説明

スルホンアミド誘導体、これの調製および治療への応用

本発明は、一般式(I)のスルホンアミド誘導体に関し、ここで、塩基、酸付加塩、水和物もしくは溶媒和物の形態において、または鏡像異性体、ジアステレオ異性体、回転異性体、アトロボ異性体の形態もしくはこれらの混合物において、Arは、1つまたはいくつかの基により場合によって置換されているアリール、場合によって置換されているヘテロシクリル基を表し;Tは、−(CHまたは基(A)を表し;Arは、1つまたはいくつかの基により場合によって置換されているアリール、場合によって置換されているヘテロシクリル基を表し;Arは、1つまたはいくつかの基により場合によって置換されているアリール、場合によって置換されているヘテロシクリルを表し;Rは、水素または(C−C)アルキルを表し;R’は、場合によって置換されている(C−C)アルキル;カルボン酸、(C−C)カルボキシレート、場合によって置換されているカルボキサミドを表す。本発明は、式(I)の化合物の調製方法ならびに治療的使用にも関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、スルホンアミド誘導体、これらの調製方法およびこれらの治療的使用に関する。
【背景技術】
【0002】
オレキシンAおよびB(すなわち、ヒポクレチン1および2)は、それぞれ視床下部ニューロペプチド33および28アミノ酸であり、オレキシン1および2レセプターと名付けられたツーセブンドメイン膜貫通レセプターの内在性リガンドとして最近確認された(Sakurai T.、Cell、92巻、573−585頁、1998;De Lecea L.、Proc.Natl.Acad.Sci.、95巻、322−327頁、1998)。
【0003】
オレキシン2レセプターは、オレキシンAおよびBの2つの形態を同等に認識する性質を有する。対照的に、オレキシン2レセプターと64%相同性を有するオレキシン1レセプターは、より選択性であり、オレキシンAをオレキシンBよりも10倍強く結合する(Sakurai T.、Cell、92巻、573−585頁、1998)。
【0004】
オレキシンは、様々な中枢および末梢機能、特に食物および飲料の摂取、ある種の心血管系内分泌機能および覚醒/睡眠周期を、これらレセプターを介して制御する(Sakurai T.Regulatory Peptides、85巻、25−30頁、1999)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
あるスルホンアミド誘導体がオレキシン2レセプターに関して高い親和力を示し、これらレセプターの強力な拮抗薬であることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明の主題は、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、回転異性体、アトロボ異性体またはこれらの混合物の形態における、塩基、酸付加塩、水和物または溶媒和物の状態における一般式(I)に対応する化合物
【0007】
【化5】

[式中、
Rは、
−水素原子;
−(C−C)アルキル
を表し;
R’は、
−以下から選択される1つまたは複数の基により場合によって置換されている(C−C)アルキル;
ヒドロキシル基;
ハロゲン基;
(C−C)アルコキシ基;
アリールオキシ基(前記アリールは、ハロゲン原子、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシから選択される1つまたは複数の基により置換されていることが可能である。);
アリール基(前記アリールは、ハロゲン原子、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシから選択される1つまたは複数の基により置換されていることが可能である。);
−NH(COO)R基(Rは(C−C)アルキルを表す。);
NH(CO)R基(Rは(C−C)アルキルまたはアリール基を表し、前記アリール基は、ハロゲン原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシまたはカルボン酸から選択される。);
−NR基(RおよびRは、互いに独立に水素原子または(C−C)アルキルを表し、またはこれらに結合している窒素原子とヘテロシクリルを形成する。)、
−NRアンモニウム基(R、RおよびRは、(C−C)アルキルを表す。);
ヘテロシクリル基;
COOR基(Rは水素または(C−C)アルキルを表すことができる。)、
CONR基;
−COOH、COO(C−C)アルキルまたはCONR
を表し;
Arは、
−以下の基:ハロゲン原子、シアノ、(C−C)アルキル、フルオロ(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシから互いに独立に選択される1つまたは複数の基により場合によって置換されているアリール基;
−ハロゲン原子、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシにより場合によって置換されているヘテロシクリル基
を表し;
Tは、
−−(CH−基(n=1または2)、
−基
【0008】
【化6】

