説明

スラッシュ成形用ウレタン樹脂粒子

【課題】
本発明の課題は、樹脂粒子表面への着色でありながら、顔料の滑落・凝集などによる不具合をなくすことができる、樹脂粒子を提供することである。
【解決手段】ウレタン樹脂(D)と添加剤(N)を含有するウレタン樹脂粒子であって、該ウレタン樹脂粒子の形状係数SF1が101〜200であり、かつ形状係数SF2が120〜240であり、かつ中心粒径が20〜500μmであるスラッシュ成形用ウレタン樹脂粒子(C)。(C)は、ウレタン樹脂(D)を含有してなり、該ウレタン樹脂(D)のウレア基濃度が0.5〜10重量%であり、かつウレタン基濃度とウレア基濃度の合計が4〜20重量%であり、かつ融点が160〜260℃であり、かつガラス転移点温度が−65〜0℃である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面が凹凸状であるスラッシュ成形用ウレタン樹脂粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
スラッシュ成形法は、複雑な形状(アンダーカット、深絞り等)の製品が容易に成形できること、肉厚が均一にできること、材料の歩留まり率が良いことから、近年、自動車の内装材等の用途に広く利用されており、従来は、インスツルメントパネル、ドアトリム等の自動車内装部品の表皮材として、塩化ビニル系樹脂粉末スラッシュ成形品が用いられる場合が多かった。
しかし、塩化ビニル系材料は、使用環境によっては長期間使用されると中に含まれる可塑剤が表面に移行し、ソフト感が損なわれる。また廃車後焼却処理をする際、焼却温度によっては塩化水素ガスが発生し、焼却炉が腐食する場合がある。
【0003】
これらの問題を解決するために、塩化ビニル以外の熱可塑性樹脂からなる粉末スラッシュ成形材料の開発が進められている。例えば、数平均分子量が20,000〜50,000でガラス転移温度が−35℃以下の熱可塑性ポリウレタンエラストマーが用いられている(特許文献1)。また非水分散媒中で合成した熱可塑性ウレタン樹脂、ビニルモノマー重合体、熱架橋性モノマーを主成分とする粒子状ポリウレタン樹脂組成物が用いられている(特許文献2)。またアクリル系ブロック共重合体と、1分子中に少なくとも1.1個以上の反応性官能基を有するアクリル重合体からなる粒子径1〜1000μmの熱可塑性エラストマー組成物粉体が用いられている(特許文献3)。
【0004】
スラッシュ成形用材料は、自動車内装部品の表皮材として、高級感を出すために着色されているものが用いられているが、これらの熱可塑性樹脂からなるスラッシュ成形用材料も、無着色の粒子を合成した後、無機顔料、有機顔料等の着色剤を表面にまぶすことにより着色を行っている。しかしこの着色方法の場合、着色工程やその後工程における攪拌混合時のシアにより、樹脂粒子表面に付着した顔料粒子が、表面から滑落したり、粒子表面で顔料粒子同士で凝集したりするため、本来の色が発現しない、また顔料の塊が製品中に混在するなどといった課題があった。
【0005】
このような課題を解決するために、樹脂を粒子化する前の液状のプレポリマーの段階で着色剤を混合した後、粒子化を行う方法が提案されている。(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−49948号公報
【特許文献2】特開2009−91519号公報
【特許文献3】特開2009−67853号公報
【特許文献4】再表2005/097901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、樹脂を粒子化する前の液状のプレポリマーの段階で着色剤を混合した後、粒子化を行う方法では顔料粒子が樹脂粒子内部に取込まれているため、顔料が樹脂粒子から滑落したり、粒子表面での顔料同士の凝集は発生しないが、前述の粒子表面に着色を行う方法と比較して、製品の色替毎に生産設備を念入りに洗浄しなければならず、生産性が悪い。
本発明の課題は、樹脂粒子表面への着色でありながら、顔料の滑落・凝集などによる不具合をなくすことができ、かつ生産性の高いスラッシュ成形用ウレタン樹脂粒子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記のような樹脂粒子を得るべく鋭意検討した結果、粒子の表面に微細な凹凸を形成させ、このような表面凹凸状粒子に着色剤を添加することで、表面の窪みに顔料粒子を定着させることができるようになるため、顔料の滑落・凝集を起こさず粒子への着色が行えることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
すなわち本発明は、ウレタン樹脂(D)と添加剤(N)を含有するウレタン樹脂粒子であって、該ウレタン樹脂粒子の形状係数SF1が101〜200であり、かつ形状係数SF2が120〜240であり、かつ中心粒径が20〜500μmであるスラッシュ成形用ウレタン樹脂粒子(C);該ウレタン樹脂粒子(C)の着色方法;該ウレタン樹脂粒子(C)をスラッシュ成形してなるウレタン樹脂成形物である。
【発明の効果】
【0010】
本発明のスラッシュ成形用ウレタン樹脂粒子(C)を用いることで、樹脂粒子表面への着色でありながら、顔料の滑落・凝集などによる不具合をなくすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のスラッシュ成形用ウレタン樹脂粒子(C)は、形状係数SF1が101〜200であり、かつ形状係数SF2が120〜240である。
ウレタン樹脂粒子(C)は、表面が凹凸状であるため、SF1は101以上となる。形状係数SF1が200を超える粒子は、形状が不定形になり、粉体流動性が悪化する。
形状係数SF2が120未満の場合、粒子に着色剤を添加し、表面に顔料粒子を定着させても、後工程の攪拌時のシアにより、表面の顔料粒子が滑落し、さらに顔料粒子が凝集することで、本来の色が発色しなくなる。また顔料粒子の凝集体が大きくなると異物となり製品の品質を落としてしまう。一方SF2が240を超える粒子は、表面の凹凸が微細すぎて、顔料が凹凸の隙間に入りにくくなり、顔料分散安定性が悪化する。
【0012】
形状係数SF1は、粒子の形状の丸さを示すものであり、下記式(1)で表される、ウレタン粒子を2次元平面に投影してできる図形の最長径の二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF1={(最長径)/(AREA)}×(100π/4)(1)
SF1の値が100の場合、ウレタン粒子の形状は真球であり、SF1の値が大きくなるほど、粒子は不定形になる。
形状係数SF2は、粒子の形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される、ウレタン粒子を2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100/4πを乗じた値である。
SF2={(PERI)/(AREA)}×(100/4π) (2)
SF2の値が100の場合ウレタン粒子表面に凹凸が存在しなくなり、SF2の値が大きくなるほどウレタン粒子表面の凹凸が顕著になる。
形状係数SF1及びSF2の測定は、走査型電子顕微鏡(例えばS−800:日立製作所製)、マイクロスコープ(USBデジタルスケール:スカラ(株)製)等でウレタン粒子の写真を撮り、これを画像解析装置(例えばLUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析する方法、フロー式粒子像分析装置(例えばFPIA−3000:シスメックス社製)を用いて測定する方法などが挙げられる。
【0013】
ウレタン樹脂粒子(C)は中心粒径が20〜500μmであって、好ましくは30〜400μm、さらに好ましくは50〜300μmである。
(C)の中心粒径が20μm未満である場合には、粉体流動性が悪化することで、スラッシュ成形時の成形性が悪化したり、粉塵が発生しやすいため、作業環境の悪化につながる。(C)の中心粒径が500μmを超える場合は、スラッシュ成形後にレベリングしきらなかった粉の形状が残ったり、金型面にピンホールが多数発生する。
ここで中心粒径とは、体積平均粒子径であって、レーザー式光散乱法で測定した篩い下50%の粒子径の値である。測定機器としては、例えばマイクロトラックHRA粒度分析計9320−X100(日機装株式会社製)を挙げることができる。
【0014】
本発明のスラッシュ成形用ウレタン樹脂粒子(C)はウレタン樹脂(D)と添加剤(N)を必須成分として含有する。添加剤(N)は、ウレタン樹脂(D)を粒子化する工程の前に添加する添加剤(N1)と、ウレタン樹脂(D)を粒子化し、ウレタン樹脂粒子(P)とした後に添加する添加剤(N2)があり、添加剤(N)は添加剤(N1)または添加剤(N2)として用いられる。添加剤(N1)としては、無機フィラー、顔料粒子(E)、可塑剤、離型剤、有機充填剤、安定剤及び分散剤等が挙げられ、添加剤(N2)としては、顔料、可塑剤、離型剤、有機充填剤、ブロッキング防止剤、安定剤及び分散剤等が挙げられる。
添加剤(N)の添加量(重量%)は、(D)の重量に対して、0.01〜50が好ましく、さらに好ましくは1〜30である。
【0015】
無機フィラーとは、カオリン、タルク、シリカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、ベントナイト、マイカ、セリサイト、ガラスフレーク、ガラス繊維、黒鉛、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、硫酸バリウム、ホウ酸亜鉛、アルミナ、マグネシア、ウォラストナイト、ゾノトライト、ウィスカー及び金属粉末等が挙げられる。これらのうち、熱可塑性樹脂の結晶化促進の観点から、カオリン、タルク、シリカ、酸化チタン及び炭酸カルシウムが好ましく、さらに好ましくはカオリン及びタルクである。
無機フィラーの体積平均粒子径(μm)は、熱可塑性樹脂中への分散性の観点から、0.1〜30が好ましく、さらに好ましくは1〜20、特に好ましくは5〜10である。
