説明

スルホペルオキシカルボン酸、それらの製造方法並びに漂白剤及び殺菌剤としての使用方法

本発明は、新規なスルホペルオキシカルボン酸化合物、該化合物の製造と使用の方法に関連する。本発明のスルホペルオキシカルボン酸化合物は貯蔵安定性を有し、水溶性で、低臭〜無臭である。さらに、本発明の化合物は非石油系再生油から抽出され得る。本発明の化合物は殺菌剤、及び漂白剤として使用され得る。本発明の化合物はまた、カップリング剤としての使用にも適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、新規なスルホペルオキシカルボン酸化合物、組成物、並びにこれらの化合物の製造及び使用の方法に関係する。
【背景技術】
【0002】
ペルオキシカルボン酸は、抗菌剤及び漂白剤としての利用が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のペルオキシカルボン酸は、貯蔵安定性が限定的であり、かつ水溶性であるという固有の不利点を備えている。さらに、大半のペルオキシカルボン酸は不快な臭いを有する。それゆえ、殺菌作用及び漂白作用を併せ持ちながら、貯蔵安定性があり、かつ低臭又は無臭の水溶性ペルオキシカルボン酸化合物及び組成物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
幾つかの態様において、本発明は新規なスルホペルオキシカルボン酸、及びその製造方法に関する。本発明の化合物は貯蔵安定性を有し、低臭又は無臭であり、かつ水溶性である。さらに、本発明の化合物は非石油系再生油から抽出され得る。
【0005】
一部の態様において、本発明は、本発明の化合物を漂白剤及び/又は抗菌剤として使用する方法を提供する。一部の態様において、本発明は本発明化合物をカップリング剤として使用する方法を提供する。一部の態様において、本発明は、本発明の化合物をトンネル型洗浄機及び横入れ式洗浄機のための低発泡漂白ヒドロトープ剤として使用する方法を提供する。
【0006】
一部の実施形態において、本発明の化合物及び組成物は、例えば約40℃での低温漂白剤としての使用に適している。一部の実施形態において、本発明の化合物は、アルカリ洗剤と併用し、pHを最適化された過酸素漂白剤としての使用に適している。一部の実施形態において、本発明は、本発明の化合物及び組成物を、ウール及び綿などの織物に対する色保護、織物耐性漂白剤として使用する方法を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ペルオキシオクタン酸を異なる試験溶液と接触させている間の安定特性を示すグラフ図である。
【図2】高温での時間に亘る本発明の例示的な組成物の安定性を示すグラフ図である。
【図3】ペルカルボン酸を経時的に安定させる本発明の選択された組成物の性能を示すグラフ図である。
【図4】市販の漂白剤と比較したときの本発明の組成物の漂白性能を示すグラフ図である。
【図5】本発明の例示的な組成物と併用したときのペルオキシオクタン酸の安定性を示すグラフ図である。
【図6】本発明の選択された組成物のカップリング能力を示すグラフ図である。
【図7】水溶液における経時的な選択されたスルホン化過酸の安定性を示すグラフ図である。
【図8】ペルオキシ酢酸と比較したときの選択されたスルホン化過酸の漂白能を示すグラフ図である。
【図9】周囲温度での黄色ブドウ球菌に対する選択されたスルホン化過酸の効果を図式的に示す。
【図10】周囲温度での大腸菌に対する選択されたスルホン化過酸の効果を図式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、化学式Iのスルホペルオキシカルボン酸、並びにそれらの製造方法及び使用方法に関係する。一部の態様では、本発明のスルホペルオキシカルボン酸は、カルボン酸鎖の末端位置でスルホン化されていない。従来のペルオキシカルボン酸とは異なり、本発明のスルホペルオキシカルボン酸は低臭であり、水溶性であり、かつ貯蔵安定性を有する。本発明の化合物は、純粋な固形粉末として、又はキレート剤、緩衝剤、又は他の洗剤などの追加機能性含有物との混合物として使用される。これらは液体製剤に組み入れることも可能である。本発明の化合物及び組成物には、限定されるものではないが、抗菌剤、漂白剤、及びカップリング剤を含む多様な用途がある。
【0009】
本発明をより容易に理解できるようにするため、最初に特定の用語を定義する。
【0010】
本明細書で用いられている「重量パーセント」、「重量‐%」、「重量百分率」、「重量%」という用語、及びその変化は、物質の重量を組成物の総重量で除算して、100で乗算した物質の濃度を意味する。本明細書で用いられる「パーセント」、「%」、及びそれに類する表現は、「重量パーセント」、「重量%」などの類義語と理解されるものである。
【0011】
本明細書で用いられている「約」という用語は、例えば、現実世界において濃縮物又は使用溶液を製造するための典型的な計測及び液体取扱手順;これらの手順中の不測の誤差;製造、原料、又は組成物を形成するか、若しくは本方法を実行するために使用される含有物の純度の差異などを通じて、起こり得る数量の変動を意味する。「約」という用語はまた、個々の初期混合に起因する組成の均衡条件の違いによる数量の差異も包含する。「約」という用語に修飾されているか否かを問わず、本特許請求の範囲は、その量の等量を含んでいる。
【0012】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられている単数形(「a」、「an」及び「the」)は、内容が明確に指示されていない限り、複数の指示対象を含んでいることに注意されたい。したがって、例えば、「化合物」を含む組成への言及には、2つ又はそれ以上の化合物を有する組成が含まれる。「又は」という用語は、その内容が明確に指示されていない限り、一般にその意味に「及び/又は」を包含して用いられる。
【0013】
本明細書で用いられる「嫌な臭い」、「不快な臭い」、「悪臭」という語句は、鼻を刺すような刺激性の臭い、又はえぐ味のある臭い、又は多くの人ができれば退避したいと感じる大気環境を意味する。快不快度が臭いの快・不快の程度に対する尺度となる。「嫌な臭い」、「不快な臭い」、「悪臭」の快不快度評価は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、又はそれらの混合物の5重量%溶液と同等かそれを越える場合をもって不快とする。
【0014】
本明細書で用いられる「微生物」という用語は、細胞構造がないか又は単細胞(群体を含む)の有機体を意味する。微生物はすべての原核生物を含む。微生物は、バクテリア(ラン藻類を含む)、胞子、地衣類、菌類、原生動物、ビリノ、ウイロイド、ウィルス、ファージ、及び一部の藻類を含む。本明細書で用いられる「病原菌」という用語は微生物と同義である。
【0015】
本明細書で用いられる「食品」という語句は、抗菌剤又は組成物での処理を要求される可能性があり、かつ後調理の有無にかかわらず食用になる、あらゆる食品材料を含む。食品は、食肉(牛肉や豚肉など)、海産物、鳥肉、農産物(果物や野菜など)、卵、生卵、卵製品、インスタント食品、小麦、種子、根菜類、塊茎、葉、茎、穀類、花卉、芽、調味料、又はこれらの組み合わせを意味する。「農産物」という用語は、主に未調理のまま販売され、しばしば包装されておらず、時に生食が可能な果物、野菜、植物又は植物由来の材料を意味する。
【0016】
本明細書で用いられる「植物」又は「植物製品」という語句は、あらゆる植物材料又は植物由来の材料を含む。植物製品は、種子、堅果、堅果肉、切り花、温室栽培又は温室貯蔵の植物若しくは穀物、ハウス作物などを含むが、これらに限定されるものではない。植物製品は多くの動物飼料を含む。
【0017】
本明細書で用いられる「食肉製品」という語句は、あらゆる形態の動物の肉を意味し、動物を形成する骨格、筋肉、脂肪、組織、皮膚、骨、体液などを含む。動物の肉は、哺乳類、鳥類、魚類、爬虫類、巻き貝、二枚貝、甲殻類、又はロブスター、カニなどの他の食用種、又は海産物の形態の肉を含むが、これらに限定されるものではない。動物の肉の形態は、例えば、動物の肉全体又は部分、単独又は他の材料との組み合わせを含む。主たる形態は、例えば、干し肉、切断成形製品、ミンスミート製品、みじん切り製品、挽肉などの加工食肉、及び挽肉を含む製品、丸ごと製品、またその類似品を含む。
【0018】
本明細書で用いられる「鳥肉」という用語は、肉や卵を採るために飼われ、捕獲され、養殖されるあらゆる形態の鳥類を意味し、ニワトリ、七面鳥、ダチョウ、競技鶏、ヒナドリ、ホロホロチョウ、キジ、ウズラ、アヒル、ガチョウ、エミューなど又はこれら鳥類の卵を含む。鳥肉は、屠体、切り分け後、加工後、調理後、生食用肉を含み、あらゆる形態の鳥肉、畜産副産物、副製品を網羅する。鳥類肉は、動物を形成する筋肉、脂肪、組織、皮膚、骨及び体液又は類似部位を含む獣肉の形態は、例えば、獣肉全体又は部分、単独又は他の材料との組み合わせを含む。主たる形態は、例えば、干し肉、切断成形製品、ミンスミート製品、みじん切り製品、及び丸ごと製品のような加工鳥肉を含む。
【0019】
本明細書で用いられる「鳥肉くず」という語句は、くず、残留物、構成物、排泄物、腐肉、鳥肉断片、鳥肉廃棄物、鳥肉内臓、鳥肉組織、これら構成物の小片もしくは組み合わせ、及び加工の際に屠体又は部分肉から取り外されて廃棄されるものを意味する。
【0020】
本明細書で用いられる「食品加工面」という語句は、食品加工、調理、貯蔵活動の一環として使用される、道具、機械、設備、構造物、建築物などの面を意味する。食品加工面の例として、食品加工又は調理機器の面(例えば、スライス、缶詰、フリュームを含む輸送機器)、及び食品加工器物(例えば、用具、容器、洗浄用具、グラス類)の面、及び食品加工に使用される構造物の床、壁又は備品の面がある。食品加工面は、食品腐敗防止エアカーテンシステム、殺菌処理パッケージング消毒、食品冷蔵及び冷却機器清掃及び消毒、器物洗浄消毒、ブランチャー清掃及び消毒、食品パッケージング素材、まな板付加物、サードシンク消毒、飲料冷温蔵器、食肉冷蔵又は湯はぎ水、自動食洗機、消毒ゲル、冷却塔、食品加工用衣類殺菌スプレー、低水分食品調理潤滑剤、油類及びすすぎ添加物などに見いだされ、使用されている。
【0021】
本明細書で用いられる「器物」という用語は、食事用及び調理用器具、食器、及びシャワー、流し、トイレ、浴槽、カウンタートップ、窓、鏡、輸送車両、及び床の硬質面の部材を意味する。本明細書で用いられる「器物洗浄」という用語は、器物の洗浄、清掃、すすぎを意味する。器物はプラスティック製の部材も意味する。本発明に従った組成で洗浄できるプラスティックの種類は、ポリカーボネートポリマー(PC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンポリマー(ABS)、ポリスルホンポリマー(PS)を含むが、これらに限定されるものではない。本発明の化合物又は組成物を使用して洗浄できる他の代表的プラスティックには、ポリスチレンテレフタレート(PET)が含まれる。
【0022】
本明細書で用いられる「気流」という語句は、食品防腐エアサーキュレーションシステムを含む。気流は病院、手術室、処置室、分娩室、霊安室及び臨床診断室で主として接触する気流も含む。
【0023】
本明細書で用いられる「水」という用語は、食品加工又は輸送に使用する水を含む。食品加工又は輸送に使用する水は、製品輸送用水(例えば、フリューム、パイプ輸送、カッター、スライサー、ブランチャー、レトルトシステム、洗浄機などにて使用される)、食品輸送ラインのベルトスプレー、靴及び手指の洗浄容器、サードシンクのすすぎ用水などを含む。また、水は、プール、スパ、娯楽用フリューム、ウォータースライダー、噴水などの家庭用及び娯楽用水も含む。
【0024】
本明細書で用いられる「ヘルスケア面」という語句は、器具、装置、カート、カゴ、家具、構造物、建築物、又はヘルスケア活動の一環として使用される類似物を意味する。ヘルスケア面の例として、医療用又は歯科用器具、医療用又は歯科用装置、患者の健康状態をモニタするために必要な電気器具、及びヘルスケアに使用される構造物の床、壁、又は備品の面が挙げられる。ヘルスケア面は病院、手術室、処置室、分娩室、霊安室及び臨床診断室においても見いだせる。これらの面は、「硬質面」(壁、床、便器など)又はニット若しくは織物のような布地面及び不織面(外科用衣、幔幕、ベッドリネン、包帯など)、又は患者ケア器具(人工呼吸器、診断機器、シャント、内視鏡、車椅子、ベッドなど)、又は手術用及び診断用機器に類型化される。ヘルスケア面は、動物ヘルスケアに必要な物品及び面を含む。
【0025】
本明細書で用いられる「器具」という用語は、本発明に従った組成物による洗浄が奏功する、様々な医療用又は歯科用器具又は装置を意味する。
【0026】
本明細書で用いられる「医療用器具」、「歯科用器具」、「医療用装置」、「歯科用装置」、「医療用機器」、又は「歯科用機器」という語句は、医療又は歯科分野で使用される器具、装置、道具、補助具、用具、及び機器を意味する。これらの器具、装置、機器は、低温殺菌、浸漬、洗浄の後、高温殺菌を行うか、又は本発明の組成物を使用した洗浄を行うことで便益を受ける。これらの様々な器具、装置、機器は以下を含むが、これらに限定されるものではない:診断用機器、トレイ、受け皿、ホルダー、棚、鉗子、ハサミ、大ハサミ、ノコギリ(例えば、骨ノコギリ及びその刃)、止血鉗子、ナイフ、チゼル、骨鉗子、ヤスリ、ニッパー、ドリル、ドリルビット、石目ヤスリ、バール、延展器、粉砕器、骨膜起子、クランプ、持針器、運搬機、クリップ、フック、ゴージ、キュレット、開創器、ストレートナー、穿孔器、抜歯鉗子、スクープ、角膜切開刀、スパーテル、圧潰器、套管針、拡張器、カゴ、グラス類、チューブ類、カテーテル、カニューレ、プラグ、ステント、スコープ類(例えば、内視鏡、聴診器、関節鏡など)及び関連機器など、又はそれらの組み合わせ。
【0027】
本明細書で用いられる「農業の」又は「獣医学の」対象物又は面は、動物給餌、動物給水場及び囲い、動物居住舎、動物病院(例えば外科や治療区域)、動物外科区域などの場所を含む。
【0028】
本明細書で用いられている「無リン」、又は「実質的にリンを含まない」とは、リン若しくはリン含有化合物を含有していないか、又はリン若しくはリン含有化合物が添加されていない組成物、混合物、又は成分を意味する。汚染により、リンを含有していない組成物、混合物又は成分の中にリン又はリンを含有する化合物が存在する場合、リンの総量は、0.5重量%未満でなければならない。さらに望ましいのは、リンの総量が、0.1重量%未満の場合であり、最も望ましいのは、0.01重量%未満の場合である。
【0029】
本特許出願の目的において、微生物個体数が最低約50%まで、又は水で洗浄するよりもはるかに多く低減したとき、微生物低減に成功したとする。微生物個体数のさらに大きな低減は、さらに高い保護水準を達成する。
【0030】
本明細書で用いられる「消毒剤」という用語は、公衆衛生要件に照らして安全な水準に汚染細菌の数を低減させる薬剤を意味する。一つの実施形態において、本発明において使用される消毒剤は、少なくとも99.999%の低減をもたらす(5桁水準の低減)。これらの低減は、「Germicidal and Detergent Sanitizing Action of Disinfectants,Official Methods of Analysis of the Association of Official Analytical Chemists,15版,1990年(EPAガイドライン91−2)」の960.09章及び適用セクションにて詳説される手順を用いて評価される。この参考文献に従って、消毒剤は室温25±2℃にて30秒以内で、数種の試験微生物に対し99.999%の低減を得ることができる(5桁水準の低減)。
【0031】
本明細書で用いられる「消毒薬」は、「A.O.A.C.Use Dilution Methods, Official Methods of Analysis of the Association of Official Analytical Chemists,15版,1990年(EPAガイドライン91−2)」の955.14章及び適用セクションにて詳説される手順を用いて、最も知られている病原性微生物を含む全ての成長力ある細胞を死滅させる薬剤を意味する。本明細書で用いられる「高水準消毒」又は「高水準消毒薬」という用語は、高水準の細菌胞子を除き、実質的にすべての微生物を死滅させる化合物又は組成物を意味し、米国食品医薬品局が指定する滅菌剤として商路を開拓している化学殺菌剤をもって達成されるものである。本明細書で用いられる「中等度消毒」又は「中等度消毒薬」という用語は、米国環境保護局(EPA)により結核菌殺菌剤として登録されている化学殺菌剤と共に、ミコバクテリア、多くのウィルス及び微生物を死滅させる化合物又は組成物を意味する。本明細書で用いられる「低水準消毒」又は「低水準消毒薬」という用語は、米国環境保護局により病院用殺菌剤として登録されている化学殺菌剤と共に、一部のウィルス及び微生物を死滅させる化合物又は組成物を意味する。
【0032】
本発明で用いられる「殺胞子剤」という用語は、セレウス菌又は枯草菌の胞子群において、60℃で10秒以内に90%以上の低減(1桁水準の低減)をもたらす能力を備えた物理的又は化学的薬剤又は作用を意味する。ある実施形態において、本発明の殺胞子組成は同様の群体において、60℃で10秒以内に99%以上の低減(2桁水準の低減)、若しくは99.99%以上の低減(4桁水準の低減)、若しくは99.999%以上の低減(5桁水準の低減)をもたらしている。
【0033】
抗菌剤の「抗菌」又は「静安定」活性の区別、有効性の程度を示す定義、及び公的研究機関による有効性測定記録は、抗菌剤及び組成の関連性を理解する上での検討事項となっている。殺菌組成物は、微生物細胞に2種類の損傷を与える。1種類目は、微生物細胞を完全に破壊又は無力化する、致命的不可逆的作用である。2種類目の細胞損傷は、可逆的なもので、仮に微生物が薬剤の影響下を離れると、再び増殖することができる。前者を微生物殺菌と呼び、後者を増殖阻害と呼ぶ。抗菌剤及び消毒剤は定義によって、殺菌又は微生物殺菌活性をもたらす薬剤である。これに対し、防腐剤は一般的に阻害剤又は増殖阻害組成物と表現される。
【0034】
本明細書で用いられる「アルキル」又は「アルキル基」という用語は、1個以上の炭素原子をもつ飽和炭化水素を意味し、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなど)、環式アルキル基(又は「シクロアルキル」若しくは「脂環式」若しくは「炭素環式」基)(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなど)、側鎖アルキル基(例えば、イソプロピル、tert−ブチル、sec−ブチル、イソブチルなど)及びアルキルで置換されたアルキル基(例えば、アルキルで置換されたシクロアルキル基及びシクロアルキルで置換されたアルキル基)を含む。
【0035】
別段の規定がない限り、「アルキル」という用語は「非置換アルキル」と「置換アルキル」の両方を含む。本明細書で用いられる「置換アルキル」という用語は、1個以上の水素を、炭化水素骨格をもつ1個以上の炭素で置換した置換基をもつアルキル基を意味する。このような置換基に含まれる例は、アルケニル、アルキニル、ハロゲノ、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノアルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、リン酸塩、ホスホナート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリルアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、ウレイドを含む)、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、硫酸塩、アルキルスルフィニル、スルホン酸塩、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、複素環式、アルキルアリル、芳香族(複素環式芳香族を含む)基などである。
【0036】
一部の実施形態において、置換アルキル基は複素環式基を含む。本明細書で用いられる「複素環式基」という用語は、環中に1個以上の炭素原子が、炭素以外の元素(例えば、窒素、硫黄又は酸素)である炭素環式基に類似した閉環構造を含む。複素環式基は飽和又は不飽和でよい。代表的な複素環式基は、アジリジン、エチレンオキシド(エポキシド、オキシラン)、チイラン(エピスルフィド)、ジオキシラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ジオキセタン、ジチエタン、ジチエト、アゾリジン、ピロロリジン、ピロロリン、オキソラン、ジヒドロフラン、及びフランを含むが、これらに限定されるものではない。
【0037】
本発明の化合物
本発明は、少なくとも部分的に、スルホペルオキシカルボン酸、その組成物、並びに様々な漂白、殺菌及び洗浄への応用の方法に関係する。本発明のスルホペルオキシカルボン酸はカップリング剤としても活用できる。さらに、本発明の一部の化合物はカスター、トール油、ダイズ、キャノーラ、オリーブ、落花生、獣脂、菜種、ヤシ油など非石油系再生油から抽出されている。
【0038】
本明細書で用いられる「スルホペルオキシカルボン酸」、「スルホン化過酸」又は「スルホン化ペルオキシカルボン酸」という用語は、スルホン化カルボン酸のペルオキシカルボン酸体を意味する。一部の態様では、本発明のスルホン化過酸は、中鎖スルホン化過酸である。本明細書で用いられる「中鎖スルホン化過酸」という用語は、ペルカルボン酸鎖の炭素骨格におけるペルカルボン酸基の炭素由来の少なくとも1つの(例えば、三位置又はそれを超える)である炭素に結合されたスルホン酸基を含む過酸化合物を意味し、ここで、該少なくとも1つの炭素は、末端位置にはない。本明細書で用いられる「末端位置」という用語は、ペルカルボキシル基から最も遠いペルカルボン酸の炭素骨格鎖上の炭素を意味する。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、中鎖スルホン化過酸、例えば、C10〜C18の炭素骨格を有する中鎖スルホン化過酸は、酸性pHでさえ、類似の鎖長の末端でスルホン化された過酸と比較して、実質的に高い溶解性を有すると考えられる。例えば、pHが4の場合、末端でスルホン化された過酸である11−スルホウンデカン過酸は、約1.3%の比較的低い溶解性を有する。同じpHで、中鎖スルホン化過酸であるペルスルホン化オレイン酸は、約50%を超える溶解性を有する。これは、過酸鎖長の増加が溶解性の減少をもたらすと考えられるため、期待されない。長鎖過酸を用いた場合の低溶解性の問題は、pHを約7に高めることによって対処されてきた。しかしながら、高pHでは、抗菌効果が実質的に減少する。さらに、約7を超えてすべてのpHを高めることに伴い、漂白効果が比例して減少する。このようにして、酸性pH(約7より低い)での溶解性は、本発明の中鎖スルホン化過酸に有効である。
【0039】
本発明のスルホペルオキシカルボン酸は単独で、又は追加成分と混合して使用され得る。一部の実施形態において、本発明の組成物は、本発明のスルホペルオキシカルボン酸を1種又はそれ以上含み得る。
【0040】
ペルオキシカルボン酸(又はペルカルボン酸)は、一般に化学式R(CO3H)nを有する。この場合、例えば、Rは、アルキル、アリールアルキル、シクロアルキル、芳香族、又は複素環基であり、nは、1、2又は3であり、元の酸に過酸化(ペルオキシ)を示す接頭辞を付けて命名されている。ペルオキシカルボン酸は、カルボン酸と過酸化水素の直接均一系酸触媒作用により、又はアルデヒドの自動酸化により、又は酸塩化物及び水素化物あるいはカルボン酸無水物を過酸化水素あるいは過酸化ナトリウムと作用させることにより、形成されることができる。R基は、飽和又は不飽和及び置換又は非置換であることができる。
【0041】
本明細書における化学構造は、当該技術分野において知られる従来基準に従って示される。したがって、示されるような炭素原子などの原子が、未充足な原子価を有するように見える場合には、水素原子を明示する必要がなくとも、その原子価は水素原子によって充足されると推定できる。本発明の一部の化合物の構造は不斉(ステレオジェニック)炭素原子を含む。このような不斉(例えば、すべての鏡像体やジアステレオマーなど)から生ずる異性体は、別段の表現がある場合を除き、本発明の範囲内に含まれると理解されたい。すなわち、他の規定がある場合を除き、いずれのキラル炭素中心も(R)−又は(S)−立体化学構造であろう。このような異性体は、伝統的な分離技術及び立体化学的に制御された合成により、実質的に単体を得ることができる。さらに、アルケンはどこに属していても、E−又はZ−のいずれかの形状を含むことができる。その上、本発明の化合物は非溶媒和体中だけでなく、水、THF、エタノールなどの許容溶媒と共に、溶媒和体中に存在してよい。一般的に、溶媒和体は、本発明のための非溶媒和体と等しいと考えられる。
【0042】
一部の態様において、本発明は、式I:
【0043】
【化1】