を表し;
Arは、
−以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、フルオロ(C−C)アルキルまたはフルオロ(C−C)アルコキシから互いに独立に選択される1つまたは複数の基により場合によって置換されているアリール基;
−ハロゲン原子、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシにより場合によって置換されているヘテロシクリル基
を表し;
Arは、
−以下の基:ハロゲン原子、ヒドロキシル基、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシから互いに独立に選択される1つまたは複数の基により場合によって置換されているアリール基;
−ヒドロキシル基、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、フルオロ(C−C)アルキルまたはフルオロ(C−C)アルコキシにより場合によって置換されているヘテロシクリル基
を表す。]である。
【0009】
本発明の主題である化合物のうち、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、回転異性体、アトロボ異性体またはこれら混合物の形態において、塩基、酸付加塩、水和物または溶媒和物の状態において、
Rが、
−水素原子;
−(C−C)アルキル;
を表し;
R’が、
−以下から選択される1つまたは複数の基により場合によって置換されている(C−C)アルキル;
ヒドロキシル基;
ハロゲン基;
(C−C)アルコキシ基;
アリールオキシ基(前記アリールは、ハロゲン原子、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシから選択される1つまたは複数の基により置換されていることが可能である。);
アリール基(前記アリールは、ハロゲン原子、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシから選択される1つまたは複数の基により置換されていることが可能である。);
−NH(COO)R基(Rは(C−C)アルキルを表す。);
NH(CO)R基(Rはアリール基を表し、前記アリール基は、ハロゲン原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシまたはカルボン酸から選択される1つまたは複数の基により場合によって置換されている。);
−NR基(RおよびRは、互いに独立に水素原子または(C−C)アルキルを表し、またはこれらに結合している窒素原子とヘテロシクリルを形成する。)、
−NRアンモニウム基(R、RおよびRは、(C−C)アルキルを表す。);
ヘテロシクリル基;
COOR基(Rは水素または(C−C)アルキルを表すことができる)、
CONR
−COO(C−C)アルキルまたはCONR
を表し;
Arが、
−以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシから互いに独立に選択される1つまたは複数の基により場合によって置換されているフェニルまたはナフチル;
−ヘテロシクリル基(特に、ピリジニルまたはピリミジニル、前記ヘテロシクリル基は、ハロゲン原子、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシにより場合によって置換されている。)
を表し;
Tが、
−−CH−基
を表し;
Arが、
−以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシから互いに独立に選択される1つまたは複数の基により場合によって置換されているフェニルまたはナフチル;
−ヘテロシクリル基(特に、ハロゲン原子、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシにより場合によって置換されているピリジニル)
を表し;
Arが、
−以下の基:ハロゲン原子、ヒドロキシル基、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシから互いに独立に選択される1つまたは複数の基により場合によって置換されているフェニルまたはナフチル;
−ヘテロシクリル基(特に、ヒドロキシル、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシにより場合によって置換されているピリジニルまたはフラニル)
を表す、一般式(I)の化合物の第2グループを挙げることができる。
【0010】
本発明の主題である化合物のうち、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、回転異性体、アトロボ異性体またはこれら混合物の形態において、塩基、酸付加塩、水和物または溶媒和物の状態において、
Rが、
−水素原子;
−(C−C)アルキル
を表し;
R’が、
−以下から選択される1つまたは複数の基により場合によって置換されている(C−C)アルキル;
ヒドロキシル基;
(C−C)アルコキシ基;
アリールオキシ基(前記アリールは、ハロゲン原子、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシから選択される1つまたは複数の基により置換されていることが可能である。);
アリール基(前記アリールは、ハロゲン原子、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシから選択される1つまたは複数の基により置換されていることが可能である。);
NH(CO)R基(Rはアリール基を表し、1つまたは複数のカルボン酸基により場合によって置換されているアリール基を表す。);
−NR基(RおよびRは、互いに独立に水素原子または(C−C)アルキルを表し、またはこれらに結合している窒素原子とヘテロシクリルを形成する。)、
ヘテロシクリル基;
COOR基(Rは水素または(C−C)アルキルを表すことができる。)、
CONR基;
−COO(C−C)アルキルまたはCONR
を表し;
Arが、
−以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル、または(C−C)アルコキシから互いに独立に選択される1つまたは複数の基により場合によって置換されているフェニル基;
−ピリジニル基(前記ピリジニル基は、(C−C)アルキルにより場合によって置換されている。)
を表し;
Tが、
−−CH−基
を表し;
Arが、
−以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシから互いに独立に選択される1つまたは複数の基により場合によって置換されているフェニル基;
−ハロゲン原子、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシにより場合によって置換されているピリジニル基
を表し;
Arが、
−以下の基:ハロゲン原子またはヒドロキシル、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシ基から互いに独立に選択される1つまたは複数の基により場合によって置換されているフェニル基;
−ピリジニルまたはフラニル基(前記基は、ヒドロキシル、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシ基により場合によって置換されている。)
を表す、一般式(I)の化合物の第3グループを挙げることができる。
【0011】
Arが、場合によって置換されているフェニル基の場合、一方ではT−Ar結合が、他方ではAr−N結合がオルト位にある。言い換えれば、窒素原子および置換基Tは2つの隣接する炭素原子上にある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の文脈において、
(C−C)アルキルは、飽和した、直鎖または分枝の、1から4個の炭素原子を含む、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルなどの脂肪族基を意味すると理解される。
【0013】
場合によって置換されている(C−C)アルキルは、1つまたは複数の水素原子が置換基により置換されている、上で定義されたアルキル基を意味すると理解され、いくつかの水素原子がフッ素で置換されている場合、場合によって置換されている(C−C)アルキルは、−CFまたは−Cなどのペルフルオロアルキルを意味すると理解される。
【0014】
(C−C)アルコキシは、(C−C)アルキル−O−基(ここで、(C−C)アルキル基は、上で定義した通りである。)、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシまたはtert−ブトキシを意味すると理解される。
【0015】
ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を意味すると理解される。
【0016】
アリール基は、例えばフェニルまたはナフチルなど、6個と10個の間の炭素原子を含む単環式または二環式芳香族基を意味するものと理解され、アリール基は1、2、3または4個の置換基により場合によって置換されていることが可能である。
【0017】
ヘテロシクリル基は、4個と7個の間の原子を含み、窒素、酸素または硫黄から選択される1個または2個のヘテロ原子を含む、飽和、不飽和または芳香族の単環式基を意味すると理解される。例としては、アゼチジニル、ピペリジニル、ピロロリジニル、イミダゾリル、ピリジニル、チアゾリル、チエニル、ピリミジニル、フラニルまたはモルホリニルを挙げることができる。
【0018】
一般式(I)の化合物は、1つまたは複数の不斉炭素を含むことができる。これらは、鏡像異性体またはジアステレオ異性体の形態で存在することができる。これら鏡像異性体またはジアステレオ異性体、およびラセミ混合物を含むこれらの混合物は、本発明の範囲内である。
一般式(I)の化合物は、これらの構造によって、回転異性体の形態でも存在することができる。本発明の文脈において、「回転異性体」という用語は、同一の拡張式量を有するが固定空間配置が異なる化合物を意味すると理解される。これら化合物の固定空間配置の違いは、これら化合物に異なる物理化学的性質を、ある場合には、異なる生理活性さえ与えることができる。
【0019】
一般式(I)の化合物は、アトロポ異性体の形態でも存在することができる。アトロポ異性体は、同一の拡張式量を有するが、単結合のいずれかの側の立体障害による単結合の周りの制限された回転の結果生ずる特定の空間配置を示す化合物である。アトロポ異性体は、不斉炭素などの立体成分の存在とは無関係である。
【0020】
式(I)の化合物は、塩基または酸付加塩の形態で存在することができる。かかる付加塩は本発明の範囲内である。
これら塩は、医薬として許容できる塩を用いて有利に調製されるが、例えば一般式(I)の化合物の精製または分離において使用される他の酸の塩も、本発明の範囲内である。
式(I)の化合物は、さらに、水和物または溶媒和物の形態、すなわち、1つまたは複数の水または溶媒の分子との組合せまたは会合の形態でも生ずる。かかる水和物および溶媒和物も本発明の範囲内である。
【0021】
本発明の別の主題は、一般式(I)の化合物の調製方法である。
したがって、一般式(I)の化合物は、スキーム1に示す方法によって調製することができる。このスキームによれば、式(I)の化合物は、塩基性媒体において、式(X)のエポキシドの式(II)の化合物との縮合により調製することができる。
【0022】
【化7】

