説明

スルホンアミド含有インドール化合物

【課題】 新規な血管新生阻害剤を創出し、従来の抗腫瘍剤に比べて安全性が高く、効果の確実な長期投与可能な抗腫瘍剤を提供すること。
【解決手段】 次の化合物から選ばれるインドール化合物またはその薬理学的に許容される塩あるいはそれらの水和物を提供する。
1)6-クロロ-N-(3-シアノ-4-メチル-1H-インドール-7-イル)-3-ピリジンスルホンアミド
2)N-(3-ブロモ-5-メチル-1H-インドール-7-イル)-4-スルファモイルベンゼンスルホンアミド
3)N-(3-ブロモ-5-メチル-1H-インドール-7-イル)-3-シアノベンゼンスルホンアミド
4)N-(4-ブロモ-1H-インドール-7-イル)-4-シアノベンゼンスルホンアミド
5)6-アミノ-N-(4-クロロ-1H-インドール-7-イル)-3-ピリジンスルホンアミド
6)N-(3-ブロモ-5-メチル-1H-インドール-7-イル)-5-シアノ-2-チオフェンスルホンアミド
7)2-アミノ-N-(4-ブロモ-3-クロロ-1H-インドール-7-イル)-5-ピリミジンスルホンアミド

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスルホンアミド含有インドール化合物およびその血管新生阻害作用に関する。さらに詳しくは、血管新生阻害作用に基づく抗腫瘍剤、癌転移抑制剤、糖尿病性網膜症治療剤、リューマチ性関節炎治療剤、血腫治療剤に関する。
【背景技術】
【0002】
癌の増殖と血管新生とは密接な関係にあることが明らかとなってきた。すなわち、癌の部位に血管新生が生じない場合、癌は微小な状態(dormant tumor)にとどまっている。しかし、血管新生が生じると腫瘍に血中の酸素や栄養分が補給され癌の増殖や転移が促進され臨床的に悪性となることがわかってきた。したがって、癌の血管新生を阻害すれば癌の増殖および転移が抑えられると考えられる。新生血管は宿主の内皮細胞や間質細胞から構成されるため、血管新生阻害剤のターゲットは癌細胞ではなく宿主のそれらの正常細胞となる。癌細胞を直接のターゲットとしないことは既存抗癌剤不応答の癌にも有効性が期待でき、さらに癌治療の大きな問題である耐性癌が生じる可能性も少ないと考えられる。また、血管新生は腫瘍特異的な現象であり、成熟個体では月経周期に伴う子宮内膜形成などに限られている。従って、既存抗癌剤に比べて副作用も少ないと考えられる。最近、前臨床に於いては血管新生阻害剤が移植癌モデルでの癌増殖を抑制さらには縮小させ得ること、耐性癌が生じないことが実験的に証明され、臨床では血管新生と乳癌、前立腺癌、肺癌、大腸癌など多くの固形癌の悪性化との相関が示されている。
【0003】
癌組織では癌細胞の増殖とアポトーシスが絶えず起こっており、そのバランスで進行癌と dormant tumorが生じていることがわかってきた。血管新生阻害剤は癌細胞を直接的に死滅させるのではなく、栄養源を断つことによってバランスをアポトーシスに傾けdormantあるいは癌の縮小に導くので、長期間の治療により優れた効果(延命、再発抑止、転移抑制)を期待できる薬剤である。
【0004】
いろいろな作用機序による血管新生阻害剤が臨床ステージにあるが、前臨床での抗腫瘍効果が不十分であることから臨床での有用性に疑問が持たれており、効果の確実な血管新生阻害剤が渇望されている。
【0005】
また、網膜症あるいは炎症において血管新生が関与していることは知られている。網膜で血管が増殖すると視力が衰え、ひどくなると盲目になる。現在有効な治療薬はなく有効な治療薬が求められている。
【0006】
特許文献1はインドール骨格を有する化合物の特異的チロシンキナーゼ阻害活性による抗腫瘍剤を開示しているが、これらはインドリールメチレン-2-インドリノン化合物であり本発明とは異なる。同様に特許文献2はインドール骨格を有する化合物の特異的チロシンキナーゼ阻害活性による抗腫瘍剤を開示しているが、これらは2-インドリノン-3-メチレン誘導体であり本発明とは異なる。インドール骨格を有するスルホンアミド誘導体は特許文献3及び特許文献4に開示されている。しかし、特許文献3に具体的に開示されている化合物でインドール環上にアリール(またはヘテロアリール)スルホニルアミノ基以外に2つの置換基を有する化合物は限られており、それらの置換基の組合せは、1)3-Cl,4-Cl、2)3-Cl,4-OCH3、3)3-Cl,4-OH、4)3-Cl,4-CH3、5)3-Cl,4-CNおよび6)3-CN,5-Brの6種だけである。(a)3-CN,4-CH3、(b)3-Cl,5-Br、(c)3-Cl,4-Br、(d)3-Br,4-CH3の組合せはない。4-ハロゲン一置換体では4-Br誘導体は記載されているがスルホニル部分はp-ニトロフェニール誘導体だけである。また、特許文献4に開示されているインドール誘導体は3-ハロゲンまたは3-シアノ−置換体だけである。これらの公開公報には血管新生阻害作用に関する記載は全く無く、それらを示唆する記載もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO9301182号
【特許文献2】WO964016号
【特許文献3】特開平7−165708号公報
【特許文献4】特開平8−231505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、新規な血管新生阻害剤を創出し、従来の抗腫瘍剤に比べて安全性が高く、効果の確実な長期投与可能な抗腫瘍剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は鋭意検討を重ね、特定のスルホンアミド含有インドール化合物が所期の目的を達成することを見出し本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は次の化合物から選ばれるインドール化合物またはその薬理学的に許容される塩あるいはそれらの水和物である。
1)6-クロロ-N-(3-シアノ-4-メチル-1H-インドール-7-イル)-3-ピリジンスルホンアミド
2)N-(3-ブロモ-5-メチル-1H-インドール-7-イル)-4-スルファモイルベンゼンスルホンアミド
3)N-(3-ブロモ-5-メチル-1H-インドール-7-イル)-3-シアノベンゼンスルホンアミド
4)N-(4-ブロモ-1H-インドール-7-イル)-4-シアノベンゼンスルホンアミド
5)6-アミノ-N-(4-クロロ-1H-インドール-7-イル)-3-ピリジンスルホンアミド
6)N-(3-ブロモ-5-メチル-1H-インドール-7-イル)-5-シアノ-2-チオフェンスルホンアミド
7)2-アミノ-N-(4-ブロモ-3-クロロ-1H-インドール-7-イル)-5-ピリミジンスルホンアミド。
【0011】
本発明は、上記のインドール化合物またはその薬理学的に許容される塩あるいはそれらの水和物の薬理学上有効量を患者に投与し、腫瘍、リューマチ性関節炎または糖尿病性網膜症の部位において血管新生を抑制することにより予防・治療に有効な疾患を予防・治療する方法である。
【0012】
また、血管新生抑制剤が予防・治療に有効な疾患の予防・治療剤を製造するための、上記のインドール化合物またはその薬理学的に許容される塩あるいはそれらの水和物の使用である。
【0013】
さらに上記のインドール化合物またはその薬理学的に許容される塩あるいはそれらの水和物を有効成分とする血管新生抑制剤、抗腫瘍剤、膵臓癌治療剤、大腸癌治療剤、胃癌治療剤、乳癌治療剤、前立腺癌治療剤、肺癌治療剤、卵巣癌治療剤、癌転移抑制剤、糖尿病性網膜症治療剤、リューマチ性関節炎治療剤または血管腫治療剤である。これらいずれかの薬剤を用いて予防・治療・改善する方法である。また、これらいずれかの薬剤を製造することに、上記化合物を用いる用途である。
【0014】
本発明のインドール化合物は酸または塩基と塩を形成する場合もある。本発明は上記インドール化合物の塩も包含する。酸との塩としては、たとえば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩等の無機酸塩や酢酸、乳酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、安息香酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸との塩を挙げることができる。また、塩基との塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩などの無機塩、トリエチルアミン、アルギニン、リジン等の有機塩基との塩を挙げることができる。
【0015】
また、これら化合物または薬理学的に許容される塩の水和物はすべてが含まれることはいうまでもない。また、本発明化合物は強い血管新生抑制作用を示すが、生体内で酸化、還元、加水分解、抱合などの代謝を受けて血管新生抑制作用を示す化合物をも包含する。またさらに、本発明は生体内で酸化、還元、加水分解などの代謝を受けて本発明化合物を生成する化合物をも包含する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の化合物は種々の方法によって製造することができるが、それらのうち代表的な方法を示せば、以下の通りである。
一般式(II)
【化1】