【0044】
{式中、
1は、水素、又は置換若しくは非置換アルキル基であり;
2は、置換又は非置換アルキル基であり;
Xは、水素、カチオン性基、又はエステル形成部分である}
で表されるスルホペルオキシカルボン酸、又はその塩若しくはエステルに関する。
【0045】
一部の実施形態において、R1は、置換又は非置換Cmアルキル基であり;Xは水素、カチオン性基又はエステル形成部分であり;R2は、置換又は非置換Cnアルキル基であり;m=1〜10;n=1〜10;そしてm+nは18未満であり、又はその塩、エステル若しくは混合物である。
【0046】
一部の実施形態において、R1は水素である。一部の実施形態において、R1は置換又は非置換アルキル基である。一部の実施形態において、R1は環式アルキル基を含まない置換又は非置換アルキル基である。一部の実施形態において、R1は置換アルキル基である。一部の実施形態において、R1は非置換C1〜C9アルキル基である。一部の実施形態において、R1は非置換C7又はC8アルキルである。他の実施形態において、R1は置換C8〜C10アルキル基である。一部の実施形態において、R1は少なくとも1個が置換されているか、又は少なくとも2個のヒドロキシル基と置換されている置換C8〜C10アルキル基である。さらに他の実施形態において、R1は置換C1〜C9アルキル基である。一部の実施形態において、R1は少なくとも1個のSO3H基で置換されている置換アルキル基である。
【0047】
他の実施形態において、R1はC9〜C10置換アルキル基である。一部の実施形態において、R1は、炭素骨格上の少なくとも2個の炭素が複素環式基を形成する、置換C9〜C10アルキル基である。一部の実施形態において、複素環式基はエポキシド基である。
【0048】
一部の実施形態において、R2は置換C1〜C10アルキル基である。一部の実施形態において、R2は置換C8〜C10アルキル基である。一部の実施形態において、R2は非置換C6〜C9アルキルである。他の実施形態において、R2は少なくとも1個のヒドロキシル基で置換されたC8〜C10アルキル基である。一部の実施形態において、R2は少なくとも2個のヒドロキシル基で置換されたC10アルキル基である。他の実施形態において、R2は少なくとも1個のSO3H基で置換されたC8アルキル基である。一部の実施形態において、R2は、炭素骨格上の少なくとも2個の炭素が複素環式基を形成する置換C9基である。一部の実施形態において、複素環式基はエポキシド基である。一部の実施形態において、R1はC8〜C9置換又は非置換アルキル基であり、R2はC7〜C8置換又は非置換アルキルである。
【0049】
一部の実施形態において、本発明の化合物は、以下:
【0050】
【化2】

【0051】
【化3】

【0052】
並びに、その塩、エステル、混合物及び誘導体からなる群から選択される。
【0053】
他の実施形態において、本発明の化合物は、以下:
【0054】
【化4】

並びに、その混合物及び誘導体からなる群から選択される。
【0055】
本発明の化合物は、下記の表1にも示されている。
【0056】
【表1−A】

【0057】
【表1−B】

【0058】
【表1−C】

【0059】
【表1−D】

【0060】
一部の実施形態において、本発明の化合物を調製するための開始材料はスルホン化脂肪酸である。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、スルホ基が酸化環境では不活性であると考えられる。さらに、スルホ基の親水性が、他の置換基ほどpHの影響を受けるわけではないと考えられる。一部の実施形態において、本発明のスルホン化ペルカルボン酸は市販のスルホン化脂肪酸から形成される。他の実施形態において、本発明の化合物は、スルホン化されることができる、市販の非スルホン化脂肪酸から形成される。一部の実施形態において、開始脂肪酸は、ペルオキシカルボン酸への変換前にスルホン化されると考えられる。他の実施形態において、開始脂肪酸はペルオキシカルボン酸の形成時又は形成後にスルホン化されると考えられる。本発明の化合物の形成に適したスルホン化脂肪酸は、11−スルホウンデカン酸、10,11−ジスルホウンデカン酸、スルホン化オレイン酸、スルホン化リノール酸、スルホン化パルミトレイン酸、スルホン化ステアリン酸を含むが、これらに限定されるものではない。
【0061】
いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、市販の特定のスルホン化オレイン酸開始材料から形成される過酸が、本発明の化合物の混合物を含んでいると考えられる。これは、スルホン化オレイン酸開始材料の性質にある程度起因するものと考えられる。すなわち、スルホン化オレイン酸開始材料が、天然産出資源から抽出されているために、化学的に純粋ではない、つまり一種類のスルホン化オレイン酸だけを含んでいるとは限らないと考えられる。したがって、いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、形成されるスルホン化ペルオレイン酸は、主要な構成要素として化合物A、N、I及びOの混合物を含む(以下「スルホン化ペルオレイン酸製品」という)ことができると考えられる。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、一部の実施形態において、スルホン化ペルオレイン酸製品は、約20〜25重量%の化合物A(10−ヒドロキシ−9−スルホオクタデカンペルオキソ酸)、約20〜25重量%の化合物N(10,11−ジヒドロキシ−9−スルホオクタデカンペルオキソ酸)、約20〜25重量%の化合物I(9−ヒドロキシ−10−スルホオクタデカンペルオキソ酸)、約20〜25重量%の化合物O(8,9−ジヒドロキシ−10−スルホオクタデカンペルオキソ酸)を含むと考えられる。製品の残分には、約5〜10重量%のこれら化合物の混合物が含まれていると考えられる。
【0062】
スルホ過酸化水素は、各種反応機構を通じて形成され得る。例えば、一部の実施形態において、過酸は開始材料と過酸化水素の直接酸触媒平衡作用により形成される。
【0063】
一部の実施形態において、本発明の化合物の形成で使用されるスルホン化カルボン酸はα位でスルホン化されない。本明細書で用いられる「α位」という用語は、カルボン産基に直接接続される、すなわち、それに直接隣接されるペルカルボン酸鎖の炭素骨格上の炭素を意味する。脂肪酸のα位でスルホン基を持つことにより、カルボン酸基の酸化及び/又は過加水分解が妨げられ、対応するペルオキシカルボン酸の形成が阻害されることが分かっている。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、α−スルホ基が、電子的に不完全な脂肪酸上にカルボン酸基を形成することから、酸化、及び/又は過加水分解、及び対応するペルオキシカルボン酸の形成が非常に低いpHを必要とすると考えられる。これらのpHの中性化又はさらには中程度の上昇により、過酸は非常に急速に加水分解され、親酸に戻り、大部分の用途に対して実施不可能にさせると考えられる。
【0064】
スルホン化ペルオキシカルボン酸組成物
一部の態様において、本発明は、式Iのスルホン酸ペルオキシカルボン酸化合物、又はその混合物に関する。本発明の組成物は、テキスタイル又は硬質面などの多様な基材及び表面の漂白組成物として使用することができる。本発明の組成物は、消毒又は抗菌組成物としても使用することができる。さらに、本発明の組成物は、食品接触殺菌、硬質面消毒、テキスタイル消毒など、様々な用途の組成物中のカップリング剤としても活用できる。一部の実施形態において、本発明の化合物を含む組成物は多目的に使用できる。つまり、本発明の組成物は、例えば、抗菌剤及び漂白剤、又はカップリング剤、及び漂白剤として機能する。
【0065】
本発明の組成物は、従来の過酸化物を含む組成物と比較して高い安定性も示す。一部の実施形態において、本発明の組成物は、室温にて少なくとも約1年間は安定している。一部の実施形態において、本発明の組成物は約100°Fで少なくとも約30日間は安定している。他の実施形態において、本発明の組成物は約140°Fで少なくとも30日間は安定している。例えば、11−スルホウンデカン過酸化水素(化合物D)は、約140°Fで少なくとも30日間、粉体製剤として安定している。
【0066】
本発明の組成物は、無臭又は低臭である。例えば、一部の実施形態において、本発明の組成物は5、4、3、2、1重量%の酢酸水溶液のいずれと比べても臭いが不快ではない(快不快度評価で測定した場合)。他の実施形態において、本発明の組成物に使用者が感知できる臭いはない。
【0067】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、化学式Iのスルホン化過酸、又はその混合物、及び少なくとも1種の追加成分を含む。本発明の組成物との使用に適している追加成分には、酸化剤、カルボン酸、界面活性剤、安定化剤(例えば金属キレート剤)及びその混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。本発明の化合物及び組成物は、アルカリ洗剤のような従来の洗浄剤と共に使用することもできる。
【0068】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、定置洗浄(CIP)技法を用いて洗浄される物品に対して殺菌組成物として使用される。このような組成物は、酸化剤、安定化剤、酸味料、及び界面活性剤又はこれらの混合物を以下の濃度で含む。
【0069】
【表2】

【0070】
他の実施形態において、本発明の組成物は、テキスタイル消毒剤/抗菌剤として用いられる。このような組成物は、酸化剤、安定化剤、及びカルボン酸を以下の濃度で含む。
【0071】
【表3】

【0072】
酸化剤
一部の態様において、本発明の組成物は化学式Iの化合物を含む。一部の実施形態において、本発明の組成物は、さらに少なくとも1種の酸化剤を含む。一部の実施形態において、本発明の組成物は実質的に酸化剤を含まない。酸化剤が存在する場合、本組成物は、例えば過酸化水素といった様々な酸化剤のいずれかを含むことがある。酸化剤は、スルホン化カルボン酸をスルホン化ペルオキシカルボン酸に変換するに足る量が存在することがある。一部の実施形態において、酸化剤は殺菌作用も有している。他の実施形態において、酸化剤の量は殺菌作用を示すのに不十分である。
【0073】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、約0.001重量%〜約99重量%の酸化剤を含む。他の実施形態において、本発明の組成物は、約1重量%〜約60重量%の酸化剤を含む。一部の実施形態において、本発明の組成物は約50重量%〜約80重量%の酸化剤を含む。他の実施形態において、本発明の組成物は約15重量%〜約30重量%の酸化剤を含む。さらに他の実施形態において、本発明の組成物は、約25重量%の酸化剤を含む。すべての値及びこれらの値の範囲は、本発明に包含されることを理解されたい。
【0074】
無機酸化剤の例としては、以下の種類の化合物、又はこれら化合物の原料、又はこれらの化合物、又はそこで付加物を形成しているアルカリ金属塩、過酸化水素、尿素過酸化水素複合体、又は以下の物質:1族(IA)酸化剤(例えば、過酸化リチウム、過酸化ナトリウム);2族(IIA)酸化剤(例えば、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、過酸化バリウム)、12族(IIB)酸化剤(例えば、過酸化亜鉛);13族(IIIA)酸化剤(例えば、過ホウ酸塩のようなホウ素化合物、例えば化学式Na2[B2(O22(OH)4]・6H2Oで表される過ホウ酸ナトリウム六水和物(過ホウ酸ナトリウム四水和物とも呼ばれる)、化学式Na22(O22[(OH)4]・4H2Oで表されるペルオキソホウ酸ナトリウム四水和物(過ホウ酸ナトリウム三水和物とも呼ばれる)、化学式Na2[B2(O22(OH)4]で表されるペルオキソホウ酸ナトリウム(過ホウ酸ナトリウム一水和物とも呼ばれる));14族(IVA)酸化剤(例えば、アルカリ金属の過ケイ酸塩又は過酸化炭酸塩などの過ケイ酸塩及び過酸化炭酸塩(過炭酸塩とも呼ばれる));15族(VA)酸化剤(例えば、過酸化亜硝酸及びその塩、過酸化リン酸及びその塩(例えば、過酸化リン酸塩));16族(VIA)酸化剤(例えば、ペルオキソ硫酸、及びペルオキソ二硫酸及びそれらの過硫酸塩のような塩、例えば過硫酸ナトリウム);VIIa族酸化剤(過ヨウ素酸塩、過塩素酸カリウムなど)の過酸化水素供与体が挙げられる。他の活性無機酸素化合物は、遷移金属ペルオキシド、並びに他の過酸素化合物、及びその混合物を含むことができる。
【0075】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、上述の無機酸化剤を1個又はそれ以上必要とする。適合する無機酸化剤は、オゾン、過酸化水素、過酸化水素付加体、IIIA族酸化剤、又はVIA族酸化剤、VA族酸化剤、VIIA族酸化剤の過酸化水素供与体、又はその混合物を含む。その無機酸化剤の適切な例は、過炭酸塩、過ホウ酸塩、過硫酸塩、過リン酸塩、過ケイ酸塩、又はその混合物を含む。
【0076】
カルボン酸及びペルカルボン酸
一部の実施形態において、本発明の組成物は、本発明のスルホペルオキシカルボン酸を少なくとも1種、並びにカルボン酸及び/又はペルカルボン酸を少なくとも1種含む。一部の実施形態において、本発明の組成物は、カルボン酸及び/又はペルカルボン酸を少なくとも2種、少なくとも3種、又は少なくとも4種以上含む。
【0077】
一部の実施形態において、本発明の組成物と共に使用されるカルボン酸は、C1〜C22カルボン酸を含む。一部の実施形態において、本発明の組成物と共に使用されるカルボン酸は、C5〜C11カルボン酸を含む。一部の実施形態において、本発明の組成物と共に使用されるカルボン酸はC1〜C4カルボン酸を含む。適合するカルボン酸の例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、及びそれらの分岐鎖異性体、乳酸、マレイン酸、アスコルビン酸、クエン酸、ヒドロキシ酢酸、ネオペンタン酸、ネオヘプタン酸、ネオデカン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸及びそれらの混合物を含むが、これらに限定されるものではない。
【0078】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、約0.1重量%〜約80重量%のカルボン酸を含む。他の実施形態において、本発明の組成物は、約1重量%〜約60重量%のカルボン酸を含む。さらに他の実施形態において、本発明の組成物は、約20重量%、若しくは約30重量%、若しくは約40重量%のカルボン酸を含む。一部の実施形態において、本発明の組成物は約5重量%〜約10重量%の酢酸を含む。他の実施形態において、本発明の組成物は約5重量%〜約10重量%のオクタン酸を含む。他の実施形態において、本発明の組成物はオクタン酸及び酢酸の化合物を含む。
【0079】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、化学式Iの化合物、及び少なくとも1種のペルオキシカルボン酸を含む。本発明の組成物及び方法において有用なペルオキシカルボン酸としては、ペルオキシギ酸、ペルオキシ酢酸、ペルオキシプロピオン酸、ペルオキシブタン酸、ペルオキシペンタン酸、ペルオキシヘキサン酸、ペルオキシヘプタン酸、ペルオキシオクタン酸、ペルオキシノナン酸、ペルオキシデカン酸、ペルオキシウンデカン酸、ペルオキシドデカン酸、又はそれらの分岐鎖異性体のペルオキシ酸、過乳酸、ペルオキシマレイン酸、ペルオキシアスコルビン酸、ペルオキシヒドロキシ酢酸、過臭酸、ペルオキシマロン酸、過コハク酸、ペルオキシグルタル酸、ペルオキシアジピン酸、ペルオキシピメリン酸、又はペルオキシスベリン酸、及びそれらの混合物が挙げられる。一部の実施形態において、本発明の組成物は数種の異なるペルオキシカルボン酸の化合物を利用する。例えば一部の実施形態において、組成は1種又はそれ以上のC1〜C4ペルオキシカルボン酸、及び1種又はそれ以上のC5〜C11ペルオキシカルボン酸を含む。一部の実施形態において、C1〜C4ペルオキシカルボン酸は過酢酸であり、そしてC5〜C11酸はペルオキシオクタン酸である。
【0080】
一部の実施形態において、本発明の組成物は過酢酸を含む。ペルオキシ酢酸(又は過酢酸)は以下の化学式:CH3COOOHをもつペルオキシカルボン酸である。一般的に、過酢酸は高濃度ほど刺激臭を有する液体であり、容易に水、アルコール、エーテル、硫酸に溶ける。過酢酸は、酢酸コバルトの存在下におけるアセトアルデヒド及び酸素からの調製を含む、当業者には周知の多くの方法で調製される。過酢酸溶液は、酢酸と過酸化水素を化合することで得られる。50%過酢酸溶液は、無水酢酸、過酸化水素及び硫酸を化合することで得られる。
【0081】
一部の実施形態において、本発明の組成物はペルオキシオクタン酸、ペルオキシノナン酸、又はペルオキシヘプタン酸を含む。一部の実施形態において、組成物はペルオキシオクタン酸を含む。ペルオキシ酢酸(又は過酢酸)は、例えば、n−ペルオキシオクタン酸の化学式:CH3(CH26COOOHをもつペルオキシカルボン酸である。ペルオキシオクタン酸は、直鎖アルキルの一部をもつ酸、分岐鎖アルキルの一部をもつ酸、又はその混合物である。ペルオキシオクタン酸は、当業者には周知の多くの方法で調製される。ペルオキシオクタン酸溶液は、オクタン酸及び過酸化水素及び屈水性誘発物質、溶媒、担体を化合することで得られる。
【0082】
一部の実施形態において、本発明の組成は約0.1重量%〜約90重量%の1種又はそれ以上のペルオキシカルボン酸を含む。他の実施形態において、本発明の組成は約1重量%〜約25重量%の1種又はそれ以上のペルオキシカルボン酸を含む。さらに他の実施形態において、本発明の組成は約5重量%〜約10重量%の1種又はそれ以上のペルオキシカルボン酸を含む。一部の実施形態において、本発明の組成は約1重量%〜約25重量%の過酢酸を含む。他の実施形態において、本発明の組成は約0.1重量%〜約10重量%のペルオキシオクタン酸を含む。さらに他の実施形態において、本発明の組成は約5重量%の過酢酸、及び約1.5重量%のペルオキシオクタン酸の混合物を含む。
【0083】
界面活性剤
一部の実施形態において、本発明の組成物は界面活性剤を含む。本発明の組成物と共に使用されるのに適している界面活性剤は、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両イオン界面活性剤を含むが、これらに限定されるものではない。一部の実施形態において、本発明の組成物は約10重量%〜約50重量%の界面活性剤を含む。他の実施形態において、本発明の組成物は約15重量%〜約30重量%の界面活性剤を含む。さらに他の実施形態において、本発明の組成物は約25重量%の界面活性剤を含む。一部の実施形態において、本発明の組成物は約100ppm〜約1000ppmの界面活性剤を含む。
【0084】
非イオン界面活性剤
本発明の組成物との使用に適した適切な非イオン界面活性剤は、アルコキシレート界面活性剤を含む。適切なアルコキシレート界面活性剤は、EO/POコポリマー、キャッピングされたEO/POコポリマー、アルコール・アルコキシレート、キャッピングされたアルコール・アルコキシレート、その混合物などを含む。溶媒としての使用に適したアルコキシレート界面活性剤は、プルロニック及びリバース・プルロニック界面活性剤のようなEO/POブロック・コポリマー、Dehypon LS−54(R−(EO)5(PO)4)及びDehypon LS−36(R−(EO)3(PO)6)のようなアルコール・アルコキシレート、プルラファックLF211及びTegoten EC11のようなキャッピングされたアルコール・アルコキシレート、その混合物などを含む。
【0085】
半極性非イオン界面活性剤
半極性タイプの非イオン界面活性剤は、本発明の組成において有用な非イオン界面活性剤の別の種類である。半極非イオン界面活性剤は、アミンオキシド、ホスフィンオキシド、スルホオキシド及びそれらのアルコキシレート誘導体を含む。
【0086】
アミンオキシドは、一般的な化学式:
【化5】