【0023】
使用する塩基はホスファゼンとすることができる。例として、1−[N−(tert−ブチル)−P,P−ジ(ピロリジン−1−イル)ホスホリミドリル]ピロリジンを挙げることができる。この反応は、Karat L.D.他によって記述されている方法(J.App1.Chem.USSR、EN、65、6.2、1992、1130−1133頁)の適合である。
【0024】
式(II)の化合物は、スキーム2により、Stauffer他によって記述されている方法(Bioorg.Med.Chem.、2000、EN8、6、1293−1316頁)によるピリジンなどの第3アミンから選択される塩基の存在下、式(V)の塩化スルホニルを用いた式(III)の化合物のスルホニル化によって予め得られる。第3アミンとして、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン、または一部の例では第3アミンの混合物を使用することもできる。式(II)の化合物が、式(IIIf)の化合物の式(V)の塩化スルホニルとの反応によって得られる場合、得られた化合物のケトン官能基は、その後当業者に知られた方法により還元され、結果として式(II)の化合物をもたらす。
【0025】
式(V)の化合物は、市販されており、または例えば、A.J.Prinsen他によって記述されている方法(Recl.Trav.Chim.Pays−Bas、1965、EN84、24)の適合によって得られる。
【0026】
式(III)および(V)の化合物において、Ar、Ar、ArおよびTは、式(I)において定義された通りである。
【0027】
【化8】

