説明

スラリー搬送装置

【課題】スラリー搬送装置において、輸送配管のスラリーによる閉塞を抑制してスラリーの円滑な搬送を可能とする。
【解決手段】スラリー205を貯留可能なスラリータンク121と、スラリータンク121に貯留されたスラリー205を搬送するスラリー配管122と、スラリー配管122に設けられるスラリーポンプ123と、スラリー配管122におけるスラリー205の搬送方向の最上流部に設けられるスラリー吸込管124と、スラリー吸込管124の外周部から吸込領域Aの中心側に向けてスラリー水204を噴出する第1流体噴出装置151を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、生成されたスラグと水との混合物であるスラリーを搬送するスラリー搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、石炭ガス化複合発電設備は、石炭をガス化し、コンバインドサイクル発電と組み合わせることにより、従来型の石炭火力に比べてさらなる高効率化・高環境性を目指した発電設備である。この石炭ガス化複合発電設備は、資源量が豊富な石炭を利用可能であることも大きなメリットであり、適用炭種を拡大することにより、さらにメリットが大きくなることが知られている。
【0003】
従来の石炭ガス化複合発電設備は、一般的に、給炭装置、乾燥装置、石炭ガス化炉、ガス精製装置、ガスタービン設備、蒸気タービン設備、排熱回収ボイラ、ガス浄化装置などを有している。従って、石炭が乾燥されてから粉砕され、石炭ガス化炉に対して、微粉炭として供給されると共に、空気が取り込まれ、この石炭ガス化炉で石炭が燃焼ガス化されて生成ガス(可燃性ガス)が生成される。そして、この生成ガスがガス精製されてからガスタービン設備に供給されることで燃焼して高温・高圧の燃焼ガスを生成し、タービンを駆動する。タービンを駆動した後の排気ガスは、排熱回収ボイラで熱エネルギが回収され、蒸気を生成して蒸気タービン設備に供給され、タービンを駆動する。これにより発電が行なわれる。一方、熱エネルギが回収された排気ガスは、ガス浄化装置で有害物質が除去された後、煙突を介して大気へ放出される。
【0004】
ところで、このような石炭ガス化複合発電設備にて、石炭ガス化炉では、石炭が燃焼ガス化されて生成ガスが生成される一方、燃え滓としてスラグが発生することから、このスラグは、石炭ガス化炉から排出する必要がある。スラグは、高温であることから流動性を有しており、石炭ガス化炉の下部に設けられたスラグホールから連続的に排出される。そして、石炭ガス化炉から排出されたスラグは、冷却タンクで水冷され、水砕スラグの粒子となる。この水砕スラグは、スラグロックホッパから定期的にスラグ溜めに排出されて沈降し、スクレーパコンベアやスクリューコンベアなどの輸送装置によりスラグ貯蔵タンクに輸送される。
【0005】
このようなスラグ排出システムとしては、下記特許文献1に記載されたものがあり、また、沈砂池の沈砂に臨んで開口し、この沈砂をジェット水噴流により受管に吸込んで輸送するものとしては、下記特許文献2に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−074274号公報
【特許文献2】実公平06−045680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来のスラグ排出システムでは、スラグスラリータンクは、所定量の水が貯留されており、ここに水砕スラグが供給されて堆積している。輸送用のコンベアは、スラリーポンプによりスラグスラリータンクの水砕スラグを水と共にスラリー配管内に吸引し、このスラリー配管を通してスラグ貯蔵タンクに輸送している。この場合、輸送用のコンベアが故障などにより停止すると、スラグスラリータンクに堆積するスラグの量が増加し、スラリー配管内に吸引される水砕スラグの濃度が高くなる。すると、スラリー配管内で水砕スラグの輸送が円滑に行われずに閉塞してしまうという問題がある。なお、輸送用のコンベアにジェットポンプを適用することが考えられるが、装置が大掛かりなものとなり、設備コストが上昇してしまう。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、輸送配管のスラリーによる閉塞を抑制してスラリーの円滑な搬送を可能とするスラリー搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための本発明のスラリー搬送装置は、スラリーを貯留可能なスラリータンクと、前記スラリータンクに貯留されたスラリーを搬送するスラリー配管と、前記スラリー配管に設けられるスラリーポンプと、前記スラリー配管におけるスラリーの搬送方向の最上流部に設けられるスラリー吸込管と、前記スラリー吸込管の外周部から該スラリー吸込管の吸込領域の中心側に向けて流体を噴出する第1流体噴出装置と、を備えることを特徴とするものである。
【0010】
従って、スラリーポンプを作動すると、スラリー配管からスラリー吸込管に吸込力が作用し、このスラリー吸込管は、スラリータンク内のスラリーを吸い込んでスラリー配管によりスラリーを搬送することができる。そして、スラリータンク内に貯留されるスラリーにおける固体粒子の濃度が高くなったら、第1流体噴出装置によりスラリー吸込管の吸込領域の中心側に向けて流体を噴出することで、スラリー中の固体粒子が飛散することから、スラリー吸込管の吸込領域におけるスラリーの固体粒子の濃度が低下する。そのため、スラリー吸込管は、スラリーを適正に吸い込むことが可能となり、スラリー配管のスラリーによる閉塞を抑制し、スラリーの円滑な搬送を可能とすることができる。
【0011】
本発明のスラリー搬送装置では、前記第1流体噴出装置は、前記スラリー吸込管の外側に中空状に配置されるハウジングと、該ハウジングに連結されて流体を供給可能な流体供給管と、前記ハウジング内の流体を前記スラリー吸込管の吸込領域の中心側に向けて噴出可能な複数の噴出孔とを有することを特徴としている。
【0012】
従って、流体供給管からハウジング内に流体が供給されると、このハウジング内の流体は、複数の噴出孔からスラリー吸込管の吸込領域の中心側に向けて噴出されることとなり、簡単な構成で流体をスラリー吸込管の吸込領域に噴出することで、吸込領域におけるスラリーの固体粒子の濃度を低下することができ、スラリー配管のスラリーによる閉塞を抑制することができる。
【0013】
本発明のスラリー搬送装置では、前記スラリー吸込管は、先端が拡径するベルマウス形状をなし、前記複数の噴出孔は、前記スラリー吸込管の先端部に形成されることを特徴としている。
【0014】
従って、スラリー吸込管をベルマウス形状とすることで、スラリーを効率的に吸い込むことができ、複数の噴出孔をスラリー吸込管の先端部に形成することで、流体をスラリー吸込管の吸込領域に適正に噴出することができる。
【0015】
本発明のスラリー搬送装置では、前記スラリータンクは、中央下部が円錐形状をなして前記スラリー吸込管の先端が対向して配置され、前記スラリータンクのスラリーに対して流体を噴出して旋回力を付与可能な第2流体噴出装置が設けられることを特徴としている。
【0016】
従って、第2流体噴出装置がスラリータンクのスラリーに対して流体を噴出して旋回力を付与すると、スラリータンクのスラリーに含まれる固体粒子が遠心力により外側に移動することとなり、スラリータンクの中央下部、つまり、スラリー吸込管の吸込領域におけるスラリーの固体粒子の濃度を容易に低下することができる。
【0017】
本発明のスラリー搬送装置では、前記スラリータンクは、中央下部が円錐形状をなして前記スラリー吸込管の先端が対向して配置され、前記スラリータンクの外周部から前記スラリータンクの中央下部に向けて流体を噴出可能な第3流体噴出装置が設けられることを特徴としている。