【0087】
{式中、矢印は、半極性結合の一般的表記であり、そしてR1、R2及びR3は、脂肪族、芳香族、複素環式、脂環式又はその組み合わせでよい}
に一致する三級アミンオキシドである。一般的に、洗剤分野でのアミンオキシドでは、R1は、約8〜約24個の炭素原子のアルキル基であり、R2及びR3は、1〜3個の炭素原子のアルキル若しくはヒドロキシアルキル、又はその混合物である。R2及びR3は、環構造を形成するために、酸素や窒素原子を介して、互いに結合することができる。R4は、2個〜3個の炭素原子を含むアルキレン又はヒドロキシアルキレン基である。また、nの範囲は0〜約20である。アミンオキシドは対応するアミン、及び過酸化水素のような酸化剤から生成される。
【0088】
有用な水溶性アミンオキシド界面活性剤は、オクチル、デシル、ドデシル、イソドデシル、ココナッツ、又は獣脂アルキルジ−(低級アルキル)アミンオキシドから選ばれる。その具体例は、オクチルジメチルアミンオキシド、ノニルジメチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド、ウンデシルジメチルアミンオキシド、ドデシルジメチルアミンオキシド、イソ−ドデシルジメチルアミンオキシド、トリデシルジメチルアミンオキシド、テトラデシルジメチルアミンオキシド、ペンタデシルジメチルアミンオキシド、ヘキサデシルジメチルアミンオキシド、ヘプタデシルジメチルアミンオキシド、オクタデシルジメチルアミンオキシド、ドデシルジプロピルアミンオキシド、テトラデシルジプロピルアミンオキシド、ヘキサデシルジプロピルアミンオキシド、テトラデシルジブチルアミンオキシド、オクタデシルジブチルアミンオキシド、ビス(2−ヒドロキシエチル)ドデシルアミンオキシド、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−ドデコキシ−1−ヒドロキシプロピルアミンオキシド、ジメチル−(2−ヒドロキシドデシル)アミンオキシド、3,6,9−トリオクタデシルジメチルアミンオキシド、及び3−ドデコキシ−2−ヒドロキシプロピルジ−(2−ヒドロキシエチル)アミンオキシドである。
【0089】
陰イオン界面活性剤
本組成物での使用に適した陰イオン硫酸塩界面活性剤は、アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、直鎖及び分岐鎖第一及び第二アルキル硫酸塩、アルキルエトキシ硫酸塩、脂肪族オレイルグリセロール硫酸塩、アルキルフェノールエチレンオキシドエーテル硫酸塩、C5〜C17アシル−N−(C1〜C4アルキル)及び−N−(C1〜C2ヒドロキシアルキル)グルカミン硫酸塩、及びアルキルポリグルコシドの硫酸塩のようなアルキル多糖類の硫酸塩などを含む。さらには、アルキル硫酸塩、アルキルポリ(エチレンオキシ)エーテル硫酸塩、及び硫酸塩又はエチレンオキシドの縮合製品、及びノニルフェノール(通常1分子当たり1〜6個のオキシエチレン基をもつ)のような芳香族ポリ(エチレンオキシ)硫酸塩も含まれる。
【0090】
本発明の組成物との使用に適している陰イオン硫酸塩界面活性剤は、アルキル硫酸塩、直鎖及び分岐鎖第一及び第二アルキル硫酸塩、並びに置換基をもつか、又はもたない芳香族硫酸塩も含む。
【0091】
本発明の組成物との使用に適している陰イオンカルボン酸塩界面活性剤は、アルカン酸(及びアルカノエート)のようなカルボン酸(及び塩)、エステルカルボン酸(例えば、アルキルコハク酸)、エーテルカルボン酸などを含む。このようなカルボン酸塩は、アルキルエトキシカルボン酸塩、アルキルアリルエトキシカルボン酸塩、アルキルポリエトキシポリカルボン酸塩界面活性剤、及びセッケン(例えば、アルキルカルボキシル)を含む。本組成物に有用な第二カルボン酸塩は、第二炭素に結合しているカルボキシル単位を含むカルボン酸塩を含む。第二炭素は、例えば、p−オクチル安息香酸、又はアルキル−置換シクロヘキシルカルボン酸塩のような環構造に存在する。第二カルボン酸塩界面活性剤は通常、エーテル結合、エステル結合、及びヒドロキシル基を含んでいない。さらに、これらは、典型的に先頭基(両親媒性端部)に窒素原子を欠いている。適合する第二セッケン界面活性剤は通常、より多くの炭素原子(例えば16個以上)が存在し得るにもかかわらず、合計11〜13個の炭素原子を含む。適合するカルボン酸塩は、アシルグルアマート、アシルペプチド、サルコシナート(例えば、N−アシルサルコシナート)、タウリン(例えば、N−アシルタウリン及びメチルタウライドの脂肪酸アミド)なども含む。
【0092】
適合する陰イオン界面活性剤は、以下の化学式:
R−O−(CH2CH2O)n(CH2m−CO2X (3)
{式中、Rは、C8〜C22アルキル基、又は
【0093】
【化6】

【0094】
(式中、R1はC4〜C16アルキル基である。)であり;nは、1〜20の整数であり;mは、1〜3の整数であり、そしてXは、水素、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウムなどの対イオン、又はモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン塩である}
で表されるアルキル又はアルキルアリールエトキシカルボン酸塩を含む一部の実施形態において、nは、4〜10の整数であり、そしてmは1である。一部の実施形態において、Rは、C8〜C16アルキル基である。一部の実施形態において、Rは、C12〜C14アルキル基であり、nは4であり、そしてmは1である。
【0095】
他の実施形態において、Rは、
【0096】
【化7】

【0097】
であり、R1はC6〜C12アルキル基である。さらに他の実施形態において、R1は、C9アルキル基であり、nは10であり、そしてmは1である。
【0098】
このようなアルキル及びアルキルアリールエトキシカルボン酸塩は市販されている。これらエトキシカルボン酸塩は、主に酸の形で入手できるものであり、容易に陰イオン又は塩に変換することができる。市販のカルボン酸塩は、C12~13アルキルポリエトキシ(4)カルボン酸であるNeodox23−4(シェルケミカル社製)、及びC9アルキルアリールポリエトキシ(10)カルボン酸のであるEmcol CNP−110(ウィトコケミカル社製)である。カルボン酸塩は、C13アルキルポリエトキシ(7)カルボン酸であるSandopan(登録商標)DTCなどをクラリアント(Clariant)社から入手することもできる。
【0099】
両性界面活性剤
両性又は両性電解質の界面活性剤は塩基及び酸性親水基と、有機疎水基のいずれも含む。これらのイオン的実体は、本明細書で他のタイプの界面活性剤として記述される、陰イオン又はカチオン性基のいずれかであり得る。塩基窒素及び酸性カルボン酸塩の基は、塩基及び酸性親水基として働く典型的な官能基である。数種の界面活性剤では、スルホン酸塩、硫酸塩、ホスホン酸塩、又はリン酸塩は負電荷を供給する。
【0100】
両性界面活性剤は、脂肪族第二及び第三アミンの誘導体として広く記述されるが、その脂肪族遊離基は直鎖でも分岐鎖でもよく、また脂肪族置換基の1つは、約8〜18個の炭素原子を含み、かつ例えば、カルボキシル基、スルホ基、硫酸基、リン酸基、ホスホノ基などの非イオン水溶性基を1種含む。両性界面活性剤は、当業者には周知の二大種別に下位区分され、“Surfactant Encyclopedia”Cosmetics & Toiletries,第104(2)巻69−71頁(1989年)に記述されている。一つは、アシル/ジアルキルエチレンジアミン誘導体(例えば、2−アルキルヒドロキシエチルイミダゾリン誘導体)及びその塩を含む。もう一つは、N−アルキルアミノ酸及びそれらの塩を含む。一部の両性界面活性剤は、両方の種別に適合すると想定される。
【0101】
両性界面活性剤は、当業者には周知の方法により合成される。例えば、2−アルキルヒドロキシエチルイミダゾリンは、ジアルキルエチレンジアミンと長鎖カルボン酸(又は誘導体)の縮合及び環閉鎖により合成される。市販の両性界面活性剤は、続いて起こる加水分解、及び例えばクロロ酢酸又は酢酸エチル塩のアルキル化によるイミダゾリン環の開環により誘導体化される。アルキル化の際に、1個又は2個のカルボキシ−アルキル基が反応し、第三アミン、及び異なる第三アミンを生成する別のアルキル化剤とのエーテル結合を形成する。
【0102】
本発明の用途をもつ長鎖イミダゾール誘導体は、次の一般化学式:
【0103】
【化8】

【0104】
{式中、Rは、8個〜18個の炭素原子を含む非環式の疎水基であり、そしてMは、通常、ナトリウムなどのアミンの電荷を中性化させるためのカチオンである。}
をもつ。本組成物で使用され、市販製品の中でも有名なイミダゾリン由来の両性剤には、以下の例:ココアンフォプロピオネート、ココアンフォカルボン酸−プロピオネート、ココアンフォグリシネート、ココアンフォカルボン酸−グリシネート、ココアンフォプロピル−スルホン酸塩、ココアンフォカルボン酸−プロピオン酸が含まれる。アンフォカルボン酸は、アンフォジカルボン酸のジカルボン酸官能基がアセト酢酸及び/又はジプロピオン酸である脂肪族イミダゾリンから生成される。
【0105】
本明細書で頻繁に上述された、カルボキシメチル化された化合物(グリシナート)はベタインと呼ばれる。ベタインは、両性の特別種であり、本明細書内の両性イオン界面活性剤の項で後述する。
【0106】
長鎖N−アルキルアミノ酸は、RNH2{式中、Rは、C8〜C18直鎖又は分岐鎖アルキルである}の脂肪族アミンとハロゲン化カルボン酸との反応により容易に調製される。アミノ酸の一級アミノ基のアルキル化が、二級及び三級アミンを導く。アルキル置換基は、1個以上の反応窒素中心を供給する追加のアミノ基をもつことがある。最も流通しているN−アルキルアミン酸は、ベータ−アラニン又はベータ−N(2−カルボキシエチル)アラニンのアルキル誘導体である。本発明の用途をもつ市販のN−アルキルアミノ酸両性電解質の例は、アルキルベータ−アミノジプロピオナート、RN(C24COOM)2及びRNHC24COOMである。一つの実施形態において、Rは、約8〜18個の炭素原子を含む非環式の疎水基であり、そして、Mは、陰イオンの電荷を中和するカチオンである。
【0107】
適切な両性界面活性剤は、ココナッツオイルやココナッツ脂肪酸などのココナッツ製品から抽出されたものを含む。その他の適切なココナッツ抽出界面活性剤は、エチレンジアミン成分、アルカノールアミド成分、アミノ酸成分(例えば、グリシン)、又はその組み合わせ、ならびに約8〜18個(例えば、12個など)の炭素原子の脂肪族置換基などを、その構造の一部に含む。このような界面活性剤は、アルキル両ジカルボン酸とみなすこともできる。これらの両性界面活性剤は、次のように表される化学構造:C12−アルキル−C(O)−NH−CH2−CH2−N+(CH2−CH2−CO2Na)2−CH2−CH2−OH又はC12−アルキル−C(O)−N(H)−CH2−CH2−N+(CH2−CO2Na)2−CH2−CH2−OHを含む。ジナトリウムココアンフォジプロピオナートは、一つの適切な両性界面活性剤であり、ローディア(Rhodia)社(ニュージャージー州Cranbury)からミラノール(Miranol)(商標)FBSという商品名で市販されている。もう一つの適切なココナッツ抽出両性界面活性剤は、化学名をジナトリウムココアンフォジアセテートといい、同じくローディア社(ニュージャージー州Cranbury)からMirataine(商標)JCHAという商品名で販売されている。
【0108】
両性種及びこれらの界面活性剤の主なリストは、1975年12月30日にLaughlin及びHeuringに対して付与された米国特許第3,929,678号に記載されている。さらに実例は、“Surface Active Agents and Detergents”(Schwartz、Perry及びBerch、第I巻及びII巻)に記載されている。
【0109】
両イオン界面活性剤
両イオン界面活性剤は、両性界面活性剤のサブセットと考えられ、陰イオン電荷を含む。両イオン界面活性剤は広義には、二級及び三級アミンの誘導体、ヘテロ環式二級及び三級アミンの誘導体、又は四級アンモニウム、四級ホスホニウム、又は三級スルホニウム化合物として記述できる。典型的には、両イオン界面活性剤は、正電荷の四級アンモニウム、又は一部の事例においては、スルホニウム又はホスホニウムイオン、負電荷のカルボキシル基、及びアルキル基を含む。両イオン剤は一般的に、分子の等電域とほぼ同程度までイオン化し、かつ正・負電荷の中心間で強い「分子内部でできる塩」の引力を作り出せる、カチオン性基及びアニオン基を含む。このような両イオン合成界面活性剤の例は、脂肪族四級アンモニウム、ホスホニウム、及びスルホニウムの化合物の誘導体として記述されるが、その脂肪族基は、直鎖でも分岐鎖でもよく、またその脂肪族置換基の1つは、8〜18個の炭素原子を含み、またそれは、例えば、カルボキシル基、スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩などのアニオン性水溶性基を含む。ベタイン及びスルタイン界面活性剤は、本明細書で使用される代表的な両イオン界面活性剤である。
【0110】
これら化合物の一般的な化学式は、以下:
【0111】
【化9】

【0112】
{式中、R1は、0〜10個のエチレンオキシド部分及び0〜1個のグリセリル部分を有する8〜18個の炭素原子からなるアルキル、アルケニル、又はヒドロキシアルキル基を含み;Yは、窒素、リン及び硫黄原子からなる群から選ばれ;R2は、1〜3個の炭素原子を含むアルキル又はモノヒドロキシアルキル基であり;xは、Yが硫黄原子のときは1であり、Yが窒素又はリン原子のときは2であり;R3は、1〜4個の炭素原子からなるアルキレン、又はヒドロキシアルキレン、又はヒドロキシアルキレンであり;そしてZは、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸塩、ホスホン酸塩、リン酸塩からなる群から選択される基である。}
の通りである。
【0113】
上記に列挙した構造をもつ両イオン界面活性剤の例は、4−[N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−N−オクタデシルアンモニオ]−ブタン−1−カルボン酸塩、5−[S−3−ヒドロキシプロピル−S−ヘキサデシルスルホニオ]−3−ヒドロキシペンタン−1−硫酸塩、3−[P,P−ジエチル−P−3,6,9−トリオキサテトラコサンホスホニオ]−2−ヒドロキシプロパン−1−リン酸塩、3−[N,N−ジプロピル−N−3−ドデコキシ−2−ヒドロキシプロピル−アンモニオ]−プロパン−1−ホスホン酸塩、3−(N,N−ジメチル−N−ヘキサデシルアンモニオ)−プロパン−1−スルホン酸塩、3−(N,N−ジメチル−N−ヘキサデシルアンモニオ)−2−ヒドロキシ−プロパン−1−スルホン酸塩、4−[N,N−ジ(2(2−ヒドロキシエチル)−N(2−ヒドロキシドデシル)アンモニオ]−ブタン−1−カルボン酸塩、3−[S−エチル−S−(3−ドデコキシ−2−ヒドロキシプロピル)スルホニオ]−プロパン−1−リン酸塩、3−[P,P−ジメチル−P−ドデシルホスホニオ]−プロパン−1−ホスホン酸塩、S[N,N−ジ(3−ヒドロキシプロピル)−N−ヘキサデシルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−ペンタン−1−硫酸塩である。上述の洗浄性界面活性剤に含まれるアルキル基は、直鎖若しくは分岐鎖、又は置換若しくは非置換でよい。
【0114】
本組成物における使用に適した両イオン界面活性剤は、一般構造:
【0115】
【化10】

