説明

スルホンアミド誘導体、これの調製法およびこれのオレキシン2受容体のアンタゴニストとしての使用

本発明は、一般式(I)に対応するスルホンアミド誘導体に関する(式中、Arは、1つもしくは複数の基により場合によって置換されたアリールまたは場合によって置換されたヘテロシクリル基を表し;Tは、−(CH−または基(II)を表し、Arは、1つもしくは複数の基により場合によって置換されたアリールまたは場合によって置換されたヘテロシクリル基を表し;Arは、1つもしくは複数の基により場合によって置換されたアリールまたは他に場合によって置換されたヘテロシクリルを表し、Rは、式(A)または(B)の基を表す。(A)(B)は塩基、酸付加塩、水和物もしくは溶媒和物の形態、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、回転異性体もしくはアトロプ異性体またはこれらの混合物の形態である。)。また、式(I)の化合物の、調製の方法および治療上の使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、スルホンアミド誘導体、これらの調製法およびこれらの治療上の使用である。
【背景技術】
【0002】
オレキシンAおよびB(またはヒポクレチン1および2)は、それぞれ33および28のアミノ酸の視床下部神経ペプチドであり、最近、オレキシン1およびオレキシン2受容体と名づけられた7つの膜通過領域を有する2種の受容体の内因性リガンドとして特定された(Sakurai T.、Cell、Vol.92、573−585、1998;De Lecea L.、Proc.Natl.Acad.Sci.、Vol.95、322−327、1998)。
【0003】
オレキシン2受容体は、同じ様式でオレキシンAおよびBの2つの形態を認識する特性を有する。一方、オレキシン2受容体と64%の相同性を示すオレキシン1受容体は、より選択的で、オレキシンBよりオレキシンAに10倍よく結合する(Sakurai T.、Cell、Vol.92、573−585、1998)。
【0004】
これらの受容体を通して、オレキシンは、様々な中枢および末梢の機能を、特に飲食物摂取、特定の心血管の内分泌機能および覚醒/睡眠周期を制御する(Sakurai T.、Regulatory Peptides、Vol.85、25−30、1999)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、一部のスルホンアミド誘導体がオレキシン2受容体に対して高い親和性を有し、これら受容体の強力なアンタゴニストであることが明らかになっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明の主題は、塩基、酸付加塩、水和物もしくは溶媒和物の形態、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、回転異性体、アトロプ異性体またはこれらの混合物の形態の、一般式(I)に対応する化合物である
【0007】
【化7】

[式中、
Arは、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたアリール基;
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたヘテロシクリル基を表し;
Tは、
−(CH−基(n=0、1、2);

【0008】
【化8】

(式中、Rは、ヒドロキシル基である。)を表し;
Arは、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたアリール基;
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたヘテロシクリル基を表し;
Arは、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、ヒドロキシル基、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたアリール基;
互いに独立に以下の基:ヒドロキシル基、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたヘテロシクリル基を表し;
は、以下の式(A)の飽和ヘテロシクリル基を表し
【0009】
【化9】

(式中、
およびRは、互いに独立に水素原子、C−Cアルキル基を表し;または
代わりにRおよびRは、一緒になってオキソ基を形成し;
は、水素原子またはC−Cアルキル基を表し;
mおよびnが同時に決して0値を表さないという条件で、n=0または1であり;m=0または1であり;p=1または2である。);
あるいは代わりにRは、以下の式(B)のシクロアルキル基を表す
【0010】
【化10】