【0028】
式(IIIa)、(IIIb)および(IIIf)の化合物は、スキーム3から5により調製される。
【0029】
スキーム3により、式(VI)の2−ニトロベンズアルデヒド誘導体が、式(VII)の有機金属化合物(ここでMは、MgBr、MgI、ZnIまたはLi基を表す)と反応して、結果として式(VIII)の化合物をもたらす。式(VIII)の化合物のニトロ官能基は、その後、例えば金属スズおよびエタノール中の濃縮塩酸の作用の下で水素化によって還元され、式(IIIb)の化合物を得る。式(IIIb)の誘導体は、水素化物、例えば、トリエチルシランおよびジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸の混合物の作用によって還元され、結果として式(Illa)の誘導体をもたらす。
【0030】
式(VII)の有機金属化合物は市販されており、または文献に記載されている慣用の方法により生成される。
【0031】
式(VI)のニトロベンズアルデヒドは、市販されており、または、例えばJ.Kenneth Horner他によって記述されている方法(J.Med.Chem.、1968、II、5、946)の適合により調製することができる。
【0032】
【化9】

【0033】
一般式(IIIb)および(IIIf)の化合物を合成する他の可能性について、スキーム4に提示する。
【0034】
【化10】

【0035】
スキーム4によれば、式(IX)のアニリンは、T.Sugasawa他によって記述されている方法(J.A.C.S.、1978、100、4842)により、例えば、三塩化アルミニウムまたは三塩化ガリウムを有する三塩化ホウ素などのルイス酸の存在下、式(XII)のベンゾニトリルと縮合して式(IlIf)の化合物を生成する。式(IlIf)の化合物は、R.Fryer他によって記述されている方法(J.Heterocycl、Chem.、1991、EN28、7、1661)により、アミノベンゾニトリル(XI)の有機金属誘導体(VII)との縮合、その後の酸加水分解によっても、またはD.Lednicerによって記述されている方法(J.Heterocyclic Chem.、1971、903)の適合による中間体(XIV)からも得ることができる。化合物(IIIf)のカルボニル官能基は、水素化物、例えばエタノール中の水素化ホウ素ナトリウムの作用によって還元することができ、結果として式(IIIb)の化合物をもたらす。
【0036】
式(IIIb)化合物の別の調製方法は、T.Toyoda他によって記述されている方法(Tet.Lett.、1980、21、173)により、フェニルジクロロボランおよびトリエチルアミン存在下、式(IX)のアニリンの、式(XIII)のベンズアルデヒド誘導体との縮合からなる。
【0037】
式(IIIf)の化合物は、例えば、トリエチルシランおよびトリフルオロ酢酸の作用の下、結果として式(IIIa)の化合物をもたらすことに留意されたい。
【0038】
Arがヘテロアリールを表す一般式(IIIa)の化合物の合成の別の可能性を、スキーム5に提示する。
【0039】
【化11】

【0040】
式(XVII)のニトロフェニルが、Florio S.他によって記述された方法(Eur.J.Org.Chem.、2004、2118)により、塩基、例えばカリウムtert−ブトキシドの存在下、式(XVIII)の芳香族クロロメチルヘテロシクリルと縮合し、結果として誘導体(XIX)をもたらし、この誘導体が、例えば、12M塩酸の存在下、金属スズの作用によって還元され、結果として式(IIIa)の誘導体をもたらす。
【0041】
式(IIIg)の化合物は、スキーム6により調製される。ニトロベンズアルデヒド(VI)が、ウィッティング反応により、誘導体(XV)との縮合によって化合物(XVI)をもたらす。これら誘導体は、例えばパラジウムを用いた接触水素化によって還元され、式(IIIg)の化合物を生成する。
【0042】
【化12】