【0017】
(式中、Aa環はシアノフェニル基、アミノスルホニルフェニル基、アミノピリジル基、アミノピリミジル基、ハロゲノピリジル基またはシアノチオフェニル基を意味する。)で表わされるスルホン酸またはその反応性誘導体と一般式(III)
【化2】

【0018】
(式中、R1aは水素原子、ハロゲン原子またはシアノ基を、R2aおよびR3aは同一または相異なって水素原子、C1〜C4の低級アルキル基またはハロゲン原子を意味する。但し、R1a、R2aおよびR3aが全て水素原子の場合、またはR2aおよびR3aが共に水素原子である場合は除く。)で表わされる化合物を反応させることにより製造することができる。
【0019】
スルホン酸(II)の反応性誘導体としては、例えばハロゲン化スルホニル、スルホン酸無水物、N−スルホニルイミダゾリドなどのような一般的によく利用される反応性誘導体を挙げることができるが、特に好適な例はハロゲン化スルホニルである。反応に使用する溶媒は特に限定されないが、原料物質を溶解し、かつこれらと容易に反応しないものが望ましく、例えばピリジン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、エチルエーテル、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、あるいはこれらから選ばれた2種以上の混合溶媒などが利用され得る。また、本反応においてハロゲン化スルホニルを用いた場合の如く、反応の進行に伴い酸が遊離してくる場合には、適当な脱酸剤の存在下に行われるのが好ましいので、ピリジンのような塩基性溶媒の使用は特に好適である。中性溶媒を使用するときは、炭酸アルカリ、有機第3級アミンなどの塩基性物質を添加してもよい。勿論、使用し得る溶媒はここに挙げたものに限定されるものではない。一般に本反応は室温で進行するが、必要に応じて冷却または加熱してもよい。反応時間は通常10分〜20時間であるが、原料化合物の種類、反応温度によって任意に選ばれる。
【0020】
得られた生成物において、アミノ基が保護されている場合には、所望により酸処理、アルカリ処理、接触還元など通常の脱保護法を行うことにより、遊離のアミノ基を有する本発明のインドール化合物を得ることが可能である。
【0021】
次に本発明に用いられる原料化合物(II)およびその反応性誘導体ならびに(III)を製造する方法について説明する。
【0022】
原料化合物(II)およびその反応性誘導体には公知化合物および新規化合物が含まれる。新規化合物の場合、既に報告されている公知化合物の合成法を応用することにより、または、それらを組み合わせることにより製造することが可能である。例えば、新規スルホニルクロリドは Chem. Ber., 90, 841 (1957), J. Med. Chem., 6, 307 (1963), J. Chem. Soc.(c), 1968, 1265, Chem. Lett., 1992, 1483, J. Am. Chem. Soc., 59, 1837 (1937), J. Med. Chem., 23, 1376 (1980), J. Am. Chem. Soc., 70, 375 (1948), J. Am. Chem. Soc., 78, 2171 (1956) などに記載されている合成法を応用した方法により製造することができる。
【0023】
原料化合物(III)の中、R1aおよびR3aが水素原子で、R2aがハロゲン原子である場合は、公知の合成法により製造することが可能である。R2aおよびR3aが同一または相異なり水素原子、C1〜C4低級アルキル基またはハロゲン原子で(共に水素原子の場合は除く)、R1aがシアノ基である場合は以下のようして製造される。
反応式1
【化3】

【0024】
(式中、R2aおよびR3aは前記を意味する。)
反応式2
【化4】

【0025】
(式中、R2aおよびR3aは前記を意味する。DPPAはジフェニルホスホリルアジドを意味する。)
1aがハロゲン原子である場合は上記反応式1および2における式(a)または式(g)を常法によりハロゲン化後、ニトロ基の還元あるいはアミノ基の保護基を脱離することにより製造される。
【0026】
本発明化合物を医薬として使用する場合は、経口もしくは非経口的に投与される。投与量は、症状の程度、患者の年齢、性別、体重、感受性差、投与方法、投与時期、投与間隔、医薬製剤の性質、調剤、種類、有効成分の種類等によって異なり特に限定されない。静脈内投与の場合には1〜2000mg、好ましくは1〜1500mg、さらに好ましくは5〜1000mg、経口投与の場合には通常成人1日あたり10〜6000mg、好ましくは約50〜4000mg、さらに好ましくは100〜3000mgであり、これを通常1日1〜3回に分けて投与する。
【0027】
経口用固形製剤を調製する場合は、主薬に賦形剤さらに必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤などを加えた後、常法により錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤等とする。
【0028】
賦形剤としては、例えば乳糖、コーンスターチ、白糖、ぶどう糖、ソルビット、結晶セルロース、二酸化ケイ素などが、結合剤としては、例えばポリビニルアルコール、エチルセルロース、メチルセルロース、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が、滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ等が、着色剤としては医薬品に添加することが許可されているものが、矯味矯臭剤としては、ココア末、ハッカ脳、芳香酸、ハッカ油、龍脳、桂皮末等が用いられる。これらの錠剤、顆粒剤には糖衣、ゼラチン衣、その他必要により適宜コーティングすることは勿論差し支えない。
【0029】
注射剤を調製する場合には、必要により主薬にpH調整剤、緩衝剤、懸濁化剤、溶解補助剤、安定化剤、等張化剤、保存剤などを添加し、常法により静脈、皮下、筋肉内注射剤とする。その際必要により、常法により凍結乾燥物とすることもある。
【0030】
懸濁化剤としては、例えばメチルセルロース、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、アラビアゴム、トラガント末、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどを挙げることができる。
【0031】
溶解補助剤としては、例えばポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート80、ニコチン酸アミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、マクロゴール、ヒマシ油脂肪酸エチルエステルなどを挙げることができる。
【0032】
また安定化剤としては、例えば亜硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸ナトリウム等を、保存剤としては、例えばパラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、ソルビン酸、フェノール、クレゾール、クロロクレゾールなどを挙げることができる。
【0033】
以下に薬理実験例により本化合物の効果を示す。
【0034】
薬理実験例1 血管新生阻害作用
ラット大動脈片をコラーゲン内にて培養した際に観察される新生血管に対する阻害度を血管新生阻害活性とした。すなわち、Sprague-Dawley系雄ラット(10−12週齢)より摘出した大動脈をハンクス液で洗浄しながら周辺の脂肪組織を丁寧に除去する。大動脈を切開し2mm角の切片を作成した後、24ウェルプレート内へ内皮細胞面を上にして静置する。次に、500μlの中性化したタイプIコラーゲン(Cell Matrix Type I-A:新田ゼラチン)を各ウェルへ注ぎ、クリーンベンチ内で室温下約20分間放置してゲルを固まらせる。ゲルが固まったことを確認した後に500μlのMCDB131培地(クロレラ工業)を加え、CO2インキュベーター(5%CO2)で37℃下培養する。翌日、試験化合物を含む500μlのMCDB131培地と培養液を交換し、培養を続ける。3日後に再び試験化合物を含む500μlのMCDB131培地と交換し、試験化合物添加開始より7日目の時点で大動脈周囲に形成された毛細血管数を顕微鏡下に計測した。試験化合物含有溶液は10μg/mlを最高濃度として3倍希釈系列で調整した。
【0035】
以下の式より抑制率を算出し、各試験化合物の50%抑制濃度(IC50値)を求めた。
【0036】
抑制率 (%) = (C−T)/C×100
C:化合物無添加時の毛細血管数
T:化合物添加時の毛細血管数
【表1】