【0018】
従って、第3流体噴出装置がスラリータンクの外周部から中央下部に向けて流体を噴出すると、ここに堆積するスラリー中の固体粒子が飛散することとなり、スラリータンクの中央下部、つまり、スラリー吸込管の吸込領域におけるスラリーの固体粒子の濃度を容易に低下することができる。
【0019】
本発明のスラリー搬送装置では、前記スラリーポンプと前記第1流体噴出装置を作動制御可能な制御装置が設けられ、該制御装置は、前記スラリーポンプの起動時に前記第1流体噴出装置を作動することを特徴としている。
【0020】
従って、スラリーポンプの起動時に第1流体噴出装置を作動することで、スラリーポンプの停止中にスラリー吸込管の吸込領域に堆積したスラリーの固体粒子の濃度を低下することができ、スラリー配管のスラリーによる閉塞を抑制することができる。
【0021】
本発明のスラリー搬送装置では、前記スラリー配管内の圧力を検出する圧力センサと、該圧力センサの検出結果に基づいて前記第1流体噴出装置を作動制御可能な制御装置が設けられ、該制御装置は、前記圧力センサが検出した前記スラリー配管内の圧力が予め設定された所定圧以下となったら前記第1流体噴出装置を作動することを特徴としている。
【0022】
従って、スラリー配管によりスラリーの搬送が不十分になると、スラリー配管内の圧力が低下することから、スラリー配管内の圧力が所定圧以下となったら第1流体噴出装置を作動ことで、スラリー吸込管の吸込領域に堆積したスラリーの固体粒子の濃度を低下することができ、スラリー配管のスラリーによる閉塞を抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のスラリー搬送装置によれば、スラリータンクとスラリー配管とスラリーポンプとスラリー吸込管とを設けると共に、スラリー吸込管の外周部からスラリー吸込管の吸込領域の中心側に向けて流体を噴出する第1流体噴出装置を設けるので、この第1流体噴出装置によりスラリー吸込管の吸込領域の中心側に向けて流体を噴出することで、スラリー中の固体粒子を飛散してスラリーの固体粒子の濃度を低下させることとなり、スラリー配管のスラリーによる閉塞を抑制し、スラリーの円滑な搬送を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係るスラリー搬送装置が適用される石炭ガス化複合発電設備の概略構成図である。
【図2】図2は、実施例1のスラリー搬送装置が適用されるスラグ排出システムの概略構成図である。
【図3】図3は、実施例1のスラリー搬送装置を表す概略構成図である。
【図4】図4は、スラリー吸込管の概略図である。
【図5】図5は、スラリー吸込管の下面図である。
【図6】図6は、スラリー吸込管の水平断面図である。
【図7】図7は、本発明の実施例2に係るスラリー搬送装置を表す概略構成図である。
【図8】図8は、本発明の実施例3に係るスラリー搬送装置を表す概略構成図である。
【図9】図9は、本発明の実施例3に係るスラリー搬送装置におけるスラリー吸込管の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るスラグ排出システムの好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
【実施例1】
【0026】
図1は、本発明の実施例1に係るスラリー搬送装置が適用される石炭ガス化複合発電設備の概略構成図、図2は、実施例1のスラリー搬送装置が適用されるスラグ排出システムの概略構成図、図3は、実施例1のスラリー搬送装置を表す概略構成図、図4は、スラリー吸込管の概略図、図5は、スラリー吸込管の下面図、図6は、スラリー吸込管の水平断面図である。
【0027】
実施例1の石炭ガス化複合発電設備(IGCC:Integrated Coal Gasification Combined Cycle)は、空気を酸化剤としてガス化炉で石炭ガスを生成する空気燃焼方式を採用し、ガス精製装置で精製した後の石炭ガスを燃料ガスとしてガスタービン設備に供給して発電を行っている。即ち、本実施例の石炭ガス化複合発電設備は、空気燃焼方式(空気吹き)の発電設備である。この場合、ガス化炉に供給する原料として微粉炭(石炭)を使用している。
【0028】
実施例1において、図1に示すように、石炭ガス化複合発電設備10は、給炭装置11、流動層乾燥装置12、微粉炭機(ミル)13、石炭ガス化炉14、チャー回収装置15、ガス精製装置16、ガスタービン設備17、蒸気タービン設備18、発電機19、排熱回収ボイラ(HRSG:Heat Recovery Steam Generator)20を有している。
【0029】
給炭装置11は、原炭バンカ21と、石炭供給機22と、クラッシャ23とを有している。原炭バンカ21は、石炭を貯留可能であって、所定量の石炭を石炭供給機22に投下することができる。石炭供給機22は、原炭バンカ21から投下された石炭をコンベアなどにより搬送し、クラッシャ23に投下することができる。このクラッシャ23は、投下された石炭を所定の大きさに破砕することができる。
【0030】
流動層乾燥装置12は、給炭装置11により投入された石炭に対して乾燥用蒸気(過熱蒸気)を供給することで、この石炭を流動させながら加熱乾燥するものであり、石炭が含有する水分を除去することができる。そして、この流動層乾燥装置12は、下部から取り出された乾燥済の石炭を冷却する冷却器31が設けられ、乾燥冷却済の乾燥炭が乾燥炭バンカ32に貯留される。また、流動層乾燥装置12は、上部から取り出された蒸気から乾燥炭の粒子を分離する乾燥炭サイクロン33と乾燥炭電気集塵機34が設けられ、蒸気から分離された乾燥炭の粒子が乾燥炭バンカ32に貯留される。なお、乾燥炭電気集塵機34で乾燥炭が分離された蒸気は、蒸気圧縮機35で圧縮されてから流動層乾燥装置12に乾燥用蒸気として供給される。
【0031】
微粉炭機13は、石炭粉砕機であって、流動層乾燥装置12により乾燥された石炭(乾燥炭)を細かい粒子状に粉砕して微粉炭を製造するものである。即ち、微粉炭機13は、乾燥炭バンカ32に貯留された乾燥炭が石炭供給機36により投下され、この乾燥炭)を所定粒径以下の石炭、つまり、微粉炭とするものである。そして、微粉炭機13で粉砕後の微粉炭は、微粉炭バグフィルタ37a,37bにより搬送用ガスから分離され、微粉炭供給ホッパ38a,38bに貯留される。
【0032】
石炭ガス化炉14は、微粉炭機13で処理された微粉炭が供給可能であると共に、チャー回収装置15で回収されたチャー(石炭の未燃分)が戻されてリサイクル可能となっている。
【0033】
即ち、石炭ガス化炉14は、ガスタービン設備17(圧縮機61)から圧縮空気供給ライン41が接続されており、このガスタービン設備17で圧縮された圧縮空気が供給可能となっている。空気分離装置42は、大気中の空気から窒素と酸素を分離生成するものであり、第1窒素供給ライン43が石炭ガス化炉14に接続され、この第1窒素供給ライン43に微粉炭供給ホッパ38a,38bからの給炭ライン44a,44bが接続されている。また、第2窒素供給ライン45も石炭ガス化炉14に接続され、この第2窒素供給ライン45にチャー回収装置15からのチャー戻しライン46が接続されている。更に、酸素供給ライン47は、圧縮空気供給ライン41に接続されている。この場合、窒素は、石炭やチャーの搬送用ガスとして利用され、酸素は、酸化剤として利用される。
【0034】