【0116】
のベタインを含む。
【0117】
典型的には、これらの界面活性ベタインは、極端なpHでは強いカチオン性又はアニオン性を示さず、またそれらの等電域で水溶性の低下を示すこともない。「外側にできる」四級アンモニウムと異なり、ベタインは陰イオンとの融和性をもつ。適切なベタインの例は、ココナッツアシルアミドプロピルジメチルベタイン、ヘキサデシルジメチルベタイン、C12~14アシルアミドプロピルベタイン、C8~14アシルアミドヘキシルジエチルベタイン、4−C14~16アシルメチルアミドジエチルアンモニオ−1−カルボキシブタン、C16~18アシルアミドジメチルベタイン、C12~16アシルアミドペンタンジエチルベタイン、C12~16アシルメチルアミドジメチルベタインである。
【0118】
本発明で有用なスルタインは、化学式(R(R12+2SO3-{式中、Rは、C6〜C18ヒドロカルビル基であり、各R1は、典型的に独立して、例えばメチルなどのC1〜C3アルキルであり、R2は、例えばC1〜C3アルキレン又はヒドロキシアルキレン基などのC1〜C6ヒドロカルビル基である。}を有する化合物を含む。
【0119】
両イオン種及びこれらの界面活性剤の主なリストは、1975年12月30日にLaughlin及びHeuringに対して付与された米国特許第3,929,678号に記載されている。さらなる実例は、“Surface Active Agents and Detergents”(Schwartz、Perry及びBerch、第I巻及びII巻)に記載されている。
【0120】
一部の実施形態において、本発明の組成物はベタインを含む。例えば、組成物は、ココアミドプロピルベタインを含む。
【0121】
他の追加成分
一部の実施形態において、本発明の組成物は、他の追加成分を含む。本発明の組成物との使用に適している追加成分としては、酸味料、キレート剤若しくは金属イオン封鎖剤などの安定化剤、緩衝剤、洗浄剤、湿潤剤、消泡剤、増粘剤、発泡剤、凝固剤、外観改良剤(着色剤、着臭剤、香料など)、その他の洗浄剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの追加成分は、本発明の組成物の追加の前後又は実質的に同時に、本発明の組成物に添加することで、前もって配合することができる。さらに組成物は、一つ又はそれ以上のアルカリ洗剤など従来の洗浄剤と組み合わせて使用できる。
【0122】
酸味料
一部の実施形態において、本発明の組成物は酸味料を含む。酸味料はカルボン酸のペルオキシカルボン酸への変換において触媒として作用する。酸味料は、約1又はそれ以下のpHで有効な濃縮組成物を形成する。酸味料は、pHが約5、約5以下、約4、約4以下、約3、約3以下、約2、約2以下で使用組成物を形成させると有効である。一部の実施形態において、酸味料は、アルカリ洗剤溶液のpHを約10、約10以下、約9、約9以下、約8、約8以下、約7、約7以下、約6、約6以下に下げるために使用される。一つの実施形態において、酸味料は無機酸を含む。適切な無機酸は、硫酸、硫酸水素ナトリウム、リン酸、硝酸、塩酸を含むが、これらに限定されるものではない。一部の実施形態において、酸味料は有機酸を含む。適合する有機酸には、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ギ酸、酢酸、モノ、ジ、トリ−ハロゲン化炭化水素酸、ピコリン酸、ジピコリン酸、及びその混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。一部の実施形態において、本発明の組成物は、リンを主成分とする酸を含まないか、又は実質的に含まない。
【0123】
一部の実施形態において、選別された酸化剤は、安定化剤としての機能を有することもある。したがって、本発明の組成物は、実質的に、追加された安定化剤を含まないことがある。
【0124】
ある実施形態において、本組成物は、約0.5〜約80重量%の酸味料を、約1〜約50重量%の酸味料を、約5〜約30重量%の酸味料を、約7〜約14重量%の酸味料を含む。すべての値及びこれらの値の範囲は、本発明の組成物に包含されることを理解されたい。
【0125】
安定化剤
一部の実施形態において、本発明の組成物は、一つ又はそれ以上の安定化剤を含む。安定化剤は、例えば、過酸及び過酸化水素の安定化、ならびに本発明の組成物中における同成分の早期酸化防止に使用される。
【0126】
一部の実施形態においては、酸性安定化剤を使用することができる。したがって、一部の実施形態において、本発明の組成物は、実質的に追加された酸味料を含まないことがある。
【0127】
適切な安定化剤は、例えば、キレート剤や金属イオン封鎖剤を含む。適切な金属イオン封鎖剤は、溶液中の金属イオン(特に遷移金属イオン)を封鎖する有機キレート化合物を含むが、これらに限定されるものではない。このような金属イオン封鎖剤は、有機アミノ−又はヒドロキシ−ポリホスホン酸錯体(酸又は溶解性塩の形態のどちらか)、カルボン酸(例えば、高分子ポリカーボキシレート)、ヒドロキシカルボン酸、アミノカルボン酸、又はピリジン−2,6−ジカルボン酸(ジピコリン酸)などの複素環式カルボン酸を含む。
【0128】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、安定化剤としてジピコリン酸を含む。ジピコリン酸を含む組成物は、リンを含まないか、又はリンを実質的に含まないように処方される。本発明の組成物にジピコリン酸を含有することで、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(CH3C(PO322OH)(HEDP)などの他の従来の安定化剤と比較すると、組成物の相安定が達成されていることも観察されている。
【0129】
他の実施形態において、金属イオン封鎖剤は、ホスホン酸もしくはホスホン酸塩であるか、又はそれを含むことができる。適合するホスホン酸及びホスホン酸塩は、HEDP、エチレンジアミン四メチレンホスホン酸(EDTMP)、ジエチレントリアミン五メチレンホスホン酸(DTPMP)、シクロヘキサン−1,2−テトラメチレンホスホン酸、アミノ[トリ(メチレンホスホン酸)]、(エチレンジアミン[四メチレンホスホン酸)]、2−ホスフィンブタン−1,2,4−三カルボン酸、又はその塩(例えば、アルカリ金属塩、アンモニウム塩など、又はモノ、ジ、テトラ−エタノールアミン塩などのアルキロイルアミン塩など)、ピコリン酸、ジピコリン酸など、又はその混合物を含む。一部の実施形態において、有機ホスホン酸塩、例えばHEDPは、本発明の組成物に含まれる。
【0130】
市販の食品添加キレート剤は、DEQUEST(登録商標)という商標名で販売されるホスホン酸塩を含むが、この商品は、例えば1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸を含んでおり、DEQUEST(登録商標)2010という商品名でモンサント・インダストリアル・ケミカルズ(Monsanto Industrial Chemicals)社(ミズーリ州セントルイス)から入手できる。また、モンサント社から発売されているDEQUEST(登録商標)2000はアミノ(トリ(メチレンホスホン酸))、(N[CH2PO323)、モンサント社から発売されているDEQUEST(登録商標)2041は、エチレンジアミン[テトラ(メチレンホスホン酸)]、モベイケミカル(Mobay Chemical)社の無機化学部門(ペンシルバニア州ピッツバーグ)から発売されているBayhibit AMは、2−ホスホノブタン−1,2,4−三カルボン酸を含む。
【0131】
金属イオン封鎖剤は、アミノカルボン酸型の金属イオン封鎖剤であるか、又はそれを含むことができる。適切なアミノカルボン酸型金属イオン封鎖剤は、例えばアミノアセテート及びその塩などの酸又はアルカリ金属塩を含む。適切なアミノカルボン酸塩は、N−ヒドロキシエチルアミノアセト酢酸と、ヒドロキシエチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸(NTA)と、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)と、N−ヒドロキシエチル−エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)と、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)と、アラニン−N,N−二酢酸などと、それらの混合物を含む。
【0132】
金属イオン封鎖剤は、ポリカルボン酸塩であるか、又はそれを含むことができる。適切なポリカルボン酸塩は、ポリアクリル酸、マレイン酸/オレフィン酸コポリマー、アクリル酸/マレイン酸コポリマー、ポリメタクリル酸、アクリル酸−メタクリル酸コポリマー、加水分解されたポリアクリルアミド、加水分解されたポリメタクリルアミド、加水分解されたポリアミド−メタクリルアミドコポリマー、加水分解されたポリアクリロニトリル、加水分解されたポリメタクリロニトリル、加水分解されたアクリロニトリル−メタクリロニトリルコポリマー、ポリマレイン酸、ポリフマル酸、アクリル酸及びイタコン酸のコポリマー、ホスフィノポリカルボン酸塩、その酸又は塩形態、その混合物などを含む。
【0133】
ある実施形態において、本組成物は約0.01〜約10重量%の安定化剤を、約0.4〜約4重量%の安定化剤を、約0.6〜約3重量%の安定化剤を、約1〜約2重量%の安定化剤を含む。すべての値及びこれらの値の範囲は、本発明に包含されることを理解されたい。
【0134】
湿潤剤又は消泡剤
本発明の組成物では、湿潤剤及び消泡剤も有用である。湿潤剤は、本発明の組成物の面接触又は浸透活性を増大させる働きをする。本発明の組成物で使用される湿潤剤は、当業者の間では本発明の組成物の面活性を増大させることが知られている、これら成分のいずれかを含む。
【0135】
一般的に、本発明に従って使用される消泡剤は、シリカ、シリコンと、脂肪酸もしくはエステルと、アルコールと、硫酸塩もしくはスルホン酸塩と、アミンもしくはアミドと、フルオロクロロヒドロカーボンなどのハロゲン化物と、植物油、蜜蝋、鉱物油、ならびにそれらのスルホン化又は硫酸化誘導体と、脂肪酸及び/又はアルカリやアルカリ土類金属セッケンといったセッケンと、アルキル及びアルカリ二リン酸塩などのリン酸塩及びリン酸エステル、ならびにその他のトリブチルリン酸塩と、それらの混合物を含む。
【0136】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、本発明の方法の用途を考慮すると、食品等級品質の発泡防止剤又は消泡剤を含む。このため、一つ又はそれ以上の有効な発泡防止剤はシリコーンを含む。ジメチルシリコーン、グリコールポリシロキサン、メチルフェノールポリシロキサン、トリアルキル又はテトラルキルシラン、疎水性シリカ消泡剤及びその混合物などのシリコーンは、あらゆる消泡用途に使用される。一般市場で入手できる消泡剤には、アーマー・インダストリアル・ケミカルズ(Armour Industrial Chemical)社から発売されている、有機エマルションにシリコーンを結合させたArdefoam(登録商標)と、クルセイブル・ケミカル(Krusable Chemical)社から発売されている、シリコーンタイプ及びノンシリコーンタイプ、並びにシリコーンエステルの消泡剤であるFoam Kill(登録商標)又はKresseo(登録商標)と、いずれも食品等級タイプのシリコーンであるダウ・コーニング(Dow Corning)社のAnti−Foam A(登録商標)及びDC−200などが含まれる。これらの消泡剤は、約0.01重量%〜約20重量%、約0.01重量%〜約5重量%、又は約0.01重量%〜約1重量%の濃度範囲で提供されている。
【0137】
増粘剤又はゲル化剤
本発明の組成物は、既知の各種増粘剤のいずれかを含むことができる。適切な増粘剤は、キサンタンガム、グアルガム、植物粘質物から形成されるその他のガムをはじめとする天然ガムと、アルギン酸塩、デンプン、セルロースポリマー(例えばカルボキシメチルセルロース)といった多糖類系増粘剤と、ポリアクリラート増粘剤と、ペクチンのようなヒドロコロイド増粘剤などを含む。ある実施形態において、増粘剤は対象物の面上に汚れの原因となる残留物を残さない。例えば、増粘剤又はゲル化剤は、接触部において、食品又は影響を受けやすいその他製品との融和性をもつ。一般的に、本組成物又は本方法で用いられる増粘剤の濃度は、最終組成物で求められる粘度により決定されることになる。しかしながら、一般的なガイドラインでは、本組成物での増粘剤の粘度は約0.1重量%〜約5重量%、約0.1重量%〜約1.0重量%、約0.1重量%〜約0.5重量%と多岐にわたる。
【0138】
凝固剤
本発明の組成物は、組成物を固体状に保持するために寄与することができる凝固剤を含むことができる。一部の実施形態において、凝固剤は組成物を固体に形成するか、又はその状態を保持することができる。他の実施形態において、スルホン化ペルオキシカルボン酸の最終的な放出に容認し難い減損がなければ、凝固剤は組成物を固体化させることができる。凝固剤は、例えば、中性不活性特性を有するか、又は本組成物の機能性、安定性又は洗浄性に寄与する有機又は無機固形化合物を含むことができる。適合する凝固剤は、固形ポリエチレングリコール(PEG)、固形ポリプロピレングリコール、固形EO/POブロックコポリマー、アミド、尿素(カルバミドとしても知られる)、非イオン界面活性剤(結合剤と共に用いられる)、陰イオン界面活性剤、水溶化デンプン(例えば、酸又はアルカリ処理工程を経たもの)、水溶化セルロース、無機剤、ポリエチレン(無水マレイン酸/メチルビニルエーテル)、ポリメタクリル酸、その他一般的な高融点機能性又は不活性材料、その混合物などを含む。
【0139】
適切なグリコール凝固剤は、固形ポリエチレングリコール又は固形ポリプロピレングリコールで、例えば、分子量が約1,400〜30,000のものである。ある実施形態において、凝固剤は、PEG(例えば、PEG1500〜PEG20,000である)であるか、又はそれを含む。ある実施形態において、PEGはPEG1450、PEG3350、PEG4500、PEG8000、PEG20,000などを含む。適切な固形ポリエチレングリコールは、商品名CARBOWAXとしてユニオン・カーバイド(Union Carbide)社から発売されている。
【0140】
適切なアミド凝固剤は、ステアリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、ココジエチレンアミド、アルキルアミド、その混合物などを含む。一つの実施形態において、本発明の組成物はグリコール(例えばPEG)及びアミドを含む。
【0141】
適切な非イオン界面活性凝固剤は、ノニルフェノールエトキシレート、直鎖アルキルアルコールエトキシレート、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、その混合物などを含む。適切なエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマーは、Pluronicという商標名(Pluronic108又はPluronic F68など)で、BASF社から発売されている。一部の実施形態において、非イオン界面活性剤は、室温で、又は組成が貯蔵あるいは使用される温度で、固形であるものが選別される。他の実施形態において、非イオン界面活性剤は、カップリング剤との組み合わせにおいて、水溶性を低減させるために選別される。非イオン界面活性凝固剤と併せて用いられる適切な結合剤は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、その混合物などを含む。
【0142】
適切なアニオン界面活性凝固剤は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルコール硫酸塩、アルコールエーテル硫酸塩、アルファオレフィン硫酸塩、その混合物などを含む。ある実施形態において、アニオン界面活性凝固剤は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩であるか、又はそれを含む。ある実施形態において、アニオン界面活性剤は室温で、又は組成が貯蔵あるいは使用される温度で、固形であるものが選別される。
【0143】
適切な無機凝固剤は、リン酸塩(例えば、アルカリ金属リン酸塩)、硫酸塩(例えば、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム又は硫酸水素ナトリウム)、酢酸塩(例えば、無水酢酸ナトリウム)、ホウ酸塩(例えば、ホウ酸ナトリウム)、ケイ酸塩(例えば、沈殿状態物又はガス状態物(Degussaから発売されているSipernat50(登録商標)など))、炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム又は炭酸塩水和物)、その他既知の水和可能な化合物、その混合物などを含む。ある実施形態において、無機凝固剤は、E型組成物のような有機ホスホン酸塩化合物及び炭酸塩を含む。
【0144】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、本組成物に含まれ得るために必要な凝固度及び水溶解度を提供する任意の薬剤又は薬剤の組み合わせを含む。他の実施形態において、本組成物中の凝固剤の濃度を増加させることは、組成物の硬度が上昇する傾向につながることがある。さらに他の実施形態において、凝固剤の濃度を低減させることは、濃縮組成物を緩めたり、軟質にしたりする傾向につながることがある。
【0145】
一部の実施形態において、凝固剤は、例えば水性環境におかれた場合に、本組成物に凝固性を賦与するか、及び/又は本組成物の溶解性を抑制する、任意の有機又は無機化合物を含むことができる。例えば、凝固剤は、本組成物中の他の成分と比較してはるかに水溶性が高くても、制御された分配を可能にする。尿素は、こういった凝固剤の一つとなり得る。さらなる例として、水溶性の低減又は溶解速度の低下が有益となり得る系において、有機非イオン剤又はアミド硬化剤が適することがある。
【0146】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、本組成物の簡便な加工又は製造に必要となる凝固剤を含む。例えば、凝固剤は、混合が終了して混合装置から取り出された後、約30〜約50℃の環境温度下で、約1分〜約3時間以内、又は約2分〜約2時間以内、又は約5分〜約1時間以内で、固形へ硬化することができる組成物を形成できるように選択されることができる。
【0147】
本発明の組成物は、いずれの実効量でも凝固剤を含むことができる。本発明の組成物に含まれる凝固剤の量は、組成物のタイプ、組成物の成分、組成物の意図される用途、使用の際に固形組成物として適用するための溶液配分量、配分溶液の温度、配分溶液の硬度、固形組成物の物理的大きさ、他成分の濃度、組成物中の洗浄剤濃度、及びその他の類似要因に応じて多様となる。適合量は、約1〜約99重量%、約1.5〜約85重量%、約2〜約80重量%、約10〜約45重量%、約15〜約40重量%、約20〜約30重量%、約30〜約70重量%、約40〜約60重量%、約50重量%以内、約40〜約50重量%を含む。
【0148】
担体
一部の実施形態において、本発明の組成物は担体を含む。担体は、組成物の他の成分を溶解、懸濁、又は担持する媒体となる。例えば、担体は、スルホン化ペルオキシカルボン酸の溶解、懸濁、生成の媒体に、また平衡混合物の形成の媒体になる。担体は、対象物上に本発明の組成物を送達し、湿潤させるために機能することもできる。この目的のため、担体はこれらの機能を促進できる1種又は複数の成分をいずれも含み得る。
【0149】
一部の実施形態において、担体は主に、溶解性を助成し、反応及び平衡に対する媒体として作用し得る水を含む。担体は、主に単純アルキルアルコール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ベンジルアルコールなどの有機溶剤であるか、又はそれらを含む。ポリオールもまた有用な担体であり、グリセロール、ソルビトールなどを含む。
【0150】
適切な担体は、グリコールエーテルを含む。適切なグリコールエーテルは、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールn−プロピルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールt−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールtert−ブチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル酢酸塩、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル(ダウ・ケミカル(Dow Chemical)社から発売されているDOWANOL EPH(商標))、プロピレングリコールフェニルエーテル(ダウ・ケミカル社から発売されているDOWANOL PPH(商標))など、又はそれらの混合物を含む。追加される適切な市販グリコールエーテル(すべてユニオン・カーバイド社から発売されている)は、ブトキシエチルPROPASOL(商標)、ブチルCARBITOL(商標)酢酸塩、ブチルCARBITOL(商標)、ブチルCELLOSOLVE(商標)酢酸塩、ブチルCELLOSOLVE(商標)、ブチルDIPROPASOL(商標)、ブチルPROPASOL(商標)、CARBITOL(商標)PM−600、CARBITOL(商標)低比重体、CELLOSOLVE(商標)酢酸塩、CELLOSOLVE(商標)、エステル EEP(商標)、FILMER IBT(商標)、ヘキシルCARBITOL(商標)、ヘキシルCELLOSOLVE(商標)、メチルCARBITOL(商標)、メチルCELLOSOLVE(商標)酢酸塩、メチルCELLOSOLVE(商標)、メチルDIPROPASOL(商標)、メチルPROPASOL(商標)酢酸塩、メチルPROPASOL(商標)、プロピルCARBITOL(商標)、プロピCELLOSOLVE(商標)、プロピDIPROPASOL(商標)、プロピPROPASOL(商標)を含む。
【0151】
一部の実施形態において、担体は、本発明の組成物の大部分を構成し、スルホン酸ペルオキシカルボン酸、酸化剤、追加成分などとは別の、組成物の残り部分を占めることもある。担体の濃度及び種類は、全体としての組成物の性質、貯蔵環境、スルホン酸ペルオキシカルボン酸の濃度をはじめとする応用方法等によって決められる。特に担体は、漂白、殺菌、消毒といった使用意図に対し、本発明の組成物中のスルホン酸ペルオキシカルボン酸の有効性を阻害しない濃度を選択し使用しなければならない。
【0152】
ある実施形態において、本組成物は、約5〜約90重量%の担体を、約10〜約80重量%の担体を、約20〜約60重量%の担体を、約30〜約40重量%の担体を含む。すべての値及びこれらの値の範囲は、本発明に包含されることを理解されたい。
【0153】
使用組成物
本発明の組成物は、濃縮組成物及び使用組成物を含む。例えば、濃縮組成物は使用組成物にするために水などで希釈することができる。ある実施形態において、濃縮組成物は対象物に適用する前に、使用溶液まで希釈することができる。経済性の観点から、濃縮物は市場性があり、エンドユーザーが濃縮物を水又は水性希釈剤で希釈し、使用溶液を形成することができる。
【0154】
濃縮組成物中の活性成分の濃度は、意図される希釈要因及びスルホン酸ペルオキシカルボン酸化合物の好ましい活性に依存する。一般的に、約1液体オンス:水約10ガロン〜約10液体オンス:水約1ガロンの希釈物が、本発明の水性組成物として使用される。一部の実施形態において、使用温度が高くなる(25℃以上)か、又は暴露時間の延長(30秒以上)が必要な場合、より高濃度の使用希釈物が必要になる。主たる使用場所において、濃縮物は、公共水道又は配給水を使用して大量の水で希釈されるが、材料の混合は、100ガロンの水当たり約3〜約40オンスの濃縮物の希釈割合である。
【0155】
一部の実施形態において、洗濯用途において使用される際、希釈剤に対して、約0.1g/L〜約100g/L、約0.5g/L〜約10.0g/L、約1.0g/L〜約4.0g/L、約1.0g/L〜約2.0g/Lの濃縮物の希釈比で、濃縮組成物は希釈される。
【0156】
他の実施形態において、使用組成物は、約0.01〜約10重量%の濃縮組成物と約90〜約99.99重量%の希釈剤、又は約0.1〜約1重量%の濃縮組成物と約99〜約99.9重量%の希釈剤を含むことができる。
【0157】
使用組成物の成分量は、濃縮組成物及びこれらの希釈要因に対する上述の量から計算できる。一部の実施形態において、例えば洗濯用途にて、使用される際、本発明の濃縮組成物は、スルホペルカルボン酸が約20ppm〜約80ppmで含まれるように希釈される。他の実施形態において、本発明の濃縮組成物は、スルホペルカルボン酸が約20ppm、約40ppm、約60ppm、約80ppm、約500ppm、約1000ppm、又は約10,000ppm〜約20,000ppm含まれるように希釈される。すべての値及びこれらの値の範囲は、本発明に包含されることを理解されたい。
【0158】
スルホペルオキシカルボン酸化合物及び組成物の利用方法
一部の態様において、本発明は、本発明のスルホペルオキシカルボン酸化合物及び組成物の使用方法を含む。一部の実施形態において、これらの方法は、スルホペルオキシカルボン酸の抗菌及び/又は漂白活性を利用する。例えば、本発明は、病原菌群を減少させる方法、皮膚上の微生物群を減少させる方法、皮膚病を治療する方法、臭気を減らす方法、及び/又は漂白の方法を含む。これらの方法は、物品、面、水域又は気体域などに作用を及ぼすことができるが、それは物品、面、物体、気流に本発明のスルホペルオキシカルボン酸化合物又は組成物が接触することによる。接触には本発明の化合物又は組成物を適用する多くの方法、例えば、化合物又は組成物の噴霧、化合物又は組成物中への物品の浸漬、物品に対する化合物又は組成物の泡又はゲル処理、又はそれらの組み合わせのいずれかが含まれる。
【0159】
一部の態様において、本発明の組成物は、食品に関連する1種以上の食物由来病原菌を死滅させるのに有効な量の本発明のスルホペルオキシカルボン酸を含む。こうした病原菌には、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、サルモネラ・ジャビアナ(Salmonella javiana)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)及び大腸菌(Escherichia coli)O157:H7、酵母菌、カビなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。一部の実施形態において、本発明の組成物は、ヘルスケア面及び環境に関連する1種又はそれ以上の病原菌を死滅させるのに有効な量の本発明のスルホペルオキシカルボン酸を含む。こうした病原菌には、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、サルモネラ・コレラエスルス(Salmonella choleraesurus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、大腸菌、酵母菌、カビなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。本発明の化合物及び組成物は、グラム陽性菌(例えば、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)又は黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus))、グラム陰性菌(例えば、大腸菌又は緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa))、バクテリア、酵母菌、カビ、細菌胞子、ウィルスなどの広範な微生物菌種に対し活性をもつ。本発明の化合物又は組成物は、上述のように、ヒト病原菌の広範な菌種に対し活性をもつ。本化合物及び組成物は、食品加工面上、食品面上、食品の洗浄又は加工に使用される水、ヘルスケア面、ヘルスケア環境で、広範な種類の微生物を死滅させることができる。
【0160】
