みコンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、スライド部材をスライド自在に保持するスライド部材保持装置及びスライド部材保持装置を用いたロック装置付きの折り畳みコンテナが特許文献1等により知られている。
【0003】
この特許文献1に示されたスライド部材保持装置は、起倒用側板の端部と折り畳み用側板の端部とを連結したり、連結解除を行うためのロック装置の一構成要素として開示してある。
【0004】
すなわち、特許文献1に示されたスライド部材保持装置は、起倒用側板に設けたロック部材収納部に、スライド部材としてのロック部材をスライド自在に嵌め込み、ロック部材をスライドさせて一端部のロック部をロック部材収納部に設けた出入り用開口部から突出自在としたものである。
【0005】
そして、ロック部材を一方向にスライドさせてロック部を突出させることで、折り畳み用側板のロック用凹部に嵌め込んでロックし、ロック部材を他方向にスライドさせてロック部を後退させることで、ロック用凹部からロック部を抜いてロック解除を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−126519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来例にあっては、ロック部材を一方向にスライドさせた場合、及び、他方向にスライドさせた場合のいずれにおいても、ストッパによりロック部材がロック部材収納部から脱離しないような構造となっている。
【0008】
したがって、ロック部材が破損した場合、ロック部材のみを交換しようとしても、ロック部材をロック部材収納部から簡単に取り外すことができず、ロック部材の交換のみでスライド部材保持装置の再利用ができず、更に、このスライド部材保持装置を用いたロック装置付きの折り畳みコンテナの再利用ができなかった。
【0009】
本発明は、上記の従来例の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、スライド部材が破損した際に簡単にスライド部材のみを取り外し、新たなスライド部材に交換することで再利用することができるスライド部材保持装置及びスライド部材保持装置を用いたロック装置付きの折り畳みコンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のスライド部材保持装置は、スライド部材収納部1を設けた保持部材2と、スライド部材収納部1にスライド自在に嵌め込まれるスライド部材3を備えたスライド部材保持装置4であって、スライド部材3に抜け止め部6を設け、このスライド部材3を、本体部5のスライド方向の一端部から折取り又は折曲げを可能とする折取り・折曲げ用端部7を一体に連設して構成し、保持部材2にスライド部材収納部1に開口する取外し用開口部8を形成すると共に、保持部材2に、スライド部材3をスライド部材収納部1にスライド自在に嵌め込んだ状態で、スライド部材3が取外し用開口部8から抜けるのを阻止するための抜け防止部9を設け、スライド部材3をスライドさせて前記取外し用開口部8に折取り・折曲げ用端部7を位置させた状態で折取り・折曲げ用端部7を折取り又は折り曲げさせることを可能とし、折取り・折曲げ用端部7を折取り又は折曲げた状態における本体部5のスライド部材収納部1内における所定のスライド位置で、抜け防止部9による抜け止め部6の抜け止めが解除されると共に、取外し用開口部8から本体部5を取り外し可能として成ることを特徴とする。
【0011】
このような構成とすることで、スライド部材3が破損した場合、折取り・折曲げ用端部7を折取り又は折曲げることで、スライド部材3を再利用できない形状とし、これにより本体部5を抜け防止部9による抜け止め部6の抜け防止が解除される位置までスライドさせて、取外し用開口部8から本体部5を取り外すことができる。
【0012】
また、本発明のスライド部材保持装置を用いたロック装置付きの折り畳みコンテナは、ロック装置11を、折り畳みコンテナ50の一側板51の端部に設けた上記構成のスライド部材保持装置4と、折り畳みコンテナの他の側板51に設けたロック受け部材12とで構成し、スライド部材保持装置4のスライド部材3にロック部13を設け、ロック受け部材12にロック部13が係止自在なロック受け部15を設け、スライド部材3のスライドによりロック部13とロック受け部15とが係止したロック状態と、ロック部13がロック受け部15から離脱した非ロック状態とを選択自在として成ることを特徴とする。
