説明

スラッシュキルト用のカッターナイフ

【課題】 ガイド部材の交換作業を必要とすることなく、種々の全幅寸法のガイド部材が利用可能なスラッシュキルト用カッターナイフを提供する。
【解決手段】 円形ブレード15を保持するカッターナイフ本体10の外周部に、円形ブレード15に対する外接線と平行に延在して設けられた幅寸法の異なる複数のガイド部材21〜24を設ける。各ガイド部材21〜24とカッターナイフ本体10との間にスリット21a〜24bを設けて、当該スリット内に円形ブレード15のエッジ15aを露出させる。1つのカッターナイフ1が幅寸法の異なる複数のガイド部材を備えるので、縫目間のピッチ寸法が異なる種々のスラッシュキルト布を作製するに当たって、当該複数のガイド部材のうちの1つを適宜選択して汎用的に使用できる。その際に、ガイド部材の取換え作業は、一切必要ない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラッシュキルト用のカッターナイフに関する。
【背景技術】
【0002】
ポーチやカバン等の縫製に使用する素材として、スラッシュキルト布と呼ばれる装飾布が知られている。スラッシュキルト布は、図1に示したように、複数の布地を重ね合わせた上で、互いに平行な複数の縫目6に沿って縫い合わせた後、最下層の布地5のみを残して、その上側に存在する複数層の上布5aを前記複数の縫目6間の領域において切断(図1中の矢印X参照)して構成される。このようにして構成されるスラッシュキルト布は、重厚感のある独特の風合い、あるいは美観を有する。
【0003】
上記スラッシュキルト布を作製するのに使用するカッターナイフとして、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に開示されたカッターナイフは、切断作業時に切断方向を案内するガイド部材が、カッターナイフ本体と一体化しているか、あるいはネジ止めされているため、ガイド部材の交換が不可能であるか、または交換作業が繁雑となる。
【0004】
スラッシュキルト布の作製において、切断される上布5aに適度な緊張を与えて切断作業を円滑にするためには、ガイド部材の全幅寸法が縫目6間のピッチ寸法とほぼ等しいことが好ましい。一方、縫目6間のピッチ寸法には種々のものが存在するので、ガイド部材は、種々の全幅寸法のものを簡単に変更して使用できることが好ましい。
【0005】
すなわち、特許文献1に開示されたカッターナイフでは、ガイド部材の交換が不可能であるか(一体形成されている場合)、または交換可能であっても、その交換作業が繁雑である(ネジ止めされている場合)ため、種々のピッチ寸法のスラッシュキルト布に対して汎用的に使用するには不便である。
【0006】
【特許文献1】登録実用新案第3048727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであって、ガイド部材の交換作業を必要とすることなく、種々の全幅寸法のガイド部材が利用可能なスラッシュキルト用カッターナイフを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のスラッシュキルト用カッターナイフは、「カッターナイフ本体の外周部に設けた、幅寸法の異なる複数のガイド部材」と「各ガイド部材とカッターナイフ本体との間に設けられていて、内部にブレードのエッジが露出しているスリット」とを備えている。
【発明の効果】
【0009】
上記構成を備えた本発明のスラッシュキルト用カッターナイフは、1つのカッターナイフが幅寸法の異なる複数のガイド部材を備えている。したがって、縫目間のピッチ寸法が異なる種々のスラッシュキルト布を作製するに当たって、当該複数のガイド部材のうちの1つを適宜選択して汎用的に使用できる。その際に、ガイド部材の取換え作業は、一切必要ない。
【0010】
各ガイド部材とカッターナイフ本体との間にはスリットが設けられていて、当該スリット内にブレードのエッジが露出しているので、適宜の幅寸法のガイド部材を選択し、当該ガイド部材をスラッシュキルト布の縫目間に差し込み、カッターナイフを手前に引く(あるいは、前方に押し出す)ことで、切断作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施形態を添付の図面を参照して、以下に詳細に説明する。
【0012】
≪第1実施形態のカッターナイフの全体構成(図2、図3)≫