【0043】
すべてのスキームにおいて、ならびに式(II)から(XIX)までのすべての化合物において、Ar、T、Ar、ArおよびRの意味は、一般式(I)の化合物に関して定義した通りである。
【0044】
1から6までのスキームにおいて、出発化合物および反応物質はこれらの調製方法が記載されていない場合でも、市販されているかまたは文献に記載されており、さもなければ文献に記載されているかまたは当業者に知られた方法で調製することができる。
【0045】
化合物が反応性官能基、例えばヒドロキシル基を含む場合、反応の前に事前保護を必要とすることがある。当業者は、事前保護の必要性を決定することができる。
【0046】
式(II)から(XIX)までの化合物は、一般式(I)の化合物の調製における合成中間体として使用され、本発明の肝要な部分を形成する。
【0047】
以下の実施例は、本発明による化合物の調製を説明する。これら実施例は非限定的であり、本発明を説明する目的だけに使用される。
実施例中の化合物の番号は、表において与えられている化合物の番号を指す。微量元素分析、質量スペクトルおよびNMRスペクトルが、得られた化合物の構造を確認する。
【0048】
質量分析計LC/MSと連結している液体クロマトグラフィーの分析条件は以下の通りである。
【0049】
液体クロマトグラフィー部分に関して:カラムシンメトリーC18(2.1×50mm)3−5μm。溶離剤Aは、HO+TFA0.005%、pH=3.14;溶離剤Bは、CHCN+TFA0.005%、勾配はAの100%からBの90%までを10分間、次いでBの90%を5分間である。
【0050】
質量分析計に関して:ポジティブエレクトロスプレーイオン化様式。
【0051】
H NMRスペクトルが回転異性体を実証する場合、主要な回転異性体に対応する解説だけが記述される。
【実施例1】
【0052】
N−[2−(2,6−ジフルオロベンジル)−6−メトキシフェニル]−N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−3,4−ジメトキシベンゼンスルホンアミド(化合物番号1)
オキシラン−2−イルメタノール74mgを、N−[2−(2,6ジフルオロベンジル)−6−メトキシフェニル]−3,4−ジメトキシベンゼンスルホンアミド224mgおよびテトラヒドロフラン5ml中の1−[N−(tertブチル)−P,P−ジ(ピロリジン−1−イル)ホスホリミドイル]ピロリジン溶液234mgに加える。周囲温度において72時間後、媒体をシリカゲルのカラム上で直接クロマトグラフィー処理し、溶離を水+トリフルオロ酢酸/アセトニトリル0.05%+トリフルオロ酢酸0.05%の混合物で実施し、予想された生成物102mgを得る。
H NMR δ(ppm)(d−DMSO):3.20(3H,2−OMe)、3.41(2H,14−H)、3.80(1H,13−H)、3.72(3H,17−OMe)、3.84/3.03(2H,12−H)、3.86(3H,18−OMe)、4.50/4.39(2H,7−H)、4.60(1H,14−OH)、4.62(1H,13−OH)、6.16(1H,5−H)、6.81(1H,3−H)、7.03(1H,16−H)、7.14(1H,10/10’−H)、7.14(1H,19−H)、7.15(1H,4−H)、7.25(1H,20−H)、7.42(1H,11−H)。
【0053】
【化13】

【0054】
以下の表において、
−MHは、イオン化生成物の質量ピークを表す。
−保持時間は、分で表現する。
−n.d.は、「決定されず」を意味する。
−Meは、メチル基を表す。
−(R)および(S)は、炭素の不斉性を示す。
【0055】
【化14】

【0056】
【表1】


【0057】
本発明による化合物は、これらの治療的活性物質としての利点が示されている、薬理学的な調査を主題としている。
【0058】
本発明による化合物は、特にこれらの効能に関して試験した。さらに詳細には、本発明による化合物のオレキシン2に関する親和力を、以下に説明する技法による生体外結合性の試験において決定した。この方法は、CHO細胞において発現した、ヒトのオレキシン2レセプターに結合した放射性ヨウ素化オレキシンAの置き換えについて研究することから構成される。試験は、50mMヘペス、1mMMgCl、25mMCaC1、0.025%NaN、1%のウシ血清アルブミン(BSA)および100pMのリガンドのインキュベーションバッファー中の膜上で、25℃において30分間実施する。反応をろ過により停止し、Whatman GF/Cフィルター上で洗浄する。非特異的結合を、ヒトのオレキシンBの10−6Mの存在下で測定する。IC50値(放射性ヨウ素化オレキシンAのこれのレセプターに対する結合を50%阻止する濃度)は低く、300nM未満、特別に100nM未満そしてさらに詳細には30nM未満である。
【0059】
本発明による一部の化合物の、オキセリンレセプターに関する親和力を以下の表に示す。
【0060】
【表2】