【0013】
このような構成とすることで、ロック部13を有するスライド部材3が破損した場合、折取り・折曲げ用端部7を折取り又は折曲げて、折取るか又は折曲げることで、スライド部材3を再利用できない形状とし、これにより本体部5を抜け止め部6と抜け防止部9のスライド係止が解除される位置までスライドさせて、取外し用開口部8から本体部5を取り外して新たなスライド部材3と交換するのを可能とする。これにより、ロック装置付きの折り畳みコンテナの再使用が可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、上記のように構成したので、スライド部材が破損した場合、折取り・折曲げ用端部を折取り又は折曲げてスライド部材を再利用できない形状とし、簡単に取外し用開口部から本体部を取り外し、新たなスライド部材に交換することでスライド部材保持装置の再使用が可能となる。
【0015】
また、スライド部材保持装置を用いたロック装置付きの折り畳みコンテナにおいては、スライド部材保持装置の再使用が可能なので、折り畳みコンテナの再使用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のスライド部材保持装置を用いたロック装置を示し、(a)はスライド部材をロック方向にスライドさせた状態の斜視図であり、(b)はスライド部材をロック解除方向にスライドさせた状態の斜視図である。
【図2】(a)は同上の表面側から見た分解斜視図であり、(b)は背面側から見た分解斜視図である。
【図3】同上のロック状態を示す正面図である。
【図4】(a)は同上の図3のX−X線断面図であり、(b)は図3のY−Y線断面図である。
【図5】同上のロック解除状態を示す正面図である。
【図6】(a)は同上の図5のX−X線断面図であり、(b)は図5のY−Y線断面図である。
【図7】同上に用いるスライド部材を示し、(a)は表面側から見た斜視図であり、(b)は背面側から見た斜視図であり、(c)は断面図である。
【図8】同上に用いる保持部材の斜視図である。
【図9】同上のスライド部材を折取り・折曲げ用端部が取外し用開口部に対応する位置に移動して折取り・折曲げ用端部を折取った後に本体部を取出し用開口部に対応する位置に移動した状態の正面図である。
【図10】(a)は同上の図9のY−Y線断面図であり、(b)は図9の状態で本体部を取り出しよう開口部から手前に取り出した状態の断面図である。
【図11】同上のロック装置を備えた折り畳みコンテナの一実施形態の斜視図である。
【図12】同上の展開図である。
【図13】同上の側板を起立させてロックする前の状態の斜視図である。
【図14】同上の折り畳みコンテナに備えたロック装置のスライド部材をロック方向にスライドさせた状態の斜視図である。
【図15】同上のスライド部材をロック解除方向にスライドさせた状態の斜視図である。
【図16】同上のスライド部材を折取り・折曲げ用端部が取外し用開口部に対応する位置に移動して折取り・折曲げ用端部を折曲げた状態の斜視図である。
【図17】同上の折取り・折曲げ用端部を折取り除去した後に本体部を取出し用開口部に対応する位置に移動して取り外す状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のスライド部材保持装置4は、スライド部材収納部1を設けた保持部材2と、スライド部材収納部1にスライド自在に嵌め込まれるスライド部材3を備えている。
【0018】
添付図面に示す実施形態は、図1乃至図10に上記スライド部材保持装置4を備えたロック装置11の例を示し、更に、図11乃至図17にこのロック装置11を折り畳みコンテナ50における側板51同士のロック機構として適用した例を示している。
【0019】
以下、添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
まず、図1乃至図10に基づいてスライド部材保持装置4を備えたロック装置11につき説明する。
【0021】
スライド部材保持装置4の構成要素であるスライド部材3と、保持部材2は別部材であり、それぞれ合成樹脂により別々に形成してある。
【0022】