図2は、本発明の第1実施形態に係るスラッシュキルト用カッターナイフ1の分解斜視図である。図3は、組立後におけるカッターナイフ1の正面図である。
【0013】
カッターナイフ1は、本体10を構成する2つの部材10aと10bとの間に円形ブレード15を保持した状態で、これをネジ部材12、座金17、ワッシャ18、およびナット19で締め付けて構成されている。
【0014】
図3に良く示されるように、カッターナイフ1は、円形ブレード15を保持する本体10の外周部に4つのガイド部材21、22、23、24を備えてなる。各ガイド部材21〜24は、幅寸法(図5中のW)が全て異なり、円形ブレード15に対する外接線と平行に延在している。各ガイド部材21〜24と本体10との間には、それぞれスリット21a〜24aが設けられていて、当該スリット内に円形ブレードのエッジ15aが露出している。
【0015】
≪使用方法(図4)≫
このカッターナイフ1は、スラッシュキルト布の製作において、4つのガイド部材21〜24の中から縫目6間のピッチ幅に応じた適宜の幅寸法のものを1つ選択して、図4に示すように、当該ガイド部材(図4は、ガイド部材21が選択された場合を示している)をスラッシュキルト布の縫目6間に差し込み、カッターナイフ1を前方に押し出す(あるいは、手前に引く)ことで、切断作業を行うことができる。
【0016】
ガイド部材を利用して切断することにより、切断される布地に適度のテンションを与えて切断作業をスムーズに行うことができ、また、縫目間の中央ラインを正確に直線的に切断することができる。
縫目6間のピッチ寸法には種々のものが存在するので、幅寸法の異なる複数のガイド部材を選択的に使用できれば好都合である。図示した例では、1つのカッターナイフ1に対して、幅寸法(図5中のW)の異なる4つのガイド部材21〜24を設けているので、縫目間のピッチ寸法に適したものを4つのガイド部材の中から適宜選択し、当該ガイド部材を用いて切断作業を行うことができる。その際、ガイド部材の取換えは、一切必要ない。
【0017】
≪ガイド部材に設けた切込み(図5)≫
図5は、図2および3に示したカッターナイフ1の斜視図である。ガイド部材21には、その延在方向に延びる切込み29が形成されている。このような切込み29をガイド部材21に設けると、ガイド部材の外側から内側に向かう外力が作用した場合に、ガイド部材21は、その幅寸法Wが弾性的に変化する。
【0018】
ガイド部材は、スラッシュキルト布の縫目6間に差し込まれて、切断対象である布地に適度なテンションを与えるものであるから、その幅寸法Wは、縫目6間のピッチ寸法と同じか、それよりもやや小さいことが好ましい。切込み29が存在しない場合、幅寸法Wは不変であるから、1つのガイド部材が対応できるピッチ寸法も限定的なものとなる。
一方、切込み29をガイド部材に設けた場合には、変形前の幅寸法Wがピッチ寸法よりもやや大きい場合であっても、弾性変形により幅寸法Wが小さくなるので、1つのガイド部材で対応できるピッチ寸法は、ある程度幅をもったフレキシブルなものとなる。
【0019】
本発明においては、幅寸法の異なるガイド部材を複数設けているので、必ずしも切込み29を設ける必要はない。しかし、このような切込みを設けることで、ガイド部材が複数存在することと相俟って、より多種類のピッチ寸法に対応することが可能となり、汎用性が高まる。したがって、すべてのガイド部材または少なくとも一部のガイド部材に切込みを設けるのが好ましい。
【0020】
≪カッターナイフ本体の形状≫
図示の例では、カッターナイフ本体10は円形状であり、その外周部にほぼ等間隔で4つのガイド部材21〜24が設けられている。本発明のカッターナイフにおいては、複数のガイド部材に対して1枚の円形ブレード15を利用して切断を行うので、ナイフ本体10の中心から各ガイド部材までの距離はほぼ等しくなる。したがって、ナイフ本体10の形状として円形を採用することが好ましい。しかし、本発明においてナイフ本体10の形状が円形に限定されるものではなく、正多角形、またはその他の適宜の形状を採用することが可能である。
【0021】
≪ガイド部材の数、向き、間隔等≫
図示の例では、4つのガイド部材21〜24を採用している。すなわち、1つのカッターナイフ1について、4種類の幅寸法のガイド部材が、交換作業無しで利用することが可能となる。
しかし、本発明において、ガイド部材の数が特に限定されるものではなく、適宜の数のガイド部材を採用することができる。また、各ガイド部材間の間隔についても、必ずしも等間隔である必要はない。