石炭ガス化炉14は、例えば、噴流床形式のガス化炉であって、内部に供給された石炭、チャー、空気(酸素)、またはガス化剤としての水蒸気を燃焼・ガス化すると共に、二酸化炭素を主成分とする可燃性ガス(生成ガス、石炭ガス)が発生し、この可燃性ガスをガス化剤としてガス化反応が起こる。この場合、石炭ガス化炉14は、反応炉14aの下部に発生したスラグを排出するスラグ排出システム48が配置されている。なお、石炭ガス化炉14は噴流床ガス化炉に限らず、流動床ガス化炉や固定床ガス化炉としてもよい。そして、この石炭ガス化炉14は、チャー回収装置15に向けて可燃性ガスのガス生成ライン49が設けられており、チャーを含む可燃性ガスが排出可能となっている。この場合、ガス生成ライン49にガス冷却器を設けることで、可燃性ガスを所定温度まで冷却してからチャー回収装置15に供給するとよい。
【0035】
チャー回収装置15は、集塵装置51と供給ホッパ52とを有している。この場合、集塵装置51は、1つまたは複数のバグフィルタやサイクロンにより構成され、石炭ガス化炉14で生成された可燃性ガスに含有するチャーを分離することができる。そして、チャーが分離された可燃性ガスは、ガス排出ライン53を通してガス精製装置16に送られる。供給ホッパ52は、集塵装置51で可燃性ガスから分離されたチャーを貯留するものである。なお、集塵装置51と供給ホッパ52との間にビンを配置し、このビンに複数の供給ホッパ52を接続するように構成してもよい。そして、供給ホッパ52からのチャー戻しライン46が第2窒素供給ライン45に接続されている。
【0036】
ガス精製装置16は、チャー回収装置15によりチャーが分離された可燃性ガスに対して、硫黄化合物や窒素化合物などの不純物を取り除くことで、ガス精製を行うものである。そして、ガス精製装置16は、可燃性ガスを精製して燃料ガスを製造し、これをガスタービン設備17に供給する。なお、このガス精製装置16では、チャーが分離された可燃性ガス中にはまだ硫黄分(HS)が含まれているため、アミン吸収液によって除去することで、硫黄分を最終的には石膏として回収し、有効利用する。
【0037】
ガスタービン設備17は、圧縮機61、燃焼器62、タービン63を有しており、圧縮機61とタービン63は、回転軸64により連結されている。燃焼器62は、圧縮機61から圧縮空気供給ライン65が接続されると共に、ガス精製装置16から燃料ガス供給ライン66が接続され、タービン63に燃焼ガス供給ライン67が接続されている。また、ガスタービン設備17は、圧縮機61から石炭ガス化炉14に延びる圧縮空気供給ライン41が設けられており、中途部に昇圧機68が設けられている。従って、燃焼器62では、圧縮機61から供給された圧縮空気とガス精製装置16から供給された燃料ガスとを混合して燃焼し、タービン63にて、発生した燃焼ガスにより回転軸64を回転することで発電機19を駆動することができる。
【0038】
蒸気タービン設備18は、ガスタービン設備17における回転軸64に連結されるタービン69を有しており、発電機19は、この回転軸64の基端部に連結されている。排熱回収ボイラ20は、ガスタービン設備17(タービン63)からの排ガスライン70に設けられており、空気と高温の排ガスとの間で熱交換を行うことで、蒸気を生成するものである。そのため、排熱回収ボイラ20は、蒸気タービン設備18のタービン69との間に蒸気供給ライン71が設けられると共に、蒸気回収ライン72が設けられ、蒸気回収ライン72に復水器73が設けられている。従って、蒸気タービン設備18では、排熱回収ボイラ20から供給された蒸気によりタービン69が駆動し、回転軸64を回転することで発電機19を駆動することができる。
【0039】
そして、排熱回収ボイラ20で熱が回収された排ガスは、ガス浄化装置74により有害物質を除去され、浄化された排ガスは、煙突75から大気へ放出される。
【0040】
ここで、実施例1の石炭ガス化複合発電設備10の作動について説明する。
【0041】
実施例1の石炭ガス化複合発電設備10において、給炭装置11にて、原炭が原炭バンカ21に貯留されており、この原炭バンカ21の石炭が石炭供給機22によりクラッシャ23に投下され、ここで所定の大きさに破砕される。そして、破砕された石炭は、流動層乾燥装置12により加熱乾燥された後、冷却器31により冷却され、乾燥炭バンカ32に貯留される。また、流動層乾燥装置12の上部から取り出された蒸気は、乾燥炭サイクロン33及び乾燥炭電気集塵機34により乾燥炭の粒子が分離され、蒸気圧縮機35で圧縮されてから流動層乾燥装置12に乾燥用蒸気として戻される。一方、蒸気から分離された乾燥炭の粒子は、乾燥炭バンカ32に貯留される。
【0042】
乾燥炭バンカ32に貯留される乾燥炭は、石炭供給機36により微粉炭機13に投入され、ここで、細かい粒子状に粉砕されて微粉炭が製造され、微粉炭バグフィルタ37a,37bを介して微粉炭供給ホッパ38a,38bに貯留される。この微粉炭供給ホッパ38a,38bに貯留される微粉炭は、空気分離装置42から供給される窒素により第1窒素供給ライン43を通して石炭ガス化炉14に供給される。また、後述するチャー回収装置15で回収されたチャーが、空気分離装置42から供給される窒素により第2窒素ライン45を通して石炭ガス化炉14に供給される。更に、後述するガスタービン設備17から抽気された圧縮空気が昇圧機68で昇圧された後、空気分離装置42から供給される酸素と共に圧縮空気供給ライン41を通して石炭ガス化炉14に供給される。
【0043】
石炭ガス化炉14では、供給された微粉炭及びチャーが圧縮空気(酸素)により燃焼し、微粉炭及びチャーがガス化することで、二酸化炭素を主成分とする可燃性ガス(石炭ガス)を生成することができる。そして、この可燃性ガスは、石炭ガス化炉14からガス生成ライン49を通して排出され、チャー回収装置15に送られる。
【0044】
このチャー回収装置15にて、可燃性ガスは、まず、集塵装置51に供給されることで、ここで可燃性ガスからこのガスに含有するチャーが分離される。そして、チャーが分離された可燃性ガスは、ガス排出ライン53を通してガス精製装置16に送られる。一方、可燃性ガスから分離した微粒チャーは、供給ホッパ52に堆積され、チャー戻しライン46を通して石炭ガス化炉14に戻されてリサイクルされる。
【0045】
チャー回収装置15によりチャーが分離された可燃性ガスは、ガス精製装置16にて、硫黄化合物や窒素化合物などの不純物が取り除かれてガス精製され、燃料ガスが製造される。そして、ガスタービン設備17では、圧縮機61が圧縮空気を生成して燃焼器62に供給すると、この燃焼器62は、圧縮機61から供給される圧縮空気と、ガス精製装置16から供給される燃料ガスとを混合し、燃焼することで燃焼ガスを生成し、この燃焼ガスによりタービン63を駆動することで、回転軸64を介して発電機19を駆動し、発電を行うことができる。
【0046】
そして、ガスタービン設備17におけるタービン63から排出された排気ガスは、排熱回収ボイラ20にて、空気と熱交換を行うことで蒸気を生成し、この生成した蒸気を蒸気タービン設備18に供給する。蒸気タービン設備18では、排熱回収ボイラ20から供給された蒸気によりタービン69を駆動することで、回転軸64を介して発電機19を駆動し、発電を行うことができる。
【0047】
その後、ガス浄化装置74では、排熱回収ボイラ20から排出された排気ガスの有害物質が除去され、浄化された排ガスが煙突75から大気へ放出される。
【0048】
なお、上述した説明では、原料として石炭を使用したが、この石炭は、高品位炭や低品位炭であっても適用可能であり、また、石炭に限らず、再生可能な生物由来の有機性資源として使用されるバイオマスであってもよく、例えば、間伐材、廃材木、流木、草類、廃棄物、汚泥、タイヤ及びこれらを原料としたリサイクル燃料(ペレットやチップ)などを使用することも可能である。