(式中、
、RおよびRは、互いに独立に水素原子またはC−Cアルキル基を表し;
およびRは、互いに独立に水素原子またはC−Cアルキル基を表し;
または代わりにRおよびRは、一緒になってオキソ基を形成し;
n’=0、1または2であり;p’=1、2、3または4である。)。]。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の主題である化合物中で、
Arが、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたアリール基の特にフェニル;
ヘテロシクリル基が互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたヘテロシクリル基の特にピリジニルまたはピリミジニル
を表し;
Tが、
−(CH−基(n=1)を表し;
Arが、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたアリール基の特にフェニル;
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたヘテロシクリル基の特にピリジニル
を表し;
Arが、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、ヒドロキシル基、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたアリール基の特にフェニル;
互いに独立に以下の基:ヒドロキシル基、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたヘテロシクリル基の特にピリジニル、フラニルまたはピラゾリル
を表し;
が、式(A)の飽和ヘテロシクリル基を表し(式(A)において、
、RおよびRは、それぞれ水素原子または(C−C)アルキル基を表し;
p=2であり;m=n=1であり;または
m=0;n=1;p=2であり;または
m=0;n=p=1であり;または
m=n=p=1である。);
あるいは代わりにRは、式(B)のシクロアルキル基を表す(式(B)において、
、RおよびRは、互いに独立に水素原子またはC−Cアルキル基を表し;
およびRは、互いに独立に水素原子またはC−Cアルキル基を表し;
n’=0または1であり;p’=1、2または3である。)、
塩基、酸付加塩、水和物もしくは溶媒和物の形態、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、回転異性体、アトロプ異性体またはこれらの混合物の形態の、一般式(I)の化合物の第1群を挙げることができる。
【0012】
本発明の対象である化合物中で、
Arが、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたアリール基の特にフェニル;
ヘテロシクリル基が互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたヘテロシクリル基の特にピリジニルまたはピリミジニル
を表し;
Tが、
−(CH−基(n=1)を表し;
Arが、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたアリール基の特にフェニル;
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたヘテロシクリル基の特にピリジニル
を表し;
Arが、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、ヒドロキシル基、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたアリール基の特にフェニル;
互いに独立に以下の基:ヒドロキシル基、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたヘテロシクリル基の特にピリジニルまたはフラニル
を表し;
は、式(A)の飽和ヘテロシクリル基を表し(式(A)において、
、RおよびRは、それぞれ水素原子または(C−C)アルキル基を表し;
p=2であり;m=n=1であり;または
m=0であり;n=1であり;p=2であり;または
m=0であり;n=p=1であり;または
m=n=p=1である。);
あるいは代わりにRは、式(B)のシクロアルキル基を表す(式(B)において、
、RおよびRは、互いに独立に水素原子またはC−Cアルキル基を表し;
およびRは、互いに独立に水素原子またはC−Cアルキル基を表し;
n’=0または1であり;p’=1、2または3である。)、
塩基、酸付加塩、水和物もしくは溶媒和物の形態、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、回転異性体、アトロプ異性体またはこれらの混合物の形態の、一般式(I)の化合物の第2群を挙げることができる。
【0013】
本発明の対象である化合物中で、
Arが、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたフェニル基;
ピリジニルおよびピリミジニル基が互いに独立に以下の基:ハロゲン原子および(C−C)アルキル基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたピリジニルまたはピリミジニル基
を表し;
Tが、
−(CH−基(n=1)を表し;
Arが、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたフェニル基;
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたピリジニル基
を表し;
Arは、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、ヒドロキシル基、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたフェニル基;
ピリジニル、フラニルまたはピラゾリル基が互いに独立に以下の基:ヒドロキシル基、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたピリジニル、フラニルまたはピラゾリル基
を表し;
は、式(A)の飽和ヘテロシクリル基を表し(式(A)において、
、RおよびRは、それぞれ水素原子を表し;m=0であり;n=1であり;p=2である。);
あるいは代わりにRは、式(B)のシクロアルキル基を表す(式(B)において、
、R、R、RおよびRは、それぞれ水素原子を表し;
n’=0または1でありおよびp’=1、2または3である。)、
塩基、酸付加塩、水和物または溶媒和物の形態、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、回転異性体、アトロプ異性体およびこれらの混合物の形態の、一般式(I)の化合物の第3群を挙げることができる。
【0014】
本発明の対象である化合物中で、
Arが、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたフェニル基;
ピリジニルおよびピリミジニル基が互いに独立に以下の基:ハロゲン原子および(C−C)アルキル基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたピリジニルまたはピリミジニル基
を表し;
Tが、
−(CH−基(n=1)を表し;
Arが、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたフェニル基;
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたピリジニル基
を表し;
Arが、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、ヒドロキシル基、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたフェニル基;
ピリジニルまたはフラニル基が互いに独立に以下の基:ヒドロキシル基、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたピリジニルまたはフラニル基
を表し;
は、式(A)の飽和ヘテロシクリル基を表し(式(A)において、
、RおよびRは、それぞれ水素原子を表し;m=0であり;n=1であり;p=2である。);
あるいは代わりにRは、式(B)のシクロアルキル基を表す(式(B)において、
、R、R、RおよびRは、それぞれ水素原子を表し;
n’=0または1でありおよびp’=1、2または3である。)、
塩基、酸付加塩、水和物もしくは溶媒和物の形態、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、回転異性体、アトロプ異性体またはこれらの混合物の形態の、一般式(I)の化合物の第4群を挙げることができる。
【0015】
本発明の対象である化合物中で、
Arが、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたフェニル基;
ピリジニル基
を表し;
Tが、
−(CH−基(n=1)を表し;
Arが、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたフェニル基を
表し;
Arが、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、ヒドロキシル基、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたフェニル基を表し;
は、式(A)の飽和ヘテロシクリル基を表し(式(A)において、
、RおよびRは、それぞれ水素原子を表し;m=0であり;n=1であり;p=2である。);
あるいは代わりにRは、式(B)のシクロアルキル基を表す(式(B)において、
、R、R、RおよびRは、互いに独立に水素原子を表し;n’=0でありおよびp’=3である。)、
塩基、酸付加塩、水和物もしくは溶媒和物の形態、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、回転異性体、アトロプ異性体またはこれらの混合物の形態の、一般式(I)の化合物の第5群を挙げることができる。
【0016】
本発明の対象である化合物中で、以下から選択される一般式(I)の化合物の第6群を挙げることができる。
【0017】
N−[4−クロロ−2−(2,6−ジフルオロベンジル)フェニル]−3,4−ジメトキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミド塩酸塩(化合物番号1);
N−[4−クロロ−2−(2,6−ジフルオロベンジル)フェニル]−3,4−ジメトキシ−N−ピペリジン−4−イルベンゼンスルホンアミド塩酸塩(化合物番号2);
N−[4−クロロ−2−(2,5−ジフルオロベンジル)フェニル]−3,4−ジメトキシ−N−ピロリジン−3−イルベンゼンスルホンアミド塩酸塩(化合物番号3);
N−[4−クロロ−2−(2,6−ジフルオロベンジル)フェニル]−3,4−ジメトキシ−N−[(3R)−ピロリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミド塩酸塩(化合物番号4);
N−アゼチジン−3イル−N−[4−クロロ−2−(2,6−ジフルオロベンジル)−フェニル]−3,4−ジメトキシベンゼンスルホンアミド塩酸塩(化合物番号5);
N−[2−(2,6−ジフルオロベンジル)−6−メトキシフェニル]−3,4−ジメトキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミド塩酸塩のアトロプ異性体A(化合物番号6);
N−[2−(2,6−ジフルオロベンジル)−6−メトキシフェニル]−3,4−ジメトキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミド塩酸塩のアトロプ異性体B(化合物番号7);
N−[(1R,2S)−2−アミノシクロペンチル]−N−[2−(2,6−ジフルオロベンジル)−6−メトキシフェニル]−3,4−ジメトキシベンゼンスルホンアミド塩酸塩(化合物番号8);
N−[4−クロロ−2−(ピリジン−2−イルメチル)フェニル]−3,4−ジメトキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミド塩酸塩(化合物番号9);
N−[4−クロロ−2−(ピリジン−2−イルメチル)フェニル]−3,4−ジメトキシ−N−[(3R)−ピロリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミド塩酸塩(化合物番号10);
N−[2−(2−クロロベンジル)−6−メトキシフェニル]−3,4−ジメトキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミド塩酸塩のアトロプ異性体A(化合物番号11);
N−[2−(2−クロロベンジル)−6−メトキシフェニル]−3,4−ジメトキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミド塩酸塩のアトロプ異性体B(化合物番号12);
N−[[2−(2,6−ジフルオロベンジル)−5−メトキシフェニル]−3,4−ジメトキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミド塩酸塩(化合物番号13);
N−[(1S,2S)−2−アミノシクロペンチル]−N−[2−(2,6−ジフルオロベンジル)−6−メトキシフェニル]−3,4−ジメトキシベンゼンスルホンアミド塩酸塩のアトロプ異性体A(化合物番号14);
N−[(1S,2S)−2−アミノシクロペンチル]−N−[2−(2,6−ジフルオロベンジル)−6−メトキシフェニル]−3,4−ジメトキシベンゼンスルホンアミド塩酸塩のアトロプ異性体B(化合物番号15);
N−[4−クロロ−2−(2,6−ジフルオロベンジル)フェニル]−3−フルオロ−4−メチル−N−[(3R)−ピロリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミド塩酸塩(化合物番号16);
N−[4−クロロ−2−(2,6−ジフルオロベンジル)フェニル]−3−フルオロ−4−メチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミド塩酸塩(化合物番号17);
N−[2−(2,6−ジフルオロベンジル)−4−クロロ−6−メトキシフェニル]−3,4−ジメトキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミド塩酸塩のアトロプ異性体A(化合物番号18);
N−[2−(2,6−ジフルオロベンジル)−4−クロロ−6−メトキシフェニル]−3,4−ジメトキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミド塩酸塩のアトロプ異性体B(化合物番号19);
N−[2−(2,6−ジフルオロベンジル)−6−メトキシフェニル]−3−フルオロ−4−メチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミド塩酸塩のアトロプ異性体A(化合物番号20);
N−[2−(2,6−ジフルオロベンジル)−6−メトキシフェニル]−3−フルオロ−4−メチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミド塩酸塩のアトロプ異性体B(化合物番号21);
N−[2−(2,6−ジフルオロベンジル)−4−メチルフェニル]−3,4−ジフルオロ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミドトリフルオロ酢酸塩(化合物番号22);
N−[4−(2,6−ジフルオロベンジル)フェニル]−1,3,5−トリメチル−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]−1H−ピラゾール−4−スルホンアミド塩酸塩(化合物23)。
【0018】
本発明の対象である化合物中で、以下から選択される一般式(I)の化合物の第7群を挙げることができる。
【0019】
N−[4−クロロ−2−(2,6−ジフルオロベンジル)フェニル]−3,4−ジメトキシ−N−[(35)−ピロリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミド塩酸塩(化合物番号1);
N−[2−(2,6−ジフルオロベンジル)−6−メトキシフェニル]−3,4−ジメトキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミド塩酸塩のアトロプ異性体A(化合物番号6);
N−[(1R,2S)−2−アミノシクロペンチル]−N−[2−(2,6−ジフルオロベンジル)−6−メトキシフェニル]−3,4−ジメトキシベンゼンスルホンアミド塩酸塩(化合物番号8);
N−[2−(2−クロロベンジル)−6−メトキシフェニル]−3,4−ジメトキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミド塩酸塩のアトロプ異性体A(化合物番号11);
N−[(1S,2S)−2−アミノシクロペンチル]−N−[2−(2,6−ジフルオロベンジル)−6−メトキシフェニル]−3,4−ジメトキシベンゼンスルホンアミド塩酸塩のアトロプ異性体A(化合物番号14);
N−[2−(2,6−ジフルオロベンジル)−4−クロロ−6−メトキシフェニル]−3,4−ジメトキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミド塩酸塩のアトロプ異性体A(化合物番号18)。
【0020】
Arが場合によって置換されたフェニル基であると、一方のT−Ar結合および他方のAr−N結合はオルト位である。言い換えれば、窒素原子および置換基Tは、2つの隣接の炭素原子上にある。
【0021】
本発明の文脈で、
(C−C)アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチルまたは第三ブチルなどの1個から4個の炭素原子を含む直鎖または分枝の飽和脂肪族基を意味するものと理解され;
場合によって置換された(C−C)アルキル基は、1個または複数の水素原子が置換基で置換されている上記の定義の通りであるアルキル基を意味するものと理解され;
(C−C)アルコシル基は、(C−C)アルキル基が例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、第二ブトキシまたは第三ブトキシ基などの上記の定義の通りである(C−C)アルキル−O−基を意味するものと理解され;
ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を意味するものと理解され;
シクロアルキル基は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルなどの3個から8個の炭素原子を含む飽和環状アルキル基を意味するものと理解される。シクロアルキル基は、例えば、メチルシクロプロピル、ジメチルシクロプロピル、メチルシクロブチル、メチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルなどの(C−C)アルキル基で場合によって置換されることができ;
アリール基は、例えば、フェニルまたはナフチルなどの6個から10個の炭素原子を含む単環式または二環式芳香族基を意味するものと理解される。アリール基は、1、2、3または4つの置換基で場合によって置換されることができ;
ヘテロシクリルは、4個から7個の原子および窒素、酸素またはイオウから選択された1個から2個のヘテロ原子を含む飽和、不飽和または芳香環単環式基を意味するものと理解される。例として、アゼチジン、ピペリジニル、ピロリジニル、1,3−ジオキソラニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、チアゾリル、チエニル、ピリミジニルまたはフラニルを挙げることができ;
アラルキル基は、例えば、ベンジル基などのアリール基で置換されたアルキル鎖を意味するものと理解され;
オキソ基は、次式の基を意味するものと理解され
【0022】
【化11】