スライド部材3は図7に示すようなもので、主体を構成する本体部5と、この本体部5のスライド方向の一端部に折取り又は折曲げを可能とする折取り・折曲げ用端部7を本体部5から一体に連設してスライド部材3を構成している。
【0023】
スライド部材には抜け止め部6が設けてある。添付図面に示す実施形態では、本体部5に抜け止め部6を設けている。
【0024】
もちろん、本体部5に加えて折取り・折曲げ用端部7に抜け止め部6を設けてもよい。
【0025】
本体部5は正面視長方形又は正方形をした板状をしており、図7においては、本体部5にスライド方向に沿って抜け止め部6が設けてある。
【0026】
図7に示す実施形態では、スライド方向に細長い突起を本体部5の上下両端面にそれぞれ上方又は下方に突出して抜け止め部6が設けてある。図7において、この抜け止め部6は、本体部5の上面端面のスライド方向の長さよりも短く、抜け止め部6の後述の折取り・折曲げ用端部7が連出した方の端部と反対側の端部より折取り・折曲げ用端部7に引き込んだ位置となっている。
【0027】
本体部5の表面側にはスライド用操作部16が設けてあり、図7の実施形態では表面側に表面側凹所17を形成して、この表面側凹所17でスライド用操作部16を構成している。
【0028】
本体部5の裏面側には弾性を有する係合片18を設けてあり、この係合片18は一端部が自由端となり且つ他端部を本体部5に一体に連設してスライド方向とほぼ平行に形成してある。係合片18の自由端に係合部19を設けてある。
【0029】
本体部5の裏面側には上記係合片18が弾性変形した際に係合片18が入り込む裏面側凹所20が設けてあり、この裏面側凹所20を設けることで係合片18の弾性変形を可能としている。
【0030】
本体部5のスライド方向の一方の端面21(後述の折取り・折曲げ用端部7が連出した方の端部と反対側の端面)に、ロック部13となる突部をスライド方向に突出している。
【0031】
本体部5のスライド方向の他方の端部には、折取り又は折曲げを可能とする折取り・折曲げ用端部7を本体部5から一体に連設している。
【0032】
本体部5から折取り・折曲げ用端部7を一体に連設している部分には折取り又は折り曲げを可能とする折取り・折曲げ部23が形成してある。
【0033】
図7に示す実施形態では、本体部5から折取り・折曲げ用端部7を一体に連設している部分を、折取り・折曲げ用端部7、本体部5の他の部分よりも肉厚が薄い薄肉部24とすることで、折取り・折曲げ部23を構成している。
【0034】
本実施形態では上記のように折り曲げ部23を他の部分よりも肉厚が薄い薄肉部24で構成した例を示しているが、必ずしもこれにのみ限定されず、折り曲げ易くするための従来から公知の種々の方法を採用することができる。例えば、同じ肉厚であっても溝を設ける等により折り曲げ易くしてもよい。
【0035】
図7に示す実施形態では、折取り・折曲げ用端部7の背面部にリブ25を形成してあるが、折取り・折曲げ用端部7を一体に連設している部分においてリブ25にレ字状をした切欠部26を形成し、折取り・折曲げ用端部7を折取り・折曲げ部23部分で折取ったり、折曲げたりできるようにしている。
【0036】
ここで、図7(c)に示すように、上記切欠部26の底部が薄肉部24よりも背面部側に若干突出した位置とすると、本体部5から折取り・折曲げ用端部7を一体に連設した部分において、切欠部26の底部部分のみが薄肉部24よりわずかに肉厚な部分27となり、これにより所定の外力を折取り・折曲げ用端部7に加えない限り、折取り・折曲げ用端部7が折取り・折曲げ部23部分で不用意に折取られたり、あるいは折曲げられたりしないようにできる。
【0037】
もちろん、切欠部26の底部部分を薄肉部24まで至るように形成してもよい。
【0038】
折取り・折曲げ部23を構成する薄肉部24を形成するための溝や切欠部26は折取り・折曲げ用端部7の背面側に形成してあり、表面側からは薄肉部24や切欠部26の存在が判らないようにして、いたずら等で折取り・折曲げ用端部7が折取られたり、折曲げられたりしないようになっている。
【0039】
また、折取り・折曲げ用端部7の折取り・折曲げ部23と反対側の端面22の上下両端部にはスライド方向に向けてそれぞれ外れ防止突起28を突設しており、折取り・折曲げ用端部7の端部の背面部の上記上下の外れ防止突起28間に図7(b)に示すように表面側から指やドライバーのような治具を入れるための差込用凹部29を形成している。
