スリット帯板の巻取り方法
【課題】セパレータやセンタリングロールで、スリット帯板をライン中央側へ寄せることにより、エンドシヤーで板を切断する前からエッジガイドへ当接させることができるため、張力がなくなった板尾端部の通板が安定する方法を提供する。
【解決手段】デフレクタピンチロール21,22等に持たせた外側片圧下機能や内向きスキュー角機能により板S1,S2をライン中央側に寄せ、該寄せた板S1,S2のロールニップ近傍内の板エッジをエッジガイドディスク14、15に当接させる機構的蛇行防止手段を帯板スリットラインに設け、該機構的蛇行防止手段を、EPCオフとなる尾端部巻取り時に駆使して、巻きずれ及び耳傷みのない安定的通板を達成する。
【解決手段】デフレクタピンチロール21,22等に持たせた外側片圧下機能や内向きスキュー角機能により板S1,S2をライン中央側に寄せ、該寄せた板S1,S2のロールニップ近傍内の板エッジをエッジガイドディスク14、15に当接させる機構的蛇行防止手段を帯板スリットラインに設け、該機構的蛇行防止手段を、EPCオフとなる尾端部巻取り時に駆使して、巻きずれ及び耳傷みのない安定的通板を達成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリット帯板(スリットされた帯板のことであり、スリット材ともいう)の巻取り方法に関し、詳しくは、帯板の蛇行を抑制して安定に通板させ、また、帯板の巻きずれを抑制して安定に巻き取るためのスリット帯板の巻取り方法に関する。
本発明は、特に、張力が低下する帯板の先端や尾端で効果を発揮する。張力が低下するような場合の例としては、鋼帯の熱間圧延ラインにおいて、仕上圧延機から巻取機までの搬送テーブルローラ上で、鋼帯の先端が巻取機(テンションリール)に到達する前や、鋼帯の尾端が仕上圧延機を通過した後などの場合や、鋼帯の冷間圧延ラインや連続処理ラインにおいて、コイルの巻取り終了直前で鋼帯をシヤー切断する場合などが挙げられる。本発明が適用される帯板としては、鋼帯等の金属帯や、シート状のプラスチックフィルムが該当する。
【背景技術】
【0002】
以下、ニップとは、搬送用のロール(ピンチロールも含む)と通板される帯板との接触部分のことである。また、スキュー角とは、帯板搬送方向から外側または内側を向くように設けたロール傾斜角度であり、外側を向かせた場合を外向きスキュー角、内側を向かせた場合(図3参照)を内向きスキュー角という。
なお、図3において、内向きスキュー角を有する一対のロールは、搬送中のスリット帯板S1、S2をライン幅方向中央側に寄せる(センタリングする)ように作用するセンタリングロール3である。また、ライン方向とは、ライン長さ方向を意味し、ライン中央(または中心)とは、ライン幅方向中央(中心)を意味する。
【0003】
比較的狭幅の帯板が要求される場合、リコイリングラインの巻取機の入側にスリッタを配置し、広幅に圧延された帯板を板幅方向に分割し、それぞれコイル状に巻き取っている。このようなスリットラインに関わる背景技術として、以下のようなものがある。
(1)セパレータディスクによるもの(特許文献1)
これは、送給される帯板Sを、サイドトリマで板幅端部を切り揃え、スリッタで板幅中央部を切断して2条のスリット材S1,S2に分割し、セパレータディスクでスリット隙間を確保しつつ、スリット材S1,S2を、デフレクタロールを介して1台の巻取機で巻き取る装置である。
【0004】
(2)ガイド手段によるもの
熱延ラインでは、仕上圧延機から巻取機までの搬送テーブルローラ上で、鋼帯の尾端が仕上圧延機を通過した後、張力が無くなることで鋼帯の尾端が波打ったり、板幅方向に蛇行したりといった通板不安定現象がみられるので、これを抑制するために、サイドガイド等のガイド手段が使用されている。同様に、一般の通板ラインでも、ライン中心位置に帯板の尾端を保持するために、サイドガイド等のガイド手段で強制的に拘束する方法が採られる。
【0005】
(3)EPC(エッジポジションコントロール;Edge Position Control)装置によるもの(特許文献1)
これは、2条のスリット材S1,S2を2台の巻取機で個別に巻き取ることとし、巻取り直前のスリット材S1,S2の板幅端部(エッジ部)の位置をエッジセンサによりそれぞれ検出し、エッジ部の移動量によって各々の巻取機の巻取り軸をそれぞれ板幅方向に移動してスリット隙間を調整することにより、ラインの高速化を可能とするものである。
【0006】
(4)傾斜ロールによるもの(特許文献1)
これは、巻取機を1台とし、スリット隙間検出器の検出値が所望値となるように、2条のスリット材S1,S2にそれぞれ当接させた左右の傾斜ロールのスキュー角を左右同一角度としながら変更することにより、スリット隙間を調整・保持し、エッジが揃った良好な巻き姿を得ようとするものである。
【0007】
(5)片圧下調整可能なピンチロールによるもの(特許文献2)
これは、スリッタとテンションリール(巻取機)の間に、複数条のスリット材の個々について片圧下調整可能なピンチロールを設置し、その片圧下調整によりスリット材をライン中心から離す方向に矯正するものである。これによれば、各スリット材のライン中央側を片圧下(部分圧下)するとスリット隙間が広がる方向に回転モーメントが作用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平3−5017号公報
【特許文献2】特開平10−230319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
背景技術の(1)では、スリット材S1,S2の板性状により、スリット隙間の変動が発生すると、セパレータディスクによる調整が不完全となり、スリット隙間が狭まってスリット隙間の両端をなす板端部がセパレータディスクに押圧されて変形したり、スリット隙間が広がって巻き重ねの不具合、エッジの不揃い等を生じたりするため、ライン速度を高速にできず、低速運転せざるをえない。また、セパレータディスクでは、スリット材の上下がロール等で支えられた状態にないため、スリット隙間の両端をなす板端部がセパレータディスクに当たると、スリット材が上下方向に曲げられて前記板端部を損傷してしまう。
【0010】
背景技術の(2)では、サイドガイド等のガイド手段との接触で板幅端部に耳傷みが生じる。これは図2(a)に示すようにサイドガイドSGが搬送ロール10のロールピッチ間(ニップ間)に挿入されるため、帯板Sの支えがない接触幅部分で板幅端部が傷みやすくなることによる。したがってサイドガイドで帯板を拘束する場合は、板幅に応じた正確な位置制御が必要である。特に板厚が薄い場合は、正確な押付け圧制御が必要となる。
【0011】
一方、背景技術の(3)〜(5)のような、帯板のライン幅方向位置制御により巻きずれを抑制する方法では、次のような難点がある。
・上流から下流に至る間での時間差に起因して、制御目標と実際との幅方向の位置ズレが生じる。
・制御が必要な分だけシステムが複雑になる。
・定常時の巻取りは安定したとしても、巻取り後はコイル最外周部になる、シヤー切断後のスリット材尾端においては、スリット材の張力が無くなって挙動が不安定になるため、既存のEPC装置や傾斜ロールが使えない場合がある。
・切断後の尾端にかかるような低張力の場合、上流の板エッジを検出してEPCを行っても、テンションリール軸の板幅方向シフトにより、スリット材の尾端自体も一緒に同じ板幅方向へシフトしてしまうことがあるので、板エッジを次々追いかける形になってリールの幅方向移動限界まで発散して巻取りが不安定になる。