例えば、式(A)の飽和ヘテロシクリル基を表すR基は、式(A)において、
、RおよびRが、それぞれ水素原子を表し;p=2でありおよびm=n=1であるピペリジニル基であり;または
、RおよびRが、それぞれ水素原子を表し;m=0であり;n=1でありおよびp=2であるピロリジニル基であり;
、RおよびRが、それぞれ水素原子を表し;m=0でありおよびn=p=1であるアゼチジン基であり;
例えば、式(B)のシクロアルキル基を表すR基は、式(B)において、
、R、R、RおよびRが、それぞれ水素原子を表し、p’=3でありおよびn’=0であるシクロペンチル基である。
【0023】
一般式(I)の化合物は、1個または複数の不斉炭素を含むことができる。したがって、これらは、エナンチオマーまたはジアステレオ異性体の形態で存在することができる。これらのエナンチオマーおよびジアステレオ異性体ならびにラセミ混合物を含むこれらの混合物は、本発明の一部を成す。
【0024】
また、これらの構造によって、一般式(I)の化合物は、回転異性体の形態であることができる。本発明の文脈において、回転異性体の表現は、同一の構造式を有するが、動かない空間配置が異なる化合物を意味するものと理解される。これらの化合物の動かない空間配置の相違は、したがって、これらに異なる物理化学的特性を与えることができ、さらに一部の場合、異なる生物学的特性を与えることができる。
【0025】
また、一般式(I)の化合物は、アトロプ異性体の形態で存在することができる。アトロプ異性体は、同一の構造式を有するが、この単結合のいずれかの側に対する主な立体障害に起因する単結合周辺の束縛回転から生じる特定の空間構造を有する化合物である。アトロプ異性は、不斉炭素などの立体異性生成要素の存在とは無関係である。
【0026】
式(I)の化合物は、塩基または酸付加塩の形態で存在することができる。そのような付加塩は、本発明の一部を成す。
【0027】
これらの塩は、薬学的に許容される酸で好都合に調製されるが、例えば、一般式(I)の化合物の精製または単離に有用な他の酸の塩も本発明の一部を成す。
【0028】
さらに、一般式(I)の化合物は、水和物または溶媒和物形態(すなわち、1個もしくは複数の水分子または溶媒との会合または組合せの形態)であることができる。そのような水和物および溶媒和物も、本発明の一部を成す。
【0029】
また、本発明の主題は、一般式(I)の化合物を調製するための方法である。したがって、一般式(I)の化合物を、スキーム1で例証された方法により調製することができる。このスキームに従って、式(I)の化合物を、式(X)のアルコールと一般式(II)の化合物との間のミツノブ(Mitsunobu)反応により得ることができる。
【0030】
式(II)および(X)の化合物において、Ar、Ar、Ar、TおよびRは、式(I)の定義の通りである。
【0031】
ミツノブ反応において、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)を、アゾジカルボン酸ジエチルおよびアゾジカルボン酸ジ−t−ブチルなどのこの類似体により置換することができ、トリフェニルホスフィンを樹脂上へ移植することができる(R.G.Gentilesら、J.Comb.Chem.2002、4、442−456)。
【0032】
【化12】

【0033】
が水素であり、RおよびRが水素である式(I)の化合物を、RおよびRが例えば、第三ブトキシカルボニル(BOC)などの保護基である化合物から得る。
【0034】
T=−(CH−(n=1)である式(I)の化合物を、T=−CH(R)−(Rは、ヒドロキシル基を表す。)である構造(I)を有する化合物から、三フッ化ホウ素エーテルの存在下において、例えば、トリエチルシランなどの水素化物の作用により場合によっては得ることができる。
【0035】
T=次式である式(I)の化合物(Rがヒドロキシ基を表す。)を
【0036】
【化13】