図3においては全てのガイド部材21〜24が時計回り方向に延在しているが、これを反時計回りとしてもよい。さらには、全てのガイド部材が同一方向に延在する必要はなく、時計回り方向に延在するガイド部材と、反時計回り方向に延在するガイド部材とが混在していてもよい。ただし、全てのガイド部材が同一方向に延在している方が使い勝手は良いと考えられる。
【0022】
≪ハンドルを備えた変形例(図6)≫
図6は、切断作業において、カッターナイフ1を操作するためのハンドル2をさらに備えた変形例を示している。
ハンドル2は、使用者が握るグリップ部分50の先端に、カッターナイフ1を保持する保持機構部51を備える。保持機構部51は、対向する2枚の円形板51a、51bを備えている。両円形板51a、51bの中央には、それぞれ貫通孔53a、53bが形成されている。
図6において、カッターナイフ1の紙面手前の側面には、ネジ部材52の軸部52aと係合するネジ穴1aが形成されている。一方、カッターナイフ1の紙面向こう側の側面には、不図示の突起が形成されている。この突起を貫通孔53bに差し込み、ネジ部材52を締め付けることで、カッターナイフ1を回転不能に固定することができる。また、ネジ部材52を緩めてカッターナイフ1の回転位置を変更した後、再度ネジ部材52を締め直すことで、適宜のガイド部材21〜24を利用することができる。
【0023】
ハンドル2を設けたことで、使用者は、カッターナイフ1をしっかりと保持して切断作業を行うことができる。ハンドル2の具体的な構成は、図6に示したものに限られず、切断作業時にはカッターナイフ1を回転不能に固定し、適宜その回転位置を調節できるものであればよい。
【0024】
≪ホルダを備えた変形例(図7、図8)≫
図7および図8は、切断作業において、カッターナイフ1を操作するためのホルダ3をさらに備えた変形例を示している。図7はカッターナイフ1をホルダ3に収容する前の状態を、図8はカッターナイフ1をホルダ3内に収容して固定した状態を、それぞれ示している。
ホルダ3は、中空のケース状部材であって、カッターナイフ1をそのほぼ半分が外部に露出するように収容する。すなわち、図8に示した状態において、ホルダ3内に収容されたカッターナイフ1は、複数のガイド部材のうちの1つ(ガイド部材21)および当該ガイド部材に係るスリット21aが露出している。
【0025】
図7において、ホルダ3の紙面手前側の壁面のほぼ中央には、貫通孔32aが形成されている。また、反対側の壁面には、貫通孔32bが形成されている。
図7に示したカッターナイフ1は、図6に示したものと同様、紙面手前の側面には、ネジ部材31の軸部31aと係合するネジ穴1aが形成されており、紙面向こう側の側面には、不図示の突起が形成されている。この突起を貫通孔32bに差し込み、ネジ部材31を締め付けることで、カッターナイフ1を回転不能に固定することができる。また、ネジ部材31を緩めてカッターナイフ1の回転位置を変更した後、再度ネジ部材31を締め直すことで、適宜のガイド部材21〜24を利用できる。
【0026】
ホルダ3を設けたことで、使用者は、カッターナイフ1をしっかりと握って切断作業を行うことができる。また、切断作業に使用しないガイド部材および円形ブレードのエッジが外部から完全に遮断されるので、安全性も高くなる。
ホルダ3の具体的な構成は、図7および図8に示したものに限られず、切断作業時にはカッターナイフ1を回転不能に固定し、適宜その回転位置を調節できるものであればよい。また、露出した1つのガイド部材をガイドとして切断作業を行うので、カッターナイフ1をホルダ3内に固定した状態で、少なくとも1つのガイド部材およびそれに係るスリットが外部に露出している必要があるが、カッターナイフ1が全体としてホルダ3からどの程度露出するかについては、適宜決定することができる。
【0027】
なお、本発明においては、幅寸法の異なる複数のガイド部材が存在し、各ガイド部材に沿って設けたスリット内にブレードのエッジが露出していれば足りる。必ずしも図示したように、1枚の円形ブレード15を備えた構成でなくてもよく、各スリット内に別個のブレードをそれぞれ配置してもよい。その場合に、カッターナイフ本体も多様な形態を採用し得る。
【0028】
≪第2実施形態:ブレードエッジを無駄なく使用するための改良(図9、図10)≫