・前記片圧下によるスリット隙間制御も、ピンチロールの持つ不安定要素が作用するので、容易な制御とはなり難い。
【0012】
すなわち、背景技術では、帯板のエッジを傷めずには、あるいは複雑な制御システムを用いずには、スリット後の帯板を搬送ライン中央側で安定させることができず、しかも、切断後の尾端通板時のような非定常通板時には安定通板が困難であるという未解決の課題があった。
また、特許文献1の「スリット隙間調整装置」は、「セパレータ」と呼ばれることもあるが、スリットした板同士が重なり合うことを避けるため、セパレータの開度を広げるのが一般的である。
【0013】
従来では上記のようにセパレータの開度を広げても、EPCを行えば板エッジを揃えて巻き取ることができると考えられていたが、本発明者らは、EPCが使えない尾端部では、ライン中央から離れたところを巻き取り中心にすると、巻きずれが大きくなる傾向があるというもう1つの課題があることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前記2つの課題を一挙に解決するために、外からの制御によらない機構的(機械的)な蛇行防止手段を案出し該手段をスリッタからテンションリール(巻取機)までの帯板のスリットラインに適用したものである。前記機構的(機械的)蛇行防止手段(以下、本蛇行防止手段という)はその調整が容易な構造とすること、また、スリット材と通常材(スリットされていない帯板)の両方に使用でき、その使用形態の切替が自動的に、あるいは容易に実行可能なものとすることを目指した。
【0015】
本蛇行防止手段は以下の通りである。
スリット材(スリット帯板、略して板)の蛇行は制御(フィードバック制御)せず、スリット材を機構的(機械的)にライン中央側に寄せるようにする。スリット材を各々ライン中央側に寄せる機構的(機械的)方法は、デフレクタピンチロールやパスラインピンチロールにおいて、上ロールを外側段付きロールとすること(すなわち外側片圧下)による方法、あるいは、上ロールを帯板搬送方向から内向きに傾斜させること(すなわち内向きスキュー角)による方法とする。外側片圧下によれば、上ロールと帯板との摩擦力は、外側片圧下部分の摩擦力が、内側非圧下部分の摩擦力よりも大きくなり、そのためスリット材をライン中央側に回転させようとするモーメントが生じて、スリット材が機構的(機械的)にライン中央側に寄る。また、内向きスキュー角によれば、スリット材にライン内側を向くロール周速成分が伝達されるため、スリット材が機構的(機械的)にライン中央に寄る(すなわちセンタリングされる)。
【0016】
従来のロールを使った通板では、帯板の進入角度などで逐次安定方向が変わるため蛇行が発生し、調整が必要となるが、本蛇行防止手段においては、積極的にロールを一方向にアンバランスさせるので、微妙な調整が不要である。
但し、本蛇行防止手段のみでは、板寸法等の条件で巻き取り張力が高いと、センタリングが不十分となることが考えられるが、その場合は、スリッタ出側の前記セパレータの角度調整でスリット材の隙間(板隙間)を狭めると効果的である。
【0017】
一方、ライン中央側に寄せられたスリット材は、ライン中央部で位置を安定させ、重なりを防止する必要があるため、板エッジをガイドするエッジガイドディスクを設ける。これを設ける位置は、ピンチロールのニップ内および/またはニップ近傍内とする。ここに、ニップ近傍とは、ロール軸直交面内でロール中心から板面への視線が垂線に対して±30°以内の角度になる板面内の範囲を指す。つまり、ニップ近傍とは、図4に示すように、スリット帯板の進行方向に対して、ロール中心を基準に±30°以内の角度となる板面内の上流側と下流側の範囲である。スリット帯板S1,S2がエッジガイドディスク14へ寄せられてエッジガイドディスク14から反力を受けても板が変形しないように、挟持用上下ロール51,52で挟持したニップ内および/またはニップ近傍内に位置し、板剛性が非常に高い状態となっている板エッジを拘束するセンターガイドを設けたところに、本蛇行防止手段の特長はある。
【0018】
つまり、本蛇行防止手段では、外側片圧下による場合について図5(a)の片圧下用ロール25、内向きスキュー角による場合について図5(b)のステアリングロール26に示すように、積極的に上ロールの左右をアンバランスさせることによってスリット材S1,S2にライン中央側へ寄せる外力Fを加え、これに対抗する反力をライン中央付近に設けたエッジガイドディスク14で受け持たせる構成とする また、図3に示すように、外力Fを発生させる内向きスキュー角は、圧下力との兼ね合いで決めればよいが、概ね10°〜30°程度にするのが好ましい。
【0019】
また本蛇行防止手段では、従来の板のライン外側エッジをガイドするサイドガイドは使用しなくともよい。例えば図2に示すように、従来のようにサイドガイドSGを用いるとニップとその次のニップとの間でスリット帯板S1,S2の幅端部に耳傷みが発生する場合(図2(a))があるのに対し、本蛇行防止手段例であるニップ内および/またはニップ近傍内に位置する板エッジのライン中央側に設けたエッジガイドディスク14によれば、スリット帯板S1,S2が挟持用上ロール51と挟持用下ロール52とで挟持されており、板が上下方向に逃げたり降伏したりすることがなく、板剛性が非常に高くなっているため、センターガイド1側の板エッジに耳傷みは発生しない(図2(b))。なお、エッジガイドディスク14は、ニップ内および/またはニップ近傍内の中でも、ニップ内に位置する板エッジを拘束することが、より高い板剛性を得る点から好ましい。
【0020】
このとき、スリット材をライン中央側へ寄せる外力を加えるロールであるセンタリングロール(図5の片圧下用ロール25の左右一対配置やステアリングロール26の左右一対配置)と、前記外力に対抗する反力を受け持たせるエッジガイドディスク14は、ライン方向で数mから十数m離れた位置でも構わない。ただし、前記センタリングロールの作用でスリット材がエッジガイドディスク14へ接触するまでの応答時間を短くするため、好ましくは前記センタリングロールからエッジガイドディスク14にかけてのライン方向距離は、5m程度以内にするとよい。
【0021】
本発明は、上述の本蛇行防止手段を帯板スリットラインに適用したスリット帯板の巻取り方法であり、その、要旨構成は以下のとおりである。
[1]
帯板搬送方向の上流側から順に、1条の全幅の帯板を長さ方向にスリットして2条以上のスリット帯板となすスリッタと、次いで前記2条以上のスリット帯板の隣り合う板エッジ同士の隙間である板隙間を調整するセパレータと、次いで前記スリット帯板を幅方向に切断するエンドシヤーと、次いで前記板エッジの幅方向位置を検出する板エッジ検出器と、次いで前記スリット帯板の各条に一対一対応して板の搬送方向を変えるデフレクタピンチロールと、次いで前記デフレクタピンチロールの各々を出たスリット帯板に一対一対応して板を巻取るテンションリールとを有する帯板スリットライン上で、
前記2条以上のスリット帯板の各々に一対一対応するデフレクタピンチロールの全てのうち少なくとも1つのデフレクタピンチロールの上流側にパスラインピンチロールを設け、該パスラインピンチロール及び前記デフレクタピンチロールの全てのうちの少なくとも何れか1つを対象とし、該対象としたピンチロールの上下ロールで挟持したニップ内および/またはニップ近傍内に位置する前記スリット帯板の前記板隙間の両端のうちの一方又は両方の板エッジをガイドするエッジガイドディスクを前記板隙間に対し挿入抽出可能に設け、且つ前記パスラインピンチロール及び前記デフレクタピンチロールの全てのうちの少なくとも何れか1つを、外側片圧下又は内向きスキュー角により前記スリット帯板を前記エッジガイドディスク側へ寄せる構成とした設備を用いて行う帯板の巻取り方法であって、