対応する次式のケトン
【0037】
【化14】

から、例えば、水素化ホウ素ナトリウムなどの水素化物の作用により場合によっては得ることができる。
【0038】
式(II)の化合物を、Staufferら、Bioorg.Med.Chem.2000、EN8、6、1293−1316に記載の方法に従って、ピリジンなどの三級アミンから選択された塩基の存在下において、式(V)の塩化スルホニルによる式(III)の化合物のスルホニル化により、スキーム2に従って前もって得る。また、三級アミンとして、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンも使用することができる。
【0039】
いくつかの場合、三級アミンの混合物を使用することを考えることすらできる。式(V)の化合物は、市販で入手でき、または、例えば、A.J.Prinsenら、Recl.Trav.Chim.The Netherlands 1965、EN84、24に記載の方法の適応により得ることができる。
【0040】
式(III)および(V)の化合物において、Ar、Ar、ArおよびTは、式(I)の定義の通りである。
【0041】
【化15】

【0042】
式(IIIa)、(IIIb)および(IIIf)の化合物を、スキーム3から5に従って調製する。式(VI)の2−ニトロベンズアルデヒド誘導体を、式(VII)の有機金属化合物(式中、Mは、MgBr、MgI、ZnIまたはLi基を表す。)と反応させ、式(VIII)の化合物を得る。式(VII)の有機金属化合物は、市販されているか、または文献に記載されている従来法に従って形成される。式(VIII)の化合物のニトロ官能基を、例えば、エタノール中で金属スズおよび濃塩酸の作用下の、水素添加により還元し、式(IIIb)の化合物を得る。式(IIIb)の誘導体を、水素化物と、例えば、ジクロロメタン中におけるトリエチルシランおよびトリフルオロ酢酸の混合物との反応により還元し、式(IIIa)の誘導体を得る。
【0043】
式(VI)のニトロベンズアルデヒドは市販されているか、または例えば、J.Kenneth Hornerら、J.Med.Chem.、1968、11;5;946に記載の方法の適応によって、調製することができる。
【0044】
【化16】

【0045】
一般式(IIIb)および(IIIf)の化合物を合成するための他の可能性を、スキーム4に示す。
【0046】
【化17】

【0047】
式(IX)のアニリンを、T.Sugasawaら、J.A.C.S.1978;100;4842に記載の方法に従って、例えば、三塩化アルミニウムまたは三塩化ガリウムと三塩化ホウ素などのルイス酸の存在下、式(XII)のベンゾニトリルと縮合させ、式(IIIf)の化合物を得る。式(IIIf)の化合物を、R.Fryerら、J.Heterocycl.Chem.1991、EN28;7、1661に記載の方法に従って、有機金属誘導体(VII)とアミノベンゾニトリル(XI)との縮合により得ることができる。また、式(IIIf)の化合物を、D.Lednicer、J.Heterocyclic.Chem.1971;903に記載の方法の適応により、中間体(XIV)から得ることができる。
【0048】
化合物(IIIf)のカルボニル官能基を、例えば、エタノール中の水素化ホウ素ナトリウムなどの水素化物の作用により還元し、式(IIIb)の化合物を得る。
【0049】
式(IIIb)の化合物を調製するための他の方法は、T.Toyodaら、Tet.Lett、1980、21、173に記載の方法に従って、フェニルジクロロボランおよびトリエチルアミンの存在下において、式(IX)のアニリンを式(XIII)のベンズアルデヒド誘導体と縮合することにある。
【0050】
例えば、トリエチルシランおよびトリフルオロ酢酸の作用下、式(IIIf)の化合物を、式(IIIa)の化合物にすることができることに留意する必要がある。
【0051】
一般式(IIIa)の化合物(式中、Arは、ヘテロアリールを表す。)を合成するための他の可能性を、スキーム5に示す。
【0052】
【化18】

【0053】
式(XVII)のニトロフェニルを、12Mの塩酸の存在下において、例えば、金属スズの作用により還元し、式(IIIa)の誘導体を得るFlorio.Sら、Eur.J.Org.Chem.2004、2118に記載の方法に従って、例えば、第三ブトキシドカリウムなどの塩基の存在下において、芳香族クロロメチルヘテロシクリルと縮合させ、誘導体(XIX)を得る。
【0054】
式(IIIg)の化合物を、スキーム6に従って調製する。ニトロベンズアルデヒド(VI)は、ウィッティヒ反応(Wittig reaction)に従った誘導体(XV)との縮合により、化合物(XVI)にする。これらの誘導体を、例えば、パラジウムでの接触水素化により還元し、式(IIIg)の化合物を得る。
【0055】
【化19】