【0049】
以下、上述した石炭ガス化複合発電設備10におけるスラグ排出システム48について詳細に説明する。
【0050】
スラグ排出システム48は、石炭ガス化炉14の底部に堆積した溶融スラグ201を排出するものである。このスラグ排出システム48において、図2に示すように、石炭ガス化炉14(反応炉14a)は、底部に溶融スラグ201を落下させるスラグホール101が設けられ、このスラグホール101の下方にこのスラグホール101から落下した溶融スラグ201を貯留するスラグホッパ102が設けられている。スラグホッパ102は、鉛直方向下側に向かって内径が小さくなる漏斗形状に形成され、石炭ガス化炉14の底部に貯留されたスラグ冷却水(冷却水)202に浸漬されている。そして、スラグホッパ102は、上側の大径開口部がスラグ冷却水202内に位置し、下側の小径開口部が石炭ガス化炉14の底部を下方に貫通して外部に位置し、ここに開閉弁103が装着されて小径開口部を開閉可能となっている。
【0051】
従って、石炭ガス化炉14で生成された溶融スラグ201は、スラグホール101からスラグ冷却水202中に落下し、スラグ冷却水202中に落下した溶融スラグ201は、急冷されて数ミリから数十ミリ程度のガラス状の水砕スラグ(スラグ)203の粒子となる。そして、スラグホッパ102は、この水砕スラグ203を鉛直方向下側に移動させることで、下側の1箇所に収集させ、開閉弁103の開閉を切り換えることで、この水砕スラグ203の排出、停止を切り換えることができる。なお、スラグホッパ102は、開閉弁103を開放することで、水砕スラグ203を含むスラグ冷却水202を排出することができる。
【0052】
スラグ排出システム48は、石炭ガス化炉14(反応炉14a)の下方に位置して、スラグロックホッパ104、スラグ溜105、スラリー搬送装置106、スラグ貯蔵タンク107が設けられている。
【0053】
スラグロックホッパ104は、水砕スラグ203を含むスラグ冷却水202を一時的に貯留する貯留部であり、石炭ガス化炉14におけるスラグホッパ102の下方に配置されている。このスラグロックホッパ104は、開閉弁103が開放されたときに、スラグホッパ102の小径開口部から排出された水砕スラグ103を含むスラグ冷却水202を受け止めて一時的に貯留することができる。また、スラグロックホッパ104は、下部の開口部に開閉弁111が設けられており、この開閉弁111を開放することで、一時的に貯留している水砕スラグ203を含むスラグ冷却水202を下方に排出することができる。
【0054】
スラグ溜105は、スラグ溜タンク112と、モータMで駆動するスラグコンベア113とから構成されている。スラグ溜タンク112は、スラグロックホッパ104から排出された水砕スラグ203を含むスラグ冷却水202を溜めるものである。スラグコンベア113は、スラグ溜タンク112に傾斜状態で配置され、下部がスラグ溜タンク112内に配置され、上部がスラグ溜タンク112外に配置されている。従って、スラグ溜105は、スラグコンベア113を作動することで、スラグ溜タンク112中にスラグ冷却水202と共に溜められている水砕スラグ203を所定量ずつ移動させて排出することができる。この場合、スラグコンベア113は、水砕スラグ203を移動させて排出するとき、若干のスラグ冷却水202も追従して排出する。
【0055】
スラリー搬送装置106は、スラグ溜105から排出された水砕スラグ203をスラリー状としてスラグ貯蔵タンク107に搬送するものであり、スラリータンク121と、スラリー配管122と、スラリーポンプ123と、スラリー吸込管124を有している。
【0056】
スラリータンク121は、スラグ溜105から排出された水砕スラグ203とスラリー水204とを貯留するタンクである。このスラリータンク121は、スラリー水204に水砕スラグ203を分散させた状態とし、スラリー205として貯留している。スラリー配管122は、基端部がスラリータンク121内に配置され、先端部がスラグ貯蔵タンク107まで延設されている。スラリーポンプ123は、スラリー配管122に配置され、スラリータンク121内の水砕スラグ203がスラリー水204で水分散されたスラリー205を、スラグ貯蔵タンク107に向けてスラリー配管122内を通して圧送する。スラリー吸込管124は、スラリー配管122の基端部(スラリーの搬送方向最上流部)に連結され、先端が下方、つまり、スラリータンク121の底部を向いている。
【0057】
従って、スラリー搬送装置106は、スラリータンク121内のスラリー水204に水砕スラグ203を分散してスラリー205とし、スラリーポンプ123を作動することで、スラリー吸込管124からスラリータンク121内のスラリー205を吸い込み、このスラリー205をスラリー配管122からスラグ貯蔵タンク107まで圧送することができる。
【0058】
また、スラリー搬送部106は、液位調整装置125を有している。液位調整装置125は、貯水槽131と、供給配管132と、給水ポンプ133と、循環配管134と、オーバーフロー管135と、開閉弁136と、レベル計137と、液面制御部138とを有している。
【0059】
貯水槽131は、スラリー水204を貯留するタンクである。供給配管132は、基端部が貯水槽131に連結され、先端部がスラリータンク121に連結されており、貯水槽131とスラリータンク121とを接続している。給水ポンプ133は、供給配管132に配置され、貯水槽131に貯留されているスラリー水204を、スラリータンク121に向けて供給配管132内に圧送させる。循環配管134は、基端部が供給配管132における給水ポンプ133よりもスラリー水204の搬送方向の下流側に連結され、先端部が貯水槽131に連結されており、余剰なスラリー水204を貯水槽131に戻す。
【0060】
オーバーフロー管135は、基端部がスラリータンク121に連結され、先端部が貯水槽131に連結されており、スラリータンク121からオーバーフローしたスラリー水204を貯水槽131に戻す。即ち、オーバーフロー管135の基端部は、スラリータンク121の所定の液位の壁面に貫通しており、スラリー水204この液位を超えると、余剰のスラリー水204が貯水槽131に戻る。開閉弁136は、供給配管132における給水ポンプ133及び循環配管134の連結部よりもスラリー水204の搬送方向の下流側に配置されており、供給配管132の管路の開閉を切り換える。レベル計137は、スラリータンク121におけるスラリー水204の液位を検出するセンサである。液面制御部138は、レベル計137で検出したスラリータンク121におけるスラリー水204の液位に基づいて、開閉弁136の開閉を作動制御することで、貯水槽131に貯留されているスラリー水204を供給配管132からスラリータンク121に供給するか否かを切り換える。
【0061】
従って、液位調整装置125にて、液面制御部138は、レベル計137で検出したスラリータンク121におけるスラリー水204の液位が予め設定された規定値より低下すると、開閉弁136を開放することで、供給配管132を流れるスラリー水204をスラリータンク121に供給する。一方、液面制御部138は、レベル計137で検出した液位が規定値より上昇すると、開閉弁136を閉止することで、供給配管132を流れるスラリー水204をスラリータンク121に供給しない。なお、開閉弁136が閉止されているとき、給水ポンプ133により供給配管132を流れているスラリー水204は、循環配管134から貯水槽131に戻される。これにより給水ポンプ133を常に駆動した状態とすることができ、応答性が高い制御が可能となる。
【0062】