本発明の化合物は、様々な家庭用途、工業用途に使用されるが、その目的は例えば、面、対象物、水域又は水流中の微生物群、ウィルス群の低減である。化合物は、台所、浴室、工場、病院、歯科医院、食品生産設備を含む様々な場所で使用され、また平坦な、又は不均整な、又は多孔質の組織分布をもつ様々な硬質面又は軟質面に対して使用できる。適切な硬質面は、例えば、建築用面(例えば、床、壁、窓、流し、テーブル、カウンター、看板など)と、食事用器具類と、硬質面をもつ医療用又は外科用機器と、硬質面をもつ包装類などを含む。このような硬質面は、例えば、セラミック、金属、ガラス、木材、硬質プラスティックなどを含む様々な素材から形成されている。適切な軟質面は、例えば、紙と、濾過剤と、病院及び外科用リネン及び衣類と、軟質面をもつ医療用又は外科用機器及び装置と、軟質面をもつ包装類などを含む。このような軟質面は、例えば、紙、繊維、織布又は不織布、軟質プラスティック、エラストマーなどを含む様々な素材から形成されている。本発明の化合物は、食品や皮膚(例えば、手など)の軟質面にも使用される。本化合物は、泡沫状又は非泡沫状環境殺菌剤又は消毒剤としても利用される。
【0161】
本発明の化合物及び組成物は、滅菌剤、殺菌剤、消毒剤、防腐剤、消毒薬、防カビ剤、殺菌薬、殺胞子剤、抗ウィルス剤、洗剤、漂白剤、硬質面クリーナー、手指用セッケン、無水手指消毒剤、及び外科手技前後用スクラブなどの製品を含む。
【0162】
また、化合物は、哺乳類皮膚処理剤のような獣医製品に、又は動物用囲い、畜舎、水飲み場、ならびに診察台や手術室などの獣医処置区域の殺菌・消毒用製品にも使用されることができる。本化合物は、家畜又は人の消毒用フットバスにも利用される。本発明の化合物は抗菌乳首消毒にも使用される。
【0163】
一部の態様において、本発明の化合物は、ヒト又は動物の病原菌などの病原性微生物群を減らすために利用される。化合物は、菌類、カビ、バクテリア、胞子、及びウィルス、例えば黄色ブドウ球菌(S.aureus)、大腸菌(E.coli)、連鎖状球菌(Streptococci)、レジオネラ属菌(Legionella)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、マイコバクテリア、結核菌、ファージなどを含む病原菌に対し活性を示す。このような病原菌は、乳腺炎又は他の哺乳動物搾乳疾患、結核及び類似疾患を含む様々な疾患又は障害の原因となり得る。本発明の化合物は、動物の皮膚、又はその他の外表面若しくは粘膜表面に存在する微生物群を低減できる。さらに、本化合物は、水、空気又は基材表面によって運ばれることで拡散する病原微生物を死滅させることができる。化合物は、動物の皮膚、その他の外表面若しくは粘膜の表面、水、空気、面に使用するだけでよい。
【0164】
一部の実施形態において、本発明の化合物及び組成物は、面上のプリオン群の低減に使用される。プリオンは、核酸をもたない感染性タンパク質粒子である。プリオンは、ヒトにおけるクールー、クロイツフェルト−ヤコブ病、ゲルストマン−シュトロイスラー−シャインカー病、致死性家族性不眠症と、ヒツジにおけるスクラピーと、ウシにおけるウシ海綿状脳症(狂牛病)と、ミンクにおける伝染性海綿状脳症と、シカ及びエルクにおける慢性消耗性疾患と、ネコにおけるネコ海綿状脳症を含む、いくつかの脳疾患の原因として知られる。これらの疾患は、認知症、運動失調症、行動性障害、眩暈、不随意運動、死を含む症状を招く。プリオンは、感染組織及び脳組織、脊髄組織、下垂体組織、及び特に眼組織に暴露することにより伝染する。一部の実施形態において、本発明の化合物及び組成物は、参照により全内容が本明細書に援用される米国特許第7470655号に記述される方法に則り、プリオン群の低減に使用される。
【0165】
また、殺菌性化合物は、食品及び植物種について、面の微生物群を低減するために使用されるか;このような食品及び植物種を扱う製造又は加工場で、若しくはこのような場所で、加工用水の処理に使用される。例えば、化合物は、食品輸送ライン(例えばベルトスプレーなど)と、靴及び手指洗浄用消毒パンと、食品貯蔵設備と、腐敗防止空気循環システムと、冷凍及び冷却機器と、飲料用冷蔵庫及び温蔵庫、ブランチャー、まな板、サードシンク区域、食肉冷蔵庫又は熱湯処理機器に使用される。本発明の化合物は、フリューム、パイプライン、カッター、スライサー、ブランチャー、高温滅菌装置、洗浄機などで利用される、生産物輸送用水の処理に使用される。本発明の化合物による処理が必要な特定の食料品としては、卵、肉、種子、植物葉、果実、野菜が挙げられる。特定の植物面としては、葉、根、種子、皮又は殻、茎、柄、塊茎、球茎、果実などが挙げられる。また、化合物は、食肉用動物屠体の、病原性及び非病原性微生物濃度を低減させるためにも使用できる。
【0166】
また、殺菌化合物は、その殺菌作用及び酸化特性が利用できるような廃水処理にも使用される。廃水環境の微生物問題からは離れるが、硫黄、窒素、リン酸を低減する化合物はしばしば不快な臭いが強い。本発明のような強い酸化剤は、これらの化合物を硫酸塩、リン酸塩、アミンオキシドなどの無臭の誘導体に転化させるのに有効である。漂白特性が大きな効果を上げるような製紙産業においても、これらと同様の特性は非常に有用である。
【0167】
幾つかの態様において、本発明の組成物は、エポキシ化に利用される。高分子産業は過酸、特にペルオキシ酢酸の主な需要者であるが、典型的な平衡ペルオキシ酢酸もまた、エポキシド誘導体が問題となる強酸性残留物を含む。それゆえに、安定した過酸の単離は、この産業において大きな有用性を秘めている。
【0168】
幾つかの態様において、本発明の化合物及び組成物は、食品サービス又は食品加工産業において、コンテナ、加工設備、又は機器の洗浄、殺菌に有用である。本化合物及び本組成物は、食品包装材及び機器、特に冷却又は熱殺菌包装の使用において際だった価値を持っている。本組成物の化合物が利用される加工設備の例は、牛乳搾乳ライン、連続醸造装置、食品加工ライン、例えば食品圧出装置及び飲料ラインなどである。食品サービス製品は、本発明の化合物で滅菌消毒できる。また、例えば、化合物は、食器洗浄機、低温食器洗浄機、食器、洗瓶機、瓶冷蔵機、温蔵機、サードシンク洗浄機、カッティング区域(例えば、ウォーターナイフ、スライサー、カッター、ノコギリなど)、卵洗浄機などでも使用される。特定処理面には、カートン、瓶、フィルム、レジンなどの包装類と、グラス、皿、什器、鍋釜類などの食器類と、食器洗浄機、及び低温食器洗浄機と、シンク、カウンター、テーブル、床、壁などの非包装食品調理区域面と、タンク、バット、ライン、ポンプ、ホース(例えば、加工乳、チーズ、アイスクリーム、その他乳製品用搾乳加工設備など)と、輸送車両が含まれる。コンテナには、グラス、瓶、PVC又はポリオレフィンフィルムの袋、缶、ポリエステル、各種容量(100mL〜2Lなど)のPENもしくはPETボトル、1ガロンのミルクコンテナ、ジュース又は牛乳の紙パックなどが含まれる。
【0169】
また、本化合物及び本組成物は、その他産業機器、ならびにヒーター、冷却塔、高温滅菌用水洗浄水、滅菌包装洗浄水などの他の産業加工用水にも使用される。本化合物は、プール、スパ、娯楽用フリューム、ウォータースライダー、噴水などの娯楽用水における微生物及び臭気の処理に使用される。
【0170】
本化合物を含むフィルターは、空気中又は液体中の微生物群を低減させることができる。このようなフィルターは、レジオネラ属菌(Legionella)などの水中、空気中に生ずる病原菌を取り除くことができる。
【0171】
本化合物は、排水設備又はその他の面の微生物群、ハエ類、その他の昆虫幼虫の低減に利用できる。
【0172】
また、本発明の化合物は、使用溶液中に食品加工器材を浸漬する、つまり殺菌に充分な時間だけ器材を浸しておき、その後に不要な液を除去払拭することによっても利用されることができる。さらに、化合物は、使用溶液を使用して食品加工面に噴霧したり、払拭したりすることで、つまり面を殺菌に充分な時間だけ塗布した状態を保ち、その後に払拭、立てかけによる排液、吸い取りなどを行って不要溶液を除去することによっても利用されることができる。
【0173】
また、本発明の化合物は、規格化器材、什器、食器、ヘルスケア機器若しくは道具類、その他の硬質面などの硬質面に対する殺菌方法において使用することもできる。
【0174】
殺菌化合物は、微生物に対し、又は汚れの有無に関係なく様々な用途に使用される面に対し使用できる。これらの方法は、物品、面、水域又は気体域などに作用を及ぼすことができるが、それは物品、面、物体、気流に本発明の化合物又は組成物が接触することによる。接触には、本発明の化合物又は組成物を適用する多くの方法、例えば、化合物の噴霧、化合物中への物品の浸漬、化合物の物品に対する泡又はゲル処理、又はその組み合わせなどのいずれかが含まれる。
【0175】
本発明の化合物の濃縮物又はその使用は、対象物に殺菌又は洗浄化合物を塗布するための従来の方法又は器具を使用することにより、対象物に適用されるか、又は接触させることである。例えば、対象物に対し、化合物又はその溶液を使用して払拭、噴霧、泡沫、浸漬する。化合物は、面に対し噴霧、泡沫、払拭されることができて、化合物で面を洗い流したり、化合物に面を浸漬したりすることができる。接触は手作業又は機械により行う。食品加工面、食品、食品加工又は輸送用水などは、本発明又はこれらの化合物を含む溶液による液体、泡、ゲル、エアロゾル、気体、ワックス、固形、もしくは粉末安定化された化合物によって処理されることができる。
【0176】
洗濯用途
一部の態様において、また、化合物及び組成物は、汚れてしまったテキスタイル製品などの殺菌に利用される。製品は、約4℃〜80℃の範囲の使用温度で、殺菌、消毒、滅菌に充分効果のある時間だけ本発明の化合物と接触させられる。一部の実施形態において、本発明の化合物は、約30℃〜約50℃又は約40℃の温度で製品を漂白及び/又は殺菌するために使用されることができる。例えば、一部の実施形態において、本発明の化合物は、洗濯機の洗浄又はすすぎ水に投入され、汚れのある布帛に殺菌効果をもたらす時間だけ接触させられる。一部の実施形態において、約5〜約30分間、本発明の化合物及び組成物に汚れのある布帛を接触させる。余分な溶液は、その後にすすぎ又は遠心脱水により除去されることができる。
【0177】
一部の態様において、本発明の化合物及び組成物は、白くしたり、明るくしたり、基材(例えば、硬質面又は布帛)から汚れを取り除くために漂白剤として使用される。本発明の化合物は、化繊・綿混合、ウール、ポリエステルなどの従来のテキスタイルの漂白又は汚れ除去に使用される。また、本発明の化合物は、テキスタイル耐性もある。すなわち、本発明の化合物は、実質的に、使用されるテキスタイルを劣化させることはない。本発明の化合物は、口紅、顔料/皮脂、顔料/ラノリン、すす、オリーブ油、鉱物油、モーターオイル、血液、化粧品、赤ワイン、紅茶、ケチャップ、及びその組み合わせなどの様々な原因の様々な汚れを落とすために使用されることができる。
【0178】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、低臭酸性漂白剤として使用できる。一部の実施形態において、本発明の化合物は元のpH、すなわち約7で低臭漂白剤として使用できる。一部の実施形態において、本発明の化合物はアルカリ性pH、約8、9、10で使用できる。さらに他の実施形態において、本発明の化合物は、酸化、漂白、殺菌が一体化した製品として使用できる。
【0179】
本発明の化合物及び組成物は、テキスタイルなどの製品を処理するために、単独で使用できるだけでなく、製品の処理に適した従来の洗剤と併用することもできる。本発明の化合物及び組成物は、様々な方法で従来の洗剤とともに使用できるが、例えば本発明の化合物及び組成物は、従来の洗剤と合剤できる。他の実施形態において、本発明の化合物及び組成物は、従来の洗剤と別々に添加して製品を処理することもできる。別々に添加して使用する場合、本発明の化合物及び組成物は、処理する製品にいつ接触させてもよい。例えば、特定の洗剤と製品を接触させるとき、本発明の化合物及び組成物を、その前後又は実質的に同時に製品と接触させてもよい。
【0180】
一部の実施形態において、洗濯用途で漂白剤、及び/又は殺菌剤、及び/又は消毒剤として使用する際、本発明の化合物又は化合物の混合物は、約5ppm〜約1000ppmで組成物中に存在するであろう。他の実施形態において、洗濯用途で漂白剤、及び/又は殺菌剤、及び/又は消毒剤として使用する際、本発明の化合物又は化合物の混合物は、約25ppm〜約100ppmで組成物中に存在するであろう。他の実施形態において、洗濯用途で漂白剤、及び/又は殺菌剤、及び/又は消毒剤として使用する際、本発明の化合物又は化合物の混合物は、約20ppm、約40ppm、約60ppm、約80ppmで組成物中に存在するであろう。さらに他の実施形態において、本発明の化合物又は化合物の混合物は、そのまま漂白剤として利用される。すなわち、本化合物又は化合物の混合物は、約100重量%で組成物中に存在するであろう。
【0181】
クリーンインプレース(定置洗浄)
本発明の化合物のための他の硬質面洗浄用途としては、定置洗浄装置(CIP)、分解洗浄装置(COP)、洗浄機−除染機、滅菌器、織物洗濯機、超濾過及びナノ濾過装置、並びに屋内エアフィルターが挙げられる。COP装置には、洗浄槽、浸漬容器、モップバケツ、汚水槽、洗浄シンク、車輌部品洗浄機、間欠洗浄機及び装置などの容易に分解移動ができる装置が含まれる。CIP装置には、飲料、牛乳、ジュースといった主に液体製品の加工工程で使用される槽、ライン、ポンプ、その他の加工設備の内部部品が含まれる。
【0182】
一般的に、定置装置又は他の面の実際の洗浄(例えば、内部の望ましくない残滓の除去)は、異なる材料(例えば、温水によって導入される調合された洗剤など)を用いて達成される。この洗浄工程の後、加熱していない周囲温度の水を使った使用溶液濃度で、速やかに調製した組成物が、装置中に適用されるか、又は導入される。CIP法では、主に毎分約40〜約600リットルの幅の流速、周囲温度から約70℃までの温度、少なくとも10秒、例えば約30〜120秒の接触時間が利用される。本組成物は、冷水(例えば、40°F/4°C)中でも温水(例えば、140°F/60℃)中でも溶液状態を保つことができる。本組成物の水性使用溶液を加熱することは、通常は必要ではないが、幾つかの環境下においては、加熱することが、さらにその活性を高めるために好ましい場合もある。これらの材料は、いずれの想定温度でも有用である。
【0183】
実質的に固定された定置加工設備の殺菌方法は、以下のステップを含む。本発明の使用溶液は、約4℃〜60℃の範囲の温度で加工設備内に導入される。使用溶液の導入後、加工設備を殺菌するのに十分な時間(例えば、望ましくない微生物を死滅させるために)に亘って、その溶液がコンテナ内に保持されるか、又は装置の全体を循環させられる。その面が本組成物によって殺菌された後、使用溶液が排出される。殺菌工程の完了時に、所望により、装置は、飲料水などの他の材料で濯ぎ洗いされてもよい。本組成物は、加工設備内を10分以下に亘って循環させられることができる。
【0184】
本方法は、こうした設備のパイプ及びタンク内部などの定置洗浄面又はその他の面へ空気送達を介して本組成物を送達させる手順を含む。この空気送達法により、必要な溶液の体積を低減できる。
【0185】
食品とスルホペルオキシカルボン酸化合物との接触
一部の態様において、本発明は、この化合物又は組成物の利用に適した方法又は器具を用いて、食品とスルホペルオキシカルボン酸化合物又は組成物との接触の方法を提供する。例えば、一部の実施形態において、化合物の噴霧、化合物への浸漬、化合物の泡沫又はゲル処理によって、食品は本発明の化合物と接触する。噴霧、泡沫、ゲル及び浸漬による接触は、食品への殺菌剤利用として当業者間で周知の様々な方法で行われる。耕地、加工場又は加工設備、車輌、倉庫、商店、レストラン、家庭など、食品が存在する場所であればどこでも、食品との接触は起こり得る。同様の方法は、本発明の化合物の対象物への適用に合わせて調整することもできる。
【0186】
本方法は、化合物と食品との接触時間を最小限に抑えながら、大きな殺菌効果を実現できる。接触時間は、使用化合物の濃度、使用化合物の利用方法、使用化合物の温度、食品の汚れの量、食品上の微生物数、殺菌剤のタイプなどの要因に応じて、様々に変化することがある。暴露時間は、少なくとも約5〜約15秒である。一部の実施形態において、暴露時間は、約15〜約30秒である。他の実施形態において、暴露時間は少なくとも約30秒である。
【0187】
一部の実施形態において、食品の洗浄方法は、本発明の化合物を入れた圧出スプレーを利用する。食品上でのスプレー溶液の噴霧中、食品の面を機械的動作、例えば撹拌、摩擦、払拭などの動作で動かすことができる。撹拌は、加圧下での溶液噴霧動作、超音波振動、あるいは他の方法によって、食品が物理的に摩擦されることにより起こることができる。撹拌は、微生物殺菌において噴霧溶液の効果を増大させる。これは、おそらく微生物を含む製品表面の溝又は小さなコロニーの中まで充分に溶液の暴露が行われるためである。噴霧溶液は、使用前に、約15〜20℃に温度を上げることもできるが、例えば、約20〜60℃で効果は増大する。噴霧安定化化合物は、微生物群の低減に適した充分な時間だけ、食品上にとどまることができる。次に、食品のすすぎ、排水、蒸発乾燥を行う。
【0188】
噴霧による材料の適用は、ハンドスプレー、接触を完全で確実なものにする食品用自動スプレー(複数のスプレーヘッドを使用しており、生産ラインに沿って動くもの)、又はその他の噴霧器を使用して行われる。自動スプレーの利用は、スプレーブースの使用を伴う。スプレーブースは、噴霧された化合物をブース内にしっかり閉じこめる。生産ラインは、スプレーブースに続く通路へ食品を運んでゆき、製品はブース内のスプレーで外側表面のすべてに噴霧される。ブース内で食品を完全に材料で覆い、材料の排液が行われた後、食品はブースから出てくる。スプレーブースには、本発明の安定化化合物を適用できるスチームジェットが備わっていることもある。このようなスチームジェットは、食品の表面に到達した薬液が、65℃以下(例えば60℃以下)になるように冷却水と組み合わせて使用されることもある。食品に対する噴霧温度は、食品が噴霧温度によって変質して(調理されて)しまわないようにするために重要である。噴霧パターンとしては、いずれの有用なパターンも使用可能である。
【0189】
本発明の液体安定化化合物中への食品の浸漬は、当業者にとって周知の様々な方法によって行われる。例えば、食品は、安定化化合物を含むタンク又は槽の中へ留置される。別の方法として、安定化化合物が流れる水路で食品を輸送又は加工する。洗浄溶液を撹拌することで、溶液の有効性と、食品に随伴する微生物群を低減する速度を増加させることが可能である。撹拌は、超音波法、溶液中へ空気を吹き入れる曝気、ストレーナー、パドル、ブラシ、液体噴射ポンプなどの機械的方法、又はこれらの組み合わせを含む、従来の方法で得られる。洗浄溶液を加熱することで、微生物を死滅させる効果が高まることがある。食品は、求められる殺菌効果を得るのに充分な時間に亘って浸漬された後、槽又は水路から引き上げられる。その後、安定化化合物を洗い流し、排液し、乾燥させる。
【0190】
一部の実施形態において、食品は、本発明の化合物を泡沫化したもので処理される。泡沫は、使用時に洗浄溶液と発泡界面活性剤を混合することで調製される。発泡界面活性剤は、実質的に、非イオン、陰イオン、陽イオンである。有用な界面活性剤の例としては、以下:アルコールエトキシレート、アルコールエトキシレートカルボン酸塩、アミンオキシド、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、スルホン酸塩(例えば、アルキルアリルスルホン酸塩、第四アンモニウム化合物、アルキルサルコシン、ベタイン及びアルキルアミド)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。発泡界面活性剤は、概して使用時に洗浄溶液と混合される。使用溶液に対する発泡剤の割合は、約50ppm〜約2.0重量%である。使用時に、混合液に圧縮空気を注入してから、タンク発泡機又は壁付吸引発泡機などの泡沫散布装置により食品面に塗布する。
【0191】
一部の実施形態において、食品は、本発明の化合物を増粘化又はゲル化したもので処理される。増粘化又はゲル化した状態では、洗浄溶液は、より長い時間に亘って食品面と接触したままであり、その結果として、殺菌効果が増大する。増粘化又はゲル化した溶液は、垂直面にも接着する。化合物又は洗浄溶液は、キサンタンガム、ポリマー増粘剤、セルロース増粘剤などの現行の技術により、増粘化又はゲル化される。また、アミンオキシド及び陰イオン性の対イオンなどの棒状ミセル形成系も使用されるであろう。増粘剤又はゲル形成剤は、濃縮製品に入れるか、又は使用時に、洗浄溶液と混合するか、どちらかの方法で使用される。増粘剤又はゲル剤の典型的な使用濃度は、約100ppm〜約10重量%である。
【0192】
飲料、食品、医薬を加工するための方法
本発明のスルホペルオキシカルボン酸化合物及び組成物は、フルーツジュース、乳製品、麦芽飲料、ダイズを原料とする製品、ヨーグルト、乳児用食品、瓶詰め水製品、紅茶、咳止め、医薬部外品、ソフトドリンクをはじめとする飲料、食品、医薬材料の製造で使用される。本発明の化合物は、殺菌するか、消毒するか、殺胞子剤として機能するか、又はこのような飲料製造で使用される瓶、ポンプ、パイプライン、タンク、混合用機器を滅菌するために使用される。さらに、本発明のスルホペルオキシカルボン酸殺菌化合物は、充填前に殺菌もしくは滅菌される食品、飲料、医薬部外品の容器内への無菌冷却充填操作において使用される。このような操作では、容器は、殺菌スルホペルオキシカルボン酸化合物と接触させられるが、おもに噴霧、浸漬、充填用装置を使用して、微生物を低減させるのに有効な時間に亘って、容器内部に直接スルホペルオキシカルボン酸化合物を接触させる。その後、使用した殺菌剤又は抗菌剤をすべて排出し、容器を空にする。空にした容器は、飲料水又は滅菌水で濯ぎ、再度空にする。濯ぎの後、容器は飲料、食品、医薬部外品を充填される。容器は密閉されてから、最終的な販売に向けた出荷用に包装される。密閉された容器は、追加された菌を殺菌するために、高圧殺菌又は滅菌することもできる。
【0193】
食品、飲料、医薬品製造において、子嚢菌(Chaetomium)又はアルスリニウム(Arthrinium)属の真菌及びバシラス(Bacillus)属の芽胞又はバクテリアは、ボトリング工程、特に冷却無菌ボトリング工程で大きな問題となりうる。本発明のスルホペルオキシカルボン酸化合物は、飲料、食品、医薬品の冷却無菌ボトリング技術を使ったボトリングラインで、子嚢菌(Chaetomium)又はアルスリニウム(Arthrinium)の数を抑制又は実質的に低減(5log10を超える低減まで)することを目的として使用される。
【0194】
この技術では、冷却無菌充填技術を使用して、金属、アルミニウム、鉄製の缶、ガラス瓶又は容器、プラスティック(PET、PBT、PEN)ボトルなどを充填することができる。この工程で、炭酸(非炭酸)飲料を充填する前の飲料容器を殺菌するために、本発明のスルホペルオキシカルボン酸材料が使用される。この用途に該当する主な炭酸飲料としては、コーラ飲料、フルーツ飲料、ジンジャーエール飲料、ルートビア飲料、そして非炭酸飲料のアイスティー飲料、及びソフトドリンクとみなされる他の一般的な飲料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明のスルホペルオキシカルボン酸材料は、ソフトドリンク材料の製造者に使用されるタンク、パイプライン、ポンプ、及びその他の機器並びにソフトドリンク材料の倉庫の両方を殺菌するために使用され、また飲料のボトリング又は容器において使用される。ある実施形態において、材料を殺菌するスルホペルオキシカルボン酸は、生産設備及び飲料容器の面に存在し得るバクテリア及び菌類微生物の両方を死滅させるのに有用である。
【0195】
本発明のスルホペルオキシカルボン酸化合物は、最低約50ppm、例えば約150ppm、約500ppm、もしくは約1000ppmのスルホペルオキシカルボン酸化合物の濃度から、微生物を効果的に死滅(例えば、30秒間で、1log10を超えるか、又は最大約5log10の低減)させることができる。ある実施形態において、スルホペルオキシカルボン酸化合物は、水を除いて、約0.001重量%〜約1重量%の濃度、例えば約0.01重量%〜約0.15重量%、又は約0.05重量%〜約0.1重量%の濃度で存在するであろう。
【0196】
記述される化合物のすべての酸、塩、塩基、及び他のイオン化又は非イオン化形態は、本発明の化合物として含まれる。例えば、化合物が本明細書で酸として示されていても、化合物の塩の形態も含まれる。同様に、化合物が本明細書で塩として示されていても、化合物の酸及び/又は塩基の形態も含まれる。
【0197】
当業者は、単なる所定の実験しか用いることなく、特定の手順、実施形態、特許請求の範囲、及び本明細書で記述される例に対する数多くの均等を理解するか、又は気付くことができるであろう。このような均等は、本発明の範囲内にあり、本明細書に添付されている特許請求の範囲によって保護されているとみなされる。本願を通して引用された全ての引用文献、特許、及び特許出願の内容は、参照により本明細書に援用される。本発明は以下の実施例でさらに説明されるが、それはさらに限定を加えるものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0198】
以下の実施例の幾つかを、スルホン化ペルオレイン酸製品を使用して実施した。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、工業用に入手できるスルホン化オレイン酸開始材料から形成される過酸が、本発明の化合物の混合物を含んでいると考えられる。これは、スルホン化オレイン酸開始材料の性質にある程度起因するものと考えられる。すなわち、スルホン化オレイン酸開始材料は、天然産出資源から抽出されているために化学的に純粋ではない、つまりスルホン化オレイン酸の一種類の形態のみを含んでいるとは限らないと考えられる。したがって、いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、これらの実施例に使用されるスルホン化ペルオレイン酸(以下では「スルホン化ペルオレイン酸製品」と呼ぶ)は、約20〜25重量%の化合物A(10−ヒドロキシ−9−スルホオクタデカンペルオキソ酸)、約20〜25重量%の化合物N(10,11−ジヒドロキシ−9−スルホオクタデカンペルオキソ酸)、約20〜25重量%の化合物I(9−ヒドロキシ−10−スルホオクタデカンペルオキソ酸)、及び約20〜25重量%の化合物O(8,9−ジヒドロキシ−10−スルホオクタデカンペルオキソ酸)を含んでいたと考えられる。過酸組成物の残りの部分には、これら化合物の混合物が約5〜約10重量%含まれていると考えられる。
【0199】
実施例1−高水準滅菌用途条件下での結合剤としてのスルホペルオキシカルボン酸の使用
スルホン化ペルオレイン酸製品を含む本組成物の化合物の安定性を評価するため、高水準滅菌(HLD)条件下、既知の市販消毒剤と比較して、ペルオキシオクタン酸(POOA)の安定性実験を実施した。
【0200】
調製物A、B、C及びそれらの混合物に対して、イーコラブ(Ecolab)社から発売されているペルオキシオクタン酸を含む製品Octave FS(登録商標)を試験した。調製物Aは、以下:2.5重量%の過酸品質のDequest2010(サームフォス(thermPhos)社から発売されている);61重量%の過酸化水(35%);2.50重量%の硫酸(98%);6.0重量%のオクタン酸;19重量%のHostapur SAS(40%)(クラリアント(Clariant)社から発売されている);及び9.00重量%のSXS−40(ステパン(Stepan)社から発売されている)の混合物であった。調製物Bは、約20重量%のスルホン化ペルオレイン酸製品、約10%のペルオクタン酸、約15重量%のオクタン酸、及び約0.5重量%の過酸化水素の混合物であった。調製物Cは、約25重量%のスルホン化ペルオレイン酸製品、及び約0.5重量%の過酸化水素の混合物であった。調製物A、B、及びCの混合物も試験した。試験溶液を脱イオン水で希釈して、約6.5のpHで存在する約1000ppmのPOOAを有する溶液を形成した。下表には、試験された5種の溶液、並びに試験されたときの各溶液中のppmとして得られるスルホン化ペルオレイン酸製品、POOA、過酸化水素の量を示す。
【0201】
【表4】