前記板エッジ検出器による板検出位置が前記エッジガイドディスクの挿入位置と重ならないよう、前記セパレータで前記板隙間を調整および/または前記エッジガイドディスクの挿入位置を調整し、
前記板隙間に対面したエッジガイドディスクを前記板隙間に挿入し、
該挿入したエッジガイドディスクに前記板隙間の両端の板エッジが当接するよう、前記セパレータで前記板隙間を調整および/または前記エッジガイドディスクの挿入位置を調整し、
該調整した後、前記エンドシヤーでスリット帯板を切断し、
該切断されたスリット帯板の先行材尾端部を、前記スリット帯板を前記エッジガイドディスク側へ寄せる構成としておいたピンチロールで前記エッジガイドディスクへ寄せて該エッジガイドディスクに前記尾端部の板幅方向片側の板エッジを当接させながら巻き取る
ことを特徴とするスリット帯板の巻取り方法。
[2]
前記[1]において、
前記エンドシヤーの下流側に、前記スリット帯板に当接して該スリット帯板の板隙間を調整するステアリングロールを設け、これを前記板隙間の調整に援用する
ことを特徴とするスリット帯板の巻取り方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、帯板スリットラインにおいて、蛇行を検出して修正するような高応答で高精度なフィードバック制御は必要とせず、簡素な装置構成で、スリット後の帯板をライン中央側で安定させることができる。また、上下ロールで挟持したニップ内および/またはニップ近傍内に位置する板エッジをガイドするため、板剛性の確保が容易に可能で、板の耳傷みが生じにくい。前記フィードバック制御では通板安定化が困難であるシヤーカット後の尾端通板時のような非定常通板時でも、本発明では容易に安定通板させることができる。また、スリット材と通常材の両方が通板可能で、その切替えも容易である。
【0023】
またセパレータやセンタリングロールで、スリット帯板をライン中央側へ寄せることにより、エンドシヤーで板を切断する前からエッジガイドへ当接させることができるため、張力がなくなった板尾端部の通板が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に用いられる帯板スリットラインの1例を示す概略斜視図である。
【図2】ニップ近傍のエッジガイドによる耳傷み防止作用の説明図である。
【図3】内向きスキュー角の定義を示す概略平面図である。
【図4】ニップ近傍の定義説明図である。
【図5】本発明に用いる機構的(機械的)蛇行防止手段の例を示す概略図である。
【図6】実施例の手順を示す説明図である。
【図7】実施例の手順を示す説明図である。
【図8】実施例の手順を示す説明図である。
【図9】実施例の手順を示す説明図である。
【図10】実施例の手順を示す説明図である。
【図11】実施例の手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明に用いられる帯板スリットラインの1例を示す概略斜視図である。この例は、帯板が冷延鋼板であり、全幅の帯板をスリットして2条のスリット帯板となす場合の例であるが、帯板が鋼板以外の例えばプラスチック板である場合や、3条以上の偶数条のスリット帯板となす場合(図示省略)も同様である。図1(a)はスリットした帯板(スリット帯板)の通板状態を示し、図1(b)はスリットしない帯板(全幅の帯板)の通板状態を示す。
【0026】
前記帯板スリットラインは、搬送方向の上流側から順に、1条の全幅の帯板Sを長さ方向にスリットして2条のスリット帯板S1,S2となす1つのスリッタ1と、次いでスリット帯板S1,S2の隣り合う板エッジ同士の隙間である板隙間を調整するセパレータ2と、次いでスリット帯板S1,S2を幅方向に切断するエンドシヤー3と、次いで前記板エッジの幅方向位置を検出する板エッジ検出器4,4と、次いでスリット帯板S1,S2の各条に一対一対応して板の搬送方向を変えるデフレクタピンチロール21,22として#1デフレクタピンチロール21及び#2デフレクタピンチロール22と、次いでデフレクタピンチロール21,22の各々を出たスリット帯板S1,S2に一対一対応して板を巻取るテンションリール31,32として#1テンションリール31及び#2テンションリール32とを有する。
【0027】
本例の帯板スリットラインは、スリット帯板S1,S2に対してのみならず、図1(b)の様に、スリットしない全幅の帯板Sに対しても用いられ、エンドシヤー3、デフレクタピンチロール21,22、テンションリール31,32は全幅の帯板Sに対しても兼用されるが、本発明はこれに限定されず、スリット帯板のみを通すスリットラインにも適用される。
尚、41は板に張力を付与するブライドルロール、42はエンドシヤー3の入側で板を挟持するシヤー前ピンチロールであり、これらは必要に応じて設けられる。
【0028】
本例では、デフレクタピンチロール21,22のうちの#1デフレクタピンチロール21の上流側(エンドシヤー3よりは下流側)にパスラインピンチロール5を設けた。そして、これらピンチロール(デフレクタピンチロール21,22及びパスラインピンチロール5)の少なくとも何れか1つであるパスラインピンチロール5及び#2デフレクタピンチロール22を対象とし、該対象としたパスラインピンチロール5及び#2デフレクタピンチロール22の各上下ロールで挟持したニップ内および/またはニップ近傍内に位置するスリット帯板S1,S2の板隙間の両端のうちの一方又は両方の板エッジをガイドするエッジガイドディスク14,15を板隙間に対し挿入抽出可能に設けた。
【0029】
更に、パスラインピンチロール5及びデフレクタピンチロール21,22の全てのうちの少なくとも何れか1つである#1デフレクタピンチロール21及び#2デフレクタピンチロール22を、外側片圧下により前記スリット帯板を前記エッジガイド側へ寄せる構成とした。
更に、好適形態として、エンドシヤー3の下流側側(パスラインピンチロール5よりは上流)に、スリット帯板S1,S2の各板に当接して板隙間を調整するステアリングロール6を設けた。ステアリングロール6はここでは上下一対の傾斜ロールであり、これが左右に配置されてセンタリングロールの役割を担い、斯く配置された左右のステアリングロール6,6が夫々板S1,S2に当接して内向きスキュー角により各板をライン中央側に寄せる事ができる。
【0030】
本発明は、上述の様に構成した帯板スリットライン上で行うスリット帯板の巻取り方法(略して本発明方法)であって、板エッジ検出器4による板検出位置がエッジガイドディスク14,15の挿入位置と重ならないよう、セパレータ2で板隙間を調整および/またはエッジガイドディスク14,15の挿入位置を調整し、板隙間に対面したエッジガイドディスク14を板隙間に挿入し、該挿入したエッジガイドディスク14に板隙間の両端の板エッジが当接するよう、セパレータ2で板隙間を調整および/またはエッジガイドディスク14の挿入位置を調整し、該調整した後、エンドシヤー3でスリット帯板S1,S2を切断し、該切断された板S1,S2の先行材尾端部を、前記スリット帯板S1,S2を前記エッジガイドディスク側へ寄せる構成としておいたピンチロール(図1の例では#1デフレクタピンチロール21及び#2デフレクタピンチロール22)でエッジガイドディスク14,15へ寄せてエッジガイドディスク14,15に前記尾端部の板幅方向片側の板エッジを当接させながら巻き取るという方法である。