【0056】
全スキームにおける、式(II)から(XIX)の化合物に関して、Ar、T、Ar、Ar、Rの意味は、一般式(I)化合物に関する定義の通りである。
【0057】
スキーム1から6において、出発化合物および試薬は、これらの調製の様式が記載されていないとき、市販されているか、文献に記載されているか、または代わりにその中に記載されているか、もしくは当業者に知られている方法により調製することができる。
【0058】
化合物が例えば、ヒドロキシル基などの反応官能基を含むとき、反応前に事前の保護を必要とする可能性がある。当業者は、事前の保護の必要性を決定することができる。
【0059】
式(II)から(XIX)の化合物は、一般式(I)の化合物の調製の合成中間体として有用であり、本発明の不可欠な部分を形成する。
【0060】
以下の実施例は、本発明に従った化合物の調製を記載する。
【0061】
これらの実施例は、本発明を制限するものではなく、単に本発明を例示するものである。
【0062】
例証された化合物の番号は、表に記載された番号を指す。微量元素分析、質量スペクトルおよびNMRスペクトルは、得られた化合物の構造を確認する。
【0063】
液体クロマトグラフィーLC/MSと組み合わせた質量分析による解析の条件は、以下である。
【0064】
液体クロマトグラフィーの部分では、シンメトリー(symmetry)カラムC18(2.1×50mm)3−5μm。溶離液A=HO+0.005%TFA、pH=3.14;溶離液B=CHCN+0.005%TFA、10分間をかけてAが100%からBが90%の勾配、次にBが90%で5分間。
【0065】
質量分析の部分では、正のエレクトロスプレーイオン化モード。
【0066】
H NMRスペクトルが回転異性体を同定するとき、支配的な回転異性体に対応する解釈のみ記載する。
【0067】
以下の表において、
m.p.(℃)は、摂氏温度における化合物の融点を表す。
MHは、イオン化生成物の質量ピークを表す。
【0068】
保持時間は、分で表す。
n.d.は、「未決定」を意味する。
Me=メチル
【実施例1】
【0069】
N−[2−(2,6−ジフルオロベンジル)−6−メトキシフェニル]−3,4−ジメトキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンゼン−スルホンアミドハイドロクロライド(化合物6)
実施例1.1:(2,6−ジフルオロフェニル)(3−メトキシ−2−ニトロフェニル)メタノール
n−ブチルリチウム(1.5当量)の1.6Mのヘキサン溶液77.5mlを、−70℃以下の温度を維持するために、1滴ずつ、1時間かけて、1,3−ジフルオロベンゼン(1.5当量)12.3mlのテトラヒドロフラン(150ml)溶液に加える。−70℃で更なる1時間後、2−ニトロ−3−メトキシベンズアルデヒド15gのテトラヒドロフラン溶液を、引き続き−70℃で、1時間かけて加える。反応媒質を、−70℃で4時間攪拌し、次に1時間かけて−5℃の温度にする。次に、反応媒質を、ジエチルエーテルを加えることにより希釈し、次に塩化アンモニウムの飽和水溶液でゆっくりと加水分解させる。デカンテーション後、有機相を水で洗浄し、次に無水硫酸ナトリウムにより乾燥させる。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィーにかけ、ジクロロメタン/シクロヘキサン混合物(1/1)(v/v)で溶離し、予期された生成物13.4gを得る。
H NMR δ(ppm)(DMSO d 6):3.85(s,3H);6.16(t,1H);6.53(d,1H);7.00−7.61(分割されず複雑,6H)。
【0070】
実施例1.2:(2−アミノ−3−メトキシフェニル)(2,6−ジフルオロフェニル)メタノール
(2,6−ジフルオロフェニル)(3−メトキシ−2−ニトロフェニル)メタノール13.3gを、エタノール75mlに溶解する。0℃で、濃塩酸(10当量)37mlを、スズ(2.2当量)10.5gにゆっくりと加える(発熱反応)。18時間後、エタノールは蒸発し、残渣を酢酸エチルに溶解した後、pHが約14になるまで、3N水酸化ナトリウム水溶液でアルカリ化する。デカンテーション後、有機相を、無水硫酸ナトリウムにより乾燥および濃縮し、予期された生成物8.7を得る。
H NMR δ(ppm)(DMSO d 6):3.79(s,3H);4.48(s,2H);5.98(t,1H)6.07(d,1H);6.52−7.43(分割されず複雑,6H)。
【0071】
実施例1.3:2−(2,6−ジフルオロベンジル)−6−メトキシアニリン
ジクロロメタン90ml中の(2−アミノ−3−メトキシフェニル)(2,6−ジフルオロフェニル)メタノール5.8g、トリエチルシラン(3当量)11ml、トリフルオロ酢酸(3.9当量)10mlから成る反応混合物を、40℃で6時間加熱する。室温で一夜放置後、反応媒質を、冷たい状態で、6N水酸化ナトリウムでゆっくりと加水分解させた後、有機相を無水硫酸ナトリウムにより乾燥させ、濃縮する。残渣を、ジクロロメタンで溶離するシリカHでの濾過により精製し、予期された生成物3.8gを得る。
H NMR δ(ppm)(DMSO d 6):3.77(s,5H);4.65(s,2H); 6.15(d,1H)6.45(t,1H);6.70(d,1H);7.12−7.46(分割されず複雑,3H)。
【0072】
実施例1.4:N−[2−(2,6−ジフルオロベンジル)−6−メトキシフェニル]−3,4−ジメトキシベンゼンスルホンアミド
2−(2,6−ジフルオロベンジル)−6−メトキシアニリン3.8gを、テトラヒドロフラン36mlおよびピリジン1.2mlに溶解し、次に塩化3,4−ジメトキシベンゼンスルホニル4.06gを次に加える。室温で18時間後、反応媒質を酢酸エチルに溶解し、次に加水分解させ、有機相を、無水硫酸ナトリウムにより乾燥させ、濃縮する。残渣を、トルエン/酢酸エチル混合物(9/1)(v/v)中において凝固させ、予期された生成物5gを得る。
H NMR δ(ppm)(DMSO d 6):3.17(s,3H);3.75(s,3H);3.83(s,3H)4.22(s,2H);6.37(d,1H);6.75(d,1H);7.02−7.43(分割されず複雑,7H);9.16(s,1H)。
【0073】
実施例1.5:第三ブチル(3S)−3−{[6−メトキシ−2−(2,6−ジフルオロフェニル][(3,4−ジメトキシフェニル)スルホニル]アミノ}ピロロリジン−1−カルボキシレート
アゾジカルボン酸ジ−第三ブチル1.55gを、室温でトリフェニルホスフィン2.8gのテトラヒドロフラン(25ml)溶液に加える。30分後、第三ブチル(3R)−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレート0.95gを添加する。30分後、N−[2−(2,6−ジフルオロベンジル)−6−メトキシフェニル]−3,4−ジメトキシベンゼンスルホンアミド1.46gを加え、混合物を室温で48時間放置する。反応媒質を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーにかけ、第1のアトロプ異性体0.44gおよび第2のアトロプ異性体0.42gを得る。
【0074】
実施例1.6:N−[2−(2,6−ジフルオロベンジル)−6−メトキシフェニル]−3,4−ジメトキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミドハイドロクロライド
2M塩化水素溶液のジエチルエーテル溶液7mlを、第1のアトロプ異性体の第三ブチル(3S)−3−{[6−メトキシ−2−(2,6−ジフルオロフェニル][(3,4−ジメトキシフェニル)スルホニル]アミノ}ピロロリジン−1−カルボキシレート0.44gの酢酸エチル溶液に加える。室温で18時間後、媒質を濾過し、沈殿物を70℃でジクロロメタン/酢酸エチル混合物に溶解する。不溶性物質を濾過し、予期された生成物0.084gを得る。
【0075】
H NMR δ(ppm)(DMSO d 6):1.76(m,1H);2.43(m,1H)2.80(t,1H);3.17(m,3H);3.38(s,3H);3.80(s,3H);3.84(s,3H);4.05(q,2H);4.72(q,1H);6.36(d,1H);6.95(d,1H);7.14−7.53(分割されず複雑,7H);9.19(s,2H)。
融点=254℃
【0076】
「アトロプ異性体A」または「アトロプ異性体B」という用語は、同一の組の2つのアトロプ異性体を明白に名づけることができるように使用される。
【0077】
以下の文章において、融点は装置で測定した。
(M)=メトラートレド(Metler Toledo)
(K)=コフラーステージ(Kofler stage)
【0078】
以下の表Iにおいて、化合物は一塩酸塩の形態である。
【0079】
【化20】

【0080】
【表1】

【0081】
化合物6および7は、一対のアトロプ異性体を形成する。
【0082】
【化21】

【0083】
化合物6では(アトロプ異性体A):
m.p.=129℃(M)
(α)=メタノール中c=0.35g/dlで+54.3
MH/保持時間:519.2/6.56
化合物7では(アトロプ異性体B):
m.p.=254℃(M)
α=メタノール中c=0.42g/dlで−25.95
MH/保持時間:519.2/6.56。
【0084】
他の式(Ia)の化合物を、以下の表I’における例の方法により得る。これらの化合物は、一塩酸塩の形態である。
【0085】
【表2】

【0086】
以下の化合物の組は、一対のアトロプ異性体を形成する。
化合物11および12、
化合物14および15、
化合物18および19、
化合物20および21。
【0087】
以下の表I”の化合物は、トリフルオロ酢酸の形態である。
【0088】
【表3】