【0016】
顔料粒子(E)としては特に限定されず、公知の有機顔料および/または無機顔料を使用することができ、(C)100重量部あたり、通常10重量部以下、好ましくは0.01〜5重量部配合される。有機顔料としては、例えば不溶性もしくは溶性アゾ顔料、銅フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料等が挙げられ、無機系顔料としては、例えばクロム酸塩、フェロシアン化合物、金属酸化物(酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム等)、金属塩類[硫酸塩(硫酸バリウム等)、珪酸塩(珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム等)、炭酸塩(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等)、燐酸塩(燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム等)等]、金属粉末(アルミ粉末、鉄粉末、ニッケル粉末、銅粉末等)、カーボンブラック等が挙げられる。顔料粒子(E)の平均粒径についてはとくに限定はないが、通常0.05〜5.0μmであり、好ましくは0.2〜1μmである。
【0017】
可塑剤としては、フタル酸エステル(フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチルベンジル及びフタル酸ジイソデシル等);脂肪族2塩基酸エステル(アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル及びセバシン酸−2−エチルヘキシル等);トリメリット酸エステル(トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル及びトリメリット酸トリオクチル等);脂肪酸エステル(オレイン酸ブチル等);安息香酸エステル類[ポリエチレングリコール(重合度2〜10)のジ安息香酸エステル、ポリプロピレングリコール(重合度2〜10)のジ安息香酸エステル等];脂肪族リン酸エステル(トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルフォスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート及びトリブトキシホスフェート等);芳香族リン酸エステル(トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート及びトリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート等);ハロゲン脂肪族リン酸エステル(トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(βークロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート及びトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート等);及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0018】
離型剤としては公知の離型剤等が使用でき、フッ素化合物型離型剤(リン酸トリパーフルオロアルキル(炭素数8〜20)エステル、たとえば、トリパーフルオロオクチルホスフェート及びトリパーフルオロドデシルホスフェート等);シリコーン化合物型離型剤(ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサン及びカルボキシル変性ジメチルポリシロキサン等)、脂肪酸エステル型離型剤(炭素数10〜24の脂肪酸のモノ又は多価アルコールエステル、たとえば、ブチルステアレート、硬化ひまし油及びエチレングリコールモノスレアレート等);脂肪族酸アミド型離型剤(炭素数8〜24の脂肪酸のモノ又はビスアミド、たとえば、オレイン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド及びエチレンジアミンのジステアリン酸アミド等);金属石鹸(ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸亜鉛等);天然又は合成ワックス(パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス及びポリブロピレンワックス等);及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
【0019】
ブロッキング防止剤としては特に限定されず、公知の無機系ブロッキング防止剤及び有機系ブロッキング防止剤等を使用することができる。無機系ブロッキング防止剤としてはシリカ、タルク、酸化チタン及び炭酸カルシウム等が挙げられる。有機系ブロッキング防止剤としては粒子径10μm以下の熱硬化性樹脂(熱硬化性ポリウレタン樹脂、グアナミン系樹脂及びエポキシ系樹脂等)及び粒子径10μm以下の熱可塑性樹脂(熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂及びポリ(メタ)アクリレート樹脂等)等が挙げられる。
【0020】
安定剤とは、分子中に炭素−炭素二重結合(置換基を有していてもよいエチレン結合等)(ただし芳香環中の二重結合は除く)、炭素−炭素三重結合(置換基を有していてもよいアセチレン結合)を有する化合物等が使用でき、(メタ)アクリル酸と多価アルコール(2〜10価の多価アルコール、以下同様)とのエステル(エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等);(メタ)アリルアルコールと2〜6価の多価カルボン酸とのエステル(ジアリルフタレート及びトリメリット酸トリアリルエステル等);多価アルコールのポリ(メタ)アリルエーテル(ペンタエリスリトール(メタ)アリルエーテル等);多価アルコールのポリビニルエーテル(エチレングリコールジビニルエーテル等);多価アルコールのポリプロペニルエーテル(エチレングリコールジプロペニルエーテル等);ポリビニルベンゼン(ジビニルベンゼン等)及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。これらのうち、安定性(ラジカル重合速度)の観点から、(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステルが好ましく、さらに好ましくはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートである。
【0021】
添加剤(N2)をウレタン樹脂粒子(P)に添加、混合するときに使用する混合装置としては、公知の粉体混合装置を使用でき、容器回転型混合機、固定容器型混合機及び流体運動型混合機等が使用できる。これらの混合装置のうち、固定容器型混合機が好ましく、さらに好ましくは高速流動型混合機、複軸パドル型混合機、高速剪断混合装置(ヘンシエルミキサー(登録商標)等)、低速混合装置(プラネタリーミキサー等)及び円錐型スクリュー混合機(ナウタミキサ(登録商標)等)、さらに好ましくは複軸パドル型混合機、低速混合装置(プラネタリーミキサー等)及び円錐型スクリュー混合機(ナウタミキサ(登録商標、以下省略)等)である。また、混合はドライブレンドすることが好ましい。
【0022】
本発明のスラッシュ成形用ウレタン樹脂粒子(C)は、造粒されてなる粒子であることが好ましい。ウレタン樹脂粒子(C)の製造方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
【0023】
ウレタン樹脂(D)を主成分とした1次粒子(p1)を合成、必要により乾燥させた後、これを造粒することで本発明のウレタン樹脂粒子(C)を得る方法がある。
【0024】
この場合の1次粒子(p1)の粒径としては0.3〜50μmであり、好ましくは1〜30μmであり、さらに好ましくは3〜10μmである。また造粒させる方法としては、1次粒子(p1)同士を表面で熱融着させて造粒させる方法、1次粒子(p1)にバインダー成分を添加して、バインダーにより1次粒子(p1)同士を接着造粒させる方法などが挙げられる。
【0025】
1次粒子(p1)の製造方法としては、
(i)ウレタン樹脂(D)の有機溶剤溶液または、ウレタン樹脂(D)の前駆体(d0)もしくはその有機溶剤溶液を、分散安定剤、界面活性剤を含む水性分散液、または分散安定剤を含むウレタン樹脂(D)またはその前駆体(d0)を溶解させない有機溶媒中に分散させた後、前駆体(d0)の場合は重合させた後、これを固液分離した後、乾燥することによって得る方法。
(ii)ウレタン樹脂(D)の塊状あるいはペレット状樹脂を得て、ついで粉末化して得る方法等が挙げられる。
前駆体(d0)を使用した場合、1次粒子形成後には、ウレタン樹脂(D)となっている。粒子化装置としては、一般に乳化機、分散機として市販されているものであればとくに限定されず、例えば、ホモジナイザー(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、TKオートホモミキサー(プライミクス社製)等のバッチ式乳化機、エバラマイルダー(荏原製作所社製)、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサー(プライミクス社製)、コロイドミル(神鋼パンテック社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機社製)、キャピトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工社製)等の連続式乳化機、マイクロフルイダイザー(みずほ工業社製)、ナノマイザー(ナノマイザー社製)、APVガウリン(ガウリン社製)等の高圧乳化機、膜乳化機(冷化工業社製)等の膜乳化機、バイブロミキサー(冷化工業社製)等の振動式乳化機、超音波ホモジナイザー(ブランソン社製)等の超音波乳化機等が挙げられる。このうち粒径分布の観点で好ましいものは、APVガウリン、ホモジナイザー、TKオートホモミキサー、エバラマイルダー、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサーが挙げられる。