【0037】
薬理実験例2 内皮細胞増殖抑制作用
ペニシリン(100単位)、ストレプトマイシン(100μg/ml)を含むEGM培地(三光純薬)で培養したヒト臍帯静脈由来内皮細胞(HUVEC;三光純薬)を0.8-1×104 cell/mlに調整し、96ウェルプレートに各100μlづつ分注する。CO2インキュベーター(5%CO2)で37℃下一晩培養した後、3倍系列に希釈した試験化合物を含む100μlのEGM培地を加えて3日間培養した。そして、その時の細胞数をMTT法にて測定した。すなわち、0.33% 3-(4,5-dimethlthiazole-2-yl)-2,5-diphenyltetrazolium bromide(MTT)を含むリン酸緩衝溶液(PBS)を50μl添加して3−4時間培養を続ける。次に、培養上清を除去した後に100μlのジメチルスルホキシド(DMSO)を加えて細胞内に生成したホルマザンを溶解し、540 nmの波長での吸光度をプレートリーダー(コロナ電気株式会社)によって測定した。
【0038】
以下の式より抑制率を算出し、各化合物の50%抑制濃度(IC50値)を求めた。
【0039】
抑制率 (%) = (C−T)/C×100
C:化合物無添加時の吸光度
T:化合物添加時の吸光度
【表2】

【0040】
薬理実験例3 マウスB16メラノーマ細胞増殖抑制作用
10 % 牛胎児血清、ペニシリン(100単位/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)を含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM;日水製薬株式会社)で培養したマウスB16メラノーマ細胞を2×104 cell/mlに調整し、96ウェルプレートに各100μlづつ分注する。CO2インキュベーター(5%CO2)で37℃下一晩培養した後、3倍系列に希釈した試験化合物を含む100μlの上記培養液を加えて3日間培養し、その時の細胞数をMTT法にて測定した。尚、0.33 % MTT溶液の処理時間は1−2時間で行った。
【0041】
以下の式より抑制率を算出し、各化合物の50%抑制濃度(IC50値)を求めた。
【0042】
抑制率 (%) = (C−T)/C×100
C:化合物無添加時の吸光度
T:化合物添加時の吸光度
【表3】

