説明

スリット付側溝

【課題】スリット付側溝において、着脱自在な間隔保持具を用いることなく、片持ち梁を安定に支持する構造を提供する。
【解決手段】内部に中空路1を設け、上面2に前記中空路1と外部とを連通させるスリット21を形成した閉断面のスリット付側溝において、スリット21により上面2を分割して構成される片持ち梁22,23の対向するスリット側面221,231に、互いの端面61,71を結合することなく面接触させる一対の間隔保持部6,7を設けたスリット付側溝である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に中空路を設け、上面に前記中空路と外部とを連通させるスリットを形成した閉断面のスリット付側溝に関する。
【背景技術】
【0002】
スリット付側溝は、内部に中空路を設け、上面に前記中空路と外部とを連通させるスリットを形成した構成で、例えば道路両脇の排水路として、道路に降る雨水を上面のスリットから内部の中空路に流し込ませ、排水する。スリットを形成するため、上面は、スリット側面を対向させる一対の片持ち梁に分割される。各片持ち梁は、側溝側面に支持されるため、スリット側面の対向方向(水平面内におけるスリットの延在直交方向)及び垂直方向(垂直面内におけるスリットの延在直交方向)の変形を防止できるように、側溝側面が厚肉に形成される。これは、スリット付側溝の製造にコンクリート等の材料が多く必要になること、そして重量物になることといった問題を招いていた。そこで、側溝側面による片持ち梁の支持を補助するため、特許文献1に見られるように、スリットに挿入して片持ち梁のスリット側面の対向方向の変形を抑制する間隔保持具が提案されるに至っている。
【0003】
特許文献1は、くさび状の間隔保持具を開示する(特許文献1[請求項1])。具体的な間隔保持具は、「ゴム、プラスチック等の可撓性部材で形成され、その両側面は取り付けた後の抜け防止のため、凹凸面の抜け防止面5」が形成されている(特許文献1[請求項2][0012][図3])。ここで、「くさび状」とは、具体的な構造の記述がないために明らかでないが、「抜け防止面5,5はスリット面取り部6に係止して、くさび状間隔保持具4が抜け出さないように構成されている」との記載(特許文献1[0013])や前掲図3から、スリットに挿入しやすい鋭角な断面下端や、抜け出しにくい側面を含めた全体構造を「くさび状」と表現していると窺われる。
【0004】
特許文献1が開示する間隔保持具は、「頭部をハンマー等の殴打具7でたたいて、くい込ませ」ることにより、スリットに挿入する(特許文献1[0013][図6])。また、特許文献1が開示する間隔保持具は、「スリット3内にくい込ませたくさび状間隔保持具4を引き抜き具8等により挟んで引き抜」いて回収する(特許文献1[0014][図7])。こうした特許文献1の間隔保持具を用いることにより、側溝側面を薄肉にすることができ、コンクリートの使用量を減らして製造コストを低廉にしたり、スリット(正確には片持ち梁)が破損する虞をなくしたり、更には重量軽減に伴う運搬作業や敷設作業を容易にしたりする効果が得られるとしている(特許文献1[0015])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-355969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1が開示する間隔保持具は、片持ち梁を支持する側溝側面の薄肉化に貢献し、様々な効果をもたらすが、スリット付側溝と別体の部材であることに起因して、次のような問題がある。まず、間隔保持具は、後からスリットに挿入しなければならない手間を要する。スリットに間隔保持具を挿入する作業に要する労力及び時間は、スリット付側溝の数が多くなれば、無視できなくなる。この労力及び時間の問題は、スリットから間隔保持具を回収する作業でも起きうる。また、間隔保持具はスリット付側溝と別部材であり、必要に応じてスリットに挿入することになるから、スリット付側溝と別に管理及び保管しておく必要が生じる問題もある。そこで、着脱自在な間隔保持具を用いることなく、片持ち梁を安定に支持する構造を開発すべく、スリット付側溝について検討した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