【実施例】
【0031】
以下、実施例として、図1の帯板スリットライン上での本発明方法の実施手順を、その作用効果とともに述べる。
(手順1):図6参照
手順1〜2は、板S1,S2の巻取り尾端にする部位をシヤーカットする前(定常巻取りの終盤)に行われる。
【0032】
定常巻取り時には、板S1,S2に所定の張力を加えつつ、板エッジ検出器の出力に追従してEPC制御を行い、テンションリール31,32の軸シフトを行っている。エッジガイドディスク14,15、パスラインピンチロール5の上ロール、#1、#2デフレクタピンチロール21,22の上ロール、ステアリングロール6の上下ロールは、板S1,S2から離してある(開放状態)。
【0033】
手順1では、板隙間に対面するエッジガイドディスク14を板隙間に挿入するため、板隙間の開度確保を行う。この開度確保に当たっては、セパレータ2の開度拡大により板隙間を拡大させつつ板エッジ検出器4で所定の板隙間(定常巻取り時よりは広い)になった事を検出し、該検出に応じてセパレータ2の開度拡大を停止して保定した板隙間にエッジガイドディスク14を挿入する。該挿入により、パスラインピンチロール5は開放状態から圧下状態へ移行する。尚、板隙間に対面しないエッジガイドディスク15は板S2から離したままとする。
【0034】
この手順1により板隙間は拡がるが、EPCでの制御中であるので前記軸シフトの作用で巻きずれは生じない。
(手順2):図7、図8参照
エッジガイドディスク14を板隙間に挿入後、セパレータ2の開度縮小を行うと共に、板S1,S2をライン中央へ寄せるためステアリングロール6を開放状態から板挟持状態へ移行させて内向きスキュー角によるセンタリング力(図5(b)の外力Fに相当する)を作用させる。更に、#1デフレクタピンチロール21を開放状態から板挟持状態へ移行させて外側片圧下によるセンタリング力(図5(a)の外力Fに相当する)で板S1,S2の板エッジをエッジガイドディスク14まで寄せてこれに当接させる。このとき板エッジは、パスラインピンチロール5の上下ロールで挟持されている(ニップ内にある)ので、板エッジが折れ込むことなく支持される。
【0035】
また、#2デフレクタピンチロール22も開放状態から板挟持状態へ移行させ、エッジガイドディスク15を板S2の片側(ライン中央側)の板エッジに当接できる状態とすると共に、外側片圧下によるセンタリング力の作用で板S2をライン中央側に寄せてその片側(ライン中央側)の板エッジをエッジガイドディスク15に当接させる。
この状態で、巻取りを進め、テンションリール31,32の巻取りコイル径が所定のコイル径になると、EPCがオフとなってテンションリール31,32の軸シフトが停止する。図8はこの軸シフト停止の状態を示している。
(手順3):図9参照
前記軸シフト停止に応じてエンドシヤー2が作動し、板S1,S2が同時に板幅方向に切断されて先行材と後行材とに分かれる。このとき先行材尾端部の板S1,S2にはセパレータ2、ブライドルロール41、シヤー前ピンチロール42による張力が作用しなくなるが、ステアリングロール6、及びデフレクタピンチロール21,22によるセンタリング力が保持されているので、EPCによる蛇行制御がオフとなった状態でも、エッジガイドディスク14,15との間で先行材尾端部の板S1,S2を安定的に通板させる事が可能である。
(手順4):図10参照
一方、後行材先端部の板S1,S2は、先行材尾端部の巻取りが完了するまでの間、クロップ材として短尺の小板にシヤーカットされ、ベルトコンベア(図示しない)にてスクラップシュータ(図示しない)へ搬送される。このときはステアリングロール6の上ロール、パスラインピンチロール5の上ロール(付属のエッジガイドディスク14共々)、或いは更に#1デフレクタピンチロール21の上ロールは、前記小板搬送を阻害しないよう、上方に退避させる。尚、#2デフレクタピンチロール22は、そのロールを先行材尾端部の板S2が抜けた後、一旦開放状態に切換える。
(手順5):図11参照
先行材尾端部の巻取り完了後、後行材先端部の巻付け工程のため、デフレクタピンチロール21,22を板挟持状態に切換え、前記巻付け工程の完了に引続いて、デフレクタピンチロール21,22を開放状態に切換えると共に、板エッジ検出器4の出力とテンションリール31,32の軸シフトとでのEPCによる蛇行制御を再開させ、定常巻取りを行う。
【符号の説明】
【0036】
1 スリッタ
2 セパレータ
3 エンドシヤー
4 板エッジ検出器
5 パスラインピンチロール
6 ステアリングロール
14 エッジガイドディスク
15 エッジガイドディスク
21 デフレクタピンチロール(#1デフレクタピンチロール)
22 デフレクタピンチロール(#2デフレクタピンチロール)
25 片圧下用ロール
26 ステアリングロール
31 テンションリール(#1テンションリール)
32 テンションリール(#2テンションリール)
41 ブライドルロール
42 シヤー前ピンチロール
50 搬送ロール
51 挟持用上ロール
52 挟持用下ロール
S 全幅の帯板(通常材、板)
S1,S2 スリット帯板(スリット材、板)
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリット帯板(スリットされた帯板のことであり、スリット材ともいう)の巻取り方法に関し、詳しくは、帯板の蛇行を抑制して安定に通板させ、また、帯板の巻きずれを抑制して安定に巻き取るためのスリット帯板の巻取り方法に関する。
本発明は、特に、張力が低下する帯板の先端や尾端で効果を発揮する。張力が低下するような場合の例としては、鋼帯の熱間圧延ラインにおいて、仕上圧延機から巻取機までの搬送テーブルローラ上で、鋼帯の先端が巻取機(テンションリール)に到達する前や、鋼帯の尾端が仕上圧延機を通過した後などの場合や、鋼帯の冷間圧延ラインや連続処理ラインにおいて、コイルの巻取り終了直前で鋼帯をシヤー切断する場合などが挙げられる。本発明が適用される帯板としては、鋼帯等の金属帯や、シート状のプラスチックフィルムが該当する。
【背景技術】
【0002】
以下、ニップとは、搬送用のロール(ピンチロールも含む)と通板される帯板との接触部分のことである。また、スキュー角とは、帯板搬送方向から外側または内側を向くように設けたロール傾斜角度であり、外側を向かせた場合を外向きスキュー角、内側を向かせた場合(図3参照)を内向きスキュー角という。
なお、図3において、内向きスキュー角を有する一対のロールは、搬送中のスリット帯板S1、S2をライン幅方向中央側に寄せる(センタリングする)ように作用するセンタリングロール3である。また、ライン方向とは、ライン長さ方向を意味し、ライン中央(または中心)とは、ライン幅方向中央(中心)を意味する。
【0003】
比較的狭幅の帯板が要求される場合、リコイリングラインの巻取機の入側にスリッタを配置し、広幅に圧延された帯板を板幅方向に分割し、それぞれコイル状に巻き取っている。このようなスリットラインに関わる背景技術として、以下のようなものがある。
(1)セパレータディスクによるもの(特許文献1)
これは、送給される帯板Sを、サイドトリマで板幅端部を切り揃え、スリッタで板幅中央部を切断して2条のスリット材S1,S2に分割し、セパレータディスクでスリット隙間を確保しつつ、スリット材S1,S2を、デフレクタロールを介して1台の巻取機で巻き取る装置である。
【0004】
(2)ガイド手段によるもの