【0043】
薬理実験例1から明らかなように本発明化合物は明確な血管新生阻害作用を有する。薬理実験例2と3から明らかなように本発明化合物は、内皮細胞に比べB16メラノーマ細胞に対する増殖抑制作用は5-100倍弱く、血管内皮細胞に特異的に作用している。
【0044】
また、ヒト膵癌由来KP-1細胞株およびヒト大腸癌由来HCT116細胞株を用い、小柳等(Cancer Res., 54, 1702 - 1706, 1994)の方法に準じて抗腫瘍効果の評価を行った。前記のヒト癌細胞(5×10個)を6ないし7週令のヌードマウス(KSN)の皮下に移植し、約100 mmの大きさになった時点より本発明化合物の投与を開始した。実験には薬剤未投与群は10匹、薬剤投与群は1用量5匹のマウスを使用し、50 mg/kg, 100 mg/kg, 200 mg/kgの用量を1日2回連日経口投与し、投与開始日より22日目における腫瘍の大きさを薬剤未投与群と比較した。その結果、例えば、参考例1の化合物投与群ではヒト膵癌由来KP-1細胞株でそれぞれ、37%、30%、11%で、ヒト大腸癌由来HCT116細胞株では0.2%,0.3%, 0.0%であった。参考例1の化合物は顕著な抗腫瘍効果を示した。
【0045】
以上の結果から、本発明化合物は癌細胞を直接のターゲットとする殺細胞性の既存の抗腫瘍剤に比べ、有効性、安全性の面で優れた効果が期待できる。
【0046】
上記実験例に見られるように本発明化合物は優れた血管新生阻害作用を有し、膵臓癌、大腸癌、胃癌、乳癌、前立腺癌、肺癌、卵巣癌等の抗腫瘍剤として、また糖尿病製網膜症、リューマチ性関節炎、血腫の治療剤として有用である。
【実施例】
【0047】
次に、本発明化合物の原料化合物の製造を示す製造例および発明化合物ついて実施例を挙げるが、本発明がこれらのみに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0048】
製造例1 ピルビン酸エチル N-(5-メチル-2-ニトロフェニル)ヒドラゾン
5-メチル-2-ニトロアニリン75.0g(493ミリモル)を水160mlと濃塩酸170mlの混液に加え攪拌した。これに亜硝酸ナトリウム36.0g(517ミリモル)の水溶液80mlを−20℃で滴下した。反応液を、2-メチルアセト酢酸エチルをエタノール100mlに溶解させ12N水酸化カリウム水溶液200mlを加えた液に、−20℃で、攪拌下30分間で加えた。同温で30分間攪拌後、濃塩酸100mlを加え、生じた沈殿を濾取、水洗し、一晩減圧乾燥した。ジエチルエーテルとヘキサンの混液を加え、結晶を濾取し、表題化合物130gを得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 1.29 (3H, t, J=7.2Hz), 2.16 (3H, s), 2.40 (3H, s), 4.25 (2H, q, J=7.2Hz), 6.91 (1H, dd, J=8.8, 2.0Hz), 7.63 (1H, s), 8.07 (1H, d, J=8.8Hz), 10.69 (1H, s)。
【0049】
製造例2 4-メチル-7-ニトロ-1H-インドール-2-カルボン酸エチル
製造例1の化合物25.0g(94.2ミリモル)のキシレン懸濁液(250ml)にポリリン酸100gを加え、3時間加熱還流した。反応液に氷冷下で水80mlと酢酸エチル300mlを加え、不溶物を濾去し、酢酸エチル1.5lで洗浄し、濾液を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和重曹水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮乾固した。残渣にtert-ブチルメチルエーテルとヘキサンの混液を加え、結晶を濾取し、表題化合物11.1gを得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 1.35 (3H, t, J=7.2Hz), 2.65 (3H,s), 4.38 (2H, q, J=7.2Hz), 7.16 (1H, d, J=8.4Hz), 7.51 (1H, s), 8.19 (1H, d, J=8.4Hz), 11.29 (1H, br s)。
【0050】
製造例3 4-メチル-7-ニトロ-1H-インドール-2-カルボン酸
製造例2の化合物11.0g(44.3ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液(150ml)に1N水酸化ナトリウム水溶液150mlを加え、80℃で30分間加熱攪拌した。反応液を濃縮し、残渣に氷冷下5N塩酸40mlを加えてpH1に調整し、生じた沈殿を濾取、水洗した。沈殿をテトラヒドロフラン300mlに溶解し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮乾固し、表題化合物9.60gを得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 2.62 (3H,s), 7.13 (1H, d, J=8.0Hz), 7.42 (1H, s), 8.15 (1H, d, J=8.0Hz), 11.00 (1H, br s)。
【0051】
製造例4 4-メチル-7-ニトロ-1H-インドール
製造例3の化合物9.58g(43.5ミリモル)を1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン60mlに溶解し、塩基性炭酸銅1.04g(4.35ミリモル)を加え、180℃で4時間加熱攪拌した。反応液に氷冷下で酢酸エチル120mlを加え、不溶物を濾去し、濾液を酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物4.87gを得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 2.59 (3H, s), 6.74 (1H, s), 7.03 (1H, d, J=8.4Hz), 7.48 (1H, s), 8.00 (1H, d, J=8.4Hz), 11.86 (1H, br s)。
【0052】
製造例5 3-ホルミル-4-メチル-7-ニトロ-1H-インドール
ジメチルホルムアミド12ml(154ミリモル)に窒素雰囲気下0℃でオキシ塩化リン1.5ml(16.1ミリモル)を加え、同温で20.5時間攪拌した。製造例4の化合物2.0g(11.4ミリモル)のジメチルホルムアミド溶液(20ml)を0℃で加え、90℃で21時間加熱攪拌した。反応液に氷冷下で1N水酸化ナトリウム水溶液100mlを加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮乾固した。残渣にtert-ブチルメチルエーテルとヘキサンの混液を加え、結晶を濾取し、表題化合物2.23gを得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 2.90 (3H, s), 7.21 (1H, d, J=8.4Hz), 8.11 (1H, d, J=8.4Hz), 8.39 (1H, s), 10.01 (1H, s), 12.71 (1H, br s)。
【0053】
製造例6 3-シアノ-4-メチル-7-ニトロ-1H-インドール
製造例5の化合物2.21g(10.8ミリモル)をジメチルホルムアミド100mlに溶解し、ヒドロキシルアミン塩酸塩900mg(13.0ミリモル)とピリジン1.05ml(13.0ミリモル)を加えた。60℃で40分間加熱攪拌後、反応液に氷冷下で1,1'-カルボニルジイミダゾール(53.9ミリモル)を加えた。60℃でさらに30分間加熱攪拌後、反応液にトリエチルアミン3.0ml(21.5ミリモル)を加え、同温でさらに1時間加熱攪拌した。反応混合液に氷冷下で氷水50mlを加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮乾固した。残渣にtert-ブチルメチルエーテルとヘキサンの混液を加え、結晶を濾取し、表題化合物1.95gを得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 2.78 (3H, s), 7.22 (1H, d, J=8.0Hz), 8.14 (1H, d, J=8.0Hz), 8.41 (1H, s), 12.76 (1H, br s)。
【0054】
製造例7 7-ブロモ-4-メチル-1H-インドール
2-ブロモ-5-メチルニトロベンゼン65.0g(301ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液(300ml)に窒素雰囲気下−60℃でビニルマグネシウムブロミド1.0Mテトラヒドロフラン溶液1l(1モル)を攪拌下1時間で加えた。反応混合液に飽和塩化アンモニウム水溶液、酢酸エチルを加え、不溶物を濾去した。濾液を硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物35.5gを得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 2.42 (3H, s), 6.55 (1H, s), 6.73 (1H, d, J=7.6Hz), 7.16 (1H, d, J=7.6Hz), 7.35 (1H, s), 11.24 (1H, br s)。
【0055】
製造例8 4-メチル-1H-インドール-7-カルボン酸
製造例7の化合物35.5g(169ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液(200ml)に窒素雰囲気下−78℃でブチルリチウム1.6Mヘキサン溶液240ml(384ミリモル)を攪拌下加えた。氷冷下で40分間攪拌後、反応液に−50℃で二酸化炭素を通じ、そのまま15分間攪拌した。反応混合液に同温で水を加え、溶媒を減圧留去し、生じた沈殿を濾取、水洗した。沈殿をテトラヒドロフラン300mlに溶解し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮乾固し、表題化合物25.9gを得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 2.51 (3H, s), 6.53 (1H, s), 6.88 (1H, d, J=7.6Hz), 7.31 (1H, s), 7.62 (1H, d, J=7.6Hz), 10.99 (1H, br s), 12.79 (1H, br s)。
【0056】
製造例9 7-(N-tert-ブトキシカルボニル)アミノ-4-メチル-1H-インドール
製造例8の化合物7.0g(40.0ミリモル)をトルエン80mlに懸濁し、窒素雰囲気下でトリエチルアミン22ml(160ミリモル)とジフェニルホスホリルアジド11.2ml(52ミリモル)を加え、室温で30分間攪拌した。反応液にtert-ブタノール8ml(84ミリモル)を加え、100℃で2.5時間加熱攪拌後、反応液を濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解し、0.1N塩酸、水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮乾固した。残渣にジエチルエーテルとヘキサンの混液を加え、結晶を濾取し、表題化合物7.87gを得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 1.48 (9H, s), 2.38 (3H, s), 6.37-6.44 (1H, m), 6.68 (1H, d, J=8.4Hz), 7.22-7.31 (2H, m), 8.86 (1H, br s), 10.73 (1H, br s)。
【0057】
製造例10 7-(N-tert-ブトキシカルボニル)アミノ-3-ホルミル-4-メチル-1H-インドール
ジメチルホルムアミド400ml(5.2モル)に窒素雰囲気下0℃でオキシ塩化リン40ml(429ミリモル)を加え、同温で25分間攪拌した。製造例9の化合物74.0g(300ミリモル)を0℃で加え、室温で1.5時間攪拌した。反応混合液に氷冷下で5N水酸化ナトリウム水溶液250mlを加えてpH8に調整し、テトラヒドロフラン、酢酸エチルと水を加えて有機層を分取し、水、飽和食塩水で順次洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残渣にジエチルエーテルとヘキサンの混液を加え、結晶を濾取し、表題化合物53.7gを得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 1.50 (9H, s), 2.71 (3H, s), 6.90 (1H, d, J=7.6Hz), 7.32-7.41 (1H, m), 8.21 (1H, d, J=1.6Hz), 8.99 (1H, br s), 9.93 (1H, s), 11.88 (1H, br s)。
【0058】
製造例11 7-(N-tert-ブトキシカルボニル)アミノ-3-シアノ-4-メチル-1H-インドール
製造例10の化合物4.43g(16.2ミリモル)をジメチルホルムアミド50mlに溶解し、ヒドロキシルアミン塩酸塩1.35g(19.4ミリモル)とピリジン1.6ml(19.8ミリモル)を加えた。60℃で45分間加熱攪拌後、反応液に氷冷下で1,1'-カルボニルジイミダゾール(80.8ミリモル)を加えた。60℃でさらに30分間加熱攪拌後、反応液にトリエチルアミン4.5ml(32.3ミリモル)を加え、同温でさらに30分間加熱攪拌した。反応混合液に氷冷下で水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮乾固し、表題化合物4.27gを得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 1.49 (9H, s), 2.60 (3H, s), 6.89 (1H, d, J=8.0Hz), 7.34-7.42 (1H, m), 8.20 (1H, d, J=2.8Hz), 9.04 (1H, br s), 11.80 (1H, br s)。
【0059】
製造例12 7-アミノ-3-シアノ-4-メチル-1H-インドール
製造例6の化合物12.6g(62.6ミリモル)をテトラヒドロフラン100mlとメタノール100mlの混液に懸濁し、酸化白金430mg(1.87ミリモル)の存在下常温3気圧で水素添加した。触媒を濾別、濃縮乾固した後、残渣にtert-ブチルメチルエーテルとヘキサンの混液を加え、結晶を濾取し、表題化合物10.7gを得た。
【0060】
製造例11の化合物50.5g(186ミリモル)をジクロロメタン400mlに溶解し、窒素雰囲気下0℃でトリフルオロ酢酸210ml(2.76モル)を加え、室温で40分間攪拌した。反応液に−20℃で5N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH7に調整し、溶媒を留去後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮乾固し、残渣にジエチルエーテルとヘキサンの混液を加え、結晶を濾取し、表題化合物24.5gを得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 2.47 (3H, s), 5.07 (2H, s), 6.34 (1H, d, J=7.6Hz), 6.64 (1H, d, J=7.6Hz), 8.10 (1H, s), 11.70 (1H, br s)。
【0061】
製造例13 3-シアノベンゼンスルホニルクロリド
3-シアノアニリン25.0g(212ミリモル)を水200mlと濃塩酸250mlの混液に加え攪拌した。これに亜硝酸ナトリウム15.5g(223ミリモル)の水溶液(80ml)を−10℃で滴下した。反応液を二酸化イオウ飽和酢酸液(二酸化硫黄を酢酸250mlに飽和させ、塩化第一銅2.1gを加えた液)に氷冷、撹拌下加えた。1時間後反応液を氷水500mlに注ぎ、ジエチルエーテルで抽出し、飽和重曹水、水、飽和食塩水で順次洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣にジエチルエーテルとヘキサンの混液を加え、結晶を濾取し、表題化合物16.0gを得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 7.55 (1H, t, J=8.0Hz), 7.78 (1H, dd, J=8.0, 1.2Hz), 7.86-7.92 (2H, m)。
【0062】
製造例14 4-スルファモイルベンゼンスルホニルクロリド
4-アミノベンゼンスルホンアミド25.0g(145ミリモル)を水80mlと濃塩酸50mlの混液に加え攪拌した。これに亜硝酸ナトリウム10.5g(152ミリモル)の水溶液(20ml)を−13℃〜−10℃で15分間で滴下した。10分後反応液を二酸化イオウ飽和混液(二酸化硫黄を酢酸150mlと濃塩酸12.5mlの混液に飽和させ、塩化第一銅3.7gを加えた液)に−30℃で撹拌下加えた。1時間後反応液に氷水を500ml加え、沈殿を濾取した。この沈殿をトルエン450mlと酢酸エチル150mlの混液に溶解し、不溶物を濾去した後、濾液を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣にトルエン100mlを加え、結晶を濾取し、表題化合物20.9gを得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 7.65-7.69 (2H, m), 7.71-7.78 (4H, m)。