【0026】
固液分離の方法としては、公知の遠心分離、ベルトプレス、フィルタープレスなどが適用できる。
さらに公知の方法で乾燥させることにより、1次粒子(p1)を得ることができる。
得られた1次粒子(p1)を造粒によりウレタン樹脂粒子(P)とする際に用いられる造粒装置としては、公知の造粒装置を用いることができる。例えば、ニーダー、パドルミキサー、ロータリードラム型混合器、リボン乾燥機、ディスクドライヤー等がある。またヘンシェルミキサー(三井三池化工器製)、ナウターミキサー(ホソカワミクロン製)、TURBO SPHEREミキサー(住友重機械工業製)、リボンブレンダー(ホソカワミクロン製)、タービュライザー(ホソカワミクロン製)、ソリッドエアー(ホソカワミクロン製)等が挙げられる。本発明に係る製造方法を実施する場合の造粒槽内の温度としては、0〜200℃、好ましくは70〜150℃が好ましい。
【0027】
塊状あるいはペレット状ウレタン樹脂(D)の製造法は、例えばニ−ダ−等のバッチ式混練機あるいはサイドフィ−ダ−が付属したスクリュー式押出機によって得ることができる。上記の塊状あるいはペレット状の熱可塑性ポリウレタンを液体チッソによって冷却し、ターボミル、ピンミル、ハンマーミル等の衝撃型微粉砕機を用いて粉砕して、1次粒子(p1)を得ることができる。
【0028】
前述の造粒装置を用いて、1次粒子(p1)表面の熱融着による造粒、バインダーを添加することによる接着造粒、有機溶剤により1次粒子(p1)表面を膨潤させ融着させる造粒方法がある。この場合用いられるバインダーとしては、添加剤の説明で挙げた可塑剤が挙げられる。また有機溶剤としては、ウレタン樹脂(D)と親和性のある公知のものが挙げられる。
【0029】
別の方法として、ウレタン樹脂(D)の有機溶剤溶液または、ウレタン樹脂(D)の前駆体(d0)もしくはその有機溶剤溶液を、分散安定剤、界面活性剤を含む水性分散液、または分散安定剤を含む、ウレタン樹脂(D)、またはその前駆体(d0)を溶解させない有機溶媒中に、1次粒子(p2)に粒子化した後、粒子(p2)を分散液中で凝集させ造粒させることで、ウレタン樹脂粒子(C)の分散スラリーを得る方法が挙げられ、この場合の1次粒子の粒径は0.3〜50μm、好ましくは1〜30μmであり、さらに好ましくは3〜10μmである。粒子を凝集させる方法としては、水性分散液中にあらかじめ、1次粒子(p2)の分散安定性を低下させる有機溶剤、塩、酸、または塩基などを添加させておく方法、1次粒子形成後に有機溶剤、塩、酸または塩基を添加する方法、分散安定性の低い分散剤を使用する方法、分散剤濃度を減らしておく方法などが挙げられる。前駆体(d0)を使用した場合、造粒後にはウレタン樹脂(D)となっている。この場合の粒子化装置としては、前述と同様のものを使用することができ、固液分離、乾燥工程についても前述と同様の方法により行うことができる。
【0030】
これらの方法の中でも、ウレタン樹脂粒子(C)を、粒子化、固液分離、乾燥工程の3工程で行える1次粒子を分散液中で造粒させる方法が好ましい。上記に例示した造粒による凹凸形状の形成は、最終の粒径よりも微小な粒子の組み合わせにより凹凸を形成させるビルドアップ型のプロセスである。凹凸を形成させる方法としては、この他にも、平滑な表面の粒子を、物理的に削ったり、化学的な処理することにより、凹凸を形成させる方法も挙げられるが、そのような方法は、削ったあとの研磨剤や、削った粒子の破片を除去する必要がある点、また化学的に処理をした場合はその薬液の後処理が必要となる点から不利である。また資源的な観点からも、削り取る部分、化学的処理により溶解する部分が発生するため、無駄が多いプロセスである。よって、1次粒子の造粒により、粒子表面に凹凸を形成させる方法が好ましいといえる。
【0031】
本発明のウレタン樹脂粒子(C)を構成するウレタン樹脂(D)は、ウレア基濃度が0.5〜10重量%であり、かつウレタン基濃度とウレア基濃度の合計が4〜20重量%であり、かつ融点が160〜260℃であり、かつガラス転移点温度が−65〜0℃であることが好ましい。
ウレア基はウレタン樹脂(D)の強度、耐溶剤性、耐摩耗性を著しく向上させるため、ウレア基を含有する場合、ウレタン樹脂粒子(C)の性能を大きく向上させることができる。ウレア基が0.5〜10重量%の範囲であると、ウレア基による強度、耐溶剤性、耐摩耗性の向上の効果が著しく、またウレタン樹脂粒子(C)を成形加工させる際には、融点、溶融粘度を低く抑えられるため、成形時に必要な熱エネルギーを低減することができる。ウレア基濃度は0.5〜10重量%が好ましく、1.0〜7.0重量%がより好ましく、1.5〜5.0重量%が最も好ましい。
また同時にウレタン基もウレア基同様にウレタン樹脂(D)の性能を向上させており、ウレタン基濃度とウレア基濃度の合計が4〜20重量%であることが好ましく、6〜15重量%がさらに好ましく、8〜12重量%が最も好ましい。本発明におけるウレタン基濃度、ウレア基濃度はウレタン樹脂(D)に対するウレタン基とウレア基の重量%濃度である。
【0032】
本発明のウレタン樹脂粒子(C)を構成するウレタン樹脂(D)の融点は160〜260℃であることが好ましく、210〜250℃であることがさらに好ましい。融点が160〜260℃であれば、一般的な保存環境において、粒子のブロッキング性に優れ、かつ成形時の熱エネルギーを低減することができる。(D)のガラス転移点温度は−65〜0℃であることが好ましく、−50〜−10℃であることがさらに好ましい。ガラス転移点温度が−65〜0℃であれば、より低温でも耐衝撃性を有することができる。
【0033】
本発明におけるウレタン樹脂(D)としては、脂肪族系ジイソシアネート(a1)と、モノオール(a2)、数平均分子量500〜10,000の高分子ジオール(a3)および必要により低分子ジオール(a4)とから誘導されるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(a)に、脂環式ジアミンおよび/または脂肪族ジアミン(b)を反応させることにより得られるものが挙げられる。
上記(a)を構成する脂肪族系ジイソシアネート(a1)としては、(i)炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)2〜18の脂肪族ジイソシアネート[エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等];(ii)炭素数4〜15の脂環族ジイソシアート[イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロへキセン等];(iii)炭素数8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート[m−および/またはp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等];(iv)これらのジイソシアネートの変性物(カーボジイミド基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、ウレア基等を有するジイソシアネート変性物);およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち好ましいものは脂肪族ジイソシアネートまたは脂環族ジイソシアネートであり、特に好ましいものはHDI、IPDI、水添MDIである。
【0034】
上記モノオール(a2)としては、炭素数1〜8の脂肪族モノオール類[直鎖モノオール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノールなど)、分岐鎖を有するモノオール(イソプロピルアルコール、ネオペンチルアルコール、3−メチル−ペンタノール、2−エチルヘキサノール)など];炭素数6〜10の環状基を有するモノオール類[脂環基含有モノオール(シクロヘキサノールなど)、芳香環含有モノオール(ベンジルアルコールなど)など]およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち好ましいものは脂肪族モノオールである。また高分子モノオールとしては、ポリエステルモノオール、ポリエーテルモノオール、ポリエーテルエステルモノオールおよびこれら2種以上の混合物が挙げられる。
【0035】
数平均分子量500〜10,000の高分子ジオール(a3)としては、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエーテルエステルジオールおよびこれら2種以上の混合物が挙げられる。ポリエステルジオールとしては、例えば(i)低分子ジオールとジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体[酸無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステル、酸ハライド等]またはジアルキルカーボネート(アルキル基の炭素数1〜4)との縮合重合によるもの;(ii)低分子ジオールを開始剤としてラクトンモノマーを開環重合したもの;(iii)低分子ジオールを開始剤としてジカルボン酸無水物およびアルキレンオキサイドを反応させたもの;およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0036】