熱延ラインでは、仕上圧延機から巻取機までの搬送テーブルローラ上で、鋼帯の尾端が仕上圧延機を通過した後、張力が無くなることで鋼帯の尾端が波打ったり、板幅方向に蛇行したりといった通板不安定現象がみられるので、これを抑制するために、サイドガイド等のガイド手段が使用されている。同様に、一般の通板ラインでも、ライン中心位置に帯板の尾端を保持するために、サイドガイド等のガイド手段で強制的に拘束する方法が採られる。
【0005】
(3)EPC(エッジポジションコントロール;Edge Position Control)装置によるもの(特許文献1)
これは、2条のスリット材S1,S2を2台の巻取機で個別に巻き取ることとし、巻取り直前のスリット材S1,S2の板幅端部(エッジ部)の位置をエッジセンサによりそれぞれ検出し、エッジ部の移動量によって各々の巻取機の巻取り軸をそれぞれ板幅方向に移動してスリット隙間を調整することにより、ラインの高速化を可能とするものである。
【0006】
(4)傾斜ロールによるもの(特許文献1)
これは、巻取機を1台とし、スリット隙間検出器の検出値が所望値となるように、2条のスリット材S1,S2にそれぞれ当接させた左右の傾斜ロールのスキュー角を左右同一角度としながら変更することにより、スリット隙間を調整・保持し、エッジが揃った良好な巻き姿を得ようとするものである。
【0007】
(5)片圧下調整可能なピンチロールによるもの(特許文献2)
これは、スリッタとテンションリール(巻取機)の間に、複数条のスリット材の個々について片圧下調整可能なピンチロールを設置し、その片圧下調整によりスリット材をライン中心から離す方向に矯正するものである。これによれば、各スリット材のライン中央側を片圧下(部分圧下)するとスリット隙間が広がる方向に回転モーメントが作用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平3−5017号公報
【特許文献2】特開平10−230319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
背景技術の(1)では、スリット材S1,S2の板性状により、スリット隙間の変動が発生すると、セパレータディスクによる調整が不完全となり、スリット隙間が狭まってスリット隙間の両端をなす板端部がセパレータディスクに押圧されて変形したり、スリット隙間が広がって巻き重ねの不具合、エッジの不揃い等を生じたりするため、ライン速度を高速にできず、低速運転せざるをえない。また、セパレータディスクでは、スリット材の上下がロール等で支えられた状態にないため、スリット隙間の両端をなす板端部がセパレータディスクに当たると、スリット材が上下方向に曲げられて前記板端部を損傷してしまう。
【0010】
背景技術の(2)では、サイドガイド等のガイド手段との接触で板幅端部に耳傷みが生じる。これは図2(a)に示すようにサイドガイドSGが搬送ロール10のロールピッチ間(ニップ間)に挿入されるため、帯板Sの支えがない接触幅部分で板幅端部が傷みやすくなることによる。したがってサイドガイドで帯板を拘束する場合は、板幅に応じた正確な位置制御が必要である。特に板厚が薄い場合は、正確な押付け圧制御が必要となる。
【0011】
一方、背景技術の(3)〜(5)のような、帯板のライン幅方向位置制御により巻きずれを抑制する方法では、次のような難点がある。
・上流から下流に至る間での時間差に起因して、制御目標と実際との幅方向の位置ズレが生じる。
・制御が必要な分だけシステムが複雑になる。
・定常時の巻取りは安定したとしても、巻取り後はコイル最外周部になる、シヤー切断後のスリット材尾端においては、スリット材の張力が無くなって挙動が不安定になるため、既存のEPC装置や傾斜ロールが使えない場合がある。
・切断後の尾端にかかるような低張力の場合、上流の板エッジを検出してEPCを行っても、テンションリール軸の板幅方向シフトにより、スリット材の尾端自体も一緒に同じ板幅方向へシフトしてしまうことがあるので、板エッジを次々追いかける形になってリールの幅方向移動限界まで発散して巻取りが不安定になる。
・前記片圧下によるスリット隙間制御も、ピンチロールの持つ不安定要素が作用するので、容易な制御とはなり難い。
【0012】
すなわち、背景技術では、帯板のエッジを傷めずには、あるいは複雑な制御システムを用いずには、スリット後の帯板を搬送ライン中央側で安定させることができず、しかも、切断後の尾端通板時のような非定常通板時には安定通板が困難であるという未解決の課題があった。
また、特許文献1の「スリット隙間調整装置」は、「セパレータ」と呼ばれることもあるが、スリットした板同士が重なり合うことを避けるため、セパレータの開度を広げるのが一般的である。
【0013】
従来では上記のようにセパレータの開度を広げても、EPCを行えば板エッジを揃えて巻き取ることができると考えられていたが、本発明者らは、EPCが使えない尾端部では、ライン中央から離れたところを巻き取り中心にすると、巻きずれが大きくなる傾向があるというもう1つの課題があることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前記2つの課題を一挙に解決するために、外からの制御によらない機構的(機械的)な蛇行防止手段を案出し該手段をスリッタからテンションリール(巻取機)までの帯板のスリットラインに適用したものである。前記機構的(機械的)蛇行防止手段(以下、本蛇行防止手段という)はその調整が容易な構造とすること、また、スリット材と通常材(スリットされていない帯板)の両方に使用でき、その使用形態の切替が自動的に、あるいは容易に実行可能なものとすることを目指した。
【0015】
本蛇行防止手段は以下の通りである。
スリット材(スリット帯板、略して板)の蛇行は制御(フィードバック制御)せず、スリット材を機構的(機械的)にライン中央側に寄せるようにする。スリット材を各々ライン中央側に寄せる機構的(機械的)方法は、デフレクタピンチロールやパスラインピンチロールにおいて、上ロールを外側段付きロールとすること(すなわち外側片圧下)による方法、あるいは、上ロールを帯板搬送方向から内向きに傾斜させること(すなわち内向きスキュー角)による方法とする。外側片圧下によれば、上ロールと帯板との摩擦力は、外側片圧下部分の摩擦力が、内側非圧下部分の摩擦力よりも大きくなり、そのためスリット材をライン中央側に回転させようとするモーメントが生じて、スリット材が機構的(機械的)にライン中央側に寄る。また、内向きスキュー角によれば、スリット材にライン内側を向くロール周速成分が伝達されるため、スリット材が機構的(機械的)にライン中央に寄る(すなわちセンタリングされる)。
【0016】
従来のロールを使った通板では、帯板の進入角度などで逐次安定方向が変わるため蛇行が発生し、調整が必要となるが、本蛇行防止手段においては、積極的にロールを一方向にアンバランスさせるので、微妙な調整が不要である。
但し、本蛇行防止手段のみでは、板寸法等の条件で巻き取り張力が高いと、センタリングが不十分となることが考えられるが、その場合は、スリッタ出側の前記セパレータの角度調整でスリット材の隙間(板隙間)を狭めると効果的である。
【0017】