【0063】
製造例15 5-ブロモ-3-クロロ-7-ニトロ-1H-インドール
5−ブロモ−7−ニトロ−1H−インドール12.00g(49.8ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液(140ml)にジメチルホルムアミド1.4mlとN−クロロコハク酸イミド6.98g(52.3ミリモル)を加え、室温で一晩攪拌した。10%チオ硫酸ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮乾固し、表題化合物14.84gを得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 7.79(1H, s), 8.15(1H, s), 8.23(1H, s), 12.32(1H, br s)。
【0064】
製造例16 7-アミノ-5-ブロモ-3-クロロ-1H-インドール塩酸塩
製造例15の化合物14.84g(53.9ミリモル)のメタノール溶液(250ml)に濃塩酸70mlとスズ末31.97g(269ミリモル)を加え、室温で80分間攪拌した。氷冷下5N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH10に調整した後、生じた沈殿を濾去し、濾液を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、7-アミノ-5-ブロモ-3-クロロ-1H-インドール14.35gを得た。これを酢酸エチルに溶解し、4N塩化水素酢酸エチル溶液17mlを加えた。生じた沈殿を濾取、ヘキサンで洗浄し、表題化合物13.23gを得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 5.11(3H, br s), 6.64(1H, s), 6.93(1H, s), 7.50(1H, d, J=2.0Hz), 11.38(1H, br s)。
【0065】
製造例17 ピルビン酸エチル 2-(4-メチル-2-ニトロフェニル)ヒドラゾン
4-メチル-2-ニトロアニリン30.00g(0.197モル)を水110mlに懸濁し、濃塩酸66mlを加えた。これに亜硝酸ナトリウム16.33g(0.237モル)の水溶液(35ml)を10℃以下で滴下し、氷冷下40分間攪拌して、ジアゾニウム塩溶液を調製した。2−メチルアセト酢酸エチル28.43g(0.197モル)をエタノール150mlと水300mlの混液に溶解し、氷冷下水酸化カリウム53.36g(0.808モル)の水溶液(120ml)を加えた。続いて同温で先に調製したジアゾニウム塩溶液を滴下し、氷冷下20分間攪拌した。濃塩酸を加えてpH1に調整した後、生じた沈殿を濾取、水洗し、五酸化リン上で減圧乾燥し、表題化合物46.42gを得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 1.40(3H, t, J=7.2Hz), 2.23(3H, s), 2.36(3H, s), 4.35(2H, q, J=7.2Hz), 7.44(1H, dd, J=8.8, 1.6Hz), 7.93(1H, d, J=8.8Hz), 8.00(1H, s), 10.87(1H, br s)。
【0066】
製造例18 5-メチル-7-ニトロ-1H-インドール-2-カルボン酸エチル
製造例17の化合物15.92g(60.0ミリモル)のキシレン溶液(320ml)にポリリン酸65.33gを加え、一晩加熱還流した。水と酢酸エチルを加え、不溶物を濾去し、有機層を分取した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物7.32gを得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 1.34(3H, t, J=7.0Hz), 2.47(3H,s), 4.36(2H, q, J=7.0Hz), 7.35(1H,s), 7.99(1H, s), 8.11(1H, s), 11.25(1H, br s)。
【0067】
製造例19 5-メチル-7-ニトロ-1H-インドール
製造例18の化合物7.86g(31.7ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液(80ml)に氷冷下1N水酸化ナトリウム水溶液150mlを加え、室温で3.5時間攪拌した。氷冷下2N塩酸を加えてpH1に調整した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮乾固し、5−メチル−7−ニトロ−1H−インドール−2−カルボン酸7.13gを得た。これを1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン160mlに溶解し、塩基性炭酸銅716mg(3.24ミリモル)を加え、185℃で2時間攪拌した。反応液を水に注ぎ、不溶物を濾去し、濾液を酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物4.50gを得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 2.46(3H,s), 6.62(1H, d, J=2.8Hz), 7.47(1H, d, J=2.8Hz), 7.87(1H, s), 7.92(1H, s), 11.77(1H, br s)。
【0068】
製造例20 3-ブロモ-5-メチル-7-ニトロ-1H-インドール
製造例19の化合物4.50g(25.5ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液(70ml)にジメチルホルムアミド0.7mlとN−ブロモコハク酸イミド4.78g(26.9ミリモル)を加え、室温で70分間攪拌した。10%チオ硫酸ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮乾固し、表題化合物6.53gを得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 2.50(3H, s), 7.67(1H, s), 7.73(1H, s), 8.02(1H, s), 12.10(1H, br s)。
【0069】
製造例21 7-アミノ-3-ブロモ-5-メチル-1H-インドール
製造例20の化合物6.76g(26.5ミリモル)をメタノール150mlと水75mlの混液に懸濁し、塩化アンモニウム11.34g(212ミリモル)と鉄粉5.92g(106ミリモル)を加えた。80℃で1時間攪拌した後、不溶物を濾去した。濾液に飽和重曹水を加えてpH8に調整し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和重曹水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物3.30gを得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 2.24(3H, s), 5.08(2H, br s), 6.20(1H, s), 6.41(1H, s), 7.35(1H, s), 10.86(1H, br s)。
【0070】
製造例22 6-アミノ-3-ピリジンスルホニルクロリド
クロロスルホン酸123.8g(1.06モル)に氷冷下2-アミノピリジン10.00g(0.106モル)を少量ずつ加えた。これに塩化チオニル50.56g(0.425モル)を加え、2.5時間加熱還流し、さらに150℃で7時間攪拌した。反応液を氷水に注ぎ、炭酸水素ナトリウムを加えて中和し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和重曹水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮乾固した。残渣をエチルエーテルに懸濁し、不溶物を濾去した。濾液を濃縮乾固し、残渣をエチルエーテル−ヘキサンから再結晶して、表題化合物6.58gを得た。
【0071】
製造例23 4,7-ジブロモ-1H-インドール
2,5-ジブロモニトロベンゼン62.0g(0.224モル)から特開平7−165708の製造例1と同様にして表題化合物27.2gを得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 6.52 (1H, d, J=3.2 Hz), 7.18 (1H, d, J= 8.0 Hz), 7.26 (1H, d, J= 8.0 Hz), 7.53 (1H, d, J= 3.2 Hz), 11.75 (1H, brs)。
【0072】
製造例24 7-アミノ-4-ブロモ-1H-インドール塩酸塩
製造例23の化合物27.2g(98.9ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液(300 ml)に窒素雰囲気下-78℃でn-ブチルリチウム1.6Mヘキサン溶液186 ml(116.3ミリモル)を滴下し、ついで氷冷下で1時間撹拌した。-78℃に再び冷却後、ジフェニルホスホリルアジド28 ml(0.13ミリモル)を滴下し、-78℃で1時間、ついで-40℃で1時間撹拌した。ナトリウム ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウム ハイドライド3.4Mトルエン溶液150gを-40℃で加えた後、室温で1時間撹拌した。水 120 mlを加え、不溶物を濾取し、濾液をエチルエーテルで抽出した。有機層を飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。濃縮後、残渣をエチルエーテルに溶かし4N-塩酸酢酸エチル溶液50 mlを加え生じた沈殿を濾取し、表題化合物14.5gを得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 6.41-6.43 (1H, m), 6.80 (1H, d, J= 8.0 Hz), 7.16 (1H, d, J= 8.0 Hz), 7.54 (1H, t, J= 2.8 Hz), 11.57 (1H, brs)。
【0073】
製造例25 7-ブロモ-4-クロロ-1H-インドール
製造例23と同様にして、表題化合物を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 6.60-6.61 (1H, m), 7.04 (1H, d, J= 8.1 Hz), 7.32 (1H, d, J= 8.1 Hz), 7.53 (1H, t, J= 2.7 Hz), 11.74 (1H, brs)。
【0074】
製造例26 7-アミノ-4-クロロ-1H-インドール塩酸塩
製造例24と同様にして、表題化合物を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 6.54-6.55 (1H, m), 7.05 (1H, d, J= 8.1 Hz), 7.11 (1H, d, J= 8.1 Hz), 7.60 (1H, t, J= 2.7 Hz), 11.82 (1H, brs)。
【0075】
製造例27 5-ブロモ-2-チオフェンカルボキシアルデヒド
5-ジブロモチオフェン10.0g(41.3ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液(80 ml)に窒素雰囲気下-78℃でn-ブチルリチウム1.6Mヘキサン溶液27.0 ml(43.4ミリモル)を滴下し、同温で10分間撹拌した。ついで同温にてジメチルホルムアミド3.5 ml (45.5ミリモル) を加え、20分間撹拌した。水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を0.1N 塩酸水溶液、水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。濃縮乾固すると、表題化合物6.4gを得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 7.49 (1H, d, J= 4.0 Hz), 7.87 (1H, d, J= 3.9 Hz), 9.81 (1H, s)。
【0076】
製造例28 5-ブロモ-2-チオフェンカルボニトリル
製造例27の化合物8.2g(43.1ミリモル)のジメチルホルムアミド溶液(40ml)にヒドロキシルアミン塩酸塩3.3g(51.7ミリモル)とピリジン4.1g(51.7ミリモル)を加え、室温で30分間撹拌した。ついで、氷冷下1,1'-カルボニルジイミダゾール34.9g(215.5ミリモル)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液に氷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を0.1N塩酸水溶液、水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。濃縮後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、表題化合物を6.7g得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 7.45 (1H, d, J= 4.0 Hz), 7.84 (1H, d, J= 4.0 Hz)。
【0077】
製造例29 5-ベンジルチオ−2-チオフェンカルボニトリル
水素化ナトリウム585mg(13.4ミリモル、55%油性)をジメチルスルホキサイド10mlに懸濁し、氷冷下ベンジルメルカプタン1.4g(11.2ミリモル)を加え10分間撹拌した。ついで、製造例14の化合物2.1g(11.2ミリモル)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。濃縮後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、表題化合物を1.51g得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 4.26 (2H, s), 7.18 (1H, d, J= 4.0 Hz), 7.27-7.30 (5H, m), 7.83 (1H, d, J= 4.0 Hz)。
【0078】
製造例30 4-ブロモ-1H-インドールカルボン酸
製造例8と同様にして製造例23の化合物51gから表題化合物34gを得た。
1H-NMR(CDCl3)δ(ppm) ; 6.51-6.52(1H, m), 7.35(1H, d, J=8.0Hz), 7.48(1H, t, J=2.8Hz), 7.66(1H, d, J=8Hz), 11.4(1H, brs), 13.2(1H, brs)。
【0079】
製造例31 7-(N-tert-ブトキシカルボニル)アミノ-4-ブロモ-1H-インドール
製造例9と同様にして製造例30の化合物34gから表題化合物32gを得た。
1H-NMR(CDCl3)δ(ppm) ; 1.51(9H, s), 6.38-6.39(1H, m), 7.13(1H, d, J=8.0Hz), 7.44-7.46(2H, m), 9.11(1H, brs), 11.2(1H, brs)。
【0080】
製造例32 7-(N-tert-ブトキシカルボニル)アミノ-4-ブロモ-3-クロロ-1H-インドール
製造例31の化合物のテトラヒドロフラン−ジメチルホルムアミド溶液中でN-クロロコハク酸イミドと処理し、表題化合物を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ(ppm) ; 1.50(9H, s), 7.19(1H, d, J=8.4Hz), 7.45(1H, d, J=8.4Hz), 7.62(1H, d, J=2.8Hz), 9.08(1H, brs), 11.41(1H, brs)。
【0081】
製造例33 7-アミノ-4-ブロモ-3-クロロ-1H-インドール塩酸塩
製造例32の化合物10.87g(31.5ミリモル)をメタノール(120ml)に溶解し、濃塩酸(20ml)を加え60℃で40分間撹拌した。反応終了後溶媒を留去し、エタノールで3回共沸留去して得られた固体をエーテルで洗い、表題化合物8.5gを得た。
1H-NMR(CDCl3)δ(ppm) ; 6.67(1H, d, J=8.0Hz), 7.13(1H, d, J=8.0Hz), 7.65(1H, d, J=2.8Hz), 11.74(1H, brs)。
【0082】
製造例34 2-アミノ-5-ピリミジンスルホニルクロリド
クロロスルホン酸21ml(0.316モル)を氷水中冷却し、撹拌下2-アミノピリミジン3g(0.032モル)を少量ずつ加えた。さらにチオニルクロリド9.2ml(0.126モル)を加え、150℃にて70時間撹拌した。反応液を室温に戻し、水にあけて酢酸エチルにて抽出した。硫酸ナトリウムにて乾燥後、濃縮乾固し、表題化合物を1.7g得た。
1H-NMR(CDCl3)δ(ppm) ; 5.97(2H, broad), 8.83(2H, s)。
【0083】
参考例1 3-シアノ-N-(3-シアノ-4-メチル-1H-インドール-7-イル)ベンゼンスルホンアミド
【化5】