検討の結果開発したものが、内部に中空路を設け、上面に前記中空路と外部とを連通させるスリットを形成した閉断面のスリット付側溝において、スリットにより上面を分割して構成される片持ち梁の対向するスリット側面に、互いの端面を結合することなく面接触させる一対の間隔保持部を設けたスリット付側溝である。対向するスリット側面に設けた一対の間隔保持部は、対向する端面を結合することなく面接触させることにより、スリット側面の対向方向に係合し、各片持ち梁がスリット側面の対向方向に変形することを抑制又は防止し、薄い壁面によっても片持ち梁を安定に支持できるようにする。しかし、前記端面は結合していないので、各間隔保持部に応力集中を招く心配がない。
【0008】
間隔保持部は、結合することなく、物理的に接触していればよく、スリット付側溝と一体にコンクリート製としてもよいし、スリット付側溝と別体の樹脂製としてもよいが、スリット側面と一体でなければならない。このとき、例えば一方の間隔保持部の端面を平面にしながら、他方の間隔保持部を先鋭にし、端部を前記平面に点接触させることも考えられる。しかし、スリット付側溝と一体であるコンクリート製の間隔保持部を点接触させることは現実的でない。また、片持ち梁を安定に支持させるためにも、間隔保持部は、端面がいくら小さくなっても、面接触させることが好ましい。これから、外観上、一方の間隔保持部の端面を平面にしながら、他方の間隔保持部を先鋭にすることも考えられるが、この場合でも厳密には端面を面接触させており、本発明に含まれる。
【0009】
具体的な間隔保持部は、スリット側面から突出する一対の突部として構成できる。一対の突部の突出量は、等しくても、どちらか一方が大きくても構わないが、いずれの突部もスリット側面から突出しているものとする。また、具体的な間隔保持部は、スリット側面の一方から突出する突部と、スリット側面の他方に設定される平面とから構成することもできる。スリット側面の一方から突出する突部は、前記一対の突部を合わせた突出量で、スリット側面の他方に設定される平面は、スリット側面から突出していない突部(つまり、突出量が「0」)であり、スリット側面と連続する。
【0010】
本発明の間隔保持部は、垂直方向に平行な端面を面接触させることにより、スリット側面の対向方向に係合し、基本として、片持ち梁がスリット側面の対向方向に変形することを抑制又は防止する。しかし、本発明の間隔保持部は、垂直方向又は水平方向(スリット側面の対向方向及び後述の延在方向を含む)のいずれか又は双方に傾斜した端面をそれぞれに転写関係で形成し、互いの端面を結合することなく面接触させることにより、垂直方向、スリット側面の対向方向又はスリット側面の延在方向(水平面内におけるスリットの延在方向)に係合し、スリット側面の対向方向のみならず、片持ち梁が垂直方向又はスリット側面の延在方向に変形することも抑制又は防止できる。「垂直方向又は水平方向のいずれか又は双方に傾斜した端面」は、直交関係にある垂直方向、スリット側面の対向方向又はスリット側面の延在方向いずれか又は全ての方向に傾斜している端面を意味する。
【0011】
同様に、本発明の間隔保持部は、垂直方向又は水平方向のいずれか又は双方に凸凹した端面をそれぞれに転写関係で形成し、互いの端面を結合することなく嵌合して面接面させることにより、垂直方向、スリット側面の対向方向又はスリット側面の延在方向に係合し、スリット側面の対向方向のみならず、片持ち梁が垂直方向又はスリット側面の延在方向に変形することも抑制又は防止できる。「垂直方向又は水平方向のいずれか又は双方に凸凹した端面」は、直交関係にある垂直方向、スリット側面の対向方向又はスリット側面の延在方向のいずれか又は全ての方向に凸凹した断面を形成する端面を意味する。この凸凹した端面の各凸又は凹が有する小さな端面それぞれが、垂直方向又は水平方向のいずれか又は双方に傾斜しても構わない。
【0012】
ここで、間隔保持部が少なくとも一方がスリット付側溝と別体の樹脂製等であれば、端面を結合することなく面接触させることは容易である。しかし、一対の間隔保持部が共にスリット付側溝と一体であるコンクリート製であると、端面を結合させることなく面接触させることは難しい。そこで、間隔保持部は、端面の少なくとも一方に結合することなく面接触させる仕切り材を端面間に介装させるとよい。仕切り材は、端面の少なくとも一方に結合することなく面接触すればよいが、端面のいずれにも結合することなく面接触するだけでもよい。仕切り材は、ほとんど接するほどに狭い隙間を残して対向する端面間に介装する仕切り板のほか、厚みを有する仕切りブロックとして構成してもよい。