一方、ライン中央側に寄せられたスリット材は、ライン中央部で位置を安定させ、重なりを防止する必要があるため、板エッジをガイドするエッジガイドディスクを設ける。これを設ける位置は、ピンチロールのニップ内および/またはニップ近傍内とする。ここに、ニップ近傍とは、ロール軸直交面内でロール中心から板面への視線が垂線に対して±30°以内の角度になる板面内の範囲を指す。つまり、ニップ近傍とは、図4に示すように、スリット帯板の進行方向に対して、ロール中心を基準に±30°以内の角度となる板面内の上流側と下流側の範囲である。スリット帯板S1,S2がエッジガイドディスク14へ寄せられてエッジガイドディスク14から反力を受けても板が変形しないように、挟持用上下ロール51,52で挟持したニップ内および/またはニップ近傍内に位置し、板剛性が非常に高い状態となっている板エッジを拘束するセンターガイドを設けたところに、本蛇行防止手段の特長はある。
【0018】
つまり、本蛇行防止手段では、外側片圧下による場合について図5(a)の片圧下用ロール25、内向きスキュー角による場合について図5(b)のステアリングロール26に示すように、積極的に上ロールの左右をアンバランスさせることによってスリット材S1,S2にライン中央側へ寄せる外力Fを加え、これに対抗する反力をライン中央付近に設けたエッジガイドディスク14で受け持たせる構成とする また、図3に示すように、外力Fを発生させる内向きスキュー角は、圧下力との兼ね合いで決めればよいが、概ね10°〜30°程度にするのが好ましい。
【0019】
また本蛇行防止手段では、従来の板のライン外側エッジをガイドするサイドガイドは使用しなくともよい。例えば図2に示すように、従来のようにサイドガイドSGを用いるとニップとその次のニップとの間でスリット帯板S1,S2の幅端部に耳傷みが発生する場合(図2(a))があるのに対し、本蛇行防止手段例であるニップ内および/またはニップ近傍内に位置する板エッジのライン中央側に設けたエッジガイドディスク14によれば、スリット帯板S1,S2が挟持用上ロール51と挟持用下ロール52とで挟持されており、板が上下方向に逃げたり降伏したりすることがなく、板剛性が非常に高くなっているため、センターガイド1側の板エッジに耳傷みは発生しない(図2(b))。なお、エッジガイドディスク14は、ニップ内および/またはニップ近傍内の中でも、ニップ内に位置する板エッジを拘束することが、より高い板剛性を得る点から好ましい。
【0020】
このとき、スリット材をライン中央側へ寄せる外力を加えるロールであるセンタリングロール(図5の片圧下用ロール25の左右一対配置やステアリングロール26の左右一対配置)と、前記外力に対抗する反力を受け持たせるエッジガイドディスク14は、ライン方向で数mから十数m離れた位置でも構わない。ただし、前記センタリングロールの作用でスリット材がエッジガイドディスク14へ接触するまでの応答時間を短くするため、好ましくは前記センタリングロールからエッジガイドディスク14にかけてのライン方向距離は、5m程度以内にするとよい。
【0021】
本発明は、上述の本蛇行防止手段を帯板スリットラインに適用したスリット帯板の巻取り方法であり、その、要旨構成は以下のとおりである。
[1]
帯板搬送方向の上流側から順に、1条の全幅の帯板を長さ方向にスリットして2条以上のスリット帯板となすスリッタと、次いで前記2条以上のスリット帯板の隣り合う板エッジ同士の隙間である板隙間を調整するセパレータと、次いで前記スリット帯板を幅方向に切断するエンドシヤーと、次いで前記板エッジの幅方向位置を検出する板エッジ検出器と、次いで前記スリット帯板の各条に一対一対応して板の搬送方向を変えるデフレクタピンチロールと、次いで前記デフレクタピンチロールの各々を出たスリット帯板に一対一対応して板を巻取るテンションリールとを有する帯板スリットライン上で、
前記2条以上のスリット帯板の各々に一対一対応するデフレクタピンチロールの全てのうち少なくとも1つのデフレクタピンチロールの上流側にパスラインピンチロールを設け、該パスラインピンチロール及び前記デフレクタピンチロールの全てのうちの少なくとも何れか1つを対象とし、該対象としたピンチロールの上下ロールで挟持したニップ内および/またはニップ近傍内に位置する前記スリット帯板の前記板隙間の両端のうちの一方又は両方の板エッジをガイドするエッジガイドディスクを前記板隙間に対し挿入抽出可能に設け、且つ前記パスラインピンチロール及び前記デフレクタピンチロールの全てのうちの少なくとも何れか1つを、外側片圧下又は内向きスキュー角により前記スリット帯板を前記エッジガイドディスク側へ寄せる構成とした設備を用いて行う帯板の巻取り方法であって、
前記板エッジ検出器による板検出位置が前記エッジガイドディスクの挿入位置と重ならないよう、前記セパレータで前記板隙間を調整および/または前記エッジガイドディスクの挿入位置を調整し、
前記板隙間に対面したエッジガイドディスクを前記板隙間に挿入し、
該挿入したエッジガイドディスクに前記板隙間の両端の板エッジが当接するよう、前記セパレータで前記板隙間を調整および/または前記エッジガイドディスクの挿入位置を調整し、
該調整した後、前記エンドシヤーでスリット帯板を切断し、
該切断されたスリット帯板の先行材尾端部を、前記スリット帯板を前記エッジガイドディスク側へ寄せる構成としておいたピンチロールで前記エッジガイドディスクへ寄せて該エッジガイドディスクに前記尾端部の板幅方向片側の板エッジを当接させながら巻き取る
ことを特徴とするスリット帯板の巻取り方法。
[2]
前記[1]において、
前記エンドシヤーの下流側に、前記スリット帯板に当接して該スリット帯板の板隙間を調整するステアリングロールを設け、これを前記板隙間の調整に援用する
ことを特徴とするスリット帯板の巻取り方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、帯板スリットラインにおいて、蛇行を検出して修正するような高応答で高精度なフィードバック制御は必要とせず、簡素な装置構成で、スリット後の帯板をライン中央側で安定させることができる。また、上下ロールで挟持したニップ内および/またはニップ近傍内に位置する板エッジをガイドするため、板剛性の確保が容易に可能で、板の耳傷みが生じにくい。前記フィードバック制御では通板安定化が困難であるシヤーカット後の尾端通板時のような非定常通板時でも、本発明では容易に安定通板させることができる。また、スリット材と通常材の両方が通板可能で、その切替えも容易である。
【0023】
またセパレータやセンタリングロールで、スリット帯板をライン中央側へ寄せることにより、エンドシヤーで板を切断する前からエッジガイドへ当接させることができるため、張力がなくなった板尾端部の通板が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に用いられる帯板スリットラインの1例を示す概略斜視図である。
【図2】ニップ近傍のエッジガイドによる耳傷み防止作用の説明図である。
【図3】内向きスキュー角の定義を示す概略平面図である。
【図4】ニップ近傍の定義説明図である。
【図5】本発明に用いる機構的(機械的)蛇行防止手段の例を示す概略図である。
【図6】実施例の手順を示す説明図である。
【図7】実施例の手順を示す説明図である。
【図8】実施例の手順を示す説明図である。
【図9】実施例の手順を示す説明図である。
【図10】実施例の手順を示す説明図である。
【図11】実施例の手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明に用いられる帯板スリットラインの1例を示す概略斜視図である。この例は、帯板が冷延鋼板であり、全幅の帯板をスリットして2条のスリット帯板となす場合の例であるが、帯板が鋼板以外の例えばプラスチック板である場合や、3条以上の偶数条のスリット帯板となす場合(図示省略)も同様である。図1(a)はスリットした帯板(スリット帯板)の通板状態を示し、図1(b)はスリットしない帯板(全幅の帯板)の通板状態を示す。