円形ブレード15は、切断作業時にカッターナイフ本体10に対して回転するように保持されていても、回転不可に保持されていてもよい。
切断作業時に回転不可となるように円形ブレード15を保持する場合、切れ味が劣化したときに円形ブレードの保持位置を僅かに回転さて、未使用のエッジ部分をスリット21a〜24aから露出させることで、切れ味を回復させることができる。しかしながら、エッジ部分を目視観察してもその劣化具合が判別できないので、何らかの工夫をしないと、劣化したエッジ部分を再度スリット21a〜24a内に露出させてしまうことも考えられる。このような不都合を防ぐための構成を備えた第2実施形態を、図9および図10を参照して説明する。
【0029】
図9は第2実施形態の分解斜視図であり、図2と比較して実質的に異なる点は、ダイヤル60およびブレードカバー70を追加していることである。したがって、この点についてのみ説明する。図10は、図9中のダイヤル60、部材110a、ブレードカバー70の反対側の面を示す斜視図である。
【0030】
(1)[ダイヤル60と円形ブレード15との関係]
ダイヤル60の裏面には3つの係合突起61が設けられていて、各係合突起61が円形ブレード15の中心孔に設けた3つの切欠き15bにそれぞれ係合する。したがって、組立後、図9において、ダイヤル60をA方向およびB方向のいずれに回転させた場合であっても、円形ブレード15はダイヤル60と一体的に回転する。
【0031】
(2)[ブレードカバー70の構成]
ブレードカバー70は、円形ブレード15と同径かそれよりもやや大きく構成されていて、その外周部の1箇所に切欠き75が形成されている。すなわち、組立後において、円形ブレード15のエッジ15aは、切欠き75の位置においてのみ外部に露出し、この部分においてのみ切断が可能である。
【0032】
ブレードカバー70の側面には、2組の弾性突起71、71、72、72が形成されている。各弾性突起は、ブレードカバー70の側面に略U字状の切込みを入れることで構成されたアーム状部分の先端に、軸方向に突出する突部71a、71a、72a、72aを備えて構成される。
第1の組の弾性突起71、71と、第2の組の弾性突起72、72とでは、半径方向位置が異なる。すなわち、弾性突起71、71は同心円上の対向する位置に形成されていて、弾性突起72、72は、それよりも半径の小さい同心円上の対向する位置に形成されている。
【0033】
(3)[第1ラチェット機構]
第1の組の弾性突起71、71は、部材110aの裏面に形成した凹部111と協働して第1ラチェット機構を構成する。すなわち、組立後において、弾性突起71の先端に設けた突部71aが凹部111内に入り込むことで、ブレードカバー70は、部材110aに対して、図9中矢印A方向(第1方向)にのみ相対回転が可能となり、その逆のB方向(第2方向)には相対回転不可となる。
なお、このようなラチェット機構自体は一般的に知られたものであって、突部71aと凹部111とが係合して一方向への相対回転を禁止するが、それと反対方向に相対回転する場合には、凹部111内の片側壁部に設けた傾斜面のカム作用により、突部71aが凹部111外へと逃がされて、当該相対回転が可能となるものである。同等の機能を有する他のラチェット機構を採用することも、勿論可能である。
【0034】
(4)[第2ラチェット機構]
第2の組の弾性突起72、72は、ダイヤル60の裏面に形成した環状歯部62と協働して第2ラチェット機構を構成する。つまり、組立後において、弾性突起72の先端に設けた突部72aが環状歯部62と係合することで、ダイヤル60は、図9中矢印A方向にのみブレードカバー70を回転駆動することができる。
より具体的には、ダイヤル60をA方向(第1方向)に回転させると、それによってブレードカバー70が同じくA方向に回転駆動される。反対に、ダイヤル60をB方向(第2方向)に回転させると、ブレードカバー70は回転駆動されることなく、その位置に止まる。
なお、このラチェット機構自体も一般的に知られたものである。環状歯部62を構成する各歯は、傾斜面と鉛直面とを備えていて、当該鉛直面が突部72aと係合して一方向への相対回転を禁止するが、それと反対方向に相対回転する場合には、傾斜面のカム作用により、突部72aと環状歯部62との係合が外れて、当該相対回転が可能となるものである。同等の機能を有する他のラチェット機構を採用することも、勿論可能である。
【0035】
(5)[使用方法]