【実施例2】
【0089】
N−[4−クロロ−2−(ピリジン−2−イルメチル)フェニル]−3,4−ジメトキシ−N−[(3S)−ピロリジニル−3−イル]ベンゼン−スルホンアミドハイドロクロライド(化合物番号10)
実施例2.1:2−(5−クロロ−2−ニトロベンジル)ピリジン
4−クロロニトロベンゼン8.66gおよび2−クロロメチルピリジン8.2gのジメチルスルホキシド(100ml)溶液を、第三ブトキシドカリウム22.44gのジメチルスルホキシド(500ml)溶液にゆっくりと加える。室温で18時間後、混合物を飽和塩化アンモニウム溶液で加水分解し、ジクロロメタンで3回抽出する。有機相を、無水硫酸ナトリウムにより乾燥させ、濃縮する。残渣を、シリカH(溶離液ジクロロメタン)で濾過し、予期された生成物10.695gを得る。
H NMR δ(ppm)(DMSO d 6):4.49(s,2H);7.20−7.31(分割されず複雑,2H);7.60−7.78(分割されず複雑,3H);8.03(d,1H);8.41(d,1H)
融点=69℃
【0090】
実施例2.2:4−クロロ−2−ピリジン−2−イルメチル)アニリン
金属スズ4.7gおよび次に12M塩酸16.8mlを、室温で連続して2−(5−クロロ−2−ニトロベンジル)ピリジン5gのエタノール(34ml)溶液に加える。室温で2時間後、媒質を、0℃で6M水酸化ナトリウムの添加によって中和する。反応媒質を、酢酸エチルで抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムにより乾燥させ、濃縮し、予期された生成物3.86gを得る。
H NMR δ(ppm)(DMSO d 6):3.93(s,2H);5.33(s,2H);6.66(d,1H);6.93−7.06(分割されず複雑,2H);7.21−7.38(分割されず複雑,2H);7.76(m,1H);8.47(d,1H)
【0091】
実施例2.3:N−[4−クロロ−2−(ピリジン−2−イルメチル)−フェニル]−3,4−ジメトキシベンゼンスルホンアミド
ピリジン0.7mlおよび次に塩化3,4−ジメトキシベンゼンスルホニル2.27gを、室温で連続して4−クロロ−2−(ピリジン−2−イルメチル)アニリン1.86gのテトラヒドロフラン(20ml)溶液に加える。室温で72時間後、反応媒質を、水に溶解し、酢酸エチルで抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムにより乾燥させ、濃縮し、予期された生成物2.12gを得る。
H NMR δ(ppm)(DMSO d 6):3.71(s,3H);3.83(s,3H);3.94(s,2H);7.07−7.32(分割されず複雑,8H);7.74(m,1H);8.54(d,1H)
【0092】
実施例2.4:第三ブチル(3R)−3−{[4−クロロ−2−(ピリジン−イルメチル)フェニル][(3,4−ジメトキシフェニル)−スルホニル]アミノ}ピロリジン−1−カルボキシレート
アゾジカルボン酸ジイソプロピル0.91mlを、室温でトリフェニルホスフィン1.21gのテトラヒドロフラン(25ml)溶液に加える。30分後、第三ブチル(3S)−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレート0.86gを添加する。30分後、N−[4−クロロ−2−(ピリジン−2−イルメチル)フェニル]−3,4−ジメトキシベンゼン−スルホンアミド1.29gを加え、混合物を室温で18時間放置する。反応媒質を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーを行い、予期された生成物2.94gを得る。
H NMR δ(ppm)(DMSO d 6):1.36(s,9H);1.6(m,1H);2.15(m,1H);2.8−3.1(分割されず複雑,3H);3.6(m,1H);3.78(s,3H);3.88(s,3H);4.2−4.6(分割されず複雑,3H);7.09−7.75(分割されず複雑,10H)。
【0093】
実施例2.5:N−[4−クロロ−2−(ピリジン−2−イルメチル)フェニル]−3,4−ジメトキシ−N−[(3R)−ピロリジニル−3−イル]−ベンゼンスルホンアミドハイドロクロライド
ジエチルエーテル中の2M塩化水素溶液2.8mlを、第三ブチル(3R)−3−{[4−クロロ−2−(ピリジン−イルメチル)フェニル][(3,4−ジメトキシフェニル)スルホニル]アミノ}ピロリジン−1−カルボキシレート2.94gの酢酸エチル(3ml)溶液に加える。室温で18時間後、反応媒質を濃縮し、残渣をジエチルエーテルで凝固させ、乾燥後、予期された生成物0.921gを得る。
H NMR δ(ppm)(DMSO d 6):1.38(m,1H);1.76(m,1H);3.0−3.3(分割されず複雑,4H);3.79(s,3H);3.88(s,3H);4.55−4.88(分割されず複雑,3H);6.60−8.50(分割されず複雑,10H);14.1(s,1H)。
融点=138.2℃
【0094】
以下の表IIにおいて、化合物は一塩酸塩の形態である。
【0095】
【化22】

【0096】
【表4】

【0097】
以下の表IIIにおいて、化合物は一塩酸塩の形態である。
【0098】
【化23】

【0099】
【表5】

【0100】
本発明の化合物は、治療における活性物質としてのこれらの重要性を示す薬理学的試験の対象であった。
【0101】
これらは、特にこれらの効果について試験された。より具体的には、オレキシン2受容体に対する本発明の化合物の親和性を、以下に記載した技術に従って、インビトロにおける結合試験において判定した。この方法は、CHO細胞に発現したヒトオレキシン2受容体に結合した放射ヨウ素標識されたオレキシンAの置換を検査することにある。本試験は、25℃で、30分間、1mM MgCl、25mM CaCl、0.025%NaN、1%ウシ血清アルブミン(BSA)およびリガンド100pMを含む50mMヘペス(Hepes)温置緩衝液中の膜上で実施する。反応を、ワットマン(Whatman)GF/Cフィルターでの濾過および洗浄により停止させる。非特異的結合を、10−6MヒトオレキシンBの存在下において測定する。IC50値(オレキシンA受容体に対する放射ヨウ素標識されたオレキシンAの結合の50%を阻害する濃度)は低く、300nM未満、特に100nM未満およびより具体的には30nM未満である。
【0102】
また、オレキシン1受容体に対する本発明による化合物の親和性を、ヒトオレキシン1受容体を発現しているCHO細胞の膜標本において、リガンドとして放射ヨウ素標識されたオレキシンを用いた同じ手法に従って、インビトロの結合試験において検討した。本発明による化合物は、オレキシン1受容体に対する親和性をほとんどまたはまったく持たない。
【0103】
本化合物のアゴニストまたはアンタゴニスト特性を、インビトロで、蛍光カルシウム指示薬としてフルオ(Fluo)−4AMの1μMを用いて、Sullivanら、Methods Mol.Biol.、1999、Vol.114、125−133に記載の一般的な手法に従って、オレキシン2受容体を発現している細胞標本上の細胞内カルシウム(FLIPR)を測定する試験において判定する。アンタゴニスト試験では、化合物を、30分間温置した後、オレキシンBの0.25nMを加える。これらの試験で測定したオレキシン2受容体のIC50は低く、より具体的には100nM未満である。
【0104】
IC50値を、本発明による化合物に対して測定した(化合物番号1、6、8、11、14および18)。以下のデータは、本発明を例示するために役立つもので、本発明を制限するものではない。
【0105】
【表6】

【0106】
以下の表は、上記の手法に従ったインビトロでの結合試験におけるオレキシン1および2受容体に対する本発明による数種の化合物の親和性を例示している。
【0107】
【表7】