上記(i)、(ii)及び(iii)の低分子ジオールの具体例としては炭素数2〜8の脂肪族ジオール類[直鎖ジオール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど)、分岐鎖を有するジオール(プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−もしくは2,3−ブタンジオールなど)など];環状基を有するジオール類[炭素数6〜15の脂環基含有ジオール〔1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、水添ビスフェノールAなど〕、炭素数8〜20の芳香環含有ジオール(m−もしくはp−キシリレングリコールなど)、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFなど)のオキシアルキレンエーテル、多核フェノール類(ジヒドロキシナフタレンなど)のオキシアルキレンエーテル、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートなど];これらのアルキレンオキサイド付加物(分子量500未満)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち好ましいものは脂肪族ジオールおよび脂環基含有ジオールである。
【0037】
なお、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)、1,2−、1,3−、1,4−もしくは2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、炭素数5〜10またはそれ以上のα−オレフンオキサイド、エピクロルヒドリンおよびこれらの2種以上の併用系(ブロックまたはランダム付加)が挙げられる。
【0038】
上記(i)のジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体の具体例としては、ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体の具体例としては、炭素数4〜15の脂肪族ジカルボン酸[コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸、マレイン酸、フマル酸など]、炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸[テレフタル酸、イソフタル酸など]、これらのエステル形成性誘導体[酸無水物(無水フタル酸、無水マレイン酸など)、低級アルキルエステル(ジメチルエステル、ジエチルエステルなど)、酸ハライド(酸クロライド等)など]およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0039】
上記(ii)のラクトンモノマーとしては、炭素数4〜12のラクトン、たとえばγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンおよびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0040】
ポリエーテルジオールとしては、2個の水酸基含有化合物(たとえば前記低分子ジオール、2価のフェノール類など)の脱水反応によりポリエーテルジオールとしたもの、2個の水酸基含有化合物にアルキレンオキサイドが付加した構造の化合物があげられる。上記2価のフェノール類としてはビスフェノール類[ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど]、単環フェノール類[カテコール、ハイドロキノンなど]などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、ポリテトラメチレングリコール、2価フェノール類にアルキレンオキサイドが付加したものであり、さらに好ましいものは2価フェノール類にEOが付加したものである。
【0041】
また、ポリエーテルエステルジオールとしては、前記ポリエステルジオールにおいて原料の低分子ジオールに代えて上記ポリエーテルジオールを用いたもの、例えば上記ポリエーテルジオールの1種以上と前記ポリエステルジオールの原料として例示したジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体の1種以上とを縮重合させて得られるものが挙げられる。これら高分子ジオール(a3)のうちで好ましいものはポリエステルジオールであり、更に好ましいものは低分子ジオールとジカルボン酸との重縮合物である。
【0042】
該(a2)および(a3)と共に必要により使用される低分子ジオール(a4)としては、前記ポエステルジオールの出発物質として例示した低分子ジオールが使用できる。該(a4)として好ましいものは脂肪族ジオールである。また該(a4)の使用量は(a3)の重量に基づいて通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下である。
【0043】
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(a)を製造する際の反応温度は、ウレタン化を行う際に通常採用される温度と同じでよく、溶剤を使用する場合は通常20℃〜100℃であり、溶剤を使用しない場合は通常20℃〜220℃、好ましくは80℃〜200℃である。上記プレポリマー化反応において、反応を促進するために必要によりポリウレタンに通常用いられる触媒を使用することができる。該触媒としては、例えばアミン系触媒[トリエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミンなど]、錫系触媒[トリメチルチンラウレート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンマレートなど]などが挙げられる。(a)を製造する際、(a2)、(a3)及び(a4)の末端ヒドロキシル基の合計モルに対し、過剰モルのイソシアネート基となるように(a1)を使用することでイソシアネート基末端にすることができる。
【0044】
(a)との反応に用いる脂環式ジアミンおよび/または脂肪族ジアミン(b)のうち、脂環式ジアミンとしては、炭素数6〜18の脂環式ジアミン[4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン等];脂肪族ジアミンとしては、炭素数2〜12の脂肪族ジアミン[エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等];炭素数8〜15の芳香脂肪族ジアミン[キシリレンジアミン、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジアミン等]が挙げられ、上記化合物は、1種類またはこれらの2種以上の混合物として使用できる。これらのうち好ましいものはイソホロンジアミンおよびヘキサメチレンジアミンである。
【0045】
ウレタン樹脂粒子(C)は、添加剤(N)が少なくとも顔料粒子(E)を含み、着色された場合に、最もその効果を発揮することができる。
すなわち、ウレタン樹脂粒子(P)と顔料粒子(E)からなるウレタン樹脂粒子(C)において、ウレタン樹脂粒子(P)と顔料粒子(E)を混合することにより、ウレタン樹脂粒子(P)の表面に顔料粒子(E)が付着したスラッシュ成形用ウレタン樹脂粒子(C)を得ることができる。このウレタン樹脂粒子(C)は、混合された(E)のほとんどが(P)の表面、特にくぼみの部分に付着するので、顔料粒子の凝集体はほとんどなく、ウレタン樹脂粒子(P)100個当たり、粒径が20〜140μmであって顔料粒子(E)の凝集体である粒子(F)が、1個以下であるという特徴を有する。
【0046】
本発明のウレタン樹脂粒子(C)は、ウレタン樹脂粒子(P)100個当たり、粒径が20〜140μmであって顔料粒子(E)の凝集体である粒子(F)を1個以下であることが望ましい。粒子(F)としては、前記顔料粒子(E)がウレタン樹脂粒子(P)の表面から滑落・凝集して生成したものに限らず、ウレタン樹脂粒子(P)と混合する前の段階、すなわち着色剤ペースト、顔料パウダー等の時点ですでに凝集していたものも含まれる。粒子(F)が、ウレタン樹脂粒子(P)100個当たり、1個以下であると、顔料の発色が良いため、ウレタン樹脂粒子(C)自体の発色や、これを溶融成形した際に、発色が鮮やかになる、顔料の使用量が少なくて済むため好ましい。
【0047】
ウレタン樹脂粒子(P)と顔料粒子(E)を混合し、ウレタン樹脂粒子(P)の表面に顔料粒子(E)を付着させるスラッシュ成形用ウレタン樹脂粒子(C)の着色方法として、例えば、融点が0℃以下でありかつ沸点が170℃以上である分子内に少なくとも1個のエステル基を含む有機化合物(H)中に顔料粒子(E)を分散させた顔料分散液(G)とウレタン樹脂粒子(P)を混合する方法が好ましい。この方法を行うことで、ウレタン樹脂粒子(C)の着色を効率よく、色の再現性良く行うことができる。
【0048】
有機化合物(H)は顔料粒子(E)の分散安定性がよいため、顔料分散液(G)は長期に渡って、顔料(E)を顔料の凝集を発生させず保存することが可能である。また有機化合物(H)と顔料粒子(E)から成る、顔料分散液(G)は、ウレタン樹脂粒子(P)との親和性が高いため、顔料粒子(E)だけで、ウレタン樹脂粒子(P)を着色するよりも、短時間かつ均一に粒子表面への着色が可能になる。
【0049】
有機化合物(H)としては、前記可塑剤として例示したものと同じものが挙げられる。
これらのうち好ましいものは安息香酸エステル類であり、特に好ましいものはポリエチレングリコールのジ安息香酸エステルである。
【0050】
本発明のスラッシュ成形用ウレタン樹脂粒子(C)は、スラッシュ成形して樹脂成形体とすることができる。スラッシュ成形としては、本発明の樹脂粉末組成物が入ったボックスと加熱した金型とを共に振動回転させ、樹脂粉末組成物を金型内で溶融流動させた後、冷却・固化させて、成形体(表皮等)を製造する方法が適用できる。
金型の温度(℃)としては、200〜280℃が好ましい。