【0061】
生物学的結果は、本発明による化合物が、確かにオレキシン2レセプターの拮抗薬であることを示している。
【0062】
したがって、本発明による化合物は、オレキシン2レセプターの拮抗薬として、これらレセプターに関連する機能障害を含む任意の疾患の予防および治療においても使用することができる。
【0063】
本発明による化合物は、オレキシン2レセプターに関連する機能障害を含む任意の疾患の予防および治療、さらに詳細にはオレキシン2レセプター拮抗薬が治療的利益を提供する病状の予防および治療を目的とする薬物の調製において使用することができる。かかる病状には、例えば、肥満、悪液質、拒食症もしくは過食症を含む食欲または味覚障害(Smart他、Eur.J.Pharmacol.、2002、440、2−3、199−212頁)、糖尿病(Ouedraogo他、Diabetes、2002、52、111−117頁)、メタボリック症候群(Sakurai、Curr.Opin.Nutr.Metab.Care、2003、6、353−360頁)、嘔吐および吐き気(US6506774)、うつ病および不安(Salomon他、Biol.Psychiatry、2003、54、96−104頁;Jaszberenyi他、J.Neuroendocrinol.、2000、12、1174−1178頁)、依存症(Georgescu他、J.Neurosci.、2003、23、8、3106−3111頁;Kane他、Endocrinology、2000、141、10、3623−3629頁)、気分および行動障害、統合失調症(Nishino他、Psychiatry Res.、2002、110、1−7頁)、睡眠障害(Sakurai、Neuroreport、2002、13、8、987−995頁)、下肢静止不能症候群(Allen他、Neurology、2002、59、4、639−641)、学習および記憶障害(van den Pol他、2002、J.Physiol.、541(1)、169−185頁;Jaeger他、Peptides、2003、23、1683−1688頁;TelegdyおよびAdamik、Regul.Pept.、2002、104、105−110頁)、性的および性心理障害(Gulia他、Neuroscience、2003、116、921−923頁)、疼痛、内臓性もしくは神経障害性の疼痛、痛覚過敏症、異痛症(US6506774;Suyama他、In vivo、2004、18、2、119−123頁)、消化器疾患(Takakashi他、Biochem.Biophy.Res.Comm.、1999、254、623−627頁;Matsuo他、Eur.J.Pharmacol.、2002、105−109頁)、過敏性腸症候群(US6506774)、神経変性(van den Pol、Neuron、2000、27、415−418頁)、虚血性もしくは出血性脳卒中(Irving他.、Neurosci.Lett.、2002、324、53−56頁)、クッシング病、ギランバレー症候群(Kanbayashi他、Psychiatry Clin. Neurosci.、2002、56、3、273−274頁)、筋緊張性ジストロフィー(Martinez−Rodriguez他、Sleep、2003、26、3、287−290頁)、尿失禁(Blackstone他、AGS Annual Meeting、ポスターP491、2002)、甲状腺機能亢進症(Malendowicz他、Biomed.Res.、2001、22、5、229−233頁)、下垂体機能の障害(Voisin他、Cell.Mol.Life Sci.、2003、60、72−78頁)、高血圧症または低血圧症(Samson他、Brain Res.、1999、831、1−2、248−253頁)がある。
【0064】
上述の病状を予防または治療することを目的とする薬物の調製における本発明による化合物の使用は、本発明の肝要な部分を構成する。
【0065】
本発明の別の主題は、式(I)の化合物を含む薬物である。これらの薬物は、治療的に、特に上で示した病状の予防および治療に使用される。
【0066】
本発明の別の態様によれば、本発明は、本発明による少なくとも1つの化合物を活性成分として含む薬剤組成物に関連する。これらの薬剤組成物は、本発明による化合物の有効用量および場合によって1つまたは複数の医薬として許容できる1つまたは複数の賦形剤を含む。
前記賦形剤は、薬剤形態および所望する投与方法に基づき、当業者に知られた通常の賦形剤から選択される。
経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、局所、局部、気管内、鼻腔内、経皮または直腸投与のための本発明の薬剤組成物において、上記の式(I)の活性成分またはこの任意選択の塩、溶媒和物または水和物は、慣用の薬剤賦形剤との混合物として、単位投与形態で上記の障害または疾患の予防および治療のために、動物およびヒトに投与することができる。
【0067】
適切な単位投与形態は、錠剤などの経口形態、軟質または硬質ゼラチンカプセル、粉末、顆粒、チューインガムおよび経口液剤または懸濁液、舌下、頬側、気管内、眼球内または鼻腔内投与のための形態、または吸入による投与、皮下、筋肉内または静脈内投与のための形態ならびに直腸または膣投与を含む。局所的適用のために、本発明による化合物はクリーム、軟膏またはローションにおいて使用することができる。
【0068】
例えば、錠剤形態の固体組成物を調製する場合、主要な活性成分は、ゼラチン、澱粉、乳糖、ステアリン酸マグネシウム、タルク、アラビアゴムなどの薬剤賦形剤と混合される。錠剤は、蔗糖、セルロース誘導体または他の物質で表面を覆うことができる。錠剤は、直接打錠、乾式造粒、湿式造粒または熱溶融など、様々な技法により生産することができる。
【0069】
所望する予防的または治療的効果を得るために、活性成分の用量は、1日に体重1kg当たり0.1mgと200mgの間で変えることができる。これらの当量は平均的状況の例であるが、これよりも多いまたは少ない用量が適切な特定の事例もあり得る。かかる用量も、本発明の範囲内である。通常の慣例により、各患者への適切な用量は、投与の方法、前記患者の体重および応答に基づき、医師によって決定される。
【0070】
各単位用量は、1つまたは複数の薬剤賦形剤と組み合わせて、活性成分の0.1から1000mg、好ましくは0.1から500mgを含むことができる。この単位用量は、0.5から5000mg、好ましくは0.5から2500mgの1日の用量を投与するように、毎日1回から5回投与することができる。
【0071】
本発明は、この別の態様によれば、本発明による化合物、前記化合物の医薬として許容できる塩、前記化合物の溶媒和物または前記化合物の水和物の投与を含む、上で示した病状を予防または治療するための方法にも関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基、酸付加塩、水和物または溶媒和物の状態における、一般式(I)に対応する化合物
【化1】