スラグ貯蔵タンク107は、スラリー搬送装置106のスラリー配管122を通して圧送されたスラリー205を貯蔵するタンクである。このスラグ貯蔵タンク107は、本体141と、複数のフィルタ142とを有している。本体141は、中空の塔、本実施例では、水平断面が四角形となる角筒形状であり、鉛直方向下方に内径が徐々に小さくなる端部が設けられている。各フィルタ142は、水砕スラグ203は通過させず、スラリー水204だけを通過させる部材であり、本体141の側面(壁面)に鉛直方向で沿って配置され、且つ、本体141の側面の径が徐々に小さくなる部分に配置されている。従って、スラグ貯蔵タンク107は、スラリー搬送装置106からスラリー205が供給されると、各フィルタ142からスラリー水204のみを排出して排出水206とする一方、本体141の下方の端部に水砕スラグ203を貯蔵する。
【0063】
また、スラグ貯蔵タンク107は、本体141の側面に配置された各フィルタ142の下側と本体141の側面の内径が徐々に小さくなる部分に配置された各フィルタ142の下側に水受部143,144が設けられている。この水受部143,144は、回収管145を介してスラリータンク121に接続されている。各水受部143,144は、フィルタ142によって分離・排出された排出水206を回収するものである。回収管145は、水受部143,144に回収された排出水206をスラリータンク121に戻すものである。
【0064】
また、スラグ貯蔵タンク107は、下端部に排出口146を有している。この排出口146は、スラグ貯蔵タンク107に貯蔵されている水砕スラグ203の排出と停止を行うものである。この排出口146から排出された水砕スラグ203は、その直下に待機している搬送車両108に排出される。この搬送車両108は、スラグ排出システム48から排出された水砕スラグ203を所定の場所まで運ぶ車両である。搬送車両108としては、トラックを用いることができる。
【0065】
このように構成されたスラグ排出システム48にて、ガス化炉14の底部で生成された溶融スラグ201は、スラグ冷却水202で冷却されることで水砕スラグ203としてスラグホッパ102で回収される。このスラグホッパ102は、下端の開閉弁103が開放されることで、水砕スラグ203を含むスラグ冷却水202が排出されてスラグロックホッパ104に一時的に貯留される。スラグロックホッパ104に貯留された水砕スラグ203は、下端の開閉弁111が開放されることで、スラグ溜105のスラグ溜タンク112に所定時間ごとに所定量だけ落下され、スラグコンベア113によりスラリー搬送装置106のスラリータンク121に搬送される。
【0066】
そして、スラリータンク121に貯留された水砕スラグ203は、スラリー水204によりスラリー205となり、スラリーポンプ123が作動することで、スラリー吸込管124から吸い込まれ、スラリー配管122とによりスラグ貯蔵タンク107に圧送される。なお、スラリー搬送装置106では、液位調整装置125によりスラリータンク121の液位が一定範囲に維持されている。スラグ貯蔵タンク107に水砕スラグ203と共に圧送されたスラリー水204は、フィルタ142から排出され、水受部143,144で排出水206として回収される。この水受部143,144で回収された排出水206は、回収管145によりスラリータンク121に戻され、再度スラリー水204として再利用される。
【0067】
ところで、上述したスラリー搬送装置106では、スラリーポンプ123が作動すると、スラリー吸込管124がスラリータンク121にあるスラリー205(水砕スラグ203を含んだスラリー水204)をスラリー配管122内に吸引し、このスラリー配管122を通してスラグ貯蔵タンク107に輸送している。この場合、スラリータンク121に堆積する水砕スラグ203の量が増加すると、スラリー205における水砕スラグ203の濃度が高くなり、水砕スラグ203によりスラリー配管122が閉塞してしまうおそれがある。
【0068】
そこで、実施例1では、上述したスラリー搬送装置106にて、スラリー吸込管124の外周部からこのスラリー吸込管124の吸込領域の中心側に向けて水(流体)を噴出する第1水噴出装置(第1流体噴出装置)151が設けられている。
【0069】
この第1水噴出装置151は、図3から図5に示すように、ハウジング152と水供給管153と複数の噴出孔154とを有している。即ち、スラリータンク121は、円筒部121aと底部を構成するように中央下部が円錐形状をなす円錐底部121bとから構成されている。一方、スラリー吸込管124は、基端部(上端部)側の円筒部124aと先端部(下端部)側の拡径部124bとからなるベルマウス形状をなしている。そして、スラリー吸込管124は、スラリータンク121の中央部に配置され、円筒部124aにスラリー配管122が連結され、拡径部124bがスラリータンク121の円錐底部121bに対向している。
【0070】
そして、スラリー吸込管124は、外周部にこのスラリー吸込管124の外周側を被覆するようにハウジング152が固定されている。このハウジング152は、リング形状をなし、スラリー吸込管124の円筒部124aの一部と拡径部124bの外側に所定間隔をもって配置され、スラリー吸込管124と同様に、円筒部152aの一部と拡径部152bを有すると共に、上端部及び下端部が閉塞した密閉中空形状となっている。そして、ハウジング152は、円筒部152aに水供給管153の端部が連結されている。
【0071】
また、スラリー吸込管124は、その先端部、つまり、拡径部124bに複数の噴出孔154が形成されている。この各噴出孔154は、拡径部124bの長手方向に沿って複数(本実施例では、3つ)並んで形成されると共に、周方向に沿って複数(本実施例では、6つ)所定間隔で形成されている。そして、この各噴出孔154は、ハウジング152内の水をスラリー吸込管124の吸込領域Aであって、スラリー吸込管124の中心線O側に向けて噴出可能となっている。
【0072】
また、本実施例では、スラリー搬送装置106にて、スラリータンク121のスラリー205に対して水(流体)を噴出して旋回力を付与可能な第2水噴出装置(第2流体噴出装置)161が設けられている。
【0073】
この第2水噴出装置161は、図3及び図6に示すように、スラリータンク121の円錐底部121bに複数(本実施例では、4つ)の水噴射ノズル162が周方向に所定間隔で固定されている。この各水噴射ノズル162は、スラリータンク121の外周部にその接線方向に近い方向を向くと共に、水平よりも若干上方を向いて配置されている。そして、各水噴射ノズル162は、水供給管163の端部が連結されている。
【0074】
第1水噴出装置151及び第2水噴出装置161は、貯水槽131のスラリー水204が供給可能となっている。即ち、貯水槽131からの供給配管132は、給水ポンプ133と開閉弁136との間から分岐供給配管166が分岐され、この分岐供給配管166に開閉弁167が配置されている。そして、この分岐供給配管166は、水供給管153,163が連結されている。
【0075】
そして、図示しない制御部(制御装置)は、スラリーポンプ123と第1水噴出装置151と第2水噴出装置161を作動制御可能となっており、この制御部は、スラリーポンプ123の起動時に第1水噴出装置151及び第2水噴出装置161を作動するようにしている。この場合、制御部は、スラリーポンプ123の起動時に第1水噴出装置151だけを作動してもよい。
【0076】
従って、例えば、スラリー搬送装置106による水砕スラグ203の搬送が一時的に停止すると、スラリータンク121に堆積する水砕スラグ203の量が増加する。そのため、制御部は、スラリー搬送装置106を再起動するとき、スラリーポンプ123と共に第1水噴出装置151及び第2水噴出装置161を作動する。