【0051】
本発明の樹脂粉末組成物をスラッシュ成形して得られる樹脂成形体は、自動車内装材(インストルメントパネル及びドアトリム等)として適している。たとえば、本発明の樹脂粉末組成物で成形された樹脂成形体(表皮)の厚さは、0.3〜1.2mmが好ましい。成形体(表皮)は、表面を発泡型に接するようにセットして、ウレタンフォームを流し、裏面に5mm〜15mmの発泡層を形成させて、樹脂成形品とすることができる。
【0052】
表面に凹凸がない滑らかな表面の場合、顔料粒子(E)の凝集体である粒子(F)の発生が顕著であるが、本発明のウレタン樹脂粒子(C)は、その粒子表面に凹凸を有していることから、着色工程やその後工程における攪拌混合時のシアにより、樹脂粒子表面に付着した顔料粒子が、表面から滑落したり、粒子表面で顔料粒子同士で凝集したりすることがないため、発色性がよく、また顔料の凝集体である粒子(F)が製品中に混在するなどといった問題が発生しない。また、粒子化前の液状の原料の段階で顔料と混合するプロセスと比べると、製品の色替毎に生産設備を念入りに洗浄する必要もないため、生産性を向上することができる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において部は重量部、%は重量%を示す。
【0054】
製造例1
プレポリマー溶液(U−1)の製造
温度計、撹拌機及び窒素吹込み管を備えた反応容器に、数平均分子量(以下Mnと記す。)が1000のポリブチレンアジペート(575部)、Mnが900のポリヘキサメチレンイソフタレート(383部)、1−オクタノール(16.8部)、体積平均粒径9.2μmのカオリン(18.6部)を仕込み、窒素置換した後、撹拌しながら110℃に加熱して溶融させ、60℃まで冷却した。続いて、ヘキサメチレンジイソシアネート(242部)を投入し、85℃で6時間反応させた。次いで、60℃に冷却した後、テトラヒドロフラン(217部)、及び安定剤(2.5部)[チバスペシャリティーケミカルズ(株)社製 イルガノックス1010]、紫外線吸収剤(1.91部)[チバスペシャリティーケミカルズ(株)社製;チヌビン571]を加え、均一に混合してプレポリマー溶液を得た。得られたプレポリマー溶液(U−1)のNCO含量は、2.2%であった。
【0055】
製造例2
ジアミンのMEKケチミン化物の製造
ヘキサメチレンジアミンと過剰のMEK(メチルエチルケトン;ジアミンに対して4倍モル量)を80℃で24時間還流させながら生成水を系外に除去した。その後減圧にて未反応のMEKを除去してMEKケチミン化物を得た。
【0056】
製造例3
プレポリマー溶液(U−2)の製造
温度計、撹拌機及び窒素吹込み管を備えた反応容器に、Mnが1000のポリブチレンアジペート(1214部)、Mnが900のポリエチレンフタレート(テレフタル酸/イソフタル酸=50/50(重量比))(304部)、1−オクタノール(27.6部)、体積平均粒径9.2μmのカオリン(18.6部)を仕込み、窒素置換した後、撹拌しながら110℃に加熱して溶融させ、60℃まで冷却した。続いて、ヘキサメチレンジイソシアネート(313.2部)を投入し、85℃で6時間反応させた。次いで、60℃に冷却した後、テトラヒドロフラン(425部)、及び安定剤(2.7部)[イルガノックス1010]、紫外線吸収剤(1.91部)[チバスペシャリティーケミカルズ(株)社製;チヌビン571]を加え、均一に混合してプレポリマー溶液を得た。得られたプレポリマー溶液(U−2)のNCO含量は、1.6%であった。
【0057】
実施例1
ウレタン樹脂粒子(C−1)の製造
反応容器に、製造例1で得たプレポリマー溶液(U−1)(100部)とMEKケチミン化合物(5.6部)を投入混合し、そこに分散剤(三洋化成工業(株)製サンスパールPS−8(1.3部))とテトラヒドロフラン(誘電率:8.2)(68部)を溶解した水溶液340部(水溶液中有機溶剤量:20重量%)を加え、ヤマト科学(株)製ウルトラディスパーサーを用いて9000rpm(周速:15m/s)の回転数で1分間混合した。この混合物を温度計、撹拌機及び窒素吹込み管を備えた反応容器に移し、窒素置換した後、撹拌しながら50℃で10時間反応させた。反応終了後、濾別及び乾燥を行い、ウレタン樹脂粒子(P−1)を製造した。(P−1)のMnは2.5万、中心粒径は151μm、90%粒子径/10%粒子径は2.7であった。
得られたウレタン樹脂粒子(P−1)100部、着色剤として、1.0部のカーボンブラックを1.0部のポリエチレングリコール(重合度2〜10)のジ安息香酸エステル(三洋化成工業製サンソフトEB300、融点:0℃以下、沸点:300℃以上)である有機化合物(H−1)中に分散させた顔料分散液(G−1)(2.7部)を、ヘンシェルミキサーに投入し、回転速度700min−1で1分間攪拌した。次いで、100Lのナウターミキサーに移し、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(4.0部)、紫外線安定剤(0.3部)[チバスペシャリティーケミカルズ(株)社製;チヌビン765]を投入し70℃で4時間含浸した。含浸4時間後、2種類の内添離型剤{ジメチルポリシロキサン(0.06部)[日本ユニカー(株)製;ケイL45−10000]、カルボキシル変性シリコン(0.05部)[信越化学工業(株)製;X−22−3710]}を投入し1時間混合した後室温まで冷却した。最後に、ブロッキング防止剤(0.5部)[ガンツ化成(株);ガンツパールPM−030S](0.5部)を投入混合し、48メッシュのふるいを通過させた後、200メッシュのふるいで通過するものを除き、スラッシュ成形用ウレタン樹脂粒子(C−1)を得た。
【0058】
実施例2
ウレタン樹脂粒子(C−2)の製造
水溶液にテトラヒドロフランの代わりに、塩化ナトリウム15部加える以外は実施例1と同様の操作を行うことで、ウレタン樹脂粒子(P−2)を製造した。(P−2)のMnは2.5万、中心粒径は180μm、90%粒子径/10%粒子径は3.0であった。
実施例1の(P−1)の代わりに(P−2)を用い、実施例1と同様に行いスラッシュ成形用ウレタン樹脂粒子(C−2)を得た。
【0059】
実施例3
ウレタン樹脂粒子(C−3)の製造
反応容器に、製造例1で得たプレポリマー溶液(U−1)(100部)とMEKケチミン化合物(5.6部)を投入混合した油相と、分散剤ポリビニルアルコール(クラレ社製)(5.3部))を溶解した水溶液をそれぞれ、100kg/hr、400kg/hrの流量でTKパイプラインホモミキサー(プライミクス社製)を3600rpmで運転しながら、これに送液し、分散を行った。この混合物を温度計、撹拌機及び窒素吹込み管を備えた反応容器に移し、窒素置換した後、撹拌しながら50℃で10時間反応させた。反応終了後、濾別及び乾燥を行い、ウレタンの1次粒子(p−3)を製造した。この1次粒子(p−3)の熱軟化温度は140℃、中心粒径は20μmであった。ヘンシェルミキサー(三井三池化工器(株)製)に入れ、40m/secで攪拌を行うことにより、1次粒子(p−3)の造粒を行った。攪拌開始から15分後に140℃に到達し、この段階で運転を停止することで、ウレタン樹脂粒子(P−3)を得た。(P−3)のMnは2.5万、中心粒径は180μm、90%粒子径/10%粒子径は2.9であった。
実施例1の(P−1)の代わりに(P−3)を用い、その他は実施例1と同様に行いスラッシュ成形用ウレタン樹脂粒子(C−3)を得た。
【0060】
実施例4
ウレタン樹脂粒子(C−4)の製造
実施例3において、MEKケチミン化合物(5.6部)の代わりに1−4ブタンジオール(2.6部)を使用する以外は実施例3同様に行い、ウレタン1次粒子(p−4)を製造した。この1次粒子(p−4)の熱軟化温度は91℃、中心粒径は3μmであった。
ヘンシェルミキサー(三井三池化工器(株)製)に入れ、40m/secで攪拌を行うことにより、1次粒子(p−4)の造粒を行った。攪拌開始から15分後に90℃に到達し、この段階で運転を停止することで、ウレタン樹脂粒子(P−4)を得た。(P−4)のMnは2.5万、中心粒径は20μm、90%粒子径/10%粒子径は3.0であった。
実施例1の(P−1)の代わりに(P−4)を用い、「200メッシュのふるいで通過するものを除き」の処理を省き、その他は実施例1と同様に行いスラッシュ成形用ウレタン樹脂粒子(C−4)を得た。
【0061】
実施例5
ウレタン樹脂粒子(C−5)の製造
ヘンシェルミキサーの運転時間を25分に変更した以外は、実施例3と同様の操作を行うことにより、ウレタン樹脂粒子(P−5)を得た。(P−5)のMnは2.5万、中心粒径は500μm、90%粒子径/10%粒子径は3.0であった。
実施例1の(P−1)の代わりに(P−5)を用い、「48メッシュのふるいを通過させた後、200メッシュのふるいで通過するものを除き」の処理の代わりに「26メッシュのふるいを通過させる」の処理を行い、その他は実施例1と同様に行いスラッシュ成形用ウレタン樹脂粒子(C−5)を得た。
【0062】
実施例6
ウレタン樹脂粒子(C−6)の製造
反応容器に、製造例3で得たプレポリマー溶液(U−2)(100部)とMEKケチミン化合物(4.1部)を投入混合し、そこに分散剤(三洋化成工業(株)製サンスパールPS−8(1.3部))とメチルエチルケトン(誘電率:15.5)(68部)を溶解した水溶液340部(水溶液中有機溶剤量:20重量%)を加え、ヤマト科学(株)製ウルトラディスパーサーを用いて9000rpm(周速:15m/s)の回転数で1分間混合した。この混合物を温度計、撹拌機及び窒素吹込み管を備えた反応容器に移し、窒素置換した後、撹拌しながら50℃で10時間反応させた。反応終了後、濾別及び乾燥を行い、ウレタン樹脂粒子(P−6)を製造した。(P−6)のMnは1.8万、中心粒径は143μm、90%粒子径/10%粒子径は2.8であった。
実施例1の(P−1)の代わりに(P−6)を用い、その他は実施例1と同様に行いスラッシュ成形用ウレタン樹脂粒子(C−6)を得た。
【0063】
実施例7
ウレタン樹脂粒子(C−7)の製造