【0013】
仕切り材を用いる場合、間隔保持部は、垂直方向又は水平方向のいずれか又は双方に傾斜した端面を一方又は双方に形成し、前記端面の少なくとも一方に結合することなく面接触させる仕切り材を端面間に介装させてもよい。この場合は、仕切り材は厚みのあり、各突部の端面に対応させた一対の当接面を有する仕切りブロックとなり、各当接面を対応する端面に合わせて異なる形状に成形する。具体的には、仕切りブロックの当接面が垂直面と傾斜面とであれば、一対の突部の一方の端面を垂直面、一対の突部の他方の端面を傾斜面とする。一対の突部の他方が平面である場合、前記平面はスリット側面に連続するから、例えばスリットが下方に開いた断面ハの字の場合に、前記仕切りブロックが適当である。
【0014】
また、同様に、間隔保持部は、垂直方向又は水平方向のいずれか又は双方に凸凹した端面を一方又は双方に形成し、前記端面の少なくとも一方に結合することなく嵌合して面接触させる仕切り材を端面間に介装させてもよい。この場合も、仕切り材は厚みがあり、各突部の端面に対応させた一対の当接面を有する仕切りブロックとなり、各当接面を対応する端面に合わせて異なる形状に成形する。具体的には、仕切りブロックの当接面が垂直面と凸凹面とであれば、一対の突部の一方の端面を垂直面、一対の突部の他方の端面を凸凹面とする。凸凹面とした当接面と対応する凸凹した端面とがそれぞれ有する各凸又は凹の小さな端面は、垂直方向又は水平方向のいずれか又は双方に傾斜しても構わない。
【発明の効果】
【0015】
本発明における間隔保持部は、片持ち梁の対向するスリット側面に対応して分割し、各スリット側面と一体に設けた間隔保持具に相当する。これから、側溝側面を薄肉化し、使用するコンクリート量を低減することで、低廉で、軽量化により運搬や施工時の作業性が向上されたスリット付側溝を提供する。そして、間隔保持部は、スリット側面と一体に設けたことから、設置又は回収といった作業の労力及び手間が掛かることがなく、また別部材の在庫管理等の手間も掛からない取扱性の改善という効果をもたらす。この効果は、スリット付側溝と一体であるコンクリート製の間隔保持部はもちろんのこと、スリット付側溝と別体である樹脂製等の間隔保持部でも、前記スリット付側溝の成形時にスリット側面に配置して固定することで、得られる。
【0016】
また、本発明における間隔保持部は、片持ち梁がスリット側面の対向方向に変形することを抑制又は防止することはもちろん、端面を傾斜させたり、凸凹させたりすることにより、更に片持ち梁が垂直方向又はスリット側面の延在方向に変形することを抑制又は防止できるようになる保形性の向上という効果をもたらす。この効果は、一対の突部からなる間隔保持部はもちろん、前記突部間に仕切り材を介装する構成でも得られる。仕切り材を用いた場合、各突部の端面を異ならせる、例えば平坦と傾斜、傾斜と凸凹のように異ならせることもできる。こうした間隔保持部は、片持ち梁の補強材を不要又は簡略化させ、上述の軽量化を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を適用したスリット付側溝の一例を表す斜視図である。
【図2】本例のスリット付側溝を表す正面図である。
【図3】本例のスリット付側溝を表す平面図である。
【図4】本例のスリット付側溝を表す左側面図である。
【図5】本例の間隔保持部を表す図4中A矢視部拡大図である。
【図6】本例の間隔保持部を表す部分分解斜視図である。
【図7】別例の間隔保持部を表す図5相当拡大図である。
【図8】別例の間隔保持部を表す図5相当拡大図である。
【図9】別例の間隔保持部を表す図5相当拡大図である。
【図10】別例の間隔保持部を表す部分拡大平面図である。
【図11】別例の間隔保持部を表す図5相当拡大図である。
【図12】別例の間隔保持部を表す図10相当拡大平面図である。
【図13】別例の間隔保持部を表す図5相当拡大図である。
【図14】別例の間隔保持部を表す図5相当拡大図である。
【図15】別例の間隔保持部を表す図5相当拡大図である。
【図16】別例の間隔保持部を表す図5相当拡大図である。