【0202】
試量を40℃で保管して、決められた時間での高精度液クロマトグラフィーにより存在するPOOA量を計測した。様々な時間での試料のHPLC分析の結果を以下の表に示す。
【0203】
【表5】

【0204】
また、これらの結果を図1にも図示する。上表及び図1に見られるように、本発明の化合物を含む試験溶液、つまり試験溶液3、4、及び5は、最初の24時間では、他の2種の試験溶液と比較してPOOAの損失量が少ない。48時間経過後も、試験された他の溶液中より、本発明の化合物を含む試験溶液中に多くの量のPOOAが残っていた。本発明の化合物を含む各試験溶液については、溶液中のPOOA損失量は線形でなく、さらにPOOAの分解速度は、POOAに対するスルホン化ペルオレイン酸製品の比率がより高いものほど、劇的に低下することが分かった。
【0205】
別の安定性研究を実施して、高温(すなわち、100°F)で本発明の組成物の安定性を評価した。約2重量%のスルホン化ペルオレイン酸製品を含む溶液、及び他の成分に約55重量%のH22を加えたものを使用した。スルホン化ペルオレイン酸製品及びH22の量を48日間にわたり計測した。結果を図2に示す。この図で見られるように、過酸化合物であるスルホン化ペルオレイン酸製品は、温度を上昇させても、計測期間中、その活性を維持した。
【0206】
さらに別の安定性研究を実施して、周囲条件下で、本発明の化合物、つまりスルホン化ペルオレイン酸製品と接触しているときの、ペルオキシオクタン酸の安定性を評価した。この研究のために、pHを約6〜約6.5で一定にさせた。この研究では、3種の調製物を試験した:調製物Dは、幾つかある含有物の中でも、スルホン化ペルオレイン酸製品、ペルオキシオクタン酸、過酸化水素、及びクメン硫酸ナトリウムの約5gの混合物を含んでいた;調製物Eは、スルホン化ペルオレイン酸製品、及びペルオキシオクタン酸の約0.5gの混合物を含んでいた;そして調製物Fは、イーコラブ社から発売されているOctave(登録商標)を含んでいた。15日間にわたり、活性ペルオキシオクタン酸の量を様々な時間で計測した。その結果を下表に示す。
【0207】
【表6】

【0208】
これらの結果を図3にも図示する。上の表及び図に見られるように、本発明の化合物を含む調製物、つまり調製物D及びEは、15日間にわたって、より高濃度のPOOA量を残している。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、本発明の化合物を含む組成物の追加が、組成物中の他のペルカルボン酸を安定させる作用があると考えられる。
【0209】
実施例2−漂白剤としてのスルホペルオキシカルボン酸の使用
漂白剤としての本発明の化合物の使用を評価した。人為的に汚した布帛材料を洗浄することにより、洗浄組成物の汚れ除去能力を測定した。汚れをつけるための布帛材料は、製造者又は供給者(例えば、テスト・ファブリック(Test Fabrics)社、ペンシルバニア州West Pittston)から購入した。オリーブ油、皮脂、化粧品、ワインなどの汚れの種類は、洗濯用途で見られる典型的な自然の汚れである。
【0210】
汚れをつけた材料を洗浄組成物とともにターグ−オ−トメーター(Terg−o−tometer、ユナイテッド・ステイツ・テスティング(United States Testing)社、ニュージャージー州Hoboken)で洗った。ターグ−オ−トメーターは1個の温度制御水槽を備え、時間と速度を調節できる頭上式撹拌機をもつ複数の容器で構成される研究室用洗浄装置である。洗濯試験パラメータは:洗濯温度、洗濯時間、pH、機械撹拌、洗浄組成投入量、水硬度、洗濯処方、布地/溶液比率を含んでいた。適切な暴露時間を経過した後、布帛サンプルを取り出した。試験化学物質を速やかに洗浄して、布地材料に対して5グレインの冷たい合成水でのすすぎを5回繰り返した。その後、分光光度計(例えば、Hunter ColorQuest XE(反射率)分光光度計など)で反射光の読み取りを行う前に、布地材料を白色のポリエステル・綿タオルの上に平らに広げ、一晩乾燥させた。
【0211】
汚れ除去(SR)の割合(%)(例えば、漂白能力)を判定するため、布帛サンプルの反射光を分光光度計で測定した。「L値」は分光光度計が示した直接示度である。Lは一般的に広域可視スペクトル反射率を示し、その値が100%であると、完全な白色である。汚れ除去%は、初期(洗濯前)明度(L)と最終L値(洗濯後)の差から計算される。
SR=((L最終−L初期)/(96−L初期))×100%
【0212】
スルホン化ペルオレイン酸製品を含む組成物と、以下:共にイーコラブ社から発売されているOzonit(登録商標)及びOxysan(登録商標)の市販漂白/洗浄組成物を比較しながら、漂白試験を行った。Ozonit(登録商標)は、4.5%ペルオキシ酢酸製品であるのに対し、Oxysan(登録商標)は、0.6%ペルオキシオクタン酸製品である。調製物Aは、約2重量%のスルホン化ペルオレイン酸製品、約5重量%のペルオキシ酢酸、及び約1.5重量%のペルオキシオクタン酸を含む組成物である。調製物Aを1200ppmの濃度で使用して、さらに、試験溶液を使った3種の試験のうち2回において、追加の酢酸で処理して、より低いpHの試験溶液を調製した。Ozonit(登録商標)を2000ppmの濃度で使用した。Oxysan(登録商標)を1272及び2545ppmの濃度で試験した。イーコラブ社から発売されているDetergentMP(登録商標)及びTurboCharge II(登録商標)を使って、すべての洗濯溶液をそれぞれ500及び750ppmの濃度で処理した。槽/洗濯温度を100°Fに維持した。Detergent MP(登録商標)及びTurboCharge IIは、一般的なアルカリビルダー洗浄基剤をもっている。この漂白試験の結果を下表に示す。
【0213】
【表7】

【0214】
この表に見られるように、調製物Aの組成物は、試験されたすべてのpHで、特に疎水性の汚れであるケチャップの場合において、市販溶液よりも高い割合で汚れ除去を達成した。
【0215】
また、フルスケールの横入れ式ドラム型洗濯機漂白試験でも調製物Aを試験した。この試験は、市販の35ポンド(約16kg)横入れ式洗濯機(UniMac UX35PVXR)で行われた。20分の洗濯プログラム(一般的に40℃)を開始する前に、複数区画であらかじめ汚れをつけた試験シート(Ecomon No.1及びEcomon No.4は、14個の漂白区画及び12個の顔料区画/漂白しない汚れ区画を含む)を別の空の洗濯機に追加した。洗濯機を5グレインの合成軟水48リットルで満たしてから、30秒の交互回転中に上部投入カップから薬液を投入した。追加される初期薬剤は、アルカリ性洗浄製品(イーコラブ社から発売されているTurboemulsion約84g)であった。その後、苛性剤入り界面活性剤の後30秒以内に漂白剤を追加して、20分の洗濯サイクルを始めた。洗濯サイクルの後、洗濯機を排水し、3回のすすぎを実行した。シートを取り出して、70°Fで一晩乾燥させた後、それぞれの材料パネルの反射率をHunter ColorQuest XE(反射率)分光光度計(UVフィルター「入り」)で測定した。その結果を下表に示す。
【0216】
【表8−A】

【0217】
【表8−B】

【0218】
注:3.Turboemulsion(TE)は、イーコラブ社製の界面活性剤を混合乳化させた、市販アルカリ性金属キレートのオールインワンエマルションであり、この試験では1750ppmの濃度で使用された。4.Ozonitは、過酸−過酸化水素漂白消毒剤で、2000ppmで使用された。Ozonitはイーコラブ社製の過酢酸及び過酸化水素の混合物である。5.「汚れ除去%」は以下の公式で計算された。SR=((L最終−L初期)/(96−L初期))×100% CO:綿 PES/CO:ポリエステル・綿混紡
【0219】
この表に見られるように、調製物Aの漂白力は平均してOzonit(登録商標)より勝っている。これらの「漂白される」汚れに対する優位性がわずか3.7ポイント(5.4%)であるにもかかわらず、洗濯除去により高い抵抗性のある紅茶などに、17ポイント(24%)以上の大きな差があった。
【0220】
もう一つのフルスケールの洗濯試験は、ドラム型洗濯機(フルサイズ横入れ式洗濯機)を使用して行われたが、個別の汚れをつけた布地材料ではなく、14個の「漂白できる」汚れ材料を組み合わせた複数区画パネルシート(Ecomon4)を利用し、二番目のシートは12個の「漂白できない」顔料/炭化水素の汚れをつけた材料(Ecomon1)を使用した。これらのパネルは、イーコラブ社が、wfk Testgewebe社(ドイツ、Bruggen)に特注したものである。この広範囲にわたる漂白試験では、濃度を時に温度などと同時に変化させる計画実験を利用した。指定された洗濯時間の経過後、すべてのEcomonシートを完全に洗い流し、乾燥させて、光学的増白影響の干渉可能性を取り除くUVフィルターを使用して広域スペクトル光反射率を再度計測した。ターグ−オ−トメーターのデータとは異なり、汚れ除去%は計算されなかったが、直接反射率計器(Minolta CM−2610d分光光度計)で測定した。広域スペクトル反射率を表す「Y」値が報告された。「Y」値が高ければ、材料は白さを増し、ゆえに漂白効果又は汚れ除去が大きいということである。
【0221】
この試験では、調製物Aは、Ozonit(登録商標)、Ozonit Super(登録商標)(イーコラブ社から発売されている15%ペルオキシ酢酸製品)、Oxysan(登録商標)と比較された。これらを以下:イーコラブ社から発売されているTriplex EmulsionR、イーコラブ社から発売されているTurbo UsonaR、イーコラブ社から発売されているOzonit SuperR、イーコラブ社から発売されているOxysanRの市販アルカリ性−ビルダー洗浄剤と様々に組み合わせた。
【0222】
【表9−A】

【0223】
【表9−B】

【0224】
【表9−C】

【0225】
【表10−A】

【0226】
【表10−B】

【0227】
【表10−C】

【0228】
【表10−D】

【0229】
注:
1.Y−値はMinolta CM−2610d分光光度計によって計算された反射率値に基づく。Hunter Lab.の分光光度計によって計算されたL−値に非常に近似する。
2.Triplexエマルションはイーコラブ社(欧州)製の界面活性剤を混合乳化させた、市販アルカリ性金属キレートのオールインワンエマルションである。
3.Turbo Usonaはイーコラブ社(欧州)製の界面活性剤を混合乳化させた、市販アルカリ性金属キレートのオールインワンエマルションである。
4.Ozonit Superはイーコラブ社(欧州)製の過酸−過酸化水素漂白消毒剤である。
5.Oxysanはペルオキシオクタン酸も含む、イーコラブ社(欧州)製の過酸−過酸化水素漂白消毒剤である。
CO:綿
PES/CO:ポリエステル・綿混紡
【0230】
この結果から見られるように、本発明の組成物で、つまり調製物Aで洗濯したサンプルはすべて、市販の漂白剤と比較して同等の漂白効果を達成した。
【0231】
実施例3−漂白剤としてのスルホペルオキシカルボン酸の使用
漂白試験は、本発明のスルホペルオキシカルボン酸を含む組成物、つまり11−スルホウンデカンペルオキシ酸(化合物D)と、以下の市販漂白/洗浄組成物を比較しながら行なった。それは、イーコラブ社から発売されているTsunami100(登録商標)、イーコラブ社から発売されているOxonia Active(登録商標)、ソルベイ(Solvay)社から発売されている過酸化水素(35%)及びPAP−70(登録商標)である。これらの薬剤は、重炭酸ナトリウムを使ったpH8へのpH調整と、水酸化ナトリウムの添加によるpH12へのpH調整を除き、5グレインの硬水に対してそのまま使用された。
【0232】
紅茶、血液、ワインで汚れをつけた布帛材料が、この標本として使われた。汚れをつけた材料は、上述の実施例2と同じ実験手順を用いて洗濯された。しかしながら、この実施例で、汚れをつけた材料は120°Fで10分間洗濯された。すべての標本に対する洗濯溶液のpHは約9だった。汚れ除去パーセント(SR)は上述の実施例2の方法に従って測定した。下表はこの研究の結果を示している。
【0233】
【表11−A】

【0234】
【表11−B】

【0235】
この表に見られるように、紅茶染みに関しては、PAP−70(登録商標)組成物が最も優れた染み除去を達成した。本発明の化合物を含む組成物は、二番目に高い染み除去率を達成した。血液染みに関しては、本発明のスルホペルオキシカルボン酸を含む組成物が最も優れた染み除去を達成した。しかしながら、すべての濃縮酸化剤は血液染みの除去に効果を示した。赤ワイン染みに関しては、本発明のスルホペルオキシカルボン酸がPAP−70(登録商標)と比較して効果があった。
【0236】
実施例4−安定性研究
本発明のスルホペルオキシカルボン酸、つまり11−スルホウンデカンペルオキシ酸(化合物D)の安定性を、フタルイミドペルオキシヘキサノン酸(PAP)の安定性と比較した。PAPサンプルの安定性データは、クラリアント社に付与された米国特許第5,994,284号から得た。本発明の化合物のサンプルを様々な温度で4週間保存した。活性酸素の損失を滴定分析によって測定した。その結果を下表に示す。
【0237】
【表12】

【0238】
この表に見られるように、本発明の化合物は、安定性がより高い、つまり室温(例えば、約23℃)での活性酸素の喪失が、約25℃でのPAPの場合より少なかった。
【0239】
実施例5−本発明の様々な処方の漂白作用
本発明の組成物の漂白特性と、以下の市販漂白剤を比較する形で試験を行なった。それは、イーコラブ社から発売されているOzonit(登録商標)、及びクラリアント社から発売されているPAP(登録商標)である。以下の本発明の化合物を使用した:調製物Aは、25重量%のスルホン化ペルオレイン酸製品、約70重量%のH22(35%)、及び約5重量%のHEDP60を含む。調製物Bは、スルホン化ペルオレイン酸製品とペルオキシオクタン酸の約24重量%の混合物、約72重量%のH22(35%)、及び約4重量%のHEDP60を含む。調製物Cは、スルホン化ペルオレイン酸製品とペルオキシオクタン酸の約20重量%の混合物、約62重量%のH22(35%)、約4重量%のHEDP60、及び約13重量%の酢酸を含む。40℃の温度にて、pH7〜8で、これらの調製物を市販の漂白剤と比較した。Ozonit Rも60℃で試験した。
【0240】
調製物の漂白能力を測定するため、実施例2において記述される漂白試験を行なった。その結果を図4に示す。この図に見られるように、調製物A、B及びCは、40℃におけるOzonit(登録商標)と比較して、はるかに漂白能力が勝っていた。Ozonit(登録商標)を60℃で使用した場合、調製物A、B及びCは非常に近似した漂白能力を示した。また、調製物Cは、PAPと同等の漂白性能も有していた。したがって、調製物A、B、及びCは、40℃での既知の市販漂白剤と比較して、優れていなくとも、同等の漂白特性を示した。
【0241】
実施例6−殺菌性研究
(a)殺微生物効力
本発明に準じた組成の殺微生物効力を測定するため、界面活性剤の有無で、他の市販製品との比較により実験を行った。調製物Aは、約1190ppmのスルホン化ペルオレイン酸製品、同量のペルオキシオクタン酸及び過酢酸を含む。この実施例で使用された界面活性剤は、イーコラブ社から発売されているTurboemulsionR(TE)である。組成物は、クロストリジウム・ディフィシレ(Clostridium difficile)ATCC9689、MRSA ATCC33592、腸内連鎖球菌(Enterococcus hirae)ATCC10541、大腸菌(Escheria coli)ATCC11229、及び緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)ATCC15442に対して、5分及び60分の暴露時間で試験された。市販の組成物、Ozonit(登録商標)、及びPAPも試験した。以下の処方を試験した。
【0242】
【表13】

【0243】
次の試験方法は欧州規格EN13704:食品、産業、家庭、施設区域で使用される化学消毒剤及び防腐剤の殺胞子活性評価のための定量浮遊液試験に準拠している。通常、清浄条件を模した干渉物質溶液の微生物胞子の試験浮遊液は、硬水で希釈された試験処方の調製サンプルに追加された。混合物は求められる特定温度及び時間で維持された。この接触時間で、アリコートを採る。この一部における殺胞子作用を速やかに、実証済の方法により無力化又は抑制する。各サンプルの生存微生物胞子の数を測定して、生育数の低減量を計算する。
【0244】
5℃及び40℃での各製剤の殺菌特性を下表12に示す。
【0245】
【表14】

【0246】
この表に見られるように、試験された本発明の組成物は、試験された市販製剤である消毒剤と同等に効果的であった。さらに、クロストリジウム・ディフィシレ(Clostridium difficile)に関しては、本発明の組成物は試験された市販製品よりも効果が高かった。
【0247】
(b)14日での安定性及び殺胞子効力
試験を行なって、胞子に対する本発明の組成物の安定性及び殺胞子効力を測定した。試験された組成物には、スルホン化ペルオレイン酸製品、及びかなりの量のペルオキシオクタン酸が含まれていた。使用された試験方法は、欧州規格EN13704:上述の、食品、産業、家庭、施設区域で使用される化学消毒剤及び防腐剤の殺胞子活性評価のための定量浮遊液試験であった。下表はこの研究の結果を示している。
【0248】
【表15】