反応容器に、製造例1で得たプレポリマー溶液(U−1)(100部)とMEKケチミン化合物(5.6部)を投入混合した油相と、分散剤(ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩)(5.3部)を溶解した水溶液をそれぞれ、100kg/hr、400kg/hrの流量でDISPAX-REACTOR(IKA社製)を12000rpmで運転しながら、これに送液し、分散を行った。この混合物を温度計、撹拌機及び窒素吹込み管を備えた反応容器に移し、窒素置換した後、撹拌しながら50℃で10時間反応させた。反応終了後、濾別及び乾燥を行い、ウレタンの1次粒子(p−7)を製造した。
この1次粒子(p−7)の熱軟化温度は141℃、中心粒径は3μmであった。ヘンシェルミキサー(三井三池化工器(株)製)に入れ、40m/secで攪拌を行うことにより、1次粒子(p−7)の造粒を行った。攪拌開始から15分後に140℃に到達し、15分間継続して運転後停止することで、ウレタン樹脂粒子(P−7)を得た。(P−7)のMnは2.5万、中心粒径は350μm、90%粒子径/10%粒子径は2.7であった。
実施例1の(P−1)の代わりに(P−7)を用い、その他は実施例1と同様に行いスラッシュ成形用ウレタン樹脂粒子(C−7)を得た。
【0064】
実施例8
ウレタン樹脂粒子(C−8)の製造
反応容器に、製造例3で得たプレポリマー溶液(U−2)(100部)とMEKケチミン化合物(4.1部)を投入混合し、そこに分散剤(三洋化成工業(株)製サンスパールPS−8(1.3部))を溶解した水溶液300部を加え、ヤマト科学(株)製ウルトラディスパーサーを用いて6000rpmの回転数で1分間混合した。この混合物を温度計、撹拌機及び窒素吹込み管を備えた反応容器に移し、窒素置換した後、撹拌しながら50℃で10時間反応させた。反応終了後、濾別及び乾燥を行い、ウレタン樹脂の1次粒子(p−8)を製造した。この1次粒子(p−8)の熱軟化温度は140℃、中心粒径は40μmであった。ヘンシェルミキサー(三井三池化工器(株)製)に入れ、40m/secで攪拌を行うことにより、1次粒子(p−8)の造粒を行った。攪拌開始から15分後に140℃に到達した時点で運転停止することで、ウレタン樹脂粒子(P−8)を得た。(P−8)のMnは2.5万、中心粒径は110μm、90%粒子径/10%粒子径は3.0であった。
実施例1の(P−1)の代わりに(P−8)を用い、その他は実施例1と同様に行いスラッシュ成形用ウレタン樹脂粒子(C−8)を得た。
【0065】
実施例9
ウレタン樹脂粒子(C−9)の製造
テトラヒドロフランの使用量を34部(水溶液中有機溶剤量:10重量%)に変更する以外は実施例1と同様の操作を行うことにより、ウレタン樹脂粒子(P−9)を得た。(P−9)のMnは2.5万、中心粒径は120μm、90%粒子径/10%粒子径は2.0であった。
実施例1の(P−1)の代わりに(P−9)を用い、その他は実施例1と同様に行いスラッシュ成形用ウレタン樹脂粒子(C−9)を得た。
【0066】
実施例10
ウレタン樹脂粒子(C−10)の製造
分散剤(ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩)の使用量を7.5部に変更する以外は実施例7と同様の操作を行うことにより、ウレタンの1次粒子(p−10)を製造した。この1次粒子(p−10)の熱軟化温度は141℃、中心粒径は2μmであった。さらに、実施例7と同様の操作を行うことにより、ウレタン樹脂粒子(P−10)を得た。(P−10)のMnは2.5万、中心粒径は250μm、90%粒子径/10%粒子径は3.0であった。
実施例1の(P−1)の代わりに(P−10)を用い、その他は実施例1と同様に行いスラッシュ成形用ウレタン樹脂粒子(C−10)を得た。
【0067】
実施例11
ポリウレタン樹脂粒子(C−11)の製造
1,4−BDとアジピン酸とから得られるMnが1000のポリエステルジオール243.5部と、1,4−BDとエチレングリコールとアジピン酸とから得られるMnが2600のポリエステルジオール243.5部と、1,6−HGとイソフタル酸とから得られるMnが1500のポリエステルジオール324.7部とを、39.3部の1,6−HGと混合して均一なグリコール成分とした。このグリコール成分とHDIと混合し、流量比100:17.5で、約190℃に温度調節した二軸押出機のホッパーより供給し、混練りと同時に樹脂化を行い、ポリウレタン樹脂を得た。
【0068】
上記の工程で得られたポリウレタン樹脂をペレタイザーにかけ、ペレットとしたポリウレタン樹脂100部に、酸化防止剤としてイルガノックス245(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.25部、紫外線吸収剤としてチヌビン 213(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.15部、光安定剤としてチヌビン 765(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.15部、内部離型剤としてSH200−1,000CS(東レダウコーニング社製)を0.25部を添加し、約200℃に温度調節した二軸押出機のホッパーより供給し、混練りを行いポリウレタン樹脂を得た。
【0069】
上記のようにして添加剤が加えられたポリウレタン樹脂を液体窒素で−150℃に冷却し、衝撃微粉砕機により微粉末とした。これに流動性を付与するため、樹脂100部に対して、打粉剤「MP−1451」0.4部を添加し、ポリウレタン樹脂表面に均一に付着するように撹拌混合し、次いで、200メッシュのふるいを通過させ、ポリウレタン樹脂1次粒子(p−11)を得た。(p−11)の熱軟化温度は110℃、中心粒径は50μmであった。ヘンシェルミキサー(三井三池化工器(株)製)に入れ、40m/secで攪拌を行うことにより、1次粒子(p−11)の造粒を行った。攪拌開始から15分後に110℃に到達し、この段階で運転を停止することで、ウレタン樹脂粒子(P−11)を得た。(P−11)のMnは2.5万、中心粒径は180μm、90%粒子径/10%粒子径は3.0であった。
実施例1の(P−1)の代わりに(P−11)を用い、その他は実施例1と同様に行いスラッシュ成形用ウレタン樹脂粒子(C−11)を得た。
【0070】
比較例1
ポリウレタン樹脂粒子C’−1の製造
<熱可塑性ポリウレタン樹脂の合成>
窒素導入管、温度計、冷却管および攪拌装置を具備した反応容器に、ポリオールとしてタケラックU−2024(三井化学ポリウレタン社製、ポリエステルポリオール)75.2部、酸化防止剤としてイルガノックス245(チバスペシャリティケミカルズ社製)0.05部、モノオールとして2−エチルヘキシルアルコール(和光純薬工業株式会社製)0.49部、イソシアネートとして4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(住化バイエルウレタン株式会社製、商品名:デスモジュールW)21.6部を装入し、よく攪拌しながら80〜85℃に昇温させ約3.5時間反応を継続させた後、NCO重量%が3.6重量%まで低下していることを確認して、イソシアネート基末端プレポリマーを得た。
その後、予め混合しておいた分散安定剤(I)0.45部とn−ヘプタン29.2部とを、反応容器に一括装入し、1時間かけてイソシアネート基末端プレポリマーを分散させた。
【0071】
次いで、58.4部のn−ヘプタンを30ml/分の速度で装入した後、反応温度を25℃まで降下させた。予め、2.7部の1,6−ヘキサメチレンジアミンの70重量%水溶液を、分散安定剤(I)0.06部とn−ヘプタン3.86部とに分散させて調製した鎖伸長剤の分散液を、それに一括装入した。
装入終了後、25〜35℃で30分間反応させた後、45℃に昇温、次いで、同温度で30分間反応を継続し、最終的に反応温度を80〜85℃に昇温、3時間反応させて、熱可塑性ポリウレタン樹脂の分散液を得た。
スチレンおよびメチルメタクリレートが、それぞれ60重量%、40重量%となるように混合した後、それらのモノマー100部に対して、0.5部となるα−メチルスチレンダイマーを添加し、さらに均一に混合し、モノマー総量(スチレンおよびメタクリル酸メチルの総量)100部に対して、ラジカル重合開始剤としてジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬(株)製、商品名:V−601)を4部添加し、モノマー液を調製した。
熱可塑性ポリウレタン樹脂100重量部に対してモノマー総量が20重量部となるように、上記で得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂の分散液に、反応温度30℃にて、モノマー液を一括で装入した。その後、ゆるやかに温度を上げていき、最終的に、反応温度80℃で12時間熟成反応させた。
その後、熱可塑性ポリウレタン樹脂100部に対して、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としてチヌビン213(チバスペシャリティケミカルズ社製)0.5部、ヒンダードアミン系耐光安定剤としてチヌビン765(チバスペシャリティケミカルズ社製)0.5部、熱架橋性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレートおよびジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(日本化薬社製、商品名:カヤラッドDPHA)6部、重合防止剤としてp−メトキシフェノールを、熱架橋性モノマー100部に対して1部となるように、熱可塑性ポリウレタン樹脂の分散液に装入し、30分間混合した。
【0072】
続いて、その分散液を30℃以下に冷却し、ろ過により固体分を採取した。