【図17】別例の間隔保持部を表す図5相当拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。本発明を適用したコンクリート製のスリット付側溝は、図1〜図4に見られるように、従来同種のスリット付側溝と変わりない外観を備える。すなわち、内部に形成される中空路1は、上面2、前側壁面3、後側壁面4及び底面5に囲まれた断面略卵形で、上面2はスリット21により前後に分割され、前側片持ち梁22及び後側片持ち梁23が形成されている。本例のスリット付側溝は、前側片持ち梁22の張り出しを長く、後側片持ち梁23の張り出しを短くしている。図示は省略するが、本例のスリット付側溝は、張り出しの長い前側片持ち梁22を道路側にして、スリット21を路肩端に寄せて設置される。
【0019】
前側片持ち梁22及び後側片持ち梁23は、対向する前側スリット側面221及び後側スリット側面231それぞれに設けた前側間隔保持部6及び後側間隔保持部7の各端面61,71を面接触させ、スリット側面の対向方向(各図中座標参照)に変形することが抑制又は防止される。これにより、前側片持ち梁22及び後側片持ち梁23を支持する前側壁面3及び後側壁面4を薄くでき、コンクリートの節約や重量軽減が実現される。本例のスリット付側溝は、前側壁面3及び後側壁面4にそれぞれ前面凹部31及び後面凹部41を設け、更にコンクリートを節約し、軽量化している。また、前側壁面3及び後側壁面4を薄くできると、従来同種のスリット付側溝と同じ大きさにしながら、中空路1の断面積を大きくし、前記断面積に比例する単位時間あたりの排水量を増やすこともできる。
【0020】
本例のスリット21は、対向する前側スリット側面221及び後側スリット側面231を下方に向けて間隔が広くなる断面ハの字である。前側間隔保持部6及び後側間隔保持部7は、前記スリット21の延在方向両端に一対ずつ、延在方向中央に横並びで二対ずつ、そして前記両端及び中央の中間に一対ずつ、計六対設けている(図2参照)。本例の前側間隔保持部6及び後側間隔保持部7は、図5及び図6(説明の便宜上分解して図示している)に見られるように、コンクリート面である前側スリット側面221及び後側スリット側面231と一体に形成される正面視台形状の突部で、本例はスリット側面の対向方向に鏡面対称である(つまり、前側間隔保持部6及び後側間隔保持部7は同じ形)。こうして、スリット21を断面ハの字とし、前側間隔保持部6及び後側間隔保持部7を正面視台形状の突部とすることにより、スリット21に差し込む型や隣り合う前側間隔保持部6及び後側間隔保持部7間に差し込む型は、いずれも下方に引き抜けるようにしている。
【0021】
本発明は、前側間隔保持部6及び後側間隔保持部7が互いの端面61,71を結合することなく面接触させることを特徴とする。しかし、本例のように、前側間隔保持部6及び後側間隔保持部7のいずれもがコンクリート製であると、結合させることなく面接触させることは現実的に難しい。そこで、本例は、前側間隔保持部6及び後側間隔保持部7の各端面61,71の間に薄い樹脂製の仕切り板8を介装させ、前側間隔保持部6及び後側間隔保持部7が互いの端面61,71を結合することなく面接触させている(正確には、例えば端面61は仕切り板8に面接触し、仕切り板8を介して相手方の端面71に接触している)。この仕切り板8は、前側間隔保持部6及び後側間隔保持部7を含めたスリット付側溝の製造に際して、端面61,71間に挟み込むことにより、前側間隔保持部6及び後側間隔保持部7の各端面61,71の間に介装させる。
【0022】
仕切り板8は、前側間隔保持部6及び後側間隔保持部7の各端面61,71に接着するわけではなく、上述の通り、前側間隔保持部6及び後側間隔保持部7の各端面61,71に挟み込んでいるだけで、スリット付側溝の製造直後はコンクリートとの摩擦により位置保持されるが、経年劣化により脱落する虞がある。そこで、例えば仕切り板8に小孔81を設け、前側間隔保持部6及び後側間隔保持部7の各端面61,71の一部に小さな結合部分を形成し、前記結合部分に仕切り板8の小孔81を係合させ、位置保持させるとよい。結合部分は、前側間隔保持部6及び後側間隔保持部7の各端面61,71いずれかと破断し、分離しても、残存する部分が小孔81に係合し、仕切り板8を位置保持させる。また、仕切り板8の表面に小さな突起又は凹みを設け、前記突起を前側間隔保持部6及び後側間隔保持部7の各端面61,71いずれかに噛み込ませ、位置保持させてもよい。
【0023】