【0084】
製造例12の化合物2.00g(11.7ミリモル)をテトラヒドロフラン60mlに溶解し、ピリジン4.0ml(49.5ミリモル)と製造例13の化合物2.60g(12.9ミリモル)を加えた。室温で16時間攪拌後、2N塩酸を加えてpH1−2に調整し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物3.90gを得た。
融点 : 220-221℃(エタノール−n-ヘキサンから再結晶)
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 2.55 (3H, s), 6.50 (1H, d, J=8.0Hz), 6.77 (1H, d, J=8.0Hz), 7.71 (1H, t, J=8.0Hz), 7.90 (1H, d, J=8.0Hz), 8.05-8.13 (2H, m), 8.16 (1H, s), 10.11 (1H, br s), 12.01 (1H, br s)。
【0085】
実施例1 6-クロロ-N-(3-シアノ-4-メチル-1H-インドール-7-イル)-3-ピリジンスルホンアミド
【化6】

【0086】
製造例12の化合物700mg(4.09ミリモル)をテトラヒドロフラン20mlに溶解し、ピリジン1.3ml(16.1ミリモル)と6-クロロ-3-ピリジンスルホニルクロリド950mg(4.48ミリモル)を加えた。室温で2時間攪拌後、1N塩酸を加えてpH1−2に調整し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物1.16gを得た。
融点 : 262-263℃(エタノール−n-ヘキサンから再結晶)
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 2.57 (3H, s), 6.55 (1H, d, J=7.6Hz), 6.82 (1H, d, J=7.6Hz), 7.69 (1H, d, J=8.4Hz), 8.01 (1H, dd, J=8.4, 2.4Hz), 8.17 (1H, d, J=2.8Hz), 8.60 (1H, d, J=2.4Hz), 10.21 (1H, br s), 12.03 (1H, br s)。
【0087】
実施例2 N-(3-ブロモ-5-メチル-1H-インドール-7-イル)-4-スルファモイルベンゼンスルホンアミド
【化7】