次いで、ナウターミキサー型乾燥機に、固体分100部、離型剤としてTSF−451−3000(GE東芝シリコーン株式会社製シリコンオイル)0.5部、ブロッキング防止剤0.3部を装入し、減圧下で攪拌しながら40℃にて3時間乾燥した。その後、内容物を25℃以下に冷却した後、排出し、粒子状ポリウレタン樹脂組成物(P’−1)を得た。(P’−1)の中心粒径は135μmであった。
得られた粒子状ポリウレタン樹脂組成物100部、顔料として、0.6部のカーボンブラック/炭酸カルシウム分散体(住化カラー社製、商品名;PV−817)および0.4部のカーボンブラック/炭酸カルシウム分散体(住化カラー社製、商品名;PV−801)を、ヘンシェルミキサーに投入し、回転速度700min−1で1分間攪拌した。48メッシュのふるいを通過させた後、さらに、200メッシュのふるいで通過するものを除き、粒子状ポリウレタン樹脂組成物(C’−1)を得た。
【0073】
比較例2
ポリアクリル樹脂粒子C‘−2の製造
アクリル系ブロック共重合体前駆体を得るために以下の操作を行なった。500Lの耐圧反応器内を窒素置換したのち、臭化銅692部(4.82モル)、BA77800部(607モル)及びTBA3470部(27.1モル)を仕込み、攪拌を開始した。その後、開始剤2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル965部(2.68モル)をアセトニトリル(窒素バブリングしたもの)7140部に溶解させた溶液を仕込み、内溶液を75℃に昇温しつつ30分間攪拌した。内温が75℃に到達した時点で、配位子ペンタメチルジエチレントリアミン83.6部(0.482モル)を加えてアクリル系重合体ブロックの重合を開始した。
重合の際、ペンタメチルジエチレントリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。なお、ペンタメチルジエチレントリアミンはアクリル系重合体ブロック重合時に合計2回(合計168部)添加した。
BAの転化率が99.0%、TBAの転化率が99.3%の時点で、MMA49600部(495モル)、EA8050部(80.4モル)、塩化銅478部(4.82モル)、ペンタメチルジエチレントリアミン83.6部(0.482モル)及びトルエン(窒素バブリングしたもの)106900部を加えて、メタクリル系重合体ブロックの重合を開始した。重合の際、ペンタメチルジエチレントリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。なお、ペンタメチルジエチレントリアミンはメタクリル系重合体ブロック重合時に合計6回(合計502部)添加した。MMAの転化率が96.1%の時点でトルエン250000部を加え、反応器を冷却して反応を終了させた。得られたブロック共重合体の数平均分子量Mnは77500であった。
得られた反応溶液にトルエンを加えて、重合体濃度を25重量%とした。この溶液にp−トルエンスルホン酸を2200部加え、反応機内を窒素置換し、30℃で3時間撹拌した。反応液をサンプリングし、溶液が無色透明になっていることを確認して、昭和化学工業(株)製ラヂオライト#3000を6630部添加した。その後反応機を窒素により0.1〜0.4MPaGに加圧し、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機(濾過面積0.45m)を用いて固体分を分離した。
【0074】
得られた濾過後のブロック共重合体溶液約450000部に対し、酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガノックス1010)675部を添加し、溶解した。応機内を窒素置換し、内温150℃で2時間撹拌した後、60℃に冷却した。キョーワード500SH1310部を加え反応機内を窒素置換し、30℃で2時間撹拌した。反応液をサンプリングし、溶液が中性になっていることを確認して反応終了とした。その後反応機を窒素により0.1〜0.4MPaGに加圧し、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機(濾過面積0.45m)を用いて固体分を分離し、重合体溶液を得た。得られた重合体溶液200000部をコンデンサ付500L耐圧反応器内にて、溶液温度を70℃〜75℃に温度制御しながら、0.03MPaに減圧し、アセトニトリルの全量およびトルエンの一部を除去することで重合体溶液濃度を50重量%とした。
【0075】
得られた重合体溶液26250部、トルエン26750部、エポキシ基含有アクリル系重合体((東亞合成(株)製、ARUFON XG4010;エポキシ基を1分子中に平均4個含有(カタログデータより算出))1310部、可塑剤(旭電化(株)製、RS700)1310部、滑剤(日本油脂(株)製、牛脂極度硬化油)131部、純水10500部およびポリビニルアルコール系界面活性剤(日本合成化学工業(株)製、KH−17)131部(3%水溶液として4380部添加)を200L耐圧攪拌装置に仕込み、250rpmで攪拌しながら攪拌槽下部よりスチームを吹き込んで昇温した。温度上昇によって蒸発した溶媒ガスはコンデンサに導入して逐次溶媒を回収し、液温が95℃に到達して5分後、スチーム投入を停止した。ジャケットに通水することにより液温が60℃まで冷却した後、遠心脱水を行った。脱水後、平均粒子径210μmの球状の含水率20%の粉体を得た。得られた含水率20%の粉体3750gに有機粒子((株)日本触媒製、エポスターMA1002)120gをハンドブレンドで添加し、バッチ式流動乾燥機で樹脂温度最大50℃の条件で乾燥し、ポリアクリル樹脂粉末(P’−2)を得た。
【0076】
得られた粒子状ポリアクリル樹脂粉末(P’−2)100部、顔料として、0.6部のカーボンブラック/炭酸カルシウム分散体(住化カラー社製、商品名;PV−817)および0.4部のカーボンブラック/炭酸カルシウム分散体(住化カラー社製、商品名;PV−801)を、ヘンシェルミキサーに投入し、回転速度700min−1で1分間攪拌した。次いで、48メッシュのふるいを通過させた後、さらに、200メッシュのふるいで通過するものを除き、粒子状ポリアクリル樹脂粒子(C’−2)を得た。
【0077】
比較例3
ポリウレタン樹脂粒子(C’−3)の製造
反応容器に、製造例1で得たプレポリマー溶液(U−1)(100部)とMEKケチミン化合物(5.6部)を投入混合し、そこに分散剤(三洋化成工業(株)製サンスパールPS−8(1.3部))を溶解した水溶液300部を加え、ヤマト科学(株)製ウルトラディスパーサーを用いて5000rpmの回転数で1分間混合した。この混合物を温度計、撹拌機及び窒素吹込み管を備えた反応容器に移し、窒素置換した後、撹拌しながら50℃で10時間反応させた。反応終了後、濾別及び乾燥を行い、ウレタン樹脂粒子(P’−3)を製造した。(P’−3)のMnは2.5万、中心粒径は150μm、90%粒子径/10%粒子径は3.5であった。
実施例1の(P−1)の代わりに(P’−3)を用い、実施例1と同様に行いスラッシュ成形用ウレタン樹脂粒子(C’−3)を得た。
【0078】
比較例4
ポリウレタン樹脂粒子(C’−4)の製造
1,4−BDとアジピン酸とから得られるMnが1,000のポリエステルジオール243.5部と、1,4−BDとエチレングリコールとアジピン酸とから得られるMnが2,600のポリエステルジオール243.5部と、1,6−HGとイソフタル酸とから得られるMnが1,500のポリエステルジオール324.7部とを、39.3部の1,6−HGと混合して均一なグリコール成分とした。このグリコール成分とHDIと混合し、流量比100:17.5で、約190℃に温度調節した二軸押出機のホッパーより供給し、混練りと同時に樹脂化を行い、ポリウレタン樹脂を得た。
【0079】
上記の工程で得られたポリウレタン樹脂をペレタイザーにかけ、ペレットとしたポリウレタン樹脂100部に、酸化防止剤としてイルガノックス245(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.25部、紫外線吸収剤としてチヌビン 213(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.15部、光安定剤としてチヌビン 765(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.15部、内部離型剤としてSH200−1,000CS(東レダウコーニング社製)を0.25部を添加し、約200℃に温度調節した二軸押出機のホッパーより供給し、混練りを行いポリウレタン樹脂を得た。
【0080】
上記のようにして添加剤が加えられたポリウレタン樹脂を液体窒素で−150℃程度に冷却し、衝撃微粉砕機により微粉末とした。これに流動性を付与するため、樹脂100部に対して、打粉剤「MP−1451」0.4部を添加し、ポリウレタン樹脂表面に均一に付着するように撹拌混合し、次いで、48メッシュのふるいを通過させた後、さらに、200メッシュのふるいで通過するものを除き、ポリウレタン樹脂粒子(P’−4)を得た。(P’−4)の中心粒径は180μm、90%粒子径/10%粒子径は6.5であった。
【0081】
さらに、実施例1と同等の操作を行うことで、スラッシュ成形用ウレタン樹脂粒子(C’−4)を得た。
【0082】
比較例5
塩化ビニル樹脂粒子(C‘−5)の製造
塩化ビニル樹脂(新第一塩ビ(株)製ZEST1000Z)100部、顔料分散液(G−1)2.7部、エポキシ化大豆油((株)ADEKA製O−130P)5部、ハイドロタルサイト(協和化学工業(株)製アルカマイザー5)5部、ゼオライト(水澤化学工業(株)製ミズカライザーDS)1部、ステアロイルベンゾイルメタン(昭和電工(株)製カレンズDK−1)0.3部を、ヘンシェルミキサーに投入し、回転速度700min−1で混合し、混合物の温度が80℃に上昇した時点で可塑剤(花王(株)製トリメリックスNSK)80部を添加後、可塑剤が塩化ビニル樹脂に吸収され、上記混合物がさらさらになるまで混合し、塩化ビニル樹脂粒子(C‘−5)を得た。
【0083】
比較例6
ウレタン樹脂粒子(C’−6)の製造