[式中、
Rは、
−水素原子;
−(C−C)アルキル
を表し;
R’は、
−以下から選択される1つまたは複数の基により場合によって置換されている(C−C)アルキル;
ヒドロキシル基;
ハロゲン基;
(C−C)アルコキシ基;
アリールオキシ基(前記アリールは、ハロゲン原子、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシから選択される1つまたは複数の基により置換されていることが可能である。);
アリール基(前記アリールは、ハロゲン原子、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシから選択される1つまたは複数の基により置換されていることが可能である。);
−NH(COO)R基(Rは(C−C)アルキルを表す。);
NH(CO)R基(Rは(C−C)アルキルまたはアリール基を表し、前記アリール基は、ハロゲン原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシまたはカルボン酸から選択される。);
−NR基(RおよびRは、互いに独立に水素原子または(C−C)アルキルを表し、またはこれらに結合している窒素原子とヘテロシクリルを形成する。)、
−NRアンモニウム基(R、RおよびRは、(C−C)アルキルを表す。);
ヘテロシクリル基;
COOR基(Rは水素または(C−C)アルキルを表すことができる。)、
CONR基;
−COOH、COO(C−C)アルキルまたはCONR
を表し;
Arは、
−以下の基:ハロゲン原子、シアノ、(C−C)アルキル、フルオロ(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシから互いに独立に選択される1つまたは複数の基により場合によって置換されているアリール基;
−ハロゲン原子、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシにより場合によって置換されているヘテロシクリル基
を表し;
Tは、
−−(CH−基(n=1または2)、
−基
【化2】