【0077】
即ち、スラリーポンプ123を作動すると、スラリータンク121に貯留されたスラリー205(水砕スラグ203、スラリー水204)は、スラリー吸込管124から吸い込まれ、スラリー配管122により圧送される。このとき、開閉弁167を開放すると、貯水槽131のスラリー水204が供給配管132から分岐供給配管166を通して第1水噴出装置151に供給される。すると、スラリー水204は、ハウジング152に供給され、スラリー吸込管124の先端部に形成された複数の噴出孔154から吸込領域Aに向けて噴出される。そのため、スラリータンク121の底部に堆積している水砕スラグ203は、各噴出孔154からのスラリー水204により飛散される。また、開閉弁167を開放すると、貯水槽131のスラリー水204が供給配管132から分岐供給配管166を通して第2水噴出装置161に供給される。すると、スラリー水204は、各水噴射ノズル162に供給され、この各水噴射ノズル162からスラリータンク121の外周部にその接線方向に向けて噴出される。そのため、スラリータンク121に貯留されているスラリー水204は、各水噴射ノズル162からのスラリー水204により旋回流となり、スラリータンク121の底部に堆積している水砕スラグ203は、旋回流の遠心力により外側に移動する。その結果、スラリータンク121の底部では、水砕スラグ203が飛散したり移動したりすることで、スラリー205における水砕スラグ203の濃度が低下し、スラリー吸込管124からスラリー配管122に吸い込まれる水砕スラグ203の量が適正化され、水砕スラグ203によるスラリー配管122の閉塞が防止される。
【0078】
このように実施例1のスラリー搬送装置にあっては、スラリー205を貯留可能なスラリータンク121と、スラリータンク121に貯留されたスラリー205を搬送するスラリー配管122と、スラリー配管122に設けられるスラリーポンプ123と、スラリー配管122におけるスラリー205の搬送方向の最上流部に設けられるスラリー吸込管124と、スラリー吸込管124の外周部から吸込領域Aの中心側に向けてスラリー水204を噴出する第1水噴出装置151を設けている。
【0079】
従って、スラリーポンプ123を作動すると、スラリー配管122からスラリー吸込管124に吸込力が作用し、このスラリー吸込管124は、スラリータンク121内のスラリー205を吸い込んでスラリー配管122によりスラリー205を搬送することができる。そして、スラリータンク121内に貯留されるスラリー205における水砕スラグ203の濃度が高くなったら、第1水噴出装置151によりスラリー吸込管124の吸込領域Aの中心側に向けてスラリー水204を噴出することで、スラリー205中の水砕スラグ203が飛散することから、スラリー吸込管124の吸込領域Aにおける水砕スラグ203の濃度が低下する。そのため、スラリー吸込管124は、スラリー205を適正に吸い込むことが可能となり、スラリー配管122のスラリー205による閉塞を抑制し、スラリー205の円滑な搬送を可能とすることができる。
【0080】
また、実施例1のスラリー搬送装置では、第1水噴出装置151として、スラリー吸込管124の外側に中空状に配置されるハウジング152と、ハウジング152に連結されてスラリー水204を供給可能な水供給管153と、ハウジング152内のスラリー水204をスラリー吸込管124の吸込領域Aの中心側に向けて噴出可能な複数の噴出孔154とを設けている。従って、水供給管153からハウジング152内にスラリー水204が供給されると、このハウジング152内のスラリー水204は、複数の噴出孔154からスラリー吸込管124の吸込領域Aの中心側に向けて噴出されることとなり、簡単な構成でスラリー水204を吸込領域Aに噴出することで、この吸込領域Aにおけるスラリー205における水砕スラグ203の濃度を低下することができ、スラリー配管122の閉塞を抑制することができる。
【0081】
また、実施例1のスラリー搬送装置では、スラリー吸込管124は、先端が拡径するベルマウス形状をなし、複数の噴出孔154をスラリー吸込管124の先端部に形成している。従って、スラリー吸込管124をベルマウス形状とすることで、スラリー205を効率的に吸い込むことができ、複数の噴出孔154をスラリー吸込管124の先端部に形成することで、スラリー水204を吸込領域Aに適正に噴出して水砕スラグ203を飛散させることができる。
【0082】
また、実施例1のスラリー搬送装置では、スラリータンク121は、中央下部が円錐形状をなしてスラリー吸込管124の先端を対向して配置し、スラリータンク121のスラリー205に対してスラリー水204を噴出して旋回力を付与可能な第2水噴出装置161を設けている。従って、第2水噴出装置161がスラリータンク121のスラリー205に対してスラリー水204を噴出して旋回力を付与すると、スラリータンク121のスラリー205に含まれる水砕スラグ203が遠心力により外側に移動することとなり、スラリータンク121の中央下部、つまり、吸込領域Aにおけるスラリー205の水砕スラグ203の濃度を容易に低下することができる。
【0083】
また、実施例1のスラリー搬送装置では、スラリーポンプ123と第1水噴出装置151を作動制御可能な制御部を設け、制御部は、スラリーポンプ123の起動時に第1水噴出装置151を作動している。従って、スラリーポンプ123の起動時に第1水噴出装置151を作動することで、スラリーポンプ123の停止中にスラリー吸込管124の吸込領域Aに堆積した水砕スラグ203の濃度を低下することができ、スラリー配管122のスラリーによる閉塞を抑制することができる。
【実施例2】
【0084】
図7は、本発明の実施例2に係るスラリー搬送装置を表す概略構成図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0085】
実施例2では、図7に示すように、上述したスラリー搬送装置171にて、スラリー吸込管124の外周部からこのスラリー吸込管124の吸込領域Aの中心側に向けてスラリー水204を噴出する第1水噴出装置151が設けられている。この第1水噴出装置151は、ハウジング152と水供給管153と複数の噴出孔154とを有しており、スラリー吸込管124の先端部にこの複数の噴出孔154が形成されている。
【0086】
また、本実施例では、スラリー搬送装置171にて、スラリータンク121の外周部からスラリータンク121の中央下部に向けてスラリー水204を噴出可能な第3水噴出装置172が設けられている。この第3水噴出装置171は、スラリータンク121の円筒部121aに複数(本実施例では、4つ)の水噴射ノズル173が周方向に所定間隔で固定されている。この各水噴射ノズル173は、スラリータンク121の外周部にその接線方向とほぼ直交してスラリータンク121の底部中央側を向くと共に、水平よりも若干下方を向いて配置されている。そして、各水噴射ノズル173は、水供給管174の端部が連結されている。
【0087】
第1水噴出装置151及び第3水噴出装置172は、貯水槽131のスラリー水204が供給可能となっている。即ち、貯水槽131からの供給配管132は、給水ポンプ133と開閉弁136との間から分岐供給配管166が分岐され、この分岐供給配管166に開閉弁167が配置されている。そして、この分岐供給配管166は、水供給管153,174が連結されている。
【0088】
そして、図示しない制御部(制御装置)は、スラリーポンプ123と第1水噴出装置151と第3水噴出装置172を作動制御可能となっており、この制御部は、スラリーポンプ123の起動時に第1水噴出装置151及び第3水噴出装置172を作動するようにしている。この場合、制御部は、スラリーポンプ123の起動時に第1水噴出装置151だけを作動してもよい。