分散剤(ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩)の使用量を(11.0部)に変更する以外は実施例7と同様の操作を行うことにより、ウレタンの1次粒子(p’−6)を製造した。この1次粒子(p’−6)の中心粒径は1μmであった。さらに実施例7と同様の操作を行うことにより、ウレタン樹脂粒子(P’−6)を得た。(P’−6)のMnは2.5万、中心粒径は190μm、90%粒子径/10%粒子径は2.7であった。
得られたウレタン樹脂粒子(P’−6)100部、着色剤として、顔料分散液(G−1)(2.7部)を、ヘンシェルミキサーに投入し、回転速度700min−1で1分間攪拌した。次いで、48メッシュのふるいを通過させた後、200メッシュのふるいで通過するものを除き、スラッシュ成形用ウレタン樹脂粒子(C’−6)を得た。
【0084】
比較例7
ウレタン樹脂粒子(C’−7)の製造
ヘンシェルミキサーの周速を0.4m/sに変更する以外は実施例5と同様の操作を行うことにより、ウレタン樹脂粒子(P’−7)を得た。(P’−7)のMnは2.5万、中心粒径は180μm、90%粒子径/10%粒子径は4.0であった。
得られたウレタン樹脂粒子(P’−7)100部、着色剤として、顔料分散液(G−1)(2.7部)を、ヘンシェルミキサーに投入し、回転速度700min−1で1分間攪拌した。次いで、48メッシュのふるいを通過させた後、200メッシュのふるいで通過するものを除き、スラッシュ成形用ウレタン樹脂粒子(C’−7)を得た。
【0085】
樹脂成形品(Q)の製造
以下のようにスラッシュ成形を行った。予め、比較例1、2は270℃に、それ以外は230℃に加熱されたしぼ模様の入ったNi電鋳型に実施例1〜11、比較例1〜7のスラッシュ成形用樹脂粒子(C1)〜(C11)、(C’1)〜(C’7)、を充填し、10秒後余分な樹脂粉末組成物を排出する。60秒放冷後、水冷してNi電鋳型から脱型することで、表皮である樹脂成形物(Q1)〜(Q11)、(Q’1)〜(Q’7)を得た。
【0086】
以下に記載する方法で、樹脂粒子(C)の各物性、及び顔料粒子(E)の凝集体である粒子(F)の個数、色落ち、及び表皮について評価し、結果を表1、2に記した。
【0087】
【表1】

【0088】
【表2】

【0089】
<形状係数SF1、SF2>
形状係数SF1、SF2の測定は、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)で、中心粒径20μm以上40μm未満は300倍、40μm以上75μm未満の粒子は160倍、75μm以上150μm未満の粒子は80倍、150μm以上300μm未満の粒子は倍率40倍で、300μm以上の粒子は25倍でそれぞれ撮影し、得られた画像(解像度:1280×1024ピクセル)から80個の粒子を無作為に選択し、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析を行い、平均のSF1、SF2の値を算出した。
【0090】
<中心粒径>
マイクロトラックHRA粒度分析計9320−X100(日機装株式会社製)を用いて、レーザー式光散乱法で篩い下50%の粒子径を測定し、中心粒径とした。
【0091】
<ガラス転移温度>
樹脂粒子(C)を用いて下記の色落ち試験と同様の条件でフィルムを作成した。そのフィルムについて動的粘弾性を(株)ユービーエム社製動的粘弾性測定装置Rheogel−E4000を用いて、以下の条件で等速昇温し、損失弾性率E’’のピークトップの温度をガラス転移温度とした。
測定条件:周波数 :10Hz
温度範囲:−90〜140℃
昇温速度:5℃/min
【0092】
<融点>
融点は島津(株)製フローテスターCFT−500を用いて、以下の条件で等速昇温し、その流出量が1/2になる温度をもって融点とした。
荷重 : 5kg
ダイ : 0.5mmΦ−1mm
昇温速度 : 5℃/min.
【0093】
<流下時間>
筒井理化製のかさ比重測定器(JIS−K6720準拠)を用いて、100cmの材料が漏斗を流下する時間を測定し、粉体流動性の指標とした。流下時間≦20秒を粉体流動性合格とした。
【0094】
<顔料粒子(E)の凝集体である粒子(F)の個数>
マイクロスコープを用いて、100倍の倍率で合計400個の樹脂粒子の表面を観察し、100倍で映し出されたモニタ上で目視で観察される顔料粒子(E)の凝集体である粒子(F)を数えた。
【0095】
<色落ち>
ホットプレート上に乗せたA4サイズの鉄板の表面温度を250℃にした後、得られた樹脂粒子を50g乗せ、膜厚が均一になるように、表面を均した後、90秒後に25℃のウォーターバスに入れ冷却を行い、レベリングした樹脂フィルムを鉄板から剥離した。フィルムを幅約40mm、長さ約200mmの試験片を切り取り、平面摩耗試験機(型番 FR−T、スガ試験機製)に取り付け、白綿布を摩擦子にかぶせて固定する。摩擦子の荷重300gとして試験片を100回往復し、色落ちの評価を行い、白綿布に色がつかなかったものは○、ついたものは×と評価した。
【0096】
<ピンホール性>
成形物(Q)の表面をマイクロスコープ(倍率:10倍)で観察し、ピンホールの発生状況を調べた。10cm×10cmの領域に、ピンホール20個以下で、ピンホール性○として評価した。
【0097】
表1、2に上記評価結果を示した。一般に、粉体の流動性は、中心粒径と粒子形状に依存するが、実施例3、比較例5を比較すると、同程度の中心粒径で比較した場合、ウレタン樹脂は、塩ビ樹脂粒子と比べて形状係数SF1が大きいにも関わらず、同等の粉体流動性を示すことが明らかとなった。また、本発明のウレタン樹脂粒子は、顔料の凝集体である粒子(F)の発生量が極めて少ないため、本粒子を成形用材料として用いた場合、発色性が良く、異物を少なくできる。また顔料の分散性が良いため、成形体を布等で拭いたりした場合でも、色移り等の発生が少ない高品質な成形体ができる。
本発明のスラッシュ成形用ウレタン樹脂粒子を用いてスラッシュ成形を行えば、ピンホールや欠肉などの不具合の発生が少ない高品質な成形体である表皮が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明はスラッシュ成形ウレタン樹脂粒子に関するものである。粉体流動性、熱溶融性、柔軟性、耐久性に優れた、スラッシュ成形に有用な材料として好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタン樹脂(D)と添加剤(N)を含有するウレタン樹脂粒子であって、該ウレタン樹脂粒子の形状係数SF1が101〜200であり、かつ形状係数SF2が120〜240であり、かつ中心粒径が20〜500μmであるスラッシュ成形用ウレタン樹脂粒子(C)。
【請求項2】
造粒されてなる請求項1に記載の樹脂粒子(C)。
【請求項3】
ウレタン樹脂(D)のウレア基濃度が0.5〜10重量%であり、かつウレタン基濃度とウレア基濃度の合計が4〜20重量%であり、かつ融点が160〜260℃であり、かつガラス転移点温度が−65〜0℃である請求項1または2に記載のウレタン樹脂粒子(C)。
【請求項4】
ウレタン樹脂(D)が脂肪族系ジイソシアネート(a1)、モノオール(a2)、数平均分子量500〜10,000の高分子ジオール(a3)および必要により低分子ジオール(a4)とから誘導されるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(a)と、脂環式ジアミンおよび/または脂肪族ジアミン(b)とを反応させて得られる熱可塑性ウレタン樹脂である請求項1〜3のいずれか1項に記載のウレタン樹脂粒子(C)。
【請求項5】
ウレタン樹脂粒子(P)と、添加剤(N)として顔料粒子(E)とを含有し、ウレタン樹脂粒子(P)の表面に顔料粒子(E)が付着してなり、樹脂粒子(P)100個当たり、粒径が20〜140μmであって顔料粒子(E)の凝集体である粒子(F)を1個以下含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂粒子(C)。
【請求項6】
ウレタン樹脂粒子(P)と、添加剤(N)として、融点が0℃以下でありかつ沸点が170℃以上である分子内に少なくとも1個のエステル基を含む有機化合物(H)中に顔料粒子(E)を分散させた顔料分散液(G)とを含有し、ウレタン樹脂粒子(P)の表面に顔料分散液(G)が付着してなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂粒子(C)。
【請求項7】
ウレタン樹脂粒子(P)と添加剤(N)として顔料粒子(E)を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のウレタン樹脂粒子(C)において、(P)と(E)を混合し、(P)の表面に(E)を付着させることを特徴とするスラッシュ成形用ウレタン樹脂粒子(C)の着色方法。
【請求項8】
ウレタン樹脂粒子(P)と添加剤(N)として顔料粒子(E)を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のウレタン樹脂粒子(C)において、融点が0℃以下でありかつ沸点が170℃以上である分子内に少なくとも1個のエステル基を含む有機化合物(H)中に(E)を分散させた顔料分散液(G)と(P)を混合し、(P)の表面に(G)を付着させることを特徴とするスラッシュ成形用ウレタン樹脂粒子(C)の着色方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のウレタン樹脂粒子(C)をスラッシュ成形してなるウレタン樹脂成形物。
【請求項10】
表皮であって、厚さが0.3〜1.2mmである請求項9に記載の成形物。

【公開番号】特開2011−140644(P2011−140644A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274250(P2010−274250)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】