【0108】
生物学的結果は、本発明による化合物が実際にオレキシン2受容体に対する特異的なアンタゴニストであることを示している。
【0109】
これらのアンタゴニスト特性は、インビトロにおいて、上記の一般的な手法に従って、細胞内カルシウム(FLIPR)を測定する試験において判定する。
【0110】
したがって、オレキシン2受容体のアンタゴニストとしての本発明の化合物を、これらの受容体に関連する機能障害に関わるあらゆる疾患の予防および治療に使用することができる。
【0111】
本発明の化合物を、オレキシン2受容体に関連する機能障害に関わるあらゆる疾患の予防または治療を目的とする薬物の調製のために使用することができ、より具体的には、オレキシン2受容体アンタゴニストが治療上の有益性をもたらす病態の予防または治療において使用することできる。そのような病態は、例えば、悪液質、食欲不振、食欲異常亢進を含む糖尿病(Ouedraogoら、Diabetes、2002、52、111−117)、メタボリック症候群(Sakurai、Curr.Opin.Nutr.Metab.Care、2003、6、353−360)、嘔吐および悪心(US6506774)、肥満、食欲または食味破壊(Smartら、Eur.J.Pharmacol.、2002、440、2−3、199−212)、うつ病および不安(Salomonら、Biol.Psychiatry、2003、54、96−104;Jaszberenyiら、J.Neuroendocrinol.、2000、12、1174−1178)、てんかん(Moralesら、Brain Res.、2006、1109、164−175)、嗜癖(Georgescuら、J.Neurosci.、2003、23、8、3106−3111;Kaneら、Endocrinology、2000、141、10、3623−3629)、気分および行動障害、統合失調症(Nishinoら、Psychiatry Res.、2002、110、1−7)、睡眠障害(Sakurai、Neuroreport、2002、13、8、987−995)、下肢静止不能疾患(Allenら、Neurology、2002、59、4、639−641)、学習および記憶障害(van den Polら、2002、J.Physiol.、541(1)、169−185;Jaegerら、Peptides、2003、23、1683−1688;TelegdyおよびAdamik、Regul.Pept.、2002、104、105−110)、性および精神性機能障害(Guliaら、Neuroscience、2003、116、921−923)、疼痛、臓器または神経障害性疼痛、痛覚過敏、異痛(US6506774;Suyamaら、In vivo、2004、18、2、119−123)、消化器疾患(Takakashiら、Biochem.biophy.Res.Comm.、1999、254、623−627;Matsuoら、Eur.J.Pharmacol.、2002、105−109)、過敏性腸症候群(US6506774)、ニューロン変性(van den Pol、Neuron、2000、27、415−418)、虚血性または出血性脳卒中(Irvingら、Neurosci.Lett.、2002、324、53−56)、クッシング病、ギラン−バレー症候群(Kanbayashiら、Psychiatry Clin.Neurosci.、2002、56、3、273−274)、筋強直性ジストロフィー(Martinez−Rodriguezら、Sleep、2003、26、3、287−290)、尿失禁(Blackstoneら、AGS Annual Meeting、poster P491、2002)、甲状腺機能亢進症(Malendowiczら、Biomed.Res.、2001、22、5、229−233)、下垂体機能障害(Voisinら、Cell.Mol.Life Sci.、2003、60、72−78)、高血圧症または低血圧症(Samsonら、Brain Res.、1999、831、1−2、248−253)である。
【0112】
前述の病態の予防または治療を目的とする薬物の調製のための本発明による化合物の使用は、本発明の不可欠な部分を形成する。
【0113】
また、本発明の対象は、式(I)の化合物を含む薬物である。これらの薬物は、治療において、特に前述の病態の予防または治療において、使用を見いだす。
【0114】
別の態様によれば、本発明は、活性成分として少なくとも1種の本発明による化合物を含む医薬組成物に関する。これらの医薬組成物は、本発明による化合物の有効量および場合によって1種または複数の薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0115】
前記賦形剤は、当業者に公知の慣習的な賦形剤の中から、製剤剤形および所望の投与様式に従って選択される。
【0116】
経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、表皮、局所、気管内、鼻腔内、経皮または直腸投与のための本発明の医薬組成物において、上記の障害または疾患の予防または治療のために、上記の式(I)の有効成分またはこの可能性ある塩、溶媒和物または水和物を、従来の医薬品賦形剤との混合物として単位投与形態で、動物またはヒトに投与することができる。
【0117】
適切な単位投与形態は、経口形態(錠剤、軟または硬ゼラチンカプセル、粉末、顆粒、チューイングガムおよび経口溶剤または懸濁剤など)、舌下、口腔、気管内、眼内もしくは鼻腔内投与の形態または吸入による投与の形態、皮下、筋肉内もしくは静脈内投与の形態および直腸内もしくは膣内投与の形態を含む。表皮塗布では、本発明による化合物を、クリーム、軟膏またはローションで使用することができる。
【0118】
例えば、固体組成物を錠剤の形態で調製するとき、主な活性成分を、ゼラチン、デンプン、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、アラビアゴムなどの医薬品賦形剤と混合する。錠剤を、スクロース、セルロース誘導体または他の物質で被覆することができる。また、錠剤を直接圧縮、乾式造粒、湿式造粒または熱溶解などの様々な手法により作製することができる。
【0119】
所望の予防または治療効果を得るために、活性成分の用量は、体重(kg)および日あたり0.1から200mgの間で変更することができる。これらの用量は平均的状況での例であるが、より高用量またはより低用量が適切である特定の症例が存在する可能性があり、そのような用量も本発明に属する。一般の慣例によれば、各患者に適した用量は、投与様式ならびに前記患者の体重および反応によって医師により決定される。
【0120】
各単位用量は、1種または複数の医薬品賦形剤と組み合わせて、活性成分の0.1から1,000mg、好ましくは0.1から500mgを含むことができる。この単位用量を、0.5から5,000mg、好ましくは0.5から2,500mgの1日投与量を投与するために、1日あたり1から5回投与することができる。
【0121】
また、別の態様によれば、本発明は、上記の病態の予防または治療のための方法に関し、この方法は、本発明による化合物、前記化合物の薬学的に許容される塩、溶媒和物または水和物の投与を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基、酸付加塩、水和物もしくは溶媒和物の形態、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、回転異性体、アトロプ異性体またはこれらの混合物の形態の、一般式(I)に対応する化合物
【化1】

[式中、
Arは、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたアリール基;
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたヘテロシクリル基
を表し;
Tは、
−(CH−基(n=0、1、2である。);

【化2】

(式中、Rは、ヒドロキシル基である。)を表し;
Arは、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたアリール基;
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたヘテロシクリル基
を表し;
Arは、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、ヒドロキシル基、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたアリール基;
互いに独立に以下の基:ヒドロキシル基、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたヘテロシクリル基
を表し;
は、以下の式(A)の飽和ヘテロシクリル基を表し
【化3】

(式中、
およびRは、互いに独立に水素原子、C−Cアルキル基を表し;または
代わりにRおよびRは、一緒になってオキソ基を形成し;
は、水素原子またはC−Cアルキル基を表し;
mおよびnが同時に0値を表さないという条件で、n=0または1であり;m=0または1であり;p=1または2である。);
あるいは代わりにRは、以下の式(B)のシクロアルキル基を表す
【化4】