【0040】
また、折取り・折曲げ用端部7の背面側にはガイド突起36を突設している。
【0041】
保持部材2は図8に示すようにスライド部材収納部1を有している。
【0042】
添付図面に示す実施形態において、保持部材2に表面側が開口した横長の凹溝31(図においては左右方向に長い長方形となっている)を形成し、この凹溝31によりスライド部材収納部1を構成した例を示している。凹溝31の保持部材2の表面側の開口の一部又は全部が取り出し用開口部8となっている。添付図面に示す実施形態では、凹溝31の保持部材2の表面側の開口の一部である図3、図5、図9、図10(b)においてAで示す範囲が取り出し用開口部8となっている。
【0043】
保持部材2には更に上記凹溝31の長手方向の一端部に隣接して連結用嵌め込み凹部32を形成しており、この連結用嵌め込み凹部32は一側が開口していて凹溝31と連通し、また、背面側に外部に開口する背面開口部を形成している。
【0044】
凹溝31の長手方向の他端部(上記連結用嵌め込み凹部32と反対側の端部)の略中央部には指やドライバーのような治具を入れるための差し入れ凹部33を形成してあり、この差し入れ凹部33は一側が凹溝31に連通するように開口し且つ表面側にも開口している。
【0045】
凹溝31の長手方向の他側部の中央部に設けた差し入れ凹部33の両側は段部となっていて、この段部の凹溝31に面する側面のストッパ部34となっており、更に、図1(a)に示すように段部の側面の背方にずれた位置に係止孔35が設けてある。
【0046】
凹溝31の奥面には係合孔よりなる出側被係合部37、係合孔よりなる入側被係合部38を横方向に並設し、更に、横長のガイド孔39を設けている。
【0047】
保持部材2には抜け防止部9を設けている。
【0048】
添付図面に示す実施形態では、凹溝31の上内面及び下内面の表面側の端部にレールとなる突起を設けて抜け防止部9を構成している。
【0049】
この抜け防止部9は凹溝31の長手方向の一部に設けてあり、凹溝31の表面側の開口のうち抜け防止部9の端部とストッパ部34との間の部分がスライド部材差し込み用開口8aとなっている。つまり、添付図面に示す実施形態では、図3、図5、図9、図10(b)においてAの範囲で示す取外し用開口部8の一部がスライド部材差し込み用開口8aとなっており、また、Aの範囲で示す取外し用開口部8のうち上記スライド部材差し込み用開口8a以外の部分にも抜け防止部9が形成してある例を示している。
【0050】
また、凹溝31の上内面及び下内面の連結用嵌め込み凹部32側の端部にはガイド突部40を突設している。
【0051】
更に、保持部材2は取付け部41を形成している。図に示す実施形態では保持部材2の連結用嵌め込み凹部32と反対側の側部及び下部に側方及び下方に開口する嵌め込み溝部42を形成して取付け部41を形成している。また、この取付け部41には固着孔43を形成している。
【0052】
上記の構成の保持部材2のスライド部材収納部1を構成する凹溝31内に、上記スライド部材3をスライド自在に嵌め込んでスライド部材保持装置4を構成する。
【0053】
ところで、取外し用開口部8の長手方向の中央部の上下に抜け防止部9が存在するので、この部分の取外し用開口部8の上下巾が狭くなり、取外し用開口部8の前方にスライド部材3を位置させてそのまま取外し用開口部8から凹溝31内に入れようとしても、スライド部材3に設けた抜け止め部6に当って入れることができない。
【0054】
そこで、本発明においては、スライド部材3の嵌め込みに当って、取外し用開口部8の一部である抜け防止部9の無いスライド部材差し込み用開口8a部分から、スライド部材3をロック部13側を先にして凹溝31内に差し込む。この場合、スライド部材3又は保持部材2の少なくとも一方が弾性変形可能(実施形態ではスライド部材3が弾性変形可能)となっていて、弾性変形を利用して差し込むことで、スライド部材3を凹溝31内に嵌め込むことができる。
【0055】
また、他の方法としては、スライド部材3のロック部13を連結用嵌め込み凹部32内に突入させた状態で、本体部6を抜け止め部5が抜け防止部9を乗り越えるように凹溝31内に押し込むことで、凹溝31内にスライド部材3を嵌め込むようにしてもよい。
【0056】