円形ブレード15は、ブレードカバー70の切欠き75の位置においてのみ切断が可能であるので、ダイヤル60を図9中A方向(第1方向)に回転させて、いずれか1つのスリット21a〜24a(図3参照)内にエッジ15aを露出させる。例えば、ガイド部材22を用いて切断作業をする場合には、当該ガイド部材に係るスリット22a内にエッジ15aを露出させる。他のガイド部材を用いる場合には、その都度ダイヤル60をA方向に回転させて、エッジ15aを所望のスリット内に露出させる。つまり、いずれのガイド部材を用いる場合であっても、切断に供されるのは同一のエッジ部分である。
なお、既に説明したように、ダイヤル60をA方向に回転させる場合、円形ブレード15もブレードカバー70も同様にA方向に回転するから、ダイヤル60をA方向に回転させることで常に同一のエッジ部分を切断作業に供することができる。
【0036】
このように使用していくうちに当該エッジ部分の切れ味が劣化した場合、エッジ15aの異なる部分を切欠き75内に位置させるべく、ダイヤル60をB方向(第2方向)に回転させる。
既に説明したように、ダイヤル60をB方向に回転させる場合、円形ブレード15はダイヤル60とともに回転するが、ブレードカバー70は回転することなくその位置に止まるので、円形ブレード15はブレードカバー70に対して相対的にB方向に回転し、その結果、エッジ15aの異なる部分が切欠き75内に位置する。
【0037】
その後は、上記と同様に、ダイヤル60をA方向に回転させて所望のスリット21a〜24a(図3参照)内に新しいエッジ部分を露出させて使用し、切れ味が劣化したときに、ダイヤル60をB方向に回転させて、新しいエッジ部分を切欠き75内に位置させて切断作業に供する。以上を繰り返すことで、円形ブレードのエッジ15aの全周を無駄なく使用することができる。
【0038】
例えば、第2ラチェット機構のピッチを適当な値に設定すれば、ダイヤル60をB方向に1クリック回すだけで、新しいエッジ部分を切断作業に供することができる。ダイヤル60上(または他の箇所)に何らかの表示部を設けて、ダイヤル60がブレードカバー70に対して相対的にB方向に1周したことが分かるように構成することが好ましい。ダイヤル60がブレードカバー70に対して相対的にB方向に1周した時点で、エッジ15aの全周が使用されたことになるので、これにより円形ブレードが交換時期にあることが分かる。
【0039】
なお、第2実施形態のカッターナイフについても、第1実施形態の場合と同様に、カッターナイフ本体の形状や、ガイド部材の数、向き、間隔等に関して、図示したものに限られることなく、適宜変形することが可能である。さらに、ハンドル(図6)やホルダ(図7、8)をさらに備えた変形例を採用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】スラッシュキルト布を説明する要部斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態に係るカッターナイフの分解斜視図。
【図3】図2のカッターナイフの組立後を示す正面図。
【図4】図2のカッターナイフの使用状態を説明する図。
【図5】図2のカッターナイフの斜視図。
【図6】ハンドルを備えた変形例を示す斜視図。
【図7】ホルダを備えた変形例を示す斜視図。
【図8】ホルダを備えた変形例を示す正面図。
【図9】本発明の第2実施形態を説明する分解斜視図。
【図10】図9の一部分を反対側から示す一部分解斜視図。
【符号の説明】
【0041】
1 カッターナイフ
1a ネジ穴
2 ハンドル
3 ホルダ
5 最下層の布地
5a 上布(複数層)
6 縫目
10 カッターナイフ本体
10a、10b、110a、110b カッターナイフ本体を構成する部材
12、12’ ネジ部材
15 円形ブレード
15a 円形ブレードのエッジ
15b 切欠き
17 座金
18 ワッシャ
19 ナット
21、22、23、24 ガイド部材
21a、22a、23a、24a スリット
29 切込み
31 ネジ部材
31a 軸部
32a、32b 貫通孔
50 グリップ部分
51 保持機構部
51a、51b 円形板
52 ネジ部材
52a 軸部
53a、53b 貫通孔
60 ダイヤル
61 係合突起
62 環状歯部
70 ブレードカバー
71、72 弾性突起
71a、72a 突部
75 切欠き