(式中、
、RおよびRは、互いに独立に水素原子またはC−Cアルキル基を表し;
およびRは、互いに独立に水素原子またはC−Cアルキル基を表し;
または代わりにRおよびRは、一緒になってオキソ基を形成し;
n’=0、1または2であり;p’=1、2、3または4である。)。]。
【請求項2】
Arが、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたアリール基;
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたヘテロシクリル基
を表し;
Tが、
−(CH−基(n=1)
を表し;
Arが、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたアリール基;
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたヘテロシクリル基
を表し;
Arが、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、ヒドロキシル基、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたアリール基;
互いに独立に以下の基:ヒドロキシル基、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたヘテロシクリル基
を表し;
が、式(A)の飽和ヘテロシクリル基を表し(式(A)において、
、RおよびRは、それぞれ水素原子またはC−Cアルキル基を表し;
p=2;m=n=1であり;または
m=0;n=1;p=2であり;または
m=0;n=p=1であり;または
m=n=p=1である。);
あるいは代わりにRが、式(B)のシクロアルキル基を表す(式(B)において、
、RおよびRは、互いに独立に水素原子またはC−Cアルキル基を表し;
およびRは、互いに独立に水素原子またはC−Cアルキル基を表し;
n’=0、1であり;p’=1、2または3である。)、
塩基、酸付加塩、水和物もしくは溶媒和物の形態、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、回転異性体、アトロプ異性体またはこれらの混合物の形態の、請求項1に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項3】
Arが、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたフェニル基;
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子および(C−C)アルキル基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたピリジニルまたはピリミジニル基
を表し;
Tが、
−(CH−基(n=1)
を表し;
Arが、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたフェニル基;
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたピリジニル基
を表し;
Arが、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、ヒドロキシル基、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたフェニル基;
互いに独立に以下の基:ヒドロキシル基、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたピリジニル、フラニルまたはピラゾリル基
を表し;
が、式(A)の飽和ヘテロシクリル基を表し(式(A)において、
、RおよびRは、それぞれ水素原子を表し;m=0であり;n=1であり;p=2である。);
あるいは代わりにRは、式(B)のシクロアルキル基を表す(式(B)において、
、R、R、RおよびRは、それぞれ水素原子を表し;
n’=0または1でありおよびp’=1、2または3である。)、
塩基、酸付加塩、水和物または溶媒和物の形態、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、回転異性体、アトロプ異性体およびこれらの混合物の形態の、請求項1または2に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項4】
Arが、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたフェニル基;
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子および(C−C)アルキル基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたピリジニルまたはピリミジニル基
を表し;
Tが、
−(CH−基(n=1)
を表し;
Arが、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたフェニル基;
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたピリジニル基
を表し;
Arが、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、ヒドロキシル基、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたフェニル基;
互いに独立に以下の基:ヒドロキシル基、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたピリジニルまたはフラニル基
を表し;
が、式(A)の飽和ヘテロシクリル基を表し(式(A)において、
、RおよびRは、それぞれ水素原子を表し;m=0であり;n=1であり;p=2である。);
あるいは代わりにRは、式(B)のシクロアルキル基を表す(式(B)において、
、R、R、RおよびRは、それぞれ水素原子を表し;
n’=0または1でありおよびp’=1、2または3である。)、
塩基、酸付加塩、水和物もしくは溶媒和物の形態、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、回転異性体、アトロプ異性体またはこれらの混合物の形態の、請求項1、2または3の一項に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項5】
Arが、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたフェニル基;
ピリジニル基
を表し;
Tが、
−(CH−基(n=1)
を表し;
Arが、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたフェニル基
を表し;
Arが、
互いに独立に以下の基:ハロゲン原子、ヒドロキシル基、(C−C)アルキル基および(C−C)アルコキシ基から選択された1つまたは複数の基で場合によって置換されたフェニル基
を表し;
が、式(A)の飽和ヘテロシクリル基を表し:(式(A)において、
、RおよびRは、それぞれ水素原子を表し;m=0であり;n=1であり;p=2である。)
あるいは代わりにRは、式(B)のシクロアルキル基を表す(式(B)において、
、R、R、RおよびRは、互いに独立に水素原子を表し;n’=0でありおよびp’=3である。)、
塩基、酸付加塩、水和物もしくは溶媒和物の形態、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、回転異性体、アトロプ異性体またはこれらの混合物の形態の、請求項1、2、3または4の一項に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項6】
N−[4−クロロ−2−(2,6−ジフルオロベンジル)フェニル]−3,4−ジメトキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミド塩酸塩;
N−[2−(2,6−ジフルオロベンジル)−6−メトキシフェニル]−3,4−ジメトキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミド塩酸塩のアトロプ異性体A
N−[(1R,2S)−2−アミノシクロペンチル]−N−[2−(2,6−ジフルオロベンジル)−6−メトキシフェニル]−3,4−ジメトキシベンゼンスルホンアミド塩酸塩;
N−[2−(2−クロロベンジル)−6−メトキシフェニル]−3,4−ジメトキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミド塩酸塩のアトロプ異性体A
N−[(IS,2S)−2−アミノシクロペンチル]−N−[2−(2,6−ジフルオロベンジル)−6−メトキシフェニル]−3,4−ジメトキシベンゼンスルホンアミド塩酸塩のアトロプ異性体A
N−[2−(2,6−ジフルオロベンジル)−4−クロロ−6−メトキシフェニル]−3,4−ジメトキシ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミド塩酸塩のアトロプ異性体A
から選択された、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
ミツノブ反応が式(X)のアルコールと一般式(II)の化合物との間で行われることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の調製方法
【化5】

[式(II)および式(X)の化合物において、Ar、Ar、Ar、TおよびRは、式(I)の定義の通りである。]。
【請求項8】
式(II)の化合物を塩基の存在下において式(III)の化合物の式(V)の塩化スルホニルによるスルホニル化により得ることを特徴とする、請求項7に記載の調製方法
【化6】

[式(III)および(V)の化合物において、Ar、Ar、ArおよびTは、式(I)の定義の通りである。]。
【請求項9】
オレキシン2受容体に結びつく機能障害を伴うあらゆる疾患の予防または治療を目的とした薬物の調製のための、請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項10】
悪液質、食欲不振、食欲異常亢進、糖尿病、メタボリック症候群、嘔吐および悪心を含む肥満、食欲または食味破壊、うつ病および不安、てんかん、嗜癖、気分および行動障害、統合失調症、睡眠障害、下肢静止不能症候群、学習および記憶障害、性および精神性機能障害、疼痛、臓器または神経障害性疼痛、痛覚過敏、異痛、消化器疾患、過敏性腸症候群、ニューロン変性、虚血性または出血性脳卒中、クッシング病、ギラン−バレー症候群、筋強直性ジストロフィー、尿失禁、甲状腺機能亢進症、下垂体機能障害、高血圧症または低血圧症などの病態の予防または治療を目的とした薬物の調製のための、請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項11】
請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物を含むことを特徴とする薬物。
【請求項12】
請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の少なくとも1種の化合物および場合によって1種または複数の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。

【公表番号】特表2009−524628(P2009−524628A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551816(P2008−551816)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【国際出願番号】PCT/FR2007/000119
【国際公開番号】WO2007/085718
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【Fターム(参考)】