【0026】
前記帯板スリットラインは、搬送方向の上流側から順に、1条の全幅の帯板Sを長さ方向にスリットして2条のスリット帯板S1,S2となす1つのスリッタ1と、次いでスリット帯板S1,S2の隣り合う板エッジ同士の隙間である板隙間を調整するセパレータ2と、次いでスリット帯板S1,S2を幅方向に切断するエンドシヤー3と、次いで前記板エッジの幅方向位置を検出する板エッジ検出器4,4と、次いでスリット帯板S1,S2の各条に一対一対応して板の搬送方向を変えるデフレクタピンチロール21,22として#1デフレクタピンチロール21及び#2デフレクタピンチロール22と、次いでデフレクタピンチロール21,22の各々を出たスリット帯板S1,S2に一対一対応して板を巻取るテンションリール31,32として#1テンションリール31及び#2テンションリール32とを有する。
【0027】
本例の帯板スリットラインは、スリット帯板S1,S2に対してのみならず、図1(b)の様に、スリットしない全幅の帯板Sに対しても用いられ、エンドシヤー3、デフレクタピンチロール21,22、テンションリール31,32は全幅の帯板Sに対しても兼用されるが、本発明はこれに限定されず、スリット帯板のみを通すスリットラインにも適用される。
尚、41は板に張力を付与するブライドルロール、42はエンドシヤー3の入側で板を挟持するシヤー前ピンチロールであり、これらは必要に応じて設けられる。
【0028】
本例では、デフレクタピンチロール21,22のうちの#1デフレクタピンチロール21の上流側(エンドシヤー3よりは下流側)にパスラインピンチロール5を設けた。そして、これらピンチロール(デフレクタピンチロール21,22及びパスラインピンチロール5)の少なくとも何れか1つであるパスラインピンチロール5及び#2デフレクタピンチロール22を対象とし、該対象としたパスラインピンチロール5及び#2デフレクタピンチロール22の各上下ロールで挟持したニップ内および/またはニップ近傍内に位置するスリット帯板S1,S2の板隙間の両端のうちの一方又は両方の板エッジをガイドするエッジガイドディスク14,15を板隙間に対し挿入抽出可能に設けた。
【0029】
更に、パスラインピンチロール5及びデフレクタピンチロール21,22の全てのうちの少なくとも何れか1つである#1デフレクタピンチロール21及び#2デフレクタピンチロール22を、外側片圧下により前記スリット帯板を前記エッジガイド側へ寄せる構成とした。
更に、好適形態として、エンドシヤー3の下流側側(パスラインピンチロール5よりは上流)に、スリット帯板S1,S2の各板に当接して板隙間を調整するステアリングロール6を設けた。ステアリングロール6はここでは上下一対の傾斜ロールであり、これが左右に配置されてセンタリングロールの役割を担い、斯く配置された左右のステアリングロール6,6が夫々板S1,S2に当接して内向きスキュー角により各板をライン中央側に寄せる事ができる。
【0030】
本発明は、上述の様に構成した帯板スリットライン上で行うスリット帯板の巻取り方法(略して本発明方法)であって、板エッジ検出器4による板検出位置がエッジガイドディスク14,15の挿入位置と重ならないよう、セパレータ2で板隙間を調整および/またはエッジガイドディスク14,15の挿入位置を調整し、板隙間に対面したエッジガイドディスク14を板隙間に挿入し、該挿入したエッジガイドディスク14に板隙間の両端の板エッジが当接するよう、セパレータ2で板隙間を調整および/またはエッジガイドディスク14の挿入位置を調整し、該調整した後、エンドシヤー3でスリット帯板S1,S2を切断し、該切断された板S1,S2の先行材尾端部を、前記スリット帯板S1,S2を前記エッジガイドディスク側へ寄せる構成としておいたピンチロール(図1の例では#1デフレクタピンチロール21及び#2デフレクタピンチロール22)でエッジガイドディスク14,15へ寄せてエッジガイドディスク14,15に前記尾端部の板幅方向片側の板エッジを当接させながら巻き取るという方法である。
【実施例】
【0031】
以下、実施例として、図1の帯板スリットライン上での本発明方法の実施手順を、その作用効果とともに述べる。
(手順1):図6参照
手順1〜2は、板S1,S2の巻取り尾端にする部位をシヤーカットする前(定常巻取りの終盤)に行われる。
【0032】
定常巻取り時には、板S1,S2に所定の張力を加えつつ、板エッジ検出器の出力に追従してEPC制御を行い、テンションリール31,32の軸シフトを行っている。エッジガイドディスク14,15、パスラインピンチロール5の上ロール、#1、#2デフレクタピンチロール21,22の上ロール、ステアリングロール6の上下ロールは、板S1,S2から離してある(開放状態)。
【0033】
手順1では、板隙間に対面するエッジガイドディスク14を板隙間に挿入するため、板隙間の開度確保を行う。この開度確保に当たっては、セパレータ2の開度拡大により板隙間を拡大させつつ板エッジ検出器4で所定の板隙間(定常巻取り時よりは広い)になった事を検出し、該検出に応じてセパレータ2の開度拡大を停止して保定した板隙間にエッジガイドディスク14を挿入する。該挿入により、パスラインピンチロール5は開放状態から圧下状態へ移行する。尚、板隙間に対面しないエッジガイドディスク15は板S2から離したままとする。
【0034】
この手順1により板隙間は拡がるが、EPCでの制御中であるので前記軸シフトの作用で巻きずれは生じない。
(手順2):図7、図8参照
エッジガイドディスク14を板隙間に挿入後、セパレータ2の開度縮小を行うと共に、板S1,S2をライン中央へ寄せるためステアリングロール6を開放状態から板挟持状態へ移行させて内向きスキュー角によるセンタリング力(図5(b)の外力Fに相当する)を作用させる。更に、#1デフレクタピンチロール21を開放状態から板挟持状態へ移行させて外側片圧下によるセンタリング力(図5(a)の外力Fに相当する)で板S1,S2の板エッジをエッジガイドディスク14まで寄せてこれに当接させる。このとき板エッジは、パスラインピンチロール5の上下ロールで挟持されている(ニップ内にある)ので、板エッジが折れ込むことなく支持される。
【0035】
また、#2デフレクタピンチロール22も開放状態から板挟持状態へ移行させ、エッジガイドディスク15を板S2の片側(ライン中央側)の板エッジに当接できる状態とすると共に、外側片圧下によるセンタリング力の作用で板S2をライン中央側に寄せてその片側(ライン中央側)の板エッジをエッジガイドディスク15に当接させる。
この状態で、巻取りを進め、テンションリール31,32の巻取りコイル径が所定のコイル径になると、EPCがオフとなってテンションリール31,32の軸シフトが停止する。図8はこの軸シフト停止の状態を示している。
(手順3):図9参照
前記軸シフト停止に応じてエンドシヤー2が作動し、板S1,S2が同時に板幅方向に切断されて先行材と後行材とに分かれる。このとき先行材尾端部の板S1,S2にはセパレータ2、ブライドルロール41、シヤー前ピンチロール42による張力が作用しなくなるが、ステアリングロール6、及びデフレクタピンチロール21,22によるセンタリング力が保持されているので、EPCによる蛇行制御がオフとなった状態でも、エッジガイドディスク14,15との間で先行材尾端部の板S1,S2を安定的に通板させる事が可能である。
(手順4):図10参照