スライド部材3を凹溝31内にスライド自在に嵌め込んだ状態で、スライド部材3は凹溝31の奥面と抜け防止部9を構成するレールとの間に位置し、スライド部材3に設けた抜け止め部6が抜け防止部9にスライド自在に係止し、スライド部材3が取外し用開口部8から脱落しないようになっている。
【0057】
つまり、スライド用操作部16を構成する表面側凹所17に指を掛けてスライド部材3を一方側にスライドさせる(図1(a)の状態)と、図4(a)に示すように、ロック部13が連結用嵌め込み凹部32内に突出する。このようにスライド部材3を一方側にスライドさせてロック部13を連結用嵌め込み凹部32内に突出させる際に、本体部5のロック部13を突出した方の端部の上下端面が上下のガイド突部40間に嵌まり込んでスライドすることで、ロック部13が上下方向の位置決めがなされた状態で連結用嵌め込み凹部13に突出するようになっている。
【0058】
また、スライド部材3を他方側にスライドさせる(図1(b)の状態)と、図6に示すように、ロック部13が凹溝31に没入するように構成してあるが、このスライド部材3の一方向へのスライド及び他方向へのスライドのいずれの場合も抜け止め部6が抜け防止部9に係止して取外し用開口部8から脱落しない。
【0059】
また、スライド部材3を一方側にスライドさせてロック部13を連結用嵌め込み凹部32内に突出させた状態で、係合片18の自由端に設けた係合部19が凹溝31の奥面に設けた出側被係合部37に係合してロック部13の突出状態を保持する。
【0060】
また、上記スライド部材3を一方側にスライドさせてロック部13を連結用嵌め込み凹部32内に突出させた状態で、外れ防止突起28が係止孔35から抜け出た状態となっている。
【0061】
一方、スライド部材3を他方側にスライドさせてロック部13を凹溝31内に没入させると、係合片18が弾性変形して係合部19が出側被係合部37から離脱し、入側被係合部38に係合してロック部13の没入状態を保持する。
【0062】
この場合、折取り・折曲げ用端部7の端面22がストッパ部34に当り、それ以上のスライド部材3の他方側へのスライドを阻止している。
【0063】
また、スライド部材3を他方側にスライドさせてロック部13を凹溝31内に没入させた状態で、外れ防止突起28が係止孔35に差し込まれて係止する。
【0064】
また、ガイド突起36がガイド孔39にスライド自在に嵌め込まれ、上記スライド部材3のスライドをガイドする。
【0065】
上記のようにして組立てられたスライド部材保持装置4はロック装置11の一構成部材として用いられる。つまり、ロック装置11は上記スライド部材保持装置4とロック受け部材12とで構成する。
【0066】
ロック受け部材12は図2に示すようなもので、一側面部から連結用嵌め込み突部44を突設している。この連結用嵌め込み突部44にはロック受け部15を構成する孔を形成している。
【0067】
また、ロック受け部材12は取付け部46を形成している。図に示す実施形態ではロック受け部材12の連結用嵌め込み突部44と反対側の側部及び下部に側方及び下方に開口する嵌め込み溝部47を形成して取付け部46を形成している。また、この取付け部46には固着孔48を形成している。
【0068】
上記構成のロック装置11は、折り畳みコンテナ50の隣り合う側板51、51同士を着脱自在にロックするために用いられる。
【0069】
折り畳みコンテナ50は、図11、図12に示す実施形態では底板52の4辺にそれぞれヒンジ部53を介して側板51を折り畳み自在に連設して構成している。
【0070】
この折り畳みコンテナ50の隣り合う側板51のうち一方の側板51aの端部の上隅部にスライド部材保持装置4を取付け、隣り合う側板51のうち他方の側板51bの端部の上隅部にロック受け部材12を取付ける。
【0071】
一方の側板51aの端部の上隅部はL状に切欠してあり、このL状切欠部にスライド部材保持装置4の保持部材2の嵌め込み溝部42を嵌め込み、固着孔43から固着具を挿入して保持部材2を側板51aの上隅部に取付ける。
【0072】
また、他方の側板51bの上隅部にロック受け部材12の嵌め込み溝部47を嵌め込み、固着孔48から固着具を挿入してロック受け部材12を側板51bの上隅部に取付ける。
【0073】
そして、各側板51(側板51a、51b)を起立させ、隣り合う側板51aの背面の一端部に他方の側板51bの側面部を直角に突き合わせると共に、連結用嵌め込み突部44を連結用嵌め込み凹部32に嵌め込む。