前側間隔保持部6及び後側間隔保持部7は、互いの端面61,71を結合することなく面接触させていれば足り、それぞれの突出量が異なっていたり、端面61,71が傾斜したり、凸凹していたりしていても構わない。例えば、図7に見られるように、正面視台形状とし、各端面61,71の間に仕切り板8を介装する構成は上記例示と同じとしながら、前側スリット側面221から突出する前側間隔保持部6の突出量を相対的に大きくし、逆に後側スリット側面231から突出する後側間隔保持部7の突出量を相対的に小さくしても構わない。後述するように、前側間隔保持部6又は後側間隔保持部7のいずれかのみを突出させる場合、張り出しが短い前側片持ち梁22の後側スリット側面231から後側間隔保持部7を突出させることが好ましいが、前側間隔保持部6及び後側間隔保持部7双方を突出させる限り、相対的にいずれを大きく突出させても構わない。
【0024】
より極端に、図8に見られるように、前側間隔保持部の端面61を前側スリット側面221と面一にし、後側間隔保持部7のみを突出させて前記端面61に端面71を面接触させるようにしてもよい。この場合、後側間隔保持部7は正面視台形状とし、各端面61,71の間に仕切り板8を介装する。前側間隔保持部6又は後側間隔保持部7のいずれかのみを突出させる場合、構造的には、前側間隔保持部6又は後側間隔保持部7のいずれを突出させても構わない。しかし、張り出しが長い前側片持ち梁22がスリット側面の対向方向に変位する際の負荷に対抗できるように、前記前側片持ち梁22の前側スリット側面221(面一の端面61)に端面71を面接触させて支持できるように、後側間隔保持部7を突出させることが好ましい。
【0025】
本発明は、図9に見られるように、垂直方向に傾斜した端面61,71をそれぞれに転写関係で形成し、後側間隔保持部7に上方から前側間隔保持部6を係合させれば、特に前側片持ち梁22が垂直方向に変形することが抑制又は防止できる。この場合、仕切り板8は斜めに介装されるため、上述した小孔81等を設けなくても、安易な脱落を防止できる。また、図10に見られるように、スリット側面の延在方向に傾斜した端面61,71をそれぞれに転写関係で形成し、前側間隔保持部6及び後側間隔保持部7を左右に係合させれば、前側片持ち梁22及び後側片持ち梁23がスリット側面の延在方向に変形することも抑制又は防止できる。この場合、脱落防止のため、仕切り板8には小孔81等を設けることが望ましい。このほか、図示は省略するが、垂直方向及び水平方向に傾斜した端面61,71をそれぞれに転写関係で形成すれば、前側片持ち梁22及び後側片持ち梁23が垂直方向及び水平方向に変形することも抑制又は防止できる。この場合、仕切り板8は斜めに介装されるため、上述した小孔81等を設けなくても、安易な脱落を防止できる。
【0026】
同様に、図11に見られるように、垂直方向に凸凹した端面61,71をそれぞれに転写関係で形成し、前側間隔保持部6及び後側間隔保持部7を互いに嵌合させれば、特に前側片持ち梁22が垂直方向に変形することが抑制又は防止できる。この場合、仕切り板8は垂直方向に折れ曲がって端面61,71間に介装されるため、上述した小孔81等を設けなくても、脱落を防止できる。また、図12に見られるように、スリット側面の延在方向に凸凹した端面61,71をそれぞれに転写関係で形成し、前側間隔保持部6及び後側間隔保持部7を左右に係合させれば、前側片持ち梁22及び後側片持ち梁23がスリット側面の延在方向に変形することも抑制又は防止できる。この場合、脱落防止のため、仕切り板8には小孔81等を設けることが望ましい。このほか、図示は省略するが、垂直方向及び水平方向に凸凹した端面61,71をそれぞれに転写関係で形成すれば、前側片持ち梁22及び後側片持ち梁23が垂直方向及び水平方向に変形することも抑制又は防止できる。この場合、仕切り板8は垂直方向及び水平方向に折れ曲がって端面61,71間に介装されるため、上述した小孔81等を設けなくても、脱落を防止できる。
【0027】
薄い仕切り板8に代えて、図13〜図17に見られるように、端面61,71それぞれに対して異なる当接面を形成する仕切りブロック9を用いてもよい。例えば、仕切りブロック9でも上述の仕切り板8同様脱落を防止する必要があることから、図13又は図14に見られるように、前側間隔保持部6の端面61に対し、垂直方向に平行な平面の当接面としながら、後側間隔保持部7の端面71に対し、垂直方向に凸凹な当接面とした仕切りブロック9を用いてもよい。仕切りブロック9は、垂直方向に凸凹な当接面が転写関係にある後側間隔保持部7の端面71に嵌合するから、垂直方向に脱落することを防止できる。図示は省略するが、前側間隔保持部6の端面61に対し、垂直方向に平行な平面の当接面としながら、後側間隔保持部7の端面71に対し、水平方向に凸凹な当接面とした仕切りブロック9を用いたり、更に後側間隔保持部7の端面71に対して垂直方向及び水平方向に凸凹な当接面とした仕切りブロック9を用いたりしてもよい。