【0089】
従って、例えば、スラリー搬送装置106による水砕スラグ203の搬送が一時的に停止すると、スラリータンク121に堆積する水砕スラグ203の量が増加する。そのため、制御部は、スラリー搬送装置106を再起動するとき、スラリーポンプ123と共に第1水噴出装置151及び第3水噴出装置172を作動する。
【0090】
即ち、スラリーポンプ123を作動すると、スラリータンク121に貯留されたスラリー205(水砕スラグ203、スラリー水204)は、スラリー吸込管124から吸い込まれ、スラリー配管122により圧送される。このとき、開閉弁167を開放すると、貯水槽131のスラリー水204が供給配管132から分岐供給配管166を通して第1水噴出装置151に供給される。すると、スラリー水204は、ハウジング152に供給され、スラリー吸込管124の先端部に形成された複数の噴出孔154から吸込領域Aに向けて噴出される。そのため、スラリータンク121の底部に堆積している水砕スラグ203は、各噴出孔154からのスラリー水204により飛散される。また、開閉弁167を開放すると、貯水槽131のスラリー水204が供給配管132から分岐供給配管166を通して第3水噴出装置172に供給される。すると、スラリー水204は、各水噴射ノズル173に供給され、この各水噴射ノズル173からスラリータンク121の底部中央に向けて噴出される。そのため、スラリータンク121の底部に堆積している水砕スラグ203は、各水噴射ノズル173からのスラリー水204により飛散される。その結果、スラリータンク121の底部では、水砕スラグ203が飛散することで、スラリー205における水砕スラグ203の濃度が低下し、スラリー吸込管124からスラリー配管122に吸い込まれる水砕スラグ203の量が適正化され、水砕スラグ203によるスラリー配管122の閉塞が防止される。
【0091】
このように実施例2のスラリー搬送装置にあっては、スラリー205を貯留可能なスラリータンク121と、スラリータンク121に貯留されたスラリー205を搬送するスラリー配管122と、スラリー配管122に設けられるスラリーポンプ123と、スラリー配管122におけるスラリー205の搬送方向の最上流部に設けられるスラリー吸込管124と、スラリー吸込管122の外周部から吸込領域Aの中心側に向けてスラリー水204を噴出する第1水噴出装置151と、スラリータンク121の外周部からスラリータンク121の中央下部に向けてスラリー水204を噴出可能な第3水噴出装置172を設けている。
【0092】
従って、スラリーポンプ123を作動すると、スラリー配管122からスラリー吸込管124に吸込力が作用し、このスラリー吸込管124は、スラリータンク121内のスラリー205を吸い込んでスラリー配管122によりスラリー205を搬送することができる。そして、スラリータンク121内に貯留されるスラリー205における水砕スラグ203の濃度が高くなったら、第1水噴出装置151及び第3水噴出装置172によりスラリー吸込管124の吸込領域Aの中心側に向けてスラリー水204を噴出することで、スラリー205中の水砕スラグ203が飛散することから、スラリー吸込管124の吸込領域Aにおける水砕スラグ203の濃度が低下する。そのため、スラリー吸込管124は、スラリー205を適正に吸い込むことが可能となり、スラリー配管122のスラリー205による閉塞を抑制し、スラリー205の円滑な搬送を可能とすることができる。
【0093】
なお、上述した実施例1から2にて、第1水噴出装置151に加えて、第2水噴出装置161や第3水噴出装置172を設けたが、この第2水噴出装置161や第3水噴出装置172はなくてもよく、両方あってもよい。また、スラリーポンプ123の起動時に第1水噴出装置151を作動するように構成したが、スラリーポンプ123の起動時に第2水噴出装置161や第3水噴出装置172を作動するように構成してもよい。更に、水砕スラグ203の濃度が低いときには、スラリーポンプ123の起動時に各水噴出装置151,161,172を作動しなくてもよく、また、水砕スラグ203の濃度に応じて、スラリーポンプ123の起動直前や起動直後に各水噴出装置151,161,172を作動してもよい。そして、スラリー吸込管124の吸込領域Aにおける水砕スラグ203の濃度検出する濃度センサを用いてもよい。
【実施例3】
【0094】
図8は、本発明の実施例3に係るスラリー搬送装置を表す概略構成図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0095】
実施例3では、図8に示すように、スラリー搬送装置181にて、スラリー吸込管124の外周部からこのスラリー吸込管124の吸込領域の中心側に向けてスラリー水204を噴出する第1水噴出装置151が設けられている。
【0096】
そして、スラリー搬送装置181は、スラリー配管122内の圧力を検出する圧力センサ182が設けられている。また、制御部(制御装置)183は、この圧力センサ182の検出結果に基づいて第1水噴出装置151を作動制御可能となっている。この圧力センサ182は、スラリー配管122にて、スラリー吸込管124とスラリーポンプ123との間に配置され、ここでの圧力、つまり、スラリーの水圧(搬送圧力)を検出している。制御部183は、圧力センサ182が検出したスラリー配管122内の圧力が予め設定された所定圧以下となったら、第1流体噴出装置151を作動するようにしている。即ち、スラリー配管122内で水砕スラグ203が詰まって閉塞すると、スラリータンク121から新たな水砕スラグ203を吸い込むことができず、スラリー吸込管124内の圧力が低下する。そのため、スラリー配管122内の圧力が所定圧以下となったら、つまり、スラリー配管122内で水砕スラグ203が詰まりそうになって圧力が所定圧以下に低下したら、スラリー配管122が閉塞するおそれがあると推定し、第1流体噴出装置151を作動してその閉塞を防止する。
【0097】
このように実施例3のスラリー搬送装置にあっては、スラリー205を貯留可能なスラリータンク121と、スラリータンク121に貯留されたスラリー205を搬送するスラリー配管122と、スラリー配管122に設けられるスラリーポンプ123と、スラリー配管122におけるスラリー205の搬送方向の最上流部に設けられるスラリー吸込管124と、スラリー吸込管122の外周部から吸込領域Aの中心側に向けてスラリー水204を噴出する第1水噴出装置151と、スラリー配管122内の圧力を検出する圧力センサ182と、圧力センサ182が検出したスラリー配管122内の圧力が予め設定された所定圧以下となったら第1流体噴出装置151を作動する制御部183を設けている。
【0098】
従って、スラリーポンプ123を作動すると、スラリー配管122からスラリー吸込管124に吸込力が作用し、このスラリー吸込管124は、スラリータンク121内のスラリー205を吸い込んでスラリー配管122によりスラリー205を搬送することができる。そして、圧力センサ182が検出したスラリー配管122内の圧力が所定圧以下となったら、スラリー配管122が閉塞するおそれがあると推定し、第1流体噴出装置151を作動する。即ち、第1水噴出装置151によりスラリー吸込管124の吸込領域Aの中心側に向けてスラリー水204を噴出することで、スラリー205中の水砕スラグ203を飛散させ、スラリー吸込管124の吸込領域Aにおける水砕スラグ203の濃度が低下させる。そのため、スラリー吸込管124は、スラリー205を適正に吸い込むことが可能となり、スラリー配管122のスラリー205による閉塞を抑制し、スラリー205の円滑な搬送を可能とすることができる。