【0074】
この状態で、スライド部材3を図14のように一方向にスライドさせて前述のようにロック部13を連結用嵌め込み凹部32内に突出させてロック受け部15に嵌め込むことでロックする。
【0075】
これにより、起立姿勢の隣り合う側板51a、51b同士を直角に連結してコンテナを組立てることができる。
【0076】
ロックを解除するには、スライド部材3を図15のように上記と逆方向にスライドさせることで、前述のようにロック部13を凹溝31内に没入してロック受け部15とのロックを解除する。
【0077】
このロック解除状態で、図12に示すように各側板51を倒してコンパクトに折り畳むことができる。
【0078】
ところで、上記構成のロック装置11において、スライド部材3の一部、特に、ロック部13が損傷し、ロック装置11としての機能が阻害され、折り畳みコンテナ50として使用できなくなる場合がある。
【0079】
このような場合は、スライド部材3の折取り・折曲げ用端部7を折取り又は折り曲げることで、本体部5をスライド部材収納部1を構成する凹溝31の表面側の取外し用開口部8から取り出すことができる。
【0080】
スライド部材3の折取り・折曲げ用端部7を折取り又は折り曲げるに当っては、スライド部材3を一方向にスライドさせてロック部13を連結用嵌め込み凹部32内に突出させ、外れ防止突起28を係止孔35から脱出させた状態で、差し入れ凹部33から指やドライバーのような治具を入れて、折取り・折曲げ用端部7の背面側に設けた差込用凹部29に差し込み、この状態で、指や治具で折取り・折曲げ用端部7の端部を表面側に引っ張ることで、折取り・折曲げ用端部7を、折取り・折曲げ部23部分から図16のように表面側に折り曲げたり、あるいは、折取り・折曲げ部23部分で折取ることができる。
【0081】
このように、折取り・折曲げ用端部7を折取り又は折曲げた状態で、図17のようにスライド部材3を他方向にロック部13と反対側にスライドさせる。この場合、折取り・折曲げ用端部7を折取り又は折曲げた後の本体部5の側端面をストッパ部34に当接又は近づけるまでスライドすると、抜け止め部6と抜け防止部9の係止が解除される。
【0082】
この抜け止め部6と抜け防止部9の係止が解除された状態では、本体部5には抜け防止部9の表面側に重複する部位が存在しないので、本体部5を取外し用開口部8から外に取り出すことができる。
【0083】
その後、新しいスライド部材3を前述の説明と同様にして、弾性変形を利用して、スライド部材3をロック部13側を先にしてスライド部材差し込み用開口8a部分から凹溝31内に差し込む。
【0084】
このように、破損したスライド部材3のみを簡単に取り外して交換することで、ロック装置11の一構成部材であるスライド部材保持装置4の再使用が可能となり、このスライド部材保持装置4を用いたロック装置11付きの折り畳みコンテナ50の再使用が可能となる。
【0085】
上記実施形態では、凹溝31の上内面及び下内面の表面側の端部にレールとなる突起を設けて抜け防止部9を構成した例を示したが、保持部材2の表面の凹溝31に対応する部分に凹溝31に連通する取り出し用開口部8と、凹溝31の表面側を閉塞する表面側壁部とを設け、この表面側壁部を抜け防止部9としてもよい。この場合、スライド部材3のスライド時に上記抜け防止部9を構成する表面側壁部に重なる部分が抜け止め部6となる。
【0086】
また、上記実施形態では、本体部5の裏面側に自由端である先端部に係合部19を設けた弾性を有する係合片18を設けた例を示したが、本体部5の表面側に係合片18を設けてもよい。この場合、上記表面側壁部に係合孔よりなる出側被係合部37、係合孔よりなる入側被係合部38を設けてもよい。
【0087】
また、係合片18を本体部5に設けるのではなく、折取り・折曲げ用端部7の表面側又は裏面側に設けてもよい。この場合は、凹溝31の奥面又は上記表面側壁部に出側被係合部37、入側被係合部38を設ける。
【0088】
なお、スライド部材収納部1を構成する凹溝31のスライド方向の端部が、保持部材2を合成樹脂で一体に成形する際には開口していてスライド部材3が挿入できるようになっていてもよい。この場合は、該スライド方向の開口はスライド部材3が抜けないように別部材で遮蔽する。遮蔽に当っては、例えば、保持部材2を折り畳みコンテナ50に取付けることで、側板51の一部で上記スライド方向の開口を閉じるようにする。もちろん、側板51とは別の部材で遮蔽してもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、スライド部材保持装置4の保持部材2と側板51aが別部材で、保持部材2を側板51aに取付けた例を示したが、側板51aに保持部材2を一体に形成したものであってもよい。