【0088】
製造例22の化合物200mg(0.89ミリモル)をテトラヒドロフラン6mlに溶解し、ピリジン0.3ml(3.71ミリモル)と製造例14の化合物300mg(1.17ミリモル)を加えた。室温で48時間攪拌後、1N塩酸を加えてpH1−2に調整し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮後、残渣にジエチルエーテルとヘキサンの混液を加えて結晶を濾取し、表題化合物387mgを得た。
融点 : 196-197℃(エタノール−n−ヘキサンから再結晶)
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 2.24 (3H, s), 6.60 (1H, s), 6.98 (1H, s), 7.44 (1H, s), 7.55 (2H, br s), 7.85-7.95 (4H, m), 10.13 (1H, br s), 11.01 (1H, br s)。
【0089】
実施例3 N-(3-ブロモ-5-メチル-1H-インドール-7-イル)-3-シアノベンゼンスルホンアミド
【化8】

【0090】
製造例21の化合物260mg(1.16ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液(6ml)に氷冷下ピリジン0.19ml(2.35ミリモル)と3−シアノベンゼンスルホニルクロリド280mg(1.39ミリモル)を加え、室温で一晩攪拌した。0.2N塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物360mgを得た。
融点 : 148℃付近から徐々に分解し始め、163-164℃で急速に分解(エタノール−n-ヘキサンから再結晶)
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 2.25(3H, s), 6.54(1H, s), 7.01(1H, s), 7.42(1H, d, J=2.8Hz), 7.71(1H, t, J=7.6Hz), 7.93(1H, d, J=7.6Hz), 8.07-8.11(2H, m), 10.09(1H, br s), 11.04(1H, br s)。
【0091】
実施例4 N-(4-ブロモ-1H-インドール-7-イル)-4-シアノベンゼンスルホンアミド
【化9】