一方、後行材先端部の板S1,S2は、先行材尾端部の巻取りが完了するまでの間、クロップ材として短尺の小板にシヤーカットされ、ベルトコンベア(図示しない)にてスクラップシュータ(図示しない)へ搬送される。このときはステアリングロール6の上ロール、パスラインピンチロール5の上ロール(付属のエッジガイドディスク14共々)、或いは更に#1デフレクタピンチロール21の上ロールは、前記小板搬送を阻害しないよう、上方に退避させる。尚、#2デフレクタピンチロール22は、そのロールを先行材尾端部の板S2が抜けた後、一旦開放状態に切換える。
(手順5):図11参照
先行材尾端部の巻取り完了後、後行材先端部の巻付け工程のため、デフレクタピンチロール21,22を板挟持状態に切換え、前記巻付け工程の完了に引続いて、デフレクタピンチロール21,22を開放状態に切換えると共に、板エッジ検出器4の出力とテンションリール31,32の軸シフトとでのEPCによる蛇行制御を再開させ、定常巻取りを行う。
【符号の説明】
【0036】
1 スリッタ
2 セパレータ
3 エンドシヤー
4 板エッジ検出器
5 パスラインピンチロール
6 ステアリングロール
14 エッジガイドディスク
15 エッジガイドディスク
21 デフレクタピンチロール(#1デフレクタピンチロール)
22 デフレクタピンチロール(#2デフレクタピンチロール)
25 片圧下用ロール
26 ステアリングロール
31 テンションリール(#1テンションリール)
32 テンションリール(#2テンションリール)
41 ブライドルロール
42 シヤー前ピンチロール
50 搬送ロール
51 挟持用上ロール
52 挟持用下ロール
S 全幅の帯板(通常材、板)
S1,S2 スリット帯板(スリット材、板)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯板搬送方向の上流側から順に、1条の全幅の帯板を長さ方向にスリットして2条以上のスリット帯板となすスリッタと、次いで前記2条以上のスリット帯板の隣り合う板エッジ同士の隙間である板隙間を調整するセパレータと、次いで前記スリット帯板を幅方向に切断するエンドシヤーと、次いで前記板エッジの幅方向位置を検出する板エッジ検出器と、次いで前記スリット帯板の各条に一対一対応して板の搬送方向を変えるデフレクタピンチロールと、次いで前記デフレクタピンチロールの各々を出たスリット帯板に一対一対応して板を巻取るテンションリールとを有する帯板スリットライン上で、
前記2条以上のスリット帯板の各々に一対一対応するデフレクタピンチロールの全てのうち少なくとも1つのデフレクタピンチロールの上流側にパスラインピンチロールを設け、該パスラインピンチロール及び前記デフレクタピンチロールの全てのうちの少なくとも何れか1つを対象とし、該対象としたピンチロールの上下ロールで挟持したニップ内および/またはニップ近傍内に位置する前記スリット帯板の前記板隙間の両端のうちの一方又は両方の板エッジをガイドするエッジガイドディスクを前記板隙間に対し挿入抽出可能に設け、且つ前記パスラインピンチロール及び前記デフレクタピンチロールの全てのうちの少なくとも何れか1つを、外側片圧下又は内向きスキュー角により前記スリット帯板を前記エッジガイドディスク側へ寄せる構成とした設備を用いて行う帯板の巻取り方法であって、
前記板エッジ検出器による板検出位置が前記エッジガイドディスクの挿入位置と重ならないよう、前記セパレータで前記板隙間を調整および/または前記エッジガイドディスクの挿入位置を調整し、
前記板隙間に対面したエッジガイドディスクを前記板隙間に挿入し、
該挿入したエッジガイドディスクに前記板隙間の両端の板エッジが当接するよう、前記セパレータで前記板隙間を調整および/または前記エッジガイドディスクの挿入位置を調整し、
該調整した後、前記エンドシヤーでスリット帯板を切断し、
該切断されたスリット帯板の先行材尾端部を、前記スリット帯板を前記エッジガイドディスク側へ寄せる構成としておいたピンチロールで前記エッジガイドディスクへ寄せて該エッジガイドディスクに前記尾端部の板幅方向片側の板エッジを当接させながら巻き取る
ことを特徴とするスリット帯板の巻取り方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記エンドシヤーの下流側に、前記スリット帯板に当接して該スリット帯板の板隙間を調整するステアリングロールを設け、これを前記板隙間の調整に援用する
ことを特徴とするスリット帯板の巻取り方法。
【請求項1】
帯板搬送方向の上流側から順に、1条の全幅の帯板を長さ方向にスリットして2条以上のスリット帯板となすスリッタと、次いで前記2条以上のスリット帯板の隣り合う板エッジ同士の隙間である板隙間を調整するセパレータと、次いで前記スリット帯板を幅方向に切断するエンドシヤーと、次いで前記板エッジの幅方向位置を検出する板エッジ検出器と、次いで前記スリット帯板の各条に一対一対応して板の搬送方向を変えるデフレクタピンチロールと、次いで前記デフレクタピンチロールの各々を出たスリット帯板に一対一対応して板を巻取るテンションリールとを有する帯板スリットライン上で、
前記2条以上のスリット帯板の各々に一対一対応するデフレクタピンチロールの全てのうち少なくとも1つのデフレクタピンチロールの上流側にパスラインピンチロールを設け、該パスラインピンチロール及び前記デフレクタピンチロールの全てのうちの少なくとも何れか1つを対象とし、該対象としたピンチロールの上下ロールで挟持したニップ内および/またはニップ近傍内に位置する前記スリット帯板の前記板隙間の両端のうちの一方又は両方の板エッジをガイドするエッジガイドディスクを前記板隙間に対し挿入抽出可能に設け、且つ前記パスラインピンチロール及び前記デフレクタピンチロールの全てのうちの少なくとも何れか1つを、外側片圧下又は内向きスキュー角により前記スリット帯板を前記エッジガイドディスク側へ寄せる構成とした設備を用いて行う帯板の巻取り方法であって、
前記板エッジ検出器による板検出位置が前記エッジガイドディスクの挿入位置と重ならないよう、前記セパレータで前記板隙間を調整および/または前記エッジガイドディスクの挿入位置を調整し、
前記板隙間に対面したエッジガイドディスクを前記板隙間に挿入し、
該挿入したエッジガイドディスクに前記板隙間の両端の板エッジが当接するよう、前記セパレータで前記板隙間を調整および/または前記エッジガイドディスクの挿入位置を調整し、
該調整した後、前記エンドシヤーでスリット帯板を切断し、
該切断されたスリット帯板の先行材尾端部を、前記スリット帯板を前記エッジガイドディスク側へ寄せる構成としておいたピンチロールで前記エッジガイドディスクへ寄せて該エッジガイドディスクに前記尾端部の板幅方向片側の板エッジを当接させながら巻き取る
ことを特徴とするスリット帯板の巻取り方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記エンドシヤーの下流側に、前記スリット帯板に当接して該スリット帯板の板隙間を調整するステアリングロールを設け、これを前記板隙間の調整に援用する
ことを特徴とするスリット帯板の巻取り方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−111609(P2013−111609A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259923(P2011−259923)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】
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