【0249】
30ppmのペルオキシオクタン酸を含む組成物も試験した。ペルオキシオクタン酸単独組成物は結果として低減を達成しなかった。
【0250】
図5は、使用された本発明の化合物、つまりスルホン化ペルオレイン酸製品が、この研究を通じてPOOA量に対して示した安定性の影響力を表している。この表に見られるように、本発明の組成物を使用して安定化されていないPOOAのサンプルと比較すると、時間経過と共に得られるPOOA量は、本発明の組成物を使用して安定化されたPOOAのサンプルの方がより多かった。
【0251】
(c)本発明の組成物と既知の殺菌剤との相乗効果
この研究のために、ASME1052−96:浮遊液中のウィルスに対する殺菌剤の有効性標準試験法を使用した。1000ppmのペルオキシ酢酸(POAA)を含む組成物を、単独、及びスルホン化ペルオレイン酸製品との組み合わせにおいて試験した。
【0252】
単独のPOAA溶液は、4分間の暴露で、1型ポリオウィルスの完全な不活性を示さなかった。ウィルス価の低減は、≦0.75及び≦0.50log10であった。POAA溶液を1000ppmのスルホン化ペルオレイン酸製品と試験した場合、数分間の暴露で、1型ポリオウィルスの完全な不活性を示したことから、ウィルスに対する効果があった。ウィルス価の低減は、≧5.75log10であった。
【0253】
(d)本発明の化合物とペルオキシオクタン酸との相乗効果
この研究のために、MS103:定量抗結核菌試験を使用した。スルホン化ペルオレイン酸製品は、単独及びペルオキシオクタン酸との組み合わせで、様々な濃度において、ウシ型結核菌(Mycobacterium bovis)BCGに対し試験された。pH6.5、室温にて組成物を試験した。その結果を下表に示す。
【0254】
【表16】

【0255】
この表で見られるように、スルホン化ペルオレイン酸製品を含む本発明の組成物、及びPOOAの両方で処理したサンプルは、スルホン化ペルオレイン酸製品又はPOOAのどちらか単独で処理したサンプルより、ウシ型結核菌(Mycobacterium bovis)BCGの対数減少値が高かった。しかし、スルホン化ペルオレイン酸製品のみで処理したサンプルは、POOAのみで処理したサンプルよりバクテリアの対数減少値が高かったことがわかった。
【0256】
(e)病院用消毒剤としての本発明の化合物の使用
この試験では、AOAC公式方法955.15−黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対する消毒剤試験、及びAOAC公式方法964.02−緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に対する消毒剤試験を使用した。使用された組成物は、様々な濃度で、スルホン化ペルオレイン酸製品、及びペルオキシオクタン酸(POOA)を含んでいた。以下の表に、使用された試験手順及びその結果を要約する。
【0257】
【表17】

【0258】
この表に見られるように、試験組成物はいずれの試験系に対しても有効だった。
【0259】
実施例7−本発明の化合物の結合能力
スルホン化ペルオレイン酸製品を含む本発明の組成物がオクタン酸を結合させる能力について、2種の既知の市販カップリング剤、NAS及び直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)を比較した。
【0260】
その結果を図6に示す。この図に見られるように、1gのスルホン化ペルオレイン酸製品は、他の試験カップリング剤と比較すると、2倍のオクタン酸を結合させることができた。
【0261】
実施例8−スルホン化カルボン酸及びそのペルカルボン酸塩の形成
過酸の形成において、カルボン酸上のスルホン基の位置が与える影響を測定するため、研究が行われた。具体的には、研究目的は、α位にスルホン基が存在することで、対応するペルオキシカルボン酸を形成するためのカルボン酸基の酸化及び/又は過加水分解が妨げられるかどうかを評価することにあった。
【0262】
市販のスルホン化脂肪酸塩(メチルエステル)は、αスルホン化に優れており、例えば、Alpha−Step PC−48(ステパン社から発売)、Alpha−Step MC−48(MC−48)(ステパン社から発売)、Alpha−Step BSS−45(ステパン社から発売)、MES(ライオン(Lion)社から発売)が含まれる。構造的には、これらの化合物は、ナトリウムアルファスルホメチルC12〜C18エステル及びジナトリウムアルファスルホC12〜C18脂肪酸塩である。その構造を以下:
【0263】
【化11】

【0264】
に示す。
【0265】
スルホン化オレイン酸は、別の市販されているスルホン化脂肪酸である。これらの化合物は、主として8−スルホ−オクタデカン酸塩と、少数の9−スルホ−10−ヒドロキシ−オクタデカン酸塩である。これらはα位でスルホン化しない。こうしたタイプの化合物の構造を以下:
【0266】
【化12】

【0267】
に示す。
【0268】
α−スルホン化脂肪酸は、α−スルホン化脂肪酸メチルエステル及びその酸(MC−48)の混合物を加水分解して調合した。25gのMC−48が入ったビーカーに、12gの50%NaOH溶液を追加した。混合物を周囲温度で3時間撹拌した。その後、pHが約0〜1になるまで、H2SO4(50%)を追加しながら混合物を酸性化した。白色固形沈殿物を濾過し、冷水で洗浄した後、乾燥させた。得られた白色固形粉末を、13C NMR(DMSO−d6)を使用して評価した。未処理材料中に、メチルエステルのメチル基は観察されず、完全な加水分解を示した。
【0269】
酸触媒水酸化物反応を利用して過酸の形成を試みるため、以下の反応を実施した。上記で調合された0.5gのMC−48誘導脂肪酸スルホン酸塩を50mlビーカーに入れ、評価した。30gのH22(35%)をビーカーに追加した。その後、5gのH2SO4(985)を静かに追加して、透明溶液を得た。50℃にて24時間留置の後、溶液を分析して、過酸の存在を判定した。
【0270】
過酸の存在を判定するために、SullyとWilliamsが公表した方法(”The Analysis of Per−Acids and Hydrogen Peroxide,”The Analyst,87:1037,p.653(1962年8月))に類似した動的ヨウ素滴定を使用した。この方法により、POAAに対して約0.3ppmの低い検出限界を検証した。PC−48の配合ペルカルボン酸に対するPOAAの分子量比率を考慮して、検出限界は約1.4ppm(3.93×10-6M)になると概算された。過酸構造は観察されなかった。これは、0.002未満のペルオキシカルボン酸形成定数(Keq)と等しいので、実質的に過酸が形成されていないことを示唆している。
【0271】
代わりに、過酸の形成を13C NMR(D20)を使用して測定した。この技術を使用したところ、過酸からのカルボニル基の共鳴信号は観察されなかった。
【0272】
また、Alpha−Step PC−48及びAlpha−Step BSS−45といった他のαスルホン化脂肪酸材料を、同様の方法でH22と反応させたが、対応する過酸は検出されなかった。
【0273】
また、非αスルホン化脂肪酸も試験して、過酸形成の可能性を測定した。試験された。これまで論じたスルホン化オレイン酸の確定形成定数は1.42であった。スルホン化ウンデカン酸は安定固形粉末として得られたため、形成定数は計測されなかった。しかし、スルホン化オレイン酸の過酸の形成定数は、最も一般的な市販の過酸であるペルオキシ酢酸(Keq=2.70)よりもはるかに低いが、それでも実用物を作る上で充分な水準である。
【0274】
総体的に、いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、α−スルホ基が、H22によるカルボン酸基の酸化及び/又は過加水分解と、対応する過酸の生成を妨げていると考えられる。これは、ある程度には、強い電子の反発作用によるものであると考えられる。
【0275】
実施例9−定置洗浄殺菌組成物
研究を行って、定置洗浄法で用いられる殺菌剤としての、本発明の組成物の有効性を測定した。約5.85重量%のスルホン化ペルオレイン酸製品、約11.6%の過酸化水素、約1重量%のキレート剤、約12.75重量%のH2SO4、約13.6重量%のNAS−FAL(オクタンスルホン酸ナトリウム)、及び約1.5重量%のSXS(ステパン社から発売)を含む組成物を調合した。合成硬水を使用して、求められる過酸濃度まで試験組成物を希釈した。過酸を1000ppm、750ppm、500ppmの濃度で試験した。使用溶液のpHは以下の通りであった。
【0276】
【表18】

【0277】
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ATCC6538及び緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)ATCC15442に対して使用溶液を試験した。使用された有機汚れは、5%ウシ胎児血清であった。試験の暴露時間は、温度20±1℃で5分間であった。中和剤が適切に製品を中和していることを確認するために、試験の一環として中和剤スクリーンも実施されたが、試験組織には悪影響を及ぼさなかった。シャーレは試験の中で、過酸への暴露に先んじて35℃で48時間培養された。その結果を下表に示す。
【0278】
【表19−A】

【0279】
【表19−B】

【0280】
【表19−C】

【0281】
【表19−D】

【0282】
これらの結果に見られるように、試験された使用溶液は、試験濃度において、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)及び緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の両方に有効な消毒剤だった。
【0283】
別の研究を行なって、30秒間の暴露の後、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ATCC6538及び大腸菌(Escherichia coli)ATCC11229に対する試験溶液の殺菌有効性を測定した。この実験では、溶液を希釈して、50ppm、75ppm、100ppmの濃度のスルホン化ペルオレイン酸製品を得た。使用溶液のpHは以下の通りであった。
【0284】
【表20】

【0285】
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ATCC6538及び大腸菌(Escherichia coli)ATCC11229に対して使用溶液を試験した。暴露時間は温度25±1℃で30秒間であった。中和剤が適切に製品を中和していることを確認するために、試験の一環として中和剤スクリーンも実施されたが、試験組織には悪影響を及ぼさなかった。シャーレは試験の中で、過酸への暴露に先んじて35℃で48時間培養された。その結果は、下表の通りである。
【0286】
【表21−A】

【0287】
【表21−B】

【0288】
これらの結果に見られるように、試験された使用溶液は試験濃度において、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)及び大腸菌(Escherichia coli)の両方に有効な消毒剤だった。100ppmのスルホン化ペルオレイン酸製品を含む試験溶液は最も有効な殺菌剤だった。
【0289】
実施例10−選ばれた本発明の組成物の発泡特性
試験を行って、選ばれた本発明の組成物と、市販の界面活性剤を含む組成物を比較して、発泡特性を測定した。次の組成物:50ppmスルホン化ペルオレイン酸製品を含むpH2.48の調製物Aと、50ppmスルホン化ペルオレイン酸製品を含むpH6.75の調製物Bと、64ppmの市販のスルホン化オレイン酸(SOA)(アクゾノーベル(Akzo Nobel)社から発売されているLankropol OPA(50%))を含むpH2.48の調製物Cと、64ppmの市販のスルホン化オレイン酸(アクゾノーベル社から発売されているLankropol OPA(50%))を含むpH6.56の調製物Dと、128ppmの市販のスルホン化オレイン酸(アクゾノーベル社から発売されているLankropol OPA(50%))を含むpH2.48の調製物Eと、128ppmの市販のスルホン化オレイン酸(アクゾノーベル社から発売されているLankropol OPA(50%))を含むpH7.20の調製物Fと、93ppmのオクタンスルホン酸ナトリウム(NAS)(イーコラブ社から発売)を含むpH2.48の調製物Gを準備した。以下の方法を使用して泡の高さを測定した。まず、3000mlの各調製物を調合して、Glewweシリンダに静かに注いだ。定規をシリンダ側面に取り付け、溶液を定規の一番下に合わせた。ポンプを作動させた。定規と一致した泡の平均レベルを読み取り、泡の高さを評価した。泡の高さの読み取りは、ストップウォッチ又はタイマーを使用して、時間に対して行った。ポンプを停止し、泡の高さをそれぞれの時間で記録した。その結果を下表に示す。
【0290】
【表22】

【0291】
これらの結果に見られるように、本発明の組成物を含む調製物(つまり、調製物A及びB)は、スルホン化材料の非過酸体(つまり、スルホン化オレイン酸)を含んでいた調製物C及びDよりもはるかに泡の高さが低かった。本発明の組成物の泡高さの低減は、泡が有害に作用する用途、例えば、定置洗浄及び/又は殺菌の用途で組成物を使用する際に有用である。
【0292】
実施例11−洗濯殺菌組成物
研究を行なって、洗濯物の殺菌に対する本発明の組成物の能力を測定した。スルホン化ペルオレイン酸を含む組成物を、市販の洗浄組成物であるOzonit(登録商標)(イーコラブ社から発売)及びPAP−70(登録商標)(ソルベイ(Solvay)社から発売)に対して試験した。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ATCC6538及び緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)ATCC15442に対して、組成物を104°Fで6分間試験した。試験方法は以下の通りである。300gの炭酸ナトリウム及び1.5gの非イオン系湿潤剤(例えば、Triton X−100)を含む熱湯で布帛サンプルを濯いだ後、すべての目視できる痕跡が取り除かれるまで冷水で濯いだ。布帛サンプルを完全に乾燥させた。その後、布帛サンプルを滅菌のため高圧消毒した。
【0293】
次いで、試験材料を用意して、布帛サンプルに試験材料を播種した。播種された布地材料をその後乾燥させた。サンプルをラウンドロメーターの中に固定して、洗浄水で撹拌した。ラウンドロメーターのチャンバーから洗浄水を排出した後、その洗浄水及び布帛サンプルを対象に、試験された微生物群の低減を評価した。
【0294】
その結果を下表に示す。
【0295】
【表23】

【0296】
これらの結果に見られるように、試験されたいずれの本発明の組成物も、洗浄水及び布帛キャリア両方において緑膿菌(P.aeruginosa)に対して、そして布帛キャリア上の黄色ブドウ球菌(S.aureus)に対して、3logを超える低減を示した。
【0297】
また、本発明は、新しい化合物及びその合成にも関係している。したがって、以下の実施例はどのような化合物が調製され得るかを説明するものである。
【0298】
実施例12−安定性研究
水溶液中における種々のスルホン化過酸の安定性を決定するために研究を行った。スルホン化過酸は、選択された過酸の構造的相違がどのように安定性に影響を与えるかを決定するために同じく調節された条件下で比較された。研究されたスルホン化過酸には、中鎖スルホン化過酸及び末端スルホン化過酸の両方が含まれた。
【0299】
各過酸は、周囲条件下で50ppmの濃度にて試験された。各々の個別の溶液は、0.05MのpH5.0クエン酸緩衝液にそれを添加し、少量の腐食剤の添加を伴い、最終溶液のpHを5.0に調節することによって、対応する過酸濃縮物から調製された。研究された末端スルホン化過酸は、以下の表に示される。
【0300】
【表24】

【0301】
上記の末端スルホン化過酸は、上記される中鎖スルホン化過酸、ペルスルホン化オレイン酸産物(PSOA)と比較された。
【0302】
しかしながら、11−SPOUA,viz.11−スルホウンデカン酸のための前駆体は、より少量の前駆体が他に試験されたスルホン化過酸の各々を作製するために使用されるため、制限された安定性を有することに気付かれたい。
【0303】
経時的な過酸濃度は、動力学的ヨウ素還元滴定法を用いて測定された。各スルホン化過酸の安定性を図7に示す。また、比較すると、50ppmのペルオキシ酢酸(POAA)は、同濃度及び同条件下で、安定性研究に含まれた。図7に見られる結果の基づくと、各個々の過酸の半分時間が見積もられ、結果を以下の表に概要する。
【0304】
【表25】

【0305】
上記の表の結果から見られるように、5−SPOHA、6−SPOHXA、及び11−SPOUAは、POAAと比較して、水溶液中において類似した安定性プロフィールを有する。2−SPOAAは有意に短い半減期を有する。
【0306】
また、これらの結果から見られるように、中鎖スルホン化PSOAは、試験された条件下でPOAAと比較して有意に良好であった。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、PSOAは、洗浄力を有する研究された唯一の過酸であり、水溶液中でミセルを形成すると考えられる。中鎖スルホン化PSOAにスルホ基がその分子の中心近傍に位置する場合、ペルオキシカルボキシル部分は、PSOAが水に溶解したとき、ベシクルの一般的な疎水性部分又は関連した微細構造内で保護される。この結果は、末端スルホン化過酸よりも、実質的に大きな安定性、及び長期の半減期をもたらす。
【0307】
実施例13−漂白研究
水溶液における種々のスルホン化ペルカルボン酸の漂白特性を測定するために研究を行った。スルホン化過酸は、界面活性剤/ビルダーのみの対照、並びにペルオキシ酢酸と比較された。
【0308】
以下のスルホン化過酸:2−スルホペルオキシカルボン酸(2−SPOAA);5−スルホペルオキシヘプタン酸(5−SPOHA);6−スルホペルオキシヘキサン酸(6−SPOHXA);11−スルホペルオキシウンデカン酸(11−SPOUA);及びスルホン化ペルオレイン酸製造物(PSOA)を試験した。個々のスルホン化過酸を作製し、40℃にて5〜7日間インキュベート/平衡化した。過酸濃度を測定後、各過酸溶液は、過酸のみによって送達される潜在的に利用可能な酸素について標準化された。これらの溶液は、100°F、pH7、5グレインの硬水中で20分の暴露においてそれらの漂白粉末について試験された。以下の表は、各過酸からの初期の利用可能な酸素、並びに滴定された過酸の割合を示す。
【0309】
【表26】

【0310】
スルホン化過酸は、100%綿上の茶;綿−ポリエステル混合上の茶;及び100%綿上のワインを含む、汚れ見本を暴露することによって、それらの漂白特性(本明細書では「汚れ除去」特性とも呼ばれる)について評価された。汚れ見本は、Test Fabrics,Inc.,West Pittston,Paから購入した。種々の化合物への見本の暴露は、Terg−o−tometer(United States Testing Co.,Hoboken,N.J.)として知られている洗濯機中で行った。この機器は、100°Fにて20分間の洗浄/漂白サイクルを行う温度制御された水浴中に浸されたステンレス製1Lビーカーを6個含む。各ビーカーは、100hzの周波数で戻す前に、180°回転するオーバーヘッドアジテーターを含む。各試験溶液は、20分の洗浄サイクル中に約7±0.5のpHを与えるのに十分な重炭酸塩−炭酸塩緩衝液を含んでいた。
【0311】
20分の洗浄サイクル完了後、織物試料を取り出し、5サイクルの充填及びリンスが完了するまで、冷合成5グレイン水で直ぐにリンスした。次に、見本を白色のポリエステル−綿タオル上に平に広げ、一晩乾燥させ、その後、反射率の読み込みを分光光度計、例えば、Hunter ColorQuest XE(反射率)分光光度計を用いて行った。
【0312】
汚れ除去(SR)率(%)、例えば、漂白能力を決定するために、織物試料の反射率を分光光度計で測定した。「L値」は、分光光度計によって提供される直読である。一般的に、Lは、幅広い可視スペクトル反射を示し、この場合、100%の値は絶対白である。汚れ除去率(%)は、最初(洗浄前)の明度(L)値と最終L値(洗浄後)の差異から計算される:SR=((L最終−L最初)/(96−L最初))×100%
【0313】
汚れ除去/漂白試験の結果は、以下の表に示される。
【0314】
【表27】

【0315】
また、汚れ除去/漂白試験のこれらの結果は、POAA対照と比較された。結果を以下の表に示す。
【0316】
【表28】

【0317】
また、図8は、等モル量のペルオキシ酢酸を用いて達成された汚れ除去に関する、これらの汚れ除去結果をグラフとして示す。
【0318】
これらの結果から見られるように、漂白については、PSOA(中鎖スルホン化過酸)のみが、ペルオキシ酢酸と比較して有意な改善を生じた。試験された他の末端スルホン化過酸は、いくつかの事例においてペルオキシ酢酸と比較して本の僅かな改善をもたらし、大部分の事例では、等モルのペルオキシ酢酸に関して負の効果を生じさせた。
【0319】
実施例14−カップリング能力研究
水溶液中における種々のスルホン化過酸のカップリング/屈水性を決定するために研究を行った。オクタン酸をカップリングする選択された過酸の能力を測定した。
【0320】
以下のスルホン化過酸:2−スルホペルオキシ酢酸(2−SPOAA);5−スルホペルオキシヘプタン酸(5−SPOHA);6−スルホペルオキシヘキサン酸(6−SPOHXA);11−スルホペルオキシウンデカン酸(11−SPOUA);及びスルホン化ペルオレイン酸製造物(PSOA)を試験した。20gの各過酸溶液を過酸化水素を含むビーカーで希釈した。一部しか溶解しない11−SPOUAを除いて、各過酸を完全に溶解した。これらの溶液の各々に、0.4gの1−オクタン酸を添加した。最初に、溶液の上部にオクタン酸を浮かせた。次に、磁気撹拌子を用いて1,000rpmにて5〜10分間溶液を撹拌した。その後、20分間、3,000〜5,000rpmで溶液を遠心分離した。続いて、下層の各溶液を回収した。0.45ミクロンのシリンジフィルターを通したろ過によって下層をさらに透明にした。ろ過物の全ては透明であり、均一のようであった。ろ過された溶液は、1−オクタン酸について液体クロマトグラフィーによって分析された。結果を以下の表に示す。
【0321】
【表29】

【0322】
これらの結果から見られるように、中鎖スルホン化過酸であるPSOAは、試験された他の末端スルホン化過酸と比較して、オクタン酸をカップリングすることに関して、非常に大きなカップリング能力を示した。中鎖スルホン化PSOAは、次に最も近いスルホン化過酸である11−SPOUAと比較して、オクタン酸をカップリングする、約1300%の大きな能力を有した。
【0323】
実施例15−接触角研究
異なる表面上の個々の溶液の接触角を測定することによって、水溶液中における種々のスルホン化過酸の湿潤性を測定するために研究を行った。
【0324】
以下のスルホン化過酸:2−スルホペルオキシ酢酸(2−SPOAA);5−スルホペルオキシヘプタン酸(5−SPOHA);6−スルホペルオキシヘキサン酸(6−SPOHXA);11−スルホペルオキシウンデカン酸(11−SPOUA);及びスルホン化ペルオレイン酸製造物(PSOA)を試験した。FTA32ソフトウェアによる画像処理を伴うFTA32接触角ゴニオメーターを用いて接触角を測定した。ステンレス、及びポリウレタン表面上接触角を測定した。以下の表に示された過酸濃度は、DI水を用いて250倍に希釈された。しかしながら、11−SPOUAは、DI水で85倍に希釈され、調製物においてより低濃度の過酸前駆体が得られた。
【0325】
【表30】