【実施例4】
【0099】
図9は、本発明の実施例3に係るスラリー搬送装置におけるスラリー吸込管の概略図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0100】
実施例4では、図9に示すように、スラリー搬送装置191にて、スラリー吸込管192の外周部からこのスラリー吸込管192の吸込領域の中心側に向けてスラリー水を噴出する第1水噴出装置(第1流体噴出装置)193が設けられている。
【0101】
この第1水噴出装置193は、ハウジング194と水供給管195と複数の噴出孔196とを有している。即ち、スラリー吸込管192は、円筒形状をなし、基端部が図示しないスラリー配管122に連結され、先端部が図示しないスラリータンクの側部に対向して配置されている。そして、スラリー吸込管124は、スラリータンク121の中央部に配置され、円筒部124aにスラリー配管122が連結され、拡径部124bがスラリータンク121の円錐底部121bに対向している。
【0102】
そして、スラリー吸込管192は、外周部にこのスラリー吸込管192の外周側を被覆するようにハウジング194が固定されている。このハウジング194は、リング形状をなし、スラリー吸込管192の外側に所定間隔をもって配置され、上端部及び下端部が閉塞した密閉中空形状となっている。そして、ハウジング194は、水供給管195の端部が連結されている。
【0103】
また、ハウジング194は、その下端部に複数の噴出孔196が形成されている。この各噴出孔196は、ハウジング194の下端部に周方向に沿って複数所定間隔で形成されている。そして、この各噴出孔196は、ハウジング194内のスラリー水をスラリー吸込管192の吸込領域Aであって、スラリー吸込管124の中心線O側に向けて噴出可能となっている。
【0104】
従って、スラリー水が供給配管195からハウジング194に供給されると、スラリー水は、ハウジング194の先端部に形成された複数の噴出孔196から吸込領域Aに向けて噴出される。そのため、スラリータンクの底部に堆積している水砕スラグは、各噴出孔196からのスラリー水により飛散される。その結果、スラリータンクの底部では、水砕スラグが飛散することで、スラリーにおける水砕スラグの濃度が低下し、スラリー吸込管192からスラリー配管に吸い込まれる水砕スラグの量が適正化され、水砕スラグによるスラリー配管の閉塞が防止される。
【0105】
このように実施例4のスラリー搬送装置にあっては、スラリー吸込管192を円筒管とし、その外周部に、スラリー吸込管192の吸込領域Aの中心側に向けてスラリー水を噴出する第1水噴出装置193を設けている。
【0106】
従って、第1水噴出装置193によりスラリー吸込管192の吸込領域Aの中心側に向けてスラリー水を噴出することで、スラリー中の水砕スラグが飛散することから、スラリー吸込管192の吸込領域Aにおける水砕スラグの濃度が低下し、スラリー配管の閉塞を抑制することができる。
【0107】
なお、上述した各実施例では、本発明のスラリー搬送装置を、石炭ガス化複合発電設備におけるスラグ排出システムに適用して説明したが、この分野に限定されるものではなく、例えば、砂利の搬送や汚泥の搬送などにも適用することができる。
【符号の説明】
【0108】
10 石炭ガス化複合発電設備
11 給炭装置
12 流動層乾燥装置
13 微粉炭機
14 石炭ガス化炉
15 チャー回収装置
16 ガス精製装置
17 ガスタービン設備
18 蒸気タービン設備
19 発電機
20 排熱回収ボイラ
48 スラグ排出システム
101 スラグホール
102 スラグホッパ
103 開閉弁
104 スラグロックホッパ
105 スラグ溜
106,171,181,191 スラリー搬送装置
107 スラグ貯蔵タンク
111 開閉弁
112 スラグ溜タンク
113 スラグコンベア
121 スラリータンク
122 スラリー配管
123 スラリーポンプ
124,192 スラリー吸込管
151,193 第1水噴出装置(第1流体噴出装置)
152,194 ハウジング
153,174,195 水供給管(流体供給管)
154,196 噴出孔
161 第2水噴出装置(第2流体噴出装置)
162,173 噴射ノズル
172 第3水噴出装置(第3流体噴出装置)
182 圧力センサ
183 制御部(制御装置)
201 溶融スラグ
202 スラグ冷却水
203 水砕スラグ(固体粒子)
204 スラリー水(流体)
205 スラリー
206 排出水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラリーを貯留可能なスラリータンクと、
前記スラリータンクに貯留されたスラリーを搬送するスラリー配管と、
前記スラリー配管に設けられるスラリーポンプと、
前記スラリー配管におけるスラリーの搬送方向の最上流部に設けられるスラリー吸込管と、
前記スラリー吸込管の外周部から該スラリー吸込管の吸込領域の中心側に向けて流体を噴出する第1流体噴出装置と、
を備えることを特徴とするスラリー搬送装置。
【請求項2】
前記第1流体噴出装置は、前記スラリー吸込管の外側に中空状に配置されるハウジングと、該ハウジングに連結されて流体を供給可能な流体供給管と、前記ハウジング内の流体を前記スラリー吸込管の吸込領域の中心側に向けて噴出可能な複数の噴出孔とを有することを特徴とする請求項1に記載のスラリー搬送装置。
【請求項3】
前記スラリー吸込管は、先端が拡径するベルマウス形状をなし、前記複数の噴出孔は、前記スラリー吸込管の先端部に形成されることを特徴とする請求項2に記載のスラリー搬送装置。
【請求項4】
前記スラリータンクは、中央下部が円錐形状をなして前記スラリー吸込管の先端が対向して配置され、前記スラリータンクのスラリーに対して流体を噴出して旋回力を付与可能な第2流体噴出装置が設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のスラリー搬送装置。
【請求項5】
前記スラリータンクは、中央下部が円錐形状をなして前記スラリー吸込管の先端が対向して配置され、前記スラリータンクの外周部から前記スラリータンクの中央下部に向けて流体を噴出可能な第3流体噴出装置が設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のスラリー搬送装置。
【請求項6】
前記スラリーポンプと前記第1流体噴出装置を作動制御可能な制御装置が設けられ、該制御装置は、前記スラリーポンプの起動時に前記第1流体噴出装置を作動することを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載のスラリー搬送装置。
【請求項7】
前記スラリー配管内の圧力を検出する圧力センサと、該圧力センサの検出結果に基づいて前記第1流体噴出装置を作動制御可能な制御装置が設けられ、該制御装置は、前記圧力センサが検出した前記スラリー配管内の圧力が予め設定された所定圧以下となったら前記第1流体噴出装置を作動することを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載のスラリー搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−82830(P2013−82830A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224910(P2011−224910)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】