【0028】
また、図15に見られるように、前側間隔保持部6を突出させず、前側スリット側面221と面一の端面61に対して平行な平面の当接面としながら、後側間隔保持部7の端面71に対して垂直方向に凸凹な当接面とした仕切りブロック9を用いてもよい。仕切りブロック9は、垂直方向に凸凹な当接面が転写関係にある後側間隔保持部7の端面71に嵌合するから、垂直方向に脱落することを防止できる。更に、垂直方向に凸凹な当接面を有する仕切りブロック9自体を垂直方向に傾斜させてもよい。具体的には、図16に見られるように、前側スリット側面221に平行な方向に凸凹な前側間隔保持部6の端面61と転写関係にある当接面と、前記前側スリット側面221に平行な後側間隔保持部7の端面71に面接触する当接面とを有する仕切りブロック9を用いる。仕切りブロック9は、垂直方向に凸凹な当接面が転写関係にある前側間隔保持部6の端面61に嵌合し、そして垂直方向に傾斜した当接面が転写関係にある後側間隔保持部7の端面71に係合するから、垂直方向に脱落することを防止できる。
【0029】
このほか、仕切りブロック9は、両当接面を凸凹にしてもよく、この場合、仕切り板8と異なり、両当接面の凸凹を異ならせることもできる。具体的には、図17に見られるように、垂直方向に凸凹で、中段が前方に向けて凹んだ前側間隔保持部6の端面61と転写関係にある当接面と、同じく垂直方向に凸凹で、中段が後方に向けて凹んだ後側間隔保持部7の端面71と転写関係にある当接面とを有する仕切りブロック9を用いる。仕切りブロック9は、垂直方向に凸凹な当接面が転写関係にある前側間隔保持部6の端面61と後側間隔保持部7の端面71とにそれぞれ嵌合するから、垂直方向に脱落することを防止できる。このように、仕切りブロック9は、仕切り板8に比べて構造の自由度が高く、比較的容易に脱落防止を図ることのできる利点がある。
【符号の説明】
【0030】
1 中空路
2 上面
21 スリット
22 前側片持ち梁
221 前側スリット側面
23 後側片持ち梁
231 後側スリット側面
6 前側間隔保持部
7 後側間隔保持部
8 仕切り板
9 仕切りブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に中空路を設け、上面に前記中空路と外部とを連通させるスリットを形成した閉断面のスリット付側溝において、
スリットにより上面を分割して構成される片持ち梁の対向するスリット側面に、互いの端面を結合することなく面接触させる一対の間隔保持部を設けたことを特徴とするスリット付側溝。
【請求項2】
間隔保持部は、スリット側面から突出する一対の突部である請求項1記載のスリット付側溝。
【請求項3】
間隔保持部は、スリット側面の一方から突出する突部と、スリット側面の他方に設定される平面とである請求項1記載のスリット付側溝。
【請求項4】
間隔保持部は、垂直方向又は水平方向のいずれか又は双方に傾斜した端面をそれぞれに転写関係で形成し、互いの端面を結合することなく面接触させる請求項1〜3いずれか記載のスリット付側溝。
【請求項5】
間隔保持部は、垂直方向又は水平方向のいずれか又は双方に凸凹した端面をそれぞれに転写関係で形成し、互いの端面を結合することなく嵌合して面接面させる請求項1〜4いずれか記載のスリット付側溝。
【請求項6】
間隔保持部は、端面の少なくとも一方に結合することなく面接触させる仕切り材を端面間に介装させる請求項1〜5いずれか記載のスリット付側溝。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−12472(P2011−12472A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158127(P2009−158127)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(000211237)ランデス株式会社 (35)
【出願人】(593158179)株式会社ミルコン (18)
【Fターム(参考)】