【0092】
製造例24の化合物 700 mg (2.8ミリモル) と4-シアノベンゼンスルホニルクロリド685 mg (3.4ミリモル) を参考例1と同様の操作を行い、表題化合物686mgを得た。
融点:214-216℃
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 6.35 (1H, d, J=2.6 Hz), 6.53 (1H, d, J= 8.0 Hz), 7.04 (1H, d, J= 8.0 Hz), 7.41 (1H, t, J= 2.8 Hz), 7.85 (2H, d, J= 8.0 Hz), 8.00 (2H, d, J= 8.0 Hz), 10.24 (1H, br s), 11.19 (1H, br s)。
【0093】
実施例5 6-アミノ-N-(4-クロロ-1H-インドール-7-イル)-3-ピリジンスルホンアミド
【化10】

【0094】
製造例22の化合物1330 mg(6.4ミリモル)と製造例12の化合物1000 mg(4.9ミリモル)を参考例1と同様の操作を行い、表題化合物961mgを得た。
融点:204-206℃
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 6.38 (1H, d, J=9.0 Hz), 6.43 (1H, t, J= 2.2 Hz), 6.77 (1H, d, J= 7.7 Hz), 6.86 (2H, br s), 7.42 (1H, t, J= 2.6 Hz), 7.56 (1H, dd, J= 2.6, 9.0 Hz), 8.14 (1H, d, J= 2.6 Hz), 9.70 (1H, br s), 11.07 (1H, br s)。
【0095】
実施例6 N-(3-ブロモ-5-メチル-1H-インドール-7-イル)-5-シアノ-2-チオフェンスルホンアミド
【化11】

【0096】
製造例29の化合物1.3g(5.6ミリモル)の濃塩酸溶液(15ml)に、氷冷下塩素ガスを導入した。30分間撹拌した後、反応液を氷水に加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮した。残渣を製造例22の化合物1.2g(5.35ミリモル)のピリジン溶液(6ml)に加え、室温で一晩撹拌した。水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を1N塩酸水溶液、水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、表題化合物を1227mg得た。
融点:166-169℃(分解)
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 2.30 (3H, s), 6.65 (1H, s), 7.07 (1H, s), 7.44 (1H, s), 7.54 (1H, d, J= 4.0 Hz), 7.94 (1H, d, J=4.0 Hz), 10.47 (1H, br s), 11.04 (1H, br s)。
【0097】
実施例7 2-アミノ-N-(4-ブロモ-3-クロロ-1H-インドール-7-イル)-5-ピリミジンスルホンアミド
【化12】

【0098】
製造例33の化合物712mg(2.52ミリモル)のピリジン溶液5mlに製造例34の化合物513mg(2.65ミリモル)を加え、15時間撹拌した。反応溶液に水を加え、酢酸エチルとテトラヒドロフラン10:1の混合液にて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して表題化合物を950mg得た。
融点:285-289℃
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm) ; 6.75(1H, d, J=8.0Hz), 7.19(1H, d, J=8.0Hz), 7.59(1H, d, J=3.0Hz), 7.65(2H, s), 8.37(2H, s), 9.82(1H, s), 11.43(1H, s)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の化合物から選ばれるインドール化合物またはその薬理学的に許容される塩あるいはそれらの水和物。
1)6-クロロ-N-(3-シアノ-4-メチル-1H-インドール-7-イル)-3-ピリジンスルホンアミド
2)N-(3-ブロモ-5-メチル-1H-インドール-7-イル)-4-スルファモイルベンゼンスルホンアミド
3)N-(3-ブロモ-5-メチル-1H-インドール-7-イル)-3-シアノベンゼンスルホンアミド
4)N-(4-ブロモ-1H-インドール-7-イル)-4-シアノベンゼンスルホンアミド
5)6-アミノ-N-(4-クロロ-1H-インドール-7-イル)-3-ピリジンスルホンアミド
6)N-(3-ブロモ-5-メチル-1H-インドール-7-イル)-5-シアノ-2-チオフェンスルホンアミド
7)2-アミノ-N-(4-ブロモ-3-クロロ-1H-インドール-7-イル)-5-ピリミジンスルホンアミド
【請求項2】
次の化合物から選ばれる請求項1に記載のインドール化合物またはその薬理学的に許容される塩あるいはそれらの水和物。
5)6-アミノ-N-(4-クロロ-1H-インドール-7-イル)-3-ピリジンスルホンアミド
7)2-アミノ-N-(4-ブロモ-3-クロロ-1H-インドール-7-イル)-5-ピリミジンスルホンアミド
【請求項3】
請求項1又は2記載のインドール化合物またはその薬理学的に許容される塩あるいはそれらの水和物を有効成分とする血管新生抑制剤。
【請求項4】
血管新生抑制剤が予防・治療に有効な疾患の予防・治療剤を製造するための、請求項1又は2記載のインドール化合物またはその薬理学的に許容される塩あるいはそれらの水和物の使用。
【請求項5】
請求項1又は2記載のインドール化合物またはその薬理学的に許容される塩あるいはそれらの水和物を有効成分とする抗腫瘍剤。
【請求項6】
請求項1又は2記載のインドール化合物またはその薬理学的に許容される塩あるいはそれらの水和物を有効成分とする膵臓癌治療剤。
【請求項7】
請求項1又は2記載のインドール化合物またはその薬理学的に許容される塩あるいはそれらの水和物を有効成分とする大腸癌治療剤。
【請求項8】
請求項1又は2記載のインドール化合物またはその薬理学的に許容される塩あるいはそれらの水和物を有効成分とする胃癌治療剤。
【請求項9】
請求項1又は2記載のインドール化合物またはその薬理学的に許容される塩あるいはそれらの水和物を有効成分とする乳癌治療剤。
【請求項10】
請求項1又は2記載のインドール化合物またはその薬理学的に許容される塩あるいはそれらの水和物を有効成分とする前立腺癌治療剤。
【請求項11】
請求項1又は2記載のインドール化合物またはその薬理学的に許容される塩あるいはそれらの水和物を有効成分とする肺癌治療剤。
【請求項12】
請求項1又は2記載のインドール化合物またはその薬理学的に許容される塩あるいはそれらの水和物を有効成分とする卵巣癌治療剤。
【請求項13】
請求項1又は2記載のインドール化合物またはその薬理学的に許容される塩あるいはそれらの水和物を有効成分とする癌転移抑制剤。
【請求項14】
請求項1又は2記載のインドール化合物またはその薬理学的に許容される塩あるいはそれらの水和物を有効成分とする血管腫治療剤。
【請求項15】
請求項1又は2記載のインドール化合物またはその薬理学的に許容される塩あるいはそれらの水和物を、抗腫瘍剤、膵臓癌治療剤、大腸癌治療剤、胃癌治療剤、乳癌治療剤、前立腺癌治療剤、肺癌治療剤、卵巣癌治療剤、癌転移抑制剤または血管腫治療剤を製造することに用いる用途。

【公開番号】特開2010−180229(P2010−180229A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85696(P2010−85696)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【分割の表示】特願2006−226414(P2006−226414)の分割
【原出願日】平成12年2月24日(2000.2.24)
【出願人】(506137147)エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社 (215)
【Fターム(参考)】