【0090】
また、ロック受け部材12と側板51bが別部材で、ロック受け部材12を側板51bに取付けた例を示したが、側板51にロック受け部材12に一体に形成したものでもよい
ところで、スライド部材保持装置4を用いたロック装置11付の折り畳みコンテナ50としては、添付図面に示されるものにのみ限定されない。つまり、従来から公知の種々の形態の折り畳みコンテナ50における側板51同士をロックするものとして、本発明のスライド部材保持装置4を用いたロック装置11を適用できるのはもちろんである。
【0091】
また、本発明のスライド部材保持装置4を用いたロック装置11は、折り畳みコンテナ50以外のものに適用してもよい。つまり、スライド部材保持装置4の保持部材2を任意の第1部材に設けると共に、ロック受け部材12を任意の第2部材に設け、ロック装置11で第1部材と第2部材をロック自在としてもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、スライド部材保持装置4がロック装置11の一構成部材となっている例を示したが、スライド部材保持装置4としてはこれにのみ限定されない。
【0093】
つまり、保持部材2のスライド部材収納部1にスライド部材3がスライド自在に嵌めこまれ、折取り・折曲げ用端部7を折取り又は折曲げることで、取外し用開口部8から本体部5を取り外すことができるものであれば、ロック部13を備えたものにのみ限定されない。
【0094】
例えば、スライド部材3にON、OFFなどの表示部を設けて、スライドすることで、ON、OFFなどの各種表示を行うようにしたもの等種々のものが考えられる。
【符号の説明】
【0095】
1 スライド部材収納部
2 保持部材
3 スライド部材
4 スライド部材保持装置
5 本体部
6 抜け止め部
7 折取り・折曲げ用端部
8 取外し用開口部
9 抜け防止部
11 ロック装置
12 ロック受け部材
13 ロック部
15 ロック受け部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライド部材収納部を設けた保持部材と、スライド部材収納部にスライド自在に嵌め込まれるスライド部材を備えたスライド部材保持装置であって、
スライド部材に抜け止め部を設け、このスライド部材を、本体部のスライド方向の一端部から折取り又は折曲げを可能とする折取り・折曲げ用端部を一体に連設して構成し、
保持部材にスライド部材収納部に開口する取外し用開口部を形成すると共に、保持部材に、スライド部材をスライド部材収納部にスライド自在に嵌め込んだ状態で、スライド部材が取外し用開口部から抜けるのを阻止するための抜け防止部を設け、
スライド部材をスライドさせて前記取外し用開口部に折取り・折曲げ用端部を位置させた状態で折取り・折曲げ用端部を折取り又は折り曲げさせることを可能とし、
折取り・折曲げ用端部を折取り又は折曲げた状態における本体部のスライド部材収納部内における所定のスライド位置で、抜け防止部による抜け止め部の抜け止めが解除されると共に、取外し用開口部から本体部を取り外し可能として成ることを特徴とするスライド部材保持装置。
【請求項2】
請求項1記載のスライド部材保持装置を用いたロック装置付きの折り畳みコンテナであって、
ロック装置を、折り畳みコンテナの一側板の端部に設けたスライド部材保持装置と、折り畳みコンテナの他の側板に設けたロック受け部材とで構成し、
スライド部材保持装置のスライド部材にロック部を設け、ロック受け部材にロック部が係止自在なロック受け部を設け、
スライド部材のスライドによりロック部とロック受け部とが係止したロック状態と、ロック部がロック受け部から離脱した非ロック状態とを選択自在として成ることを特徴とするスライド部材保持装置を用いたロック装置付きの折り畳みコンテナ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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