を表し;
Arは、
−以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、フルオロ(C−C)アルキルまたはフルオロ(C−C)アルコキシから互いに独立に選択される1つまたは複数の基により場合によって置換されているアリール基;
−ハロゲン原子、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシにより場合によって置換されているヘテロシクリル基
を表し;
Arは、
−以下の基:ハロゲン原子、ヒドロキシル基、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシから互いに独立に選択される1つまたは複数の基により場合によって置換されているアリール基;
−ヒドロキシル基、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、フルオロ(C−C)アルキルまたはフルオロ(C−C)アルコキシにより場合によって置換されているヘテロシクリル基
を表す。]。
【請求項2】
塩基、酸付加塩、水和物または溶媒和物の状態において、
Rが、
−水素原子;
−(C−C)アルキル;
を表し;
R’が、
−以下から選択される1つまたは複数の基により場合によって置換されている(C−C)アルキル;
ヒドロキシル基;
ハロゲン基;
(C−C)アルコキシ基;
アリールオキシ基(前記アリールは、ハロゲン原子、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシから選択される1つまたは複数の基により置換されていることが可能である。);
アリール基(前記アリールは、ハロゲン原子、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシから選択される1つまたは複数の基により置換されていることが可能である。);
−NH(COO)R基(Rは(C−C)アルキルを表す。);
NH(CO)R基(Rはアリール基を表し、前記アリール基は、ハロゲン原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシまたはカルボン酸から選択される1つまたは複数の基により場合によって置換されている。);
−NR基(RおよびRは、互いに独立に水素原子または(C−C)アルキルを表し、またはこれらに結合している窒素原子とヘテロシクリルを形成する。)、
−NRアンモニウム基(R、RおよびRは、(C−C)アルキルを表す。);
ヘテロシクリル基;
COOR基(Rは水素または(C−C)アルキルを表すことができる)、
CONR
−COO(C−C)アルキルまたはCONR
を表し;
Arが、
−以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシから互いに独立に選択される1つまたは複数の基により場合によって置換されているフェニルまたはナフチル;
−ヘテロシクリル基(特に、ピリジニルまたはピリミジニル、前記ヘテロシクリル基は、ハロゲン原子、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシにより場合によって置換されている。)
を表し;
Tが、
−−CH−基
を表し;
Arが、
−以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシから互いに独立に選択される1つまたは複数の基により場合によって置換されているフェニルまたはナフチル;
−ヘテロシクリル基(特に、ハロゲン原子、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシにより場合によって置換されているピリジニル)
を表し;
Arが、
−以下の基:ハロゲン原子、ヒドロキシル基、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシから互いに独立に選択される1つまたは複数の基により場合によって置換されているフェニルまたはナフチル;
−ヘテロシクリル基(特に、ヒドロキシル、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシにより場合によって置換されているピリジニルまたはフラニル)
を表す、請求項1に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項3】
塩基、酸付加塩、水和物または溶媒和物の状態において、
Rが、
−水素原子;
−(C−C)アルキル
を表し;
R’が、
−以下から選択される1つまたは複数の基により場合によって置換されている(C−C)アルキル;
ヒドロキシル基;
(C−C)アルコキシ基;
アリールオキシ基(前記アリールは、ハロゲン原子、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシから選択される1つまたは複数の基により置換されていることが可能である。);
アリール基(前記アリールは、ハロゲン原子、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシから選択される1つまたは複数の基により置換されていることが可能である。);
NH(CO)R基(Rはアリール基を表し、1つまたは複数のカルボン酸基により場合によって置換されているアリール基を表す。);
−NR基(RおよびRは、互いに独立に水素原子または(C−C)アルキルを表し、またはこれらに結合している窒素原子とヘテロシクリルを形成する。)、
ヘテロシクリル基;
COOR基(Rは水素または(C−C)アルキルを表すことができる。)、
CONR基;
−COO(C−C)アルキルまたはCONR
を表し;
Arが、
−以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル、または(C−C)アルコキシから互いに独立に選択される1つまたは複数の基により場合によって置換されているフェニル基;
−ピリジニル基(前記ピリジニル基は、(C−C)アルキルにより場合によって置換されている。)
を表し;
Tが、
−−CH−基
を表し;
Arが、
−以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシから互いに独立に選択される1つまたは複数の基により場合によって置換されているフェニル基;
−ハロゲン原子、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシにより場合によって置換されているピリジニル基
を表し;
Arが、
−以下の基:ハロゲン原子またはヒドロキシル、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシ基から互いに独立に選択される1つまたは複数の基により場合によって置換されているフェニル基;
−ピリジニルまたはフラニル基(前記基は、ヒドロキシル、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシ基により場合によって置換されている。)
を表す、請求項1または2に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項4】
式(X)のエポキシドが、塩基性媒体中で式(II)の化合物と縮合することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の調製方法
【化3】

[式(I)、(II)および(X)の化合物において、Ar、Ar、Ar、T、RおよびR’は、式(I)において定義された通りである。]。
【請求項5】
式(II)の化合物が、塩基の存在下、式(V)の塩化スルホニルを用いた式(III)の化合物のスルホニル化によって得られることを特徴とする、請求項5に記載の調製方法
【化4】

[式(III)および(V)の化合物において、Ar、Ar、ArおよびTは、式(I)において定義された通りである。]。
【請求項6】
オレキシン2レセプターに関連する機能障害を含む任意の疾患の予防または治療を意図する薬物の調製における、請求項1から3のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項7】
肥満、悪液質、拒食症もしくは過食症を含む食欲または味覚障害、糖尿病、メタボリック症候群、嘔吐および吐き気、うつ病および不安、依存症、気分および行動障害、統合失調症、睡眠障害、下肢静止不能症候群、学習および記憶障害、性的および性心理障害、疼痛、内臓性もしくは神経障害性の疼痛、痛覚過敏症、異痛症、消化器疾患、過敏性腸症候群、神経変性、虚血性もしくは出血性脳卒中、クッシング病、ギランバレー症候群、筋緊張性ジストロフィー、尿失禁、甲状腺機能亢進症、下垂体機能の障害、高血圧症または低血圧症などの病状の予防または治療を意図する薬物の調製における、請求項1から3のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか一項に記載の式(I)の化合物を含むことを特徴とする薬物。
【請求項9】
請求項1から3のいずれか一項に記載の少なくとも1つの式(I)の化合物、および場合によって1つまたは複数の医薬として許容できる賦形剤を含む薬剤組成物。

【公表番号】特表2009−525312(P2009−525312A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552847(P2008−552847)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際出願番号】PCT/FR2007/000182
【国際公開番号】WO2007/088276
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【Fターム(参考)】