111 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カッターナイフ本体の外周部に設けた、幅寸法の異なる複数のガイド部材(21、22、23、24)と、
各ガイド部材とカッターナイフ本体との間に設けられていて、内部にブレードのエッジが露出しているスリット(21a、22a、23a、24a)と、を備えたことを特徴とする、スラッシュキルト用カッターナイフ。
【請求項2】
上記複数のガイド部材のうちの少なくとも1つ(21)には、当該ガイド部材(21)の延在方向に延びる切込み(29)が設けられていて、
当該ガイド部材(21)の幅寸法(W)が外力を受けて弾性的に変化することを特徴とする、請求項1記載のスラッシュキルト用カッターナイフ。
【請求項3】
上記カッターナイフ本体(10)が1枚の円形ブレード(15)を保持していて、
上記複数のガイド部材(21、22、23、24)は、円形ブレード(15)に対する外接線と平行に延在して、カッターナイフ本体(10)の外周部に設けられており、
各ガイド部材とカッターナイフ本体との間のスリット(21a、22a、23a、24a)内に、円形ブレードのエッジ(15a)が露出していることを特徴とする、請求項1記載のスラッシュキルト用カッターナイフ。
【請求項4】
上記カッターナイフ本体(10)は、円形状または正多角形状であることを特徴とする、請求項3記載のスラッシュキルト用カッターナイフ。
【請求項5】
上記複数のガイド部材(21、22、23、24)が、カッターナイフ本体(10)に対して、時計方向または反時計方向の同一方向に延在していることを特徴とする、請求項3記載のスラッシュキルト用カッターナイフ。
【請求項6】
上記カッターナイフ本体(10)を保持し、使用者がこれを握って切断作業を行うためのハンドル(2)をさらに備えたことを特徴とする、請求項3記載のスラッシュキルト用カッターナイフ。
【請求項7】
上記カッターナイフ本体(10)を、少なくとも上記複数のガイド部材のうちの1つ(21)および当該ガイド部材に係るスリット(21a)が露出するように収容し、使用者がこれを保持して切断作業を行うためのホルダ(3)をさらに備えたことを特徴とする、請求項3記載のスラッシュキルト用カッターナイフ。
【請求項8】
上記円形ブレード(15)は、ブレードカバー(70)と重ね合わせた状態で、カッターナイフ本体(10)に保持されていて、当該ブレードカバー(70)は、円形ブレード(15)と少なくとも同じ径寸法を有するとともに、その外周部に円形ブレードのエッジ(15a)を露出させる切欠き(75)を備えていて、
カッターナイフ本体(10)の側面には、円形ブレード(15)と連結されていて、第1方向およびそれとは逆の第2方向のいずれにも円形ブレード(15)を回転させて位置調節するダイアル(60)が設けられており、
ブレードカバー(70)は、カッターナイフ本体(10)に対して第1方向には相対回転可能であるが第2方向には相対回転不可となるように、第1ラチェット機構(71、111)を介してカッターナイフ本体(10)に連結されていて、
ダイヤル(60)は、ブレードカバー(70)を第1方向には回転駆動可能であるが、第2方向には回転駆動不可となるように、第2ラチェット機構(72、62)を介してブレードカバー(70)に連結されていて、
ダイヤル(60)をカッターナイフ本体(10)に対して第1方向に回転させると、円形ブレード(15)とブレードカバー(70)とが一体となって第1方向に回転して、ブレードカバー(70)の切欠き(75)から露出したエッジ部分を所望のスリット(21a、22a、23a、24a)内に位置させることができ、
ダイヤル(60)をカッターナイフ本体(10)に対して第2方向に回転させると、円形ブレード(15)がブレードカバー(70)に対して第2方向に相対回転して、ブレードカバー(70)の切欠き(75)から異なるエッジ部分を露出させることができることを特徴とする、請求項3記載のスラッシュキルト用カッターナイフ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−193834(P2006−193834A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−3543(P2005−3543)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【出願人】(390024132)オルファ株式会社 (8)
【Fターム(参考)】