【0326】
以下の表は、ステンレス及びポリプロピレン表面において、試験された過酸について観察された接触角を示す。示された結果は、少なくともこれらの接触角測定の平均である。
【0327】
【表31】

【0328】
これらの結果から見られるように、中鎖スルホン化PSOAのみが、対照と比較して、試験された両方の表面上で有意に低い接触角を有した。PSOAは、ステンレス表面上の接触角よりも約36%低い接触角を有し、ポリプロピレン表面上の接触角よりも29%低い接触角を有した。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、より低い接触角はより大きな湿潤能力を示し、より大きな洗浄力をもたらすと考えられる。
【0329】
実施例16−抗菌研究
種々のスルホン化過酸の抗菌効果を決定するために研究を行った。以下のペルスルホン化酸:2−スルホペルオキシ酢酸(2−SPOAA);5−スルホペルオキシヘプタン酸(5−SPOHA);6−スルホペルオキシヘキサン酸(6−SPOHXA);11−スルホペルオキシウンデカン酸(11−SPOUA);及びスルホン化ペルオレイン酸製造物(PSOA)の100ppmを含む使用溶液を試験した。
【0330】
使用溶液は、黄色ブドウ球菌ATCC6538及び大腸菌ATCC11229に対して試験された。以下の試験手法を用いた。第1に、試験されるべき99mlのペルスルホン化酸を250mlフラスコに分散した。液体を25±1℃で平衡化させた。次に、フラスコ中で液体を回転させ、1mLの1010CFU/mlの試験細菌をビーカーに添加した。所望の暴露時間後、1mLの合わせた過酸/細菌溶液をフラスコから取り出した。続いて、取り出された溶液を9mlの適切な中和剤中に置いた。次に、所望の希釈を行い、35℃にて48時間インキュベートした。その後、微生物数カウントの減少を決定するためにプレートを読み取った。この実験について、試料は、全体として90秒を超える暴露時間(10秒の間隔)で試験された。
【0331】
結果を図9及び10に示す。これらの結果は、所定に時間点での生存物(N)と初期の摂取数(NO)との間の比を示す。例えば、生存物(N)と初期の摂取数(NO)との比が1.0であれば、抗菌活性は達成されていない。この比がゼロに近づくにつれて、完全な殺菌が達成される。図9は、周囲温度での黄色ブドウ球菌に対する、試験されたペルスルホン化酸の有効性を図示する。この図から見られるように、中鎖スルホン化PSOAは、初期(10秒)と試験時間の経過の両方において、試験された他の末端スルホン化ペルオレイン酸よりも黄色ブドウ球菌の集団において有意に高い減少をもたらした。
【0332】
図10は、周囲温度での大腸菌に対する、試験されたペルスルホン化酸の有効性を図示する。この図から見られるように、中鎖スルホン化PSOAは、試験された単鎖、末端スルホン化過酸と比較して、90秒での大腸菌の集団において、有意に高い減少を有した。このように、全体として、中鎖スルホン化過酸は、黄色ブドウ球菌及び大腸菌の集団の減少により有効であることが観察された。
【0333】
選ばれた本発明の化合物の合成
スルホン化ペルオレイン酸製品の調製
417.8gのOA5−R(インタートレイド・オーガニック(Intertrade Organic)社の40%活性スルホン化オレイン酸)を、大きな氷冷槽に浸けられている2リットルビーカーに追加した後、66.4gのDequest2010(モンサント(Monsanto)社の60%活性ヒドロキシエチレンホスホン酸)及び535gの過酸化水素(濃度46%活性、ソルベー−インテロックス(Solvay−Interox)製)をさらに追加した。ビーカーに磁気撹拌子を取り付けて、940gの硫酸(濃度96%活性、マリンクロッド(Mallinkrodt)社製)が加えられている間、強く撹拌した。硫酸追加の割合は制御して、反応溶液中で120°Fの発熱を起こしたところ、この間時々数°F上昇したが、125°Fを超えることはなかった。硫酸の追加が完了してから数分で、氷冷槽は取り除き、この不均一溶液については、温度を環境条件(70°F)と平衡に保ち、72時間撹拌した。
【0334】
撹拌を中断してから数時間後、2相の反応溶液を分離用漏斗に入れ、上層相と下層相に分離した。239.4gの上層相を得て、その上層相を遠心分離器にて3000rpmで10分間、さらに精製した。最終的な上層相生成物は206gであり、推定分子量412(理論収量178g)に基づく60%ペルオキシ酸として滴定された。さらに、上層相は1.8%過酸化水素を含有していた。遠心分離された下層相サンプルは、14%のペルオキシ酸(MW412)及び8.8%の過酸化水素として滴定された。
【0335】
11−スルホウンデカン酸及び10,11−ジスルホウンデカン酸の合成
【0336】
【化13】

【0337】
11−スルホウンデカン酸:脱イオン化水(150ml)、イソプロピルアルコール(200ml)、11−ウンデシレン酸(28.56g、0.155mol)を、撹拌装置、追加用漏斗、還流濃縮装置、温度計、気体吸入チューブを装備した1リットルフラスコの中に入れた。15.2g(0.08mol)のメタ亜硫酸水素ナトリウム、1.28gのNaOHを55gの水にあらかじめ混合したものを、追加用漏斗へ追加した。すべての器具に窒素を静かにパージした。還流液を加熱(82℃)した後、少量のt−ブチルペルベンゾエート(総量0.5g、2.5mmolの中で)をフラスコへ追加した。次いで、メタ亜硫酸水素ナトリウム/NaOH混合物を、5時間の溶液反応の間、継続的に追加用漏斗から追加した。残りのt−ブチルペルベンゾアートもこの時、少量ずつ追加した。
【0338】
その後、溶媒をロータベーパーを使用して減圧しながら取り除き、残留物をアセトンで洗浄して乾燥し、31.0gの白色固形生成物を得た。この固形物のNMR分析では、残留未反応材料の存在は確認できなかった。得られた白色固形物を熱湯(100ml、75℃)で溶かして、NaOHでpH5.5へ中和した。次いで、2.0gの50%H22を溶液へ追加した。溶液を室温まで冷まし、固形沈殿物を濾過し、冷水で洗い、乾燥させて、純粋な11−スルホウンデカン酸の特性を有する21.0gの白色固形物を得た。13C NMR(D2O):180,51,34,28−29(多重項)、27.5,24.5,24ppm。MS(ESI):265.1(M+−H)。
【0339】
10,11−ジスルホウンデカン酸:この化合物は、上述の11−スルホウンデカン酸反応の副生成物として得られる。11−スルホウンデカン酸を濾過採取した後の濾液は、沈殿物を形成し始めた時、50mLまでに濃縮されていた。混合液を冷蔵庫で冷却して、さらに追加の固形物を濾過し、これを少量の氷水で洗い乾燥させ、5.0gの白色固形物を得た。13C NMR(D2O):184,57,51.5,37.5,28−29(多重項)、27.5,26,24ppm。MS(ESI):345.0。
【0340】
11−スルホウンデカンペルオキソ酸(化合物D)、及び10,11−ジスルホウンデカンペルオキソ酸(化合物E)の合成
11−スルホペルオキシウンデカン酸:
【0341】
【化14】

【0342】
1.3gの11−スルホウンデカン酸を2.5gの98%硫酸に溶かした。この溶液(溶液の温度は60℃を超えなかった)へ1.5gの50%H22を追加して、最終混合物を室温で1.5時間撹拌した。この時点で、白色固形物が溶液に沈殿した。溶液が透明になるまで、混合物を水浴で50℃に再加熱した。次いで溶液を室温で0.5時間撹拌して、冷凍庫で冷却した。その後、混合液に20mLの氷水を追加して、濾過された固形物を少量の氷水で洗い、真空乾燥させ、0.6gの白色固形物を得た。13C NMR(D2O):176,51.5,30.5,27.5−29(多重項)、24.5,24ppm。MS(ESI):281.5(M+−H)。得られる酸素(ヨウ素滴定):5.41%(理論値:5.64%)。
【0343】
10,11−ジスルホウンデカンペルオキソ酸(化合物E):
【0344】
【化15】

【0345】
1.5gのジスルホウンデカン酸へ2.5gの96%H2SO4を追加して、その混合物を室温で撹拌した。次いで1.0gの50%H22を混合物へしずかに追加して(温度は60℃を超えなかった)、混合物を水浴で50℃に加熱して、溶液を2.0時間撹拌した。その後、溶液を冷凍庫で冷却して、20mLの氷水を撹拌しながら追加した。固形沈殿物を濾過し、氷水で洗って真空乾燥させて、1.0gの白色固形物を得た。13C NMR(D2O):175.5,57,30.5,27.5−29(多重項)、24.5,24ppm。得られる酸素(ヨウ素滴定):4.10%(理論値:4.41%)。
【0346】
9/10−スルホステアリン酸(スルホン化ステアリン酸)の合成
【0347】
【化16】

【0348】
脱イオン化水(150mL)、イソプロピルアルコール(200mL)、オレイン酸(43.78g、0.155mol)を、撹拌装置、追加用漏斗、還流濃縮装置、温度計、気体吸入チューブを装備した1リットルフラスコの中に入れた。15.2g(0.08mol)のメタ亜硫酸水素ナトリウム(Na225)及び1.28gのNaOHを55gの水にあらかじめ混合したものを、追加用漏斗へ追加した。すべての器具には、窒素をゆっくり通気させた。還流液を加熱(82℃)した後、少量のt−ブチルペルベンゾアート(総量外0.5g、2.5mmol)をフラスコへ追加した。次いで、5時間の作業中、あらかじめ混合されたNa225/NaOHを継続的に追加用漏斗から追加した。残りのt−ブチルペルベンゾアートもこの時、分割して追加した。その後、ロータベーパーを使用して、溶媒を減圧しながら除去した。100mLの脱イオン水を残留物に追加し、溶液のpHが2.5になるようにH2SO4で調整した。最終混合物/溶液を分離漏斗に移して、最上部の油性層(非反応オレイン酸)を除去した。水性層は石油エーテル(2×50ml)で抽出して、水の除去後、12.5gの白色蝋質固形物を得た。13C NMR(D2O):179,60,34.5,32,28.5−30(多重項)、24.5,22.5,14ppm。MS(ESI):363.4(M+−H)。
【0349】
(構造における)9/10−スルホペルオキシステアリン酸の調製
9又は10−スルホステアリン酸の混合物2.0gへ2.0gの50%H22を追加した。室温ですべての固形物が溶けるまで混合物を撹拌した。次いで、2.0gの75%H3PO4を追加して、最終溶液を室温で一晩撹拌した。溶液から純粋な9又は10−スルホペルオキシステアリン酸を単離する試みは行われなかった。溶液の13C NMR(D2O)は174ppmで過酸のピーク(COOOH)を示し、178ppmで元のカルボン酸のピークを示した。ヨウ素滴定(QATM−202)は18.96%のスルホペルオキシステアリン酸を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中、
1は、置換又は未置換のCmアルキル基であり;
2は、置換又は未置換のCnアルキル基であり;
Xは、水素、カチオン性基、又はエステル形成部分であり;
nは、1〜10であり;
mは、1〜10であり;及び
m+nは、18未満若しくは18に等しい)
で表される化合物、又はその塩若しくはエステル。
【請求項2】
1が、未置換C9アルキル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1が、置換C9アルキル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
1が、置換C10アルキル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
置換C9アルキル基が、1以上のヒドロキシル基で置換されている、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
アルキル基の炭素骨格上の少なくとも2つの炭素が複素環式基を形成する、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
1がC8−C9アルキルであり、R2がC7−C8アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
前記化合物が、以下:
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

から選択される請求項1に記載の化合物、その塩、エステル、又はその混合物。
【請求項9】
式I:
【化6】

(式中、
1は、置換又は未置換のCmアルキル基であり;
2は、置換又は未置換のCnアルキル基であり;
Xは、水素、カチオン性基、又はエステル形成部分であり;
nは、1〜10であり;
mは、1〜10であり;及び
m+nは、18未満若しくは18に等しい)
で表される化合物、又はその塩、エステル、あるいはその混合物を含む組成物。
【請求項10】
前記化合物が、以下:
【化7】

【化8】

【化9】

からなる群から選択される化合物、その塩、エステル、その混合物又は誘導体である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、10−ヒドロキシ−9−スルホオクタデカンペルオキシ酸、10,11−ジヒドロキシ−9−スルホオクタデカンペルオキシ酸、9−ヒドロキシ−10−スルホオクタデカンペルオキシ酸、及び10−スルホ−8,9−ジヒドロキシオクタデカンペルオキシ酸の少なくとも1つを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物のpHが約9未満である、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
前記化合物が約10ppm〜約100重量%で存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
前記化合物が約0.1重量%〜約10重量%で存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項15】
前記化合物が約0.1重量%〜約5重量%で存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項16】
前記化合物が有効な殺菌量で存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項17】
前記化合物が約10ppm〜約100ppmで存在する、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記化合物が、1種以上の食品媒介病原菌又は食品に関連する腐敗菌を殺菌するのに有効な量で存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項19】
前記食品が、食肉、肉製品、海産物、鳥肉、鳥肉製品、農産物、卵、生卵、卵製品、インスタント食品、小麦、種子、根菜類、塊茎、葉、茎、穀類、花、芽、調味料、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記菌が、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、サルモネラ・ジャビアナ(Salmonella javiana)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylocater jejun)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)及び大腸菌(Escherichia coli)O157:H7、酵母菌、カビ及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
前記化合物が、胞子、バクテリア、カビ、酵母菌、ウイルス及びそれらの混合物からなる群から選択される微生物群を低減させるのに有効な量で存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項22】
前記微生物が、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記微生物が、枯草菌(Bacillus subtilis)、セレウス菌(Bacillus cereus)、スポロゲネス菌(Clostridium sporogenes)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項23に記載の組成物。
【請求項24】
前記微生物が、ポリオウィルス、マイコバクテリウム結核菌及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項21に記載の組成物。
【請求項25】
さらに酸化剤を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項26】
前記酸化剤が過酸化水素を含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
さらに少なくとも1種のC1〜C22ペルオキシカルボン酸を含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項28】
前記ペルオキシカルボン酸が、少なくとも1種のC5〜C11ペルオキシカルボン酸を含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記ペルオキシカルボン酸がペルオキシオクタン酸を含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記ペルオキシオクタン酸が、約0.1重量%〜約10重量%で存在する、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記ペルオキシカルボン酸がペルオキシ酢酸を含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項32】
前記ペルオキシ酢酸が、約1重量%〜約10重量%で存在する、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
少なくとも1種のカルボン酸をさらに含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項34】
前記カルボン酸が、少なくとも1種のC5〜C11カルボン酸を含む、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
少なくとも1種のC1〜C4ペルオキシカルボン酸及び少なくとも1種のC5〜C11カルボン酸を含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項36】
物品を請求項9に記載の組成物と接触させる工程を含む、物品を殺菌する方法。
【請求項37】
前記物品が、医療又は外科用機器、テキスタイル、構造面、包装硬質面、食器及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
物品の表面を請求項9に記載の組成物と接触させる工程を含む、物品から汚れを除去する方法。
【請求項39】
前記物品が食器から構成されている、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記物品が洗濯物から構成されている、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記接触の工程が、約4℃〜約80℃の温度で前記洗濯物を前記組成物と接触させる工程を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
面を請求項11に記載の組成物と接触させる工程を含む、面上の微生物群を低減させる方法。
【請求項43】
前記微生物が、胞子、バクテリア、カビ、酵母菌及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記微生物が、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記組成物が、約40℃、約5分間で前記微生物群を5log低減させるのに有効な量で存在する、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記組成物が少なくとも約10ppmで存在する、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
前記組成物が約10ppm〜約2000ppmで存在する、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
前記微生物が、枯草菌(Bacillus subtilis)、セレウス菌(Bacillus cereus)、スポロゲネス菌(Clostridium sporogenes)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
前記微生物が、ポリオウィルス、マイコバクテリウム結核菌、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項50】
前記菌が、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、サルモネラ・ジャビアナ(Salmonella javiana)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylocater jejun)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)及び大腸菌(Escherichia coli)O157:H7、酵母菌、カビ及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項51】
請求項1に記載の化合物を含む組成物と物品を接触させる工程を含む、物品を漂白する方法。
【請求項52】
前記物品が硬質面である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記物品がテキスタイルである、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
(a)式I:
【化10】

(式中、
1は、置換又は非置換Cmアルキル基であり;
2は、置換又は非置換Cnアルキル基であり;
Xは、水素、カチオン性基、又はエステル形成部分であり;
nは、1〜10であり;
mは、1〜10であり;及び
m+nは、18未満であるか又は18に等しい)
で表される化合物、又はその塩若しくはエステル;
(b)C1〜C4カルボン酸;
(c)C5〜C11カルボン酸;及び
(d)酸化剤
を含む水性殺菌漂白組成物であって、該組成物のpHが、約7〜約14である組成物。
【請求項55】
前記C1〜C4カルボン酸が酢酸である、請求項54に記載の組成物。
【請求項56】
前記C5〜C11カルボン酸がオクタン酸である、請求項54に記載の組成物。
【請求項57】
前記式Iで表される化合物が:
【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

並びにそれらの混合物及び誘導体からなる群から選択される、請求項54に記載の組成物。
【請求項58】
前記式Iで表される化合物が、10−ヒドロキシ−9−スルホオクタデカンペルオキソ酸、10,11−ジヒドロキシ−9−スルホオクタデカンペルオキソ酸、9−ヒドロキシ−10−スルホオクタデカンペルオキソ酸、及び10−スルホ−8,9−ジヒドロキシオクタデカンペルオキソ酸の少なくとも1つを含む、請求項54に記載の組成物。
【請求項59】
前記組成物が122°Fで少なくとも約4週間安定している、請求項54に記載の組成物。
【請求項60】
前記酸化剤が過酸化水素を含む、請求項54に記載の組成物。
【請求項61】
さらに安定化剤を含む、請求項54に記載の組成物。
【請求項62】
前記安定化剤が、有機アミノポリホスホン酸錯化剤、有機ヒドロキシポリホスホン酸錯化剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項61に記載の組成物。
【請求項63】
前記安定化剤が、カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、アミノカルボン酸、複素環式カルボン酸及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項61に記載の組成物。
【請求項64】
前記組成物が実質的にリンを含まない、請求項54に記載の組成物。
【請求項65】
(a)約1重量%〜約5重量%の式Iで表される化合物;
(b)約1重量%〜約10重量%のC1〜C4カルボン酸;
(c)約1重量%〜約10重量%のC5〜C11カルボン酸;及び
(d)約10重量%〜約30重量%の酸化剤
を含む、請求項54に記載の組成物。
【請求項66】
(a)請求項54に記載の組成物を洗濯物に適用する工程;及び
(b)該組成物を該洗濯物から排出する工程
を含む、洗濯物を処理する方法。
【請求項67】
前記洗濯物が約100°Fで処理される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記処理が、洗濯物の殺菌、洗濯物の消毒及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記処理が洗濯物の漂白を含む、請求項66に記載の方法。
【請求項70】
面を請求項54に記載の組成物と接触させる工程を含む、面上の微生物群を低減する方法。
【請求項71】
前記微生物が、胞子、バクテリア、カビ、酵母菌、ウイルス、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
(a)式I:
【化15】

(式中、
1は、置換又は非置換Cmアルキル基であり;
2は、置換又は非置換Cnアルキル基であり;
Xは、水素、カチオン性基、又はエステル形成部分であり;
nは、1〜10であり;
mは、1〜10であり;そして
m+nは、18未満であるか又は18に等しい)
で表される化合物、又はその塩若しくはエステル;並びに
(b)酸味料;及び
(c)酸化剤
を含む、水性殺菌剤。
【請求項73】
該化合物が:
【化16】

【化17】

【化18】

並びにその塩、エステル、及び混合物からなる群から選択される、請求項72に記載の組成物。
【請求項74】
前記酸化剤が過酸化水素を含む、請求項72に記載の組成物。
【請求項75】
前記酸味料が、硫酸、硫酸水素ナトリウム、硝酸、塩酸及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項72に記載の組成物。
【請求項76】
前記酸味料が、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ギ酸、酢酸、ハロカルボン酸、ピコリン酸、ジピコリン酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項72に記載の組成物。
【請求項77】
さらに安定化剤を含む、請求項72に記載の組成物。
【請求項78】
前記安定化剤が、有機アミノポリホスホン酸錯化剤、有機ヒドロキシポリホスホン酸錯化剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項77に記載の組成物。
【請求項79】
前記安定化剤が、カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、アミノカルボン酸、複素環式カルボン酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項77に記載の組成物。
【請求項80】
前記組成物が実質的にリンを含まない、請求項72に記載の組成物。
【請求項81】
さらに界面活性剤を含む、請求項72に記載の組成物。
【請求項82】
前記界面活性剤が、アルキルスルホン酸塩、芳香族スルホン酸塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項82に記載の組成物。
【請求項83】
面を請求項72に記載の組成物と接触させる工程を含む、定置洗浄法を用いて面を殺菌する方法。
【請求項84】
(a)酸性pH条件下で、非アルファスルホン化カルボン酸を酸化剤と接触させて、スルホペルオキシカルボン酸を製造する工程
を含む、請求項1に記載の化合物を製造する方法。
【請求項85】
式I:
【化19】

(式中、
1は、置換又は非置換Cmアルキル基であり;
2は、置換又は非置換Cnアルキル基であり;
Xは、水素、カチオン性基、又はエステル形成部分であり;
nは、1〜10であり;
mは、1〜10であり;そして
m+nは、18未満であるか又は18に等しい)
で表される化合物、又はその塩若しくはエステルを含む使用溶液であって、該使用溶液は室温にて、約6.5のpHで約14日間安定している使用溶液。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−505929(P2013−505929A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530396(P2012−530396)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【国際出願番号】PCT/IB2010/054270
【国際公開番号】WO2011/036628
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(500320453)イーコラブ インコーポレイティド (120)
【Fターム(参考)】